JP6328287B2 - 防火性木質材 - Google Patents

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Description

本発明は、燃え難いという特性を有する防火性木質材に関し、特に、木質基材に難燃薬剤が含浸されかつ表面に粘土膜が施されたものに関する。
従来、この種の防火性木質材として、木質基材に難燃薬剤を含浸させることで、その難燃薬剤の持つ性能により木質基材を燃え難くしたものが一般によく知られている。
このような木質基材に難燃薬剤を含浸させる場合、木質基材を真空バッチ式のチャンバに搬入して減圧した後、薬剤を封入して大気圧(又は加圧状態)とし、その薬剤を基材含浸させる減圧法(又は減圧加圧法)が利用される。
ところが、適切な量の難燃薬剤を木質基材内に均一に含浸させることは難しく、難燃薬剤が難燃性能に必要な量だけ確実に含浸しているかどうかの確認も困難であり、含浸量の不足や含浸の不均一等の含浸不良があると、本来の難燃性能を発現させることができない。すなわち、現状では難燃薬剤の含浸のみによって発現される難燃性能にバラツキや不安定性があり、安定した難燃性能が確実に得られず、問題となっている。
また、水系の難燃薬剤が含浸されて乾燥された木質基材の表面に直接水系の塗料を塗布したとき、木質基材表面から上記難燃薬剤が溶出したり、その溶出成分と反応する成分を含む塗布物があった場合には、水系塗料がゲル化等により安定的に塗布できなかったりすることがある。さらに長期に亘る湿度変動等に伴い、含浸された水系の難燃薬剤が防火性木質材の表面に噴き出し、変色や白華現象を起こすことがあり、問題となっている。
他方、例えば特許文献1に示されるように、木材の難燃性を高めるために、木材に難燃薬剤を固形分換算で150kg/m以上含浸させ、その乾燥された木材の表面にアルコキシ金属塩塗料を塗布する方法が提案されている。
特開2006−231652号公報
しかし、上記特許文献1に示されるように、難燃薬剤を固形分換算で150kg/m以上を均一に含浸させることは、無垢材や樹種によっては困難であり、難燃薬剤の含浸が不均一であることによる品質の不安定の要因となる。また、アルコキシ金属塩塗料は、アルコール系であるものの一部に水も含まれ、その塗装時に木材に含浸された難燃薬剤が溶出され、塗装適性に不具合が生じる。さらに、該塗膜の透湿性は高いので、湿度変動に伴い含浸された難燃薬剤が木材から溶出されたときに木質材料の表面意匠を濡れ色に変色させたり、白華させたりするといった問題があり、高湿度環境下では長期間に亘り安定して意匠性を維持することが困難である。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、防火性木質材となる木質基材とその表面に形成する塗膜との双方の性状に改良を加えることにより、難燃薬剤が含浸した木質材に対し、その含浸の不均一性等による品質の不安定要因の解決を図り、所望の防火性能を実現するために必要とされる含浸量よりも少ない難燃薬剤の含浸でも難燃性を確実に発現できるようにすることにある。また、本発明の他の目的は、防火補助塗膜の塗装時における難燃薬剤溶出を抑制することで、難燃薬剤成分と反応してゲル状になる成分を含む防火補助塗膜を表面に施すことを可能にするとともに、長期間に亘る高湿度環境下での難燃薬剤の溶出による変色や白華現象等の外観変化を抑制し、優れた木質意匠を維持できるようにすることにある。本発明のさらなる目的は、高価な難燃薬剤の使用量を低減することで、より安価な防火性木質材を提供することが可能となるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、複数の構成材が積層された木質基材において、その最外層の構成材のみの全体に水系の難燃薬剤を含浸させることとし、その上で、構成材の表面に防水性及び防湿性を有する非水系シーラー層を設け、その上に水系の粘土膜を形成するようにした。
具体的には、第1の発明は防火性木質材に係り、この防火性木質材は、複数の構成材が積層されてなりかつ最外層の構成材のみの全体に水系の難燃薬剤が含浸された木質基材と、この木質基材における最外層の構成材の表面に設けられ、上記難燃薬剤の溶出を防ぐための防水性及び防湿性を有する非水系シーラー層とを備え、そのシーラー層の表面に水系粘土塗料からなる粘土膜が形成されていることを特徴とする。
ここで、水系の難燃薬剤が含浸されて乾燥された木質基材表面に直接水系の粘土塗料を塗布した場合、木質基材表面から難燃薬剤が溶出し、粘土塗料がゲル化等により安定的に塗布できなかったり、粘土膜層に不純物が混じることで、均一な粘土膜層が形成されず、所望の防火性能が得られなかったりするという問題に対し、本発明では、水系の難燃薬剤が含浸されて乾燥された木質基材表面に非水系のシーラー層が設けられているため、含浸された難燃薬剤はシーラー層に溶出しない。また、非水系のシーラー層上に水系の粘土膜塗料を設けるため、シーラー層上に確実に粘土膜層を形成することができるという格別の効果が期待できるようにしている。
また、シーラー層の防水性としては、そのシーラー層の表面に水系粘土塗料を塗装するときに、木質基材に含浸された水系の難燃薬剤が水系粘土塗料中の水分に溶出しない程度の防水性とする。また、シーラー層の防湿性としては、防火性木質材の使用時において、周りの湿度が高いときに湿気又は水分を吸収し、その湿気又は水分を放出する時に難燃薬剤が木質基材から抜け出るのを阻止できる程度の透湿抵抗値を有するものとする。その透湿抵抗値は高い方が難燃薬剤の抜け出しを長期間に亘り抑制でき、例えば透湿抵抗値5×10−3(m・s・Pa)/ng以上であることが望ましい。また、木質基材は矩形板材であることが好ましく、その場合、木質基材の表面とは該板材の片面又は両面の全面をいうこととする。
この第1の発明では、複数の構成材が積層された木質基材における最外層の構成材のみの全体に水系の難燃薬剤が含浸され、その最外層の構成材の表面に、該難燃薬剤の溶出を防ぐための防水性及び防湿性を有する非水系のシーラー層が設けられ、この表面に水系粘土塗料からなる粘土膜が形成され、その粘土膜に均一な不燃膜が生成されているので、木質基材の最外層の構成材に含浸された難燃薬剤による難燃性と表面の粘土膜による難燃性とが相乗的に効果を発揮するようになり、この相乗効果により防火性木質材の防火性能を高めることができる。
また、そのため、木質基材に対する難燃薬剤の含浸量の不足や含浸の不均一等の含浸不良が生じていて、その難燃薬剤のみでは木質基材に確実な難燃性能が得られない場合であっても、それを表面の粘土膜の難燃性が補うようになり、防火性木質材の難燃性能を確実に安定して得ることができるようになる。
さらに、粘土膜により防火性能が得られる分だけ、防火性能を実現するために必要とされる木質基材への難燃薬剤の含浸量を減らすことができ、高価な難燃薬剤の使用量を少なくして製造コストを下げることができる。
また、上記シーラー層は難燃薬剤の溶出を防ぐための防湿性を有する非水系塗料からなるものであるので、防火性木質材の使用時に周りの湿度が高いときに湿気又は水分を吸収し、その湿気又は水分を放出する時に、難燃薬剤が木質基材から抜け出るのがシーラー層によって阻止される。そのため、防火性木質材の使用期間が長期に亘っても、薬剤溶脱による変色や白華を抑制して、防火性木質材の意匠性を長期間に亘り安定して維持することができる。
また、木質基材の最外層の構成材のみの全体に難燃薬剤が含浸され、その表面に粘土膜が形成されているので、木質基材の最外層の構成材のみの防火性能を選択的に高めることができる。また、予め、最外層となる構成材のみの全体に難燃薬剤の含浸及び粘土膜の形成を行っておき、その後に該構成材を他の構成材と積層一体化することもでき、防火性木質材の製造が容易となるとともに、製品設計の自由度の向上が期待できる。
第2の発明は、第1の発明において、木質基材は、木質単板、チップボード又は木質繊維板からなる複数の構成材が積層されたものであることを特徴とする。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、シーラー層の表面に形成される粘土膜は、85重量%以上の純度を有する高純度ベントナイトと水性樹脂とを含む水性塗料からなり透明性を有することを特徴とする。
この第3の発明では、シーラー層の表面に形成される粘土膜は、85重量%以上の純度を有する高純度ベントナイトと水性樹脂とを含む水性塗料からなり透明性を有し、その粘土膜に均一な不燃膜が生成されているので、木質基材に含浸された難燃薬剤による難燃性と表面の粘土膜による難燃性とが相乗的に効果を発揮するようになり、この相乗効果により防火性木質材の防火性能をさらに高めることができる。
しかも、粘土膜内のベントナイトは高純度であるので、その難燃性能が高く、その分、粘土膜の厚さを薄くすることができ、透明性が高くなる。そのため、下地である木質基材の木質意匠感をそのまま表面に露呈できるようになり、防火性能の向上に加えて木質材の外観性低下の抑制をも併せ図ることができる。
また、ベントナイトのモンモリロナイト含有率が85重量%以上であるので、ベントナイトは確実に高純度となり、粘土膜に均一な不燃膜が確実に生成され、難燃性をより一層安定して向上させることができる。
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、シーラー層は、フィラーが含まれている塗料からなることを特徴とする。
この第4の発明では、シーラー層となる塗料にフィラーが含まれているので、そのフィラーによりシーラー層の目止め効果が得られ、平滑性が上がり、その上に形成される粘土膜が均一な鱗片状となる。しかも、フィラーによってシーラー層の厚さを大に保つことができる。
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれか1つにおいて、シーラー層はUV硬化型塗料からなることを特徴とする。
この第5の発明では、シーラー層がUV硬化型塗料からなるので、乾燥工程としてUV乾燥による速硬化が実現でき、防火性木質材の生産性が向上する。
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれか1つにおいて、難燃薬剤はリン系難燃剤又はポリホウ酸系難燃剤であり、粘土膜は、モンモリロナイトの量が12g/m以上になるように高純度ベントナイトにより形成されていることを特徴とする。
この第6の発明では、難燃薬剤はリン系又はポリホウ酸系難燃剤であり、粘土膜はモンモリロナイトの量が12g/m以上になるように高純度ベントナイトにより形成されているので、例えばコーンカロリーメータによる発熱性試験において、所定時間における総発熱量が8.0MJ/m以下の安定した防火性能を得ることができる。
第7の発明は、第1〜第6の発明のいずれか1つにおいて、木質基材の表面がシーラー塗装や研磨処理等による平滑処理により平滑面とされていることを特徴とする。
この第7の発明では、木質基材の表面が平滑面とされ、その平滑面上にシーラー層及び粘土膜が形成されているので、粘土膜を均一な鱗片状の粘土からなる平滑な粘土層とすることができ、その粘土膜による防火性能を安定して得ることができる。
以上説明したように、第1及び第2の発明によると、複数の構成材が積層された木質基材における最外層の構成材のみの全体に水系の難燃薬剤を含浸させ、その最外層の構成材の表面に、防水性及び防湿性を有する非水系のシーラー層を設け、この表面に、不燃膜を生成する水系粘土塗料からなる粘土膜を形成したことにより、含浸された難燃薬剤の難燃性と表面の粘土膜の難燃性との相乗効果によって防火性木質材の防火性能を高めることができる。また、難燃薬剤の含浸不良により確実な防火性能が得られていない状態であっても表面の粘土膜の難燃性が補って、防火性木質材の難燃性能を確実に安定して得ることができる。さらに、水系の難燃薬剤が含浸された木質基材の表面に、該難燃薬剤の溶出を防ぐための防水性及び防湿性を有する非水系のシーラー層が設けられているので、難燃薬剤が含浸された木質基材の表面に水系の粘土塗料を塗布する場合も、難燃薬剤がシーラー層や粘土塗料に混じることなく、安定してシーラー層の表面に粘土層を設けることができるとともに、長期の薬剤溶脱による変色や白華を抑制して、意匠性の安定維持を図ることができる。さらに、粘土膜により防火性能により高価な難燃薬剤の使用量を少なくして防火性木質材の製造コストを下げることができる。
また、木質基材の最外層の構成材のみの全体に難燃薬剤を含浸させたことにより、木質基材の最外層の構成材のみの防火性能を選択的に高めることができる。また、予め、最外層となる構成材のみの全体に難燃薬剤の含浸及び粘土膜の形成を行った後に他の構成材と積層一体化することで、防火性木質材の製造が容易となるとともに、製品設計の自由度の向上が期待できる。
第3の発明によると、粘土膜は、85重量%以上の純度を有する高純度ベントナイトと水性樹脂とを含む水性塗料からなり透明性を有するものとしたことにより、難燃性能が高い高純度ベントナイトによって粘土膜の厚さを薄くでき、粘土膜に均一な不燃膜を確実に生成して、防火性能の向上に加えて透明性が向上し、木質材の外観性低下の抑制をも併せ図ることができる。
第4の発明によると、シーラー層は、フィラーが含まれている塗料からなるものとしたことにより、フィラーによりシーラー層の目止め効果が得られ、平滑性によって粘土膜が均一な鱗片状となるとともに、フィラーによってシーラー層の厚さを保つことができる。
第5の発明によると、シーラー層はUV硬化型塗料からなるものとしたことにより、乾燥工程としてUV乾燥機による速硬化が実現され、防火性木質材の生産性の向上を図ることができる。
第6の発明によると、難燃薬剤をリン系難燃剤又はポリホウ酸系難燃剤とし、粘土膜をモンモリロナイトの量が12g/m以上になるように高純度ベントナイトにより形成したことにより、コーンカロリーメータによる発熱性試験で所定時間における総発熱量が8.0MJ/m以下の安定した防火性能を得ることができる。
第7の発明によると、木質基材の表面を平滑面としたことにより、その平滑面上に形成される粘土膜を均一な鱗片状の粘土からなる平滑な粘土層とすることができ、粘土膜による防火性能を安定して得ることができる。
図1は、参考形態に係る防火性木質材の概略断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る防火性木質材の概略断面図である。 図3は、防火性木質材の製造工程の例を示す図である。 図4は、実施例における難燃薬剤の種類及び含浸量、粘土膜の固形分量、並びにコーンカロリー発熱性試験の総発熱量の関係を示す図である。 図5は、実施例の難燃薬剤における高純度ベントナイト又はベントナイトの純度とコーンカロリー発熱性試験の総発熱量との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
図1は、参考形態に係る防火性木質材Aを示し、この防火性木質材Aは、例えば建物の壁材等の建築材として用いられて防火材料をなすものである。防火性木質材Aは水系の難燃薬剤が含浸された例えば矩形板状の木質基材1を備え、この木質基材1の表面は、下塗り塗料により形成されたシーラー層3によって平滑面とされ、そのシーラー層3の上に粘土膜5が粘土塗料の上塗り塗装により形成され、この粘土膜5は不燃塗料組成物を有している。
尚、本参考形態において、防火性木質材Aとは、基準を満たした規格上の防火材料ではなく、規格上では難燃材、準不燃材、不燃材を含んでいて「防火性を有する」という意味で用いる。
[木質基材]
上記木質基材1は、木質材料であればどのような材料でもよく、例えばIB、MDF、ハードボード、パーチクルボード等の繊維板が適宜選択できる。また、図2に示すように、木質基材1は、木質単板、チップボード又は木質繊維板からなる複数の構成材1a,1a,…が基材厚さ方向に積層された合板、LVL、CLT(直交集成板)等であってもよい。また、無垢板材や集成板材も使用することができる。
(難燃薬剤の含浸)
木質基材1には、その表面から水系の難燃薬剤が含浸されている(図1及び図2では含浸部分を点を加えて示している)。この難燃薬剤は、例えばリン系やポリホウ酸系の難燃薬剤等が好適に用いられる。
この難燃薬剤を木質基材1に含浸させる場合、どのような方法を用いてもよいが、例えば減圧法、塗布法、浸漬法を採用するのが好ましい。
減圧法では、例えば真空バッチ式のチャンバに木質基材1を投入して減圧した後、チャンバ内に難燃薬剤を封入し大気圧で保持して薬剤を木質基材1に含浸させ、その後に乾燥すればよい。難燃薬剤がリン系の場合、例えば1時間程度減圧した後に大気圧に戻して1日保持して含浸させるのが好ましく、ポリホウ酸系の難燃薬剤は溶解度が低いので、例えば60℃以上の湯に溶解させ、30〜60℃の温度で1時間程度減圧した後に大気圧に戻して60℃の温度で1日保持して含浸させるのが好ましい。
木質基材1が図2に示すように複数の構成材を積層したものである場合、その最外層の構成材1aのみに難燃薬剤が含浸されるようにしてもよい。
難燃薬剤の含浸量は、建築基準法に定める難燃材料、準不燃材料及び不燃材料の各基準を満足する量であるのが好ましいが、同建築基準法に定める難燃材料、準不燃材料及び不燃材料の各基準を満たさない量であってもよい。
具体的には、建築基準法に定める難燃材料は、建築基準法施行令第1条の6に含浸量の基準が規定されているが、この基準を満たすための推奨値の量の難燃薬剤を含浸させるか、或いは、同推奨値よりも少なくて推奨値に達しない量の難燃薬剤を含浸させればよい。後者の場合、そのままでは建築基準法に定める難燃材料とはならないが、その表面に粘土膜5を形成することで、建築基準法に定める難燃材料(建築基準法施行令第1条の6)の基準を満たすことが可能になる。
また、建築基準法に定める準不燃材料は、建築基準法施行令第1条の5に含浸量の基準が規定されており、この基準を満たすための推奨値の量の難燃薬剤を含浸させるか、或いは、同推奨値よりも少なくて推奨値に達しない量の難燃薬剤を含浸させればよい。後者の場合、そのままでは建築基準法に定める準不燃材料とはならないが、その表面に粘土膜5を形成することで、建築基準法に定める準不燃材料(建築基準法施行令第1条の5)の基準を満たすことが可能になる。
さらに、建築基準法に定める不燃材料は、建築基準法第2条9号又は建築基準法施行令第108条の2に含浸量の基準が規定されており、この基準を満たすための推奨値の量の難燃薬剤を含浸させるか、或いは、同推奨値よりも少なくて推奨値に達しない量の難燃薬剤を含浸させればよい。後者の場合、そのままでは建築基準法に定める不燃材料とはならないが、その表面に粘土膜5を形成することで、建築基準法に定める不燃材料(建築基準法第2条9号又は建築基準法施行令第108条の2)の基準を満たすことが可能になる。
(シーラー処理)
上記シーラー層3は、上記水系の難燃薬剤が含浸された木質基材1から難燃薬剤の溶出を防ぐための防水性及び防湿性を有する非水系塗料からなるものである。具体的には、シーラー層3は、木質基材1の表面に水系の粘土塗料を塗布するとき又は塗布した後に、木質基材1に染みこませた水系の難燃薬剤が、塗布した粘土塗料中に溶出し、粘土膜5(不燃塗料層)に不純物として混じることを防ぐことを目的に設けられ、例えば表面への下塗り塗料の塗布によって形成されている。このシーラー層3によって木質基材1の表面を処理することにより、その上の粘土膜5を難燃薬剤の混じっていない均一な鱗片状の粘土からなる平滑な粘土層に形成できるようにしている。また、このシーラー層3は、木質基材1の表面を平滑面とすることに加え、粘土膜5となる粘土塗料(不燃塗料組成物)が木質基材1に染み込むのを阻止することも併せて達成するために形成される。
シーラー層3の防水性としては、そのシーラー層3の表面に水系粘土塗料を塗装するときに、木質基材1に含浸された難燃薬剤が水系粘土塗料中の水分に溶出しない程度の防水性とする。また、シーラー層3の防湿性としては、上記水系粘土塗料の塗装後の防火性木質材Aの使用時において、周りの湿度が高いときに湿気又は水分を吸収し、その湿気や水分の放出の際に同時に難燃薬剤が木質基材1から抜け出るのを阻止できる程度の透湿抵抗値を有するものとする。その透湿抵抗値は高い方が難燃薬剤の抜け出しを長期間に亘り抑制できる。このシーラー層3の透湿抵抗値は例えば5×10−3(m・s・Pa)/ng以上であることが望ましく、例えばアクリル系UV硬化型塗料からなるシーラー層3は5.6×10−3(m・s・Pa)/ngである(塗布量60g/m)。
尚、木質基材1の表面を研磨処理により平滑面にした後にシーラー層3の形成を行うこともできる。
また、難燃薬剤を含浸させた木質基材1の表面に粘土塗料を塗った場合に、難燃薬剤が溶出し、粘土塗料を凝集させることがあるが、このような場合にもシーラー層3が有効である。
シーラー層3となる下塗り塗料は、例えばウレタン系シーラーやアクリル系UVシーラー(紫外線硬化型アクリル樹脂系塗料)等の塗料が使用される。粘土膜5と組み合わせたときのコーンカロリーメータによる発熱性試験での総発熱量は、ウレタン系シーラーでは例えば4.4MJ/m程度となり、アクリル系UVシーラーを用いると例えば3.2〜4.5MJ/m程度となる。アクリル系UVシーラーでもウレタン系シーラーと同等以上の難燃性が得られ、いずれも粘土膜5との組み合わせによって建築基準法に規定の不燃材料の基準を満たすことができるようになる。
シーラー層3をUV硬化型塗料(紫外線硬化型塗料)によって形成することで、乾燥工程としてUV乾燥による高速硬化を実現でき、防火性木質材Aの生産性が向上する。
また、シーラー層3はフィラーが含まれている塗料としてもよい。このフィラーは、例えばタルク、シリカ、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナホワイト、ホワイトカーボン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等を含有させればよく、その粒度は、0.1〜100μm程度である。
このようにシーラー層3となる塗料にフィラーが含まれていると、そのフィラーによりシーラー層3の目止め効果が得られ、平滑性が上がるので、粘土膜5は均一な鱗片状となる。しかも、フィラーによってシーラー層3の厚さを必要な厚さに保つこともできる。
下塗り塗料の塗布量は例えば40〜80g/mが好ましい。また、下塗り塗料の塗布方法は特に指定されるものでなく、ロールコーター、フローコーター、スプレー等公知の方法で構わない。また、乾燥固化方法は、熱風ドライヤー、通風ドライヤー等公知の方法で行うことができる。
シーラー層3となる下塗り塗料により、透明性の薄膜からなるシーラー層3が形成される。シーラー層3の透明性とは、シーラー層3が設けられた木質基材1表面の木質表面意匠が、シーラー層3を通して視認可能な程度であればよい。
[粘土膜]
上記粘土膜5は透明性を有する薄膜であり、不燃塗料組成物を有する。透明性とは、透明か、又は粘土膜5及びシーラー層3が設けられた木質基材1表面の木質表面意匠が粘土膜5を通して視認可能な程度であればよい。この不燃塗料組成物は、所定値以上の純度(モンモリロナイト含有率)を有する高純度ベントナイトの微粉末と、エマルジョン樹脂とが含有されていることにより、透明性が実現できる。
上記高純度とされるベントナイト微粉末の純度は、モンモリロナイト含有率が85重量%以上であり、90重量%以上が好ましく、95重量%以上が最も好ましい。
このベントナイトの純度を特定するには、例えばJBAS−107−91に準拠されるメチレンブルーの比色定量法、すなわち試料をピロリン酸ナトリウム溶液及びメチレンブルー溶液に加え、その液を濾紙に滴下してハローの出限の有無を観察する方法を利用する。そして、純度の不明なベントナイトのメチレンブルー吸着量を、モンモリロナイト含有量100重量%のメチレンブルー吸着量で割り算することで、純度を求めるようにする。例えば純度が判らないベントナイトのメチレンブルー吸着量が136mmol/100gであった場合、モンモリロナイト含有量100重量%のメチレンブルー吸着量を140mmol/100gと定義すると、ベントナイトの純度は、(136/140)×100=97重量%として算出する。
このような高純度のベントナイトの微粉末を作製する場合、鉱石を粉砕した粗製ベントナイトを水に加えて膨潤及び分散させて粗製液とし、この粗製液に対し複数段階(例えば3段階)の遠心分離の処理を行って精製液を得(不純物は沈降する)、その精製液を乾燥して固形物を粉砕することで、高純度のベントナイトの微粉末を得るようにすればよい。こうすると、高純度ベントナイトの微粉末を容易にかつ確実に得ることができる。
ベントナイトの微粉末の粒径は、湿式で45μm以下(325mesh湿式で100%通過)であることが望ましい。また、ベントナイトの膨潤力は、例えば45ml/2g以上であることが必要である。
上記高純度のベントナイト微粉末の不燃塗料組成物中における濃度を設定することで、粘土膜5はそのモンモリロナイトの量が12g/m以上になるように形成されている。
エマルジョン樹脂としては、例えばアクリル樹脂(特にスチレン含有のアクリル樹脂)、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の各種合成樹脂、これらの混合物が用いられる。特に、アクリル樹脂とウレタン樹脂との混合物を添加すると、不燃性が高くなるので好ましい。また、ソープフリーのエマルジョン樹脂であれば、塗料のゲル化(凝集)を防止することができるので望ましい。
エマルジョン樹脂の濃度は、例えば固形分で5〜20重量%であることが望ましい。5重量%未満であると、ベントナイトの膨潤抑制効果が不十分であり、20重量%を超えると、粘土膜5中の樹脂の成分が多くなって、その樹脂(粘土膜5)自体が燃え易くなるためである。
不燃塗料組成物を作製する場合、例えばベントナイト微粉末を水に投入して攪拌機等で撹拌し、さらにウレタン樹脂及びアクリル樹脂を撹拌しながら添加して調合すればよく、或いは水に樹脂を添加した後にベントナイトを分散させるようにしてもよい。
その他の添加物として、消泡剤、分散剤、防カビ剤等の助剤や界面活性剤を添加してもよく、用途によって顔料を添加することもできる。
粘土膜5を形成するための上塗り塗料の塗布方法は特に指定されるものでなく、フローコーター、ロールコーター、スプレー等公知の方法を採用でき、乾燥固化方法も、熱風ドライヤー、通風ドライヤー、UVドライヤー、EBドライヤー等公知の方法で行うことができる。
[防火性木質材の製造方法]
図3は、上記防火性木質材Aの製造工程を例示しており、まず、難燃薬剤含浸工程で木質基材1に難燃薬剤を含浸させる。その後の第1乾燥工程で、例えば60℃で3日間乾燥した後、第1研磨工程で木質基材1の表面を例えば240番のサンドペーパーでサンディングして平滑にし、下塗り工程で、その表面にウレタン系サンディングシーラーを例えば60g/m程度塗布してシーラー層3を形成した後、第2乾燥工程で例えば60℃で2時間、又は室温で1日乾燥させる。次の第2研磨工程では、木質基材1の表面を例えば240番のサンドペーパーでサンディングして平滑にする。次の粘土塗料塗装工程では粘土塗料(不燃塗料組成物)を100g/m程度塗布して粘土膜5を形成した後、第3乾燥工程で例えば60℃で1.5時間、又は室温で1日乾燥させる。粘土膜5の固形分量が所定量になるまで、上記粘土塗料塗装工程及び第3乾燥工程を繰り返し、粘土膜5の固形分量が所定量になると終了する。
したがって、上記参考形態においては、難燃薬剤が含浸された木質基材1の表面に、高純度ベントナイトと樹脂とを含む塗料により粘土膜5が形成され、その粘土膜5に均一な不燃膜が生成されているので、木質基材1に含浸された難燃薬剤による難燃性と、表面の粘土膜5による難燃性とが相乗的に働き、この相乗効果によって防火性木質材Aの防火性能を高めることができる。
特に、ベントナイトのモンモリロナイト含有率を85重量%以上(好ましくは95重量%以上)とすることで、ベントナイトは確実に高純度となり、粘土膜5に均一な不燃膜が確実に生成され、難燃性をより一層安定して向上させることができる。
また、木質基材1の表面がシーラー塗装によるシーラー層3や研磨処理によって平滑面とされ、その平滑面上に粘土膜5が形成されているので、粘土膜5を均一で鱗片状の層とすることができ、その粘土膜5による防火性能を安定して得ることができる。
また、木質基材1の表面にシーラー層3を形成することで、粘土塗料(不燃塗料組成物)が木質基材1に染み込むのをシーラー層3によって阻止することができ、よって、シーラー層3により粘土塗料(不燃塗料組成物)の塗布面の平滑化と染み込み防止との双方を併せて図ることができる。
そのため、木質基材1に対する難燃薬剤の含浸不良が生じていて、その難燃薬剤のみでは木質基材1に確実な難燃性能が得られない場合であっても、それを表面の粘土膜5の難燃性が補うようになり、防火性木質材Aの難燃性能を確実に安定して得ることができるようになる。
そして、木質基材1の表面に、水系の難燃薬剤の溶出を防ぐための防水性を有する非水系塗料からなるシーラー層3が設けられているので、木質基材1の表面に粘土膜5を形成するために水系粘土塗料を塗布する場合も、木質基材1に含浸された水系の難燃薬剤が水系粘土塗料中の水分に溶出するのをシーラー層3によって抑制することができる。そのため、塗装時の木質基材1からの水系の難燃薬剤の溶出を防止して、その水系の難燃薬剤による難燃性を発揮させることができるとともに、難燃薬剤が粘土塗料に混じることなく、安定して表面に粘土膜5を設けることができる。
また、上記シーラー層3は難燃薬剤の溶出を防ぐための防湿性を有する非水系塗料からなるものであるので、防火性木質材Aの使用時に周りの湿度が高いときに粘土膜5が水分を吸収しても、その水分の放出の際に同時に難燃薬剤が木質基材1から抜け出るのをシーラー層3によって阻止することができる。そのため、防火性木質材Aの使用期間が長期に亘っても、薬剤溶脱による変色や白華を抑制でき、難燃薬剤による意匠性が低下することはなく、防火性木質材Aの意匠性及び難燃性を長期間に亘り安定して維持することができる。
しかも、粘土膜5内のベントナイトは高純度であるので、その難燃性能が高く、その分、粘土膜5の厚さを薄くすることができる。そのため、粘土膜5が透明性を有するものとなり、下地である木質基材1の木質感をそのまま表面に露呈できるようになり、防火性能の向上に加えて木質材の外観性の向上をも併せ図ることができる。
さらに、粘土膜5により防火性能が得られる分だけ、木質基材1に対する難燃薬剤の含浸量を減らすことができ、高価な難燃薬剤の使用量を少なくして製造コストを下げることができる。
また、上記難燃薬剤をリン系又はポリホウ酸系難燃剤とし、粘土膜5はモンモリロナイトの量が12g/m以上になるように形成することで、例えばコーンカロリーメータによる発熱性試験で、総発熱量8.0MJ/m以下の安定した防火性能を得ることができる。
(実施形態)
図2は本発明の実施形態を示す。この実施形態に係る防火性木質材Aは、木質基材1が木質単板、チップボード又は木質繊維板からなる複数の構成材1a,1a,…が積層されたもので、そのうちの表面側の最外層の構成材1aのみにその全体に亘り難燃薬剤が含浸され、その最外層の構成材1aの表面に粘土膜5が形成されている。その他は参考形態と同じである。
この実施形態では、最外層の構成材1aのみの全体に難燃薬剤が含浸され、最外層の構成材1aの表面に粘土膜5が形成されていることで、木質基材1の最外層の構成材1aのみの防火性能を選択的に高めることができる。また、予め、最外層となる構成材1aのみの全体に難燃薬剤の含浸及び粘土膜5の形成を行っておき、その後に該構成材1aを他の構成材1aと積層一体化することもでき、防火性木質材Aの製造が容易となる。
そして、上記木質基材1が、建築基準法に規定された難燃材料の基準を満足しない量の難燃薬剤が含浸されたものであっても、その木質基材1表面に粘土膜5を形成することで、防火性木質材Aは、その粘土膜5の持つ防火性能により、建築基準法に規定された難燃材料の基準を満足するようになる。また、製品設計の自由度の向上も期待することができる。
また、建築基準法に規定された準不燃材料の基準を満足しない量の難燃薬剤が含浸された木質基材1であっても、その表面に粘土膜5が形成されることで、防火性木質材Aは、その粘土膜5の防火性能により、建築基準法に規定された準不燃材料の基準を満足するようになる。
さらに、木質基材1が、建築基準法に規定された不燃材料の基準を満足しない量の難燃薬剤が含浸されたものであっても、その表面に粘土膜5が形成されることで、防火性木質材Aは、その粘土膜5の防火性能により、建築基準法に規定された不燃材料の基準を満足するようになる。
すなわち、難燃薬剤の使用量(含浸量)を多くして、建築基準法に規定された難燃材料、準不燃材料及び不燃材料の各基準を満足させるようにすると、その難燃薬剤の使用量が増えた分だけ、木質材が本来持っている木質感が低下して表面の外観性が悪くなるところ、表面に粘土膜5を形成して、その防火性能により木質材全体の防火性能を高めることで、難燃薬剤の使用量を減らして、より自然な木質感を持ちかつ難燃材料の性能を有する防火性木質材Aを低コストで得ることができる。
[その他の実施形態]
上記実施形態では、木質基材1の表面(片面)に粘土膜5が形成されている防火性木質材Aを説明しているが、木質基材1の裏面(片面)に、同様の粘土膜5を形成してもよい。また、木質基材1の表面に加え裏面にも、同様の粘土膜5を形成して防火性木質材Aを構成してもよく、その防火性木質材Aの防火性をさらに向上させることができる。
次に、具体的に実施した実施例について説明する。この実施例は参考形態に係る。
[試験1]
防火性木質材における難燃薬剤の種類及び含浸量、粘土膜の固形分量を種々に変えて、コーンカロリー発熱性試験の総発熱量を試験した。
(例1)
木質基材としての厚さt=15mmの杉単板に、固形分で15%濃度に希釈したリン・窒素系難燃薬剤(丸菱油化工業株式会社製の商品名「ノンネンW−200」)を減圧法で含浸させた。この減圧法では、真空バッチ式のチャンバ内で1時間減圧した後に大気圧に戻し1日保持して含浸させた。その後、60℃の通風ドライヤーにより72時間(3日間)乾燥させることで、難燃薬剤が固形分量で118kg/m含まれた難燃薬剤含浸木質基材を得た。
粘土膜を形成するための粘土塗料は、水75.7重量部に、ウレタン系樹脂エマルジョン10重量部、アクリル系樹脂エマルジョン10重量部、高純度ベントナイト4重量部、消泡剤0.2重量部、分散剤0.1重量部及び防カビ剤0.04重量部を添加して均一になるまで拡散したものを用いた。高純度ベントナイトとしては、クニミネ工業株式会社製の商品名「クニピアF」を使用した。この「クニピアF」は、モンモリロナイトの含有率が98.5重量%である。
難燃薬剤含浸木質基材の表面に粘土塗料を、粘土量としての固形分量(モンモリロナイトの量)が4g/mとなるように塗布量を102g/mに調整して塗布した。粘土塗料中のモンモリロ量の比率は塗料中の3.94%として算出した。この塗布後、60℃で90分乾燥させ、これを99mm×99mmにカットしてサンプルとした。
(例2)
木質基材に対する難燃薬剤の含浸量を固形分量で120kg/mとし、粘土塗料の塗布量を296g/mとし、固形分量を12g/mとした。それ以外は上記例1と同じである。
(例3)
木質基材に対する難燃薬剤の含浸量を固形分量で125kg/mとし、粘土塗料の塗布量を495g/mとし、固形分量を20g/mとした。それ以外は上記例1と同じである。
(例4)
木質基材に対する難燃薬剤の含浸量を固形分量で121kg/mとした。難燃薬剤含浸木質基材の表面に粘土塗料は塗布せず、難燃薬剤含浸木質基材そのものを99mm×99mmにカットしてサンプルとした。
(例5)
木質基材に対する難燃薬剤の含浸量を固形分量で171kg/mとした。それ以外は上記例4と同じである。
(例6)
木質基材としての厚さ15mmの杉単板に、固形分で27%濃度に希釈したポリホウ酸ナトリウム系難燃剤(株式会社トラストライフ製の商品名「ファイアレスBパウダー」)を減圧法で含浸させた。この減圧法では、真空バッチ式のチャンバ内で60℃の加温条件で1時間減圧した後に大気圧に戻し1日保持して含浸させた。その後、60℃の通風ドライヤーにより72時間乾燥させることで、難燃薬剤が固形分量で181kg/m含まれた難燃薬剤含浸木質基材を得た。
この難燃薬剤含浸木質基材の表面を240番のサンドペーパーで平滑化(サンディング)した後、ウレタン系シーラーを60g/m塗布して乾燥させた。この表面に例1と同様の粘土塗料を固形分量が12g/mとなるように塗布量を298g/mに調整して塗布した。この塗布後、60℃で90分乾燥させ、これを99mm×99mmにカットしてサンプルとした。
(例7)
木質基材に対する難燃薬剤の含浸量を固形分量で182kg/mとし、粘土塗料の塗布量を495g/mとし、固形分量を20g/mとした。それ以外は上記例6と同じである。
(例8)
木質基材に対する難燃薬剤の含浸量を固形分量で178kg/mとした。難燃薬剤含浸木質基材の表面に粘土塗料は塗布せず、難燃薬剤含浸木質基材そのものを99mm×99mmにカットしてサンプルとした。
(例9)
木質基材としての厚さ15mmの杉単板を99mm×99mmにカットしてサンプルとした。この例は、木質基材に難燃薬剤が含浸されておらず、また表面に粘土膜も形成されていないものである。
(発熱性試験)
以上の各例のサンプルに対しコーンカロリーメータによる発熱性試験を行い、その総発熱量を調べた。その結果を図4に示す。
この結果について考察すると、例4と例5との比較により、リン・窒素系難燃薬剤が含浸されただけの木質基材そのものでは、難燃薬剤の含浸量が多くなるに伴い、20分の加熱時間の総発熱量が17.6MJ/mから7.1MJ/mに下がっている。
そして、例4に示されるように、木質基材への難燃薬剤の含浸量が少なく、そのままでは20分の加熱時間の総発熱量が17.6MJ/mとなって建築基準法に規定の不燃材料の基準を満たし得ない状態であっても、その表面に粘土膜を形成することで、総発熱量が16.7MJ/m,7.9MJ/m,5.7MJ/mに下がり(例1、例2、例3)、粘土膜の固形分量(モンモリロナイトの量)を12g/m以上にすれば、総発熱量が7.9MJ/m以下となり、建築基準法に規定された不燃材料の基準を満たし得るようになることが判る(例2、例3)。
一方、難燃薬剤がポリホウ酸ナトリウム系難燃剤の場合には、例8に示されるように、木質基材への難燃薬剤の含浸量が少なくて、そのままでは10分の加熱時間の総発熱量が8.7MJ/mとなって建築基準法に規定の準不燃材料の基準を満たし得ない状態であっても、その表面に粘土膜を形成することで、総発熱量が6.5MJ/m、6.2MJ/mに下がり、粘土膜の固形分量(モンモリロナイトの量)を12g/m以上にすれば、総発熱量が6.5MJ/m以下となり、建築基準法に規定された準不燃材料の基準を満たし得るようになっていることが判る(例6、例7)。
[試験2]
難燃薬剤における高純度ベントナイト又はベントナイトの純度と、その純度に対するコーンカロリー発熱性試験の総発熱量との関係について試験した。
(例10)
木質基材としての厚さt=15mmの杉単板に、固形分で15%濃度に希釈したリン・窒素系難燃薬剤(丸菱油化工業株式会社製の商品名「ノンネンW−200」)を減圧法で含浸させた。この減圧法では、真空バッチ式のチャンバ内で1時間減圧した後に大気圧に戻し1日保持して含浸させた。その後、60℃の通風ドライヤーにより72時間(3日間)乾燥させることで、難燃薬剤が固形分量で122kg/m含まれた難燃薬剤含浸木質基材を得た。
粘土膜を形成するための粘土塗料は、水75.7重量部に、ウレタン系樹脂エマルジョン10重量部、アクリル系樹脂エマルジョン10重量部、高純度ベントナイト4重量部、消泡剤0.2重量部、分散剤0.1重量部及び防カビ剤0.04重量部を添加して均一になるまで拡散したものを用いた。高純度ベントナイトとしては、モンモリロナイトの含有率が95重量%のものを用いた。
難燃薬剤含浸木質基材の表面に粘土塗料を、粘土量としての固形分量(モンモリロナイトの量)が12g/mとなるように塗布量を300g/mに調整して塗布した。粘土塗料中のモンモリロ量の比率は塗料中の3.94%として算出した。この塗布後、60℃で90分乾燥させ、これを99mm×99mmにカットしてサンプルとした。
(例11)
粘土塗料の塗布量を302g/mとした。高純度ベントナイトとしては、モンモリロナイトの含有率が85重量%のものを用いた。それ以外は上記例10と同じである。
(例12)
木質基材に対する難燃薬剤の含浸量を固形分量で120kg/mとし、粘土塗料の塗布量を300g/mとした。ベントナイトとしては、モンモリロナイトの含有率が75重量%のものを用いた。それ以外は上記例10と同じである。
(例13)
木質基材に対する難燃薬剤の含浸量を固形分量で120kg/mとし、粘土塗料の塗布量を301g/mとした。ベントナイトとしては、モンモリロナイトの含有率が65重量%のものを用いた。それ以外は上記例10と同じである。
(例14)
木質基材に対する難燃薬剤の含浸量を固形分量で125kg/mとし、粘土塗料の塗布量を300g/mとした。ベントナイトとしては、モンモリロナイトの含有率が50重量%のものを用いた。それ以外は上記例10と同じである。
(発熱性試験)
以上の例10〜例14のサンプルに対しコーンカロリーメータによる発熱性試験を行い、その総発熱量を調べた。その結果を図5に示す。
この結果について考察すると、ベントナイトとしてモンモリロナイトの含有率が50重量%、65重量%、75重量%のものであれば、20分の加熱時間の総発熱量が8.0MJ/mを超えるが(例12〜例13)、モンモリロナイトの含有率が85重量%以上の高純度ベントナイトを用いれば、20分の加熱時間の総発熱量が6.0MJ/m以下となって8.0MJ/mよりも低くなっており(例10、例11)、建築基準法に規定の不燃材料の基準を満たし得ることが判る。
本発明は、木質基材に含浸された難燃薬剤の難燃性と表面の粘土膜の難燃性との相乗効果によって防火性木質材の防火性能を高めることができ、難燃薬剤の含浸不良により確実な難燃性能が得られていない状態であっても表面の粘土膜の難燃性が補って、防火性木質材の難燃性能を確実に安定して得ることができるので、極めて有用である。
A 防火性木質材
1 木質基材
1a 構成材
3 シーラー層
5 粘土膜

Claims (7)

  1. 複数の構成材が積層されてなりかつ最外層の構成材のみの全体に水系の難燃薬剤が含浸された木質基材と、
    上記木質基材における最外層の構成材の表面に設けられ、上記難燃薬剤の溶出を防ぐための防水性及び防湿性を有する非水系シーラー層とを備え、
    上記シーラー層の表面に水系粘土塗料からなる粘土膜が形成されていることを特徴とする防火性木質材。
  2. 請求項1において、
    木質基材は、木質単板、チップボード又は木質繊維板からなる複数の構成材が積層されたものであることを特徴とする防火性木質材。
  3. 請求項1又は2において、
    シーラー層の表面に形成される粘土膜は、85重量%以上の純度を有する高純度ベントナイトと水性樹脂とを含む水性塗料からなり透明性を有することを特徴とする防火性木質材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
    シーラー層は、フィラーが含まれている塗料からなることを特徴とする防火性木質材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つにおいて、
    シーラー層はUV硬化型塗料からなることを特徴とする防火性木質材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つにおいて、
    難燃薬剤はリン系難燃剤又はポリホウ酸系難燃剤であり、
    粘土膜は、モンモリロナイトの量が12g/m以上になるように高純度ベントナイトにより形成されていることを特徴とする防火性木質材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つにおいて、
    木質基材の表面が平滑処理により平滑面とされていることを特徴とする防火性木質材。
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