図1は、HetNetの概念図である。図1に示すように、HetNetは、マクロセルMとスモールセルSとの少なくとも一部が地理的に重複して配置される無線通信システムである。HetNetは、マクロセルMを形成する無線基地局(以下、マクロ基地局という)MeNBと、スモールセルSを形成する無線基地局(以下、スモール基地局という)SeNBと、マクロ基地局MeNBとスモール基地局SeNBと通信するユーザ端末UEとを含んで構成される。
図1に示すように、HetNetでは、マクロ基地局MeNBとスモール基地局SeNBとの間にあるインターフェースが規定される。この場合、マクロ基地局MeNBとスモール基地局SeNBとは、光ファイバや非光ファイバなどの有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。あるいは、別の実施例においては、マクロ基地局MeNBとスモール基地局SeNBの間には、上述のようなインターフェースが規定されなくてもよい。また、マクロセルMでは、例えば、2GHzなどの相対的に低い周波数帯が使用される。また、スモールセルSでは、例えば、3.5GHzなどの相対的に高い周波数帯が使用される。あるいは、マクロセルMとスモールセルSは、同じ周波数帯で使用されてもよい。なお、マクロセルM内には、多数のスモールセルSが設けられてもよい。
図2は、HetNetにおけるユーザ端末のモビリティの説明図である。図2に示すHetNetでは、マクロセルM1−M3と地理的に重複するように多数のスモールセルS(スモールセルS1−S5を含む)が設けられる。例えば、図2に示すように、ユーザ端末UEが方向Dに移動する場合、マクロセルM間では、ユーザ端末UEは、1回のハンドオーバ(すなわち、M1→M2)を行うだけよい。一方、同様の場合、スモールセルS間では、ユーザ端末UEは、4回のハンドオーバ(すなわち、S1→S2、S2→S3、S3→S4、S4→S5)を行う必要がある。
このように、図2に示すHetNetでは、マクロセルM1−M3それぞれのカバレッジエリアと比較してスモールセルS1−S5のカバレッジエリアが小さい。このため、ユーザ端末UEが方向Dに高速に移動する場合、スモールセルS間でハンドオーバが頻繁に発生することとなる。この結果、ハンドオーバ遅延によるハンドオーバの成功率の劣化や制御信号の増大などが発生し、ユーザ端末UEのモビリティが低下する恐れがある。
そこで、フェージング周波数(Fd)に基づいてユーザ端末UEの移動速度を推定し、ユーザ端末UEが、高速移動を行うと推定される場合はマクロセルMで通信し、低速移動を行うと推定される場合はスモールセルSで通信するように制御するモビリティ制御も検討されている。かかるモビリティ制御では、ユーザ端末UEが高速移動を行う場合マクロセルMで通信を行うように制御されるので、スモールセルS間でハンドオーバが頻繁に発生することにより生じるハンドオーバ成功率の劣化や制御信号の増大といった問題を防止できる。この結果、ユーザ端末UEのモビリティを向上させることができる。
図3は、HetNetにおけるフェージング周波数(Fd)の説明図である。フェージング周波数(Fd)とは、ドップラー効果により受信信号の周波数が変動する変動量を示すものである。フェージング周波数は、最大ドップラー周波数などと呼ばれてもよい。
かかるフェージング周波数は、参照信号のチャネル推定値に基づいて推定される。例えば、図3に示すように、フェージング周波数は、所定の時間間隔の2つの参照信号のチャネル推定値の時間相関に基づいて推定されてもよい。
図3において、2つの参照信号のチャネル推定値の時間相関が小さい場合、フェージング周波数は所定の閾値より小さいと推定される。一方、2つの参照信号のチャネル推定値の時間相関が大きい場合、フェージング周波数は所定の閾値より大きいと推定される。なお、フェージング周波数の推定に用いられる所定の閾値は、2つの参照信号の時間間隔に基づいて決定されてもよい。
ユーザ端末UEの移動速度は、上述のように推定されたフェージング周波数に基づいて、推定することができる。例えば、ユーザ端末UEの移動速度(v)は、フェージング周波数をFd、波長をλとし、以下の式(1)により推定される。なお、波長(λ)は、光速(c)/周波数(fc)により算出可能である(例えば、2GHzの場合、波長(λ)は、0.15(m)である)。
移動速度v = フェージング周波数Fd・波長λ …式(1)
HetNetでは、上述のように、ユーザ端末UEの移動速度に基づいてマクロセルM又はスモールセルSのいずれで通信するかを制御することで、ユーザ端末UEのモビリティを向上させる。したがって、フェージング周波数に基づくユーザ端末UEの移動速度の推定精度を向上させることで、ユーザ端末UEのモビリティが向上することとなる。
ここで、図4を参照し、HetNetで用いられる参照信号の配置(マッピング)例について説明する。図4は、HetNetにおける参照信号の配置フォーマット(マッピングパターン)の一例を示す図である。なお、図4では、時間方向に連続する2物理リソースブロック(PRB)で構成されるPRBペアが示される。1PRBペアは、1サブフレーム(1ms)の時間長を有し、例えば、ノーマルCP(CP:Cyclic Prefix)を用いるノーマルサブフレームにおいては、14OFDMシンボルで構成される。また、1PRBペアは、12サブキャリアで構成される。また、1PRBペアは、168(=14×12)リソースエレメント(RE)で構成される。
図4Aは、既存キャリアタイプにおける下り参照信号の配置フォーマットの一例を示す図である。既存キャリアタイプとは、サブフレームの先頭最大3OFDMシンボルに下り制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)が配置されるキャリアである。既存キャリアは、主に、マクロセルMで用いることが想定されるが、スモールセルSで用いられてもよい。なお、既存キャリアタイプは、カバレッジキャリア、キャリア等と呼ばれてもよい。
例えば、図4Aに示す既存キャリアタイプでは、1PRBペアにおいて、24REに、セル固有参照信号(CRS:Cell specific Reference Signal)が配置される。また、40REに、測定用参照信号(CSI−RS:Channel State Information-Reference Signal)が配置される。また、24REに、復調用参照信号(DM RS:DeModulation Reference Signal)が配置される。そして、残りのREに、下り共有データチャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)が配置される。
図4Bは、新キャリアタイプにおける下り参照信号の配置フォーマットの一例を示す図である。新キャリアタイプ(new carrier type)とは、既存キャリアとは異なり、例えば、サブフレームの先頭最大3OFDMシンボルに下り制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)の配置領域やセル固有参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)が取り除かれた、あるいは挿入密度が低いキャリアである。新キャリアタイプは、主に、スモールセルSで用いることが想定される。なお、新キャリアタイプは、追加キャリアタイプ(additional carrier type)、単に、新キャリア(new carrier)、追加キャリア、キャパシティキャリア等と呼ばれてもよい。
例えば、図4Bに示す新キャリアタイプでは、1PRBペアにおいて、24REに、ユーザ固有(User specific)のDM−RSが24REに配置される一方、セル固有(Cell Specific)のCRSは配置されない。これにより、PDSCHを配置可能なREが増加するので、スループットを向上させることができる。
なお、図4A、4Bに示す下り参照信号の配置フォーマットは、例示にすぎず、これに限られない。例えば、図4Aにおいて、CRS、DM−RS、CSI−RSの配置密度は、レイヤ数、アンテナポート数などの種々の条件に応じて変更されてもよい。また、図4Bにおいて、CRS、CSI−RSが配置されてもよい。この場合、CRS、CSI−RSの配置密度は、図4Aよりも低いことが好ましい。また、図4Bにおいても、DM−RSの配置密度や挿入位置は、レイヤ数、アンテナポート数などの種々の条件に応じて変更されてもよい。
図4Cは、上り参照信号の配置フォーマットの一例を示す図である。図4Cに示すように、上りリンクでは、1サブフレーム内の2OFDMシンボルに、DM−RSが配置される。また、1サブフレーム内の最終OFDMシンボルに、SRS(Sounding Reference Signal)が配置される。そして、残りのREに、上り共有データチャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)が配置される。
なお、図4Cに示す上り参照信号の配置は、例示にすぎず、これに限られない。例えば、図4Cにおいて、SRSは、所定周期(例えば、5サブフレーム周期)で配置されればよい。また、非周期SRS(Aperiodic SRS)が、上記周期SRS(Periodic SRS)とは別に配置されてもよい。
ところで、上述のフェージング周波数の推定に用いられる参照信号としては、例えば、図4Aに示されるCRSが用いられる。一方で、HetNetのスモールセルSでは、図4Bに示すようにCRSが配置されない場合や、図4Aに示す配置フォーマットと比べてCRSの配置密度を低くする場合も想定される。このように、HetNetのスモールセルSにおいて、フェージング周波数の推定に用いられる参照信号の密度が相対的に低い配置フォーマットが用いられる場合、フェージング周波数の推定精度が低下する恐れがある。
より具体的に、上記課題を説明する。一般に、参照信号のチャネル推定値の時間相関に基づいてフェージング周波数の推定を行う場合、推定可能なフェージング周波数は、時間相関を算出する2つの参照信号の時間間隔(以下、ΔTと記載する)に依存する。例えば、「Fd・ΔT」の値が0.2よりも小さい場合、チャネル推定値の変動が十分小さいため、チャネル推定値の時間相関が高いと考えられる。逆に言うと、チャネル推定値の時間相関が高い場合には、フェージング周波数は、「0.2/ΔT」よりも小さいということが言える。より具体的に言うと、ΔTが1msecの場合、0.2/ΔT=200Hzとなるため、ΔT=1msecである2つの参照信号のチャネル推定値の時間相関が高い場合には、フェージング周波数は、200Hz以下であると想定される。尚、ここで、0.2はあくまでも例であり、0.1であってもよいし、0.15であってもよい。なお、上述したフェージング周波数の推定は、例えば、非特許文献(2000年電子情報通信学会総合大会、B-5-59、パイロットシンボルを用いるドップラー周波数検出)に記載されている。
ここで、前記参照信号が時間的に連続して送信されている場合には、前記参照信号の時間間隔ΔTを自由に選択できるため、様々なフェージング周波数を推定することが可能となる。しかしながら、LTEの下りリンクでは、時間的に連続して送信されているわけではないため、前記ΔTを自由に選択できるわけではない。また、上述したように、新しいキャリアタイプであるNewキャリアタイプでは、前記参照信号の密度を減少すると考えられ、上記ΔTの選択の自由度がさらに減少することになる。
また、本問題は上りリンクにおいては、さらに顕著である。LTEの上りリンクでは、ユーザ端末が、上り信号を、連続的に送信するのではなく、間欠的に送信するのが一般的である。ここで、間欠的に2つの上り信号を送信する場合、一般的に、送信側での上記2つの上り信号の位相は異なってしまうため、受信側での上述した時間相関に基づくフェージング周波数の推定は困難となる。
そこで、本発明者らは、HetNetのスモールセルSにおいて、フェージング周波数の推定に用いられる参照信号が相対的に高い密度で配置される配置フォーマットを用いることで、あるいは、フェージング周波数の推定に用いられる参照信号が、フェージング周波数の推定を行う際に自由にΔTの値を選択できるように配置される配置フォーマットを用いることで、HetNetのスモールセルにおけるフェージング周波数の推定精度を向上させるという着想を得て、本発明に至った。
フェージング周波数の推定精度が向上することで、当該フェージング周波数に基づくユーザ端末UEの移動速度の推定精度も向上する。このため、本発明によれば、当該フェージング周波数に基づくユーザ端末UEの移動速度に基づいて、上述のモビリティ制御を行う場合に、ユーザ端末UEのモビリティを向上させることができる。
(第1態様)
図5−図7を参照し、本発明の第1態様に係るフェージング周波数推定方法を説明する。第1態様に係るフェージング周波数推定方法では、スモールセルS内のユーザ端末UE側でフェージング周波数を推定する。スモール基地局SeNBは、PDSCH(下り共有データチャネル)用に割り当てられる無線リソース(以下、PDSCHリソースという)の少なくとも一部で、推定用参照信号が相対的に高い密度で配置される配置フォーマット(以下、推定用フォーマットという)を用いて、推定用参照信号を配置し、PDSCHリソースの割り当て情報をユーザ端末UEに送信する。また、ユーザ端末UEは、推定用参照信号のチャネル推定値に基づいてフェージング周波数を推定し、推定されたフェージング周波数を、スモール基地局SeNBからの送信要求に応じてスモール基地局SeNBに送信する。
ここで、推定用参照信号とは、スモールセルS内のユーザ端末UEにおけるフェージング周波数の推定に用いられる参照信号である。推定用参照信号としては、DM−RS(復調用参照信号)、CSI−RS(測定用参照信号)、CRS(セル固有参照信号)、スモール基地局SeNB及びユーザ端末UEで既知の新たな参照信号のいずれか、又は、これらの参照信号の組み合わせが用いられる。
また、推定用フォーマットとは、推定用参照信号が相対的に高い密度で配置される配置フォーマット(マッピングパターン)である。例えば、推定用フォーマットでは、PRBペア内の全てのリソースエレメントに推定用参照信号が配置されてもよい。なお、推定用フォーマットでは、推定用参照信号の密度が相対的に高ければ、PRBペア内の全てのリソースエレメントに推定用参照信号が配置されなくともよい。例えば、PRBペア内でPDCCHが配置されるリソースエレメントを除くリソースエレメントに推定用参照信号が配置されてもよい。PRBペア内で時間・周波数方向に分散させて、推定用参照信号が配置されてもよい。
また、PDSCHリソースとは、PDSCH用に割り当てられる無線リソースである。PDSCHリソースは、例えば、物理リソースブロック(PRB)、時間方向に連続する2PRBで構成されるPRBペア、複数のPRBで構成されるリソースブロックグループ(RBG)など、時間/周波数方向の無線リソースである。PDSCHリソースは、例えば、サブフレーム(1ms)毎のスケジューリング結果に応じて、ユーザ端末UEに割り当てられる。
図5は、PDSCHリソースの一例の説明図である。図5では、PDSCHリソースがPRBペア単位で割り当てられるものとするが、これに限られない。図5では、PDSCHリソースは、拡張下り制御チャネル(EPDCCH:Enhanced Physical Downlink Control Channel)用のPRBペア#0、#5、#8を除くPRBペアである。なお、新キャリアタイプでは、システム帯域幅に渡るPDCCHは配置されなくともよい。
第1態様に係るフェージング周波数推定方法において、スモール基地局SeNBは、全てのPDSCHリソース(例えば、図5では、PRBペア#0、#5、#8を除くPRBペア)において、上述の推定用フォーマットを用いて、推定用参照信号を配置してもよい。
或いは、スモール基地局SeNBは、一部のPDSCHリソースにおいて、上述の推定用フォーマットを用いて、推定用参照信号を配置してもよい。特に、スモール基地局SeNBは、システム帯域幅の両端部のPDSCHリソース(例えば、図5では、PRBペア#1、#n−1)において、上述の推定用フォーマットを用いて、推定用参照信号を配置してもよい。システム帯域幅の両端部のPUSCHリソースで推定用フォーマットを用いることで、推定用参照信号の周波数ダイバーシチ効果(Diversity gain)を得ることができる。
また、第1態様に係るフェージング周波数推定方法において、スモール基地局SeNBは、推定用フォーマットを用いた推定用参照信号が配置されるPDSCHリソースを動的に制御する。図6及び図7を参照し、かかる動的制御の一例を説明する。
図6は、PDSCHリソースの割り当て情報を用いた動的制御の一例の説明図である。PDSCHリソースの割り当て情報(以下、PDSCH割り当て情報という)は、図6A−図6Cに示すようにPDCCHで送信されてもよいし、PDSCHと周波数分割多重されるEPDCCHで送信されてもよい。なお、PDSCH割り当て情報は、DCIフォーマット1A、2、2A―2CなどのDownlink Assignment(DL Assignment)、下りスケジューリング情報、下りグラント(DL grant)などと呼ばれてもよい。
図6Aでは、PDSCH割り当て情報を用いて、推定用フォーマットを用いて推定用参照信号が配置されるPDSCHリソースが指定される。当該PDSCH割り当て情報は、推定用フォーマットが用いられることを示すトリガー情報を含んでもよい。例えば、トリガー情報は、DCIフォーマットに含まれる「Resource allocation field」以外のビットフィールドの組み合わせであってもよいし、新たに追加されるビットフィールドであってもよい。
また、当該PDSCH割り当て情報は、推定用フォーマットが用いられるサブフレームの連続数を含んでもよい。これにより、推定用フォーマットが用いられる時間方向のPRBペア数を動的に変更できる。なお、当該サブフレームの連続数は、上位レイヤシグナリングを用いて、ユーザ端末UEに送信されてもよい。
図6Bでは、異なるユーザ端末UEに対するPDSCH割り当て情報(DL assignment a/b)を用いて、推定用フォーマットを用いて推定用参照信号が配置される同一のPDSCHリソースが指定される。これにより、複数のユーザ端末UEが同一のPDSCHリソースに配置される推定用参照信号に基づいてフェージング周波数を推定できるため、推定用フォーマットが用いられるPDSCHリソース数を削減できる。
図6Cでは、PDSCH割り当て情報を用いて、推定用フォーマットを用いて推定用参照信号が配置されるPDSCHリソースを周波数方向に増加させている。これにより、推定用フォーマットが用いられる周波数方向のPDSCHリソースを動的に変更できる。
図7は、PDSCHリソースの割り当て情報を用いた動的制御の他の例の説明図である。図7では、かかるPDSCHリソースの割り当て情報は、複数のユーザ端末UEが受信可能な信号であり、上述のトリガー情報は、複数のユーザ端末UEに対するトリガービットを含むトリガーフィールドであってもよい。各トリガービットを含むトリガーフィールドは、PDSCH割り当て情報に含められてもよいし、追加されてもよい。各トリガービットには、対応するユーザ端末UEに対して推定用フォーマットが用いられるか否かによって、「1」又は「0」が設定される。
また、図7では、スモール基地局SeNBは、各ユーザ端末に対して、上位レイヤシグナリングを用いて、上記トリガーフィールドにおける自端末のトリガービットの位置情報、推定用フォーマットが用いられるPDSCHリソースの情報(例えば、PRBインデックスなど)、PDSCH割り当て情報を含む下り制御情報(DCI)の種別識別情報(例えば、RNTI(Radio Network Temporary Identifier)など)の少なくとも一つを通知してもよい。
例えば、図7Aでは、PDSCH割り当て情報(DL assignment)のトリガービットフィールドは、5ユーザ端末UE#0、#1、#4、#8及び#9に対して推定用フォーマットが用いられることを示す。当該5ユーザ端末UEは、それぞれ、上位レイヤシグナリングを用いて通知される位置情報に基づいて、トリガービットフィールドにおける自端末のトリガービットを参照し、推定用フォーマットが用いられることを検出する。また、当該5ユーザ端末UEは、上位レイヤシグナリング用いて通知されるPRBペアに配置される推定用参照信号に基づいて、チャネル推定を行う。
一方、図7Bでは、PDSCH割り当て情報のトリガービットフィールドは、3ユーザ端末UE#1、#5、#6に対して推定用フォーマットが用いられることを示す。当該3ユーザ端末UEは、それぞれ、上位レイヤシグナリングを用いて通知される位置情報に基づいて、トリガービットフィールドにおける自端末のトリガービットを参照し、推定用フォーマットが用いられることを検出する。また、当該3ユーザ端末UEは、上位レイヤシグナリング用いて通知されるPRBペアに配置される推定用参照信号に基づいて、チャネル推定を行う。
図7Bでは、図7Aと異なり、ユーザ端末UE#0、#4、#9のトリガービットは、当該3ユーザ端末UEに対して推定用フォーマットが用いられないことを示す。このため、当該3ユーザ端末UEは、それぞれ、上位レイヤシグナリングを用いて通知される位置情報に基づいて、トリガービットフィールドにおける自端末のトリガービットを参照し、推定用フォーマットが用いられないことを検出する。
このように、複数のユーザ端末UEのトリガービットをグループ化したトリガー情報を用いることで、複数のユーザ端末UEに対して一斉に推定用フォーマットを用いるか否かを通知することができる。
また、第1態様に係るフェージング周波数推定方法において、ユーザ端末UEは、上記推定用参照信号に基づいて推定されるフェージング周波数を、スモール基地局SeNBからの送信要求に応じて、スモール基地局SeNBに送信する。
かかるフェージング周波数の送信要求は、後述するPUSCHリソースの割り当て情報(以下、PUSCH割り当て情報という)を用いて、スモール基地局SeNBからユーザ端末UEに送信されてもよい。具体的には、当該送信要求は、PUSCH割り当て情報に含まれる既存ビットフィールドを再利用するものであってもよいし、PUSCH割り当て情報に新たに追加されるビットフィールドを用いるものであってもよい。PUSCH割り当て情報を用いることで、当該PUSCH割り当て情報が示すPUSCHリソースを用いて、フェージング周波数をスモール基地局SeNBに送信できる。
この場合、ユーザ端末UEからスモール基地局SeNBに送信される情報は、フェージング周波数そのものではなく、上述したフェージング周波数の推定の処理により算出される測定結果であってもよい。例えば、所定の2つの参照信号の時間間隔ΔTが指定された場合の「時間相関がある」、あるいは、「時間相関がない」といった情報であってもよい。この場合、上記情報に用いられるビット数は「1」でよいため、上記情報のオーバヘッドを低減することが可能となる。尚、前記所定の2つの参照信号の時間間隔ΔTは、上位レイヤ、例えば、RRCレイヤの制御信号により、スモール基地局SeNBからユーザ端末UEに通知されてもよい。尚、前記「時間相関がある/ない」とは、例えば、「チャネル推定値の内積値が大きい/小さい」であってもよいし、その他の時間相関を示すメトリックであってもよい。
また、フェージング周波数の送信要求は、上述のPDSCH割り当て情報を用いて、スモール基地局SeNBからユーザ端末UEに送信されてもよい。具体的には、当該送信要求は、PDSCH割り当て情報に含まれる既存ビットフィールドを再利用するものであってもよいし、PDSCH割り当て情報に新たに追加されるビットフィールドを用いるものであってもよい。
この場合、ユーザ端末UEからスモール基地局SeNBに送信される情報は、フェージング周波数そのものではなく、上述したフェージング周波数の推定の処理により算出される測定結果であってもよい。例えば、所定の2つの参照信号の時間間隔ΔTが指定された場合の「時間相関がある」、あるいは、「時間相関がない」といった情報であってもよい。この場合、上記情報に用いられるビット数は「1」でよいため、上記情報のオーバヘッドを低減することが可能となる。尚、前記所定の2つの参照信号の時間間隔ΔTは、上位レイヤ、例えば、RRCレイヤの制御信号により、スモール基地局SeNBからユーザ端末UEに通知されてもよい。尚、前記「時間相関がある/ない」とは、例えば、「チャネル推定値の内積値が大きい/小さい」であってもよいし、その他の時間相関を示すメトリックであってもよい。
あるいは、ユーザ端末UEは、推定されたフェージング周波数に関する情報を上位レイヤ(RRCレイヤ)の制御信号としてスモール基地局SeNBに送信してもよい。ここで、上記上位レイヤの制御信号とは、例えば、Measurement reportであってもよい。
あるいは、ユーザ端末UEは、推定されたフェージング周波数に関する情報を上位レイヤ(MACレイヤ)の制御信号としてスモール基地局SeNBに送信してもよい。ここで、上記上位レイヤの制御信号とは、例えば、MAC Control Elementであってもよい。MAC Control Elementを送信する場合にも、上述のように、「時間相関がある」/「時間相関がない」といった情報が通知されてもよい。
PDSCH割り当て情報を用いる場合、以上のようなフェージング周波数に関する情報を送信する上りリソース(PUSCHリソース(後述)など)が、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCレイヤなど)により、ユーザ端末UEに予め通知される。これにより、ユーザ端末UEは、PDSCH割り当て情報による送信要求に応じて、上位レイヤシグナリングで通知される上りリソースを用いて、フェージング周波数をスモール基地局SeNBに送信できる。
以上の第1態様に係るフェージング周波数推定方法によれば、スモール基地局SeNBが、PDSCHリソースの少なくとも一部において、相対的に高い密度で推定用参照信号が配置される推定用フォーマットが用いて、推定用参照信号を配置する。このため、スモールセルS内のユーザ端末UEにおけるフェージング周波数の推定精度の低下を防止できる。
また、PDSCH割り当て情報を用いて推定用フォーマットが用いられるPDSCHリソースを指定することで、推定用参照信号の送信タイミング/送信頻度を自由に設定できる。このため、推定用参照信号の送信によるオーバヘッドの増大を防止できる。
また、PDSCH割り当て情報を用いて推定用フォーマットが用いられるPDSCHリソースを指定することで、推定用フォーマットを用いて推定用参照信号が送信される時間間隔や周波数幅を動的に制御できる。この結果、ユーザ端末UEは、推定用参照信号の時間間隔や周波数幅を柔軟に選択してチャネル推定を行うことができ、フェージング周波数の推定精度を向上させることができる。
また、ユーザ端末UEにおいてフェージング周波数を推定できるので、上りリンクにおいてユーザ端末UEが間欠送信を行う場合であっても、適切にフェージング周波数を推定できる。
尚、別の実施例においては、スモール基地局SeNBの代わりに、マクロ基地局MeNBが、PDSCH(下り共有データチャネル)用に割り当てられる無線リソース(以下、PDSCHリソースという)の少なくとも一部で、推定用参照信号が相対的に高い密度で配置される配置フォーマット(以下、推定用フォーマットという)を用いて、推定用参照信号を配置し、PDSCHリソースの割り当て情報をユーザ端末UEに送信し、ユーザ端末UEは、推定用参照信号のチャネル推定値に基づいてフェージング周波数を推定し、推定されたフェージング周波数を、マクロ基地局MeNBからの送信要求に応じてマクロ基地局MeNBに送信してもよい。
上述したような、ユーザ端末UEの移動速度が高い場合にはスモールセルSではなくマクロセルMで通信を行うように制御する、という観点では、ユーザ端末UEがマクロセルMで通信を行っている段階で、ユーザ端末UEの移動速度を推定できることが望ましい。よって、ユーザ端末UEがマクロ基地局MeNBと通信を行っている段階で移動速度を推定することにより、より効率的に上記制御を行うことが可能となる。
また、第1態様に係るフェージング周波数推定方法において、ユーザ端末UEからスモール基地局SeNBに送信されるフェージング周波数に関する情報は、一つのタイミングで測定(推定)されたものであってもよいし、複数のタイミングで測定(推定)されたものであってもよい。なお、フェージング周波数に関する情報は、上述のように、フェージング周波数そのものであってもよいし、「時間相関がある/ない」、「チャネル推定値の内積値が大きい/小さい」などの時間相関を示す時間相関情報であってもよい。
図15及び16を参照し、複数のタイミングで測定(推定)されるフェージング周波数に関する情報をユーザ端末UEからスモール基地局SeNBに送信する場合について、詳述する。なお、以下では、フェージング周波数に関する情報が、「時間相関がある/ない」を示す時間相関情報である例を説明するが、上述のように、フェージング周波数そのものであってもよいし、「チャネル推定値の内積値が大きい/小さい」を示す時間相関情報であってもよい。
図15では、所定の時間間隔の過去の複数のタイミングで測定された複数の時間相関情報が、フェージング周波数に関する情報として、ユーザ端末UEから送信される。例えば、図15では、40msecの時間間隔を持つ10個のタイミング(タイミングT1、T2、T3、T4、…、T10)で測定された時間相関情報(10個分の時間相関情報)が、送信タイミングTaにおいて、ユーザ装置UEからスモール基地局SeNBに送信される。
なお、図15では、過去の10個分の時間相関情報が通知されているが、あくまで一例であり、代わりに、4個や8個など、10個以外の個数の時間相関情報が通知されてもよい。また、図15において、各タイミング(タイミングT1、T2、T3、…、T10の各々)における測定は、今回のタイミングにおける瞬時(例えば、1msec)の測定結果でもよいし、前回のタイミングから今回のタイミングまでの時間(ここでは、40msec)での測定結果でもよい。また、図15において、時間相関情報が測定(取得)されるタイミング間の時間間隔は、40msecであるが、40msec以外の時間間隔(例えば、200msecなど)で測定(取得)される複数の時間相関情報が、ユーザ端末UEからスモール基地局SeNBに通知されてもよい。
複数のタイミングの複数の時間相関情報に関する情報が、フェージング周波数に関する情報として通知されることにより、スモール基地局SeNBにおいて、各タイミングにおけるフェージング周波数や時間相関情報に加えて、ユーザ端末UEからの通知情報の精度を把握することができる、といったメリットがある。
図16を参照し、上記メリットについて詳述する。図16では、所定の時間間隔(例えば、200msec)の10個のタイミングT1〜T10における「時間相関がある/ない」を示す時間相関情報の例が示される。例えば、図16Aに示すように、10個の時間相関情報のうち、9個の時間相関情報が「時間相関がある」を示す場合、スモール基地局SeNBは、「時間相関がある」という情報の精度が高いと判断することが可能である(ケース1)。
あるいは、図16Bに示すように、10個の時間相関情報のうち、5個の時間相関情報が「時間相関がある」を示し、残りの5個の時間相関情報が「時間相関がない」を示す場合、スモール基地局SeNBは、「時間相関がある」「時間相関がない」という情報の精度が低いと判断することが可能である(ケース2)。
あるいは、図16Cに示すように、10個の時間相関情報のうち、9個の時間相関情報が「時間相関がない」を示す場合、スモール基地局SeNBは、「時間相関がない」という情報の精度が高いと判断することが可能である(ケース3)。
以上のように、ユーザ端末UEから複数のタイミングにおける時間相関情報が通知される場合、スモール基地局SeNBは、通知された時間相関情報の内容に基づいて、ユーザ端末UEからの通知情報の精度を判断できる。
また、スモール基地局SeNBは、複数のタイミングにおける時間相関情報を用いて、より細かく、ユーザ端末UEの移動速度を見積もってもよい。すなわち、上述のケース1では低速移動であり、上述のケース2では中速移動であり、上述のケース3では高速移動であると判断してもよい。
なお、図16では、「時間相関がある/ない」を示す時間相関情報に関する例を示したが、代わりに、フェージング周波数そのものが、10個の測定結果として通知され、それを基に、スモール基地局SeNBが、通知された情報の精度を判定したり、より細かく移動速度を判定してもよい。
また、複数のタイミングのフェージング周波数に関する情報は、ユーザ端末UEからマクロ基地局MeNBに通知されてもよい。かかる場合、マクロ基地局MeNBにおいて、通知された情報の精度を判定したり、より細かく移動速度を判定してもよい。
また、第1態様に係るフェージング周波数推定方法において、一つ又は複数のタイミングにおけるフェージング周波数に関する情報(フェージング周波数、時間相関情報など)は、上述のように、上位レイヤ(例えば、RRCレイヤ、MACレイヤ)の制御信号として、スモール基地局SeNBに通知されてもよい。
例えば、RRCレイヤの制御信号であるMeasurement reportを用いる場合、一つ又は複数のタイミングにおけるフェージング周波数に関する情報は、Measurement report内の一つの情報項目として、通知されてもよい。なお、Measurement reportは、周期的にユーザ端末UEから送信されるMeasurement report(以下、周期的Measurement reportと略する)、あるイベントをトリガーとしてユーザ端末UEから送信されるMeasurement report(以下、Event Triggered Measurement reportと略する)のいずれであってもよい。尚、かかるEvent Triggered Measurement reportは、非周期的なMeasurement reportと呼ばれてもよい。
ここで、Event Triggered Measurement reportとは、例えば、3GPP TS36.331記載のEvent A3やEvent A4のためのMeasurement reportであってもよいし、3GPP TS36.331記載のEvent A1、A2、A5のためのMeasurement reportであってもよい。より具体的には、3GPP TS36.331記載の「MeasResults」に、一つ又は複数のタイミングにおけるフェージング周波数に関する情報が含められてもよい。
上述した周期的Measurement reportや、Event Triggered Measurement report(例えば、Event A1、A2、A3、A4、A5に基づいたMeasurement report)で通知される情報は、スモール基地局SeNBで、ハンドオーバ等のモビリティの制御を行うべきか否かを判断するために使用される。よって、上記Measurement reportに、一つ又は複数のタイミングにおけるフェージング周波数に関する情報が含まれる場合、より適切にモビリティの制御を行うという観点で有益である。
(第2態様)
図8−図9を参照し、本発明の第2態様に係るフェージング周波数推定方法を説明する。第2態様に係るフェージング周波数推定方法では、スモール基地局SeNB側でフェージング周波数を推定する点で、ユーザ端末UE側フェージング周波数を推定する第1態様と異なる。以下では、第1態様との相違点を中心に説明を行う。
第2態様に係るフェージング周波数推定方法において、スモールセルS内のユーザ端末UEは、PUSCH(上り共有データチャネル)用の無線リソース(以下、PUSCHリソースという)の割り当て情報を受信する。また、ユーザ端末UEは、PUSCHリソースの少なくとも一部で、推定用参照信号が相対的に高い密度で配置される配置フォーマット(以下、推定用フォーマットという)を用いて、推定用参照信号を配置する。また、スモール基地局SeNBは、推定用参照信号のチャネル推定値に基づいてフェージング周波数を推定する。
ここで、推定用参照信号とは、スモール基地局SeNBにおけるフェージング周波数の推定に用いられる参照信号である。推定用参照信号としては、DM−RS(復調用参照信号)、Sounding Reference Signal(SRS)、スモール基地局SeNB及びユーザ端末UEで既知の新たな参照信号のいずれか、又は、これらの参照信号の組み合わせが用いられる。
また、推定用フォーマットとは、上記推定用参照信号が相対的に高い密度で配置される配置フォーマット(マッピングパターン)である。例えば、推定用フォーマットでは、PRBペア内の全てのリソースエレメントに推定用参照信号が配置されてもよい。なお、推定用フォーマットでは、推定用参照信号の密度が相対的に高ければ、PRBペア内の全てのリソースエレメントに推定用参照信号が配置されなくともよい。例えば、PRBペア内で時間・周波数方向に分散させて、推定用参照信号が配置されてもよい。
また、PUSCHリソースとは、PUSCH用に割り当てられる無線リソースである。PUSCHリソースは、例えば、物理リソースブロック(PRB)、時間方向に連続する2PRBで構成されるPRBペア、複数のPRBで構成されるリソースブロックグループ(RBG)など、時間/周波数方向の無線リソースである。PUSCHリソースは、例えば、サブフレーム(1ms)毎のスケジューリング結果に応じて、ユーザ端末UEに割り当てられる。
図8は、PUSCHリソースの一例の説明図である。図8では、PUSCHリソースがPRBペア単位で割り当てられるものとするが、これに限られない。図8では、PUSCHリソースは、システム帯域幅の両端部に配置される上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)用のPRBペア#0、#1、#n−2、#n−1を除く、PRBペアである。
第2態様に係るフェージング周波数推定方法において、ユーザ端末UEは、全てのPUSCHリソース(例えば、図8では、PRBペア#2−#n−3)において、上述の推定用フォーマットを用いて、推定用参照信号を配置してもよい。
或いは、ユーザ端末UEは、一部のPUSCHリソースにおいて、上述の推定用フォーマットを用いて、推定用参照信号を配置してもよい。特に、ユーザ端末UEは、システム帯域幅の両端部のPUSCHリソース(例えば、図8では、PRBペア#2、#n−3)において、上述の推定用フォーマットを用いて、推定用参照信号を配置してもよい。システム帯域幅の両端部のPUSCHリソースで推定用フォーマットを用いることで、推定用参照信号の周波数ダイバーシチ効果(Diversity gain)を得ることができる。
また、第2態様に係るフェージング周波数推定方法において、ユーザ端末UEは、推定用フォーマットを用いた推定用参照信号が配置されるPUSCHリソースを動的に制御する。図9を参照し、かかる動的制御の一例を説明する。
図9は、PUSCHリソースの割り当て情報を用いた動的制御の一例の説明図である。PUSCHリソースの割り当て情報(以下、PUSCH割り当て情報という)は、図9A−図9Cに示すようにPDCCHで送信されてもよいし、PDSCHと周波数分割多重されるEPDCCHで送信されてもよい。なお、PUSCH割り当て情報は、DCIフォーマット0、4などのUplink Assignment(UL Assignment)、上りスケジューリング情報、上りグラント(UL grant)などと呼ばれてもよい。
図9Aでは、PUSCH割り当て情報を用いて、推定用フォーマットを用いて推定用参照信号が配置されるPUSCHリソースが指定される。当該PUSCH割り当て情報は、推定用フォーマットが用いられることを示すトリガー情報を含んでもよい。例えば、トリガー情報は、DCIフォーマットに含まれる「Resource allocation field」以外のビットフィールドの組み合わせであってもよいし、新たに追加されるビットフィールドであってもよい。
また、スモール基地局SeNBは、PUSCH割り当て情報を用いて、推定用フォーマットが用いられるサブフレームの連続数をユーザ端末UEに通知してもよい。この場合、連続するサブフレームにおいて、ユーザ端末UEは、同一の送信電力で推定用フォーマットを送信してもよい。一般に、上りリンクの送信信号の送信電力が変動する場合、それに応じて、送信信号の位相が変動する場合があるため、上述したフェージング周波数の推定を正確に行うためには、上記送信電力を変動させないことが望ましい。
また、送信電力の変更(あるいは、制御)が不要であるため、本来、送信電力制御に用いられるTPCフィールドを用いて、サブフレーム連続数を通知することで、上記サブフレームの連続数を通知するための情報ビットのオーバヘッドを低減することができる。なお、当該サブフレームの連続数は、上位レイヤシグナリングを用いて、スモール基地局SeNBに送信されてもよい。
図9Bでは、異なるユーザ端末UEに対するPUSCH割り当て情報(a、b)を用いて、推定用フォーマットを用いて推定用参照信号が配置される同一のPUSCHリソースが指定される。かかる場合、同一のPUSCHリソースに、複数のユーザ端末UEからの推定用参照信号が多重されてもよい。
複数のユーザ端末UEからの推定用参照信号の多重方法としては、符号分割多重(CDM)、時間分割多重(TDM)、周波数分割多重(FDM)、空間分割多重(SDM)、サイクリックシフトなどを用いることができる。一方で、フェージング周波数の推定精度を向上させるためには、FDM、SDM、サイクリックシフトが望まれる。時間リソースを多重に用いる必要がないためである。
なお、以上の多重方法による多重位置(CDM用の符号、SDM用のウェイト、サイクリックシフト用の符号などを含む)は、上述のPUSCH割り当て情報を用いてユーザ端末UEに通知されてもよいし、上位レイヤシグナリングを用いてユーザ端末UEに通知されてもよい。
図9Cでは、PUSCH割り当て情報を用いて、推定用フォーマットを用いて推定用参照信号が配置されるPUSCHリソースを周波数方向に増加させている。すなわち、PRBペア数を増加させている。これにより、推定用フォーマットが用いられる周波数方向のPUSCHリソースを動的に変更できる。
なお、図9のPUSCH割り当て情報に含まれるトリガー情報は、図7で説明したように、複数のユーザ端末UEに対するトリガービットを含むトリガーフィールドであってもよい。各トリガービットを含むトリガーフィールドは、PUSCH割り当て情報に含められてもよいし、追加されてもよい。各トリガービットには、対応するユーザ端末UEに対して推定用フォーマットが用いられるか否かによって、「1」又は「0」が設定される。
かかる場合、スモール基地局SeNBは、各ユーザ端末UEに対して、上位レイヤシグナリングを用いて、上記トリガーフィールドにおける自端末のトリガービットの位置情報、推定用フォーマットが用いられるPUSCHリソースの情報(例えば、PRBインデックスなど)、PUSCH割り当て情報を含む下り制御情報(DCI)の種別識別情報(例えば、RNTI(Radio Network Temporary Identifier)など)の少なくとも一つを通知してもよい。
以上の第2態様に係るフェージング周波数推定方法によれば、ユーザ端末UEが、PUSCHリソースの少なくとも一部において、相対的に高い密度で推定用参照信号が配置される推定用フォーマットを用いて、推定用参照信号を配置する。このため、スモール基地局SeNBにおけるフェージング周波数の推定精度の低下を防止できる。
また、PUSCH割り当て情報を用いて推定用フォーマットが用いられるPUSCHリソースを指定することで、推定用参照信号の送信タイミング/送信頻度を自由に設定できる。このため、推定用参照信号の送信によるオーバヘッドの増大を防止できる。
また、PUSCH割り当て情報を用いて推定用フォーマットが用いられるPUSCHリソースを指定することで、推定用フォーマットを用いて推定用参照信号が送信される時間間隔や周波数幅を動的に制御できる。この結果、スモール基地局SeNBは、推定用参照信号の時間間隔や周波数幅を柔軟に選択してチャネル推定を行うことができ、フェージング周波数の推定精度を向上させることができる。
また、スモール基地局SeNBにおいてフェージング周波数を推定できるので、ユーザ端末UEの端末構成を容易にでき、ユーザ端末UEにおける消費電力の増大を防止できる。
尚、別の実施例においては、スモール基地局SeNBの代わりに、マクロ基地局MeNBが、フェージング周波数を推定してもよい。すなわち、マクロセルM内のユーザ端末UEは、PUSCH(上り共有データチャネル)用の無線リソースの割り当て情報を受信し、PUSCHリソースの少なくとも一部で、推定用フォーマットを用いて、推定用参照信号を配置し、マクロ基地局MeNBは、推定用参照信号のチャネル推定値に基づいてフェージング周波数を推定する。
上述したような、ユーザ端末UEの移動速度が高い場合にはスモールセルSではなくマクロセルMで通信を行うように制御する、という観点では、ユーザ端末UEがマクロセルMで通信を行っている段階で、ユーザ端末UEの移動速度を推定できることが望ましい。よって、ユーザ端末UEがマクロ基地局MeNBと通信を行っている段階で移動速度を推定することにより、より効率的に上記制御を行うことが可能となる。
(無線通信システムの構成)
以下、本実施の形態に係る無線通信システムについて、詳細に説明する。この無線通信システムでは、上述の第1、第2態様に係るフェージング周波数推定方法が適用される。
図10は、本実施の形態に係る無線通信システムの概略構成図である。なお、図10に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム或いは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。この無線通信システムでは、LTEシステムのシステム帯域を1単位とする複数の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア)を一体としたキャリアアグリゲーションが適用される。また、この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4G、FRA(Future Radio Access)と呼ばれても良い。
図10に示すように、無線通信システム1は、マクロセルC1を形成するマクロ基地局11と、マクロセルC1内に配置され、マクロセルC1よりも狭いスモールセルC2を形成するスモール基地局12a及び12bとを備えている。また、マクロセルC1及び各スモールセルC2には、ユーザ端末20が配置されている。ユーザ端末20は、マクロ基地局11及びスモール基地局12の双方と無線通信可能に構成されている。
ユーザ端末20とマクロ基地局11との間は、相対的に低い周波数帯域(例えば、2GHz)で帯域幅が広いキャリア(既存キャリア、Legacy carrierなどと呼ばれる)を用いて通信が行なわれる。一方、ユーザ端末20とスモール基地局12との間は、相対的に高い周波数帯域(例えば、3.5GHzなど)で帯域幅狭いキャリアが用いられるが、マクロ基地局11との間と同一の周波数帯域が用いられてもよい。マクロ基地局11及び各スモール基地局12は、有線接続又は無線接続されている。
マクロ基地局11及び各スモール基地局12は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。
なお、マクロ基地局11は、相対的に広いカバレッジを有する無線基地局であり、eNodeB、無線基地局装置、送信ポイントなどと呼ばれてもよい。スモール基地局12は、局所的なカバレッジを有する無線基地局であり、ピコ基地局、フェムト基地局、Home eNodeB、マイクロ基地局、送信ポイントなどと呼ばれてもよい。また、スモール基地局12は、ファントムセルを形成する無線基地局であってもよい。ファントムセルでは、先頭最大3OFDMシンボルにPDCCHが配置されないサブフレーム(Newキャリアタイプ、追加キャリアタイプ)が用いられる。
以下、マクロ基地局11及びスモール基地局12を区別しない場合は、無線基地局10と総称する。各ユーザ端末20は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでよい。
無線通信システムにおいては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
ここで、図10に示す無線通信システムで用いられる通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH、EPDCCH)とを有する。PDSCHにより、ユーザデータ及び上位レイヤ制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、PDSCHおよびPUSCHのスケジューリング情報等が伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。また、EPDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel、ePDCCH、E-PDCCH、FDM型PDCCH等とも呼ばれる)により、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報等が伝送されてもよい。このEPDCCH(拡張下り制御チャネル)は、PDSCH(下り共有データチャネル)と周波数分割多重される。
上りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACK等が伝送される。
図11は、本実施の形態に係る無線基地局10(マクロ基地局11及びスモール基地局12を含む)の全体構成図である。無線基地局10は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103(送信部、受信部)と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インターフェース106とを備えている。
下りリンクにより無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30から伝送路インターフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104では、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理が行われて各送受信部203に転送される。また、下り制御信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われて、各送受信部103に転送される。
各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナ毎にプリコーディングして出力された下り信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101により送信する。
一方、上り信号については、各送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部102で増幅され、各送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104では、入力された上り信号に含まれるユーザデータに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理がなされ、伝送路インターフェース106を介して上位局装置30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放等の呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
図12は、本実施の形態に係るユーザ端末20の全体構成図である。ユーザ端末20は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部203(送信部、受信部)と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205とを備えている。
下り信号については、複数の送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換され、ベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、FFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理等がなされる。この下り信号に含まれるユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理等を行う。また、下りリンクのデータの内、報知情報もアプリケーション部205に転送される。
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御(H−ARQ(Hybrid ARQ))の送信処理や、チャネル符号化、プリコーディング、DFT処理、IFFT処理等が行われて各送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201により送信する。
図13は、本実施の形態に係る無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104の機能構成図である。
図13に示すように、無線基地局10は、スケジューリング部301、PDSCH/PUSCH割り当て情報生成部302、PDCCH/EPDCCH送信処理部303、上位レイヤ制御情報生成部304、推定用参照信号生成部305、PDSCH送信処理部306、PUSCH受信処理部307、チャネル推定部308、フェージング周波数推定部309を具備する。
なお、ユーザ端末20側でフェージング周波数を推定する場合(第1態様)、チャネル推定部308及びフェージング周波数推定部309は、省略されてもよい。一方、無線基地局10側でフェージング周波数を推定する場合(第2態様)、推定用参照信号生成部305は、省略されてもよい。
スケジューリング部301は、PDSCH/PUSCHのスケジューリングを行う。具体的には、スケジューリング部301は、ユーザ端末20からのフィードバック情報(例えば、CQIなど)に基づいて、PDSCH/PUSCH用の無線リソース(PDSCHリソース/PUSCHリソース)の割り当て制御を行う。
PDSCH/PUSCH割り当て情報生成部302は、スケジューリング部301によるスケジューリング結果に応じて、PDSCH割り当て情報及びPUSCH割り当て情報を生成する。上述のように、PDSCH割り当て情報は、推定用フォーマットが用いられることを示すトリガー情報や、当該推定用フォーマットが用いられるサブフレームの連続数を含んでもよい。また、PUSCH割り当て情報は、推定用フォーマットが用いられることを示すトリガー情報や、同一のPUSCHリソースに複数のユーザ端末UEからの推定用参照信号を多重する際に用いられる多重位置(CDMの場合の符号、SDMの場合のウェイト、サイクリックシフトの場合の符号など)を含んでもよい。
PDCCH/EPDCCH送信処理部303は、PDCCH又はEPDCCHの送信処理を行う。具体的には、PDCCH/EPDCCH送信処理部303は、PDSCH/PUSCH割り当て情報生成部302から入力されるPDSCH割り当て情報及びPUSCH割り当て情報を所定の割り当て単位(例えば、CCE、REG、eCCE、eREGなど)にマッピングして、チャネル符号化、変調、IFFTなどの送信処理を行う。PDCCH/EPDCCH送信処理部303は、送信処理後の信号を送受信部103に出力する。
上位レイヤ制御情報生成部304は、上位レイヤ制御情報を生成する。上位レイヤ制御情報は、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリングやMACシグナリング)により伝送される制御情報である。上位レイヤ制御情報は、上述の推定用フォーマット又は推定用フォーマットが用いられるサブフレームの連続数を含んでもよい。
推定用参照信号生成部305は、ユーザ端末20におけるフェージング周波数の推定用参照信号を生成する。上述のように、当該推定用参照信号としては、例えば、DM−RS(復調用参照信号)、CSI−RS(測定用参照信号)、CRS(セル固有参照信号)、無線基地局10及びユーザ端末UEで既知の新たな参照信号のいずれか、又は、これらの参照信号の組み合わせが用いられる。
PDSCH送信処理部306は、PDSCHの送信処理を行う。具体的には、PDSCH送信処理部306は、スケジューリング部301により割り当てられるPDSCHリソース(例えば、PRBペア、PRB、RBG(Resource Block Group)など)に対して、上位レイヤ制御情報304から入力される上位レイヤ制御情報やユーザデータをマッピングして、チャネル符号化、変調、IFFTなどの送信処理を行う。PDSCH送信処理部306は、送信処理後の信号を送受信部103に出力する。
また、PDSCH送信処理部306(配置部)は、PDSCHリソースに対して、推定用参照信号が相対的に高い密度で配置される推定用フォーマットを用いて、推定用参照信号をマッピング(配置)してもよい。ここで、PDSCH送信処理部306は、全てのPDSCHリソースで上述の推定用フォーマットを用いてもよいし、一部のPDSCHリソースで上述の推定用フォーマットを用いてもよい。
PUSCH受信処理部307は、PUSCHの受信処理を行う。具体的には、PUSCH受信処理部307は、送受信部103から入力される受信信号に対して、FFT、復調、復号などの受信処理を行う。ユーザ端末20がフェージング周波数を推定する場合(第1態様)、PUSCH受信処理部307は、ユーザ端末20において推定されたフェージング周波数や、フェージング周波数に関する情報(例えば、「時間相関の有/無」や、「チャネル推定値の内積値が大きい/小さい」や、その他の時間相関を示すメトリック)を取得する。
一方、無線基地局10がフェージング周波数を推定する場合(第2態様)、PUSCH受信処理部307は、受信信号から分離された推定用参照信号をチャネル推定部308に出力する。チャネル推定部308は、PUSCH受信処理部307から入力された所定の時間間隔の推定用参照信号のチャネル推定を行い、所定の時間間隔のチャネル推定値をフェージング周波数推定部309に出力する。フェージング周波数推定部309は、所定の時間間隔のチャネル推定値の時間相関に基づいてフェージング周波数を推定する。
図14は、本実施の形態に係るユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204の機能構成図である。
図14に示すように、ユーザ端末20は、PDCCH/EPDCCH受信処理部401、PDSCH受信処理部402、チャネル推定部403、フェージング周波数推定部404、PUSCH送信処理部405、推定用参照信号生成部406を具備する。
なお、ユーザ端末20側でフェージング周波数を推定する場合(第1態様)、推定用参照信号生成部406は、省略されてもよい。一方、無線基地局10側でフェージング周波数を推定する場合(第2態様)、フェージング周波数推定部404は、省略されてもよい。
PDCCH/EPDCCH受信処理部401は、PDCCH/EPDCCHの受信処理を行う。具体的には、PDCCH/EPDCCH受信処理部401は、送受信部203から入力される受信信号に対して、FFT、復調、サーチスペースのブラインド復号などの受信処理を行い、PDSCH割り当て情報及びPUSCH割り当て情報を取得する。
PDSCH受信処理部402は、PDSCHの受信処理を行う。具体的には、PDSCH受信処理部402は、送受信部203から入力される受信信号に対して、FFT、復調、復号などの受信処理を行う。また、PDSCH受信処理部402は、PDCCH/EPDCCH受信処理部401から入力されるPDSCH割り当て情報に基づいて、自端末に対するユーザデータ及び上位レイヤ制御情報を取得する。
ユーザ端末20がフェージング周波数を推定する場合(第1態様)、PUSCH受信処理部307は、推定用参照信号をチャネル推定部403に出力する。チャネル推定部403は、PDSCH受信処理部402から入力された所定の時間間隔の推定用参照信号のチャネル推定を行い、所定の時間間隔のチャネル推定値をフェージング周波数推定部404に出力する。フェージング周波数推定部404は、所定の時間間隔のチャネル推定値の時間相関に基づいてフェージング周波数を推定して、PUSCH送信処理部405に出力する。
PUSCH送信処理部405は、PUSCHの送信処理を行う。具体的には、PUSCH送信処理部405は、PDCCH/EPDCCH受信処理部401から入力されるPUSCH割り当て情報が示すPUSCHリソース(例えば、PRBペア、PRB、RBG(Resource Block Group)など)に対して、上位レイヤ制御情報やユーザデータをマッピングして、チャネル符号化、変調、IFFTなどの送信処理を行う。PUSCH送信処理部405は、送信処理後の信号を送受信部203に出力する。
また、PUSCH送信処理部405(配置部)は、PUSCHリソースに対して、推定用参照信号が相対的に高い密度で配置される推定用フォーマットを用いて、推定用参照信号をマッピング(配置)してもよい。ここで、PUSCH送信処理部405は、全てのPUSCHリソースで上述の推定用フォーマットを用いてもよいし、一部のPUSCHリソースで上述の推定用フォーマットを用いてもよい。
推定用参照信号生成部406は、無線基地局10におけるフェージング周波数の推定用参照信号を生成する。上述のように、当該推定用参照信号としては、例えば、DM−RS(復調用参照信号)、Sounding Reference Signal(SRS)、無線基地局10及びユーザ端末UEで既知の新たな参照信号のいずれか、又は、これらの参照信号の組み合わせが用いられる。
以上のように、本実施の形態に係る無線通信システム1によれば、スモール基地局12が、PDSCHリソースの少なくとも一部において、相対的に高い密度で推定用参照信号が配置される推定用フォーマットが用いて、推定用参照信号を配置する(第1態様)。このため、スモールセルC2内のユーザ端末20におけるフェージング周波数の推定精度の低下を防止できる。
あるいは、本実施の形態に係る無線通信システム1によれば、マクロ基地局11が、PDSCHリソースの少なくとも一部において、相対的に高い密度で推定用参照信号が配置される推定用フォーマットが用いて、推定用参照信号を配置する(第1態様)。このため、マクロセルC1内のユーザ端末20におけるフェージング周波数の推定精度の低下を防止できる。
また、本実施の形態に係る無線通信システム1によれば、スモールセルC2内のユーザ端末20が、PUSCHリソースの少なくとも一部において、相対的に高い密度で推定用参照信号が配置される推定用フォーマットが用いて、推定用参照信号を配置する(第2態様)。このため、スモール基地局12におけるフェージング周波数の推定精度の低下を防止できる。
あるいは、本実施の形態に係る無線通信システム1によれば、マクロセルC1内のユーザ端末20が、PUSCHリソースの少なくとも一部において、相対的に高い密度で推定用参照信号が配置される推定用フォーマットが用いて、推定用参照信号を配置する(第2態様)。このため、マクロ基地局11におけるフェージング周波数の推定精度の低下を防止できる。
尚、上述した例においては、マクロセルとスモールセルとの少なくとも一部が重複するように配置される次世代移動通信システムに関して説明を行ったが、マクロセルのみが配置されるシステムやスモールセルのみが配置されるシステムにおいて、上述のフェージング周波数の推定が行われてもよい。
また、図10においては、キャリアアグリゲーションが行われるシステムに関して説明を行ったが、キャリアアグリゲーションが行われないシステムにおいて、上述のフェージング周波数の推定が行われてもよい。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。