JP6338382B2 - コンデンサバンク - Google Patents
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Description
図2は、要素コンデンサを直列、並列に接続して大きなエネルギーを蓄積する一つのコンデンサにしたもので、コンデンサバンクと呼ばれるものである。従来のコンデンサバンクは、要素コンデンサ1と結線2から構成される。
結線2は、要素コンデンサ1の端子を接続するもので、電流容量に応じた電線又は放電電流の電磁力に耐える平角の銅やアルミの母線である。また、この図にはその他に、出力端子3が示されている。
コンデンサバンクは外からは一つのコンデンサに見え、そのように扱うことが一般的である。
充電されたコンデンサバンクは出力端子3から電流を取り出すことで放電させて、電気エネルギーの充電/放電を行う。これを繰り返すことにより、電気エネルギーの貯蔵装置として、瞬間大電力を必要とする分野ではこれまでよく使われてきた。
高エネルギー粒子加速器分野では、パルス磁界を発生するための磁気エネルギー源としてコンデンサバンクが使われる。磁界のエネルギーをコンデンサバンクに充電/放電することで外部からの電源はそのロス分のみの補給で済むため、高繰り返し運転が可能になる。
この発明は、磁気エネルギーを捨てずにコンデンサに回生して次回の運転エネルギーにするため、その磁気エネルギー分は充電する必要がない。そのため、高速繰り返しが可能で、コンデンサを充電するための高圧電源が不要などの利点が示されている。
1.事故短絡の電流が大きくその電磁力も大きいので、結線2は電磁力に耐える構造にする必要がある。
2.または保護用にフューズを直列に入れて事故大電流を溶断して減流、遮断する場合は、フューズの信頼性、経年変化、保証される寿命の問題がある。
3.高繰り返しパルス利用の磁界発生装置用コンデンサバンクを磁気エネルギーの充電/放電時の電力の緩衝装置(以下「バッファ」という。)として使う場合は、事故電流を制限する直列のインダクタを接続することが考えられるが、電流の立ち上がり速度は下がる。
しかし、ピーク電流値はコンデンサバンクのキャパシタンスとインダクタンスで決まるサージ・インピーダンスで予想できるが、運転時の電流の数十倍にもなるので、給電線がその発熱と電磁力に耐えられない。
本発明は、上述のような問題に鑑み為されたものであり、コンデンサバンクの短絡事故時における短絡電流(事故電流)による大事故を防止することが可能なコンデンサバンクを提供することを目的とする。
図1は、本発明のコンデンサバンクの回路図の例を示す図である。
図1の回路は、多数の要素コンデンサ1と直列接続される抵抗器5、結線2とから構成される。また、図1は要素コンデンサ1が2個直列に接続されて構成される例が示されているが、コンデンサの短絡事故時に減流作用があるので良く使われる構成である。
減流抵抗5は、事故時に大電流が流れると逆起電力を発生して電流を減少させる純抵抗である。抵抗体の板を薄く、または、抵抗体の線を細くして作られるが、通常の運転時に発熱して高温になると空気中や放射により冷却されるものである。それを要素コンデンサの端子に強固に接続にする。
減流抵抗5の抵抗値Rcを、要素コンデンサ1の運転時の最大電圧をVr、運転時の最大電流をIrとした場合、Rc=Vr/(N×Ir)(Nは正数)に設定すれば、要素コンデンサ1の短絡時の短絡電流を運転時の最大電流IrのN倍以下に制限することができる。
すなわち、電圧形インバータの電圧源コンデンサのエネルギーを補充し電圧の変動を低く抑えるバッファとして本発明のコンデンサバンクを使う場合の例である。
図3は、AC電源7に接続されたコンバータ9に電圧源コンデンサ4を接続し、それを電圧形インバータ8にて交流に変換して負荷10(LとRの成分を含む。)に供給する回路に、コンデンサバンク6を電圧源コンデンサ4に並列に接続したものを示している。
図3の電圧形インバータ8では電圧源コンデンサ4を電圧源にして負荷10のコイルLに正または負の電圧を発生させて負荷10のコイルLの電流を増加、または減少させる。
電圧形インバータ8ではPWM(パルス幅変調)のオン・オフのdutyで制御するが、負荷10に電力を発生する力行運転では電圧源コンデンサ4の電圧は減少し、逆に負荷10から電力を引き抜く回生運転では電圧源コンデンサ4の電圧は増加する。この増減を抑えるバッファとしてコンデンサバンク6を並列に接続する。
もちろん、電解コンデンサではなく、電気2重層コンデンサやリチウム電池のような2次電池でも同じ効果がある。粒子ビーム加速器電源やスポット溶接等、1秒間に数回のパルス負荷の繰り返し運転の場合には、エネルギー蓄積コンデンサがAC電源7からの入力電力変動を平均化するので好ましく、合わせてコンバータ9の容量も小さくすることができる。
すなわち、(本出願の)図4において、スイッチS1及びS2が同時にONになった場合は、電圧源コンデンサ4の+側からスイッチS2を通って磁界コイルの上方向から下方向に向かって電流が流れ、スイッチS1を通って電圧源コンデンサ4の−側に戻る。
一方、スイッチS1及びS2が同時にOFFになった場合は、磁界コイルの上方向から下方向に向かって流れている電流は、左下のダイオードを通して電圧源コンデンサ4の+側に入り、右上のダイオードを通って磁界コイルの上方向から下方向に向かって流れる。この時に電圧源コンデンサ4には磁気エネルギーが蓄積される。このようにして、負荷10である磁界コイルには常に一定方向に電流が流れる。
これは、可逆DC−DCブーストコンバータ11によって電圧源コンデンサ4の電圧変動をアクティブに制御して、電圧形インバータ8の制御能力を安定化させる請求項6の実施例である。
コンデンサバンク6はその蓄積エネルギーの半分を放出すると電圧が7割に低下する。コンデンサバンク6の電圧がそのまま電圧形インバータ8の最大出力電圧に関係するので、これを維持するためにコンデンサバンク6との間に、可逆双方向のDC−DCブーストコンバータ11を入れることで、このコンデンサバンク6の放電による電圧源コンデンサ4の電圧低下の問題は解決するが、半導体スイッチの容量が増えるので、電圧源コンデンサ4のエネルギーを初めから大きく設定する場合との優劣を考慮するべきである。
〈応用例の効果〉
1.シンクロトロン型の高エネルギー粒子加速器では、磁界発生装置が粒子加速のため、磁界を直線的に数秒で立ち上げ、立ち下げる動作が高繰り返しされるが、その磁気エネルギーWの出し入れがその周期をTとするとその電力は概略P=W/Tである。
2.この電力を電力系統に求めると受電電力のピーク値が大きく、かつ磁界を立ち下げ動作時は電力がマイナス、すなわち系統に返すことになるが、この回生電力は、電圧変動をもたらし、その対策に苦慮している。エネルギーのバッファとして、短絡事故の保護装置を内蔵した本発明のコンデンサバンクを設置することにより、電力系統の弱い(変電所から遠い)場所にもガン治療用の高エネルギー粒子加速器を設置することができ、かつ受電契約電力を低減することができる。
3.コンデンサバンクが電力のバッファをすることにより加速器など繰り返し運転をする磁界発生装置は受電電力を増やすことなく、高繰り返し回数を多くすることが可能になり、生産性や運転効率があがる。
本コンデンサバンクの電圧形インバータへの接続では減流抵抗によるダンパー効果が期待できるので長距離ケーブルによる接続が可能である。
〈その他特有の効果2〉
請求項5にかかる部分であるが、電圧形インバータ電源装置の電圧源コンデンサの電圧変動を低減するためのバッファとして本発明に係るコンデンサバンクを並列接続する。
一般の電圧形インバータ電源では、電圧源コンデンサのエネルギー量を多くして、出力電力の脈動、変動でも電圧源コンデンサの電圧変動を5%以下にしなければ安定したPWM制御は期待できない。その場合、本発明に係るコンデンサバンクをPWMインバータ電源に設置すれば、PWM制御にもとづくスイッチの高速ON/OFF電流は電圧形PWMインバータ内部の電圧源コンデンサに大部分が流れて、電圧安定化のための本発明に係るコンデンサバンクにはPWMの高速なオン・オフ電流は流れない。
なぜなら、その高周波電流はコンデンサのインピーダンスで分流するため、減流抵抗付の要素コンデンサには抵抗のインピーダンスが効いてインピーダンスで分流された結果、わずかしか流れなくなり、低周波の平均化した電流のみが流れる。コンデンサバンクが、負荷変動のバッファとしてのみ働かせることができるので、電流容量の少ない低周波電流用の電解コンデンサでも使用できる。接続にインダクタ等のローパス・フィルタを介して接続すれば、コンデンサの減流抵抗に高周波電流が流れなくなり、抵抗の発熱は減少する。
〈その他特有の効果3〉
コンデンサバンクの要素コンデンサがフィルムコンデンサである場合、数秒に1回程度の充電/放電では発熱はほとんどしないため結露対策が必要で、また、コンデンサバンクを乾燥させるための換気や空調が不可欠であるが、コンデンサに個々に接続される直列抵抗が発熱してそれを空気冷却すれば、結露などを防止することができる。要素コンデンサの最大蓄積エネルギーを10kJ程度と想定すれば、それを1秒間隔で充電/放電すれば抵抗器は1kW程度の発熱になる。これは制限電流を定格の10倍(N=10)とした設計の予想である。
〈その他特有の効果4〉
欠点として、本発明によると抵抗挿入による電力損失が当然あるが、それは例えば短絡電流を定格の10倍とすると、正常運転時では抵抗器での電圧低下は1/10であるからコンデンサバンクの電力は10%程度低下すると予想される。これは安全性とのトレードオフであり、コンデンサバンクの余裕をどれだけ与えるかの設計に関わる問題である。
2 結線
3 出力端子
4 電圧源コンデンサ
5 抵抗器Rc
6 コンデンサバンク
7 AC電源(電力系統)
8 インバータ
9 コンバータ
10 負荷(L+R)、磁界コイル負荷
11 可逆DC−DCブーストコンバータ
12 ローパス・フィルタ
Claims (2)
- 電圧形インバータを用いた電圧形インバータ電源装置であって、
前記電圧形インバータの電圧源コンデンサに、静電エネルギーを蓄積するコンデンサ(以下「要素コンデンサ」という。)に直列に抵抗器を接続したものを多数、並列、直列、又はそれを組み合わせて接続したエネルギー貯蔵用コンデンサバンク(以下「コンデンサバンク」という。)を並列に接続するとともに、
前記コンデンサバンクの一方の出力端子に直列に接続したインダクタを介して、前記コンデンサバンクを前記電圧源コンデンサに接続することにより、前記インダクタと前記抵抗器を直列に接続したことによるローパス・フィルタとして機能させ、前記コンデンサバンクへの高周波電流の流入を阻止することを特徴とする電圧形インバータ電源装置。 - 前記抵抗器の抵抗値(Rcとする。)を、Rc=Vr/(N×Ir)(Nは正数。ただし、前記要素コンデンサの運転時の最大電圧をVr、運転時の最大電流をIrとする。)とすることにより、前記コンデンサバンクの前記出力端子間の短絡事故時の短絡電流を前記運転時の最大電流IrのN倍以下に制限することを特徴とする請求項1に記載の電圧形インバータ電源装置。
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