JP6330560B2 - 地下水中和方法および地下水中和システム - Google Patents
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Description
アルカリ化した地下水の中和処理方法としては、揚水設備にて揚水した地下水を中和処理装置に投入し、当該装置内を炭酸ガスにて曝気中和する方法がある。中和後は、下水道や河川等の公共用水域へ排水する。
このため、アルカリ性を呈する土壌に接触することによりアルカリ化した地下水を、揚水することなく原位置で炭酸ガスに接触させ中和させる技術が望まれている。
また、貫通孔の大きさを調整することにより、炭酸ガスの気泡径も調整することができるため、地下水との接触に好適でかつ均一な気泡の炭酸ガスを供給することが可能となる。
砕石層2は、表層10、帯水層11、不透水層12が積層する地盤中に構築されており、底部が不透水層12に達する深さを有している。このような砕石層2は、地盤を不透水層12に達するまで掘削して形成した孔5に砕石6を充填し、壁状に構築したものである。
そこで、本実施の形態では、図3(a)に示すように、炭酸ガス送気管3の下端に、気泡拡散盤7を設置している。
したがって、砕石層2に供給された炭酸ガスが、炭酸ガス送気管3の管壁と砕石層2との間の空隙に沿って地表まで上昇してしまうことを防止して、砕石層2の炭酸ガス送気管3から径方向に離間した広い範囲に効率よく炭酸ガスを供給することができる。
さらに、本実施の形態では、板材7aの周縁に導いた炭酸ガスが大きい気泡となって漏れることのないよう、板材7aの周縁から下方に延びるスカート7cを設けている。
まず、図1(a)に示すように、上流から流下してきた地下水9は、砕石層2の壁面より砕石層2内に流入し、砕石6間の間隙に保持される。一方、炭酸ガス送気管3より砕石層2の底部近傍に供給された炭酸ガスは、気泡Bとなって下層から上層に向けて移動し、図1(b)の側面図で示すように、上昇移動途中で砕石6間の間隙にトラップされ、間隙内で地下水9と接触する。
これらの事象を考慮し、本発明では砕石6に、単粒度砕石であって粒径が13mm以上20mm以内の、いわゆる5号砕石を適用している。
以下に、図5に示す砕石の粒径と炭酸ガス吸収率および地下水の中和の度合いとの関係を参照しながら、砕石層2を構築する砕石6に、5号砕石を適用する場合と砂利(粒径5mm)を適用する場合とで、炭酸ガス吸収率および地下水9の中和の度合いを比較検証した結果を示す。
また、図示しないが、炭酸ガス送気管3の下端近傍には、前述した気泡拡散盤7を設置し、炭酸ガスが炭酸ガス送気管3を伝って上昇する現象を抑止した。
そして、炭酸ガス吸収率を検証するため、モデル土層8に供給する炭酸ガス濃度(吹込CO2濃度)とモデル土層8の上層から排出された炭酸ガス濃度(排出CO2濃度)を測定し、炭酸ガス吸収率((吹込CO2濃度−排出CO2濃度)/吹込CO2濃度×100)を算定した。
また、図4(b)に示すように、モデル土層8を高さ方向に上層8a、中層8b、下層8cの3層に分類するとともに、各層における所定の水平断面内において、図4(a)に示すように、予め複数の採水ポイント8dを設定する。そして、各層において採水ポイント8d各々にて水を採取し、各層における同一水平断面内のpHの分布範囲を測定した。
図5に示すように、砂利(粒径約5mm)を用いた比較例では、実験開始から2〜3日間は炭酸ガス吸収率が50%を超えるものの、それ以降は、40%程度にとどまっており、実験日数が経っても炭酸ガス吸収率に大きな変化は見られない。
一方、5号砕石を用いた実施例では、実験開始後1日目から炭酸ガス吸収率が90%を超え、その後も4日まで80%を維持している。
これは、5号砕石を用いた実施例では砂利(粒径約5mm)を用いた比較例に比べ、供給した炭酸ガスが砕石6間の間隙に確実にトラップされ、砕石6間の注入水に効率的に接触して融解されているものと想定できる。
図5に示すように、砂利(粒径約5mm)を適用した比較例では、下層8cの所定水平断面において、実験開始から1日目におけるpH値が9.0〜9.4の間に分布している。実験日数が経過するにつれてpH値が下降しているものの、pH値の分布の幅は広くなり、実験開始から20日後には7.5〜8.2の間に分布している。
これは、同一水平断面上であっても採水ポイント8dでpH値に差が生じていることを示しており、炭酸ガスが、同一水平断面内に均一に拡散していないことを示すものである。つまり、砂利(粒径約5mm)を適用した比較例では、気泡拡散盤7の貫通孔7b近傍でトラップされなかった炭酸ガスの気泡Bが、効率よく横方向に移動できる程度に砕石6により形成される間隙が連続していないものと想定できる。
これらの点は、中層8bおよび上層8aにおける結果でも同様である。
これは、同一水平断面上において採水ポイント8dでpH値に大きな差が生じていないことを示しており、炭酸ガスが、同一水平断面内に均一に拡散していることを示すものである。つまり、5号砕石を適用した実施例では、気泡拡散盤7の貫通孔7b近傍でトラップされなかった炭酸ガスの気泡Bが、効率よく横方向に移動できる程度に砕石6により形成される間隙が連続しており、また連続する間隙に対して気泡Bの一部が確実にトラップされているものと想定できる。
これらの点は、中層および上層における結果でも同様である。
なお、当然のことながら、粒径の大きく異なる砕石6を混ぜあわせて砕石層2を構築すると、粒径の大きい砕石6を使用していてもその間隙に細かい砕石6が入り込んで、砕石6間の一つ一つの間隙は小さくなる。したがって、本発明の地下水中和システム1では砕石層2に用いる砕石6に均一化を図るべく、単粒度砕石6である5号砕石のみ、つまり粒径を13mm以上20mm以内の砕石6のみを用いることとした。
また、工場敷地内にアルカリ化した地下水9を回収および揚水するための揚水装置や中和するための中和処理装置等を用いる必要がないため、設備設置のための用地確保や、設備の維持管理等を不要なものとすることができる。
2 砕石層
3 炭酸ガス送気管
4 炭酸ガス供給設備
5 孔
6 砕石
7 気泡拡散盤
7a 板材
7b 貫通孔
7c スカート
8 モデル土層
8a 上層
8b 中層
8c 下層
8d 採水ポイント
9 地下水
10 表層
11 帯水層
12 不透水層
B 炭酸ガスの気泡
L 敷地境界
Claims (4)
- アルカリ性の地下水流が存在する地盤を穿孔して砕石を充填し構築した砕石層に、開口を下端に有する炭酸ガス送気管を、該下端が砕石層の底部近傍に位置するよう建込み、
前記炭酸ガス送気管の開口から炭酸ガスを排出して、該炭酸ガスと前記砕石層に流入した地下水とを接触融解させる地下水中和方法であって、
前記砕石に、粒径が13mm以上20mm以内の単粒度砕石を用いることを特徴とする地下水中和方法。 - 前記炭酸ガス送気管の下端近傍に、炭酸ガス送気管の管外壁から離間配置した複数の貫通孔を有する気泡拡散盤を設置し、
前記貫通孔を介して、前記炭酸ガス送気管の前記開口から排出される炭酸ガスを、前記貫通孔を介して前記砕石層内へ排出させることを特徴とする請求項1に記載の地下水中和方法 - 前記砕石層を、地下水の流下方向と交差する方向に延在する壁状に構築し、
前記配管を、砕石層の延在方向に沿って複数設置することを特徴とする請求項1または2に記載の地下水中和方法。 - アルカリ性の地下水流が存在する地盤に構築され、アルカリ性の地下水流が存在する層に達する深さを有する孔に砕石を充填して構築された砕石層と、
該砕石層内の底部近傍に下端が位置するよう建て込まれ、開口を下端に有する炭酸ガス送気管と、
該炭酸ガス送気管に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給設備とを備え、
前記砕石に、粒径が13mm以上20mm以内の単粒度砕石を用いることを特徴とする地下水中和システム。
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