JP6324575B1 - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力変換装置の制御回路により第2蓄電装置の電力使用を抑制するように制御する。【解決手段】電力変換装置は、パワー半導体素子3を有する電力変換回路2と、走行負荷用バッテリ4と補機バッテリ5との二電源に接続され、パワー半導体素子3を駆動制御する制御回路6とを備え、制御回路6は、走行負荷用バッテリ4からの電力を第1の電圧値に電圧変換する第1電圧変換回路7と、補機用バッテリ5からの電力を第2の電圧値に電圧変換する第2電圧変換回路8とを備え、予め設定された閾値電圧以上の電圧値で走行負荷用バッテリ4から電力供給されている場合は、第2電圧変換回路8の動作を停止させる。【選択図】図1

Description

この発明は電力変換装置に関し、特に、補機用バッテリと走行負荷用バッテリの少なくとも二電源系で構成された車両で用いられる電力変換装置に関するものである。
内燃機関と電動機とを動力源としたハイブリッド車両においては、一般的に、補機用バッテリと走行負荷用バッテリの少なくとも2種類の蓄電装置を備えている。補機用バッテリは、補機類に電力供給するためのバッテリである。また、走行負荷用バッテリは、電動機を駆動するための大電力向けのバッテリである。
このようなハイブリッド車両に搭載される電動機は、電動機としての電動機動作と発電機としての発電機動作の両方の動作が可能な発電電動機から構成される。そのため、ハイブリッド車両は、それらの動作の制御及び直流/交流の相互変換を行うために、電力変換装置を備えている。そして、そのような電力変換装置においては、制御回路用電源として補機用バッテリを使用し、駆動回路用電源として走行負荷用バッテリを使用することが多い。
上述したような発電電動機に備わっている電力変換装置は、常時、稼働状態にあるため、補機用バッテリから電力変換装置に対して絶えず給電している。また、補機用バッテリは、電力変換装置と同様に、常時、稼働状態にある上位制御装置であるECU(Electronic Control Unit)の電源として、あるいは、高電圧バッテリが伴った高電圧系電装部品の制御電源として機能するなど、車両内電源としての需要が高い。それゆえに、定期的に補機用バッテリを充電する必要がある。しかしながら、補機用バッテリは、充放電の頻度が高まることで、劣化が促進されてしまう。また、各補機類へ安定した給電を行う必要があるため、補機用バッテリは、十分な電力を確保する必要がある。そのため、補機用バッテリが大型化しやすいという問題点があった。
補機用バッテリの劣化を抑制するために、例えば特許文献1では、補機電池から補機負荷への電力供給および遮断を切り替えることが可能な遮断部が設けられている。特許文献1では、制御装置が、遮断部が遮断状態であるときには、遮断部が電力供給状態であるときよりも、コンバータの出力電圧が高くなるように、コンバータを制御する。こうして、補機電池の充電状態を予め高めておくことで、過放電を防止する。また、補機類への電力供給を遮断しておくことで、暗電流防止を行い、車両の長期駐車時の補機電池の劣化を抑制している。
特許第5729401号公報
しかしながら、特許文献1では、遮断部がヒューズから構成されており、ヒューズの取外し操作によって、電力供給および遮断が切り替えられる。このとき、当該ヒューズの取り外しは、利用者のマニュアル作業となる。従って、遮断部の電力供給および遮断は自動的に切り替えられるものではない。また、ヒューズの取り外しは、車両が長期駐車される場合に行われるものであるため、車両が通常の運転状態である時のことは考慮されていない。
また、一般的な既存の従来の給電制御は、外部に設けられた制御装置または遮断装置と連携して制御する場合が多く、構成が複雑化しやすい。そのため、必ずしも外部の制御装置或いは遮断装置を必要とせず、それぞれの補機の制御機構内でバッテリ電力の抑制を行えることが好ましい。
この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、車両が通常の運転状態である場合においても、外部の制御装置または遮断装置を必要とせずに、電力変換装置の制御回路により電力消費を抑えたい蓄電装置の電力使用を抑制するように制御することが可能な簡素な構成の電力変換装置を提供することを目的とする。
この発明は、ブリッジ接続されたパワー半導体素子を有する電力変換回路と、第1蓄電装置と第2蓄電装置との二電源に接続され、前記パワー半導体素子を駆動制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記第1蓄電装置に接続され、前記第1蓄電装置からの電力を第1の電圧値に電圧変換して出力する第1電圧変換回路と、前記第2蓄電装置に接続され、前記第2蓄電装置からの電力を第2の電圧値に電圧変換して出力する第2電圧変換回路とを備えるとともに、前記制御回路は、前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の少なくともいずれか一方から電力供給されることにより作動するものであって、前記制御回路は、予め設定された閾値電圧以上の電圧値で前記第1蓄電装置から電力供給されている場合は、前記第2電圧変換回路の動作を停止させる、電力変換装置である。
この発明の電力変換装置によれば、外部の制御装置または遮断装置を必要とせずに、電力変換装置の制御回路が、第1電圧変換回路及び第2電圧変換回路を介して、第1蓄電装置あるいは第2蓄電装置の少なくともいずれかから電力供給されることにより作動し、車両が通常の運転状態である場合においても、第1蓄電装置から予め設定された閾値電圧以上で制御回路に電力供給されている場合は、第2電圧変換回路の動作を止めることで、第2蓄電装置からの電源供給を遮断し、第2蓄電装置の電力消費を抑制することができるとともに、電圧変換過程で発生しやすいノイズも同時に抑制することができる効果が得られる。
本発明の実施の形態1における電力変換装置の概略構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態1における電力変換装置を車両へ適用した時の概略構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態2における電力変換装置の概略構成を示す回路図である。
以下、図面を参照して、この発明にとって好ましい実施の形態を例示的に説明する。但し、これらの実施の形態に記載されている構成部品の材質、形状、その配置などは特に特定的な記載が無い限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る電力変換装置の構成を示した概略図である。図1においては、電力変換装置の使用例として、電力変換装置をハイブリッド車両に適用した場合を示している。実施の形態1では、電力変換装置が、ハイブリッド車に設けられた、第1蓄電装置としての走行負荷用バッテリと、第2蓄電装置としての補機用バッテリ5との二電源系で構成されている。
図1に示すように、実施の形態1に係る電力変換装置は、発電電動機1に接続されている。発電電動機1は、電動機として動作する電動機動作と、発電機として動作する発電機動作との両方の動作を行う。
図1に示すように、電力変換装置は、電力変換回路2と制御回路6とを備えている。以下、これらの各構成要素について説明する。
電力変換回路2は、発電電動機1に接続されている。電力変換回路2は、ブリッジ接続された複数個のパワー半導体素子3を有している。電力変換回路2は、パワー半導体素子3のスイッチング動作によって、直流から交流への電力変換、および、交流から直流への電力変換を行うことができる。図1の例では、発電電動機1が三相交流発電電動機から構成されているため、パワー半導体素子3はそれらの各相に対して1対ずつ設けられている。各相に対する1対のパワー半導体素子3は、それぞれ、上アームと下アームとに分かれ、互いに直列接続されている。各パワー半導体素子3は、制御回路6により駆動制御される。
このように、電力変換回路2は、直流/交流の双方向の電力変換を行うことができる。また、電力変換回路2は、コンタクタ13を介して、走行負荷用バッテリ4と接続されている。電力変換回路2は、発電電動機1が電動機動作の時は、走行負荷用バッテリ4の直流電力を交流に変換して発電電動機1を駆動させ、一方、発電電動機1が発電機動作の時は、発電電動機1が発生する交流電力を直流に変換して走行負荷用バッテリ4を充電する。
制御回路6は、補機用バッテリ5と走行負荷用バッテリ4の二電源に接続され、補機用バッテリ5及び走行負荷用バッテリ4の少なくともいずれか一方から電力供給されることにより作動する。
制御回路6は、図1に示すように、第1電圧変換回路7と、第2電圧変換回路8と、内部電源回路9と、演算回路10と、駆動回路11と、2つの整流素子12と、イグニッションスイッチ19とを備えている。第1電圧変換回路7は、コンタクタ13を介して、走行負荷用バッテリ4の正側端子に接続されている。走行負荷用バッテリ4の負側端子は、接地点14に接地されている。接地点14は、例えば車両のシャーシから構成される。また、第1電圧変換回路7は、逆流防止用の整流素子12を介して、内部電源回路9に接続されている。一方、第2電圧変換回路8は、イグニッションスイッチ19を介して、補機用バッテリ5の正側端子に接続されている。補機用バッテリ5の負側端子は、接地点14に接地されている。内部電源回路9は、演算回路10に接続されているとともに、駆動回路11に接続されている。駆動回路11は、電力変換回路2に接続されている。
制御回路6においては、走行負荷用バッテリ4からの電力の電圧値を、第1電圧変換回路7により、予め設定された第1の電圧値に変換する。また、補機用バッテリ5からの電力の電圧値を、第2電圧変換回路8により、予め設定された第2の電圧値に変換する。第1電圧変換回路7および第2電圧変換回路8からのそれぞれの出力は、逆流防止用の整流素子12を介して、接続点24で接続された後、内部電源回路9に供給される。制御回路6は、第1電圧変換回路7または第2電圧変換回路8からのいずれかの電力が供給されていれば、動作できるような相補型の電源構成となっている。
この時、補機用バッテリ5の電源ラインが接続されている制御回路6の内部回路には、図1に示すように、イグニッションスイッチ19が備えられている。イグニッションスイッチ19は、車両側のイグニッション信号に従って、補機用バッテリ5からの給電を遮断状態または導通状態へ切り換える。具体的には、電力変換装置を起動する場合は、車両のイグニッション信号によりイグニッションスイッチ19を導通状態にし、補機用バッテリ5から電力変換装置へ給電を開始することにより、電力変換装置が動作し始める。
一方で、第1電圧変換回路7及び第2電圧変換回路8は、半導体スイッチング素子を備えたスイッチングレギュレータで構成された電圧変換回路であることが好ましい。一般的に、車両に適用される補機用バッテリ5の蓄電電圧は12V〜24Vであり、走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧は12V〜数百Vである。制御回路6内で使用される電源は数V程度のものが多く、また、バッテリに接続される電源ラインは電圧変動も大きいため、小型ながらも高効率に変換でき、広範囲の入力動作電圧で、且つ、降圧比を大きく出来る、スイッチングレギュレータが適している。
内部電源回路9は、第1電圧変換回路7あるいは第2電圧変換回路8から供給される電力を元に、各電子部品を駆動させるための電源を生成する回路である。内部電源回路9は、生成した電源で、演算回路10または駆動回路11等を動作させる。ここで、演算回路10は、例えばマイクロコンピュータのよう演算素子を備えており、各機能を監視及び制御すること等を行っている。また、駆動回路11は、電力変換回路2に接続され、演算回路10と連携して、電力変換回路2のパワー半導体素子3を駆動させるための電力生成あるいはスイッチングのタイミング制御等を行っている。駆動回路11においては、パワー半導体素子3を駆動させるために比較的大きい電力を必要とする場合があり、制御用電源と駆動用電源の二電源を取ることがある。例えば、本構成では、駆動回路11は、内部電源回路9からの電力を制御用の電源とし、走行負荷用バッテリ4からの電力を駆動用の電源としている。
演算回路10は、走行負荷用バッテリ4の電圧値を監視しており、当該電圧値に応じて、第2電圧変換回路8に対して、イネーブル信号aを出力する。具体的には、演算回路10は、走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧の電圧値を検知し、当該電圧値が、予め設定された閾値電圧以上となったときに、第2電圧変換回路8の動作を停止させるための停止信号としてのイネーブル信号aを出力する。イネーブル信号aは、第2電圧変換回路8を動作させるか、あるいは、動作を停止させるかを指示する制御入力信号である。イネーブル信号aがHレベルのときは第2電圧変換回路8を動作させ、イネーブル信号がLレベルのときは第2電圧変換回路8の動作を停止させる。あるいは、その逆でもよい。第2電圧変換回路8においては、信号が入力されることを起点に回路動作を決定する回路を備えており、イネーブル信号aの入力によってオン・オフ制御される。当該機能は、汎用の電源ICにも備わっている機能であり、第2電圧変換回路8にそれらの汎用ICを適用することも容易に可能である。あるいは、当該機能が備わっていない場合でも、例えば第2電圧変換回路8と補機用バッテリ5との間に遮断回路を設け、イネーブル信号aにより遮断回路を制御することで、第2電圧変換回路8と補機用バッテリ5との接続を切り離して、第2電圧変換回路8の動作を止めてもよい。
さらに、第2電圧変換回路8においてスイッチングレギュレータによって電圧変換されている場合、第2電圧変換回路8がオフすれば、スイッチング動作が止まり、補機用バッテリ5からの供給が断たれるとともに、スイッチングノイズを抑制することが出来る。
第2電圧変換回路8をオン・オフする閾値電圧は、次のように設定する。すなわち、走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧の電圧値が閾値電圧以上のときに、第1電圧変換回路7の出力が安定して保持でき、一方、走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧の電圧値が閾値電圧未満のときに、第1電圧変換回路7の出力が維持できなくなるような値に、閾値電圧を設定する。これにより、走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧の電圧値が閾値電圧以上のときには、第1電圧変換回路7の出力が安定して保持できるので、第2電圧変換回路8の動作を停止させ、一方、走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧の電圧値が閾値電圧未満のときには、第1電圧変換回路7の出力が維持できなくなるので、第2電圧変換回路8を動作させる。この時、第1電圧変換回路7が昇降圧型のレギュレータであれば、入力動作電圧範囲を広くとることができるため、閾値電圧を低くすることができ、すなわち、補機用バッテリ5から電力供給する条件を満たす期間を少なくできることで、補機用バッテリ5の負担をさらに軽減させることができる。
また、第1電圧変換回路7から出力される第1の電圧値は、第2電圧変換回路8から出力される第2の電圧値より高い電圧値としておくことが好ましい。これにより、走行負荷用バッテリ4と補機用バッテリ5の両方のバッテリから電力が供給されている時でも、基本的には高い電圧側が主電源となるので、すなわち、大半が走行負荷用バッテリ4からの電力供給となるため、補機用バッテリ5からの電力をほとんど使用することなく、制御回路6を動作させることができる。
図2は、この発明の電力変換装置を車両に適用した時の構成概略図の一例を示している。図2において、図1に示した構成と同一の構成については、同一符号を付して示している。
図2において、補機用バッテリ5には、補機類22、上位のECU20、電力変換装置の制御回路6などが接続されており、補機用バッテリ5は、必要に応じて、これらに対して電力供給を行っている。一方で、走行負荷用バッテリ4には、コンタクタ13を介して、電力変換回路2が接続され、発電電動機1との間で電力授受を行う。走行負荷用バッテリ4側の電源ラインと補機用バッテリ5側の電源ラインとはDC/DCコンバータ21を介して接続されており、走行負荷用バッテリ4側で発電した電力を、必要に応じて補機用バッテリ5側に供給して、補機用バッテリ5を充電する。すなわち、発電電動機1の発電機動作時には、発電電動機1から発生される交流電力が電力変換回路2で直流電力に変換され、当該直流電力の電圧値がDC/DCコンバータ21により補機用バッテリ5の充電用の電圧値に変換されて、補機用バッテリ5に供給される。DC/DCコンバータ21は、走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧と補機用バッテリ5の蓄電電圧とに差がある場合に適用され、それらの蓄電電圧が同電圧の場合には基本的には不要であるが、DC/DCコンバータ21の構成要素のうち、充電制御を行うためのリレースイッチ等は用いられる。
制御回路6及び上位のECU20などは、車両が運転状態にある時は、基本的には常時稼働状態にあり、補機用バッテリ5から絶えず給電されている。この時、制御回路6内の第2電圧変換回路は、走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧の電圧値に応じてイネーブル信号aによりオン・オフ制御されるのに加え、さらに、発電電動機1の動作モードに依ってもオン・オフを判断されることが好ましい。
例えば、発電電動機1が電動機動作を行う電動機モードにおいては、大電力を必要とする場合があり、走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧が低下する恐れがある。そのため、電動機モード時は、たとえ、走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧が閾値電圧以上であっても、第2電圧変換回路8をオンさせ、それ以外の動作モードでは、第2電圧変換回路8をオフしておくように制御するようにしてもよい。さらに、電動機モード時の回転数及び必要トルク自体は演算回路10のメモリに予め記憶されているので、演算回路10は、必要な電力量を推定することができる。そのため、演算回路10は、必要電力、電源ラインのインピーダンス及び走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧の現在値から、走行負荷用バッテリ4の電圧低下を予測することができる。このように、電動機モード時においては、必要電力と走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧の現在値に応じて、第2電圧変換回路8の動作可否判断を行って、第2電圧変換回路8のオン・オフ制御を行うことで、補機用バッテリ5の負担を、より軽減することができる。
また、DC/DCコンバータ21は、補機用バッテリ5を充電するために、発電電動機1からの発電電力を電力変換するが、変換時には必ず電力損失を伴ってしまう。補機用バッテリ5への充電量および充電回数が多くなるほど、電力損失が増大してしまう。そのため、実施の形態1では、補機用バッテリ5の消費を低減し、補機用バッテリ5の充電量を減らすことで、DC/DCコンバータ21で発生する損失自体を抑制する。このようにして、充電に際して生じる電力損失を減らすことで、発電電動機1の発電量自体を抑制することができ、また、車両においては、発電にエネルギーを割くことなく燃費改善に期待できる。
なお、車両が駐車中の駐車モード時においては、エンジンを切るとイグニッションスイッチ19が遮断状態となるため、暗電流は発生せず、長期保管時のバッテリ消費も抑制することが出来る。
以上のように、実施の形態1に係る電力変換装置は、第1電圧変換回路7及び第2電圧変換回路8を介して、走行負荷用バッテリ4あるいは補機用バッテリ5の少なくともいずれかから電力供給されることにより動作し、走行負荷用バッテリ4の電圧値あるいは発電電動機1の動作モードに基づいて、第2電圧変換回路8をオン・オフ制御することで、補機用バッテリ5の電力消費を抑制して負担を軽減できるとともに、補機用バッテリ5への充電量を減らすことで、充電時に生じる損失を抑制し、車両の燃費改善に寄与できる。さらに第2電圧変換回路8の動作を停止させることによって、電力変換時に発生するノイズも同時に抑制できるため、補機用バッテリの電力消費を抑えながらも、低ノイズの電力変換装置を提供することが出来る。さらに、実施の形態1に係る電力変換装置は、外部装置を利用せず、制御機構内で構成できるため、2電源系を備える種々の制御装置にも適用可能であり、車両向け装置には好適である。
また、実施の形態1においては、第1電圧変換回路7の出力と、第2電圧変換回路8の出力とが、それぞれ逆流防止用の整流素子12を介して接続されるとともに、第1電圧変換回路7の出力電圧は、第2電圧変換回路8の出力電圧より高いことが好ましい。これにより、走行負荷用バッテリ4と補機用バッテリ5の両方のバッテリから電力が供給されている場合においても、出力電圧の高い走行負荷用バッテリ4が主電源となり、大半が走行負荷用バッテリ4からの電力供給となるため、補機用バッテリ5の負担をさらに低減できる。
また、実施の形態1においては、制御回路6内に、走行負荷用バッテリ4の電圧を監視する演算回路10を備え、演算回路10は、走行負荷用バッテリ4が閾値電圧以上となった場合に、第2電圧変換回路8の動作を止める停止信号であるイネーブル信号aを出力することが好ましい。こうすることで、補機用バッテリ5の負担をさらに低減できるとともに、電圧変換回路で発生しやすいノイズも同時に抑制することができる。
また、実施の形態1においては、第1電圧変換回路7あるいは第2電圧変換回路8がスイッチング素子を備えたスイッチングレギュレータで構成されていることが好ましい。バッテリに接続される電源ラインは電圧変動が大きいが、スイッチングレギュレータは、小型で、高効率に電圧変換でき、広範囲の入力動作電圧で、且つ、降圧比を大きくすることが出来るため、電圧変動の大きい電源ラインにも対応可能である。
さらに、実施の形態1においては、第1電圧変換回路7で構成されるスイッチングレギュレータは昇降圧型であることが好ましい。第1電圧変換回路7が昇降圧型のレギュレータの場合には、入力動作電圧範囲を広くとることができるため、閾値電圧を低くすることができる。その結果、補機用バッテリ5から電力供給する期間をさらに短くすることができるため、補機用バッテリ5の負担をさらに軽減させることができる。
また、実施の形態1に係る電力変換装置は、上述したように、電動機動作と発電機動作の両方を行う発電電動機1に好適である。実施の形態1においては、走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧の監視に加えて、発電電動機1の動作モードによっても、第2電圧変換回路8のオン・オフ制御を行うことが好ましい。すなわち、発電電動機1が電動機動作する場合には、第2電圧変換回路8を作動させ、発電電動機1が発電機動作する場合には、第2電圧変換回路8を止めることが好ましい。こうすることで、発電電動機1が電動機動作するときは、大電力が必要であるため、走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧が低下する可能性があるが、第2電圧変換回路8をオンさせることで、補機用バッテリ5からの給電を得ることで、制御回路6を安定して動作させることができる。一方、発電電動機1が発電機動作する場合には、第2電圧変換回路8を停止させることで、補機用バッテリ5からの電源供給を遮断し、電力消費を抑制することができるとともに、電圧変換過程で発生しやすいノイズも同時に抑制することができる。
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2に係る電力変換装置の構成を示した図である。実施の形態2に係る電力変換装置は、図3に示すように、補機用バッテリ5側と走行負荷用バッテリ4側とで絶縁した、異なる接地系14a,14bを備える電力変換装置である。そのため、実施の形態2においては、図1の第2電圧変換回路8の代わりに、絶縁型電圧変換回路8aが設けられている。また、演算回路10と絶縁型電圧変換回路8aとの間に、絶縁素子16が追加されている。他の構成については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
このように、実施の形態2に係る電力変換装置においては、第2電圧変換回路8の代わりに、絶縁型フライバックコンバータなどから構成される絶縁型電圧変換回路8aを用いることで、補機用バッテリ5側と走行負荷用バッテリ4側とを絶縁している。
電力変換装置において、絶縁型電圧変換回路8aは、補機用バッテリ5の蓄電電圧と走行負荷用バッテリ4の蓄電電圧との差が大きい時に有効であり、高圧側の変動を低圧側に影響させないために使用されている。
絶縁型電圧変換回路8aには、図3に示すように、トランス17と、電源制御部18と、スイッチング素子23とが設けられている。
図3に示すように、補機用バッテリ5は、イグニッションスイッチ19を介して、絶縁型電圧変換回路8aに接続されている。補機用バッテリ5は、絶縁型電圧変換回路8aに設けられたトランス17の1次側に接続されている。さらに、トランス17の1次側には、スイッチング素子23が直列接続されている。電源制御部18がスイッチング素子23をオン・オフ制御することで、トランス17の2次側に電圧が誘起される。これにより、補機用バッテリ5から内部電源回路9に電力が供給される。なお、トランス17の2次側は、逆流防止用の整流素子12を介して、内部電源回路9に接続されている。また、実施の形態1と同様に、第1電圧変換回路7が、逆流防止用の整流素子12を介して、内部電源回路9に接続されている。そうして、第1電圧変換回路7および絶縁型電圧変換回路8aのそれぞれの出力が、整流素子12を介して、接続点25で接続された後、内部電源回路9に供給される。内部電源回路9は、実施の形態1と同様に、走行負荷用バッテリ4あるいは補機用バッテリ5の少なくともいずれかから電力供給されることにより動作する構成であり、相補的な電力供給を可能としている。この時、第1電圧変換回路7の出力電圧である第1の電圧値を、第2電圧変換回路8の出力電圧である第2の電圧値より高めに設定しておくことが好ましい。
実施の形態2においては、演算回路10および駆動回路11を有している制御機構は走行負荷用バッテリ4側の高電圧接地系14aで構成されており、演算回路10による走行負荷用バッテリ4の電圧監視も高電圧接地系14aで行われる。そのため、走行負荷用バッテリ4の電圧状態によって、演算回路10から、低電圧接地系14bで構成されている絶縁型電圧変換回路8aにイネーブル信号aを送る時は、絶縁素子16を介す。イネーブル信号aは、絶縁素子16を介して、絶縁型電圧変換回路8aの電源制御部18に入力される。
また、実施の形態2においては、図3に示すように、第1電圧変換回路7と絶縁型電圧変換回路8aとの出力側の電源ラインにコンデンサ15を接続しておくことが好ましい。絶縁型電圧変換回路8aの動作を停止させ、走行負荷用バッテリ4からの電力のみで制御回路6を動作させている時に、走行負荷用バッテリ4に瞬時的な電圧低下または電圧変動が生じると、制御回路6が瞬停してしまう可能性がある。そのため、コンデンサ15を設けておいて、走行負荷用バッテリ4に瞬時的な電圧低下または電圧変動が生じた場合には、コンデンサ15に蓄えた静電容量により、制御回路6の動作が可能になるようにしておくことが望ましい。また、走行負荷用バッテリ4の電圧低下または電圧変動が瞬時的でない場合には、演算回路10が、走行負荷用バッテリ4の低圧状態を判断して、イネーブル信号aにより絶縁型電圧変換回路8aを復帰させて、制御回路6の安定した動作を確保するため、その間の時間分を保持できる静電容量をコンデンサ15に蓄えておくことがより好ましい。このように、コンデンサ15を設けた場合には、コンデンサ15により、制御回路6の瞬停を防止することが出来る。なお、コンデンサ15は、図1に示す実施の形態1にも適用可能である。
以上のように、実施の形態2に係る電力変換装置においては、走行負荷用バッテリ4から閾値電圧以上で制御回路6に電力供給されている場合は、絶縁型電圧変換回路8aをオフして、補機用バッテリ5からの電力供給を停止させることで、補機用バッテリ5の電力消費を抑制することができるとともに、絶縁型電圧変換回路8aで発生しやすいノイズも同時に抑制することができる効果がある。さらに、実施の形態2に係る電力変換装置は、実施の形態1と同様に、外部装置を利用せず、制御機構内で構成できるため、2電源系を備える種々の制御装置にも適用可能であり、車両向け装置には好適である。
また、実施の形態2では、第1電圧変換回路7の出力と絶縁型電圧変換回路8aの出力とが接続された電源ラインにコンデンサ15を備えていることが好ましい。コンデンサ15は、制御回路6が、いずれのバッテリからの電力供給も断たれた場合において、絶縁型電圧変換回路8aを復帰させるまでの間、制御回路6の動作を保持することできる静電容量を備えていることが好ましい。
なお、上述した実施の形態1、2は全ての点で例示であって限定的なものではないと考えられるべきであり、この発明の技術的趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能であることは言うまでもない。
1 発電電動機、2 電力変換回路、3 パワー半導体素子、4 走行負荷用バッテリ、5 補機用バッテリ、6 制御回路、7 第1電圧変換回路、8 第2電圧変換回路、8a 絶縁型電圧変換回路、9 内部電源回路、10 演算回路、11 駆動回路、12 整流素子、13 コンタクタ、14 接地点、14a 高電圧接地系、14b 低電圧接地系、15 コンデンサ、16 絶縁素子、17 トランス、18 電源制御部、19 イグニッションスイッチ、20 ECU、21 DC/DCコンバータ、22 補機類。

Claims (8)

  1. ブリッジ接続されたパワー半導体素子を有する電力変換回路と、
    第1蓄電装置と第2蓄電装置との二電源に接続され、前記パワー半導体素子を駆動制御する制御回路と
    を備え、
    前記制御回路は、
    前記第1蓄電装置に接続され、前記第1蓄電装置からの電力を第1の電圧値に電圧変換して出力する第1電圧変換回路と、
    前記第2蓄電装置に接続され、前記第2蓄電装置からの電力を第2の電圧値に電圧変換して出力する第2電圧変換回路と
    を備えるとともに、
    前記制御回路は、前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の少なくともいずれか一方から電力供給されることにより作動するものであって、
    前記制御回路は、予め設定された閾値電圧以上の電圧値で前記第1蓄電装置から電力供給されている場合は、前記第2電圧変換回路の動作を停止させる、
    電力変換装置。
  2. 前記第1電圧変換回路からの出力と前記第2電圧変換回路からの出力とはそれぞれ逆流防止用の整流素子を介して接続されるものであって、
    前記第1電圧変換回路の前記第1の電圧値は、前記第2電圧変換回路の前記第2の電圧値より高い値に設定されている、
    請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記制御回路は、前記第1蓄電装置の電圧値を検知する演算回路を備え、
    前記演算回路は、前記第1蓄電装置の前記電圧値が前記閾値電圧以上であると検知した場合に、前記第2電圧変換回路に対して、前記第2電圧変換回路の動作を停止させる停止信号を出力する、
    請求項1または2に記載の電力変換装置。
  4. 前記第1電圧変換回路および前記第2電圧変換回路のうちの少なくともいずれか一方は、スイッチング素子を備えたスイッチングレギュレータから構成されている、
    請求項1から3までのいずれか1項に記載の電力変換装置。
  5. 前記第1電圧変換回路は、昇降圧型のスイッチングレギュレータから構成されている、
    請求項1から3までのいずれか1項に記載の電力変換装置。
  6. 前記第1電圧変換回路と前記第2電圧変換回路とが接続されている電源ラインに接続されたコンデンサをさらに備え、
    前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の両方からの前記制御回路に対する電力供給が断たれた場合に、前記コンデンサは前記制御回路に対して電力供給を行う、
    請求項1から5までのいずれか1項に記載の電力変換装置。
  7. 前記電力変換装置は、電動機動作と発電機動作の両方を行うことが可能な発電電動機に接続され、
    前記制御回路は、
    前記発電電動機が前記電動機動作する場合に、前記第2電圧変換回路を作動させ、
    前記発電電動機が前記発電機動作する場合に、前記第2電圧変換回路の動作を停止させる、
    請求項1から6までのいずれか1項に記載の電力変換装置。
  8. 前記第1蓄電装置は、ハイブリッド車両に設けられた走行負荷用バッテリから構成され、
    前記第2蓄電装置は、前記ハイブリッド車両に設けられた補機用バッテリから構成されている、
    請求項1から7までのいずれか1項に記載の電力変換装置。
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