JP6331709B2 - 転炉吹錬におけるスロッピング予知方法 - Google Patents

転炉吹錬におけるスロッピング予知方法 Download PDF

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Description

本発明は、転炉吹錬中に発生すると操業上大きな障害となるスロッピングの予知方法に関するものである。
転炉吹錬におけるスロッピングとは、吹錬中に突発的に炉内のスラグおよび溶鋼が炉口から炉外に噴出する現象である。特に、ソフトブロー実施時や酸化鉄系副原料投入量が多い場合にスラグ中のFeOが増加し、スラグ−溶鋼界面でCO反応が爆発的に起こって発生すると言われている。
スロッピングは、溶鋼成分を乱し出鋼歩留りを低下させるとともに、吹錬時間の増加、OGガス回収率の低下、作業環境の低下さらには周辺機器の損傷といった様々な問題を引き起こす。そのため、従来からさまざまなスロッピング予知方法が提案されている。
スラグのフォーミング状況をさまざまなセンサーで検知しスロッピング予知を行う技術として、例えば特許文献1には、音響測定法によりスロッピング予知を行う技術が開示されている。このほか、スロッピング予知に関連する技術として、例えば特許文献2には振動測定法が、特許文献3には炉内圧測定法が、特許文献4にはマイクロ波測定法が、特許文献5には炉体表面温度測定法が、それぞれ開示されている。
特開昭54−33790号公報 特開昭54−114414号公報 特開昭55−104417号公報 特開昭57−140812号公報 特開昭58−48615号公報
音響測定法、振動測定法、炉内圧測定法、および、炉体表面温度測定法は、いずれも間接的測定法であるため、スラグレベルおよびスラグの状態を定量的に把握することができない。そのため、特許文献1〜特許文献3、および、特許文献5に開示されている技術はスロッピング予知精度が低かった。これに対し、特許文献4に開示されているマイクロ波測定法は、スラグレベルの直接的測定が可能である。しかしながら、吹錬中の転炉内は溶鋼、スラグ、ガス等が極めて複雑な動きをしているため、異常を検出あるいは推定することは容易でない上に、信号処理等にも高度な技術が必要である。また、いずれのセンサーも高温環境下の転炉で安定して長期間にわたって稼働させるためには、莫大なメンテナンスコストを必要とした。したがって、特許文献1〜特許文献5に開示されているセンサー情報に基づく予知方法を実操業に適用するには、予知精度を高めたりコストを低減したりする必要があった。
そこで、本発明は、転炉吹錬のスロッピングを高精度かつ安価に予知することが可能な、スロッピング予知方法を提案することを目的とする。
以下、本発明について説明する。本発明において、転炉は、上吹き転炉であっても良く、上底吹き転炉であっても良い。
本発明は、過去の転炉吹錬におけるスロッピング発生状況およびスロッピング発生時期を表すデータと、過去の転炉吹錬の開始前に得られる操業データの実績値と、を用いて統計的手法で構築したスロッピング予知モデルを、スロッピング発生時期に応じて複数個作成しておき、今後行われる転炉吹錬の開始前に得られる操業データおよび上記複数個のスロッピング予知モデルを用いて、今後行われる転炉吹錬の開始前に、当該今後行われる転炉吹錬のスロッピング発生時期を予測することを特徴とする、転炉吹錬におけるスロッピング予知方法である。
ここに、本発明において、「転炉吹錬の開始前に得られる操業データ」および「今後行われる転炉吹錬の開始前に得られる操業データ」は、転炉吹錬を行う前に判明している操業データをいう。そのような操業データには、例えば、溶銑成分、溶銑温度、溶銑率、装入量、炉回数等が含まれ得る。また、本発明において、「統計的手法」は、データマイニングの分野で使用される、分類の問題を扱う手法をいい、例えば、決定木やランダムフォレスト等が含まれる。
複数のスロッピング予知モデルを活用することにより、吹錬開始前に得られるデータ(溶銑成分、溶銑温度、炉回数等。)のみを使って、吹錬開始前の時点で、どのタイミングでスロッピングが発生するのかを高精度に予測できる。また、複数のスロッピング予知モデルを活用してスロッピングを予知する際に、特別なスロッピング予知専用のセンサーを使用する必要はない。すなわち、このような形態にすることにより、転炉吹錬のスロッピングを精度良くかつ安価に予知することができる。
上記本発明において、統計的手法として、決定木を用いても良い。決定木を用いて構築した複数のスロッピング予知モデルを活用することにより、吹錬開始前に得られるデータ(溶銑成分、溶銑温度、炉回数等。)のみを使って、吹錬開始前の時点で、どのタイミングでスロッピングが発生するのかを高精度に予測できる。また、統計的手法として決定木を用いる形態では、スロッピングを予知する際に、特別なスロッピング予知専用のセンサーを使用する必要はない。したがって、かかる形態であっても、転炉吹錬のスロッピングを精度良くかつ安価に予知することができる。
上記本発明において、統計的手法として、ランダムフォレストを用いても良い。ランダムフォレストを用いて構築した複数のスロッピング予知モデルを活用することにより、吹錬開始前に得られるデータ(溶銑成分、溶銑温度、炉回数等。)のみを使って、吹錬開始前の時点で、どのタイミングでスロッピングが発生するのかを高精度に予測できる。また、統計的手法としてランダムフォレストを用いる形態では、スロッピングを予知する際に、特別なスロッピング予知専用のセンサーを使用する必要はない。したがって、かかる形態であっても、転炉吹錬のスロッピングを精度良くかつ安価に予知することができる。
本発明では、複数のスロッピング予知モデルを活用して、転炉吹錬のスロッピングの発生時期を予知する。これにより、吹錬開始前に得られるデータ(溶銑成分、溶銑温度、炉回数等。)のみを使って、吹錬開始前の時点で、どのタイミングでスロッピングが発生するのかを高精度に予測できる。また、複数のスロッピング予知モデルを活用してスロッピングを予知する形態にすることにより、特別なスロッピング予知専用のセンサーを導入せずとも精度良く吹錬中のスロッピングの発生を予測できる。したがって、本発明によれば、転炉吹錬のスロッピングを高精度かつ安価に予知することが可能な、スロッピング予知方法を提供することができる。
制御ブロックの概念を説明する図である。 本発明で使用可能なスロッピング予知モデルの一形態を説明する図である。 本発明で使用可能なスロッピング予知モデルの他の形態を説明する図である。 スロッピングが発生した時期を限定せずに構築した決定木モデルを説明する図である。 決定木を用いた場合のスロッピング発生有無の予測精度を説明する図である。 ランダムフォレストの考え方を説明する図である。 ランダムフォレストを用いた場合のスロッピング発生有無の予測精度を説明する図である。 本発明を実施可能なシステムの構成例を説明する図である。 本発明を説明するフローチャートである。
以下、本発明の完成に至った着想について説明するとともに、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、転炉吹錬を単に「吹錬」ということがある。以下に説明する形態は本発明の例示であり、本発明は以下に説明する形態に限定されない。
吹錬開始前に得られるデータ(溶銑成分、溶銑温度、炉回数等。)のみを使って吹錬開始前の時点でスロッピングを予知できれば、スロッピング抑制のための対策検討(例えば、スロッピング抑制材の投入、上吹きランス高さの変更、上吹き酸素流量の変更等。)をオペレータが事前に実施可能となるため、より適正なスロッピング抑制が期待できる。そこで、本発明者らは特願2013−140812において、過去のスロッピング発生状況を表す実績データ、および、吹錬開始前に得られる操業データの過去の実績値に基づき、統計的手法にてスロッピング予知モデルを予め作成しておき、当該チャージの吹錬時には、その当該チャージの吹錬開始前に得られる操業データと、予め作成しておいたスロッピング予知モデルとを使って、吹錬開始前にスロッピングを予知する方法を提案した。
本発明者は、さらなる予知制度の向上を検討した結果、スロッピング発生状況を表す過去の実績データに加えて、スロッピング発生時期データ(詳細後述)を新たに活用することに着目した。スロッピングの発生時期によってスロッピングの発生機構は異なると予想されるため、それぞれの発生時期に応じたスロッピング予知モデルを構築し、構築した複数のスロッピング予知モデルを活用することにより、その予知精度の向上が期待できる。
本発明の実施の形態について説明するにあたり、はじめに、吹錬開始前に得られる操業データを用いたスロッピング予知方法について説明する。スロッピング発生状況を表すデータ(スロッピングコード)の定義を、表1に示す。
スロッピングコードとは、表1に示すように、スロッピングの発生状況に応じて1〜4の値をとるカテゴリ変数(質的変数)であり、チャージ毎にオペレータによってコンピュータに入力されデータベースに蓄積される。
次に、吹錬開始前に得られる操業データについて説明する。一般的な転炉には自動吹錬機能が導入されており、本機能にて吹錬期間を同じ酸素量で分割した制御ブロック(例えば1〜25ブロック)毎に、上吹き酸素量や底吹き流量等を自動制御(パターン制御)している。この例を図1に示す。図1には、予定酸素量を25等分し、上吹き酸素流量パターンに割り当てて各ブロックの時間を決定した様子が例示されている。そして、例えば図1に示した制御ブロック番号(図1の例ではNo.1〜No.25)をスロッピング発生時期データとして活用する。すなわち、スロッピングが発生した制御ブロック番号が、オペレータによってチャージ毎にコンピュータに入力され、データベースに蓄積されているとする。なお、ここでは制御ブロック番号を例示したが、本発明では、制御ブロック番号でなくとも、吹錬開始時からの経過時間や絶対な時刻(実際の時刻)等をスロッピング発生時期データとして蓄積しても構わない。
吹錬開始前に得られる操業データの例を表2に示す。
以降、表2に例示したような吹錬開始前に得られる操業データ(溶銑C等の溶銑成分、溶銑温度、炉回数等。)を用いる本発明の実施形態について説明する。
表1に示したスロッピングコード、および、スロッピング発生時期のデータ(過去の転炉吹錬におけるスロッピング発生状況およびスロッピング発生時期を表すデータ)と、表2に示した吹錬開始前に得られる操業データと、がデータベースに蓄積されているとする。
そして、データベースを活用することにより、過去のスロッピングコードと、スロッピング発生時期のデータと、吹錬開始前に得られる操業データの実績値とを準備しておき、統計的手法を用いてスロッピング予知モデルを構築する。スロッピング予知モデルを構築する際には、スロッピング発生時期がほぼ同じデータを対象データとする。すなわち、吹錬初期のスロッピングを対象とした予知モデルや、吹錬末期のスロッピングを対象とした予知モデルのように、スロッピング発生時期に応じた複数個のスロッピング予知モデルを構築する。
1.第1実施形態
スロッピング予知モデルを構築する際に使用可能な統計的手法としては、さまざまな統計的手法がある。本発明者は、調査の結果、まず、スロッピングコードのようなカテゴリ変数を目的変数とする場合にも対応可能な決定木モデルに着目した。
『山口和範、高橋淳一、竹内光悦著、「図解入門よくわかる多変量解析の基本と仕組み」、秀和システム、2004年』には、回帰分析のような明示的な関数を用いずに、一連の手順に沿ってデータを分けていくことによって予知や判別を行う、決定木、回帰木に関する手法が紹介されている。近年データマイニングの分野で良く用いられる手法のひとつである樹木モデル(tree-based model)は、非線形回帰分析、判別分析方法であり、回帰の問題では回帰木(regression tree)、分類の問題では分類木(classification tree)または決定木(decision tree)と呼ばれている。決定木モデルは、簡便な分岐形式の説明変数(種々の操業条件)でカテゴリカルな目的変数(例えばスロッピングコード)を予知可能で、特に説明変数間の相互作用や非線形性が存在する場合には、重回帰式よりも有効で、最近では様々な分野の予知や判別に使われる手法である。
以降、吹錬初期と吹錬末期に発生したスロッピングを対象とし、決定木を用いて構築したスロッピング予知モデルについて説明する。
吹錬初期(制御ブロックNo.5〜8)にスロッピングが発生したデータを対象とし、表1に示すスロッピングコードを目的変数、表2に示す操業データを説明変数候補として構築した決定木モデルを図2に示す(mdl−Case1)。図2に示した各棒グラフの縦軸は確率、横軸はスロッピングコードである。すべての説明変数がモデルに採用される訳ではなく、図2に示すようにスロッピングコードの予知に寄与する操業データが分岐条件の形式で選択される。図2の場合には炉回数、炉号、溶銑Si、溶銑Ti、溶銑重量の5項目が選択された。得られた決定木モデルの末端の枝(図2の各棒グラフ)がスロッピングコードの内訳を表している。例えば、炉回数が1591.5回よりも少なく(すなわち1591回以下)かつ溶銑Siが0.405%以上の場合には、図2の右端の末端の枝に示されているように、50%以上の確率でスロッピングコード2(スロッピング中)以上のスロッピングが発生し、一方、溶銑Siが0.405%未満の場合には、図2の右端から2番目の末端の枝に示されているように、スロッピングコード2以上の発生確率は30%程度と小さくなることを示している。このように決定木モデルは、ある説明変数の具体的な数値条件下での目的変数(カテゴリ変数)のカテゴリ毎の発生確率を提示できる。また、各末端のノードの多数決で、そのノードに対応する操業条件下でのスロッピングの有無を予測できる。たとえば、図2の左端のノードの操業条件に合致するチャージデータであれば、スロッピングコード1の割合が多数(86%)を占めるので、スロッピングは発生しないと判断する。このような多数決に基づいてスロッピング発生有無の予測精度を評価した結果、吹錬前に得られる操業データを用いて吹錬初期(制御ブロックNo.5〜8)に発生するスロッピング発生有無を、70%の精度で予測できた。この予測結果(mdl−Case1)を図5に示す。
次に、吹錬末期(制御ブロックNo.20〜25)にスロッピングが発生したデータを対象とし、表1に示すスロッピングコードを目的変数、表2に示す操業データを説明変数候補として構築した決定木モデルを図3に示す(mdl−Case2)。図3に示した各棒グラフも、縦軸は確率、横軸はスロッピングコードである。図3に示した決定木モデルでは、D級屑や炉号等、図2に示した決定木モデル(mdl−Case1)では選択されなかった操業条件が分岐条件として選択された。mdl−Case1の場合と同様に、多数決に基づいてスロッピング発生有無の予測精度を評価した結果、吹錬前に得られる操業データを用いて吹錬末期(制御ブロックNo.20〜25)に発生するスロッピング発生有無を、89%の精度で予測できた。この予測結果(mdl−Case2)を図5に示す。
一方、スロッピングが発生した時期を限定せずに構築した決定木モデルを図4に示す(mdl−Base)。mdl−Case1やmdl−Case2の場合と同様に、mdl−Baseを用いてスロッピング発生有無の予測精度を評価した結果、その予測精度は62%だった。図5に示したように、スロッピングが発生した時期毎にスロッピング予知モデルを構築することにより合計で複数のスロッピング予知モデルを構築し(今回の例では、吹錬初期と吹錬末期で合計2つのスロッピング予知モデルを構築し)、これらのモデルを用いてスロッピング発生有無を予測することにより、その予測精度が改善することが示された。
2.第2実施形態
また、本発明者は、さらにスロッピング予測精度の向上に取り組み、統計的手法としてランダムフォレスト(Random Forest)の適用を検討した。『下川敏雄、杉本知之、後藤昌司著、金明哲編、「Rで学ぶデータサイエンス9 樹木構造接近法」、共立出版、2013年』によれば、ランダムフォレストは、決定木を「弱い」学習機とする集団学習アルゴリズムである。図6に、ランダムフォレストの考え方を示す。ランダムフォレストという呼び名はランダムサンプリングされた訓練データで多くの決定木を使用することに由来する。ランダムフォレストは、計算速度が速く、はずれ値やノイズに頑強という特徴をもち、特に分類問題における性能が良いことが知られている。一般的に、決定木はそのアルゴリズムの性質上学習データから受ける影響が大きいが、ランダムフォレストではランダムサンプリングによる集団学習によって外挿時でも高い予測精度が得られると言われている。そこで、次に、ランダムフォレストを用いて構築したスロッピング予知モデルについて説明する。
図7は、ランダムフォレストで構築したスロッピング予知モデルのスロッピング予測精度を示す図である。図7の「mdl−Base−rf」は、スロッピングが発生した時期を限定しない場合の予測精度の結果であり、「mdl−Case1−rf」は、吹錬初期(上記制御ブロックNo.5〜8)にスロッピングが発生したデータを対象とした場合の予測精度の結果であり、「mdl−Case2−rf」は、吹錬末期(上記制御ブロックNo.21〜25)にスロッピングが発生したデータを対象とした場合の予測精度の結果である。図5および図7を比較すると、図7に示したランダムフォレストで構築したスロッピング予知モデルを用いたスロッピング予測精度は、図5に示した決定木で構築したスロッピング予知モデルを用いたスロッピング予測精度よりも精度が向上した。この結果から、スロッピング発生有無の予測においてもランダムフォレストが決定木よりも予測精度向上に有効であると考えられる。また、決定木と同様に、ランダムフォレストを用いた場合も、スロッピング発生時期を限定して構築したスロッピング予知モデル(mdl−Case1−rf、mdl−Case2−rf)の方が、スロッピング発生時期を限定せずに構築したモデル(mdl−Base−rf)よりも予測精度が良好であることがわかる。
以上説明したように、決定木を用いる本発明の第1実施形態にかかるスロッピング予知モデルや、ランダムフォレストを用いる本発明の第2実施形態にかかるスロッピング予知モデルを用いることによって、オペレータは吹錬開始前の段階で、これから行う転炉吹錬(=今後行われる転炉吹錬、当該チャージ)において、スロッピング発生時期を高精度で予測できる。これにより、スロッピング抑制のための対策検討(例えばスロッピング抑制材の投入、上吹きランス高さの変更、上吹き酸素流量の変更等)を、これから行う転炉吹錬の開始前に十分に行うことができる。
一方、特許文献1〜特許文献5に開示されているような従来のセンサー情報によるスロッピング予知情報は、吹錬中にオペレータに提示される。この場合、オペレータは、スロッピング抑制アクションの判断および実行を非常に短時間で実施する必要があり、不適切な抑制アクション(例えば過剰な抑制材の投入、過剰な酸素流量の低減等)が懸念される。これに対し、吹錬開始前にスロッピング発生時期を高精度に予測する本発明によるスロッピング予知方法によれば、従来技術よりも適切なスロッピング抑制操作を行うことが期待できる。また、本発明によるスロッピング予知方法によれば、従来技術のように特別なスロッピング予知専用のセンサーを導入せずとも吹錬開始前の時点でスロッピング発生時期を高精度に予測することができる。したがって、本発明によれば、転炉吹錬のスロッピングを高精度かつ安価に予知することができる。
図面を参照しつつ、本発明の実施形態についてさらに説明を続ける。図8は、本発明の転炉吹錬のスロッピング予知方法を実施可能な、スロッピング予知システムの形態例を説明する図である。図8に示したスロッピング予知システム10において、溶銑スクラップデータ1は、チャージ毎の溶銑重量、溶銑成分(C、Si、Mn、P、Ti等)、溶銑温度、溶銑率、スクラップ重量、炉回数等の溶銑条件のデータである。パラメータ2では、決定木やランダムフォレスト等の統計的手法で構築したスロッピング予知モデルの分岐条件項目と対応する分岐項目の数値条件を設定する。スロッピング発生予測演算部3では、当該チャージの溶銑スクラップデータ1を用いて、決定木やランダムフォレスト等の統計的手法にて構築した複数のスロッピング予知モデルに基づいてスロッピング発生有無を予測する。入出力部4では、パラメータの修正やスロッピング発生予測演算部3で求めたスロッピング発生有無を表示する。スロッピング予知システム10において、入出力部4には公知の入出力手段を用いることができる。
スロッピング予知システム10によれば、本発明のスロッピング予知方法を用いてスロッピングの発生時期を予測することができるので、吹錬開始前に得られるデータ(溶銑成分、溶銑温度、炉回数等)のみを使って吹錬開始前の時点で、スロッピング発生時期を高位精度で予測できる。また、スロッピング予知システム10によれば、従来技術のように特別なスロッピング予知用のセンサーを導入せずとも精度良く吹錬中のスロッピング発生有無を予測できる。すなわち、スロッピング予知システム10によれば、転炉吹錬のスロッピングを精度良くかつ安価に予知することができる。
図9は、本発明のスロッピング予知方法を説明するフローチャートである。
STEP1では、溶銑重量およびスクラップ重量や炉回数等のデータを溶銑スクラップデータ1から収集する。STEP2では、決定木やランダムフォレスト等の統計的手法で構築したスロッピング予知モデルの分岐条件項目と対応する分岐項目の数値条件を設定する。次に、STEP3では、STEP1で収集したデータ、および、STEP2で設定した数値条件を用いる統計的手法にて構築した複数のスロッピング予知モデルに基づいて、スロッピング発生有無を予測し、その予測結果が出力される。次に、STEP4では、吹錬が終了しているか否かが判断される。STEP4で否定判断がなされた場合(吹錬が終了していない場合)にはSTEP3に戻り、STEP4で肯定判断がなされるまで、STEP3〜STEP4の処理が繰り返される。これに対し、STEP4で肯定判断がなされた場合(吹錬が終了している場合)には計算を終了する。
以上の手順に従う本発明のスロッピング予知方法によれば、決定木やランダムフォレスト等の統計的手法を用いることにより、吹錬開始前に得られるデータ(溶銑成分、溶銑温度、炉回数等)のみを使って吹錬開始前の時点で、スロッピング発生時期を高位精度で予測できる。また、本発明のスロッピング予知方法では、従来技術のように特別なスロッピング予知用のセンサーを導入せずとも精度良く吹錬中のスロッピング発生有無を予測できる。すなわち、本発明のスロッピング予知方法によれば、転炉吹錬のスロッピングを精度良くかつ安価に予知することができる。
なお、本発明に関する上記説明では、統計的手法として決定木およびランダムフォレストを例示したが、本発明で使用可能な統計的手法はこれらに限定されない。スロッピングが発生した時期を限定しない場合のスロッピング発生時期の予測精度よりも、スロッピングが発生した時期を限定した場合のスロッピング発生時期の予測精度が高くなるような、データマイニングの分野で使用される分類の問題を扱う公知の統計的手法(例えばロジスティック回帰等)を適宜用いることができる。
1…溶銑スクラップデータ
2…パラメータ
3…スロッピング発生予測演算部
4…入出力部
10…スロッピング予知システム

Claims (3)

  1. 過去の転炉吹錬におけるスロッピングの規模およびスロッピング発生時期を表すデータと、過去の転炉吹錬の開始前に得られる操業データの実績値と、を用いて統計的手法で構築したスロッピング予知モデルを、前記スロッピング発生時期に応じて複数個作成しておき、
    今後行われる転炉吹錬の開始前に得られる操業データおよび前記複数個のスロッピング予知モデルを用いて、今後行われる転炉吹錬の開始前に、当該今後行われる転炉吹錬のスロッピング発生時期を予測することを特徴とする、転炉吹錬におけるスロッピング予知方法。
  2. 前記統計的手法として、決定木を用いることを特徴とする、請求項1に記載の転炉吹錬におけるスロッピング予知方法。
  3. 前記統計的手法として、ランダムフォレストを用いることを特徴とする、請求項1に記載の転炉吹錬におけるスロッピング予知方法。
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