JP6319855B2 - 全身の骨格筋量を決定するための方法 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許仮出願、出願番号61/834,267(2013年6月12日出願)および61/888,105(2013年10月8日出願)の利益を主張するものであり、それらの出願は全文が本明細書に参照によって組み込まれている。
[技術分野]
本発明は、経口投与されたトレーサ量の同位体標識したクレアチンの使用によって、被験体における全身のクレアチンのプールサイズおよび全身の骨格筋量を決定する方法に関する。
[背景技術]
今日、ヒトにおいて骨格筋量を直接測定するための、利用できる方法はない。現在の筋量を見積もるための方法は、コンピュータ断層映像法(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、二重X線吸収測定法(DXA)、および生体電気インピーダンス法(BIA)を含む。これらの方法は、高価であり(CT、MRI、およびDXA)、限定された正確性を有する(BIA)。また、これらの方法は、試料のサイズが大きい臨床試験において実施するには難しいかも知れない(CT、MRI、DXA)。これらの方法のいずれも骨格筋量を直接測定せず(例えば、Baracos et al. (2012) J. Parenter Enteral Nutr. 36:96-107を参照のこと)、またどの方法も、体の水分含量が変化すると、筋量の測定としては正確性がより小さくなる(例えば、Sarkar et al. (2005) J. Ren. Nutr. 15:152-8を参照のこと)が、体の水分含量が変化するのは、筋消耗に帰結する多くの疾患において非常によく起こる状況である。生化学的方法の中では、24時間尿によるクレアチニン排出の量が、筋量とかなり関連していることが示されており、このことはクレアチンおよびクレアチニンの既知の生化学と一致する。しかし、この方法は、24時間の期間をとおして全ての尿を採取することに依存する。この方法は専門的な部署において上手く実施することができるが、特に外来患者の場面において、失われた試料が著しく変動性を大きくし、正確性を低減させる。
クレアチンは、ほとんど独占的に(〜98%)骨格筋中に存在する(Balsom et al (1994) J. Sports Med. 18:268-80)。一日あたり、クレアチンのおおよそ2%が、不可逆的で、非酵素的なメカニズムをとおしてクレアチニンに変換されるので、体全体において、一日あたり〜2gのクレアチンが置き換わる。被験体間および被験体内でクレアチンからクレアチニンへの変換が安定的であるという仮定に基づき、クレアチニンの日単位の排出速度が、全身のクレアチンプールサイズの測定基準として使用されてきた(例えば、Crim et al. (1975) J. Nutr. 105:428-38を参照のこと)。この方法のレビューは、1gの尿クレアチニンあたりの比較的広範囲の筋量(17〜22kg)が筋量を見積もるのに用いられ、これは、調査間での筋量の見積もりにおける大きな変動性につながることを示す。さらに、この方法には、(正確な24時間の尿採取を行うという問題に加え)固有の制限が存在する。すなわち、pHおよび温度が、クレアチンからクレアチニンへの非酵素的な変換速度に影響し、また、体内のクレアチニンの分解および代謝による除去が存在する。したがって、生成されたクレアチニンの全てが尿中に排出されるわけではない(例えば、Wyss (2000) Physiol. Rev. 80:1107-213を参照のこと)。
Stimpsonらは、げっ歯類において、クレアチンプールサイズを測定し、且つ全身の骨格筋量を評価する方法を記述している(Stimpson et al. (2012) J. Appl. Physiol. 112:1940-8)。この参照文献は、重水素化された尿クレアチニンの濃縮が、筋量の見積もりを提供することを示している。当該筋量は、非脂肪量(lean mass)の独立した見積りと強く関連する。しかし、この技術において、ヒトの被験体における骨格筋量を、年齢、性別、食事、および/または身体組成に関わらず正確に検定する方法の必要性が残っている。
[発明の概要]
本発明は、単回の定められたトレーサ量の同位体標識クレアチンの経口投与後の尿試料中における同位体標識クレアチニンの定常状態の濃縮を用いて、被験体における全身のクレアチンプールサイズおよび骨格筋量を測定できる、という発見に基づく。
本発明の方法によって被験体の全身のクレアチンプールサイズを正確に決定するためには、被験体の骨格筋に効果的に送達されるような同位体標識クレアチントレーサ投与のトレーサ量の総量を決定することが必要である。被験体の骨格筋に効果的に投与されるような同位体標識クレアチントレーサ量の総量を算出するためには、被験体の骨格筋に送達される量よりも、被験体の尿中に排出される、投与された同位体標識クレアチントレーサ量の総量を決定することが必要である。本発明の発明者らは、被験体の身体組成および食事に依存して、尿中に排出される同位体標識クレアチンのトレーサ量の総量が被験体間で変動しうることを発見した。本発明者らはさらに、尿中に排出されることになる同位体標識クレアチントレーサ量の総量は、患者からの生体試料中で検出されたクレアチン対クレアチニン比率と関連しており、したがって、患者からの生体試料中で検出されるクレアチン対クレアチニン比率を用いて、被験体の骨格筋に効果的に投与されるような同位体標識クレアチントレーサ量の総量を正確に算出できることを発見した。
したがって、一形態において、本発明は、被験体における全身の骨格筋量を決定するための方法であって、以下の工程を包含している方法を提供する:
(a)被験体から第一の生体試料を取得し、当該第一の生体試料は尿試料である工程;
(b)上記被験体からの上記第一の生体試料におけるクレアチニンに対するクレアチンの比率を決定する工程;
(c)20〜100mgの同位体標識クレアチンまたはその塩もしくは水和物を上記被験体に経口投与する工程;
(d)上記同位体標識クレアチンが同位体の定常状態に達することを可能にする工程;
(e)上記被験体から第二の生体試料を取得する工程;
(f)上記第二の生体試料におけるクレアチニンおよび同位体標識クレアチニンの濃度を決定し、それによって当該第二の生体試料における同位体標識クレアチニンの濃縮率を決定する工程;
(g)工程(b)において決定されたクレアチン/クレアチニン比率を用いて、被験体の骨格筋に効果的に送達された同位体標識クレアチンの総量を決定する工程;および
(h)以下の式によって上記被験体の全身の骨格筋量を算出する工程:
全身の骨格筋量=(工程(g)に従って決定された、上記被験体の骨格筋に効果的に送達された同位体標識クレアチンの総量)/[(工程(f)に従って決定された、上記第二の生体試料における上記同位体標識クレアチニンの濃縮率)×(骨格筋のクレアチン含有量(g/kg))]。
望ましい実施形態において、被験体は、工程(a)にしたがって第一の生体試料を得る少なくとも8時間前から絶食している。
一実施形態において、第二の生体試料は尿試料である。
もうひとつの実施形態において、第二の生体試料は血液試料または血清試料である。
[図面の簡単な説明]
図1は、30mg投与グループにおける全被験体の血漿Dクレアチン濃度の時間プロファイルを示している(D,重水素化;mg,ミリグラム)。
図2は、5日間のあいだに尿中に排出されたDクレアチン量の平均累積%を示している。エラーバーはSEMを表す(D,重水素化;F,女性;M,男性;PM,閉経後;SEM,平均値の標準誤差)。
図3は、4日目の0〜4時間目における尿の非標識のCr/Crn比に対する5日間のあいだに尿中に排出されたDクレアチン量の累積割合を示している。両方のパラメータは自然対数化してある(Cr,クレアチン;Crn,クレアチニン;D3,重水素化;F,女性;ln,自然対数;M,男性;PM,閉経後)。
図4は、時間(尿収集のための試料採取間隔)に対する、平均の尿Dクレアチニン濃縮率を示している。エラーバーはSEMを表す(D3,重水素化;F,女性;M,男性;PM,閉経後;SEM;平均値の標準誤差)。
図5は、平均の定常状態のDクレアチニン濃縮を用いて算出されたDクレアチン希釈法からの筋量に対するMRIからの全筋量を示している(r=0.868,P<0.0001)(kg,キログラム;MRI,磁気共鳴映像法;PM,閉経後;r,性別を加味して調整されたピアソンの部分相関係数)。
図6は、DXA四肢非脂肪量に対するMRIからの全筋量(r=0.957,P<0.0001)およびDXA全非脂肪量に対するMRIからの全筋量(r=0.923,P<0.0001)を示している(kg,キログラム;DXA,二重X線吸収測定法;MRI,磁気共鳴映像法;PM,閉経後;r,性別を加味して調整されたピアソンの部分相関係数)。
図7は、平均の定常状態のDクレアチニン濃縮を用いて算出されたDクレアチン希釈法からの筋量に対するDXA全非脂肪量を示している(r=0.745,P<0.0001)(kg,キログラム;DXA,二重X線吸収測定法;PM,閉経後;r,性別を加味して調整されたピアソンの部分相関係数)。
[発明の詳細な説明]
本発明は、本発明は、一回の定められた量の同位体標識クレアチンの経口投与の後の、尿試料中の同位体標識クレアチニンの濃縮を用いて、被験体における全身のクレアチンプールサイズおよび骨格筋量を算出することができるという発見に基づく。したがって、本発明は、全身の骨格筋を決定する、非侵襲的で正確な方法を提供する。本発明の方法は、とりわけ、全身の骨格筋量における変化に関連した医学的状態を診断および監視すること、ならびに、潜在的な治療剤をスクリーニングしてその治療剤の筋量への効果を決定することにおいて、用途を見出す。
上記方法によれば、同位体標識クレアチンは、被験体に経口投与される。本発明は機序によって限定されないが、同位体標識クレアチンは急速に吸収され、分配され、且つ活発に骨格筋内に輸送され、骨格筋内でクレアチンの骨格筋プール中に希釈されると信じられている。骨格筋は、全身のクレアチンの圧倒的大部分(>98%)を含む。筋組織中で、クレアチンは、不可逆の、非酵素的反応によって一日におよそ1.7%という安定した比率でクレアチニンに変換される。このクレアチニンは、安定した代謝物質であり、筋肉から急速に拡散する。クレアチニンはクレアチントランスポーターのための基質ではなく、筋肉内に送り返すことはできず、尿中に排出される。その結果、いったん同位体の定常状態に達すると、定められた同位体標識クレアチン経口トレーサ投与後の随時尿試料中の同位体標識クレアチンの濃縮は、筋肉のクレアチンの濃縮を反映し、直接クレアチンプールサイズを決定するのに用いることができる。その後、公知の筋肉クレアチン含有量に基づいて骨格筋量を算出することができる。
本発明は、単回の定められたトレーサ量の同位体標識クレアチンの経口投与の後の、尿試料中の同位体標識クレアチニンの定常状態の濃縮を用いて、被験体における全身のクレアチンプールサイズおよび骨格筋量を算出することができるという発見に基づく。
本発明の方法により、被験体の全身のクレアチンプールサイズを正確に決定するためには、被験体の骨格筋に効果的に送達される同位体標識クレアチンのトレーサ量の総量を決定することが必要である。被験体の骨格筋に効果的に投与される同位体標識クレアチントレーサ量の総量を算出するためには、被験体の骨格筋に送達される量よりも、被験体の尿中に排出される、投与された同位体標識クレアチントレーサ量の総量を決定することが必要である。本発明の発明者らは、尿中に排出された同位体標識クレアチンのトレーサ量の総量が、被験体間で、とりわけ、被験体の身体組成および食事に依存して変動しうることを明らかにした。本発明者らはさらに、尿内に排出されることになる同位体標識クレアチントレーサ量の総量は、患者からの生体試料中で検出されたクレアチン対クレアチニン比率と直接相関しており、したがって、患者からの生体試料におけるクレアチン対クレアチニン比率を用いて、尿内に排出されることになる同位体標識クレアチントレーサ量の総量を正確に算出できることを明らかにした。
したがって、一形態において、本発明は、被験体における全身の骨格筋量を決定するための方法であって、以下の工程を包含している方法を提供する:
(a)被験体から第一の生体試料を取得し、当該第一の生体試料は尿試料である工程;
(b)上記被験体からの上記第一の生体試料におけるクレアチニンに対するクレアチンの比率を決定する工程;
(c)20〜100mgの同位体標識クレアチンまたはその塩もしくは水和物を上記被験体に経口投与する工程;
(d)上記同位体標識クレアチンの投与後、少なくとも20時間経過することを可能にする工程;
(e)上記被験体から第二の生体試料を取得する工程;
(f)上記第二の生体試料におけるクレアチニンおよび同位体標識クレアチニンの濃度を決定し、それによって当該第二の生体試料における同位体標識クレアチニンの濃縮率を決定する工程;
(g)工程(b)において決定されたクレアチン/クレアチニン比率を用いて、被験体の骨格筋に効果的に送達された同位体標識クレアチンの量を決定する工程;および
(h)以下の式によって上記被験体の全身の骨格筋量を算出する工程:
全身の骨格筋量=(工程(g)に従って決定された、上記被験体の骨格筋に効果的に送達された同位体標識クレアチンの量)/[(工程(f)に従って決定された、上記第二の生体試料における上記同位体標識クレアチニンの濃縮率)×(骨格筋のクレアチン含有量(g/kg))]。
一つの特別な実施形態において、被験体は、工程(a)にしたがって第一の生体試料が取得される少なくとも4時間前、少なくとも8時間前、または少なくとも12時間前から絶食している。
本方法によれば、第二の生体試料は、望ましくは、当該第二の生体試料中の同位体標識クレアチ二ンの濃縮レベルが定常状態に達した後に採取される。したがって、一実施形態において、同位体標識クレアチンの投与の後であるが生体試料の採取の前に、少なくとも20時間が経過することが許される。ある実施形態において、少なくとも24時間が経過することが許される。特別な実施形態において、同位体標識クレアチンの投与の後、且つ生体試料採取の前に、少なくとも30時間、少なくとも36時間、少なくとも40時間、または少なくとも48時間が経過することが許される。
一実施形態において、第二の生体試料は尿試料である。もうひとつの実施形態において、第二の生体試料は血液試料または血清試料である。追加の実施形態において、第二の生体試料はマイクロ生検試料などの筋生検試料である。
ある実施形態において、同位体標識クレアチンの水和物が被験体に投与される。特別な実施形態において、同位体標識クレアチン一水和物が投与される。他の実施形態において、同位体標識クレアチン無水物が投与される。
被験体に投与する同位体標識クレアチンの量は、望ましくは、標識クレアチンが急速に血流内に吸収され、且つ尿内への超過分の標識の排出が最小化されるように選択される。したがって、ヒトの被験体のための同位体標識クレアチンの量は、典型的には20〜125mgである。特別な実施形態において、5mg、10mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、または100mgの同位体標識クレアチンが投与される。ある実施例において、10〜50mg(例えば20〜40mg)、またはより具体的には、30mgの同位体標識クレアチンが被験体に投与される。他の実施形態において、40〜80mg(例えば50〜70mg)、またはより具体的には、60mgまたは70mgの同位体標識クレアチンが被験体に投与される。
投与されるクレアチンは、クレアチンの代謝に干渉しない任意の同位体標識によって標識され得る。「同位体標識」とは、同じ数の陽子を有している原子(従って、同じ元素の原子)であるが、異なる数の中性子を有している原子(例えば、Hに対してH)によって標識されているという意味である。同位体標識分子は、任意の可能である同位体によっても標識されている。同位体は、安定な同位体(例えばH、13C)であってもよいし、または放射性同位体(例えば、H、14C)であってもよい。同位体標識クレアチンの例は、−クレアチン、D−クレアチン、13−クレアチン、13−クレアチン、または当該技術分野において公知のその他の種類を含む。
経口投与に適用される医薬処方は、カプセルまたは錠剤、粉末または顆粒、溶液または懸濁液のような個別の単位として、それぞれ水性もしくは非水性の液体、食用の泡沫もしくはホイップ、または水中油型乳化液もしくは油中水型乳化液と共に存在していてもよい。例えば、錠剤またはカプセルの形態における経口投与のために、活性薬剤成分は、エタノール、グリセロール、水などの、経口用の無毒な医薬的に許容される不活性な担体と組み合わせられてもよい。一般的に、化合物を好適な細かいサイズに粉砕すること、および、食用炭水化物(例えば、澱粉やマンニトール)などの適切な医薬用の担体と混合することにより、粉末が調製される。香料、保存料、分散剤、および着色料も存在していてもよい。
カプセルは、粉末、液体または懸濁混合物を調製すること、およびゼラチンまたはいくつかの他の適切な外被材を用いてカプセル化することによって作ることができる。コロイド状シリカ、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固体ポリエチレングリコールなどの滑剤および潤滑剤を、カプセル化の前に混合物に加えてもよい。カプセルを摂取した際の薬物の有効性を向上させるために、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤および可溶化剤を加えてもよい。さらに、望まれる場合または必要な場合は、好適な結合剤、潤滑剤、崩壊剤、および着色料も、混合物内に統合してもよい。好適な結合剤の例は、澱粉、ゼラチン、天然糖(グルコースおよびβ−ラクトースなど)、コーン甘味料、天然ゴムおよび合成ゴム(アラビアゴム、トラガカントゴム、またはアルギン酸ナトリウムなど)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、蝋などを含む。このような投薬の形態において有用な潤滑剤は、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤は、制限はされないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含む。
錠剤は、例えば、粉末混合物を調製すること、粒状にすることまたはスラッグ化すること(slugging)、潤滑剤および崩壊剤を加えること、ならびに錠剤状にプレスすることにより作り出すことができる。粉末混合物は、好適に粉砕された化合物を、上述のような希釈剤または塩基と混合することにより調製してもよい。任意成分は、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンもしくはポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶解阻害剤、第四級塩などの再吸収促進剤、および/またはベントナイト、カオリンもしくはリン酸二カルシウムなどの吸収剤を含む。粉末混合物は、シロップ、澱粉ペースト、アラビアゴム粘液またはセルロース系材料もしくは高分子材料の溶液などの結合剤とともに湿式造粒されてもよく、スクリーンを通過させてもよい。顆粒化の代わりとして、粉末混合物は打錠機を通してもよく、そして、結果は顆粒状に壊された不完全な形状のスラッグとなる。顆粒は、錠剤成形型に固着することを防ぐために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、滑石または鉱油を加えることによって潤滑されてもよい。潤滑された混合物はその後、錠剤に圧縮される。本発明の化合物は、流動性の不活性担体と組み合わせてもよいし、顆粒化またはスラッグ化の工程を経ずに直接錠剤に圧縮されてもよい。セラックの封止膜、糖または高分子材料の被膜、および蝋のつや出し被膜から成る、透明または不透明の保護被膜も提供されてよい。異なる単位の投薬を区別するために、これらの被膜に染色剤を加えてもよい。
溶液、シロップ剤、およびエリキシル剤等の口腔液は、所定量が規定量の化合物を含むように、用量単位剤形において調製されてもよい。シロップ剤は、例えば、好適に味付けされた水溶液中において化合物を溶解することによって調製されてもよい。一方エリキシル剤は、非毒性のアルコール性ビヒクルの使用を通じて調製される。懸濁液は、一般的に、非毒性ビヒクル中に化合物を分散することによって調剤されてもよい。エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテル等の、可溶化剤および乳化剤が添加されてもよい。本発明に従って用いられてもよい可溶化剤は、クレモフォールEL、ビタミンE、PEG、およびソルトールを含む。ペパーミントオイル、または天然甘味料、サッカリン、あるいは他の人工甘味料等の防腐剤および/または香味用添加物が添加されてもよい。
生体試料におけるクレアチン、クレアチニン、および同位体標識クレアチニンの検出は、当技術分野で公知の方法(例えばLC/MS/MS(例えばPCT/US2012/068068を参照)、直接的または間接的な比色測定法、Jaffe法、酵素分解分析方法、または蛍光検出によるHPLCのGC/MS分析が続くクレアチニンの誘導体化)に従って行われ得る。
生体試料は、尿、血液、血清、血漿、または組織を含むがそれらに限定されない、任意の適切な試料であってもよい。ある特定の実施形態において、生体試料は尿試料である。別の特定の実施形態において、生体試料は血液試料である。
本発明の方法は、全身の骨格筋量における変化に関連した医学的状態を診断および監視するために有用である。筋肉量の喪失が機能、パフォーマンスステータス、または生存において重要な役割を担っている医学的状態の例は、年配者における虚弱(frailty)およびサルコペニア;悪液質(例えば癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全、HIV感染症、結核、末期腎不全(ESRD)と関連している);HIV療法運動障害を含んでいる疾患(例えば関節炎、慢性肺疾患)に関連する筋消耗;神経筋疾患(例えば卒中、筋委縮性側索硬化症);外傷、手術(股関節置換術を含む)、医学的疾患または他の床上安静を必要とする状態の後のリハビリテーション;感染症または腫瘍症状等の異化疾患からの回復;代謝障害またはホルモン障害(例えば糖尿病、性腺機能低下状態、甲状腺疾患);薬物治療(例えばグルココルチコイド、甲状腺ホルモン)に対する反応;栄養失調または自主的な体重減少などを含むがそれらに限定されない。本願請求項の方法はまた、全身の骨格筋量のスポーツに関連した評価においても有用である。
本発明の方法はまた、全身の骨格筋量を増加させる治療用化合物を同定するための試験化合物をスクリーニングするために有用である。この実施形態に従い、被験体に試験化合物が投与される前後に、被験体の全身の骨格筋量が該方法に従って測定される。全身の骨格筋量の評価は、全身の骨格筋量における試験化合物の効果を監視するために、適切な間隔で繰り返され得る。
以下の実施例は、例示のみを意図しており、いかなる点においても本発明の範囲を制限するようには意図されていない。
[実験]
−クレアチニンの同位体の濃縮を生じさせる、トレーサ量のD−クレアチンを用いた、筋肉量を推定するための方法である臨床評価。
臨床研究のために、35人の健康な被験体を、筋肉量の範囲を提供するために多様なグループから採用(33人が完了)した:13人の若い男性(18〜30歳)、10人の閉経後の女性(50〜60歳)、7人の高齢の男性および5人の高齢女性(70〜85歳)。被験体を、丸5日間、入院患者ユニットに収容した。被験体は−1日目に、ベースライン評価および順化のために入院した。一晩の断食後、被験体に、1日目において30mg、60mg、または100mgのD−クレアチンを午前8時に単回経口投与し、血液および尿を採取するために5日間追跡した。
全ての被験体において、投与後の初めの12時間(0.25時間、0.5時間、1.0時間、1.5時間、2.0時間、2.5時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、および12時間)の間、連続的な血漿試料をD−クレアチンの測定のために回収した。高齢の被験体においては、試料採取は72時間(24時間、36時間、48時間、および72時間)まで延長した。尿は、時間指定された隔離において、ベースラインである−1日目において開始し、研究の5日目まで連続的に回収した。−1日目において、被験体は正午前にクリニックを訪れ、時間指定された尿回収を、午前12時を0時間目とすることによって午前12時に開始し(0〜4時間、4〜8時間、8〜12時間、12〜20時間)、1日目である翌日の午前8時に完了した。尿試料は、0時間目である午前8時に開始し、1日目〜5日目において回収した(0〜4時間、4〜8時間、8〜12時間、12〜16時間および16〜24時間)。
初めに、D−クレアチンのトレーサ量は、7人の若い男性および6人の閉経後の女性において100mgであった。後に、6人の若い男性において60mg、4人の閉経後の女性において30mg、および全ての高齢の男性および高齢の女性において30mgの量を投与した。採用した35人の被験体のうち、全員がD−クレアチンの単回経口投与を受け、そして33人の被験体が研究を完了した。2人の被験体は研究を完了しなかった。
1日目において、午前8時においてのD−クレアチンの単回経口投与に続き、午前10時に朝食を提供した。それ以降、食事は、午前8時に朝食、午後1時に昼食、および午後6時に夕食を提供した。食事のカロリー含有量は、朝食において25%、昼食において30%、および夕食において45%であり、45%の炭水化物、35%の脂肪、および25%のタンパク質(動物性および植物性)を含んでいた。
血漿D−クレアチン、および尿D−クレアチン、D3−クレアチニン並びに非標識のクレアチンおよびクレアチニンの測定を、原則的にPCT/US2012/068068において記載されているように、液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS/MS)によって行った。全身のクレアチンプールサイズおよび筋肉量を、尿中のD−クレアチニン濃縮から計算した。入院患者ユニットに被験体が滞在している間に、全身の筋肉量をMRI(連続断面図)によって測定し、全身の除脂肪体重(total lean body mass)(LBM)および四肢非脂肪量(appendicular lean mass)(ALM)をDXAによって測定した。院内の尿収集物からの24時間尿クレアチニン排出から、筋肉量もまた推定した。Heymsfield et al. (1983) Am J Clin Nutr 37(3):478-94 and Arteaga C, McManus C, Smith J, Moffitt S. Measurement of muscle mass in humans: validity of the 24-hour urinary creatinine method. Am J Clin Nutr 1983;37(3):478-94,およびWang et al. (1996) Am J Clin Nutr 63:863-9を参照。
薬物動態的方法
−クレアチンの血漿濃度−時間データの薬物動態分析を、非コンパートメント分析(Phoenix 6.3 WinNonlin 6.3 Pharsight, Certara Comany)を使用することによって行った。PKパラメータは、0時間目から24時間までの血漿濃度時間曲線下面積AUC(0−24)およびAUCの外挿(0−∞)、観察された血漿濃度の最大値(Cmax)、Tmax,およびT1/2(初期および末期)を含んだ。さらに、D−クレアチンの全身クリアランス(CLs)は、AUC(0−∞)によって除した量として計算し、D−クレアチンの腎クリアランス(CLr)は、血漿AUC(0−24)で除した投与後の初めの24時間において排出されたD−クレアチンの総量として計算した。
統計の方法
データを、SASv9.2(SAS Institute, Cary, NC)において分析し、グラフを、SASまたはTSCGどちらかにおいて作成した。結果を、他に記載がない限り平均±標準偏差(SD)として示した。多重度のための調節は存在しなかった。
尿中のD−クレアチンの蓄積量は、体のクレアチンプールに取り込まれなかった量の総量を示している。クレアチンプールサイズおよび筋肉量の計算における使用のために、尿中に排出されたD−クレアチンの蓄積量および投与後120時間にわたって排出された量の割合を計算した。
尿中における総クレアチニンに対する尿中におけるD−クレアチニンの濃縮を、それぞれの尿の回収間隔のために決定した。定常状態濃縮の達成は、目視検査および線形回帰の組み合わせによって決定した。D−クレアチン量の完全な分配およびその最大値に達するための濃縮率を可能にするために、投与後の尿回収の初めの24時間は、定常状態の評価から除外した。定時(尿回収間隔の中間点)における濃縮率の線形回帰を、別個の各被験体について行った。仮に、アルファ=0.10を用いて、傾きが0とは統計的に有意に異なる場合、最も初期の時点を取り下げ、回帰を再び行った。この工程を、傾きが0から統計的に有意に相違しなくなるまで繰り返した。最終回帰に含まれている最も初期の時点を、定常状態を達成するための時間として規定した。
定常状態の間の平均濃縮率を、クレアチンプールサイズおよび筋肉量の計算において用いた。
Figure 0006319855
ここで4.3g/kgは、全筋湿重量におけるクレアチン濃度を示している。例えば、Kreisberg et al. (1970) J Appl Physiol 28:264-7を参照。
筋肉量もまた、24時間尿クレアチニン排出から推定することが可能であった。各被験体について、尿回収の初めの3日間からの平均筋肉量を報告した。上記方程式において用いた代謝回転分率(fractional turnover rate)(K)の推測値は、0.014〜0.018の範囲であった。0.0169の値を、この研究において全ての被験体のために用いた。Kのこの推測値は、健康な若い男性についての適切な推測値のように見えるが、閉経後の女性および高齢の被験体について適切かどうかは不明である。
線形回帰およびピアソンの相間係数を、筋肉量の推定法と関係の強度との間の線形関係を調査するために用いた。グループのクラスタリングは相関係数を人為的に大きくし得るため、性別のために調整した部分相関係数を計算した。
MRIとクレアチン希釈方法との間の一致、およびMRIとDXA全非脂肪量との間の一致を評価するために、2つの方法の平均に対する2つの方法の間の差異のプロットを、一致を確認するための方法を用いて作成した。
−クレアチンの薬物動態
−クレアチンは経口トレーサ投与の24時間以内に急速に吸収され、血漿から消失し(〜80%)、72時間までに本質的に消失した。D−クレアチンの血液レベルを単回投与の15分後に計測した。その時のピーク血漿濃度は2.5〜3.0時間までにやってきた。30mg投与グループにおける全被験体のD−クレアチン濃度の時間プロファイルを図1に示す。投与後72時間までに血液を採取した場合は、定量下限値(5ng/mL)未満またはその付近にて、血漿濃度を72時間までの様々な時間で測定することができた。
閉経後の女性と若い男性における、低服用量と高服用量との間のCmaxとAUC(0−24)との比較は、用量比例性を指し示しており、その結果、トレーサ量効果は存在せず、30mg〜100mgが我々の方法における使用に適切な用量範囲であるという結論が導かれる。血漿濃度プロファイルの減少の第一相を表す平均の初期t1/2パラメータは、全てのグループにわたって、2.7〜3.4時間の範囲であった。これらの値は、従前に報告されているt1/2値(Persky、2003a)と同様である。平均の末期t1/2(クリアランスおよび再分配の第二相)は、12.5〜22時間の範囲であり、これは男性および女性の高齢のグループにおいてのみ測定された。120時間にわたって尿中に回収されたD−クレアチンのパーセンテージは、0.1〜34%の範囲であり、年齢と性別との両方に関係する腎クリアランスの広い範囲を反映していた。腎クリアランスは、用量の0.05%〜26%の範囲、すなわち0.26〜56mL/分の範囲で変動した。腎排出は若い男性において最も低く、5日間にわたって服用量の2%よりも多く排出した被験体は、13人中1人のみであった。対照的に、高齢の男性の半数(3/6)が、服用量の>5%を尿中に排出した。女性は、服用量の最も高いパーセンテージを尿中に排出した(中央値:閉経後の女性において16.1%、および高齢の女性において25.3%)。また、閉経後の女性の大多数(9人中7人)および高齢の女性のすべてが、>5%を排出した。全ての被験体において、尿中に排出されたD−クレアチンの大多数は、投与後の最初の24時間以内に発生した(図2)。
−クレアチンの尿排出を理解しようとする試みにおいて、5日後のD−クレアチンの累積排出と、尿中の非標識クレアチニンに対する尿中の非標識クレアチン(Cr/Crn)の比率との間の関係性が精査された。図3は、5日後に排出されたD−クレアチン量の累積比率の両対数グラフが、Cr/Crn比率と正の相関性を持つことを示している(相関(r)=0.924、P値(P)<0.0001)。図中のCr/Crn比率は、4日目(0〜4時間)からであり、定常状態のD−クレアチン濃縮と同じ時間枠の中にあるように選択される。Cr/Crnのための他の採取間隔が精査される場合も、この相関性は存在する。
尿の同位体濃縮
各グループの、時間経過による平均濃縮率は図4にプロットされている。同じ用量グループにおける性別間で濃縮を比較すると、濃縮は若い男性よりもPMWにおいて大きく、高齢の男性よりも高齢の女性において大きかった。男性の被験体におけるトレーサのより少ない濃縮(より大きい希釈度)は、我々の仮説と一致しており、男性におけるクレアチンプールサイズおよび筋量が女性よりも大きいこととも一致している。
全被験体にわたって、定常状態濃縮に達する時間は、30.7時間±11.33時間であった。定常状態は、被験体の大多数(67%)において投与後24〜28時間までに観察され、他の24%は32〜36時間までに定常状態に達した。女性のうち3人は、定常状態に達するのにかなり長い時間(56〜76時間)を要した。
方法の比較
クレアチンプールサイズの濃縮法の推定値および、全ての方法からの筋量または非脂肪量の推定値を表1にまとめる。クレアチンプールサイズの推定値は、高齢の女性における68.5±8.6gの最低値〜若い男性における162.2±27.5gの最高値の範囲であった。同様に、全ての方法からの筋量の推定値は、高齢の女性で最も低く、閉経後の女性および高齢の男性と続き、若い男性において推定値が最も高い。
Figure 0006319855
MRI全筋量と筋量のクレアチン希釈法の筋量の推定値との間には、強い関連(r=0.868、p<0.0001)があった(図5)。筋量のMRI推定値と筋量の希釈法の推定値との間の差を、二つの方法の平均に対してプロットした(図示せず)。二つの方法間の平均の差(バイアス)は小さく、クレアチン希釈法はMRIより1.37kgだけ過大推定していることを指し示している。おおよそ95%の被験体が、MRIによる筋肉量を有することが予測され得、MRIによる筋肉量は、クレアチン希釈法の筋肉量よりも4.88kg大きい値から7.62kg小さい値までである。全ての被験体はブランド−アルトマン解析のために統合されたが、ばらつきが女性においてよりも男性においてより大きく表れたことを記しておく価値はある(データは示さず)。MRI全筋量とDXA全非脂肪量との間(r=0.923、P<0.0001)およびMRI全筋量と四肢非脂肪量との間(r=0.957、P<0.0001)に強い線形関係も存在した(図6)。MRIによって決定される筋量と比較して、DXA全非脂肪量は、(21.7kg±7.02(平均±2SD)だけ)過大に推定し、DXA四肢非脂肪量は(4.9kg±4.61(平均±2SD)だけ)過小に推定していた。24時間尿クレアチニン法によって決定された筋量と、MRIによって決定された筋量とのあいだの相関関係は、0.597(P=0.0004)であった。DXA全非脂肪量と、クレアチン希釈法との間の相関関係は0.745(P<0.0001)であった(図7)。
尿D−クレアチニン濃縮の同位体の定常状態が示され、且つ30.7時間±11.2時間までに達成された。そして、実験の継続期間である120時間の間、定常状態を維持した。全身のクレアチンプールのターンオーバーは遅く、これは正確な尿試料採取の時間の柔軟性を、同位体定常状態到達後3〜5日の期間の間で可能にする。全ての被験体は、この定常状態期間のあいだ、濃縮の日周期性のパターンを示した。骨格筋以外に標識クレアチニンの出所はないため、日々の変動は、クレアチニンを含む食品の消費によるものである可能性がもっとも高い。食事のクレアチニンは尿中に排出され、筋肉内のクレアチン由来の標識クレアチニンの濃縮を希釈する。これらのデータは、吸収状態後に採取された尿試料の使用が、この変動性を低減させるかもしれないことを示唆している。
トレーサ量のD−クレアチニンの腎クリアランスを精査すると、用量の0.1%〜34%、すなわち0.26〜56mL/分の範囲で変動があった。全ての尿を、各被験体から、実験の全ての期間中採取した。このようにして我々は、尿中に失われたあらゆるD−クレアチンを説明することができ、そのことによりクレアチンプールサイズの正確な算出が可能になった。24時間にわたるクレアチン排出における被験体間での大きな変動が観察され、健康な被験体の異なるグループにわたって、経口的に送達された重水素標識クレアチンの損失が導かれた。
一人の例外を除き、この実験における若い男性は、最小の標識クレアチンの尿への排出を示した。しかし実験された他の被験体(閉経後の女性、高齢の男性および女性)において、72時間までに、より大量の尿中D−クレアチンが観察された。これらの被験体のおよそ75%が、トレーサ量の5%を超える尿中におけるD−クレアチントレーサの損失を示した。女性および高齢の被験体におけるトレーサ量の排出の増加は、腎クリアランスおよび全体クレアチンの循環血漿レベルの両方を反映している。これらの集団における差異についての明確な説明はない。本研究において、全観察期間の間の全ての尿の完全な採取をもって、トレーサ量の損失を決定し、且つクレアチンプールサイズの見積もりを補正するために使用した。
図3は、D−クレアチントレーサの損失とクレアチン/クレアチニンの比率との関係性を示している。この相関性の正の性質は、この比率を測定することは、尿中におけるD−クレアチントレーサの損失に対する補正を提供するということを指し示している。例えば、本研究においてD−クレアチンのわずかな損失を有した男性は、最も低いクレアチン/クレアチニン比率も示した。したがって、D−クレアチン量の尿排出を補正する手段として、4時間絶食後の尿の収集物におけるこの比率を用いることは、トレーサ量の回収を測定するための、延長した尿採取の必要性を排除することが目的である。
図1は、30mg投与グループにおける全被験体の血漿Dクレアチン濃度の時間プロファイルを示している(D,重水素化;mg,ミリグラム)。 図2は、5日間のあいだに尿中に排出されたDクレアチン量の平均累積%を示している。エラーバーはSEMを表す(D,重水素化;F,女性;M,男性;PM,閉経後;SEM,平均値の標準誤差)。 図3は、4日目の0〜4時間目における尿の非標識のCr/Crn比に対する5日間のあいだに尿中に排出されたDクレアチン量の累積割合を示している。両方のパラメータは自然対数化してある(Cr,クレアチン;Crn,クレアチニン;D3,重水素化;F,女性;ln,自然対数;M,男性;PM,閉経後)。 図4は、時間(尿収集のための試料採取間隔)に対する、平均の尿Dクレアチニン濃縮率を示している。エラーバーはSEMを表す(D3,重水素化;F,女性;M,男性;PM,閉経後;SEM;平均値の標準誤差)。 図5は、平均の定常状態のDクレアチニン濃縮を用いて算出されたDクレアチン希釈法からの筋量に対するMRIからの全筋量を示している(r=0.868,P<0.0001)(kg,キログラム;MRI,磁気共鳴映像法;PM,閉経後;r,性別を加味して調整されたピアソンの部分相関係数)。 図6は、DXA四肢非脂肪量に対するMRIからの全筋量(r=0.957,P<0.0001)およびDXA全非脂肪量に対するMRIからの全筋量(r=0.923,P<0.0001)を示している(kg,キログラム;DXA,二重X線吸収測定法;MRI,磁気共鳴映像法;PM,閉経後;r,性別を加味して調整されたピアソンの部分相関係数)。 図7は、平均の定常状態のDクレアチニン濃縮を用いて算出されたDクレアチン希釈法からの筋量に対するDXA全非脂肪量を示している(r=0.745,P<0.0001)(kg,キログラム;DXA,二重X線吸収測定法;PM,閉経後;r,性別を加味して調整されたピアソンの部分相関係数)。

Claims (10)

  1. 被験体における全身の骨格筋量を決定する方法であって、以下の工程を包含している方法:
    (a)上記被験体から第一の生体試料を取得し、当該第一の生体試料は尿試料である工程;
    (b)上記被験体からの上記第一の生体試料におけるクレアチニンに対するクレアチンの比率を決定する工程;
    (c)同位体標識クレアチンまたはその塩もしくは水和物を上記被験体に経口投与する工程;
    (d)上記同位体標識クレアチンが同位体の定常状態に達することを可能にする工程;
    (e)上記被験体から第二の生体試料を取得する工程;
    (f)上記第二の生体試料におけるクレアチニンおよび同位体標識クレアチニンの濃度を決定し、それによって当該第二の生体試料における同位体標識クレアチニンの濃縮率を決定する工程;
    (g)工程(b)において決定された上記クレアチン/クレアチニン比率を用いて、被験体の骨格筋に効果的に送達された同位体標識クレアチンの総量を決定する工程;および
    (h)以下の式によって上記被験体の全身の骨格筋量を算出する工程:
    全身の骨格筋量=(工程(g)に従って決定された、上記被験体の骨格筋に効果的に送達された同位体標識クレアチンの総量)/[(工程(f)に従って決定された、上記第二の生体試料における上記同位体標識クレアチニンの濃縮率)×(骨格筋のクレアチン含有量(g/kg))]。
  2. 工程(a)に従って上記第一の生体試料を得る前に、上記被験体は、少なくとも4時間絶食する、請求項1に記載の方法。
  3. 上記第二の生体試料は尿試料である、請求項1に記載の方法。
  4. 上記第二の生体試料は血液試料である、請求項1に記載の方法。
  5. 10〜50mgの同位体標識クレアチンが上記被験体に投与される、請求項1に記載の方法。
  6. 20〜40mgの同位体標識クレアチンが上記被験体に投与される、請求項1に記載の方法。
  7. 上記同位体標識クレアチンの投与の後に少なくとも30時間が経過した後に、上記第二の生体試料を得る、請求項1に記載の方法。
  8. 骨格筋の上記クレアチン含有量は4.3g/kgであると推定される、請求項1に記載の方法。
  9. 上記同位体標識クレアチンはD3−クレアチンであり、且つ上記同位体標識クレアチニンはD−クレアチニンである、請求項1に記載の方法。
  10. 被験体における全身の骨格筋量を決定する方法であって、以下の工程を包含している方法:
    (a)同位体標識クレアチンまたはその塩もしくは水和物を上記被験体に経口投与する工程;
    (b)上記同位体標識クレアチンが同位体の定常状態に達することを可能にする工程;
    (c)上記被験体から生体試料を取得する工程;
    (d)上記被験体からの上記生体試料におけるクレアチニンに対するクレアチンの比率を決定する工程;
    (e)上記生体試料におけるクレアチニンおよび同位体標識クレアチニンの濃度を決定し、それによって当該生体試料における同位体標識クレアチニンの濃縮率を決定する工程;
    (f)工程(d)において決定された上記クレアチン/クレアチニン比率を用いて、上記被験体の骨格筋に効果的に送達された上記同位体標識クレアチンの総量を決定する工程;および
    (g)以下の式によって上記被験体の全身の骨格筋量を算出する工程:
    全身の骨格筋量=(工程(f)に従って決定された、上記被験体の骨格筋に効果的に送達された同位体標識クレアチンの総量)/[(工程(e)に従って決定された、上記生体試料における上記同位体標識クレアチニンの濃縮率)×(骨格筋のクレアチン含有量(g/kg))]。
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