JP6322439B2 - 膜型アクチュエータ及び膜型アクチュエータ取付構造 - Google Patents
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Description
特許文献1には、梁の下部フランジの両端部を一部切り欠いて切欠き部を形成し、梁が接合された柱との間に形成された空間に膜型アクチュエータを配置して、膜型アクチュエータの伸縮で梁の振動を抑制する技術が記載されている。
このため、従来は、施工時に、膜型アクチュエータに予め電圧を印加して、伸長させた状態で構造物に固定し、常に膜型アクチュエータに引張力を加えておき、使用時には、膜型アクチュエータに、収縮方向の力を発揮させるように構成していた。
これにより、施工時に、現場で引張力を付与する必要がなくなり、施工性を高めることができる。また、施工後に、張力付与手段を取り除くことで、膜型アクチュエータに、常時引張力を付与しておくことができる。
は、構造物に外部から作用する力であって、地震力や風圧力等を云う。
また、固定具に設けられた保護機構により、膜型アクチュエータに設定値以上の外力が加えられたき、固定具と膜型アクチュエータの他方の端部との接合が解除される。これにより、第1部材と第2部材が相対変位しても膜型アクチュエータの損傷を抑制することができる。
図1〜図6を用いて、第1実施形態に係る膜型アクチュエータ10について説明する。
図1(A)〜図1(C)に示すように、膜型アクチュエータ10は、芯材12を有し、芯材12の両面(Z軸方向)には膜型圧電素子14が固着されている。
芯材12のY軸方向の両端部には、幅Y1、長さX1の寸法で、両端部が矩形状に切り取られた、切欠き部24が形成されている。また、芯材12のX軸方向端部には、ボルト孔20が形成されている。
ここに、膜型圧電素子14は、図2(A)〜図2(C)に示すように、繊維状に形成された圧電セラミック37を、同一平面上にエポキシ樹脂36を挟んで一方向へ配置し、圧電セラミック37の両側面には、電極が印刷されたポリイミドフィルム38を配置し、更に、それらをエポキシ樹脂36で接合した構成である。
即ち、伸縮特性Qは、アンプからの入力電圧を増大してゆけば、膜型圧電素子14は伸長され、変形量が増大し、アンプからの入力電圧を低減させてゆけば、膜型圧電素子14は収縮し、変形量が減少する。
先ず、図4(A)に示すように、膜型アクチュエータ10は、Y軸方向の両端部に切欠き部24が形成された芯材12に、膜型圧電素子14と固定具16が取付けられている。このとき、固定具16間の、X軸方向の距離はX1である。
この結果、従来の、膜型圧電素子14に電圧を加えて伸長させる方式における、配線やコントローラのセッティングが完了しないと、膜型アクチュエータ10の固定が行えず、施工に手間がかかる問題や、高電圧印加状態で膜型アクチュエータ10をボルト留めするため、膜型圧電素子14に余計な負荷を与え、故障の原因となる問題を解消できる。
図5に示すように、膜型アクチュエータ10は、柱26と梁28の接合部に、梁28と平行に取付けられている。柱26の側壁26Sには柱側座板27が固定され、梁28の下フランジ32の下側32Uには、梁側座板29が固定されている。
溝付きピース76は、例えばセラミックスで形成され、中央部には、断面V字状の溝部78が上下面に設けられている。これにより、溝付きピース76の許容引張力が調整されている。
また、矢印X2方向の外力(膜型アクチュエータ10を引っ張る方向の外力)に関しては、溝付きピース76が溝部78の位置で破断し、分離して外力を逃がすことができる。
即ち、施工時に引張力の付与を必要としない膜型アクチュエータを提供できる。また、柱梁の接合部が相対変位しても、膜型アクチュエータ10の損傷を抑制する膜型アクチュエータ取付構造を提供することができる。
即ち、膜型アクチュエータ10の一方の端部を、固定具16を介して、梁側座板29の底面にボルト66で固定し、他方の端部を、長孔ピース62を介して柱側座板27の上面にボルト66で固定する。
長孔ピース62は、長孔64側が、膜型アクチュエータ10と連結部材60で、上下から挟み込まれて、ボルト66で連結されている。このとき、連結部材60は、長孔ピース62の長孔64と連結される。そして、ボルト66は、長孔64の膜型アクチュエータ10側の端部に挿入される。また、接合時に、ボルト66はきつく締め込まず、長孔ピース62と連結部材60の間のスライドを許容する程度に締め付ける。また、長孔ピース62の他方は、柱側座板27の上面にボルト66で接合されている。
一方、X2方向の外力(膜型アクチュエータ10を引張方向の外力)に関しては、設定値以上の外力が作用した場合には、ボルト66の移動が長孔64の端部で制限されるため、長孔ピース62に外力が加わり、長孔ピース62が長孔64の位置で破断する。
長孔ピース62は、長孔64の位置でX2方向の断面積が最も小さくされており、長孔64の幅寸法で破断させる設定値を調節できる。破断させる設定値を適切に選ぶことで、膜型アクチュエータ58の制御機能と損傷防止を両立させることができる。
図7を用いて、第2実施形態に係る膜型アクチュエータ30について説明する。
図7に示すように、膜型アクチュエータ30は、第1実施形態に係る膜型アクチュエータ10の支え棒18に替えて、支え板部52を採用した点において、膜型アクチュエータ10と相違する。相違点を中心に説明する。
スリット34と芯材12のY軸方向の端部との間には、所定の寸法で矩形状に芯材12が、切り残されている。支え板部52となる矩形部の位置や大きさは、支え板部52に要求される張力で決定される。
具体的には、図7(B)、図7(C)に示すように、軸56に連結された圧延ローラ54と、軸57に連結された圧延ローラ55を、矢印C1、及び矢印C2の方向へ回転させ、圧延ローラ54、55に挟まれた矩形状の芯材12を押し潰し、固定具16間の距離X1をX2まで伸長させる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
図8を用いて、第3実施形態に係る膜型アクチュエータ40について説明する。
図8(A)、図8(B)に示すように、膜型アクチュエータ40は、第1実施形態に係る膜型アクチュエータ10と芯材の構造が相違する。相違点を中心に説明する。
図9を用いて、第4実施形態に係る膜型アクチュエータ取付構造50について説明する。
図9(A)に示すように、膜型アクチュエータ取付構造50は、膜型アクチュエータ58を、柱26と梁28の接合部に取付ける際の取付構造である。ここに、膜型アクチュエータ58は、芯材90の両面に膜型圧電素子92が固着された構成であり、膜型圧電素子92には、施工前にプレテンションは加えられていない。
また、他方の端部が、固定具16、テフロン(登録商標)製のワッシャー84を介して柱側座板27の上面に、ボルト66で固定されている。ここに、固定具16と芯材90には、矢印X1(矢印X2)方向に長径とされた図示しない長孔が設けられている。施工時は、ボルト66は、長孔の膜型アクチュエータ58側の端部に挿入されて、締め付けられている。
Fs<μf<Fa …(1)
f:ボルトに生じる軸力(f=T/(K・d))
K:トルク係数
d:ボルトの呼び径
すなわち、膜型アクチュエータ58が伸縮して生じる制御力では、固定具16とワッシャー84との界面は滑らないが、制御力より大きな外力が生じた場合、膜型アクチュエータ58に加わる力が、許容引張力Faに達する前に滑る。
これにより、ボルト66を矢印R1の方向へねじ込むことで、楔形ナット80は、楔形ナット82に押され、傾斜面でスライドして矢印R2の方向へ移動される。この結果、膜型アクチュエータ58が、矢印R2の方向へ伸長される。
この結果、施工時に電圧印加せずに引張力の付与が可能な膜型アクチュエータ取付構造50を提供することができる。
更に、図10(A)に示すように、膜型アクチュエータ取付け構造94は、一方の端部が図9と同様に固定具16、楔形ナット80、82を介して、梁側座板29の底面に、ボルト66で固定されている。また、他方の端部は、膜型アクチュエータ58の固定具16から、柱26方向に向かって順に、連結部材60、溝付きピース96がボルト66で連結されている。更に、溝付きピース96の他端は、柱側座板27の上面に、ボルト66で固定された構成である。
一方、X2方向の外力に関しては、溝付きピース96が溝部98の位置で破断し、溝付きピース96が分離することで外力を逃がすことができる。
12、42、90 芯材
14、92 膜型圧電素子
16 固定具
18 支え棒(保持部材)
27 柱側座板(第2部材)
29 梁側座板(第1部材)
34 スリット
46 傾斜面(テーパ部)
52 支え板部(保持部材)
62 長穴ピース(保護機構)
80 楔形ナット(第1楔)
82 楔形ナット(第2楔)
84 ワッシャー(保護機構)
86 長孔
88 楔長孔
96 溝付きピース(保護機構)
Claims (5)
- 芯材と、
前記芯材の両面に固着され、印加電圧に応じて前記芯材を伸縮させる膜型圧電素子と、
前記芯材の両端部に固定された固定具と、
前記固定具の間で、引張力が付与された状態の前記芯材を保持する保持部材と、
を有し、
前記保持部材は、前記固定具の間に取付けられる支え棒である、膜型アクチュエータ。 - 芯材と、
前記芯材の両面に固着され、印加電圧に応じて前記芯材を伸縮させる膜型圧電素子と、
前記芯材の両端部に固定された固定具と、
前記固定具の間で、引張力が付与された状態の前記芯材を保持する保持部材と、
を有し、
前記保持部材は、前記固定具の間であり、前記膜型圧電素子に沿って前記芯材に形成したスリットで前記芯材の端部に矩形部を設け、前記矩形部を押し潰して伸長させた支え板部である、膜型アクチュエータ。 - 前記芯材は、
鋼板を加圧して、両端部より薄くされた中央部を前記膜型圧電素子の固着部とし、両端部を固定部とすると共に、前記中央部と前記両端部の境界には、テーパ部が形成されている請求項1又は請求項2に記載の膜型アクチュエータ。 - 前記芯材及び前記固定部は、
カーボンファイバーを積層して形成されている請求項3に記載の膜型アクチュエータ。 - 芯材の両面に膜型圧電素子が固着された膜型アクチュエータと、
前記膜型アクチュエータの一方の端部に形成された長孔と、
前記長孔の周囲に接合され、前記膜型圧電素子の方向を開放した楔長孔が形成された第1楔と、
前記第1楔と傾斜面同士が当接され、ボルト孔が形成された第2楔と、
前記第2楔の前記ボルト孔、前記第1楔の前記楔長孔を貫通して、第1部材に締結され、前記第2楔を前記第1楔に押し付け、前記第1楔を前記膜型圧電素子と反対側へ移動させるボルトと、
前記膜型アクチュエータの他方の端部を、前記第1部材と相対変位する第2部材へ固定する固定具と、
前記固定具に設けられ、前記相対変位により、前記膜型アクチュエータに設定値以上の外力が加えられたき、前記固定具と前記膜型アクチュエータの他方の端部との接合を解除する保護機構と、
を有する膜型アクチュエータ取付構造。
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