JP6332307B2 - ボール回転方向検出システム - Google Patents

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Description

本発明は、空中を移動するボールの、進行方向及び重力方向に対する回転軸の向き及び回転方向を検出する、ボール回転方向検出システムに関する。
例えば、野球の投手が投げるボール等、空中を移動するボールの回転速度を検出する回転速度検出装置が、特許文献1に開示されている。この回転速度検出装置は、ボールに設けた磁気センサの出力の時間変化に基づいて、空中を移動するボールの回転速度を算出することができるよう構成されている。この回転速度検出装置によれば、大掛かりな装置を用いることなく、ボールの回転速度を検出することができる。
特開2014−160025号公報
しかしながら、ボールの回転速度だけではなく、ボールの回転軸の向き及び回転方向をも検出することが求められる場合がある。例えば、野球の投手が投げたボールの球種を判定する際に、進行方向及び重力方向に対するボールの回転軸の向き及び回転方向の情報が有用となる。すなわち、投手の投げたボールの球種は、通常、ボールの軌跡等から推測することとなるが、ボールの回転の仕方から推測することもできる。ここで、必要となるボールの回転の仕方の情報としては、進行方向及び重力方向に対するボールの回転軸の向き及び回転方向を含む。例えば、右投げ投手のカーブやスライダーの場合、ボールの回転軸は、概略重力方向を向いており、その回転方向は、上方から見て左回りとなる。また、ストレート(直球)の場合、ボールの回転軸は、概略、進行方向と重力方向との双方に直交し、その回転方向は逆回転(バックスピン)となる。このように、ボールの回転の仕方から投手の球種を推測する場合には、進行方向及び重力方向に対するボールの回転軸の向き及び回転方向の情報が求められる。
投手の球種の判定のみならず、直球の質や、変化球の質を評価する際にも、進行方向及び重力方向に対するボールの回転軸の向き及び回転方向の情報が有用である。すなわち、ボールの回転軸の向きを把握することにより、投球フォームやボールの握り方など、その投手の投球の仕方の改善に役立てることも考えられる。
野球に限らず、テニス、ソフトボール、ゴルフ、卓球、バレーボール、サッカー等、他の球技においても、ボールの回転軸の向き及び回転方向の情報を利用して、その球種や球質等を評価することも考えられる。
上記のように、ボールの回転の仕方を測定することにより、野球を含めた種々の球技において、球種や球質等を評価することが要望されている。このような場合に、高速度カメラ等で撮影した映像を基にボールの回転の仕方を測定することは可能であるが、装置が大掛かりとなるという課題は残る。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、簡素な構成にて、空中を移動するボールの、進行方向及び重力方向に対する回転軸の向き及び回転方向を検出する、ボール回転方向検出システムを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、空中を移動するボールの、進行方向及び重力方向に対する回転軸の向き及び回転方向を検出する、ボール回転方向検出システムであって、
上記ボールに固定された3軸直交座標系であるボール座標系における地磁気ベクトルを検出する磁気センサと、
上記ボール座標系における加速度ベクトルを検出する加速度センサと、
上記ボールが移動する方角である移動方角を記憶する方角記憶部と、
地磁気の伏角を記憶する伏角記憶部と、
上記地磁気ベクトルと、上記加速度ベクトルと、上記移動方角と、上記伏角と、上記地磁気ベクトル又は上記加速度ベクトルの時間変化と、を基に、上記進行方向及び上記重力方向に対する上記ボールの回転軸の向き及び回転方向を算出する演算部と、を有することを特徴とするボール回転方向検出システムにある。
上記ボール回転方向検出システムは、ボールに固定された上記磁気センサ及び上記加速度センサを有すると共に、上記方角記憶部と上記伏角記憶部と上記演算部とを有する。これにより、後述するように、ボール座標系における進行方向及び重力方向と、ボール座標系における地球座標系の回転軸及び回転方向とを、地磁気ベクトルと加速度ベクトルとを利用して求めることが可能となる。その結果、上記回転方向算出部において、進行方向及び重力方向に対するボールの回転軸の向き及び回転方向を算出することができる。
このように、上記ボール回転方向検出システムによれば、地磁気ベクトルと加速度ベクトルとを、伏角及び移動方角と共に利用して、進行方向及び重力方向に対するボールの回転軸の向き及び回転方向を検出することできる。それゆえ、簡易な構成にて、空中を移動するボールの、進行方向及び重力方向に対する回転軸の向き及び回転方向を検出することができる。
以上のごとく、上記態様によれば、空中を移動するボールの、進行方向及び重力方向に対する回転軸の向き及び回転方向を検出する、ボール回転方向検出システムを提供することができる。
実施形態1における、ボール回転方向検出システムの概念図。 実施形態1における、ボールの空中移動を示す(A)側面説明図、(B)平面説明図。 実施形態1における、空中移動中のボールに作用する加速度ベクトル及び地磁気ベクトルの説明図。 実施形態1における、ボール座標系から見た加速度ベクトル及び地磁気ベクトルの説明図。 実施形態1における、ボール座標系から見た加速度ベクトル及び地磁気ベクトルの時間変化の説明図。 実施形態1における、地球座標系から見た加速度ベクトル及び地磁気ベクトルの説明図。 実施形態1における、磁気センサの斜視説明図。 実施形態2における、ボール回転方向検出システムの概念図。 実施形態2における、移動方角の算出方法を説明する平面説明図。 実施形態2における、第1特定部位及び第2特定部位を示す斜視説明図。 実施形態3における、ボール回転方向検出システムの概念図。 実施形態3における、伏角の算出方法を説明する側面説明図。 実施形態4における、ボール回転方向検出システムの概念図。 実施形態5における、ボール回転方向検出システムの概念図。 実施形態6における、ボール回転方向検出システムの概念図。 実施形態6における、ボール座標系から見た加速度ベクトル及び地磁気ベクトルの時間変化の説明図。 実施形態6における、地球座標系から見た加速度ベクトル及び地磁気ベクトルの説明図。 実施形態7における、ボール座標系から見た加速度ベクトル及び地磁気ベクトルの説明図。
上記ボール回転方向検出システムの検出対象となるボールについて、その空中移動の際の進行方向は、重力方向とは異なる方向である。進行方向は、例えば、略水平方向とすることができる。また、進行方向は、水平方向に対して斜めであってもよい。
上記演算部は、
上記加速度センサによって検出された加速度ベクトルに基づいて、上記ボール座標系における上記進行方向を算出する進行方向算出部と、
上記磁気センサによって検出された地磁気ベクトルと、上記加速度センサによって検出された加速度ベクトルと、上記方角記憶部に記憶された上記移動方角と、上記伏角記憶部に記憶された上記伏角とに基づいて、上記ボール座標系における上記重力方向を算出する重力方向算出部と、
上記磁気センサによって検出された地磁気ベクトルの時間変化、又は上記加速度センサによって検出された加速度ベクトルの時間変化に基づいて、上記ボール座標系における地球座標系の回転軸及び回転方向を算出する座標回転算出部と、
上記進行方向算出部によって算出された上記ボール座標系における上記進行方向と、上記重力方向算出部によって算出された上記ボール座標系における上記重力方向と、上記座標回転算出部によって算出された上記ボール座標系における上記地球座標系の回転軸及び回転方向と、に基づいて、上記進行方向及び上記重力方向に対する上記ボールの回転軸の向き及び回転方向を算出する回転方向算出部と、を有するものとすることができる。
この場合には、後述するように、容易かつ正確に、進行方向及び重力方向に対する回転軸の向き及び回転方向を検出することができる。
上記ボール回転方向検出システムは、上記ボールの進行方向と重力方向とのなす角度である進行角度βを記憶する進行角記憶部をさらに有し、上記重力方向算出部は、上記伏角をαとしたとき、上記地磁気ベクトルと重力方向とがなす角度が90°−αであり、かつ上記加速度ベクトルと重力方向とがなす角度が180°−βであることを前提に、上記磁気センサによって検出された地磁気ベクトルと、上記加速度センサによって検出された加速度ベクトルと、上記伏角と、上記進行角度βと、上記移動方角とに基づいて、上記ボール座標系における上記重力方向を算出するよう構成されていることが好ましい。
この場合には、測定場所や測定対象のボールの軌跡に応じた伏角α及び進行角度βを適宜入力することができる。それゆえ、汎用性が高く、かつ、より正確な測定を実現しやすいボール回転方向検出システムを得ることができる。
また、上記ボール回転方向検出システムは、上記ボールの表面において互いに直交する方向を向いた第1特定部位と第2特定部位とを、それぞれ上記移動方角と鉛直上方に向けて上記ボールを静置した状態において、上記磁気センサによって検出された地磁気ベクトルに基づいて、上記移動方角を算出する方角算出部をさらに有し、該方角算出部によって算出された上記移動方角を、上記方角記憶部に記憶するよう構成されていることが好ましい。
この場合には、移動方角を、ボールに固定された磁気センサを利用して検出することができる。それゆえ、移動方角(投球しようとする方角)があらかじめ把握されていない状況で測定する場合などに有用である。また、ボール回転方向検出システムへの移動方角の入力を、容易に行うことができる。
また、上記ボール回転方向検出システムは、上記ボールを静置した状態において、上記加速度センサによって検出された加速度ベクトルと、上記磁気センサによって検出された地磁気ベクトルとに基づいて、上記伏角を算出する伏角算出部をさらに有し、該伏角算出部によって算出された伏角を、上記伏角記憶部に記憶するよう構成されていることが好ましい。
この場合には、測定場所における地磁気の伏角αを、ボールBに固定された磁気センサ及び加速度センサを利用して検出することができる。それゆえ、例えば、伏角αがあらかじめ把握されていない場所で測定する場合などに有用である。また、ボール回転方向検出システムへの伏角αの入力を、容易に行うことができる。
また、上記座標回転算出部は、上記磁気センサによって検出された地磁気ベクトルの時間変化に基づいて、上記ボール座標系における地球座標系の回転速度をさらに算出するよう構成されており、上記ボール回転方向検出システムは、上記座標回転算出部によって算出された上記ボール座標系における地球座標系の回転速度に基づいて、上記ボールの回転速度を算出する回転速度算出部をさらに有することが好ましい。
この場合には、ボールの回転軸の向き及び回転方向と合わせて、回転速度も測定することができる。そのため、例えば、球種の判定や球質の評価を、より高精度に行うことができる。
また、上記ボール回転方向検出システムは、上記ボールに固定され上記加速度センサが検出する加速度ベクトルよりも大きい衝撃加速度を少なくとも一軸方向において検出する衝撃加速度センサと、該衝撃加速度センサによって検出された加速度に基づいて上記ボールの空中移動が終了した時点を判定する終了判定部とをさらに有することが好ましい。
この場合には、ボールの空中移動が終了した時点を判定することができるため、空中移動終了後には回転軸及び回転方向を計測しないようにすることができる。これにより、測定結果を格納するために必要となるメモリの容量を抑制することができる。
また、上記衝撃加速度センサは、上記加速度センサよりも、検出感度が低く、検出レンジが広いことが好ましい。この場合には、空中移動するボールに作用する空気抵抗と、空中移動終了時点にボールが受ける衝撃とを、それぞれ適確に検出することができる。
また、上記衝撃加速度センサは、互いに直交する3つの軸方向の上記衝撃加速度を測定するよう構成されていることが好ましい。この場合には、空中移動終了時点にボールが受ける衝撃を、確実に検出することができる。
また、上記ボール回転方向検出システムは、上記衝撃加速度センサによって検出された加速度に基づいて上記ボールの空中移動が開始した時点を判定する開始判定部をさらに有することが好ましい。この場合には、ボールの空中移動が開始した時点を判定することができるため、空中移動前に計測されたデータを、メモリに残す必要がなくなる。これにより、メモリの容量を抑制することができる。
また、投げられた上記ボールが捕球されたときの加速度ベクトルを、捕球時加速度ベクトルとして上記加速度センサによって検出し、上記捕球時加速度ベクトルに基づいて、上記ボール座標系における上記進行方向を算出するよう構成されているものとすることもできる。この場合には、捕球時の衝撃により検出される加速度ベクトルを用いて、ボールの進行方向を算出することができる。そのため、加速度センサとして検出感度が特に高いセンサを用いる必要もなくなる。その結果、進行方向を容易かつ正確に検出することができる。
また、上記磁気センサは、マグネトインピーダンスセンサからなることが好ましい。この場合には、より正確に、ボールの回転軸の向き及び回転方向を測定することができる。すなわち、マグネトインピーダンスセンサ(以下、「MIセンサ」ともいう。)は、検出感度及び応答性に優れているため、地磁気を正確に検出できると共に、測定間隔を極めて短くすることができる。そのため、ボールが高速回転している場合にも、進行方向及び重力方向に対するボールの回転軸の向き及び回転方向を、正確に測定することが可能となる。
(実施形態1)
ボール回転方向検出システムの実施形態につき、図1〜図7を用いて説明する。
本実施形態のボール回転方向検出システム1は、図2、図3に示すように空中を移動するボールBの、進行方向F及び重力方向Gに対する回転軸Aの向き及び回転方向Rを検出するシステムである。
図1に示すごとく、ボール回転方向検出システム1は、磁気センサ2と、加速度センサ3と、方角記憶部4と、伏角記憶部11と、演算部10と、を有する。
図4に示すごとく、磁気センサ2は、ボールBに固定された3軸直交座標系であるボール座標系CBにおける地磁気ベクトルmを検出する。加速度センサ3は、ボール座標系CBにおける加速度ベクトルaを検出する。
方角記憶部4は、ボールBが移動する方角である移動方角を記憶する。ここでいう方角とは、東西南北の方角を意味する。
伏角記憶部11は、測定地における地磁気の伏角を記憶する。
演算部10は、地磁気ベクトルmと、加速度ベクトルaと、移動方角と、伏角と、地磁気ベクトルm又は加速度ベクトルaの時間変化と、を基に、進行方向F及び重力方向Gに対するボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rを算出する。
図1に示すごとく、演算部10は、進行方向算出部5と、重力方向算出部6と、座標回転算出部7と、回転方向算出部8と、を有する。
進行方向算出部5は、加速度センサ3によって検出された加速度ベクトルaに基づいて、ボール座標系CBにおける進行方向Fを算出する。
重力方向算出部6は、ボールBの空中移動中に磁気センサ2によって検出された地磁気ベクトルmと、ボールBの空中移動中に加速度センサ3によって検出された加速度ベクトルaと、方角記憶部4に記憶された移動方角とに基づいて、ボール座標系CBにおける重力方向Gを算出する。
座標回転算出部7は、ボールBの空中移動中に磁気センサ2によって検出された地磁気ベクトルmの時間変化に基づいて、ボール座標系CB(図4)における地球座標系CE(図6)の回転軸及び回転方向Rを算出する。地球座標系CEは、地球に固定された3軸直交座標系であり、南北方向と東西方向と鉛直方向との3本の互いに直交する座標軸を有する。図6において、Sは南方、Nは北方、Eは東方、Wは西方、Uは上方、Dは下方、をそれぞれ表す。
回転方向算出部8は、進行方向算出部5によって算出されたボール座標系CBにおける進行方向Fと、重力方向算出部6によって算出されたボール座標系CBにおける重力方向と、座標回転算出部7によって算出されたボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転軸及び回転方向Rと、に基づいて、進行方向F及び重力方向Gに対するボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rを算出する。
磁気センサ2及び加速度センサ3は、いずれもボールB内に固定されている。そして、磁気センサ2は、互いに直交する3つの軸方向(図4、図5におけるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向)における地磁気をそれぞれ検出するよう構成されている。加速度センサ3は、互いに直交する3つの軸方向における加速度をそれぞれ検出するよう構成されている。これにより、ボールBに固定された3軸直交座標系であるボール座標系CBにおける地磁気ベクトルm及び加速度ベクトルaをそれぞれ測定することができる。また、加速度センサ3は、ボールBの重心付近に内蔵されている。
本実施形態のボール回転方向検出システム1は、図2に示すごとく、野球の投手がピッチャープレートPからホームベースH(キャッチャー)に向かってボールBを投げる場合に、ボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rを検出する。なお、図2、図3において、符号Lは、水平な地面を表す。
投手がボールBを投げたとき、ボールBは、回転しながら空中を移動する。このとき、ボールBは、概略水平方向に移動する。この空中移動中のボールBには、進行方向Fと反対方向に空気抵抗が作用することとなる。この空気抵抗は、ボールBに搭載された加速度センサ3によって、加速度として検出される。すなわち、図3に示すごとく、ボールBの進行方向Fと逆向きのベクトルを、ボール座標系CBにおける加速度ベクトルaとして検出することができる。
進行方向算出部5は、ボールBに作用する加速度ベクトルaに基づいて、ボールBの進行方向Fを算出することができる。具体的には、加速度ベクトルaの方向と逆向きの方向を進行方向Fとして算出することができる。加速度ベクトルaは、ボールBの空中移動中において逐次検出することができ、例えば、250回/秒以上の頻度で検出する。すなわち、測定間隔を例えば4m秒以下とする。
空中移動中、通常は、ボールBは回転しているため、ボール座標系CB自体も、地球座標系CEに対して回転している。一方、ボールBの進行方向Fは、概略一定であり、経時的にほとんど変化しない。実際にはボールBの軌跡は放物線を描くなど、ボールBの進行方向Fは完全に一定ではないが、ボールBの回転によるボールBの向き(姿勢)の変化に比べれば、略一定といえる。このように、地球座標系CEに対しては、進行方向Fは略一定であり、ボール座標系CBは回転している。
そのため、ボール座標系CBから見た進行方向F、すなわちボール座標系CBにおける進行方向Fは、逐次変化し、ボール座標系CBから見た加速度ベクトルaの方向、すなわちボール座標系CBにおける加速度ベクトルaの方向は、逐次変化する。しかし、各瞬間においては、加速度ベクトルaの逆方向が進行方向Fであることに変わりはないため、各瞬間における加速度ベクトルaの逆方向を、当該瞬間におけるボールBの進行方向Fとして、算出することができる。このようにして、ボールBの空中移動中の各瞬間において、ボール座標系CBにおけるボールBの進行方向Fを算出することができる。
一方、ボールBは自由落下の状態にあるため、ボールBに重力は作用しない。そのため、加速度センサ3だけでは、重力方向Gを検出することはできない。そこで、重力方向算出部6がボール座標系CBにおける重力方向Gを算出するにあたっては、図4に示すごとく、磁気センサ2によって検出されるボール座標系CBにおける地磁気ベクトルmをも利用する。
ここで、本実施形態においては、加速度ベクトルa及び地磁気ベクトルmの他に、重力方向Gの算出に利用する情報として、地磁気の伏角α、及び、ボールBの進行方向Fと重力方向Gとのなす角度(進行角度β)がある。
図3に示すごとく、地磁気ベクトルmと重力方向Gとのなす角度は、予め正確に把握することができる。つまり、地磁気については、地球上の各地点において所定の伏角αが定まっており、例えば、日本の関東では、約49°として定まっている。緯度が異なれば伏角αも変化するが、その各地点における伏角も把握されているため、より正確に算出したい場合には、その各地点における伏角を利用すればよい。このように、測定地における伏角は一定値として定まっているため、伏角αから重力方向Gと地磁気ベクトルmとの角度は一定値として把握される。
また、ボールBの進行方向Fは、上述のように、略水平方向であることが分かっている。したがって、ボールBの進行方向Fと重力方向Gとのなす角度である進行角度βは、略直角であることが分かっている。なお、ここで、進行角度βが、90°ではなく、例えば、85°など、直角以外の角度であっても、進行角度βは予め把握することができる。
図1に示すごとく、ボール回転方向検出システム1は、地磁気の伏角αを記憶する伏角記憶部11と、ボールBの進行方向Fと重力方向Gとのなす角度である進行角度βを記憶する進行角記憶部12とを有する。そして、重力方向算出部6は、磁気センサ2によって検出された地磁気ベクトルmと、加速度センサ3によって検出された加速度ベクトルaと、伏角αと、進行角度βと、移動方角とに基づいて、ボール座標系CBにおける重力方向Gを算出するよう構成されている。ここで、重力方向算出部6は、図3に示すごとく、地磁気ベクトルmと重力方向Gとがなす角度が90°−αであり、かつ加速度ベクトルaと重力方向Gとがなす角度が180°−βであることを前提に、上記の演算を行う。
つまり、ボール座標系CBにおいて、「地磁気ベクトルmとのなす角度が90°−αとなり、かつ、加速度ベクトルaとのなす角度が180°−βとなるベクトル」の方向を、重力方向Gとして算出する。しかし、図4に示すごとく、「地磁気ベクトルmとのなす角度が90°−αとなり、かつ、加速度ベクトルaとのなす角度が180°−βとなるベクトル」は、通常、2つ存在する。
なお、図4において、破線の円Eaは、加速度ベクトルaとのなす角度が180°−βとなるあらゆる単位ベクトルの終点の軌跡に相当する。また、破線の円Emは、地磁気ベクトルmとのなす角度が90°−αとなるあらゆる単位ベクトルの終点の軌跡に相当する。これら2つの軌跡円Ea、Emの交点が、「地磁気ベクトルmとのなす角度が90°−αとなり、かつ、加速度ベクトルaとのなす角度が180°−βとなるベクトル」の終点となるが、この交点は通常2つある。この2つのベクトルを以下において、適宜、ベクトルG1、G2という。
ただし、ボールBの移動方角が、南北方向に平行である場合には、ベクトルG1、G2は、一つに重なる。地磁気の偏角を考慮して厳密に言うと、地磁気ベクトルmの水平方向成分と、ボールBの進行方向Fの水平方向成分とが平行である場合に、ベクトルG1、G2は一致して、一つのベクトルに定まる。そして、地磁気ベクトルmの水平方向成分と、ボールBの進行方向Fの水平方向成分とが概略平行であれば、すなわち、ボールBの移動方角が概略南北方向に平行であれば、ベクトルG1、G2は2つ存在しても、その方向は概略同じである。
ところが、ボールBの移動方角が、南北方向からずれると、ベクトルG1、G2は、2つ存在するため、そのうちのいずれか一方を重力方向Gとして算出する必要がある。この2つのベクトルG1、G2のうちの一方を選択する際、方角記憶部4に記憶された移動方角を用いる。つまり、移動方角が、南北方向からずれた場合、その移動方角に基づいて、2つの解(ベクトルG1、G2)の一方を重力方向Gのベクトルとして選択する。具体的には、例えば、移動方角が西方(加速度ベクトルaの方角が東方)である場合、ベクトルG1、G2のうち、加速度ベクトルaと磁気ベクトルmの外積のベクトル(m×a)により近い方のベクトルを重力方向Gのベクトルとして選択する。逆に、移動方角が東方(加速度ベクトルaの方角が西方)である場合、ベクトルG1、G2のうち、磁気ベクトルmと加速度ベクトルaの外積のベクトル(a×m)により近い方のベクトルを重力方向Gのベクトルとして選択する。
一方、移動方角が、実質的に南北方向(すなわち、実質的に南方又は北方)である場合には、上述のようにベクトルG1とG2とは重なるか、仮に2つの解(ベクトルG1、G2)があったとしても、2つの解に大きな差異はない。そのため、いずれの解を、重力方向Gのベクトルとして選んでもよい。
なお、本実施形態においては、移動方角については、南北方向からずれている場合、東西のうちの東方であるか西方であるかが分かれば、正確な方角は必ずしも必要ない。ただし、南北方向と略一致していると判断する際には、必要とする精度に応じた移動方角の正確性が求められる。
上記のようにして、ボールBの空中移動中における各瞬間において、ボール座標系CBにおける進行方向Fと重力方向Gとを算出することができる。
それゆえ、ボールBの空中移動中における各瞬間において、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転軸及び回転方向が得られれば、ボール座標系CBを介して、進行方向Fに対するボールBの回転軸Aの向き及び回転方向R、並びに、重力方向Gに対するボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rを得ることが可能となる。
そこで、座標回転算出部7は、磁気センサ2によって検出された地磁気ベクトルmの時間変化に基づいて、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転軸及び回転方向を算出する。つまり、地磁気ベクトルmは、地球座標系CEに固定されているため、ボール座標系CBにおける地磁気ベクトルmの時間変化から、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転軸及び回転方向を算出できる。具体的には、例えば4ms以下の時間間隔にて逐次得られるボール座標系CBにおける地磁気ベクトルmの時間変化に基づいて、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転軸及び回転方向を算出できる。つまり、図5に示すごとく、時刻tnと時刻tn+1とのそれぞれにおける地磁気ベクトルmnと地磁気ベクトルmn+1との向きの変化する方向が、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転方向であって、その軸が回転軸Aである。
また、2つの地磁気ベクトルmn、mn+1のなす角度が、時刻tnと時刻tn+1との間の回転角度である。つまり、2つの地磁気ベクトルmn、mn+1のなす角度をΔφとしたとき、回転角速度も、Δφ/(tn−tn+1)にて求めることができる。すなわち、本実施形態のボール回転方向検出システム1は、上述のようにしてボールBの回転速度を算出する回転速度算出部13をも有する。回転速度算出部13は、座標回転算出部7によって算出されたボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転速度に基づいて、ボールBの回転速度を算出する。
言うまでもないが、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転軸は、地球座標系CEにおけるボール座標系CBの回転軸と一致しており、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転方向は、地球座標系CEにおけるボール座標系CBの回転方向と逆向きである。
そして、回転方向算出部8は、上記のようにして算出された、ボール座標系CBにおける進行方向Fと重力方向Gと地球座標系CEの回転軸及び回転方向とに基づいて、進行方向F及び重力方向Gに対するボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rを算出する。進行方向F及び重力方向Gに対するボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rは、ボールBの空中移動中の各瞬間において、算出されることとなる。
ここで、ボール座標系CBにおける進行方向F及び重力方向Gも、時々刻々と変化する。それゆえ、図5に示すごとく、時刻tnのボール座標系CBにおける進行方向F及び重力方向Gと、時刻tn+1のボール座標系CBにおける進行方向F及び重力方向Gとは、互いに異なる。そうすると、厳密には、ボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rの基準とする進行方向F及び重力方向Gが定まらないこととなり、進行方向F及び重力方向Gに対するボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rが求められないこととなってしまうとも考えられる。しかし、測定間隔を例えば4ms以下とする等により、充分に短くすれば、時刻tnのボール座標系CBにおける進行方向F及び重力方向Gと、時刻tn+1のボール座標系CBにおける進行方向F及び重力方向Gとは、ほぼ一致することとなり、これを基準に、ボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rを算出することはできる。
あるいは、時刻tnのボール座標系CBにおける進行方向Fと、時刻tn+1のボール座標系CBにおける進行方向Fとの平均の方向を、時刻tn〜tn+1間の進行方向Fとし、時刻tnのボール座標系CBにおける重力方向Gと、時刻tn+1のボール座標系CBにおける重力方向Gとの平均の方向を、時刻tn〜tn+1間の重力方向Gとしてもよい。
いずれにしても、各瞬間の回転軸、回転角度、回転角速度、及びそれぞれの時間変化を精度よく求めることが要求される。それゆえ、磁気センサ2及び加速度センサ3の測定時間の間隔を充分に短くする。したがって、磁気センサ2及び加速度センサ3としては、短時間で測定可能な高い応答性を備えた仕様のセンサを用いることが好ましい。
次に、磁気センサ2の構造について説明する。本実施形態の磁気センサ2は、マグネトインピーダンスセンサからなる。図7に示すごとく、磁気センサ2は、互いに直交する3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)にそれぞれの感度方向を向けて配置された3つのセンサ素子2x、2y、2zを、センサ基板20上に配置してなる。各センサ素子2x、2y、2zは、マグネトインピーダンスセンサ素子からなる。
各センサ素子2x、2y、2zは、それぞれ、非磁性体からなる基体部21と、基体部21に固定されたアモルファスワイヤ22と、アモルファスワイヤ22に巻回された検出コイル23とを備える。各センサ素子2x、2y、2zに検出される、各軸方向における地磁気の強さに基づいて、磁気センサ2は、ボール座標系CB(3軸直交座標系)における地磁気ベクトルaを検出することができる。
また、加速度センサ3としては、例えば、静電容量型の加速度センサを用いることができる。かかる加速度センサとして、例えば、Kionix社製KX022がある。
本実施形態において、磁気センサ2、加速度センサ3、方角記憶部4、進行方向算出部5、重力方向算出部6、座標回転算出部7、回転方向算出部8、伏角記憶部11、進行角記憶部12、回転速度算出部13は、ボールBに搭載されている。また、ボールBには、回転方向算出部8によって算出されたボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rのデータや、回転速度算出部13によって算出されたボールBの回転速度のデータを記憶するためのメモリが搭載されている。
ただし、必ずしもこれらのすべてがボールBに搭載されている必要はなく、例えば回転方向算出部8及び回転速度算出部13を、ボールBとは別体の外部機器内に設けることもできる。この場合、ボールBと外部機器との間での無線通信等によってデータを送受信することにより、データ処理を行うことも考えられる。
上述のように、上記ボール回転方向検出システム1によれば、地磁気ベクトルmと加速度ベクトルaとを利用して、進行方向F及び重力方向Gに対するボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rを検出することできる。それゆえ、簡易な構成にて、空中を移動するボールの、進行方向F及び重力方向Gに対する回転軸Aの向き及び回転方向Rを検出することができる。
これにより、例えば、野球の投手が投げたボールの球種を判定したり、球質を評価したりすることが、簡易な構成にて可能となる。また、球種や球質を、単に定性的に評価するだけでなく、定量的に数値化して評価することも可能となる。
例えば、右投げ投手の投げたボールの回転軸Aが、概略重力方向Gを向いており、その回転方向Rが、上方から見て左回りであった場合、カーブ又はスライダーであると判定する。また、右投げ投手の投げたボールの回転軸Aが、概略重力方向Gを向いており、その回転方向Rが、上方から見て右回りであった場合、シュートと判定する。また、ボールBの回転軸Aが、概略、進行方向Fと重力方向Gとの双方に直交し、その回転方向Rは逆回転(バックスピン:進行方向Fの前側の面が上向きに移動するような回転)である場合、ストレート(直球)と判定する。
なお、カーブとスライダーとの区別も、進行方向F及び重力方向Gに対する回転軸Aの向きの違いによって区別することもできる。あるいは、カーブとスライダーとの区別にあたり、ボールBの回転速度をも判断材料に加えたり、球速を判断材料に加えたりしてもよい。
また、同じカーブでも、進行方向F及び重力方向Gに対する回転軸Aの向きは、投手ごとに異なり、また、投げ方によっても変わる。例えば、回転軸Aが、重力方向Gに対して斜めになったり、進行方向Fに対して斜めになったりすることもある。それゆえ、実際に球種の判定を行う場合には、予め、投手の持ち球(よく投げる球種)と、各持ち球の特徴(回転軸の向きなど)とを把握しておき、その特徴に近い回転の仕方が検出されたときに、当該球種であると判定するなどのプログラミングを行ってもよい。
なお、球種の判定のみであれば、従来から、専門の野球解説者等によって判断が可能であるが、本実施形態のシステムにおいては、進行方向F及び重力方向Gに対するボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rの情報を用いて、投手の投げる球自体の評価を定量的に行うことが可能となる。すなわち、ボールBの回転軸Aの向きや回転速度を把握することにより、投球フォームやボールの握り方など、その投手の投球の仕方の改善に役立てることも考えられる。
例えば、直球であっても、回転軸Aが、進行方向Fと重力方向Gとの双方に直交するのが理想であるとしたときに、実際に投げたボールの回転軸が進行方向Fと重力方向Gとの双方に直交する方向に対して斜めになることがある。これをボール回転方向検出システム1によって検出して、その情報を投手の投球の仕方の改善に役立てることも考えられる。
また、変化球を投げるにあたって、ボールの回転軸の向きを様々に変化させたい場合も考えられる。このように、所望の変化球の習得にあたり、投げたボールの回転軸を確認しつつ、投球方法を工夫しながら練習することもできる。
以上のごとく、本実施形態によれば、簡素な構成にて、空中を移動するボールの、進行方向及び重力方向に対する回転軸の向き及び回転方向を検出する、ボール回転方向検出システムを提供することができる。
(実施形態2)
本実施形態は、図8〜図10に示すごとく、ボールの移動方角を算出する方角算出部14をさらに有するボール回転方向検出システム1の実施形態である。
すなわち、方角算出部14は、所定の姿勢でボールBを静置した状態において、磁気センサ2によって検出された地磁気ベクトルmによって、移動方角PHを算出するよう構成されている。
ここで、所定の姿勢とは、図9、図10に示すごとく、ボールBの表面において互いに直交する方向を向いた第1特定部位B1と第2特定部位B2とを、それぞれ移動方角PHと鉛直上方に向けた姿勢をいう。
第1特定部位B1及び第2特定部位B2は、例えばボールBの表面に外観上目視できる目印とすることができる。そして、第1特定部位B1及び第2特定部位B2と、ボールBに固定された地磁気センサ2の向きとの関係とは、把握された状態としておく。例えば、地磁気センサ2の一つのセンサ素子の感度方向の部位を第1特定部位B1とし、他の一つのセンサ素子の感度方向の部位を第2特定部位B2としておく。本実施形態においては、図10に示すごとく、ボールBの重心に対してX軸のプラス側方向の位置に、第1特定部位B1を設け、ボールBの重心に対してZ軸のプラス側方向の位置に、第2特定部位B2を設ける。
そして、図9に示すごとく、第1特定部位B1を移動方角PH、すなわち、投球の目標となる方角に向けると共に、第2特定部位B2を鉛直上方に向けた状態で、ボールBを地面に静置する。より具体的には、第2特定部位B2を上方に向けつつ、第1特定部位B1をホームベースHの方角に向けて、ピッチャープレートP上もしくはその周辺の地面にボールBを静置する。これにより、ボール座標系CBにおけるX軸方向が、投球しようとする方角、すなわち移動方角PHに一致し、Z軸方向が鉛直上方に一致する。
この状態において地磁気センサ2によって検出される地磁気ベクトルmの水平方向成分(X−Y平面上への投影ベクトル)と、ボール座標系CBのX軸方向との関係から、移動方角PHを求める。つまり、地磁気ベクトルmの水平方向成分は南方を向いているため、これに対するX軸の向きが分かれば、X軸の方角が分かり、移動方角PHが分かる。
上記のように方角算出部14によって算出された移動方角PHを、方角記憶部4に記憶する。そして、重力方向算出部6は、移動方角PHを、実施形態1において説明した2つのベクトルG1、G2のうちのいずれを重力方向Gのベクトルとして選択するかの判断に用いる。
その他は、実施形態1と同様である。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本実施形態においては、移動方角PH、すなわち投球しようとする方角を、ボールBに固定された磁気センサ2を利用して検出することができる。それゆえ、例えば、投球しようとする方角があらかじめ把握されていない場所で測定する場合などに有用である。また、ボール回転方向検出システム1への移動方角PHの入力を、容易に行うことができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
(実施形態3)
本実施形態は、図11に示すごとく、伏角αを算出する伏角算出部15をさらに有するボール回転方向検出システム1の実施形態である。
伏角算出部15は、ボールBを静置した状態において、加速度センサ3によって検出された加速度ベクトルaと、磁気センサ2によって検出された地磁気ベクトルmとに基づいて、伏角αを算出するよう構成されている。
図12に示すごとく、ボールBを静置した状態において加速度センサ3によって検出される加速度ベクトルaの方向は、重力方向Gでもある。それゆえ、この加速度ベクトルaと地磁気ベクトルmとの双方が検出されれば、重力方向Gと地磁気ベクトルmの方向との角度が特定され、水平面に対する地磁気ベクトルmの角度、すなわち伏角αが特定される。
このようにして、伏角算出部15によって算出された伏角αを、伏角記憶部11に記憶する。
その他は、実施形態1と同様である。
本実施形態においては、測定場所における地磁気の伏角αを、ボールBに固定された磁気センサ2及び加速度センサ3を利用して検出することができる。それゆえ、例えば、伏角αがあらかじめ把握されていない場所で測定する場合などに有用である。また、ボール回転方向検出システム1への伏角αの入力を、容易に行うことができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
(実施形態4)
本実施形態は、図13に示すごとく、衝撃加速度センサ31と、ボールBの空中移動が終了した時点を判定する終了判定部16とをさらに有する、ボール回転方向検出システム1の実施形態である。
衝撃加速度センサ31は、ボールBに固定され、加速度センサ3が検出する加速度ベクトルmよりも大きい衝撃加速度を少なくとも一軸方向において検出する。本実施形態においては、衝撃加速度センサ31は、互いに直交する3つの軸方向の衝撃加速度を測定するよう構成されている。なお、衝撃加速度センサ31は、ボールBの重心から外れた位置に固定されていてもよい。
終了判定部16は、衝撃加速度センサ31によって検出された加速度に基づいて、ボールBの空中移動が終了した時点(以下において、適宜「終了時点」ともいう。)を判定する。
すなわち、ボールBの空中移動が終了する際には、例えばボールBが捕手のミット、打者のバット、或いは地面に衝突して、ボールBに大きな衝撃が加わる。このボールBに加わる衝撃は、大きな加速度として計測することができる。この加速度を、衝撃加速度センサ31によって検出し、この検出信号を基に、終了判定部16が、終了時点を判定する。
これに伴い、ボール回転方向検出システム1は、判定された終了時点で、ボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rの検出を自動的に終了することができる。また、ボールBの回転速度の算出についても、上記終了時点において、自動的に終了することができる。
また、衝撃加速度センサ31は、加速度センサ3よりも、検出感度が低く、検出レンジが広い。すなわち、加速度センサ3は、ボールBに作用する空気抵抗に起因する加速度ベクトルaを検出するため、高い検出感度が要求される一方、検出レンジは比較的狭くてもよい。ところが、衝撃加速度センサ31は、上記のように、種々の衝撃を検出する必要があるため、検出感度は比較的低くてもよいものの、検出レンジは広くなければならない。
それゆえ、本実施形態においては、ボールBに、空気抵抗を検出するための加速度センサ3とは別に、衝撃を検出するための衝撃加速度センサ31を固定している。そして、衝撃加速度センサ31は、加速度センサ3に比べて、検出感度は低く、検出レンジは広いものとしている。
例えば、加速度センサ3としては、Kionix社製KX022を用い、衝撃加速度センサ31としては、STMicro社製H3LIS331DLを用いることができる。
このように、衝撃加速度センサ31の検出感度を低くしておくことにより、ボールBの空中移動中においてボールBに作用する空気抵抗は、衝撃加速度センサ31によって検出されないようにすることができる。その結果、衝撃加速度センサ31は、ほとんど検出値がゼロの状態が続いた後に、空中移動の終了に伴う衝撃を検出することとなるため、終了時点を明確に検出しやすい。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
(実施形態5)
本実施形態は、図14に示すごとく、ボールBの空中移動が開始した時点を判定する開始判定部17をさらに有するボール回転方向検出システム1の実施形態である。
開始判定部17は、衝撃加速度センサ31によって検出された加速度に基づいて、ボールBの空中移動が開始した時点(以下において、適宜「開始時点」という。)を判定する。
すなわち、ボールBの空中移動を開始する際には、投手の指先から、ボールBに大きな衝撃が加わる。そして、投手の指先を離れた後には、ボールBに作用する力は、基本的には空気抵抗のみであり、投手の指先から加わる衝撃力に比べて充分に小さい。それゆえ、衝撃加速度センサ31による検出値がゼロが続く直前に、加速度が検出された時点として、ボールの空中移動の開始時点を把握することができる。なお、衝撃加速度センサ31をボールBの重心から大きくずれた位置に設けた場合、衝撃加速度センサ31には回転に伴う遠心力が作用するが、空中移動中、この値は略一定である。そのため、衝撃加速度センサ31が検出する加速度が一定の状態が続く直前の加速度の変化の時点を、開始時点と判定することができる。
これに伴い、ボール回転方向検出システム1は、判定された開始時点と終了時点との間が、ボールBの空中移動中であることを把握することができる。それゆえ、この間だけ、ボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rの検出を行うようにすることができる。また、ボールの回転速度の算出についても、同様である。
その他は、実施形態4と同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。
(実施形態6)
本実施形態は、図15〜図17に示すごとく、ボールBの進行角度β(図3に示すボールBの進行方向Fと重力方向Gとのなす角度)を予め入力することなく、進行方向F及び重力方向Gに対するボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rを算出する形態である。図15は、本実施形態のボール回転方向検出システム1における演算フローを含む概念図である。
まず、図16に示すボール座標系CBにおける地磁気ベクトルm及び進行方向ベクトルfを求める。ボール座標系CBにおける地磁気ベクトルmは、実施形態1と同様の方法にて、磁気センサ2の出力を基に得ることができる。ボール座標系CBにおける進行方向ベクトルfは、加速度センサ3の出力から得られる加速度ベクトルaと反対向きのベクトルとして得られる。このボール座標系CBにおける進行方向ベクトルfを算出する算出部は、進行方向算出部5に対応する。なお、ここで、地磁気ベクトルm及び進行方向ベクトルfは、単位ベクトルとして算出する。
次に、これら地磁気ベクトルmと進行方向ベクトルfとのなす角度φを求める。つまり、ボール座標系CBにおける地磁気ベクトルm及び進行方向ベクトルfは、ボールBの回転に伴い、逐次変化するが、ボールBが直進する限り、両者のなす角度は変化しない。そこで、各瞬間におけるボール座標系CBにおける地磁気ベクトルmと進行方向ベクトルfとから、両者のなす角度φは具体的に算出される。この角度φは、図17に示すごとく、地球座標系CEにおいても変わることがない。すなわち、地球座標系CEにおける地磁気ベクトルmと進行方向ベクトルfとのなす角度も当然φとなる。
次に、地磁気ベクトルmは、図17に示すごとく、地球座標系CEにおいては特定のベクトル値として固定される。まず、地球座標系CEにおける南北方向軸SNと上下方向軸UDとの双方を含む平面P1上に、地磁気ベクトルmは存在する。また、地磁気ベクトルmは、北半球では、北方Nに対して伏角αの角度分、斜め下方を向く。さらに、地磁気ベクトルmは、上記のように単位ベクトルとして定義されているため、その大きさが1である。したがって、地球座標系CEにおける地磁気ベクトルmを、(南北方向SN,東西方向EW,上下方向UD)の直交3成分にて、(mSN,0,mUD)と表したとき、tanα=mUD/mSN、かつ、mSN 2+mUD 2=1、が成り立つ。
この2つの関係式から、mSNとmUDとが一義的に得られる。すなわち、地球座標系CEにおける地磁気ベクトルmが一義的に得られる。
なお、ここでは、地磁気の方角は南北方向SNに一致することを前提としており、偏角を考慮しないことを前提としている。偏角まで考慮した算出を行う場合には、その分の補正計算を行えばよい。
次に、地球座標系CEにおける進行方向ベクトルfを算出する。このとき、ボールBの移動方角γを利用する。ここで、移動方角γは、南方Sに対してなす角度として定義することができる。ボールBの移動方角γは、予め情報として得ておき、方角記憶部4に記憶させておく。ボールBの移動方角γは、例えば、計測地である球場のピッチャープレートとホームベースとの位置関係から予め把握することができる。あるいは、何らかの方法で、移動方角γを計測することは可能である。計測方法の一つして、上述した実施形態2において示した方法もある。
上記のように移動方角がγである場合、地球座標系CEにおいて、上下方向軸UDを含み、移動方角γに平行な平面P2上に、進行方向ベクトルfが存在することとなる。したがって、地球座標系CEにおける進行方向ベクトルfを、(南北方向SN,東西方向EW,上下方向UD)の直交3成分にて、(fSN,fEW,fUD)と表したとき、fSN、fEW、fUDの間には、以下の2つの関係式が成り立つ。
SN 2+fEW 2+fUD 2=1 ・・・式(1)
tanγ=fSN/fEW ・・・式(2)
さらに、上述のように、進行方向ベクトルfと地磁気ベクトルmとのなす角度はφにて定まっているため、2つの内積f・mはcosφである。つまり、以下の式も成り立つ。
(mSN,0,mUD)・(fSN,fEW,fUD)=cosφ ・・・式(3)
上記の3つの式(1)、(2)、(3)の連立方程式を解くことにより、3つの未知数fSN、fEW、fUDを求める。これにより、地球座標系CEにおける進行方向ベクトルfを求めることができる。
このようにして、地球座標系CEにおける地磁気ベクトルm及び進行方向ベクトルfを一義的に求めることができる。その結果、地球座標系CEとボール座標系CBとの関係が一義的に求められる。これにより、ボール座標系CBから見た上下方向軸UDも一義的に求めることができる。つまり、ボール座標系CBから見た重力方向Gが、一義的に求められる。ここまでの、ボール座標系CBから見た重力方向Gの算出を行う算出部が、重力方向算出部6に対応する。なお、ボール座標系CBから見た進行方向Fは、上述の進行方向ベクトルfから一義的に定まる。
次に、ボール座標系CBにおける地磁気ベクトルm又は進行方向ベクトルfの時間変化から、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転軸及び回転方向を求める。すなわち、ボールBの回転に伴い、地球座標系CEに対してボール座標系CBが回転する。地磁気ベクトルm及び進行方向ベクトルfは地球座標系CEに固定されているため、ボールBの回転に伴い、ボール座標系CBにおいて、地磁気ベクトルm及び進行方向ベクトルfは回転する。それゆえ、磁気センサ2の出力値の変化からボール座標系CBにおける地磁気ベクトルmの回転軸及び回転方向を求めることができる。また、加速度センサ3の出力値の変化からボール座標系CBにおける進行方向ベクトルfの回転軸及び回転方向を求めることができる。このボール座標系CBにおける地磁気ベクトルmの回転軸及び回転方向、或いは、ボール座標系CBにおける進行方向ベクトルfの回転軸及び回転方向が、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転軸及び回転方向となる。このように、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転軸及び回転方向を算出する算出部が、座標回転算出部7に対応する。
上述のように、ボール座標系CBから見た重力方向G及び進行方向Fは、一義的に得られるため、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転軸から、進行方向F及び重力方向Gに対するボールBの回転軸Aの向きを算出することができる。さらに、ボールBの回転方向は、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転方向と逆向きの回転方向として求めることができる。これにより、進行方向F及び重力方向Gに対するボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rを算出することができる。このように、進行方向F及び重力方向Gに対するボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rを算出する算出部が、回転方向算出部8に対応する。
本実施形態においては、ボールBの移動方角γを入力すれば、ボールBの進行角度β(図3に示すボールBの進行方向Fと重力方向Gとのなす角度)を入力する必要がない。それゆえ、例えば投手の体格や投球フォームによって変わる進行角度βを予め計測しておくなどの準備を行うことなく、ボールBの回転軸Aの向き及び回転方向Rの検出を正確に行うことができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を有する。
(実施形態7)
本実施形態は、図18に示すごとく、投げられたボールBが捕球されたときの加速度ベクトルa(tc)に基づいて、ボール座標系CBにおける進行方向Fを算出するようにした形態である。
すなわち、本実施形態のボール回転方向検出システム1においては、投げられたボールBが捕球されたときの加速度ベクトルaを、捕球時加速度ベクトルa(tc)として加速度センサ3によって検出する。この検出された捕球時加速度ベクトルa(tc)に基づいて、ボール座標系 B における進行方向Fを算出する。
投手が投げたボールBを捕手が捕球した瞬間に、ボールBには、衝撃により大きな加速度が作用する。つまり、ボールBの進行方向Fと逆向きに、加速度がボールBに作用する。この加速度ベクトルaを、加速度センサ3によって検出する。そして、この加速度ベクトルを捕球時加速度ベクトルa(tc)として、メモリに記憶する。
捕球時加速度ベクトルa(tc)は、ボール座標系CBにおいて、進行方向Fと反対方向を向いたベクトルとなる。それゆえ、この捕球時加速度ベクトルa(tc)に基づいて、ボール座標系CBにおける進行方向Fを求めることができる。
また、捕球時点tcにおいて磁気センサ2によって検出される地磁気ベクトルm(tc)と、捕球時加速度ベクトルa(tc)とに基づき、ボール座標系CBにおける重力方向Gを求めることができる。このとき、実施形態1と同様に、方角記憶部4に記憶されたボールBの移動方角と、伏角記憶部11に記憶された伏角α、進行角記憶部12に記憶された進行角度βをも利用することもできる。
このようにして、捕球時点のデータとして、ボール座標系CBにおける、進行方向F、重力方向G、地磁気ベクトルmを求めることができる。これらの求め方については、実施形態1に準ずる方法を採用することができる。
また、メモリには、投球されたボールBが空中にある間のボール座標系CBにおける地磁気ベクトルmのデータを蓄積しておくことができる。それゆえ、図18に示すごとく、捕球時点tcの所定の微小時間Δt1、Δt2前における、地磁気ベクトルm(tc−Δt1)、m(tc−Δt2)も採ることができる。ここで、Δt1<Δt2とする。この地磁気ベクトルm(tc−Δt1)と、m(tc−Δt2)と、捕球時tcの地磁気ベクトルm(tc)とから、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転軸及び回転方向を求めることができる。したがって、地球座標系CEに対するボール座標系CBの回転軸及び回転方向を求めることができる。
具体的には、地磁気ベクトルm(tc−Δt1)とm(tc−Δt2)との差分と、
地磁気ベクトルm(tc−Δt1)とm(tc)との差分を採り、これら2つの差分ベクトルの外積を採る。この外積ベクトルの向きが回転軸となる。そして、この回転軸を基準とした差分ベクトルの向きが、ボール座標系CBにおける地球座標系CEの回転方向であり、その反対方向が、地球座標系CEに対するボール座標系CBの回転方向となる。
そして、微小時間Δt1が充分に短く、地球座標系CEに対してボールBの姿勢がほとんど変わっていないとみなせる場合は、上記のようにして算出した地球座標系CEにおける進行方向Fおよび重力方向Gもほとんど変わっていないとみなせる。この場合、これらの進行方向Fと重力方向Gに対するボール座標系CBの回転軸及び回転方向を求めることができる。
この算出方法については、実施形態1と同様の方法にて求めることができる。
また、微小時間Δt1、Δt2の間に、地球座標系CEに対してボールBの姿勢が大きく変わる場合には、時刻tc−Δt1、tc−Δt2における、ボール座標系CBから見た進行方向Fおよび重力方向Gをも求める必要がある。この場合、各時点における地磁気ベクトルm(tc−Δt2)、m(tc−Δt1)、m(tc)の向きが互いに大きく異なると共に、進行方向Fおよび重力方向Gも大きく変わり得る。そこで、各時刻tc−Δt2、tc−Δt1、tcにおける進行方向Fの平均の方向と、各時刻tc−Δt2、tc−Δt1、tcにおける重力方向Gの平均の方向を、それぞれ基準の進行方向Fおよび重力方向Gとみなす。そして、この基準の進行方向Fおよび重力方向Gに対して、ボール座標系CBの回転軸及び回転方向を求めることができる。
なお、微小時間Δt1及び微小時間(Δt2−Δt1)は、その間のボールBの回転が例えばπ/2程度となるようにとることで、回転軸の算出精度を上げやすい。
このようにして、捕球直前の微小時間における、ボールBの進行方向F及び重力方向Gに対する回転軸の向き及び回転方向を算出することができる。
球体であるボールBが空中にある間は、基本的に回転軸は変化しない。そのため、捕球直前の微小時間におけるボールBの進行方向F及び重力方向Gに対する回転軸の向き及び回転方向が得られれば、その情報が、ボールBが空中にある間全体のボールBの情報と略一致すると考えられる。それゆえ、捕球直前の微小時間の情報から、ボールBの進行方向F及び重力方向Gに対する回転軸の向き及び回転方向を得て、球種等の判定に用いることができる。
ただし、厳密に考えると、ボールBが空中にある間に、回転軸が微妙に変化することもある。例えば、ボールの縫い目などのために、ボールの表面が必ずしも一様ではないことや、ボールの重量分布が必ずしも一様でないことなどが要因となり、空気の粘性の影響で、回転軸が微妙に変化することもあると考えられる。
かかる回転軸の微妙な変化を考慮して、ボールBの回転軸の向き及び回転方向を求めたい場合には、次のような方法にて、空中にある間の任意の時点のボールBの回転軸を算出することができる。
すなわち、上記のように求めた捕球時点tcのボール座標系CBにおける進行方向Fと重力方向Gと、捕球直前の微小時間におけるボールBの回転軸および回転方向とから、捕球時点tcの微小時間Δt1前、Δt2前の時点、すなわち時刻tc−Δt1、tc−Δt2の時点におけるボール座標系CBから見た進行方向Fと重力方向Gとを求めることができる。なお、捕球直前の微小時間におけるボールBの回転軸および回転方向は、上述のように、3つの地磁気ベクトルm(tc)、m(tc−Δt1)、m(tc−Δt2)から求めることができる。
そして、ボールBが空中にある間に逐次取得した多数の地磁気ベクトルmを順次用いることにより、時刻を遡って、各時点(例えば、時刻tc、tc−Δt1、tc−Δt2、・・・、tc−Δtn、・・・)におけるボール座標系CBから見た進行方向Fと重力方向Gとを算出し、さらには、各時点におけるボール座標系CBから見たボールBの回転軸および回転方向を求めることができる。その結果、各時点におけるボールBの進行方向F及び重力方向Gに対する回転軸の向き及び回転方向を算出することができる。
本実施形態においては、捕球時の衝撃により検出される捕球時加速度ベクトルa(tc)を用いて、ボールBの進行方向Fを算出することができる。そのため、加速度センサ3として検出感度が特に高いセンサを用いる必要もなくなる。その結果、低コストにて、進行方向Fを容易かつ正確に検出することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、各実施形態は、互いに適宜組み合わせることもでき、例えば、実施形態2と実施形態3とを組み合わせた形態とすることもできる。
また、上記実施形態においては、野球の投手の投げたボールの回転軸の向き及び回転方向を計測する形態を説明したが、ボール回転方向検出システムの用途は、これに限られるものではない。例えば、テニスのサーブやストロークにおけるボールの回転軸の向き及び回転方向なども、測定対象とすることができる。また、野球やテニスに限らず、ソフトボール、ゴルフ、卓球、バレーボール、サッカー等、他の球技にも、ボール回転方向検出システムを利用することができる。なお、実施形態5において説明した開始判定部を備えたボール回転方向検出システムは、テニス、ゴルフ、サッカーなど、開始時点に特に大きな衝撃が作用する場合には特に有効である。
1 ボール回転方向検出システム
2 磁気センサ
3 加速度センサ
4 方角記憶部
10 演算部
11 伏角記憶部
B ボール
a 加速度ベクトル
m 地磁気ベクトル

Claims (13)

  1. 空中を移動するボールの、進行方向及び重力方向に対する回転軸の向き及び回転方向を検出する、ボール回転方向検出システムであって、
    上記ボールに固定された3軸直交座標系であるボール座標系における地磁気ベクトルを検出する磁気センサと、
    上記ボール座標系における加速度ベクトルを検出する加速度センサと、
    上記ボールが移動する方角である移動方角を記憶する方角記憶部と、
    地磁気の伏角を記憶する伏角記憶部と、
    上記地磁気ベクトルと、上記加速度ベクトルと、上記移動方角と、上記伏角と、上記地磁気ベクトル又は上記加速度ベクトルの時間変化と、を基に、上記進行方向及び上記重力方向に対する上記ボールの回転軸の向き及び回転方向を算出する演算部と、を有することを特徴とするボール回転方向検出システム。
  2. 上記演算部は、
    上記加速度センサによって検出された加速度ベクトルに基づいて、上記ボール座標系における上記進行方向を算出する進行方向算出部と、
    上記磁気センサによって検出された地磁気ベクトルと、上記加速度センサによって検出された加速度ベクトルと、上記方角記憶部に記憶された上記移動方角と、上記伏角記憶部に記憶された上記伏角とに基づいて、上記ボール座標系における上記重力方向を算出する重力方向算出部と、
    上記磁気センサによって検出された地磁気ベクトルの時間変化、又は上記加速度センサによって検出された加速度ベクトルの時間変化に基づいて、上記ボール座標系における地球座標系の回転軸及び回転方向を算出する座標回転算出部と、
    上記進行方向算出部によって算出された上記ボール座標系における上記進行方向と、上記重力方向算出部によって算出された上記ボール座標系における上記重力方向と、上記座標回転算出部によって算出された上記ボール座標系における上記地球座標系の回転軸及び回転方向と、に基づいて、上記進行方向及び上記重力方向に対する上記ボールの回転軸の向き及び回転方向を算出する回転方向算出部と、を有することを特徴とする、請求項1に記載のボール回転方向検出システム。
  3. 上記ボールの進行方向と重力方向とのなす角度である進行角度βを記憶する進行角記憶部をさらに有し、上記重力方向算出部は、上記伏角をαとしたとき、上記地磁気ベクトルと重力方向とがなす角度が90°−αであり、かつ上記加速度ベクトルと重力方向とがなす角度が180°−βであることを前提に、上記磁気センサによって検出された地磁気ベクトルと、上記加速度センサによって検出された加速度ベクトルと、上記伏角と、上記進行角度βと、上記移動方角とに基づいて、上記ボール座標系における上記重力方向を算出するよう構成されていることを特徴とする請求項2に記載のボール回転方向検出システム。
  4. 上記ボールの表面において互いに直交する方向を向いた第1特定部位と第2特定部位とを、それぞれ上記移動方角と鉛直上方に向けて上記ボールを静置した状態において、上記磁気センサによって検出された地磁気ベクトルに基づいて、上記移動方角を算出する方角算出部をさらに有し、該方角算出部によって算出された上記移動方角を、上記方角記憶部に記憶するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のボール回転方向検出システム。
  5. 上記ボールを静置した状態において、上記加速度センサによって検出された加速度ベクトルと、上記磁気センサによって検出された地磁気ベクトルとに基づいて、上記伏角を算出する伏角算出部をさらに有し、該伏角算出部によって算出された伏角を、上記伏角記憶部に記憶するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のボール回転方向検出システム。
  6. 上記演算部は、上記磁気センサによって検出された地磁気ベクトルの時間変化に基づいて、上記ボール座標系における地球座標系の回転速度をさらに算出し、算出された上記ボール座標系における地球座標系の回転速度に基づいて、上記ボールの回転速度を算出する回転速度算出部をさらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のボール回転方向検出システム。
  7. 上記ボールに固定され上記加速度センサが検出する加速度ベクトルよりも大きい衝撃加速度を少なくとも一軸方向において検出する衝撃加速度センサと、該衝撃加速度センサによって検出された加速度に基づいて上記ボールの空中移動が終了した時点を判定する終了判定部とをさらに有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のボール回転方向検出システム。
  8. 上記衝撃加速度センサは、上記加速度センサよりも、検出感度が低く、検出レンジが広いことを特徴とする請求項7に記載のボール回転方向検出システム。
  9. 上記衝撃加速度センサは、互いに直交する3つの軸方向の上記衝撃加速度を測定するよう構成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載のボール回転方向検出システム。
  10. 上記衝撃加速度センサによって検出された加速度に基づいて、上記ボールの空中移動が開始した時点を判定する開始判定部をさらに有することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のボール回転方向検出システム。
  11. 投げられた上記ボールが捕球されたときの加速度ベクトルを、捕球時加速度ベクトルとして上記加速度センサによって検出し、上記捕球時加速度ベクトルに基づいて、上記ボール座標系における上記進行方向を算出するよう構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のボール回転方向検出システム。
  12. 上記捕球時加速度ベクトルと、上記ボールが空中にある間に逐次取得した多数の上記地磁気ベクトルと、に基づいて、上記ボールが空中にある間の各時点における、上記ボール座標系から見た上記進行方向を算出するよう構成されている、請求項11に記載のボール回転方向検出システム。
  13. 上記磁気センサは、マグネトインピーダンスセンサからなることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のボール回転方向検出システム。
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