JP6328288B2 - 服飾付属部品の表面電解処理装置 - Google Patents
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Description
図1は、服飾付属品の一例であるスライドファスナー用のエレメント(務歯)1に本発明に係る表面電解処理を施すための表面電解処理装置10を概略的に示す側断面説明図である。図2は図1の平面説明図である。図3〜5は、それぞれ図1のA線、B線及びC線に沿う断面説明図である。図6は図3の一部拡大図である。図7は、多数のエレメント1がそれぞれ既に取り付けられた状態の左右一対のファスナーテープ2、2の一部を示す平面図であり、エレメント1は、各ファスナーテープ2、2の幅方向の相互に対向する側の縁部に、長手方向に沿って連続的に多数取り付けられている。表面電解処理装置10は、エレメント1が取り付けられた状態でかつ長手方向に所定長さごとに切断される前の長尺に連なるファスナーテープ2を通過させながら、エレメント1に表面電解処理を施すものである。
次に、服飾付属品の一例としてボタンやボタン止具の構成部品であるシェルキャップに表面電解処理を施す例について説明する。図9はシェルキャップ30の斜視図である。シェルキャップ30は、表面31aと裏面31bを有する円板部31と、円板部31の外周から軸方向裏面側に突き出る環状側部32とを有する。図10は、多数のシェルキャップ30を研磨しつつ表面電解処理を施すための表面電解処理装置40である。装置40は、市販されている磁気研磨回転バレル装置に以下に述べるように電極を配置したものである。装置40は、開放した円筒状の容器41と、容器41の下方に設けられた回転機構50とを備える。容器41は、円形の底板42と周側板43とを有し、底板41の中央部は上方に隆起している。容器41内の底板42と周側板43との隅部には環状の陽極44が周方向に沿って連続するように配置される。また、容器41内の底板42から上方に離れかつ周側板43から半径方向内側に離れた位置に環状の陰極45が周方向に沿って延設される。この陰極45の位置は、後述するように回転撹拌中の電解液f中に入るように設定される。陽極44及び陰極45は図示しない外部電源に接続される。容器41には、電解液fと、処理対象である多数のシェルキャップ30と、シェルキャップ30を研磨しつつシェルキャップ30の姿勢をおおむね一定に整える役割を果たす研磨材としての強磁性の多数のステンレス製のピン群又はボール群からなるメディア46が収容される。なお、シェルキャップ30は非磁性金属からなる。
ブラス(銅合金)製で下地メッキが行われていないスライドファスナー用エレメント1に対し図1等に示す表面電解処理装置10を使用して次のように表面処理を行った。電解液eとして穀物酢:水を3:17の割合で混合した酸性溶液(pH=3.2)、2000mlを用い、浴液撹拌ポンプ12により電解液eを11リットル/分にてユニット20に供給した。陽極23として直径2mm、長さ160mmの銅製電線を2本並行に用い、陰極24として直径3mm、長さ160mmのステンレス(SUS304)を1本用いた。電極23、24間の電解液流路22での電解液流速を0.5m/秒に保ち、電圧3Vで電極を印加し、銅イオン濃度を上げるために約30分予備通電した。通電中の電流値は0.1A以下であった。次にスライドファスナー用エレメント1が取り付けられた金属ファスナーテープ2を図1のごとく装着し、電圧3Vにて約30分間通電した。この時のエレメント1に対する電流密度は間接(非接触)電極を用いているため、計算は難しく出来なかった。電解液流路22中の液温は処理開始時19℃であったものが、処理終了時点で20℃となった。通電中、ファスナーテープ2は停止状態でエレメント1間は噛合状態とした。これにより、エレメント1の外表面の陽極23に向いた側(図8の1a側)が初期の黄銅色から第1の金属色として銅色になり、陰極24を向いた側(図8の1b側)が第2の金属色としてくすんだ黄銅色になった。この時に用いた金属エレメントの断面の大きさは噛み合わせ状態で幅6mm、高さ2.5mmである。この時の金属エレメント1の表裏両面をそれぞれエネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いて分析した結果、陽極23に向いた側では銅成分67.086%、亜鉛成分28.964%、その他3.950%となった。また、陰極24に向いた側では銅成分63.561%、亜鉛成分32.065%、その他4.374%であった。
ファスナーテープ2に植え込まれた、下地メッキが施されていない金属ファスナーエレメント(銅合金)1を図1等に示す表面電解処理装置10を用いて表面処理を行った。電解液eとして、株式会社山本鍍金試験器製の酸性錫メッキ液(品番 BP−SN-02)400mlに1600mlの精製水を加え、液撹拌ポンプ12により、電解液eを11リットル/分にてユニット20に供給した。この時のpH値は0.8であった。電極23、24間の電解液流路22での電解液流速を約0.5m/秒に保ち、陽極23、陰極24ともに直径3mm、長さ160mmのステンレス(SUS304)を用い、電圧5Vにて電極を印加し、約30分通電処理を行った。この時の電流値は初期時2.0Aであり、終了時2.5Aに上昇した。この時の溶液温度は処理開始時19℃、処理終了時22℃であった。通電中、ファスナーテープ2は停止状態でエレメント1間は噛合状態とした。これにより、エレメント1の外表面の陽極23を向いた側(図8の1a側)が黄銅色から第1の金属色として鈍い銀色(錫色)となり、陰極24を向いた面(図8の1b側)が第2の金属色としてくすんだ黄銅色となった。この時に用いた金属ファスナーエレメント1の断面の大きさは幅6mm、高さ2.5mmである。この時の金属エレメント1の表裏両面をエネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いて分析した結果、陽極23を向いた側では銅成分が57.940%、亜鉛成分が29.779%、錫成分が7.954%、その他4.327%という結果であった。また、陰極24を向いた側(図8の1b)では銅成分が60.854%、亜鉛成分が32.538%、その他6.608%という結果で、錫成分は検出されなかった。
ブラス(銅合金)製のシェルキャップ30に対し図10に示す表面電解処理装置40を使用して次のように表面処理を行った。シェルキャップ30は直径11mm、高さ3mmのものを10個使用し、電解液fとして穀物酢:水を3:16の割合で混合した酸性溶液(pH=3.2)を190ml用い、電圧9Vで電極を印加し、約100mAの電流を約20分通電した。陰極45として、直径3mm、長さ100mmのステンレス(SUS304)を用い、また、陽極44として、直径2mm、長さ250mmの銅電線を用いた。メディア46として、長さ5mm、径が0.3mmのステンレスピンメディアを10gと、長さ5mm、径が0.5mmのステンレスピンメディアを15gの2種で合計25gを容器41に投入した。更に、回転機構50の回転数を1000rpmとした。電解液fの温度は、処理開始時に14℃であったものが、終了時22℃となった。これにより、キャップ30の円板部31の表面31aが黄銅色から第1の金属色として銅色になり、裏面31b及び環状側部32の内側面が第2の金属色として黒みを帯びた黄銅色になり、更に、環状側部32の外側面が第3の金属色として、第1の金属色から第2の金属色へと次第に変化する黒みを帯びた金属色となった。表面前のシェルキャップ30の母材の成分分析を行ったところ、表面31a側が銅成分66.563%、亜鉛成分が33.293%、その他0.144%、裏面31b側は銅成分66.478%、亜鉛成分33.381%、その他0.141%であり、ほぼ表裏同じであった。同様の成分分析を表面処理後のキャップ30で行ったところ、表面31a側の銅成分は67.607%、亜鉛成分32.281%、その他0.112%となり、裏面31b側の銅成分は66.486%、亜鉛成分33.411%、その他0.103%という結果を得た。
ブラス(銅合金)製のシェルキャップ30に対し図10に示す表面電解処理装置40を使用して次のように表面処理を行った。シェルキャップ30は直径11mm、高さ3mmのものを10個使用し、電解液fとして、株式会社山本鍍金試験機製の酸性ニッケルメッキ液(品番BP-NI―01)100CCに精製水100ccを加え混合した酸性溶液(pH=2.9)を200ml用い、電圧16Vで電極を印加し、約5.5Aの電流を約10分間通電した。陰極45として直径3mm、長さ100mmのステンレス(SUS304)を用い、陽極44として直径2mm、長さ250mm銅電線を用いた。メディア46として長さ5mm、径が0.3mmのステンレスピンメディアを10gと、長さ5mm、径0.5mmのステンレスメディアを15gの2種で合計25gを容器41に投入した。更に、回転機構50の回転数を1000rpmとした。電解液fの温度は、処理開始時に14℃であったものが、終了時31℃となった。これにより、キャップ30の円板部31の表面31aが黄銅色より第1の金属色としてニッケル色になり、裏面31b及び環状側部32の内側面が第2の金属色として白くくすんだ黄銅色になり、更に、環状側部32の外側面が第3の金属色として、第1の金属色から第2の金属色へと次第に変化する黒みを帯びた銅色を含む金属色となった。この実施例で使用したシェルキャップ30の母材は、[実施例3]と同じものであり、表面処理後に表面成分分析を行ったところ、表面31a側が銅成分68.480%、亜鉛成分が29.555%、ニッケル成分が1.825%、その他0.140%であり、裏面31b側は、銅成分66.420%、亜鉛成分33.397%、その他0.183%の結果を得た。この結果から、処理後に表面31a側では銅成分が増加したのに加えニッケル成分が検出され、裏面31b側ではニッケル成分は検出されず母材成分と大きな変化はないことが分かった。
2 ファスナーテープ
1a 第1の金属色
1b 第2の金属色
1c 第3の金属色
10、40 表面電解処理装置
11 電解液浴液槽
12 ポンプ
13 循環路
20 バイポーラメッキユニット
22 電解液流路
23、44 陽極
24、45 陰極
30 シェルキャップ
41 容器
46 強磁性ピンメディア
50 回転機構
53 永久磁石
e、f 電解液
Claims (6)
- 金属製の服飾付属品に表面電解処理を施すための表面電解処理装置(40)であって、
一つ又は複数の服飾付属品(30)と、電解液(f)とが投入される容器(41)にして、底板(42)と、底板(42)から立ち上がる周側板(43)とを含む容器(41)と、
前記容器(41)に投入された多数の研磨材(46)と、
前記容器(41)外から容器(41)内の前記研磨材(46)を容器(41)内で周方向に回転させるための磁石(53)を含む回転機構(50)と、
前記研磨材(46)の回転に伴って容器(41)内で回転流動する前記電解液(f)に通電するための陽極(44)及び陰極(45)とを備える服飾付属品の表面電解処理装置。 - 前記陽極(44)及び陰極(45)の一方は、前記容器(41)の底板(42)と周側板(43)との間の隅部に周方向に沿って配置され、
前記陽極(44)及び陰極(45)の他方は、前記底板(42)及び周側板(43)からそれぞれ離れた位置に周方向に沿って配置される請求項1に記載の服飾付属品の表面電解処理装置。 - 前記陽極(44)及び陰極(45)は周方向に沿って連続する請求項2に記載の服飾付属品の表面電解処理装置。
- 前記研磨材(46)はピン群又はボール群である請求項1〜3のいずれか1項に記載の服飾付属品の表面電解処理装置。
- 前記服飾付属品はシェルキャップ(30)である請求項1〜4のいずれか1項に記載の服飾付属品の表面電解処理装置。
- 前記回転機構(50)は、モータの出力部に一端が接続する回転軸部(51)と、回転軸部(51)の他端に連結し、前記磁石(53)が配置される回転板(52)とを備える請求項1に記載の服飾付属品の表面電解処理装置。
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