JP6323875B2 - 多層加工機 - Google Patents

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本発明は、プレス加工装置に関する。
プレス加工装置としては、例えば特許文献1及び2に開示されているように、プレス加工用の型の組(以下、加工型という)を型締め・型開き方向(例えば上下方向)に複数連ねた多層加工機(多重プレス成型装置などとも呼ばれる)が知られている。この多層加工機によれば、加工型一組分の横方向スペースにおいて一つのプレス駆動源(例えば油圧シリンダなど)により複数の加工が一度にできるので、一組の加工型を用いる一般的なプレス加工機により各加工型の加工をそれぞれ別個に行う場合に比較して、設備の設置スペース及びプレス駆動源の設備費やランニングコストが格段に低減でき、また作業者の移動距離も低減できて作業効率が向上するなどの利点がある。
特開2000−15496号公報 特開2012−51019号公報
ところが、上記従来の多層加工機(例えば特許文献1又は2の多層加工機)は、複数ある加工型を型締め・型開き方向に移動自在に支持するための複数の可動部材(ダイプレートなどと呼ばれる部材)の軸受部が、支柱(案内軸)に対して単に複数連ねて配置された構成である。即ち、積層配置された各可動部材がそれぞれ4本の支柱(案内軸)に案内される構成であり、隣接する可動部材において同じ支柱に対して軸受部がそれぞれ隣り合って存在する構成である。このため、前記軸受部は型締め時の干渉を避けるため軸方向(型締め・型開き方向)の長さを大きく設定することができず、傾きや変形を生じることなく円滑に各可動部材(ひいては各加工型)を案内することが十分にできないなどの課題があった。
そこで本発明は、上記課題を解決すべく、複数の加工型を型締め・型開き方向に移動自在に支持する良好な構成を有する多層加工機を提供することを目的としている。
本願の多層加工機は、請求項1に記載したように、プレス加工用の加工型を型締め・型開き方向に複数配置して使用する多層加工機であって、
固定盤であるボルスタと、
型締め・型開き方向が軸方向となるように配置されて、前記ボルスタに対して四隅の位置に互いに平行に固定状態に設けられた4本の支柱と、
これら支柱に対して動作可能に型締め・型開き方向に複数積層配置され、前記加工型を構成する各型のうち、前記ボルスタに固定される型を除くものが固定される複数の可動部材と、
これら複数の可動部材のうち、前記ボルスタから最も離れた反対側の位置にある可動部材を型締め・型開き方向に駆動するプレス駆動源と、を備え、
前記複数の可動部材は、前記4本の支柱のうちの互い違いに対角線上に位置する2本の支柱にそれぞれ軸受部によって案内されることにより型締め・型開き方向に動作可能であることを特徴とする。
本願発明によれば、複数の加工型を型締め・型開き方向に移動自在に支持する良好な構成を有する多層加工機が実現できる。
多層加工機及び型交換台を含む多層加工システムの側面図である。 多層加工システムの上面図である。 多層加工機の側面図である。 多層加工機の正面図である。 (a)は多層加工機の下型周辺の拡大正面図、(b)及び(c)は多層加工機の安全ブロック(型締め規制ブロック)の取り付けを説明する図である。 型交換台の側面図である。 型交換台の正面図である。 型交換台の斜視図である。 リフト(ハンドパレットトラック)に乗せた型交換台(脱落防止部材を外した状態)の斜視図である。 (a)は脱落防止部材の取り外しを説明する図、(b)は脱落防止部材の取り付けを説明する図である。 型を搭載した型交換台(脱落防止部材無し、リフトに乗せた状態)の斜視図である。 型を搭載した型交換台(脱落防止部材有り)の斜視図である。 リフトに載せた型交換台(型の搭載無し)を示す図であり、(a)が正面図、(b)が側面図である。 リフトに載せた型交換台(型の搭載有り)を示す図であり、(a)が正面図、(b)が側面図である。 型交換台の型保持部(爪部)の他の構成例を説明する図である。
以下、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1、図2は多層加工システム全体を示す側面図と平面図である。図1に示すように、多層加工システムは、多層加工機1と、型交換台50とを備え、1台の多層加工機1に対して複数の型交換台50を有する。また、本例の多層加工システムは、型交換台50を移動(昇降含む)させる手段として、リフト200(ハンドパレットトラック)を有する。
まず、多層加工機1を説明する。多層加工機1は、図2左側に示すように、ワーク用パレット搬入部2、ワーク供給搬出部3、ワーク用パレット搬出部4、制御部5、及び加工機本体部10を有する。
ワーク用パレット搬入部2は、加工前のワーク(素材又は中間製品)を積載したワーク用パレットを予め事前に準備してセットしておく部位であり、このワーク用パレット搬入部2にセットされたワーク用パレットは、その後ワーク供給搬出部3に送られる構成となっている。ワーク供給搬出部3は、ワーク用パレット搬入部2から送られたワーク用パレットに積載されたワークを加工機本体部10に供給してセットしたり、加工機本体部10で加工された後のワーク(加工品)を加工機本体部10から取り出したりするためのハンド(例えば図3に示すハンド3a)を含む機構を有する構成となっている。そして、ワーク用パレット搬出部4は、空になったワーク用パレットを搬出するための構成である。本例の場合、ワーク用パレットは、ワーク用パレット搬入部2からワーク供給搬出部3へ、次いでワーク供給搬出部3からワーク用パレット搬出部4へと、順次一方向に移動する構成となっている。制御部5には、多層加工機1を制御する制御装置が設けられている。
加工機本体部10は、図3の側面図及び図4の正面図に示すように、加工型を型締め・型開き方向(この場合、上下方向)に複数配置してプレス加工を実行する多層加工機1の本体部である。本例は4層タイプであるため、上から加工型K1、加工型K2、加工型K3、加工型K4の4組の加工型が各層に装着可能である。便宜上本例では、加工型K1が装着される層を第1層、加工型K2が装着される層を第2層、加工型K3が装着される層を第3層、加工型K4が装着される層を第4層という。但し本例の場合、特定の一つのワークの加工順(特定の一つのワークの流れ)は、まず第4層、次に第3層、次に第2層、最後に第1層というように、下から順に行われる。即ち、ワーク供給搬出部3において、ワーク用パレットから取り出された一つのワークは、最初の加工動作(加工機本体部10の各層で一斉に型締めを行う動作)では第4層にセットされて加工型K4にて加工された後、第4層から第3層に移送されて次の加工動作では加工型K3にて加工され、同様にして次の加工動作では加工型K2にて加工され、同様にして次の加工動作では加工型K1にて加工され、そして加工型K1での加工動作が終了するとワーク供給搬出部3の最上段のハンド3a(図3に示す)によって取り出され、このハンド3aが図3に示す状態からくるっと反転して後方(図3における左方)に回転移動することにより、後方に排出される構成となっている。図4に示すように、加工型K1は、上型U1と下型L1からなり、これら上型U1と下型L1でワークを挟みつける動作(型締め)によりワークを加工する。同様に、加工型K2は上型U2と下型L2からなり、加工型K3は上型U3と下型L3からなり、加工型K4は上型U4と下型L4からなる。
なお本願では、ワーク無しの状態で上型と下型を互いに接合させる動作も「型締め」という。また、本願における「型締め状態」とは、多層加工機の状態であって、各加工型の上型と下型が接合するまで多層加工機の可動部材(スライダ・可動ラム)が下降した状態を意味し、ワークの有無(加工型に対してワークがセットされているか否か)を限定するものではない。即ち、本願における「型締め状態」とは、ワーク有りでワークを挟みつけた状態で各加工型の上型と下型が接合するまで多層加工機の可動部材が下降した状態の場合もあるし、ワーク無しで各加工型の上型と下型が接合するまで多層加工機の可動部材が下降した状態の場合もある。ちなみに、この型締め状態における多層加工機1の可動部材の型締め・型開き方向の位置(下死点)は、加工型が同じであればワークの有無にかかわらず略同じ位置であるため、このようなワークの有無を考慮する必要がない。つまり、ワークの厚さ分だけ、ワーク有りの場合と無しの場合とで、型締め状態における可動部材の型締め・型開き方向の位置関係(ひいては型締め状態における加工型の配置間隔)が僅かに異なる場合がある。しかし、この違いは僅かであるため、本願の型交換に関しては、型交換台50の後述する型保持部71〜74の間隔LHを、後述する型締め状態の加工型配置間隔LK2(例えばワーク無しの場合の値)に対して余裕を持って大きくしておけば、ワークの有無は考慮する必要がない。
加工機本体部10は、床面上に設置される架台11と、底部に設けられて架台11に対して固定される下固定盤12(ボルスタ)と、上部に設けられて架台11に対して固定される上固定盤13と、型締め・型開き方向(この場合、上下方向)が軸方向となるように配置されて下端部が下固定盤12に固定され上端部が上固定盤13に固定された4本の支柱14(案内軸)と、支柱14に対して上下動自在に取り付けられた可動部材であるスライダ21及び3個の可動ラム22〜24と、プレス駆動源である油圧シリンダ40と、を備える。
支柱14は、前後左右四隅の位置に設けられ、スライダ21及び3個の可動ラム22〜24を、型締め・型開き方向に案内する案内軸としても機能する。なお本例の場合、スライダ21及び3個の可動ラム22〜24は、互い違いに対角線上に位置する2本の支柱14に対して軸方向(この場合上下方向)に移動可能に取り付けられ、他の2本の支柱に対しては常に接触しないように切り欠き(符号省略)が設けられている。図4(正面図)に示すように、例えば最上位置の可動部材であるスライダ21は、その軸受部21a(2か所ある)において正面から見て左手前の支柱14と右奥の支柱14に移動可能に取り付けられており、正面から見て左奥の支柱14と右手前の支柱14からは常に離れた状態とされている。そして、スライダ21の下方に位置する可動ラム22は、その軸受部22a(2か所ある)において正面から見て左奥の支柱14と右手前の支柱14に移動可能に取り付けられており、正面から見て左手前の支柱14と右奥の支柱14からは常に離れた状態とされている。以下同様に、可動ラム22の下方に位置する可動ラム23は、その軸受部23aにおいて正面から見て左手前の支柱14と右奥の支柱14に移動可能に取り付けられており、また可動ラム23の下方に位置する可動ラム24は、その軸受部24aにおいて正面から見て左奥の支柱14と右手前の支柱14に移動可能に取り付けられている。
なお、各軸受部21a〜24aは、例えば内部のすべり軸受(図示省略)によって支柱14に対して各可動部材を移動可能に支持・案内するものであるが、軸受の方式はすべり軸受けに限らず、転がり軸受でもよいことはいうまでもない。また、各可動部材(スライダ21及び可動ラム22〜24)がそれぞれ4本の支柱14に案内される構成としてもよいが、上述したように互い違いに対角線上に位置する2本の支柱14にそれぞれ案内される構成(以下、2本対角構成という)とすることにより、次の効果が得られる。即ち、各軸受部21a〜24aの軸方向の長さを格段に大きく設定することが可能となり、これにより、スライダ21及び可動ラム22〜24がプレス加工の駆動力に対して傾き難くかつ変形し難くなり、プレス加工の駆動力により生じた傾きや変形により各軸受部21a〜24aにおいて例えばカジリ(摺動部の接触が局部的になって動きが阻害される現象)が生じて各可動部材が円滑に動かなくなってしまうなどの不具合の可能性が格段に低減されるという優れた効果が得られる。これは、直径方向において、同じ軸と軸受のガタ寸法ならば、ショート丈よりもロングスライドの方が傾かない物理特性を利用したものである。また、上記2本対角構成であると、軸受部の数を半分に低減するとともに、型締め状態において各可動部材の軸受部が干渉することを容易に回避できるという効果も得られる。
油圧シリンダ40は、シリンダ本体部に対して油圧により進退動作するシリンダロッド41を備え、そのシリンダ本体部が上固定盤13に固定され、そのシリンダロッド41の先端部がスライダ21に固定されている。これにより、スライダ21は、シリンダロッド41と一体的に動いて、型締め・型開き方向(この場合、上下方向)に移動する。なお、プレス駆動源は、油圧シリンダに限られず、例えばボールねじ等の他の構成でもよい。
ここで、各加工型は、所定の固定機構(説明省略)によって、図4に示すようにスライダ21、3個の可動ラム22〜24、及び下固定盤12(ボルスタ)のうちの何れかに着脱可能に固定される。即ち、上型U1はスライダ21の下面に固定され、下型L1は可動ラム22の上面に固定され、上型U2は可動ラム22の下面に固定され、下型L2は可動ラム23の上面に固定され、上型U3は可動ラム23の下面に固定され、下型L3は可動ラム24の上面に固定され、上型U4は可動ラム24の下面に固定され、下型L4は下固定盤12の上面に固定される構成となっている。
また、各可動ラム22〜24は、スライダ21との間隔が型開き時に設定量以上にならないよう、それぞれがスライダ21に対して吊られた構成となっている。即ち、図3に示すように、スライダ21及び可動ラム22〜24には、吊り支柱25が型締め・型開き方向に貫通した状態に設けられている。この吊り支柱25は、図3では1本に見えるが、実際には図3における手前側と向こう側にそれぞれ同様に設けられており、本例の場合には合計2本有る。また、スライダ21及び可動ラム22〜24における吊り支柱25の貫通部分は、上から見るとU字形の切り欠きとなっている。そして、吊り支柱25の上端部には、スライダ21の上面に接合可能で、スライダ21の上面に接合するとスライダ21に対する吊り支柱25の相対的な下降動作を阻止するストッパ26が固定されている。さらに、吊り支柱25の外周(少なくとも3個の可動ラム22〜24を貫通する部分を含む範囲)にはネジ部(雄ねじ)が形成されており、この吊り支柱25のネジ部外周には3個の間隔調整ナット27、28、29が互いのネジ部により(つまり吊り支柱外周の雄ねじとナット側の雌ネジの螺合により)取り付けられている。3個の間隔調整ナット27、28、29は、図3に示すような型開き状態では、3個の可動ラム22〜24の下面にそれぞれ接合する構成となっており、これにより各可動ラム22〜24とスライダ21との間隔が設定量以上にならない。
なお、多層加工機1における各加工型K1〜K4の上下方向の配置間隔LK(図4に示す)の型開き時の値(LK1)は、間隔調整ナット27、28、29を吊り支柱25に対して回転させて上下動させその上下方向位置(型締め・型開き方向の位置)を変えることにより、各層毎に調整可能(つまり増減可能)である。この調整は、例えば、装着する加工型の寸法により、各層の型開き時の間隔が適度なものとなるようにするために行う。
また、各加工型の下型L1〜L4の下面側の左右両側には、図4及び図5(a)に示すような隙間S1、S2がそれぞれ形成される構成となっており、この隙間S1、S2に後述する型交換台50の爪部90,80の横板部92、82が正面から挿入可能となっている。なお、図5(a)は第1層について図示しているが、第2層〜第4層も同様である。
また、各可動部材(スライダ21及び可動ラム22〜24)の下面には、図3に示すように、柱状のブロック取付部31,32,33,34がそれぞれ下方に伸びるように一体に形成されている。これらブロック取付部31〜34の下面側には、図5(b)及び図5(c)に示すような安全ブロック35(型締め規制ブロック)が容易に着脱可能となっている。本例の場合、図5(b)に示すように、安全ブロック35の上面には、先端に拡径した頭部を持つ係合突起36が突出状態で一体に形成されており、この係合突起36を各ブロック取付部31〜34にそれぞれ形成された係合切り欠き(符号省略)内に側面から挿入して係合させることによって、各ブロック取付部31〜34の下端を下方に延長するように安全ブロック35を各ブロック取付部31〜34にそれぞれ取り付けることができる。
ここで、ブロック取付部31〜34の長さL8(図5(c)に示す)は、上型と下型が接合状態の各加工型の上下寸法(型締め状態における型締め・型開き方向の各加工型の大きさ)よりも小さく設定されており、これにより、安全ブロック35を外しておけば、これらブロック取付部31〜34がプレス加工動作(特に型締めの動作)の支障になることはない。そして、ブロック取付部31〜34に安全ブロック35を取り付けて接合させた全体の長さL9(図5(c)に示す)は、接合状態の各加工型の上下寸法よりも大きく設定されている。そして、ブロック取付部31〜34に安全ブロック35を取り付けた状態では、安全ブロック35の下端面が各可動ラム22〜24又は下固定盤12の上面に隙間無く当接する(いわゆるドン着く)ことによって、多層加工機1に取り付けられた複数の加工型K1〜K4の配置間隔LK(図4に示す)が型交換台50の後述する複数の型保持部71〜74の間隔LH(図6に示す)に一致する位置において多層加工機1の型締め動作(即ち、シリンダロッド41の下降動作に伴う各可動部材の下降動作)が阻止されるように、安全ブロック35の長さ(ひいては上記長さL9)が設定されている。これにより、安全ブロック35を取り付けることによって、各加工型を容易に交換可能な状態(後述する交換位置停止状態)に設定することが簡単かつ安全にできる。なお、本願では便宜上安全ブロックは全て同じ符号35を使用しているが、この安全ブロックとして各層毎に長さが異なるものを使用して、後述する交換位置停止状態での配置間隔LK(=LH)が各層毎に異なるようにしてもよい。
以上説明した多層加工機1は、以下のように動作する。
まず、図3及び図4に示したような型開き状態(通常は、シリンダロッド41が最上方(上死点)まで移動した状態)においては、各層に対して加工後のワークの取り出しと、加工前のワークの装着が行われる。加工前のワークが装着されると、シリンダロッド41とともにスライダ21及び可動ラム22〜24が下降して各層において型締めが行われてプレス加工が実行される。この際、油圧シリンダ40の駆動力(プレスの圧力)は、シリンダロッド41、スライダ21、加工型K1、可動ラム22、加工型K2、可動ラム23、加工型K3、可動ラム24、加工型K4の順に伝達され、下固定盤12で受け止められることになる。そして、このような駆動力により、第1層から第4層までの全ての加工型K1〜K4の上型と下型がワークを挟み付けた型締め状態になると、各層のプレス加工(即ち、第1層から第4層の各加工型K1〜K4でそれぞれ行われる合計4個のワークの加工)がいっせいに完了する。
ここで、各層におけるプレス加工には、穴あけ、切断、曲げ、成形などの各種の加工が有り得るのであり、加工の内容は各層毎に異なってもよい。そして加工終了後には、シリンダロッド41とともにスライダ21及び可動ラム22〜24が上昇して型開き状態に戻る。
なお、図4や図5(c)において符号LKで示す寸法は、前述したように、多層加工機1に装着された各加工型K1〜K4の配置間隔である。この配置間隔LKは、シリンダロッド41の動作に伴う可動部材(スライダ21及び可動ラム22〜24)の移動によって当然変化し、型締め状態において最低値(LK2)になる。型開き状態又は型締め状態における配置間隔LKは、各層同じでもよいし、各層毎に異なってもよい(各加工型の寸法が異なる場合など)が、説明の便宜上同じであるとして各層について同じ符号LKを使用する。型開き状態における配置間隔LK(=LK1)は、前述した間隔調整ナット27、28、29によって各層毎に調整可能である。
本願では、型開き状態における配置間隔LK(上死点のLK)をLK1と表し、型締め状態における配置間隔LK(下死点のLK)をLK2と表す。
また、加工型の交換については、後述する。
次に、型交換台50について、図6〜図8等により説明する。
型交換台50は、図6〜図8に示すように、台本体51に複数の型保持部71,72,73,74を上下方向(後述する支柱56,57の長手方向)に並べて設けたものである。この型交換台50は、本例の場合、下面4隅の位置にキャスター150(車輪)が設けられているため、それ自体で床面上を走行させることができる台車(型交換台車)となっている。型保持部71,72,73,74は、詳細後述するが、多層加工機1に同時に挿入可能で、多層加工機1に挿入した状態で多層加工機1内の各加工型K1〜K4をそれぞれ保持可能であり、多層加工機1の型締め状態における各加工型K1〜K4の配置間隔LK(=LK2)よりも広い間隔LH(図6に示す)で、上下方向(多層加工機1の型締め・型開き方向に対応する方向)に複数並んで設けられている。なお、本例の場合には型保持部が4個(4段)あるので間隔LHは上下に3箇所あるが、これら3箇所の間隔LHは同じでもよいし、異なっていてもよい(各加工型の寸法が異なる場合など)が、説明の便宜上同じであるとして各箇所について同じ符号LHを使用する。
また本実施例の場合、前述した加工型の配置間隔LKの各値(型開き状態のLK1、型締め状態のLK2)と上記間隔LHの大小関係は、各層においてLK2<LH<LK1となる。なお、前述したように、ワークの厚さ分だけ、ワーク有りの場合と無しの場合とで、型締め状態における可動部材の型締め・型開き方向の位置関係が僅かに異なる場合があり、この場合その分だけ上記配置間隔LK2もワーク有り無しで異なる値となるが、この違いは僅かであるため、本願の型交換に関しては、上記間隔LHを配置間隔LK2に対して余裕を持って大きくしておけば問題ない。つまり、配置間隔LK2のワーク有りの場合の値よりも上記間隔LHを大きく設定しておけば、ワーク有りの場合もワーク無しの場合でも対応できる。
台本体51は、図8に示すように、正面から見て底部奥と底部手前に横長に配置された帯板状の底板52,53と、断面L字状の部材(アングル)よりなり底板52,53を連結するように前後方向に配置されて底板52,53の上面に固定された底フレーム54,55と、底部奥の底板52の上面における底フレーム54,55の内側面にそれぞれ隣接する位置から上方に伸びるように設けられた2本の支柱56,57と、これら支柱56,57の間を連結する連結部58,59と、支柱56,57の上部後面側にそれぞれ固定された把持部60(手で握ることができる部分)と、各底板52,53の下面両側から下方に伸びるように固定された脚部61,62を有する。
ここで、キャスター150は、底板52,53の左右方向両端部下面側に、ネジ止め等によって固定されている。なお、キャスター150は、取付ネジの着脱により底フレーム54,55に対して(即ち、型交換台50に対して)着脱可能な構成とされていてもよい。
また、正面側のキャスター150と底板53と底フレーム54,55等を含めた底部前方突出部の床面からの高さL7(図6に示す)は、床面から多層加工機1の下固定盤12の下面までの高さLB(図4に示す)よりも十分小さくなっており、型交換台50の各型保持部71〜74を多層加工機1に挿入して型交換する際には、上記底部前方突出部(高さL7の部分)が多層加工機1の下固定盤12の下方の空間(架台11の内側の空間)に挿入されて多層加工機1と干渉しない構成となっている。
また本例の場合、支柱56,57は断面コ字状の部材よりなり、各部材(底板52,53、底フレーム54,55、支柱56,57、連結部58,59、把持部60、脚部61,62)は例えば鋼材(アルミニウム合金などの他の材料でもよい)よりなるもので、各部材間の固定はネジ止め、溶接、リベット止め等によって行われている。なお、このような台本体51の詳細構造は、一例であり、特に限定されるものではなく、複数の型保持部71〜74を支持して各型保持部71〜74を多層加工機1に同時に挿入できる構造であればいかなる態様でもよい。
但し、本例の型交換台50の台本体51は、さらなる特徴として、この台本体51が置かれた床面上を移動するリフト200の爪を挿入可能であり、リフト200の爪によって型交換台50を持ち上げて、リフト200によって型交換台50を容易に上下・左右・前後に移動可能であるという特徴を有する。
なお、リフト200は、例えば人が乗って操作するいわゆる市販のフォークリフト(例えば電動式のもの、或いはエンジン駆動のもの)であってもよいが、本例では市販のハンドパレットトラック(言わば手動式のフォークリフトであり、ハンドリフトなどとも呼ばれる)を例示している。このリフト200(ハンドパレットトラック)は、図1、図2及び図13等に示すように、作業者が把持して操作するためのハンドル201と、走行用の車輪202,203と、いわゆるパレット(荷物を載置する薄い中空状の台)に挿入可能な2本の爪204などを有する。
そして、本例の型交換台50における台本体51の下面側(底板52,53と床面との間)には、上記リフト200の爪204を挿入可能な十分な大きさの底部空間が形成される構成となっている。この底部空間の高さ寸法は、キャスター150が取り付けられた台車状態においては高さL6(図6に示す)であり、キャスター150が取り外された車輪無し状態では高さL5(図6に示す)である。高さL5は、高さL6よりも当然小さく、脚部61,62分の上下寸法である。少なくとも、このうちの高さL6の場合(即ち上記台車状態)の上記底部空間には、リフト200の2本の爪204が図1及び図2(或いは後述する図9等)に示すように挿入可能となっている。なお、高さL5の場合(即ち上記車輪無し状態)の上記底部空間にも、リフト200の2本の爪204が挿入可能であることが好ましく、その場合には車輪無し状態の型交換台50の移動もリフト200によって容易に可能となる。
次に、型保持部71〜74の詳細構成について説明する。
各型保持部71〜74は、多層加工機1への挿入方向(図1、図3、図6における左右方向)に直交する方向における各加工型K1〜K4の動き及び落下を規制する構造を有する。本例の場合、各型保持部71〜74は、後述する爪部80,90によって、横方向(図4における左右方向)における各加工型K1〜K4の動きと、各加工型K1〜K4の落下(図4における下向きの動き)を規制する構造となっている。また本例の場合、各加工型K1〜K4の図4における上向きの動きは、重力によって規制する構成となっている。
これら型保持部71〜74は、多層加工機1への挿入時に、型保持部71は加工型K1を保持し、型保持部72は加工型K2を保持し、型保持部73は加工型K3を保持し、型保持部74は加工型K4を保持する、というように配置順に各加工型に対応する。また、これら型保持部71〜74は、設置高さが異なって対応する加工型の設置位置が異なる点以外は、本例の場合には全て同じ構成であるため、最上段の型保持部71のみについて詳細構成を説明して、他の段の型保持部72,73,74については同符号を使用して説明は省略する(一部図中の符号も省略する)。
型保持部71は、加工型(型保持部71の場合は加工型K1)の底面及び側面に接合可能なL字形断面を有する一対の爪部80,90よりなり、図5(a)に示すように多層加工機1への挿入時に対応する加工型(型保持部71の場合は加工型K1)の横方向両側に各爪部が位置して、一方の爪部80が加工型K1(詳細には下型L1)の底面及び一方の側面に接合し、他方の爪部90が加工型K1(詳細には下型L1)の底面及び他方の側面に接合することにより、加工型K1の横方向の動き及び落下を規制する構造である。
ここで、爪部80,90は、例えば鋼製(アルミニウム合金などの他の材質でもよい)の板材を板金加工(曲げ、切断などの加工)してなる部材よりなる。このうち爪部80は、図8等に示すように、上下方向に配置される縦板部81と、この縦板部81の下縁から内側横方向に直角に伸びる横板部82とを有し、これら縦板部81と横板部82が長手方向(即ち、型交換台50の正面方向)から見てL字形を形成し、長手方向に直交する平面において切断した断面形状がL字形となっている。この爪部80は、図6及び図8等に示すように、長手方向が水平方向(型交換台50を設置した床面と平行な方向)となり、前端側が支柱56から正面側に突出する姿勢で、支柱56に固定される。具体的には、縦板部81の後端部81aが支柱56の外側面に接合されて例えばネジ止めされることによって支柱56に固定され、型交換台50が水平な床面に置かれた場合、横板部82が水平となって縦板部81が鉛直方向となる構造となっている。
同様に、爪部90は、上下方向に配置される縦板部91と、この縦板部91の下縁から内側横方向に直角に伸びる横板部92とを有し、これら縦板部91と横板部92が長手方向から見てL字形を形成し、長手方向に直交する平面において切断した断面形状がL字形となっている。この爪部90は、図6及び図8等に示すように、長手方向が水平方向となり、前端側が支柱57から正面側に突出する姿勢で、支柱57に固定される。具体的には、縦板部91の後端部91aが支柱57の外側面に接合されて例えばネジ止めされることによって支柱57に固定されている。
なお、これら爪部80,90が図1に半線で示すように多層加工機1に挿入されたとき、図5(a)に示すように、縦板部81と横板部82及び縦板部91と横板部92が、それぞれ加工型K1(詳細には下型L1)の両側に配置され、横板部82、92は前述した隙間S1、S2にそれぞれ挿入可能である。
また、各型保持部71〜74の爪部80,90は、図6等に示すように、型交換台50が水平な床面に置かれた場合、水平方向正面側に伸びるように互いに平行に積層状に配置され、前述した底フレーム54,55に対しても略平行となっていて、水平方向の位置は前述した底フレーム54,55と略同一位置となっている。そして、前述したキャスター150や脚部61,62は、この水平方向において、各型保持部71〜74の爪部80,90よりも外側か又は端側の位置に配置されており、各型保持部71〜74の爪部80,90に重量物である加工型K1〜K4がそれぞれ保持されている状態であっても、型交換台50は水平な床面上に転倒することなく安定的に載置でき、またこの床面上をキャスター150の作用により安定的に走行(水平移動)できる構成となっている。
また、爪部80,90の縦板部81、91は、必要な強度を確保しつつ軽量化し又挿入のし易さを確保するため、図6等に示すように先端側(正面側)に向かって幅が狭くなる先細りの形状(上縁が斜めにカットされた形状)となっている。
また、爪部80,90の縦板部81、91の先端部(前端部)には、上縁から下方に伸びるスリット83,93(切り込み)がそれぞれ形成されており、ここに両端を抜き差しすることにより脱落防止部材100(図8等に示す)が各型保持部71〜74にそれぞれ着脱可能となっている。脱落防止部材100は、全体として帯板状(例えば鋼製)のもので、両端が長手方向に対して曲げられることによって脱落防止用の曲げ部101,102が両端に形成されている。この脱落防止部材100は、図10(b)に示すように、前記スリット83,93に上から両端部をそれぞれ差し込んで曲げ部101,102を外側に出した状態で各型保持部71〜74の前端部に容易に装着可能であり、また図10(a)に示すように、前記スリット83,93から両端を上方に抜き出すことにより各型保持部71〜74から容易に取り外し可能である。そして、この脱落防止部材100は、装着状態において各型保持部71〜74に保持された加工型(詳細には下型)の下部前端面に当接することにより、保持された加工型が挿入方向先端側(爪部80,90の前端側)に移動するのを規制し、これにより保持された加工型の正面側からの脱落を阻止する。
また図8及び図9等に示すように、爪部80,90の縦板部81、91の基端側(後端側)には、横板部82、92に沿って内側に突出するように、後側ストッパ84,94が取り付けられている。後側ストッパ84,94は、本例の場合には円柱状のものであり、縦板部81、91の外側面に固定されたナット85,95(図6及び図8等に示す)に対して、縦板部81、91を貫通するネジによるネジ止めによりそれぞれ着脱可能に取り付けられている。ここで、後側ストッパ84,94を取り付けるためのナット85,95と対応する貫通孔(ナット85,95と同軸状にある貫通孔、符号省略)は、前記挿入方向(前後方向)における複数個所(本例の場合、2箇所)に設けられていて、加工型の大きさに応じて後側ストッパ84,94の前記挿入方向(前後方向)の位置が変更可能となっている。
なお、上記後側ストッパ84,94は、各型保持部71〜74に保持された加工型(詳細には下型)の下部後面に当接することにより、保持された加工型が挿入方向後端側(爪部80,90の後端側)に移動するのを規制する。よって、本例の型交換台50では、各型保持部71〜74に保持された加工型は、爪部80,90、脱落防止部材100、及び後側ストッパ84,94によって、前後左右上下の動きを全て規制され、ほとんど位置ずれすることがない。
以上説明した型交換台50によれば、例えば以下の第1工程〜第4工程を含む方法によって、加工型K1〜K4の交換を低コストで効率良く行うことができる。なお、この型交換は、加工型K1〜K4に対してワークがセットされていないワーク無しの状態で行ってもよいし、加工型K1〜K4に対してワークがセットされたワーク有りの状態で行うこともできる。実際にはワークが入ったままで行うケースも十分有り得る。例えば、ワークが入ったまま各加工型を多層加工機1から取り外して保管し、その後当該加工型による加工を行う際には、そのままワークの入った各加工型を多層加工機1に取り付けて、そのワークの入った状態から多層加工機1の動作を再開するといった使用も可能である。
・第1工程A
多層加工機1の型締め状態において、多層加工機1に取り付けられた加工型K1〜K4を構成する上型と下型のうち、上型U1〜U4の多層加工機1への固定を解除する。
・第1工程B
多層加工機1に取り付けられた複数の加工型K1〜K4の配置間隔LKが複数の型保持部71〜74の間隔LHにそれぞれ一致する位置で多層加工機1の動作(シリンダロッド41の昇降動作に伴うスライダ21等の可動部材の昇降動作)を停止させた交換位置停止状態とし、下型L1〜L4の多層加工機1への固定を解除する。なおこの順番は、どちらでもよい。即ち、交換位置停止状態とした後に下型の固定を解除してもよいし、場合によっては、下型の固定を解除した後に交換位置停止状態としてもよい。
またここで、上記第1工程Bと上記第1工程Aは、両者を合わせて第1工程を構成するが、この第1工程内の各動作の詳細な順番は上述した記載の順番に限定されない。例えば、型締め状態において先に下型の固定を解除した後に上型の固定を解除し(或いは、型開き状態で下型の固定を解除した後に型締め状態として上型の固定を解除し)、その後前記交換位置停止状態にするという順番でもよい。
・第2工程
前記交換位置停止状態において、加工型を保持していない空の型交換台50を移動させて多層加工機1にその型保持部71〜74をそれぞれ挿入し、多層加工機1内の加工型K1〜K4をその型保持部71〜74によってそれぞれ保持し、次いで、この型交換台50を移動させて、保持した加工型K1〜K4とともに多層加工機1から型保持部71〜74を引き出す。
・第3工程
前記交換位置停止状態において、交換後の新たな加工型K1〜K4を保持している別の型交換台50を移動させて多層加工機1にその型保持部71〜74を挿入し、次いでこの型交換台50を移動させて多層加工機1内に新たな加工型K1〜K4を残した状態で多層加工機1からその型保持部71〜74のみを引き出す。
・第4工程A
新たな加工型K1〜K4を構成する上型と下型のうち、下型L1〜L4を多層加工機1へ固定する。
・第4工程B
多層加工機1の型締め状態において、新たな加工型K1〜K4を構成する上型U1〜U4を多層加工機1へ固定する。
ここで、上記第4工程Bと上記第4工程Aは、両者を合わせて第4工程を構成するが、この第4工程内の各動作の詳細な順番は上述した記載の順番に限定されない。例えば、型締め状態とし、この状態で先に上型を固定した後に下型を固定するという順番でもよい。
次に、型交換台50を使用した本例の多層加工システムにおける型交換のより具体的な手順の一例を以下に説明する。
なお、この手順と前述の各工程(第1工程〜第4工程)との対応はカッコ書きにより記載する。
1.多層加工機1のスライダ21を下降端まで動かし型締め状態として停止させる(第1工程A)。
2.上型U1〜U4の多層加工機1への固定を外す(第1工程A)。
3.多層加工機1のスライダ21を上昇端まで動かし停止する(第1工程B)。これにより、上型U1〜U4は多層加工機1の可動部材から縁が切れて下型L1〜L4にそれぞれ載った状態となり、上型U1〜U4とその上方に位置する多層加工機1のスライダ21又は可動ラム22〜24の間にはそれぞれ隙間ができる。
4.図5(b)及び図5(c)右側に示すように、多層加工機1の所定位置(前述したブロック取付部31〜34の下面側)に安全ブロック35をそれぞれ装着する(第1工程B)。
5.多層加工機1のスライダ21を下降させて各安全ブロック35を図5(c)において矢印で示すように下降させ、すべての安全ブロック35の上または下方向に空いていたスペース(隙間)が埋まった(ドン着いた)状態(図5(c)左側に示す状態)で停止させる(第1工程B)。これにより、多層加工機1のスライダ21が上昇端の時(型開き時)には加工型の違いの関係で各段(各層)の開いている寸法(前述したLK1)が各層毎に変わるような設定をしていても、多層加工機1のスライダ21及び可動ラム22〜24はそれぞれ直ぐ下の可動ラムないしボルスタ(下固定盤12)にブロック取付部31〜34と安全ブロック35を介して載った状態となり、スライド・可動ラム・ボルスタの位置関係(即ち、前述した配置間隔LK)は型交換のための所定の状態となる。ここで、所定の状態とは、型交換台50における型保持部71〜74の配置間隔LHと、前述した配置間隔LKとが、各層についてそれぞれ一致する状態、即ち各層においてLK=LHとなる状態であり、これが交換位置停止状態である。
6.下型L1〜L4の多層加工機1への固定を外す(第1工程B)。
7.図9及び図13に示すように、リフト200(ハンドパレットトラック)の爪204の上に、加工型を保持していない空の型交換台50を乗せて準備する(第2工程)。脱落防止部材100は、図9に示すように外しておく。
8.多層加工機1の各下型と可動ラム・ボルスタの隙間高さ(即ち、前述した隙間S1,S2の上下方向位置)に、準備した型交換台50の各型保持部の爪部80,90の断面L字形状が合うように、リフト200の爪204を昇降させて型交換台50の床面からの高さを調整する(第2工程)。
9.型交換台50が乗ったリフト200を挿入方向に水平移動させて、型交換台50の型保持部71〜74の爪部80,90を、図1に半線で示すように、多層加工機1内へ奥まで(例えば後側ストッパ84,94が下型に当接するまで)挿入する(第2工程)。なお、図1の半線では、型保持部1個分しか図示していないが、実際には4個の型保持部71〜74の爪部80,90がそれぞれ挿入される。この際、最上段(1段目)の型保持部71は最上段の可動ラム22の上面側に挿入し、2段目の型保持部72は2段目の可動ラム23の上面側に挿入し、3段目の型保持部73は3段目の可動ラム24の上面側に挿入し、4段目の型保持部74はボルスタ(下固定盤12)の上面側に挿入する。
10.各下型L1〜L4を多層加工機1の可動ラム側又はボルスタ側から型交換台50の爪部80,90に載せ替えるところまで、リフト200の爪204を僅かに上昇させ、上記爪部80,90によって各加工型K1〜K4を持ち上げて保持する(第2工程)。
11.各加工型K1〜K4を保持した型交換台50が乗ったリフト200を多層加工機1の側より引き出す(即ち、挿入方向と反対向きに移動させる)(第2工程)。これにより、図11に示すように、全ての加工型K1〜K4(上型U1〜U4はそれぞれ下型L1〜L4に接合して載った状態)が、型交換台50の型保持部71〜74にそれぞれ保持された状態で出てくる。
12.図14に示すように、多層加工機1から引き出した型交換台50の各爪部80,90の先端部に脱落防止部材100を装着する。
13.図12に示すように、リフト200(ハンドパレットトラック)から型交換台50を降ろす。これにより、交換前の加工型K1〜K4が取り外されて型交換台50によってコンパクトに(即ち、少ない設置面積で)保管された状態となる。
次に、新たな加工型の装着は、このまま別な型交換台50を持ってくれば、上記1.〜13.までの手順と基本的に逆の手順でできる。以下それを説明する。
14.図11に示すように、リフト200(ハンドパレットトラック)の爪204の上に、新たな交換後の加工型を保持していた別の型交換台50(以下、新たな型交換台50という)を乗せて準備する(第3工程)。脱落防止部材100は、図11に示すように外しておく。
15.前述した交換位置停止状態のままとなっている多層加工機1の可動ラム・ボルスタの高さに、新たな型交換台50の各型保持部の爪部80,90の高さが合うように、リフト200の爪204を昇降させて新たな型交換台50の床面からの高さを調整する(第3工程)。つまり、前述した手順10.で爪204を僅かに上昇させた後の高さと同じ高さに、この新たな型交換台50の高さを調整する。
16.新たな型交換台50が乗ったリフト200を挿入方向に水平移動させて、当該型交換台50の型保持部71〜74の爪部80,90を、多層加工機1内へ奥まで挿入する(第3工程)。
17.各下型L1〜L4を新たな型交換台50の爪部80,90から多層加工機1の可動部材側に載せ替えるところまで、リフト200の爪204を僅かに下降させ、上記爪部80,90によって保持していた各加工型K1〜K4を可動ラム・ボルスタ上の所定位置に載置する(第3工程)。
18.新たな各加工型K1〜K4を可動ラム・ボルスタ上に残したまま、新たな型交換台50が乗ったリフト200を多層加工機1の側より引き出す(即ち、挿入方向と反対向きに移動させる)(第3工程)。これにより、図9に示すように、新たな型交換台50が空の型交換台50となってリフト200に乗って出てくる。
19.新たな加工型K1〜K4の下型L1〜L4を多層加工機1へ固定する(第4工程A)。
20.多層加工機1のスライダ21をいったん上昇させて各安全ブロック35を取り外した後、上記スライダ21を下降端まで動かし、型締め状態として停止させる(第4工程B)。
21.新たな加工型K1〜K4の上型U1〜U4を多層加工機1へ固定する(第4工程B)。その後、上記スライダ21を上昇端まで動かし、図4に示す型開き状態に戻す。
以上説明した実施例によれば、次のような作用効果が得られる。
(1)複数の個別単位になった加工型を1台の型交換台50によっていっぺんに(一斉に)交換できる。即ち、多層加工機1の複数の加工型を交換する際に、多層加工機1から交換前の複数の加工型を取り出す作業も、多層加工機1に交換後の新たな加工型を差し入れる作業も、型交換台50の複数の型保持部71〜74によって一斉に行うことができ、前述したような簡単な作業よりなる交換方法及び手順によって多層加工機1の型交換を行うことができる。このため、プレス加工作業における段取り替えの大幅な時間短縮が可能となる。
(2)後述する(A)や(B)の型交換方法と比較して、重量物である加工型自体を長距離で押し引きする必要がないため、作業性の改善と、作業者労力及び事故リスクを低減できる。
(3)多層加工機1の可動部材の下降を交換位置停止状態で阻止する安全ブロック35(型締め規制ブロック)を多層加工機1に着脱可能であるため、前述したように型交換時にこの安全ブロック35を装着する手順とすることによって、型交換のために多層加工機1を交換位置停止状態とする作業が簡単になるとともに、型交換時に不用意にスライダ・可動ラムが下降することによる事故が防止され、自動的に安全が確保される。
(4)多層加工機1の重要な機構部品(スライド・可動ラム等)はそのままで、交換が必要な中身の加工型のみを交換できるため、コスト低減に大いに寄与できる。
(5)型交換台50がそのまま複数の加工型を積載する保管用ラックとしても機能し、型交換台50が型交換治具と保管用設備を兼ねることになるため、型交換治具から保管用設備への乗せ換え作業が不要になり、作業時間短縮及び事故リスク低減が実現できる。
(6)型交換台50が保管用ラックとしても機能するため、別途保管用ラック等の保管用設備を設ける必要がなく、設備費用の低減が実現できる。
(7)型交換に必要な機構が非常に簡単な構造の型交換台50であるため、故障リスクが低く、設備の初期コストが低減できるのに加え、メンテナンスコストも大きく低減できる。
(8)型交換台50に加工型を搭載している時、型交換台50に脱落防止部材100を装着しておけば、加工型一つ一つが周囲を囲まれた状態になり、各加工型が不用意に動くことなく、移動時に落下することもないので、安全性が向上する。なお、本例の型交換台50には、前述した後側ストッパ84,94が設けられているため、各加工型の後方への移動はこの後側ストッパ84,94により阻止され、前方への移動は脱落防止部材100により阻止され、左右方向への移動や落下は爪部80,90により阻止され、上方への移動は重力により阻止される。
(9)型交換台50によって多層加工機1から取り外した複数の加工型をそのまま型交換台50に搭載して保管管理すれば、多層加工機1に所定の組み合わせかつ所定の順番(上下の配置順)で装着すべき複数の加工型がそのままの順番でセットとして保管管理されることになるため、保管中の紛失リスクが低く、保管場所の移動や入れ替えも容易であり、保管管理が格段に容易かつ良好に行えるようになる。
以上のように、本実施例によれば多層加工機の複数の加工型の交換を低コストで効率良く行うことができ、さらには、安全性確保、加工型の保管管理の容易化、設備コスト及びメンテナンスコストの低減等を実現できる。
以下では、上述したような作用効果を、上記実施例から抽出される発明概念毎に従来例と比較して説明する。
(発明概念1)
まず、前記実施例の型交換台50は、次のような特徴を有する。
即ち、プレス加工用の加工型を型締め・型開き方向に複数配置して使用する多層加工機の複数の前記加工型を、交換するための型交換台であって、
前記多層加工機に同時に挿入可能で、前記多層加工機に挿入した状態で前記多層加工機内の前記加工型をそれぞれ保持可能な型保持部が、前記多層加工機の型締め状態における前記加工型の配置間隔よりも広い間隔で複数並んで設けられ、
前記型保持部は、前記挿入方向に直交する横方向における前記加工型の動き及び落下を規制する構造を有する。
この特徴を有する型交換台によれば、多層加工機における各加工型を接合状態(下型の上に上型が接合して載った状態)として多層加工機への各加工型の固定を外すとともに、各加工型の配置間隔が型交換台の複数の型保持部の間隔と一致する位置で多層加工機のスライダ・可動ラムを停止させた状態(交換位置停止状態)としておき、この状態で型交換台の複数の型保持部を多層加工機に一斉に挿入して各加工型を保持した後、型交換台の型保持部を引き出すという容易な作業によって、多層加工機から交換前の複数の加工型を取り出す作業を一斉に行うことができる。
なお、型交換台の複数の型保持部の間隔は、型締め状態における加工型の配置間隔(即ち、型締め状態でのスライダ・可動ラム等の配置間隔)よりも広い間隔であるため、上記交換位置停止状態では、各加工型とその直上のスライダ・可動ラム等との間に隙間が存在することになる。また、各型保持部は各加工型の横方向の動き及び落下を規制する構造を有する。このため、型交換台の各型保持部を挿入した後に僅かに型交換台の各型保持部を上昇させて各型保持部により各加工型を持ち上げるという動作が可能となり、この加工型を僅かに持ち上げるという動作により、各加工型を多層加工機から型交換台の各型保持部に載せ替えて各型保持部で各加工型を確実に保持することが容易にできる。
また、上記型交換台によれば、多層加工機を前記交換位置停止状態としておき、この状態で交換後の加工型が搭載された型交換台の複数の型保持部を多層加工機に挿入して各加工型を多層加工機側へ載せ替えた後、型交換台の型保持部を引き出すという容易な作業によって、多層加工機の所定位置に交換後の新たな加工型を差し入れる作業も一斉に行うことができる。なお、この際の各加工型の多層加工機側への載せ替えも、上述した取り出しの場合と逆の動作で容易にできる。
したがって、上記型交換台によれは、多層加工機の複数の加工型の交換が容易な作業で効率良く実現できる。しかも、前記実施例の効果でも説明したように、多層加工機の重要な機構部品はそのままで加工型のみを交換できるため大幅なコスト低減が可能であり、加工型の保管管理も上記型交換台によって低コストで効率良く良好に実現でき、さらに安全性も高く実現できる。
これに対して、従来例(或いは比較例)を説明すると、多層加工機の型交換方法として例えば次の(A)〜(D)のような方法が考えられた。
(A)多層加工機のスライダ・可動ラムを上死点に移動させた状態で、複数の棚部を有するラック(型交換治具)を多層加工機に横付けし、このラックの各棚部の上面を各加工型の下面と同じ高さに保持しつつ、多層加工機からこのラックへと、固定を外した各加工型を人力で押して横滑りさせて各層毎に載せ替えることにより、各加工型の取り外しを行う。また同様にして、新たな加工型を載せたラックから多層加工機へと、新たな加工型を人力で押して横滑りさせて各層毎に載せ替え、その後各加工型を固定することにより、新たな各加工型の取り付けを行う。
(B)多層加工機の各層について1段分ずつ、専用のラック又はハンドパレットトラック等へ加工型を人力で引っ張り出して取り外し作業を行い、逆に押し込んで取り付け作業を行う。
(C)多層加工機の各層について、上型と下型を分離し、上型と下型を別個に複数人で持ち上げて取り外し、逆の手順で取り付ける。
(D)特開2009−56485号公報に記載されているように、複数の可動ラム(支持プレート)と複数の加工型を含むプレスアセンブリごと交換する。
(E)特開2011−156748号公報に記載されているように、各層の隣接する位置にある別の加工型と現在使用中の加工型を横方向に移動させるスライドテーブルを各層毎に設けて、このスライドテーブルの動作により各層毎に加工型の交換を行う。
(F)特開2011−218440号公報に記載されているように、スライド等の可動部材と複数の加工型を含むダイセットごと複数の加工型の交換を行う。
しかし、上記型交換方法のうちの(A)や(B)では、重量物である加工型自体を長距離で押し引きする作業が各加工型毎(各層毎)に必要であり、この作業では作業者が多層加工機内の各層に手を差し入れる必要もあるため、作業性が悪く、作業者の多大な労力が必要になり、事故リスクも増えるという課題がある。特に、高い位置にある加工型については、高所で作業者が不安定な姿勢になりながら重い加工型を引っぱり出したり押し込んだりしなければならず、ラックが大型になれば作業者も手が届く位置に入り難いため、作業性が非常に悪く、事故リスクも特に高くなる。
また(C)でも、重量物である上型及び下型自体を持ち上げる作業が、各加工型毎に必要となり、この作業でも作業者が多層加工機内の各層に手を差し入れる必要もあるため、やはり作業性が悪く、作業者の多大な労力が必要になり、事故リスクも増えるという課題がある。
また、(D)や(F)では、各加工型がいっぺんに交換できるが、本来交換する必要のないスライドや可動ラムなどの多層加工機の大型で高重量の機構部品までも交換しなければならないので、設備としての無駄が非常に多く、また交換する部分の質量も大きく交換装置が非常に大掛かりになってしまうため、設備の初期コスト及びランニングコストが多大なものとなるという課題がある。
また(E)では、スライドテーブルを各層毎に設けなければならず、さらに多種類の加工型を載せた高質量のスライドテーブルを各層毎に移動させる駆動力も必要であるため、やはり設備の初期コスト及びランニングコストが多大なものとなるという課題がある。
ところが、前述した本願の発明概念の型交換台を使用すれば、型保管用のラックとしても機能する型交換台自体を移動させてこの型交換台の複数の型保持部を多層加工機内に一斉に挿入することで、人が手を多層加工機内に差し入れる必要もなく、複数の加工型の交換のための各加工型の出し入れを一斉にかつ安全に行うことができ、しかも各加工型のみを交換することができる。また、型交換台は複数の型保持部を並べて配置しただけの構成であるため、安価に実現できる。したがって、前述した発明概念の型交換台を使用すれば、上述した(A)〜(D)のような方法での従来の課題が解決できる。
(発明概念1a)
また、型交換台50は、次のような特徴も有する。
即ち、前記型保持部は、前記加工型の底面及び側面に接合可能なL字形断面を有する一対の爪部よりなり、前記多層加工機への挿入時に前記加工型の前記横方向両側に各爪部が位置して、一方の爪部が前記加工型の底面及び一方の側面に接合し、他方の爪部が前記加工型の底面及び他方の側面に接合することにより、前記横方向における前記加工型の動き及び落下を規制する構造である。
この特徴を有する型交換台は、例えば前述の図5(a)で説明したような隙間S1,S2が多層加工機における各加工型の下面にあれば使用できるので、特別な構成を加工型又は多層加工機に設ける必要がなく、コスト面でより有利である。
(発明概念2)
また、型交換台50は、次のような特徴も有する。
即ち、前記型保持部には、この型保持部に保持された前記加工型が前記挿入方向先端側に移動するのを規制する脱落防止部材を着脱可能である。
この特徴を有する型交換台は、型交換台に加工型を搭載している時、型交換台に脱落防止部材を装着しておけば、加工型一つ一つが周囲を囲まれた状態になり、各加工型が勝手に動くことなく、移動時に落下することもないので、安全性が向上する。なお、前述した(A)や(B)の方法で使用するラックは、単なる棚状のものであり、ラックの前面等から加工型が落下するのを阻止できない。
(発明概念3)
また、型交換台50は、次のような特徴も有する。
即ち、当該型交換台の底部又は下方には、当該型交換台が置かれた床面上を移動するリフトの爪を挿入可能である。
この特徴を有する型交換台は、例えば市販のハンドパレットトラックなどのリフトの爪を底部又は下方に挿入して、当該リフトによって型交換台全体を低コストで容易に移動(昇降及び水平移動)させることができる。これにより、この型交換台を使用した前述の型交換作業が、より作業性が良く、より低コストでより効率の良いものとなる。
(発明概念4)
また、前記実施例の多層加工機1と型交換台50とを備える多層加工システムは、次のような特徴を有する。
即ち、発明概念1乃至3の何れかに記載の型交換台と多層加工機とを備える多層加工システムであって、
前記多層加工機は、当該多層加工機に取り付けられた複数の前記加工型の配置間隔が複数の前記型保持部の間隔に一致する位置において当該多層加工機の型締め動作を阻止する型締め規制ブロックを着脱可能である。
この特徴を有する多層加工システムは、型交換のために多層加工機を前述した交換位置停止状態(多層加工機における加工型の配置間隔が型交換台の型保持部の間隔に一致した状態)とする作業が簡単になるとともに、型交換時に不用意にスライダ・可動ラムが下降することによる事故が防止され、自動的に安全が確保される。このため、発明概念1の型交換台を使用した型交換の作業が、より安全で、より作業性が良く、より効率の良いものとなる。なお、前述した(A)〜(D)の従来技術又は比較例では、このように型交換に適した位置で型締め動作(スライダ・可動ラムの下降)を阻止する手段は備えられていないので、作業性に加えて安全性を高く実現することができない。
(発明概念5)
また、前記実施例の多層加工機1の型交換方法は、次のような特徴を有する。
即ち、発明概念1乃至3の何れかに記載の型交換台を使用した前記多層加工機の型交換方法であって、
前記多層加工機に取り付けられた複数の前記加工型の前記多層加工機への固定を解除するとともに、前記多層加工機に取り付けられた複数の前記加工型の配置間隔が複数の前記型保持部の間隔に一致する位置で前記多層加工機の動作を停止させた交換位置停止状態とする第1工程と、
前記交換位置停止状態において、前記加工型を保持していない空の前記型交換台を移動させて前記多層加工機にその型保持部を挿入し、前記多層加工機内の前記加工型をその型保持部によってそれぞれ保持し、次いでこの型交換台を移動させて前記多層加工機から前記型保持部を前記加工型とともに引き出す第2工程と、
前記交換位置停止状態において、交換後の新たな前記加工型を保持している別の前記型交換台を移動させて前記多層加工機にその型保持部を挿入し、次いでこの型交換台を移動させて前記多層加工機内に新たな前記加工型を残した状態で前記多層加工機からその型保持部を引き出す第3工程と、
新たな前記加工型を前記多層加工機へ固定する第4工程と、を有することを特徴とする多層加工機の型交換方法。
この特徴を有する多層加工機の型交換方法は、発明概念1の型交換台を使用しているので、発明概念1の作用効果と同様の作用効果を実現できる。また、これに加えて次の作用効果を奏する。即ち、第2工程と第3工程において、型交換台の型保持部のみの挿入と引き出しを行う際に、各加工型の多層加工機への固定が解除されているので、この型保持部のみの挿入と引き出しの作業を容易に行うことができる。ちなみに、各加工型が固定されている状態で型保持部のみの挿入と引き出しを行う手順でも原理的には問題ないが、例えば固定機構が邪魔になって型保持部の挿入作業や引き出し作業の作業性が低下するなどの恐れがある。上記発明概念5或いは後述する発明概念5aの方法であれば、このような問題の恐れが無い。
(発明概念5a)
また、前記実施例の多層加工機1の型交換方法は、次のような特徴を有する。
即ち、発明概念1乃至3の何れかに記載の型交換台を使用した前記多層加工機の型交換方法であって、
前記多層加工機の型締め状態において、前記多層加工機に取り付けられた前記加工型を構成する上型と下型のうち、上型の前記多層加工機への固定を解除する第1工程Aと、
前記多層加工機に取り付けられた複数の前記加工型の配置間隔が複数の前記型保持部の間隔に一致する位置で前記多層加工機の動作を停止させた交換位置停止状態とし、前記下型の前記多層加工機への固定を解除する第1工程Bと、
前記交換位置停止状態において、前記加工型を保持していない空の前記型交換台を移動させて前記多層加工機にその型保持部を挿入し、前記多層加工機内の前記加工型をその型保持部によってそれぞれ保持し、次いでこの型交換台を移動させて前記多層加工機から前記型保持部を前記加工型とともに引き出す第2工程と、
前記交換位置停止状態において、交換後の新たな前記加工型を保持している別の前記型交換台を移動させて前記多層加工機にその型保持部を挿入し、次いでこの型交換台を移動させて前記多層加工機内に新たな前記加工型を残した状態で前記多層加工機からその型保持部を引き出す第3工程と、
新たな前記加工型を構成する上型と下型のうち、下型を前記多層加工機へ固定する第4工程Aと、
前記多層加工機の型締め状態において、新たな前記加工型を構成する上型を前記多層加工機へ固定する第4工程Bと、を有する。
この特徴を有する多層加工機の型交換方法は、発明概念1の型交換台を使用しているので、発明概念1の作用効果と同様の作用効果を実現できる。また、これに加えて次の作用効果を奏する。即ち、第1工程における上型の固定の解除を型締め状態において行っているので、上型の固定解除を実行した時に、上型が既に下型に接合しており、上型が下型に対して落下して損傷する恐れが無く、また上型の固定を外すだけで上型が下型に載った接合状態になるので、その後の作業のために下型に対して上型を下型に接合させて載せるという作業をわざわざする必要がなくなる。また、第2工程と第3工程において、型交換台の型保持部のみの挿入と引き出しを行う際にも、各加工型の多層加工機への固定が解除されているので、この型保持部のみの挿入と引き出しの作業を容易に行うことができる。
(発明概念A)
また、前記実施例の多層加工機1は、次のような特徴を有する。
即ち、プレス加工用の加工型を型締め・型開き方向に複数配置して使用する多層加工機であって、
固定盤であるボルスタ(12)と、
このボルスタに対して四隅の位置に互いに平行に固定状態に設けられた4本の支柱(14)と、
これら支柱に対して動作可能に型締め・型開き方向に複数積層配置され、前記加工型を構成する各型(上型と下型)のうち、前記ボルスタに固定される型(L4)を除くもの(U1、L1、U2、L2、U3、L3、U4)を動作可能に支持する複数の可動部材(スライダ21及び可動ラム22〜24)と、
これら複数の可動部材のうち、前記ボルスタから最も離れた反対側の位置にある可動部材(スライダ21)を型締め・型開き方向に駆動するプレス駆動源(油圧シリンダ40)と、を備え、
前記複数の可動部材が、前記4本の支柱のうちの互い違いに対角線上に位置する2本の支柱にそれぞれ軸受部(21a〜24a)によって案内される構成(2本対角構成)であることを特徴とする。
なお、上記軸受部を構成する軸受は、特に限定されず、例えばすべり軸受けでもよいし、転がり軸受でもよい。プレス駆動源も油圧シリンダに限定されない。
この特徴を有する多層加工機によれば、既述したように、上記2本対角構成により各軸受部の軸方向の長さを格段に大きく設定することが可能となり、これにより、各可動部材がプレス加工の力に対して傾き難くかつ変形し難くなり、プレス加工の力により生じた傾きや変形により各可動部材が円滑に動かなくなってしまうなどの不具合の可能性が格段に低減されるという優れた効果が得られる。また、上記2本対角構成であると、軸受部の数を半分に低減するとともに、型締め状態において各可動部材の軸受部が干渉することを容易に回避できるという効果も得られる。
なお、本発明は前述した実施例に限られず、各種の変形や応用があり得る。
例えば、型交換台の型保持部(爪部80,90)の構成は、前述した実施例の構成に限られない。図15(a)は前述した実施例の爪部80,90の構成を示すものであるが、加工型側の構成によっては例えば図15(b)や図15(c)に示す構成でもよい。ここで、図15(b)に示す構成は、加工型の側面に溝S3、S4が形成されている場合に、これら溝S3、S4に挿入可能な爪部80,90とした構成例を示している。また、図15(c)に示す構成は、加工型の側面に逆L字状のフック部分が形成されている場合に、これらフック部分の内側の溝S5、S6に挿入可能な爪部80,90とした構成例を示している。型保持部(爪部80,90)の構成は、このような態様でもよい。したがって、型保持部(爪部80,90)は、必ずしも断面L字状に限らず、図15(c)のように断面が直線状でよい場合もあるし、或いは断面T字状でもよいし、断面円形(例えば下型に開けられた挿入方向の複数の穴にそれぞれ挿入される断面円形の棒状の複数の爪部からなる構成)などでもよい。いずれにせよ、複数の型保持部(爪部80,90)の構成は、多層加工機に同時に挿入可能で各加工型の横方向の動きと落下を規制して各加工型が保持でき、多層加工機に挿入した状態で例えば僅かに持ち上げる或いは持ち下げるという動作によって、各加工型の多層加工機から型交換台への載せ替え、或いは型交換台から多層加工機への載せ替えが可能な構成であれば、いかなる構成でもよく、2本でなく1本の爪部からなる構成、或いは3本以上の爪部からなる構成もあり得る。
また、前記実施例では、型交換台の型保持部の挿入時の上下位置調整は、別個のリフト(ハンドパレットトラックなど)により行うが、例えば多層加工機の下部の地面にリフトアップ機構が埋め込まれていて、このリフトアップ機構を使用して多層加工機を昇降させることにより、相対的に型保持部の上下位置調整を行う態様でもよい。また、型交換台自体に、各型保持部を一斉に昇降させる機構(例えば作業者がハンドルを回すと各型保持部が昇降する機構)を設け、この機構により型保持部の挿入時の上下位置調整を行ってもよい。この場合、前記実施例のように型交換台にキャスター(車輪)が付いていると、型交換台自体の水平移動と型保持部の昇降動作が型交換台のみで(或いは上記リフトアップ機構により)容易にできるので、ハンドパレットトラックなどのリフトを別個に用意する必要が無くなる。
また、型交換台は、キャスター(車輪)付きの台車であってもよいが、キャスターの無い構成でもよい。キャスターが無くても、例えばリフトの爪が挿入可能であればリフトで容易に移動させることができるからである。
また、前記実施例の多層加工機の構成は、既述したように一例であり、これに限定されない。例えば、油圧シリンダなどのプレス駆動源が、加工型やスライダや可動ラムの下側に配置される態様もあり得る。プレス駆動源が下側に配置される場合、プレス駆動源がスライダ等を押し上げて上昇させる動作が型締めの動作となる。また、型締め・型開き方向は、必ずしも上下方向(鉛直方向)に限らない。例えば、鉛直方向に対して若干傾いている態様もあり得る。また多層加工機は、4層タイプに限られず、その段数(層の数)は4未満でも5以上でもよい。
また、本願発明の型交換台による型交換は、前述した安全ブロック35(型締め規制ブロック)を使用しないで、例えば多層加工機の型開き状態で行うこともでき、その態様の場合には、LH=LK1となる。但し、前述した安全ブロック35を使用する態様が優れていることは前述したとおりである。
1 多層加工機
12 下固定盤(ボルスタ)
14 支柱
21 スライダ(可動部材)
22〜24 可動ラム(可動部材)
21a〜24a 軸受部
31〜34 ブロック取付部
35 安全ブロック(型締め規制ブロック)
40 油圧シリンダ(プレス駆動源)
50 型交換台
71〜74 型保持部
80,90 爪部
84,94 後側ストッパ
100 脱落防止部材
200 リフト(ハンドパレットトラック)
204 リフトの爪
K1〜K4 加工型
U1〜U4 上型
L1〜L4 下型

Claims (1)

  1. プレス加工用の加工型を型締め・型開き方向に複数配置して使用する多層加工機であって、
    固定盤であるボルスタと、
    型締め・型開き方向が軸方向となるように配置されて、前記ボルスタに対して四隅の位置に互いに平行に固定状態に設けられた4本の支柱と、
    これら支柱に対して動作可能に型締め・型開き方向に複数積層配置され、前記加工型を構成する各型のうち、前記ボルスタに固定される型を除くものが固定される複数の可動部材と、
    これら複数の可動部材のうち、前記ボルスタから最も離れた反対側の位置にある可動部材を型締め・型開き方向に駆動するプレス駆動源と、を備え、
    前記複数の可動部材は、前記4本の支柱のうちの互い違いに対角線上に位置する2本の支柱にそれぞれ軸受部によって案内されることにより型締め・型開き方向に動作可能であることを特徴とする多層加工機。

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