以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本実施形態に係る制御方法
2.本実施形態に係るレンズユニット、撮像装置
3.本実施形態に係るプログラム
(本実施形態に係る制御方法)
まず、本実施形態に係る制御方法について説明する。以下では、本実施形態に係る制御方法に係る処理を、本実施形態に係るレンズユニットが行う場合を例に挙げる。
また、以下では、単焦点である場合、すなわち、焦点距離が固定であり、当該焦点距離において撮像距離(一般に撮像デバイスとフォーカスが合っている像面。「被写体距離」ともよばれる。)が移動する場合を、主に例に挙げる。なお、本実施形態に係る制御方法は、単焦点に適用されることに限られない。例えば、本実施形態に係る制御方法は、焦点距離が可変である場合に適用することも可能である。
図1は、本実施形態に係るレンズユニットの構成の一例を示す説明図である。図1では、鏡筒(図示せず)に設けられるレンズ、および、アクチュエータやカム環などの各種機構を、簡易的に示している。鏡筒(図示せず)に設けられるレンズとしては、例えば、フォーカスレンズ、ズームレンズ、単焦点レンズなどの様々なレンズが、挙げられる。
なお、本実施形態に係るレンズユニットでは、フォーカスレンズと、ズームレンズなどの他のレンズとが、同一のレンズであってもよい。例えば、フォーカスレンズと単焦点レンズとが同一のレンズであるときが、単焦点である場合の一例に該当する。また、例えば、フォーカスレンズとズームレンズとが同一のレンズであるときが、焦点距離が可変である場合の一例に該当する。上述したように、以下では、単焦点であることを前提として、本実施形態に係る制御方法を説明する。また、焦点距離が可変である場合には、複数のフォーカスレンズについて、後述する“光学性能を満足する範囲”が変わることとなる。
図1に示す符号L1は、一のフォーカスレンズを示しており、図1に示す符号M1は、フォーカスレンズL1を鏡筒内で移動させるアクチュエータを示している。また、図1において符号L2は、他のフォーカスレンズを示しており、図1に示す符号M2は、カム環を示している。また、図1では示していないが、本実施形態に係るレンズユニットは、フォーカスレンズL2を鏡筒内で移動させるアクチュエータを、備える。
フォーカスレンズL1、フォーカスレンズL2は、それぞれ1つのフォーカスレンズで構成される。また、フォーカスレンズL1、フォーカスレンズL2のうちの、一方または双方は、複数のサブレンズから構成されるレンズ群であってもよい。また、フォーカスレンズL1、フォーカスレンズL2は、それぞれ対応するアクチュエータによって、鏡筒内を移動しうる。図1を例に挙げると、フォーカスレンズL1、フォーカスレンズL2それぞれは、鏡筒内において、光軸に沿って図1における左右方向に移動しうる。
なお、本実施形態に係るレンズユニットが備えるフォーカスレンズの数は、図1に示すフォーカスレンズL1およびフォーカスレンズL2のような、2つに限られない。例えば、本実施形態に係るレンズユニットは、3つ以上のフォーカスレンズを備えていてもよい。本実施形態に係るレンズユニットは、複数のフォーカスレンズのうちの少なくとも1つが、複数のサブレンズから構成されるレンズ群である構成をとることが可能である。以下では、説明の便宜上、本実施形態に係るレンズユニットが、フォーカスレンズL1およびフォーカスレンズL2という2つのフォーカスレンズを備える場合を、例に挙げる。
上述したように、コントラストAFが行われる場合には、例えば、レンズユニットの構成上、フォーカスレンズの移動が物理的に制限されることなどによって、フォーカスレンズに移動の不足量が生じることが起こりうる。以下では、上記フォーカスレンズにおける移動の不足量を、単に「不足量」と示す場合がある。
図2は、本実施形態に係る制御方法を説明するための説明図であり、コントラストAFが行われる場合において生じうる、フォーカスレンズの移動の不足量の一例を示している。図2では、あるフォーカスレンズの位置と、コントラストAFの検波値(上述したコントラスト値に該当する。)との関係を示している。
図2に示すように、あるフォーカスレンズには、構成上の物理的な制限などによって、図2のAに示すように“物理的なフォーカス可動範囲”が存在する。
また、あるフォーカスレンズには、図2のBに示すように“光学性能を満足する範囲”が、“物理的なフォーカス可動範囲”内に設定される。ここで、本実施形態に係る“光学性能を満足する”とは、例えば、当該フォーカスレンズと協働する他のフォーカスレンズとの関係で、設定されている所定のMTF(Modulation Transfer Function)を満たしていることが挙げられる。“光学性能を満足する範囲”における無限遠側は、「INF」(infinity)とよばれ、また、“光学性能を満足する範囲”における最短撮像距離側は、「MOD」(Minimum Object(Optical) Distance)とよばれる。以下では、「INF」に対応する撮像距離を「撮像距離1」と示し、「MOD」に対応する撮像距離を「撮像距離2」と示す。
フォーカスレンズの位置が、図2のBに示す“光学性能を満足する範囲”内に存在する場合は、当該フォーカスレンズおよび協働する他のフォーカスレンズを利用して光学性能を満足した撮像を行うことが可能な場合に該当する。複数のフォーカスレンズに基づく撮像距離が、撮像距離1〜撮像距離2に含まれる場合には、撮像距離1〜撮像距離2間のそれぞれの像面において、設定された所定のMTFを満たすこととなる。また、設定された所定のMTFを満たすとき、複数のフォーカスレンズを構成するフォーカスレンズ群は、図2のBに示す“光学性能を満足する範囲”内に存在することとなる。
また、コントラストAFが行われる場合には、図2のCに示す“コントラストAFに必要な可動範囲”のように、コントラストAFを行うためのコントラスト値を取得するために必要な範囲が存在する。
例えば図2に示すように、コントラスト値により得られる近似曲線のピーク位置、すなわち、コントラストAFにおける合焦点が、撮像距離1の付近に存在することとなる場合には、図2のAに示す“物理的なフォーカス可動範囲”に、図2のCに示す“コントラストAFに必要な可動範囲”が含まれないことが起こりうる。合焦点が撮像距離1の付近に存在することとなる場合の例としては、例えば、撮像距離1の付近に存在する被写体に対して、コントラストAFが行われる場合が、挙げられる。
そして、図2のCに示す“コントラストAFに必要な可動範囲”のうちの、図2のAに示す“物理的なフォーカス可動範囲”に含まれない範囲が、図2のDに示すように“不足量”に該当する。
コントラストAFが行われる場合において、図2のDに示すような“不足量”が生じた場合には、コントラスト値が十分に得られず、コントラストAFを十分な精度で行うことができない恐れがある。
そこで、本実施形態に係るレンズユニットは、本実施形態に係る制御方法に係る処理として、“複数のフォーカスレンズの移動を制御する処理”(以下、「移動制御処理」と示す。)を行う。
本実施形態に係るレンズユニットにおいて、本実施形態に係る移動制御処理は、例えば、本実施形態に係るレンズユニットが備える制御回路によって、行われる。
制御回路は、複数のフォーカスレンズにそれぞれ対応する複数のアクチュエータの動作を、それぞれ制御することによって、複数のフォーカスレンズの移動を制御する。制御回路は、例えば、制御対象のアクチュエータに対して、アクチュエータの動作を制御する制御信号を伝達することによって、当該アクチュエータの動作を制御する。
ここで、本実施形態に係るアクチュエータそれぞれは、図1を参照して説明したように、対応するフォーカスレンズを鏡筒内で移動させる。よって、制御回路は、アクチュエータの動作を制御することによって、当該アクチュエータに対応するフォーカスレンズを、アクチュエータの動作の制御に応じて、鏡筒内で移動させることができる。移動制御処理を行う制御回路の一例については、後述する。
より具体的には、本実施形態に係るレンズユニットは、“複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が、所定の光学性能を満たす範囲内である場合”と、“複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が、当該所定の光学性能を満たさない範囲外である場合”とで、複数のフォーカスレンズの移動に係る規則を変えて、複数のフォーカスレンズの移動を制御する。つまり、本実施形態に係るレンズユニットは、複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が範囲内である場合と範囲外である場合とで、複数のフォーカスレンズの移動を異なる規則で制御する。
ここで、本実施形態に係る範囲内とは、フォーカスレンズを利用して光学性能を満足した撮像を行うことが可能な、フォーカスレンズの位置の範囲である。また、本実施形態に係る範囲外とは、フォーカスレンズを利用して光学性能を満足した撮像を行うことが可能ではない、フォーカスレンズの位置の範囲である。複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が範囲内である場合には、図2のBに示す“光学性能を満足する範囲”のように、複数のフォーカスレンズに基づく撮像距離が、最短撮像距離(図2に示す撮像距離1)と無限遠(図2に示す撮像距離2)との間に位置することとなる。例えば、フォーカスレンズの群間距離(後述する)の物理的な制限によって、光学性能が満たされないことが、生じうる。
つまり、フォーカスレンズの位置が範囲内である場合としては、フォーカスレンズの位置が、図2のBに示す“光学性能を満足する範囲”内に存在する場合が、挙げられる。また、フォーカスレンズの位置が範囲外である場合としては、フォーカスレンズの位置が、図2のAに示す“物理的なフォーカス可動範囲”内であり、かつ図2のBに示す“光学性能を満足する範囲”内にない場合が、挙げられる。上述したように、“光学性能を満足する範囲”は、例えば、設定されている所定のMTFを満たしているか否かに基づき得られる。
本実施形態に係る複数のフォーカスレンズの移動に係る規則は、例えば、移動プロファイルにより規定される。
ここで、本実施形態に係る移動プロファイルとは、フォーカスレンズの移動の制御に係る設定情報である。本実施形態に係る移動プロファイルとしては、例えば、“ボケ量と移動量との関係を示す光学性能を満足する関係式を示すデータ”、または、“ボケ量と、上記光学性能を満足する関係式から得られるフォーカスレンズそれぞれの移動量とが対応付けられているテーブル(または、データベース。以下、同様とする。)”などが、挙げられる。
本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、範囲内である場合における複数のフォーカスレンズの移動と、範囲外である場合における複数のフォーカスレンズの移動とを、異なる移動プロファイルに基づいて制御する。換言すると、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が範囲内である場合と、複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合とにおいて、制御に用いる移動プロファイルを切り替える。ここで、制御に用いる移動プロファイルの切り替えは、複数のフォーカスレンズの移動に係る規則の切り替えに相当する。
複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が範囲内である場合と、複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合とにおいて、複数のフォーカスレンズの移動が、異なる移動プロファイルに基づいて制御されることによって、複数のフォーカスレンズの移動に係る規則は、範囲内である場合と範囲外である場合とで変わることとなる。
また、本実施形態に係るレンズユニットは、制御情報に基づいて、移動制御処理を行う。本実施形態に係るレンズユニットが移動制御処理に用いる制御情報は、例えば、本実施形態に係る撮像ユニットから取得される。
本実施形態に係る制御情報は、例えば、単位時間あたりのボケ量を示すデータである。制御情報は、例えば、本実施形態に係る撮像ユニットにより生成される。本実施形態に係る撮像ユニットでは、本実施形態に係るレンズユニットを介した撮像により得られた信号の検波結果に基づいて、単位時間あたりのボケ量が決定される。
ここで、本実施形態に係る単位時間は、例えば、1[sec]、2[sec]などの固定の時間であってもよいし、ユーザの操作などに基づき設定することが可能な可変の時間であってもよい。以下では、本実施形態に係る単位時間が1[sec]である場合を例に挙げる。
また、本実施形態に係るボケ量とは、例えば、範囲内における任意の注目点の位置において、単位時間後にどの程度ボカすかを示す値である。本実施形態に係るボケ量は、例えば「デフォーカス量」とよばれる場合がある。
また、本実施形態に係る“ボカす”とは、例えば、焦点深度(像面)を変更することにより、注目点において「空間周波数を変更すること(空間周波数を落とすこと)」、あるいは、「結像面のずれ量を変更すること(ずれ量を増やすこと)」をいう。
なお、本実施形態に係る制御情報は、上記単位時間あたりのボケ量を示すデータに限られない。例えば、本実施形態に係る制御情報は、複数のフォーカスレンズの移動量を示すデータと、複数のフォーカスレンズの移動速度を示すデータとの、一方または双方であってもよい。また、本実施形態に係る制御情報は、例えば、フォーカスレンズの位置を示すデータであってもよい。このとき、本実施形態に係るレンズユニットが複数のフォーカスレンズを有する場合における位置を示すデータとしては、例えば、複数のフォーカスレンズそれぞれの位置を示すデータ、または、複数のフォーカスレンズを1つのフォーカスレンズとみなした場合の仮想的な位置を示すデータが、挙げられる。以下では、本実施形態に係る制御情報が、単位時間あたりのボケ量を示すデータである場合を例に挙げる。
本実施形態に係る撮像ユニットは、例えば、撮像素子、フィルタ、および検波回路などにより得られた信号から得られるコントラストを示すデータ(例えば、コントラストAFの検波値を示すデータ。撮像により得られた信号の検波結果の一例)に基づいて、単位時間あたりのボケ量を決定する。
ここで、本実施形態に係るレンズユニットと本実施形態に係る撮像ユニットとは、1つの装置を構成するユニットであってもよいし、別体のユニットであってもよい。本実施形態に係る撮像ユニットと本実施形態に係るレンズユニットとが別体のユニットである場合、本実施形態に係る撮像ユニットは、撮像装置(いわゆるボディ側)として機能、また、本実施形態に係るレンズユニットは、交換レンズとして機能する。本実施形態に係るレンズユニットと本実施形態に係る撮像ユニットとが1つの装置を構成するユニットである場合の構成の一例、および、本実施形態に係るレンズユニットと本実施形態に係る撮像ユニットとが別体のユニットである場合の構成の一例については、後述する。
なお、制御情報が、本実施形態に係る撮像ユニットなどの外部のデバイスから取得される場合には、当該外部のデバイスは、例えば、単位時間あたりのボケ量を指示する制御情報を送信する。しかしながら、本実施形態に係るレンズユニットでは、単位時間あたりのボケ量をどのように実現するかについて、制御情報を送信する外部のデバイスに依存しない。つまり、本実施形態に係るレンズユニットは、取得された制御情報に基づいて、制御情報を送信する外部のデバイスに依存せずに、移動制御処理を行うことが可能である。本実施形態に係るレンズユニットにおける、取得された制御情報に基づく移動制御処理の一例としては、例えば、“範囲内と範囲外とで複数のフォーカスレンズの移動に係る規則が異なり、かつ、範囲内と範囲外とにおける複数のフォーカスレンズの移動が制御情報が示す単位時間当たりのボケ量に対して等価とみなせるように、制御情報に基づき複数のフォーカスレンズの移動を制御する処理”が、挙げられる。
よって、仮に、本実施形態に係る撮像ユニットなどの制御情報を送信する外部のデバイスの多機能化、高機能化が進んだとしても、本実施形態に係るレンズユニットは、当該外部のデバイスに依存せずに、移動制御処理を行うことができる。したがって、本実施形態に係るレンズユニットが用いられる場合には、仮に、本実施形態に係る撮像ユニットなどの制御情報を送信する外部のデバイスの多機能化、高機能化が進んだとしても、当該外部のデバイスとの互換性の担保が図られる。
本実施形態に係るレンズユニットは、フォーカスレンズそれぞれの位置が範囲内である場合、およびフォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合において、制御情報が示すボケ量が満たされるように、複数のフォーカスレンズの移動を制御する。
本実施形態に係るレンズユニットは、制御情報が示すボケ量に基づいて、フォーカスレンズそれぞれを移動させるための移動量を決定する。そして、本実施形態に係るレンズユニットは、決定された移動量で複数のフォーカスレンズを移動させることによって、複数のフォーカスレンズの移動を制御する。
ここで、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、制御情報が示すボケ量に基づいて、複数のフォーカスレンズそれぞれの単位時間あたりの移動速度を決定する。単位時間あたりの移動速度が決定されることによって、フォーカスレンズそれぞれを移動させるための単位時間あたりの移動量を得ることができる。なお、本実施形態に係るレンズユニットは、単位時間あたりの移動速度を決定せずに、単位時間あたりの移動量を決定することも可能である。
上述したように、本実施形態に係るレンズユニットでは、制御回路によって移動制御処理が行われる。また、制御回路は、制御対象のアクチュエータに対して制御信号を伝達して、当該アクチュエータの動作を制御することによって、フォーカスレンズを移動させる。制御回路は、決定された移動量分フォーカスレンズを移動させる命令を含む制御信号を、各アクチュエータに伝達することによって、複数のフォーカスレンズそれぞれの移動を制御する。つまり、制御回路において決定される移動量は、アクチュエータを動作させる駆動量に相当する。
本実施形態に係るレンズユニットでは、制御回路が、上記のように制御情報に基づきアクチュエータの動作を制御することによって、ボケ量が制御される。
本実施形態に係るレンズユニットは、例えば下記の(1)、(2)に示すように、範囲内、範囲外それぞれにおいて、制御情報が示すボケ量が満たされるように複数のフォーカスレンズの移動を制御する。つまり、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、撮像距離に応じた制御の仕方によって、複数のフォーカスレンズの移動を制御する。ここで、例えば下記の(1)、(2)に示す制御は、異なる移動プロファイルに基づく制御の一例に該当する。
(1)複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が範囲内である場合
本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、ボケ量と移動量との関係を示す光学性能を満足する関係式を用いることによって、複数のフォーカスレンズそれぞれの移動量を求める。上記ボケ量と移動量との関係は、例えば、「複数のフォーカスレンズそれぞれの移動量と像面の移動量との関係」、または、「範囲内における任意の注目点でのボケ量と、像面の移動量(あるいは当該像面の移動量を実現する複数のフォーカスレンズそれぞれの移動量)との関係」と、いえる。
ここで、上記光学性能を満足する関係式としては、例えば、「焦点距離(焦点深度、像面)が変更された場合であっても、変更された焦点距離におけるボケ量(空間周波数やMTF)が、設定されている所定値を満たすような、複数のフォーカスレンズの位置関係を規定する式」が、挙げられる。
また、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、“ボケ量と、上記光学性能を満足する関係式から得られるフォーカスレンズそれぞれの移動量とが対応付けられているテーブル(または、データベース。以下、同様とする。)”を参照することによって、複数のフォーカスレンズそれぞれの移動量を求めてもよい。ここで、上記ボケ量と移動量とが対応付けられているテーブルは、例えば、本実施形態に係るレンズユニットが備える記録媒体や、本実施形態に係るレンズユニットの外部の記録媒体などの記録媒体に、記憶される。
(2)複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合
複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合には、光学性能が満たされるように撮像される必要はない。つまり、複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合には、ボケ量のみが制御されればよい。
よって、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、制御情報が示すボケ量を満たし、かつ、フォーカスレンズそれぞれのボケ量の割合が上記(1)の場合と異なるように、複数のフォーカスレンズそれぞれの移動量を求める。
図1に示すフォーカスレンズL1、フォーカスレンズL2の移動量を求める場合を例に挙げると、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば下記の数式1によって、フォーカスレンズL1、フォーカスレンズL2の移動量を求める。なお、フォーカスレンズの数が3以上である場合には、下記の数式1に、フォーカスレンズの数分項数が増えることとなる。
下記の数式1に示す“Z”は、制御情報が示す単位時間あたりのボケ量(例えば、単位は[mm]で表される。)である。また、下記の数式1に示す“d1”は、フォーカスレンズL1の移動量(例えば、単位は[mm]で表される。)を示し、下記の数式1に示す“d2”は、フォーカスレンズL2の移動量(例えば、単位は[mm]で表される。)を示す。
また、下記の数式1に示す“PK1”は、フォーカスレンズL1のピント敏感度を示し、下記の数式1に示す“PK2”は、フォーカスレンズL2のピント敏感度を示す。
ここで、ピント敏感度とは、フォーカスレンズが単位時間分動作した場合における、撮像素子における光軸方向と直交する方向での像面移動量であり、既知の値である。例えば、あるフォーカスレンズが、1[mm]動いたときに、像面が、上記光軸方向と直交する方向における正の方向に3[mm]移動した場合には、ピント敏感度PK=3と求められる。また、例えば、あるフォーカスレンズが、1[mm]動いたときに、像面が、上記光軸方向と直交する方向における負の方向に3[mm]移動した場合には、ピント敏感度PK=−3と求められる。本実施形態に係るレンズユニットは、各フォーカスレンズに対応するピント敏感度を示すデータを、例えば本実施形態に係るレンズユニットが備える記録媒体などから読み出すことなどによって、取得する。
ここで、フォーカスレンズのピント敏感度は、フォーカスレンズの位置が範囲外では大きく変化しないので、ピント敏感度の変化の影響を無視してもよい。この場合、フォーカスレンズそれぞれのボケ量の負担率(ボケ量の割合)は、フォーカスレンズL1の移動量d1、フォーカスレンズL2の移動量d2に依存する。
本実施形態に係るレンズユニットは、上記数式1が満たされ、かつ、フォーカスレンズそれぞれのボケ量の割合が異なるように、フォーカスレンズL1の移動量d1、フォーカスレンズL2の移動量d2を決定する。
より具体的には、本実施形態に係るレンズユニットは、フォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合において、例えば下記の(2−1)〜(2−4)に示すように、複数のフォーカスレンズの移動を制御する。例えば下記の(2−1)〜(2−4)に示すように、複数のフォーカスレンズの移動が制御されることによって、“フォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合における、フォーカスレンズそれぞれの単位時間あたりの移動量”を、“フォーカスレンズそれぞれの位置が範囲内である場合における、フォーカスレンズそれぞれの単位時間あたりの移動量”と異ならせることが、実現される。
(2−1)第1の例
本実施形態に係るレンズユニットは、フォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合、複数のフォーカスレンズのうちの少なくとも1つのフォーカスレンズの移動を止めるように制御する。
本実施形態に係るレンズユニットでは、上述したように、例えば、制御回路が制御信号をアクチュエータに伝達して当該アクチュエータの動作を制御することによって、フォーカスレンズそれぞれの移動が制御される。制御回路は、例えば、複数のフォーカスレンズのうちの少なくとも1つのフォーカスレンズに対応するアクチュエータに対して、動作を止める命令を含む制御信号を伝達することによって、複数のフォーカスレンズのうちの少なくとも1つのフォーカスレンズの移動を止めさせる。なお、フォーカスレンズが移動しているときに、アクチュエータに対して上記制御信号が伝達された場合(すなわち、フォーカスレンズの移動を止めるように制御された場合)、実際には、フォーカスレンズは、慣性による移動などによって、上記制御信号が伝達されてから止まるまでの間に移動しうる。
上記のように、複数のフォーカスレンズのうちの少なくとも1つのフォーカスレンズの移動を止めるように制御されることによって、フォーカスレンズそれぞれのボケ量の割合を、上記(1)の場合と異ならせることができる。よって、複数のフォーカスレンズのうちの少なくとも1つのフォーカスレンズの移動を止めるように制御されることによって、範囲外である場合におけるフォーカスレンズそれぞれの単位時間あたりの移動量を、範囲内である場合におけるフォーカスレンズそれぞれの単位時間あたりの移動量と異ならせることが、実現される。
(2−2)第2の例
本実施形態に係るレンズユニットは、フォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合、フォーカスレンズの種類と、複数のフォーカスレンズそれぞれに対応するアクチュエータの種類との、一方または双方に基づいて、複数のフォーカスレンズそれぞれの移動量を制御する。
(A)フォーカスレンズの種類に基づく制御の例
フォーカスレンズの種類としては、例えば、質量により区分される種類が、挙げられる。一例を挙げると、フォーカスレンズの種類としては、例えば、「大きいフォーカスレンズ」と「小さいフォーカスレンズ」とが、挙げられる。「大きいフォーカスレンズ」は「重玉」とよばれ、「小さいフォーカスレンズ」は「軽玉」とよばれる場合がある。
ここで、「大きいフォーカスレンズ」と「小さいフォーカスレンズ」とは、例えば、F値、質量、およびピント敏感度のうちの1または2以上に基づいて、分類される。
一例を挙げると、「大きいフォーカスレンズ」に分類されるフォーカスレンズとしては、例えば下記のような設定されている閾値に基づき分類されるフォーカスレンズが、挙げられる。
・F値:4.0以下
・質量:100[g]以上
また、「小さいフォーカスレンズ」に分類されるフォーカスレンズとしては、例えば下記のような設定されている閾値に基づき分類されるフォーカスレンズが、挙げられる。
・F値:4.0より大きい
・質量:10[g]程度
なお、「大きいフォーカスレンズ」、「小さいフォーカスレンズ」に分類されるフォーカスレンズの例は、上記に示す例に限られない。
例えば、本実施形態に係るレンズユニットが2つのフォーカスレンズを備えている場合、より質量が大きいフォーカスレンズ、または、よりF値が小さいフォーカスレンズを「大きいフォーカスレンズ」とし、他方のフォーカスレンズを「小さいフォーカスレンズ」としてもよい。
また、本実施形態に係るフォーカスレンズの種類は、例えば、フォーカスレンズを動作させるアクチュエータ(フォーカスレンズに対応するアクチュエータ)によって、分類されてもよい。例えば、超音波モータ(特に円盤進行波型超音波モータ)あるいはDC(Direct Current)モータにより動作するフォーカスレンズが、「大きいフォーカスレンズ」に分類され、また、リニアアクチュエータ(リニアモータ)、ステッピングモータ、あるいはピエゾ素子(圧電素子)により動作するフォーカスレンズが、「小さいフォーカスレンズ」に分類される。このとき、大きいフォーカスレンズを動作させるモータについては、大きなトルクを得るために、減速機を用いることもできる。また、大きいフォーカスレンズを動作させるモータは、特に、小さいフォーカスレンズを動かすモータに対して、回転数が大きく設定される。
また、本実施形態に係るフォーカスレンズの種類は、例えば、上述したように、ピント敏感度に基づき分類されてもよい。ピント敏感度に基づく分類の例としては、例えば下記に示す例が挙げられる。
・ピント敏感度が設定されている所定の閾値より大きい場合(または、ピント敏感度が設定されている所定の閾値以上である場合)、「小さいフォーカスレンズ」に分類される。
・ピント敏感度が設定されている所定の閾値以下の場合(または、ピント敏感度が設定されている所定の閾値より小さい場合)、「大きいフォーカスレンズ」に分類される。
・本実施形態に係るレンズユニットが2つのフォーカスレンズを備えている場合、よりピント敏感度が小さいフォーカスレンズを「大きいフォーカスレンズ」とし、他方のフォーカスレンズを「小さいフォーカスレンズ」とする。
例えば、フォーカスレンズの種類が「大きいフォーカスレンズ」である場合には、本実施形態に係るレンズユニットは、当該フォーカスレンズを移動させない、または、当該フォーカスレンズの移動を止めるように、制御する。ここで、第2の例に係る制御において、フォーカスレンズの移動を止めるように制御することは、第2の例に係る制御と上記(2−1)に示す第1の例に係る制御とを組み合わせた制御に該当する(以下、同様とする)。
なお、フォーカスレンズの種類が「大きいフォーカスレンズ」である場合であっても、当該フォーカスレンズのピント敏感度が、設定されている閾値より大きい場合(または、当該ピント敏感度が当該閾値以上である場合)には、当該フォーカスレンズを移動させてもよい。ここで、上記閾値は、予め設定されている固定値であってもよいし、ユーザの操作などの基づき変更可能な可変値であってもよい。
フォーカスレンズの種類が「大きいフォーカスレンズ」であるときに、当該フォーカスレンズを移動させる場合における制御の例としては、例えば下記に示す例が挙げられる。
・複数のフォーカスレンズに、「大きいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズと、「小さいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズとが混在する場合、本実施形態に係るレンズユニットは、フォーカスレンズの種類が「小さいフォーカスレンズ」である場合よりもより移動量が小さくなるように、「大きいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズを制御する。
フォーカスレンズの種類が「大きいフォーカスレンズ」である場合に、上記のように制御することによって、フォーカスレンズの移動に要する電力の消費を、より低減することが、可能となる。
また、例えば、フォーカスレンズの種類が「小さいフォーカスレンズ」である場合における制御の例としては、例えば下記に示す例が挙げられる。
・フォーカスレンズの種類が「小さいフォーカスレンズ」である場合には、本実施形態に係るレンズユニットは、当該フォーカスレンズを移動させる。
・複数のフォーカスレンズに、「大きいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズと、「小さいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズとが混在する場合、本実施形態に係るレンズユニットは、フォーカスレンズの種類が「大きいフォーカスレンズ」である場合よりもより移動量が大きくなるように、「小さいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズを制御する。
フォーカスレンズの種類に基づく制御の例としては、例えば上記に示す例が挙げられる。なお、フォーカスレンズの種類に基づく制御は、上記に示す例に限られない。本実施形態に係るレンズユニットは、フォーカスレンズを特定することが可能な任意の情報(例えば、フォーカスレンズの型番を示すデータ)に基づきフォーカスレンズの種類を特定し、特定されたフォーカスレンズの種類に対応する制御を行うことも、可能である。
(B)アクチュエータの種類に基づく制御の例
アクチュエータの種類としては、例えば、“動かすことが可能なフォーカスレンズにより分類される種類”、“消費電力により分類される種類”などが挙げられる。
例えば、“動かすことが可能なフォーカスレンズにより分類される種類”としては、下記に示す例が挙げられる。
・「大きいフォーカスレンズ」のフォーカスレンズを動かすことが可能なアクチュエータ:例えば、超音波モータ、DCモータなど
・「小さいフォーカスレンズ」のフォーカスレンズを動かすことが可能なアクチュエータ:例えば、リニアアクチュエータ、ステッピングモータ、ピエゾ素子(圧電素子)など
ここで、例えば、超音波モータまたはDCモータがアクチュエータとして用いられる場合には、アクチュエータにより直接的にフォーカスレンズを駆動させることができないため、アクチュエータとフォーカスレンズとの間に減速機構が設けられることによって、フォーカスレンズの位置決めが行われる。また、例えば、リニアアクチュエータ、ステッピングモータ、ピエゾ素子(圧電素子)がアクチュエータとして用いられる場合には、アクチュエータにより直接的にフォーカスレンズを駆動させることができるので、上記減速機構は設けられない。
アクチュエータの種類が、「大きいフォーカスレンズ」のフォーカスレンズを動かすことが可能なアクチュエータである場合、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、当該アクチュエータに対応するフォーカスレンズを移動させない、または、当該アクチュエータに対応するフォーカスレンズの移動を止めるように、制御する。また、複数のフォーカスレンズに、「大きいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズと、「小さいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズとが混在する場合、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、「小さいフォーカスレンズ」のフォーカスレンズを動かすことが可能なアクチュエータである場合よりも、よりアクチュエータに対応するフォーカスレンズの移動量が小さくなるように、「大きいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズを制御してもよい。
また、アクチュエータの種類が、「小さいフォーカスレンズ」のフォーカスレンズを動かすことが可能なアクチュエータである場合、本実施形態に係るレンズユニットは、当該アクチュエータに対応するフォーカスレンズを移動させる。また、複数のフォーカスレンズに、「大きいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズと、「小さいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズとが混在する場合、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、「大きいフォーカスレンズ」のフォーカスレンズを動かすことが可能なアクチュエータである場合よりも、よりアクチュエータに対応するフォーカスレンズの移動量が大きくなるように、「小さいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズを制御する。
また、例えば、“消費電力により分類される種類”としては、下記に示す例が挙げられる。“消費電力により分類される種類”は、消費電力と設定されている消費電力の閾値との比較結果に基づき分類される。
・消費電力が設定されている消費電力の閾値以上であるアクチュエータ(または、消費電力が設定されている消費電力の閾値より大きいアクチュエータ。以下、同様とする。):例えば、超音波モータ、DCモータなど
・消費電力が設定されている消費電力の閾値より小さいアクチュエータ(または、消費電力が設定されている消費電力の閾値以下のアクチュエータ。以下、同様とする。):例えば、リニアアクチュエータ、ステッピングモータ、ピエゾ素子(圧電素子)など
アクチュエータの種類が、消費電力が設定されている消費電力の閾値以上であるアクチュエータである場合、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、当該アクチュエータに対応するフォーカスレンズを移動させない、または、当該アクチュエータに対応するフォーカスレンズの移動を止めるように、制御する。また、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、消費電力が設定されている消費電力の閾値より小さいアクチュエータである場合よりも、よりアクチュエータに対応するフォーカスレンズの移動量が小さくなるように、制御してもよい。
また、アクチュエータの種類が、消費電力が設定されている消費電力の閾値より小さいアクチュエータである場合、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、消費電力が設定されている消費電力の閾値以上であるアクチュエータである場合よりも、よりアクチュエータに対応するフォーカスレンズの移動量が大きくなるように、制御する。
アクチュエータの種類に基づく制御の例としては、例えば上記に示す例が挙げられる。なお、アクチュエータの種類に基づく制御は、上記に示す例に限られない。本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、アクチュエータが対応するフォーカスの制御方法、アクチュエータが対応するサーボ機構の方法(望ましい方法)などに対応する制御を行うことも、可能である。
(C)フォーカスレンズの種類、およびアクチュエータの種類に基づく制御の例
本実施形態に係るレンズユニットは、フォーカスレンズの種類、およびアクチュエータの種類に基づいて、複数のフォーカスレンズそれぞれの移動量を制御してもよい。
一例を挙げると、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、“フォーカスレンズの種類が、「大きいフォーカスレンズ」であり、かつアクチュエータの種類が、「大きいフォーカスレンズ」のフォーカスレンズを動かすことが可能なアクチュエータである場合”に、当該フォーカスレンズを移動させない、または、当該フォーカスレンズの移動を止めるように、制御する。また、本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、“フォーカスレンズの種類が、「小さいフォーカスレンズ」であり、かつアクチュエータの種類が、「大きいフォーカスレンズ」のフォーカスレンズを動かすことが可能なアクチュエータである場合”に、当該フォーカスレンズが、他のフォーカスレンズの種類およびアクチュエータの種類の組み合わせの場合よりも、よりフォーカスレンズの移動量が大きくなるように、制御する。
(2−3)第3の例
本実施形態に係るレンズユニットは、フォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合、複数のフォーカスレンズにおける群間距離に基づいて、複数のフォーカスレンズそれぞれの移動量を制御する。
ここで、本実施形態に係る群間距離とは、フォーカスレンズ間の間隔である。コントラストAFに用いられるフォーカスレンズの群間距離は、例えば、下記の要因によって決まる。
・レンズユニットの光学性能
・フォーカスレンズの物理的な大きさ(厚み)
・アクチュエータを構成するメカ部材
・コントラストAFに必要な可動範囲
・撮像におけるピント補正量(絞りなど)
・レンズユニットに対応する撮像ユニット(例えば、撮像装置のボディ部分に該当する。)におけるフランジバック誤差量(例えば、撮像装置が、レンズ交換式の撮像装置である場合)
本実施形態に係るレンズユニットは、例えば、“群間距離と、フォーカスレンズそれぞれの移動量とが対応付けられているテーブル(または、データベース)”を参照することなどによって、群間距離に対応する制御を行う。
本実施形態に係るレンズユニットでは、範囲外において光学特性を満足する必要がない。よって、群間距離に対応する制御としては、例えば、“範囲外において、光学特性を満たさず、かつ(光学特性を満たすことを考慮せず設定された)群間距離で干渉が生じないような制御”、または、“範囲外において、光学特性を満たさず、かつ(光学特性を満たすことを考慮せず設定された)群間距離の限界近傍で複数のフォーカスレンズを動かす制御”が挙げられる。群間距離に対応する制御が行われる場合、範囲外では、光学特性を満足しないような群間距離が設定される。
(2−4)第4の例
本実施形態に係るレンズユニットは、フォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合、複数のフォーカスレンズそれぞれに設定されている優先度に基づいて、複数のフォーカスレンズそれぞれの移動量を制御する。優先度は、例えば、ピント敏感度、質量などのフォーカスレンズに係る指標に基づき設定される。また、優先度は、予め設定される固定の値であってもよいし、ユーザの操作などに基づき変更可能な可変の値であってもよい。
優先度に基づく制御の例としては、例えば、“優先度が最も高いフォーカスレンズに対して移動量が優先的に制御され、優先的に制御されるフォーカスレンズの制御に対応して、他のフォーカスレンズの移動量が制御されること”などが、挙げられる。ここで、優先度が最も高いフォーカスレンズに対する制御としては、当該フォーカスレンズを移動させること、当該フォーカスレンズを移動させないこと、または、当該フォーカスレンズの移動を止めるように制御することが、挙げられる。上記に示す優先度に基づく制御の例では、例えば、上記優先度が最も高いフォーカスレンズが「主のフォーカスレンズ」に該当し、また、上記他のフォーカスレンズが「従のフォーカスレンズ」に該当する。
図3、図4は、本実施形態に係る制御方法を説明するための説明図であり、本実施形態に係る移動制御処理が行われることにより実現される、フォーカスレンズの位置の制御の一例を示している。図3、図4は、図1に示すレンズユニットにおける、フォーカスレンズL1、およびフォーカスレンズL2の位置の制御の一例を示している。
図3のA、および図4のAは、上述した光学性能を満足するボケ量と移動量との関係により実現される、フォーカスレンズL1およびフォーカスレンズL2の位置関係の一例を、示している。また、図3のB、および図4のBは、撮像距離1に対応する位置(無限遠に対応する位置)を越えた範囲外の位置における、フォーカスレンズL1およびフォーカスレンズL2の位置関係の一例を、示している。また、図3のC、および図4のCは、撮像距離2に対応する位置(最短撮像距離に対応する位置)を越えた範囲外の位置における、フォーカスレンズL1およびフォーカスレンズL2の位置関係の一例を、示している。
(a)フォーカスレンズの位置の制御の第1の例(図3)
フォーカスレンズL1のピント敏感度の符号と、フォーカスレンズL2のピント敏感度の符号とが、一致している場合、本実施形態に係るレンズユニットは、範囲外において、例えば図3のB、図3のCに示すように、フォーカスレンズL1、およびフォーカスレンズL2の位置を制御する。
上述したように、本実施形態に係るレンズユニットは、範囲外において、上記数式1を満たし、かつ、フォーカスレンズそれぞれのボケ量の割合が異なるように、フォーカスレンズL1の移動量d1、フォーカスレンズL2の移動量d2を決定する。
よって、範囲外において図3のAに示す光学性能が満たされる制御が行われる場合のボケ量と、範囲外において図3のB、図3のCに示す制御が行われる場合のボケ量とは、同一である。すなわち、撮像距離1に対応する位置(無限遠に対応する位置)を越えた範囲外において、実線(図3のA)で表されるボケ量と、破線(図3のB)で表されるボケ量とは、同一である。また、撮像距離2に対応する位置(最短撮像距離に対応する位置)を越えた範囲外において、実線(図3のA)で表されるボケ量と、破線(図3のC)で表されるボケ量とは、同一である。
(b)フォーカスレンズの位置の制御の第2の例(図4)
フォーカスレンズL1のピント敏感度の符号と、フォーカスレンズL2のピント敏感度の符号とが、異なっている場合、本実施形態に係るレンズユニットは、範囲外において、例えば図4のB、図4のCに示すように、フォーカスレンズL1、およびフォーカスレンズL2の位置を制御する。
上述したように、本実施形態に係るレンズユニットは、範囲外において、上記数式1を満たし、かつ、フォーカスレンズそれぞれのボケ量の割合が異なるように、フォーカスレンズL1の移動量d1、フォーカスレンズL2の移動量d2を決定する。ここで、フォーカスレンズL1のピント敏感度の符号とフォーカスレンズL2のピント敏感度の符号とが異なっている場合には、同じ方向にボケ量を確保するために、本実施形態に係るレンズユニットは、フォーカスレンズL1に対応するアクチュエータの駆動と、フォーカスレンズL2に対応するアクチュエータの駆動とを、逆駆動とさせるように、フォーカスレンズL1の移動量d1、フォーカスレンズL2の移動量d2を決定する。つまり、本実施形態に係るレンズユニットは、複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が範囲内から範囲外に変わる場合に、少なくとも1つのフォーカスレンズの移動方向を変更するよう制御してもよい。
よって、図4に示すフォーカスレンズの位置の制御の第2の例においても、図3に示すフォーカスレンズの位置の制御の第1の例と同様に、範囲外において図4のAに示す光学性能が満たされる制御が行われる場合のボケ量と、範囲外において図4のB、図4のCに示す制御が行われる場合のボケ量とは、同一となる。すなわち、撮像距離1に対応する位置(無限遠に対応する位置)を越えた範囲外において、実線(図4のA)で表されるボケ量と、破線(図4のB)で表されるボケ量とは、同一である。また、撮像距離2に対応する位置(最短撮像距離に対応する位置)を越えた範囲外において、実線(図4のA)で表されるボケ量と、破線(図4のC)で表されるボケ量とは、同一である。
本実施形態に係るレンズユニットは、範囲内および範囲外それぞれにおいて、例えば図3、図4に示すように、フォーカスレンズL1、およびフォーカスレンズL2の位置の制御を行う。
図5は、本実施形態に係る制御方法を説明するための説明図であり、図3および図4に示す、フォーカスレンズL1およびフォーカスレンズL2の位置の制御を、1図にまとめた図である。
上述したように、範囲外では、光学性能が満たされる制御が行われる場合(例えば、図3のA、図4のAの場合)のボケ量と、移動制御処理による制御が行われる場合(例えば、図3のB、図3のC、図4のB、図4のCの場合)のボケ量とは、同一である。また、フォーカスレンズL1に着目すると、範囲外におけるフォーカスレンズL1の移動範囲は、図5のA、Bに示す範囲となり、光学性能が満たされる制御が行われる場合(例えば、図3のA、図4のAの場合)におけるフォーカスレンズL1の移動範囲よりも短くなる。
よって、本実施形態に係るレンズユニットは、範囲外におけるフォーカスレンズL1の移動範囲をより短くしつつ、コントラストAFを行うためのコントラスト値の取得を可能とすることが、できる。また、本実施形態に係るレンズユニットでは、フォーカスレンズL2などの、本実施形態に係るレンズユニットが備える他のフォーカスレンズについても、同様の効果が得られる。
したがって、本実施形態に係るレンズユニットは、本実施形態に係る制御方法に係る移動制御処理を行うことによって、例えば図2のDに示すような、コントラストオートフォーカスを行う場合に生じうる、フォーカスレンズの移動の不足量の解消を図ることができる。
また、本実施形態に係る制御方法によって、範囲外における複数のフォーカスレンズそれぞれの移動範囲をより短くすることができるので、本実施形態に係るレンズユニットの小型化をより容易に図ることが、可能となる。
さらに、本実施形態に係る制御方法に係る移動制御処理では、範囲内では光学性能を満足するように制御されるので、本実施形態に係る制御方法による光学性能の劣化は、防止される。
(本実施形態に係るレンズユニット、撮像装置)
次に、上述した本実施形態に係る制御方法に係る処理を行うことが可能な本実施形態に係るレンズユニット、および本実施形態に係るレンズユニットを備える本実施形態に係る撮像装置の構成について、それぞれ説明する。
[1]本実施形態に係るレンズユニットの構成の一例
図6は、本実施形態に係るレンズユニット100の構成の一例を示すブロック図である。図6では、レンズユニット100と共にレンズ交換式のデジタルカメラのシステムを構成する、撮像装置200の構成の一例を、併せて示している。図6に示すレンズ交換式のデジタルカメラのシステムにおいて、レンズユニット100は、交換レンズとして機能する。また、図6に示すレンズ交換式のデジタルカメラのシステムにおいて、撮像装置200は、カメラ本体(いわゆるボディ)として機能する。また、撮像装置200は、上述した撮像ユニットの一例に該当する。以下、図6に示すレンズユニット100と図6に示す撮像装置200とを適宜参照しつつ、レンズユニット100の構成の一例を説明する。
[1−1]撮像装置200
撮像装置200は、例えば、接続部202と、撮像部204と、信号処理部206と、画像処理部208と、制御部210と、電源制御部212と、操作部214と、表示部216と、記憶部218とを備える。
また、撮像装置200は、例えば、ROM(Read Only Memory。図示せず)や、RAM(Random Access Memory。図示せず)などを備えていてもよい。撮像装置200は、例えば、データの伝送路としてのバスにより上記各構成要素間を接続する。撮像装置200は、例えば、撮像装置200が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
上記ROMは、制御部210などが使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データなどを記憶する。上記RAMは、例えば、制御部210などにより実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。
接続部202には、レンズユニット100を着脱可能に取り付け可能なマウントが設けられる。接続部202を構成するマウントの近傍には、当該マウントの内周側に部分的に突出する状態で、1または2以上の電気的な接点を保持する保持部材が設けられる。
撮像装置200の接続部202に後述するレンズユニット100の接続部102が装着されると、複数の電気的な接点が設けられた接続部202を構成するマウントが、接続部102を構成するマウントに、電気的かつ物理的に接続される。接続部202と接続部102とが電気的に接続されることによって、例えば、撮像装置200からレンズユニット100への電力供給、および撮像装置200とレンズユニット100との間の通信が、可能となる。
撮像部204は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge-Coupled Device)などの撮像素子を複数用いたイメージセンサであり、レンズユニット100を介して受光した光に応じた画像信号を出力する。
信号処理部206は、撮像部204から取得される画像信号に対して、デモザイク処理などを行い、RAW画像を示すデータを生成する。
画像処理部208は、信号処理部206から取得される画像信号を処理する。画像処理部208は、例えば、RAW画像を記憶部218に記録させる場合には、RAW画像を可逆圧縮し、可逆圧縮された画像データを、記憶部218に記録させる。また、画像処理部208は、例えば、RAW画像に対してガンマ補正などを行った上で可逆圧縮し、可逆圧縮された画像データを、記憶部218に記録させることも可能である。
また、画像処理部208は、例えば、フィルタ220と検出部222とを有する。
フィルタ220は、信号処理部206から取得される画像信号から雑音成分を取り除く。フィルタ220としては、平滑化フィルタなどの、雑音成分を取り除くことが可能な任意のフィルタが挙げられる。
検出部222は、例えば検波回路で構成され、フィルタ220により雑音成分をが除かれた信号を検波する。検波回路による検波によって、例えば、コントラストを示すデータ(例えば、コントラストAFの検波値を示すデータ。撮像により得られた信号の検波結果の一例)が得られる。
制御部210は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などの演算回路で構成される、1または2以上のプロセッサで構成され、撮像装置200全体を制御する。
制御部210を構成するプロセッサは、例えば、ボケ量を制御するボケ量制御回路の役目を果たし、撮像におけるボケ量を制御する。また、制御部210を構成するプロセッサは、通信コントローラとして機能し、レンズユニット100などの外部のデバイスとの間における有線通信または無線通信を制御する役目を果たす。
制御部210は、例えば、通信制御部224と、処理部226とを有する。
通信制御部224は、レンズユニット100などの外部のデバイスとの間における有線通信または無線通信を制御する役目を果たす。
処理部226は、例えば、検出部222を構成する検波回路から得られる検波結果(レンズユニット100を介した撮像により得られた信号の検波結果)に基づいて、単位時間あたりのボケ量を決定する。そして、通信制御部224は、処理部226において決定されたボケ量を示す制御情報を、レンズユニット100に対して送信させる。
図7は、本実施形態に係る撮像装置200における処理の一例を示す流れ図であり、撮像装置200が備える制御部210における処理の一例を示している。
制御部210は、検波周期を決定し(S100)、検波速度を決定する(S102)。検波周期は、例えば、レンズユニット100を介した撮像により得られた信号から推定される被写体の明るさ、または、輝度センサなどセンサの検出値に基づき推定される被写体の明るさにより、決定される。
制御部210は、例えば、検出部222を構成する検波回路から得られる検波結果(レンズユニット100を介した撮像により得られた信号の検波結果)に基づいて、単位時間あたりのボケ量Zを決定する(S104)。制御部210は、例えば、コントラストAFの検波値とボケ量Zとが対応付けられているテーブル(またはデータベース)を参照することや、コントラストAFの検波値に基づきボケ量Zを得ることが可能な任意のアルゴリズムの演算によって、単位時間あたりのボケ量Zを決定する。
そして、制御部210は、ステップS104において決定されたボケ量Zを示す制御情報を、レンズユニット100に対して送信させる(S106)。
制御部210は、例えば図7に示す処理を行う。なお、制御部210における処理の例が、図7に示す例に限られないことは、言うまでもない。
再度図6を参照して、撮像装置200の構成の一例を説明する。電源制御部212は、プロセッサなどで構成され、撮像装置200が備えるバッテリなどの内部電源(図示せず)、または、外部電源から供給される電力に関する制御を行う。電源制御部212は、例えば、制御部210の処理の状態などの、撮像装置200の動作状態に基づいて、電力に関する制御を行う。一例を挙げると、電源制御部212は、撮像装置200の動作状態に基づいてレンズユニット100に供給可能な電力量を算出し、接続部202を介してレンズユニット100に対して、電力を供給する。
操作部214は、撮像装置200が備える操作手段であり、ボタンやタッチパネル、回転操作部材などの操作デバイスで構成される。撮像装置200を用いるユーザは、操作部214を操作することによって、例えば、撮像モードの設定、撮像パラメータの設定などを、行うことができる。
表示部216は、撮像装置200が備える表示手段であり、ライブビュー画像やプレビュー画像などの様々な画像(動画像または静止画像)が表示される画面や、UIが表示される画面などを、表示画面に表示させる。表示部216は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence Display)などの、表示デバイスで構成される。
記憶部218は、撮像装置200が備える記憶手段であり、画像データなどの様々なデータを記憶する。記憶部218としては、不揮発性メモリなどが挙げられる。また、記憶部218は、撮像装置200から着脱可能であってもよい。
撮像装置200は、例えば図6に示す構成によって、単位時間あたりのボケ量を示す制御情報を、レンズユニット100に対して送信する。なお、撮像装置200の構成が、図6に示す構成に限られないことは、言うまでもない。
[1−2]レンズユニット100
レンズユニット100は、例えば、接続部102と、フォーカスレンズ104A、104Bと、駆動部106A、106Bと、位置検出部108A、108Bと、制御部110とを備える。レンズユニット100は、例えば、レンズユニット100が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力(例えば、撮像装置200から供給される電力)などによって、駆動する。
接続部102には、撮像装置200を着脱可能に取り付け可能なマウントが設けられる。接続部102を構成するマウントの近傍には、当該マウントの内周側に部分的に突出する状態で、1または2以上の電気的な接点を保持する保持部材が設けられる。
上述したように、撮像装置200の接続部202にレンズユニット100の接続部102が装着されると、複数の電気的な接点が設けられた接続部202を構成するマウントが、接続部102を構成するマウントに、電気的かつ物理的に接続される。接続部202と接続部102とが電気的に接続されることによって、例えば、撮像装置200からレンズユニット100への電力供給、および撮像装置200とレンズユニット100との間の通信が、可能となる。
フォーカスレンズ104Aは、レンズユニット100が備える一のフォーカスレンズである。フォーカスレンズ104Aは、1つのフォーカスレンズで構成され、または、複数のサブレンズにより構成される。また、図6において、フォーカスレンズ104Aは、他のフォーカスレンズであるフォーカスレンズ104Bよりも、被写体側に設けられるフォーカスレンズである。
フォーカスレンズ104Bは、レンズユニット100が備える他のフォーカスレンズである。フォーカスレンズ104Bは、1つのフォーカスレンズで構成され、または、複数のサブレンズにより構成される。フォーカスレンズ104Bは、フォーカスレンズ104Aと同種のフォーカスレンズを有していてもよいし、異種のフォーカスレンズを有していてもよい。
フォーカスレンズ104A、104Bは、鏡筒(図示せず)に設けられる。なお、図1を参照して示したように、鏡筒(図示せず)には、ズームレンズなどの他のレンズが設けられていてもよい。
駆動部106Aは、例えば、リニアアクチュエータ、ステッピングモータ、ピエゾ素子(圧電素子)、超音波モータ、DCモータなどのアクチュエータなどのアクチュエータで構成される。駆動部106Aを構成するアクチュエータは、フォーカスレンズ104Aに対応するアクチュエータであり、制御部110から伝達される制御信号に応じてフォーカスレンズ104Aを鏡筒内で移動させる。
駆動部106Bは、例えば、リニアアクチュエータ、ステッピングモータ、ピエゾ素子(圧電素子)、超音波モータ、DCモータなどのアクチュエータなどのアクチュエータで構成される。駆動部106Bを構成するアクチュエータは、フォーカスレンズ104Bに対応するアクチュエータであり、制御部110から伝達される制御信号に応じてフォーカスレンズ104Bを鏡筒内で移動させる。駆動部106Bを構成するアクチュエータは、駆動部106Aを構成するアクチュエータと同種のアクチュエータであってもよいし、異種のアクチュエータであってもよい。
位置検出部108Aは、フォーカスレンズ104Aの鏡筒内における位置を検出し、位置検出部108Bは、フォーカスレンズ104Bの鏡筒内における位置を検出する。位置検出部108A、108Bは、例えば、マグネットおよび磁力検出センサで構成される位置検出センサなどの、フォーカスレンズの位置を検出することが可能な任意の位置検出センサで、構成される。
制御部110は、例えば、MPUなどの演算回路で構成される、1または2以上のプロセッサで構成され、レンズユニット100全体を制御する。
制御部110を構成するプロセッサは、本実施形態に係る制御方法に係る移動制御処理を主導的に行う制御回路の役目を果たし、複数のフォーカスレンズ104A、104Bの移動を制御する。制御部110を構成するプロセッサは、通信コントローラとして機能し、撮像装置200などの外部のデバイスとの間における有線通信または無線通信を制御する役目を果たす。
制御部110は、例えば、通信制御部112と、駆動制御部114とを有する。
通信制御部112は、撮像装置200などの外部のデバイスとの間における有線通信または無線通信を制御する役目を果たす。
駆動制御部114は、駆動部106A、106Bそれぞれを構成するアクチュエータの動作を制御することによって、鏡筒におけるフォーカスレンズ104A、104Bの動きを制御する。駆動制御部114は、位置検出部108A、108Bそれぞれから伝達される位置を示す情報に基づいて、鏡筒におけるフォーカスレンズ104A、104Bの位置を特定する。
一例を挙げると、駆動部106A、106Bそれぞれを構成するアクチュエータが、微小振幅でフォーカスレンズを駆動させる制御(「Wobbling」とよばれる。以下、当該制御を「Wobbling制御」と示す。)に対応するアクチュエータである場合、駆動制御部114は、Wobbling制御を行ってもよい。駆動制御部114は、例えば、レンズユニット100を介して動画像が撮像される場合に、Wobbling制御を行う。駆動制御部114においてWobbling制御が行われることによって、例えば、レンズユニット100と撮像装置200とは、撮像により得られるコントラスト値の大小に基づき、コントラスト値が最大になるフォーカスレンズ104A、104Bの位置を連携して検出することが、可能となる。
また、Wobbling制御を行う場合、駆動制御部114は、例えば、下記の(i)〜(iii)に示すような場合に応じて、Wobbling制御により動作させるフォーカスレンズを、切り替える。
(i)省電力が要求される場合
駆動制御部114は、Wobbling制御を行うフォーカスレンズを1つにし、消費電力を低減する。
例えば、フォーカスレンズ104A、104Bのうちの一方が「大きいフォーカスレンズ」であり、他方が「小さいフォーカスレンズ」である場合には、駆動制御部114は、「小さいフォーカスレンズ」に該当するフォーカスレンズに対して、Wobbling制御を行う。Wobbling制御に対応するアクチュエータとしては、例えば、ステッピングモータ、リニアアクチュエータ、ピエゾ素子が、挙げられる。
(ii)撮像において大ボケが生じた場合
駆動制御部114は、Wobbling制御を行うフォーカスレンズを2つにする。また、駆動制御部114は、例えば上記数式1に基づきボケ量Zを制御することによってフォーカスレンズの振幅を小さくさせ、手感軽減、静音化を図る。
(iii)手感軽減、静音化が要求される場合
駆動制御部114は、Wobbling制御を行うフォーカスレンズを2つにする。また、駆動制御部114は、例えば上記数式1に基づきボケ量Zを制御することにより、駆動させる位相を180[度]反転させて発生する力を打ち消し合わせ、手感軽減、静音化を図る。
また、駆動制御部114は、接続部102を介して電気的に接続されている撮像装置200などの外部のデバイスに対して、レンズの位置を示す情報を送信させる。ここで、本実施形態に係るレンズユニットが1つのフォーカスレンズを有する場合におけるレンズの位置を示す情報としては、例えば、位置検出部により検出された当該フォーカスレンズの位置を示すデータが挙げられる。また、本実施形態に係るレンズユニットが複数のフォーカスレンズを有する場合におけるレンズの位置を示す情報としては、例えば、複数のフォーカスレンズそれぞれの位置を示すデータ、または、複数のフォーカスレンズを1つのフォーカスレンズとみなした場合の仮想的な位置を示すデータが、挙げられる。
また、駆動制御部114は、本実施形態に係る制御方法に係る移動制御処理を主導的に行う制御回路の役目を果たし、制御情報に基づいて、複数のフォーカスレンズ104A、104Bの移動を制御する。
駆動制御部114は、例えば、通信制御部112により制御される撮像装置200との通信により撮像装置200から取得された制御情報に基づいて、移動制御処理を行う。
図8は、本実施形態に係るレンズユニット100における処理の一例を示す流れ図であり、レンズユニット100が備える制御部110における処理の一例を示している。
制御部110は、制御情報が受信されたか否かを判定する(S200)。制御部110は、接続部102から制御情報が伝達された場合に、制御情報が受信されたと判定する。
ステップS200において制御情報が受信されたと判定されない場合には、制御部110は、制御情報が受信されたと判定されるまで、処理を進めない。
また、ステップS200において制御情報が受信されたと判定された場合には、制御部110は、フォーカスレンズ104A、104Bの位置が範囲内であるか否かを判定する(S202)。制御部110は、位置検出部108A、108Bそれぞれから伝達される位置を示す情報に基づいて、範囲内であるか否かを判定する。
ステップS202において範囲内であると判定された場合、制御部110は、範囲内に対応する第1の移動プロファイルを参照する(S204)。第1の移動プロファイルとしては、例えば、フォーカスレンズの関係式(上述したボケ量と移動量との関係を示す光学性能を満足する関係式に該当する。)を示すデータ、または、範囲内における関係テーブル(上述した“ボケ量と、上記光学性能を満足する関係式から得られるフォーカスレンズそれぞれの移動量とが対応付けられているテーブル”に該当する。)が挙げられる。
また、ステップS202において範囲内であると判定されない場合、制御部110は、範囲外に対応する第2の移動プロファイルを参照する(S206)。第2の移動プロファイルとしては、例えば、範囲外における関係テーブル(例えば、ボケ量と、範囲外におけるフォーカスレンズそれぞれの移動量とが対応付けられているテーブル)が挙げられる。
なお、上記範囲内における関係テーブルと上記範囲外における関係テーブルとは、1つのテーブルであってもよい。上記範囲内における関係テーブルと上記範囲外における関係テーブルとが1つのテーブルである場合には、制御部110は、ステップS202における判定結果に応じて当該テーブルにおける参照場所を変えることによって、制御に用いる移動プロファイルを切り替える。
また、ステップS200において制御情報が受信されたと判定された場合には、制御部110は、フォーカスレンズのピント敏感度を参照する(S208)。なお、図8では、ステップS202〜S206の処理の後にステップS208の処理が行われる例を示しているが、制御部110は、ステップS208の処理の後にステップS202〜S206の処理を行ってもよいし、ステップS202〜S206の処理とステップS208の処理とを並列に行ってもよい。
制御部110は、制御情報が示すボケ量に基づいて、複数のフォーカスレンズそれぞれの単位時間あたりの移動量を決定する(S210)。制御部110は、例えば、フォーカスレンズそれぞれの位置が範囲内である場合には、光学性能を満足する関係式が満たされるように、複数のフォーカスレンズそれぞれの単位時間あたりの移動量を決定する。また、制御部110は、例えば、フォーカスレンズそれぞれの位置が範囲外である場合には、(2−1)に示す第1の例〜(2−4)に示す第3の例のように制御されるように、複数のフォーカスレンズそれぞれの単位時間あたりの移動量を決定する。
制御部110は、フォーカスレンズに対応する駆動部106A、106Bを構成するアクチュエータに対して、ステップS210で決定された移動量でフォーカスレンズを移動させるための駆動命令を含む制御信号を、送信する(S212)。
制御部110は、例えば図8に示す処理を行う。なお、制御部110における処理の例が、図8に示す例に限られないことは、言うまでもない。
レンズユニット100は、例えば図6に示す構成によって、本実施形態に係る制御方法に係る処理を行う。したがって、レンズユニット100は、図6に示す構成によって、本実施形態に係る制御方法に係る処理が行われることにより奏される効果を、奏することができる。
なお、本実施形態に係る制御方法に係る処理を行うことが可能なレンズユニット100の構成は、図6に示す構成に限られない。
例えば、本実施形態に係る制御方法に係る処理を行うことが可能なレンズユニットは、操作部(図示せず)や、電源制御部(図示せず)などを、さらに備えていてもよい。
レンズユニットを構成する操作部(図示せず)は、例えば、ボタンやタッチパネル、リング状操作部材などの操作デバイスで構成される。レンズユニットを用いるユーザは、操作部(図示せず)を操作することによって、例えば、レンズのズーム位置の設定、絞り値の設定などを、行うことができる。
レンズユニットを構成する電源制御部(図示せず)は、プロセッサなどで構成され、例えば撮像装置200などの外部のデバイスから供給された電力に基づいて、レンズユニット内の各構成要素に対して最適な電力量を配分する役目を果たす。
また、本実施形態に係る制御方法に係る処理を行うことが可能なレンズユニットは、例えば、手振れ補正に係る機構、絞り補正に係る機構などを、さらに備えることも可能である。
[2]本実施形態に係る撮像装置の構成の一例
次に、本実施形態に係る撮像装置の構成の一例を示す。図9は、本実施形態に係る撮像装置300の構成の一例を示すブロック図である。
撮像装置300は、例えば、レンズユニット302と、撮像ユニット304とを備える。
レンズユニット302は、図6に示すレンズユニット100と基本的に同様の構成を有する。具体的には、レンズユニット302と図6に示すレンズユニット100との相違は、“レンズユニット302が、別体の撮像装置200などの外部のデバイスとの通信のための通信コントローラを備えていない点”である。
レンズユニット302では、図6に示すレンズユニット100と同様に、駆動制御部114によって、取得された制御情報に基づく移動制御処理が行われる。ここで、制御情報は、撮像ユニット304(具体的には、制御部210)から伝達される。
撮像ユニット304は、図6に示す撮像装置200と基本的に同様の構成を有する。具体的には、撮像ユニット304と図6に示す撮像装置200との相違は、“撮像ユニット304が、別体のレンズユニット100などの外部のデバイスとの通信のための通信コントローラを備えていない点”である。
撮像ユニット304では、図6に示す撮像装置200と同様に、制御部210によって、撮像におけるボケ量が制御される。また、撮像ユニット304を構成する制御部210は、決定されたボケ量を示す制御情報を、例えば有線で接続されるレンズユニット302の駆動制御部114に伝達する。
図9に示す撮像装置300では、レンズユニット302において、撮像ユニット304から取得される制御情報に基づいて本実施形態に係る制御方法に係る処理が、行われる。したがって、撮像装置300は、図9に示す構成によって、本実施形態に係る制御方法に係る処理が行われることにより奏される効果を、奏することができる。
なお、本実施形態に係る撮像装置の構成は、図9に示す例に限られない。例えば、本実施形態に係る撮像装置を構成するレンズユニットは、図6に示すレンズユニット100の変形例と同様の構成をとることも可能である。
以上、本実施形態として、撮像装置を挙げて説明したが、本実施形態は、かかる形態に限られない。本実施形態は、例えば、“デジタルスチルカメラ”や、“デジタルビデオカメラ”、“PC(Personal Computer)やサーバなどのコンピュータ”、“アイウェア型の装置、時計型の装置、腕輪型の装置などのようなユーザの身体に装着して用いられる任意のウェアラブル装置”、“スマートフォンなどの通信装置”、“タブレット型の装置”、“ゲーム機”、“自動車などの移動体”など、撮像機能を搭載することが可能な、様々な機器に適用することができる。また、本実施形態は、例えば、上記のような機器に組み込むことが可能な、処理IC(Integrated Circuit)に適用することもできる。
(本実施形態に係るプログラム)
本実施形態に係る制御方法に係る処理(例えば、上述した移動制御処理)を実行することが可能なプログラムが、コンピュータにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、コントラストオートフォーカスを行う場合に生じうる、フォーカスレンズの移動の不足量の解消を図ることができる。
また、本実施形態に係る制御方法に係る処理を実行することが可能なプログラムが、コンピュータにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、上述した本実施形態に係る制御方法に係る処理によって奏される効果を、奏することができる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記では、本実施形態に係る制御方法に係る処理を実行することが可能なプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本実施形態は、さらに、上記プログラムを記憶させた記録媒体も併せて提供することができる。
上述した構成は、本実施形態の一例を示すものであり、当然に、本開示の技術的範囲に属するものである。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
鏡筒内に設けられる複数のフォーカスレンズと、
複数の前記フォーカスレンズにそれぞれ対応し、複数の前記フォーカスレンズを前記鏡筒内でそれぞれ移動させる複数のアクチュエータと、
複数の前記フォーカスレンズそれぞれの位置が、所定の光学性能を満たす範囲内である場合と、前記範囲外である場合とで、複数の前記フォーカスレンズの移動を異なる規則で制御する制御回路と、
を備える、レンズユニット。
(2)
複数の前記フォーカスレンズの少なくとも1つは、複数のサブレンズから構成されるレンズ群である、(1)に記載のレンズユニット。
(3)
前記制御回路は、単位時間あたりのボケ量を示す制御情報に基づいて、複数の前記フォーカスレンズの移動を制御する、(1)、または(2)に記載のレンズユニット。
(4)
前記制御回路は、前記フォーカスレンズそれぞれの位置が、前記範囲内である場合、および前記範囲外である場合において、前記制御情報が示すボケ量が満たされるように、複数の前記フォーカスレンズの移動を制御する、(3)に記載のレンズユニット。
(5)
前記制御回路は、前記フォーカスレンズそれぞれの位置が、前記範囲内である場合と、前記範囲外である場合とで、複数の前記フォーカスレンズそれぞれの単位時間あたりの移動量が異なるように、制御する、(1)〜(4)のいずれか1つに記載のレンズユニット。
(6)
前記制御回路は、前記フォーカスレンズそれぞれの位置が前記範囲外である場合、複数のフォーカスレンズのうちの少なくとも1つの前記フォーカスレンズの移動を止めるように制御する、(5)に記載のレンズユニット。
(7)
前記制御回路は、前記フォーカスレンズそれぞれの位置が前記範囲外である場合、前記フォーカスレンズの種類に基づいて、複数の前記フォーカスレンズそれぞれの前記移動量を制御する、(5)、または(6)に記載のレンズユニット。
(8)
前記制御回路は、前記フォーカスレンズそれぞれの位置が前記範囲外である場合、複数の前記フォーカスレンズそれぞれに対応する前記アクチュエータの種類に基づいて、複数の前記フォーカスレンズそれぞれの前記移動量を制御する、(5)〜(7)のいずれか1つに記載のレンズユニット。
(9)
前記制御回路は、前記フォーカスレンズそれぞれの位置が前記範囲外である場合、複数の前記フォーカスレンズにおける群間距離に基づいて、複数の前記フォーカスレンズそれぞれの前記移動量を制御する、(5)に記載のレンズユニット。
(10)
前記制御回路は、複数の前記フォーカスレンズそれぞれの位置が前記範囲内から前記範囲外に変わる場合に、少なくとも1つの前記フォーカスレンズの移動方向を変更するよう制御する、(1)〜(9)のいずれか1つに記載のレンズユニット。
(11)
複数の前記フォーカスレンズそれぞれの位置が前記範囲内である場合には、複数の前記フォーカスレンズに基づく撮像距離が、最短撮像距離と無限遠との間に位置する、(1)〜(10)のいずれか1つに記載のレンズユニット。
(12)
レンズユニットと、
撮像ユニットと、
を備え、
前記レンズユニットは、
鏡筒内に設けられる複数のフォーカスレンズと、
複数の前記フォーカスレンズにそれぞれ対応し、複数の前記フォーカスレンズを前記鏡筒内でそれぞれ移動させる複数のアクチュエータと、
複数の前記フォーカスレンズそれぞれの位置が、所定の光学性能を満たす範囲内である場合と、前記範囲外である場合とで、複数の前記フォーカスレンズの移動を異なる規則で制御する制御回路と、
を備える、撮像装置。
(13)
前記撮像ユニットは、ボケ量を制御するボケ量制御回路を備え、
前記レンズユニットの前記制御回路は、前記撮像ユニットから取得される、単位時間あたりのボケ量を示す制御情報に基づいて、複数の前記フォーカスレンズの移動を制御する、(12)に記載の撮像装置。
(14)
前記撮像ユニットの前記ボケ量制御回路は、
前記レンズユニットを介した撮像により得られた信号の検波結果に基づいて、単位時間あたりの前記ボケ量を決定し、
決定された前記ボケ量を示す制御情報を、前記レンズユニットに対して送信させる、(13)に記載の撮像装置。
(15)
鏡筒内に設けられる複数のフォーカスレンズそれぞれの位置が、所定の光学性能を満たす範囲内である場合と、前記範囲外である場合とで、複数の前記フォーカスレンズの移動を異なる規則で制御するステップを有する、レンズユニットの制御回路により実行される制御方法。