JP6328009B2 - ソフトカプセルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ソフトカプセルの製造方法に関するものである。
一般的なソフトカプセルでは、ゼラチン等の水溶性物質で形成されたカプセル皮膜内に、非水溶性の内容物が充填されている。非水溶性の内容物は、油溶性の目的物質が溶媒としての油脂に溶解されている場合、難油溶性の目的物質が分散媒としての油脂に懸濁されている場合、及び、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)等のように、カプセルに充填しようとする目的物質自体が油状である場合に大別される。何れの場合も、従来のソフトカプセルの内容物は“油状の液体”であると言うことができる。
ソフトカプセルではソフトカプセル皮膜が損傷し内容物が漏出することがあり、問題視されていた。例えば、落下やカプセル同士の衝突など外部から加わる衝撃によって、ソフトカプセル皮膜が損傷することがある。また、ソフトカプセルを冷蔵、冷凍保存する場合など、環境が低温となることで、ソフトカプセル皮膜が割れることがある。特に、ロータリーダイ式でソフトカプセル皮膜を成形する場合は、皮膜液から形成された二枚のシートがヒートシールされることにより形成される接合部(継ぎ目)の強度が低く、接合部に添ってソフトカプセル皮膜が割れ、内容物が漏出する傾向があった。
このようなソフトカプセル皮膜からの内容物の漏出という問題を解決することを目的として、本発明者らは過去に、糖または糖アルコールを含有する水溶液を内容物としてソフトカプセル皮膜に充填し、その後に糖または糖アルコールを過飽和とするソフトカプセルの製造方法を提案している(特許文献1参照)。この製造方法では、ソフトカプセル皮膜に充填する時点では内容物は液体であるが、その後に乾燥、冷却、またはその双方により糖または糖アルコールを過飽和とすることにより、糖または糖アルコールを析出させる。糖または糖アルコールが析出する際、他の成分が取り込まれることにより、ソフトカプセルの内容物全体を固体状態とすることができる。換言すれば、糖または糖アルコールを含有する内容物が、固体状態でソフトカプセル皮膜に充填されているソフトカプセルを得ることができる。
このように内容物が固体状態であるソフトカプセルは、仮にソフトカプセル皮膜が損傷したとしても、内容物が漏出しにくい。加えて、内容物が液体である従来のソフトカプセルでは、環境の温度変化による内容物の膨張・収縮が大きく、これに伴いソフトカプセル皮膜が損傷しやすいのに対し、内容物が固体状態であるために温度変化により内容物が膨張・収縮しにくく、ソフトカプセル皮膜の損傷自体を抑制することができる。更に、従前のソフトカプセルでは、ゼラチン等の水溶性物質で形成されたカプセル皮膜に、内容物として水溶液を充填することが困難であったところ、糖または糖アルコールを析出させる特許文献1の技術では水溶液を内容物とすることができるため、水溶液やこれに可溶な水溶性成分を、ソフトカプセルによって摂取しようとする目的成分とすることができるという利点を有する。
本発明者らは、更に検討を続けた結果、特許文献1の技術とは全く異なる手段で、同様の作用効果を得られることを見出し、本発明に至ったものである。
特開2013−173714号公報
従って、本発明は、水溶性のソフトカプセル皮膜に内容物として水溶液を充填することができ、且つ、内容物の漏出が抑制されているソフトカプセルを製造できるソフトカプセルの製造方法の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかるソフトカプセルの製造方法は、「低メトキシルペクチンをゲル化させる多価金属イオンの水溶性塩を含有する水溶性のソフトカプセル皮膜に、低メトキシルペクチンを含有する水溶液を内容物として充填し、前記ソフトカプセル皮膜から前記内容物中に溶出した多価金属イオンとの反応により低メトキシルペクチンをゲル化させ、前記ソフトカプセル皮膜に充填された前記内容物を固化する」ものである。
「ペクチン」は、ガラクチュロン酸とそのメチルエステルが重合した多糖類であり、「エステル化度(DE:Degree of Esterification)」が50%より低いペクチンが「低メトキシルペクチン(LMペクチン)」と称されている。ここで、エステル化度とは、全ガラクチュロン酸のうちメチルエステルの形で存在するガラクチュロン酸の割合をいう。なお、エステル化度が50%以上のペクチンは、「高メトキシルペクチン(HMペクチン)」と称されている。
「低メトキシルペクチンをゲル化させる多価金属イオン」としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、ストロンチウム、バリウム、ニッケル等の金属イオンを例示することができる。
内容物としての「低メトキシルペクチンを含有する水溶液」には、ソフトカプセルによって摂取しようとする目的の成分(以下、「摂取目的成分」と称する)を含有させることができる。ここで、摂取目的成分は、医薬成分、生薬成分、健康食品成分、栄養補助成分を、特に限定することなく使用することができるが、本発明の利点を生かすためには水溶性または親水性の成分が好適である。
上記構成のソフトカプセルの製造方法では、ソフトカプセル皮膜に充填する時点では、内容物は低メトキシルペクチンを含有する水溶液であって液体の状態であるため、ソフトカプセル皮膜内に充填する処理を問題なく行うことができる。一方、ソフトカプセル皮膜には、低メトキシルペクチンをゲル化させる多価金属イオンの塩が含有されており、その塩は水溶性である。そのため、内容物である水溶液との接触により、水溶性のソフトカプセル皮膜の内表面が溶解し、これに含有されている多価金属イオンの塩が溶解して、水溶液である内容物中に多価金属イオンが溶出する。その結果、多価金属イオンが水溶液中に拡散し、水溶液に含有されている低メトキシルペクチンと反応し、これをゲル化させる。また、摂取目的成分など他の成分を内容物として含有する場合、低メトキシルペクチンが固化(ゲル化)する際に他の成分が取り込まれるため、内容物全体を固体状態とすることができる。
これにより、仮にソフトカプセル皮膜が損傷したとしても、内容物が漏出しにくいソフトカプセルを製造することができる。加えて、従来のソフトカプセルでは内容物が液体であるため、環境の温度変化による内容物の膨張・収縮が大きく、ソフトカプセル皮膜が損傷しやすいのに対し、本発明では内容物が固体状態であるため温度変化により内容物が膨張・収縮しにくく、ソフトカプセル皮膜の損傷自体を抑制することができる。
更に、内容物はソフトカプセル皮膜に充填された後に直ぐ固化するため、ソフトカプセル皮膜が水溶性であっても、内容物として水溶液を充填することができる。また、水溶液である内容物はソフトカプセル皮膜に充填された後に直ぐ固化するため、水溶性のソフトカプセル皮膜の崩壊性が影響を受けない。加えて、内容物は固体状態となるため、内容物の崩壊をソフトカプセル皮膜の崩壊より遅らせ、内容物に含有される摂取目的成分の放出を調整することができるという利点を有している。
ところで、本発明ではソフトカプセル皮膜に多価金属イオンの塩を含有させ、内容物の水溶液に低メトキシルペクチンを含有させているが、これを逆にした構成、すなわち、ソフトカプセル皮膜に低メトキシルペクチンを含有させ、内容物の水溶液に多価金属イオンを含有させる、という構成も想到し得る。しかしながら、この場合は、詳細は後述するように、ソフトカプセル皮膜の内表面に低メトキシルペクチンがゲル化した層が形成されるに過ぎず、内容物の全体を固化することはできない。低メトキシルペクチンは高分子であるため、ソフトカプセル皮膜から溶出させて内容物中に拡散させることは困難であるからである。そのため、水溶液である内容物と接触するソフトカプセル皮膜の内表面のみで、低メトキシルペクチンのゲル化が生じる。これに対し、本発明では、ソフトカプセル皮膜側に多価金属イオンの水溶性塩を含有させているため、水溶液である内容物との接触により多価金属イオンが容易に溶出し、水溶液中に速やかに拡散して水溶液に含有される低メトキシルペクチンと反応する。これにより、内容物の全体において低メトキシルペクチンをゲル化させ、内容物の全体を固化することができる。
次に、本発明のソフトカプセルの製造方法により製造されるソフトカプセルは、「低メトキシルペクチン及び低メトキシルペクチンをゲル化させる多価金属イオンを含有する内容物が、固体状態で水溶性のソフトカプセル皮膜に充填されている」ものである。
本構成のソフトカプセルは、上述の製造方法により製造されるものである。内容物は固体状態であるため、仮にソフトカプセル皮膜が損傷したとしても、内容物の漏出が抑制されている。また、内容物は固体状態であるが、これはソフトカプセル皮膜に充填された後に水溶液が固化したものであるため、ソフトカプセル皮膜が水溶性であるにも関わらず、充填時に水溶液であるものを内容物とすることが可能である。加えて、ソフトカプセル皮膜が水溶性であるため、その崩壊性も良好である。
以上のように、本発明の効果として、水溶性のソフトカプセル皮膜に内容物として水溶液を充填することができ、且つ、内容物の漏出が抑制されたソフトカプセルを製造できるソフトカプセルの製造方法を、提供することができる。
以下、本発明の一実施形態であるソフトカプセルの製造方法、及び、該製造方法により製造されるソフトカプセルについて説明する。本実施形態のソフトカプセルの製造方法は、低メトキシルペクチンをゲル化させる多価金属イオンの水溶性塩を含有する水溶性のソフトカプセル皮膜に、低メトキシルペクチンを含有する水溶液を内容物として充填し、ソフトカプセル皮膜から内容物中に溶出した多価金属イオンとの反応により低メトキシルペクチンをゲル化させ、ソフトカプセル皮膜に充填された内容物を固化するものである。
より具体的には、本実施形態のソフトカプセルの製造方法は、低メトキシルペクチンを含有する水溶液である内容物を調製する内容物調製工程と、ソフトカプセル皮膜の原液であって、低メトキシルペクチンをゲル化させる多価金属イオンの水溶性塩を含有するカプセル皮膜液を調製する皮膜液調製工程と、ソフトカプセル皮膜の成形と同時にソフトカプセル皮膜内に内容物を充填する成形・充填工程と、充填された内容物において低メトキシルペクチンをゲル化させるゲル化工程と、ソフトカプセルを乾燥させる乾燥工程とを具備している。
内容物調製工程では、低メトキシルペクチンを水に溶解させ水溶液とする。このとき、加温してもよい。水溶液の溶媒としては、純水のほか、水に有機溶媒を添加した溶媒を使用可能である。そして、内容物として、摂取目的成分自体が水溶液であるものや、摂取目的成分自体が粉末や顆粒など水溶性の固体である場合に、これを溶媒に溶解させて水溶液としたものを使用することができる。内容物の水溶液としては、水溶性ビタミンを含有する水溶液や、水抽出された植物エキスを例示することができる。
皮膜液調製工程では、皮膜基剤を溶媒に溶解し、更に低メトキシルペクチンをゲル化させる多価金属イオンの水溶性塩を添加して、カプセル皮膜液とする。例えば、ゼラチンを皮膜基剤とする場合、加熱しながらゼラチンを水に溶解し、多価金属イオンの水溶性塩と混合して、流延に適する粘度のカプセル皮膜液を調製する。なお、カプセル皮膜液には、その他の成分として、可塑剤、着色剤、光隠ぺい剤、防腐剤等の添加物を添加することができる。なお、内容物は後に固体状態となり、温度変化により内容物が膨張・収縮しにくいものとなるため、ソフトカプセル皮膜には柔軟性がさほど求められない。従って、グリセリン等の可塑剤を全く添加することなく、カプセル皮膜液を調製することが可能である。
成形・充填工程は、ロータリーダイ式の成形装置を使用して行うことができる。ここで、一般的なロータリーダイ式成形装置は、カプセル皮膜液をフィルム状に成形するキャスティングドラムと、外表面に成形鋳型が形成された一対のダイロールと、ダイロール間に配されたくさび状のセグメントと、セグメント内に内容物を圧入すると共に、セグメントの先端から内容物を押し出すポンプとを主に具備している。
そして、まず、高温に保持されてゾル状態にあるカプセル皮膜液が、キャスティングドラム表面に流延され、冷却されてゲル化することによりフィルム化される。次に、形成されたフィルムの二枚が、セグメントに沿って一対のダイロール間に送入される。その後、一対のダイロールの相反する方向への回転に伴い、二枚のフィルムがヒートシールされて上方に開放したソフトカプセル皮膜が形成され、この中にセグメントから押し出された内容物が充填される。これと同時に、二枚のフィルムが上部でヒートシールされ、閉じた内部空間に内容物が充填されたソフトカプセルが形成される。
ゲル化工程は、成形・充填工程を経たソフトカプセルに対して何らかの処理を能動的に施す工程ではなく、ソフトカプセルの内部で自然にゲル化が進行する工程である。具体的には、まず、内容物である水溶液との接触により、水溶性のソフトカプセル皮膜の内表面が溶解する。これにより、ソフトカプセル皮膜に含有されている多価金属イオンの水溶性塩が溶解し、内容物中に多価金属イオンが溶出する。溶出した多価金属イオンは水溶液中に拡散し、水溶液に含有されている低メトキシルペクチンと反応してゲル化させる。この際、水溶液に含まれる他の成分も、ゲル化する低メトキシルペクチンに取り込まれるため、内容物全体が固体状態となる。
乾燥工程では、ソフトカプセル皮膜内に充填された内容物及びソフトカプセル皮膜の水分含有率が、所定の水分含有率となるまで、乾燥器内でソフトカプセルを乾燥させる。乾燥後に内容物中に残存する水分は結晶水であるため、ソフトカプセル皮膜に水分が移行することはない。従って、水溶性のソフトカプセル皮膜が、内容物に残存する水分によって軟化・劣化するおそれはない。
上記の製造工程により、低メトキシルペクチン及び低メトキシルペクチンをゲル化させる多価金属イオンを含有する内容物が、固体状態で水溶性のソフトカプセル皮膜に充填されている構成のソフトカプセルが製造される。
上記構成のソフトカプセルは、内容物が固体状態であるため、仮にソフトカプセル皮膜が損傷したとしても内容物が漏出しにくい。加えて、内容物が液体である従来のソフトカプセルは、環境の温度変化による内容物の膨張・収縮が大きくソフトカプセル皮膜が損傷しやすいのに対し、本実施形態では内容物が固体状態であるため、温度変化により内容物が膨張・収縮しにくく、ソフトカプセル皮膜の損傷自体が抑制されている。
更に、内容物はソフトカプセル皮膜に充填された後に直ぐ固化するため、水溶性のソフトカプセル皮膜に、内容物として水溶液を充填することが可能である。また、ソフトカプセル皮膜が水溶性であるため、その崩壊性が良好である。
加えて、従来の製造方法に対して付加すべき工程がなく、新たな設備を何ら要しないため、上記構成のソフトカプセルを簡易に製造することができる。
以下、本実施形態の具体的な実施例を、比較例と対比しながら説明する。まず、ペクチンとして、エステル化度及びアミド化度が相違する複数種類の低メトキシルペクチンを使用し、表1に示す内容物組成aの内容物S1〜S5を調製した。また、比較のために、低メトキシルペクチンの代わりにエステル化度が74の高メトキシルペクチンを使用して、同じく内容物組成aの内容物S6を調製した。これらの内容物S1〜S6について、粘度を測定した結果を、ペクチンのエステル化度(DE)及びアミド化度(DA)と共に、表3に示す。粘度は、B型粘度計を使用し測定温度30℃で、原則としてロータNo.4、回転速度100rpmの条件で測定したが、20000mPa・s以上の粘度は、ロータNo.4、回転速度6rpmの条件で測定したものである。なお、ペクチンの「アミド化度(DA:Degree of Amidation)」は、全ガラクチュロン酸のうちアミド基を有するガラクチュロン酸の割合である。
ここで、内容物S1〜S6は、ペクチン及び水に加えて、ソルビトールを含有している。これは、内容物の水分含有率が高過ぎると、内容物のゲル化が進行する前の成形・充填工程において、内容物に含有されている水分によって水溶性のソフトカプセル皮膜が過度に溶解してしまうおそれがあるからである。これを防止するため、親水性の固形分であるソルビトールによって内容物の水分含有率を調整している。本実施例では、ソルビトールとして、結晶化が生じにくい固形分70重量%、水分30重量%のソルビトール液を使用している。表1では、ソルビトール液中の水分は「水」に含め、「ソルビトール」としては固形分のみの重量%を示している。これは、ソルビトールを含む他の表でも同様である。
低メトキシルペクチンを含有する内容物S1〜S5それぞれを、ゼラチンを基剤とし、多価金属イオンの水溶性塩として乳酸カルシウムを含有する組成Aのカプセル皮膜液から形成されたソフトカプセル皮膜に充填し、実施例のソフトカプセルを製造した。乳酸カルシウムとしては、乳酸カルシウム五水和物(Ca約13%)を使用した。また、比較のために、同じ内容物S1〜S5を、乳酸カルシウムを含有しない組成R(組成Aから乳酸カルシウムを除いた組成)のカプセル皮膜液から形成されたソフトカプセル皮膜に充填し、比較例のソフトカプセルを製造した。更に、高メトキシルペクチンを含有する内容物S6についても、組成A及び組成Rのカプセル皮膜液からそれぞれ形成されたソフトカプセル皮膜に充填し、比較例のソフトカプセルを製造した。カプセル皮膜液の組成A及び組成Rを、表2に示す。ここで、カプセル皮膜液は、基剤であるゼラチン、乳酸カルシウム、水に加えて、可塑剤としてグリセリンを含有している。
実施例及び比較例のソフトカプセルについて、「カプセル化」と内容物の「ゲル化」を次のように評価した。「カプセル化」は、カプセル皮膜液の流涎により均一な厚さのフィルムが得られ、良好にヒートシールされることにより未接着部分のないソフトカプセル皮膜が成形され、内容物が適度な粘度でソフトカプセル皮膜に充填できると共に、ソフトカプセル皮膜が内容物の水分によって溶解するなど損傷しなかった場合を「〇」で評価し、それ以外の場合を「×」で評価した。また、「ゲル化」は、成形・充填工程の24時間後に、内容物の全体が均一に固化していた場合を「〇」で、内容物が固化しなかった場合や、部分的に固化するなどゲル化が不均一であった場合を「×」で評価した。評価結果を、表3にあわせて示す。
Figure 0006328009
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表3に示すように、低メトキシルペクチンを含有する内容物S1〜S5を、乳酸カルシウムを含有するソフトカプセル皮膜(皮膜液の組成A)に充填した実施例のソフトカプセルは、「カプセル化」、「ゲル化」ともに良好であった。内容物S1〜S5の低メトキシルペクチンは、エステル化度及びアミド化度において相違するが、これらの相違は「カプセル化」及び「ゲル化」に影響していないと考えられた。一方、内容物S1〜S5を、乳酸カルシウムを含有しないカプセル皮膜(皮膜液の組成R)に充填した比較例のソフトカプセルでは、内容物はゲル化しないことが確認された。これにより、内容物のゲル化は、乳酸カルシウムを含有するソフトカプセル皮膜から内容物中に溶出し拡散したカルシウムイオンが、低メトキシルペクチンと反応し、低メトキシルペクチンをゲル化させたことによると考えられた。また、低メトキシルペクチンの代わりに高メトキシルペクチンを含有する内容物S6は、低メトキシルペクチンと同じ含有率であっても粘度が極めて高く流動性が悪いため、ソフトカプセル皮膜に充填してカプセル化することができなかった。
次に、低メトキシルペクチン以外の多糖類を内容物に含有させた場合に、同様に内容物を固化することができるか否かについて、検討した結果を示す。多糖類として、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カリウムを使用した内容物S11〜S18について、上記と同様に測定した粘度、及び、組成Aのカプセル皮膜液から形成されたカプセル皮膜に充填した場合の「カプセル化」、「ゲル化」を、上記と同様に評価した結果を表4に示す。ここで、内容物S12〜S14及びS16〜S18は、それぞれ多糖類をアルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カリウムとし、上記の低メトキシルペクチンと同じ含有率の組成a’とした内容物S11及びS15では「ゲル化」が観察されなかったため、多糖類の含有率がより高い組成b〜組成dとしたものである。組成a’,b〜dを表5に示すと共に、各内容物の組成記号と多糖類の含有率とを、表4にあわせて示す。
Figure 0006328009
Figure 0006328009
表4に示すように、内容物11〜S18は、何れも上記の内容物S1〜S5と同程度の流涎に適した粘度を有し、良好に「カプセル化」することができたが、成形・充填工程の24時間後に内容物がゲル化することはなかった。このことから、アルギン酸塩はカルシウムイオンと反応してゲル化する性質を有するとしても、水溶液である内容物の全体を均一にゲル化させるために内容物に含有させる多糖類としては、低メトキシルペクチンが適していると考えられた。
次に、ソフトカプセル皮膜に含有させる多価金属イオンの水溶性塩の種類、及び、その割合について検討した結果を示す。まず、上記と同様に多価金属イオンの水溶性塩として乳酸カルシウムを使用し、その割合を異ならせた組成A1〜A10のカプセル皮膜液から形成したソフトカプセル皮膜に、上記の内容物S1を充填した。カプセル皮膜液は温度80℃に加温して調製し、その際の乳酸カルシウムの溶解性を「カルシウム塩の溶解性」として、完全に溶解する場合を「〇」で、未溶解の乳酸カルシウムが残存する場合を「×」で評価した。また、「カプセル化」及び「ゲル化」について、上記と同様に評価した。加えて、成形・充填工程の24時間後に内容物がゲル化していた場合に、内容物が透明な外観を呈していた場合を「〇」で、カルシウム塩の析出によると考えられる結晶化が観察された場合を「●」で評価した。各評価結果を、カプセル皮膜液の組成と共に表6に示す。また表6には、各組成について、ゼラチン100重量部に対するカルシウム原子の割合をあわせて示している。
Figure 0006328009
表6に示すように、何れの組成も、カプセル皮膜液に乳酸カルシウムは完全に溶解し、カプセル皮膜液からの「カプセル化」も良好であった。内容物の「ゲル化」については、ゼラチン100重量部に対する乳酸カルシウムの割合が10重量部以上、すなわちゼラチン100重量部に対してカルシウム原子1.3重量部以上の組成A4〜A10のカプセル皮膜液から形成したソフトカプセル皮膜に、内容物を充填したソフトカプセルで良好であった。このことから、内容物の全体をゲル化させるためには、ソフトカプセル皮膜にある程度以上のカルシウムが含有されており、ある程度以上のカルシウムイオンが内容物中に溶出する必要があると考えられた。
なお、ゼラチン100重量部に対する乳酸カルシウムの割合が12重量部以上の組成A6〜A10のカプセル皮膜液から形成したソフトカプセル皮膜に内容物を充填したソフトカプセルでは、ソフトカプセル皮膜中においてカルシウム塩と考えられる結晶の析出が観察された。カルシウム塩が析出したとしても、ソフトカプセルの品質に影響はないが、ソフトカプセルの透明な外観を重視する場合は、乳酸カルシウムの割合を結晶が析出しない範囲、すなわち、ゼラチン100重量部に対して乳酸カルシウム10重量部〜11重量部とすることが望ましい。
次に、多価金属イオンの水溶性塩の種類を、乳酸カルシウムより水に対する溶解度の高い酢酸カルシウムとした場合の検討結果を示す。酢酸カルシウムとしては、酢酸カルシウム一水和物(Ca約24%)を使用した。酢酸カルシウムの割合を異ならせた組成B1〜B10のカプセル皮膜液について、上記と同様に「カルシウム塩の溶解性」を評価すると共に、各カプセル皮膜液から形成したソフトカプセル皮膜に内容物S1を充填したソフトカプセルについて、「カプセル化」、内容物の「ゲル化」、及び、固化した内容物における「結晶化」を評価した。その評価結果を、ゼラチン100重量部に対するカルシウム原子の割合とあわせて表7に示す。
Figure 0006328009
表7に示すように、何れの組成も、カプセル皮膜液に酢酸カルシウムは完全に溶解し、カプセル皮膜液からの「カプセル化」も良好であった。「ゲル化」については、ゼラチン100重量部に対する乳酸カルシウムの割合が5.5重量部以上、すなわちゼラチン100重量部に対してカルシウム原子1.3重量部以上の組成B3〜B10のカプセル皮膜液から形成したソフトカプセル皮膜に内容物を充填したソフトカプセルで良好であった。表6に示した結果と考え合わせると、ソフトカプセル皮膜がゼラチン100重量部に対して1.3重量部以上のカルシウム原子を、カルシウムイオンとして溶出可能な状態で含有している場合に、低メトキシルペクチンを含有する内容物の全体を固化させることができると考えられた。
また、「結晶化」は、ゼラチン100重量部に対する酢酸カルシウムの割合が20重量部以上の組成B7〜B10のカプセル皮膜液から形成したソフトカプセル皮膜で観察された。従って、ソフトカプセルの透明な外観を重視する場合は、酢酸カルシウムの割合を結晶が析出しない範囲、すなわち、ゼラチン100重量部に対して酢酸カルシウム5.5重量部〜18重量部とすることが望ましい。水溶性塩として乳酸カルシウムを使用した場合は、ゼラチン100重量部に対して12重量部以上の乳酸カルシウムを含有させたソフトカプセル皮膜で、結晶化が観察されたことと比べると、水溶性塩として酢酸カルシウムを使用することにより、ゼラチンに対する割合がかなり高い範囲まで結晶化が生じていないことが分かる。これは、酢酸カルシウムの水に対する溶解度が、乳酸カルシウムよりかなり高いためと考えられた。
次に、多価金属イオンの水溶性塩の種類を、乳酸カルシウムより水に対する溶解度の低いグルコン酸カルシウム(Ca約9%)とした場合の検討結果を示す。グルコン酸カルシウムの割合を異ならせた組成C1〜C5のカプセル皮膜液について、上記と同様に「カルシウム塩の溶解性」を評価すると共に、各カプセル皮膜液から形成したソフトカプセル皮膜に内容物S1を充填したソフトカプセルについて、「カプセル化」及び内容物の「ゲル化」を評価した結果を、表8に示す。
Figure 0006328009
表8に示すように、水溶性塩がグルコン酸カルシウムの場合、ゼラチン100重量部に対するグルコン酸カルシウムの割合が10重量部以上の組成C4,C5では、カプセル皮膜液にカルシウム塩が溶解しなかった。すなわち、グルコン酸カルシウムの場合は、水に対する溶解度が低く、ゼラチン100重量部に対してカルシウム原子0.9重量部の割合では溶解させることができないことが分かる。そして、何れの組成についても、カプセル皮膜液からの「カプセル化」は可能であったが、内容物の「ゲル化」は生じなかった。上述のように、内容物の全体をゲル化させるためには、ゼラチン100重量部に対して1.3重量部以上のカルシウム原子を、カルシウムイオンとして溶出可能な状態でソフトカプセル皮膜が含有している必要があると考えられる。これに対し、グルコン酸カルシウムの場合は、それだけの濃度のカルシウムを、カルシウムイオンとして溶出可能な状態でソフトカプセル皮膜に含有させることができないため、内容物のゲル化が生じなかったものと考えられた。
なお、多価金属イオンの塩として、水に殆ど不溶であるクエン酸カルシウムを使用した場合についても、検討を加えた。クエン酸カルシウムの割合を異ならせた組成D1〜D5のカプセル皮膜液について、上記と同様に「カルシウム塩の溶解性」を評価すると共に、各カプセル皮膜液から形成したソフトカプセル皮膜に内容物S1を充填したソフトカプセルについて、「カプセル化」及び内容物の「ゲル化」を評価した結果を、表9に示す。表9に示すように、何れの組成もカプセル皮膜液にクエン酸カルシウムは溶解せず、「カプセル化」は可能であるものの、内容物に「ゲル化」は生じなかった。このことから、ソフトカプセル皮膜に含有させる多価金属イオンの塩は、水溶性塩であることが必要であることが確認された。
Figure 0006328009
次に、ソフトカプセル皮膜におけるグリセリンの含有率を変化させた場合について、検討した結果を示す。表10に示すように、ゼラチンを基剤とすると共に多価金属イオンの水溶性塩として乳酸カルシウムを使用し、グリセリンの含有率を異ならせた組成E1〜E7のカプセル皮膜液から形成したソフトカプセル皮膜に、内容物S1を充填したソフトカプセルについて、上記と同様に「カプセル化」及び内容物の「ゲル化」を評価した。また、ソフトカプセル皮膜は水溶性であるため、口腔内の水分で軟化し崩壊する。そのため、内容物がゲル化している場合、ソフトカプセルを口腔内で咀嚼することにより、グミのような感触が得られることが期待される。そこで、口腔内でソフトカプセルを咀嚼した場合について、適度な硬さで噛み心地が良いものを「○」で、咀嚼するには硬い場合、または柔らかい場合を「△」で、咀嚼には適さない場合を「×」で評価した。各評価の結果を、表10にあわせて示す。
Figure 0006328009
表10に示すように、何れの組成のカプセル皮膜液からも「カプセル化」は可能であり、内容物の「ゲル化」も良好であったが、グリセリンの含有率の高い組成E1,E2は、成形されたソフトカプセル皮膜にべたつきがあり、ハンドリング性に劣るものであった。「咀嚼」については、組成E3,E4のカプセル皮膜液からソフトカプセル皮膜を形成した場合に、すなわちゼラチン100重量部に対するグリセリンの割合が75重量部〜100重量部の場合に、良好であった。それよりグリセリンの割合が高い組成E1,E2では、柔らかくて噛みごたえが少なく、べたつきが感じられた。一方、グリセリンの割合が低い組成E5,E6及びグリセリンを含有しない組成E7は、硬い感触であった。このように、本実施形態のソフトカプセルは内容物が固体状態であるため、水溶性のソフトカプセル皮膜におけるグリセリンの含有率を調整することにより、グミのように咀嚼してその感触を楽しむことができる斬新なソフトカプセルを、提供することができる。
なお、グリセリンを含有しない組成E7であっても、「カプセル化」及び「ゲル化」に何ら問題はなかった。本実施形態のソフトカプセルは内容物が固体状態であるため、仮にソフトカプセル皮膜が損傷しても内容物は漏出しない。従って、グリセリンを全く含有しない組成を、カプセル皮膜液の組成として採用することが可能である。
次に、内容物に含有させる低メトキシルペクチンの割合を検討した結果を示す。内容物における低メトキシルペクチンの割合を1重量%から15重量%まで変化させた表11に示す組成S31〜S40の内容物を、組成E4のカプセル皮膜液から形成したソフトカプセル皮膜に充填した。低メトキシルペクチンとしては、内容物S1に使用した低メトキシルペクチン(DE=12、DA=0)を使用した。上記と同様に測定した粘度と、上記と同様に「カプセル化」及び「ゲル化」を評価した結果を、表11にあわせて示す。
Figure 0006328009
表11に示すように、低メトキシルペクチンの含有率が低い内容物S31,S32は、「ゲル化」が生じなかった。これは、カルシウムイオンとの反応によりゲル化する低メトキシルペクチンの濃度が小さく、内容物の全体を固化させるには不十分であったと考えられた。一方、低メトキシルペクチンの含有率の増加に伴い、カプセル皮膜液の粘度は増大する。そして、低メトキシルペクチンが10重量%以上の内容物S39,S40は、粘度が高過ぎてソフトカプセル皮膜に充填することができなかった。
ここで、組成E4のカプセル皮膜液から形成したソフトカプセル皮膜は、ゼラチン100重量部に対するカルシウム原子の割合が1.3重量部である。これは、表6及び表7に示した結果から、低メトキシルペクチンを含有する内容物の全体をゲル化させるために、ソフトカプセル皮膜に含有させることが必要と考えられたカルシウム原子の割合と同一であるが、表6及び表7に示した結果は、内容物における低メトキシルペクチンの濃度が2.5重量%の場合の結果であった。そこで、内容物における低メトキシルペクチンの濃度が、低メトキシルペクチンを含有する内容物の全体をゲル化させるために、ソフトカプセル皮膜に含有させることが必要なカルシウム原子の割合に影響を及ぼすか否かについて、以下検討した。
低メトキシルペクチンの濃度が高い内容物S38(低メトキシルペクチンの濃度5.0重量%)を、乳酸カルシウム濃度の異なるカプセル皮膜液A21〜A24から形成されたソフトカプセル皮膜に充填し、上記と同様に「カプセル化」及び「ゲル化」を評価した。その結果を、表12に示す。一方、低メトキシルペクチンの濃度が低い内容物S31(低メトキシルペクチンの濃度1.0重量%)を、乳酸カルシウム濃度の異なるカプセル皮膜液A31〜A34から形成されたソフトカプセル皮膜に充填し、上記と同様に「カプセル化」及び「ゲル化」を評価した。その結果を、表13に示す。
Figure 0006328009
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表12に示すように、内容物における低メトキシルペクチンの濃度が5.0重量%と高い場合であっても、内容物における低メトキシルペクチンの濃度が2.5重量%の場合と同様に、内容物の全体をゲル化させるためにソフトカプセル皮膜に含有させることが必要なカルシウムは、ゼラチン100重量部に対して乳酸カルシウムとして10重量部以上、カルシウム原子として1.3重量部以上必要であった。つまり、内容物における低メトキシルペクチンの濃度を増加させても、その反応の相手であるカルシウムのソフトカプセル皮膜における割合を増加させることを要さず、内容物全体をゲル化させることが可能であった。一方、表13に示すように、内容物における低メトキシルペクチンの濃度が1.0重量%と低い場合は、ソフトカプセル皮膜におけるカルシウムの含有率を高めても、内容物の全体がゲル化することはなかった。
これらのことから、内容物の全体をゲル化させるためには、ソフトカプセル皮膜にある程度以上のカルシウムが含有されていることに加えて、内容物にある程度以上の低メトキシルペクチンが含有されていることが必要であり、その低メトキシルペクチンの濃度は少なくとも2.0重量%以上であることが確認された。また、内容物に含有される低メトキシルペクチンの濃度が5.0重量%を超えると、上述のように内容物の粘度が高くなりソフトカプセル皮膜への充填が難しくなる。そのため、内容物における低メトキシルペクチンの望ましい濃度範囲は、2.0重量%〜5.0重量%である。そして、内容物における低メトキシルペクチンの濃度が2.0重量%〜5.0重量%の範囲では、内容物の全体をゲル化させるためにソフトカプセル皮膜に含有させることが必要なカルシウム原子の割合は、ゼラチン100重量部に対して1.3重量部以上であった。
上記では、内容物側に低メトキシルペクチンを含有させ、ソフトカプセル皮膜側に多価金属イオンの水溶性塩を含有させる構成の本実施形態について説明した。これとは逆の構成、すなわち、内容物に多価金属イオンの水溶性塩を含有させ、ソフトカプセル皮膜側に低メトキシルペクチンを含有させた場合は、本発明の目的とする作用効果が得られないことを、以下説明する。
上述したように、多価金属イオンの水溶性塩として適していた乳酸カルシウムまたは酢酸カルシウムを、異なる割合で含有する表14に示す組成S51〜S56(乳酸カルシウム)、及び組成S61〜S63(酢酸カルシウム)の内容物を、低メトキシルペクチンを含有する表15に示す組成R2のカプセル皮膜液から形成したソフトカプセル皮膜液に充填した。この組成R2は、流延可能な粘度の範囲で、最大限に近い含有率でカプセル皮膜液に低メトキシルペクチンを含有させた組成である。上記と同様に測定した内容物S51〜S56及びS61〜S63の粘度と、上記と同様に行った「カプセル化」及び内容物の「ゲル化」の評価結果を、表14にあわせて示す。
Figure 0006328009
Figure 0006328009
ソフトカプセル皮膜における低メトキシルペクチンの濃度を高濃度とした上で、表14に示すように、ソフトカプセル皮膜に充填可能な粘度範囲で、内容物におけるカルシウムイオンの濃度を種々に異ならせてみたものの、何れの組成の内容物も全体的にゲル化することはなかった。上述の実施例から明らかなように、低メトキシルペクチンはカルシウムイオンと反応してゲル化する性質を有するのであるが、低メトキシルペクチンは高分子であるためソフトカプセル皮膜から溶出しにくく、内容物中に拡散しにくいと考えられる。そのため、内容物と接触するソフトカプセル皮膜の内表面において、低メトキシルペクチンがゲル化した層が形成されるとしても、内容物の全体を固化することはできないと考えられた。つまり、低メトキシルペクチンと多価金属イオンの反応によって内容物の全体を固化するためには、ソフトカプセル皮膜側に多価金属イオンの水溶性塩を含有させ、内容物の水溶液に低メトキシルペクチンを含有させる本実施形態の構成が、必要であることが確認された。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
上記では、内容物の水分含有率を調整するためにソルビトールを使用する実施例を例示したが、他の親水性の固形成分を使用可能である。例えば、表16に示すように、内容物S1(内容物S34)におけるソルビトールに代替して還元水飴を使用した内容物S71は、内容物S1と同程度の粘度を有し、「カプセル化」及び内容物の「ゲル化」も良好であった。ここで、還元水飴としては固形分70重量%、水分30重量%の還元水飴液を使用しており、表16では還元水飴液中の水分は「水」に含め、「還元水飴」としては固形分のみの重量%を示している。なお、ソルビトール及び還元水飴の双方を、内容物に含有させることも可能である。
Figure 0006328009

Claims (2)

  1. 低メトキシルペクチンをゲル化させる多価金属イオンの水溶性塩、及びゼラチンを含有する水溶性のソフトカプセル皮膜に、低メトキシルペクチンを含有する水溶液を内容物として充填し、
    前記ソフトカプセル皮膜から前記内容物中に溶出した多価金属イオンとの反応により低メトキシルペクチンをゲル化させ、前記ソフトカプセル皮膜に充填された前記内容物を固化する製造方法において、
    前記内容物における低メトキシルペクチンの濃度を2.0重量%〜5.0重量%とすると共に、
    多価金属イオンの前記水溶性塩を乳酸カルシウムまたは酢酸カルシウムとし、前記ソフトカプセル皮膜に含有させるカルシウム原子の割合をゼラチン100重量部に対して少なくとも1.3重量部とする
    ことを特徴とするソフトカプセルの製造方法。
  2. メトキシルペクチンをゲル化させる多価金属イオンの水溶性塩、及びゼラチンを含有する水溶性のソフトカプセル皮膜に、低メトキシルペクチンを含有する水溶液を内容物として充填し、
    前記ソフトカプセル皮膜から前記内容物中に溶出した多価金属イオンとの反応により低メトキシルペクチンをゲル化させ、前記ソフトカプセル皮膜に充填された前記内容物を固化する製造方法において、
    多価金属イオンの前記水溶性塩が乳酸カルシウムのときは、ゼラチン100重量部に対して10重量部〜11重量部の割合で前記ソフトカプセル皮膜に含有させ、多価金属イオンの前記水溶性塩が酢酸カルシウムのときは、ゼラチン100重量部に対して5.5重量部〜18重量部の割合で前記ソフトカプセル皮膜に含有させる
    ことを特徴とするソフトカプセルの製造方法
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