JP3224027B2 - 液晶パネルのイオン密度測定方法およびその装置 - Google Patents

液晶パネルのイオン密度測定方法およびその装置

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JP3224027B2 JP26488699A JP26488699A JP3224027B2 JP 3224027 B2 JP3224027 B2 JP 3224027B2 JP 26488699 A JP26488699 A JP 26488699A JP 26488699 A JP26488699 A JP 26488699A JP 3224027 B2 JP3224027 B2 JP 3224027B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示パネル内
の不純物イオンの密度(濃度)を測定する方法およびそ
の装置に関し、特に非破壊にて液晶のイオン密度を測定
する方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ネマティック液晶表示パネル中の不純物
イオンはパネルの電気的パラメータに直接影響を与える
ため、液晶表示パネルの表示不良の原因になったり表示
品質の低下原因となる。そのため、工業的な生産作業時
においては、検査工程における問題発生と同時に製品の
液晶表示パネル内の不純物イオン密度を測定することが
求められている。従来の手法としては、パネルを破壊し
て抽出した液晶内のイオン種や濃度を電気化学的分析手
法にて知る方法や、抽出液晶を再注入した評価用セルの
電気的な応答を測定してイオン濃度を決定する方法など
がある。しかしながら、いずれの手法もパネル破壊を要
するために、問題発生からかなりの時間が経過した時点
における測定しかできない上、試料作成操作の過程に液
晶の再汚染を招きやすく、測定の高精度化が困難であ
る。
【0003】また、液晶表示パネルの表示不良はイオン
の液晶表示パネルにおける面内分布の不均一性に起因す
ることが多いため、イオンの面内分布の情報が求められ
ているが、上述したパネルを破壊する手法においては液
晶表示パネル面内分布を測定することは不可能である。
非破壊にて液晶表示パネル内のイオンに関する情報を得
るためには、液晶表示パネルを形成する各画素の電気的
な特性をそれぞれ独立に測定することができればよい。
イオンに関する情報は印加電圧に対する応答電流波形か
ら導かれることが多いからである。しかしながら、液晶
ディスプレイの電気的駆動方法が単純マトリクス型の液
晶表示パネルにおいては駆動条件を最適化することによ
り、ある程度独立した画素のみの応答電流が得られ、イ
オンに関する情報が得られるであろうが、クロストーク
による隣接電極の影響を完全に遮断することはできな
い。また、薄膜トランジスタ(TFT)駆動方式等にて
駆動されているアクティブマトリックス型の液晶表示パ
ネルに至っては、構成回路上、独立に各画素の電気的情
報を得ることは非常に困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の不純物イオン密
度の測定方法は、液晶表示パネルを破壊して行うもので
あったため、時間、工数がかかる上に測定精度に問題が
あった。さらに、従来の測定方法では、液晶表示パネル
製造工程管理上重要な情報である面内のイオン分布を知
ることができなかった。本願発明の課題は上述した従来
技術の問題点を解決することであって、その目的は、第
1に、非破壊にて液晶パネルのイオン密度を測定しうる
ようにすることであり、第2に、イオン密度の面内分布
を把握できるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明によれば、液晶に含有されるイオンが追従す
るに十分の低い周波数の交番電圧を複数サイクル連続し
液晶パネルに印加し、その透過光強度のフリッカー波
形から液晶内のイオン密度を検出することを特徴とする
液晶パネルのイオン密度測定方法、が提供される。そし
て、好ましくは、イオン密度は透過光強度のフリッカー
波形の振幅若しくはフリッカー波形の面積から求められ
る。また、好ましくは、液晶パネルの部分領域からの透
過光の強度が個別に測定され、部分領域毎のイオン密度
が求められる。
【0006】また、上記の目的を達成するため、本発明
によれば、液晶に含有されるイオンが追従するに十分の
低い周波数の交番電圧を複数サイクル連続して液晶パネ
に印加する波形発生装置と、液晶パネルに光を照射す
る光源と、前記液晶パネルを透過する光の強度を観測す
るエリアイメージセンサと、前記波形発生装置および前
記エリアイメージセンサの動作を統括する、記憶装置を
有する情報処理装置とを備えた液晶パネルのイオン密度
測定装置であって、前記エリアイメージセンサの画素毎
の検出データを個々に処理することができ前記画素毎に
フリッカーを検出することができることを特徴とする液
晶パネルのイオン密度測定装置、が提供される。そし
て、好ましくは、前記エリアイメージセンサの出力波形
を監視することのできるオシロスコープがさらに備えら
れており、前記情報処理装置は前記オシロスコープを介
して前記エリアイメージセンサの出力データを収集す
る。
【0007】
【作用】本発明においては、液晶表示パネル中の不純物
イオンに関する情報を得るために、液晶中のイオンが引
き起こす透過光強度のフリッカー(ちらつき)に着目す
る。通常、ネマティック液晶表示パネルの各画素には正
負対称な交番電圧が印加され、イオンが存在しない場合
は、交番電圧印加における各印加フィールドで等しい電
圧が液晶にかかる。この場合、液晶分子は印加電圧の大
きさに応じて一定の傾き角を持ったまま変化せず、透過
光強度のフリッカーは現れない。而して、現在のところ
詳細は明らかではないが、何らかの理由で液晶セル内に
内部電圧が生じていることがあり、この場合には、この
内部電圧が印加電圧に重なるために、各印加フィールド
毎に異なる大きさの電圧が液晶にかかる。例として、誘
電異方性が正のネマティック液晶を用いたTNモードが
ノーマリーホワイトモードの場合、内部電圧と同符号の
電圧が印加されたときは液晶にかかる電圧が高くなり、
液晶は理想の傾き角よりも大きく傾き透過光強度が低く
なる。一方、内部電圧と逆符号の電圧が印加された時は
液晶にかかる電圧が低くなり、液晶の傾き角も理想の傾
き角よりも小さくなり、透過光強度があがる。これが液
晶表示パネルにおけるフリッカーの一例である。このフ
リッカーの周期(イオンに依存しないフリッカーの周
期)は印加電圧周期と同じになっている。
【0008】一方、液晶内に印加電圧周期に追従できる
可動イオンが存在する場合、印加フィールド毎にイオン
のドリフトによる電場低下が生じて液晶にかかる電圧が
時間とともに減衰する。例えば、正電圧が印加されるフ
ィールドにおいては、電圧が印加された瞬間に最も高い
電圧が液晶にかかり、液晶はこれに追随して立ち上が
る。同時に液晶内のイオンは各々の極性とは逆極性の電
極方向へとドリフトを始めているため、液晶にかかる電
圧が時間とともに減衰する。この電圧の低下のために液
晶はある時間から傾き始める。この液晶の動きに応じて
光の透過率もある時間までは低下するがその後は上昇し
てくる(ノーマリホワイトの場合)。引き続き負電圧が
印加されるフィールド内においても同様な現象が起き
る。したがって、液晶内に印加周波数に追従できる可動
イオンが存在する場合のフリッカーは、印加周波数の2
倍の周波数を持つことになる。
【0009】上記のように、フリッカーには印加電圧の
周波数依存性があり、イオンが追従できないほどの高い
印加周波数においてはフリッカーが消失し、十分追従で
きる低い周波数領域においては飽和する。したがって、
液晶表示パネルに対しイオンが追従できるだけの十分低
い周波数域で電圧印加を行い、そのときに発生するフリ
ッカーを観測するならば、液晶内のイオンの存在を液晶
表示パネルを破壊することなく確認することができる。
そして、このフリッカーの大きさ(フリッカーの振幅
等)は、液晶表示パネル内のイオン密度に依存するもの
であるので、フリッカーの大きさを観測することによっ
て非破壊でイオン密度を知ることができる。しかも、フ
リッカーの大きさは光の透過するパネル各部の局所的な
イオン密度に依存している。換言すれば、パネル面内の
各部分の局所的なフリッカーの大きさはパネルのその部
分でのイオン密度に依存する。そこで、本発明において
は、CCDカメラ等のエリア型のイメージセンサを用い
ることによって、パネル面内の各部毎のフリッカー情報
を収集してこれに基づいて面内各部でのイオン密度を求
めている。よって、本発明によれば、液晶パネル面内で
のイオン密度分布を認識することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1〜図3は、本発明の実
施の形態を示すフローチャートであり、図4は、本発明
によるイオン密度測定方法が行われる測定装置の概略を
示すブロック図である。図4において、光源41から出
射された光は偏光板42を通り、液晶セル44を通過し
た後、さらに偏光板43を通って光検出器45で検出さ
れ、オシロスコープ47に一時的にデータ収集された
後、パソコン等の情報処理装置48へと転送され情報処
理装置48に付設された記憶装置49に記憶される。液
晶セル44への電圧印加は任意波形発生器46により行
い、時間に対する電圧値のデータが透過光強度と同時に
オシロスコープ47に蓄積されてから情報処理装置48
に転送される。これら任意波形発生器46、光検出器4
5およびオシロスコープの動作は、情報処理装置48に
より統轄される。また、情報処理装置48の行う処理プ
ログラムは記憶装置49内に格納されている。光源41
としては、液晶セル全面を照射する場合には、ハロゲン
ランプ、メタルハライドランプ、冷陰極管を使用するこ
とができ、また液晶セルを局所的に照射する場合には、
可視光レーザを用いることができる。光検出器45とし
ては、液晶パネルの全面の平均的光強度を測定する場合
には、光強度を測定することができる一般的な光検出器
を使用することができるが、液晶セル上の部分的な透過
光強度を測定する場合には、CCD(charge coupled d
evice )固体撮像装置等のエリアイメージセンサが用い
られる。後者の場合、エリアイメージセンサの画素毎の
若しくはグループ分けされた画素毎の検出光のデータが
情報処理装置48に収集され、処理される。そして、必
要に応じて、液晶セルの光源側または光検出器側のいず
れか一方または両方に集光するためのあるいは平行光線
を得るためのレンズ系を配置することができる。通常の
液晶表示パネルにおいては、偏光板は液晶セルの両面に
一体的に固着される。従って、すでに偏光板の固着され
ている液晶パネルに対して測定を行う場合には、測定装
置内に偏光板42、43を配置する必要はない。
【0011】本発明によるイオン密度の測定は、図1に
示されるステージI、図2に示されるステージII、図3
に示されるステージIII に従って順次行われる。この
内、ステージIおよびステージIIは、本発明の測定方法
の核心部分をなすステージIIIを実施するための準備段
階での手続を示すフローチャートである。従って、ステ
ージIまたはステージIおよびIIによって得られるデー
タが既に入手されている場合には、ステージIまたはス
テージIおよびIIの処理を省略することができる。従来
より主流のネマティック液晶表示パネルの透過光強度
は、印加電圧と透過率の相関を表すグラフ上の透過光強
度特性曲線の最も急峻な領域、すなわち中間調電圧付近
においてイオンのドリフトの影響を受けやすい。したが
って、イオン情報の検出の際に液晶表示パネルに印加す
る電圧は、電圧−透過率グラフ上の透過光強度特性曲線
の急峻な部分と決定することが測定効率上好ましい。そ
こで、ステージIにおいては、電圧−透過率曲線の急峻
な領域が求められ、フリッカー測定用の印加電圧値と決
定される。
【0012】まず、ステップS101において、測定開
始電圧が指定され、ステップS102において、指定さ
れた電圧での交番電圧が任意波形発生器46より液晶セ
ルに印加され、そのときの透過率が光検出器45により
検出され、そのデータは印加電圧とともにオシロスコー
プ47に取り込まれた後、情報処理装置48に転送され
る。続いて、ステップS103において、印加電圧が予
定された測定終了電圧に達したか否かがチェックされ、
達していなければ、ステップS104にて印加電圧を1
単位上昇させて、ステップS102に戻る。測定終了電
圧に達していれば、ステップS105に移り、求められ
たV−T(電圧−透過率)特性曲線より、その変化が最
も急峻な電圧を測定に使用する印加電圧と決定して処理
を終了する(求められたV−T特性曲線の一例を図10
に示す)。
【0013】なお、ここで用いる液晶セルは全くイオン
を含んでいないものかごく微量のイオンしか含んでいな
いものが参照用液晶セルとして使用される。また、ステ
ージIにおいて用いられる液晶セルは、製品用のセルの
中から選択されたものでもよいが、イオンがドープされ
ないように作製された印加電圧決定用の液晶セルであっ
てもよい。ステージIにて決定された電圧値は、ステー
ジIIおよびステージIII にて使用されることになるが、
ステージII、III においては必ずしもステージIで決定
された電圧値を厳格に実施する必要はない。中間調表示
近辺の電圧値であれば十分である場合が多い。ただし、
ステージIIとステージIII とでは、同じ印加電圧を使用
する必要がある。
【0014】ステージIIでは、互いに異なるイオン濃度
を有する複数枚の検量線作成用液晶セルを用いて検量線
が作成される。ステージIIにおいて用いられる液晶セル
は、製品用のセルの中から選択されたものでもよいが、
予めイオンを含有せしめて作製した検量線作成用の液晶
セルであってもよい。まず、ステップS201におい
て、含有不純物イオン濃度の異なる複数枚のイオン汚染
液晶セルが準備される。ステップS202では、準備さ
れた液晶セルの中の1枚が選択され、ステップS203
では例えば1Hzの、ステージIにて求められた電圧値
の矩形波が印加され、電圧印加時の透過光強度が、従っ
てフリッカーが観測される。ここで、印加電圧の周波数
として選定された1Hzは、イオン移動が十分に飽和す
るであろうことを予定して決められたものである。した
がって、この目的に適う周波数であれば適宜に変更する
ことができるものである。続いて、ステップS204で
は、フリッカーが現れなくなる領域、すなわち透過光一
定領域が現れるか否かチェックされ、透過光強度一定領
域が存在していない場合には、ステップS205に移
り、周波数を下げて電圧印加を行いフリッカー測定を行
って、ステップS204に戻る。ステップS204に
て、透過光一定領域の存在が確認された場合には、ステ
ップS206に移って、フリッカー振幅またはフリッカ
ー面積が求められる。ここで、フリッカー振幅とは、透
過光一定領域からみた振れ(の絶対値)の最大値であ
り、フリッカー面積とは透過光一定を示す水平線とフリ
ッカー波形とによって囲まれた面積のことである。
【0015】次に、ステップS207において、低周波
(例えば0.01Hz)の三角波電圧が印加され、その
とき液晶セルを流れる電流が測定される。このときセル
を流れる電流はこのセルに含有されているイオンの密度
に依存しているため、この電流測定によって液晶セルの
イオン密度を知ることができる。よって、ステップS2
08において、得られた応答電流波形に現れるイオン電
流ピークからイオン密度が算出される。次いで、ステッ
プS209にて、準備された液晶セルの全てについて測
定が行われたか否かがチェックされ、測定が完了してい
なければ、ステップS202に戻されて次の液晶セルが
選択される。準備された全液晶セルについての測定が完
了した場合には、ステップS210にて、検量線が作成
される。すなわち、フリッカー振幅またはフリッカー面
積とイオン密度の組みが相関図上にプロットされ、検量
線が求められる(求められた検量線の一例は図11に示
されている)。
【0016】ステージIおよびステージIIにおいて、ス
テージI用またはステージII用として特別の液晶セルを
準備する場合には、単一の画素を持つセルが作製され
る。アクティブマトリクス液晶表示パネルについての測
定を行うための印加電圧と検量線を単一画素のセルを用
いて求める場合には、単一画素の液晶セルを疑似アクテ
ィブマトリクス動作させることにより、印加電圧と検量
線とを求める。疑似アクティブマトリクス動作は、図5
(a)に示す回路により行われる。図5(a)におい
て、51は波形発生器、52はインピーダンス変換器、
53は液晶セルである。ここで、インピーダンス変換器
52は高インピーダンス状態と低インピーダンス状態と
交互に繰り返す動作を行って薄膜トランジスタ(TF
T)の動作を疑似する。インピーダンス変換器52の入
・出力側の信号パターンを図5(b)と図5(c)に示
す。また、ステージI、IIにおいて、実際の製品の液晶
パネルが用いられる場合には、液晶パネルは全面が同一
表示状態に駆動される。この場合に、アクティブマトリ
クス型パネルに対しては、ステップS102等において
アクティブマトリクス駆動がなされるものとする。
【0017】ステージIII は、本発明の測定方法の核心
となる過程であって、図3に示されるフローチャートに
従って行われる。まず、ステップS301にて、液晶セ
ル44内に可動性のイオンが存在するかどうか判定され
る。このときの印加電圧はステージIにて決定されたも
のであり、また印加周波数は例えば10Hzが用いられ
るが、この周波数はセルのギャップや目的とするイオン
の移動度に応じて適宜変更されるものである。不純物イ
オンに基づくフリッカーが発生している場合には、図6
(a)に示されるように、下部の印加入力電圧に対し、図
の上部に示されるように、印加電圧の2倍の周波数のフ
リッカーが観測される。ステップS302にて、2倍周
波数のフリッカーが発生しているか否かが判断され、上
記のフリッカーが観測される場合にはステップS303
へと進む。上記のフリッカーが観測されない場合、ステ
ップS310へと移行し、印加電圧にDCオフセット電
圧を順次変化させて加えるか、パネルの共通電極電位を
変化させて上記のフリッカーが観測されるかどうか確認
を行う。これはイオン密度が低く、かつ、パネル内部の
DC成分が大きい場合にはイオンの移動による影響がパネ
ル内部のDC成分よりも小さくなり、上記フリッカーを見
逃す危険性があるためである。図6(b)は内部DCを持
つ場合の一例であり、印加電圧に−65mVを加えて内
部DCの影響を取り除くと図6(c)のようにイオンのド
リフトによるフリッカーのみが現れている。この確認作
業によりステップS311で上記フリッカーが観測され
なければ、この時点で液晶セル44の測定は終了され
る。
【0018】フリッカーが検出された場合、ステップS
303にて、イオンのドリフトが印加フィールド内で終
了するよう、すなわち、印加フィールド内にフリッカー
波形が現れた後に透過率が変化しなくなる領域が確認で
きるように、印加周波数を例えば1Hzと低くしてフリ
ッカーを観測する。なお、既に、不純物イオンに起因す
るフリッカーが発生していることが分かっている場合に
は、図中破線にて示されるように、ステップS301、
302を経ることなく、ステップS303から開始する
ものとする。続いて、ステップS304にて、透過光強
度が一定となる領域が存在しているか否かが判断され、
その領域が確認できない場合には、ステップS305に
移って、印加電圧の周波数を低減し、透過光強度が一定
となる領域が現れるまでこの動作を続け、透過光強度一
定領域の存在が確認された場合には、ステップS306
に移る。ステップS306では内部DCの影響を評価す
る。透過光強度一定領域が図7(a)のように印加電圧
の極性によらず一定であれば、内部DCの影響は無いとみ
なされ、ステップS308へと進み、フリッカー振幅又
はフリッカー面積が求められる。図7(a)の場合、印
加フィールド内に透過率変化の飽和状態領域71が現れ
ている。ここで、透過率変化の飽和状態領域71の透過
率と最小透過率72の差をフリッカー振幅73として定
義し測定する。あるいは、フリッカーの飽和状態領域7
1を示す水平線とフリッカー波形とによって囲まれた面
積をフリッカー面積74と定義してこれを測定する。そ
して、ステップS309にて、予め求めてあるイオン密
度とフリッカー振幅(またはフリッカ−面積)との関係
を示す検量線からイオン密度を求める。ステップS30
6で内部DCの影響が確認された場合、すなわち、図7
(b)のようなフリッカー波形が得られた場合、正の電
圧が印加されたときの透過光強度一定領域の強度75と
負の電圧が印加されたときの一定領域76の透過光強度
が同じになるように、印加電圧にDCオフセット電圧が
順次加えられるか、共通電極の電位が順次変化される。
このDCオフセット電圧または共通電極電位の調整によ
り、図7(b)のフリッカー波形は図7(a)のような
内部DCの影響を受けていない波形へと変化する。そし
て、ステップS308、S309へと進み、定量作業へ
移行する。
【0019】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
ながら詳細に説明する。 [第1の実施例]本実施例ではネマティック液晶のホモ
ジニアス(homogeneous)配向セルに矩形波
を印加したときのフリッカー振幅からイオン密度を求め
る方法について述べる。本実施例で用いた液晶セルは、
図8(a)、(b)に示すように作製した。図8に示す
ように、コーニング7059からなる、3cmx4cm
のガラス基板81上に、酸化インジウム錫(ITO)膜
を成膜し、1cmx1cmの画素電極82を中央部に形
成するとともに引き出し電極83を形成した。電極形成
後その上に、ポリアミック酸をスピンコートして90℃
で30分の仮焼成を行った後、200℃で1時間本焼成
を行いポリイミド配向膜84を形成した。尚、1個のセ
ル組立を行うのに、上記配向膜付き基板を2枚必要とす
る。ポリアミック酸にはポリ(4、4‘−オキシジフェ
ニレンピロメリットアミック酸)を用いた。また、反射
エリプソメータで測定したポリイミド配向膜の膜厚は7
80Å〜820Åであった。ラビングはレーヨンのロー
ルを用いて回転数800回転/min、押し込み0.6
mm、ステージ速度20mm/sの条件で1回行った。
ラビング後、2枚のガラス基板81をそれぞれのラビン
グ方向が反対向きとなるように重ね合わせ、直径が6μ
mのスペーサー粒子を混ぜたエポキシ系接着剤85で固
定した。このセルにフッ素系のネマティック液晶86を
等方相注入して、紫外線硬化樹脂で封孔を行い、アンチ
パラレルセル(対向する2面の配向方向が180°異な
っているセル)とした。なお、図示されていないが、画
素電極を除くガラス基板上には遮光膜が形成されてい
る。このように形成された液晶セルは、図4に示す測定
装置に配置されるが、このときの偏光板42、43と配
向膜84のラビング方向の関係を図9に示す。図中、偏
光板42、43の偏光方向をそれぞれ矢印91、92に
て示し、ポリイミド配向膜84のラビング方向を矢印9
3にて示す。図9に示されるように、偏光板42、43
の偏光方向は直交しており、かつその偏光方向はそれぞ
れラビング方向と45°をなしている。
【0020】上記のように液晶セルを複数作成して、三
角波電圧印加の応答電流からイオン密度を求め、イオン
電流が確認できないものを電圧−透過率グラフ上の透過
光強度特性曲線測定用の参照用液晶セルとし、イオン電
流が認められたものを測定用液晶セルとした。加えて、
後述の透過率の振幅からイオン密度を求める際の検量線
の作成用に、強制汚染を行った液晶セルを作成した。作
成条件は上記と同様であるが、基板を貼り合わせる前に
メタノールに浸漬し、浸漬時間を変化させて配向膜表面
の汚染レベルの異なる液晶セルを作成し、検量線作成用
液晶セルとした。
【0021】初めに、参照用液晶セルの電圧−透過率グ
ラフ上の透過光強度特性曲線を測定した(図1:ステー
ジI)。すなわち、前述の図4の測定装置を使用し、1
0Hzの矩形波を0V〜±10Vまで0.1Vステップ
で任意波形発生器46を用いて印加し、それぞれの電圧
値に対する透過光強度を液晶セル表面の一部分または全
面に光を照射することにより測定した。しかる後、情報
処理装置48は記憶装置49内に格納されているプログ
ラムにより、0V印加時の透過光強度を100%、±1
0V印加時の透過光強度を0%として透過光強度を透過
率に変換した。その結果得られた電圧−透過率グラフ上
の透過光強度特性曲線を図10に示すように作成した。
この電圧−透過率特性曲線において電圧の変位に対する
透過率変化が最大となる点の電圧をフリッカー測定電圧
とした。図10の場合、情報処理装置48により解析さ
せた結果、2.7Vと決定された。
【0022】次に、フリッカー振幅からイオン密度を求
めるための検量線を作成した。検量線作成用液晶セル
に、±2.7V、1Hzの矩形波電圧を印加してフリッ
カー振幅を求め(ステージII:ステップS203〜20
6)、続いて振幅10V、0.01Hzの三角波電圧を
印加したときの応答電流からイオン密度を求めた(ステ
ージII:ステップS207、208)。複数の液晶セル
を測定した結果得られた検量線を図11に示す。イオン
密度は、含まれているイオンが1価で正負イオンとも等
量であると仮定して、1cm3当たりの個数で表した。
得られた検量線の式は、 イオン密度=2.6x1012xフリッカー振幅 であった。
【0023】本実施例にて作成した被検定対象の測定用
液晶セルは7個で、これらのイオン密度を本発明により
測定した。フリッカー測定電圧はすでに2.7Vと決定
されている。ステージIII (図3)のフローチャトに
従い、まず、±2.7V、10Hzの矩形波を印加し、
そのとき現れたフリッカー波形の一例を図12に示す。
同図に示すように、フリッカーが印加周波数の2倍の周
波数を持つため、可動イオンの存在を確認できた。次
に、印加電圧の周波数を1Hzに変えてフリッカー振幅
を求めた。このとき得られたフリッカー波形の一例を図
13に示す。それぞれのフリッカー振幅から検量線を用
いてイオン密度を求めることができた。
【0024】[評価]このようにして求められたイオン
密度と、三角波電圧印加時の応答電流から求めたイオン
密度とを比較した結果を表1に示す。若干の差はあるも
のの両者の結果は良く一致しており、本発明がイオン密
度測定に有効であることが分かる。
【0025】
【表1】 (単位:×1013個/cm3
【0026】[第2の実施例]本実施例では、以下に示
すフリッカーの発生により生じたグラフ上のフリッカー
面積より、イオン密度を求める方法について具体的に記
す。すなわち、本実施例においては、ステージIIにおい
てフリッカー面積の検量線を求めておき、ステージIII
にて、この検量線を用いてイオン密度を算出した。本実
施例で用いた液晶セルは以下のように作製したツイステ
ッドネマティック(TN)液晶セルであって、配向方向
が90°異なる基板間に正の誘電異方性をもつ液晶を挟
み込んだことにより、液晶分子の配向方向が90°連続
的にねじられている。液晶セルはガラス基板2枚でカイ
ラルネマティック液晶を挟んだサンドイッチ構造であ
る。ガラス基板は3cmx4cmのコーニング7059
を用いた。図8に示した第1の実施例の場合と同様に、
酸化インジウム錫膜を成膜してガラス基板の中央部に1
cmx1cmの画素電極を形成するとともに引き出し電
極を形成した。電極形成後その上に、ポリアミック酸を
スピンコートして90℃で30分の仮焼成を行った後、
230℃で1時間本焼成を行いポリイミド配向膜を形成
した。ポリアミック酸にはポリ(4、4‘−オキシジフ
ェニレンピロメリットアミック酸)を用いた。また、反
射エリプソメータで測定した配向膜の膜厚は520Åか
ら550Åであった。ラビングはレーヨンのロールを用
いて回転数600回転/min、押し込み0.5mm、
ステージ速度20mm/sの条件で1回行った。ラビン
グ後、2枚のガラス基板をラビング方向が直交するよう
に重ね合わせ、直径が6μmのスペーサー粒子を混ぜた
エポキシ系接着剤で固定した。このセルにフッ素系のカ
イラルネマティック液晶材料を等方相注入して、紫外線
硬化樹脂で封孔を行い、ツイステッドネマティックセル
を作製した。このような液晶セルを複数作成して、三角
波電圧印加の応答電流からイオン密度を求め、イオン電
流が確認できないものを透過光強度特性曲線測定用の参
照用液晶セルとし、イオン電流が認められたものを測定
用液晶セルとした。
【0027】また、フリッカーにより生じた面積からイ
オン密度を求める際の検量線の作成用に、強制汚染を行
った液晶セルを作成した。作成条件は上記とほぼ同様で
あるが、基板を貼り合わせる前にメタノールに浸漬し、
浸漬時間を変化させて配向膜表面の汚染レベルの異なる
液晶セルを作成し、検量線作成用液晶セルとした。測定
は、以下のように第1の実施例の場合と同様に行った。
初めに、参照用液晶セルの透過光強度を測定し、透過光
強度特性曲線を作成した。すなわち、液晶セルを測定装
置に設置して、10Hzの矩形波を0V〜±10Vまで
0.1Vステップで印加して、それぞれの電圧値に対す
る透過光強度を液晶表示パネル表面の一部分または全面
に光を照射し測定した。その後、記憶装置49に格納さ
れているプログラムにより、0V印加時の透過光強度を
100%、±10V印加時の透過光強度を0%として透
過光強度を透過率に変換した。その結果得られた透過光
強度特性曲線にて横軸を電圧、縦軸を透過率とする透過
光強度特性曲線を図14に示すように作成した。この透
過光強度特性曲線において電圧の変位に対する透過率変
化が最大となる点の電圧をフリッカー測定電圧とした。
図14の場合、3.1Vと導かれた。
【0028】次に、フリッカーにより生じた面積からイ
オン密度を求めるための検量線を作成した。検量線作用
液晶セルを用い、図4の装置構成により、図2のステー
ジIIの処理を行った。すなわち、振幅10V、0.01
Hzの三角波電圧を印加したときの応答電流からイオン
密度を求め、±3.1V、1Hzの矩形波電圧を印加し
てフリッカー面積を求めた。複数個の液晶セルを測定し
て得られた検量線を図15に示す。イオン密度は、含ま
れているイオンが1価で正負イオンとも等量であると仮
定して、1cm3当たりの個数で表した。得られた検量
線の式は、イオン密度=2.3x1012xフリッカー面
積であった。
【0029】次に、図3に示したステージIII のフロー
チャトにしたがって、±3.1V、10Hzの矩形波
を印加して、第1の実施例の場合と同様にしてイオンの
存在を確認した。次に、印加電圧の周波数を1Hzに変
えて、フリッカー波形を測定しフリッカー面積を求め
た。発生したフリッカー波形の一例を図16に示す。同
図において、フリッカー面積を161にて示す。このフ
リッカー面積161を用い、先に求めた検量線を参照し
てイオン密度を算出することができる。 [評価] このようにして求めたイオン密度と、三角波電圧印加時
の応答電流から求めたイオン密度と比較した結果を表2
に示す。若干の差はあるものの両者の結果はよく一致し
ており、本発明がイオン密度測定に有効であることが
かる。
【0030】
【表2】 (単位:×1013個/cm3
【0031】[第3の実施例]本実施例では、薄膜トラ
ンジスタ(TFT)によって駆動制御される白黒表示の
アクティブマトリックス型液晶表示パネル内におけるイ
オン密度を測定した。本実施例においては、測定電圧は
中間調電圧を用いることとし、ステージIの測定は行わ
ずステージIIの測定は、第2の実施例の同様にして作製
した液晶セルを用い(但し、セルの両面に偏光板を貼り
付けたものを使用)、ステージIII においてのみアクテ
ィブマトリクス型の液晶パネルを用いた。測定装置の構
成は、図17に示されるように、光学系のみを図4に図
示された装置から変更し、光学系以外の装置構成は図4
と同様にした。被測定の液晶表示パネル170として
は、液晶セル171に偏光板172、173が取り付け
られたものが用いられる。光源177にはハロゲンラン
プを使用し、入射側のレンズ174により平行光線に変
換し液晶表示パネル170表面の一部分または全面に照
射した。出射側のレンズ175で再び集光してCCD検
出器176にて検出した。検量線作成用の液晶セルのイ
オン汚染濃度は、プロセス雰囲気に放置する時間を変更
して変化させた。これらの液晶セルのイオン密度を振幅
10V、0.01Hzの三角波電圧を印加したときの応
答電流から求めた。尚、フリッカー測定は図5(a)に
示す回路にて行い、検量線作成時も被験パネル測定時と
同条件となるようにした。得られた検量線を図18に示
す。検量線の式は イオン密度=3.3x1011xフリッカー振幅 であった。この係数は、第1、第2の実施例の場合に比
較して約1桁小さくなっている。これは、矩形波印加で
は液晶セル内の電場変化に応じて電極に電荷が供給され
るが、アクティブマトリクス動作での保持期間中におい
ては電極への電荷供給はなく、イオンのドリフトによる
電圧降下がより顕著に発生するためであると考えられ
る。
【0032】測定用の液晶表示パネルとして、通常の製
造工程により生産されたものと、薄膜トランジスタ基板
と対向基板を貼り合わせる前に、通常よりも長くプロセ
ス雰囲気に放置したものとの2種を用意した。薄膜トラ
ンジスタにより各画素へ電荷供給を行う充電時間を10
0μsとして中間調電圧を印加し、0.4999s間保
持させた。図19は、前者の液晶パネルについてこの駆
動条件で得られたフリッカー波形の一例である。これに
より、該当する領域でのイオン密度は、検量線より約
4.5x1012個/cm3 と求められた。図20は、後
者の試料(プロセス雰囲気に曝した試料)についてのパ
ネル全面での測定結果である。図20において、黒い領
域はイオン密度が1x1012個/cm3 未満で、白い領
域はイオン密度が1x1012個/cm3 以上の領域であ
る。図中、白円で囲んだ領域のイオン密度は1.4x1
13個/cm3 にも達しており、目視でもコントラスト
ムラが観察できた。本発明が、製品レベルの液晶表示パ
ネル、すなわちアクティブマトリックス型液晶表示パネ
ルの面内のイオン密度分布評価に有効であることが分か
った。
【0033】[第4の実施例]本発明のイオン密度測定
方法により、アクティブマトリックス型液晶表示パネル
の表示焼きつけ不良の検査を行った。測定用のモノクロ
アクティブマトリクス型液晶パネルは、第3の実施例と
同様に、かつ基板を張り合わせる前に第3の実施例の場
合より長時間プロセス内に放置を行って、作製した。そ
して、図21に示す黒と白のパターン表示を、黒表示の
部分に±10Vのパルス電圧を充電時間100μs、保
持期間を49.9msとして印加し、白表示部分には電
圧を印加しないことによって行なった。48時間表示を
続けた後、中間調のグレー表示を液晶表示パネル全面に
行なったところ、図22に示すようなパターン残りが発
生した。
【0034】このパターン残りに伴うイオン密度の変化
を測定した。パターン表示を行う前のパネル面内のイオ
ン密度分布を図23に示す。図中、黒い領域はイオン密
度が5x1012個/cm3 未満で、白い領域はイオン密
度が5x1012個/cm3 以上の領域である。プロセス
雰囲気放置時間が長かったためか第3の実施例よりもイ
オン密度が高く、均一に分布しているのが分かる。48
時間のパターン表示を行なった直後のイオン密度分布を
図24に示す。黒表示部分のイオン密度が白表示部分に
比べて低くなっていることがわかる。このイオン密度の
減少は、おそらく、配向膜表面にイオンが吸着したこと
に起因しているものと考えられる。而して、イオンの配
向膜への吸着は液晶中の可動イオン密度を減少させ、ア
クティブマトリックス型液晶表時パネルの重要な電気パ
ラメータである電圧保持率を上昇させる。このように、
部分的に電圧保持率が上昇したことにより、透過率に差
が生じ、焼付けが確認された。このように、本発明によ
れば、液晶表示パネルの振る舞いとイオンとの相関を調
べることができるので、表示不良原因がイオンによるも
のかまたはそれ以外によるものなのかを切り分けること
ができ、表示パネルの動作解析や検査に有効な手段を提
供することができる。
【0035】[第5の実施例]本実施例では,セル内に
内部DCを持つ場合のイオン密度を求める方法について述
べる。本実施例で用いた液晶セルは第1の実施例と同様
にネマティック液晶のホモジニアス配向セルである。本
実施例で用いた液晶セルは、第1の実施例と同様に図8
(a)、(b)に示すように作製した。 図8に示すよ
うに、コーニング7059からなる、3cmx4cmの
ガラス基板81上に、酸化インジウム錫(ITO)膜を
成膜し、1cmx1cmの画素電極82を中央部に形成
するとともに引き出し電極83を形成した。電極形成後
その上に、第1の実施例とは異なるポリアミック酸をス
ピンコートして90℃で30分の仮焼成を行った後、2
00℃で1時間本焼成を行いポリイミド配向膜84を形
成した。尚、1個のセル組立を行うのに、上記配向膜付
き基板を2枚必要とする。また、反射エリプソメータで
測定したポリイミド配向膜の膜厚は620Å〜710Å
であった。ラビングはレーヨンのロールを用いて回転数
800回転/min、押し込み0.6mm、ステージ速
度20mm/sの条件で1回行った。ラビング後、2枚
のガラス基板81をそれぞれのラビング方向が反対向き
となるように重ね合わせ、直径が5μmのスペーサー粒
子を混ぜたエポキシ系接着剤85で固定した。このセル
に第1の実施例とは異なるフッ素系のネマティック液晶
86を等方相注入して、紫外線硬化樹脂で封孔を行い、
アンチパラレルセル(対向する2面の配向方向が180
°異なっているセル)とした。なお、図示されていない
が、画素電極を除くガラス基板上には遮光膜が形成され
ている。
【0036】このように形成された液晶セルは、第1の
実施例と同様に図4に示す測定装置に配置される。上記
のように液晶セルを複数作成して、三角波電圧印加の応
答電流からイオン密度を求め、イオン電流が確認できな
いものを電圧−透過率グラフ上の透過光強度特性曲線測
定用の参照用液晶セルとし、イオン電流が認められたも
のを測定用液晶セルとした。加えて、後述の透過率の振
幅からイオン密度を求める際の検量線の作成用に、第1
の実施例と同様に強制汚染を行った液晶セルを作成し
た。初めに、参照用液晶セルの電圧−透過率グラフ上の
透過光強度特性曲線を測定した(図1:ステージI)。
すなわち、前述の図4の測定装置を使用し、10Hzの
矩形波を0V〜±10Vまで0.1Vステップで任意波
形発生器46を用いて印加し、それぞれの電圧値に対す
る透過光強度を液晶セル表面の一部分または全面に光を
照射することにより測定した。しかる後、情報処理装置
48は記憶装置49内に格納されているプログラムによ
り、0V印加時の透過光強度を100%、±10V印加
時の透過光強度を0%として透過光強度を透過率に変換
した。その結果得られた電圧−透過率グラフ上の透過光
強度特性曲線から、印加電圧は±2.5Vと決定され
た。
【0037】次に、フリッカー振幅からイオン密度を求
めるための検量線を作成した。検量線作成用液晶セル
に、±2.5V、1Hzの矩形波電圧を印加してフリッ
カー振幅を求め(ステージII:ステップS203〜20
6)、続いて振幅10V、0.01Hzの三角波電圧を
印加したときの応答電流からイオン密度を求めた(ステ
ージII:ステップS207、208)。イオン密度は、
含まれているイオンが1価で正負イオンとも等量である
と仮定して、1cm3 当たりの個数で表した。得られた
検量線の式は、 イオン密度=3.5x1012xフリッカー振幅 であった。ステージIII (図3)のフローチャトに従
い、まず、±2.5V、10Hzの矩形波を印加し、そ
のとき現れたフリッカー波形の一例を図25(a)に示
す。同図に示すように、フリッカーが印加周波数と同じ
周波数を持つため、可動イオンは存在しないように見え
る。しかし、液晶セルの内部DCの影響につぶされている
可能性があるので、ステップS310で印加電圧にDCオ
フセット電圧を−5mVずつ順次加えていく。本実施例
の場合、DCオフセット値が−40mVになると図25
(b)のように、正電圧から負電圧に変わる時点に透過
率のピーク2501が現れ始め、さらにDCオフセット
値を−65mVとすると、図25(c)のような典型的
なイオンのドリフトによるフリッカーが観測された。し
たがって、ステップS311でイオンによるフリッカー
有りと判断され、作業はステップS303へと進む。ス
テップS303では±2.5V、1Hzの電圧が印加さ
れるが、ステップS310で得られたDCオフセット値
−65mVが引き継がれ、液晶セルには+2.565
V、−2.435Vの交番電圧が周波数1Hzで印加さ
れる。このときフリッカーは図26(a)のように観測
された。ステップS310での10Hz矩形波印加時で
は、−65mVのオフセット電圧を加えることにより印
加電圧極性によらない対象なフリッカーが得られた。し
かし、1Hz印加では図26(a)のように、透過率一
定領域の強度に印加電圧の極性による差が現れている。
正の電圧が印加されたときの一定領域2601は負の電
圧が印加されたときの一定領域2602よりも約0.3
%低く、内部DCの影響が若干残っている。そこで、ステ
ップS306で透過率一定領域の差有りと判断され、差
がなくなるまでDCオフセット電圧が調整される。本実
施例ではDCオフセット値が−72mVの時に両者の差
がほぼ無くなった。図26(b)はそのときに得られた
フリッカー波形である。その後、ステップS308、ス
テップS309と進み、本実施例の場合はフリッカー振
幅値から、イオン密度は約5x1012個/cm3 と見積
もられた。なお、本発明は、液晶表示パネルばかりでな
く、一般の液晶パネルについても適用が可能なものであ
る。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の液晶パネ
ルのイオン測定方法は、液晶パネルの透過光に現れるフ
リッカーの大きさを検知してイオン密度を測定するもの
であるので、非破壊にてパネル内のイオン密度を知るこ
とができる。また、本発明によれば、イオン密度のパネ
ル面内の分布や局所領域でのイオン密度を知ることが出
来るので、液晶パネルの動作解析/不良解析に有効な手
段を提供することができる。また、本発明によれば、問
題発生から液晶内のイオン密度情報を入手するまでの時
間が短時間で済むことから、工業上の利用価値は極めて
大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態および実施例を説明する
ためのフローチャート(その1)。
【図2】 本発明の実施の形態および実施例を説明する
ためのフローチャート(その2)。
【図3】 本発明の実施の形態および実施例を説明する
ためのフローチャート(その3)。
【図4】 本発明の実施の形態および実施例を説明する
ための測定装置の概略構成図。
【図5】 本発明の実施の形態および実施例を説明する
ための回路図と電圧波形図。
【図6】 本発明の実施の形態を説明するための波形図
(その1)。
【図7】 本発明の実施の形態を説明するための波形図
(その2)。
【図8】 本発明の第1の実施例を説明するためのパタ
ーン図と断面図。
【図9】 本発明の第1の実施例を説明するための偏光
板配置図。
【図10】 本発明の第1の実施例を説明するための特
性図(その1)。
【図11】 本発明の第1の実施例を説明するための特
性図(その2)。
【図12】 本発明の第1の実施例を説明するための波
形図(その1)。
【図13】 本発明の第1の実施例を説明するための波
形図(その2)。
【図14】 本発明の第2の実施例を説明するための特
性図(その1)。
【図15】 本発明の第2の実施例を説明するための特
性図(その2)。
【図16】 本発明の第2の実施例を説明するための波
形図。
【図17】 本発明の第3の実施例を説明するための測
定装置の構成図。
【図18】 本発明の第3の実施例を説明するための特
性図。
【図19】 本発明の第3の実施例を説明するための波
形図。
【図20】 本発明の第3の実施例を説明するためのイ
オン密度分布図。
【図21】 本発明の第4の実施例を説明するための表
示パターン図。
【図22】 本発明の第4の実施例を説明するための表
示パターン図。
【図23】 本発明の第4の実施例を説明するためのイ
オン密度分布図。
【図24】 本発明の第4の実施例を説明するためのイ
オン密度分布図。
【図25】 本発明の第5の実施例を説明するための波
形図。
【図26】 本発明の第5の実施例を説明するための波
形図。
【符号の説明】
41 光源 42、43 偏光板 44 液晶セル 45 光検出器 46 任意波形発生器 47 オシロスコープ 48 情報処理装置 49 記憶装置 71 透過率変化の飽和状態領域 72 最小透過率 73 フリッカー振幅 74 フリッカー面積 81 ガラス基板 82 画素電極 83 引き出し電極 84 ポリイミド配向膜 85 エポキシ系接着剤 86 ネマティック液晶 91、92 偏光板の偏光方向 93 ラビング方向 161 フリッカー面積 170 液晶表示パネル 171 液晶セル 172、173 偏光板 174、175 レンズ 176 CCD検出器 177 光源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 G01N 21/21

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶に含有されるイオンが追従するに十
    分の低い周波数の交番電圧を複数サイクル連続して液晶
    パネルに印加し、その透過光強度のフリッカー波形から
    液晶内のイオン密度を検出することを特徴とする液晶パ
    ネルのイオン密度測定方法。
  2. 【請求項2】 液晶内でのイオンの移動が完了するに十
    分な低い周波数の交番電圧を印加してフリッカーを発生
    させることを特徴とする請求項1記載の液晶パネルのイ
    オン密度測定方法。
  3. 【請求項3】 液晶内でのイオンが印加電圧に追従する
    ことができかつ飽和することのない周波数の交番電圧に
    て液晶パネルを駆動し、イオンの存在の確認を行う過程
    が含まれていることを特徴とする請求項1または2記載
    の液晶パネルのイオン密度測定方法。
  4. 【請求項4】 前記交番電圧の電圧値は、当該液晶パネ
    ルが中間調付近を表示することのできる値であることを
    特徴とする請求項1記載の液晶パネルのイオン密度測定
    方法。
  5. 【請求項5】 透過光強度のフリッカー波形の振幅から
    イオン密度を求めることを特徴とする請求項1記載の液
    晶パネルのイオン密度測定方法。
  6. 【請求項6】 透過光強度のフリッカー波形により生じ
    た、フリッカー波形のない状況時の水平線とフリッカー
    波形部分とにより囲まれた面積からイオン密度を求める
    ことを特徴とする請求項1記載の液晶パネルのイオン密
    度測定方法。
  7. 【請求項7】 液晶パネルが矩形波駆動若しくはアクテ
    ィブマトリクス駆動されることを特徴とする請求項1記
    載の液晶パネルのイオン密度測定方法。
  8. 【請求項8】 交番電圧を印加している液晶パネル全面
    に均一な可視光を照射することを特徴とする請求項1記
    載の液晶パネルのイオン密度測定方法。
  9. 【請求項9】 交番電圧を印加している液晶パネルの一
    部分に均一な可視光を照射することを特徴とする請求項
    1記載の液晶パネルのイオン密度測定方法。
  10. 【請求項10】 パネル全面から出射する透過光の平均
    的な強度を測定することを特徴とする請求項1または8
    記載の液晶パネルのイオン密度測定方法。
  11. 【請求項11】 前記液晶パネルの部分領域からの透過
    光の強度を個別に測定し、部分領域毎のイオン密度を求
    めることを特徴とする請求項1、8または9記載の液晶
    パネルのイオン密度測定方法。
  12. 【請求項12】 前記液晶パネルの透過光を撮像素子に
    よって観測し、前記撮像素子の画素毎若しくはグループ
    分けされた画素毎に分離して液晶パネルの透過光を測定
    することを特徴とする請求項11記載の液晶パネルのイ
    オン密度測定方法。
  13. 【請求項13】 交番電圧に直流オフセット電圧を加え
    るかまたは液晶パネルの共通電極に電位を与えることに
    より、直流成分によるフリッカーを消失させて、イオン
    のドリフトによる透過光強度のフリッカー波形のみから
    液晶内のイオン密度を検出することを特徴とする請求項
    1〜12のいずれかに記載の液晶パネルのイオン密度測
    定方法。
  14. 【請求項14】 透過光強度一定領域での交番電圧の正
    負における透過光強度に差があるとき、この差を消滅さ
    せるように直流オフセット電圧または液晶パネルの共通
    電極の電位を調整した後、液晶内のイオン密度を検出す
    ることを特徴とする請求項2記載の液晶パネルのイオン
    密度測定方法。
  15. 【請求項15】 液晶に含有されるイオンが追従するに
    十分の低い周波数の交番電圧を複数サイクル連続して
    晶パネルに印加する波形発生装置と、液晶パネルに光を
    照射する光源と、前記液晶パネルを透過する光の強度を
    観測するエリアイメージセンサと、前記波形発生装置お
    よび前記エリアイメージセンサの動作を統轄する、記憶
    装置を有する情報処理装置とを備えた液晶パネルのイオ
    ン密度測定装置において、前記エリアイメージセンサの
    画素毎の検出データを個々に処理することができ前記画
    素毎にフリッカーを検出することができることを特徴と
    する液晶パネルのイオン密度測定装置。
  16. 【請求項16】 前記エリアイメージセンサの出力波形
    を監視することのできるオシロスコープがさらに備えら
    れており、前記情報処理装置は前記オシロスコープを介
    して前記エリアイメージセンサの出力データを収集する
    ことを特徴とする請求項15記載の液晶パネルのイオン
    密度測定装置。
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電子技術、第37巻第6号、日刊工業新聞社、1995年6月1日、第76〜77頁

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