JP6333830B2 - 多能性幹細胞の心筋分化を促進する化合物 - Google Patents

多能性幹細胞の心筋分化を促進する化合物 Download PDF

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Description

本発明は、多能性幹細胞の心筋分化を促進する化合物およびその用途に関する。
心臓疾患は世界の死因1位であり、重症心不全患者においては心移植が現在唯一の治療法であるが、心移植はドナー不足という問題を抱えている。心移植に代わる治療法として、多能性幹細胞(iPS/ES細胞等)由来の心筋細胞移植が有望視されており、早急な実現化が望まれている。
iPS細胞由来の分化心筋細胞を再生医療に応用するためには、効率性と安全性向上が必須である。効率性については、分化誘導できる心筋細胞の数が少ないことや、培養液中の増殖因子などのタンパク質が非常に高価でコスト効率が悪いという問題がある。安全性については、心筋細胞の純度が低く、心筋以外の増殖性細胞が混入するため癌化リスクがあることが問題となる。
これらの問題を解決するため、本発明者らは、多能性幹細胞の心筋分化促進活性を有する化合物を開発した(特許文献1、非特許文献1)。中でも、新規化合物KY02111は、既知の心筋分化促進化合物やタンパク質と比べて非常に強い効果を有する。
KY02111は、多能性幹細胞の心筋分化促進剤として非常に有用であるが、十分な心筋分化促進効果を得るためには比較的高濃度で培養液に添加しなければならない。更なるコスト削減と安全性向上の面から、より低濃度で心筋分化促進効果を示す化合物が望ましい。
国際出願公開第2012/026491号公報 国際出願公開第2013/111875号公報
Minami, I, et al., Cell Reports, Volume 2, Issue 5, 1448-1460, 2012 Graichen, R., et al., Differentiation 76, 357-370, 2008 Hao, J., et al., PLoS One 3, e2904, 2008 Wang, H., Hao, J., and Hong, C.C., ACS Chem. Biol. 6, 192-197, 2011 Ren, Y., et al., J. Mol. Cell. Cardiol. 51, 280-287, 2011 Willems, E., et al., Circ. Res. 109, 360-364, 2011 Lian, X., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 109, E1848-E1857, 2012
上記文献はいずれも、参照により本明細書の一部をなす。
本発明は、KY02111よりも高効率かつ低コストに多能性幹細胞の心筋分化を可能とする化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、KY02111のCl基を他のハロゲン基等に置換した化合物や、炭素鎖の炭素数(n)を変えた化合物を合成し、それらの化合物の心筋分化促進効果を比較することにより、KY02111よりも極めて低濃度で心筋分化促進効果を示す化合物を見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下を提供する。
1.式(II)
Figure 0006333830
[式中、mは1〜4であり、
16およびR17は、それぞれ独立してメトキシ基、エトキシ基、およびプロポキシ基から選択される]
を有する化合物またはその塩。
2.R16がメトキシ基である、前記1記載の化合物またはその塩。
3.R17がメトキシ基またはプロポキシ基である、前記2記載の化合物またはその塩。
4.mが1〜3である、前記1〜3のいずれかに記載の化合物またはその塩。
5.以下のいずれかの式を有する化合物またはその塩。
Figure 0006333830
Figure 0006333830
Figure 0006333830
Figure 0006333830
6.前記1〜5のいずれかに記載の化合物またはその塩を含む、多能性幹細胞の心筋分化促進剤。
7.
Figure 0006333830
または
Figure 0006333830
を含む、前記6に記載の多能性幹細胞の心筋分化促進剤。
8.前記化合物の最終濃度が0.4〜2μMとなるよう多能性幹細胞の心筋分化培地に添加される、前記6または7に記載の多能性幹細胞の心筋分化促進剤。
9.前記1〜5のいずれかに記載の化合物またはその塩を含む、多能性幹細胞の心筋分化促進用キット。
10.前記1〜5のいずれかに記載の化合物またはその塩を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、多能性幹細胞を心筋細胞に分化誘導する方法。
11.
Figure 0006333830
または
Figure 0006333830
を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、前記10に記載の方法。
12.前記培地が前記化合物を0.4〜2μMで含む、前記10または11に記載の方法。
13.前記1〜5のいずれかに記載の化合物またはその塩を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、多能性幹細胞から心筋細胞を製造する方法。
14.
Figure 0006333830
または
Figure 0006333830
を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、前記13に記載の方法。
15.前記培地が前記化合物を0.4〜2μMで含む、前記13または14に記載の方法。
本発明により、より高効率かつ低コストに多能性幹細胞から心筋細胞を生産することが可能となる。
サルES細胞における心筋分化効果解析のプロトコール。 基の置換体と心筋分化効果の構造活性相関。 ヨウ素置換体の炭素鎖の炭素数(n)の構造活性相関。 ヨウ素置換体の炭素鎖n=2とn=3の比較。 ヨウ素置換体のR基およびR基の構造活性相関。 ヨウ素置換体SO2031(KY02−I)のヒトES/iPS細胞における心筋分化効果。 ヨウ素置換体SO2031(KY02−I)の培地への溶解性。A:血清含有培地(20μM)。B:血清不含培地(20μM)。C:血清不含培地(3μM)。
国際出願公開第2012/026491号公報(参照により本明細書の一部をなす)に開示される化合物の一般式は、以下のとおりである。

式(I):
Figure 0006333830
[式中、
−Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルコキシ基;非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基−NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキル基である)である、ここでR−Rのうち隣接する2つが一緒になって−O−CH−O−または−O−(CH−O−を形成していてもよい、
−Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基−C(O)Aで置換された炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基−NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキル基である)である、ここでR−Rのうち隣接する2つが一緒になって−O−CH−O−または−O−(CH−O−を形成していてもよい、
10−R11は、各々独立して、水素原子;又は炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキル基である、
Xは、−CR14(R14は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルコキシ基、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキル基である);酸素原子;硫黄原子;セレン原子;又は基−NR15(R15は、水素原子、炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキル基、又は炭素数1〜5の直鎖又は分岐アシル基である)である、および
nは、0から6の整数である]。
KY02111は、以下の式を有する化合物である。
Figure 0006333830
一方、本発明の化合物は、
式(II)
Figure 0006333830
[式中、mは1〜4であり、
16およびR17は、それぞれ独立してメトキシ基、エトキシ基、およびプロポキシ基から選択される]
を有する化合物である。
好ましい態様において、R17は、メトキシ基、エトキシ基、またはプロポキシ基であり、R16は、メトキシ基である。更に好ましい態様において、R17は、メトキシ基またはプロポキシ基であり、R16は、メトキシ基である。
好ましい態様において、mは1〜3であり、より好ましくは2または3である。
好ましい態様において、本発明の化合物は、以下から選択される。
Figure 0006333830
Figure 0006333830
Figure 0006333830
Figure 0006333830
本発明の化合物の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
本発明の化合物は、実施例に記載の方法に準じて、合成することができる。
本発明において「多能性幹細胞」とは、成体を構成する全ての細胞に分化することができる多分化能(pluripotency)と、細胞分裂を経てもその多分化能を維持することができる自己複製能を有する細胞を意味する。「多能性幹細胞」には、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性生殖細胞(EG細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)が含まれる。「多能性幹細胞」の生物種は特に限定はされないが、好ましくは哺乳類であり、より好ましくは齧歯類または霊長類である。本発明は、サルまたはヒトの多能性幹細胞、特にES細胞またはiPS細胞に好適である。
ES細胞は、初期胚に由来する多能性幹細胞であり、胚盤胞の内部細胞塊または着床後の初期胚のエピブラストから樹立することができる。ES細胞としては、ヒト(Thomson J. A. et al., Science 282: 1145-1147 (1998) 、Biochem Biophys Res Commun. 345(3), 926-32 (2006);アカゲザルおよびマーモセット等の霊長類(Thomson J. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 7844-7848 (1995);Thomson J. A. et al., Biol. Reprod. 55: 254-259 (1996));ウサギ(特表2000−508919号);ハムスター(Doetshman T. et al., Dev. Biol. 127: 224-227 (1988))、ブタ(Evans M. J. et al., Theriogenology 33: 125128 (1990); Piedrahita J.A. et al., Theriogenology 34: 879-891 (1990); Notarianni E. et al., J. Reprod. Fert. 40: 51-56 (1990); Talbot N. C. et al., Cell. Dev. Biol. 29A: 546-554 (1993))、ヒツジ(Notarianni E. et al., J. Reprod. Fert. Suppl. 43: 255-260 (1991))、ウシ(Evans M. J. et al., Theriogenology 33: 125-128 (1990); Saito S. et al., Roux. Arch. Dev. Biol. 201: 134-141 (1992))、ミンク(Sukoyan M. A. et al., Mol. Reorod. Dev. 33: 418-431 (1993)) (これら文献は参照により本明細書の一部をなす)などのES細胞が挙げられる。
EG細胞は、始原生殖細胞に由来する多能性幹細胞であり、例えば、ヒトEG細胞(Shamblott, et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 95: 13726-13731 (1998)) (参照により本明細書の一部をなす)が挙げられる。
本発明において「iPS細胞」とは、体細胞や組織幹細胞などの多能性幹細胞以外の細胞から誘導された多能性幹細胞を意味する。iPS細胞の作製方法は、例えば、WO2007/069666、WO2009/006930、WO2009/006997、WO2009/007852、WO2008/118820、Cell Stem Cell 3(5): 568-574 (2008) 、Cell Stem Cell 4(5): 381-384 (2009)、Nature 454: 646-650 (2008) 、Cell 136(3) :411-419 (2009) 、Nature Biotechnology 26: 1269-1275 (2008) 、Cell Stem Cell 3: 475-479 (2008) 、Nature Cell Biology 11: 197-203 (2009) 、Cell 133(2): 250-264 (2008)、Cell 131(5): 861-72 (2007)、Science 318 (5858): 1917-20 (2007) (これら文献は参照により本明細書の一部をなす)に記載される。しかしながら、人工的に誘導された多能性幹細胞であれば、いかなる方法で作製された細胞も本発明の「iPS細胞」に含まれる。
本発明の化合物は、多能性幹細胞の心筋分化培地に、最終濃度が0.1〜20μM、好ましくは0.1〜10μM、より好ましくは0.4〜2μM、更に好ましくは0.4〜1μMとなるよう添加される。心筋分化培地は、一般的に多能性幹細胞の心筋分化に使用される組成であればよく、特に限定はされないが、例えばIMDM培地を基本とした心筋分化培地(実施例で使用している下記の組成のもの)、DMEMを基本とした心筋分化培地(DMEM/F12培地(Sigma)200ml、ウシ胎児血清(GIBCO)50ml、MEM non-essential amino acid solution (Sigma)2.5ml、ペニシリン−ストレプトマイシン(GIBCO)2.5ml、200mM L−グルタミン 2.5ml、2−メルカプトエタノール)、またはStemPro-34SFM(GIBCO)+BMP4(10ng/ml)のような培地が例示される。
本発明の化合物は、一般的に多能性幹細胞の心筋分化に適した培養方法において用いることができる。培養方法としては、例えば、接着培養法、浮遊培養法、懸濁培養法等が挙げられる。
心筋分化培地における培養(心筋分化培養)の開始後、本発明の化合物を含む培地中で多能性幹細胞を培養する時期および期間は、使用する多能性幹細胞の種類や心筋分化培地の組成などにより適宜変更されうる。例えば、霊長類の多能性幹細胞の場合、特にサルまたはヒトES細胞またはiPS細胞を実施例に記載のIMDM培地を基本とした心筋分化培地で培養する場合、心筋分化培養の2〜14日目までのうち2日間以上(具体的には、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12日間)、好ましくは3〜10日間、より好ましくは4〜10日間、さらに好ましくは4〜8日間、さらにより好ましくは4〜6日間、培養すればよい。特に、心筋分化培養の10日目までのうち4〜6日間、例えば心筋分化培養の3〜9日目、3〜8日目、3〜7日目、4〜10日目、4〜9日目、または4〜8日目に、本発明の化合物を含む培地中で多能性幹細胞を培養することが好ましい。
本発明の化合物は、ニトロビン、サイトカイン(bFGF、BMP4、VEGF、DKK1およびアクチビンAの組み合わせ)、Wntシグナル阻害剤などの別の心筋分化促進因子と共に使用してもよい。「Wntシグナル阻害剤」とは、Wntシグナル経路を阻害する物質を意味し、例えば、IWP2、XAV939、およびIWR1などの化合物、並びにIGFBP4、およびDkk1などのタンパク質が含まれる。本発明における「心筋分化促進因子」には、心筋分化促進効果を有するあらゆる物質が含まれる。
本発明の化合物は、(1)多能性幹細胞を1以上のWntシグナル活性化剤を含む培地中で培養する工程、および(2)工程(1)で得られた細胞を本発明の化合物を含む培地中で培養する工程を含む方法において、使用することができる。
「Wntシグナル活性化剤」とは、Wntシグナル経路を活性化する物質を意味する。Wntシグナル活性化剤としては、例えばBIOおよびCHIR99021などのGSK3β阻害剤が例示される。上記方法においては、2以上、例えば2、3、または4種類のWntシグナル活性化剤を併用してもよい。
上記方法によれば、血清を含まない培地(血清不含培地)であっても効率的に多能性幹細胞の心筋分化を誘導することができる。血清不含培地を用いる場合、培地はアルブミンを含むことが好ましく、培養方法としては、接着培養法、浮遊培養法、懸濁培養法等を用いることができるが、接着培養法を用いることが好ましい。アルブミンとしては、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミンが挙げられる。接着培養法においては、ゼラチンまたはラミニン(例えば、ヒトラミニン211)をコートした培養ディッシュを用いることができる。アルブミンを含む血清不含培地を用いた場合、血清、サイトカイン、支持細胞等、アルブミン以外のタンパク質や、使用する多能性幹細胞とは異なる生物種に由来する成分(すなわち、異種成分)の非存在下で多能性幹細胞心筋分化を誘導することができる。
上記方法において、心筋分化培養の開始から工程(1)および(2)の開始までの期間、および工程(1)および(2)の培養期間は適宜変更されうる。工程(2)は、工程(1)の終了直後から開始してもよいし、工程(1)の終了から一定期間後に開始してもよい。Wntシグナル活性化剤および本発明の化合物は、多能性幹細胞の心筋分化の初期段階および中期段階にそれぞれ添加すればよい。ここで、多能性幹細胞の心筋分化の初期段階とは、中胚葉マーカー遺伝子の発現上昇が起こる、多能性幹細胞から中胚葉への分化誘導期を意味し、中期段階とは、中胚葉から心筋への分化誘導期を意味する。中胚葉マーカー遺伝子としては、T、MIXL1、NODAL等が挙げられる。例えば、霊長類の多能性幹細胞の場合、特にサルまたはヒトES細胞またはiPS細胞の場合、心筋分化培養の0〜2日目または0〜3日目に、すなわち心筋分化培養開始から2または3日間、工程(1)を実施し、次いで、心筋分化培養の14日目までのうち2日間以上(具体的には、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12日間)、好ましくは3〜10日間、より好ましくは4〜10日間、さらに好ましくは4〜8日間、さらにより好ましくは4〜6日間、工程(2)を実施すればよい。ここで、工程(2)は、心筋分化培養の10日目までのうち4〜6日間、例えば心筋分化培養の3〜9日目、3〜8日目、3〜7日目、4〜10日目、4〜9日目、または4〜8日目に実施することが好ましい。
Wntシグナル活性化剤の濃度は、特に限定はされない。Wntシグナル活性化剤としてBIOまたはCHIR99021を使用する場合、最終濃度100nM〜100μM、好ましくは1μM〜10μMで使用すればよい。本発明の化合物は、最終濃度が0.1〜20μM、好ましくは0.1〜10μM、より好ましくは0.4〜2μM、更に好ましくは0.4〜1μMとなるよう添加すればよい。
本発明の化合物は、心筋細胞の製造に用いることができる。心筋細胞への分化は、例えば、拍動心筋細胞の数、心筋マーカーの発現、イオンチャネルの発現、電気生理学的刺激に対する反応等により確認することができる。心筋マーカーとしては、αMHC、βMHC、cTnT、αアクチニン、およびNKX2.5が挙げられる。また、イオンチャネルとしては、HCN4、Nav1.5、Cav1.2、Cav3.2、HERG1b、およびKCNQ1が挙げられる。本発明の方法により得られた心筋細胞は、インビトロにおける薬剤安全性試験に、あるいは心臓疾患などに対する移植用心筋細胞として、使用することができる。
本発明はまた、本発明の化合物またはその塩を含む多能性幹細胞の心筋分化促進剤および心筋分化促進用キットを提供する。本発明のキットは、本発明の化合物に加えて別の心筋分化促進因子を含んでもよい。本発明の化合物と別の心筋分化促進因子とは、別々の容器に保存されていても、同一の容器に保存されていてもよい。
本発明はまた、本発明の化合物またはその塩を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、多能性幹細胞を心筋細胞に分化誘導する方法、および本発明の化合物またはその塩を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、多能性幹細胞から心筋細胞を製造する方法を提供する。本発明の方法は、本発明の化合物の使用方法の説明に準じて実施することができる。
本発明はまた、多能性幹細胞の心筋分化促進剤または心筋分化促進用キットの製造のため、本発明の化合物またはその塩の使用を提供する。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
1.サルES細胞における心筋分化効果解析の方法
式(I)のR基に相当するKY02111のCl基を他のハロゲン基等に置換した化合物を合成し、既報のとおり(Cell Reports, Volume 2, Issue 5, 1448-1460, 25 October 2012、国際出願公開第2012/026491号公報;参照により本明細書の一部をなす)、サルES細胞において濃度依存的に心筋分化効果を確認した。具体的には、心筋分化マーカーであるα−MHC遺伝子のプロモーターの制御下で緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するベクターをサルES細胞(カニクイザルCMK6.4株)に導入し、6ウェルプレート(旭硝子/ 5816-006 :Ezview カルチャープレート)に4.0×10細胞/ウェルにて播種し、IMDM培地を基本とした心筋分化培地(IMDM培地(Sigma)200ml、ウシ胎児血清(GIBCO)50ml、MEM 非必須アミノ酸溶液(Sigma)2.5ml、ペニシリン−ストレプトマイシン(GIBCO)2.5ml、200mM L−グルタミン 2.5ml、2−メルカプトエタノール 2μl)にて培養して、分化誘導開始後4〜8日に化合物を添加した。10日目にGFP蛍光量をMetamorph イメージングシステムで解析した。
2.R基の置換体と心筋分化効果の構造活性相関
上記1の解析の結果、R基にH<F<CH<Cl<Br<Iの順に心筋分化効果が高くなるという構造活性相関が導かれた(図2)。特に、ヨウ素置換体であるSO2031(以下、KY02−Iとも記載する)は、R基がCl基であるKY02111と比較して、0.1μM、1μM、10μM、30μMにおいて、それぞれ約16倍、6.3倍、2.1倍、1.5倍の心筋分化効果が得られた。また、SO2031(KY02−I)は、R基がBr基であるSO087と比較しても、0.1μM、1μM、10μM、30μMにおいて、それぞれ約5.2倍、2倍、1.6倍、1.1倍の心筋分化効果が得られた。これらの結果から、特に低濃度ではヨウ素置換体の化合物が最も高い効果を持つことが明らかとなった。
3.ヨウ素置換体の炭素鎖の炭素数の構造活性相関
KY02−Iの炭素鎖の炭素数(n)を変えたものを合成し、心筋分化効果を確認した(図3)。その結果、炭素鎖n=0のSO3030(KY00−I)についてはほとんど活性を示さなかったが、炭素鎖n=1のSO3031(KY01−I)、n=2のSO2031(KY02−I)、n=3のSO3042(KY03−I)に関しては、KY02111よりも高い心筋分化促進効果が見られた。また、0.1μMの低濃度においては、炭素鎖n=1のSO3031(KY01−I)よりも、炭素鎖n=2とn=3のSO2031(KY02−I)とSO3042(KY03−I)の方が高い効果(それぞれ2.7倍、2.8倍)を持つことが分かった。さらに、10μMと30μMの高濃度においては、SO2031(KY02−I)よりSO3042(KY03−I)の方が僅かに高い分化効果(約1.3倍)を持つ傾向が見られた。
4.ヨウ素置換体の炭素鎖n=2とn=3の比較
炭素鎖n=2のSO2031(KY02−I)と炭素鎖n=3のSO3042(KY03−I)の心筋分化促進効果を、図3に示す結果とは別に、再度濃度依存的に確認した(図4)。その結果、0.1μM、0.4μM、2μMにおいては2つの化合物の分化促進効果に差がなかったが、比較的高濃度の10μMではS3042の方が僅かに効果が高かった(約1.1倍)。図3の結果と合わせると、高濃度ではn=3のSO3042(KY03−I)の方が僅かに効果が高いと考えられた。
5.ヨウ素置換体のR基およびR基の構造活性相関
式(I)の一般式のR基およびR基(KY02111のジメトキシ基)を置換した化合物を合成し、心筋分化効果を確認した(図5)。その結果、ジメトキシ基構造を失った化合物は、Rのメトキシ基をプロポキシ基に置換したSO2077を除き、いずれも分化促進効果が低くなった。SO2077は、ジメトキシ基を有するSO2031(KY02−I)と同等の活性が見られた。
6.ヨウ素置換体SO2031(KY02−I)のヒトES/iPS細胞における心筋分化効果
ヒトES細胞(KhES−3株)およびiPS細胞(IMR90−1株)を用いて、SO2031(KY02−I)の心筋分化促進効果を確認した(図6)。心筋分化誘導は、既報の方法に従って行った(Cell Reports, Volume 2, Issue 5, 1448-1460, 25 October 2012、参照により本明細書の一部をなす)。具体的には、培地成分は、IMDM (Sigma)(1% MEM 非必須アミノ酸溶液 (Sigma)、1% ペニシリン-ストレプトマイシン (Gibco)、2 mM L-グルタミン (Sigma)、0.5 mM L-カルニチン (Sigma)、0.001% 2-メルカプトエタノール (Gibco)、および0.4% ヒト血清アルブミン (Sigma)含有)を用いた。培養プレートは超低接着培養ディッシュ (Corning)を用いて、浮遊培養系にて心筋分化を行った。最初の2日間はWnt活性剤であるCHIR99021を3μM添加し、培養後3日目から8日目までSO2031(KY02−I)を2μM添加した。心筋分化効率は、心筋特異的マーカー分子である心筋トロポニンT(cTnT)の抗体を用いてフローサイトメトリーにより心筋細胞の割合を計算することで求めた。その結果、ヒトiPS細胞(IMR90−1株)においては、SO2031(KY02−I)添加により心筋細胞の割合が3.7%から56.8%まで増加し、ヒトES細胞(KhES−3株)においては、SO2031(KY02−I)添加により心筋細胞の割合が17.9%から77.9%まで増加した。このことから、サルES細胞だけではなくヒトES/iPS細胞においても、ヨウ素置換体であるSO2031(KY02−I)が比較的低濃度で、かつサイトカインや成長因子の刺激なしでも心筋分化を効率的に促進することが分かった。
7.ヨウ素置換体SO2031(KY02−I)の培地への溶解性
SO2031(KY02−I)を20%血清含有培地(IMDM培地(Sigma)200ml、ウシ胎児血清(GIBCO)50ml、MEM 非必須アミノ酸溶液(Sigma)2.5ml、ペニシリン−ストレプトマイシン(GIBCO)2.5ml、200mM L−グルタミン 2.5ml、2−メルカプトエタノール 2μl)に20μMで、または血清不含培地(IMDM培地(Sigma)200ml、MEM非必須アミノ酸溶液(Sigma)2.5ml、ペニシリン−ストレプトマイシン(GIBCO)2.5ml、200mM L−グルタミン 2.5ml、2−メルカプトエタノール 2μl)に3μMまたは20μMで溶解させ、24時間後に観察した(図7)。いずれの培地でも大きな結晶の析出は観察されず(図7A〜C)、また、血清不含培地でも、十分な心筋分化促進効果が得られる3μMでは、結晶の析出はほとんど観察されなかった(図7C)。結晶が析出しないことにより、培地中の濃度が析出により下がることがなく安定に維持される。また、析出した結晶が細胞に傷害を与える可能性がなく、さらに細胞内に残存した結晶が移植適用時に持ち越されてホストに毒性を与えたりする危険性がない。
8.製造例
SO3031(KY01−I)
Figure 0006333830
2−アミノ−6−ヨードベンゾチアゾール(200mg,0.723mmol)、3,4−ジメトキシフェニル酢酸(157mg,0.795mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(3ml)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(139μl,0.803mmol)、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(360mg,0.870mmol)を加えて終夜、室温にて攪拌した。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をエタノールにて再結晶し、2−(2−(3,4−ジメトキシフェニル)アセトアミド)−6−ヨードベンゾチアゾールを167mg、収率50%で得た。

1H NMR (DMSO-d6): δ 12.61 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.73-7.69 (m ,1H), 7.54 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.97-6.84 (m, 3H), 3.75-3.72 (m, 8H).
MS (ESI) Found; 455 [M+H]+
SO2031(KY02−I)
Figure 0006333830
4−ヨードアニリン(1.00g,4.57mmol)のジクロロメタン(3ml)溶液に、チオカルボニルジイミダゾール(976mg,5.47mmol)を加えて1.5時間、室温にて攪拌した。25%アンモニア水(3ml)を加えて終夜、室温にて攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧下で留去し、析出物を濾過して1−(4−ヨードフェニル)チオウレアを889mg、収率59%で得た。
Figure 0006333830
1−(4−ヨードフェニル)チオウレア(889mg,3.19mmol)のクロロホルム(7ml)懸濁液に、臭素(328μl,6.40mmol)を加えて加熱還流し、6時間攪拌した。反応終了後、溶媒を留去し、ジクロロメタンを加えて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去後、析出物を濾過して2−アミノ−6−ヨードベンゾチアゾールを650mg、収率73%で得た。
Figure 0006333830
2−アミノ−6−ヨードベンゾチアゾール(100mg,0.362mmol)、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸(91.4mg,0.435mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(69.4μl,0.398mmol)、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(180mg,0.435mmol)を加えて終夜、室温にて攪拌した。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をエタノールにて再結晶し、2−(3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパンアミド)−6−ヨードベンゾチアゾールを83mg、収率48%で得た。

1H NMR (DMSO-d6): δ 12.42 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.72-7.69 (m, 1H), 7.52 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.85-6.83 (m, 2H), 6.75-6.72 (m, 1H), 3.71 (s, 3H), 3.69 (s, 3H), 2.90-2.76 (m, 4H).
MS (ESI) Found; 469 [M+H]+
SO3042(KY03−I)
Figure 0006333830
2−アミノ−6−ヨードベンゾチアゾール(250mg,0.905mmol),4−(3,4−ジメトキシフェニル)ブタン酸(224mg,0.995mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(3ml)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(174μl,0.995mmol)、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(450mg,1.09mmol)を加えて終夜、室温にて攪拌した。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をエタノールにて再結晶し、2−(4−(3,4−ジメトキシフェニル)ブタンアミド)−6−ヨードベンゾチアゾールを131mg、収率30%で得た。

1H NMR (DMSO-d6): δ 12.37 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.72-7.69 (m, 1H), 7.52 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.86-6.79 (m, 2H), 6.70 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.73 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 2.58-2.48 (m, 4H), 1.96-1.86 (m, 2H).
MS (ESI) Found; 483 [M+H]+
SO2077
Figure 0006333830
4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルプロピオン酸(500mg,2.54mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(5ml)溶液に、炭酸カリウム(881mg,6.37mmol)、1−ブロモプロパン(692μl,7.65mmol)を加えて、室温にて終夜攪拌した。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、プロピル 3−(3−メトキシ−4−プロポキシフェニル)プロパノエートを590mg、収率82%で得た。
Figure 0006333830
プロピル 3−(3−メトキシ−4−プロポキシフェニル)プロパノエート(590mg,2.10mmol)を1,4−ジオキサンに溶かし、5mol/l水酸化ナトリウム水溶液(1.68ml)を加えて室温にて終夜攪拌した。反応終了後、6mol/l塩酸を加えて、酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、3−(3−メトキシ−4−プロポキシフェニル)プロピオン酸を438mg、収率87%で得た。
Figure 0006333830
2−アミノ−6−ヨードベンゾチアゾール(200mg,0.723mmol)、3−(3−メトキシ−4−プロポキシフェニル)プロピオン酸(200mg,0.839mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(3ml)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(140μl,0.803mmol)、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(360mg,0.870mmol)を加えて終夜、室温にて攪拌した。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をエタノールにて再結晶し、2−(3−(3−メトキシ−4−プロポキシフェニル)プロパンアミド)−6−ヨードベンゾチアゾールを217mg、収率60%で得た。

1H NMR (DMSO-d6): δ 12.42 (s, 1H), 8.38-8.37 (m, 1H), 7.72-7.69 (m, 1H), 7.54-7.51 (m, 1H), 6.85-6.82 (m, 2H), 6.72 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.86-3.82 (m, 2H), 3.72 (s, 3H), 2.87-2.78 (m, 4H), 1.72-1.65 (m, 2H), 094 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
MS (ESI) Found; 497 [M+H]+

Claims (15)

  1. 式(II)
    Figure 0006333830
    [式中、mは1〜4であり、
    16およびR17は、それぞれ独立してメトキシ基、エトキシ基、およびプロポキシ基から選択される]
    を有する化合物またはその塩。
  2. 16がメトキシ基である、請求項1記載の化合物またはその塩。
  3. 17がメトキシ基またはプロポキシ基である、請求項2記載の化合物またはその塩。
  4. mが1〜3である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその塩。
  5. 以下のいずれかの式を有する化合物またはその塩。
    Figure 0006333830
    Figure 0006333830
    Figure 0006333830
    Figure 0006333830
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の化合物またはその塩を含む、多能性幹細胞の心筋分化促進剤。
  7. Figure 0006333830
    または
    Figure 0006333830
    を含む、請求項6に記載の多能性幹細胞の心筋分化促進剤。
  8. 前記化合物の最終濃度が0.4〜2μMとなるよう多能性幹細胞の心筋分化培地に添加される、請求項6または7に記載の多能性幹細胞の心筋分化促進剤。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の化合物またはその塩を含む、多能性幹細胞の心筋分化促進用キット。
  10. 請求項1〜5のいずれかに記載の化合物またはその塩を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、多能性幹細胞を心筋細胞に分化誘導する方法。
  11. Figure 0006333830
    または
    Figure 0006333830
    を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記培地が前記化合物を0.4〜2μMで含む、請求項10または11に記載の方法。
  13. 請求項1〜5のいずれかに記載の化合物またはその塩を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、多能性幹細胞から心筋細胞を製造する方法。
  14. Figure 0006333830
    または
    Figure 0006333830
    を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記培地が前記化合物を0.4〜2μMで含む、請求項13または14に記載の方法。
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