JP6330650B2 - 細胞培養装置 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞培養に関するものである。
細胞の培養においては、細胞の増殖や薬剤の添加にあわせて、顕微鏡で観察しながら細胞の状態を観察する。さらに、細胞の状態に応じて、自動的に作業を行うマニピュレータを動作させることで、薬剤の添加や細胞の除去を実施することがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−271471号公報
しかしながら、従来の薬剤の添加手法では、対象となる細胞やマニピュレータの相対位置関係が十分に考慮されておらず、薬剤の添加や細胞の除去が効率よく行えない場合があった。
そこで、本発明は、薬剤添加や細胞除去を効率よく行うことが可能な細胞培養を実現することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明における細胞培養装置は、培養容器を保持する台座と、照明系と、細胞への薬剤添加または細胞除去を行うマニピュレータと、前記培養容器内の細胞を観察する観察光学系と、前記観察光学系を用いて細胞の塊であるコロニーにおいて良部と不良部を判定する良否判定部と、前記マニピュレータの移動を制御する制御部と、を備えた細胞培養装置であって、前記制御部は、前記薬剤添加または細胞除去を行う際に、前記照明系を、前記コロニーの全体の重心GABと前記不良部の重心GBとの間に配置した状態で、前記マニピュレータにより薬剤添付や細胞除去を行う、ことを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、薬剤添加や細胞除去を効率よく行うことが可能な細胞培養を実現することが可能となる。
本発明の実施の形態1における細胞培養装置の概要図 本実施の形態1における照明系とマニピュレータの動作のフローチャート (a)本実施の形態1における観察画像及び良否判定画像を示す図、(b)本実施の形態1における照明系およびマニピュレータ位置を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面は、理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を主体として、模式的に示している。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における細胞培養装置100の概要図である。
本実施の形態1の細胞培養装置100は、図1に示すように、培養容器101を支持する台座102と、培養容器101の観察を行うために台座の下方に配置された観察光学系110と、照明系111と、細胞への薬剤(試薬)添加もしくは細胞の除去を行うマニピュレータ112と、観察光学系110及び照明系111及びマニピュレータ112をそれぞれ移動させる移動手段113と、照明系111及びマニピュレータ112の位置を検出する検出手段114と、各種構成の動作を制御する制御部115と、観察光学系110で取得した細胞画像に対して細胞品質を判定する良否判定部116と、良否判定部116において良否が判定されたコロニーの良部および不良部の重心を算出する細胞重心計測部117と、予め観察対象の細胞の種類を設定しておく細胞種類設定部118とから構成される。培養容器101には、培養対象である細胞、及び、培養を行うための培地が入れられている。ここで、コロニーとは、細胞の塊である。
良否判定部116では、観察光学系110で取得した細胞画像に対して、細胞種類設定部118において設定された培養対象の細胞種類に対応して、事前に定義された細胞の品質を基準にコロニー内部の良否判定を行い、細胞の品質を評価する。細胞の品質とは、たとえば、ヒトiPS細胞の未分化維持の培養においては、コロニーの良部の細胞を未分化かつ多能性を維持した細胞とし、不良部の細胞を分化細胞とすると、コロニーの良部および不良部の細胞の合計に対する良部の細胞の割合である。ここで、ヒトiPS細胞の未分化維持の培養においては、良部は円形の細胞がコロニーを形成しているのに対し、不良部では細胞の形状が円形から崩れて細胞間の密度が低下した状態でコロニーを形成している。コロニーの良部および不良部の基準は細胞ごとに異なるので、事前にコロニーの良部および不良部が判明した細胞画像を教師データとして学習した判別器などを、細胞種類ごとに用意しておくのが好ましい。
細胞重心計測部117は、図3(a)に示すような撮影画像に対して、良否判定部116においてコロニーの良部と判定された領域Aと、コロニーの不良部と判定された領域Bに対して、コロニーの領域Aおよび領域Bを合わせた領域の重心GABと、領域Bの重心GBを算出する。
本実施の形態における細胞培養装置100は、詳細は後述するが、細胞重心計測部117において算出された培養容器101内のコロニーの良部および不良部から形成される重心の位置に応じた位置指令に基づいて、照明系111及びマニピュレータ112の位置を制御することを特徴とする。具体的には、照明系111を光源とするマニピュレータ112の影がコロニーの良部側ではなく不良部側にできるように、照明系111及びマニピュレータ112の位置を制御することを特徴とする。そして、本実施の形態における細胞培養装置100は、このように位置を制御することで、コロニーの良部の細胞がマニピュレータ112により薬剤添加や細胞除去される可能性を軽減させ、薬剤添加や細胞除去を効率よく行うことができる。
ここで、本発明における照明系111とマニピュレータ112の動作フローチャートを、図2を用いて説明する。まず、観察光学系110と照明系111を計測対象エリアに移動させ、仮撮影を行う(ステップS01)。本実施の形態の仮撮影は、照明系111及びマニピュレータ112の位置を制御するために、それぞれの位置関係を把握するための撮影である。このとき、仮撮影における撮像視野内には、マニピュレータ112が配置されないようにしている。その後、ステップS01において撮影された図3(a)に示す撮影画像に対して、良否判定部116において前述の基準にてコロニーの良部と不良部の判別を行い、さらに細胞重心計測部117においてコロニーの良部および不良部の全体の重心GABと不良部の重心GBを算出する(ステップS02)。ステップS02の結果に基づいて、マニピュレータ112は、コロニーの不良部に対して局所的に剥離剤を添加することや局所的に剥離された細胞を吸引することを目的として、不良部の重心GBの上方に移動する(ステップS03)。ここで、ステップS03において、照明系111は、図3(b)に示すように、コロニーの不良部の重心GBからコロニーの全体の重心GABに向かうベクトル上に移動する。すなわち、本実施の形態では、照明系111を、コロニーの全体の重心GABと不良部の重心GBとの間に配置した状態で、マニピュレータ112により薬剤添付や細胞除去を行っている。さらに、照明系111を、前述のベクトル上において、マニピュレータ112と照明系111が機械的干渉を起こさない不良部の重心GBから最短の位置に移動させることで、薬剤添加や細胞除去をより効率よく行うことができる。
そして、観察光学系110で観測しながら、マニピュレータ112が不良部に対して作業を行い(ステップS04)、不良部が適切に処理されていることを確認し(ステップS05)、フローは終了となる。本実施の形態の細胞培養装置100では、ステップS04において、マニピュレータ112の影は、コロニーの不良部の重心GBから全体の重心GABと反対側に生じる。このため、仮に薬剤添加や細胞除去が想定以上生じた場合、マニピュレータ112の影になっているのは不良部が多い側となり、良部が多いコロニーの全体の重心GAB側は、照明系111によって明確に観察することができる。その結果、培養容器101内の細胞全体としては、不良部が除去される一方で、良部が除去される量は少なくなるので、良品の細胞を効率よく培養することができる。
なお、良否判定部116では、撮像画像に対して自動的に良部および不良部の認識を行うようにしたが、手動作業により不良部の部位を指定するようにしてもよい。これにより、入力の手間が増えるとともに精度が低下する可能性は有るが、使用者の好みに合わせた不良部の除去ができるようになると思われる。
本発明の細胞培養装置は、再生医療や創薬分野で有用である。
100 細胞培養装置
101 培養容器
102 台座
110 観察光学系
111 照明系
112 マニピュレータ
113 移動手段
114 検出手段
115 制御部
116 良否判定部
117 細胞重心計測部
118 細胞種類設定部

Claims (3)

  1. 培養容器を保持する台座と、照明系と、細胞への薬剤添加または細胞除去を行うマニピュレータと、前記培養容器内の細胞を観察する観察光学系と、前記観察光学系を用いて細胞の塊であるコロニーにおいて良部と不良部を判定する良否判定部と、前記マニピュレータの移動を制御する制御部と、を備えた細胞培養装置であって、
    前記制御部は、前記薬剤添加または細胞除去を行う際に、前記照明系を、前記コロニーの全体の重心GABと前記不良部の重心GBとの間に配置した状態で、前記マニピュレータにより薬剤添付や細胞除去を行う、
    細胞培養装置。
  2. 前記制御部は、前記薬剤添加または細胞除去を行う際に、前記照明系を、前記不良部の重心GBから前記コロニーの全体の重心GABに向かうベクトル上に配置した状態で、前記マニピュレータにより薬剤添付や細胞除去を行う、
    請求項1に記載の細胞培養装置。
  3. 前記制御部は、前記薬剤添加または細胞除去を行う際に、前記照明系を、前記不良部の重心GBから前記コロニーの全体の重心GABに向かうベクトル上において前記マニピュレータと前記照明系が機械的干渉を起こさない前記不良部の重心GBから最短の位置に配置した状態で、前記マニピュレータにより薬剤添付や細胞除去を行う、
    請求項2に記載の細胞培養装置。
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