以下、図面を用いて本発明を実施するための実施形態を説明する。
(実施形態)
実施形態の画像処理装置は、動画像を撮像する機能を備えた様々な機器に搭載することができる。動画像を撮像する機能を備えた機器としては、例えばビデオカメラやスチルカメラなどの撮像装置、撮像機能を備えた携帯電話、携帯情報端末などが挙げられる。
以下の説明では、画像処理装置がビデオカメラなどの撮像装置に搭載された場合を一例として説明する。
まず、実施形態の画像処理装置を説明する前に、画像処理装置が搭載された撮像装置の全体の概略構成を説明する。
図1は撮像装置1の構成を示すブロック図である。図1において、撮像装置1は、被写体を撮像して、被写体のアナログ画像信号を得る撮像部100を備えている。
撮像部100は、ズームレンズ1001、フォーカスレンズ1002、絞り1003、及びイメージセンサなどで構成される撮像素子1004を備えている。
ズームレンズ1001は図示しないズームアクチュエータによって光軸に沿って移動する。同様に、フォーカスレンズ1002は、図示しないフォーカスアクチュエータによって光軸に沿って移動する。絞り1003は、図示しない絞りアクチュエータに駆動されて動作する。
撮像部100を用いた撮像は以下の手順で行われる。撮像素子1004はズームレンズ1001、フォーカスレンズ1002、及び絞り1003を通過した光を光電変換して、被写体のアナログ画像信号を生成する。生成されたアナログ画像信号は、アナログ画像信号処理部101に与えられる。
アナログ画像信号処理部101は、撮像部100から与えられたアナログ画像信号を例えば相関二重サンプリングなどのサンプリング処理を行うことにより増幅する。増幅する際のゲインは、後述する撮像制御部113によって調整制御される。アナログ画像信号処理部101は、増幅したアナログ画像信号をA/D変換部102に出力する。
A/D変換部102は、増幅されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。A/D変換部102は、変換によって得られたデジタル画像信号を画像入力コントローラ103に出力する。
画像入力コントローラ103は、A/D変換部102から与えられたデジタル画像信号を取り込んで、取り込んだデジタル画像信号をバス104を介してバス104に接続されたRAM105に記憶する。
バス104には、デジタル信号処理部106及びROM107が接続されている。
デジタル信号処理部106は、バス104を介してRAM105に格納されたデジタル画像信号を読み込み、所定の信号処理を施して輝度信号と色差信号とからなるデータを生成する。
デジタル信号処理部106は、撮像素子1004から出力される撮像時の感度情報、例えばAGCゲインまたはISO感度に基づき、デジタル画像信号の各種デジタル補正処理を行う。各種デジタル補正処理は、例えばオフセット処理、ガンマ補正処理、ゲイン処理、RGB補間処理、ノイズ低減処理、輪郭補正処理、色調補正処理、光源種別判定処理等である。
AGCは、Automatic Gain Control:自動利得制御の略称であり、ISOは、International Organization for Standardization:国際標準化機構の略称である。
ROM107は、ユーザの設定情報等、撮像装置1の動作に関する各種設定情報を格納する。ROM107は、後述する撮像制御部113で実行される制御プログラムを格納する。
バス104には、入出力I/F(インターフェイス)108を介して液晶モニタ109、スピーカ110、操作部111及び入出力端子112が接続されている。
液晶モニタ109は、例えばRAM105に一時記録された画像信号や各種メニュー画像等、各種画像を表示する。スピーカ110は、例えばRAM105に一時記録された音声を出力する。操作部111は、図示しないリレーズ・スイッチや電源スイッチを含む操作キー、十字キー、ジョイスティック、又は液晶モニタ109上に重畳されたタッチパネル等から構成されている。操作部111は、ユーザの撮像装置1への操作入力を受け付ける。
入出力端子112は、図示しないテレビモニタやPC(Personal Computer)等に接続される。
撮像制御部113は、バス104を介してROM107に記憶された撮像装置1の全体の動作を制御する制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムに基づいて撮像装置1の全体の動作を統括制御する。撮像制御部113は、CPUを有するマイクロコンピュータによって構成することができる。
撮像制御部113は、アナログ画像信号処理部101がアナログ画像信号を増幅する際の増幅ゲインを制御する。撮像制御部113は、絞り1003や入射光を光電変換する時間だけでは調整しきれない撮像素子1004に入射する光量の変化を補償するように、増幅ゲインを制御する。すなわち、撮像制御部113は、撮像素子1004に入射する光量が少なくなるほど増幅ゲインを大きくする。
撮像装置1は、実施形態の画像処理装置10を備えている。
画像処理装置10は、バス104に接続され、バス104を介して以下に説明する画像処理装置10で行われる各種処理に必要な信号を入出力する。画像処理装置10は、黒レベル基準信号補正部20、平均値算出部30、第1抑制部40、第2抑制部50及び黒レベル補正部60を備えている。
なお、以下の説明において、画像処理装置10で処理される各種信号は、画像処理装置10の上記構成要件により補正、演算、比較、平均値算出などの各種処理が行われる。この各種処理では、特に断らない限り各種信号の信号レベルが補正、比較、演算されたり、信号レベルの平均値が算出される。例えば、2つの所定の信号が比較されると記載されている場合には、所定の信号の信号レベルが比較されることを意味する。
黒レベル基準信号補正部20は、撮像素子1004に設けられたOB領域の各画素を構成する各光電変換素子から出力され、画像入力コントローラ103からバス104を介して出力されるデジタル画像信号を黒レベル基準信号として入力する。黒レベル基準信号補正部20は、入力した黒レベル基準信号から信号レベルが異常な黒レベル基準信号を補正する。ここで、信号レベルが異常であるとは、光電変換素子に欠陥などの不具合が発生し、周囲の正常な光電変換素子で得られた黒レベル基準信号の信号レベルとの差が極端に大きい場合をいうものとする。
図2は撮像素子1004の模式図である。
図2において、撮像素子1004は、各画素を構成する光電変換素子(図示せず)が複数行列状に配列された画素領域1005を備えている。画素領域1005は、画像の画素信号を出力する有効画素領域1006と、黒レベル基準信号を出力するOB領域(光学的黒領域)1007とで構成されている。
OB領域1007は、図2に示す一例では、画素領域1005の内、左端部の画素領域1005と下端部の画素領域1005とが割り当てられている。OB領域1007の配置位置や大きさは、図2に示す一例に限ることはなく、画素領域のいずれの箇所に設けることができ、例えば画素領域の四隅に設けることができる。
OB領域1007に配列された光電変換素子は、遮光膜が形成され、遮光膜により入射光が遮断されている。OB領域1007に配列された各光電変換素子は、遮光状態における出力信号として黒レベル基準信号を出力する。
黒レベル基準信号補正部20は、図3に示すように、記憶部21、記憶制御部22、配列部23及び選択部24を備えている。
記憶部21は、記憶制御部22の制御の下に、OB領域1007の光電変換素子で得られた黒レベル基準信号を記憶する。記憶部21は、記憶制御部22の制御の下に、記憶された黒レベル基準信号を配列部23に読み出す。
記憶制御部22は、OB領域1007の光電変換素子で得られた黒レベル基準信号を入力する。記憶制御部22は、入力した黒レベル基準信号を記憶部21に記憶する動作、及び配列部23に読み出す動作を制御する。
配列部23は、記憶部21から読み出された黒レベル基準信号が入力される。配列部23は、補正しようとする黒レベル基準信号を出力する光電変換素子と、この光電変換素子の周囲の複数の光電変換素子の黒レベル基準信号の大きさを比較し、大きい順に黒レベル基準信号を配列する。ここでは配列部23は、大きい順に黒レベル基準信号を配列するとしたが、小さい順に黒レベル基準信号を配列しても良い。選択部24は、配列した黒レベル基準信号を選択部24に出力する。
選択部24は、配列部23から出力された黒レベル基準信号を入力し、配列された黒レベル基準信号の配列順序における中央の黒レベル基準信号を選択する。ここで、配列された黒レベル基準信号の配列順序における中央とは、配列された黒レベル基準信号が奇数個の例えば9個であれば、大きい方から5番目の黒レベル基準信号を指す。一方、配列された黒レベル基準信号が偶数個の例えば6個であれば、配列された黒レベル基準信号の中央とは、信号レベルが大きい方から3番目もしくは4番目の黒レベル基準信号を指す。
選択部24は、補正前の黒レベル基準信号に代えて、選択した黒レベル基準信号を補正後の補正黒レベル基準信号として平均値算出部30に出力する。
黒レベル基準信号補正部20の補正動作は、以下に示すようにして行われる。
ここで、OB領域1007の光電変換素子1008は、例えば図4(a)に示すように、3行12列に配列され、OB領域1007は、36個のそれぞれ独立した光電変換素子1008を備えているものとする。
図4(a)において、OB領域1007の各光電変換素子1008で得られた黒レベル基準信号は、信号レベルの大きさが例えば12ビットの数値で表されている。ここで、図4(a)に示すように、例えば画素Xと画素Yとの光電変換素子1008は、欠陥が生じているものとする。
画素Xの黒レベル基準信号は、信号レベルの値が「010」となり、周囲の画素の黒レベル基準信号の信号レベル「07F」、「080」、「081」に比べて極端に小さな値となり、異常な信号レベルを示している。同様に、画素Yの黒レベル基準信号は、信号レベルの値が「F00」となり、周囲の画素の黒レベル基準信号の信号レベル「07F」、「080」、「081」に比べて極端に大きな値となり、異常な信号レベルを示している。
ここでは、特に黒レベル基準信号の信号レベルが異常な画素Xと画素Yに着目して、画素Xと画素Yとの黒レベル基準信号が補正される動作を説明する。
まず、OB領域1007のすべての光電変換素子1008で得られた黒レベル基準信号が記憶部21に読み込まれる。
画素Xの黒レベル基準信号が補正される際には、画素Xの黒レベル基準信号とその周囲の8個の画素の黒レベル基準信号とが記憶部21から配列部23に与えられる。すなわち、図4(a)の破線X1で囲まれた9個の画素の黒レベル基準信号が配列部23に与えられる。
配列部23に与えられた9個の黒レベル基準信号は、信号レベルが大きい順に配列される。すなわち、9個の黒レベル基準信号は、信号レベルが大きい順に「081、081、080、080、080、07F、07F、07F、010」というように配列される。
このように配列された9個の黒レベル基準信号は、中央となる黒レベル基準信号が選択部24により選択される。すなわち、信号レベルが大きい方から5番目の信号レベル「080」の黒レベル基準信号が選択される。選択された信号レベル「080」の黒レベル基準信号は、図4(b)に示すように、異常な信号レベル「010」の黒レベル基準信号に置き換えられ、画素Xの補正黒レベル基準信号として出力される。
画素Yの黒レベル基準信号が補正される際には、画素Yの黒レベル基準信号とその周囲の8個の画素の黒レベル基準信号とが記憶部21から配列部23に与えられる。すなわち、図4(a)の破線Y1で囲まれた9個の画素の黒レベル基準信号が配列部23に与えられる。
配列部23に与えられた9個の黒レベル基準信号は、信号レベルが大きい順に配列される。すなわち、9個の黒レベル基準信号は、信号レベルが大きい順に「F00、081、081、080、080、07F、07F、07F、07F」というように配列される。
このように配列された9個の黒レベル基準信号は、中央となる黒レベル基準信号が選択部24により選択される。すなわち、信号レベルが大きい方から5番目の信号レベル「080」の黒レベル基準信号が選択される。選択された信号レベル「080」の黒レベル基準信号は、図4(b)に示すように、異常な信号レベル「F00」の黒レベル基準信号と置き換えられ、画素Yの補正黒レベル基準信号として出力される。
なお、OB領域1007の四隅を除く左右上下端の画素の黒レベル基準信号を補正する際には、配列部23は、補正する画素とその周囲の5個の画素の計6個の画素の黒レベル基準信号の信号レベルを大きい順に配列する。選択部24は、配列された6個の画素の黒レベル基準信号の中央の信号として大きい方から3番目もしくは4番目の黒レベル基準信号を選択する。
OB領域1007の四隅の画素の黒レベル基準信号を補正する際には、配列部23は、補正する画素とその周囲の3個の画素の計4個の画素の黒レベル基準信号の信号レベルを大きい順に配列する。選択部24は、配列された4個の画素の黒レベル基準信号の中央の信号として大きい方から2番目もしくは3番目の黒レベル基準信号を選択する。
黒レベル基準信号補正部20は、上述したように、OB領域1007のすべての画素に対して補正動作を行う。このとき、周囲の黒レベル基準信号との差が極僅かな正常な信号レベルの黒レベル基準信号は、周囲との信号レベルとの差が極僅かであるので、補正動作が行われても、概ね補正前の信号レベルと変わることはない。
平均値算出部30は、図5に示すように、第1平均値算出部31と第2平均値算出部32とを備えている。
第1平均値算出部31は、黒レベル基準信号補正部20から出力されるOB領域1007のすべての画素の補正黒レベル基準信号を入力し、入力した補正黒レベル基準信号の平均値を算出する。第1平均値算出部31は、入力したOB領域1007のすべての画素の補正黒レベル基準信号を加算し、加算した総和を加算した信号数で除算して平均値を算出する。第1平均値算出部31は、撮像装置1で撮像された動画像のフレーム毎に平均値を算出する。第1平均値算出部31は、算出した平均値を第1平均黒レベル基準信号として第1抑制部40に出力する。
第2平均値算出部32は、後述する第1抑制部40から出力された第1抑制黒レベル基準信号を入力し、撮像装置1で撮像された画像の複数フレーム例えば16フレームに渡る第1抑制黒レベル基準信号の平均値を算出する。
第2平均値算出部32は、図6に示すように、バッファ部321と算出部322を備えている。
バッファ部321は、現フレームの第1抑制黒レベル基準信号を入力する。バッファ部321は、平均値を算出しようするとする現フレームの直前の15フレーム分の第1抑制黒レベル基準信号を保持する。バッファ部321は、平均値を算出する毎に、15フレーム前に入力されて保持された最も古い第1抑制黒レベル基準信号に代えて、現フレームの第1抑制黒レベル基準信号を保持する。バッファ部321は、保持した15フレーム分の第1抑制黒レベル基準信号を算出部322に出力する。
算出部322は、現フレームの第1抑制黒レベル基準信号と、バッファ部321に保持された現フレームの直前の15フレーム分の第1抑制黒レベル基準信号との平均値を算出する。算出部322は、現フレームと15フレーム分の第1抑制黒レベル基準信号を加算し、加算した総和を信号数の16で除算して平均値を算出する。算出部322は、算出した平均値を第2平均黒レベル基準信号として第1抑制部40に出力する。
第1抑制部40は、図7に示すように、加算部41(第1加算部)、減算部42(第1減算部)、しきい値保持部43、44、算出部45を備えている。
加算部41は、第2平均値算出部32から出力された第2平均黒レベル基準信号を入力し、入力した第2平均黒レベル基準信号としきい値th1(第1しきい値)とを加算する。加算部41は、加算結果を算出部45に出力する。
減算部42は、第2平均値算出部32から出力された第2平均黒レベル基準信号を入力し、入力した第2平均黒レベル基準信号からしきい値th2(第2しきい値)を減算する。減算部42は、減算結果を算出部45に出力する。
しきい値保持部43は、予め設定されたしきい値th1を保持し、保持したしきい値th1を加算部41に与える。
しきい値保持部44は、予め設定されたしきい値th2を保持し、保持したしきい値th2を減算部42に与える。
算出部45は、第1平均値算出部31から出力された第1平均黒レベル基準信号、加算部41の加算結果及び減算部42の減算結果を入力し、第1抑制黒レベル基準信号を算出する。
算出部45は、第1平均黒レベル基準信号と加算結果及び減算結果とを比較し、比較結果に基づいて第1抑制黒レベル基準信号を算出する。
算出部45は、比較結果において、第1平均黒レベル基準信号が加算結果よりも大きい場合には、加算結果を信号レベルとする第1抑制黒レベル基準信号を算出する。算出部45は、比較結果において、第1平均黒レベル基準信号が加算結果よりも小さいかもしくは同じ場合には、第1平均黒レベル基準信号を第1抑制黒レベル基準信号として算出する。
算出部45は、比較結果において、第1平均黒レベル基準信号が減算結果よりも小さい場合には、減算結果を信号レベルとする第1抑制黒レベル基準信号を算出する。算出部45は、比較結果において、第1平均黒レベル基準信号が減算結果よりも大きいかもしくは同じ場合には、第1平均黒レベル基準信号を第1抑制黒レベル基準信号として算出する。
第1平均黒レベル基準信号が、第1抑制範囲外にある場合には、第1平均黒レベル基準信号は、実証的な観点から何らかの雑音の影響により信号レベルが変動しているものと推測される。ここで、第1抑制範囲とは、加算部41の加算結果以下かつ減算部42の減算結果以上の範囲である。
そこで、第1抑制部40は、第1平均黒レベル基準信号が、第1抑制範囲外にある場合には、上述した演算処理を実行することにより、第1平均黒レベル基準信号を第1抑制範囲内に抑制する。これにより、第1抑制部40は、雑音の影響による第1平均黒レベル基準信号の信号レベルの変動を抑制して第1抑制黒レベル基準信号を生成する。第1抑制部40は、算出した第1抑制黒レベル基準信号を平均値算出部30の第2平均値算出部32及び第2抑制部50に出力する。
第2抑制部50は、図8に示すように、加算部51a,51b、減算部52a,52b、しきい値保持部53、クリップ部54a,54b、バッファ部55、比較部56、選択部57を備えている。
加算部51aは、第1抑制部40から出力された第1抑制黒レベル基準信号を入力し、入力した第1抑制黒レベル基準信号としきい値th3(第3しきい値)とを加算する。加算部51aは、加算結果をクリップ部54aに出力する。
加算部51b(第2加算部)は、後述するバッファ部55に保持された第1抑制黒レベル基準信号または第2抑制黒レベル基準信号としきい値th3とを加算する。加算部51bは、加算結果を比較部56に出力する。
減算部52a(第2減算部)は、第1抑制部40から出力された第1抑制黒レベル基準信号を入力し、入力した第1抑制黒レベル基準信号からしきい値th3を減算する。減算部52aは、減算結果をクリップ部54aに出力する。
減算部52bは、バッファ部55に保持された第1抑制黒レベル基準信号または第2抑制黒レベル基準信号からしきい値th3を減算する。減算部52bは、減算結果を比較部56に出力する。
しきい値保持部53は、予め設定されたしきい値th3を保持し、保持したしきい値th3を加算部51a、51b、及び減算部52a,52bに与える。
クリップ部54aは、加算部51aから出力された加算結果を入力し、入力した加算結果の上限を予め任意に設定された上限値に制限する。クリップ部54aは、上限が制限された加算結果を選択部57に出力する。なお、加算部51aの加算結果は、クリップ部54aを介さずに上限を制限されることなく直接選択部57に与えられるようにしてもよい。
クリップ部54bは、減算部52aから出力された減算結果を入力し、入力した減算結果の下限を予め任意に設定された下限値に制限する。クリップ部54bは、下限が制限された減算結果を選択部57に出力する。なお、減算部52aの減算結果は、クリップ部54bを介さずに下限が制限されることなく直接選択部57に与えられるようにしてもよい。
バッファ部55は、動作開始時に撮像装置1で撮像された画像の最初の1フレームでは、後述する選択部57から出力される第1抑制黒レベル基準信号を入力し、入力した第1抑制黒レベル基準信号を1フレームの期間保持する。
バッファ部55は、動作開始時に撮像装置1で撮像された画像の最初の1フレーム以降のフレームでは、選択部57から出力される第2抑制黒レベル基準信号を入力し、入力した第2抑制黒レベル基準信号を1フレームの期間保持する。バッファ部55は、第2抑制部50で第2抑制黒レベル基準信号が1フレーム毎に生成されると、それまで保持していた第1抑制黒レベル基準信号もしくは第2抑制黒レベル基準信号を新たに生成された第2抑制黒レベル基準信号に置き換える。これにより、バッファ部55は、それまで保持していた信号を新たに生成された信号に更新する。
バッファ部55は、保持した第1抑制黒レベル基準信号または第2抑制黒レベル基準信号を加算部51b及び減算部52bに出力する。
比較部56は、第1抑制部40から出力される第1抑制黒レベル基準信号と、加算部51bから出力される加算結果と、減算部52bから出力される減算結果とを入力する。
比較部56は、動作開始時に撮像装置1で撮像された画像の最初の1フレームでは、入力した第1抑制黒レベル基準信号、加算結果及び減算結果によらず、第1選択信号を選択部57に出力する。
比較部56は、動作開始時に撮像装置1で撮像された画像の最初の1フレーム以降のフレームでは、入力した第1抑制黒レベル基準信号、加算結果及び減算結果の比較結果にしたがって、選択信号を選択部57に出力する。
比較部56は、第1抑制黒レベル基準信号と加算結果とを比較し、第1抑制黒レベル基準信号が加算結果よりも大きい場合には、第2選択信号を選択部57に出力する。比較部56は、第1抑制黒レベル基準信号が加算結果よりも大きくない場合には、第3選択信号を選択部57に出力する。
比較部56は、第1抑制黒レベル基準信号と減算結果とを比較し、第1抑制黒レベル基準信号が減算結果よりも小さい場合には、第4選択信号を選択部57に出力する。比較部56は、第1抑制黒レベル基準信号が減算結果よりも小さくない場合には、第3選択信号を選択部57に出力する。
選択部57は、第1抑制部40から出力された第1抑制黒レベル基準信号、クリップ部54aから出力された加算結果、クリップ部54bから出力された減算結果、比較部56から出力された第1選択信号〜第4選択信号を入力する。選択部57は、第1選択信号〜第4選択信号に基づいて、第1抑制黒レベル基準信号、加算結果、減算結果のいずれか1つを選択する。
選択部57は、第1選択信号が比較部56から与えられると、第1抑制黒レベル基準信号を選択する。選択部57は、選択した第1抑制黒レベル基準信号をバッファ部55に出力し、かつ第2抑制黒レベル基準信号として黒レベル補正部60に出力する。
選択部57は、第2選択信号が比較部56から与えられると、減算結果を選択する。選択部57は、減算結果を選択すると、選択した減算結果を信号レベルとする第2抑制黒レベル基準信号を黒レベル補正部60に出力する。
選択部57は、第3選択信号が比較部56から与えられると、第1抑制黒レベル基準信号を選択する。選択部57は、第1抑制黒レベル基準信号を選択すると、選択した第1抑制黒レベル基準信号を第2抑制黒レベル基準信号として黒レベル補正部60に出力する。
選択部57は、第4選択信号が比較部56から与えられると、加算結果を選択する。選択部57は、加算結果を選択すると、選択した加算結果を信号レベルとする第2抑制黒レベル基準信号を黒レベル補正部60に出力する。
第2抑制黒レベル基準信号は、前フレームに生成された第1抑制黒レベル基準信号が第2抑制範囲内にある場合には、前フレームに生成された第1抑制黒レベル基準信号となる。ここで、第2抑制範囲とは、加算部51bの加算結果以下かつ減算部52の減算結果以上の範囲である。これにより、しきい値th3以下の微少変動が第1抑制黒レベル基準信号にある場合でも、この微少変動は第2抑制黒レベル基準信号の生成に影響を与えることはない。
一方、第1抑制黒レベル基準信号が、第2抑制範囲外にある場合には、第1抑制黒レベル基準信号は、実証的な観点から温度変化などに起因する雑音の影響により信号レベルが微少変動しているものと推測される。
そこで、第2抑制部50は、第1抑制黒レベル基準信号が第2抑制範囲外にある場合には、上述した演算処理を実行することにより、第1抑制黒レベル基準信号を第2抑制範囲内に抑制する。第2抑制部50は、第2抑制範囲内に抑制した第1抑制黒レベル基準信号を第2抑制黒レベル基準信号として生成する。
これにより、第2抑制部50は、雑音の影響による第1抑制黒レベル基準信号の信号レベルの微少変動を抑制して、第2抑制黒レベル基準信号を生成する。第2抑制部50は、フレーム毎に生成した第2抑制黒レベル基準信号を、撮像装置1で撮像された画像の黒レベルを補正するための黒レベル基準信号として黒レベル補正部60に出力する。
黒レベル補正部60は、図2に示す撮像素子1004の有効画素領域1006の各画素で得られたデジタル画像信号と、第2抑制部50から出力された黒レベル基準信号とを入力する。黒レベル補正部60は、入力したデジタル画像信号から黒レベル基準信号を減算する。この演算により、黒レベル補正部60は、有効画素領域1006の各画素で得られたデジタル画像信号の黒レベルを補正する。黒レベル補正部60は、バス104を介して黒レベルを補正したデジタル画像信号をデジタル信号処理部106に出力する。
上記構成において、画像処理装置10は、デジタル画像信号の黒レベルを以下に示すようにして補正する。
撮像素子1004に設けられたOB領域1007の各画素に対応した各光電変換素子で得られたアナログ画像信号は、デジタル画像信号に変換された後、黒レベル基準信号としてバス104を介して黒レベル基準信号補正部20に入力される。
黒レベル基準信号補正部20に入力された黒レベル基準信号は、異常な黒レベル基準信号が黒レベル基準信号補正部20により補正される。補正された黒レベル基準信号は、補正黒レベル基準信号として平均値算出部30の第1平均値算出部31に入力される。
第1平均値算出部31に入力されたOB領域1007のすべての画素の補正黒レベル基準信号は、撮像装置1で撮像された画像のフレーム毎に第1平均値算出部31により平均値が算出される。算出された平均値は、第1平均黒レベル基準信号として第1抑制部40に入力される。
第1抑制部40に入力された第1平均黒レベル基準信号は、加算部41の加算結果及び減算部42の減算結果と比較され、比較結果に基づいて、第1抑制黒レベル基準信号が算出される。
第1平均黒レベル基準信号が加算結果よりも大きい場合には、加算結果を信号レベルとする第1抑制黒レベル基準信号が算出される。第1平均黒レベル基準信号が減算結果よりも小さい場合には、減算結果を信号レベルとする第1抑制黒レベル基準信号が算出される。
第1平均黒レベル基準信号が加算結果よりも小さいかもしくは同じ場合には、第1平均黒レベル基準信号が第1抑制黒レベル基準信号として算出される。第1平均黒レベル基準信号が減算結果よりも大きいかもしくは同じ場合には、第1平均黒レベル基準信号が第1抑制黒レベル基準信号として算出される。
算出された第1抑制黒レベル基準信号は、平均値算出部30の第2平均値算出部32及び第2抑制部50に入力される。
第2平均値算出部32に入力された第1抑制黒レベル基準信号は、撮像装置1で撮像された画像の16フレーム分の平均値が算出される。算出された平均値は、第2平均黒レベル基準信号として第1抑制部40に入力される。
第1抑制部40に入力された第2平均黒レベル基準信号は、加算部41でしきい値保持部43に保持されたしきい値th1と加算される。加算結果は、算出部45に入力される。また、第1抑制部40に入力された第2平均黒レベル基準信号は、減算部42でしきい値保持部43に保持されたしきい値th2が減算される。減算結果は、算出部45に入力される。
第2抑制部50に入力された第1抑制黒レベル基準信号は、比較部56で加算部51bの加算結果及び減算部52bの減算結果と比較される。
バッファ部55に保持された第2抑制黒レベル基準信号としきい値保持部53に保持されたしきい値th3とは、加算部51bで加算される。加算結果は、比較部56に入力される。バッファ部55に保持された第2抑制黒レベル基準信号は、しきい値保持部53に保持されたしきい値th3が減算部52bで減算される。減算結果は、比較部56に入力される。
動作開始時に撮像装置1で撮像された画像の最初のフレームでは、加算部51bの加算結果及び減算部52bの減算結果によらず、第1選択信号が選択部57に入力される。
動作開始時に撮像装置1で撮像された画像の最初のフレーム以降のフレームでは、第1抑制黒レベル基準信号、加算結果及び減算結果の比較結果にしたがって、第2〜第4の選択信号が選択部57に入力される。
すなわち、第1抑制黒レベル基準信号が加算結果よりも大きい場合には、第2選択信号が選択部57に入力される。第1抑制黒レベル基準信号が加算結果よりも大きくない場合、及び第1抑制黒レベル基準信号が減算結果よりも小さくない場合には、第3選択信号が選択部57に入力される。第1抑制黒レベル基準信号が減算結果よりも小さい場合には、第4選択信号が選択部57に入力される。
第1選択信号または第3選択信号が選択部57に入力されると、第1抑制黒レベル基準信号が選択される。第2選択信号が選択部57に入力されると、クリップ部54bで下限値が制限された減算部52aの減算結果が選択される。第4選択信号が選択部57に入力されると、クリップ部54aで上限値が制限された加算部51aの加算結果が選択される。
選択された第1抑制黒レベル基準信号、減算結果または加算結果は、第2抑制黒レベル基準信号としてバッファ部55及び黒レベル補正部60に入力される。
バッファ部55に入力された第1抑制黒レベル基準信号または第2抑制黒レベル基準信号は、1フレームの期間保持され、第2抑制黒レベル基準信号が新たに生成される毎に、新たに生成された第2抑制黒レベル基準信号に更新される。バッファ部55に保持された第1抑制黒レベル基準信号または第2抑制黒レベル基準信号は、加算部51b及び減算部52bに入力される。
黒レベル補正部60に入力された第2抑制黒レベル基準信号は、撮像素子1004の有効画素領域1006の各画素で得られたデジタル画像信号から減算される。この演算により、デジタル画像信号の黒レベルが補正される。
実施形態において、しきい値保持部43、44、53は、ユーザにより入力された任意の値をしきい値th1、th2、th3として保持することができる。これらのしきい値th1、th2、th3は、実験や机上検討等に基づいて設定することができる。すなわち、しきい値th1、th2、th3は、これらのしきい値を用いて実行される演算の処理内容に応じて予め適宜設定することができる。
一方、しきい値保持部53は、撮像制御部113の制御の下に、保持するしきい値th3を変更することができる。
前述したように、撮像制御部113は、撮像素子1004に入射する光量が少なくなるほどアナログ画像信号処理部101の増幅ゲインを大きくしている。増幅ゲインが大きくなるほど、撮像素子1004で行われる光電変換動作にともなうノイズは大きく増幅される。このため、第2抑制黒レベル基準信号は、ノイズが大きく増幅された信号に基づいて生成されるので、ノイズによる信号レベルの変動が大きくなってしまう。
そこで、撮像制御部113は、増幅ゲインが大きくなるほどしきい値保持部53に保持されるしきい値th3を大きくする。これにより、第1抑制黒レベル基準信号の信号レベルにしきい値th3以上の変動がある場合には、この変動分は第2抑制黒レベル基準信号の生成には影響を与えることはない。したがって、増幅ゲインが大きくなるほどしきい値th3を大きくすることは、光電変換動作にともなうノイズが第2抑制黒レベル基準信号の生成に与える影響を低減することができる。
以上説明したように、実施形態の画像処理装置10は、以下に示す技術的特徴を備えることにより以下に示す効果を得ることができる。
画像処理装置10は、黒レベル基準信号補正部20を備えている。黒レベル基準信号補正部20は、周囲の光電変換素子で得られた黒レベル基準信号の信号レベルに対して異常な信号レベルの黒レベル基準信号を、周囲の正常な黒レベル基準信号の信号レベルに補正する。
画像処理装置10は、第1平均値算出部31を備えている。第1平均値算出部31は、黒レベル基準信号補正部20で補正された黒レベル基準信号を含む、すべての黒レベル基準信号の信号レベルの平均値をフレーム毎に算出する。第1平均値算出部31は、算出した黒レベル基準信号の信号レベルの平均値を第1平均黒レベル基準信号として出力する。
画像処理装置10は、第2平均値算出部32を備えている。第2平均値算出部32は、所定のフレーム数分の第1抑制黒レベル基準信号の信号レベルの平均値を算出する。第2平均値算出部32は、算出した平均値を第2平均黒レベル基準信号として出力する。
画像処理装置10は、第1抑制部40を備えている。第1抑制部40は、第2平均黒レベル基準信号の信号レベル及び予め設定されたしきい値th1、th2に基づいて決定される第1抑制範囲内に、第1平均黒レベル基準信号の信号レベルを抑制する。第1抑制部40は、信号レベルを抑制した第1平均黒レベル基準信号を第1抑制黒レベル基準信号として出力する。
画像処理装置10は、第2抑制部50を備えている。第2抑制部50は、第1抑制黒レベル基準信号の信号レベルまたは第2抑制黒レベル基準信号の信号レベルと予め設定されたしきい値とに基づいて決定される第2抑制範囲内に、第1抑制黒レベル基準信号の信号レベルを抑制する。第2抑制部50は、信号レベルを抑制した第1抑制黒レベル基準信号を第2抑制黒レベル基準信号として出力する。
画像処理装置10は、黒レベル補正部60を備えている。黒レベル補正部60は、第2抑制黒レベル基準信号に基づいて、有効画素領域1006の光電変換素子で得られた画像信号の黒レベルを補正する。
上記技術的特徴を採用することにより、画像処理装置10は、黒レベル基準信号の異常な信号レベルを補正することができる。これにより、画像処理装置10は、光電変換素子の欠陥などの不具合による黒レベル基準信号の精度の低下を抑制することができる。また、画像処理装置10は、補正されたすべての黒レベル基準信号の平均値を算出することにより、黒レベル基準信号のばらつきを抑えることができる。この結果、画像処理装置10は、従来に比べて、黒レベル基準信号の精度を高めることができる。
画像処理装置10は、第1平均黒レベル基準信号の信号レベルを第1抑制範囲内に抑制して第1抑制黒レベル基準信号を算出する。これにより、画像処理装置10は、第1抑制黒レベル基準信号を算出する際に、画像信号の黒レベルを補正する動作に悪影響を及ぼし信号レベルの変動を招く雑音の影響を抑えることができる。この結果、第1抑制黒レベル基準信号の精度を高めることができる。
画像処理装置10は、第1抑制黒レベル基準信号の信号レベルを第2抑制範囲内に抑制して第2抑制黒レベル基準信号を算出する。これにより、画像処理装置10は、第2抑制黒レベル基準信号を算出する際に、画像信号の黒レベルを補正する動作に悪影響を及ぼし信号レベルの変動を招く温度変化の影響を抑えることができる。この結果、精度の良い第2抑制黒レベル基準信号を生成することができる。
画像処理装置10は、精度の良い第2抑制黒レベル基準信号に基づいて、画像信号の黒レベルを補正するので、画像の黒レベルを補正する精度を向上することができる。この結果、画像処理装置10は、黒レベルが良好な画像を提供することができる。
黒レベル基準信号補正部20は、配列部23と選択部24とを備えている。
配列部23は、OB領域1007に配置された補正しようとする1つの光電変換素子で得られた黒レベル基準信号と、この黒レベル基準信号を得た光電変換素子の周囲の光電変換素子で得られた複数の黒レベル基準信号とを信号レベルの大きい順に配列する。
選択部24は、配列部23で配列された複数の黒レベル基準信号の配列順序における中央の黒レベル基準信号を選択する。
黒レベル基準信号補正部20は、補正しようとする1つの光電変換素子で得られた黒レベル基準信号の信号レベルを、選択部24で選択された黒レベル基準信号の信号レベルに補正する。
上記技術的特徴を採用することにより、画像処理装置10は、簡易な構成により、光電変換素子の欠陥などの不具合による黒レベル基準信号の精度の低下を抑制することができる。
第1抑制部40は、第2平均黒レベル基準信号の信号レベルとしきい値th1とを加算する加算部41と、第2平均黒レベル基準信号の信号レベルからしきい値th2を減算する減算部42とを備えている。第1抑制範囲は、加算部41の加算結果以下かつ減算部42の減算結果以上である。
上記技術的特徴を採用することにより、画像処理装置10は、第2平均黒レベル基準信号としきい値th1、th2とを用いて第1抑制範囲を規定することができる。
第2抑制部50は、加算部51bと減算部52bとを備えている。
加算部51bは、第1抑制黒レベル基準信号の信号レベルまたは第2抑制黒レベル基準信号の信号レベルとしきい値th3とを加算する。減算部52bは、第1抑制黒レベル基準信号の信号レベルまたは第2抑制黒レベル基準信号の信号レベルからしきい値th3を減算する。第2抑制範囲は、加算部51bの加算結果以下かつ減算部52bの減算結果以上である。
上記技術的特徴を採用することにより、画像処理装置10は、第1抑制黒レベル基準信号または第2抑制黒レベル基準信号としきい値th3とを用いて第2抑制範囲を規定することができる。
しきい値th3は、有効画素領域1006に配置された光電変換素子で得られた画像信号を増幅する際の増幅ゲインが大きくなるほど大きくする。
上記技術的特徴を採用することにより、画像処理装置10は、第2抑制黒レベル基準信号を生成する際に、撮像素子1004で行われる光電変換動作にともなうノイズの影響を低減することができる。