JP6325313B2 - シート状粘着剤および粘着シート - Google Patents

シート状粘着剤および粘着シート Download PDF

Info

Publication number
JP6325313B2
JP6325313B2 JP2014073134A JP2014073134A JP6325313B2 JP 6325313 B2 JP6325313 B2 JP 6325313B2 JP 2014073134 A JP2014073134 A JP 2014073134A JP 2014073134 A JP2014073134 A JP 2014073134A JP 6325313 B2 JP6325313 B2 JP 6325313B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
sensitive adhesive
sheet
meth
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014073134A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015193760A (ja
Inventor
剛史 安齋
剛史 安齋
雄一 倉田
雄一 倉田
仁 大橋
仁 大橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lintec Corp
Original Assignee
Lintec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lintec Corp filed Critical Lintec Corp
Priority to JP2014073134A priority Critical patent/JP6325313B2/ja
Publication of JP2015193760A publication Critical patent/JP2015193760A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6325313B2 publication Critical patent/JP6325313B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

本発明は、シート状粘着剤および粘着シートに関する。
特に、薄膜であるにもかかわらず優れた粘着力および保持力を有し、かつ、シーズニングレスであるシート状粘着剤およびこれを用いた粘着シートに関する。
モバイル機器等の電子機器の製造において、最終的に製品内に組み込まれる電子部品等(例えば、放熱用の熱伝導性材料等)を貼合するために用いられる粘着シートは、スペースの制約や軽量化の観点から薄膜であることが要求される。
また、かかる用途においては、被着体である電子部品等の表面特性が多岐にわたり、例えば、マット面や低極性面である場合も多いため、粘着シートには優れた粘着力が要求される。
また、かかる用途においては、最終的に製品に組み込まれる電子部品等を貼合することから、所定の荷重に抗して長期的に電子部品等の貼合を保持する必要があるため、粘着シートには優れた保持力も要求される。
さらに、かかる用途の粘着シートは、一般に、電子機器メーカーからの受注の増減が激しいため、在庫を減らして品質の安定化を向上させる観点から、受注後に製造を開始し、速やかに出荷することが望ましい。
そのためには、粘着剤の架橋に必要なシーズニング期間を省略し、所謂「シーズニングレス」とすることが要求される。
この点、最終的に製品内に組み込まれる電子部品等を貼合する用途の両面粘着テープであって、粘着力および高温保持力に優れた両面粘着テープが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、特許文献1には、重量平均分子量が70万以上で、アクリル酸ブチル単位の含有量が90重量%以上のアクリル酸エステル系共重合体と、粘着性付与剤を主成分とし、かつ該粘着性付与剤の含有量が40〜60重量%の粘着剤層を、芯材の両面に有する両面粘着テープであって、該芯材および両面の粘着剤層を合わせた総厚さが30μm以下であり、両面の粘着剤層の厚さが、それぞれ2〜10μmであることを特徴とする両面粘着テープが開示されている。
また、主にディスプレイにおいて光学フィルムを貼合する用途の光学用粘着剤組成物であるが、シーズニングレスを可能とした光学用粘着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
すなわち、特許文献2には、下記(A)〜(D)成分を含有する光学用粘着剤組成物が開示されている。
(A)重量平均分子量が20万〜250万である(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部
(B)重量平均分子量が3万〜150万である、側鎖にエチレン性二重結合を有する反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体1〜50重量部
(C)多官能(メタ)アクリレート化合物0.1〜50重量部
(D)光重合開始剤0.01〜10重量部
特開2007−169327号公報(特許請求の範囲) 特開2011−93957号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に開示されている両面粘着テープは、イソシアネート系架橋剤により所定のアクリル酸エステル系共重合体同士を熱架橋することで、所定の粘着力や保持力を得る構成であることから、シーズニングレスとして構成することができないという問題が見られた。
一方、特許文献2に開示されている光学用粘着剤組成物は、反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体同士を、多官能(メタ)アクリレート化合物により光架橋する一方、非反応性(メタ)アクリル酸エステル重合体については架橋しないことで、光学フィルムを貼合するのに必要な粘着力や保持力を得ている。
しかしながら、特許文献2に開示されている光学用粘着剤組成物を、最終的に製品内に組み込まれる電子部品等を貼合する用途に用いた場合には、粘着力が不十分であり、マット面や低極性面を有する電子部品等を安定的に貼合することが困難になるという問題が見られた。
そこで、本発明者等は、以上のような事情に鑑み、鋭意努力したところ、(メタ)アクリル酸エステル重合体に対して、粘着付与樹脂、多官能(メタ)アクリレート化合物および光重合開始剤をそれぞれ所定の範囲で配合し、光硬化することにより、薄膜であるにもかかわらず優れた粘着力および保持力を有し、かつ、シーズニングレスであるシート状粘着剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、薄膜であるにもかかわらず優れた粘着力および保持力を有し、かつ、シーズニングレスであるシート状粘着剤およびこれを用いた粘着シートを提供することにある。
本発明によれば、下記(a)〜(d)成分を含む粘着剤組成物を光硬化させてなるシート状粘着剤であって、シート状粘着剤の膜厚を1〜8μmの範囲内の値とするとともに、JIS Z 0237:2009に準拠して測定される粘着力を3〜15N/25mmの範囲内の値とし、かつ、
前記粘着剤組成物を光硬化させてから1日後のゲル分率をG1(%)とし、前記粘着剤組成物を光硬化させてから7日後のゲル分率をG2(%)とした場合に、下記関係式(1)を満足することを特徴とするシート状粘着剤が提供され、上述した問題を解決することができる。
{(G2−G1)/G1}×100≦30 (1)
(a)(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部
(b)粘着付与樹脂30〜70重量部
(c)多官能(メタ)アクリレート化合物1〜20重量部
(d)光重合開始剤0.1〜20重量部
すなわち、本発明のシート状粘着剤であれば、(メタ)アクリル酸エステル重合体に対して、粘着付与樹脂を所定の範囲で配合していることから、薄膜であるにもかかわらず優れた粘着力を得ることができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体に対して、多官能(メタ)アクリレート化合物および光重合開始剤をそれぞれ所定の範囲で配合していることから、薄膜であるにもかかわらず優れた粘着力を維持しつつ、優れた保持力を得ることができる。
さらに、多官能(メタ)アクリレート化合物を光硬化して架橋構造を形成することから、熱架橋剤の配合を省略、もしくは制限して、シーズニングレスのシート状粘着剤として構成することができる
加えて、シーズニングレスとした場合であっても、優れた粘着力および保持力をさらに安定的に両立させることができる。
また、本発明のシート状粘着剤を構成するにあたり、(b)成分としての粘着付与樹脂が、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステルおよび石油系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
このように構成することにより、粘着力をより向上させることができる。
また、本発明のシート状粘着剤を構成するにあたり、(c)成分としての多官能(メタ)アクリレート化合物が、2官能(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
このように構成することにより、粘着力をさらに向上させることができるばかりか、所定のゲル分率を安定的に得ることができ、ひいては保持力をより向上させることができる。
また、本発明のシート状粘着剤を構成するにあたり、(d)成分としての光重合開始剤が、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤を含むことが好ましい。
このように構成することにより、粘着力をより一段と向上させることができるばかりか、所定のゲル分率をより安定的に得ることができ、ひいては保持力をさらに向上させることができる。
また、本発明のシート状粘着剤を構成するにあたり、ゲル分率を5〜35%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、優れた粘着力および保持力をより安定的に両立させることができる。
また、本発明の別の態様は、プラスチック基材の少なくとも一方の表面にシート状粘着剤を有する粘着シートであって、シート状粘着剤が、下記(a)〜(d)成分を含む粘着剤組成物を光硬化させてなるシート状粘着剤であり、シート状粘着剤の膜厚を1〜8μmの範囲内の値とするとともに、JIS Z 0237:2009に準拠して測定される粘着力を3〜15N/25mmの範囲内の値とし、かつ、
前記粘着剤組成物を光硬化させてから1日後のゲル分率をG1(%)とし、前記粘着剤組成物を光硬化させてから7日後のゲル分率をG2(%)とした場合に、下記関係式(1)を満足することを特徴とするシート状粘着剤であることを特徴とする粘着シートである。
{(G2−G1)/G1}×100≦30 (1)
(a)(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部
(b)粘着付与樹脂30〜70重量部
(c)多官能(メタ)アクリレート化合物1〜20重量部
(d)光重合開始剤0.1〜20重量部
すなわち、本発明の粘着シートであれば、粘着剤が所定のシート状粘着剤であることから、総膜厚が10μm以下である極薄の粘着シートとして構成することができるばかりか、優れた粘着力および保持力を発揮することができ、しかもシーズニングレスで効率的に製造することができる。
また、本発明の粘着シートを構成するにあたり、プラスチック基材の両面にシート状粘着剤を有することが好ましい。
このように構成することにより、総膜厚が10μm以下である両面粘着シートを容易に得ることができる。
図1(a)〜(e)は、シート状粘着剤および粘着シートの製造方法を説明するために供する図である。
本発明の実施形態は、下記(a)〜(d)成分を含む粘着剤組成物を光硬化させてなるシート状粘着剤であって、シート状粘着剤の膜厚を1〜8μmの範囲内の値とするとともに、JIS Z 0237:2009に準拠して測定される粘着力を3〜15N/25mmの範囲内の値とすることを特徴とするシート状粘着剤である。
(a)(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部
(b)粘着付与樹脂30〜70重量部
(c)多官能(メタ)アクリレート化合物1〜20重量部
(d)光重合開始剤0.1〜20重量部
以下、本発明の実施形態であるシート状粘着剤を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
なお、本発明の別の実施形態である粘着シートについても、シート状粘着剤と同時に説明する。
1.(a)成分:(メタ)アクリル酸エステル重合体
(1)種類
(a)成分は、(メタ)アクリル酸エステル重合体であって、所謂アクリルポリマーである。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの両方を意味する。
かかる(a)成分の構成単位としての(メタ)アクリル酸エステルとして、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、および分子内に官能基を有する単量体を含有することが好ましい。
炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを適宜使用することができる。
例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチルおよび(メタ)アクリル酸ステアリル等の少なくとも1種であることが好ましい。
さらに、得られる粘着剤の粘着力を向上させる観点から、炭素数4〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることがより好ましく、アクリル酸ブチルまたはアクリル酸2−エチルヘキシルであることが特に好ましい。
また、分子内に官能基を有する単量体としては、例えば、官能基として水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基の少なくとも1種を含むことが好ましく、具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアクリルアミド類;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピル等の(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸等が挙げられる。
さらに、得られる粘着剤表面を適切な極性に調整するとともに、後述の(b)成分の粘着付与樹脂との相溶性を高める観点から、当該単量体としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルまたはエチレン性不飽和カルボン酸であることがより好ましい。
ここで、(a)成分の構成単位における、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと分子内に官能基を有する単量体の配合割合は、得られる粘着剤に適切な粘着力を付与し、かつ、後述の(b)成分の粘着付与樹脂との相溶性を高める観点から、重量比で100:0.1〜100:20であることが好ましく、100:0.5〜100:10であることがより好ましく、100:1〜100:5であることが特に好ましい。なお、分子内に官能基を有する単量体として、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルおよびエチレン性不飽和カルボン酸の両方を使用する場合、その配合割合は、上述したのと同様の観点から、重量比で100:10〜100:100であることが好ましく、100:20〜100:80であることがより好ましく、100:30〜100:60であることが特に好ましい。
また、(a)成分を構成する単量体として、所望により、その他の単量体を配合することができる。
その他の単量体として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系単量体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体に剛性を持たせ、得られる粘着剤の保持力等を高める観点から、その他の単量体としては、ビニルエステル類であることがより好ましく、酢酸ビニルであることが特に好ましい。
その他単量体の(a)成分中における配合割合は、本発明の効果を失わせない限りにおいて適宜使用できるが、とりわけ粘着剤に剛性を持たせる観点からは、酢酸ビニルを、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル100重量部に対して、0.1〜10重量部配合することが好ましく、1〜5重量部配合することがより好ましい。
(2)重量平均分子量
(a)成分の重量平均分子量を40万〜200万の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(a)成分の重量平均分子量が40万未満の値となると、シート状粘着剤の強度が低くなり、保持力が低下する場合があるためである。一方、(a)成分の重量平均分子量が200万を超えた値となると、シート状粘着剤を形成する際の粘着剤組成物の粘度が過度に上昇し、薄膜の場合、特に塗工性が悪化する場合があるためである。
したがって、(a)成分の重量平均分子量を50万〜180万の範囲内の値とすることがより好ましく、60万〜130万の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.(b)成分:粘着付与樹脂
本発明のシート状粘着剤は、(b)成分として粘着付与樹脂を含むことを特徴とする。
この理由は、粘着付与樹脂を含むことにより、薄膜であるにもかかわらず優れた粘着力を得ることができるためである。
(1)種類
また、粘着付与樹脂の種類としては、特に制限されるものではなく、従来公知の粘着付与樹脂を適宜選択して用いることができ、例えば、ロジン系樹脂(生ロジン、水添ロジン、ロジンエステル系)、キシレン樹脂、テルペン−フェノール樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂が挙げられる。
さらに、スチレン−ブタジエンブロックポリマー、スチレン−イソプレンブロックポリマー、エチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー、塩化ビニル/酢酸ビニル系ポリマー、アクリル系ゴム等のエラストマーも挙げられる。
中でも、粘着付与樹脂が、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステルおよび石油系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
この理由は、これらの粘着付与樹脂であれば、粘着力をより向上させることができるためである。
すなわち、これらの粘着付与樹脂は、主剤となる(メタ)アクリル酸エステル重合体に対する相溶性に優れ、かつ、(メタ)アクリル酸エステル重合体と比較して分子量が小さいため、粘着剤中で可塑剤的に作用し、シート状粘着剤の貯蔵弾性率を低下させて、被着体の凹凸への追従性を向上させることができるとともに、剥離時の粘着剤の変化量が大きくなる(被着体から外れづらくなる)ためであると推定され、そのため、粘着付与樹脂そのものの粘着性に加えて、さらなる粘着力の向上が得られる。
また、好ましい水添ロジンエステルとしては、例えば、荒川化学工業(株)製、パインクリスタル KE−100、KE−359、KE−311、KE−656、ハリマ化成(株)製、ハリタック F−85等が挙げられる。
なお、本発明において、「水添ロジン」とは、主成分としてアビエチン酸を含む精製ロジンに対して、触媒の存在下で水素を添加することによって得られるロジンを意味する。
また、「水添ロジンエステル」とは、水添ロジンをグリセリン、ペンタエリスリトール等のアルコールとエステル化したものを意味する。
また、好ましい不均化ロジンエステルとしては、例えば、荒川化学工業(株)製、スーパーエステルA−75、A−100、A−115、A−125、ハリマ化成(株)製、ハリタックFK100、FK125等が挙げられる。
なお、本発明において、「不均化ロジン」とは、主成分としてアビエチン酸を含む精製ロジンを中温で加熱するか、または高温下に酸触媒の存在下で反応させ、反応物をけん化することによって得られるロジンを意味する。
また、「不均化ロジンエステル」とは、不均化ロジンをグリセリン、ペンタエリスリトール等のアルコールとエステル化したものを意味する。
また、好ましい重合ロジンエステルとしては、例えば、荒川化学工業(株)製、ペンセル D−125、D−135、D−160、アラダイム R95、R−140、ハリマ化成(株)製、ハリタックPCJ、ハリエスター DS−130、DS−822、DS−816等が挙げられる。
なお、本発明において、「重合ロジン」とは、主成分としてアビエチン酸を含む精製ロジンに対して、硫酸、塩化アルミニウム等の触媒を使用して二量化したロジンを意味する。
また、「重合ロジンエステル」とは、重合ロジンをグリセリン、ペンタエリスリトール等のアルコールとエステル化したものを意味する。
また、好ましい石油樹脂としては、例えば、三井化学(株)製、FTR6100、FTR6110、FTR6125、FTR7100、FTR8100、イーストマンケミカル・カンパニー(株)製、ピコテックス75、100、125、LC等が挙げられる。
なお、本発明において、「石油樹脂」とは、C5系石油樹脂、C5−C9共重合系石油樹脂、ピュアモノマー樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂や、これらの水素化物等を意味する。
また、粘着付与樹脂が、水添ロジンエステル、重合ロジンエステルおよび石油系樹脂の混合物であることが好ましい。
この理由は、これらを混合して用いることにより、シート状粘着剤における粘着力および保持力のバランスを効果的に向上させることができるためである。
また、これらの粘着付与樹脂を相分離させることなく(a)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体に対して多量に配合させることができるためである。
すなわち、比較的軟化点の低い水添ロジンエステルおよび石油系樹脂は粘着力の向上に寄与し、比較的軟化点の高い重合ロジンエステルは保持力の向上に寄与する。
また、溶解度パラメーターの異なる水添ロジンエステル、重合ロジンエステルおよび石油系樹脂を併用することにより、これら粘着付与樹脂および(メタ)アクリル酸エステル重合体間の相溶性が向上し、より多くの粘着付与樹脂を添加することが可能となる。
また、水添加ロジンエステルの軟化点を50〜150℃の範囲内の値とし、重合ロジンエステルの軟化点を100〜180℃の範囲内の値とし、石油系樹脂の軟化点を50〜150℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、それぞれの粘着付与樹脂の軟化点をこのような範囲内の値とすることにより、これらの粘着付与樹脂を混合して用いた際の相溶性を、より向上させることができるとともに、得られる粘着力および保持力のバランスをさらに向上させることができるためである。
したがって、水添ロジンエステルの軟化点を75〜135℃の範囲内の値とし、重合ロジンエステルの軟化点を110〜160℃の範囲内の値とし、石油系樹脂の軟化点を75〜135℃の範囲内の値とすることがより好ましい。
特に、水添ロジンエステルの軟化点を80〜120℃の範囲内の値とし、重合ロジンエステルの軟化点を120〜150℃の範囲内の値とし、石油系樹脂の軟化点を80〜120℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)配合量
また、粘着付与樹脂の配合量を、(a)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、30〜70重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、粘着付与樹脂の配合量が30重量部未満の値となると、シート状粘着剤の貯蔵弾性率を低下させる効果が不十分となり、被着体の凹凸に追従できず、剥離時のシート状粘着剤の変形量が小さくなるものと推定され、十分な粘着力を得ることが困難になる場合があるためである。一方、粘着付与樹脂の配合量が70重量部を超えた値となると、粘着付与樹脂が(メタ)アクリル酸エステル重合体に相溶しにくくなって粘着力が低下したり、シート状粘着剤の貯蔵弾性率が過度に低下して保持力が低下したりする場合があるためである。
したがって、粘着付与樹脂の配合量を、(a)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、35〜65重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜60重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、粘着付与樹脂を、水添ロジンエステル、重合ロジンエステルおよび石油系樹脂の混合物として用いる場合、重量比でそれぞれ10〜45:1〜10:10〜45の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、それぞれの粘着付与樹脂の配合量をこのような範囲内の値とすることにより、これらの粘着付与樹脂を混合して用いた際の相溶性を、より向上させることができるとともに、得られる粘着力および保持力のバランスをさらの向上させることができるとともに、得られる粘着力および保持力のバランスをさらに向上させることができるためである。
したがって、水添ロジンエステル、重合ロジンエステルおよび石油系樹脂の重量比は、それぞれ15〜35:1.5〜8:15〜35の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜30:2〜5:20〜30の範囲内の値とすることが特に好ましい。
3.(c)成分:多官能(メタ)アクリレート化合物
本発明のシート状粘着剤は、(c)成分として多官能(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする。
この理由は、多官能(メタ)アクリレート化合物を含むことにより、薄膜であるにもかかわらず、(b)成分としての粘着付与樹脂による優れた粘着力を維持しつつ、優れた保持力を得ることができるためである。
また、多官能(メタ)アクリレート化合物を光硬化して三次元網目構造を形成し、(a)成分等を当該構造内に捕捉するものと推定され、熱架橋剤の配合を省略、もしくは制限しても十分な凝集力を得ることができるため、シーズニングレスのシート状粘着剤として構成することができる。
なお、本発明における多官能(メタ)アクリレート化合物とは一分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するモノマー、あるいはオリゴマーを意味する。
(1)種類
また、多官能(メタ)アクリレート化合物の種類としては、特に制限されるものではなく、従来公知の多官能(メタ)アクリレート化合物を適宜選択して用いることができる。
特に、一分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するモノマーを好ましく挙げることができ、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、特に、骨格構造に環状構造を有することが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート構造を有するものや、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、エチレンオキサイド変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、アダマンタンジアクリレート等が好適である。
特に、イソシアヌレート構造を有する化合物であれば、極性が高いことから、シート状粘着剤の表面エネルギーを高くし、ひいては粘着力を向上させることができることから好適である。
また、一分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーを用いることも好ましく、具体的には、重量平均分子量20,000以下のポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系、シリコーンアクリレート系等が挙げられる。
ここで、ポリエステルアクリレート系オリゴマーとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシアクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシアクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリレートオリゴマーも用いることができる。
ウレタンアクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアナートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができ、ポリオールアクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
また、上述したアクリレート系オリゴマーの重量平均分子量は、GPC法で測定した標準ポリスチレン換算の値で、20,000以下が好ましく、より好ましくは1000〜10,000、さらに好ましくは3,000〜5,000の範囲で選定される。
なお、これらのオリゴマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、多官能(メタ)アクリレート化合物が、2官能(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
この理由は、2官能(メタ)アクリレート化合物であれば、粘着力をさらに向上させることができるばかりか、所定のゲル分率を安定的に得ることができ、ひいては保持力をより向上させることができるためである。
すなわち、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物を用いた場合、得られる架橋構造は密な網目構造となり、架橋密度が高くなるのに対し、2官能(メタ)アクリレート化合物を用いた場合には、反応が進んだ場合でも3官能以上の(メタ)アクリレート化合物を用いた場合と比較して、架橋構造が密にならないためであると推定される。
なお、好ましい2官能(メタ)アクリレートとしては、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
(2)配合量
また、多官能(メタ)アクリルレート化合物の配合量を、(a)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、1〜20重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、多官能(メタ)アクリレート化合物の配合量が1重量部未満の値となると、架橋密度が低くなって十分な保持力を得ることが困難になる場合があるためである。一方、多官能(メタ)アクリレート化合物の配合量が20重量部を超えた値となると、架橋密度が過度に高くなって、粘着力が低下する場合があるためである。
したがって、多官能(メタ)アクリレート化合物の配合量を、(a)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、1.5〜15重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、2〜8重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
4.(d)成分:光重合開始剤
(1)種類
(d)成分としての光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生させ、(c)成分間におけるラジカル反応を開始させることに寄与する。
また、かかる(D)成分としては、例えば、ベンソイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等を用いることが好ましい。
また、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤を含むことが好ましい。
この理由は、かかる光重合開始剤であれば、粘着力をより一段と向上させることができるばかりか、所定のゲル分率をより安定的に得ることができ、ひいては保持力をさらに向上させることができるためである。
すなわち、例えば、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤等の活性エネルギー線を照射した際のラジカルの発生効率が高い光重合開始剤を用いた場合には、硬化反応が素早く進行して、架橋構造が密になり、シート状粘着剤の貯蔵弾性率が高くなり、ひいては粘着力が低下する場合があるためである。
これに対し、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤を用いた場合には、ラジカルの発生効率がα−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤等と比較して低いため、架橋構造が密にならず、シート状粘着剤の貯蔵弾性率が低くなるためである。
なお、好ましいα−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製、イルガキュア184)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(イルガキュア1173)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュア2959)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア127)等が挙げられる。
(2)配合量
また、光重合開始剤の配合量を、(a)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、光重合開始剤の配合量が0.1重量部未満の値となると、活性エネルギー線が照射されても、十分な量のラジカルが発生せず、硬化反応が進行しない場合があるためである。一方、光重合開始剤の配合量が20重量部を超えた値となると、硬化反応が過度に進行し、粘着力が低下する場合があるためである。
したがって、光重合開始剤の配合量を、(a)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.2〜15重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
5.添加剤
また、添加剤として、酸化防止剤、帯電防止剤、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤等を配合することも好ましい。
また、その場合、添加剤の種類にもよるが、その配合量を、(a)成分100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
なお、本発明のシート状粘着剤は、光架橋のみで十分な性能を発揮できることから、基本的に熱架橋剤の添加は不要である。
また、粘着特性等の微調整のために、少量の熱架橋剤を添加する場合には、その配合量を、(a)成分100重量部に対して、0重量部を超えて0.3重量部以下の範囲内の値とすることが好ましく、0重量部を超えて0.2重量部以下の範囲内の値とすることがより好ましく、0重量部を超えて0.1重量部以下の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
6.粘着剤組成物の調製
本発明のシート状粘着剤を製造するために用いる粘着剤組成物は、必要に応じ、適当な溶媒中に、上述した必須成分としての(a)〜(d)成分等を加え、溶解または分散させることにより調製することができる。
また、使用する溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤等が挙げられる。
なお、このようにして調製された粘着剤組成物の濃度および粘度としては、プラスチック基材等に対して塗布可能な数値範囲であればよく、状況に応じて適宜選定することができる。
7.膜厚
また、本発明のシート状粘着剤の膜厚を1〜8μmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、シート状粘着剤の膜厚が1μm未満の値となると、十分な粘着力を得ることが困難になったり、安定した塗工面を得ることが困難になったりする場合があるためである。一方、シート状粘着剤の膜厚が8μmを超えた値となると、モバイル機器等の電子機器の製造において、最終的に製品内に組み込まれる電子部品等を貼合するために用いられる粘着シートに適用した際に、スペースの制約や軽量化等の要求に応じることが困難になる場があるためである。
したがって、シート状粘着剤の膜厚を1.25〜7μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜4μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
8.シート状粘着剤の特性
(1)粘着力
また、JIS Z 0237:2009に準拠して測定される粘着力を3〜15N/25mmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、粘着力が3N/25mm未満の値となると、マット面や低極性面に対する接着性が過度に低下し、製品内において電子部品等を安定的に貼合することが困難になる場合があるためである。一方、粘着力が15N/25mmを超えた値となると、被着体に貼付する際に気泡をかみやすくなる場合があるためである。
したがって、JIS Z 0237:2009に準拠して測定される粘着力を3.5〜9N/25mmの範囲内の値とすることがより好ましく、4〜8N/25mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)保持力
また、JIS Z 0237:2009に準拠して測定される40℃環境下における保持力を25mm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、保持力が25mmを超えた値となると、製品内において、所定の荷重に抗して長期的に電子部品等の貼合を保持することが困難になる場合があるためである。
したがって、JIS Z 0237:2009に準拠して測定される保持力を0〜20mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0〜10mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)ゲル分率
また、ゲル分率を5〜35%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ゲル分率が5%未満の値となると、凝集力が過度に低下して、十分な保持力を得ることが困難になる場合があるためである。一方、ゲル分率が35%を超えた値となると、粘着力が過度に低下しやすくなる場合があるためである。
したがって、ゲル分率を7〜33%の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜30%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)シーズニングレス性
また、粘着剤組成物を光硬化させてから1日後のゲル分率をG1(%)とし、粘着剤組成物を光硬化させてから7日後のゲル分率をG2(%)とした場合に、下記関係式(1)を満足することが好ましい。
{(G2−G1)/G1}×100≦30 (1)
この理由は、かかる関係式(1)を満足することにより、シーズニングレスとした場合であっても、優れた粘着力および保持力をさらに安定的に両立させることができるためである。
すなわち、関係式(1)を満足しない場合、経時的なゲル分率の変化割合が過度に大きくなって、シーズニングレスとして構成することが困難となるためである。
したがって、粘着剤組成物を光硬化させてから1日後のゲル分率をG1(%)とし、粘着剤組成物を光硬化させてから7日後のゲル分率をG2(%)とした場合に、下記関係式(1´)を満足することがより好ましく、下記関係式(1´´)を満足することがさらに好ましい。
{(G2−G1)/G1}×100≦20 (1´)
{(G2−G1)/G1}×100≦10 (1´´)
9.シート状粘着剤の製造方法
また、本発明のシート状粘着剤は、下記工程(1)〜(3)を経て製造することが好ましい。
(1)下記(a)〜(d)成分を含む粘着剤組成物を準備する工程
(a)(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部
(b)粘着付与樹脂30〜70重量部
(c)多官能(メタ)アクリレート化合物1〜20重量部
(d)光重合開始剤0.1〜20重量部
(2)粘着剤組成物を剥離フィルムに塗布する工程
(3)活性エネルギー線を100〜400mJ/cm2の範囲内の積算光量にて照射し、シート状粘着剤を得る工程
以下、各工程について説明する。
(1)工程(1):粘着剤組成物の準備工程
工程(1)は、(a)〜(d)成分を含む粘着剤組成物を準備する工程である。
かかる粘着剤組成物については、既に説明したため省略する。
(2)工程(2):塗布工程
工程(2)は、図1(a)に示すように、粘着剤組成物1を、剥離フィルム2に対して塗布する工程である。
かかる剥離フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムや、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルムに対し、シリコーン樹脂等の剥離剤を塗布して剥離層を設けたものが挙げられる。
なお、かかる剥離フィルムの膜厚は、通常20〜150μmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、剥離フィルム上に粘着剤組成物を塗布する方法としては、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を用いて粘着剤組成物を塗布して塗膜を形成した後、乾燥させることが好ましい。
このとき、塗膜の膜厚は、乾燥時において1〜8μmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、乾燥条件としては、通常50〜150℃で、10秒〜10分の範囲内の値とすることが好ましい。
また、図1(b)に示すように、剥離フィルム2に対して粘着剤組成物1を塗布して乾燥させた後、プラスチック基材101を粘着剤組成物1の上に積層させることが好ましい。
この理由は、かかる積層状態で、粘着剤組成物を光硬化させることにより、空気中の酸素の影響を受けることなく光硬化を進めて、安定的に粘着シートを製造することができるためである。
また、プラスチック基材としては、特に制限されるものではないが、従来粘着シートの基材として使用されているプラスチックフィルムの中から適宜選択して用いることができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等を挙げることができる。
なお、プラスチック基材の膜厚としては、スペースの問題および軽量化の観点から、0.5〜25μmの範囲内の値とすることが好ましく、1.5〜12μmの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜6μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、粘着シートの総膜厚としては、同様の観点から、1.8〜33μmの範囲内の値とすることが好ましく、1.75〜19μmの範囲内の値とすることがより好ましく、3.5〜10μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
かかる総膜厚の数値範囲は、後述する両面粘着シートの場合も同様である。
(3)工程(3):光硬化工程
工程(3)は、図1(c)に示すように、活性エネルギー線を100〜400mJ/cm2の範囲内の積算光量にて照射し、剥離フィルム2に対して塗布された粘着剤組成物1を光硬化し、シート状粘着剤10とする工程である。
かかる活性エネルギー線としては、例えば、紫外線や電子線等が挙げられる。
また、紫外線であれば、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、キセノンランプ等により得ることができ、電子線であれば、電子線加速器等により得ることができる。
また、活性エネルギー線の積算光量が100mJ/cm2未満の値となると、硬化反応に必要なエネルギーが与えられず、硬化反応が不十分になる場合がある。一方、活性エネルギー線の積算光量が400mJ/cm2を超えた値となると、製造効率が低下する場合がある。
したがって、活性エネルギー線の積算光量を150〜380mJ/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、200〜350mJ/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、活性エネルギー線の照射は、図1(c)に示すように、剥離フィルム2側から行うことが好ましい。
この理由は、プラスチック基材側から照射した場合、プラスチックフィルムを傷める可能性があり、また、活性エネルギー線がプラスチック基材で吸収等されて、光硬化の効率が低下する場合があるためである。
(4)両面粘着シート
また、上記においては、シート状粘着剤の製造方法の一例として、図1(a)〜(c)に示すように、プラスチック基材101の片面にシート状粘着剤10を有する片面粘着シート100aの製造方法を説明したが、図1(d)に示すように、プラスチック基材101の両面にシート状粘着剤10を有する両面粘着シート100bとして製造することも好ましい。
特に、モバイル機器等の電子機器の製造において、最終的に製品内に組み込まれる電子部品等を貼合する用途では、このような両面粘着シートが好適である。
また、かかる両面粘着シートの製造方法は、まず、剥離フィルムの剥離処理面に対して、粘着剤組成物を乾燥後の膜厚が1〜8μmになるように従来公知の塗工方法により塗工する。
次いで、50〜150℃の温度で10秒〜10分間乾燥した後、プラスチック基材を上述した粘着剤組成物の塗工面に接するように貼合する。
このとき、貼合後には、活性エネルギー線を照射してもしなくてもよい。
活性エネルギー線を照射するか否かの基準としては、粘着剤組成物の層やプラスチック基材の膜厚が厚い場合には、得られる2つの粘着剤層に十分な積算光量を得る観点から、この段階で活性エネルギー線を照射することが望ましく、粘着剤組成物の層やプラスチック基材の膜厚が薄い場合には、得られる2つの粘着剤層の物性差を小さくする観点から、この段階では活性エネルギー線を照射しないことが望ましい。
このようにして、剥離フィルム/粘着剤組成物(活性エネルギー線を照射している場合には粘着剤)/プラスチック基材からなる積層体を用意する。
次いで、上述したのと同様に、別の剥離フィルムの剥離処理面に対して粘着剤組成物を塗工し、剥離フィルム/粘着剤組成物からなる積層体を用意する。
次いで、最初に用意した剥離フィルム/粘着剤組成物(活性エネルギー線を照射している場合には粘着剤)/プラスチック基材からなる積層体のプラスチック基材面に対して、剥離フィルム/粘着剤組成物からなる積層体の粘着剤組成物の塗工面が接するように貼合する。
次いで、活性エネルギー線を照射し、図1(d)に示すような両面粘着シート100bを得ることができる。
なお、活性エネルギー線の照射は、両側から行ってもよいし、片側からのみでもよい。
また、照射条件は前述の通りである。
(5)ノンキャリア粘着シート
また、図1(e)に示すように、シート状粘着剤10の両面に剥離シート2を有する、所謂ノンキャリア粘着シート100cとして製造することも好ましい。
かかるノンキャリア粘着シートも、上述した両面粘着シートと同様に粘着シートの両面に粘着性を有することから、モバイル機器等の電子機器の製造において、最終的に製品内に組み込まれる電子部品を貼合する用途に好適である。
かかるノンキャリア粘着シートの製造方法としては、図1(e)に示すように、剥離フィルム2に対して粘着剤組成物1を塗布して乾燥させた後、さらに別の剥離フィルム2を、粘着剤組成物1の上に積層させ、いずれか一方の剥離フィルム2の側から、もしくは両方の側から活性エネルギー線を照射することが好ましい。
また、照射条件は前述の通りである。
以下、実施例を参照して、本発明のシート状粘着剤等をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
1.粘着剤組成物の調製
表1および以下に示すように、(a)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(b)成分としての粘着付与樹脂と、(c)成分としての多官能(メタ)アクリレート化合物と、(d)成分としての光重合開始剤と、を混合するとともに、酢酸エチルにて希釈し、固形分10重量%の粘着剤組成物を調製した。
なお、表1および下記における配合量は、固形分換算された値を示す。
(a)成分 :アクリル酸エステル重合体 100重量部
(BA/Vac/HEA/AAc=95.5/3/1/0.5、Mw:100万)
(b1)成分:水添ロジンエステル 25重量部
(荒川化学工業(株)製、パインクリスタル KE−100、軟化点:100℃)
(b2)成分:重合ロジンエステル 4重量部
(荒川化学工業(株)製、ペンセル D−135、軟化点:135℃)
(b3)成分:石油系樹脂 24重量部
(三井化学(株)製、FTR6100、軟化点:95℃)
(c)成分 :イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート 4重量部
(東亜合成(株)製、アロニックス M−215、2官能)
(d)成分 :1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.25重量部
(チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製、イルガキュア184)
また、上述した(メタ)アクリル酸エステル重合体は、以下のように重合した。
すなわち、まず、単量体として、アクリル酸ブチル(BA)95.5重量部と、酢酸ビニル(Vac)3重量部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)1重量部と、アクリル酸(AAc)0.5重量部とを用い、常法である溶液重合法(溶媒:酢酸エチル)に従って重合し、重量平均分子量100万のアクリル酸エステル重合体の溶液を得た。
なお、得られたアクリル酸エステル重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(以下、GPC法と略記する。)にて測定した。
すなわち、まず、ポリスチレンを用いて検量線を作成した。以降、重量平均分子量は、ポリスチレン換算値で表す。次いで、アクリル酸エステル重合体等の測定対象の濃度が1重量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液を準備し、東ソー(株)製、GEL PER MEATION CHROMATOGRAPH HLC−8020(TSKGEL GMHXL、TSKGEL GMHXL、TSKGEL G2000HXLからなる3連カラム)にて40℃、THF溶媒、1ml/分の条件にて重量平均分子量を測定した。そして、ガードカラムとして、東ソー(株)製、TSK GUARD COLUMNを使用した。
2.粘着剤組成物の塗布
次いで、得られた粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレート製剥離フィルム(リンテック(株)製、SP−PET251130)上に、乾燥後の膜厚が2μmとなるように、ナイフ式塗工機で塗布し、塗膜を形成した。
次いで、90℃、1分間の加熱条件で乾燥処理を施した後、塗膜の表面に対して、プラスチック基材としての膜厚6μmのポリエステルフィルムを貼合し、プラスチック基材/塗膜/剥離フィルムからなる積層体を得た。
3.粘着剤組成物の光硬化
次いで、得られた積層体の剥離フィルム側から、紫外線を下記条件で照射して、粘着剤組成物を光硬化させ、膜厚2μmのシート状粘着剤をプラスチック基材と剥離フィルムとで挟持してなる粘着シートを得た。
ランプ:高圧水銀ランプ(アイグラフィックス(株)製)
照度 :300mW/cm2
積算光量:300mJ/cm2
4.評価
(1)粘着力の評価
得られた粘着シートの粘着力(N/25mm)を、JIS Z 0237:2009に準拠して評価した。
すなわち、裁断装置(荻野製作所(株)製、スーパーカッター)を用いて、光硬化を行ってから1日後の粘着シートを幅25mm×長さ100mmの大きさに裁断して、測定サンプルとした。
次いで、得られた測定サンプルから剥離フィルムを剥離した後、被着体としてのSUS304#360に対して、2kgローラーにて1往復加圧貼付した。
次いで、加圧貼付の直後に、引張試験機(オリエンテック(株)製、テンシロン)を用いて、下記条件にて、粘着力(N/25mm)を測定した。得られた結果を表2に示す
剥離速度:300mm/分
剥離角度:180°
(2)シーズニングレス性の評価
得られた粘着シートのシーズニングレス性を、光硬化から1日後および7日後におけるゲル分率(%)により評価した。
但し、後述する比較例1については、光硬化性の粘着シートではなく、熱硬化性の粘着シートであるため、乾燥処理から1日後のゲル分率G1(%)および7日後のゲル分率G2(%)により評価した。
すなわち、光硬化から1日後および7日後の粘着シートを80mm×80mmのサイズに裁断した後、粘着剤のみを取り出してサンプルとした。
次いで、得られたサンプルを、ポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包んだ状態で、サンプルのみの重さを精密天秤にて秤量した。このときの重さをM1とする。
次いで、得られたサンプルを十分な量の酢酸エチル溶剤に対して、23℃の環境下で48時間浸漬した。
次いで、サンプルを取り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間風乾させた後、80℃のオーブンで12時間乾燥させた。
次いで、乾燥後のサンプルのみの重さを精密天秤にて秤量した。このときの重さをM2とする。
最後に、ゲル分率(%)を(M2/M1)×100の式から算出した。得られた結果(G1およびG2の値、並びに{(G2−G1)/G1}×100の値)を表2に示す。
なお、1日後のゲル分率と7日後のゲル分率との間で変化が小さい程、シーズニングレス性に優れていることを意味する。
(3)保持力の評価
得られた粘着シートの保持力(mm)を、JIS Z 0237:2009に準拠して評価した。
すなわち、裁断装置(荻野製作所(株)製、スーパーカッター)を用いて、光硬化を行ってから1日後の粘着シートを幅25mm×長さ25mmの大きさに裁断して、測定サンプルとした。
次いで、得られた測定サンプルから剥離フィルムを剥離した後、被着体としてのSUS304#360の垂直面に対して、2kgローラーにて1往復加圧貼付し、40℃環境下で15分間放置した。
次いで、1kgの重しを粘着シートに取付け、40℃環境下で24時間放置し、その際のずれ量を保持力(mm)とした。得られた結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例2では、粘着剤組成物における(b)成分の種類および配合量を以下のように変えたほかは、実施例1と同様に粘着シートを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
(b1)成分:水添ロジンエステル 20重量部
(荒川化学工業(株)製、パインクリスタル KE−100、軟化点:100℃)
(b2)成分:水添ロジンエステル 10重量部
(ハリマ化成(株)製、ハリタック F−85、軟化点:85℃)
(b3)成分:石油系樹脂 25重量部
(三井化学(株)製、FTR6100、軟化点:95℃)
[実施例3]
実施例3では、粘着剤組成物における(c)成分の種類を以下のように変えたほかは、実施例1と同様に粘着シートを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
(c)成分:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート 4重量部
(東亜合成(株)製、アロニックス M−315、3官能)
[実施例4]
実施例4では、粘着剤組成物における(d)成分の種類を以下のように変えたほかは、実施例1と同様に粘着シートを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
(d)成分:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン 1.25重量部
(チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製、イルガキュア907)
[比較例1]
比較例1では、粘着剤組成物において(c)成分および(d)成分を配合せず、以下のように熱架橋剤を配合し、かつ、紫外線照射による粘着剤組成物の光硬化をしなかったほかは、実施例1と同様に粘着シートを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
熱架橋剤:トリメチレンプロパンアダクトトリレンジイソシアナート 1重量部
(東洋インキ(株)製、BHS8515)
[比較例2]
比較例2では、粘着剤組成物において(b)成分を配合しなかったほかは、実施例1と同様に粘着シートを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例3]
比較例3では、粘着剤組成物において(c)成分および(d)成分を配合せず、かつ、紫外線照射による粘着剤組成物の光硬化をしなかったほかは、実施例1と同様に粘着シートを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例4]
比較例4では、粘着剤組成物を剥離フィルムに塗布した際の乾燥後の膜厚を10μmとし、膜厚10μmのシート状粘着剤をプラスチック基材と剥離フィルムとで挟持してなる粘着シートを得たほかは、実施例1と同様に粘着シートを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例5]
比較例5では、粘着剤組成物を剥離フィルムに塗布した際の乾燥後の膜厚を0.5μmとし、膜厚0.5μmのシート状粘着剤をプラスチック基材と剥離フィルムとで挟持してなる粘着シートを得たほかは、実施例1と同様に粘着シートを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0006325313
Figure 0006325313
以上、詳述したように、本発明によれば、(メタ)アクリル酸エステル重合体に対して、粘着付与樹脂、多官能(メタ)アクリレート化合物および光重合開始剤をそれぞれ所定の範囲で配合し、光硬化することにより、薄膜であるにもかかわらず優れた粘着力および保持力を有し、かつ、シーズニングレスであるシート状粘着剤を得ることができるようになった。
したがって、本発明のシート状粘着剤およびこれを用いた粘着シートは、特に、モバイル機器等の電子機器の製造において、最終的に製品内に組み込まれる電子部品を貼合する用途等において、好適に使用することができることから、モバイル機器等の電子機器における小型化や高品質化に著しく寄与することが期待される。
1:粘着剤組成物、2:剥離フィルム、10:シート状粘着剤、100a:片面粘着シート、100b:両面粘着シート、100c:ノンキャリア粘着シート、101:プラスチック基材

Claims (7)

  1. 下記(a)〜(d)成分を含む粘着剤組成物を光硬化させてなるシート状粘着剤であって、
    前記シート状粘着剤の膜厚を1〜8μmの範囲内の値とするとともに、
    JIS Z 0237:2009に準拠して測定される粘着力を3〜15N/25mmの範囲内の値とし、かつ、
    前記粘着剤組成物を光硬化させてから1日後のゲル分率をG1(%)とし、前記粘着剤組成物を光硬化させてから7日後のゲル分率をG2(%)とした場合に、下記関係式(1)を満足することを特徴とするシート状粘着剤。
    {(G2−G1)/G1}×100≦30 (1)
    (a)(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部
    (b)粘着付与樹脂30〜70重量部
    (c)多官能(メタ)アクリレート化合物1〜20重量部
    (d)光重合開始剤0.1〜20重量部
  2. 前記(b)成分としての粘着付与樹脂が、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステルおよび石油系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のシート状粘着剤。
  3. 前記(c)成分としての多官能(メタ)アクリレート化合物が、2官能(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のシート状粘着剤。
  4. 前記(d)成分としての光重合開始剤が、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシート状粘着剤。
  5. ゲル分率を5〜35%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシート状粘着剤。
  6. プラスチック基材の少なくとも一方の表面にシート状粘着剤を有する粘着シートであって、
    前記シート状粘着剤が、下記(a)〜(d)成分を含む粘着剤組成物を光硬化させてなるシート状粘着剤であり、
    前記シート状粘着剤の膜厚を1〜8μmの範囲内の値とするとともに、
    JIS Z 0237:2009に準拠して測定される粘着力を3〜15N/25mmの範囲内の値とし、かつ、
    前記粘着剤組成物を光硬化させてから1日後のゲル分率をG1(%)とし、前記粘着剤組成物を光硬化させてから7日後のゲル分率をG2(%)とした場合に、下記関係式(1)を満足するシート状粘着剤であることを特徴とする粘着シート。
    {(G2−G1)/G1}×100≦30 (1)
    (a)(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部
    (b)粘着付与樹脂30〜70重量部
    (c)多官能(メタ)アクリレート化合物1〜20重量部
    (d)光重合開始剤0.1〜20重量部
  7. 前記プラスチック基材の両面に前記シート状粘着剤を有することを特徴とする請求項6に記載の粘着シート。
JP2014073134A 2014-03-31 2014-03-31 シート状粘着剤および粘着シート Active JP6325313B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014073134A JP6325313B2 (ja) 2014-03-31 2014-03-31 シート状粘着剤および粘着シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014073134A JP6325313B2 (ja) 2014-03-31 2014-03-31 シート状粘着剤および粘着シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015193760A JP2015193760A (ja) 2015-11-05
JP6325313B2 true JP6325313B2 (ja) 2018-05-16

Family

ID=54433098

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014073134A Active JP6325313B2 (ja) 2014-03-31 2014-03-31 シート状粘着剤および粘着シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6325313B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117757378A (zh) * 2018-02-21 2024-03-26 日东电工株式会社 线状粘合体
TWI801499B (zh) * 2018-02-28 2023-05-11 日商綜研化學股份有限公司 雙面膠黏片及其用途

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3886470T2 (de) * 1987-08-14 1994-07-14 Minnesota Mining & Mfg Druckempfindliches Klebmittel.
JP3154745B2 (ja) * 1991-05-31 2001-04-09 日東電工株式会社 感圧性接着剤とその接着シ―ト
JPH0733832A (ja) * 1992-10-27 1995-02-03 Sekisui Chem Co Ltd 光重合性組成物及び粘弾性製品の製造方法
JP2000109770A (ja) * 1998-10-07 2000-04-18 Lintec Corp 粘着シートの製造方法および粘着シート
JP4875357B2 (ja) * 2005-12-19 2012-02-15 リンテック株式会社 両面粘着テープ
KR101374511B1 (ko) * 2007-03-09 2014-03-13 세키스이가가쿠 고교가부시키가이샤 점착제, 양면 점착 시트 및 표시 장치
JP5599177B2 (ja) * 2009-10-27 2014-10-01 リンテック株式会社 光学用粘着剤組成物、光学用粘着剤及び光学フィルム
JP5820619B2 (ja) * 2011-01-20 2015-11-24 日東電工株式会社 粘着テープ
JP5650166B2 (ja) * 2012-07-19 2015-01-07 日東電工株式会社 粘着シート、電子機器部材積層体及び光学部材積層体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015193760A (ja) 2015-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW201114866A (en) Adhesive composition for optics, optical adhesive and optical film
JP6632115B2 (ja) 接着性樹脂層及び接着性樹脂フィルム
EP3239259A1 (en) Adhesive resin layer and adhesive resin film
JP2007191671A (ja) 樹脂組成物、光学部材用粘着剤、光学部材用粘着剤の製造方法
JP2009173695A (ja) 光硬化型アクリル系粘弾性体組成物、アクリル系粘弾性体、アクリル系粘弾性体層テープ又はシート、及びそれらの製造方法
JP5161283B2 (ja) 電子部品の製造方法
JP6230761B2 (ja) 第1保護膜形成用シート
JP2020537025A (ja) 臨時固定用粘着シートおよびこれを用いた半導体装置の製造方法
JP6325313B2 (ja) シート状粘着剤および粘着シート
JP6166152B2 (ja) 保護フィルム用組成物、保護フィルム、積層体及び積層体の製造方法
JP7125259B2 (ja) 粘着シート
CN111278943A (zh) 多层粘合剂带
JP3797628B2 (ja) 感圧接着剤及びその接着シート
JP7166052B2 (ja) 粘着シート
JPWO2005044875A1 (ja) 重合性組成物及び(メタ)アクリル系熱伝導シートの製造方法
JP6714004B2 (ja) 粘着シート
JP7400572B2 (ja) 活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物および剥離型粘着シート
KR101750589B1 (ko) 광중합에 의한 용제형 점착제 조성물
JP2005023114A (ja) 感圧型両面接着テープ又はシート
KR101804598B1 (ko) 광중합에 의한 용제형 점착제 조성물 제조방법
JP5886886B2 (ja) 粘着フィルム
CN113195665B (zh) 光固化光学粘合剂组合物,由组合物生产的粘合剂及制备粘合剂的方法
JP5258466B2 (ja) 熱硬化型接着剤組成物および熱硬化型接着テープ又はシート、フレキシブル回路基板
JPH11335649A (ja) 熱硬化型接着剤組成物とその接着シ―ト類
WO2024106386A1 (ja) 粘着シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180410

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180412

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6325313

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250