以下、図面を参照して、実施形態について説明する。実施形態では、貯水施設はダムであるものとするが、ダムには限定されない。例えば、貯水施設は、ダムより小規模な堰堤であってもよい。また、ダムの規模は大型であってもよいし、小型であってもよい。
ダムの周辺には、ダムを監視する監視カメラが設置されている。監視カメラは、例えば、貯水施設を中心として、半径100メートル〜500メートル圏内に配置してもよい。ただし、周囲環境や監視カメラの機能によっては、監視カメラは貯水施設を中心として100メートル以内または500メートル圏外に設置されてもよい。
図1は、監視カメラ1の一例を示している。図1の監視カメラ1は、筐体2の一面にレンズ部3が設けられている。レンズ部3がレンズとレンズカバーとを含んでいる場合には、外側に位置する部位はレンズカバーになる。レンズ部3がレンズカバーを含んでいない場合には、外側に位置する部位はレンズになる。図1の一例では、レンズ部3は平面レンズを示しているが、レンズ部3は平面レンズには限定されない。例えば、レンズ部3は、球面レンズや非球面レンズ等であってもよい。
筐体2のレンズ部3の周囲には、レンズフード4が設けられている。レンズフード4の上部には送風装置5が設けられている。送風装置5は監視カメラ1の撮影視野の前面に送風を行う装置である。つまり、送風装置5は、監視カメラ1のレンズ部3の前面に送風を行う。筐体2にレンズフード4が設けられていない場合には、送風装置5は筐体2に取り付けられていてもよい。
送風装置5は送風を行う送風孔6を有している。図1では、スリット状の送風孔6を例示しているが、送風孔6はスリット状でなくてもよい。また、送風装置5は、レンズ部3の前面に送風を行うことができれば、送風孔6から送風を行うものでなくてもよい。
送風装置5が送風孔6から送風を行うことにより、レンズ部3の前面(つまり、監視カメラ1の撮影視野の前面)には空気流7が形成される。空気流7は、エアカーテンと称することもできる。図1の例では、送風装置5は、送風孔6から送風を行うことで、空気流7を垂直方向下方に向けて形成している。ただし、送風装置5は、送風孔6を制御することで、送風方向を変えることができ、これに伴い空気流7の方向も変化する。
空気流7は、ダムの放流時に発生する水飛沫からレンズ部3を保護する。ダムの放流時にレンズ部3に向けて水飛沫が飛散したとしても、水飛沫は空気流7により遮られる。この空気流7により、レンズ部3に水滴が付着することを抑制することができる。
送風装置5は送風量をコントロールすることができる。送風量は、送風強度としてもよい。送風量が多くなるほど、強力な空気流7がレンズ部3の前面に形成される。ただし、送風量が多くなるほど、送風装置5が消費する電力も多くなる。一方、送風装置5から送風される送風量が少なくなるほど、レンズの3の前面に形成される空気流7は強力ではなくなる。ただし、送風装置5が消費する電力は少なくなる。
次に、図2を参照して、監視カメラシステム10の一例について説明する。監視カメラシステム10は、送風装置5と風向風速計11とゲート開閉制御装置12とを備えている。風向風速計11は、監視カメラ1に対する風向および風速を測定する。風向風速計11は、測定装置の一例である。
ゲート開閉制御装置12は、ダムのゲートの開閉制御を行う。例えば、ゲート開閉制御装置12は、ダムの管理所の操作盤に接続することができる。ダムの管理者は、操作盤を用いてダムの開閉操作を行う。ゲート開閉制御装置12は、操作盤の操作に基づいて、ダムの各ゲートの開閉制御を行う。
ダムには1つのゲートが設けられている場合もあり、複数のゲートが設けられている場合もある。実施形態では、ダムには複数のゲートが設けられているものとする。ゲート開閉制御装置12は、各ゲートの開閉制御を行う。
また、ゲート開閉制御装置12は、各ゲートの開放率をコントロールする。ゲートの開放率が低い場合には、当該ゲートから放流される水の放流量は少ない。一方、ゲートの開放率が高い場合には、当該ゲートから放流される水量は多くなる。1つのゲートの開放率が低い場合でも、複数のゲートが開放されると、放流量は多くなる。ダムのゲートのうち、何れかのゲートが開放すると、放流が開始する。一方、全てのゲートが閉鎖すると、放流は停止する。
風向風速計11と送風装置5とは通信可能に接続されている。風向風速計11は計測する風向および風速のデータを送風装置5に送信する。以下、風向のデータを風向データ、風速のデータを風速データと称することもある。また、風向データと風速データとを総称して風向風速データと称することもある。
ゲート開閉制御装置12と送風装置5とは通信可能に接続されている。ゲート開閉制御装置12は、ダムの各ゲートに関するデータ(以下、ゲート状態データと称する)を送風装置5に送信する。例えば、ゲート状態データは、放流を開始したことを示す情報(以下、放流開始情報と称する)と、放流を終了したことを示す情報(以下、放流終了情報と称する)と、各ゲートの開放率の情報と、を含んでもよい。
図3は、送風装置5の一例を示す。送風装置5は、送風制御部20と風発生装置21Aと送風方向制御装置21Bとを備える。送風制御部20は風発生装置21Aおよび送風方向制御装置21Bを制御する。送風制御部20は、送風制御装置の一例である。
風発生装置21Aは、送風孔6から送風を行うための装置である。風発生装置21Aは、例えばファンやエアコンプレッサ等を用いることができる。実施形態では、風発生装置21Aはファンであるものとする。風発生装置21Aは、送風制御部20から指示された送風量に基づいて、ファンを回転して、送風を行う。
送風制御部20から指示された送風量が多い場合には、風発生装置21Aはファンを高速回転させる。これにより、送風装置5はレンズ部3の前面に対して強い送風を行う。一方、送風制御部20から指示された送風量が少ない場合には、風発生装置21Aはファンを低速回転させる。これにより、送風装置5がレンズ部3の前面に対して弱い送風を行う。
また、送風方向制御装置21Bは、送風方向を制御する。実施形態では、送風方向制御装置21Bは、送風孔6のスリットの角度をコントロールすることで、送風方向をコントロールする。送風方向のコントロールは送風孔6のスリットの角度コントロールには限定されない。例えば、送風孔6にルーバが設けられている場合には、送風方向制御装置21Bは、ルーバの角度をコントロールすることで、送風方向をコントロールする。
送風制御部20について説明する。一例として、送風制御部20は、通信部22とポイント表記憶部23とポイント処理部24と放流量判定部25と送風量決定部26と送風量指示部27と送風方向決定部28と送風方向指示部29とを備えている。
通信部22は、風向風速計11およびゲート開閉制御装置12と通信を行う。通信部22は、ゲート開閉制御装置12からゲート状態データを受信する。また、通信部22は、風向風速計11から風向風速データを受信する。
ポイント表記憶部23は、風向風速データに応じたポイントを表形式、つまりテーブル形式で記憶している。ポイント表記憶部23が記憶するポイントは、送風装置5が送風する送風量を決定するときに用いられる。ポイント表記憶部23は、予めポイント表を記憶している。
ポイント処理部24は、風向風速計11から受信した風向風速データとポイント表記憶部23が記憶しているポイント表とに基づいて、送風ポイントを演算する。ポイント処理部24は、演算した送風ポイントを送風量決定部26に出力する。
放流量判定部25は、ダムから放流される放流量のレベルを判定する。通信部22は、ゲート開閉制御装置12からゲート状態データを受信する。ゲート状態データは、ダムの各ゲートの開放率を含んでいる。放流量判定部25は、ゲート状態データに含まれる各ゲートの開放率に基づいて、放流量のレベルを判定する。
実施形態では、放流量のレベルは、大または小の2段階のレベルであるものとする。放流量判定部25は、予め放流量のレベルを判定するための閾値を記憶している。この閾値を放流量閾値と称する。実施形態では、放流量閾値は、最大放流量の50%とする。最大放流量は、ダムの全ゲートの開放率が100%のときの放流量とすることができる。
放流量のレベルは、2段階のレベルではなく、3段階以上のレベルに分けてもよい。例えば、放流量が大・中・小の3段階のレベルに分けてもよい。放流量のレベルが3段階以上に分けられる場合には、放流量閾値は複数になる。
また、放流量のレベルが2段階のレベルに分けられるとき、放流量閾値は最大放流量に対して50%ではなく、任意の割合に設定してもよい。例えば、放流量閾値は最大放流量の45%等に設定してもよい。
放流量判定部25は、ゲート状態データに含まれる各ゲートの開放率に基づいて、放流量を判定する。放流量判定部25は、放流量が放流量閾値以上である場合に、放流量が大のレベルであると判定し、放流量が放流量閾値未満である場合に、放流量が小のレベルであると判定する。
送風量決定部26は、送風装置5が送風する送風量を決定する。上述したように、送風量は送風強度と称することもできる。図3の例では、送風量決定部26は、第一次送風量決定部26Aと最終送風量決定部26Bとを有している。送風量決定部26は、決定部の一例である。
第一次送風量決定部26Aは、ポイント処理部24が演算した送風ポイントに基づいて、第一次送風量を決定する。最終送風量決定部26Bは、第一次送風量と放流量判定部25が判定した放流量とに基づいて、最終的な送風量を決定する。
送風量決定部26は、最終送風量決定部26Bが決定した最終送風量を送風量指示部27に出力する。送風量指示部27は、入力した最終送風量で送風するように、風発生装置21Aに指示を出す。風発生装置21Aは、この指示に基づいた送風量の風を発生させる。
送風方向決定部28は、風向風速計11から受信した風向データに基づいて、送風装置5が送風を行う方向を決定する。送風方向決定部28は、風向データが示す風向に逆らう方向に送風するように送風方向を決定する。また、送風方向決定部28は、送風量決定部26から最終送風量のデータを入力する。送風方向決定部28は、最終送風量が「0」の場合には、送風方向のコントロールを行わないことを決定する。
送風方向指示部29は、送風方向決定部28が決定した送風方向を入力する。送風方向指示部29は、入力した送風方向で送風を行うように、送風方向制御装置21Bに指示を出す。例えば、送風方向制御装置21Bは、送風方向指示部29からの指示に基づいて、送風孔6のスリットの方向を変更する。
次に、実施形態の処理の一例について説明する。初期的には、ダムは放流を行っていないものとする。例えば、管理者は、操作盤を用いて、ダムのゲートを開放する操作を行う。この操作の情報に基づいて、ダム開閉制御装置12は、ダムのゲートを開放する。一方、ダムの放流が行われているときに、管理者が、操作盤を用いて、ダムのゲートを閉鎖する操作を行う。この操作の情報に基づいて、ダム開閉制御装置12は、ダムのゲートを全て閉鎖する。その結果、放流が終了する。
ゲート開閉制御装置12は、ダムに設けた各ゲートのうち何れかのゲートが開放されると、放流が開始されたことを示す放流開始情報を送風制御部20に送信する。送風制御部20は、放流開始情報を受信することにより、放流が開始されたことを認識する。
また、放流を終了するときには、ゲート開閉制御装置12は、放流終了情報を送風制御部20に送信する。送風制御部20は、放流終了情報を受信することにより、放流が終了したことを認識する。
なお、ゲート開閉制御装置12が常に各ゲートの開放率のデータを送風制御部20に送信している場合には、ゲート開閉制御装置12は、放流開始情報を受信しなくても、放流の開始を認識できる。同様に、ゲート開閉制御装置12は、放流終了情報受信しなくても、放流の終了を認識できる。
ゲート開閉制御装置12が常に各ゲートの開放率のデータを送風制御部20に送信している場合、送風制御部20は、各ゲートの開放率の変化を認識することができる。送風制御部20は、全てのゲートの開放率が「0」の状態から変化したときに、放流が開始されたことを認識することができる。また、送風制御部20は、全てのゲートの開放率が「0」に変化したときに、放流が終了したことを認識できる。
図4は、実施形態の全体の処理の一例を示している。最初に、送風制御部20は、放流が開始されたか否かを判定する(ステップS1)。送風制御部20は、放流開始情報に基づいて、放流の開始を認識したときに(ステップS1でYES)、送風制御を行う(ステップS2)。一方、送風制御部20が放流の開始を認識しないときには、処理はステップS2に進まない。
送風制御部20は、放流開始情報を受信したことをトリガとして、送風制御を開始する(ステップS2)。送風制御部20は、送風装置5がレンズ部3の前面に適切な送風量で送風を行うように風発生装置21Aを制御する。送風方向の制御を行う場合には、送風制御部20は、送風装置5が適切な送風方向でレンズ部3の前面に送風を行うように送風方向制御装置21Bを制御する。
風向風速計11は、所定間隔ごとに風向風速データを送風制御部20に送信する。送風制御部20は、受信する風向データと風速データとのうち少なくとも一方に変化があったか否かの判定を行う(ステップS3)。なお、風向風速計11は常に風向風速データを送風制御部20に送信し、常に上記の変化があったか否かの判定を行ってもよい。
受信した風向データと風速データとのうち少なくとも一方に変化があった場合(ステップS3でYES)、送風制御部20は、変化後の風向データと風速データとに基づいて、新たな送風量を決定する。また、送風装置5は、送風方向を制御するときには、新たな送風方向を決定する。そして、送風装置5は、適切な送風量および送風方向となるように送風制御を行う(ステップS4)。
このステップS4の送風制御は、ステップS2の送風制御とほぼ同じである。ステップS3において、受信する風向データおよび風速データに変化がない場合には、ステップS4の送風制御は行わない。風向データおよび風速データに変化がなければ、適切な送風量および送風方向で送風がされているためである。
送風制御部20は、放流が終了したか否かを判定する(ステップS5)。送風制御部20は、放流終了情報に基づいて、放流の終了を認識したときに(ステップS5でYES)、送風を停止する(ステップS6)。一方、送風制御部20が放流の終了を認識しないときには、処理はステップS3に戻る。
上述したように、送風制御部20は、放流が開始されたことを認識したときに、送風を開始するように風発生装置21Aを制御する。また、送風制御部20は、放流が停止されたことを認識したときに、送風を停止するように風発生装置21Aを制御する。つまり、放流の開始および終了に連動して、送風制御部20は、送風の開始および停止の制御を行う。
次に、図5乃至図7に一例として示すフローチャートを参照して、ステップS2の送風制御について説明する。図5のフローチャートに示すように、送風制御部20は、基本送風量を確認する(ステップS11)。
貯水施設の規模や構造は、貯水施設によって異なる。例えば、大規模の貯水施設の高所にゲートが設置されている場合には、飛散する水飛沫の量は多くなる。一方、小規模の貯水施設の低所にゲートが設置されている場合には、飛散する水飛沫の量は少なくなる。
従って、貯水施設の規模や構造によって基本送風量を設定してもよい。基本送風量は、送風装置5が送風を行う送風量の基準値とすることができる。基本送風量は、送風制御部20に既知の値として記憶されている。上述した、第一次送風量および最終送風量は、基本送風量を基準とした相対値としてもよい。
次に、ポイント処理部24は、風向風速計11から受信した風速データと、ポイント表記憶部23に記憶されている風速ポイント表と、に基づいて、風速ポイントを判定する(ステップS12)。図8は、風速ポイント表の一例を示している。
風速ポイント表には、風速データに応じた風速ポイントが設定されている。図8の一例に示すように、風速が強くなるに応じて風速ポイントが大きくなる。図8の風速ポイント表は一例であり、風速データと風速ポイントとの関係は、図8の例には限定されない。図8の例では、風速ポイントは4段階になっているが、2段階、3段階または5段階以上であってもよい。
ポイント処理部24は、風向風速計11から受信した風向データと、ポイント表記憶部23に記憶されている風向ポイント表とに基づいて、風向ポイントを判定する(ステップS13)。図8は、風向ポイント表の一例を示している。
図8の一例では、監視カメラ1を中心として、監視カメラ1に対する風向が16方位に分割されている。風向16番がレンズ部3に対して相対する方向である。このため、風向が16番の場合には、水飛沫はレンズ部3に相対する方向から飛散するため、水滴が最もレンズ部3に付着しやすい。
一方、風向8番は監視カメラ1の後方から前方に向かう風向である。このため、風向が8番の場合には、水飛沫は、監視カメラ1の後方部分に飛散するため、水滴が最もレンズ部3に付着しにくい。
図8に一例として示す風向ポイント表では、風向が4番および12番の場合にポイントが「0」になっている。監視カメラ1に対する風向が側方からの方向である場合に、ポイントが「0」になる。そして、監視カメラ1に対する風向が側方から前方になるにしたがって、ポイントは段階的に大きくなる。一方、監視カメラ1に対する風向が側方から後方になるにしたがって、ポイントは段階的に小さくなる。
このため、風向が4番のときにポイントは「0」になり、風向が16番のとき、つまり風向が監視カメラ1のレンズ部3に相対する方向のときに、ポイントが最も高くなる。この場合、図8の例では、ポイントは「8」になる。そして、風向が16番から12番になるにしたがって、ポイントは段階的に小さくなり、風向が12番のときにポイントが「0」になる。
一方、風向が4番から8番になるにしたがって、ポイントは負の値になり、段階的に小さくなる。図8の例では、風向が8番のときに、ポイントが最も低くなる。この場合、図8の例では、ポイントは「−8」になる。そして、風向が8番から12番になるにしたがって、ポイントは段階的に大きくなり、風向が12番のときにポイントが「0」になる。
従って、風向が16番のときにポイントが最も高い正の値「8」となり、ポイントは、時計回りおよび反時計回りに段階的に低くなっていく。風向が4番および12番のときに、ポイントは「0」になり、風向が8番のときにポイントが最も低い負の値「−8」となる。
なお、図8の風向ポイント表の例では、ポイントは「−8」から「8」までの値に設定されているが、ポイントは負の値を含まなくてもよい。例えば、図8の風向ポイントの表の各ポイントに「8」を加算して、ポイントが「0」から「16」までの値に設定されてもよい。
ポイント処理部24は、風速データに基づいて風速ポイントを判定し、風向データに基づいて風向ポイントを判定する。そして、ポイント処理部24は、風向ポイントに風速ポイントを加算し、加算した値の絶対値を得る演算を行う。この演算結果が送風ポイントになる(ステップS14)。
次に、第一次送風量決定部26Aは、第一次送風量を決定する(ステップS15)。第一次送風量は、暫定的に決定される送風量である。図9に示す一例では、送風ポイントに応じた送風量を示している。図9の一例では、送風ポイントに応じて、「送風しない」、「弱風」、「強風」および「最強風」の4段階のレベルに送風量が分けられている。送風量のレベルは、4段階には限定されない。2段階または3段階でもよいし、5段階以上であってもよい。
送風量決定部26は、第一次送風量決定部26Aが決定した送風量が「送風しない」、つまり「送風量=0」であるか否かを判定する(ステップS16)。例えば、図8の一例において、風向が8番、風速が15m/s以上の場合、風向ポイントは「−8」、風速ポイントは「8」になる。
よって、風向ポイントに風速ポイントを加算した結果は「0」になる。この場合、第一次送風量は「0」になり、送風制御部20は送風を行わないと決定する(ステップS17)。従って、送風量指示部27は、風発生装置21Aに対して風を発生させる制御を行わない。このため、送風装置5は送風を行わない。
なお、図8の例において、風向が8番の場合、風速にかかわらず、水飛沫が飛散する方向は、監視カメラ1の後方から前方に向かう方向である。よって、監視カメラ1のレンズ部3に水滴は付着しにくい。従って、風向が8番の場合は、風速にかかわらず、ステップS16の判定をYESとしてもよい。
一方、第一次送風量が「0」でない場合、ステップS16の判定はNOとなる。例えば、図8において、風向が3番、風速が9m/sの場合、風向ポイントは「2」となり、風速ポイントは「3」となる。よって、送風ポイントは「5=(2+3)」になる。この場合、ステップS16の判定はNOとなる。
図6は、続く処理のフローの一例を示している。通信部22は、ゲート開閉制御装置12からゲート状態データを受信する。通信部22は、ゲート状態データを放流量判定部25に出力する。ゲート状態データには、ダムの各ゲートの開放率が含まれている。
放流量判定部25は、ゲート状態データに基づいて、放流量を判定する。放流量判定部25は、各ゲートの開放率に基づいて、放流量を認識することができる。放流量判定部25は、放流量が「0」の場合と、「0<放流量≦放流量閾値」の場合と、「放流量≧放流量閾値」の場合とで、処理を分岐させる(ステップS18)。
最終送風量決定部26Bは、送風装置5が送風する送風量を決定する。放流量が「0」の場合は、放流されないため、放流による水飛沫は発生しない。従って、送風装置5から送風を行う必要がないため、最終送風量決定部26Bは、送風を行わないと決定する(ステップS19)。
放流量が「0」となる場合は、例えば、ダムのゲートの高さ位置よりもダムの貯水位が低い場合がある。この場合、ダムのゲートを開放したとしても、放流が行われることはない。放流量が「0」であるか否かは、例えばダムに設置した水位計等により判定することができる。各ゲートの高さ位置よりも水位計が示す水位が低い場合には、放流量は「0」になる。また、例えば、ダムの各ゲートに放流が行われたか否かを判定する計測器を設けることによっても、放流量が「0」であるか否かを判定することができる。
実施形態では、上述したように、放流量は、大または小の2段階のレベルに分けられている。また、放流量閾値は最大放流量の50%になる。最終送風量決定部26Bは、放流量が「0<放流量<放流量閾値」の場合には、放流量が小であると判定する。また、最終送風量決定部26Bは、放流量が「放流量閾値≦放流量」の場合には、放流量が大であると判定する。
最終送風量決定部26Bは、放流量が「0<放流量<放流量閾値」の場合、つまり放流量が小の場合、ポイント処理部24が演算した送風ポイントを確認する(ステップS20)。そして、最終送風量決定部26Bは、放流量が小のときの最終送風量を決定する(ステップS21)。
放流量が小のときには、飛散する水飛沫の量も少なくなる。この場合、風向が16番であり、且つ風速が15m/s以上の場合であっても、送風装置5が「強風」の送風を行うことで、監視カメラ1のレンズ部3に水滴が付着することを抑制できる。
この場合に、送風装置5が「最強風」の送風を行うと、風発生装置21Aが消費する電力の利用効率が低下する。このため、実施形態では、放流量が小のときには、最終送風量は「送風しない」から「強風」までの範囲に制限される。つまり、放流量が小のときには、送風量の最大量は制限される。
最終送風量決定部26Bは、放流量が「放流量閾値≦放流量」の場合、ポイント処理部24が演算した風速ポイントを確認する(ステップS22)。そして、最終送風量決定部26Bは、放流量が大のときの最終送風量を決定する(ステップS23)。
放流量が大のときには、飛散する水飛沫の量も多くなる。従って、送風装置5は、図9の最強風に設定することで、多量の水飛沫による水滴が監視カメラ1のレンズ部3に付着することを抑制することができる。このため、放流量が大のときには、最終送風量は「送風しない」から「最強風」までとする。
なお、上述したように、風向ポイントが「0」から「16」までの値に設定されているときには、最終送風量決定部26Bは、送風ポイントが「8」のときに最終風量を「送風しない」に設定する。また、送風ポイントが「8<送風ポイント<16」のときに、最終風量は「弱風」に設定される。また、送風ポイントが「16≦送風ポイント<22」のときに、最終風量は「強風」に設定される。また、送風ポイントが「送風ポイント≧22」のときには、最終風量は「最強風」に設定される。
次に、送風方向について説明する。送風制御部20は、送風方向の制御を行うか否かを判定する(ステップS24)。実施形態では、送風制御部20は、送風方向の制御を行うものとする。従って、ステップS24の判定はYESになる。
ただし、送風制御部20は、送風方向の制御を行わなくてもよい場合がある。上述した最終送風量により、送風装置5は適切な送風量で監視カメラ1のレンズ部3の前面に送風を行う。これにより、空気流7はレンズ部3に水滴が付着することを抑制できる。一方、送風制御部20が送風方向の制御を行うことにより、レンズ部3に水滴が付着することをより抑制することができる。
図7のフローは、図6のフローに続くフローである。図7のフローにおいて、送風方向の決定の一例が示されている。送風方向の決定は、送風方向決定部28が行う。送風方向決定部28は、送風量決定部26から最終送風量決定部26Bが決定した最終送風量を取得し、最終送風量を確認する(ステップS25)。送風方向決定部28が確認した最終送風量が「0」の場合、送風装置5は送風を行わないことから、送風方向の制御は行われない。
最終送風量が「0」でない場合、送風方向決定部28は、送風方向を決定する(ステップS26)。図9に送風方向決定の一例を示す。送風方向は、風向に対して逆らう方向になる。例えば、送風方向決定部28は、風向が16番の場合、送風方向は8番の向きに決定する。これにより、送風方向は風向に逆らう向きになる。
風向が7番、8番または9番の場合、風向は監視カメラ1の後方から前方に向く方向になる。よって、送風装置5が送風する方向を制御したとしても、監視カメラ1のレンズ部3に対する水滴の付着を抑制するという点においては、殆ど影響がない。従って、風向が7番、8番または9番の場合には、送風制御部20は送風方向を制御しない。
図9の例では、風向16番を除いた残りの15方向の風向を3つずつのグループに分けて、グループごとに送風方向が決定される。図9は、1つのグループに属する風向が3つの例を示しているが、1つのグループに属する風向は3つ以外であってもよい。
送風方向決定部28は、決定した送風方向を送風方向指示部29に出力する。送風方向指示部29は入力した送風方向で送風を行うように、送風方向制御装置21Bに指示を出す(ステップS28)。
図10は、送風装置5が送風を行う送風方向の変化の一例を示している。図10(A)は、送風装置5は、送風孔6から垂直方向下方に向けて送風を行っている例を示している。従って、空気流7は垂直方向下方に形成される。
図10(B)は、送風孔6のスリットをコントロールして、送風方向を垂直方向下方から8番の方向(図10(B)の破線の方向)に向けた例を示している。図10(B)に示されるように、送風方向制御装置21Bは、送風方向を垂直方向下方から8番の方向に所定角度傾斜させる。これにより、風向が16番(図10(A)の実線の方向)であったとしても、空気流7は、8番の方向のベクトル成分を有しているため、空気流7は16番の風向に対して逆らうことができる。
従って、図10(A)に示すように、送風装置5が送風する方向が垂直方向下方の場合よりも、図10(B)に示すように、送風装置5が送風する方向を風向に逆らう方向に傾斜させている。従って、図10(B)に示した送風方向の方が、監視カメラ1のレンズ部3に水滴が付着しにくくなる。
以上により、送風制御部20は、決定した送風方向で送風されるように送風方向制御装置21Bを制御する。次に、図7のフローに示すように、送風量指示部27は、決定した最終送風量を風発生装置21Aに指示する(ステップS28)。図6のステップS24で送風方向の制御を行わない場合には、このステップS28の処理が行われる。
送風量決定部26は、監視カメラ1に対する風向および風速に基づいた、適切な送風量を決定している。送風量指示部27は、この適切な送風量で送風を行うように、風発生装置21Aに対して指示を出す。これにより、送風装置5は、監視カメラ1に対する風向および風速に基づいた、適切な送風量で監視カメラ1の前面に送風を行うことができる。
また、送風制御部20が送風方向の制御を行う場合には、監視カメラ1に対する風向に基づいた適切な送風方向を送風方向決定部28が決定する。送風方向制御装置21Bは、送風方向決定部28が決定した方向に送風するように送風孔6をコントロールすることで、送風装置5の送風方向を適切な方向にすることができる。
これにより、送風装置5は、監視カメラ1のレンズ部3の前面に対して送風を開始する(ステップS29)。監視カメラ1のレンズ部3の前面に形成される空気流7は、レンズ部3に向かう水飛沫を遮る。送風装置5は、適切な送風量および送風方向で送風を行っているため、レンズ部3に水滴が付着することを抑制することができる。
以上が図4の例におけるステップS2の送風制御である。次に、図4の例におけるステップS4の送風制御について説明する。上述したように、ステップS4の送風制御は、ステップS2の送風制御とほぼ同じである。
ステップS4の送風制御は、風向風速計11が計測する風向または風速に変化を生じたときに行われる。実施形態では、風向風速計11は、所定間隔ごと(例えば、n分(nは自然数)ごと)または常に、送風制御部20に風向風速データを送信する。送風制御部20は、風向風速データに変化を生じたときに、監視カメラ1に対する風向、風速が変化したことを認識する。
ステップS4の送風制御について、図5乃至図7のフローチャートを用いて説明する。図5のステップS11の基本送風量の確認は、既にステップS2の送風制御の処理で行われているため、省略することができる。
ステップS4の送風制御を行うときには、放流量が変化している可能性がある。従って、放流量判定部25は再び放流量を判定する。また、風向データと風速データとのうち少なくとも一方は変化しているため、ポイント処理部24は、ステップS12で風速ポイントを判定し、ステップS13で風向ポイントを判定する。
なお、送風制御部20が、風向データと風速データとのうち変化したデータを認識できる場合には、ステップS12またはステップS13を省略してもよい。例えば、送風制御部20が、風速データは変化せず、風向データが変化したことを認識できる場合には、ステップS12の風速ポイント判定を省略してもよい。
ポイント処理部24は、ステップS14でポイント演算を行い、ステップS15で第一次送風量を決定する。第一次送風量決定部26Aは、ステップS16において、第一次送風量が「0」であると判定したときには、ステップS17において、送風を行わないことを決定する。
最終送風量決定部26Bは、ステップS18において、放流量に応じて、処理を分岐させる。放流量が「0」であれば、ステップS19において、最終送風量決定部26Bは送風を行わないことを決定する。
放流量が「0<放流量<放流量閾値」の場合には、最終送風量決定部26Bは、ステップS20において送風ポイントを確認し、ステップS21において放流量が小のときの最終送風量を決定する。一方、放流量が「放流量≧放流量閾値」の場合には、最終送風量決定部26Bは、ステップS22において送風ポイントを確認し、ステップS23において放流量が大のときの最終送風量を決定する。これにより、新しい最終送風量が決定される。
次に、送風制御部20は、ステップS24において、送風方向の制御を行うか否かを判定し、送風方向の制御を行わない場合には、処理がステップS28に進む。一方、送風方向の制御を行う場合には、送風方向決定部28は、ステップS25において、最終送風量を確認する。最終送風量が「0」の場合には、送風制御部20は送風方向の制御を行わない。
風向データが変化している場合には、送風方向決定部28は、ステップS26において、新たな送風方向を決定する。送風方向指示部29は、ステップS27において、新たな送風方向を送風方向制御装置21Bに指示する。一方、風向データが変化していない場合には、ステップS25〜S27の処理を省略することができる。また、送風量指示部27は、ステップS28において、新しい送風量を風発生装置21Aに指示する。
以上により、風向データと風速データとのうち少なくとも一方に変化を生じたときに、風発生装置21Aは、新たな送風量および送風方向で送風を行う。新たな送風量および送風方向は、変化を生じた風向および風速を反映したものになる。よって、送風装置5は適切な送風量および送風方向で、送風を行うことができる。
送風装置5が送風する送風量は、監視カメラ1に対する風向および風速に基づいて決定される。このため、送風装置5は、適切な送風量でレンズ部3を保護する送風を行うことができる。これにより、監視カメラ1のレンズ部3に水滴が付着することを抑制できる。監視カメラ1のレンズ部3に水滴が付着することを抑制できるため、監視カメラ1が撮影する映像が不鮮明になることを抑制することができる。
また、監視カメラ1はワイパーを備えていてもよいが、空気流7によりレンズ部3は水飛沫から保護される。監視カメラ1に対する風向および風速に応じた適切な送風量の空気流7がレンズ部3の前面に形成されることから、ワイパーが不要になる場合がある。この場合、監視カメラ1が撮影する映像にワイパーの映り込みをなくすことができる。
送風装置5が、監視カメラ1に対する風向および風速に応じた適切な送風量の送風を行ったとしても、レンズ部3に水滴が付着することを完全に防止することができない可能性もある。この場合、監視カメラ1にワイパーを設けてもよい。
ただし、送風装置5が監視カメラ1のレンズ部3の前面に適切な送風量の送風を行っていることで、ワイパーの使用頻度は少なくなる。これにより、監視カメラ1が撮影する映像に対するワイパーの映り込みを少なくすることができる。また、ワイパーの交換頻度および洗浄液の消費量も少なくなる。これにより、頻繁にメンテナンスを行う必要がなくなる。
また、図9の例に示したように、送風量決定部26は、放流量に応じて送風量を決定することもできる。放流量が少なければ、飛散する水飛沫の量も少なくなるため、送風装置5から送風される送風量が弱くても、レンズ部3に水滴が付着することを抑制することができる。送風装置5からの送風量が弱くなれば、風発生装置21Aが消費する電力も少なくなる。
一方、放流量が多ければ、飛散する水飛沫の量も多くなる。このため、送風装置5から送風される送風量を強く設定することが可能になる。送風装置5から送風される送風量を強く設定することにより、空気流7によるレンズ部3の保護機能が向上する。従って、放流量が多い場合でも、レンズ部3に水滴が付着することを防止することができる。
また、送風装置5は、送風量だけでなく、送風方向をコントロールすることもできる。送風装置5は、送風する方向を風向の逆方向にコントロールすることで、飛散する水飛沫を跳ね返す方向に送風することができる。これにより、レンズ部3に水滴が付着することを防止する機能が向上する。
また、ゲート開閉制御装置12は、放流開始時に放流開始情報を送風制御部20に送信し、放流終了時に放流終了情報を送風制御部20に送信している。送風制御部20は、放流開始情報に基づいて送風を開始し、放流終了情報に基づいて送風を停止している。つまり、放流の開始に連動して送風装置5は送風を開始し、放流の終了に連動して送風装置5は送風を停止している。
このとき、手動により、送風装置5を操作するのではなく、ダムの放流開始に連動して送風装置5の送風を開始するため、放流中には送風装置5による送風が行われる。これにより、レンズ部3に水滴が付着することを抑制できる。
また、ダムの放流停止に連動して送風装置5は送風を停止するため、ダムの放流が停止されたにもかかわらず、送風装置5が送風を継続することがなくなる。これにより、無駄に電力が消費されることを防ぐことができる。
なお、放流終了情報を受信してから、所定時間経過後に送風を停止してもよく、さらに所定時間は風速風向データに基づいて決定してもよい。
次に、具体例について説明する。最初に、風向データが示す方向が図8の例の16番であり、風速データが示す風速が16m/sであったとする。この場合、監視カメラ1のレンズ部3に向かって、強い風が吹いていることになる。風向ポイントは「8」であり、風速ポイントも「8」である。よって、送風ポイントは、両者を加算して、「16」になる。
このとき、放流量が大の場合には、多量の水が放流されていることになり、飛散する水飛沫の量も多くなる。そして、監視カメラ1のレンズ部3に向かって、強い風が吹いている。このため、レンズ部3には多量の水滴が付着しやすくなる。
従って、最終送風量決定部26Bは、最終送風量を最強風に決定する。また、風向データは16番を示しているため、送風方向決定部28は、送風方向を8番に決定する。これにより、送風装置5の送風孔6から、水飛沫の飛散方向に逆らう方向に強い送風がレンズ部3の前面に供給される。このため、水飛沫は空気流7に遮られて、レンズ部3に水滴が付着することを抑制することができる。
一方、放流量が少ない場合には、飛散する水飛沫の量も少ない。従って、風速ポイントが「16」であっても、最終送風量決定部26Bは、最終送風量を「強風」に設定する。風向データは16番を示しているため、送風方向決定部28は、送風方向を8番に決定する。
この場合、飛散する水飛沫の量が少ないため、最終送風量が「強風」であっても、レンズ部3に水滴が付着することを抑制することができる。また、送風装置5は、「最強風」で送風を行わなくても、レンズ部3に水滴が付着することを抑制できるため、「最強風」に設定した場合と比較して、電力消費を少なくすることができる。
次に、風向データが示す方向が6番であり、風速データ示す風速が16m/sであったとする。この場合、風向データが示す方向が6番であるため、風向ポイントは「−4」になる。一方、風速が16m/sであるため、風速ポイントは「8」になる。よって、両者を加算した結果は「−4」になる。ポイント処理部24は、加算結果の絶対値を送風ポイントとする。
従って、この場合の送風ポイントは「4」になる。送風ポイントが「4」の場合、放流量の大小にかかわらず、最終送風量は「弱風」になる。また、風向データが示す方向が6番であるため、送風方向は12番の方向に決定される。
この場合、風速自体は強いが、風向は監視カメラ1の斜め後方から監視カメラ1に向かう方向となる。従って、風速が強いとしても、水滴はレンズ部3に付着しにくくなる。このため、送風装置5が送風する送風量が「弱風」であったとしても、レンズ部3に水滴が付着することを抑制することができる。
次に、風速ポイントの他の例について説明する。図8の例では、風速ポイントは風速によって4つのレベルに分けられていた。図11の例では、風速ポイントは風速によって5つのレベルに分けられている。
例えば、風向データが示す風向が1番のときには、風向ポイントは「6」になる。一方、風速データが示す風速が17m/sのときには、風速ポイントは「7」になる。よって、送風ポイントは「13(=6+7)」になる。
図9の例で示したように、送風ポイントが「13」の場合は、最終送風量は「強風」に決定される。また、風向データが示す風向が1番であるため、送風方向は10番に決定される。よって、送風装置5は、送風量が「強風」、且つ送風方向が10番の方向の送風を行う。
また、例えば、風向データが示す風向が16番のときには、風向ポイントは「8」になる。また、風速データが示す風速が23m/sのときには、風速ポイントは「8」になる。よって、送風ポイントは「16(=8+8)」になる。
図9の例で示したように、送風ポイントが「16」の場合は、最終送風量は「最強風」に決定される。また、風向データが1番であるため、送風方向は10番に決定される。よって、送風装置5は、送風量が「最強風」、且つ送風方向が10番の送風を行う。
次に、送風制御部20のハードウェア構成の一例について説明する。図12の一例に示すように、送風制御部20は、バス40に対して、プロセッサ41とRAM(Random Access Memory)42とROM(Read Only Memory)43と補助記憶装置44と周辺機器接続部45と通信インタフェース46と可搬型記憶装置接続部47とが接続されている。
プロセッサ41はCPU(Central Processing Unit)のような任意の処理回路である。プロセッサ41はRAM42に展開されたプログラムを実行する。実行されるプログラムとしては、実施形態の処理を実現する送風制御プログラムを適用することができる。ROM43はRAM42に展開されるプログラムを記憶する不揮発性の記憶装置である。
補助記憶装置44は、種々の情報を記憶する記憶装置であり、例えばハードディスクドライブや半導体メモリ等を補助記憶装置44に適用することができる。周辺機器接続部45は、ディスプレイ48および入力デバイス49を接続する。
通信インタフェース46は、外部との通信を行うときのインタフェースである。可搬型記憶装置接続部47は、可搬型記憶装置50と接続可能に設けられている。可搬型記憶装置50としては、可搬型のメモリや光学式ディスク(例えば、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Video Disk)等)を適用することができる。実施形態の処理を行う送風制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。この場合、記録媒体に可搬型記憶装置50を適用することができる。
RAM42、ROM43および補助記憶装置44は、何れもコンピュータ読み取り可能な有形の記憶媒体の一例である。これらの有形な記憶媒体は、信号搬送波のような一時的な媒体ではない。
図3で一例として示した送風制御部20のうち、通信部22は通信インタフェース46により実現されてもよい。ポイント表記憶部23は、ROM43やRAM42等に記憶されてもよい。その他の送風制御部20の各部は、例えばプロセッサ41で実行されるプログラムにより実現されてもよい。また、その他の必要な情報(例えば、基本送風量の情報等)はROM43やRAM42等に記憶されてもよい。
開示の実施形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができるであろう。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
貯水施設を監視する監視カメラに対する風向のデータおよび風速のデータに基づいて、前記監視カメラの撮影視野の前面に送風を行う送風量を制御する、
処理をコンピュータに実行させる送風制御プログラム。
(付記2)
前記風向のデータに基づいて、前記送風の送風方向を制御する、
処理を前記コンピュータに実行させる付記1記載の送風制御プログラム。
(付記3)
前記貯水施設が放流を開始したことを示す情報を受信したときに、送風を開始する制御を行い、前記貯水施設が放流を終了したことを示す情報を受信したときに、送風を停止する制御を行う、
処理を前記コンピュータに実行させる付記1記載の送風制御プログラム。
(付記4)
前記貯水施設に備えられるゲートの開放率のデータを受信し、
全ての前記ゲートの開放率がゼロから変化したときに、前記送風を開始するように制御し、全ての前記ゲートの開放率がゼロに変化したときに、前記送風を停止するように制御する、
処理を前記コンピュータに実行させる付記1記載の送風制御プログラム。
(付記5)
前記貯水施設から放流される放流量に応じて前記送風量を制御する、
処理を前記コンピュータに実行させる付記1記載の送風制御プログラム。
(付記6)
前記放流量によって、前記送風量の最大量を制限する、
処理を前記コンピュータに実行させる付記5記載の送風制御プログラム。
(付記7)
前記貯水施設に備えられる1または複数のゲートの開放率のデータを受信し、
前記ゲートの開放率に基づいて、前記放流量を判定する、
処理を前記コンピュータに実行させる付記5記載の送風制御プログラム。
(付記8)
前記風速のデータと複数の風速に対応したポイントを示す風速ポイント表とに基づいて、前記監視カメラに対する風速のポイントを判定し、
前記風向のデータと複数の風向に対応したポイントを示す風向ポイント表とに基づいて、前記監視カメラに対する風向のポイントを判定し、
前記風向のポイントと前記風速のポイントとを加算し、加算した結果に基づいて、前記送風量を決定する、
処理を前記コンピュータに実行させる付記1記載の送風制御プログラム。
(付記9)
前記風向ポイント表は、前記監視カメラの撮影視野に対して相対する方向からの風向のポイントが最も高く、時計回りおよび反時計回りに、段階的にポイントが低くなり、前記相対する方向の反対方向の風向のポイントが最も低くなる表であり、
前記風向ポイント表に基づいて、前記監視カメラに対する風向のポイントを判定する、
処理を前記コンピュータに実行させる付記8記載の送風制御プログラム。
(付記10)
前記送風量がゼロでないときに、前記風向のデータに基づいて、前記送風装置が送風する送風方向を制御する、
処理を前記コンピュータに実行させる付記1記載の送風制御プログラム。
(付記11)
貯水施設を監視する監視カメラに対する風向のデータおよび風速のデータに基づいて、前記監視カメラの撮影視野の前面に送風する送風装置の送風量を制御する、
送風制御方法。
(付記12)
貯水施設を監視する監視カメラに対する風向のデータおよび風速のデータに基づいて、前記監視カメラの撮影視野の前面に送風する送風量を決定する決定部、
を備える送風制御装置。
(付記13)
貯水施設を監視する監視カメラに対する風向および風速を測定する測定装置と、
前記監視カメラの撮影視野の前面に送風する送風装置と、
前記送風装置を制御する送風制御装置と、
を備え、
前記送風制御装置は、前記監視カメラに対する風向のデータおよび風速のデータを前記測定装置から受信して、前記風向および風速のデータに基づいて、前記監視カメラの撮影視野の前面に送風する送風量を決定する決定部を備える、
監視カメラシステム。