JP6323244B2 - 高温成形用金型 - Google Patents

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本発明は、高温成形用金型に関する。
従来から金属製の母材のキャビティ側の表層部が耐熱性皮膜で形成されたダイカスト金型が知られている(下記特許文献1を参照)。母材と耐熱性被膜との熱膨張の違いを吸収して耐熱性皮膜の剥離を防ぐことが必要であり、そのために、特許文献1に記載のダイカスト金型では、耐熱性皮膜をセラミックスと接合金属とからなる皮膜で形成し、且つ、表面から内部に向かってセラミックスの組成が連続的もしくは段階的に減少するように形成している。具体的には、特許文献1では、固定金型及び移動金型のキャビティ側の表層部にTiB及びCuからなる皮膜が構成され、この皮膜は、その表面ではTiBの組成が100%であり、母材との界面では熱膨張係数が互いに等しくなるようにCuの組成が52容量%であり、その中間部では表面から深さ方向に向かってTiBの組成が段階的に減少するように構成されている。これにより、特許文献1では、溶湯による溶損が生じにくく、且つ、長い寿命を備えたダイカストマシン用の金型が得られるとしている。
特開平11−123521号公報
特許文献1に記載のダイカスト金型では、傾斜機能を備える皮膜によって皮膜と母材との間の熱膨張の差異を低減しているが、複雑な組成の皮膜が必要になるという課題がある。
この課題を解決する手段として、例えば、図4(a)及び図5(a)に示すように、内側に方形の成形室911を有する金属製の外型910と、成形室911内で方形のキャビティ920を形成するセラミック製の内型930と、を備えた金型901,902を用いることが考えられる。ここで、内型930は、外型910の成形室911の内壁面911a,911bの各々に沿って配置される複数の内型部材931又は932及び933を備え、内型部材931又は932及び933は、断面視で井桁状に組み合わされている。この構成の金型901,902は前記特許文献1に記載のものと比較して、構成は簡素化される。
しかし、外型910の材質は相対的に熱膨張率が大きく、内型930の材質は相対的に熱膨張率が小さい。そのため、図4(b)及び図5(b)に示すように、金型901,902の昇温時に外型910の熱膨張が内型930の熱膨張よりも大きくなり、内型930を構成する内型部材931又は932及び933の相互間に隙間Gが生じ、製品にバリが形成されてしまう不都合がある。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、内側に方形の成形室を有する相対的に熱膨張率の大きい材質の外型と、成形室内で方形のキャビティを形成する相対的に熱膨張率の小さい材質の内型とを備えた高温成形用金型であって、前記外型と内型との間の熱膨張の差を吸収することで、前記隙間Gが生じるのを回避できるようにした高温成形用金型を提供することを課題とする。
前記目的を達成すべく、本発明の高温成形用金型は、内側に方形の成形室を有する相対的に熱膨張率の大きい材質の外型と、前記成形室内で方形のキャビティを形成する相対的に熱膨張率の小さい材質の内型と、を備えた高温成形用金型であって、前記内型は、前記成形室の内壁面の各々に沿って配置される複数の内型部材を備え、前記内型部材は、前記成形室の内壁面の1つに沿う方向において、一端が隣接する他の前記内型部材の側面に接し、他端が該内壁面の1つに隣接する他の前記内壁面と空隙を有して対向する井桁状に順次組み合わされて、前記キャビティを囲むとともに、前記外型の材質よりも熱膨張率の大きい材質の充填部材によって前記空隙が充填され、前記内壁面の1つに沿う方向において、前記成形室の内寸をA、前記充填部材の外寸をB、前記内型部材の前記一端から前記他端までの長さをC、前記内型部材の前記一端が接する別の前記内型部材の厚さをDとし、前記外型の材質の熱膨張率をα、前記充填部材の材質の熱膨張率をβ、前記内型の材質の熱膨張率をγ、各部材の温度上昇をΔtとしたときに、下記式(1)及び(2)が成立することを特徴とする。
A=B+C+D …(1)
A+A・α・Δt=B+C+D+B・β・Δt+C・γ・Δt+D・γ・Δt…(2)
本発明の高温成形用金型は、前記式(1)を満たすことから、昇温前の状態で、外型の内壁面に沿う方向において、成形室の内寸Aが、成形室に収容される各部材の寸法、すなわち、充填部材の外寸B、内型部材の一端から他端までの長さC、及び内型部材の厚さDの和と等しい。これにより、金型の昇温前において、井桁状に順次組み合わされてキャビティを囲む内型部材の相互間に隙間が生じることが防止される。
また、本発明の高温成形用金型は、前記式(2)を満たすことから、昇温前の状態からΔtだけ温度上昇した昇温後の状態で、膨張後の成形室の内寸(A+A・α・Δt)が、成形室に収容される各部材の寸法、すなわち、膨張後の充填部材の外寸(B+B・β・ΔΔt)、膨張後の内型部材の一端から他端までの長さ(C+C・γ・Δt)、及び膨張後の内型部材の厚さ(D+D・γ・Δt)の和と等しい。すなわち、外型の成形室の内壁面に沿う方向において、成形室の内寸Aの膨張量A・α・Δtが、充填部材の外寸B、内型部材の長さC、及び内型部材の厚さDの膨張量の和(B・β・Δt+C・γ・Δt+D・γ・Δt)と等しい。換言すると、外型の材質のよりも熱膨張率が大きい材質の充填部材が熱膨張することで、外型と内型との間の熱膨張の差によって拡張する空隙を充填することができる。これにより、金型の昇温後においても、井桁状に順次組み合わされた内型部材が相互に押し付けられ、外型と内型の熱膨張の差によって内型部材の相互間に隙間が生じることが防止される。
以上の説明から理解できるように、本発明によれば、相対的に熱膨張率の大きい材質の外型と、相対的に熱膨張率の小さい材質の内型とを備えた高温成形用金型において、前記外型と前記内型の間の熱膨張の差を吸収することができ、昇温前と昇温後においてキャビティを囲む内型部材の相互間に隙間が生じるのを防止できる。それにより、製品に不要なバリが発生するのを阻止することが可能となる。
本発明の金型の一実施形態を示す模式的な断面図である。 図1に示す金型を分解して示す模式的な断面図である。 図1に示す金型の昇温後の状態を示す模式的な断面図である。 充填部材を有さない比較例1の金型を示す模式的な断面図であり、(a)は昇温前の状態、(b)は昇温後の状態を示す模式的な断面図である。 充填部材を有さない比較例2の金型を示す模式的な断面図であり、(a)は昇温前の状態、(b)は昇温後の状態を示す模式的な断面図である。
以下、図面を参照して本発明の金型の一実施形態について詳細に説明する。なお、発明を理解しやすくするために、各図において、金型の各構成部材、空隙、隙間等の寸法は、適宜縮尺を変更し、又は、実際の寸法よりも誇張して表している。
図1は、本発明の金型100の実施形態を示す模式的な断面図である。図2は、図1に示す金型100を分解して示す模式的な断面図である。
本実施形態の金型100は、例えば、ダイカスト、鍛造、又は金属系粉末の成形固化等に用いられ、数百℃程度の高温で使用される高温成形用の金型である。金型100は、内側に方形の成形室11を有するアウターとしての外型10と、成形室11内で方形のキャビティ20を形成する内型30と、を備えている。また、本実施形態の金型100は、外型10の材質よりも熱膨張率の大きい材質の充填部材40を備えている。
外型10は、例えば、工具鋼、超耐熱合金等、相対的に熱膨張率の大きい金属系材料によって製作され、内型30は、例えば、セラミック等、耐熱性及び耐摩耗性に優れ、相対的に熱膨張率の小さい材質によって製作されている。充填部材40は、例えば、ステンレス鋼等の高膨張率材料によって製作されている。
外型10の成形室11は、例えば、直方体又は立方体の空間であり、図1及び図2に示す断面において、互いに対向する平行な一対の内壁面11a,11aと、これらの一対の内壁面11a,11aに垂直で互いに対向する平行な一対の内壁面11b,11bと、を有している。なお、成形室11は、当該断面に垂直な方向において、これらの内壁面11a,11bの両側に内壁面を有し、例えば成形する材料の導入口等を除いて密閉されていてもよい。また、成形室11は、当該断面に垂直な方向の両側又片側が開放され、例えば他の金型等との間に密閉された空間を形成してもよい。
内型30は、図1及び図2に示す断面において、成形室11の内壁面11a,11bの各々に沿って配置される複数の内型部材31を備えている。内型部材31は、例えばセラミック製のプレートであり、成形室11の内壁面11a(又は11b)に沿う方向において、一端31aが隣接する他の内型部材31の側面31cに接し、他端31bがその内壁面11a(又は11b)に垂直な隣接する内壁面11b(又は11a)と空隙Sを有して対向する井桁状に順次組み合わされている。これにより、内型部材31は、キャビティ20を囲むように配置されている。
なお、図1及び図2に示す断面に垂直な方向において、内型部材31の両側にキャビティ20を閉塞する矩形板状の内型部材を配置してもよく、内型部材31の片側にキャビティ20を閉塞する矩形板状の内型部材を配置し、キャビティ20の反対側を他の金型等で閉塞してもよい。
充填部材40は、図1及び図2に示す断面において、例えば、矩形の断面を有し、当該断面に垂直な方向に沿って延びる棒状に形成されている。充填部材40は、内壁面11a(又は11b)の1つに沿う内型部材31の幅方向の他端31bと、その内壁面11a(又は11b)の1つに隣接する他の内壁面11b(又は11a)との間に配置されている。これにより、金型100は、図1に示す昇温前の常温の状態で、内壁面11a(又は11b)の1つに沿う方向において、内型部材31の幅方向の一端31aが隣接する他の内型部材31の側面31cに接し、内型部材31の幅方向の他端31bと隣接する内壁面11b(又は11a)との間の空隙Sが、充填部材40によって充填されている。
図2に示すように、外型10の成形室11の内壁面11a(又は11b)の1つに沿う方向において、成形室11の内寸をA、充填部材40の外寸をB、内型部材31の一端31aから他端31bまでの長さをC、内型部材31の一端31aが接する他の内型部材31の厚さをDとする。そして、外型10の材質の熱膨張率をα、充填部材40の材質の熱膨張率をβ、内型30すなわち内型部材31の材質の熱膨張率をγ、各部材の温度上昇をΔtとしたときに、本実施形態の金型100では、下記式(1)及び(2)が成立する。
A=B+C+D …(1)
A+A・α・Δt=B+C+D+B・β・Δt+C・γ・Δt+D・γ・Δt…(2)
上記式(1)を上記式(2)に代入すると、下記式(3)が得られる。
A・α・Δt=B・β・Δt+C・γ・Δt+D・γ・Δt …(3)
さらに、上記式(3)の両辺をΔtで除すると下記式(4)が得られる。
A・α=B・β+(C+D)・γ …(4)
さらに、上記式(4)に上記式(1)を代入してC、Dを消去すると、下記式(5)が得られる。
A・α=B・β+(A−B)・γ …(5)
よって、成形室11の内寸A、充填部材40の外寸Bが予め決められている場合には、下記式(6)に基づいて、充填部材40の材質の熱膨張率βを選択することができる。
β={A・α−(A−B)・γ}/B …(6)
ただし、上記式(6)を満たす充填部材40の材質が存在しない可能性がある。
そこで、予め、γ<α<βの関係を満たすように、外型10の材質、充填部材40の材質、及び内型30の材質が決められている場合には、下記式(7)に基づいて、充填部材40の外寸Bを決定することができる。
B=A・(α−γ)/(β−γ) …(7)
上記式(7)によって寸法A及びBを決定すれば、さらに上記式(1)に基づいてC及びDを決定することができる。
このように寸法A、B、C及びDを決定した金型100は、上記式(1)を満たすことから、昇温前の状態で、外型10の内壁面11a,11bに沿う方向において、成形室11の内寸Aが、成形室11に収容される各部材の寸法、すなわち、充填部材の40外寸B、内型部材31の一端31aから他端31bまでの長さC、及び内型部材31の厚さDの和と等しい。これにより、金型100の昇温前において、井桁状に順次組み合わされてキャビティ20を囲む内型部材31の相互間に隙間Gが生じることが防止される。
図3は、図1に示す金型100の昇温後の状態を示す模式的な断面図である。
金型100は、昇温前の状態からΔtだけ温度上昇した昇温後の状態で、膨張後の成形室11の内寸Aが(A+A・α・Δt)となる。成形室11に収容される各部材の寸法、すなわち、膨張後の充填部材40の外寸Bは(B+B・β・Δt)となり、膨張後の内型部材31の長さCは(C+C・γ・Δt)となり、膨張後の内型部材31の厚さDは(D+D・γ・Δt)となる。そして、金型100の寸法A、B、C及びDは、上記式(2)を満たすことから、膨張後の成形室11の内寸(A+A・α・Δt)は、膨張後の充填部材40の外寸(B+B・β・Δt)と膨張後の内型部材31の長さ(C+C・γ・Δt)と膨張後の内型部材31の厚さ(D+D・γ・Δt)の和と等しい。
すなわち、外型10の成形室11の内壁面11a,11bに沿う方向において、成形室11の内寸Aの膨張量A・α・Δtが、充填部材40の外寸B、内型部材31の長さC、及び内型部材31の厚さDの膨張量の和(B・β・Δt+C・γ・Δt+D・γ・Δt)と等しい。換言すると、外型10の材質よりも熱膨張率が大きい材質の充填部材40が熱膨張することで、外型10と内型30との間の熱膨張の差によって拡張する空隙Sを充填することができる。これにより、金型100の昇温後においても、井桁状に順次組み合わされた内型部材31が相互に押し付けられ、外型10と内型30の熱膨張の差によって内型部材31の相互間に隙間Gが生じることが防止される。
したがって、本実施形態の金型100によれば、相対的に熱膨張率の大きい材質の外型10と、相対的に熱膨張率の小さい材質の内型30とを備えた高温成形用金型において、外型10と内型30の間の熱膨張の差を充填部材40によって吸収することができる。それにより、昇温前と昇温後においてキャビティ20を囲む内型部材31の相互間に隙間G(図4(b)及び図5(b)参照)が生じるのを防止でき、製品に不要なバリが発生するのを阻止することが可能となる。
従来、鍛造等の塑性加工や金属系粉末の成形固化は、一般に工具鋼からなる型を用いて実施される。この型をセラミック製のものに置き換えることができれば、型の摩耗を防ぐことができ、型寿命の大幅な延長が期待できる。ただし、セラミックは一般に高価であるため、必要最小限の部位のみをセラミック製部品に置き換えることが望まれる。このとき、セラミック製部品を何らかの方法で金型に固定する必要がある。
セラミック製部品を金型に固定する際に問題となるのが、セラミックと金型との熱膨張率の差である。例えば、ある温度でセラミック製部品と金型を2本のネジによって締結した場合、温度が変化するとセラミック製部品のネジのピッチと、金型のネジのピッチが同一でなくなり、締結を継続することができなくなる。これは、熱間鍛造等、金型が高温に曝される場合に、大きな問題になる。
そこで、本発明の実施形態に係る金型100では、金属系材料製アウターとしての外型10と、セラミックプレートとしての内型部材31との熱膨張に起因する寸法変化を、これらよりも熱膨張率が大きい高熱膨張部材としての充填部材40によって相殺し、キャビティ20に隙間が生じることを防止している。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
以下、本発明の金型の実施例について説明する。
前述の実施形態で説明した図1に示す金型100において、外型10の材料として超耐熱合金(日立金属株式会社製HRA929)を用い、内型30の材料としてジルコニア(京セラ株式会社製Z201N)を用い、充填部材40の材料としてステンレス鋼(SUS321)を用いた。これにより、外型10の材質の熱膨張率α=11.6×10−6(1/K)、充填部材40の材質の熱膨張率β=20.2×10−6(1/K)、内型30の材質の熱膨張率γ=10.5×10−6(1/K)となった。そして、上記式(7)及び上記式(1)に基づいて、下記の表1に示すように、昇温前の各部材の寸法A、B、C及びDを決定した。なお、表1において、金型100の温度は、昇温前が20℃であり、昇温後が820℃であり、温度上昇Δtは、800Kであった。
Figure 0006323244
表1及び図2に示すように、金型100の昇温前において、成形室11の内寸Aを97.0000mm、充填部材40の外寸Bを11.0000mm、内型部材の一端から他端までの長さCを74.0000mm、内型部材の一端が接する他の内型部材の厚さDを12.0000とした。これにより、(B+C+D)=97.0000mmとなり、A−(B+C+D)=0.0000mmとなった。すなわち、成形室11の内壁面11a(又は11b)の1つに沿って、成形室11の内寸Aに、充填部材40の外寸Bと内型部材31の長さCと内型部材31の厚さDとがぴったりと収まり、一方の内型部材31の一端31aと、隣接する他方の内型部材31の側面31cとが接し、内型部材31の相互間に隙間Gは形成されなかった。
表1及び図3に示すように、金型100の温度を昇温前の20℃から昇温後の820℃まで上昇させると、相対的に熱膨張率が大きい材質の外型10は、熱膨張によって、成形室11の内寸Aが、昇温前よりも0.9002mm増加して97.9002mmになった。一方、内型部材31は、熱膨張によって、幅方向の長さCが、昇温前よりも0.6216mm増加して74.6216mmになり、厚さDが、昇温前よりも0.1008mm増加して12.1008mmになった。しかし、相対的に熱膨張率が小さい内型部材31は、昇温後の長さCと厚さDが、昇温前と比較して合計で0.7224mmしか増加しなかった。そのため、成形室11の内壁面11a(又は11b)の1つに沿う方向において、外型10と内型30との熱膨張量の差は、0.1778mmとなった。すなわち、内型部材31の他端31bと成形室11の内壁面11a(又は11b)との空隙Sは、図1に示す昇温前の11.0000mmから0.1778mm増加して、図3に示す昇温後に11.1778mmになった。
本実例の金型100では、図1に示すように、内型部材31は、成形室11の内壁面11a(又は11b)の1つに沿う方向において、一端31aが隣接する他の内型部材31の側面31cに接し、他端31bが内壁面11a(又は11b)の1つに隣接する他の内壁面11b(又は11a)と空隙Sを有して対向する井桁状に順次組み合わされて、キャビティ20を隙間なく囲んでいる。そして、外型10の材質よりも熱膨張率の大きい材質の充填部材40によって空隙Sが充填されている。
さらに、図2に示すように、成形室11の内寸A、充填部材40の外寸B、内型部材31の長さC、内型部材31の厚さD、外型10の材質の熱膨張率α、充填部材40の材質の熱膨張率β、内型30の材質の熱膨張率γ、各部材の温度上昇をΔtとして、上記式(1)及び(2)が成立している。これにより、図3に示す金型100の昇温後に、外型10と内型30との熱膨張量の差の分だけ空隙Sが拡張されたが、その分だけ充填部材40が膨脹し、充填部材40によって空隙Sを充填することができた。
より具体的には、表1に示すように、充填部材40は、熱膨張によって外寸Bが、外型10と内型30との熱膨張量の差の分だけ、すなわち0.1778mm増加して、11.1778mmになった。すなわち、外型10と内型30との熱膨張量の差は、寸法A=97.9002mmから、寸法B=11.1778mmと寸法C=74.6216mmの和を減じた0.1778mmであり、これは、充填部材40の熱膨張による寸法Bの増加分である0.1778mmと等しい。
これにより、昇温後においても、A−(B+C+D)=0.0000mmとなり、成形室11の内壁面11a(又は11b)の1つに沿って、成形室11の内寸Aに、充填部材40の外寸Bと内型部材31の長さCと内型部材31の厚さDとがぴったりと収まった。したがって、井桁状に順次組み合わされた内型部材31の他端31bと、隣接する内型部材31の側面31cとが相互に押し付けられ、外型10と内型30の熱膨張の差によって内型部材31の相互間に隙間Gが生じるのを防止できた。
したがって、本実施例の金型100によって、相対的に熱膨張率の大きい材質の外型10と、相対的に熱膨張率の小さい材質の内型30との間の熱膨張の差を吸収し、昇温前と昇温後においてキャビティ20を囲む内型部材31の相互間に隙間Gが生じるのを防止することができた。
(比較例)
図4は、比較例1の金型901を示す模式的な断面図であり、(a)は昇温前の状態、(b)は昇温後の状態を示す模式的な断面図である。図5は、比較例2の金型902を示す模式的な断面図であり、(a)は昇温前の状態、(b)は昇温後の状態を示す模式的な断面図である。
比較例1の金型901は、充填部材40を有さない以外は、実施例1の金型100と同一である。また、比較例2の金型902は、充填部材40を有さず、長さの異なる内型部材932,933を備え、内型部材933と外型10との間に空隙Sを有さない以外は、実施例の金型100と同一である。したがって、各比較例の金型901,902において、実施例の金型100と同一である部分についての説明は省略する。
図4(a)に示す比較例1の金型901では、充填部材40を用いず、金型901の昇温前において、内型部材931を外型10との間に空隙Sを有する井桁状に配置した。金型901では、図4(b)に示す昇温後に、成形室911の内壁面911a,911bの各々に沿う方向において、外型910と内型930との熱膨張量の差の分だけ、すなわち0.1778mmだけ、空隙Sが拡張された。しかし、拡張された空隙Sを埋める部材が存在しないため、内型部材931が成形室911内で移動し、内型部材931の相互間に隙間Gが形成された。
同様に、図5(a)に示す比較例2の金型902では、充填部材40を用いず、成形室911の内壁面911a,911bの各々に沿う方向において、長さの異なる2種類の内型部材932,933を配置した。また、金型901は、昇温前に、内型部材932,933の端部と外型910との間に空隙Sを有していなかった。金型902では、図5(b)に示す昇温後に、内型部材933の長さ方向において、内型部材932,933の相互間に、外型910と内型930との熱膨張量の差の分、すなわち合計で0.1778mmの隙間Gが形成された。
このように、比較例1及び2の金型901,902では、内型部材931又は932及び933の相互間に隙間Gが形成された。このような隙間Gは、金型901,902による製品の成型時に、製品にバリが発生する原因となった。
10 外型、11 成形室、11a 内壁面、11b 内壁面、20 キャビティ、30内型、31 内型部材、31a 一端、31b 他端、31c 側面、40 充填部材、100 金型(高温成形用金型)、A 成形室の内寸、B 充填部材の外寸、C 内型部材の長さ、D 内型部材の厚さ、S 空隙

Claims (1)

  1. 内側に方形の成形室を有する相対的に熱膨張率の大きい材質の外型と、前記成形室内で方形のキャビティを形成する相対的に熱膨張率の小さい材質の内型と、を備えた高温成形用金型であって、
    前記内型は、前記成形室の内壁面の各々に沿って配置される複数の内型部材を備え、
    前記内型部材は、前記成形室の内壁面の1つに沿う方向において、一端が隣接する他の前記内型部材の側面に接し、他端が該内壁面の1つに隣接する他の前記内壁面と空隙を有して対向する井桁状に順次組み合わされて、前記キャビティを囲むとともに、前記外型の材質よりも熱膨張率の大きい材質の充填部材によって前記空隙が充填され、
    前記内壁面の1つに沿う方向において、前記成形室の内寸をA、前記充填部材の外寸をB、前記内型部材の前記一端から前記他端までの長さをC、前記内型部材の前記一端が接する他の前記内型部材の厚さをDとし、
    温度上昇前の前記高温成形用金型の温度をT、各部材の高温成形に伴う温度上昇をΔtとし、TからT+Δtまでの温度範囲における前記外型の材質の熱膨張率をα、前記温度範囲における前記充填部材の材質の熱膨張率をβ、前記温度範囲における前記内型の材質の熱膨張率をγとしたときに、前記熱膨張率の関係がβ>γ>αを満たし、かつ、下記式(1)及び(2)が成立することを特徴とする高温成形用金型。
    A=B+C+D …(1)
    A+A・α・Δt=B+C+D+B・β・Δt+C・γ・Δt+D・γ・Δt…(2)
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