発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
<1.実施形態1(液晶特性の測定装置、液晶特性の測定方法及び液晶表示パネル)>
図1は、実施形態1に係る液晶表示パネルの一例を表す説明図である。図2は、図1の液晶表示パネルのシステムの一例を表すブロック図である。図1は模式的に表したものであり、実際の寸法、形状と同一とは限らない。なお、表示装置1が「液晶表示パネル」の一具体例に相当する。
(液晶表示パネル)
表示装置1は、透過型、又は半透過型の表示装置であり、液晶表示パネル2と、ドライバIC3と、バックライト6と、を備えている。表示装置1は、COG入力信号用電極パッドTicと、後述する液晶特性の測定装置と接続するテスト信号用電極パッドTtestとを備えている。ドライバIC3は、COG(Chip On Glass)と呼ばれる、基板上に設けられた集積回路である。表示装置1は、バックライト6を備えない、反射型の表示装置であってもよい。図示しないフレキシブルプリント基板(FPC(Flexible Printed Circuits))は、COG入力信号用電極パッドTicを介してドライバIC3の外部信号又はドライバIC3を駆動する駆動電力を伝送する。液晶表示パネル2は、透光性絶縁基板、例えばガラス基板11と、ガラス基板11の表面にあり、液晶セルを含む画素がマトリクス状(行列状)に多数配置されてなる表示エリア部21と、水平ドライバ(水平駆動回路)23と、垂直ドライバ(垂直駆動回路)22A、22Bと、を備えている。垂直ドライバ(垂直駆動回路)22A、22Bは、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bとして、表示エリア部21を挟むように配置されている。ガラス基板11は、スイッチング素子(例えば、トランジスタ)を含む多数の画素回路がマトリクス状に配置形成される第1基板と、この第1基板と所定の間隙をもって対向して配置される第2基板とを含む。そして、ガラス基板11は、第1基板、第2基板の間に液晶が封入される液晶層を有する。
液晶表示パネル2の額縁11gr、11glは、ガラス基板11の表面にあり、液晶セルを含む画素がマトリクス状(行列状)に多数配置されてなる表示エリア部21がない、非表示領域である。垂直ドライバ22A、22Bは、額縁11gr、11glに配置されている。
バックライト6は、液晶表示パネル2の裏面側(画像を表示する面とは反対側の面)に配置されている。バックライト6は、液晶表示パネル2に向けて光を照射し、表示エリア部21の全面に光を入射させる。バックライト6は、例えば光源と、光源から出力された光を導いて、液晶表示パネル2の裏面に向けて出射させる導光板と、を含む。
(表示装置のシステム構成例)
液晶表示パネル2は、ガラス基板11上に、表示エリア部21と、インタフェース(I/F)及びタイミングジェネレータの機能を備えるドライバIC3と、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22B及び水平ドライバ23とを備えている。
表示エリア部21は、液晶層を含む副画素Spixが、表示上の1画素を構成するユニットがm行×n列に配置されたマトリクス(行列状)構造を有している。なお、この明細書において、行とは、一方向に配列されるn個の副画素Spixを有する画素行をいう。また、列とは、行が配列される方向と直交する方向に配列されるm個の副画素Spixを有する画素列をいう。そして、mとnとの値は、垂直方向の表示解像度と水平方向の表示解像度に応じて定まる。表示エリア部21は、副画素Spixのm行n列の配列に対して行毎に走査線241、242、243・・・24mが配線され、列毎に信号線251、252、253・・・25nが配線されている。例えば、各副画素Spixにはそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の異なる色領域を1組として対応付けられて、複数の副画素Spixが画素Pixとなっている。以後、本実施形態においては、走査線241、242、243・・・24mを代表して走査線24又は走査線24mのように表記し、信号線251、252、253・・・25nを代表して信号線25又は信号線25nのように表記することがある。また、本実施形態においては、走査線241、242、243・・・24mを代表して走査線24m+1、24m+2、24m+3・・・のように表記し、信号線251、252、253・・・25nを代表して信号線25n+1、25n+2、25n+3・・・のように表記することもある。表示エリア部21は、正面に直交する方向から見た場合、走査線24と信号線25がカラーフィルタのブラックマトリクスと重なる領域に配置されている。また、表示エリア部21は、ブラックマトリクスが配置されていない領域が開口部となる。
液晶表示パネル2には、外部から外部信号である、マスタークロック、水平同期信号及び垂直同期信号が入力され、ドライバIC3に与えられる。ドライバIC3は、外部電源の電圧振幅のマスタークロック、水平同期信号及び垂直同期信号を、液晶の駆動に必要な内部電源の電圧振幅にレベル変換(昇圧)し、マスタークロック、水平同期信号及び垂直同期信号を生成する。ドライバIC3は、生成したマスタークロック、水平同期信号及び垂直同期信号をそれぞれ第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22B及び水平ドライバ23に与える。ドライバIC3は、副画素Spix毎の画素電極に対して各画素共通に与えるコモン電位(対向電極電位)Vcomを生成して表示エリア部21に与える。
第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、後述するシフトレジスタを含み、さらにラッチ回路等を含む。第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、ラッチ回路が、垂直クロックパルスに同期してドライバIC3から出力される表示データを1水平期間で順次サンプリングしラッチする。第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、ラッチ回路においてラッチされた1ライン分のデジタルデータを垂直走査パルスとして順に出力し、表示エリア部21の走査線24m+1、24m+2、24m+3・・・に与えることによって副画素Spixを行単位で順次選択する。第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、走査線24m+1、24m+2、24m+3・・・の延在方向に走査線24m+1、24m+2、24m+3・・・を挟むように配置されている。第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、例えば、走査線24m+1、24m+2、24m+3・・・の表示エリア部21の上寄り、垂直走査上方向から、表示エリア部21の下寄り、垂直走査下方向へ順にデジタルデータを出力する。また、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、走査線24m+1、24m+2、24m+3・・・の表示エリア部21の下寄り、垂直走査下方向から、表示エリア部21の上寄り、垂直走査上方向へ順にデジタルデータを出力することもできる。
水平ドライバ23には、例えば6ビットのR(赤)、G(緑)、B(青)のデジタル映像データである画像信号Vsigが与えられる。水平ドライバ23は、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bによる垂直走査によって選択された行の各副画素Spixに対して、画素毎に、もしくは複数画素毎に、あるいは全画素一斉に、信号線25を介して表示データを書き込む。
(液晶表示パネルの通常駆動方式)
図3は、画素を駆動する駆動回路の一例を示す回路図である。表示エリア部21には、図3に示す各副画素Spixの薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)Trに表示データとして画素信号を供給する信号線25n+1、25n+2、25n+3、各薄膜トランジスタTrを駆動する走査線24m+1、24m+2、24m+3等の配線が形成されている。薄膜トランジスタTrは、液晶素子LCを駆動するスイッチング素子である。このように、信号線25n+1、25n+2、25n+3は、上述したガラス基板11の表面と平行な平面に延在し、副画素Spixに画像を表示するための画素信号を供給する。副画素Spixは、薄膜トランジスタTr及び液晶素子LCを備えている。薄膜トランジスタTrは、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。薄膜トランジスタTrのソース及びドレインのうち一方は信号線25n+1、25n+2、25n+3に接続され、ゲートは走査線24m+1、24m+2、24m+3に接続され、ソース及びドレインのうち他方は液晶素子LCの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端が薄膜トランジスタTrに接続され、他端が共通電極comのコモン電位Vcomに接続されている。
副画素Spixは、走査線24m+1、24m+2、24m+3により、表示エリア部21の同じ行に属する他の副画素Spixと互いに接続されている。走査線24m+1、24m+2、24m+3は、第1垂直ドライバ22Aと接続され、第1垂直ドライバ22Aから走査信号の垂直走査パルスが供給される。走査線24m+1、24m+2、24m+3は、第2垂直ドライバ22Bと接続され、第2垂直ドライバ22Bから、走査信号の垂直走査パルスが供給される。このように、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、走査方向の走査線24m+1、24m+2、24m+3に垂直走査パルスを印加する。また、副画素Spixは、信号線25n+1、25n+2、25n+3により、表示エリア部21の同じ列に属する他の副画素Spixと互いに接続されている。信号線25n+1、25n+2、25n+3は、水平ドライバ23と接続され、水平ドライバ23より画素信号が供給される。共通電極comのコモン電位Vcomは、不図示の駆動電極ドライバと接続され、駆動電極ドライバより電圧が供給される。さらに、副画素Spixは、共通電極comのコモン電位Vcomにより、表示エリア部21の同じ列に属する他の副画素Spixと互いに接続されている。
図1及び図2に示す第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、垂直走査パルスVgateを、図3に示す走査線24m+1、24m+2、24m+3を介して、副画素Spixの薄膜トランジスタTrのゲートに印加することにより、表示エリア部21にマトリクス状に形成されている副画素Spixのうちの1行(1水平ライン)を表示駆動の対象として順次選択する。図1及び図2に示す水平ドライバ23は、画素信号を、図3に示す信号線25n+1、25n+2、25n+3を介して、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bにより順次選択される1水平ラインを含む各副画素Spixにそれぞれ供給する。そして、これらの副画素Spixでは、供給される画素信号に応じて、1水平ラインの表示が行われるようになっている。
上述したように、表示装置1は、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bが走査線24m+1、24m+2、24m+3を順次走査するように駆動することにより、1水平ラインが順次選択される。また、表示装置1は、1水平ラインに属する副画素Spixに対して、水平ドライバ23が画素信号を供給することにより、1水平ラインずつ表示が行われる。この表示動作を行う際、駆動電極ドライバは、その1水平ラインに対応する共通電極comのコモン電位Vcomを印加するようになっている。
表示装置1は、液晶素子LCに同極性の直流電圧が印加され続けることによって液晶の比抵抗(物質固有の抵抗値)等が劣化する可能性がある。表示装置1は、液晶の比抵抗(物質固有の抵抗値)等の劣化を防ぐため、駆動信号のコモン電位Vcomを基準として映像信号の極性を所定の周期で反転させる駆動方式が採られる。
この液晶表示パネルの駆動方式として、カラム反転、ライン反転、ドット反転、フレーム反転などの駆動方式が知られている。カラム反転は、1カラム(1画素列)に相当する1V(Vは垂直期間)の時間周期で映像信号の極性を反転させる駆動方式である。ライン反転は、1ライン(1画素行)に相当する1H(Hは水平期間)の時間周期で映像信号の極性を反転させる駆動方式である。ドット反転は、互いに隣接する上下左右の画素毎に映像信号の極性を交互に反転させる駆動方式である。フレーム反転は、1画面に相当する1フレーム毎に全画素に書き込む映像信号を一度に同じ極性で反転させる駆動方式である。表示装置1は、上記の各駆動方式のいずれを採用することも可能である。
(表示エリア部)
次に、表示エリア部21の構成を詳細に説明する。図4は、実施形態1に係る液晶表示パネルの画素電極を説明するための模式図である。図5は、実施形態1に係る液晶表示パネルの断面を説明するための模式図である。図6は、実施形態1に係る液晶表示パネルの電圧無印加時における液晶分子の配向を説明するための模式図である。図7は、実施形態1に係る液晶表示パネルの電圧無印加時における液晶分子の配向を説明するための断面模式図である。図8は、実施形態1に係る液晶表示パネルの電圧印加時における液晶分子の配向を説明するための模式図である。図9は、実施形態1に係る液晶表示パネルの電圧印加時における液晶分子の配向を説明するための断面模式図である。図4に示す隣り合う副画素Spix1及び副画素Spix2は、走査線24mに選択される、隣り合う薄膜トランジスタTrが、走査線25n+1を挟んだ位置に配置される。隣り合う画素電極72間の間には、容量Cppが作用しており、画素電極72と共通電極comとの間には容量Cstrが作用している。
表示エリア部21は、図5に示すように、画素基板70Aと、この画素基板70Aの表面に垂直な方向に対向して配置された対向基板70Bと、画素基板70Aと対向基板70Bとの間に挟まれた液晶層70Cとを備えている。なお、画素基板70Aは、液晶層70Cとは反対側の面に、バックライト6が配置されている。
液晶層70Cは、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、FFS(フリンジフィールドスイッチング)又はIPS(インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶を用いた液晶表示デバイスが用いられる。なお、図5に示すように、液晶層70Cと画素基板70Aとの間、及び液晶層70Cと対向基板70Bとの間には、それぞれ配向膜が備えられてもよい。以下の液晶表示パネル2は、FFSモードの液晶を例に説明する。
対向基板70Bは、ガラス基板78と、このガラス基板78の一方の面に形成されたカラーフィルタ76を含む。カラーフィルタ76は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色された色領域を含む。カラーフィルタ76は、開口部76bに例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色された色領域を周期的に配列して、図3に示す各副画素SpixにR、G、Bの3色の色領域が1組として画素Pixとして対応付けられている。カラーフィルタ76は、TFT基板71と垂直な方向において、液晶層70Cと対向する。なお、カラーフィルタ76は、異なる色に着色されていれば、他の色の組み合わせであってもよい。一般に、カラーフィルタ76は、緑(G)の色領域の輝度が、赤(R)の色領域及び青(B)の色領域の輝度よりも高い。なお、ブラックマトリクス76aが図3に示す副画素Spixの外周を覆うように形成されていてもよい。このブラックマトリクス76aは、二次元配置された副画素Spixと副画素Spixとの境界に配置されることで、格子形状となる。そして、ブラックマトリクス76aは、光の吸収率が高い材料で形成される。
画素基板70Aは、回路基板としてのTFT基板71と、このTFT基板71上にマトリクス状に配設された複数の画素電極72と、TFT基板71及び画素電極72の間に形成された共通電極comと、画素電極72と共通電極comとを絶縁する絶縁層74と、絶縁層73とを含む。画素電極72及び共通電極comは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される透光性電極である。
TFT基板71には、図示は省略するが、上述した各副画素Spixの薄膜トランジスタTrが形成された半導体層、画素信号を供給する信号線、薄膜トランジスタTrを駆動する走査線24等の配線が絶縁層73、74を介して積層されている。絶縁層73は、例えば、走査線24と半導体層との間の絶縁膜と、半導体層と信号線25との間の絶縁膜と、信号線25と共通電極comとの間の絶縁膜とを含む。絶縁層74は、共通電極comと画素電極72との間の絶縁をしている。実施形態1に係る画素基板70Aは、絶縁層73、共通電極com、絶縁層74、画素電極72の順に積層されている。例えば変形例として、実施形態1に係る画素基板70Aは、絶縁層73、画素電極72、絶縁層74、共通電極comの順に積層されていてもよい。
画素基板70Aは、液晶層70C側に配向膜75を備えている。同様に、対向基板70Bは、液晶層70C側に配向膜77を備えている。FFSモードの表示装置1(液晶表示パネル2)は、画素基板70Aに形成された共通電極comの上に、上述した絶縁層74を介して、パターニングされた画素電極72が配置され、これを覆うように配向膜75が形成される。図6に示すように、配向膜75と、対向基板70A側の配向膜77との間に、液晶層70Cの液晶素子LCが挟持される。2枚の偏光板81、82は、クロスニコルの状態で配置される。2枚の配向膜75、77のラビング方向は、2枚の偏光板81、82の一方の透過軸と一致している。図6に示す配向膜75及び配向膜77の矢印が示すラビング方向は、出射側の偏光板82の透過軸を示す矢印と方向が一致している。さらに、2枚の配向膜75、77のラビング方向及び偏光板82の透過軸の方向は、液晶分子が回転する方向が規定される範囲で、画素電極72の延設方向とほぼ平行に設定されている。
FFSモードにおいて液晶素子LCの液晶分子は、図7に示すように、ラビング方向に沿って電界非印加時に並んでいる。図6及び図7に示すように、液晶層70Cは、共通電極comと画素電極72との間に電圧を印加していない状態において、液晶層70Cの液晶分子の軸が、入射側の偏光板81の透過軸と直交し、かつ、出射側の偏光板82の透過軸と平行な状態となる。このため、入射側の偏光板81を透過した入射光hは、液晶層70C内において位相差を生じることなく出射側の偏光板82に達し、ここで吸収されるため、黒表示となる。
一方、図8及び図9に示すように、共通電極comと画素電極72との間に電圧を印加した状態において、液晶層70Cは、液晶分子の配向方向が、共通電極comと画素電極72との間に生じる横電界E(図9参照)により、画素電極72の延設方向に対して斜め方向に回転する。この際、液晶層70Cの厚み方向の中央に位置する液晶分子が約45度回転するように白表示時の電界強度を最適化する。これにより、入射側の偏光板81を透過した入射光hには、液晶層70C内を透過する間に位相差が生じ、90度回転した直線偏光となり、出射側の偏光板82を通過するため、白表示となる。なお、共通電極comは、表示エリア部21の略全面と同じ面積を有している。画素電極72と、共通電極comとの間にある絶縁膜74は、例えばシリコン窒化膜(SiN)などの無機材料である。絶縁膜74の厚みは、0.2μm程度であり、液晶層70Cの厚み、例えば3μmと比較すると小さい。このため、図4に示す、実施形態1に係る容量Cstrは、絶縁膜74を介して作用する成分が支配的になり、縦方向電界駆動と呼ばれる液晶の画素電極と共通電極(対向電極)との容量に比べて10倍程度大きくなる。ここで、縦方向電界駆動の液晶表示パネルは、画素電極と共通電極(対向電極)とで液晶層を挟み、液晶を基板面に対して直角方向に駆動する液晶表示パネルである。縦方向電界駆動の液晶表示パネルは、例えば、TN(Twisted Nematic:ツイステッドネマティック)、VA(Vertical Alignment:垂直配向)等がある。
共通電極comは表示エリア部21内でベタ膜として形成され、横方向(面内方向)に一様である。このため、横電界Eによる液晶分子のイオンitの変位は、イオンitの変位q(Δx、Δy)のうち縦方向の変位Δyが比較的作用しやすく、容量Cstrを介して誘起される共通電極comの電荷e−が、横方向の変位Δxでは誘起されない。これにより、共通電極comにより、検出されるイオン起因の過渡電流は、イオンitの縦方向の変位Δyに起因する電荷e−が主となり、イオンitの横方向の変位Δxに起因する電荷e−が、ほとんど作用しない。横方向電界駆動の場合は、縦方向電界駆動に比べて、液晶にかかる電界Eは横方向が支配的であるので、縦成分I(ion_y)も、例えば1/10程度となり、小さくなる。
(液晶特性の測定システム)
図10は、液晶特性の測定システムを説明するための説明図である。液晶特性の測定システム100は、測定装置110と、コンピュータ120と、表示装置130と、プローブPTSIG1、PTSIG2及びPcomを含む。
コンピュータ120は、演算手段としてCPU(中央演算処理装置:Central Processing Unit)121と、RAM(Random Access Memory)122と、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disc Drive)などの記憶部123と、I/Oインタフェース124、125と、を備えている。
RAM122は、プログラム及びデータの記録及び読み出しができるメインメモリであり、作業エリアを提供すると共に、液晶特性の測定システム100を制御するための複数のプログラムが格納されている。
CPU121は、I/Oインタフェース124から入力された信号等に基づいて、RAM122に格納されたプログラムを読み出して実行し、演算結果を記憶部123又はI/Oインタフェース125へ出力する。
表示装置130は、I/Oインタフェース125から入力された信号等に基づいて、グラフィクスの表示に必要な演算処理を行い、表示部131で表示する。
I/Oインタフェース124は、通信インタフェース規格に合致した入出力インタフェース等である。
図11は、実施形態1に係る液晶表示パネルの液晶特性の測定を説明するための等価回路図である。図12は、実施形態1に係る液晶特性の測定装置と液晶表示パネルのテスト信号用電極パッドとの接続状態を説明する説明図である。測定装置110は、図11及び図12に示すように、電圧生成部111を備えている。
図11に示す等価回路は、図12に示す電圧生成部111とテスト信号用電極パッドTtestとの接続状態により、電圧生成部111が図13に示す画素電極72へ電圧を印加している。図11に示す等価回路において、容量Cppは、図4に示す隣り合う画素電極72間の間に作用する容量成分である。また、図11に示す等価回路において、容量Cstrは、図4に示す画素電極72と共通電極comとの間に作用する容量成分である。なお、図11に示す抵抗Rppは、隣り合う画素電極72間の間にある抵抗成分である。図11に示す抵抗Rstは、画素電極72と共通電極comとの間にある抵抗成分である。電圧生成部111とテスト信号用電極パッドTtestとの接続については、図12を参照して詳述する。
図12に示すように、測定装置110は、電圧生成部111と、検出駆動選択部112と、信号線選択制御部113と、走査線選択制御部114と、第1の電流測定部AM1と、第2の電流測定部AM2とを備えている。測定装置110は、第2の電流測定部AM2への接続と、電位を固定しないフローティング状態にするフローティング端子floatingとを選択する選択スイッチTSWmを備えている。
電圧生成部111は、例えば時間に対する電圧が上下に変化し、縦軸を電圧及び横軸を時間として三角形状となる三角波の電圧波形を生成する。電圧生成部111は、上述したプローブPTSIG1を介して、テスト信号用電極パッドTtestのtsig1配線の端部へ三角波信号(所定の変化する電圧)を供給する。
検出駆動選択部112は、後述する測定用回路を動作させる信号をテスト信号用電極パッドTtestのsTSW配線へ供給する。
信号線選択制御部113は、後述する測定用回路から駆動する副画素Spixの信号線25を選択動作させる信号をテスト信号用電極パッドTtestのsSEL−R(G,B)配線へ供給する。
走査線選択制御部114は、表示エリア部21内の全画素Pixの走査線24を全部オンし、全画素Pixにおける画素電極72を動作させる信号をテスト信号用電極パッドTtestのxdisc配線へ供給する。
第1の電流測定部AM1は、上述したプローブPTSIG2を介して、テスト信号用電極パッドTtestのtsig2配線の端部に接続し、tsig2配線に流れる電流を計測することができる。
選択スイッチTSWmは、上述したプローブPcomを介して、テスト信号用電極パッドTtestのコモン電位Vcomを供給する配線の端部に接続されている。このように、選択スイッチTSWmは、テスト信号用電極パッドTtestのコモン電位Vcomを供給する配線と第2の電流測定部AM2とを接続している場合、共通電極comに流れる電流を計測することができる。第2の電流測定部AM2は共通電極comに流れる電流を計測するために、共通電極comを所定の電位で固定している。選択スイッチTSWmは、テスト信号用電極パッドTtestのコモン電位Vcomを供給する配線とフローティング端子floatingとを接続している場合、共通電極comの電位を固定しない。
図13は、実施形態1に係る液晶表示パネルの画素電極及び共通電極と、液晶特性の測定装置との関係を説明するための模式図である。電圧生成部111は、隣り合う副画素Spix1及び副画素Spix2のうち、一方の副画素Spix1の画素電極72に、所定(例えば、三角波)の変化する電圧を印加する。第1の電流測定部AM1は、隣り合う副画素Spix1及び副画素Spix2のうち、他方の副画素Spix2の画素電極72に流れる電流を検出する。第2の電流測定部AM2は、共通電極comに流れる電流を検出する。第2の電流測定部AM2は、選択スイッチTSWmにより共通電極comに接続された場合、共通電極comに流れる電流を検出する。第2の電流測定部AM2は、選択スイッチTSWmにより共通電極comがfloating端子と接続している場合、何も行わない。
ここで、実施形態1に係る液晶特性の測定方法は、横電界によって液晶分子の配向を制御する液晶表示パネルの液晶を流れる過渡電流を、特許文献1に記載の液晶特性の測定方法と比較して、高精度で検出できる理由について説明する。特許文献1に記載の液晶特性の測定方法は、画素電極が液晶層を介して共通電極comと対向している縦電界によって液晶分子の配向を制御する場合、有効に液晶を流れる過渡電流を検出できる。しかしながら、特許文献1に記載の液晶特性の測定方法は、横電界によって液晶分子の配向を制御する液晶表示パネルに適用する場合、電圧生成部111は、対象となる副画素Spix1の画素電極72に、所定(例えば、三角波)の変化する電圧を印加する。そして、第2の電流測定部AM2は、共通電極comに流れる電流を検出する。この場合、液晶分子のイオンitは、横電界Eによってイオンitの変位q(Δx、Δy)のうち縦方向の変位Δyにより、容量Cstrを介して共通電極comに電荷e−が誘起される。これにより、第2の電流測定部AM2が検出する電流は、イオンitの縦方向の変位Δyに起因する電荷e−が主となり、イオンitの横方向の変位Δxに起因する電荷e−が、例えば1/10程度しか作用しない。
これに対して、実施形態1に係る液晶特性の測定方法は、図13に示すように、電圧生成部111は、隣り合う副画素Spix1及び副画素Spix2のうち、一方の副画素Spix1の画素電極72に、所定(例えば、三角波)の変化する電圧を印加する。第1の電流測定部AM1は、隣り合う副画素Spix1及び副画素Spix2のうち、他方の副画素Spix2の画素電極72に流れる電流を検出する。第2の電流測定部AM2は、共通電極comに流れる電流を検出する。図13に示すように、液晶分子のイオンitは、横電界Eによってイオンitの変位q(Δx、Δy)のうち縦方向の変位Δyにより、容量Cstrを介して共通電極comに電荷e−が誘起される。横電界Eによってイオンitの変位q(Δx、Δy)のうち横方向の変位Δxにより、容量Cppを介して副画素Spix2に電荷e−が誘起される。
また、一般的に容量Cstrは、容量Cppの容量成分より、例えば百倍程度大きい。このため、第1の電流測定部AM1は、第2の電流測定部AM2よりも100倍程度多く過渡電流が流れるため、イオンitの横方向の変位Δxに起因する電荷e−の検出感度が100倍程度向上する。以上説明したように、実施形態1に記載の液晶特性の測定方法は、第1の電流測定部AM1が過渡電流Ipixを検出し、第2の電流測定部AM2が過渡電流Icomを検出するので、過渡電流Ipixと過渡電流Icomとを分離して検出できる。なお、第2の電流測定部AM2が過渡電流Icomを検出するために印加するコモン電位Vcomは、電圧生成部111が印加する最大電圧の絶対値より小さくかつ接地電圧(GND)以上であることが好ましい。これにより、第1の電流測定部AM1は、過渡電流Ipixと過渡電流Icomとをより分離して検出できる。
選択スイッチTSWmは、テスト信号用電極パッドTtestのコモン電位Vcomを供給する配線とフローティング端子floatingとを接続している場合、共通電極comの電位を固定しない。この場合、共通電極comの電位が浮いており、容量Cstrを介して誘起される電荷e−が共通電極comよりも、副画素Spix2の画素電極72に誘起されやすい。これにより、第1の電流測定部AM1は、イオンitの横方向の変位Δxに起因する電荷e−の検出感度が向上する。
図14は、実施形態1に係る液晶表示パネルの測定用回路を説明する説明図である。上述したように、ドライバIC3は、COG入力用信号電極パッドTicに接続されている。図14に示す画素Pixは、図3に示す各副画素Spixに赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の異なる色領域に対応付けられて、副画素SpixR、SpixG及びSpixBを1組とした列として、順に並べている。副画素SpixR、SpixG及びSpixBは、上述したように、薄膜トランジスタTrと、薄膜トランジスタTr及び共通電極comとの間に上述した容量Cpp及び容量Cstrを含む容量Clcと、を含む。共通電極comには、通常駆動の場合には、ドライバIC3から、コモン電位Vcomが印加される。また、共通電極comは、図12に示す選択スイッチTSWmが接続されているテスト信号用電極パッドTtestのコモン電位Vcomを供給する配線にも接続されている。
水平ドライバ23は、例えば、3つのスイッチaswR、aswG、aswBを備え、3つのスイッチaswR、aswG、aswBの各一端は互いに接続されドライバIC3から画像信号Vsigが供給される。3つのスイッチaswR、aswG、aswBの各他端は液晶表示パネル2の信号線25n+1・・・25n+6を介して、副画素SpixR、SpixG、SpixBにそれぞれ接続されている。3つのスイッチaswR、aswG、aswBは、ドライバIC3から供給されたセレクタスイッチ制御信号sASW−R(G,B)(sASW−R、sASW−G、sASW−B)によってそれぞれ開閉制御される。この構成により、水平ドライバ23は、セレクタスイッチ制御信号sASW−R(G,B)に応じて、スイッチaswR、aswG、aswBを時分割的に順次切り替えてオン(ON)状態にすることができる。これにより、水平ドライバ23は、多重化された3つの副画素SpixR、SpixG、SpixBにそれぞれ供給する画素信号を画像信号Vsigから分離する。そして、水平ドライバ23は、画素信号を、3つの副画素SpixR、SpixG、SpixBにそれぞれ供給する。
図14において、図2に示す垂直ドライバ(垂直駆動回路)22A、22Bは、同じ回路構成であるので垂直ドライバ22として、説明する。垂直ドライバ22は、転送回路22sと、論理回路22cと、バッファー回路22bとを含む。通常駆動であれば、転送回路22sは、内蔵するシフトレジスタが上述したドライバIC3からの垂直スタートパルスvstに応答して動作を開始し、転送され、垂直クロックパルスclkに同期して、走査線24mが順次垂直走査方向に選択され、各バッファー回路22bに垂直選択パルスを順次出力する。バッファー回路22bは、垂直選択パルスを受けて、上位レベルの電位と下位レベルの電位とから、走査線24mを駆動するのに十分な電流を供給する。論理回路22cは、転送回路22sとは無関係に、テスト信号用電極パッドTtestからxdisc配線を介した、走査線選択制御部114の信号に応じて、薄膜トランジスタTrのゲートを全てオープンにする。これにより、走査線24mに駆動される薄膜トランジスタTrのスイッチング素子の機能は、画素電極72と副画素SpixR、SpixG、SpixBにそれぞれ接続されている信号線25n+1・・・25n+6とが繋がった状態になる。
図14に示すように、測定用回路TCは、検出駆動選択スイッチTSW1、TSW2と、検出信号線選択スイッチSELR、SELG、SELBと、を含む。検出駆動選択スイッチTSW1は、検出駆動選択スイッチTSW1の一端が、tsig1配線に接続されており、他端が検出信号線選択スイッチSELR、SELG、SELBの一端に接続されている。一端が検出駆動選択スイッチTSW1に接続された検出信号線選択スイッチSELRは、他端が奇数列の画素Pixの信号線25n+1(SigRodd)に接続されている。一端が検出駆動選択スイッチTSW1に接続された検出信号線選択スイッチSELGは、他端が偶数列の画素Pixの信号線25n+5(SigGeven)に接続されている。一端が検出駆動選択スイッチTSW1に接続された検出信号線選択スイッチSELBは、他端が奇数列の画素Pixの信号線25n+3(SigBodd)に接続されている。
検出駆動選択スイッチTSW2は、検出駆動選択スイッチTSW2の一端が、tsig2配線に接続されており、他端が検出信号線選択スイッチSELR、SELG、SELBの一端に接続されている。一端が検出駆動選択スイッチTSW2に接続された検出信号線選択スイッチSELRは、他端が偶数列の画素Pixの信号線25n+4(SigReven)に接続されている。一端が検出駆動選択スイッチTSW2に接続された検出信号線選択スイッチSELGは、他端が奇数列の画素Pixの信号線25n+2(SigGodd)に接続されている。一端が検出駆動選択スイッチTSW2に接続された検出信号線選択スイッチSELBは、他端が偶数列の画素Pixの信号線25n+6(SigBeven)に接続されている。
図15は、実施形態1に係る液晶表示パネルの液晶特性の測定方法を説明するフローチャートである。図16は、実施形態1に係る液晶表示パネルのイオン検出駆動を説明するための説明図である。図16において、通常駆動とあるのは、上述した液晶表示パネルの通常駆動方式における動作している信号を示している。通常駆動において、セレクタスイッチ制御信号sASW−R(G,B)(sASW−R、sASW−G、sASW−B)は、印加されている(ON)が、実施形態1に係るイオン検出駆動において無関係である。通常駆動において、画像信号Vsigは、印加されている(画像信号)が、実施形態1に係るイオン検出駆動において無関係である。通常駆動において、垂直スタートパルスvstは、印加されている(ON)が、実施形態1に係るイオン検出駆動において無関係である。通常駆動において、垂直クロックパルスclkは、印加されている(ON)が、実施形態1に係るイオン検出駆動において無関係である。通常駆動において、コモン電位Vcomは、印加されている(Vcom信号)が、実施形態1に係るイオン検出駆動において電位が固定されていない又は第2の電流測定部AM2から電位が供給され固定電位(電流検出)の状態である。通常駆動において、sSEL−R(G,B)配線の信号は、印加されていない(OFF)であるが、実施形態1に係るイオン検出駆動において電位が印加されている(ON)の状態である。通常駆動において、tsig1配線及びtsig2配線の信号は、無関係であるが、実施形態1に係るイオン検出駆動において後述する状態である。通常駆動において、xdisc配線の信号は、印加されていない(OFF)であるが、実施形態1に係るイオン検出駆動において後述する状態である。以下、通常駆動の信号を示している場合、説明を省略する。
まず、液晶特性の測定システム100は、図15に示すように、測定装置110のプローブPTSIG1、PTSIG2及びPcomがテスト信号用電極パッドTtestに接続される(ステップS11)。
次に、測定装置110は、検出駆動選択部112が供給する測定用回路TCを動作させる信号を供給し、イオン検出駆動に切り換える(ステップS12)。例えば、図16に示すように、検出駆動選択部112がsTSW配線の信号がオン(ON)を供給すると、検出駆動選択スイッチTSW1、TSW2が動作する。これにより、tsig1配線と検出信号線選択スイッチSELR、SELG、SELBの一端が導通する。
次に、測定装置110は、測定対象の画素Pixを選択する(ステップS13)。または、測定装置110は、測定対象の副画素Spix(SpixR、SpixG、SpixB)を選択する。例えば、図16に示すように、走査線選択制御部114が走査線24mを全て動作させる信号discをxdisc配線へ供給する。走査線選択制御部114の信号に応じて、薄膜トランジスタTrのゲートを全てオープンになる。そして、信号線選択制御部113は、sSEL−R(G,B)配線の信号としてオン(ON)を供給すると、検出信号線選択スイッチSELR、SELG、SELBが動作する。これにより、tsig1配線と信号線25n+1(SigRodd)、信号線25n+5(SigGeven)及び信号線25n+3(SigBodd)が導通する。またtsig2配線と信号線25n+4(SigReven)、信号線25n+2(SigGodd)及び信号線25n+6(SigBeven)が導通する。
次に、測定装置110は、電圧生成部111が三角波の電圧波形(三角波信号)を生成し、液晶表示パネル外からtsig1配線へ測定用電圧として三角波信号(所定の変化する電圧)を印加する(ステップS14)。三角波信号は、tsig1配線と導通する信号線25n+1(SigRodd)、信号線25n+5(SigGeven)及び信号線25n+3(SigBodd)に供給される。そして、三角波信号は、走査線選択制御部114の信号に応じて、薄膜トランジスタTrのゲートが全てオープンになっているので、薄膜トランジスタTr(スイッチング素子)を介して、副画素SpixR、副画素SpixG及び副画素SpixBの各列の上述した画素電極72に印加される。これにより、信号線25n+5(SigGeven)及び信号線25n+3(SigBodd)の各列の副画素SpixR、副画素SpixG及び副画素SpixBは、画素電極72に三角波信号が印加されている状態になる。
次に、測定装置110は、第1の電流測定部AM1が、tsig2配線と信号線25n+4(SigReven)、信号線25n+2(SigGodd)及び信号線25n+6(SigBeven)が導通するtsig2配線に流れる電流を測定する(ステップS15)。走査線選択制御部114の信号に応じて、薄膜トランジスタTrのゲートが全てオープンになっているので、薄膜トランジスタTr(スイッチング素子)を介して、副画素SpixR、副画素SpixG及び副画素SpixBの各列の上述した画素電極72に流れる電流がtsig2配線に流れる。信号線25n+4(SigReven)、信号線25n+2(SigGodd)及び信号線25n+6(SigBeven)の各列の副画素SpixR、副画素SpixG及び副画素SpixBは、画素電極72に過渡電流が流れ、この過渡電流がtsig2配線を介して、液晶表示パネル外へ出力される。このように、液晶特性の測定方法は、複数の薄膜トランジスタTr(スイッチング素子)のうち、一部の薄膜トランジスタTr(スイッチング素子)に接続される画素電極72に対して所定の変化する電圧を印加するステップS14と、電圧が印加された画素電極72と異なる画素電極72に流れる過渡電流を計測する電流測定のステップS15と、を含む。これにより、測定用回路TCは、隣り合う薄膜トランジスタTrのうち、一方の薄膜トランジスタTrに接続される画素電極72に、液晶表示パネル外から所定の変化する電圧、つまり三角波信号を印加し、電圧に応じて他方のスイッチング素子に接続される画素電極72の過渡電流を液晶表示パネル外へ出力する。実施形態1において、信号線25n+1(SigRodd)、信号線25n+5(SigGeven)及び信号線25n+3(SigBodd)に接続する薄膜トランジスタTrを有する、副画素SpixR、SpixG、SpixBの画素電極72には、三角波信号が供給される。つまり、表示エリア部21にある複数の薄膜トランジスタTrのうちの一部の薄膜トランジスタTrを有する、副画素SpixR、SpixG、SpixBの画素電極72には、三角波信号が供給される。三角波信号が供給される副画素SpixR、SpixG、SpixBに隣り合い、かつ信号線25n+4(SigReven)、信号線25n+2(SigGodd)及び信号線25n+6(SigBeven)に接続する薄膜トランジスタTrを有する、副画素SpixR、SpixG、SpixBの画素電極72に流れる過渡電流が第1の電流測定部AM1で検出される。そして、測定用回路TCは、複数の画素Pixに跨がって隣り合う薄膜トランジスタTrのうち一部の薄膜トランジスタTrに接続される画素電極72に、液晶表示パネル外から三角波信号を印加し、三角波信号の電圧が印加された画素電極72と異なる画素電極72に流れる過渡電流を液晶表示パネル外へ出力する。これにより、第1の電流測定部AM1は、過渡電流を多く検出できる。
次に、測定装置110は、第2の電流測定部AM2が、共通電極comに固定電位を与え、過渡電流Icomの電流検出をしてもよい。測定装置110は、共通電極comと電位を固定しないフローティング端子floatingとを接続し、第2の電流測定部AM2の電流測定を省略してもよい。これにより、共通電極comの電荷e−が、横方向の変位Δxでは誘起されにくくなり、イオンitの横方向の変位Δxに起因する電荷e−が増加する。その結果、測定装置110及び液晶表示パネル2は、イオンitの横方向の変位Δxに起因する電荷e−の検出能力を向上させることができる。
次に、液晶特性の測定システム100は、液晶の測定物性を算出する(ステップS16)。例えば、I/Oインタフェース124を介してコンピュータ120は、ステップS15において測定した測定データを入手する。CPU121は、電圧生成部111が生成する電圧Vと、測定データの過渡電流Ipixとの関係を演算する。
コンピュータ120は、演算結果をI/Oインタフェース125を介して表示装置130の表示部131に表示させる。図17は、実施形態1に係る液晶表示パネルの電圧電流特性の一例を示す図である。例えば、図17に示す、電圧Vの軸に対する傾きQ1は、測定した液晶の抵抗値を示している。図17に示す、過渡電流Ipixの軸における最小幅Q21は、液晶の閾値電圧以下の電気容量を示している。過渡電流Ipixの軸に平行な最大幅Q22は、液晶の閾値電圧以上の電気容量を示している。液晶の閾値電圧とは、液晶分子が面内で回転する電圧をいう。第1の突起Q3の最大電流値は、液晶分子群の回転に伴うスイッチング電流を示している。第2の突起Q4の面先は、液晶層70Cの不純物イオンの電荷量を示している。例えば、dは、液晶層70Cの厚みである。tは第2の突起Q4の頂点における時間である。電圧Vは、第2の突起Q4の頂点における電圧値(V)である。上述したように、共通電極comに流れる過渡電流をIcomとした場合、過渡電流Icomは、式(1)で示される。
式(1)に示すI(ion_y)は、主に不純物イオンに起因する過渡電流である。Cstr×dv/dtは、共通電極comと画素電極72との間の容量Cstrに起因する過渡電流である。そして、CPU121は、液晶中の不純物イオンの検出性能SNを、下記式(2)で演算することができる。
そして、液晶層70Cの不純物イオンの電荷量Q4は、縦方向電界駆動と呼ばれる液晶であれば、上記式(2)で演算できる。しかしながら、実施形態1に係る液晶表示パネル2は、横電界によって液晶の配向を制御する。上述したように、実施形態1に係る容量Cstrは、縦方向電界駆動と呼ばれる液晶の容量に比べて10倍程度大きくなる。このため、実施形態1に係る液晶特性の測定方法は、図13に示すように、電圧生成部111は、隣り合う副画素Spix1及び副画素Spix2のうち、一方の副画素Spix1の画素電極72に、所定(例えば、三角波)の変化する電圧を印加する。第1の電流測定部AM1は、隣り合う副画素Spix1及び副画素Spix2のうち、他方の副画素Spix2の画素電極72に流れる電流を検出する。第2の電流測定部AM2は、共通電極comに流れる電流を検出する。他方の副画素Spix2の画素電極72に流れる過渡電流をIpixとする場合、過渡電流Ipixは、式(3)で示される。
式(3)に示すI(ion_x)は、主に不純物イオンに起因する過渡電流である。Cpp×dv/dtは、副画素Spix1と副画素Spix2との間の容量Cppに起因する過渡電流である。そして、CPU121は、液晶中の不純物イオンの検出性能SNを、下記式(4)で演算することができる。
実施形態1に記載の液晶特性の測定方法は、第1の電流測定部AM1が過渡電流Ipixを検出し、第2の電流測定部AM2が過渡電流Icomを検出する。CPU121は、液晶層70Cの不純物イオンの電荷量Q4を上記式(4)で演算できる。実施形態1に記載の液晶特性の測定方法は、横方向電界駆動の液晶表示パネルに対し、例えば特許文献1の測定方法に比べて、上記式(4)を演算することで、液晶のイオンに起因する過渡電流が100倍以上高精度に検出できる。なお、第2の電流測定部AM2は、共通電極comに流れる電流を検出せず、共通電極comをフローティング状態とよばれる、電位を固定しない状態にしてもよい。
なお、上述した実施形態1の説明において、測定装置110は、第1の電流測定部AM1が、隣り合う副画素Spix1と副画素Spix2との間での過渡電流Ipixを検出している。実施形態1に係る測定装置は、測定する副画素Spix1及び副画素Spix2は隣合っておらず、異なっていればよい。
以上説明したように、実施形態1に係る液晶表示パネルは、液晶表示パネル外からtsig1配線へ測定用電圧として三角波信号(所定の変化する電圧)を印加する。
(実施形態1の変形例)
図18は、実施形態1の変形例に係る液晶表示パネルの液晶を駆動する波形の一例を説明する説明図である。上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態1の変形例に係る電圧生成部111は、液晶素子LCを駆動する矩形波ACWと、上述した三角波TCWの波形を重ね合わせた合成波DCWを生成する。矩形波ACWの1波長の周期(例えば60Hz)は、三角波TCWの1波長の周期よりも短い周期(例えば0.1Hz以上1Hz以下)で繰り返し生成される。三角波TCWの最大電圧の絶対値は、液晶閾値電圧以下である、例えば、100mVである。矩形波ACWの最大電圧の絶対値は、液晶閾値電圧より大きい、例えば2.5Vである。測定装置110は、液晶表示パネル2に合成波DCWを印加した場合、第1の電流測定部AM1が、隣り合う副画素Spix1と副画素Spix2との間での過渡電流Ipixを検出できる。
<2.実施形態2(液晶表示パネル)>
図19は、実施形態2に係る液晶表示パネルのイオン検出駆動を説明するための説明図である。上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
測定装置110は、測定対象の副画素Spix(SpixR、SpixG、SpixB)を選択する。例えば、図19に示すように、走査線選択制御部114が走査線24mを選択動作させる信号discをxdisc配線へ供給する。そして、信号線選択制御部113は、sSEL−R(G,B)配線の信号のうち、sSEL−R配線の信号をオン(ON)及びsSEL−G及びsSEL−B配線の信号をオフ(OFF)すると、検出信号線選択スイッチSELR、SELG、SELBが動作する。これにより、tsig1配線と信号線25n+1(SigRodd)が導通する。またtsig2配線と信号線25n+4(SigReven)が導通する。信号線25n+5(SigGeven)、信号線25n+3(SigBodd)、信号線25n+2(SigGodd)及び信号線25n+6(SigBeven)は、電位が固定されていない。
次に、測定装置110は、電圧生成部111が三角波の電圧波形(三角波信号)を生成し、tsig1配線へ測定用電圧として三角波信号(所定の変化する電圧)を印加する。
次に、測定装置110は、第1の電流測定部AM1が、tsig2配線と信号線25n+4(SigReven)が導通するtsig2配線に流れる電流を測定する。これにより、測定用回路TCは、隣り合う画素Pixのうち、一方の副画素SpixRの画素電極72に、液晶表示パネル外から所定の変化する電圧、つまり三角波信号を印加する。三角波信号の電圧が印加されていない他方の副画素SpixRの画素電極72には、上述した過渡電流Ipixが作用し、測定用回路TCは、過渡電流Ipixを液晶表示パネル外へ出力する。液晶素子LCのイオンitは、隣り合う画素Pixにある副画素SpixRの画素電極72間を移動し、副画素SpixG及び副画素SpixGの画素電極72の上のイオンitの変位も、第1の電流測定部AM1が検出する過渡電流に加算される。実施形態2に係る容量Cstrに起因する過渡電流は、実施形態1に係る容量Cstrに起因する過渡電流よりも、例えば画素Pixが含む副画素Spixの数の逆数、例えば1/3程度低減できる。
(実施形態2の変形例)
図20は、実施形態2の変形例に係る液晶表示パネルの表示エリア部の駆動領域の一例を示す図である。上述したように表示エリア部21は、画素Pixがマトリクス状に複数組み合わされている。上述した実施形態1及び実施形態2に係る液晶表示パネルでは、副画素Spixの一列ごとに液晶表示パネル外から所定の変化する電圧、つまり三角波信号を印加する。実施形態2の変形例に係る液晶表示パネルでは、測定用回路TCが副画素Spixの複数の列ごとに液晶表示パネル外から所定の変化する電圧、つまり三角波信号を印加する。そして、測定用回路TCが電圧が印加された副画素Spixの複数列にある、画素電極と異なる、副画素Spixの一列又は複数列にある、画素電極に流れる過渡電流を液晶表示パネル外へ出力する。
例えば、図20に示すように、上述した測定装置110は、測定用回路TCを介して、表示エリア部21の一部のウィンドウ領域Win(Window内)にのみ液晶表示パネル外から所定の変化する電圧を印加し、ウィンドウ領域Win以外のWindow外領域Woutに、液晶表示パネル外から所定の変化する電圧を印加しない場合でも、上述した実施形態1及び実施形態2に係る液晶表示パネル2の効果と同様の効果を得ることができる。
<3.実施形態3(液晶表示パネル)>
図21は、実施形態3に係る液晶表示パネルの測定用回路を説明する説明図である。上述した本実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。実施形態3に係る走査線選択制御部114は、測定用回路TCから複数の走査線24を選択動作させる信号をテスト信号用電極パッドTtestのxdisc1配線及びxdisc2配線へ供給することができる。
論理回路22Cは、転送回路22sとは無関係に、テスト信号用電極パッドTtestからxdisc1配線を介した、走査線選択制御部114の信号に応じて、薄膜トランジスタTrのゲートを全てオープンにする。これにより、走査線24mに駆動される薄膜トランジスタTrのスイッチング素子の機能は、画素電極72と副画素SpixR、SpixG、SpixBにそれぞれ接続されている信号線25n+1・・・25n+6とが繋がった状態になる。
次の行の論理回路22Cは、転送回路22sとは無関係に、テスト信号用電極パッドTtestからxdisc2配線を介した、走査線選択制御部114の信号に応じて、薄膜トランジスタTrのゲートをクローズにする。これにより、走査線24m+1に駆動される薄膜トランジスタTrのスイッチング素子の機能は、画素電極72と副画素SpixR、SpixG、SpixBにそれぞれ接続されている信号線25n+1・・・25n+6とが繋がらず、画素電極72がフローティング状態になり電位が固定されていない状態になる。
測定装置110は、電圧生成部111が三角波の電圧波形(三角波信号)を生成し、液晶表示パネル外からtsig1配線へ測定用電圧として三角波信号(所定の変化する電圧)を印加する。三角波信号は、tsig1配線と導通する信号線25n+1(SigRodd)、信号線25n+5(SigGeven)及び信号線25n+3(SigBodd)に供給される。そして、三角波信号は、走査線選択制御部114の信号に応じて、薄膜トランジスタTrのゲートが行毎にオープンとクローズとを繰り返すようになっている。三角波信号は、薄膜トランジスタTrのゲートがオープンになっている薄膜トランジスタTr(スイッチング素子)を介して、副画素SpixR、副画素SpixG及び副画素SpixBの各列の上述した画素電極72に印加される。これにより、信号線25n+5(SigGeven)及び信号線25n+3(SigBodd)の各列の副画素SpixR、副画素SpixG及び副画素SpixBは、画素電極72に三角波信号が印加されている状態になる。
このように、実施形態3に係る、電圧がされた画素電極72に接続されたスイッチング素子と行が隣り合うスイッチング素子は、接続する画素電極72の電位を固定しない。そして、走査線選択制御部114の信号に応じて、ゲートがオープンになっている薄膜トランジスタTr(スイッチング素子)を介して、副画素SpixR、副画素SpixG及び副画素SpixBの各列の上述した画素電極72に流れる電流がtsig2配線に流れる。信号線25n+4(SigReven)、信号線25n+2(SigGodd)及び信号線25n+6(SigBeven)の各列の副画素SpixR、副画素SpixG及び副画素SpixBは、画素電極72に過渡電流が流れ、この過渡電流がtsig2配線を介して、液晶表示パネル外へ出力される。これにより、測定用電圧として三角波信号(所定の変化する電圧)を印加する、例えば副画素SpixRの周囲であって、隣り合う行に位置し、電位が固定されていない副画素SpixRがあることになり、実施形態3に係る容量Cstrに起因する過渡電流は、実施形態1に係る容量Cstrに起因する過渡電流よりも、低減できる。
<4.実施形態4(液晶特性の測定装置、液晶特性の測定方法及び液晶表示パネル)>
図22は、実施形態4に係る液晶特性の測定装置と液晶表示パネルのテスト信号用電極パッドとの接続状態を説明する説明図である。図23は、実施形態4に係る液晶表示パネルの画素電極及び共通電極と、液晶特性の測定装置との関係を説明するための模式図である。図26は、実施形態4に係る液晶表示パネルの液晶を駆動する波形の一例を説明する説明図である。上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図22に示すように、第1の電流測定部AM1は、上述したプローブPcomを介して、テスト信号用電極パッドTtestのコモン電位Vcomを供給する配線に接続されている。
選択スイッチTSWmは、上述したプローブPTSIG2を介して、テスト信号用電極パッドTtestのtsig2配線に接続し、第2の電流測定部AM2がtsig2配線に流れる電流を計測することができる。このように、選択スイッチTSWmは、tsig2配線と第2の電流測定部AM2とを接続している場合、第2の電流測定部AM2が測定電圧を印加していない画素電極72に流れる電流を計測することができる。選択スイッチTSWmは、テスト信号用電極パッドTtestのコモン電位Vcomを供給する配線とフローティング端子floatingとを接続している場合、共通電極comの電位を固定しない。
電圧生成部111は、対象となる副画素Spix1の画素電極72に、所定(例えば、三角波)の変化する電圧を印加する。そして、第1の電流測定部AM1は、共通電極comに流れる電流を検出する。この場合、液晶分子のイオンitは、横電界Eによってイオンitの変位q(Δx、Δy)のうち縦方向の変位Δyにより、容量Cstrを介して共通電極comに電荷e−が誘起される。これにより、第1の電流測定部AM1が検出する電流は、イオンitの縦方向の変位Δyに起因する電荷e−が主となり、イオンitの横方向の変位Δxに起因する電荷e−が、例えば1/10程度しか作用しない。実施形態4に係る測定装置110は、イオンitの横方向の変位Δxに起因する電荷e−を、図24に示す波形の所定の変化する電圧を印加することで、検出することができる。
図24は、実施形態4に係る液晶表示パネルの液晶を駆動する波形の一例を説明する説明図である。図25は、実施形態4に係る液晶表示パネルの電圧電流特性の一例を示す図である。
実施形態4に係る電圧生成部111は、液晶素子LCを駆動する矩形波ACWと、上述した三角波TCWの波形を重ね合わせた合成波DCWを生成する。矩形波ACWの1波長の周期(例えば60Hz)は、三角波TCWの1波長の周期よりも短い周期(例えば0.1Hz以上1Hz以下)で繰り返し生成される。三角波TCWの最大電圧の絶対値は、液晶閾値電圧以下である、例えば、100mVである。矩形波ACWの最大電圧の絶対値は、液晶閾値電圧より大きい、例えば2.5Vである。測定装置110は、液晶表示パネル2に合成波DCWを印加した場合、第1の電流測定部AM1は、図25に示すように、容量Cstr起因の過渡電流itcsと、イオンit起因の過渡電流itciとを検出する。第1の電流測定部AM1は、イオンit起因の過渡電流itciは、合成波DCWの電圧がプラスからマイナスへ、又はマイナスからプラスへ極性が変わる時間で測定することができる。
上述した容量Cstr及び容量Cppへの充足電流と、イオン不純物の変位に起因する過渡電流の位相が異なるため、第1の電流測定部AM1は、合成波DCWの電圧の極性が変わる時間で過渡電流itciを測定することで、検出効率を高めることができる。
(実施形態4の変形例)
上述した測定装置110は、上述した液晶表示パネル2の透過率又は輝度変化を検出する顕微鏡115を備えてもいてもよい。測定装置110は、顕微鏡115によって輝度を計測する。測定装置110は、顕微鏡115で観測する透過光は電気信号に変換されてオシロスコープを介して印加電圧に対する光透過率の変化又は輝度変化を測定する。
実施形態4の変形例に係る電圧生成部111は、実施形態4と同様に、液晶素子LCを駆動する矩形波と、上述した三角波の波形を重ね合わせた合成波を生成する。矩形波の1波長の周期は、三角波の1波長の周期よりも短い周期で繰り返し生成される。三角波の最大電圧の絶対値は、液晶閾値電圧以下である。矩形波の最大電圧の絶対値は、液晶閾値電圧より大きい。測定装置110は、液晶表示パネル2に合成波を印加した場合、顕微鏡115は、図26に示すように、イオンit起因の輝度変化ΔTを検出する。顕微鏡115は、イオンit起因の過渡電流が、合成波の電圧がプラスからマイナスへ、又はマイナスからプラスへ極性が変わる時間で測定することができる。
輝度変化ΔTは、コンピュータ120に入力される。コンピュータ120は、記憶部123に液晶の電圧−輝度変化のデータベース又はマップ(曲線)を予め記憶している。データベース又はマップ(曲線)は、輝度変化ΔTと、過渡電流Iとの関係をあらかじめ測定して求めたデータである。コンピュータ120は、CPU121が顕微鏡115により得られた輝度変化ΔTをデータベース又はマップ(曲線)に与え、イオン濃度に起因する過渡電流を算出する。
<5.実施形態5(液晶特性の測定装置、液晶特性の測定方法及び液晶表示パネル)>
図27は、実施形態5に係る液晶特性の測定装置と液晶表示パネルのテスト信号用電極パッドとの接続状態を説明する説明図である。図28は、実施形態5に係る液晶表示パネルの画素電極及び共通電極と、液晶特性の測定装置との関係を説明するための模式図である。図29は、実施形態5に係る液晶表示パネルの測定用回路を説明する説明図である。図30は、実施形態5に係る液晶表示パネルのイオン検出駆動を説明するための説明図である。図31は、実施形態5に係る液晶表示パネルの電圧電流特性の一例を示す図である。上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図27に示すように、実施形態5に係る測定装置110は、第1電圧生成部117と、第2電圧生成部116と、検出駆動選択部112と、信号線選択制御部113と、走査線選択制御部114と、電流測定部AMと、を備えている。実施形態5に係る測定装置110は、上述した実施形態1に係る第2の電流測定部AM2と同様に、電流測定部AMへの接続と、電位を固定しないフローティング状態にするフローティング端子floatingとを選択する選択スイッチTSWmを備えている。
実施形態5に係る表示エリア部21は、図28に示すように、画素基板70Aと、この画素基板70Aの表面に垂直な方向に対向して配置された対向基板70Bと、画素基板70Aと対向基板70Bとの間に挟まれた液晶層70Cとを備えている。なお、画素基板70Aは、液晶層70Cとは反対側の面に、上述したバックライト6が配置されている。
液晶層70Cは、実施形態1と同様に、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、FFS(フリンジフィールドスイッチング)又はIPS(インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶を用いている。なお、図28に示すように、液晶層70Cと画素基板70Aとの間、及び液晶層70Cと対向基板70Bとの間には、それぞれ配向膜が備えられてもよい。以下の液晶表示パネル2は、FFSモードの液晶を例に説明する。
対向基板70Bは、ガラス基板78と、このガラス基板78の一方の面に形成されたカラーフィルタ76と、カラーフィルタ76の帯電防止層である透光性電極SITOを含む。透光性電極SITOは、カラーフィルタ76に対向して設けられると共に、副画素Spixの画素電極72にも対向するように配置されている。透光性電極SITOは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成され、導電性を有する。透光性電極SITOは、副画素Spixの画素電極72に対向する位置にあるように所定の形状にパターニングされている。透光性電極SITOは、副画素Spixの画素電極72に対向する位置にあれば、対向基板70Bの液晶層70Cとは反対側(裏面側)でなく、対向基板70Bの液晶層70C側(液晶面側)にあってもよい。対向基板70Bの裏面側に、さらにガラス基板によるカバー基板、タッチパネルの基板等がある場合、カバー基板、タッチパネルの基板に備えられていてもよい。このように、透光性電極SITOは、液晶層70Cよりも第2基板側に備えられ、少なくとも画素電極と対向していればよい。このため、透光性電極SITO、液晶層70C、画素電極72(又は共通電極com)の順となり、液晶層70Cは、透光性電極SITOと、画素電極72(又は共通電極com)とに挟まれる。
透光性電極SITOは、帯電防止できれば、ベタ膜であってもよい。透光性電極SITOは、液晶特性の測定装置と接続するテスト信号用電極パッドTtestの後述するイオン掃引電圧入力端部tsitoに電気的に接続されている。透光性電極SITOは、帯電防止層に限られず、いわゆるタッチパネルと呼ばれる、外部から接近する物体を対象物として検出可能なタッチ検出装置の一部であってもよい。例えば、透光性電極SITOは、受信側であるタッチ検出電極又は送信側である駆動電極のどちらかの機能を有することになる。
図29に示す画素Pixは、図3に示す各副画素Spixに赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の異なる色領域に対応付けられて、副画素SpixR、SpixG及びSpixBを1組とした列として、順に並べている。副画素SpixR、SpixG及びSpixBは、上述したように、薄膜トランジスタTrと、薄膜トランジスタTr及び共通電極comとの間に上述した容量Cpp及び容量Cstrを含む容量Clcと、を含む。共通電極comには、通常駆動の場合には、ドライバIC3から、コモン電位Vcomが印加される。また、共通電極comは、図27に示す選択スイッチTSWmが接続されているテスト信号用電極パッドTtestのコモン電位Vcomを供給する配線にも接続されている。透光性電極SITOは、図29に示すイオン掃引電圧Vsitoを容量Clcに印加するため、テスト信号用電極パッドTtestのイオン掃引電圧Vsitoを供給する配線にも接続されている。
実施形態5に係る第2電圧生成部116は、液晶素子LCのイオンitの変位q(Δx、Δy)のうち縦方向の変位Δyを生じさせる三角波TCW2の波形を生成する。イオン掃引電圧は、この三角波TCW2の波形を含む所定の電圧変化を生じさせた電圧である。イオン掃引電圧は、不純物イオンの可動する周期、例えば1Hz以上100Hz以下で、振幅は、イオンitを対向基板70Bを介して液晶中を動かすのに十分な電圧であって10V以上500V以下の電圧、例えば100Vに設定される。
第1電圧生成部117は、図31に示すように、例えば時間に対する電圧が上下に変化し、縦軸を電圧及び横軸を時間として矩形波の電圧波形のコネクティング信号TCNを生成する。第1電圧生成部117は、上述したプローブPTSIG1及びプローブPTSIG2を介して、テスト信号用電極パッドTtestのtsig1配線及びtsig2配線の端部へコネクティング信号(所定の変化する電圧)を供給する(図30参照)。コネクティング信号TCNは、電流検出ができればよく、信号自体が液晶表示パネルをチャージアップさせないことが望ましいので、例えば周期が0.1Hz以上1Hzかつ振幅が100mV以上1V以下程度に設定すればよい。
図15を参照すると、液晶特性の測定システム100は、測定装置110のプローブPTSIG1、PTSIG2、PTSITO及びPcomがテスト信号用電極パッドTtestに接続される(ステップS11)。
次に、測定装置110は、検出駆動選択部112が供給する測定用回路TCを動作させる信号を供給し、イオン検出駆動に切り換える(ステップS12)。例えば、図30に示すように、検出駆動選択部112がsTSW配線の信号がオン(ON)を供給すると、検出駆動選択スイッチTSW1、TSW2が動作する。これにより、tsig1配線と検出信号線選択スイッチSELR、SELG、SELBの一端が導通する。
次に、測定装置110は、測定対象の画素Pixを選択する(ステップS13)。または、測定装置110は、測定対象の副画素Spix(SpixR、SpixG、SpixB)を選択する。例えば、図30に示すように、走査線選択制御部114が走査線24mを全て動作させる信号discをxdisc配線へ供給する。走査線選択制御部114の信号に応じて、薄膜トランジスタTrのゲートを全てオープンになる。そして、信号線選択制御部113は、sSEL−R(G,B)配線の信号としてオン(ON)を供給すると、検出信号線選択スイッチSELR、SELG、SELBが動作する。これにより、tsig1配線と信号線25n+1(SigRodd)、信号線25n+5(SigGeven)及び信号線25n+3(SigBodd)が導通する。またtsig2配線と信号線25n+4(SigReven)、信号線25n+2(SigGodd)及び信号線25n+6(SigBeven)が導通する。
次に、測定装置110は、第2電圧生成部116がイオン掃引電圧TCW2を生成し、液晶表示パネル外からプローブPTSITOを介してtsito配線へ印加する(ステップS14)。さらに、測定装置110は、第1電圧生成部117がコネクティング信号電圧TCNを生成し、液晶表示パネル外からプローブPTSIG1及びPTSIG2を介してtsig1及びtsig2配線へ印加する。
このように、実施形態5に係る液晶特性の測定方法は、所定の電圧変化するイオン掃引電圧TCW2を透光性電極SITOに印加するイオン掃引電圧ステップ(ステップS14)と、画素電極72と共通電極comとの間に流れる過渡電流itci2を計測する電流測定の電流測定ステップ(ステップS15)と、を含む。イオン掃引電圧印加ステップ(ステップS14)において、イオン掃引電圧TCW2を透光性電極SITOに印加する間に、画素電極72(又は共通電極com)に対して液晶表示パネル外から所定の変化するコネクティング信号電圧TCNを印加し、電流測定ステップ(ステップS15)において、コネクティング信号電圧TCNが印加された画素電極72又は共通電極comのうちの一方と異なる画素電極72又は共通電極comの他方、実施形態5においては共通電極comに流れる過渡電流itci2を計測する。図31に示すように、イオンit起因の過渡電流itci2は、イオン掃引電圧TCW2の電圧がプラスからマイナスへ、又はマイナスからプラスへ極性が変わる場合に電流測定部AMで測定することができる(ステップS15)。
以上説明したように、実施形態5に係る液晶表示パネルは、液晶表示パネル外から供給されて所定の電圧変化するイオン掃引電圧TCW2を透光性電極SITOに印加するためのイオン掃引電圧入力端部tsitoと、画素電極72と共通電極comとの間に流れる過渡電流itci2を液晶表示パネル外へ出力する端子を備える測定用回路とを備える。
上述したように、共通電極comは表示エリア部21内でベタ膜として形成され、横方向(面内方向)に一様である。このため、横電界Eのみによる液晶分子のイオンitの変位は、イオンitの変位q(Δx、Δy)のうち縦方向の変位Δyが比較的作用しやすく、容量Cstrを介して誘起される共通電極comの電荷e−が、横方向の変位Δxでは誘起されない。これにより、共通電極comにより、検出されるイオン起因の過渡電流は、イオンitの縦方向の変位Δyに起因する電荷e−が主となり、イオンitの横方向の変位Δxに起因する電荷e−が、ほとんど作用しない。横方向電界駆動の場合は、縦方向電界駆動に比べて、液晶にかかる電界Eは横方向が支配的であるので、縦成分I(ion_y)も、例えば1/10程度となり、小さくなる。これに対して、本実施形態5に係る液晶表示パネルは、透光性電極SITOは、液晶層70Cよりも第2基板側に備えられ、少なくとも画素電極72と対向している。このため、透光性電極SITO、液晶層70C、画素電極72(又は共通電極com)の順となり、液晶層70Cは、透光性電極SITOと、画素電極72(又は共通電極com)とに挟まれる。透光性電極SITOにイオン掃引電圧TCW2を印加すると、液晶層70Cにとっては縦方向電界が印加されることになり、イオンの縦方向の変位量Δyに比例した、イオン起因の過渡電流を電流測定部AMが測定することが可能となる。このため、実施形態1に比べて、さらに100倍程度、イオン電流が大きくなり、検出効率が改善する。その結果、横方向電界駆動であっても、イオン掃引電圧TCW2で誘起された縦方向電界との相乗作用により、横電界Eによる液晶分子のイオンitの変位を検出しやすくなる。
図32は、実施形態5に係る液晶特性の測定装置と液晶表示パネルのテスト信号用電極パッドとの接続状態を説明する説明図である。図33は、実施形態5に係る液晶表示パネルの画素電極及び共通電極と、液晶特性の測定装置との関係を説明するための模式図である。図32及び図33に示すように、液晶特性の測定システム100は、共通電極comにコネクティング信号電圧TCNが印加されるようにし、電流測定部AMが画素電極72に流れる過渡電流itci2を計測するようにしてもよい。液晶特性の測定システム100は、画素電極72にコネクティング信号電圧TCNが印加されるようにし、電流測定部AMが共通電極comに流れる過渡電流itci2を計測する場合と、共通電極comにコネクティング信号電圧TCNが印加されるようにし、電流測定部AMが画素電極72に流れる過渡電流itci2を計測する場合とを切り替えて、界面へのイオンの偏在も測定することができる。
<6.実施形態6(液晶特性の測定装置、液晶特性の測定方法及び液晶表示パネル)>
図34は、実施形態6に係る液晶特性の測定装置と液晶表示パネルのテスト信号用電極パッドとの接続状態を説明する説明図である。図35は、実施形態6に係る液晶表示パネルの画素電極及び共通電極と、液晶特性の測定装置との関係を説明するための模式図である。上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図34に示すように、実施形態6に係る測定装置110は、第1電圧生成部117と、第2電圧生成部116と、検出駆動選択部112と、信号線選択制御部113と、走査線選択制御部114と、第1の電流測定部AM1と、第2の電流測定部AM2とを備えている。測定装置110は、第2の電流測定部AM2への接続と、電位を固定しないフローティング状態にするフローティング端子floatingとを選択する選択スイッチTSWmを備えている。選択スイッチTSWmは、上述したプローブPcomを介して、テスト信号用電極パッドTtestのコモン電位Vcomを供給する配線の端部に接続されている。このように、選択スイッチTSWmは、テスト信号用電極パッドTtestのコモン電位Vcomを供給する配線と第2の電流測定部AM2とを接続している場合、共通電極comに流れる電流を計測することができる。第2の電流測定部AM2は共通電極comに流れる電流を計測するために、共通電極comを所定の電位で固定している。選択スイッチTSWmは、テスト信号用電極パッドTtestのコモン電位Vcomを供給する配線とフローティング端子floatingとを接続している場合、共通電極comの電位を固定しない。
第1の電流測定部AM1は、上述したプローブPTSIG2を介して、テスト信号用電極パッドTtestのtsig2配線の端部に接続し、tsig2配線に流れる電流を計測することができる。
図35に示すように、実施形態6に係る対向基板70Bは、ガラス基板78と、このガラス基板78の一方の面に形成されたカラーフィルタ76と、カラーフィルタ76の帯電防止層である透光性電極SITOを含む。そして、図35に示す第2電圧生成部116は、液晶素子LCのイオンitの変位q(Δx、Δy)のうち縦方向の変位Δyを生じさせる三角波TCW2の波形を生成する。測定装置110は、第2電圧生成部116がイオン掃引電圧TCW2を生成し、液晶表示パネル外からプローブPTSITOを介してtsito配線へ印加する。
第1電圧生成部117は、図31に示すように、例えば時間に対する電圧が上下に変化し、縦軸を電圧及び横軸を時間として矩形波の電圧波形のコネクティング信号TCNを生成する。第1電圧生成部117は、上述したプローブPTSIG1を介して、テスト信号用電極パッドTtestのtsig1配線の端部へコネクティング信号(所定の変化する電圧)を供給する(図34参照)。
測定装置110は、第2電圧生成部116がイオン掃引電圧TCW2を生成し、液晶表示パネル外からプローブPTSITOを介してtsito配線へ印加する(ステップS14)。さらに、測定装置110は、第1電圧生成部117がコネクティング信号電圧TCNを生成し、液晶表示パネル外からプローブPTSIG1を介してtsig1配線へ印加する。
このように、実施形態6に係る液晶特性の測定方法は、所定の電圧変化するイオン掃引電圧TCW2を透光性電極SITOに印加するイオン掃引電圧ステップ(ステップS14)と、画素電極72と共通電極comとの間に流れる過渡電流itci2を計測する電流測定の電流測定ステップ(ステップS15)と、を含む。イオン掃引電圧印加ステップ(ステップS14)において、イオン掃引電圧TCW2を透光性電極SITOに印加する間に、表示エリア部21にある複数の薄膜トランジスタTrのうちの一部の薄膜トランジスタTrを有する、副画素SpixR、SpixG、SpixBの画素電極72には、コネクティング信号電圧TCNが供給される。コネクティング信号電圧TCNが供給される副画素SpixR、SpixG、SpixBに隣り合い、かつ信号線25n+4(SigReven)、信号線25n+2(SigGodd)及び信号線25n+6(SigBeven)副画素SpixR、SpixG、SpixBに接続する薄膜トランジスタTrを有する、副画素SpixR、SpixG、SpixBの画素電極72に流れる過渡電流が第1の電流測定部AM1で検出される。そして、測定用回路TCは、複数の画素Pixに跨がって隣り合う薄膜トランジスタTrのうち一部の薄膜トランジスタTrに接続される画素電極72に、液晶表示パネル外から三角波信号を印加し、三角波信号の電圧が印加された画素電極72と異なる画素電極72に流れる過渡電流を液晶表示パネル外へ出力する。これにより、第1の電流測定部AM1は、過渡電流を多く検出できる(ステップS15)。
次に、測定装置110は、第2の電流測定部AM2が、共通電極comに固定電位を与え、過渡電流Icomの電流検出をしてもよい。測定装置110は、共通電極comと電位を固定しないフローティング端子floatingとを接続し、第2の電流測定部AM2の電流測定を省略してもよい。これにより、共通電極comの電荷e−が、横方向の変位Δxでは誘起されにくくなり、イオンitの横方向の変位Δxに起因する電荷e−が増加する。その結果、測定装置110及び液晶表示パネル2は、イオンitの横方向の変位Δxに起因する電荷e−の検出能力を向上させることができる。
以上説明したように、実施形態6に係る液晶表示パネルは、液晶表示パネル外から供給されて所定の電圧変化するイオン掃引電圧TCW2を透光性電極SITOに印加するためのイオン掃引電圧入力端部tsitoと、画素電極72と共通電極comとの間に流れる過渡電流itci2を液晶表示パネル外へ出力する端子を備える測定用回路とを備える。本実施形態6に係る液晶表示パネル2は、透光性電極SITOは、液晶層70Cよりも第2基板側に備えられ、少なくとも画素電極72と対向している。このため、透光性電極SITO、液晶層70C、画素電極72(又は共通電極com)の順となり、液晶層70Cは、透光性電極SITOと、画素電極72(又は共通電極com)とに挟まれる。透光性電極SITOにイオン掃引電圧TCW2を印加すると、液晶層70Cにとっては縦方向電界が印加されることになり、イオンの縦方向の変位量Δyに比例した、イオン起因の過渡電流を測定することが可能となる。液晶分子のイオンitは、横電界Eによってイオンitの変位q(Δx、Δy)のうち縦方向の変位Δyにより、容量Cstrを介して共通電極comに電荷e−が誘起される。横電界Eによってイオンitの変位q(Δx、Δy)のうち横方向の変位Δxにより、容量Cppを介して副画素Spix2に電荷e−が誘起される。そして、実施形態6に記載の液晶特性の測定方法は、第1の電流測定部AM1が過渡電流Ipixを検出し、第2の電流測定部AM2が過渡電流Icomを検出するので、過渡電流Ipixと過渡電流Icomとを分離して検出できる。なお、第2の電流測定部AM2が過渡電流Icomを検出するために印加するコモン電位Vcomは、電圧生成部111が印加する最大電圧の絶対値より小さくかつ接地電圧(GND)以上であることが好ましい。これにより、第1の電流測定部AM1は、過渡電流Ipixと過渡電流Icomとをより分離して検出できる。このため、実施形態1に比べて、さらに100倍程度、イオン電流が大きくなり、検出効率が改善する。その結果、横方向電界駆動であっても、イオン掃引電圧TCW2で誘起された縦方向電界との相乗作用により、横電界Eによる液晶分子のイオンitの変位を検出しやすくなる。
<7.製造工程の一例(液晶表示パネルの製造方法)>
図36は、実施形態1から6に係る液晶表示パネルの製造工程における、液晶セルイオン密度調査を液晶特性の測定システムがインライン工程で行うフローチャートの一例である。図36に示すように、製造装置は、対向基板70Bと、画素基板70Aと対向基板70Bとの間に挟まれた液晶層70Cとを備えた基板を切断する(ステップS21)。
次に、製造装置は、ステップS21で切断されたモジュール基板に上述した偏光板81、82を貼り付ける(ステップS22)。次に、検査装置は、液晶セル動作検査を行う(ステップS23)。次に、上述した液晶特性の測定システム100は、液晶セルイオン密度調査を行う(ステップS24)。例えば液晶特性の測定システム100は、図15に示す手順で液晶セルイオン密度調査を行う。
次に、製造装置は、基板上にドライバIC3をCOGとしてマウントする(ステップS25)。次に検査装置、液晶表示パネル2の外観等の検査を行うモジュール検査を行う(ステップS26)。以上説明したように、液晶特性の測定装置110と接続するテスト信号用電極パッドTtestとを備えているので、基板上にドライバIC3をCOGとしてマウントする(ステップS25)前に、液晶中や配向膜中のイオン性の不純物を測定することができる。このため、液晶中や配向膜中のイオン性の不純物が検出された場合には、ドライバICなどの廃棄を抑制し、製造コストを抑制するとともに、液晶表示パネルの品質を高めることができる。
なお、以上説明した実施形態1、2、3、4、5、6及びこれらの変形例に係る表示装置1は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上述した実施形態に係る表示装置1は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。電子機器は、液晶表示パネルに映像信号を供給し、液晶表示パネルの動作を制御する制御装置を備える。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったものは、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものついては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。