JP2014210270A - ヒートシンクおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 金型寿命を短くすることなく、高い放熱特性を有するヒートシンクを提供することを目的とする。【解決手段】 厚み方向において一方の面を有する略平板状のベース部と前記ベース部の他方の面に設けられた複数のフィンとを備え、前記フィンは、その一方側でかつ厚み方向に交差する方向において両側に配置されたR部を有し、隣接する二のフィンの間には当該二のフィンの一方側に配置された前記R部を両側に備える谷部が形成されており、前記ベース部と前記フィンとが一体にダイカスト鋳造されたアルミニウムを主体としたヒートシンクであって、フィン間部の面積をA、フィン間部に含まれる空孔の面積をaとし、フィン直下部の面積をB、フィン直下部に含まれる空孔の面積をbとしたとき、((a+b)/(A+B))?100が0.15〜0.8(面積%)であり、(a/A)?100>(b/B)?100[いずれも面積%]であるヒートシンク。【選択図】図3
Description
本発明は、平板状のベース部と複数のフィンとを有し、ダイカスト鋳造法で製造されたアルミニウムを主体としたヒートシンクおよびその製造方法に関する。
半導体素子などで発生した熱を放散するために用いられるヒートシンクは、発熱体の温度上昇を防ぐために広く利用されている。その基本構成は、発熱体に密接し熱を受け取る肉厚の平板状のベース部とその熱を冷却媒体に放散するためにベース部から外方へ突出した多数の放熱用のフィンとから成る。
近年、ヒートシンクが用いられる半導体素子などは小型化が進んでおり、それに伴いヒートシンクにも小型化が要求されている。ヒートシンクに求められる特性は、強度と放熱性であり、とくに放熱性を上げるためにはフィンの小型化、薄肉化、更なる多数化が求められており、それに伴いヒートシンクの形状は複雑化している。また、ヒートシンクには高い放熱特性が要求されるため、熱伝導率の高い、銅、純アルミニウムやアルミニウム合金などが用いられている。
これらの複雑な構造を持ったヒートシンクを生産する方法として、特に鋳造法が用いられている。鋳造法は製品形状に近い所望の形状のキャビティを有する型に溶融した金属を流し込み、冷やして固め、所望の形状を得る方法である。この技術の特徴は、所望の形状がきわめて複雑なものであっても、それを一挙に造り上げることができるという成形能力にあり、機械加工をすることなく最終製品形状に近い素材を形成することが出来る。さらに鋳造法の一種で、金型キャビティに注入した溶融金属に高い圧力をかけて鋳造するダイカスト鋳造法があり、ダイカスト鋳造法は寸法精度が高く肉薄のものをつくることができるという特徴を有し、さらに寸法精度が高いことから、後工程での加工を減らすことができる。又、鋳造サイクル時間も短いため、大量生産に適する方法である。
しかしながら、従来のダイカスト鋳造法においては、金属溶湯を金型キャビティ内に注入する際に射出スリーブ内や、キャビティ内で巻き込まれた空気や溶湯から発生するガスが溶湯内に残存し、製品に巣(ブローホール)ができてしまう問題があった。特に、平板状のベース部においてフィンの根本に相当する部分は厚肉であり最後に凝固するため、溶湯の補給が行われにくく、ひけ巣(収縮巣)
ができやすい。ひけ巣やブローホールその他ヒートシンクに内在する空孔は、特にその品質を左右する重大な欠陥となる。さらに、通常範囲の鋳造圧力(概ね60〜80MPa)を超える高圧でダイカスト鋳造することにより、このような空孔を無くすことが出来る場合もあるが、高圧でダイカスト鋳造するために装置が大型化しやすいことと、高価なダイカスト用金型に高負荷がかかり、金型の寿命が短くなることからコストが高くなるという問題があった。
ができやすい。ひけ巣やブローホールその他ヒートシンクに内在する空孔は、特にその品質を左右する重大な欠陥となる。さらに、通常範囲の鋳造圧力(概ね60〜80MPa)を超える高圧でダイカスト鋳造することにより、このような空孔を無くすことが出来る場合もあるが、高圧でダイカスト鋳造するために装置が大型化しやすいことと、高価なダイカスト用金型に高負荷がかかり、金型の寿命が短くなることからコストが高くなるという問題があった。
そこで、ヒートシンクの製造方法として、溶湯が金型に注入された後、厚肉な平板状のベース部を局部的に加圧する局部加圧(スクイズ)法が導入され、鋳巣等の空孔が少ないダイカスト技術として用いられている(特許文献1参照)。局部加圧法では例えば鋳巣等の出来やすいフィンの根元部分に平板状のベース部側から圧力を加えながら凝固させるため、鋳巣の少ないヒートシンクを得ることが出来る。この局部加圧法は溶湯が空孔(鋳巣)を埋める動きをするため、溶湯全体としては局部加圧口からキャビテイの奥に向いた溶湯の流れが生じることになる。この局部加圧による圧力は溶湯を介して局部加圧口から湯流れ方向にある金型に加わる。そのため、局部加圧口近傍の金型(フィン型)には溶湯の流れの方向に向かって、特に高い圧力が加わることになる。この圧力により、局部加圧口近傍の金型(フィン型)が短期間に変形したり崩れたりしてしまうという問題があり、そのために局部加圧口近傍の金型(フィン型)を厚肉にする必要があった(特許文献2参照)。
局部加圧法では金型(フィン型)を厚肉にするため、得られるヒートシンクのフィンはピッチが大きくなり、ヒートシンクとしての性能が劣るという問題があった。さらに、金型を厚肉にしても、金型にかかる圧力が高いため、金型寿命自体も短くなるという問題もあった。金型は極めて高価であるから、その短寿命化は製造コストの増加を招くという問題があった。そこで、本発明は、通常範囲の鋳造圧力のダイカスト鋳造法を用い低コストで得ることができ、かつ高い放熱特性を有するヒートシンクおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者は鋳巣等の空孔が出来やすい位置を放熱特性に与える影響が比較的少ない位置とすることができれば、概ね20〜40(MPa)の通常範囲の鋳造圧力を用いたダイカスト鋳造法で高い放熱特性を有するヒートシンクを得られると考えた。そして、本発明者はヒートシンクの熱は平板状のベース部の一方の面に接続(実装)された発熱部品から他方の面に設けられたフィンまで伝導する必要があることを考えると、放熱特性に与える影響が比較的少ない位置は、ベース部においてフィンとフィンとに挟まれた領域であることを見出し本発明に想到した。
すなわち、本願第1の発明のヒートシンクは、厚み方向において一方の面を有する略平板状のベース部と前記ベース部の他方の面に設けられた複数のフィンとを備え、前記フィンは、その一方側でかつ厚み方向に交差する方向において両側に配置されたR部を有し、隣接する二のフィンの間には当該二のフィンの一方側に配置された前記R部を両側に備える谷部が形成されており、前記ベース部と前記フィンとが一体にダイカスト鋳造されたアルミニウムを主体としたヒートシンクであって、前記谷部の辺縁と、前記谷部の一方側における最下点から3mmの深さに引かれた前記フィンの中心線に直交する直線と、前記谷部の両側のR部の各々の他方側の基点を通り前記フィンの中心線と平行に引かれた二本の直線によって囲まれる領域の面積をA、当該領域に含まれる空孔の面積をaとし、前記フィンの辺縁と、前記フィンの両側に配置されたR部の各々の他方側の基点を通り前記フィンの中心線に平行に引かれた二本の直線と、前記フィンの両側に配置された二の谷部の各々の一方側の最下点から3mmの深さに引かれた前記フィンの中心線に直交する各々の直線のうちより一方側に位置する直線、および前記フィンの両側のR部の他方側の基点のうちより他方側に位置する基点を通り前記フィンの中心線に直交する直線によって囲まれる領域の面積をB、当該領域に含まれる空孔の面積をbとしたとき、((a+b)/(A+B))×100が0.15〜0.8(面積%)であり、(a/A)×100>(b/B)×100[いずれも面積%]であることを特徴とする。ここで、前記谷部の一方側における最下点とは、前記谷部の辺縁の一部であってヒートシンクの一方の面の側に最も近く位置する部分とする。
本発明のヒートシンクの断面において、前記谷部の辺縁と、前記谷部の一方側における最下点から3mmの深さに引かれた前記フィンの中心線に直交する直線と、前記谷部の両側のR部の各々の他方側の基点を通り前記フィンの中心線と平行に引かれた二本の直線によって囲まれる領域を「フィン間部」と定義し、前記フィンの辺縁と、前記フィンの両側に配置されたR部の各々の他方側の基点を通り前記フィンの中心線に平行に引かれた二本の直線と、前記フィンの両側に配置された二の谷部の各々の一方側の最下点から3mmの深さに引かれた前記フィンの中心線に直交する各々の線のうちより一方側に位置する直線、および前記フィンの両側のR部の他方側の基点のうちより他方側に位置する基点を通り前記フィンの中心線に直交する直線によって囲まれる領域を「フィン直下部」と定義する。
なお、上記本発明において、((a/A−b/B)/(a/A+b/B))×100が、8〜40%であることが好ましい。
本願第2の発明のヒートシンクの製造方法は、本願第1の発明のヒートシンクを製造するうえで好適な製造方法であり、一方の面を有するベース部と前記ベース部の他方の面に立設された複数のフィンとを備え、前記ベース部と前記フィンとが一体にダイカスト鋳造されたアルミニウムを主体としたヒートシンクの製造方法であって、前記複数のフィンを形成するためのフィン型部を備えた金型を準備し、前記ベース部において前記フィンと前記フィンとに挟まれた領域の表面から前記フィン型部の先端部への鋳造時における熱伝達を阻害する処理を当該先端部に行うことを特徴とする。
本発明によれば、上記説明したその目的を達成することができる。
以下、具体的な本発明の例を説明するが、それらの実施例により本発明が限定されるものではない。
本発明に係るヒートシンクは、その一例を図1に示すように、一方の面5を有する略平板状のベース部1と前記ベース部1の他方の面6に設けられた複数のフィン2とを備え、前記ベース部1と前記フィン2とが一体にダイカスト鋳造されたアルミニウムを主体としたヒートシンク10である。このヒートシンク10の前記ベース部1において、前記フィン2とフィン2とに挟まれたフィン間部4の断面の面積をA、当該断面に含まれる空孔の面積をaとし、前記フィンの直下のフィン直下部3の断面の面積をB、当該断面に含まれる空孔の面積をbとしたとき、((a+b)/(A+B))×100が0.15〜0.8(面積%)である。この((a+b)/(A+B))×100とは、フィン間部4とフィン直下部3とを合わせた領域における空孔率(面積%)、言い換えるとベース部1の所定領域における空孔率(以下、この空孔率のことを「ベース部空孔率」という場合がある。)を意味する。このベース部空孔率が0.15%よりも小さいヒートシンク10は、上記ベース部1の所定領域に存在する空孔が少ないために強度、熱伝導ともに優れたヒートシンク10となる。しかしながら、このような低空孔のヒートシンク10は、通常範囲の加圧力のダイカスト鋳造法(以下、通常のダイカスト鋳造法と言う場合がある。)では得ることができず、金型寿命の点で問題がある高加圧のダイカスト法や局部加圧法を適用する必要がある。一方で、ベース部空孔率が0.8%よりも多いヒートシンク10は、もちろん通常のダイカスト鋳造法で得ることができるものの、ヒートシンク10として必要とされる機械的強度、熱的特性その他の品質特性を満足させることが出来ない。すなわち、所定の品質特性を満足するヒートシンク10を通常のダイカスト鋳造法で低コストに製造するためには、ベース部空孔率(面積%)は、0.15〜0.8%である必要がある。
図3は本願第1の発明に係るヒートシンクのフィン間部4とフィン直下部3の定義を説明する図である。フィン間部4は、谷部6の辺縁と、谷部6の一方側における最下点から3mmの深さに引かれたフィン2の中心線CLに直交する直線L7と、谷部6の両側のR部の各々の他方側の基点を通りフィン2の中心線CLと平行に引かれた二本の直線L1,L2によって囲まれる領域である。フィン直下部3は、フィン2の辺縁と、フィン2の両側に配置されたR部の各々の他方側の基点を通りフィン2の中心線CLに平行に引かれた二本の直線L2,L3と、フィン2の両側に配置された二の谷部6,7の各々の一方側の最下点から3mmの深さに引かれたフィン2の中心線CLに直交する各々の直線L7,L8のうちより一方側に位置する直線L8(厚み方向において直線L7,L8が同じ位置のときは何れの直線でもよい)、およびフィン2の両側のR部の他方側の基点のうちより他方側に位置する基点を通りフィン2の中心線CLに直交する直線L10によって囲まれる領域である。
厚み方向におけるフィン直下部3とフィン間部4の範囲を谷部6の一方側における最下点から3mmとした。本発明では鋳巣(空孔)の発生部位を放熱特性に与える影響が比較的少ない位置、すなわちフィン間部4とすることが重要であるが、特にフィン直下部3に発生する鋳巣はヒートシンクの熱伝導特性を大きく損なうことから、従来その位置に発生していた鋳巣の一部をフィン間部4に発生させることにより、高圧や局部加圧を利用しない通常のダイカスト鋳造法でも、高い熱伝導特性を有するヒートシンクを得ることが出来る。ここで、ベース部1の厚さが3mm以下のときはベース部1の厚さをフィン直下部3とフィン間部4の深さ方向の大きさとする。
さらに、本発明に係るヒートシンクは、(a/A)×100>(b/B)×100[いずれも面積%]であることを特徴としている。かかるシートシンク10によれば、「a/A×100」で示されるフィン間部4の空孔率(以下、この空孔率を「フィン間部空孔率」と言う場合がある。)が、「b/B×100」で示されるフィン直下部3の空孔率(以下、この空孔率を「フィン直下部空孔率」と言う場合がある。)より大きい。すなわち、本発明の一態様であるヒートシンク10は、通常のダイカスト鋳造法で製造するために上記ベース部空孔率を許容しつつ、フィン間部4に鋳巣(空孔)をより集中して配置し、その結果、相対的に、ヒートシンク10として必要な熱伝導に影響の大きいフィン直下部3に存在する空孔を少なくすることにより、高い熱伝導を有するヒートシンク10が形成される。アルミニウムを主体としたヒートシンクにおいて、上記のように鋳巣(空孔)を、を放熱特性に与える影響が比較的少ない位置であるフィン間部により多く配置することにより、高加圧のダイカスト鋳造法や局部加圧法を利用しない通常のダイカスト鋳造法でも、極めて高い放熱特性を有するヒートシンクを得ることが出来る。
また、本発明に係るヒートシンクは、フィン間部の断面における空孔率とフィン直下部の断面における空孔率との間に、所定の範囲の差異があることが好ましい。具体的には、((a/A−b/B)/(a/A+b/B))×100が、8〜40%であることが好ましい。この値が8%よりも小さいとヒートシンクの放熱特性改善の効果がやや小さくなる傾向があり、40%よりも大きいと高い放熱特性を有するものの製品の部位による鋳巣の割合に差が生じ過ぎ、機械的特性や熱的特性のバランスが悪くなる。
図1に示すヒートシンクをダイカスト鋳造法で作製するには、キャビティに溶湯が注入され凝固し、ヒートシンクが型取られた後の状態である図4に示す金型40を用いることができる。金型40は、一方の型41と他方の型42とからなり、図示するように両者の組合せにより、ヒートシンク10を型取る型空間であるキャビティ40aが形成される。そして、キャビティ40aは、ヒートシンク10のフィン2を型取るキャビティ―41cとベース部1を型取るキャビティ―41dを有し、当該キャビティ40aにアルミニウムを主成分とする溶湯を注入し凝固させ、一方の型41と他方の型42とを開いてヒートシンクを離型し、取り出す。ヒートシンク10が取り出された金型は冷却され、そのキャビティ40aの表面に離型剤が塗布され、引き続き上記鋳造処理が繰り返し行われる。ここで、上記したように、ヒートシンク10のフィン間部4に鋳巣等の空孔をより集中して配置するためには、鋳巣が発生しやすい位置である溶湯の最終凝固部Abが、ベース部1のうちフィン間部4に相当する位置になるよう調整すればよい。そして、本願発明者の検討の結果、最終凝固部Abをフィン間部4に相当する位置とする手段として、キャビティ40aのうち、フィン2を形成するキャビティ41cを形成するため、ベース部1を型取るキャビティ41dへ向かい下方側(一方の面側)へ突出するように設けられたフィン型部41aの先端部41bの表面に熱伝達を阻害する処理を行い、その先端部41bを介したフィン間部4から金型40への抜熱を抑制し、フィン間部4に対応して配置される先端部41bの冷却能を他の部分よりも低下させればよいことがわかった。この先端部41bにおける熱伝達を阻害する処理の一例として、例えば、ヒートシンク10を金型40から取り出した後、金型40の冷却を行う際にフィン型部41aの先端部41bを部分的に加熱する処理がある。この先端部41bの部分的加熱処理により、その後の鋳造時におけるフィン間部4の冷却を他の部位に対しより遅くすることが出来る。
さらに、フィン型部41aの先端部41bにおける熱伝達を阻害する処理の別の一例として、キャビティ40aに溶湯を注入する前にその表面に塗布する離型剤を、先端部41bに部分的に多く塗付する処理がある。離型剤の溶媒(水分)は金型表面の熱により蒸発し、固形分がキャビティ40aの表面に残る。固形分は断熱性を有しているため、他の部位に比べ厚い固形分が形成される先端部41bの熱伝達性を低下させることができる。そのため、溶湯の凝固時に、ベース部1のうちフィン間部4に対応する先端部41bの冷却能がより小さくなり、最終凝固部Abをフィン間部4とすることができる。
本発明に用いられるアルミニウム合金としては、ADC12と呼ばれるCu:1.5〜3.5%、Si:9.6〜12.0%、Fe:1.3%以下、残部がアルミニウムおよび不可避的不純物によって構成されたアルミニウム合金が好ましい。ADC12は一般に広く用いられる低コストのダイカスト材であり、本発明に依れば高コストの高熱伝導材(HT−1、DX19等)を用いることなく、放熱特性に優れたヒートシンクを得ることができる。
以下、本発明を実施例に基いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
作製したヒートシンクの形状を図1に示す。ヒートシンクは板状のベース部1とベース部1に一体的に立設した複数の互いに平行なフィン2とからなる。ベース部分1の形状は、厚さを1とした時、長さ70、幅25とし、フィン2の形状は、フィンの先端幅を1とした時、高さ10、長さ170、フィンのピッチ3とするヒートシンク10をADC12材を用いてダイカスト鋳造法により表1に示す各条件で作製した。表1において、「充填時間」は溶湯が金型のキャビティを充填するまでに要する時間であり、高速射出速度と溶湯のゲート通過重量より求めた。また、「鋳造圧力」は、充填完了時に射出プランジャーチップを介して、溶湯に加えられる圧力を確認し求めた。
上記各条件で作製した各実施例および比較例のヒートシンクを用いて、各々の放熱特性を評価した。図2にヒートシンクの放熱特性評価装置の概略を示す。ダイカスト形成したヒートシンク10は、放熱グリス11を介して、カートリッジヒーター12を装着した銅ブロック13にボルトで締め付けて固定される。加熱された銅ブロック13の熱がヒートシンク10に伝わり、冷却水へ放熱する構造となっている。銅ブロック13の中央部には、銅ブロックの温度を測定するための熱電対(図示省略)を設置している。放熱性が高いヒートシンクの場合、銅ブロックで発生した熱を冷却水14へより多く放熱するため、銅ブロック13の温度は低下する。この原理を用いて、銅ブロックの温度に基づいて放熱性能の評価を実施した。各実施例および比較例の放熱性能を表1に示す。なお、各例の放熱性能は、比較例2の放熱特性を基準として評価した。
上記各実施例および比較例のヒートシンクをフィンの長さ方向の中心位置、及び両端部(フィン頂部のRを除いた位置)から10mmの位置の3箇所で直角方向に切断し、各断面についてカラーチェックを行い、各ヒートシンクのフィン間部4およびフィン直下部3において空孔が多い上位10視野で各々空孔の面積を求めた。ここで、1視野は1つのフィン直下部3とそれに隣接する1つのフィン間部4とを有するものとする。そして、フィン間部4の面積をA、フィン間部4に含まれる空孔の面積をaとし、フィン直下部3の面積をB、フィン直下部3に含まれる空孔の面積をbとし、(a/A)×100で算出されるフィン間部空孔率、(b/B)×100で算出されるフィン直下部空孔率、((a+b)/(A+B))×100で算出されるベース部空孔率を各視野において求め、10視野におけるフィン間部空孔率、フィン直下部空孔率およびベース部空孔率の平均値を求めた。その結果を表1に示す。
各ヒートシンクの空孔割合の測定結果を表1に示す。
(実施例1)
フィンを形成するフィン型の先端部(フィン間部の表面に相対する部分)に塗布する離型剤を従来よりも多くした。具体的には離型剤の希釈倍率を従来の1/2とし単位面積当たりの離型剤塗付量を多くした。離型剤の溶媒が蒸発し金型表面に残った固形分は、通常の希釈倍率の離型剤による固形分に比べて厚いことが確認された。得られたヒートシンクのベース部空孔率が小さくなるとともに、フィン間部空孔率がフィン直下部空孔率より大きいことから放熱特性は良好であった。また、金型寿命は優れていた。
(実施例1)
フィンを形成するフィン型の先端部(フィン間部の表面に相対する部分)に塗布する離型剤を従来よりも多くした。具体的には離型剤の希釈倍率を従来の1/2とし単位面積当たりの離型剤塗付量を多くした。離型剤の溶媒が蒸発し金型表面に残った固形分は、通常の希釈倍率の離型剤による固形分に比べて厚いことが確認された。得られたヒートシンクのベース部空孔率が小さくなるとともに、フィン間部空孔率がフィン直下部空孔率より大きいことから放熱特性は良好であった。また、金型寿命は優れていた。
(実施例2)
充填時間を短くし鋳造圧力を大きくしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートシンクを作製した。得られたヒートシンクのベース部空孔率は実施例1のものより小さくなるとともに、フィン間部空孔率がフィン直下部空孔率より大きいことから放熱特性は実施例1のものより優れていた。また、金型寿命は実施例1のものより短いが良好であった。
充填時間を短くし鋳造圧力を大きくしたこと以外は実施例1と同様にしてヒートシンクを作製した。得られたヒートシンクのベース部空孔率は実施例1のものより小さくなるとともに、フィン間部空孔率がフィン直下部空孔率より大きいことから放熱特性は実施例1のものより優れていた。また、金型寿命は実施例1のものより短いが良好であった。
(比較例1)
実施例1に比べて鋳造圧力を大きくした。離型剤の希釈倍率を通常と同じにし、フィンを形成する金型の先端部に塗布する離型剤を従来と同等の量とした。得られたヒートシンクのベース部空孔率は実施例1のものより小さかったが、フィン直下部空孔率がフィン間部空孔率より大きいことから放熱特性は実用可能なレベルであるものの、その改善効果は小さかった。また、金型寿命は実施例2のものより短いが実用可能なレベルであった。
実施例1に比べて鋳造圧力を大きくした。離型剤の希釈倍率を通常と同じにし、フィンを形成する金型の先端部に塗布する離型剤を従来と同等の量とした。得られたヒートシンクのベース部空孔率は実施例1のものより小さかったが、フィン直下部空孔率がフィン間部空孔率より大きいことから放熱特性は実用可能なレベルであるものの、その改善効果は小さかった。また、金型寿命は実施例2のものより短いが実用可能なレベルであった。
(比較例2)
実施例1に比べて充填時間を短くし鋳造圧力を大きくした。離型剤の希釈倍率を通常と同じにし、フィンを形成する金型の先端部に塗布する離型剤を従来と同等の量とした。得られたヒートシンクのフィン直下部空孔率がフィン間部空孔率より大きかったが、ベース部空孔率が実施例1のものより非常に小さいことから放熱特性は実施例1のものより優れていた。しかし、金型にかかる圧力が高いことにより金型寿命が短くなるため実用的ではない。
実施例1に比べて充填時間を短くし鋳造圧力を大きくした。離型剤の希釈倍率を通常と同じにし、フィンを形成する金型の先端部に塗布する離型剤を従来と同等の量とした。得られたヒートシンクのフィン直下部空孔率がフィン間部空孔率より大きかったが、ベース部空孔率が実施例1のものより非常に小さいことから放熱特性は実施例1のものより優れていた。しかし、金型にかかる圧力が高いことにより金型寿命が短くなるため実用的ではない。
Claims (3)
- 厚み方向において一方の面を有する略平板状のベース部と前記ベース部の他方の面に設けられた複数のフィンとを備え、前記フィンは、その一方側でかつ厚み方向に交差する方向において両側に配置されたR部を有し、隣接する二のフィンの間には当該二のフィンの一方側に配置された前記R部を両側に備える谷部が形成されており、前記ベース部と前記フィンとが一体にダイカスト鋳造されたアルミニウムを主体としたヒートシンクであって、
前記谷部の辺縁と、前記谷部の一方側における最下点から3mmの深さに引かれた前記フィンの中心線に直交する直線と、前記谷部の両側のR部の各々の他方側の基点を通り前記フィンの中心線と平行に引かれた二本の直線によって囲まれる領域の面積をA、当該領域に含まれる空孔の面積をaとし、
前記フィンの辺縁と、前記フィンの両側に配置されたR部の各々の他方側の基点を通り前記フィンの中心線に平行に引かれた二本の直線と、前記フィンの両側に配置された二の谷部の各々の一方側の最下点から3mmの深さに引かれた前記フィンの中心線に直交する各々の線のうちより一方側に位置する直線、および前記フィンの両側のR部の他方側の基点のうちより他方側に位置する基点を通り前記フィンの中心線に直交する直線によって囲まれる領域の面積をB、当該領域に含まれる空孔の面積をbとしたとき、
((a+b)/(A+B))×100が0.15〜0.8(面積%)であり、(a/A)×100>(b/B)×100[いずれも面積%]であることを特徴とするヒートシンク。 - ((a/A−b/B)/(a/A+b/B))×100が、8〜40%であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク。
- 一方の面を有するベース部と前記ベース部の他方の面に立設された複数のフィンとを備え、前記ベース部と前記フィンとが一体にダイカスト鋳造されたアルミニウムを主体としたヒートシンクの製造方法であって、前記複数のフィンを形成するためのフィン型部を備えた金型を準備し、前記ベース部において前記フィンと前記フィンとに挟まれた領域の表面から前記フィン型部の先端部への鋳造時における熱伝達を阻害する処理を当該先端部に行うことを特徴とするヒートシンクの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013086511A JP2014210270A (ja) | 2013-04-17 | 2013-04-17 | ヒートシンクおよびその製造方法 |
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JP2013086511A JP2014210270A (ja) | 2013-04-17 | 2013-04-17 | ヒートシンクおよびその製造方法 |
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Cited By (2)
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JP2016100431A (ja) * | 2014-11-20 | 2016-05-30 | 三菱マテリアル株式会社 | 接合体の製造方法、ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法、ヒートシンクの製造方法、及び、接合体、ヒートシンク付パワーモジュール用基板、ヒートシンク |
JP2016100430A (ja) * | 2014-11-20 | 2016-05-30 | 三菱マテリアル株式会社 | 接合体の製造方法、ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法、ヒートシンクの製造方法、及び、接合体、ヒートシンク付パワーモジュール用基板、ヒートシンク |
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2013
- 2013-04-17 JP JP2013086511A patent/JP2014210270A/ja active Pending
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