(実施の形態1)
図1から図13を用いて、実施の形態1に係る送電装置および非接触電力伝送システムについて説明する。
図1は、実施の形態1に係る非接触電力伝送システムを示す模式図である。この図1に示すように、非接触電力伝送システム1は、車両2に搭載された受電モジュール3と、受電モジュール3に非接触で電力を送電する送電装置4とを備える。
受電モジュール3は、受電装置5と、受電装置5に接続された整流器6と、整流器6に接続されたバッテリ7とを備える。
受電装置5は、受電コイル8と、受電コイル8に接続されたコンデンサ9を含む。受電コイル8とコンデンサ9とでによって共振器が構成される。整流器6は、受電装置5が受電した交流電力を直流電力に変換すると共に、電圧を調整してバッテリ7に供給する。バッテリ7は、整流器6から供給された電力を貯留すると共に、駆動用モータに供給して車輪を駆動する。
送電装置4は、電源10に接続されており、電源10から電力が供給される。送電装置4は、送電コイル11と、送電コイル11に接続されたコンデンサ12と、周波数調整器23とを含み、送電コイル11とコンデンサ12とによって共振器が形成されている。
なお、受電コイル8およびコンデンサ9によって形成された共振器の共振周波数と、送電コイル11およびコンデンサ12によって形成された共振器の共振周波数とはいずれも同一または実質的に同一となっている。また、受電装置5のQ値および送電装置4のQ値は、いずれも、100以上である。
このように形成された非接触電力伝送システム1においては、電源10から周波数調整器に24に供給される。周波数調整器24は、供給された電流の周波数を数十KHzに変換して、送電コイル11に供給する。そして、送電装置4に供給された電力は送電コイル11から非接触で受電装置5に送電される。
図2は、送電装置4を模式的に示す断面図である。この図2に示すように、送電装置4は、ケース20と、ケース20内に収容されたコイルユニット21と、複数の低電圧素子22と、複数の高電圧素子24とを含む。
ケース20は、金属板25と、この金属板25を覆うように形成された蓋26とを含む。図3に示すように、金属板25は、平板状に形成された平板部30と、平板部30の上面に形成された壁31と、平板部30の上面に形成されると共に壁31の内側に間隔をあけて配置された壁32とを含む。なお、図3に示す例においては、壁31,32は、環状に形成されている。蓋26は、たとえば、樹脂によって形成されており、電力伝送時に送電コイル11の周囲に形成される電磁界を透過する。
その一方で、金属板25は、電力伝送時に送電コイル11の周囲に形成される電磁界の透過を抑制する。これにより、送電装置4の周囲に電磁界が漏洩することを抑制する。
図2において、イルユニット21は、金属板35と、金属板35上に配置されたフェライト36と、フェライト36上に配置された送電コイル11と、金属板35の背面側に配置されたコンデンサ12とを含む。
金属板35は、平坦面状に形成された平坦部40と、この平坦部40に形成されて上方に突出するように形成された突出部41とを含む。突出部41は、平坦部40の中央部に設けられている。突出部41は、平坦部40から上方に向けて延びる周壁部42と、周壁部42上に配置された天板部43とを含む。
図2および図3に示すように、金属板25上に金属板35を配置すると、金属板35は、壁31および壁32によって支持され、金属板35と金属板25との間に低電圧素子22や高電圧素子24を収容する空間が形成される。
低電圧素子22は、たとえば、センサなどの素子である。複数の高電圧素子24によって周波数調整器23が形成されている。周波数調整器23は、電源10から供給される交流電力の周波数を調整すると共に送電コイル11に供給する電圧を調整する。
フェライト36は、複数の分割フェライト44,45を含み、分割フェライト44は、天板部43上に配置されており、分割フェライト45は、平坦部40上に配置されている。
なお、金属板35は、環状に形成された壁31および壁32によって支持されているため、仮に、車両によって送電装置4が踏まれたとしても、金属板35が大きく変形することが抑制されている。そして、この金属板35で分割フェライト44,45を支持しているため、車両によって送電装置4が踏まれた際に、分割フェライト44,45が割れることが抑制されている。
図4は、フェライト36を示す平面図である。この図4および図2に示すように、分割フェライト44は互いに間隔をあけて配置されており、分割フェライト44間には、空隙46が形成されている。同様に、分割フェライト45は互いに間隔をあけて配置されており、分割フェライト45間には空隙47が形成されている。このように、フェライト36を複数の分割フェライトで形成することで、必要となるフェライト量の低減を図ることができる。
なお、この図4に示す例においては、全ての分割フェライト44同士の間に空隙46が形成されており、また、全ての分割フェライト45同士の間に空隙47が形成されており、空隙46,47は、格子状に延びるように形成されている。
図2に示すように、金属板35の天板部43には、空隙46に対応する位置に凹部50が形成されており、金属板35の平坦部40には、空隙47に対応する位置に凹部51が形成されている。なお、空隙46および空隙47は、格子状に形成されているため、図5に示すように、凹部50および凹部51も格子状に形成されている。
なお、図2および図5に示すように、凹部50が格子状に形成されることで、天板部43には、複数の台52が形成され、この台52に分割フェライト44が載せられる。同様に、凹部51が格子状に形成されることで、平坦部40には複数の台53が形成され、この台53上に分割フェライト45が載せられる。
上記のように構成された非接触電力伝送システム1において、電力伝送をする際には、図2において、送電コイル11に交流電力が供給され、送電コイル11の周囲に多くの磁束MFが形成される。
この磁束MFは、たとえば、受電コイル8側から複数の分割フェライト44内に入り込む。そして、複数の分割フェライト44のうち、最も天板部43の外周側に位置する分割フェライト44から分割フェライト45内に入り込む。そして、複数の分割フェライト45のうち、送電コイル11よりも外周側に位置する分割フェライト45から上方に向かう。送電コイル11には交流電力が流れるため、磁束MFは、上記の磁気経路と反対方向の経路もたどる。
なお、天板部43の外周縁部に配置された分割フェライト44は、天板部43の外周縁部から突出するように配置されている。そして、複数の分割フェライト45の周壁部42に最も近接する分割フェライト45と、天板部43の外周縁部から突出する分割フェライト44とが、上下方向に重なるように配置されている。これにより、分割フェライト44から分割フェライト45に磁束が良好に流れる。
このように磁束が流れる状況において、低電圧素子22および周波数調整器23が金属板35の下面側に配置されているため、送電コイル11の周囲に形成される磁束が低電圧素子22および高電圧素子24に達することが抑制されている。
図6に示すように、電力伝送時には、多くの磁束MFが分割フェライト44間を通る。そして、分割フェライト44の端面同士が対向する位置が最も磁気強度が高くなり、当該位置から離れるにつれて磁気強度が低くなる。ここで、天板部43には、空隙46に対応する位置に凹部50が形成されているため、分割フェライト44間を通る磁束MFが天板部43に達することが抑制される。これにより、天板部43内を磁束MFが通ることが抑制され、天板部43に磁束MFによる渦電流が発生することが抑制される。その結果、電力伝送時に天板部43が高温となることが抑制される。
図7に示すように、電力伝送時には、多くの磁束MFが分割フェライト45間を通る。そして、分割フェライト45の端面同士が対向する位置が最も磁気強度が高くなり、当該位置から離れるにつれて磁気強度が低くなる。ここで、平坦部40には、空隙47に対応する位置に凹部51が形成されているため、分割フェライト45間を通る磁束MFが平坦部40に達することが抑制される。これにより、平坦部40内を磁束MFが通ることが抑制され、平坦部40に磁束MFによる渦電流が発生することが抑制される。その結果、電力伝送時に平坦部40が高温となることが抑制される。
図8は、分割フェライト44の端面およびその近傍を示す断面図である。この図8に示すように、分割フェライト44は、凹部50の縁部から突出するように配置されている。このため、分割フェライト44の下面のうち凹部50から突出する部分は、天板部43から露出する露出面61となっている。
電力伝送時には、一方の分割フェライト44の端面60から他方の分割フェライト44の端面60に向けて多くの磁束MFAが出射される。また、一方の分割フェライト44の露出面61からも、他方の分割フェライト44の露出面61に向けて多くの磁束MFB,MFCが出射される。ここで、磁束MFBは、磁束MFCよりも分割フェライト44の下端辺P1に近い位置から出射している。
磁束MFBは、一方の分割フェライト44の下端辺P1から距離LB離れた位置から出射している。この磁束MFBの多くは、下端辺P1を中心として距離LBを半径とする円弧状の経路をたどり、下端辺P1の下方から水平方向に延びる経路をたどる。そして、磁束MFBの多くは、他方の分割フェライト44の下端辺P2の下方に達すると、下端辺P2を中心として距離LBを半径とする円弧状の経路を通る。
磁束MFCの多くは、一方の分割フェライト44の下端辺P1から距離LC離れた位置から出射している。この磁束MFCは、まず、下端辺P1を中心として距離LCを半径とする円弧状の経路をたどり、下端辺P1の下方から水平方向に延びる経路をたどる。そして、磁束MFCは、他方の分割フェライト44の下端辺P2の下方に達すると、下端辺P2を中心として距離LCを半径とする円弧状の経路を通る。
このように、分割フェライト44が凹部50の縁部から突出するように配置されているため、互いに隣り合う分割フェライト44の露出面61間においても磁気結合がなされ、各分割フェライト44間の磁気結合を高めることができる。これにより、分割フェライト44間で磁気飽和することが抑制され、電力伝送効率の向上を図ることができる。
ここで、分割フェライト44が凹部50から突出する突出長を突出長r1とし、凹部50の深さを深さD1とすると、深さD1の方が突出長r1よりも大きい。ここで、距離LCが突出長r1であるとすると、磁束MFCの多くは、分割フェライト44の下方において、下端辺P1を中心として突出長r1を半径とする円弧状の経路を通ることになる。その一方で、深さD1は、突出長r1よりも大きいため、当該磁束MFCが凹部50の内表面に達することが抑制されている。
このため、一方の分割フェライト44から他方の分割フェライト44に向かう磁束MFが凹部50の内表面に達することがさらに抑制されており、天板部43が高温化することがさらに抑制されている。
ここで、凹部50は、底部55と、底部55の一辺部から上方に延びる側壁部57と、底部55の他辺部から上方に延びる側壁部58とによって形成されている。この図8に示す例においては、側壁部57および側壁部58は分割フェライト44の下面から垂下するように形成されているため、露出面61から出射された磁束MFCなどの磁束が側壁部57,58内に入り込むことが抑制されている。
なお、凹部50の側壁部57,58は、図8の二点鎖線で示すように湾曲させてもよい。この場合、各側壁部57,58の曲率半径は、突出長r1よりも大きい。これにより、各側壁部57,58に磁束MFが入り込むことが抑制される。
なお、分割フェライト45においても図7に示すように、分割フェライト45は凹部51の縁部から突出するように配置されているため、隣り合う分割フェライト45同士間の磁気結合の向上が図られている。
また、分割フェライト45が凹部51の縁部から突出する突出長を突出長r2とし、凹部51の深さを深さD2とすると、深さD2の方が突出長r2よりも大きい。このため、分割フェライト45間をとおる磁束MFが凹部51の内表面に達することが抑制されている。これにより、平坦部40が高温化することが抑制されている。なお、凹部51を形成する側壁部においても、湾曲状に形成してもよい。この場合、側壁部の曲率半径は、突出長r2よりも大きい。
上記図2などに示す例においては、各分割フェライト44,45は、凹部の縁部から突出するように配置されているが、各分割フェライトを凹部から突出させることは必須の構成ではない。
図9において、天板部43には、空隙46に対応する位置に凹部50が形成されており、分割フェライト44は、凹部50から突出しないように配置されている。分割フェライト44は、端面60が凹部50の縁部に位置するように配置されている。
ここで、電力伝送時において、一方の分割フェライト44の端面60から他方の分割フェライト44の端面60に向けて磁束MFが出射される際に、一部の磁束MF1の経路が外側に膨らむ場合がある。このような場合においても、凹部50が形成されているため、当該磁束MF1が凹部50の内表面に入り込むことを抑制することができる。
同様に、図10においても、平坦部40には、空隙47に対応する位置に凹部51が形成されている。そして、分割フェライト45は、端面が凹部51の縁部に位置するように配置されている。電力伝送時に、一方の分割フェライト45の端面から他方の分割フェライト45の端面に向けて磁束MFが出射された際に、一部の磁束MF2の経路が外方に膨らむ場合がある。このような場合においても、当該磁束MF2が凹部51の内表面に入り込むことが抑制される。このため、図9および図10に示す例においても、送電装置の高温化を抑制することができる。
また、図2などに示す例においては、金属板35には、空隙46および空隙47に対応する位置の全てに凹部50および凹部51が形成されているが、空隙46および空隙47に対応する位置の全てに凹部を形成する必要はない。
図11から図13を用いて、変形例に係る送電装置について説明する。図11に示すように、フェライト36は、天板部43の上面上に配置された複数の分割フェライト44と、平坦部40の上面上に配置された複数の分割フェライト45とを含む。
図11および図12において、天板部43上に配置された分割フェライト44は、天板部43の中央に配置された中央フェライト44Bと、この中央フェライト44Bの外周側に配置された複数の第2分割フェライト44Aとを含む。この図12に示す例においては、中央フェライト44Bは、4つ設けられており、第2分割フェライト44Aは、中央フェライト44Bの周囲を取り囲むように環状に配置されている。第2分割フェライト44Aは、天板部43の外周縁部に配置されている。
平坦部40上に配置された分割フェライト45は、周壁部42の周囲を取り囲むようにに環状に配置された複数の第1分割フェライト45Aと、環状に配置された複数の第1分割フェライト45Aの外側に配置された複数の外周フェライト45Bとを含む。複数の第1分割フェライト45Aは、周壁部42と隣り合う位置に配置されている。
図11に示すように、電力伝送時において、中央フェライト44Bをとおる磁束量よりも第2分割フェライト44Aを通る磁束量の方が多い。これは、送電コイル11に近い位置程、多くの磁束MFが形成されるためである。
また、第2分割フェライト44Aの枚数よりも、第1分割フェライト45Aの枚数の方が多く、さらに、第2分割フェライト44Aの枚数よりも外周フェライト45Bの枚数の方が多い。このため、第2分割フェライト44Aを流れる磁束量の方が、第1分割フェライト45Aを流れる磁束量よりも多く、また、外周フェライト45Bを流れる磁束量よりも多い。
このように、第2分割フェライト44Aを通る磁束量が多いため、第2分割フェライト44A間を流れる磁束量も多くなっている。そこで、図13に例においては、金属板35には、第2分割フェライト44Aの周囲に位置する空隙に対応する位置に凹部50を形成している。このように、金属板35のうち、各分割フェライト間に位置する空隙に対応する全ての位置に凹部を形成することは本発明の必須構成ではない。
(実施の形態2)
図14から図18を用いて、実施の形態2に係る送電装置4について説明する。なお、図1から図13に示す構成と同一または実質的に同一な構成については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図14に示すように、フェライト36は、平坦部40上に配置されると共に突出部41と隣り合う位置に配置された複数の第1分割フェライト45Aと、天板部43の外周縁部に配置されて一部が天板部43から突出するように配置された複数の第2分割フェライト44Aとを含む。
図15において、第2分割フェライト44Aが天板部43の外周縁部から突出するように配置されているため、第2分割フェライト44Aの下面が天板部43から露出し、露出面70が形成されている。
金属板35のうち、第2分割フェライト44Aと第1分割フェライト45Aとの間の空隙に対応する位置には、凹部65が形成されている。凹部65は、湾曲面状に形成されており、凹部65は突出部41の内方に向けて突出するように湾曲している。
ここで、電力伝送時においては、第2分割フェライト44Aから第1分割フェライト45Aに磁束MFが流れる。この際、金属板35のうち、第2分割フェライト44Aと第1分割フェライト45Aとの間に位置する部分に凹部65が形成されているので、磁束MFが金属板35内に入り込むことが抑制されている。特に、凹部65は、磁束MFの流れに沿って湾曲面状に形成されているため、周壁部42に磁束が入り込むことが良好に抑制されている。
ここで、天板部43の外周縁部に対して垂直な断面において、第2分割フェライト44Aが天板部43の外周縁部から突出する長さを突出長L1とし、第1分割フェライト45Aおよび第2分割フェライト44Aの間の距離を距離L2とする。そして、天板部43の外周縁部に対して垂直な断面において、第2分割フェライト44Aが天板部43の外周縁部から突出する方向を突出方向DIとする。
第2分割フェライト44Aが天板部43の外周縁部から突出すると共に、第1分割フェライト45Aが周壁部42の近傍に配置されているため、第1分割フェライト45Aの一部と第2分割フェライト44Aの一部とは、上下方向に対向する。
そして、突出方向DIにおいて、第1分割フェライト45Aと第2分割フェライト44Aとが上下方向に対向する長さを対向長さL3とすと、対向長さL3は、距離L2よりも長い。このため、第1分割フェライト45Aと第2分割フェライト44Aとが対向する面積が広く、第1分割フェライト45Aと第2分割フェライト44Aとの間の磁気結合が高くなっている。これに伴い、多くの磁束MFが第2分割フェライト44Aと第1分割フェライト45Aとの間で流れたとしても、磁束MFが広い範囲まで広がることを抑制することができ、磁束MFが周壁部42に達することを抑制することができる。
図16に示すように、凹部65は、周壁部42に環状に形成されており、周壁部42に磁束MFが入り込むことが良好に抑制されている。
なお、図16などに示す凹部65は、周壁部42の略全面に形成されているが、周壁部42の一部に凹部65を形成するようにしてもよい。具体的な変形例について、図17および図18を用いて説明する。図17に示す例においては、平坦部40上に配置された分割フェライト45のうち、周壁部42と隣り合うように配置された第1分割フェライト45Aの高さH1は、第1分割フェライト45Aの外周側に配置された外周フェライト45Bよりも高さが高くなるように配置されている。
第1分割フェライト45Aは、平坦部40上に配置された下面72と、第2分割フェライト44Aの露出面70と対向する上面71と、側面73,74とを含み、側面74が周壁部42と対向するように配置されている。
なお、第1分割フェライト45Aと第2分割フェライト44Aとの間の距離L4は、第2分割フェライト44Aの突出長L1よりも小さく、第1分割フェライト45Aの上面71は第2分割フェライト44Aの露出面70に近接している。
そして、周壁部42と天板部43との間に位置する部分に凹部66が形成されている。この凹部66は、金属板35のうち第2分割フェライト44Aと第1分割フェライト45Aとの間の空隙に対応する位置に設けられている。なお、図18に示すように、凹部66は環状に形成されている。第1分割フェライト45Aは、凹部66の縁部よりも上方に突出しており、側面74の一部が凹部66に位置している。
ここで、電力伝送時において、第2分割フェライト44Aから第1分割フェライト45Aに向けて磁束MFが流れる。この際、金属板35のうち、第2分割フェライト44Aと第1分割フェライト45Aとの間に位置する部分には、凹部66が形成されているため、磁束MFが周壁部42に入り込むことを抑制することができる。
第1分割フェライト45Aの上面71は、露出面70に近接しているため、第2分割フェライト44Aから第1分割フェライト45Aに良好に磁束が流れる。また、第2分割フェライト44Aの露出面70から第1分割フェライト45Aの側面74のうち、凹部66に位置している部分に磁束が流れる。このため、第2分割フェライト44Aから第1分割フェライト45Aに良好に磁束MFが流れ、磁気抵抗の低減が図られている。このように、周壁部42に形成する凹部としては、周壁部42の全面に形成する必要はなく、周壁部42の一部に形成するようにしてもよい。
(実施の形態3)
図19を用いて、実施の形態3に係る送電装置について説明する。図19に示す構成のうち、図1から図18に示す構成と同一または実質的に同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
上記実施の形態1,2においては、フェライト36を支持する金属板35に凹部50,51,65などを形成した例について説明したが、本実施の形態3においては、シールドとして機能する金属板25に凹部を形成した例について説明する。
図19において、送電装置4は、ケース20と、ケース20内に収容されたコイルユニット21とを備える。ケース20は、金属板25と、金属板25を覆うように設けられた蓋26とを含む。
金属板25は、平坦部80と、平坦部80から上方に突出するように形成された突出部81とを含む。突出部81は、上方に向けて延びる周壁部82と、周壁部82の上端に設けられた天板部83とを含む。突出部81および平坦部80によって囲まれた空間にコンデンサ12が収容されている。
電力伝送時には、送電コイル11の周囲に電磁界が形成される。金属板25は、送電コイル11の周囲に形成される電磁界が外部に漏洩することを抑制する。また、コンデンサ12が平坦部80および突出部81によって囲まれた空間内に収容されているため、送電コイル11の周囲に形成される電磁界がコンデンサ12に達することが抑制されている。
コイルユニット21は、金属板25上に配置されたフェライト36と、このフェライト36上に配置された送電コイル11と、コンデンサ12とを含む。
フェライト36は、互いに間隔をあけて配置された複数の分割フェライト44,45を含み、複数の分割フェライト44は、天板部83上に互いに間隔をあけて配置され、複数の分割フェライト45は平坦部80に互いに間隔をあけて配置されている。
複数の分割フェライト44は、互いに間隔をあけて配置されており、各分割フェライト44間には、空隙84が形成されている。分割フェライト44は、周壁部82の外周縁部に環状に配置された第2分割フェライト44Aと、環状に配置された第2分割フェライト44Aの内側に配置された複数の中央フェライト44Bとを含む。
複数の分割フェライト45は、互いに間隔をあけて配置されており、分割フェライト45間には、空隙85が形成されている。複数の分割フェライト45は、周壁部82の周囲を取り囲むように配置された第1分割フェライト45Aと、環状に配置された複数の第1分割フェライト45Aの外側に配置された複数の外周フェライト45Bとを含む。
金属板25の天板部83には、分割フェライト44間の空隙84に対応する位置に凹部86が形成されている。金属板25の平坦部80には、分割フェライト45間の空隙85に対応する位置に凹部87が形成されている。
第1分割フェライト45Aと第2分割フェライト44Aとは、互いに上下方向に空隙をあけて配置されており、金属板25の周壁部82のうち当該空隙に対応する位置に凹部88が形成されている。
上記のように構成された送電装置4において、電力伝送時には磁束MFは、たとえば、中央フェライト44B、空隙84、第2分割フェライト44A、第1分割フェライト45A、空隙85、外周フェライト45Bを順次通る。
磁束MFが空隙84を通る際、天板部83には凹部86が形成されているため、磁束MFが天板部83内に入り込むことが抑制されている。また、磁束MFが第2分割フェライト44Aから第1分割フェライト45Aに流れる際に、周壁部82に凹部88が形成されているため、磁束MFが周壁部82に入り込むことが抑制されている。
そして、磁束MFが空隙85を通る際に平坦部80に凹部87が形成されているため、磁束MFが平坦部80に入り込むことが抑制されている。
このように、電力伝送時に送電コイル11の周囲に形成される磁束MFが金属板25に入り込むことが抑制されているため、電力伝送時に送電装置4の温度が上昇することを抑制することができる。このように、シールドとして機能する金属板25にフェライト36が配置されている場合には、金属板25に凹部86,87,88を形成するようにしてもよい。
(実施の形態4)
上記の実施の形態1〜3においては、本発明を送電装置に適用した例について説明したが、本実施の形態4においては、図20から図25を用いて受電装置に適用した例について説明する。
図20に示すように、受電装置5は、ケース100と、ケース100内に収容されたコイルユニット101とを備える。ケース100は、金属板102と、この金属板102を下方から覆うように配置された蓋103とを含む。蓋103は、たとえば、樹脂などから形成されている。
金属板102は、平坦部104と、平坦部104から下方に向けて突出するように形成された突出部105とを含む。突出部105は、平坦部104から下方に向けて延びる周壁部106と、周壁部106の下端部に設けられた底板部107とを含む。金属板102は、電力伝送時に受電コイル8の周囲に形成される電磁界が周囲に漏洩することを抑制する。
コイルユニット101は、金属板102の下面に配置されたフェライト110と、コンデンサ9と、受電コイル8とを含む。
フェライト110は、複数の分割フェライト111,112を含む。複数の分割フェライト111は、平坦部104の下面に互いに間隔をあけて配置されており、各分割フェライト111間には、空隙115が形成されている。そして、金属板102のうち、空隙115に対応する位置に凹部120が形成されている。
分割フェライト111は、周壁部106と隣り合う位置に配置された複数の第3分割フェライト111Aと、外周フェライト111Bの外周側に配置された外周フェライト111Bとを含む。
複数の第3分割フェライト111Aは、周壁部106の周囲を取り囲むように互いに間隔をあけて環状に配置されている。複数の外周フェライト111Bは、環状に配列する複数の第3分割フェライト111Aの外周側に間隔をあけて配置されており、外周フェライト111B同士も互いに間隔をあけて配置されている。
分割フェライト112は、底板部107の下面に互いに間隔をあけて配置されており、分割フェライト112間には空隙116が形成されている。そして、底板部107のうち空隙116に対応する位置に凹部121が形成されている。
分割フェライト112は、底板部107の外周縁部に環状に配置された複数の第4分割フェライト112Aと、環状に配置された第4分割フェライト112Aの内側に配置された複数の中央フェライト112Bとを含む。
第4分割フェライト112Aは、底板部107の外周縁部から突出するように配置されており、第4分割フェライト112Aの一部と第3分割フェライト111Aの一部とが互いに上下方向に対向するように配置されている。
周壁部106のうち、第3分割フェライト111Aと第4分割フェライト112Aとの間の空隙に対応する位置には凹部122が形成されている。
図21は、金属板102を示す斜視図である。この図21に示すように、平坦部104に形成された凹部120は格子状に形成されており、底板部107に形成された凹部121も格子状に形成されている。
凹部120が格子状に形成されることで、平坦部104には、分割フェライト111が載せられる台125が形成されている。凹部121が格子状に形成されることで、底板部107には分割フェライト112が載せられる台126が形成されている。
なお、図21に示す例においては、分割フェライト111間の空隙115に対応する位置および分割フェライト112間に位置する空隙116に対応する位置の全てに凹部が形成されているが、各空隙115,116の一部に対応するように凹部を形成するようにしてもよい。
図20において、分割フェライト111,112が金属板102に支持されているため、たとえば、受電装置5が地面や地面に置かれた落下物と接触したときにおいても、分割フェライト111,112が割れることが抑制される。たとえば、分割フェライト111,112を柔らかい樹脂板などで支持すると、外力が分割フェライト111,112に加えられた際に、樹脂板が撓み、これに伴い、分割フェライト111,112が割れる。その一方で、図20に示すように、分割フェライト111,112を金属板102で支持することで、分割フェライト111,112の割れを抑制することができる。
そして、受電装置5が送電装置4から非接触で電力を受電する際には、受電コイル8の周囲を磁束MFが流れる。磁束MFは、たとえば、中央フェライト112B、空隙116、第4分割フェライト112A、第3分割フェライト111A、空隙115、外周フェライト111Bを順次通る。
ここで、底板部107には凹部121が形成されているため、磁束MFが空隙116を通る際に、底板部107内に入り込むことを抑制することができる。また、平坦部104に凹部120が形成されているため、磁束MFが空隙115を通る際に、磁束MFが平坦部104に入り込むことを抑制することができる。
さらに、周壁部106には凹部122が形成されているため、第4分割フェライト112Aから第3分割フェライト111Aに磁束MFが通る際に、磁束MFが凹部122に入り込むことを抑制することができる。
図22は、分割フェライト112Aおよび分割フェライト112Bの周囲の構成を示す断面図である。この図22に示すように、凹部121は、上壁部127と、上壁部127の一方の辺部に接続された側壁部128と、上壁部127の他方の辺部に接続された側壁部129とを含む。
中央フェライト112Bおよび第4分割フェライト112Aは、それぞれ、凹部121の縁部から突出するように配置されている。
このため、中央フェライト112Bの上面には、底板部107から露出する露出面132Aが形成され、第4分割フェライト112Aの上面には底板部107から露出する露出面132Bが形成されている。
この図22に示す例においては、電力伝送時に、中央フェライト112Bと第4分割フェライト112Aとの間を磁束MFD,MFE,MFFが流れる。磁束MFDは、中央フェライト112Bの端面131Aから出射され、第4分割フェライト112Aの端面131Bに入射する。磁束MFE,MFFは、露出面132Aから出射し、露出面132Bに入射する。
このように、中央フェライト112Bおよび第4分割フェライト112Aが凹部121の縁部から突出するように配置されているので、露出面132A,132Bを通る磁束が生じ、中央フェライト112Bおよび第4分割フェライト112A間の磁気結合を向上させることができる。
磁束MFEの多くは、露出面132Aから出射した後、中央フェライト112Bの上端辺P3を中心として距離LEを半径するする円弧状の経路を通り、その後、水平方向に延びる経路を通る。そして、端面131Bの上端辺P4の上方に達すると、上端辺P4を中心として距離LEを半径とする円弧状の経路を通る。
そして、磁束MFFの多くは、露出面132Aのうち凹部121の縁部に最も近い位置から出射している。この磁束MFFは、上端辺P3を中心として突出長r3を半径とする円弧状の経路を通り、上端辺P3の上方に達すると、水平方向に進む。そして、上端辺P4の上方に達すると、上端辺P4を中心として突出長r3を半径とする円弧状の経路を通り、露出面132Bに入射する。
ここで、中央フェライト112Bおよび第4分割フェライト112Aが、凹部50の縁部から突出する突出長を突出長r3とし、凹部121の深さを深さD3とすると、深さD3は、突出長r3よりも大きい。その結果、露出面132Aから露出面132Bに向かう磁束MFの多くの磁束は、凹部121に達することが抑制されている。
特に、図22に示す例においては、側壁部128,129は、鉛直方向に延びるように形成されているため、円弧状の経路を辿る磁束MFE,MFFが側壁部128,129に入り込むことが抑制されている。なお、側壁部128,129は、図22の二点鎖線に示すように円弧状に形成してもよい。この場合、側壁部128,129の曲率半径は、突出長r3よりも大きい。
図23は、第3分割フェライト111Aおよび外周フェライト111Bおよびその周囲の構成を示す断面図である。この図25に示すように、凹部120は、上壁部135と、上壁部135の一方の辺部に接続された側壁部133と、他方の辺部に接続された側壁部134とによって形成されている。第3分割フェライト111Aおよび外周フェライト111Bは凹部120の縁部から突出するように配置されている。このため、第3分割フェライト111Aの上面には、平坦部104から露出する露出面132Aが形成されており、外周フェライト111Bの上面には平坦部104から露出する露出面132Bが形成されている。
このため、電力伝送時に露出面132Aと露出面132Bとの間を磁束MFが通ることができ、第3分割フェライト111Aと外周フェライト111Bとの磁気的結合を向上させることができる。
ここで、第3分割フェライト111Aおよび外周フェライト111Bの突出長を突出長r4とし、凹部120の深さを深さD4とすると、深さD4の方が大きい。このため、第3分割フェライト111Aと外周フェライト111Bの間を流れる磁束MFが凹部120の内表面に入り込むことが抑制されている。
側壁部133および側壁部134を垂直壁としてもよく、また、側壁部133および側壁部134を湾曲面状に形成してもよい。湾曲面状に形成する場合、側壁部133および側壁部134の曲率半径は、突出長r4よりも大きい。このように側壁部133,134を形成することで、露出面132Aおよび露出面132Bを通る磁束MFが側壁部133,134に入り込むことを抑制することができる。
図24は、第4分割フェライト112Aおよびその周囲の構成を示す断面図であり、底板部107の外周縁部に対して垂直な断面を示す断面図である。この図24に示すように、第4分割フェライト112Aは底板部107から突出するように配置されており、第4分割フェライト112Aの突出長さを突出長L5とし、第3分割フェライト111Aおよび第4分割フェライト112Aの上下方向の距離を距離L6とする。また、底板部107の外周縁部に対して垂直な断面において、第4分割フェライト112Aが底板部107の外周縁部から突出する方向を突出方向DIIとする。
第4分割フェライト112Aが底板部107の外周縁部から突出するように配置され、
第3分割フェライト111Aが周壁部106の近傍に配置されているため、第3分割フェライト111Aと第4分割フェライト112Aとが上下方向に対向する。
ここで、突出方向DIIにおいて、第3分割フェライト111Aと第4分割フェライト112Aとが対向する長さを対向長さL7とすると、対向長さL7は、距離L6よりも大きい。これにより、第3分割フェライト111Aと第4分割フェライト112Aとが対向する面積が大きくなり、第3分割フェライト111Aと第4分割フェライト112Aとの間を磁束MFが良好に流れる。
凹部122は、湾曲面状に形成されているため、第4分割フェライト112Aと第3分割フェライト111Aとの間を通る磁束MFが凹部122の内表面に入り込むことを抑制することができる。
なお、上記図1から図24に示す例においては、受電装置5と整流器6とを別体にした例について説明したが、受電装置5内に整流器6を収容するようにしてもよい。
図25に示すように、受電装置5は、ケース100と、ケース100内に収容されたコイルユニット101と、ケース100内に収容された複数の低電圧素子160および高電圧素子170とを備える。
コイルユニット101は、金属板140と、金属板140の下面に配置されたフェライト110と、フェライト110に配置された受電コイル8と、コンデンサ9とを含む。
金属板140は、平坦部141と、平坦部141から下方に向けて突出する突出部142とを含む。突出部142は、平坦部141から下方に向けて延びる周壁部143と、周壁部143の下端部に設けられた底壁部144とを含む。
フェライト110は、平坦部141に配置された複数の分割フェライト150と、底壁部144に配置された分割フェライト151とを含む。分割フェライト150同士は、互いに間隔をあけて配置されており、分割フェライト150間には隙間181が形成されている。なお、平坦部141のうち、隙間181に対応する位置には凹部183が形成されている。分割フェライト151同士も互いに間隔をあけて配置されており、分割フェライト151間にも隙間180が形成されている。
分割フェライト150は、周壁部143の周囲に環状配置された複数の第3分割フェライト150Aと、この第3分割フェライト150Aの外周側に配置された複数の外周フェライト150Bとを含む。分割フェライト151は、底壁部144の外周縁部に環状に配置された複数の第2分割フェライト151Aと、第2分割フェライト151Aの内側に配置された複数の中央フェライト151Bとを含む。
複数の高電圧素子170は、平坦部141の上面に配置されており、この複数の高電圧素子170によって整流器6が形成されている。複数の低電圧素子160とコンデンサ9とは、底壁部144の上面側に配置されている。
このように構成された受電装置5において、電力伝送時に磁束MFが流れると、隙間180,180を磁束MFが流れる。この際、底壁部144のうち隙間180の上方に位置する部分には凹部182が形成され、平坦部141のうち隙間181の上方に位置する部分には凹部183が形成されている。磁束MFが平坦部141に入り込むことを抑制することができる。なお、金属板140の周壁部143に凹部を形成するようにしてもよい。
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。