JP6325986B2 - 免疫学的に有用なアルギニン塩 - Google Patents

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Description

関連出願
本願は、2012年3月7日出願の米国仮特許出願第61/608,011号の利益を請求するものであり、この出願文書は、あらゆる目的でその内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明は、免疫賦活薬化合物の塩形態およびインビボで使用するためのそれらの製剤の分野にある。特に、本発明はアルギニン塩に関する。
配列表
本願は、EFS−Webを介して提出された配列表を含有し、それによってその全体を参照によって組み込むものとする。2013年3月4日に作成されたASCIIコピーは、54848_SeqListing.TXTと指定され、大きさは24,989バイトである。
特定のクラスの病原体の早期に検出は、パターン認識受容体(PRR)を活用することにより、先天性免疫系によって達成される。検出された病原体には、ウイルス、細菌、原生動物および真菌が含まれ、これらはそれぞれ、病原体関連分子パターン(PAMP)と呼ばれる、一組のクラス特異的な変異耐性分子を構成的に発現する。
Toll様受容体(TLR)は、PRRの重要なファミリーであり、樹状細胞(DC)、マクロファージ、マスト細胞、好中球、内皮細胞および線維芽細胞を含む先天性免疫細胞に、広く発現される。TLRは、細菌、ウイルスおよび寄生虫が共有する保存された分子パターンに対して、広範な特異性を有する。
いくつかの異なるTLRが、既に特徴付けられている。これらのTLRは、様々な生物または構造に位置する様々なリガンドに結合し、それによって活性化される。当該分野では、特異的TLRにおける応答を誘発することができる免疫賦活薬化合物の開発が関心の対象となっている。
例えば、参考文献1は、TLR7作動薬化合物である小分子免疫賦活薬(SMIP)の広範なクラスを開示している。これらの化合物を含む免疫原性組成物および医薬組成物も、この参考文献に開示されている。
本発明の一目的は、改善された特性を有し、例えば可溶性および光安定性が改善されており、遊離塩基と比較して塩のゲル化性質を低下する、以下に示す式(I)を有する特異的TLR7化合物の塩形態を提供することである。
国際公開第2011/027222号
本発明は、以下に示す式(I)の免疫賦活薬化合物の塩に関し、この化合物は、ヒトTLR7の作動薬、3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸である。
Figure 0006325986
特に本発明は、式(I)の化合物のアルギニン塩に関する。先の化合物の異なる塩形態の研究では、驚くべきことに、アルギニン塩は、可溶性、収率、光安定性、対イオンの安定性、および生理的pHにおける熱安定性などの広範な試験基準にわたって最も有利であることが見出された。特に、本発明のアルギニン塩は、式(I)の遊離塩基化合物と比較して、溶液中の改善された光安定性を示す。
式(I)の化合物およびアルギニンは、共に多塩基性の性質なので、本発明の塩は、式(I)の化合物とアルギニン対イオンのモル数に関して、様々な化学量論で存在し得る。例えば、式(I)の化合物:アルギニンの化学量論は、1:1、1:2または1:3であり得る。好ましくは、化学量論は1:1である。
本発明の塩は、溶媒和されていてもよく、または溶媒和されていなくてもよい。例えば、塩は、含水形態または無水形態として存在してもよい。塩は、一水和物または二水和物として存在してもよい(すなわち1モルまたは2モルの水を含有する)。好ましくは、塩は一水和物である。
本発明のアルギニン塩は、非晶質または結晶固体として存在してもよい。あるいは、塩は、非晶質と結晶固体の両方を含有する、部分的に結晶の固体として存在する。本発明の一態様では、塩は、短距離秩序部分を含有し、実質的に非晶質である。一実施形態では、塩の結晶形は、2θ;10、14および18.5で表される、少なくとも以下の粉末X線回折ピークを呈する。塩形態は、図1に示したものと実質的に同じ粉末X線回折パターンを有し得る。本発明の固体状態のアルギニン塩の13Cおよび15N NMRスペクトルを、それぞれ図1aおよび1bに示す。
本発明はまた、治療に使用するための式(I)の化合物のアルギニン塩を提供する。本発明はさらに、治療に使用するための医薬品の製造における、式(I)の化合物のアルギニン塩の使用を提供する。各場合、治療は、被験体の免疫応答を引き起こす方法であり得る。
被験体に、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩を投与するステップを含む、被験体の免疫応答を引き起こす方法も提供する。
免疫賦活薬(特にTLR作動薬)のPK/PDは、これらの賦活薬を、不溶性金属塩、例えばアルミニウム塩に吸着させることによって改善することができる(参考文献2参照)。化合物の安定な吸着は、理想的には、吸着を媒介できるホスホネート基などの吸着性部分を介するリガンド交換によって行われる。吸着性部分を有するSMIPは、吸着した形態で送達される場合には、インビボでそれらの免疫学的活性を保持することができ、したがって活性を犠牲にすることなく、PK/PD特性が改善される。化合物の吸着とは、筋肉内注射部位に化合物がより長い滞留時間を有し、それによって全身曝露レベルが制御されることを意味する。全身曝露レベルが高いと、血中で高レベルの炎症性サイトカインの産生を誘発するおそれがあり、したがって注射部位における滞留時間が長いほど、血中の炎症性サイトカインの産生を最小限に抑えることができ、こうして化合物の安全性および/または忍容性が改善される。
不溶性金属塩に吸着させることによって免疫賦活薬のPK/PD特性を改善するというこの概念は、本発明に適用できる。したがって、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩および不溶性金属塩を含む組成物を提供する。好ましくは、アルギニン塩中の本明細書に記載の式(I)の化合物は、不溶性金属塩上に吸着する。一実施形態では、組成物は緩衝液を含む。
本発明はまた、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、不溶性金属塩および免疫原を含む組成物を提供する。好ましくは、組成物のアルギニン塩中の本明細書に記載の式(I)の化合物は、不溶性金属塩上に吸着する。
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物を、メタノールなどの溶媒中でアルギニンと接触させるステップを含む、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩を調製する方法を提供する。該方法は、例えばエタノールを溶媒に(例えばメタノールに)添加することによって、アルギニン塩を結晶化するステップをさらに含むことができる。別の態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩を、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの溶媒と接触させるステップを含む、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩の結晶形を調製する方法を提供する。アルギニンは、L−もしくはD−アルギニン、またはラセミ混合物であってよい。好ましくは、L−アルギニンが使用される。
さらなる一態様では、本発明は、アルギニン塩中の本明細書に記載の式(I)の化合物が不溶性金属塩に吸着して複合体を形成するように、式(I)の化合物のアルギニン塩を不溶性金属塩と混合するステップを含む、アジュバント複合体を調製する方法を提供する。本発明はまた、この方法によって得られた、または得ることができるアジュバント複合体を提供する。複合体を免疫原と混合すると、免疫原性組成物を提供することができる。
別の態様では、本発明は、アルギニン塩中の本明細書に記載の式(I)の化合物が不溶性金属塩に吸着して複合体を形成するように、(i)式(I)の化合物のアルギニン塩を不溶性金属塩と混合するステップと、(ii)複合体を滅菌するステップとを含む、無菌アジュバント複合体を調製する方法を提供する。本発明はまた、この方法によって得られた、または得ることができる無菌アジュバント複合体を提供する。無菌複合体を免疫原と混合すると、免疫原性組成物を提供することができる。滅菌法は、好都合には高圧蒸気殺菌法(または類似の手順[3])によって達成することができる。
本発明はまた、(i)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩の溶液または懸濁液を滅菌するステップと、(ii)滅菌した溶液または懸濁液を、無菌不溶性金属塩と組み合わせるステップとを含む、無菌アジュバント複合体を調製する方法を提供する。本発明はまた、(i)不溶性金属塩を滅菌するステップと、(ii)滅菌した不溶性金属塩を、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩の無菌溶液または懸濁液と組み合わせるステップとを含む、無菌アジュバント複合体を調製する方法を提供する。本発明はまた、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩の無菌溶液または懸濁液を、無菌不溶性金属塩と組み合わせるステップを含む、無菌アジュバント複合体を調製する方法を提供する。アルギニン塩溶液/懸濁液の滅菌法は、好都合には無菌濾過によって達成することができ、この材料は、濃縮形態で調製することができる。不溶性金属塩の滅菌法は、好都合には高圧蒸気殺菌法によって達成することができる。無菌不溶性金属塩は、典型的に水性懸濁液である。本発明はまた、前述の方法のいずれか1つによって得られた、または得ることができる無菌アジュバント複合体を提供する。
別の態様によれば、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、不溶性金属塩、および免疫原を混合し、それによって免疫原性組成物を提供するステップを含む、免疫原性組成物を調製する方法を提供する。本発明はまた、この方法によって得られた、または得ることができる免疫原性組成物を提供する。
アルギニン
アルギニンは、以下に示す式を有するα−アミノ酸である。
Figure 0006325986
アルギニンは、キラル中心(アスタリスクで印を付した炭素原子)を有し、いわゆるLまたはD形態で存在することができる。アルギニンのL形態は、そのキラル中心にSの絶対立体化学を有し、他方でD形態は、そのキラル中心にRの絶対立体化学を有する。
L−アルギニンおよびD−アルギニンは共に、グアニジウム基の塩基特性に起因して、酸性化合物と塩を形成することができる。いくつかの実施形態では、本発明のアルギニン塩は、本明細書に開示の式(I)の化合物とL−アルギニンとの間に形成される。いくつかの実施形態では、本発明のアルギニン塩は、本明細書に記載の式(I)の化合物とD−アルギニンとの間に形成される。好ましくは、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩は、L−アルギニン塩である。
不溶性金属塩
アルギニン塩形態中の本明細書に開示の免疫賦活薬化合物(すなわち式(I)の化合物)は、不溶性金属塩に吸着し、それによって吸着複合体を形成することができる。例えば、アルギニン塩形態の中の本明細書に開示の免疫賦活薬化合物は、不溶性カルシウム塩(例えば、リン酸カルシウム)、または好ましくは不溶性アルミニウム塩に吸着することができる。このようなアルミニウム塩は、長い間、例えばアジュバントとしてワクチンに使用されてきた。水酸化物イオンを含むアルミニウム塩は、本発明で使用するのに好ましい不溶性金属塩である。
したがって、本発明は、本明細書に開示のアルギニン塩中の式(I)の化合物がこのような不溶性金属塩に吸着する、様々な実施形態を提供する。
有用なアルミニウム塩として、水酸化アルミニウム、オキシ水酸化物アルミニウム、およびヒドロキシリン酸アルミニウム(ヒドロキシリン酸硫酸アルミニウムを含む)が挙げられるが、それらに限定されない。このような塩は、例えば参考文献4の第8章および第9章に記載されている。
好ましい不溶性金属塩は、オキシ水酸化物アルミニウムおよび/またはヒドロキシリン酸アルミニウムである。これらは、免疫賦活薬化合物のホスホネート基とのリガンド交換を容易に受けて、安定に吸着することができるヒドロキシル部分を表面に有する。
一般に「水酸化アルミニウム」として公知のアジュバントは、典型的にオキシ水酸化アルミニウム塩であり、これらは通常、少なくとも部分的に結晶性である。式AlO(OH)によって表すことができるオキシ水酸化アルミニウムは、赤外(IR)分光法によって、特に1070cm−1に吸着帯が存在し、3090〜3100cm−1に強いショルダー(shoulder)が存在することによって、水酸化アルミニウムAl(OH)などの他のアルミニウム化合物と区別することができる(参考文献4の第9章)。水酸化アルミニウムアジュバントの結晶化度は、回折帯の半値幅(WHH)に反映され、結晶化度の低い粒子は、結晶子のサイズがより小さいことに起因して、より大きい線幅拡大を示す。表面積は、WHHが増大するにつれて増大し、アジュバントは、そのWHH値が大きいほど抗原吸着能が高いことがわかっている。繊維状の形態(例えば、透過電子顕微鏡写真でわかるような)は、水酸化アルミニウムアジュバントに典型的である。水酸化アルミニウムアジュバントのpIは、典型的に約11であり、すなわちアジュバント自体は、生理的pHで正の表面電荷を有する。水酸化アルミニウムアジュバントについては、pH7.4においてAl3+1mg当たりタンパク質1.8〜2.6mgの吸着能が報告されている。
一般に「リン酸アルミニウム」として公知のアジュバントは、典型的にヒドロキシリン酸アルミニウムであり、少量の硫酸塩を含有することも多い(すなわちヒドロキシリン酸硫酸アルミニウム)。これらのアジュバントは、沈殿によって得ることができ、沈殿中の反応条件および濃度は、塩中のヒドロキシルに対するリン酸塩の置換度に影響を及ぼす。ヒドロキシリン酸塩は、一般にPO 3−/Al3+のモル比が0.3〜1.2である。ヒドロキシリン酸塩は、ヒドロキシル基が存在することによって、厳密なAlPOとは区別され得る。例えば、3164cm−1におけるIRスペクトル帯(例えば、200℃に加熱した場合)は、構造的なヒドロキシルの存在を示している(参考文献4の第9章)。
リン酸アルミニウムアジュバントのPO 3−/Al3+モル比は、一般に0.3〜1.2、好ましくは0.8〜1.2、より好ましくは0.95±0.1である。リン酸アルミニウムは、特にヒドロキシリン酸塩については一般に非晶質である。典型的なアジュバントは、PO 3−/Al3+のモル比が0.84〜0.92であり、1ml当たりAl3+0.6mgを含む非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムである。リン酸アルミニウムは、一般に粒子である(例えば、透過電子顕微鏡写真で見るとプレート様の形態である)。粒子の典型的な直径は、任意の抗原が吸着した後、0.5〜20μm(例えば、約5〜10μm)の範囲である。リン酸アルミニウムアジュバントについては、pH7.4においてAl3+1mg当たりタンパク質0.7〜1.5mgの吸着能が報告されている。
リン酸アルミニウムのゼロ電荷点(PZC)は、ヒドロキシルに対するリン酸塩の置換度に反比例し、この置換度は、沈殿によって塩を調製するのに使用される反応条件および反応物の濃度に応じて変わり得る。またPZCは、溶液中の遊離リン酸イオンの濃度を変化させることによって(リン酸塩が多い=酸性PZCが高い)、またはヒスチジン緩衝液などの緩衝液を添加することによって(PZCをより塩基性にする)変わる。本発明に従って使用されるリン酸アルミニウムは、一般に4.0〜7.0、より好ましくは5.0〜6.5、例えば約5.7のPZCを有する。
溶液中では、リン酸アルミニウムおよび水酸化物アジュバントは、共に直径1〜10μmの安定な多孔質凝集体を形成する傾向がある[5]。
不溶性金属塩に吸着した本発明の塩形態を含む組成物は、緩衝液(例えば、リン酸緩衝液またはヒスチジン緩衝液またはトリス緩衝液)を含むこともできる。
本発明で有用な吸着性金属塩は不溶性なので、本発明の吸着した塩形態を含有する組成物は、一般に濁った外観を有する懸濁液になる。これによって、汚染細菌の増殖が隠れるおそれがあるため、本発明の組成物は、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールなどの保存剤を含んでもよい。組成物は、水銀材料を実質的に含まず(例えば<10μg/ml)、例えばチオメルサールを含まないことが好ましい。水銀を全く含有していないワクチンが、より好ましい。
組成物は、水酸化アルミニウム塩とリン酸アルミニウム塩の両方の混合物を含むことができ、本明細書に開示の式(I)の化合物のアルギニン塩形態は、これらの金属塩の一方または両方に吸着し得る。
患者に投与するための組成物中のAl3+の濃度は、好ましくは10mg/ml未満であり、例えば、≦5mg/ml、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/ml等である。好ましい範囲は、0.3〜1mg/mlである。最大値<0.85mg/用量が好ましい。式(I)の化合物のアルギニン塩が含まれることにより、アルミニウム塩のアジュバント効果を改善することができるので、本発明では、有利なことには1用量当たりより少ない量のAl3+で済み、したがって本発明の組成物は、有用なことには単位用量当たりAl3+を10〜250μg含むことができる。現在の小児ワクチンは、典型的にAl3+を少なくとも300μg含む。濃度に関して、本発明の組成物は、10〜500μg/ml、例えば10〜300μg/ml、10〜200μg/ml、または10〜100μg/mlの濃度のAl3+を有し得る。
一般に、組成物が、本発明のアルギニン塩およびアルミニウム塩の両方を含む場合、作動薬とAl3+の重量比は、5:1未満、例えば4:1未満、3:1未満、2:1未満、または1:1未満である。したがって、例えばAl3+の濃度が0.5mg/mlである場合、本発明のアルギニン塩の最大濃度は、2.5mg/mlである。しかし、それより高いレベルまたは低いレベルを使用することもでき、Al3+の質量よりも小さい質量のアルギニン塩が典型的であり、例えば1用量当たりAl3+が0.2mgである場合、アルギニン塩は100μgである。ヒトの単位用量当たり、式Iの化合物の最大値は2.5mgであることが好ましい(例えば、注射0.5ml当たり)。
組成物が本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩および不溶性金属塩を含む場合、組成物中の免疫賦活薬の少なくとも50%(質量)、例えば≧60%、≧70%、≧80%、≧85%、≧90%、≧92%、≧94%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、またはさらには100%が、金属塩に吸着することが好ましい。最小値80%の吸着が典型的であり、少なくとも90%または95%が好ましい。
先に論じた通り、不溶性金属塩に吸着した結果として、SMIPのインビボ挙動が改変され得る。したがって、吸着SMIPは、筋肉内注射された後、非吸着形態で注射された同じSMIPと比較して、筋肉内でより長い滞留時間を示すことができる(例えば、少なくとも2倍長い)。ある程度クリアランスが生じ得るものの、注射されたSMIPの検出可能な部分が、依然として存在することになる。したがって、例えば吸着SMIPは、筋肉内注射された場合、注射された筋肉内に、少なくとも12時間後、例えば24時間後も依然として存在することができる。
いくつかの実施形態では、吸着アルギニン塩は、非吸着形態と比較して低いピーク血清濃度を示すことができる。このピークは、通常はCmax値と表される。例えば、吸着形態は、筋肉内注射された場合、非吸着形態で筋肉内注射された場合よりも低い血清Cmax値を有することができる(例えば、非吸着Cmaxの<95%、非吸着Cmaxの<80%、非吸着Cmaxの<50%、またはさらには非吸着Cmaxの<30%)。
いくつかの実施形態では、吸着アルギニン塩は、注射された後、非吸着形態で注射された同じ塩と比較して低い総全身曝露を示すことができる。全身曝露レベルは、通常AUC(濃度−時間曲線下面積)値(例えば、nM・時間)と表される。有利なことには、例えば吸着SMIPは、筋肉内注射された場合、非吸着形態で筋肉内注射された同じアルギニン塩よりも、注射の24時間後に低い血清AUC値を有することができる(例えば、非吸着AUCの<90%、非吸着AUCの<80%、またはさらには非吸着AUCの<50%等)。
免疫原
不溶性金属塩に吸着した本明細書に記載の式(I)の化合物の塩形態の複合体は、免疫化の最中に有用である。したがって本発明の吸着複合体は、1つまたは複数の免疫原(複数可)と併用することができる。複合体および免疫原(複数可)は、混ぜ合わせたものとして提供することができ、または混合後に使用するために別個に提供することもできる。いくつかの実施形態では、本発明の塩形態は、不溶性金属塩がない状態で免疫原と組み合わせることができ、その後、哺乳動物に投与することができ、または後で哺乳動物に投与するために不溶性金属塩と組み合わせることもできる。
本発明は、広範な疾患を処置し、または広範な疾患から保護するために、広範な免疫原と共に使用することができる。免疫原は、ウイルス疾患(例えば、エンベロープを有するまたはエンベロープを有していないウイルスに起因する)、細菌疾患(例えば、グラム陰性細菌またはグラム陽性細菌に起因する)、真菌疾患、寄生虫疾患、自己免疫疾患、または他の任意の疾患から保護する免疫応答を誘発し得る。また免疫原は、免疫治療において、例えば腫瘍/癌、アルツハイマー病、または嗜癖を処置するのに有用な場合がある。
免疫原は、様々な形態をとることができ、例えば全生物、外膜小胞、ポリペプチド、サッカライド、リポサッカライド(liposaccharide)、コンジュゲート(例えば、担体とハプテンのコンジュゲート、または担体とサッカライドもしくはリポサッカライドのコンジュゲート)等であってよい。免疫原は、ポリペプチドである場合、典型的に表面ポリペプチド、例えばアドヘシン、赤血球凝集素、エンベロープ糖タンパク質、スパイク糖タンパク質等である。
免疫原は、インフルエンザAおよびBウイルスを含むインフルエンザウイルスに対して免疫応答を誘発し得る。典型的に、生ウイルスまたは不活化ウイルスのいずれかに基づく様々な形態のインフルエンザウイルス免疫原が、現在利用可能である。不活化ワクチンは、全ビリオン、スプリットビリオン(split virion)、または精製表面抗原に基づくものであってよい。インフルエンザ抗原は、ビロソームの形態で提示することもできる。赤血球凝集素は、現在の不活化ワクチンの主な免疫原であり、ワクチン用量は、典型的にSRIDによって測定されるHAレベルを参照することによって標準化される。現存するワクチンは、典型的に株1つ当たり約15μgのHAを含有するが、例えば子どもに対して、または汎発状況下で、あるいはアジュバントを使用する場合には、それより低い用量を使用することもできる。1/2(すなわち株1つ当たり7.5μgのHA)、1/4および1/8などの分割用量が使用されており、同様により高い用量も使用されている(例えば、3倍または9倍用量[6、7])。したがって組成物は、インフルエンザ株1つ当たり0.1〜150μgのHA、好ましくは0.1〜50μg、例えば0.1〜20μg、0.1〜15μg、0.1〜10μg、0.1〜7.5μg、0.5〜5μg等のHAを含んでもよい。特定の用量には、株1つ当たり例えば約45、約30、約15、約10、約7.5、約5、約3.8、約3.75、約1.9、約1.5等が含まれる。ワクチンに含まれる株ごとに実質的に同じ質量のHAを含むのが通常であり、その結果、例えば株ごとのHA質量は、株1つ当たり平均HA質量の10%以内であり、好ましくは平均の5%以内である。生ワクチンについては、用量は、HA含量ではなく組織培養感染量の中央値(TCID50)によって測定され、株1つ当たり10〜10(好ましくは106.5〜107.5)のTCID50が典型的である。ウイルス増殖のための基質として、ウイルスが鶏卵の感染尿膜腔液から収集されるSPF卵を使用するよりも、インフルエンザウイルス複製を支持する細胞系を使用してもよい。細胞系は、典型的に哺乳動物起源、例えばMDCKの細胞系である。インフルエンザAウイルス免疫原は、任意の適切なHAサブタイプ株、例えばH1、H3、H5、H7、H9等、例えばH1N1、H3N2および/またはH5N1株に由来するものであってよい。
免疫原は、C.albicansなどのカンジダ真菌に対して免疫応答を誘発し得る。例えば、免疫原は、担体タンパク質にコンジュゲートし得るβ−グルカンであってよい。グルカンは、β−1,3および/またはβ−1,6結合を含み得る。適切な免疫原には、参考文献8および9に開示のものが含まれる。
免疫原は、S.agalactiae、S.pneumoniaeおよびS.pyogenesを含むストレプトコッカス細菌に対して免疫応答を誘発し得る。例えば、免疫原は、担体タンパク質にコンジュゲートし得る莢膜サッカライドであってよい。S.agalactiaeについては、サッカライドは、血清型Ia、Ib、II、IIIおよび/またはVの1つまたは複数に由来するものであってよい。S.pneumoniaeについては、サッカライドは、血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび/または23Fの1つまたは複数に由来するものであってよい。莢膜サッカライド免疫原(複数可)に加えて(または莢膜サッカライド免疫原(複数可)の代わりに)、参考文献10に開示の通り、例えばRrgBを含むポリペプチド免疫原を使用して、抗ストレプトコッカス防御免疫応答を誘発し得る。
免疫原は、S.aureusまたはS.epidermidisを含むスタフィロコッカス細菌に対して免疫応答を誘発し得る。例えば、免疫原は、IsdA抗原、IsdB抗原、ClfA抗原、ClfB抗原、SdrD抗原、Spa抗原、EsxA抗原、EsxB抗原、Sta006抗原、溶血素、および/またはSta011抗原を含み得る。適切なS.aureus免疫原およびそれらの組合せは、参考文献11に開示されている。
免疫原は、髄膜炎菌性細菌(Neisseria meningitidis)に対して免疫応答を誘発し得る。例えば、免疫原は、担体タンパク質にコンジュゲートし得る莢膜サッカライドであってよい。莢膜サッカライドは、髄膜炎菌の血清型A、C、W135および/またはYから保護するのに特に有用である。莢膜サッカライド免疫原(複数可)に加えて(または莢膜サッカライド免疫原(複数可)の代わりに)、例えば参考文献12に開示の通り、特に血清型Bに対して使用するために、ポリペプチド免疫原および/または外膜小胞を使用して、抗髄膜炎菌防御免疫応答を誘発し得る。ワクチン単位用量当たりの莢膜サッカライドの典型的な量は、2.5〜10μgであるが、本発明ではアジュバントの抗原節約性質に起因して、より低い用量を使用することができる。
免疫原は、肝炎ウイルス、例えばA型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよび/またはE型肝炎ウイルスに対して免疫応答を誘発することができる。例えば、免疫原は、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)であってよい。ワクチン単位用量当たりのHBsAgの典型的な量は、5〜20μgであるが、本発明ではアジュバントの抗原節約性質(antigen−sparing nature)に起因して、より低い用量を使用することができる。
免疫原は、呼吸器合胞体ウイルスに対して免疫応答を誘発し得る。免疫原は、A群のRSVおよび/またはB群のRSVに由来するものであってよい。適切な免疫原は、例えば参考文献13および14に開示の通り、F糖タンパク質および/またはG糖タンパク質またはその断片を含み得る。
免疫原は、C.trachomatisおよびC.pneumoniaeを含むクラミジア細菌に対して免疫応答を誘発し得る。適切な免疫原には、参考文献15〜21に開示のものが含まれる。
免疫原は、腸外病原性株を含むEscherichia coli細菌に対して免疫応答を誘発し得る。適切な免疫原には、参考文献22〜24に開示のものが含まれる。
免疫原は、ヒトSARSコロナウイルスなどのコロナウイルスに対して免疫応答を誘発し得る。適切な免疫原は、スパイク糖タンパク質を含み得る。
免疫原は、Helicobacter pylori細菌に対して免疫応答を誘発し得る。適切な免疫原には、CagA[25〜28]、VacA[29、30]、および/またはNAP[31〜33]が含まれる。
免疫原は、Corynebacterium diphtheriae細菌に対して免疫応答を誘発し得る。適切な免疫原には、ジフテリアトキソイド(「DT」)が含まれる。小児ワクチン単位用量当たりのDTの典型的な量は、15〜30Lf(「限界凝集(limes flocculating)用量」)であるが、本発明ではアジュバントの抗原節約性質に起因して、より低い用量を使用することができる。青年または成人のブースターワクチンでも、より少ない量、例えば1〜10Lf/用量が典型的である。
免疫原は、Clostridium tetani細菌に対して免疫応答を誘発し得る。適切な免疫原には、破傷風トキソイド(「TT」)が含まれる。小児ワクチン単位用量当たりのTTの典型的な量は、5〜15Lf(「限界凝集用量」)であるが、本発明ではアジュバントの抗原節約性質に起因して、より低い用量を使用することができる。青年または成人のブースターワクチンでも、より少ない量、例えば1〜5Lf/用量が典型的である。
免疫原は、Bordetella pertussis細菌に対して免疫応答を誘発し得る。百日咳抗原は、細胞性(不活化B.pertussis細胞の形態の全細胞;「wP」)または無細胞性(「aP」)のいずれかである。無細胞抗原が使用される場合、以下の抗原:(1)解毒化百日咳毒素(百日咳トキソイドまたは「PT」)、(2)線維状赤血球凝集素(「FHA」)、(3)パータクチン(「69キロダルトンの外膜タンパク質」としても公知)の1つ、2つ、または(好ましくは)3つが含まれる。PTは、化学的に解毒されてもよいし、または酵素活性が変異原性によって低下している変異体PT[34]、例えば9K/129G二重変異体[35]であってもよい。PT、FHAおよびパータクチンと同様に、無細胞百日咳抗原の成分に線毛(例えば、凝集原2および3)を含むことも可能である。小児ワクチンにおけるPTの典型的な量は、10〜30μg/用量である。小児ワクチンにおけるFHAの典型的な量は、15〜30μg/用量である。小児ワクチンにおけるパータクチンの典型的な量は、2〜10μg/用量である。本発明ではアジュバントの抗原節約性質に起因して、より低い用量を使用することができる。ブースターワクチンでも、より少ない量、例えば約3分の1少ない量が典型的である。
免疫原は、Haemophilus influenzaeのB型細菌(「Hib」)に対して免疫応答を誘発し得る。適切な免疫原には、例えば、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、ジフテリアトキソイドのCRM197誘導体、H.influenzaeのタンパク質D、および血清型B髄膜炎菌由来の外膜タンパク質複合体にコンジュゲートした、Hib莢膜サッカライド(「PRP」)のコンジュゲートが含まれる。Hibコンジュゲートの典型的な量(サッカライドとして測定)は、1用量当たり2.5〜15μgであるが、本発明ではアジュバントの抗原節約性質に起因して、より低い用量を使用することができる。
免疫原は、ポリオウイルスに対して免疫応答を誘発し得る。適切な免疫原には、不活化ウイルスが含まれる。典型的な組成物は、3種類のポリオウイルス抗原、すなわちポリオウイルス1型(例えば、Mahoney株)、ポリオウイルス2型(例えば、MEF−1株)、およびポリオウイルス3型(例えば、Saukett株)を含む。1用量当たりのポリオウイルスの典型的な量は、1型では40DU(「D抗原単位」)、2型では8DU、3型では32DUであるが、本発明ではアジュバントの抗原節約性質に起因して、より低い用量を使用することができる。
免疫原は、サイトメガロウイルス(「CMV」)に対して免疫応答を誘発することができる。例えば、免疫原は、組換え型の糖タンパク質B、例えば参考文献36で使用される可溶性抗原であってよい。
免疫原は、ヒト免疫不全ウイルス、例えばHIV−1またはHIV−2に対して免疫応答を誘発し得る。例えば、免疫原は、HIVエンベロープ糖タンパク質であってよい。例えば、オリゴマーを形成することができるgp140(「o−gp140」と呼ばれる)などの遺伝子操作したエンベロープ糖タンパク質が利用可能である。gp140ポリペプチドは、gp120配列およびgp41の外部ドメインを含み[37]、gp120よりも良好な免疫原であることが報告されている[38]。したがって、有用なエンベロープ糖タンパク質は、gp41の一部を含み得るが、その膜貫通ドメインは含まない。エンベロープ糖タンパク質のgp140形態は、そのV2ループを欠失させ、gp140ΔV2変異体を生成することができ、このような欠失は、免疫原性を改善することが報告されている。gp140のΔV2変異体は、三量体を形成することが示されている[39]。
免疫原は、狂犬病ウイルスに対して免疫応答を誘発し得る。適切な免疫原は、不活化狂犬病ウイルスである(参考文献40、RabAvert(商標))。
免疫原は、ヒトパピローマウイルスに対して免疫応答を誘発することができる。有用な免疫原は、ウイルス様の粒子(VLP)として公知の構造を形成するように構築できるL1カプシドタンパク質である。VLPは、酵母細胞(例えば、S.cerevisiae)または昆虫細胞(例えば、S.frugiperdaなどのスポドプテラ細胞、またはショウジョウバエ細胞)におけるL1の組換え発現によって産生され得る。酵母細胞については、プラスミドベクターがL1遺伝子(複数可)を担持することができ、昆虫細胞については、バキュロウイルスベクターがL1遺伝子(複数可)を担持することができる。より好ましくは、組成物は、HPV−16株およびHPV−18株の両方に由来するL1 VLPを含む。この二価の組合せは、非常に有効であることが示されている[41]。HPV−16株およびHPV−18株に加えて、HPV−6株およびHPV−11株に由来するL1 VLPを含むことも可能である。
免疫原は、腫瘍抗原、例えばMAGE−1、MAGE−2、MAGE−3(MAGE−A3)、MART−1/Melan A、チロシナーゼ、gp100、TRP−2等に対して免疫応答を誘発し得る。免疫原は、肺癌、黒色腫、乳癌、前立腺癌等に対して免疫治療上の応答を誘発し得る。
免疫原は、担体タンパク質にコンジュゲートした、乱用薬物であるハプテンに対して免疫応答を誘発し得る[42]。乱用薬物の例として、オピエート、マリファナ、アンフェタミン、コカイン、バルビツレート(barbituate)、グルテチミド、メチプリロン、抱水クロラール、メタカロン、ベンゾジアゼピン、LSD、ニコチン、抗コリン作用薬物、抗精神病剤、トリプタミン、他の精神異常発現性薬物、鎮静剤、フェンシクリジン、サイロシビン、揮発性ニトライト、ならびに身体的および/または心理的依存を誘発する他の薬物が挙げられるが、それらに限定されない。
様々な他の免疫原を使用してもよい。
Neisseria meningitidisに対して免疫化するための組成物
本発明は、髄膜炎菌、例えば血清型Bに対して免疫化するのに特に有用である。
本発明の好ましい免疫原性組成物は、(i)水酸化アルミニウムアジュバント、(ii)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、および(iii)配列番号1を含むポリペプチドを含み、ここで(ii)のアルギニン塩中の本明細書に記載の式(I)の化合物は、水酸化アルミニウムに吸着する。
本発明の好ましい免疫原性組成物は、(i)水酸化アルミニウムアジュバント、(ii)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、および(iii)配列番号2を含むポリペプチドを含み、ここで(ii)のアルギニン塩中の本明細書に記載の式(I)の化合物は、水酸化アルミニウムに吸着する。
本発明の好ましい免疫原性組成物は、(i)水酸化アルミニウムアジュバント、(ii)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、(iii)配列番号1を含む第1のポリペプチド、および(iv)配列番号2を含む第2のポリペプチドを含み、ここで(ii)のアルギニン塩中の本明細書に記載の式(I)の化合物は、水酸化アルミニウムに吸着する。この組成物は、例えば配列番号3、4または5のいずれかを含むポリペプチド(複数可)をさらに含むことができる。
本発明の好ましい免疫原性組成物は、(i)水酸化アルミニウムアジュバント、(ii)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、(iii)配列番号1を含む第1のポリペプチド、(iv)配列番号2を含む第2のポリペプチド、および(v)配列番号3を含む第3のポリペプチドを含み、ここで(ii)のアルギニン塩中の本明細書に記載の式(I)の化合物は、水酸化アルミニウムに吸着する。
本発明の好ましい免疫原性組成物は、(i)水酸化アルミニウムアジュバント、(ii)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、(iii)配列番号1を含む第1のポリペプチド、(iv)配列番号2を含む第2のポリペプチド、および(v)配列番号4を含む第3のポリペプチドを含み、ここで(ii)のアルギニン塩は、水酸化アルミニウムに吸着する。配列番号4は、参考文献43の配列番号126である。
本発明の好ましい免疫原性組成物は、(i)水酸化アルミニウムアジュバント、(ii)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、(iii)配列番号1を含む第1のポリペプチド、(iv)配列番号2を含む第2のポリペプチド、および(v)配列番号5を含む第3のポリペプチドを含み、ここで(ii)のアルギニン塩中の本明細書に記載の式(I)の化合物は、水酸化アルミニウムに吸着する。
第1、第2および/または第3のポリペプチドのいずれかは、最大3個のアミノ酸だけ、関連する配列番号1、2、3、4または5とは異なる場合があり、ただしポリペプチドは、適宜、配列番号1、2、3、4または5からなるポリペプチドに結合する抗体を依然として誘発することができる。
理想的には、第1、第2および/または第3のポリペプチドの1つ、2つまたは3つは、水酸化アルミニウムに吸着する。これらのポリペプチドは、参考文献12、44および45に、より詳細に開示されている。組成物は、各ポリペプチドを5〜100μg含んでもよい。組成物は、理想的には、いずれの細菌外膜小胞も含まない。
組成物は、式(I)の化合物のアルギニン塩を5〜100μg含んでもよい。
組成物は、ヒスチジン緩衝液、例えば10mMヒスチジン緩衝液を含んでもよい。組成物は、スクロースおよび/または塩化ナトリウムを含んでもよい。組成物は、例えば筋肉内注射では、投与量体積0.5mlで投与されてもよい。
さらに本発明の免疫原性組成物は、(i)水酸化アルミニウムアジュバント、(ii)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、(iii)髄膜炎菌H因子結合タンパク質抗原を含んでもよく、ただしこの抗原は、参考文献46の配列番号8を含むアミノ酸配列を有する融合タンパク質ではない。H因子結合タンパク質抗原も、水酸化アルミニウムに吸着することができる。
複数の異なる免疫原を含む組成物
さらなる一態様によれば、本発明は、少なくとも2つの異なる免疫原と組み合わせて、本発明のアジュバント複合体を含む組成物を提供する。
本発明はまた、(i)第1の容器内にアジュバント複合体および(ii)第2の容器内に少なくとも1つの免疫原を含むキットを提供する。第1の容器は、必要に応じて、複合体に加えて少なくとも1つの免疫原を含むことができる。
アジュバント複合体における免疫原性化合物は、本明細書に開示の、式(I)の化合物の任意のアルギニン塩であり得る。
「少なくとも2つの異なる免疫原」は、いくつかの実施形態では、(i)麻疹ウイルス免疫原、ムンプスウイルス免疫原、および風疹ウイルス免疫原の組合せ、(ii)麻疹ウイルス免疫原、ムンプスウイルス免疫原、風疹ウイルス免疫原、および水痘ウイルス免疫原の組合せ、(iii)ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、および百日咳ワクチン、(iv)髄膜炎菌血清型A、C、W135およびY由来のコンジュゲートの四価の組合せ、(v)N.meningitidisの血清型A、B、C、W135および/またはY由来の細菌抗原の組合せ、(vi)インフルエンザウイルスの2つ以上の異なる株由来の抗原を含む組合せ、(vii)N.meningitidisの血清型A、C、W135、Y、Xおよび/またはB由来の外膜小胞の組合せ、(viii)異なる肺炎球菌の血清型由来のサッカライドの組合せ、(ix)Moraxella catarrhalis抗原の組合せ、(x)Bordetella pertussisホロ毒素、線維状赤血球凝集素、パータクチン、ならびに/または凝集原2および3の組合せ、(xi)N.meningitidis由来の複数の異なるポリペプチド抗原の組合せからなることはない。
「少なくとも2つの異なる免疫原」は、いくつかの実施形態では、N.meningitidis由来の複数の異なるポリペプチド抗原の組合せ、例えば参考文献12および46に開示の組合せからなることはない。
「少なくとも2つの異なる免疫原」は、少なくとも1つの細菌抗原および少なくとも1つのウイルス抗原を含むことができる。
「少なくとも2つの異なる免疫原」が、細菌免疫原だけを含む場合、それらの免疫原には、理想的には少なくとも2つの異なる種の細菌についての免疫原が含まれる(したがって、例えば異なる髄膜炎菌性莢膜サッカライドの組合せは、すべて単一種に由来するので排除される)。
「少なくとも2つの異なる免疫原」は、互いにコンジュゲートしないものとする。したがって、Hibサッカライドと破傷風トキソイドのコンジュゲートは、本明細書で使用される場合、「少なくとも2つの異なる免疫原」ではない。
「少なくとも2つの異なる免疫原」の好ましい実施形態は、(i)例えば百日咳トキソイド、線維状赤血球凝集素および/またはパータクチンを含む、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、および無細胞百日咳抗原、(ii)ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、百日咳抗原、およびH.influenzaeのB型莢膜サッカライドコンジュゲート、(iii)ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、百日咳抗原、およびB型肝炎ウイルス表面抗原、(iv)ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、百日咳抗原、B型肝炎ウイルス表面抗原、およびH.influenzaeのB型莢膜サッカライドコンジュゲート、(v)ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、百日咳抗原、および不活化ポリオウイルス抗原、(vi)ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、百日咳抗原、H.influenzaeのB型莢膜サッカライドコンジュゲート、B型肝炎ウイルス表面抗原、および不活化ポリオウイルス抗原、または(vii)A型肝炎ウイルス抗原およびB型肝炎ウイルス抗原などの組成物を含む。
組成物は、不活化ポリオウイルス抗原を含む場合、好ましくはポリオウイルス1型(例えば、Mahoney株)、ポリオウイルス2型(例えば、MEF−1株)、およびポリオウイルス3型(例えば、Saukett株)のそれぞれに由来する抗原を含む。
組成物は、百日咳抗原を含む場合、理想的には不活化B.pertussisの全細胞を含まず、すなわち理想的には無細胞ワクチンである。
本発明の組成物は、D、T、Pa、HBsAg、Hibおよび/またはポリオウイルス抗原を含むだけでなく、例えばさらなる病原体由来の抗原をさらに含んでもよい。例えば、これらの抗原は、N.meningitidis(血清型A、B、C、W135および/またはYの1つまたは複数)またはS.pneumoniaeに由来するものであってよい。したがって組成物は、(i)D、T、Pa、HBsAg、Hibおよび/またはポリオウイルス抗原の1つまたは複数、(ii)髄膜炎菌血清型A、C、W135および/またはYの1つまたは複数に由来するコンジュゲートした莢膜サッカライド、(iii)fHbpなどの髄膜炎菌に由来するポリペプチド抗原の2つまたは3つを含んでもよい。
複数の免疫原を含む本発明の組成物は、好ましくはいずれの細菌外膜小胞も含まない。
その場での(in situ)沈殿法
一態様によれば、本発明は、(i)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩と可溶性アルミニウム塩の水性混合物を調製するステップと、次に(ii)本明細書に記載の式(I)の化合物が吸着した沈殿アルミニウム塩を形成するために、非アルミニウム塩を先の水性混合物に添加するステップとを含む、アジュバント複合体を調製する方法を提供する。
別の態様によれば、本発明は、(i)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩および可溶性アルミニウム塩の水性混合物を、(ii)免疫原の緩衝水性混合物と混合するステップを含む、免疫原性組成物を調製する方法を提供し、ここで混合するステップによって、本明細書に記載の式(I)の化合物および免疫原が吸着したアルミニウム塩が沈殿する。
本発明はまた、(i)可溶性アルミニウム塩の水溶液を、(ii)免疫原および本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩の緩衝水性混合物と混合するステップを含む、免疫原性組成物を調製する方法を提供し、ここで混合するステップによって、本明細書に記載の式(I)の化合物および免疫原が吸着したアルミニウム塩が沈殿する。
本発明はまた、(i)可溶性アルミニウム塩および免疫原の水溶液を、(ii)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩の緩衝水性混合物と混合するステップを含む、免疫原性組成物を調製する方法を提供し、ここで混合するステップによって、本明細書に記載の式(I)の化合物および免疫原が吸着したアルミニウム塩が沈殿する。
本発明はまた、これらの方法によって得られた、または得ることができる免疫原性組成物を提供する。
これらの方法では、可溶性アルミニウム塩は、典型的にミョウバン(KAl(SO、典型的にKAl(SO.12HO)または塩化アルミニウムである。代替アニオンをこの可溶性塩に添加すると、アルミニウム塩アジュバントをその場(in situ)で沈殿させることができる。
代替アニオンは、典型的に緩衝液の一部として添加される。したがって、例えばリン酸緩衝液が可溶性アルミニウム塩に添加される場合、リン酸アルミニウムアジュバントが沈殿し得る。緩衝液は、典型的に酢酸緩衝液、炭酸緩衝液またはリン酸緩衝液である。緩衝液をミョウバン溶液に添加すると、非晶質ヒドロキシ(緩衝アニオン)硫酸アルミニウム、例えばヒドロキシリン酸硫酸アルミニウムが沈殿する(参考文献4の第9章を参照)。
医薬組成物および生成物
本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩を含む医薬組成物を提供する。この組成物は、不溶性金属塩および/または免疫原を含むこともできる。
本発明はまた、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩および不溶性金属塩を含む医薬組成物を提供する。この組成物は、免疫原を含むこともできる。
本発明はまた、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩および免疫原を含む免疫原性医薬組成物を提供する。この組成物は、不溶性金属塩を含むこともできる。
本発明はまた、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩を、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせるステップを含む、医薬組成物を調製する方法を提供する。
医薬組成物は、通常、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、不溶性金属塩および/または免疫原に加えて、いくつかの成分を含み、例えば典型的に1つまたは複数の薬学的担体(複数可)および/または賦形剤(複数可)を含む。このような成分に関する完全な議論は、参考文献47に見ることができる。
医薬組成物は、特に投与時点では、好ましくは水性形態であるが、非水性液体形態または乾燥形態で、例えばゼラチンカプセル剤として、または凍結乾燥物(lyophilisate)等で提示することもできる。
医薬組成物は、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールなどの1つまたは複数の保存剤を含んでもよい。水銀を含まない組成物が好ましく、保存剤を含まないワクチンを調製することができる。
医薬組成物は、例えば浸透圧を制御するために、ナトリウム塩などの生理的塩を含むことができる。塩化ナトリウム(NaCl)が典型的であり、これは1〜20mg/ml、例えば10±2mg/mlまたは9mg/mlで存在してもよい。存在し得る他の塩には、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム無水物、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等が含まれる。
医薬組成物は、200mOsm/kg〜400mOsm/kg、例えば240〜360mOsm/kg、または290〜310mOsm/kgの浸透圧を有することができる。
医薬組成物は、淡水(例えば、w.f.i.)に化合物を含んでもよいが(不溶性金属塩と共に、または不溶性金属塩なしに)、通常は1種または複数の緩衝液を含む。典型的な緩衝液には、リン酸緩衝液(第15の態様を除く)、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液、コハク酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液(特に、水酸化アルミニウムアジュバントの場合)、またはクエン酸緩衝液が含まれる。緩衝塩は、典型的に5〜20mMの範囲で含まれる。
医薬組成物は、典型的に5.0〜9.5、例えば6.0〜8.0のpHを有する。
医薬組成物は、好ましくは無菌である。
医薬組成物は、好ましくは非発熱性であり、例えば1用量当たり<1EU(エンドトキシン単位、標準尺度)を含有し、好ましくは1用量当たり<0.1EUを含有する。
医薬組成物は、好ましくはグルテンを含まない。
医薬組成物は、動物(特にヒト)の患者に投与するのに適しており、したがってヒト用および獣医用の両方を含む。医薬組成物は、患者に組成物を投与するステップを含む、患者の免疫応答を引き起こす方法で使用してもよい。
医薬組成物は、単位用量形態で調製されてもよい。いくつかの実施形態では、単位用量は、0.1〜1.0ml、例えば約0.5mlの体積を有してもよい。
本発明はまた、本発明の医薬組成物を含有する、例えば単位用量を含有する送達デバイス(例えば、シリンジ、ネブライザー、スプレー、吸入器、皮膚パッチ等)を提供する。このデバイスを使用して、脊椎動物被験体に組成物を投与することができる。
本発明はまた、本発明の医薬組成物を含有する、例えば単位用量を含有する無菌容器(例えば、バイアル)を提供する。
本発明はまた、本発明の医薬組成物の単位用量を提供する。
本発明はまた、本発明の医薬組成物を含有する密封容器を提供する。適切な容器には、例えばバイアルが含まれる。
本発明はまた、(i)不溶性金属塩および免疫原を含む第1のキット成分と、(ii)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩を含む第2のキット成分を含むキットを提供する。第2の成分は、理想的には不溶性金属塩を含まず、かつ/または免疫原を含まない。第1および第2の成分を組み合わせると、被験体に投与するのに適した組成物を提供することができる。
本発明はまた、(i)不溶性金属塩および本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩を含む第1のキット成分と、(ii)免疫原を含む第2のキット成分を含むキットを提供する。第2の成分は、理想的には不溶性金属塩および/またはTLR作動薬を含まない。いくつかの実施形態では、第2の成分は、凍結乾燥されている。第1および第2の成分を組み合わせると、被験体に投与するのに適した医薬組成物を提供することができる。
本発明はまた、(i)免疫原および本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩を含む第1のキット成分と、(ii)不溶性金属塩を含む第2のキット成分を含むキットを提供する。第2の成分は、理想的には免疫原および/またはTLR作動薬を含まない。第1および第2の成分を組み合わせると、被験体に投与するのに適した医薬組成物を提供することができる。
いくつかの実施形態では、これらのキットは、2つのバイアルを含む。他の実施形態では、これらのキットは、1つの既に充填(ready−filled)されているシリンジと1つのバイアルを含み、シリンジの内容物は、注射前にバイアルの内容物と混合される。バイアルの内容物が凍結乾燥されている場合、シリンジ/バイアルの配置が、有用である。しかし通常は、第1および第2のキット成分の両方は、水性液体形態である。
本発明の医薬組成物は、様々な形態で調製されてもよい。例えば組成物は、注射剤として、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製されてもよい。注射前に液体ビヒクルに溶解または懸濁させるのに適した固体形態(例えば、凍結乾燥組成物またはスプレーフリーズドライ組成物)を調製することもできる。局所投与するために、例えば軟膏剤、クリーム剤または散剤として組成物を調製してもよい。経口投与するために、例えば錠剤もしくはカプセル剤、スプレー剤、またはシロップ剤(場合によっては風味付けされる)として組成物を調製してもよい。例えば微粉末を使用する吸入器、またはスプレーによって肺投与するための組成物を調製してもよい。組成物は、坐剤またはペッサリー剤として調製されてもよい。鼻、耳または眼に投与するために、例えばスプレー剤または点滴剤として組成物を調製してもよい。組成物は、組み合わされた組成物が、患者への投与の直前に再構成されるように設計されたキットの形態であってよい。このようなキットは、液体形態の1つまたは複数の抗原、および1つまたは複数の凍結乾燥抗原を含んでもよい。筋肉内投与のための注射剤が典型的である。
組成物は、有効量の式(I)の化合物のアルギニン塩を含み、すなわち個体に単回用量でまたは一連の一部として投与されると、同時投与される免疫原に対する免疫応答を高めるのに有効となる量のアルギニン塩を含む。この量は、処置を受ける個体の健康状態および身体状態、処置を受ける個体の年齢、分類学的な群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類等)、抗体を合成する個体の免疫系の能力、所望の保護の程度、ワクチン製剤、医学的状況に対する担当医の評価、ならびに他の関連因子に応じて変わり得る。その量は、相対的に広範な範囲に含まれ、その範囲は、通例の試験によって決定され得る。1用量当たり2.5mgまでの量、例えば1用量当たり1〜1000μgまたは1用量当たり10〜100μgを使用することができる。
処置方法および免疫原性組成物の投与
本発明は、被験体に、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、本発明の複合体および/または組成物を投与するステップを含む、被験体の免疫応答を引き起こす方法を提供する。
本発明はまた、被験体において免疫応答を引き起こす方法で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、本発明の複合体および/または組成物を提供する。
本発明はまた、被験体において免疫応答を引き起こすための医薬品の製造における、本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩または本発明の複合体の使用を提供する。
本発明はまた、被験体において免疫応答を引き起こすための医薬品の製造における、(i)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩および(ii)不溶性金属塩の使用を提供する。同様に、本発明はまた、被験体において免疫応答を引き起こすための医薬品(例えばワクチン)の製造における、(i)本明細書に記載の式(I)の化合物のアルギニン塩、(ii)不溶性金属塩、および(iii)免疫原の使用を提供する。
本発明は、ヒトまたは非ヒト動物(特に哺乳動物)被験体において免疫応答を引き起こすのに適している。本発明に従って調製された組成物を使用して、子どもおよび成人の両方を処置してもよい。
これらの方法および使用によって刺激された免疫応答は、一般に抗体応答、好ましくは防御抗体応答を含む。免疫化した後の抗体応答を評価するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、免疫応答は、IFN−γ、IL−10、IL−12、MCP−1、mKCおよび/またはTNF−αの増大を含み得る。
処置は、単回用量スケジュールまたは複数回用量スケジュールによって行うことができる。複数回用量は、一次免疫スケジュールおよび/または追加免疫スケジュールで使用されてもよい。免疫学的に無感作の患者では、2回以上の用量(典型的に2回用量)の投与が特に有用である。多回用量は、典型的に少なくとも1週間(例えば、約2週、約3週、約4週、約6週、約8週、約10週、約12週間等)空けて投与される。
本発明はまた、以下に示す式(Ia)の化合物
Figure 0006325986
およびその塩または溶媒和物に関する。式(Ia)の化合物の塩には、アルギニン塩、特にL−アルギニン塩が含まれる。
概要
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」ならびに「からなる」および「本質的にからなる」を包含するものであり、例えば、Xを「含む」組成物は、排他的にXからなる場合があり、または追加の何かを、例えばX+Yを含む場合がある。
用語「実質的に」は、「完全に」を排除しないものであり、例えばYを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まない場合がある。必要に応じて、用語「実質的に」は、本発明の定義から除外される場合がある。
数値xに関する用語「約」は、任意選択であり、例えばx±10%を意味する。
具体的に記載されない限り、2つ以上の成分を混合するステップを含む方法は、任意の特定の混合順序を必要としない。したがって、成分は、任意の順序で混合することができる。3つの成分が存在する場合、2つの成分は、互いに組み合わせることができ、次にその組合せを第3の成分等と組み合わされてもよい。
細胞培養で動物(特にウシ)由来の材料が使用される場合、それらの材料は、伝達性海綿状脳症(TSE)を含まず、特にウシ海綿状脳症(BSE)を含まない供給源から得られるものにすべきである。全体として、動物由来の材料が全く存在しない状態で細胞を培養することが好ましい。
あるいは、化合物が組成物の一部として身体に投与される場合、その化合物は、適切なプロドラッグで置き換えることができる。
当業者は、式Iの化合物が、互変異性体として存在し得ることを理解されよう(例えば、ベンゾナフチリジン環は、互変異性化し得る)。本発明は、互いに単離された異なる互変異性体の形態、ならびにこれらの互変異性体の混合物を包含する。遊離塩基の塩形態の調製によって、遊離塩基に対する互変異性体の平衡が変化し得る。
本発明に従って用いられる亜リン酸含有基は、周囲環境のpH、例えばそれらの基が溶解する溶媒のpHに応じて、いくつかのプロトン化および脱プロトン化形態で存在し得る。したがって、特定の形態が例示されているが、別段言及されない限り、これらの例示は単に代表的なものであり、特定のプロトン化または脱プロトン化形態に限定することを意図するものではない。例えば、リン酸基の場合、リン酸基は−OP(O)(OH)と例示されているが、その定義には、プロトン化形態である−[OP(O)(OH)(OH)]および−[OP(O)(OH2+、ならびに脱プロトン化形態である−[OP(O)(OH)(O)]および[OP(O)(O)2−が含まれ、これらは例えば異なるpH値で存在し得る。
本発明は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸のアルギニン塩。
(項目2)
化学量論が1:1のアルギニンと3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸を有する、項目1に記載の塩。
(項目3)
前記アルギニン塩がL−アルギニン塩である、項目1から2のいずれか一項に記載の塩。
(項目4)
水和されている、項目1から3のいずれか一項に記載の塩。
(項目5)
一水和物である、項目1から4のいずれか一項に記載の塩。
(項目6)
実質的に非晶質固体である、項目1から5のいずれか一項に記載の塩。
(項目7)
治療に使用するための、項目1から6のいずれか一項に記載の塩。
(項目8)
治療に使用するための医薬品の製造における、項目1から6のいずれか一項に記載の塩の使用。
(項目9)
前記治療が、被験体において免疫応答を引き起こす方法である、項目7または8のいずれか一項に記載の、使用するための塩または塩の使用。
(項目10)
被験体において免疫応答を引き起こす方法であって、前記被験体に、項目1から6のいずれか一項に記載の治療有効量の塩を投与するステップを含む、方法免疫応答を引き起こす。
(項目11)
3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸を、溶媒中でアルギニンと接触させるステップを含む、項目1から6のいずれか一項に記載のアルギニン塩を調製する方法。
(項目12)
3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸のアルギニン塩および不溶性金属塩を含む、組成物。
(項目13)
免疫原をさらに含む、項目12に記載の組成物。
(項目14)
アジュバント複合体を調製する方法であって、3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸のアルギニン塩を、該酸が不溶性金属塩に吸着して該複合体を形成するように、該不溶性金属塩と混合するステップを含む、方法。
(項目15)
式(Ia)の化合物
Figure 0006325986
またはその塩(例えば、L−アルギニン塩を含むアルギニン塩)もしくは溶媒和物。
図1は、式(I)の化合物のL−アルギニン塩のTGAおよびDSC分析を示す図である。 図1aは、式(I)の化合物のL−アルギニン塩の13C NMRスペクトルを示す図である。 図1bは、式(I)の化合物のL−アルギニン塩の15N NMRスペクトルを示す図である。 図2は、L−アルギニン塩および遊離塩基のXRPDパターンを示す図である。 図3は、DVS処理前および処理後の式(I)の化合物のL−アルギニン塩のXRPDパターンを示す図である。 図3aは、DVS処理前および処理後の式(I)の化合物のL−アルギニン塩試料4gのXRPDパターンを示す図である。 図4は、DVS分析前および分析後の式(I)の化合物のL−アルギニン塩のDSC分析を示す図である。 図5は、(A)Al−H単独、(B)SMIP50μg、遊離塩基、(C)SMIP50μg、アルギニン塩、(D)SMIP5μg、遊離塩基、(E)SMIP5μg、アルギニン塩、(F)SMIP1μg、遊離塩基、(G)SMIP1μg、アルギニン塩、(H)IC31、(I)アジュバントなし、(J)緩衝液単独の、10種類のグループのlog10抗RSV力価を示す図である。
遊離塩基の合成
3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸遊離塩基の合成を、スキーム1を参照しながら以下に記載する。
ステップ1:(E)−3−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−クロロフェニル)アクリル酸エチル(3)
5−ブロモ−2−クロロフェニルカルバミン酸tert−ブチル(1)(1.0当量)のアセトニトリル(0.3M)およびEtOH(0.5M)溶液に、KCO(2.0当量)を添加した。反応物を脱気し、Nでフラッシュ(flush)し、次に(E)−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アクリル酸エチル(2)(1.2当量)およびPd(PPh(0.1当量)を添加した。反応物をNで再度フラッシュし、100℃で一晩かけて撹拌した。室温に冷却した後、ヘキサンを添加し、混合物をシリカパッドを介して濾過し、生成物が完全に溶離されるまでEA/Hex(1:1)で溶離した。濾液を濃縮し、CombiflashによりHex中0〜15%EAで溶離して精製して、(E)−3−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−クロロフェニル)アクリル酸エチル(3)を白色固体として得た。
Figure 0006325986
ステップ2:3−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−クロロフェニル)プロパン酸エチル(4)
(E)−3−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−クロロフェニル)アクリル酸エチル(3)(1.0当量)の酢酸エチル/エタノール(1:1、0.3M)溶液に、ウィルキンソン触媒(0.10当量)を添加した。水素ガスをバルーン(ballon)によって導入し、反応物を室温で24時間撹拌した。混合物を、セライトパッドを介して濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、Combiflashによりヘキサン中0〜10%酢酸エチルで精製して、3−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−クロロフェニル)プロパン酸エチル(4)を固体として得た。
ステップ3:3−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロパン酸エチル(5)
3−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−クロロフェニル)プロパン酸エチル(4)(1.0当量)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(2.0当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.05当量)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(0.20当量)、および酢酸カリウム(2.0当量)の1,4−ジオキサン(0.2M)溶液を脱気し、100℃で一晩かけて撹拌した。周囲温度に冷却した後、反応内容物を真空中で濃縮した。粗製材料を、Combiflashによりヘキサン中0〜50%酢酸エチルで精製して、3−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロパン酸エチル(5)を褐色油として得た。生成物を−20℃で保存し、合成して1カ月以内に使用した。
ステップ4:1−ブロモ−4−(メトキシメトキシ)−2−メチルベンゼン(7)
4−ブロモ−3−メチルフェノール(6)(1.0当量)のDMF(0.5M)溶液に、0℃で60重量%のNaH(1.5当量)を少しずつ添加した。内部反応温度が10℃を超えないように、添加を制御した。反応物を室温で45分間撹拌し、次にクロロ(メトキシ)メタン(1.2当量)のDMF(3M)溶液を、追加の漏斗によって滴加した。反応物を室温で3.5時間撹拌し、次に氷に注ぐことによって急冷した。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。エーテルを添加し、二層を分離した。水層をエーテルで抽出した(1回)。組み合わせた有機層を、水(2回)、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮して、1−ブロモ−4−(メトキシメトキシ)−2−メチルベンゼン(7)を無色油として得た。粗製材料を、さらなる精製なしに次のステップで使用した。
ステップ5:トリエチル((4−(メトキシメトキシ)−2−メチルフェニル)エチニル)シラン
1−ブロモ−4−(メトキシメトキシ)−2−メチルベンゼン(1.0当量)、トリエチルアミン(5.0当量)のDMF(0.5M)溶液を脱気し、窒素でフラッシュした。反応物に、TES−アセチレン(1.05当量)、CuI(0.098当量)、およびPd(PPhCl(0.098当量)を添加した。反応物を60℃に加熱し、一晩かけて撹拌した。室温に冷却した後、水およびエーテルを添加した。各層を分離し、有機層を水で洗浄した(2回)。有機層を分離し、シリカパッド(ヘキサンを充填した)を通過させた。シリカをHex中10%EAで溶離した。画分を組み合わせ、濃縮して、トリエチル((4−(メトキシメトキシ)−2−メチルフェニル)エチニル)シランを黒色油として得た。粗製材料を、さらなる精製なしに次のステップで使用した。
ステップ6:1−エチニル−4−(メトキシメトキシ)−2−メチルベンゼン(8)
トリエチル((4−(メトキシメトキシ)−2−メチルフェニル)エチニル)シラン(1.0当量)の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M溶液、0.20当量)を0℃でゆっくり添加した。この時点で氷浴を除去し、反応混合物を室温で45分間撹拌した。次に、反応混合物をシリカパッド(ヘキサンを充填した)に通過させ、ヘキサン中20%EtOAcで溶離して、不溶性塩を除去した。次に、粗製生成物を、Combiflashによりヘキサン中0〜10%EtOAcを使用して精製して、1−エチニル−4−(メトキシメトキシ)−2−メチルベンゼン(8)をわずかに褐色の液体として得た。
ステップ7:3−クロロ−5−((4−(メトキシメトキシ)−2−メチルフェニル)エチニル)ピコリノニトリル(10)
1−エチニル−4−(メトキシメトキシ)−2−メチルベンゼン(8)(1.0当量)、3,5−ジクロロピコリノニトリル(9)(0.90当量)、CuI(0.10当量)、およびPd(PPhCl(0.10当量)、およびトリエチルアミン(5.0当量)のDMF(0.25M)溶液を脱気し、窒素でフラッシュした。次に、反応混合物を60℃に加熱し、一晩かけて撹拌した。室温に冷却した後、水を添加した。混合物をEAで抽出した(2回)。組み合わせた有機層を、10%NHOH水溶液(2回)、ブラインで洗浄し、濃縮した。粗製材料を、シリカパッド(ヘキサンで湿潤させた)によって濾過した。シリカを、Hex中10%EAで溶離した。画分を組み合わせ、濃縮した。得られた固体を、加熱したエーテルで洗浄し、濾過して黄色固体を得、それをさらなる精製なしに次のステップで使用した。濾液を濃縮し、Combiflashによりヘキサン中0〜10%EtOAcを使用して精製して、3−クロロ−5−((4−(メトキシメトキシ)−2−メチルフェニル)エチニル)ピコリノニトリル(10)を黄色固体として得た。
ステップ8:3−(5−アミノ−2−((4−(メトキシメトキシ)−2−メチルフェニル)エチニル)−ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸エチル(11)
3−クロロ−5−((4−(メトキシメトキシ)−2−メチルフェニル)エチニル)ピコリノニトリル(10)(1.0当量)、3−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロパン酸エチル(5)(1.25当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.10当量)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシビフェニル−2−イル)ホスフィン(0.20当量)、および重炭酸ナトリウム(3.0当量)のn−ブタノール/HO(5:1、0.2M)溶液を脱気し、100℃で一晩かけて撹拌した。周囲温度に冷却した後、反応内容物を酢酸エチルおよび水で希釈した。二相を分離し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製材料を、フラッシュクロマトグラフィーによりCOMBIFLASH(登録商標)システム(ISCO)で、まずDCM中0〜40%酢酸エチルを使用して精製して不純物を除去し、次にDCM中0〜4%MeOHを使用して精製して、3−(5−アミノ−2−((4−(メトキシメトキシ)−2−メチルフェニル)エチニル)−ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸エチル(11)を得た。加熱したエーテルで沈殿させ、洗浄することによって、さらなる精製が達成された。
ステップ9:3−(5−アミノ−2−(4−(メトキシメトキシ)−2−メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸エチル(12)
3−(5−アミノ−2−((4−(メトキシメトキシ)−2−メチルフェニル)エチニル)−ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸エチル(11)(1.0当量)のEtOH/THF(3:1、0.16M)溶液を、窒素でフラッシュした。次に、10重量%のPd/C(重量で0.20当量)を添加した。反応物を水素でフラッシュし(2回)、水素バルーンの下で撹拌した。24時間後、反応物をセライトパッドを介して濾過し、DCM中5%MeOHで洗浄した。濾液を、出発材料の存在についてLCMSを使用してチェックした。アルキン出発材料またはアルケン中間体が検出されなくなるまで、水素化反応を反復した。粗製生成物を、CombiflashによりDCM中0〜4%MeOHを使用して精製して、3−(5−アミノ−2−(4−(メトキシメトキシ)−2−メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸エチル(12)を白色固体として得た。
ステップ10:3−(5−アミノ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸エチル(13)
3−(5−アミノ−2−(4−(メトキシメトキシ)−2−メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸エチル(12)(1.0当量)を、EtOH(0.2M)に溶解し、次に4M HClのジオキサン(0.2M)溶液を添加した。生成物が黄色塩として沈殿した。3時間撹拌した後、反応物を、撹拌したエーテル溶液に注いだ。混合物を10分間撹拌し、次に濾過し、エーテルで洗浄した。3−(5−アミノ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸エチル(13)を黄色固体として得、それを真空状態で一晩かけて乾燥させた(ビスHCl塩)。あるいは、粗製生成物を、CombiflashによりDCM中0〜5%MeOHを使用して精製して、遊離塩基を得た。
ステップ11:2−(2−(2−ヨードエトキシ)エトキシ)エチルホスホン酸ジエチル
マイクロ波管に、撹拌子、市販の1,2−ビス(2−ヨードエトキシ)エタン(1.0当量)および亜リン酸トリエチル(1.0当量)を入れた。マイクロ波管に蓋をし、次に撹拌しながら160℃で40分間照射した。反応混合物を室温まで冷却し、Combiflashによりヘキサン中0〜75%EtOAcを使用して精製し、あるいはRP−HPLC(ACN中0.035%TFA:HO中0.05%TFA、C18カラム)によって精製して、2−(2−(2−ヨードエトキシ)エトキシ)エチルホスホン酸ジエチルを薄黄色油として得た。
ステップ12:3−(5−アミノ−2−{2−[4−(2−{2−[2−(ジエトキシホスホリル)エトキシ]エトキシ}エトキシ)−2−メチルフェニル]エチル}ベンゾ[f]1,7−ナフチリジン−8−イル)プロパン酸エチル(15)
3−(5−アミノ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸エチル(13)(1.0当量)を溶解したDMF(0.14M)溶液に、先のステップ11から得た2−(2−(2−ヨードエトキシ)エトキシ)エチルホスホン酸ジエチル(14)(1.3当量)のDMF(0.7M)および炭酸セシウム(4当量)溶液を添加した。反応物を60℃で撹拌した。1.5時間後(またはLCMSによって反応が完了するまで)、DCM(2体積当量)を反応物に添加した。固体(無機)を濾過し、濾液を濃縮した。粗製生成物を、CombiflashによりDCM中0〜5%MeOHを使用して精製して、3−(5−アミノ−2−{2−[4−(2−{2−[2−(ジエトキシホスホリル)エトキシ]エトキシ}エトキシ)−2−メチルフェニル]エチル}ベンゾ[f]1,7−ナフチリジン−8−イル)プロパン酸エチル(15)を得た。
ステップ13:3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸(16)
3−(5−アミノ−2−{2−[4−(2−{2−[2−(ジエトキシホスホリル)エトキシ]エトキシ}エトキシ)−2−メチルフェニル]エチル}ベンゾ[f]1,7−ナフチリジン−8−イル)プロパン酸エチル(15)(1.0当量)のDCM(0.16M)溶液に、TMSBr(10当量)を0℃でゆっくり添加した。反応物を一晩かけて室温で撹拌した。追加のTMSBr(5.0当量)を0℃で添加し、反応物を室温で一晩かけて再び撹拌した。溶媒を蒸発によって除去し、橙色の粗製固体を高真空(hi−vac)で手短に乾燥させた。固体をEtOH(0.5M)中に懸濁させ、2.5NのNaOH(10.0当量)を添加した。反応物を80℃で3時間撹拌した。室温に冷却した後、混合物をpH9〜10に調節し、RP−HPLCによりC18カラムを使用して、10mM NHOAc(pH9)中10〜40%の95:5(MeCN/5mM NHOAc)の勾配で溶離して、直接精製した。生成物を含有する画分を組み合わせ、真空中で濃縮した。得られた白色ゲルを、還流状態の1:1のEtOH/水(0.04M)に溶解させ、数滴の水酸化アンモニウムを添加した。混合物が温かい間に、その混合物を、50℃に予熱し撹拌した加熱アセトン溶液(0.009M)にゆっくり注いだ。アセトン懸濁液を、撹拌を継続しながら15分間かけてゆっくり室温に冷却し、次に氷浴中に10分間置いた。固体を濾過し、アセトン(2回)およびエーテル(2回)で逐次的に洗浄した。固体を高真空で一晩かけて乾燥させて、化合物(16)を固体として得た。3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸について、H NMR(ジメチルスルホキシド−d6)によって以下を得た。δ 9.02 (s, 1H), 8.82 (s, 1H), 8.55 (d, 1H, J=8.0Hz), 7.58 (s, 1H), 7.49 (d, 1H, J=8.4Hz), 7.06 (d, 1H, J=8.0Hz), 6.76 (s, 1H), 6.68 (d, 1H, J=8.0Hz), 4.03−4.00 (m, 2H), 3.71−3.69 (m, 2H), 3.60−3.54 (m, 4H), 3.51−3.49 (m, 2H), 3.16−3.12 (m, 2H), 3.03−2.96 (m, 4H), 2.67−2.66 (m, 2H), 2.33−2.32 (m, 2H), 2.26 (s, 3H).LRMS[M+H]=598.2
アルギニン塩の形成
3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸98.025mgを、秤量してガラスバイアルに入れ、80/20メタノール/水中0.1Mアルギニン1.7mlを添加して、57mg/mLの溶液を得た。溶液を50℃で60分間かけてスラリー状にした。次にエタノール7mLを添加し、それによって、数時間撹拌した後に白色綿毛状の沈殿物を得た。固体を濾過し、真空オーブン中、40℃で3日間乾燥させて、3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸のアルギニン塩110mgを得た。
NMRデータ
図1aおよび1bは、本発明のL−アルギニン塩のNMRスペクトルを、遊離塩基と比較して示す。式(I)の化合物のアルギニン塩(黒四角)、遊離塩基(黒丸)、および遊離アルギニン(黒菱形)。
XRPDデータ
図2は、先に得たL−アルギニン塩のXRPDデータを、遊離塩基と比較して示す。式(I)の化合物のアルギニン塩(100mg(黒菱形)および1000mg(黒四角))、遊離塩基(黒丸)。
安定性の研究
先の方法によって形成したL−アルギニン塩を、熱安定性および光安定性について試験した。比較する目的で、遊離塩基およびアンモニウム塩も試験した。
式(I)の化合物のバルクのアンモニウム塩およびアルギニン塩、ならびにバルクの遊離塩基を、36時間かけて40℃で照射することによって(120万ルクス−時間)、光安定性について試験した。遊離塩基は12.36%の分解を示し、アルギニン塩は9.7%の分解を示し、アンモニウム塩は4.6%の分解を示した。
また、式(I)の化合物のアルギニン塩およびバルクの遊離塩基について、36時間かけて40℃で照射することによって(120万ルクス−時間)、50mMリン酸緩衝液(pH6.8)の溶液中の光安定性に関して試験した。遊離塩基は23.1%の分解を示し、アルギニン塩は9.8%の分解を示した。アンモニウム塩は、試験しなかった。
また、式(I)の化合物のバルクのアンモニウム塩およびアルギニン塩、ならびにバルクの遊離塩基について、80℃で7日間加熱することによって、生理的pH(7.4)における熱安定性に関して試験した。加熱後、遊離塩基は18.1%の分解を示したのに対して、アルギニン塩は0.1%の分解を示した。
したがってアルギニン塩は、遊離塩基と比較して、生理的pHで改善された熱安定性および光安定性を示した。アンモニウム塩は、アルギニン塩よりもわずかに良好な光安定性を示したが、アンモニウム塩には、特にその分解生成物が毒性のあるアンモニアガスになるという他の欠点がある。このことにより、アンモニウム塩は、医薬製剤での使用および長期保存に適していない。さらに、本発明によって包含される滅菌手順(例えば、高圧蒸気殺菌法)の最中に使用される温度などの高温(80℃)では、アルギニン塩は、アンモニウム塩よりも安定である。アルギニン塩はまた、高圧蒸気殺菌法で使用される高温(80℃)で、遊離塩基よりも安定である。
化学量論の確認
先で生成したアルギニン塩に対して、元素分析を実施した。分析を、以下の表に示す。
Figure 0006325986
この分析によって式(I)の化合物とL−アルギニンの化学量論が1:1であることが確認される。標的は、本明細書に記載の式(I)の化合物の理論的な一水和物塩である。
熱分析
先で生成したL−アルギニン塩を、熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)によって分析した。結果を図1に示す。
水分収着
先の方法によって得たL−アルギニン塩に対して、動的蒸気収着(DVS)実験を実施した。DVS分析はまた、アルギニン塩が吸湿性であり、相対湿度90%でおよそ18%の水を吸収することを示している。DVS前(黒菱形)およびDVS後(黒四角)の塩のXRPDを、図3に示す。遊離塩基も、比較のために示す(黒丸)。DVS処理後のアルギニン塩のDSC分析も実施し、DVS処理前(黒菱形)およびDVS処理後(黒四角)の結果を図4に示す。遊離塩基も、比較のために示す(黒丸)。
また、本明細書に記載の式(I)の化合物のL−アルギニン塩の試料4gに対して、DVSを実施した。DVS分析はまた、アルギニン塩が吸湿性であり、相対湿度90%でおよそ13.71%の水を吸収することを示している。2回のサイクル後、同量の水が吸着し、脱着することが示される。このことは、水和物がそれ以上形成されなかったことを示している(可溶性に対して負の影響を及ぼす場合がある)。XRPDでは形態変化は見られない。DVS前(黒菱形)およびDVS後(黒四角)の塩のXRPDを、図3aに示す。
吸着研究−リン酸アルミニウム
式(I)の化合物のL−アルギニン塩の、市販のリン酸アルミニウムアジュバントに対する吸着では、吸着効率97%が得られた(脱着状態の式(I)の化合物を回収することによって見出した)。リン酸アルミニウムアジュバントを無機リン酸塩(リン酸カリウム)で前処理することは、吸着能に影響を及ぼし、吸着は、濃度依存的に阻害された。しかし、リン酸アルミニウムアジュバントを10mMリン酸カリウムで処理すると、>90%が吸着したままであった。
0.4mg/mlの式(I)の化合物のL−アルギニン塩および3mg/mlのリン酸アルミニウム(Al3+濃度として表す)、10mMヒスチジン緩衝液(pH6.5)を用いて1つの製剤を調製した。リン酸アルミニウムを、様々な濃度のリン酸カリウム(10mM、50mM、100mM、250mMおよび500mM)で一晩かけて処理した後、アルギニン塩中の式(I)の化合物をリン酸アルミニウムとともにインキュベートした。
Figure 0006325986
吸着研究−水酸化アルミニウム
式(I)の化合物のL−アルギニン塩を、濃度1mg/mlで、3mg/mlの水酸化アルミニウム(「Al−H」)に対する吸着について試験した。化合物の吸着効率をRP−HPLCによって求めると、99%であった。
吸着研究−リン酸カルシウム
市販のリン酸カルシウムアジュバントへの式(I)の化合物のL−アルギニン塩の吸着を、ヒスチジン緩衝液なしにpH6.4で試験した。共に1.12mg/mlのCa2+を含むが、アルギニン塩を0.25mg/mlまたは0.125mg/mlのいずれかで含む2種類の製剤を調製する。吸着は、両方の製剤について約90%であった。
インビボ送達後の全身曝露
マウスおよびラットの前臨床種で見出される通り、Al−Hへの式(I)の化合物の吸着によって、ピーク血清濃度が低下し、筋肉内注射部位における滞留時間が増加した。このことは、全身曝露レベルの改変および制御、血中の炎症性サイトカインの潜在的な問題の回避、式(I)の化合物の安全性および/または忍容性の改善に大幅に寄与する。
10mMヒスチジン緩衝液中、3MenB抗原の存在下で、Al−Hに吸着した2種類の異なる製剤(一方は遊離塩基を含有し、他方は式(I)の化合物のL−アルギニン塩を含有する)の単回用量を、用量4mg/kgでマウスに筋肉内投与した。遊離塩基製剤は、T1/2が9.5時間、Tmaxが0.83時間、Cmaxが465nM、AUC0〜24が4552hnMであった。式(I)の化合物は、T1/2が8.48時間、Tmaxが0.67時間、Cmaxが453nM、AUC0〜24が4538hnMであった。
髄膜炎菌B
参考文献12は、3種類の別個のポリペプチドから生成した血清型B髄膜炎菌(「MenB」)のワクチンを開示している(参考文献46も参照)。これらの3種類のポリペプチドは、水酸化アルミニウム(「Al−H」)に吸着することができ、この吸着は、化合物(I)のアルギニン塩がAl−Hに予め吸着した後も生じる。
この3価のMenBワクチンの改変版について、GNA2091−1870融合タンパク質を、参考文献43に開示の「936−10A−10A」によって置き換えて試験した。このタンパク質の混合物を、式(I)の化合物を遊離塩基またはアルギニン塩として用いて、2つの異なる強度により試験した。腹腔内(IP)または筋肉内(IM)によりワクチンで免疫したマウスから血清を得、次にその血清を、5種類の異なる株に対して殺菌アッセイ(SBA)で試験した。殺菌力価は、以下の通りであった。
Figure 0006325986
したがって、遊離塩基およびArg塩は、共にAl−H単独と比較して応答が改善され、パネルのあらゆる株に対して高い力価を示すことができ、IP経路によって投与した場合には、あらゆる株に対して≧8192の力価を達成し、それによってワクチンの株の適用範囲が改善された。
さらにこれらの結果は、SBA試験によって、化合物が遊離塩基またはL−アルギニン塩として吸着しても生物学的同等性が変化しないことを示している。
RSV
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の三量体F糖タンパク質(3μg)を、Al−Hに吸着した遊離塩基またはアルギニン塩(1μg、5μg、50μg)としての式(I)の化合物と共に製剤化する。比較のために、IC31(商標)アジュバントも試験する。Balb/Cマウス(1グループ当たり6匹)を、0日目および21日目に免疫し、免疫応答を評価する。第1の用量を与えた3週間後の力価を、図5に示す。すべての3つの用量のSMIPにおいて、アルギニン塩(図5、グループC、E、G)は、遊離塩基(グループB、D、F)よりもわずかに力価が高く、力価はAl−H単独(グループA)と比較して増加している。
本発明を単に例示によって説明してきたが、本発明の範囲および精神に含まれる限り、改変を加え得ることを理解されたい。
Figure 0006325986
Figure 0006325986
Figure 0006325986

Claims (15)

  1. 3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸のアルギニン塩。
  2. 化学量論が1:1のアルギニンと3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸を有する、請求項1に記載の塩。
  3. 前記アルギニン塩がL−アルギニン塩である、請求項1から2のいずれか一項に記載の塩。
  4. 水和されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の塩。
  5. 一水和物である、請求項1から4のいずれか一項に記載の塩。
  6. 非晶質固体である、請求項1から5のいずれか一項に記載の塩。
  7. 治療に使用するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の塩を含む組成物。
  8. 治療に使用するための医薬品の製造における、請求項1から6のいずれか一項に記載の塩の使用。
  9. 前記治療が、被験体において免疫応答を引き起こす方法である、請求項7記載の組成物。
  10. 前記治療が、被験体において免疫応答を引き起こす方法である、請求項8に記載の使用。
  11. 被験体において免疫応答を引き起こすための組成物であって、請求項1から6のいずれか一項に記載の塩を含む、組成物。
  12. 3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸を、溶媒中でアルギニンと接触させるステップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のアルギニン塩を調製する方法。
  13. 3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸のアルギニン塩および不溶性金属塩を含む、医薬組成物。
  14. 免疫原をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  15. アジュバント複合体を調製する方法であって、3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸のアルギニン塩を、該酸が不溶性金属塩に吸着して該複合体を形成するように、該不溶性金属塩と混合するステップを含む、方法。
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