JP6328288B2 - 服飾付属部品の表面電解処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、服飾付属品の表面電解処理方法、服飾付属品、及び服飾付属品の製造方法に関し、更に詳しくは、スライドファスナー用の金属部品、金属製のボタン類等の服飾付属品に対しバイポーラ現象を利用して金属色を付与する表面電解処理方法と、そのような金属色を有する服飾付属品及びその製造方法に関する。
金属製の服飾付属品、例えば、スライドファスナー用のエレメント、スナップボタン、ボタン等の構成部品であるシェルキャップ等は、衣類、鞄類等に取り付けられ、これらの外観の一部をなす。そのため、服飾付属品には高いデザイン性が要求され、服飾付属品が呈する色味はデザイン性の重要な一要素である。しかし、母材の金属色は限られるため、金属製の服飾付属品には、塗装、印刷、メッキ等による色付けが一般的に行われている。しかし、塗装や印刷による色付けでは、通常、服飾付属品の金属光沢が失われ、また、銀鏡塗装仕上げ等の特殊な塗装法も知られているが、これには非常にコストがかかる。そのため、金属服飾部品に母材と異なる金属色を付与するためには、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、置換メッキ、化成処理等)が一般的に採用されており、金属製のファスナーエレメント、スナップボタン、シェルキャップ等には、従来から、電気メッキや化学メッキによる全面メッキが施されている。例えば、金属製ファスナーエレメントにメッキを施す場合、エレメントが取り付けられるファスナーテープに事前にテープ長手方向に沿って導電性繊維が織り込まれ、このファスナーテープに多数のエレメントが導電性繊維に接するように加締め付けられる。次いで、ファスナーテープをメッキ浴に連続的に通しながら導電性繊維に通電することにより、エレメントを陰分極させ、エレメントの外表面に金属析出させている。しかしながら、この方法では、エレメントに直接通電するため、導電性繊維にメッキ金属が析出しないように調整する必要がある等、手間がかかっている。
近年、服飾付属品に対するデザイン性、ファッション性の要求が多様化、高度化している。例えば、表裏で異なる色目の光沢を持つリバーシブル仕様や様々な光沢色を持つ服飾付属品に対するニーズがある。しかしながら、上述したファスナーテープに導電性繊維を織り込んでメッキする方法では片面メッキは困難である。また、従来のメッキ法により表裏で別の色目を出したり片面メッキを行うとすると、例えば、表裏一方を樹脂コーティングによりマスキングしてメッキを施し、その後マスキングを除去し、必要に応じて表裏他方に同様の工程を繰り返す必要がある。しかし、この場合、手間とコストがかかりすぎるため、工業的生産には不適である。また、シェルキャップは、ボタン本体や止具本体に取り付けられる部品であるため、本来、外側面のみのメッキで足りるが、上述したように片面メッキが高コストであるため、全面メッキが施されている。
後述するように本発明者は、バイポーラ現象を利用して金属製の服飾付属品に表面電解処理を施す新規な方法を発見したが、バイポーラ現象を利用するメッキ法を開示する先行技術として、特開2002−69689号公報(特許文献1)、特開2010−202900号公報(特許文献2)、及び特開2013−155433号公報(特許文献3)が存在する。特許文献1は、粒径50μm以下の微細な粉末に対してバイポーラ現象を利用して電気メッキ(バイポーラメッキ)を施す方法を開示している。特許文献2は、バイポーラメッキ膜の表面に無電解メッキ法により貴金属メッキ膜を形成する電気接点の製造方法を開示している。特許文献3は、バイポーラ現象を利用した間接給電による電子・電気部品の電気メッキ方法を開示している。従って、これらの文献はいずれも、衣類や鞄類に取り付けられて高いファッション性やデザイン性が要求される服飾付属品とは無関係なものである。なお、服飾付属品の業界において、従来、バイポーラ現象は、被メッキ物のメッキ皮膜を変色させたり、不均一にする等、メッキ不良の原因と考えられていた。
特開2002−69689号公報 特開2010−202900号公報 特開2013−155433号公報
本発明の目的の一つは、金属製の服飾付属品に多様な金属色をコスト的に有利に与えることができる服飾付属品の表面電解処理方法及び服飾付属品の製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、金属製の服飾付属品に表裏で異なる金属色を同時に付与することができる服飾付属品の表面電解処理方法及び服飾付属品の製造方法を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、表裏で異なる金属色を有する服飾付属品を提供することにある。
本発明の一側面によれば、電解液に通電するための陽極と陰極から非接触状態で一つ又は複数の金属製の服飾付属品を該電解液中に配置し、電解液に通電して、服飾付属品にバイポーラ現象を発生させることにより、服飾付属品の外表面の少なくとも一部に該外表面の色とは異なる金属色を与えることを特徴する服飾付属品の表面電解処理方法が提供される。
本発明において、金属製の服飾付属品としては、スライドファスナー用のエレメント(務歯)、下止、上止、スライダー、引き手;スナップボタン、ボタン穴に通すタイプのボタン、飾りボタン等のボタン;これらボタン用の止具;シェルキャップ等のボタン用の部品;ハトメ(ハトメ用ワッシャー等を含む);フックアイ(フックアイを引っ掛ける部品を含む)、及び、これらに類する、衣類や鞄類に取り付けられる金属部品等を挙げることができる。本発明における服飾付属品は、例えば、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等からなり得るが、これらに限定されるものではない。
本発明に係る表面電解処理は、服飾付属品自体すなわち母材の外表面に直接施す場合と、事前に下地メッキが施された服飾付属品の外表面すなわち基材の外表面に施す場合がある。そのため、本発明における「外表面の色」とは、母材を直接処理する場合は母材の色をいい、母材に既に下地メッキが施されている場合は、下地メッキ(基材の外表面)の色をいう。
本発明者は、電解液中に金属製の服飾付属品を電極から離してバイポーラ現象を発生させることにより、金属製の服飾付属品に従来のメッキ法では困難であった多様な色相を付与できることを見出した。本発明では、一つ又は複数の金属製の服飾付属品を電解液中に陽極と陰極から離して配置し、電極に印加して電解液に通電することにより、服飾付属品(以下、「被処理物」ともいう。)にバイポーラ現象を発生させる。電解液は被処理物に比べ抵抗が大きく、電位勾配を生ずるのに対し、被処理物は抵抗が小さく、全体がほぼ等電位と見なせる。そのため、被処理物の陽極を向いた側がマイナスに帯電しかつ陰極を向いた側がプラスに帯電するバイポーラ現象が生じる。バイポーラ現象により、被処理物のプラス極(陰極を向いた側)で金属の溶解(酸化腐食)又は電気分解が起こって陽イオンを発生させ、マイナス極(陽極を向いた側)で溶解した又は電解液中の金属イオンが還元析出する。以下、本明細書において、被処理物の陽極を向いた側(マイナス極)に生じる電着を「バイポーラメッキ」とも言う。これにより、服飾付属品の外表面の陽極に向く側にバイポーラメッキにより母材又は基材(下地メッキ)の色とは異なる金属色(第1の金属色)を付与することができる。また、服飾付属品の外表面の陰極に向く側に金属溶解により母材又は基材の色及び第1の金属色のいずれとも異なる第2の金属色を付与することができる。なお、バイポーラメッキ中における服飾付属品の電極に対する姿勢や距離を一定に保ったり、あるいは規則的にもしくは不規則に変化させることにより、服飾付属品に多様な色相を付与することができる。更に、例えば、電解液の種類、電解液に付加する金属イオン、印加電圧、通電時間、服飾付属品の電極に対する姿勢や距離等を変えることによっても服飾付属品に付与する色相を変えることができる。本発明において、「陽極と陰極から非接触状態で一つ又は複数の金属製の服飾付属品を該電解液中に配置」における「非接触状態」とは、被処理物が表面電解処理中に基本的に電極から離れていればよく、被処理物が一時的に電極に接する場合もあり得る。すなわち、「非接触状態」には、通電中に被処理物が一時的に電極に接する場合も含まれる。
本発明において、例えば、服飾付属品がブラス材の場合、通常、母材に直接バイポーラメッキが施される。しかし、例えば、ブラス製のファスナーエレメントにバイポーラメッキで銀メッキを施す場合、エレメントをファスナーテープに取り付ける前に、通常の電気メッキにて銅メッキ又はニッケルメッキを施し、その後、エレメントをテープに植え込み、バイポーラメッキにてエレメントの片側に銀メッキを施すことができる。また、バイポーラメッキで服飾付属品の外表面の少なくとも一部に金メッキを施す場合、下地に銅錫メッキ又はニッケルメッキを先に施し、この下地メッキ面に対してバイポーラメッキによる金メッキが施される。更に、母材が亜鉛合金の場合、下地として青化銅メッキを十分な厚さで施す必要がある。
本発明において、電解液には、初期状態で金属イオンを含有しないものと、服飾付属品に電着させる金属イオンを含有するものの両方を含む。前者では、基本的に服飾付属品の外表面の一方側から溶解した金属が他方側に析出する。初期状態で金属イオンを含有しない電解液としては、例えば、酢酸、クエン酸、塩酸、硫酸、リン酸、ピロリン酸、スルファミン酸、ギ酸等を水で希釈した酸性溶液等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。金属イオンを含有する電解液としては、一般的な電気メッキ液を使用することができ、例えば、金溶液、銀溶液、ピロリン酸銅溶液、硫酸銅溶液、スルファミン酸ニッケル溶液、硫酸ニッケル溶液、水酸化ナトリウム溶液、塩化アンモニウム溶液、塩化カリウム溶液、ピロリン酸カリウム溶液、ピロリン酸ナトリウム溶液等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明では、服飾付属品の外表面の少なくとも一部にバイポーラメッキにより服飾付属品の外表面の色とは異なる金属色を与えることができる。服飾付属品の電極に対する姿勢がほぼ一定であれば、服飾付属品の外表面の陽極を向く側に第1の金属色が生じ、陰極を向く側に第2の金属色が生じる。しかしながら、バイポーラメッキ中に服飾付属品の電極に対する向きや距離を変更したり、交番電流で通電する等により、服飾付属品の外表面に生じる色は多様に変化する。例えば、第1及び/第2の金属色の少なくとも一部をぼかしたり、第1の金属色と第2の金属色との間に後述する第3の金属色を発生させたりすることができる。更に、バイポーラメッキ中に服飾付属品の電極に対する姿勢をランダムに変えることにより、全体をほぼ1色の金属色にすることも可能である。この場合、従来の全面メッキよりもコスト的に有利に服飾付属品に全面メッキを施すことができる可能性がある。また、電解液への通電中に服飾付属品の電極に対する姿勢が一定ではなく常時変化しても、ある面が平均的に陽極を向く場合、この面にバイポーラメッキによる第1の金属色が生じる。なお、本発明において、「金属色」とは、ある特定かつ一様な金属色を指すものではなく、同じ材質の服飾付属品であってもバイポーラメッキ条件によって多様に変化し得る。また、「金属色」は光沢のある金属色のみならず、くすぶった金属色、黒っぽくなった金属色、ぼけた金属色等をも含む。例えば、金属溶解によって生じる第2の金属色は光沢がなくくすぶった色目になる場合があり、また、金属酸化還元皮膜の混在する表面では黒っぽくなる。
本発明の一実施形態において、前記金属色は、第1の金属色と第2の金属色を含み、前記服飾付属品の外表面の一方の側に第1の金属色を与えると同時に、外表面の他方の側に第2の金属色を与える。すなわち、服飾付属品の外表面の陽極を向く側にバイポーラメッキによる第1の金属色を発生させると同時に、外表面の陰極を向く側に第2の金属色を発生させる。この場合、金属製のボタン類等に表裏で異なる色相を同時に付与することができ、また、例えば、スライドファスナー用テープの縁部に取り付けられた状態の多数の金属製ファスナーエレメントに対し、表側と裏側とで別個の金属色を同時に付与することができる。そのため、リバーシブル仕様のボタン類やファスナーエレメントを容易かつ低コストで量産することが可能となる。第1及び第2の金属色の色合いは、例えば、服飾付属品の素材や下地処理、電解液の種類や量、電圧や通電時間、服飾付属品の電極に対する姿勢や距離等を変えることにより、所望に変更することができる。また、電解液を撹拌、流動等することにより、第1の金属色として析出させる金属イオンの供給を助長することができる。
本発明の一実施形態において、前記金属色は、第3の金属色を含み、前記服飾付属品の外表面における前記第1の金属色と第2の金属色との間に第3の金属色を与える。第3の金属色は、金属析出によって第1の金属色が生じる領域と金属溶解によって第2の金属色が生じる領域との間において、金属の析出と溶解が拮抗して生じると考えられる。バイポーラメッキ中の陽極及び陰極に対する被処理物の姿勢が一定であると第3の金属色の範囲は狭くなり、電極に対する被処理物の姿勢が乱れる程、第3の色の領域が広がる傾向にあると考えられる。第3の金属色は、バイポーラメッキ条件によっては、ほとんど生じない場合や肉眼ではほとんど分からない場合もあれば、明確に現れる場合もある。第3の金属色は、通常、第1の金属色から第2の金属色へと次第に変化するグラデーションを帯びるが、注意深く観察しないとグラデーションが肉眼では分かり難い場合もある。また、第3の金属色と第1及び/又は第2の金属色との境目は必ずしも明確ではなく、ぼけている場合もある。例えば、シェルキャップの表面に第1の金属色を与えると共に裏面に第2の金属色を与える場合、シェルキャップの環状側部の外側面に第3の金属色が生じ易い。この例において、シェルキャップの環状側部の外側面に加えて、シェルキャップの表面の外周部にも第3の金属色を発生させることができる。この場合、シェルキャップの表面は、中央の第1の金属色から外周部の第3の金属色へとぼけた感じで変化する。以上に述べた第3の金属色自体のグラデーションや第3の金属色と第1及び/又は第2の金属色との境目のぼけた感じもデザインの多様性に寄与する。
本発明は、前記電解液の通電中、服飾付属品の外表面の前記一方の側が陽極を向きかつ前記他方の側が陰極を向くように服飾付属品の姿勢を制御するステップを含むことができる。服飾付属品の姿勢を制御する態様しては、a)電極と服飾付属品の両方を静止状態に固定する態様と、b)電極及び服飾付属品の少なくとも一方を動かしつつ服飾付属品の外表面の一方及び他方の側がそれぞれ陽極及び陰極を向き続けるように制御する態様とがある。上記a)の場合、服飾付属品の一方及び他方の側に第1及び第2の金属色を比較的明確に出すことができる。上記b)の態様では、服飾付属品の外表面の一方及び他方の側がそれぞれ陽極及び陰極に対してどの程度の割合や時間で向き合うかによって第1及び第2の金属色の色合いを変えることができる。なお、電極に対する服飾付属品の姿勢を制御するのに加えて、電極に対する服飾付属品の距離を制御することも望ましい。
本発明は、前記電解液の通電中、服飾付属品の外表面の少なくとも一部を研磨するステップを含むことができる。これにより、バイポーラ現象を利用して服飾付属品に色付けしつつ研磨することができる。本発明の一実施形態として、服飾付属品を研磨するための研磨材、例えばステンレスピンメディアやステンレスボールを利用して服飾付属品の姿勢を調整することができ、この例については図面に基づいて後述する。
本発明の別の側面によれば、金属製の服飾付属品にして、外表面の一方の側に第1の金属色を有すると共に、外表面の他方の側に第1の金属色とは異なる第2の金属色を有する服飾付属品であって、前記第1及び第2の金属色は、前記服飾付属品がその中に配置された電解液に通電して、服飾付属品に発生させたバイポーラ現象により与えられたものであることを特徴とする服飾付属品が提供される。かかる服飾付属品は、上述した表面電解処理方法又は後述する服飾付属品の製造方法を使用して製造され得る。
本発明の一実施形態において、前記服飾付属品の外表面における前記第1の金属色と第2の金属色との間に第3の金属色を有する。また、本発明の一実施形態において、前記服飾付属品は、スライドファスナー用のエレメント、下止、上止、スライダー、引き手;ボタン;ボタン用の止具;ボタン用の部品;ハトメ;及びフックアイからなる群から選択される。
本発明の更に別の側面によれば、金属製の服飾付属品にして、外表面の少なくとも一部に服飾付属品の外表面の色とは異なる金属色を有する服飾付属品を製造する方法であって、電解液に通電するための陽極と陰極から非接触状態で一つ又は複数の前記服飾付属品を該電解液中に配置し、電解液に通電して、服飾付属品にバイポーラ現象を発生させるステップを含むことを特徴する服飾付属品の製造方法が提供される。かかる製造方法は、上述した表面電解処理方法を利用して服飾付属品を製造するものである。
本発明の一実施形態において、前記金属色は、第1の金属色と第2の金属色を含み、前記服飾付属品の外表面の一方の側に第1の金属色を与えると同時に、外表面の他方の側に第2の金属色を与える。また、本発明の一実施形態において、前記服飾付属品の外表面における前記第1の金属色と第2の金属色との間に第3の金属色を与える。更に、本発明の一実施形態において、前記電解液の通電中、服飾付属品の外表面の前記一方の側が陽極を向きかつ前記他方の側が陰極を向くように服飾付属品の姿勢を制御するステップを含む。また、本発明の一実施形態において、服飾付属品の外表面の少なくとも一部を研磨するステップを含む。更にまた、本発明の一実施形態において、前記服飾付属品は、スライドファスナー用のエレメント、下止、上止、スライダー、引き手;ボタン;ボタン用の止具;ボタン用の部品;ハトメ;及びフックアイからなる群から選択される。
本発明に係る表面電解処理方法及び服飾付属品の製造方法では、バイポーラ現象を利用して金属製の服飾付属品に、多様な金属色をコスト的に有利に与えることができ、また、金属製の服飾付属品に表裏で異なる金属色を同時に付与することも可能である。
本発明に係る服飾付属品では、服飾付属品が表裏で異なる金属色を呈するため、リバーシブル仕様の要請に応えることができる等、服飾付属品のデザイン性、ファッション性を高めることができる。
図1は、服飾付属品の一例であるスライドファスナー用エレメントに本発明に係る表面電解処理を施すための表面電解処理装置を概略的に示す側断面説明図である。 図2は、図1の平面説明図である。 図3は、図1のA線断面説明図である。 図4は、図1のB線断面説明図である。 図5は、図1のC線断面説明図である。 図6は、図3の一部拡大図である。 図7は、多数のエレメントがそれぞれ既に取り付けられた状態の左右一対のファスナーテープの部分平面図である。 図8は、図7の矢印Dから見た表面電解処理後の一つのエレメントの概略的に示す拡大側面図であり、テープは断面で表される。 図9は、シェルキャップの斜視図である。 図10は、多数のシェルキャップを研磨しつつ表面電解処理を施すための表面電解処理装置の説明図である。 図11は、シェルキャップが組み付けられたボタン止具を示す概略断面図である。 図12は、金属製の服飾付属品の別の例である雄スナップボタンを示す斜視図である。 図13は、金属製の服飾付属品の更に別の例である雌スナップボタンを示す斜視図である。
以下、本発明のいくつかの実施形態を図面を参照しつつ説明するが、本発明はそれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び均等の範囲内で適宜変更等がなされ得る。
スライドファスナー用のエレメント
図1は、服飾付属品の一例であるスライドファスナー用のエレメント(務歯)1に本発明に係る表面電解処理を施すための表面電解処理装置10を概略的に示す側断面説明図である。図2は図1の平面説明図である。図3〜5は、それぞれ図1のA線、B線及びC線に沿う断面説明図である。図6は図3の一部拡大図である。図7は、多数のエレメント1がそれぞれ既に取り付けられた状態の左右一対のファスナーテープ2、2の一部を示す平面図であり、エレメント1は、各ファスナーテープ2、2の幅方向の相互に対向する側の縁部に、長手方向に沿って連続的に多数取り付けられている。表面電解処理装置10は、エレメント1が取り付けられた状態でかつ長手方向に所定長さごとに切断される前の長尺に連なるファスナーテープ2を通過させながら、エレメント1に表面電解処理を施すものである。
表面電解処理装置10は、電解液eが溜められる、上方に開放する電解液浴液槽11と、液槽11内に配置され、上記左右一対のファスナーテープ2、2が、それぞれのエレメント1が非噛合状態又は噛合状態で図1の紙面左側から右側へと間欠的又は連続的に通される円筒状のバイポーラメッキユニット20と、ユニット20内に電解液eを循環するための液撹拌ポンプ12及び循環路13とを備える。ユニット20は、軸方向が水平になるように液槽11内に配置される。バイポーラメッキユニット20は、ファスナーテープ2を支持しつつ通過させるための図6紙面で左右一対のテープ支持部21と、電解液eで満たされる電解液流路22と、電解液流路22に通電するための一対の電極である陽極23及び陰極24とを有する。陽極23及び陰極24は図示しない外部電源に接続されている。各テープ支持部21は、各テープ2のエレメント1が電解液流路22中にその上下方向中間部で露出するようにテープ2を支持する。各テープ2の幅方向のエレメント1とは反対側の縁部は、ユニット20の外部に露出する(図6参照)。陽極23は、電解液流路22中のエレメント1よりも上方の電解液流路22の頂部に、ユニット20の軸方向(長手方向)に沿って連続するように配置される。陰極24は、電解液流路22中のエレメント1よりも下方の電解液流路22の底部にユニット20の軸方向に沿って陽極23と同様に延設される。電解液浴液槽11の図1紙面左右の側壁にもファスナーテープ2を通過させるための開口14が設けられる。ファスナーテープ2は、例えば、上流(図1紙面左方)のローラー(図示せず)から送り出され、下流(図1紙面右方)のローラー(図示せず)に巻き取られることにより、ユニット20内に通される。
循環路13は、一端部がポンプ12に接続され、他端部がユニット20の電解液流路22の図1紙面右端部に横連結管15(図5参照)を介して接続される。ユニット20の電解液流路22の図1紙面左端部には、上下2本の下方に曲がる排出管25(図4)が接続される。これにより、電解液浴液槽11中の電解液は、ポンプ12により循環路13、横連結管15を通じてユニット20の一端部(図1紙面右端部)から電解液流路22内に供給され、電解液流路22の他端部(図1紙面左端部)から排出管25を介してユニット22外部の液槽11へと排出される。このように、電解液eは、ユニット20内部をファスナーテープ2が通過する方向とは逆向に流れるように循環される。
次に、上述した表面電解処理装置10を使用してファスナーエレメント1に表面電解処理を施す工程について説明する。まず、処理対象のエレメント1群がユニット20における電解液流路22内の陽極23と陰極24との間に配置されるようにテープ2を移動させた後、テープ2の移動を停止する。なお、本実施形態では、一対のテープ2間のエレメント1を非噛合状態にして表面処理を行うが、噛合状態のエレメント1を対象とすることができる。また、本実施形態では、表面処理中にテープ2の移動を停止する例を挙げるが、テープ2を連続的に移動させながら表面処理を行うこともできる。装置10での表面処理において、テープ2を停止して行う形態とテープ2を移動させながら行う形態のいずれでも、エレメント1の電極23、24に対する向き及び距離は一定である。次いで、陽極23、陰極24間に印加して電解液流路22に通電すると共に、ポンプ12を駆動して、電解液eを循環させる。電解液eの循環により析出させる金属イオンの供給が助長される。そして一定時間経過後、通電及びポンプ12の作動を停止する。通電中、電解液e中のエレメント1にはバイポーラ現象が生じ、エレメント1の外表面の下方の陰極24に向く側はプラスに帯電して金属溶解が生じ、他方、エレメント1の外表面の上方の陽極23に向く側はマイナスに帯電し、プラス側で溶解した金属イオンが還元析出する。なお、電解液eを循環させることにより、エレメント1のプラス極で溶解した金属イオンがマイナス極で析出する速度を高めることができる。図8は、図7の矢印Dから見た、表面電解処理後の一つのエレメント1を概略的に示す拡大側面図であり、テープ2は断面で表される。この図に示すように、エレメント1の外表面の陽極23を向いていた上方(表面)側には、バイポーラメッキにより第1の金属色1aが生じ、陰極24を向いていた下方(裏面)側には金属溶解により第2の金属色1bが生じる。更に、電解処理条件により、エレメント1の外表面における第1の金属色1aと第2金属色1bとの間に、第1の金属色1aから第2の金属色1bへと次第に変化する第3の金属色1cが生じ得る。図8において、第3の金属色1cと第1及び第2の金属色1a、1bとの境界を便宜的に直線で表している。また、図8中の参照番号3は、エレメント1の噛合頭部の一側面にある凹部3であり、エレメント1の噛合状態において凹部3に隣り合う別のエレメント1の噛合頭部の凸部が入り込む。なお、エレメント1のプラス極での金属溶解は微量であり、マイナス極で析出する金属も微量であるため、エレメント1の機能を損なうものではない。これら第1〜第3の金属色1a、1b、1cはエレメント1の母材又は基材の色とは異なる。これにより、ファスナーエレメント1に対し表裏で異なる金属色を同時に付与することでき、リバーシブル仕様のファスナーエレメント1を容易かつコスト的に有利に製造することが可能となる。
シェルキャップ
次に、服飾付属品の一例としてボタンやボタン止具の構成部品であるシェルキャップに表面電解処理を施す例について説明する。図9はシェルキャップ30の斜視図である。シェルキャップ30は、表面31aと裏面31bを有する円板部31と、円板部31の外周から軸方向裏面側に突き出る環状側部32とを有する。図10は、多数のシェルキャップ30を研磨しつつ表面電解処理を施すための表面電解処理装置40である。装置40は、市販されている磁気研磨回転バレル装置に以下に述べるように電極を配置したものである。装置40は、開放した円筒状の容器41と、容器41の下方に設けられた回転機構50とを備える。容器41は、円形の底板42と周側板43とを有し、底板41の中央部は上方に隆起している。容器41内の底板42と周側板43との隅部には環状の陽極44が周方向に沿って連続するように配置される。また、容器41内の底板42から上方に離れかつ周側板43から半径方向内側に離れた位置に環状の陰極45が周方向に沿って延設される。この陰極45の位置は、後述するように回転撹拌中の電解液f中に入るように設定される。陽極44及び陰極45は図示しない外部電源に接続される。容器41には、電解液fと、処理対象である多数のシェルキャップ30と、シェルキャップ30を研磨しつつシェルキャップ30の姿勢をおおむね一定に整える役割を果たす研磨材としての強磁性の多数のステンレス製のピン群又はボール群からなるメディア46が収容される。なお、シェルキャップ30は非磁性金属からなる。
回転機構50は、図示しないモータの出力部に一端が接続する回転軸部51と、回転軸部51の他端に連結する回転板52と、回転板52上に配置された永久磁石53とを備える。回転軸部51の回転により回転板52上の永久磁石53が回転することにより、容器41内でメディア46が回転する。これにより、容器41内の電解液fが回転撹拌され、この際、遠心力により電解液fの液位は中央から半径方向外側の周側板43へと高くなる。陰極45は、回転撹拌中の電解液f中に入るように位置が設定される。
回転機構50の永久磁石53による容器41内のメディア46及び電解液fの流動中、メディア46は永久磁石53により容器41内下方に引き付けられ、またメディア46とシェルキャップ30との比重の違いから、キャップ30がメディア46の上に載るようになり、この状態でキャップ30はメディア46及び電解液fから力を受けて運動する。そのため、運動中のキャップ30は陽極44と基本的には接しない。また、陰極45が、運動時のキャップ30に基本的に接することがなくかつ撹拌中の電解液f中に入るように、電解液fの量、回転機構50の回転数、キャップ30の投入数、陰極45の位置等が設定される。これにより、キャップ30は運動時に陽極44及び陰極45から離れた状態を維持する。なお、キャップ30は、通電中のほとんどで陽極44や陰極45に接しなければ、一時的に接してもよい。
シェルキャップ30に表面電解処理を施すに当たり、回転機構50を回転させて容器41内でメディア46及び電解液fを回転流動させると共に、陽極44、陰極45間に印加して電解液fに通電する。これにより電解液f中のシェルキャップ30にバイポーラ現象が生じる。キャップ30は、メディア46及び電解液fの回転流動中、電極に対する姿勢や距離が一定ではないが、遠心力を受けつつ物理的液抵抗の一番少ない姿勢を保とうとする。そのため、キャップ30の円板部31の表面31aが平均的に下方の陽極44を向き、円板部31の裏面31bが平均的に上方の陰極45を向きつつ運動する。そのため、ある時間を経過すれば、キャップ30の電極に対する姿勢及び距離は全キャップ30でほぼ同じ割合となる。一定時間経過後、回転機構50の回転及び通電を停止する。これにより、キャップ30の円板部31の表面31aには金属析出により第1の金属色が生じ、裏面31b及び環状側部32の内側面には、金属溶解による第2の金属色が生じる。更に、シェルキャップ30の環状側部32の外側面に、第1の金属色から第2の金属色へと次第に変化する第3の金属色が生じる。また、上記処理において、キャップ30は、撹拌回転時の電解液f中でメディア46と接触して研磨される。すなわち、メディア46はキャップ30の姿勢を調整しつつ研磨を行っている。また、メディア46が電解液fを撹拌することにより、析出させる金属イオンの供給が助長される。上述した処理を、上記陽極44を陰極にし、陰極45を陽極にして行うと、キャップ30の円板部31の表面31aに第2の金属色が、裏面31bに第1の金属色が生じる。なお、電解液fの種類及び量、回転機構50の回転数、キャップ30やメディア46の投入量、電極間の電圧、電流等を変えることにより、第1、第2及び第3の金属色の色合いを変えることができる。また、第3の金属色が生じる範囲も変えることができ、例えば、第3の金属色を、シェルキャップ30の環状側部32の外側面のみならず、円板部31の表面31aの外周部にも生じるようにすることができる。
[実施例1]
ブラス(銅合金)製で下地メッキが行われていないスライドファスナー用エレメント1に対し図1等に示す表面電解処理装置10を使用して次のように表面処理を行った。電解液eとして穀物酢:水を3:17の割合で混合した酸性溶液(pH=3.2)、2000mlを用い、浴液撹拌ポンプ12により電解液eを11リットル/分にてユニット20に供給した。陽極23として直径2mm、長さ160mmの銅製電線を2本並行に用い、陰極24として直径3mm、長さ160mmのステンレス(SUS304)を1本用いた。電極23、24間の電解液流路22での電解液流速を0.5m/秒に保ち、電圧3Vで電極を印加し、銅イオン濃度を上げるために約30分予備通電した。通電中の電流値は0.1A以下であった。次にスライドファスナー用エレメント1が取り付けられた金属ファスナーテープ2を図1のごとく装着し、電圧3Vにて約30分間通電した。この時のエレメント1に対する電流密度は間接(非接触)電極を用いているため、計算は難しく出来なかった。電解液流路22中の液温は処理開始時19℃であったものが、処理終了時点で20℃となった。通電中、ファスナーテープ2は停止状態でエレメント1間は噛合状態とした。これにより、エレメント1の外表面の陽極23に向いた側(図8の1a側)が初期の黄銅色から第1の金属色として銅色になり、陰極24を向いた側(図8の1b側)が第2の金属色としてくすんだ黄銅色になった。この時に用いた金属エレメントの断面の大きさは噛み合わせ状態で幅6mm、高さ2.5mmである。この時の金属エレメント1の表裏両面をそれぞれエネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いて分析した結果、陽極23に向いた側では銅成分67.086%、亜鉛成分28.964%、その他3.950%となった。また、陰極24に向いた側では銅成分63.561%、亜鉛成分32.065%、その他4.374%であった。
[実施例2]
ファスナーテープ2に植え込まれた、下地メッキが施されていない金属ファスナーエレメント(銅合金)1を図1等に示す表面電解処理装置10を用いて表面処理を行った。電解液eとして、株式会社山本鍍金試験器製の酸性錫メッキ液(品番 BP−SN-02)400mlに1600mlの精製水を加え、液撹拌ポンプ12により、電解液eを11リットル/分にてユニット20に供給した。この時のpH値は0.8であった。電極23、24間の電解液流路22での電解液流速を約0.5m/秒に保ち、陽極23、陰極24ともに直径3mm、長さ160mmのステンレス(SUS304)を用い、電圧5Vにて電極を印加し、約30分通電処理を行った。この時の電流値は初期時2.0Aであり、終了時2.5Aに上昇した。この時の溶液温度は処理開始時19℃、処理終了時22℃であった。通電中、ファスナーテープ2は停止状態でエレメント1間は噛合状態とした。これにより、エレメント1の外表面の陽極23を向いた側(図8の1a側)が黄銅色から第1の金属色として鈍い銀色(錫色)となり、陰極24を向いた面(図8の1b側)が第2の金属色としてくすんだ黄銅色となった。この時に用いた金属ファスナーエレメント1の断面の大きさは幅6mm、高さ2.5mmである。この時の金属エレメント1の表裏両面をエネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いて分析した結果、陽極23を向いた側では銅成分が57.940%、亜鉛成分が29.779%、錫成分が7.954%、その他4.327%という結果であった。また、陰極24を向いた側(図8の1b)では銅成分が60.854%、亜鉛成分が32.538%、その他6.608%という結果で、錫成分は検出されなかった。
[実施例3]
ブラス(銅合金)製のシェルキャップ30に対し図10に示す表面電解処理装置40を使用して次のように表面処理を行った。シェルキャップ30は直径11mm、高さ3mmのものを10個使用し、電解液fとして穀物酢:水を3:16の割合で混合した酸性溶液(pH=3.2)を190ml用い、電圧9Vで電極を印加し、約100mAの電流を約20分通電した。陰極45として、直径3mm、長さ100mmのステンレス(SUS304)を用い、また、陽極44として、直径2mm、長さ250mmの銅電線を用いた。メディア46として、長さ5mm、径が0.3mmのステンレスピンメディアを10gと、長さ5mm、径が0.5mmのステンレスピンメディアを15gの2種で合計25gを容器41に投入した。更に、回転機構50の回転数を1000rpmとした。電解液fの温度は、処理開始時に14℃であったものが、終了時22℃となった。これにより、キャップ30の円板部31の表面31aが黄銅色から第1の金属色として銅色になり、裏面31b及び環状側部32の内側面が第2の金属色として黒みを帯びた黄銅色になり、更に、環状側部32の外側面が第3の金属色として、第1の金属色から第2の金属色へと次第に変化する黒みを帯びた金属色となった。表面前のシェルキャップ30の母材の成分分析を行ったところ、表面31a側が銅成分66.563%、亜鉛成分が33.293%、その他0.144%、裏面31b側は銅成分66.478%、亜鉛成分33.381%、その他0.141%であり、ほぼ表裏同じであった。同様の成分分析を表面処理後のキャップ30で行ったところ、表面31a側の銅成分は67.607%、亜鉛成分32.281%、その他0.112%となり、裏面31b側の銅成分は66.486%、亜鉛成分33.411%、その他0.103%という結果を得た。
[実施例4]
ブラス(銅合金)製のシェルキャップ30に対し図10に示す表面電解処理装置40を使用して次のように表面処理を行った。シェルキャップ30は直径11mm、高さ3mmのものを10個使用し、電解液fとして、株式会社山本鍍金試験機製の酸性ニッケルメッキ液(品番BP-NI―01)100CCに精製水100ccを加え混合した酸性溶液(pH=2.9)を200ml用い、電圧16Vで電極を印加し、約5.5Aの電流を約10分間通電した。陰極45として直径3mm、長さ100mmのステンレス(SUS304)を用い、陽極44として直径2mm、長さ250mm銅電線を用いた。メディア46として長さ5mm、径が0.3mmのステンレスピンメディアを10gと、長さ5mm、径0.5mmのステンレスメディアを15gの2種で合計25gを容器41に投入した。更に、回転機構50の回転数を1000rpmとした。電解液fの温度は、処理開始時に14℃であったものが、終了時31℃となった。これにより、キャップ30の円板部31の表面31aが黄銅色より第1の金属色としてニッケル色になり、裏面31b及び環状側部32の内側面が第2の金属色として白くくすんだ黄銅色になり、更に、環状側部32の外側面が第3の金属色として、第1の金属色から第2の金属色へと次第に変化する黒みを帯びた銅色を含む金属色となった。この実施例で使用したシェルキャップ30の母材は、[実施例3]と同じものであり、表面処理後に表面成分分析を行ったところ、表面31a側が銅成分68.480%、亜鉛成分が29.555%、ニッケル成分が1.825%、その他0.140%であり、裏面31b側は、銅成分66.420%、亜鉛成分33.397%、その他0.183%の結果を得た。この結果から、処理後に表面31a側では銅成分が増加したのに加えニッケル成分が検出され、裏面31b側ではニッケル成分は検出されず母材成分と大きな変化はないことが分かった。
シェルキャップ30は、例えば、図11に示すボタン止具の一部品として、ボタン止具本体33に被せて使用される。更に詳しくは、ボタン止具本体33は、円形ベース部33aと軸部33bとを有し、キャップ30は、本体33のベース部33aの上面を覆い、環状側部32が本体33の円板部33aに対し下方に湾曲して取り付けられる。そのため、キャップ30の内側である円板部31の裏面31b及び環状側部32の内側面には、本来、メッキは不要であるが、従来のメッキ法では、片面メッキを施すにはマスキングが必要になる等、高コストとなっていた。この点、本発明に係る表面電解処理方法では、シェルキャップ30の円板部31の表面31a(及び環状側部32の外側面)にのみバイポーラメッキを施すことができるため、メッキ金属量を減らして、コスト的に有利に片面メッキを施すことが可能となる。表面電解処理装置40による処理では、服飾付属品としてシェルキャップ30を例に挙げたが、ボタン止具本体33のみに対して、あるいは図11に示すようにキャップ30と止具本体33が組み合わされた状態のボタン止具に対して表面電解処理装置40により表面電解処理を施すことができる。溶液中での沈下姿勢が概ね一定となる形状の、金属製の雄スナップボタン60(図12参照)、雌スナップボタン(図13参照)、あるいは、図示はしないが、リベットバー等の飾りボタン、ハトメ等 円形状のボタンについては支持具を必要とせず、スライドファスナー用の、スライダー、引き手、フックアイ等も支持具を使う事でほぼ同様に処理することができる。図12の雄スナップボタンは、突起61とベース62を備える。図13の雌スナップ70は、突起受入部71とばね72とを含む。
1 スライドファスナー用エレメント
2 ファスナーテープ
1a 第1の金属色
1b 第2の金属色
1c 第3の金属色
10、40 表面電解処理装置
11 電解液浴液槽
12 ポンプ
13 循環路
20 バイポーラメッキユニット
22 電解液流路
23、44 陽極
24、45 陰極
30 シェルキャップ
41 容器
46 強磁性ピンメディア
50 回転機構
53 永久磁石
e、f 電解液

Claims (6)

  1. 金属製の服飾付属品に表面電解処理を施すための表面電解処理装置(40)であって、
    一つ又は複数の服飾付属品(30)と、電解液(f)とが投入される容器(41)にして、底板(42)と、底板(42)から立ち上がる周側板(43)とを含む容器(41)と、
    前記容器(41)に投入された多数の研磨材(46)と、
    前記容器(41)外から容器(41)内の前記研磨材(46)を容器(41)内で周方向に回転させるための磁石(53)を含む回転機構(50)と、
    前記研磨材(46)の回転に伴って容器(41)内で回転流動する前記電解液(f)に通電するための陽極(44)及び陰極(45)とを備える服飾付属品の表面電解処理装置。
  2. 前記陽極(44)及び陰極(45)の一方は、前記容器(41)の底板(42)と周側板(43)との間の隅部に周方向に沿って配置され、
    前記陽極(44)及び陰極(45)の他方は、前記底板(42)及び周側板(43)からそれぞれ離れた位置に周方向に沿って配置される請求項1に記載の服飾付属品の表面電解処理装置。
  3. 前記陽極(44)及び陰極(45)は周方向に沿って連続する請求項2に記載の服飾付属品の表面電解処理装置。
  4. 前記研磨材(46)はピン群又はボール群である請求項1〜3のいずれか1項に記載の服飾付属品の表面電解処理装置。
  5. 前記服飾付属品はシェルキャップ(30)である請求項1〜4のいずれか1項に記載の服飾付属品の表面電解処理装置。
  6. 前記回転機構(50)は、モータの出力部に一端が接続する回転軸部(51)と、回転軸部(51)の他端に連結し、前記磁石(53)が配置される回転板(52)とを備える請求項1に記載の服飾付属品の表面電解処理装置。
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