JP6328128B2 - ガスに対して低圧状態に維持されたエンクロージャ内のガス流を推定するためのデバイス及び方法 - Google Patents

ガスに対して低圧状態に維持されたエンクロージャ内のガス流を推定するためのデバイス及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガスに対して低圧状態に維持されたエンクロージャ内の少なくとも一種のガス流を推定するためのデバイス及び方法に関する。本発明は、特に、バリア層又はバリア膜の透過性(浸透性)、つまりガスバリア特性を推定するために適用可能である。
有機物質を備えた電子部品や光起電パネル等の一部のデバイスは、水及び二酸素によって誘起される酸化の影響を特に受け易い。こうしたデバイスの寿命を延ばすために、強力な水蒸気及び二酸素バリア特性、例えば、略10−3g・m−2・day−1から10−6g・m−2・day−1の水蒸気透過速度(WVTR,water vapor transmission rate)、10−3cm・m−2・day−1のオーダーの酸素透過速度(OTR,oxygen transmission rate)を有するバリア膜又はバリア層を用いることによってこうしたデバイスを最大限保護することが必要である。こうしたバリア膜として、例えば3M社製の“Ultra Barrier Solar Film”や、三菱樹脂社製のX‐Barrier(登録商標)フィルムが挙げられる。
“バリア”との用語は、デバイスの劣化をもたらす環境ガスに対してバリア物質によって与えられるデバイスの保護を意味する。こうした大気の影響を受け易いデバイスの保護は、フレキシブル物質、特に透明なものの場合により重要になる。こうした物質層(又はバリア膜)のガスバリア特性は大きく異なり得る。要求の低い応用(例えば食品分野)に適した従来のバリア層は、10−1g・m−2・day−1から1g・m−2・day−1の間のWVTRを有する。水蒸気の通過に対して最強のバリアを形成する層は、略10−6g・m−2・day−1よりも低いWVTRを有する。従って、バリア層は、ガスがそこを通過することを完全には防止せず、ガスに対してゼロではない透過性を有する。従って、こうしたバリア膜で保護されたデバイスの保護を保証するために、透過レベルを測定できることが重要となる。
バリア層のバリア特性は、図1に概略的に示されるように、バリア層を通り抜けるガス流を決定することができる層の透過測定を行うことで測定される。特性評価されるバリア層10を、第一室12と第二室14との間の界面において、透過計11内に置く(図1のaを参照)。特に水蒸気又は酸素としてのガスの或るアイソトープの分圧を測定することによって第二室14内に存在するガスを検出するための測定デバイス16を第二室14内に設ける。この測定デバイス16は例えば質量分析計に相当する。室12と室14との間の透過性壁がバリア層10によって形成されて、その透過性が特性評価される。第一室12に、制御された圧力でターゲットガス18を充填し、このガス18を測定デバイス16によって検出することができる。
ターゲットガス18は、例えば、水蒸気、酸素、二酸素であるが、その原理は任意の他のガスやフレーバーに対しても当てはまる(図1のbを参照)。第一室12内に存在するガス18は、バリア層10を介する溶解/拡散過程によって第二室14内に伝わる(図1のcを参照)。透過計11は例えば特許文献1に記載されている。
バリア層10の透過測定を行うと、図2に示されるように、第二室14内におけるガス18の分圧の時間に対する変化を表す曲線が得られる。理想的な透過状態の場合、つまり、バリア層10の物質が均一であって、バリア層10の拡散係数が測定中にターゲットガスの濃度の関数として変化しない場合、この曲線は、バリア層10を介するガス18の移送速度の時間に対する変化に対応して、以下のフィック(Fick)の式によって表すことができる:
Figure 0006328128
ここで、P1: 第一室12内のガス18の定圧;
S: バリア層10の溶解度
D: バリア層10の拡散係数
l: バリア層10の厚さ
C=P・Sというパラメータを上記式(1)において使用することもある。
上記(1)によって与えられる曲線は二つの状態を含み、過渡状態と呼ばれる第一状態は、時間の関数としての、バリア層10を通り抜けるターゲットガス18の流れの増大に対応する。定常状態と呼ばれる第二状態は、溶解/拡散によってバリア層10を通り抜けるターゲットガス18の一定の流れを表す。測定されるターゲットガスの流れの特性、つまり、安定化した移送速度が、測定された流れの曲線の定常状態から得られ、この曲線が向かう一定値に対応する。バリア層10を介するガス18の安定化した移送速度を以下の式で表すことができる:
Figure 0006328128
ここで、ΔP: 第一室12と第二室14との間のガス18の分圧差。
バリア層10を介するガス18の安定化した移送速度を以下の式によって近似することもできる:
Figure 0006328128
ターゲットガス18が水蒸気である場合、この安定化した移送速度はWVTRに対応し、また、ターゲットガス18が酸素又は二酸素の場合、この速度はOTRに対応する。
第一状態及び第二状態の分析から、“タイムラグ”と呼ばれる過渡状態の特徴的な時間も導出される。これは、バリア層10を介するガス18の移送速度曲線を積分することによって計算され、バリア層10を通り抜けたガス18の累積量を時間の関数として表す。このような曲線が図3に示されている。従って、“タイムラグ”パラメータは、定常状態におけるターゲットガス18の累積量の時間に対する線形変化を外挿することによって、量がゼロの点において計算される。
透過状態は、ポリマー基板上の無機堆積物といった複数の層を含むバリア物質の場合、及び/又は、バリア物質に強力に吸着したガスの拡散(時間に対する拡散係数の修正)の場合にはより複雑になり得る。この場合、こうした複雑な透過状態の移送速度の時間に対する変化を、非常に複雑であり試験される物質に大きく依存する個々の法則によって表すことができる。
更に、このような透過測定の実施にはいくつかの問題がある。
第一に、行われる測定の感度に関して、バリア層10を介して展開するターゲットガス18の流れの測定デバイス16による検出は、信号対バックグラウンドノイズ比が測定デバイス16の検出性能に従っている場合にのみ、つまり、層10を介するガス流18に対応する測定信号の値が第二室14内のバックグラウンドノイズから区別可能なように十分高い場合にのみ可能となる。このバックグラウンドノイズは以下の複数の要因からのものである:
‐ 最小電子ノイズ、又は測定デバイス16の感度、例えば、対象となるターゲットガスのアイソトープについて質量分析計によって検出可能な最小電離電流;
‐ 第二室14の壁と透過を測定したい層10と(また、装置での測定の場合における質量分析計のフィラメントと)からの脱ガスに特に起因する第二室14内の残留ターゲットガスの存在。
こうした透過測定を複雑にする第二の要因は、場合によっては測定時間である。実際のところ、高いバリア特性を有する物質は、特に長期間(数か月間に及び得る)の過渡状態(つまりは“タイムラグ”)を含み得る。
最後に、こうした測定の実施を複雑にする第三の要因は、行われる測定の信頼性である。実際のところ、測定されるターゲットガスの永続的な流れ特性、つまり移送速度は、想定されているやり方で意識せずに読み取りを行っていると、定常状態に達する前に安易に打ち切られ得る。
こうした欠点は、測定されるガスに対して低圧に維持されたエンクロージャ内でガス流の測定を行いたい場合にも見受けられ、これは、その流れがエンクロージャ内でのターゲットガスの圧力上昇に対応するか、又はエンクロージャ内のガスの残留圧力(例えば、エンクロージャ内の脱ガス、つまりバックグラウンドノイズに対応)の低下に対応するのかに関係しない。
米国特許第7624621号明細書
本発明の一課題は、測定されるガスに対して相対的に低圧状態に維持されたエンクロージャ(ボリューム)内の一又は複数のガス流の時間に対する変化を、短時間で確実にシミュレーション(再現)することができる方法及びデバイスを提供することである。本発明の一課題は、バリア層の透過特性を推定するために透過性を測定する従来技術のデバイス及び方法と比較して、その測定をより高感度で、より確実で短時間のものにすることによって、バリア層の透過性の推定を行うことができるようにすることでもある。
このため、本発明は、ガスに対して低圧状態に維持されたエンクロージャ内の少なくとも一つのガス流を推定するための方法を提供し、本方法は:
‐ ガスに対して低圧に維持されたエンクロージャ内のガス流Jmeasurementを時間の関数として測定するステップと、
‐ ガス流の推定値Jestim(t)とガス流の測定値Jmeasurementとの間の差に基づいた推定誤差を減少させることによって、パラメータA及びBの値を反復的に推定するステップと、を少なくとも含み、
ガス流の測定値Jmeasurementがエンクロージャ内のガスの圧力上昇に対応する場合には、ガス流の推定値Jestim(t)が式
Figure 0006328128
に従って計算され、
ガス流の測定値Jmeasurementがエンクロージャ内のガスの圧力低下に対応する場合には、ガス流の推定値Jestim(t)が式
Figure 0006328128
に従って計算され、
ここで、OffX及びOffY: 相対的な整数;
int: エンクロージャ内のガスの分圧測定値の初期値
max: 1以上の整数。
本発明に係る方法は、ガス流を特性評価することを可能にするパラメータA及びBの値を導出するためにガス流の定常状態を待つ必要無く、エンクロージャ内のガス流を特性評価することを可能にする。更に、定常状態に達する前に、測定されているターゲットガスの永続的な流れ特性(つまり、移送速度)が意図せずに打ち切られるということがなくなるので、ガス流の推定の信頼性が改善される。パラメータA及びBの値の推定は、ガス流の測定値Jmeasurementに推定値Jestim(t)を最も良く近付けることによって、反復的に行われる。
estim(t)を記述しフィックの式と同様の特性を有する式によって、ガス流がモデル化される。
本方法をバリア層の透過性を推定するのに適用する場合、特に、パラメータA及びBの推定値を用いて、バリア層の拡散係数及び/又は溶解度及び/又は移送速度及び/又はタイムラグを計算することができる。
エンクロージャがガスに対して低圧状態に維持されるので、この低圧状態が永続的に維持され(動的システム)、エンクロージャ内のターゲットガスの分圧の時間に対する変化が、この低圧状態を形成するシステム(例えば、ポンピングシステム、真空ポンプ又は自然気流を用いたもの)とエンクロージャのターゲットガス流との間のバランスに対応する。従って、ターゲットガスの分圧がどのようなものであろうとも、ポンピング性能が一定であると考えることができる。従って、分圧の時間に対する変化を、ターゲットガス流のものであると考えることができる。これは、低圧状態を形成するシステム(ポンピングシステム等)が安定化していて、ターゲットガスの分圧の時間に対する変化がポンピング速度を変更する傾向がない限りにおいて、当てはまる。例えば、真空を用いたターゲットガスのポンピングシステムを使用する場合、ポンプの公称動作速度に合致していて、エンクロージャ内の圧力が略10−5mbarを超えなければ、これが当てはまる。
ガス流をcm・day−1単位で表すことができる(水についてはg(グラム)・day−1でも表すことができる)。これで表される流れが透過測定のものである場合、流れの値を、測定する膜の面積で正規化することができる(例えば、cm・day−1・m−2)。
ガスは、水蒸気、酸素、二酸素、水アイソトープ若しくは酸素アイソトープの一方、ヘリウム、水素、これらガスの少なくとも二種の混合物から選択され得る。
パラメータA及びBの値を推定するステップは以下のステップを行うことを少なくとも含み得る:
)パラメータA及びBの初期値を選択するステップ;
)ガス流の推定値Jestim(t)を計算するステップ;
)推定誤差を計算するステップ;
)推定誤差が正である場合に、パラメータAの値及び/又はパラメータBの値を減少させ、推定誤差が負である場合に、パラメータAの値及び/又はパラメータBの値を増大させるステップ;
そして、パラメータA及びBの推定値の安定化が達成されるまで、ステップb)からd)を順に複数回繰り返す。
ステップc)は以下のステップを含み得る:
‐ Jestim(t)及びJmeasurementを複数の部分に分割し、それら部分の各々が、他の部分の時間区間とは区別される時間区間に対するJestim(t)及びJmeasurementに対応するようにするステップ;
‐ Jestim(t)及びJmeasurementの各部分について、パラメータ
ErrorJpart_i=∫t∈part_i(Jestim(t)−Jmeasurement
を計算するステップ(part_iはJestim(t)及びJmeasurementの対応部分の時間区間に対応する);
‐ パラメータA及びBの推定誤差にそれぞれ対応し且つ共に推定誤差を形成するパラメータErrorA及びErrorBを計算するステップ(パラメータErrorA及びErrorBの各々はパラメータErrorJpart_iの線形結合に等しい)。
ステップd)は以下のように行われる:
‐ パラメータErrorAの値が正である場合、パラメータAの値を減少させ;
‐ パラメータErrorAの値が負である場合、パラメータAの値を増大させ;
‐ パラメータErrorBの値が正である場合、パラメータBの値を減少させ;
‐ パラメータErrorBの値が負である場合、パラメータBの値を増大させる。
この場合、ガス流の測定値の曲線及びガス流の推定値の曲線のいくつかの部分は、パラメータA及びBの一方のみに関係し、パラメータA及びBの他方の推定において考慮しなくてよくなり得る。
パラメータA及びBの値の少なくとも最初の六桁が、科学的記数法において前回のステップb)からd)で得られたパラメータA及びBの値のものと同一である場合に、パラメータA及びBの値の安定化が達成されたとすることができる。
パラメータA及びBの値を可変ピッチで減少又は増大させ得て、その可変ピッチの値は、パラメータA及びBの値の前回の減少又は増大に依存する。従って、パラメータA及びBの値の推定値を得るための方法の実行時間を短縮することができる。
パラメータA及びBの値の推定は、各推定において異なる値のパラメータOffX及び/又はパラメータOffYを考えることによって複数回行われ得て、パラメータA及びBの最終的な値は、パラメータA及びBの値を推定するために行った全てのステップの中でガス流の測定値Jmeasurementとガス流の推定値jestim(t)との間の全誤差が最小になるものとして選択される。オフセットは、ガス流の推定値を表す曲線とガス流の測定値を表す曲線との間のX(横座標)及び/又はY(縦座標)において容易に補正可能である。
ガス流の測定値Jmeasurementとガス流の推定値Jestim(t)との間の全誤差が、時点tにおいて最小値に達し、t後にこの最小値よりも大きくなる場合(例えば、測定時間の少なくとも5%中に少なくとも10%大きくなる)、t>tについてのパラメータA及びBに対応するパラメータA及びBの値の新たな推定を行い、t>tについてのガス流の推定値Jestim_X(t)(パラメータA及びBの推定値に基づいて計算される)とガス流の測定値Jmeasurement(この値から、t<tについてのガス流の推定値Jestim(t)が引かれる)との間の差に基づいた推定誤差を減少させることによって、パラメータA及びBの値が反復的に推定される。ここで、Xは1よりも大きな整数であり、前回計算されたパラメータA及びBをA及びBと称する。
パラメータA及びBの値の推定を複数回行うことによって、各物質についての特定のモデルに頼らずに、普遍的な方法で、複雑な透過状態を記述することが可能になる。従って、パラメータの母集団(A;B)が決定される。
ガスに対して低圧状態に維持されるエンクロージャは、透過計の第二室に対応し得て、その透過計は、第一室と、第二室内に存在するガスを測定するための測定デバイスとを更に備え、第一室及び第二室は、ガスに対する透過性を有するバリア層によって互いに分離され、ガス流の測定値Jmeasurementは、第二室内のガスの分圧の時間に対する変化の測定から得られる。行われる透過性測定は、バリア層のWVTR又はOTRの測定に対応し得る。
分圧の測定及び透過計の技術的特徴から、ガス流の測定値Jmeasurementを決定することができる。
例えば、測定デバイスが質量分析計である場合、質量分析計の電離電流とターゲットガスの分圧との間の関係性、又は、ターゲットガスの分圧/ターゲットガスの流れの関係性の較正の知識によって、ガス流の測定値を決定することができる。
ガス流Jmeasurementを測定するステップ、及びパラメータA及びBの値を推定するステップ中において、バリア層はガスで飽和し得て、ガス流の測定値Jmeasurementは、透過計の第二室のガスの圧力低下に対応し得る。
本方法は、パラメータA及びBの値を推定するステップの後に、J=A・Bとして安定化したガス流Jを計算するステップ、又は、パラメータA及びBの値の推定が行われる場合に、J∞X=A・Bとして安定化したガス流Jを計算するステップを更に含み得る。計算される全安定化ガス流は、Jの和及びJ∞Xの和に対応し得る。
また、本発明は、少なくとも一種のガスに対するバリア層の透過性を推定するための方法にも関し、バリア層が、透過計の第一室を第二室から分離し、本方法は以下のステップを少なくとも含む:
‐ ガスに対して第一室及び第二室を減圧するステップ;
‐ ガス流の測定値(Jdegas_measurementと称する)が、第二室内のガスの圧力低下に対応するように上記ガス流を推定するための方法の第一の実施を行うステップ;
‐ ガス流を推定するための方法の第一の実施中に推定されたパラメータA及びBの最後の値からガス流の推定値Jdegas_estim(t)を計算するステップ;
‐ 第一室内のガスの分圧が第二室内のものよりも高くなるように第一室内にガスを導入するステップ;
‐ ガス流の測定値Jmeasurementが第二室内のガスの圧力上昇に対応するように上記ガス流を推定するための方法の第二の実施を行うステップ。この第二の実施中において、他のガス流の推定値Jperm_estim(t)と他のガス流の測定値Jperm_measurement(Jperm_measurement=Jmeasurement−Jdegas_estim(t)とする)との間の差に基づいた推定誤差を減少させることによって、パラメータA及びBの値の推定が行われる。この場合、本方法は、第二室内のバックグラウンドノイズの推定(Jdegas_estim(t)に対応)中に推定されるパラメータA及びBから、バリア層の透過性を直接推定することを可能にする。
従って、本発明は、バックグラウンドノイズの時間に対する変化を、バリア層の透過測定を行う前に効率的にシミュレーションすることを可能にする。実際、ガス流を推定するための方法の第一の実施中において、そのガス流は、第二室内のバックグラウンドノイズ(第二室の壁からのガス流、測定デバイスの多様な脱ガスからのガス流、及び、バリア層の脱ガスからのガス流)の測定に対応する。ガス流を推定するための方法の第二の実施中において、そのガス流の測定値Jmeasurementは、バックグラウンドノイズからの流れJdegas_estim(つまり、第二室中で生じる脱ガス)と、バリア層を介するガス透過からの流れJperm_measurementとの和に対応する。パラメータA及びBの推定中のガス流の測定値Jmeasurementからガス流の推定値Jdegas_estim(t)を引くことによって、バリア層を介する透過に対応するガス流の測定感度が劇的に改善される。
パラメータ(A;B)の母集団が決定される場合、つまり、バリア層を介するガス拡散機構が複雑な場合(例えば、欠陥を含むバリア層、及び/又は物質中のターゲットガス濃度の関数として変化する拡散係数を有するバリア層の場合)、本発明に係る方法は、フィックの法則に従わないものとして従来知られていた複雑な拡散状態に対して、フィックの式の原理を適用することを可能にする。単一の透過状態(単一のフィックの式に対応)によって支配されるモデルに従わず、互いに異なる複数の透過状態(各透過状態は、他の透過状態のものとは別のフィックの式及びパラメータA及びBから導出された式を用いてモデル化可能である)の和に対応するモデルに従う透過性を有するバリア層に、この推定方法を適用することができる。同様に、パラメータA及びBの推定を複数回行って、Jdegas_estim(t)を最も良く記述することができる。
ガス流の測定値Jdegas_measurementとガス流の推定値Jdegas_estim(t)との間の全誤差が第一の閾値Ylower_degasよりも小さい場合、ガス流を推定するための方法の第二の実施中に測定されるガス流の測定値Jperm_measurementから、ガス流の推定値Jdegas_estim(t)を引く。ガス流の測定値Jdegas_measurementと推定値Jdegas_estim(t)との間の全誤差が第二の閾値Yupper_degasよりも大きい場合、ガス流を推定するための方法の第二の実施中に測定されるガス流の測定値Jperm_measurement(t)から、ガス流の最後の測定値、又は、ガス流の最後の方の複数の測定値の平均を引く。
本方法は、ガス流を推定するための方法の第二の実施中にパラメータA及びBの値を推定するステップの後に、J=A・Bとして安定化したガス流Jを計算するステップ、又は、ガス流を推定するための方法の第二の実施中にパラメータA及びBの値の推定が行われる場合には、J∞X=A・Bとして安定化したガス集J∞Xを計算するステップを更に含み得る。
また、本発明は、バリア層の透過性を推定するためのデバイスにも関し、そのデバイスは、上述のようなバリア層の透過性を推定するための方法を実施するための手段を含む。
また、少なくとも一種のガスに対するバリア層の透過性を推定するための方法も提供され、その方法は、透過によりバリア層を通り抜けるガス流Jmeasurementを時間の関数として少なくとも一回測定すること、それぞれバリア層の拡散係数及び溶解度に対応するパラメータD及びSの値を推定することを含み、パラメータD及びSの推定値に基づいて計算されたガス流の推定値Jestim(t)とガス流の測定値Jmeasurementとの間の差に基づいた第一推定誤差を減少させることによって、パラメータD及びSの値が反復的に推定される。
純粋に説明のためのものであり限定的なものではない例示的な実施形態の説明を添付図面を参照して読むことにより、本発明はより良く理解されるものである。
バリア層の透過性を測定するためのデバイス及び方法を示す。 ガス分圧の時間に対する変化の測定曲線を示す。 バリア層を介する累積ガス量の時間の関数としての測定曲線を示す。 本発明の特定の実施形態に係るバリア層の透過性を推定するための方法の多様なステップを示す。 本発明の特定の実施形態に係るバリア層の透過性を推定するための方法において透過計の測定エンクロージャ内のバックグラウンドノイズを推定するために行われるステップを示す。 本発明の特定の実施形態に係るバリア層の透過性を推定するための方法におけるバックグラウンドノイズの測定値とバックグラウンドノイズの推定値とに対応する曲線を示す。 本発明の特定の実施形態に係るバリア層の透過性を推定するための方法におけるパラメータD及びSを推定するために行われるステップを示す。 本発明の特定の実施形態に係るバリア層の透過性を推定するための方法におけるガス流の測定値とガス流の推定値とに対応する曲線を示す。 本発明の特定の実施形態に係るバリア層の透過性を推定するための方法におけるガス流の測定値とガス流の推定値とに対応する曲線を示す。 本発明の特定の実施形態に係るバリア層の透過性を推定するための方法におけるガス流の測定値とガス流の推定値とに対応する曲線を示す。 ガス流が複数の透過状態によって支配されている場合におけるガス流の推定値とガス流の測定値との間の全誤差の時間に対する変化を示す。 本発明の特定の実施形態に係る透過性を測定するためのデバイスを示す。
以下説明される複数の図面の同一、同様又は等価な部分は、一つの図面から他の図面への切り替えを容易にするため同じ参照番号を有する。
図面の異なる部分は、図面をより見やすくするために必ずしも均一の縮尺では描かれていない。
多様な可能性(代替例、実施形態)は、互いに排他的なものではなく、組み合わせ可能なものとして理解されるものである。
一又は複数種のガスに対するバリア特性を特に有するバリア層10又はバリア膜の透過性を推定するための方法の実施を、特定の実施形態に従って説明する。例えば、対象となるガスは、水蒸気、二酸素、水又は酸素のアイソトープのうち一種、ヘリウム、水素、これらガスの少なくとも二種の混合物である。本方法は、特に図1に関して上述した透過計11を用いて実施される。本方法の多様なステップが図4にダイアグラムで示されている。
本方法の第一ステップは、透過計11の検出エンクロージャ、つまり透過計11の第二室14内のバックグラウンドノイズの時間に対する変化の推定を計算することである(ステップ102)。このバックグラウンドノイズの推定では、第二室14によって形成されたエンクロージャ内のガス流の時間に対する変化(エンクロージャ内のガスの圧力低下に対応する)を推定する。実際には、第二室14の壁からと特性評価されるバリア層10からとの脱ガスは、徐々に減少し、第二室14がターゲットガスに対して低圧に維持される、例えば第二室14の真空化に対応する時点からの時間と共に変化する。バックグラウンドノイズの時間に対する変化の推定値(Jdegas_estimと称する)は、バリア層10を介するガス透過の後続の測定及び推定中に、バリア層10を透過したガス流の測定値(Jperm_measurementと称する)における、またこのガス流の推定値(Jperm_estim(t)と称する)におけるバックグラウンドノイズの成分を知ることを可能にする。
degas_estimを推定するため、図1のaに示されるように、特性評価されるバリア膜10を、透過計11の第一室12と第二室14との間の界面に提供する。
室12及び14は、対象となるガスの低圧化に置かれる。
このJdegas_estimの推定は、バックグラウンドノイズの測定値(Jdegas_measurementと称する)の測定から行われる。Jdegas_measurementの測定と並行して、Jdegas_estimを推定するための計算が行われる。この計算は、推定値Jdegas_estimが測定値Jdegas_measurementに可能な限り近くなるようにすることによって、反復的に行われる。
透過計11の第二室14内における脱ガスに関連するバックグラウンドノイズは、若干修正したフィックの式に従う脱ガス曲線に対応し得る。実際、修正されていないフィックの式は、バリア層を通り抜けるガス18の流れに対応する上昇流を記述し、上述の式(1)に対応する。バックグラウンドノイズに対応する脱ガス曲線は、時間と共に減少する流れであり、以下の式(4)によって表される:
Figure 0006328128
ここで、l: 定数;
init: 第二室14内のガス18の分圧の初期値;
C: バリア層10の溶解度Sに比例するパラメータ;
D: バリア層10の拡散係数。
定数lを省略して、上記式(4)を以下のように書くことができる:
Figure 0006328128
ここで、A及びB: A=C×l、B=D/Iとなる自然数。
バックグラウンドノイズを推定するために行われるステップ102が、図5のダイアグラムに示されている。
まず、バックグラウンドノイズの推定値を計算するのに用いられるパラメータA及びBの初期値を定める(ステップ102.1)。パラメータA及びBの初期値は、例えばユーザーによって任意に選択され、例えば経験的に知られている予測値に近い値に対応する。
第一室12及び第二室14を真空(例えば、10−6mbarよりも低い)にする。バックグラウンドノイズJdegas_measurementの測定は、第二室14内において測定デバイス16によって行われ(ステップ102.2)、第二室内のガスの脱ガスに対応し、この脱ガスは、第二室14の真空化によって引き起こされる。この測定のパラメータは、特にバリア層10の含水量、組成、構造に依存する。この測定を行う期間は、数分間から数日間、また、バリア層10及び/又は第二室14が水でひどく汚染されている場合には数週間に及び得る。例えば、二秒毎の測定点の頻度で、又は測定デバイス16が許容するのであればより高い頻度で、Jdegas_measurementを測定することができる。
次に、ステップ102.3では、Jdegas_estim(t)の推定値の計算が、以下の式に従って行われる。
Figure 0006328128
initの値は、例えば、Jdegas_measurementの一回目の測定値として選択される。これは、第二室14内の対象ガスの初期分圧に対応し、最初に設定された真空レベルよりも低い。例えば、水を含むバリア層10が真空に接触すると直ぐに、バリアが脱ガスを開始する。従って、水を含むバリア層が無い場合に得られるのと同程度の高い真空は最早存在しない。nmaxの値は、例えば、1以上となるように、例えば30に選択される。ステップ102.2から102.3への切り替えは、少なくとも二つの測定点、つまり、Jdegas_measurementの少なくとも二つの値がある場合に行われる。
次に、Jdegas_estimの推定誤差が、Jdegas_estim(t)とJdegas_measurementとの間の差に基づいて計算される(ステップ102.4)。有限期間(測定が行われる期間に対応する)に対して得られる有限数の測定点に対応するバックグラウンドノイズの測定値Jdegas_measurementとは異なり、バックグラウンドノイズの推定値Jdegas_estim(t)は、関数として表されるので、任意の期間に対して計算可能である。Jdegas_estim(t)の推定誤差を計算するため、関数Jdegas_estim(t)を、以前に行われたJdegas_measurementの測定期間に対応するtの値の範囲にわたって検討する。このようにして、同じ時間区間に対して、Jdegas_measurementとJdegas_estim(t)との二つの曲線の比較を行うことができる。
バックグラウンドノイズの時間に対する変化をモデル化する上記(4)から(6)に適用されるフィックの式(1)の特異性のため、パラメータAを、Jdegas_estim(t)に対応する曲線の振幅のみを変化させるものと考える一方、Bを、時間軸に沿ったこの曲線の“広がり(スプレッド,spread)”を変化させるものと考えることができる。バックグラウンドノイズに対応する脱ガスが常に減少していると仮定すると、パラメータAの値の推定誤差を、バックグラウンドノイズの測定曲線及び推定曲線の終わりを考慮することによって得ることができ、Bの値の推定誤差を、バックグラウンドノイズの測定曲線及び推定曲線の始まりにおけるAの僅かな干渉で見ることができる。
パラメータA及びBの推定誤差を独立して計算できるようにするため、Jdegas_estim(t)及びJdegas_measurementに対応する曲線を、時間軸に沿って複数の部分に分割する。各部分について、誤差パラメータを以下のように計算する:
Figure 0006328128
ここで、part_iは、Jdegas_estim(t)及びJdegas_measurementに対応する部分の時間区間に対応している。この積分計算は、検討している曲線部分に対応する時間区間に対して得られたJdegas_measurementの測定点を考慮することによって行われ、Jdegas_estim(t)の値が、Jdegas_measurementの測定点が得られた時点に対応するtの異なる複数の値について計算される。
各部分の誤差は、各部分における測定曲線と推定曲線との間に存在する領域に対応する。
この領域が測定曲線の上にある場合(バックグラウンドノイズの過大評価の場合)、誤差は正であり、この領域が測定曲線の下にある場合(バックグラウンドノイズの過小評価の場合)、誤差は負である。
そして、これら複数の積分を組み合わせて、パラメータA及びBの推定誤差を計算する。
パラメータA及びBの推定誤差を計算する第一の案は、バックグラウンドノイズの測定曲線及び推定曲線をそれぞれ、時間軸を二つに“分割”することによる二つの別々の部分によって形成されたものとして考えることである。図6の例では、曲線50が、バックグラウンドノイズの測定値Jdegas_measurementを表し、t∈[0;t]の第一部分50.1と、t∈[t;t]の第二部分50.2とを含む。曲線52は、バックグラウンドノイズの推定値Jdegas_estim(t)を表し、t∈[0;t]の第一部分52.1と、t∈[t;t]の第二部分52.2とを含む。t及びtの値は、例えば、tがtの略二倍に等しく、区間[0;t]が、例えば、バックグラウンドノイズが測定される全期間に対応するようなものとされる。二つの部分の各々に対する推定誤差を、上記式(7)に従って、バックグラウンドノイズの推定値と測定値との間の差の積分を計算することによって、計算する。そして、パラメータA及びBの誤差が以下のように計算される:
Figure 0006328128
ErrorA及びErrorBを計算する第二の案は、測定曲線及び推定曲線をそれぞれ以下の四つの別々の部分によって形成されたものとして考えることである:区間t∈[0;t]に対する二つの曲線各々の第一部分、区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第二部分、区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第三部分、区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第四部分。ここで、tは、バックグラウンドノイズの測定の終わりに対応し、これら四つの部分の各々は、全期間の四分の一程度で広がる。これら四つの部分の各々に対する誤差を、上記式(7)に従って、バックグラウンドノイズの推定値と測定値との間の差の積分を計算することによって計算する。そして、パラメータA及びBの誤差を、例えば以下のように、曲線の異なる複数の部分について計算した異なる複数の誤差を組み合わせることによって計算する:
Figure 0006328128
従って、この場合、以下のようになる:
ErrorB=ErrorJdegas_part_1+2・ErrorJdegas_part_2
+3・ErrorJdegas_part_3
ErrorA=2・ErrorJdegas_part_4+ErrorJdegas_part_3
パラメータA及びBの推定誤差を計算する第三の案は、測定曲線及び推定曲線をそれぞれ以下の四つの別々の部分によって形成されたものとして考えることである:区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第一部分、区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第二部分、区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第三部分、区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第四部分。ここで、tは、バックグラウンドノイズの測定の終わりに対応し、tは、例えば、Jdegas_measurementの値が、Jdegas_measurementの最初の測定値と、Jdegas_measurementの最初の方の30個の測定値の標準偏差の二倍との和よりも小さくなるtの値に対応する。四つの部分の時間区間は、互いに略等しい期間に対応する。これら四つの部分の各々の誤差は、上述のように式(7)に従って、バックグラウンドノイズの推定値と測定値との間の差の積分を計算することによって、計算される。
次に、パラメータA及びBの誤差が、例えば以下のように、曲線の異なる複数の部分について計算された複数の異なる誤差を組み合わせることによって、計算される:
Figure 0006328128
パラメータA及びBの誤差の上記三つの計算案は例示的な実施形態であり、バックグラウンドノイズの測定曲線及び推定曲線の複数の異なる部分の誤差の他の線形結合を、ErrorA及びErrorBを計算するために行うことができる。また、部分的に互いに重なる曲線の部分を考慮することも可能である。
パラメータA及びBの推定誤差の計算が行われると、パラメータA及びBの値を、それら値から、パラメータの推定誤差の値の関数として、また特に符号について、各“ピッチ”を足す又は引くことによって修正する(ステップ102.5)。パラメータの誤差(ErrorA又はErrorB)が負である場合、これは、パラメータの推定値が小さ過ぎることを意味し、対応するパラメータの推定値を増大させる必要がある。逆に、パラメータの誤差が正である場合、これは、パラメータの推定値が大き過ぎることを意味し、パラメータの推定値を減少させる必要がある。各パラメータのピッチの値は、例えば、略1・10−25から1・10−6の間である。
ステップ102.6では、バックグラウンドノイズの推定値の安定化を、前回の推定値に対するパラメータA及びBの推定値の変動を分析することによって、評価する(これがパラメータA及びBの最初の推定である場合には、ステップ102.2から102.6が自動的に繰り返される)。実際、これらパラメータの値が安定化している場合、これは、推定のために選択したモデル(つまりはA及びBの値)が、測定値に対応しており、バックグラウンドノイズの推定が安定であることを意味している。例えば、これらのパラメータの値の少なくとも最初の六桁が、科学的記数法において前回の推定中に得られたものと同一である場合に、パラメータA及びBの値が安定化していると考えられる。パラメータA及びBの値が安定化していない場合、これらのパラメータの安定化が達成されるまで、ステップ102.2から102.6を繰り返す。
パラメータA及びBの値が安定であると考えられる場合、A及びBの推定値から得られたバックグラウンドノイズの推定値Jdegas_estim(t)を、Jdegas_measurementと全体的に比較して、この推定が十分なものであるかどうかを決定する(ステップ102.7)。この推定の精度を定量化するため、その精度を、バックグラウンドノイズの推定値Jdegas_estim(t)と、バックグラウンドノイズの測定値Jdegas_measurementとの間の全誤差の逆数として定義することができる。従って、計算される全誤差が小さくなるほど、バックグラウンドノイズの推定がより正確になる。この全誤差は、例えば以下のように、測定値と推定値との間の二乗差の各点についての和として定義可能である:
Figure 0006328128
ここで、pは、考慮する点の数に対応し、例えば、バックグラウンドノイズの測定点の数に等しい。
以下の式に従って全誤差を計算することによって、測定の始まりにおける測定の軸Yに沿ったオフセット(圧力値の軸に対するオフセット)の影響を低減することができる:
Figure 0006328128
ここで、aは、信号Jdegas_measurementの減少の開始点を表し、例えば、測定信号Jdegas_measurementの値が、十分長い期間(例えば、略10個の測定点)に対する最初の方の複数の測定点の平均値から関連標準偏差の二倍を引いた値よりも小さくなる点である。
バックグラウンドノイズの測定及び推定を、測定のオペレーターが望む感度で行うことができる。本方法の実施に用いられるデバイスは、時点tにおいて、バックグラウンドノイズ推定値に対して100倍の測定装置の感度を永続的に示すことができる。
この全誤差は、例えば、略1週間よりも短い期間にわたって、10分間の測定の終わりに計算される。
バックグラウンドノイズの推定と測定との間の整合が不十分であると考えられる場合でも、つまり、上記のとおり計算された全誤差が閾値Yupper_degas(例えば略15%)よりも大きい場合でも、オペレーターは、特性評価されるバリア層を介するガス流の測定を開始することができる。示される感度は、測定開始時に測定されるバックグラウンドノイズと、オペレーターの望む測定感度との間で1/100の比であるようなものと考えることができる。また、安定化が達成されている場合、感度は、バックグラウンドノイズの終わりの方の複数の測定点(例えば測定の略20%に対応する)の平均の略1/100に対応するものであり得る。
バックグラウンドノイズに対応する固定値(バックグラウンドノイズの最後の測定値、又はバックグラウンドノイズの最後の方の複数の測定値の平均)を、以後行われる透過測定値から引く(ステップ102.8)。
また、オペレーターは、或る時点において得られたバックグラウンドノイズに対する安定値の最小検出閾値に対応する感度が測定に十分であると考えられる場合には、その時点でバックグラウンドノイズの推定を中止することもできる。
バックグラウンドノイズのシミュレーションと測定との間の整合が十分であると考えられる場合、つまり、計算された全誤差が閾値Ylower_degas(例えば5%)よりも小さい場合、示された感度は、Jdegas_estim(t)の曲線付近でのJdegas_measurementの測定点の分散を考慮している。実際、この場合には、脱ガスの測定点は、(対象としている時間について)シミュレーションした点が表す平均値付近でのガウス分布を示す。この分散は、その標準偏差によって特徴付けられる。脱ガスのシミュレーション曲線と測定点との間の偏差により、測定曲線を得ることができる。従って、標準偏差の二倍よりも大きな長期偏差(例えば、数十秒間、一分間、又は数分間のオーダー)は、サンプルからの信号に対応し、脱ガス現象に起因するものではない。推定曲線Jdegas_estim(t)を、その後に行われる透過測定値から引くことができる(ステップ102.9)。
これら案の各々について、ガス流の測定の自動開始をプログラムすることができる。オペレーターは単純に測定に望む感度を決める。ユーザーが望む条件に合致するとすぐに、つまり、オペレーターが望む測定感度が標準偏差の二倍よりも大きくなると、測定プロセスが自動的に開始する。
バックグラウンドノイズの推定値と測定値との間の整合が十分ではないと考えられる場合、つまり、上記全誤差がYupper_degasとYlower_degasとの間にある場合、tの値の第一範囲に対して、パラメータA及びBの計算値(A及びBと称する)に基づき、バックグラウンドノイズの時間に対する変化が、第一の式Jdegas_estim_1(t)に従っていると考えることができ、また、tの値の一又は複数の他の範囲に対して、A及びBとは異なるパラメータA及びB(Xは1よりも大きな整数)に基づき、このバックグラウンドノイズが、第一の式Jdegas_estim_1(t)に加えて他の一又は複数の式Jdegas_estim_X(t)にも従っていると考えることができる。
実際、バックグラウンドノイズ、より一般的には脱ガスは、複数の状態を含み得て、その各状態が、それ自体のパラメータA及びBに支配されるフィックのモデル(上記式(5)に対応する)に対応している。この場合、バックグラウンドノイズの時間に対する変化モデルを以下の式で表すことができる:
Figure 0006328128
ここで、mは、バックグラウンドノイズに対応する脱ガス状態の数。
m個の脱ガス状態が足し合わされる。そして、いつ脱ガス状態が変化するのかを決定して、新たな状態をJdegas_estim_total(t)に加える。その時点は、以前に計算された全誤差の追跡によって決定される。複数の脱ガス状態の和を最も良く決定するため、上述の全誤差を以下の式によって定めることができる:
Figure 0006328128
全ての脱ガス状態のパラメータA及びBを得ることができるようにするため、誤差が増大し始めると、第一の脱ガス状態(Jdegas_1と称する)のパラメータを設定する。そして、第一の脱ガス状態を測定値から引いて、次の脱ガス状態Jdegas_X(Xは1よりも大きな整数)のみに依存する新たな信号を明らかにすることができる。この信号を測定値と同じ方法で処理して、そこから他の脱ガス状態を抽出することができる。
degas_1を決めることを可能にするA及びBの決定では、全誤差が十分長い期間(例えば、1時間30分以上、又は、強力なバリア特性の場合には、一日以上)で検討される点の30%よりも大きく増大する直前の推定データを使用する。A及びBの値が安定化するまで、これらのデータのみから、ステップ102.2から102.6を行う。
この場合、ステップ102.1から102.6と同様のステップを、前回の脱ガス状態を測定から引いて、以後の脱ガス状態を抽出及び決定することによって、行うことができる(上述のように反復的に)。
各脱ガス状態は、それ自体の式(上記式(5)に対応する)によって支配されていて、検討している脱ガス状態の期間において生じる脱ガスを特徴付けるそれ自体のパラメータA及びBを含む。
ステップ102.5では、例えば、上述のように一定ピッチで、又は、可変値のピッチ(つまり、その値は、各パラメータに固有の係数を掛けたものであって、パラメータA及びBに対する誤差の時間に対する変化に応じて変化することができる)で、A及びBを変更することができる。従って、パラメータが二つの値の間で振動している場合、この係数を例えば2で割って、推定パラメータの精度を上げることができる。同じ様にして、パラメータが同じ方向に立て続けで何度も変化する場合には、係数を例えば略10%増大させて、推定パラメータA及びBの値が最終的な値から離れ過ぎている場合に、推定の速さを改善することができる。
例えば、ステップ102.5の各反復において、以下のように、Bの値を、ピッチΔBを足す又は引くことによって修正することができ、及び/又は、Aの値をピッチΔAを足す又は引くことによって修正することができる:
‐ Bが同じ方向に立て続けに二回変化する場合、ΔBを例えば10%増大させることができる;
‐ Aが同じ方向に立て続けに二回変化する場合、ΔAを例えば10%増大させることができる。
Aについての例:
推定値1をA(1)とする;
ErrorAが正の場合、推定値2をA(2)=A(1)−ΔAとする;
ErrorAが依然として正の場合、ΔA=ΔA×1.1として、推定値3をA(3)=A(2)−ΔAとする;
‐ B及び/又はAが同じ値の周りで振動する場合(例えば、B(i)=B(i−2)及び/又はA(i)=A(i−2))、ΔA及び/又はΔBを2で割る。
例:
推定値1をB(1)及び/又はA(1)とする;
ErrorB及び/又はErrorAが正の場合、推定値2をB(2)=B(1)−ΔB及び/又はA(2)=A(1)−ΔAとする;
ErrorB及び/又はErrorAが負の場合、推定値3をB(3)=B(2)+ΔB=B(1)及び/又はA(3)=A(2)+ΔA=A(1)とし、また、ΔB=ΔB/2及び/又はΔA=ΔA/2とする;
‐ 他の場合、ΔB及びΔAを一定のままにすることができる。
バックグラウンドノイズの推定を達成するために使用可能なバックグラウンドノイズの測定点の数には限界が無い。しかしながら、計算負荷を低減するため、最大数の点(例えば2000点)で測定信号を平均化することができる。
従って、ステップ102中に、Jdegas_estim(t)を導出することを可能にするパラメータA及びBの値の推定を利用して、バックグラウンドノイズの時間に対する変化を推定する。本願で説明される実施形態では、バックグラウンドノイズの推定中に得られたパラメータA及びBの推定値は、そこから直接的に、バリア層10の安定化した移送速度Jを導出するのには用いられない。
次に、バリア層10を介するガス流18の測定を行う(ステップ104)。第二室14は既に真空下にあり、透過計11の第一室12にガス18を充填し、バリア層10を介するそのガス18の透過が、測定が望まれているものである。この測定流(Jmeasurementと称する)を用いて、透過に関するガス流の時間に対する変化を推定し(ステップ106)、そして、上記式(2)によって表される安定化した移送速度を推定し、場合によってはバリア層10のタイムラグを推定することもできる(ステップ108)。
バリア層10を介する測定ガス流18は、第二室14内のガスの分圧の測定値に直接比例し、上述の式(1)に対応するフィックの式によって支配される。バリア層10を介する透過に対応するガス流を以下の式で表すことができる:
Figure 0006328128
ここで、l: 物質層の厚さ。
バックグラウンドノイズについての上記式(6)と同様にして、バリア層10を介する透過に対応するガス流を以下の式で表すことができる:
Figure 0006328128
ここで、nmax: 1よりも大きな整数、例えば30。
上述のバックグラウンドノイズの時間に対する変化の推定のように、ガス流の時間に対する変化の推定は、推定値を可能な限り測定値に近付けるようにすることによって、反復的に決定される。
ガス流の推定値Jperm_estim(t)を計算するために行われるステップが、図7のダイアグラムに示されている。
第一に、推定値Jperm_estim(t)を計算するのに用いられるパラメータA及びBの初期値を定める(ステップ106.1)。パラメータA及びBの初期値は、例えば、ユーザーによって任意に選択される。
ステップ106.2では、ガス流の推定値Jperm_estim(t)の計算を、上記式(19)に従って行う。
そして、流れの推定値Jperm_estim(t)と流れの測定値Jperm_measurement(これは、測定された流れJmeasurementから以前推定したバックグラウンドノイズJdegas_estim(t)を引いた値に対応する)との間の差に基づいて、ガス流の推定誤差を計算する(ステップ106.3)。この推定誤差は、バックグラウンドノイズの推定誤差の上述の計算と実質的に同様にして計算される。
測定された流れJmeasurementとは異なり、また、有限期間(測定が行われる期間に対応する)に対して得られる有限数の測定点に対応するJperm_measurementとも異なり、ガス流の推定値Jperm_estim(t)は、関数として表されるので、任意の期間に対して計算可能である。ガス流の推定誤差の計算を行うため、ガス流の測定が行われる期間に対応するtの値の範囲に対して、関数Jperm_estim(t)を検討する。従って、Jperm_measurement及びJperm_estim(t)に対応する二つの曲線の比較を同じ時間区間に対して行うことができる。
バックグラウンドノイズについて上述したように、フィックの式の特異性のため、パラメータAを、推定値Jperm_estim(t)の振幅のみを変化させるものとして考え、Bを、時間軸に沿った曲線の“広がり”を変化させるものとして考えることができる。
perm_measurement及びJperm_estim(t)の異なる複数の部分を考慮して、パラメータA及びBの推定誤差を独立して決定する。
パラメータA及びBの推定誤差を独立して計算することができるようにするため、Jperm_estim(t)及びJperm_measurementを時間軸に沿って複数の部分に分割する。各部分について、誤差パラメータを以下のように計算する:
Figure 0006328128
ここで、part_iは、Jperm_estim(t)及びJperm_measurementの対応部分の時間区間に対応している。この積分計算は、曲線の検討部分に対応する時間区間に対して得られたJperm_measurementの測定点を考慮することによって、行われ、Jperm_estim(t)の値は、Jperm_measurementの測定点の対応時点に対応している異なる複数の値のtについて計算される。
これら部分の各々の誤差は、これらの部分における測定曲線と推定曲線との間に位置する領域に対応する。この領域が測定曲線の上にある場合には、誤差は正であり、この領域が測定曲線の下にある場合には、誤差は負である。これら複数の異なる積分を互いに組み合わせて、パラメータA及びBの推定誤差を計算する。
バックグラウンドノイズの推定について上述したように、パラメータA及びBの推定誤差を計算する第一のバリエーションは、ガス流の測定曲線及び推定曲線をそれぞれ、時間軸を二つに“分割”することによる二つの別々の部分によって形成されたものとして考えることであり得る。図8の例では、曲線60が、ガス流測定値Jperm_measurementを表し、t∈[0;t]の第一部分60.1と、t∈[t;t]の第二部分60.2とを含む。t及びtの値は、バックグラウンドノイズの推定誤差を決定するための上述のものとは異なり得る。曲線62は、ガス流の推定値Jperm_estim(t)を表し、t∈[0;t]の第一部分62.1と、t∈[t;t]の第二部分62.2とを含む。t及びtの値は、例えば、tがtの略二倍に等しく、区間[0;t]が、例えば、ガス流が測定される全期間に対応するようなものとされる。これら二つの部分各々の推定誤差を、上記式(15)に従って、ガス流の推定値と測定値との間の差の積分を計算することによって、計算する。パラメータA及びBの誤差が以下のように計算される:
Figure 0006328128
上記バックグラウンドノイズの推定と同様に、パラメータA及びBの推定誤差を計算する第二のバリエーションは、図9に示されるように、測定曲線及び推定曲線をそれぞれ以下の四つの別々の部分によって形成されたものとして考えることである:区間t∈[0;t]に対する二つの曲線各々の第一部分60.1及び62.1、区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第二部分60.2及び62.2、区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第三部分60.3及び62.3、区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第四部分60.4及び62.4。ここで、tは、ガス流の測定の終わりに対応し、これら四つの部分の各々は、全期間の四分の一程度で広がる。これら四つの部分の各々に対する誤差を、上記式(20)に従って、ガス流の推定値と測定値との間の差の積分を計算することによって計算する。そして、パラメータA及びBの誤差を、例えば以下のように、曲線の異なる複数の部分について計算した異なる複数の誤差を組み合わせることによって計算する:
Figure 0006328128
従って、以下のようになる:
ErrorB=ErrorJperm_part_1+2・ErrorJperm_part_2
+3・ErrorJperm_part_3
ErrorA=2・ErrorJperm_part_4+ErrorJperm_part_3
曲線を二つの部分に分離する上述の第一のバリエーションと比較すると、パラメータA及びBの推定誤差を計算するための測定曲線及び推定曲線の四つの部分への分割は、特に、測定層が理論モデルに対して僅かなXオフセット、つまり時間軸に対するオフセットを有する場合に、最終的により小さな全推定誤差を得ることを可能にする。
パラメータA及びBの推定誤差を計算する第三のバリエーションは、図10に示されるように、測定曲線及び推定曲線をそれぞれ以下の四つの別々の部分によって形成されたものとして考えることである:区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第一部分60.1及び62.1、区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第二部分60.2及び62.2、区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第三部分60.3及び62.3、区間t∈[t;t]に対する二つの曲線各々の第四部分60.4及び62.4。ここで、tは、ガス流の測定の終わりに対応し、tは、例えば、Jperm_measurementの値が、Jperm_measurementの最初の測定値と、Jperm_measurementの最初の方の30個の測定値の標準偏差の二倍との和よりも小さくなるtの値に対応する。四つの部分の時間区間は、互いに略等しい期間に対応する。これら四つの部分の各々の誤差は、上述のように式(20)に従って、ガス流の推定値と測定値との間の差の積分を計算することによって、計算される。次に、パラメータA及びBの誤差が、例えば以下のように、曲線の異なる複数の部分について計算された異なる複数の誤差を組み合わせることによって、計算される:
Figure 0006328128
上述の二つのバリエーションと比較すると、パラメータA及びBの推定誤差を計算するための第三のバリエーションはより多用性であり、測定信号が理論的なフィックのモデルから発散する場合にも適している。
パラメータA及びBの誤差を計算するための三つのバリエーションは例示的な実施形態であり、ガス流の測定曲線及び推定曲線の異なる複数の部分の誤差の他の線形結合を、ErrorA及びErrorBを計算するために行うことができる。また、バックグラウンドノイズの推定のように、部分的に互いに重なる曲線の部分を考慮することも可能である。
誤差計算が行われると、パラメータA及びBの値を、それら値から、パラメータの推定誤差の値の関数としての各“ピッチ”を足す又は引くことによって修正する(ステップ106.4)。パラメータの誤差(ErrorA又はErrorB)が負である場合、これは、パラメータの推定値が小さ過ぎることを意味し、対応するパラメータの推定値を増大させる必要がある。逆に、パラメータの誤差が正である場合、これは、パラメータの推定値が大き過ぎることを意味し、パラメータの推定値を減少させる必要がある。各パラメータのピッチの値は、例えば、略1・10−25から1・10−6の間である。
ステップ106.5では、パラメータA及びBの値の安定化を、前回の推定値に対するパラメータA及びBの変動を分析することによって、評価する。実際、これらパラメータの値が安定化している場合、これは、選択されたモデルが、ガス流に対して行われた測定及び推定に対応していて、信頼できるものであることを意味している。例えば、パラメータA及びBの値の少なくとも最初の六桁が、科学的記数法において前回の推定中に得られたこれらパラメータのものと同一である場合に、パラメータA及びBの値が安定化していると考えられる。パラメータA及びBの値が安定化していない場合、これらのパラメータの安定化が達成されるまで、ステップ106.2から106.5を繰り返す。これらステップの繰り返しと並行して、ガス流の測定(ステップ104)を続けて、ガス流の推定において、ガス流の最後の方の測定点を考慮する。
パラメータA及びBの値が安定であると考えられる場合、A及びBの推定値から得られたガス流の推定値Jperm_estim(t)を、Jperm_measurementと全体的に比較して、この推定が十分なものであるかどうかを決定する(ステップ106.6)。この推定の精度を定量化するため、その精度を、ガス流の推定値Jperm_estim(t)と、ガス流の測定値Jperm_measurementとの間の全誤差の逆数として定義することができる。従って、計算される全誤差が小さくなるほど、ガス流の推定がより正確になる。この全誤差は、例えば以下のように、測定値と推定値との間の二乗差の各点についての和として定義可能である:
Figure 0006328128
ここで、pは、考慮する点の数に対応し、例えば、ガス流の測定点の数に等しい。
以下の式に従って全誤差を計算することによって、測定の始まりにおける測定の軸Yに沿ったオフセット(圧力値の軸に対するオフセット)の影響を低減することができる:
Figure 0006328128
ここで、aは、信号Jperm_measurementの増大の開始を表し、例えば、測定信号Jperm_measurementの値が、最初の方の複数の測定点(例えば、略10個の測定点)の平均に関連標準偏差を加えたものを超える点である。
本方法を実施するのに用いられるデバイスは、パラメータA及びBの推定値だけではなく、後述の式(29)及び(30)に基づいて計算される、A及びBの推定値に基づいて推定される安定化した流れの値及びタイムラグも、連続的に表示することができる。
ガス流の推定と測定との間の整合が十分であると考えられる場合、つまり、以前に計算された全誤差が閾値Yperm(例えば、0から5%の間)よりも低い場合、ガス流の測定の終わりを考えることができ、パラメータA及びBの推定値が正しいものであると考えられる。例えば、以下のように安定化したガス流Jの値及び/又はパラメータTL(タイムラグ)を計算することによって、以前に推定したパラメータからバリア層10の透過性を評価することができる:
=A・B (29)
TL=B/6 (30)
及びTLの値に加えて、上述の式に従って、A及びBの推定値からバリア層のD(拡散係数)及びS(溶解度)の値を計算することができる。
ガス流の推定と測定との間の整合が十分であると考えられない場合、つまり、上述の全誤差が閾値Ypermよりも大きい場合、tの値の第一の範囲に対して計算されたパラメータA及びBの値(A及びBと称する)に基づいて、ガス流が第一の式Jperm_estim_1(t)に従うと考え、また、ガス流が、tの値の第二の範囲に対して、A及びBとは異なるパラメータA及びBに基づいて、第一の式perm_estim_1(t)に追加する一つ以上の他の式Jperm_estim_X(t)にも従うと考えられる。
実際、一部バリア層は、複数の透過状態を含み得て、各透過状態がそれ自体のパラメータA及びBによって支配されたフィックのモデルに対応する。この場合、バリア層を介するガス流のモデルを以下の式で表すことができる:
Figure 0006328128
ここで、mは、バリア層の透過状態の数である。
m個の透過状態が足し合わされる。従って、透過状態が変化して、新たな状態をJperm_estim_total(t)に足し合わせるべき時点を決定する必要がある。この時点は、以前に計算された全誤差に従って決定される。複数の透過状態の和を最も良く決定するため、上述の全誤差を以下の式によって定めることができる:
Figure 0006328128
図11は、ガス流が単一のフィックの式によって支配される一方で、バリア層の実際の透過状態が複数の別々の透過状態の和から成ると考えることによって計算された全誤差の時間に対する変化の例を示す。この図では、全誤差が略20000秒まで安定であり、その後、全誤差が増大しているのが見て取れる。これは、その時点において新たな透過状態の影響が有効になり、第一の透過状態に足されたことに起因するものである。
全ての透過状態のパラメータA及びBを得ることができるようにするため、誤差が増大し始める際に、第一の透過状態のパラメータ(Jperm_1と称する)を設定する。従って、第一の透過状態を測定から引いて、次の透過状態Jperm_X(Xは1よりも大きな整数)のみに依存する新たな信号を明らかにすることができる。この信号を測定値と同じ様に処理して、そこから他の透過状態を抽出することができる。
perm_1を決定することを可能にするA及びBの決定では、全誤差が十分長い期間(例えば、1時間30分以上、又は強力なバリア特性の場合には、一日以上)で検討される点の30%よりも大きく増大する直前の推定データを使用する。A及びBの値が安定化されるまで、これらのデータから、ステップ106.2から106.5のみを行う。
ステップ106.6において全誤差パラメータは閾値Ypermよりも大きいと、ステップ106.7を行い、このステップ106.7では、透過状態を測定値から引いて、次の透過状態を決定することによって、ステップ106.2から106.5と同様のステップ(上述のように反復的に)を行う。
複数の透過状態に従う例示的なガス流曲線は、測定が開始すると直ぐに影響し始める第一の透過状態Jperm_1と、20000秒から影響し始める第二の透過状態Jperm_2と、30000秒から影響し始める第三の透過状態Jperm_3と、50000秒から影響し始める第四の透過状態Jperm_4とを有し得る。各透過状態は、それ自体のフィックの式によって支配され、検討されている透過状態の期間におけるガス流を特徴付けるそれ自体のパラメータA及びBを含む。
複数の透過状態を考慮する場合、ステップ108では、上述の式24及び25から、各透過状態について安定流J及びTLの値を計算する。
上述のステップ106.4において、例えば、一定ピッチで、又は、可変ピッチ(つまり、その値は、各パラメータに固有の係数を掛けたものであって、パラメータA及びBに対する誤差の時間に対する変化に応じて変化することができる)で、A及びBを変更することができる。
従って、パラメータが二つの値の間で振動する場合には、その係数を例えば2で割って、推定パラメータに対する精度を上げることができる。同じ様にして、パラメータが同じ方向で立て続けに複数回変化する場合には、係数を例えば10%増大させて、推定パラメータA及びBが最終的な値から離れ過ぎている場合に、推定の速さを改善することができる。
例えば、推定される透過状態についてのステップ106.4の各反復において、以下のように、Bの値を、ピッチΔBを足す又は引くことによって修正することができ、Aの値を、ピッチΔAを足す又は引くことによって修正することができる:
‐ Bが同じ方向に立て続けに二回変化する場合、ΔBを例えば10%増大させることができる;
‐ Aが同じ方向に立て続けに二回変化する場合、ΔAを例えば10%増大させることができる;
‐ B及び/又はAが同じ値の周りで振動する場合、ΔA及び/又はΔBを2で割ることができる;
‐ 他の場合、ΔB及びΔAを一定のままにすることができる。
使用可能なガス流の測定点の数には限界が無い。しかしながら、計算負荷を低減するため、最大数の点(例えば2000点)での長過ぎる測定信号を平均化することもできる。
X(時間軸)のオフセット(ずれ)及びY(測定された圧力の軸)のオフセット(それぞれ、OffX、OffYと称する)が、バックグラウンドノイズと同じく透過についても、ガス流の最良の推定がガス流の測定に対応するようになるために重要となる場合がある。最小の全誤差を与える組(オフセットX、オフセットY)を得るため、透過についてのステップ106.1から106.5及び/又はバックグラウンドノイズについてのステップ102.1から102.6を、時間軸に沿った短い単位(例えば1秒間)のガス流の測定に対応する曲線を各時間でオフセットすることによって、繰り返すことができ、このループが他のループに含まれて、縦軸に沿ったガス流の測定値のオフセット(例えば、1・10−15Pa)を形成する。
この場合、透過の推定値を以下の式で表すことができる:
Figure 0006328128
バックグラウンドノイズの推定値を以下の式で表すことができる:
Figure 0006328128
バックグラウンドノイズの推定において検討されるOffX及びOffYの値を、透過の推定において検討されるものと相関しないようにすることができる。
バックグラウンドノイズ及び/又は透過の推定のオフセット相関のアルゴリズムは、以下のようなものとなり得る:
for 1・10−15のピッチ毎の−YからYの範囲
for 1のピッチ毎の−XからXの範囲
縦軸に対するオフセットa及び横軸に対するオフセットbによって修正された測定信号Jmeasurementに対し最小誤差を有する推定値Jestim(t)を決定
if 全誤差<記録全誤差
記録全誤差=全誤差
OffY=a
OffX=b
End if
End for
End for
このアルゴリズムでは、Yは、予測信号Jmeasurementの予測振幅の略1/10に対応し得て、Xは、測定の予測期間の略1/3に対応し得る。
そして、最低の全誤差を与える推定値が、OffY及びOffXを縦軸及び横軸に対するオフセットとして用いることによって、得られる。
このオフセット計算を、特に、ガス流が複数の透過状態の組み合わせに対応するものとして推定される場合に計算される各透過状態について行うことができる。
上述の例では、バックグラウンドノイズ及びバリア層10を介するガス流の時間に対する変化を予測するためのモデルとして、フィックの法則を用いた。代わりに、バックグラウンドノイズ及びガス流の時間に対する変化を、データ(つまり曲線)、例えば、学習データベースに記憶されたライブラリの学習によって得られた又はライブラリに対応するデータと相関させることもできる。各曲線は、例えば、パラメータA及びBの値に関連するか、又は場合によってはパラメータJ及びTLの値に直接関連する。測定値と推定値(ガス流の推定値Jperm_estim(t)は、この場合、データベースの複数の曲線のうち一つに対応)との間の対応関係を改善するために行われる方法の各反復において、行われる測定に最も良く対応する曲線を選択することによって、測定と推定との間の推定誤差を減少させる。最後に、行われる測定(バックグラウンドノイズ及び/又はガス流)に最も良く対応するデータベースの曲線が、バリア層10の透過モデルに対応するものとして選択される。
選択される曲線のA及びBの値を、バリア層10のものに対応していると考えることができ、そこから、パラメータJ及びTLを計算して、バリア層10の透過性を推定することができる。同じ様にして、複数の透過状態によって支配される透過の場合には、複数の曲線を選択することができる。
上述の実施形態では、第一に、バックグラウンドノイズの時間に対する変化の推定が行われ、次に、バリア層10を介するガス流の時間に対する変化の推定によって、パラメータA及びBを推定し、次に、推定したパラメータA及びBを用いて、J、場合によってはTLの計算によってバリア層10の透過性を推定する。代わりに、バックグラウンドノイズの推定中に推定されたパラメータA及びB(例えば、Adegas、Bdegasと称する)を両方とも考慮して、第一の安定化した移送速度を計算し、ガス流の時間に対する変化の推定中に推定されたパラメータA及びB(例えば、Aperm、Bpermと称する)で、第二の安定化した移送速度を計算する。
他の実施形態のバリア層10の透過性を推定する方法では、上述のようなステップ102.1から102.7を行い、バックグラウンドノイズの時間に対する変化の推定によってパラメータA及びBの値の推定値を得ることができる。これらの値A及びBから、ステップ104から108を行わずに、J、場合によってはTLを直接計算して、バリア層10の透過性を推定することができる。この他の実施形態は、ターゲットガスで飽和したバリア層の場合に好適に行われる。この場合、第一室12が例えば存在せず、又は、第一室と第二室との間のアクセスが密封遮断されて、第二室からのバリア層の脱離を防止する。複数の脱ガス状態を考慮する場合、識別された各脱ガス状態について安定化した流れJ及びTLの値を計算することができる。
他の実施形態のバリア層10の透過性を推定する方法では、上述のようなステップ102を行わずに、つまり、バックグラウンドノイズの時間に対する変化の推定を行わずに、ステップ104から108を行うことができる。この場合、バリア層10を介するガス流の測定値から、バックグラウンドノイズを引かない。バックグラウンドノイズを考慮する場合よりも精度が低く、測定感度も劣るが、こうした実施形態は、高速で、多数のバリア層に適しているという利点を有する。
検討したいずれの実施形態でも、複数の透過状態及び/又は複数の脱ガス状態を考える場合には、J∞1=A・Bとして安定化したガス流J∞1の計算を行い、また、
Figure 0006328128
として安定化したガス流J∞Xの計算を行うことができ、ここで、Xは、足し合わされる複数の透過状態の場合における、知りたい透過状態の数を表す。
バリア層10の透過性を推定するための本方法を、例えば図12に示されるような透過性を推定するためのデバイス200によって行うことができる。デバイス200は、上述の透過計11と、オペレーターとの入力/出力インターフェースを形成することができる一つ以上のコンピューター202、又は計算ユニットを含む。コンピューター202は、特に、透過計11を稼働させ、透過計11の測定デバイス16によって伝えられる測定信号を受信し、本方法の全ての計算を行うこと等のために、透過計11に接続される。
10 バリア層
11 透過計
12 第一室
14 第二室
16 測定デバイス
18 ターゲットガス

Claims (15)

  1. エンクロージャ(14)内のガス(18)の分圧の時間に対する変化がエンクロージャ(14)内のガス流に対応するようにガスに対して低圧状態に維持されたエンクロージャ(14)内の少なくとも一つのガス流(18)を推定するための方法であって、
    前記ガスに対して低圧状態に維持されたエンクロージャ内のガス流の測定値Jmeasurementを時間の関数として測定するステップ(104)と、
    ガス流の推定値Jestim(t)とガス流の測定値Jmeasurementとの間の差に基づいた推定誤差を減少させることによって、パラメータA及びBの値を反復的に推定するステップ(102.3〜102.6、106)と、を少なくとも含み、
    ガス流の測定値Jmeasurementがエンクロージャ内のガスの圧力上昇に対応する場合には、ガス流の推定値Jestim(t)が式
    Figure 0006328128
    に従って計算され、
    ガス流の測定値Jmeasurementがエンクロージャ内のガスの圧力低下に対応する場合には、ガス流の推定値Jestim(t)が式
    Figure 0006328128
    に従って計算され、
    OffX及びOffYが相対的な整数であり、
    intがエンクロージャ内のガスの分圧測定値の初期値であり、
    maxが1以上の整数である、方法。
  2. 前記ガスが、水蒸気、酸素、水アイソトープ若しくは酸素アイソトープの一方、ヘリウム、水素、又は、これらガスの少なくとも二種の混合物である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記パラメータA及びBの値を推定するステップが、
    )パラメータA及びBの初期値を選択するステップ(106.1)と、
    )ガス流の推定値Jestim(t)を計算するステップ(106.2)と、
    )推定誤差を計算するステップ(106.3)と、
    )推定誤差が正である場合に、パラメータAの値及び/又はパラメータBの値を減少させ、推定誤差が負である場合に、パラメータAの値及び/又はパラメータBの値を増大させるステップ(106.4)と、を少なくとも含み、
    パラメータA及びBの推定値の安定化(106.5)が達成されるまで、ステップb)からd)を順に複数回繰り返す、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ステップc)(106.3)が、
    estim(t)及びJmeasurementを複数の部分(60.1〜60.4、62.1〜62.4)に分割して、各部分が、他の部分の時間区間とは区別される時間区間に対するJestim(t)及びJmeasurementに対応するようにするステップと、
    estim(t)及びJmeasurementの各部分について、part_iがJestim(t)及びJmeasurementの対応部分の時間区間に対応するものとして、パラメータErrorJpart_i=∫t∈part_i(Jestim(t)−Jmeasurement)を計算するステップと、
    それぞれパラメータA及びBの推定誤差に対応し且つ推定誤差を共に形成するパラメータErrorA及びErrorBを計算するステップと、を含み、パラメータErrorA及びErrorBの各々が、パラメータErrorJpart_iの線形結合に等しく、
    ステップd)(106.4)が、
    パラメータErrorAの値が正である場合に、パラメータAの値を減少させて、
    パラメータErrorAの値が負である場合に、パラメータAの値を増大させて、
    パラメータErrorBの値が正である場合に、パラメータBの値を減少させて、
    パラメータErrorBの値が負である場合に、パラメータBの値を増大させるように行われる、請求項3に記載の方法。
  5. パラメータA及びBの値の少なくとも最初の六桁が、科学的記数法において、ステップb)からd)を前回行った際に得られたパラメータA及びBの値のものと同一である場合に、パラメータA及びBの値の安定化(106.5)が達成されているとする、請求項3又は4に記載の方法。
  6. パラメータA及びBの値を可変ピッチで減少又は増大させ、該可変ピッチの値が、パラメータA及びBの値の前回の減少又は増大に依存している、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. パラメータA及びBの値の推定が、各推定においてパラメータOffX及び/又はパラメータOffYの異なる値を考えることによって、複数回行われ、パラメータA及びBの最終的な値が、ガス流の測定値Jmeasurementとガス流の推定値Jestim(t)との間の全誤差がパラメータA及びBの値の推定を行う全てのステップ中で最小になるものとして選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ガス流の測定値Jmeasurementとガス流の推定値Jestim(t)との間の全誤差が、時点tにおいて最小値に達し、tの後において該最小値よりも大きい場合に、t>tについてのパラメータA及びBに対応するパラメータA及びBの値の新たな推定(106.7)が行われ、パラメータA及びBの値が、t>tについてのパラメータA及びBの推定値に基づいて計算されたガス流の推定値Jestim_X(t)と、t<tについてのガス流の推定値Jestim(t)が引かれるガス流の測定値Jmeasurementとの間の差に基づいた推定誤差を減少させることによって、反復的に推定され、Xが1よりも大きな整数であり、前回計算されたパラメータA及びBをA及びBとする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記ガスに対して低圧状態に維持されるエンクロージャが、透過計(11)の第二室に対応し、該透過計(11)が、第一室(12)と、前記第二室内に存在するガスを測定するための測定デバイス(16)とを更に備え、前記第一室及び前記第二室が、前記ガスに対する透過性を有するバリア層(10)によって互いに分離され、ガス流の測定値Jmeasurementが、前記第二室内のガスの分圧の時間に対する変化の測定から得られる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記ガス流の測定値Jmeasurementを測定するステップ及び前記パラメータA及びBの値を推定するステップ中において、前記バリア層がガスで飽和していて、ガス流の測定値Jmeasurementが、前記透過計の第二室内のガスの圧力低下に対応する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記パラメータA及びBの値を推定するステップの後に、J=A・Bとして安定化したガス流Jを計算するステップ、又は、パラメータA及びBの値の推定を行う場合には、J∞X=A・Bとして安定化したガス流J∞Xを計算するステップを更に含む請求項10に記載の方法。
  12. 少なくとも一種のガス(18)に対するバリア層(10)の透過性を推定するための方法であって、前記バリア層(10)が透過計(11)の第一室(12)を第二室(14)から分離し、
    前記ガスに対して前記第一室及び前記第二室を減圧するステップと、
    ガス流の測定値Jdegas_measurementが前記第二室内のガスの圧力低下に対応するように請求項9に記載のガス流を推定するための方法の第一の実施を行うステップと、
    前記ガス流を推定するための方法の第一の実施中に推定されたパラメータA及びBの最後の値からガス流の推定値Jdegas_estim(t)を計算するステップと、
    前記第一室内のガスの分圧が前記第二室内のガスの分圧よりも大きくなるように前記第一室内に前記ガスを導入するステップと、
    ガス流の測定値Jmeasurementが前記第二室内のガスの圧力上昇に対応するように請求項9に記載のガス流を推定するための方法の第二の実施を行うステップとを少なくとも含み、前記ガス流を推定するための方法の第二の実施中に、Jperm_measurement=Jmeasurement−Jdegas_estim(t)として、他のガス流の推定値Jperm_estim(t)と他のガス流の測定値Jperm_measurementとの間の差に基づいた推定誤差を減少させることによって、パラメータA及びBの値の推定が行われる、方法。
  13. ガス流の測定値Jdegas_measurementとガス流の推定値Jdegas_estim(t)との間の全誤差が第一の閾値Ylower_degasよりも小さい場合には、前記ガス流を推定するための方法の第二の実施中に、ガス流の推定値Jdegas_estim(t)をガス流の測定値Jmeasuremetから引き、
    ガス流の測定値Jdegas_measurementとガス流の推定値Jdegas_estim(t)との間の全誤差が第二の閾値Yupper_degasよりも大きい場合には、前記ガス流を推定するための方法の第二の実施中に、ガス流の最後の測定値Jdegas_measurement、又は、ガス流の最後の方の複数の測定値Jdegas_measurementの平均値を、ガス流の測定値Jmeasuremetから引く、請求項12に記載の方法。
  14. 前記ガス流を推定するための方法の第二の実施中にパラメータA及びBの値を推定した後に、J=A・Bとして安定化したガス流Jを計算するステップ、又は、前記ガス流を推定するための方法の第二の実施中にパラメータA及びBの値の推定が行われる場合には、J∞X=A・Bとして安定化したガス流J∞Xを計算するステップを更に含む請求項12又は13に記載の方法。
  15. バリア層の透過性を推定するためのデバイス(200)であって、
    請求項12から14のいずれか一項に記載のバリア層(10)の透過性を推定するための方法を実施するための手段(202、11)を含むデバイス(200)。
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