本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による列車運行管理システムの構成図である。列車運行管理システムは、鉄道の列車運行を管理するためのシステムである。本実施形態による列車運行管理システムは、主に、指令室に配設され指令員に対して情報を表示しまた指令員からの情報の入力を受け付ける指令端末11と、ダイヤ等の運行管理に必要なデータを保有しそれらデータを利用した各種の処理を行うサーバ12と、各駅の進路制御を行う駅装置13を有している。これら指令端末11、サーバ12、および駅装置13がネットワーク14により接続されている。
また、指令室で指令員が利用する指令端末11とは別に、線路設備の周辺で保守作業員が利用する保守作業用端末15を列車運行管理システムに付加することが出来る。
図2は、指令端末11のブロック図である。指令端末11は、画像を表示する表示面と操作入力を検出する入力面を重ねたタッチパネルスクリーンを備えた表示入力部16と、表示入力部16に列車運行管理のための画像を表示させ、表示入力部16で検出された操作入力に基づいて所定の処理を実行する処理部17と、サーバ12と情報を送受信する通信部18とを有する。
表示入力部16は、一例として、複数箇所への同時タッチを検出することが可能なマルチタッチ対応のタッチパネルスクリーンである。ただし、これは一例であり、他の例として、マルチタッチ非対応のタッチパネルスクリーンなど他の入力装置を用い、本実施形態で実現される操作性のうち、その入力装置で実現できる操作性を提供するものであってもよい。
処理部17は、一例として、ソフトウェアプログラムを実行するプロセッサである。
図3は、指令端末11が表示する画面の例を示す図である。指令端末11は、運転整理画面21と在線画面22を表示することができる。指令端末11は、運転整理画面21と在線画面22を同時に表示してもよいし、どちらか一方を表示してもよい。
運転整理画面21には、列車運行管理システムの保有するダイヤの情報が列車スジ23によって表示される。列車スジ23の近傍には、その列車スジ23が示す列車の列車番号24が表示される。
ダイヤ変更を行う場合、指令員は、対象となる列車の列車スジ23または列車番号24をタッチすることにより、列車を指定する。そうすると、指令端末11は、指定された列車についての変更入力ウィンドウ25を表示する。変更入力を行う際、指令員は、変更入力ウィンドウ25内に必要な項目を入力する。
一方、在線画面22には、線路図26を用いて、信号機および転てつ器等の地上設備と、線路上に在線する列車とがシンボルおよび文字により表示される。設備に対する手動制御を行う際、指令員は、シンボルあるいは文字をタッチすることにより、対象となる設備を指定する。
なお、この在線画面22については、保守作業員が利用する保守作業用端末15も同様の画面を表示し、同様のタッチ入力による操作を受け付ける。
図4は、運転整理画面における画面レイアウトについて説明するための図である。
従来のようなマウスによる入力操作では、一度に指示できる画面上の点が1点のみであるため、複数の点を指示するためには、マウスポインタの移動とマウスクリックを繰り返さなければならない。このような条件下で入力操作を効率化するには、マウスポインタの移動量を削減するような画面レイアウト構成が好適である。しかし、それでもマウスポインタの移動を完全に廃することが出来ない限り、ポインタの移動のための時間を完全に無くすことは出来ない。
一方、本実施形態では、マルチタッチ操作を前提にしているので、複数の点を指示しようとするとき、それらの点を同時に入力できるようにすることでポインタの移動のための時間を完全に廃し、入力操作の大幅な効率化が可能である。
具体的には、本実施形態では、図4の右側に示すレイアウトとすることで、変更入力の際に操作する各種メニューボタン群表示領域31と、列車スジの表示領域32に両手で同時にアクセスすることが出来る。このため、ボタンに対するタッチ操作と列車スジに対するタッチ操作を繰り返す場合でも、タッチする箇所を移動させることによる時間損失は無い。
さらに、本実施形態では、画面を構成する各要素(メニューボタン群表示領域31、列車スジ表示領域32等)の表示位置を固定せず、指令員の要求または指令端末11の処理部17の判断に応じて画面上の任意の位置に配置できるようにすることで、表示中の画面内容、入力中の操作内容に応じて最適なレイアウトを可変的に構成し、入力操作の効率化を図ることが出来る。
次に、図5〜図16A、Bを参照して、タッチパネルスクリーンの特性を活かした運転整理画面21からダイヤ変更を入力する操作の例について説明する。
図5は、変更入力の対象列車を指定する際に、対象列車を表す列車スジ23をなぞるような軌跡43を画面上に描くことでその列車を特定する方法について説明するための図である。
この方法で特定された対象列車の列車番号は、設定表示44のように、変更入力ウィンドウ25の列車番号入力位置41に表示される。
マウスによる画面上の1点のみを指示する操作では、列車スジが密集した領域を選択した際に対象列車を特定することが出来ない場合があった。一方、本実施形態では、画面上に軌跡を描くことで、一度の入力操作で対象列車を特定するのに利用可能な情報をより多く指令端末11に与え、対象列車の特定に要する時間と操作段数(情報入力回数)を削減し、入力操作の効率化を図ることができる。
以下、図6〜10を参照して、軌跡の入力から対象列車を特定する具体的な方法の例について説明する。
図6は、入力された軌跡43の傾き51を調べることで対象列車の運転方向を特定する様子を示す図である。入力された軌跡43の始端42から終端45までの傾き51は、始端42と終端45の横方向の距離dと、始端42と終端45の縦方向の距離hとにより、h/dとして算出することができる。図6の例では、傾き51は右上がりである。軌跡43の近傍の列車1A、2B、4Cの列車スジのうち列車1Aの列車スジが右上がりなので、図6の特定結果52に示すように、列車1Aが特定される。
図7は、入力された軌跡43に対応する探索領域61を設定し、探索領域61に含まれる列車スジの線分62の長さから対象の列車を特定する様子を示す図である。
始端42から描かれた軌跡43から所定距離以内の範囲の帯状領域を探索領域61として設定し、探索領域61に含まれる列車スジの線分62のそれぞれの長さを算出する。図7の例では、探索領域61により列車1A、2B、4Cの列車スジが切り取られているので、それぞれの切り取られた線分62の長さを算出する。そして、切り取られた線分の長さが最も長い列車1Aの列車スジが特定される。
図8は、入力された軌跡43と対象列車の候補となる列車スジ23との差異71を計算し、入力された軌跡と計算対象の列車スジとの一致度を数値化して対象列車を特定する様子を示す図である。
まず、入力された軌跡43と、対象列車の候補となる列車スジ23との差異71が計算される。例えば、一定間隔で、入力された軌跡43と、対象列車の候補となる列車スジ23との距離dlを算出し、それら距離dlの合計を算出する。
距離dlの合計が小さいほど、軌跡43と列車スジ23との一致度が高いと言えるので、例えば、距離dlの合計結果の逆数を一致度としてもよい。このようにして数値化された一致度が最も大きい列車スジ23を特定する。
図9は、列車スジの幾何学的特徴によって対象列車を特定する様子を示す図である。図9の例では、列車スジ81で示された対象列車が、列車スジ82で示された後続列車による追越しを退避するために一定時間停車する。そのため、列車スジ81には水平な部分83が現れている。指令員が、右上がりから水平になりさらに右上がりになるという軌跡43を描くと、その軌跡43と類似した幾何学的特徴を有する列車スジ81の列車が特定される。画面には特定結果84が表示される。
図10は、タッチ箇所の個数と軌跡により対象列車を特定する様子を示す図である。指令端末11の処理部17は、タッチ箇所の個数が示す入力イベントと、列車特定ルールとを対応づけた情報を予め管理している。入力された軌跡43の本数がタッチ箇所の個数であり、それが指令員がタッチ入力を行った指の本数である。
指令端末11は、軌跡43を描いたタッチ箇所の個数から入力イベントを特定し、予め管理してある対応付け情報に基づき、列車特定ルールを取得する。例えば、付近の列車スジの中から時系列上の最上位(時間が最も早い)のものを選択するという列車特定ルールが取得されれば、指令端末11は、図9の例では、右下がりの列車スジ91、92のうち時間が早い方の列車スジ91で示された列車番号2Bの列車を特定する。画面にはその特定結果93が表示される。
図5〜9により対象の列車を特定する各種の方法を説明したが、本実施形態では、これらの方法を組み合わせて利用し、列車スジの特定を効率的に行うことができる。
なお、上記のいずれの方法よっても対象列車を一意に特定できなかった場合でも、対象列車の候補として残った列車のリストを表示してそのリストから指令委員による選択を受け付けることで、対象列車を特定することが出来る。リストの表示については図4で示したような表示位置の最適化を行い、操作性の向上を図ることが出来る。
図11Aは、対象列車を特定する処理例を示すフローチャートである。図11Bは、列車スジの傾きによる絞り込みの詳細処理例を示すフローチャートである。図11Cは、軌跡と列車スジとの距離による絞り込みの詳細処理例を示すフローチャートである。図11A〜Cに示す指令端末11の処理は処理部17によって実行される。
図11Aを参照すると、処理部17は、まず、入力された軌跡を画面上の座標データに変換する(ステップ101)。次に、処理部17は、座標データに基づき探索領域を設定する(ステップ102)。例えば、座標データに含まれる各座標から一定距離範囲内の帯状領域を探索領域とすればよい。
次に、処理部17は、探索領域に含まれる列車スジを抽出する(ステップ103)。更に、処理部17は、抽出された列車スジがあるか否かを判定する(ステップ104)。列車スジが抽出されていなければ、処理部17はそのまま処理を終了する。
一方、抽出された列車スジがあれば、処理部17は、その列車スジが1本であるか否か判定する(ステップ105)。抽出された列車スジが1本であれば、処理部17は、その列車スジに対応する列車を特定し、その列車番号を取得する(ステップ1014)。
ステップ105で、列車スジが1本でなければ、処理部17は、次に、列車スジの傾きによる絞り込み処理を行う(ステップ106)。ステップ106の詳細は図11Bを参照して後述する。
次に、処理部17は、抽出された列車スジが1本か否か判定する(ステップ107)。抽出された列車スジが1本であれば、処理部17は、その列車スジを特定し、列車番号を取得する(ステップ1014)。
一方、抽出された列車スジが1本でなければ、処理部17は、入力された軌跡と各列車スジとの誤差による絞り込み処理を行う(ステップ108)。ステップ108の詳細は、図11Cを参照して後述する。
次に、処理部17は、抽出された列車スジが1本か否か判定する(ステップ109)。抽出された列車スジが1本であれば、処理部17は、その列車スジを特定し、その列車番号を取得する(ステップ1014)。一方、抽出された列車スジが1本でなければ、処理部17は、入力イベントが予め設定されたものであるか否か判定する(ステップ1010)。
入力イベントが予め設定されたものであれば、処理部17は、その入力イベントに対応するルールにより列車スジを特定し(ステップ1011)、その列車スジの列車番号を取得する(ステップ1014)。
一方、ステップ1010において入力イベントが予め設定されたものでなければ、処理部17は、残った列車スジに対応する列車番号の一覧を画面に表示し(ステップ1012)、指令員により選択された列車スジを特定し(ステップ1013)、その列車スジの列車番号を取得する(ステップ1014)。
図11Bを参照すると、列車スジの傾きによる絞り込み処理において、処理部17は、まず入力された軌跡の傾きが右上がりか、右下がりか、水平か判定する(ステップ1015)。軌跡が右上がりであれば、処理部17は、抽出された列車スジの中で右下がりのもの、すなわち下り列車を抽出する(ステップ1016)。
一方、ステップ1015において、入力された軌跡が右下がりであれば、処理部17は、抽出された列車スジのなかから右下がりのもの、すなわち上り列車の列車スジを抽出する。
また、ステップ1015において、入力された軌跡が水平であれば、処理部17は、抽出された列車スジのなかから、停車中の列車の列車スジを抽出する。
図11Cを参照すると、入力された軌跡と各列車スジとの誤差による絞り込み処理において、処理部17は、候補の列車スジ毎に、入力された軌跡との誤差を取得する(ステップ1019)。次に、処理部17は、誤差が最小の列車スジと、誤差が所定範囲内の列車スジを抽出する(ステップ1020)。
次に、図12、13を参照して、運転整理画面21上の連続した区間を選択する方法について説明する。
図12は、画面上の連続した区間を選択する方法の一例を説明するための図である。ここでは、列車の一部区間運転休止(部分運休)の変更入力を例示する。
部分運休では、運転休止とする区間111を指定する必要があり、従来のマウスを用いた方法では、区間始端駅のクリック、区間終端駅までのポインタ移動、区間終端駅のクリックという少なくとも3段階の動作が必要であった。
これに対し、本実施形態では、指令端末11は、運転整理画面21への区間の指定において、スライド操作入力で描かれた軌跡の距離軸方向の範囲に対応する区間が指定されたと判断する。これによれば、タッチパネルスクリーンへのスライド操作入力により軌跡43を描くという1段階の動作で区間の指定が可能である。指令端末11は、区間の指定が可能な状態において、タッチパネルスクリーンに対して軌跡43が描かれると、その軌跡43の始端42から終端45までの範囲に対応する区間が指定されたと認識する。
図12の例では、画面左端の駅名が表示されている距離方向の軸(距離軸)をなぞるスライド操作入力によりなぞられた範囲に対応する区間が指定されたと判断する。これによれば距離軸をなぞることにより容易に区間を指定することができる。より具体的には、画面左端の駅名が表示されている距離軸を含む一定幅の帯状領域(駅名表示領域)112に軌跡43が描かれたら、指令端末11は軌跡43から区間を判断する。始端42は駅3が表示された近傍にあり、終端45は駅1が表示された近傍にあるので、指令端末11は駅3から駅1までの区間が指定されたと判断し、運転休止する区間として、その指定された区間111を表示する。
なお、図12の例では、駅名が表示された領域112を使用して区間を指定しているが、実施形態がこれに限定されることはなく、区間始端駅と区間終端駅が判定できるものであればよい。図13は、画面上の連続した区間を選択する方法の他の例を説明するための図である。運転整理画面21における列車スジを表示することができる領域へのスライド操作入力によって描かれた軌跡121の距離軸方向の範囲に対応する区間が指定されたと判断することにしてもよい。これによれば距離軸方向に範囲のある軌跡121を描くことで容易に区間を指定することができる。
また、列車スジをなぞるスライド操作入力によって描かれた軌跡122の距離軸方向の範囲に対応する区間が指定されたと判断することにしてもよい。これによれば、列車スジをなぞることにより区間を容易に指定することができる。
また、指令端末11は、タッチパネルスクリーンに、列車スジを描いた運転整理画面21において、列車スジ上に始端を有する軌跡を描くスライド操作入力により、列車スジが表わしている列車の運行の変更が指示されたと判断する。例えば、列車の順序変更、あるいは列車の運用の接続およびその切断を入力することができる。列車スジを始端とするスライド操作により容易に列車の運行を変更することができる。
図14、15を参照して、列車の順序を変更する指令の例について説明する。
基準となる列車の前を走ることになっている列車を基準となる列車の後ろを走ることにするというような列車の順序変更では、基準となる列車の選択と、順序を変更したい列車の選択と、順序を変更したい列車の基準となる列車に対する前後関係の指定といった多数の情報を入力する必要がある。
本実施形態では、マルチタッチ操作を用いて連続的な操作でこれらの情報を入力することができる。
図14は、基準となる列車の前を走ることになっている列車を基準となる列車の後ろを走ることにするという順序変更について説明するための図である。
基準となる列車の列車スジ5Cをタッチ131により押さえつつ、順序を変更したい列車の列車スジ3Bをドラッグ132により、基準列車の前から後ろ(または後ろから前)へ移動させるといった連続的な操作が行われたとき、指令端末11は、列車の順序変更が指定されたと判断する。これにより操作時間が短縮できる。また、順序変更における列車スジの位置関係の変化(ある列車が他の列車の後ろに移動する)と、実際に操作する際の指の動きが一致しており、直感的に理解しやすいインターフェースを提供できる。
図15は、3つの列車の順序変更について説明するための図である。
3つの列車の順序を変更する場合、従来のマウスによる操作では、順序変更の基準となる列車の選択、順序を変える1つめの列車の選択と移動、順序を変える2つ目の列車の選択と移動、といった多数の操作が必要であった。
一方、本実施形態では、指令端末11は、マルチタッチを利用し、図14に示した方法と同様の方法で、2つの列車1A、3Bの列車スジを同時に移動させるドラッグ操作141により3つの列車の順序変更が指示されたと判断する。これにより、2つの列車の順序変更をする場合と同程度の操作時間により、3つの列車の順序変更を入力することが可能である。また、2つの列車の順序変更と類似する操作性で3つの列車の順序変更が可能なので、操作方法を容易に理解あるいは類推することができる。
図16Aは、列車の運用変更の例として、列車の運用を接続する場合について説明するための図である。
指令端末11は、運用が接続されていない2つの列車1A、2Aの列車スジが同時にタッチされ、それらを互いに近づける方向にドラッグ153する軌跡が描かれたら、2つの列車を同じ車両で運用することを意味する運用のリンク154を形成する。
図16Bは、列車の運用変更の例として、列車の運用を切断する場合について説明するための図である。
指令端末11は、運用が接続された2つの列車1A、2Aの列車スジ23が同時にタッチされ、それらを互いに引き離す方向にドラッグ151されると、それら列車スジ23を接続していた運用のリンク152を切断する。
これによれば、2つの列車の選択とそれらに対する運用の切断あるいは接続を1つの操作で指示することができ、操作時間を短縮できる。また入力の内容と操作方法の関係が直感的であり、理解しやすいインターフェースである。
以下、図17〜21を参照して、本実施形態による、タッチパネルスクリーンの特性を活かした在線画面からの手動制御入力(進路構成等)について説明する。
図17は、在線画面において手動での進路構成を行う入力例を示す図である。
在線画面に表示された線路図26上を、構成したい進路の始端42から終端まで、その経路どおりになぞる軌跡43を描くと、指令端末11は、その軌跡43に基づき、その軌跡43でなぞられた進路を、構成すべき進路として認識する。そして、指令端末11は認識した進路の情報161を確認要求162と共に指令員に対して表示する。指令員が確認操作を行うと、指令端末11は、その進路の構成に関係する装置(進路制御装置)に対して進路構成の指示を発行する。
図18は、複数の経路171、172が存在する2点間の進路を構成する場合を示す図である。
従来の発点と着点を指定する進路構成方法では、途中に複数の経路が存在する2点間の経路を指定することが出来ない。そのため、このような進路を1度の入力で構成すると、指令員の企図に反する進路が構成される恐れがあった。このような問題は、特に線形が複雑になった場合に顕著となる。したがって、従来の方法では、列車の進路を経路が1通りに特定できるような短い区間(以下、単位進路と呼称)に区切って、単位進路ごとの進路構成を複数回行わなければならない。
一方、本実施形態では、指令端末11は、なぞるスライド操作入力でなぞられた経路、またはその経路のうちなぞられた部分を特定する。なぞることにより明示的に経路を指定して進路構成を指示するため、途中に複数の経路が存在するような2点間で、複数の単位進路を含む進路を一度の操作で構成することができ、操作性が向上する。
また、列車が走行する経路を指令員が意識しなくとも発点と着点の情報だけで進路を構成する従来の方法に対し、本実施形態のように、なぞる操作入力で列車が走行する経路を指令員が指定する方法では、指令員が進路構成時に常に経路を意識する必要があり、列車の侵入範囲を指令員に対して明確に認識させることができる。特に、保守作業現場の近傍を列車が通過する際などは、列車の侵入範囲を正確に認識して制御することが必要であり、本実施形態の方法はこのような制御を指令員に自然に行わせることができる。
図19は、手動での進路復位を行う場合を示す図である。構成されている進路181を在線画面上でなぞる操作入力がされると、指令端末11は、なぞられた区間の進路182に対する復位が指示されたことを認識する。この場合も、図18を用いて説明した進路を構成する場合と同様、進路が復位される範囲を指令員に対して明確に認識させることができる。
図20は、構成または復位したい進路を特定する具体的な処理について説明するための図である。在線画面の線路図上に、予め進路判定用の地点191を配置する。図20では、進路判定用の地点191を、黒塗りされた逆三角形で示している。
進路判定用の地点191は、2つの地点間を結ぶ経路が複数通り存在する場合に、必ず1通りの経路を特定できるように配置する。指令員が画面上に軌跡43を描くと、指令端末11は、その軌跡43の近傍に設定した探索領域192内に存在する、進路判定用の地点191の情報を軌跡43に沿った順で取得し、取得された地点191を結ぶために構成すべき単位進路を検索する。指令端末11は、取得した単位進路群の情報を指令員に対して表示し、指令員からの確認が得られれば、それらの進路構成または復位の指示を関係装置に対して発行する。
図21は、在線画面において路線上のある範囲を選択する場合を示す図である。具体的には、列車の進路を構成するのを抑制する区間を設定する場合、あるいは一時的な速度制限を課す区間を設定する場合が想定される。
このような場合、指令員は、画面に示された線路図上をなぞるスライド操作入力により軌跡43を描いて、設定したい範囲を指定する。指令端末11は、描かれた軌跡43に基づき、選択すべき線路上の区間を判断する。これによれば、設定したい区間の始端と終端を画面上のシンボルや設備名称から選択する従来の方法と比べ、より直感的で操作性が高い入力方法を提供することができる。
本実施形態では、タッチパネルスクリーンの特性を活かし、指令員による確認操作のためのインタフェースが提供される。マルチタッチ等により煩雑さを抑えつつ確実性の高い確認入力が可能となる。
図22は、確認操作の一例として進路構成を入力するときの確認操作について説明するための図である。この例ではマルチタッチが利用される。
本実施形態では、通常の進路構成の操作を行おうとした場合、指令端末11は、確認のタッチを要求する箇所(タッチ要求箇所)211をスクリーン上に表示し、そのタッチ要求箇所211に対するタッチ操作がされると、指令員の確認が得られたと判断する。
一方、構成する際に特に注意を要する進路に対する操作を行おうとする場合、確認操作の確実性を高めることが求められる。例えば、図22の右図に示すような、通常の運転方向と逆方向の進路を構成する場合などがこれに該当する。
指令端末11は、2つのタッチ要求箇所212、213をスクリーン上に表示し、その両方がタッチされたことが検出されると、指令員による確認が得られたと判断する。
従来、確実性の高い確認を実現するために、指令員が確認の操作を行ったあと再度確認を要求するという2段階の確認方法が見られた。しかし、その方法では、操作誤りが無くても常に2度の確認のための操作が必要であり、操作が煩雑であり、操作性が高いとは言えない。
一方、本実施形態の方法では、通常のレベルの確認についても、高い確実性の確認についても、1度の操作で入力が可能であり、操作性が高い。
また本実施形態では、通常の確認と高い確実性を求める確認とで、確認のための操作入力が大きく異なるため、指令員に対して高い注意喚起を行うことができる。
図23は、多様な入力パターンを利用した確認操作について説明するための図である。この例ではタッチパネルスクリーンの特性を活かして多様なタッチ操作入力のパターンを実現する。
図23の左図は、通常の操作の確認であれば、要求箇所221への1点のタッチ操作で指令員の確認が得られたと判断する指令端末11が、特別な操作の確認の場合には要求箇所221への2点のタッチ操作があったら指令員の確認が得られたと判断するということを示している。指令員は通常の確認操作を指一本によるタッチで行っているが、特別な操作の確認のときには、それとは違う指二本でのタッチで行うこととなるので、指令員への注意喚起が高まる。
図23の右図は、通常の操作の確認であればタッチ操作で指令員の確認が得られたと判断する指令端末11が、特別な操作の確認の場合には、要求箇所222への指をスライドするスワイプ操作での確認を要求することを示している。通常の操作と特別な操作に対して確認操作を明確に区別し、それを指令員に意識して行わせることができ、安全性が高い。また、正しく確認操作を行った場合には1度の入力で済むため操作性も高い。
本実施形態では、実行する処理とその処理を起動する操作の関係を指令員が変更可能に設定することができる。
図24は、入力操作と処理の関係を管理する方法について説明するための図である。
指令端末11は、指令員の指定によって対応づけた操作と処理を示す対応付けテーブル231と、処理をグループ分けした処理分類テーブル232と、操作をグループ分けした操作分類テーブル233とを管理する。対応付けテーブル231は指令員によって設定を変更することができる。
本実施形態では、指令員が処理に操作を割り当てようとしたとき、指令端末11は、処理分類テーブル232と操作分類テーブル233の情報を基に、その設定が許容できるか否か判定し、許容できる場合のみ、その割り当てを対応付けテーブル231に反映させる。各処理に割り当てることのできる操作を制限することで、わずかな操作の誤りや指令端末11側でのタッチ操作の検出の誤りによって、起動すべきでない処理が誤って起動されることを防ぐことができる。
具体的には、指令端末11は、処理分類テーブル232において、混同すべきではない処理をそれぞれ異なる処理グループに分類しておく。また、指令端末11は、操作分類テーブル233において、類似の操作を同一の操作グループに分類しておく。そして、指令員が処理に対する操作の割り当てを要求したとき、指令端末11は、異なる処理グループに属する処理に対して、同一の操作グループに属する操作を割り当るような要求であったら、その割り当ての要求を拒否する。そのような割り当て設定を行うと、操作誤りの危険性が高いと考えられるからである。
このような判定処理を組み込むことで、各処理に対する操作の割り当てを指令員に開放しても、操作誤りを誘発するような設定がされることを未然に防ぐことが出来る。指令員側では、安全性を保ったまま自らの使い勝手に合わせて設定を調整することが可能であり、更なる操作性の向上が可能である。
本実施形態では、処理と操作との対応付けを変更可能に設定する際、指令員が意識しなくても、指令端末11が、異なる画面における類似する処理に、類似する操作を割り当てることを提案する。操作インタフェースの統一化により高い操作性を容易に維持することができる。
図25は、指令端末11による操作インタフェース統一化の処理について説明するための図である。異なる画面での類似の操作に対して類似の処理を割り当てることで、インターフェースが統一化される。
図25を参照すると、指令端末11は、上段の運転整理画面と下段の在線画面のいずれにおいても、1本指でのタッチ241がされたときタッチされた対象の情報(列車情報242)を表示し、2本指でのタッチ243がされたときタッチの対象に対して操作可能なメニュー244を表示する。
次に、操作と処理の対応付けテーブル231に対して指令員が変更をするときの指令端末11の動作について説明する。例えば、指令員が運転整理画面におけるメニュー表示を起動する操作を3本指でのタッチに変更することを指令端末11に指示すると、指令端末11は、運転整理画面での操作と処理の対応付けだけでなく、在線画面での操作と処理の対応付けについても、3本指でのタッチ操作と、メニューを表示するという処理とを対応付けることに問題が無いことを確認し、問題がなければそのように対応付けテーブル231を更新することを指令員に提案する。
また、上述したように、本実施形態では、指令端末11は所定の処理と処理を起動する操作とを対応付けテーブル231にて対応付けることができる。指令端末11において、単純な操作であるが類似した操作が存在しないようなシンプルな特殊操作に対して緊急性の高い処理を割り当てておけば、指令員は緊急性の高い処理を素早く指示することが可能となる。
図26は、特殊操作により緊急性の高い処理を起動する様子について説明するための図である。
ここでは一例として、指令端末11には、3か所のタッチ箇所が同一方向に回転するように軌跡を描いたとき、駅構内へ入場する全ての進路を一斉に復位し、列車の入場を禁止にするという操作と処理の対応付けが設定されているとする。
図26を参照すると、複数の進路251が構成されている状態で、指令員が3本指でタッチパネルスクリーンにタッチし、そのまま手を回転させるという操作252をすると、構成されていた進路251が全て復位する。例えば、ホームから乗客が線路上に転落したことを検知した場合等に、直ちに必要な指示を入力するということが可能となる。
また、本実施形態では、タッチパネルスクリーンに対して指ではなく、専用のペンでタッチ操作を行うこともできる。図27は、専用のペン261でタッチ操作を行う様子を示す図である。
ペンによるタッチ操作は、指によるタッチ操作と比較して、より細かい点(より狭い範囲)を精密に指示することが出来る。また、通常、指令端末でダイヤ情報をもとに列車スジを描くことができるが、本実施形態の指令端末11は、それに加え、それとは逆にペン261によって描かれた列車スジからダイヤ情報を作成することも可能である。
具体的には、指令端末11は、図27に示すように、描画された列車スジ262と、列車に対して到着時刻等の時刻情報を設定する地点(駅等)を表す線263の交点の時刻264を取得し、その時刻を順に並べることで、列車スジからダイヤ情報を生成する。
また、ダイヤ情報を変更する場合、既に描かれている列車スジを消去することも必要となる。本実施形態では、指令端末11は、マルチタッチ操作の特性を活かし、画面上の所定の領域へ所定のタッチ操作がされると、ペンの機能が軌跡を描くという機能から他の機能へ変化する。
例えば、図27を参照し、ペンを持つ手と反対の手で画面上の別の領域265へタッチ操作すると、ペンが画面上のデータに対するイレーザーへと瞬時に切り替わる。
元々、列車の運行計画をダイヤグラムとして表示するという方法はダイヤグラムを手書きしていた時代に確立されたものであり、本実施形態では、その手書きの方法がコンピュータ上で再現される。従って、手書きはダイヤグラムという表示形式と親和性が高い、即ち操作性が高い入力方法である。
本実施形態による指令端末11は、タッチパネルスクリーンの画面領域を複数に分割し、それぞれに運転整理画面あるいは在線画面を複数個表示し、それぞれの画面から個別に指令員による操作入力を受け付けることができる。そして、それぞれの画面をあたかも別個独立した指令端末のように機能させることができる。
図28は、画面領域に2つの運転整理画面を表示している場合を示す図である。指令端末11は、マルチタッチ操作が可能であり、画面上の複数の点を同時に指示できる。例えば、1台の大型ディスプレイで複数の指令員が同時に別個の入力を行うことが可能である。本実施形態によれば、複数の指令員が同じ情報を見ながら情報の入力を行えるため、指令員間での情報の共有が行いやすい。
また、本実施形態の指令端末11は、複数の仮想的な指令端末で別個の入力が行われた場合、それぞれの指令端末で検出された指示の内容の組み合わせについて矛盾がないかという整合性チェックを行い、矛盾の無いような処理を行う。このことにより、1つの指令端末11で実現された複数の仮想的な指令端末が発行する指令同士については、サーバ12に指示を出す前に整合性チェックが可能である。
なお、本実施形態の指令端末11は、更に、画面領域の分割を行わなくとも、単一の画面に対して2つの箇所でそれぞれ操作を入力することを可能としてもよい。ただし、その場合、一方の指令員にて行った画面のスクロールや拡大/縮小といった表示変更操作を他方の操作者に影響させたくない場合が考えられる。画面領域を複数に分割してそれぞれに画面を表示すれば、双方の指令員がそれぞれに都合の良い画面表示を利用することができる。
以上説明した本実施形態を以下のように整理することもできる。
指令端末11は表示入力部16と処理部17とを有している。
表示入力部16は、画像を表示する表示面と操作入力を検出する入力面を重ねたタッチパネルスクリーンを備えている。処理部17は、表示入力部16に列車運行管理のための画像を表示させ、また表示入力部16で検出された操作入力に基づいて所定の処理を実行する。
そして、処理部17は、表示入力部16のタッチパネルスクリーンに列車運行管理のための線型オブジェクト(列車スジおよび線路図はその例)を含む列車運行管理画面(運転整理画面および在線画面はその例)を表示させ、表示入力部16でタッチパネルスクリーンに対する線型オブジェクトをなぞるスライド操作入力が検出されると、その線型オブジェクトを特定する。列車スジあるいは線路を線で模して描いた線型オブジェクトをなぞる操作により、その線型オブジェクトを指定することができるので、タッチパネルスクリーンで容易に行うことができるタッチ入力により、列車運行管理画面の所望の線型オブジェクトを指定することができる。
なお、なぞるスライド操作というのは、指定したい線型オブジェクト上または近傍を線型オブジェクトに沿って、線型オブジェクトと略同一の傾きの軌跡を描くスライド操作である。
また、本実施形態では、一例として、列車運行管理画面は、時間軸と駅配列方向の距離軸により運行計画ダイヤを描いた運転整理画面であり、線型オブジェクトは列車スジを表わす。運転整理画面に対する、なぞるスライド操作により所望の列車スジを容易に選択することができる。
そして処理部17は、上り列車の列車スジを表わす線型オブジェクトと、下り列車の列車スジを表わす線型オブジェクトとの交点付近を通る軌跡のスライド操作入力が検出されたとき、軌跡の傾き方向と同じ傾き方向を有する方の線形オブジェクトを特定する。スライド操作入力の軌跡の傾きだけで所望の列車スジを容易に特定することができる。
また、処理部17は、複数の列車の列車スジが近接する付近を通る軌跡のスライド操作入力が検出されたとき、軌跡を含む所定幅の帯状の探索領域によって切り取られる線分が最も長い線型オブジェクトを特定する。スライド操作入力の軌跡の帯状の領域を探索するだけで所望の列車スジを容易に特定することができる。
また、処理部17は、スライド操作の始端と終端の間の複数箇所で算出した軌跡との距離の平均値が、所定の閾値以下であり、かつ最も小さい線型オブジェクトを特定する。スライド操作入力の軌跡と列車スジの一致度により所望の列車スジを確実に特定することができる。
また、処理部17は、複数の列車の列車スジが近接する付近を通る軌跡を描くスライド操作入力が検出されたとき、その軌跡と類似する幾何学的形状を有する線型オブジェクトを特定する。スライド操作入力の軌跡の幾何学的形状を判断するだけで所望の列車スジを容易に特定することができる。
また、図10を用いて説明したように、処理部17は、複数の列車の列車スジが近接する付近を通る複数本の軌跡を描くスライド操作入力が検出されたとき、軌跡の本数に基づいて、複数の列車のうちいずれの列車の列車スジを表わす線型オブジェクトを特定するか選択する。なぞるスライド操作入力を行う指の本数により容易に所望の列車スジを指定することができる。
またもう一つの例として、列車運行管理画面は、少なくとも線路および駅を模擬的に描いた在線画面であり、前記線型オブジェクトは線路を表わす。処理部17は、なぞるスライド操作入力でなぞられた線型オブジェクト、またはその線型オブジェクトのうちなぞるスライド操作入力でなぞられた部分、を特定する。在線画面に対する、なぞるスライド操作により所望の線路を容易に選択することができる。
また、図20を用いて説明したように、処理部17は、複数本の分岐線に分岐する形状の線型オブジェクトの近傍の通る軌跡のスライド操作入力が検出されたとき、その軌跡を含む所定幅の帯状の探索領域に含まれる部分が最も長い分岐線を特定する。探索領域を調べることで容易に分岐線を特定することができる。
また、図19を用いて説明したように、処理部17は、少なくとも一部が選択範囲として選択されている線路を表わす線型オブジェクトの選択範囲に含まれる部分をなぞるスライド操作入力が検出されたとき、なぞられた部分の選択を解除する。なぞる操作により容易に選択を解除する部分を指定することができる。
また、本実施形態では、処理部17は、表示入力部16のタッチパネルスクリーンに、時間軸と駅配置方向の距離軸による線型オブジェクトで運行計画ダイヤの列車スジを描いた運転整理画面を表示させ、区間の指定において運転整理画面へのスライド操作入力で描かれた軌跡の距離軸方向の範囲に対応する区間が指定されたと判断する。運転整理画面へのスライド操作により容易に区間を指定することができる。
また、図12を参照して説明したように、処理部17は、距離軸をなぞるスライド操作入力によってなぞられた範囲に対応する区間が指定されたと判断する。距離軸をなぞることにより容易に区間を指定することができる。
また、処理部17は、運転整理画面における列車スジを表示することができる領域へのスライド操作入力によって描かれた軌跡の距離軸方向の範囲に対応する区間が指定されたと判断する。距離軸方向に範囲のある軌跡を描くことで容易に区間を指定することができる。
あるいは、処理部17は、線型オブジェクトをなぞるスライド操作入力によって描かれた軌跡の距離軸方向の範囲に対応する区間が指定されたと判断する。線型オブジェクトをなぞることにより区間を容易に指定することができる。
また、本実施形態では、処理部17は、表示入力部16のタッチパネルスクリーンに、時間軸と駅配置方向の距離軸による線型オブジェクトで運行計画ダイヤの列車スジを描いた運転整理画面を表示入力部16に表示させ、列車スジ上に始端を有する軌跡を描くスライド操作入力により、列車スジが表わしている列車の運行の変更が指示されたと判断する。列車スジを始端とするスライド操作により容易に列車の運行を変更することができる。ここで、運行は、列車の駅での発着時刻を含む。
また、図14、15を用いて説明したように、処理部17は、第1の列車スジと第2の列車スジにタッチした状態から、第1の列車スジへのタッチ位置を固定して、第2の列車スジ上のタッチ位置からスライドして第1の列車スジのタッチ位置を超える位置まで軌跡が描かれると、第1の列車スジの列車と第2の列車スジの列車との運行順序の入れ替えが指示されたと判断する。複数の列車スジにタッチした状態からタッチ位置を入れ替えるようなスライド操作により、列車の運行順序を容易に変更することができる。
また、図16A、16Bを参照して説明したように、処理部17は、駅へ到着する列車の第1列車スジとその後で駅から出発する第2列車スジとを同時にタッチした状態から、2つのタッチ位置が互い近づくように2つの軌跡が描かれると第1列車スジの列車と第2列車スジの列車の運用の接続が指示されたと判断し、運用が接続された第1列車スジと第2列車スジとを同時にタッチした状態から、2つのタッチ位置が互い遠ざかるように2つの軌跡が描かれると第1列車スジの列車と第2列車スジの列車の運用の切断が指示されたと判断する。2つの列車スジの運用の接続または切断を、2つの列車スジを始端とする2つの軌跡により容易に指示することができる。
また、図25を参照して説明したように、処理部17は、表示入力部16のタッチパネルスクリーンに対するタッチ操作入力が検出されたとき、タッチ操作入力のタッチ箇所の個数に基づいて、実行する処理を決定する。タッチ操作入力の指の数により容易に処理内容を指定することができる。
また、図26を参照して説明したように、処理部17は、表示入力部16のタッチパネルスクリーンに対するタッチ操作入力が検出されたとき、タッチ操作入力のタッチ箇所の個数とタッチ箇所が描く軌跡に基づいて、実行する処理を決定する。タッチ操作入力の指の数と動かし方により容易に処理内容を指定することができる。
また、図22、23を参照して説明したように、処理部17は、所定の処理を実行する前に、その処理に応じて確認操作を定めた、その処理を実行してよいかどうかを確認するため確認操作入力オブジェクトを表示し、確認操作入力オブジェクトに対して確認操作が行われたら処理を実行する。処理によって確認操作を変えることにより利用者が確実に確認した上で確認操作をすることを促すことができ、タッチパネルスクリーンを利用しているので少ない操作回数の確認操作を複数種類設定することができる。
また、図24を参照して説明したように、処理部17は、タッチパネルスクリーンに対するタッチ操作入力の、タッチ操作入力がされたときに実行する処理への割り当てを変更可能に設定することができ、類似したタッチ操作入力を同一の操作グループに分類した操作グループ管理情報と、混同すべきでない処理をそれぞれ異なる処理グループに分類した処理グループ管理情報とを予め管理し、異なる処理グループに属する処理に同一の操作グループに属するタッチ操作入力を割り当てることを禁止する。処理とタッチ操作を使い易いようにカスタマイズ可能にするとともに、混同すべきでない処理に類似のタッチ操作が割り当てられるのを防止することができる。
また、図4を参照して説明したように、画面は複数の領域を含み、処理部17は、画面内の複数の領域の配置を変更可能に設定する。列車運行管理のための複数の領域のタッチパネルスクリーン上の配置をカスタマイズすることができる。
また、複数の領域には、メニューボタンを表示する領域と、列車スジを表示する領域とが含まれる。メニューの位置をタッチ操作を前提とした好適な位置に配置できる。
以上の本実施形態の説明のため、列車運行管理の指令員が指令端末11を用いて操作する例を示したが、ここに示した指令端末11のタッチ操作の操作性を列車運行管理システムの他の端末にも適用してもよい。例えば、保守作業用端末15に指令端末11と同じタッチ操作の操作性を持たせることもできる。保守作業現場に持ち出して保守作業用端末15を持ち出し、保守作業用の車両の進路を構成するとき等に使用することが可能である。
更に、携帯型のタブレット端末に、上述したような指令端末11の操作性を与えれば、指令員が集まる会議などで、それぞれがタブレット端末を操作しながら運転整理案を検討するなどといったことが可能となる。
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。