JP6317384B2 - フェイズドアレイアンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、無線周波数信号に時間遅延を与える時間遅延器を備えたフェイズドアレイアンテナに関する。
無線通信の大容量化を図るために、使用する周波数帯域の広帯域化及び高周波化が進んでいる。近年では、マイクロ波帯(0.3GHz以上30GHz以下)のみならず、ミリ波帯(30GHz以上300GHz以下)が無線通信に使用されるようになっている。なかでも、大気中での減衰が大きい60GHz帯は、データの漏洩が生じ難く、通信セルのサイズを小さくして多数の通信セルを配置できる帯域として注目されている。
60GHz帯の無線通信に使用されるアンテナには、広帯域性の他に高利得性が求められる。60GHz帯は、上述したように、大気中での減衰が大きいからである。60GHz帯での使用に耐える高利特性を有するアンテナとしては、例えば、アレイアンテナが挙げられる。ここで、アレイアンテナとは、複数の放射素子をアレイ状又はマトリクス状に並べたアンテナのことを指す。
アレイアンテナでは、各放射素子に入力する無線周波数信号に与える時間遅延を制御することによって、放射する電磁波(各放射素子から放射される電磁波を重ね合わせたもの)の主ビーム方向を変化させることが可能である。このようなビームフォーミング機能を有するアレイアンテナは、フェイズドアレイアンテナと呼ばれ、盛んに研究開発が進められている。
フェイズドアレイアンテナにおけるビームフォーミングの原理について、図8を参照して説明する。以下の説明においては、フェイズドアレイアンテナを構成する複数の放射素子A1〜Anが特定の直線上に一定の間隔dで配列されているものと仮定する。
放射素子A1〜Anに同位相の無線周波数信号を入力すると、上記特定の直線に平行な等位相面ができ、主ビーム方向は、その等位相面に垂直になる。これに対し、放射素子A1〜Anに入力する無線周波数信号に等差的な時間遅延δ1〜δnを与えると、時間遅延差Δt=δ2−δ1=δ3−δ2=…=δn−δn−1に応じて等位相面が傾く。ここで、時間遅延差Δtと等位相面の傾き角(上記特定の直線と等位相面との成す角)αとの間には、以下の関係が成り立つ(cは、真空中での光速)。
Δt=d×sinα/c
したがって、時間遅延差Δtが大きくなるように、各放射素子Aiに入力する無線周波数信号に与える時間遅延δiを制御すれば、傾き角αを大きくすることができる。逆に、時間遅延差Δtが小さくなるように、各放射素子Aiに入力する無線周波数信号に与える時間遅延δiを制御すれば、傾き角αを小さくすることができる。以上がビームフォーミングの原理である。
次に、従来のフェイズドアレイアンテナの典型的な構成を、図9〜図11に示す。図9に示すフェイズドアレイアンテナ6は、送信用アンテナであり、図10に示すフェイズドアレイアンテナ7は、受信用アンテナであり、図11に示すフェイズドアレイアンテナ8は、送受信兼用アンテナである。なお、以下では、時間遅延を単に遅延と呼ぶ。
図9に示すフェイズドアレイアンテナ6は、(1)外部から入力された無線周波数信号VRF(t)に対して時間遅延素子TD11〜TD1nを用いて等差的な遅延δ1〜δnを与え、(2)得られた遅延無線周波数信号VRF(t−δ1)〜VRF(t−δn)を放射素子A1〜Anに入力するものである。無線周波数信号VRF(t)に与える遅延δ1〜δnを、時間遅延差Δt=δ2−δ1=δ3−δ2=…=δn−δn−1がd×sinα/cに一致するように設定すれば、等位相面の傾き角がαとなる電磁波を効率良く送信することができる。
図10に示すフェイズドアレイアンテナ7は、(1)放射素子A1〜Anから出力された無線周波数信号VRF(t+δ1)〜VRF(t+δn)に対して時間遅延素子TD21〜TD2nを用いて等差的な遅延δ1〜δnを与え、(2)得られた遅延無線周波数信号VRF(t)を外部に出力するものである。無線周波数信号VRF(t+δ1)〜VRF(t+δn)に与える遅延δ1〜δnを、時間遅延差Δt=δ2−δ1=δ3−δ2=…=δn−δn−1がd×sinα/cに一致するように設定すれば、等位相面の傾き角がαとなる電磁波を効率良く受信することができる。
図11に示すフェイズドアレイアンテナ8は、図9に示すフェイズドアレイアンテナ6と、図10に示すフェイズドアレイアンテナ7とを、サーキュレータC1〜Cnを用いて組み合わせたものである。放射素子Aiは送受信兼用である。サーキュレータCiは、信号が入出力される3つ以上のポートを備え、あるポートに入力された信号を、図11に示す回転矢印の方向に沿った次のポートから出力する素子である。フェイズドアレイアンテナ8において、各サーキュレータCiは、送信用の時間遅延素子D1iから出力された遅延無線周波数信号VRF(t−δi)を放射素子Aiに入力し、放射素子Aiから出力された無線周波数信号VRF(t+δi)を受信用の時間遅延素子D2iに入力する機能を担っている。
しかしながら、図9〜図11に示すフェイズドアレイアンテナ6〜8は、ミリ波帯での使用に適さない。なぜなら、時間遅延素子などの電気的な手段で、ミリ波帯の無線周波数信号に対して高精度の遅延を与えることは困難だからである。
そこで、ミリ波帯において使用可能なフェイズドアレイアンテナを実現するために、無線周波数信号を遅延する時間遅延器に代えて、無線周波数信号よりも周波数の低い中間周波数信号又は局所信号を遅延する時間遅延器を採用することが考えられる。このような時間遅延器が、特許文献1及び非特許文献1に開示されている。
特開2003−60424号公報(2003年2月28日公開)
Joshua D. Schwartz et al., "An Electronic UWB Continuously Tunable Time-Delay System With Nanosecond Delays", IEEE MICROWAVE AND WIRELESS COMPONENTS LETTERS, FEBRUARY 2008, VOL. 18, NO. 2, PP103-105
特許文献1及び非特許文献1に開示された時間遅延器においては、無線周波数信号に与える遅延の大きさを、局所信号の周波数に応じて変化させることによって制御することができる。しかしながら、以下に説明するように、特許文献1及び非特許文献1に開示された時間遅延器においては、制御変数である局所信号の周波数fLOの変化量ΔfLOと、被制御変数である遅延δの変化量Δδとの関係が、無線周波数信号の周波数fRF毎に異なる。このため、無線周波数信号に与える時間遅延を広帯域に亘って精度良く制御することが困難になるという問題があった。また、特許文献1及び非特許文献1に開示された時間遅延器を用いたフェイズドアレイアンテナにおいては、電磁波を効率よく送信又は受信できる方向を広帯域に亘って精度良く制御することが困難であるという問題があった。
(特許文献1の問題点)
図12は、特許文献1に開示された時間遅延器9の構成を示すブロック図である。図12に示すように、時間遅延器9は、2つの混合器MX1〜MX2と位相器PSとを備えている。
混合器MX1には、無線周波数信号源RFから出力された無線周波数信号VRF(t)と、局所信号源LOから出力され、局所信号源LOから混合器MX1に至る伝送線路によって遅延された局所信号VLO(t)が入力される。無線周波数信号VRF(t)は、例えば、下記の式(1)のように表すことができ、局所信号VLO(t)は、例えば、下記の式(2)のように表すことができる。ここで、φは、局所信号源LOから混合器MX1に至る伝送線路において生じる線路遅延である。なお、ここでは、無線周波数信号源RFから混合器MX1に至る伝送線路において生じる線路遅延が十分に小さい場合を考え、無線周波数信号源RFから出力される無線周波数信号と混合器MX1に入力される無線周波数信号とを同一視した。
Figure 0006317384
Figure 0006317384
混合器MX1は、無線周波数信号VRF(t)と局所信号VLO(t)とを乗算した後、高周波成分をカットする(局所信号VLO(t)を用いて無線周波数信号VRF(t)をダウンコンバートする)ことによって、中間周波数信号VIF(t)を生成する。混合器MX1に入力される無線周波数信号VRF(t)及び局所信号VLO(t)が、それぞれ、上記の式(1)及び式(2)のように表される場合、混合器MX1にて生成される中間周波数信号VIF(t)は、下記の式(3)のように表される。
Figure 0006317384
混合器MX2には、混合器MX1から出力された中間周波数信号VIF(t)と、局所信号源LOから出力され、局所信号源LOから混合器MX2に至る伝送線路、及び、当該伝送線路に挿入された位相器PSよって遅延された局所信号VLO’(t)とが入力される。局所信号VLO(t)が上記の式(2)のように表される場合、局所信号VLO’(t)は、下記の式(4)のように表される。ここで、φは、局所信号源LOから混合器MX2に至る伝送線路において生じる線路遅延と、当該伝送線路に挿入された位相器PSにおいて生じる遅延との和である。なお、ここでは、混合器MX1から混合器MX2に至る伝送線路において生じる線路遅延が十分に小さい場合を考え、混合器MX1から出力される中間周波数信号と混合器MX2に入力される中間周波数信号とを同一視した。
Figure 0006317384
混合器MX2は、中間周波数信号VIF(t)と遅延局所信号VLO’(t)とを乗算した後、低周波成分をカットする(遅延局所信号VLO’(t)を用いて中間周波数信号VIF(t)をアップコンバートする)ことによって、遅延無線周波数信号VRF’(t)を生成する。混合器MX2に入力される中間周波数信号VIF(t)及び遅延局所信号VLO’(t)が、それぞれ、上記の式(3)及び式(4)のように表される場合、混合器MX2にて生成される遅延無線周波数信号VRF’(t)は、下記の式(5)のように表される。
Figure 0006317384
したがって、遅延無線周波数信号VRF’(t)の無線周波数信号VRF(t)に対する遅延δは、下記の式(6)で表される。
Figure 0006317384
上記の式(6)に示すように、時間遅延器9が無線周波数信号VRF(t)に与える遅延δは、局所信号VLO(t)の周波数fLOに比例する。したがって、時間遅延器9によれば、局所信号VLO(t)の周波数fLOを変化させることによって、無線周波数信号VRF(t)に与える遅延δを変化させることができる。
しかしながら、式(6)から明らかなように、制御変数である局所信号VLO(t)の周波数fLOの変化量ΔfLOと、被制御変数である遅延δの変化量Δδとの間には、Δδ={φ/fRF}ΔfLOという関係が成り立つ。したがって、遅延δをΔδだけ変化させるために必要な周波数fLOの変化量ΔfLOは、無線周波数信号VRF(t)の周波数fRF毎に異なる。例えば、50GHzの無線周波数信号VRF(t)に対する遅延を1ps大きくするために必要な周波数fLOの変化量が1GHzであるとすると、100GHzの無線周波数信号VRF(t)に対する遅延を1ps大きくするために必要な周波数fLOの変化量は2GHzとなる。このため、無線周波数信号VRF(t)に与える遅延δを広帯域に亘って精度良く制御することが困難になる。
(非特許文献1の問題点)
図13は、非特許文献1に開示された時間遅延器10の構成を示すブロック図である。時間遅延器10は、2つの混合器MX1〜MX2と分散付与フィルタDFとを備えている。分散付与フィルタDFは、入力信号に分散、すなわち、入力信号の周波数fに比例した遅延Dfを与える素子であり、CEBG(Chirped Electromagnetic Bandgap)伝送線路により構成されている。
混合器MX1には、無線周波数信号源RFから出力された無線周波数信号VRF(t)と、局所信号源LOから出力され、局所信号源LOから混合器MX1に至る伝送線路TL1によって遅延された局所信号VLO’(t)が入力される。無線周波数信号VRF(t)は、例えば、下記の式(7)のように表すことができる。また、局所信号源LOから出力される局所信号VLO(t)は、例えば、下記の式(8)のように表すことができ、このとき、混合器MX1に入力される局所信号VLO’(t)は、下記の(9)式のように表される。ここで、ψは、伝送線路TL1において生じる線路遅延である。なお、ここでは、無線周波数信号源RFから混合器MX1に至る伝送線路において生じる線路遅延が十分に小さい場合を考え、無線周波数信号源RFから出力される無線周波数信号と混合器MX1に入力される無線周波数信号とを同一視した。
Figure 0006317384
Figure 0006317384
Figure 0006317384
混合器MX1は、局所信号VLO’(t)を用いて無線周波数信号VRF(t)をダウンコンバートすることによって、中間周波数信号VIF(t)を生成する。混合器MX1に入力される無線周波数信号VRF(t)及び局所信号VLO’(t)が、それぞれ、上記の式(7)及び式(9)のように表される場合、混合器MX1にて生成される中間周波数信号VIF(t)は、下記の式(10)のように表される。
Figure 0006317384
混合器MX1にて生成された中間周波数信号VIF(t)は、分散付与フィルタDFが挿入された伝送線路TL3により遅延される。分散付与フィルタDFは、周波数fの信号に対して、遅延τ=Df+ψを与える。伝送線路TL3は、混合器MX1からサーキュレータCに至る伝送線路と、サーキュレータCと分散付与フィルタDFとの間を往復する伝送線路と、サーキュレータCから混合器MX2に至る伝送線路とにより構成される。この伝送線路TL3(分散付与フィルタDFを除く)において生じる線路遅延をψとすると、混合器MX2に入力される中間周波数信号VIF’(t)は、下記の式(11)のように表される。
Figure 0006317384
混合器MX2には、上記の中間周波数信号VIF’(t)の他に、局所信号源LOから出力され、局所信号源LOから混合器MX2に至る伝送線路TL2によって遅延された局所信号VLO”(t)が入力される。局所信号源LOから出力される局所信号VLO(t)が上記の式(8)により表されている場合、混合器MX2に入力される局所信号VLO”(t)は、下記の式(12)のように表される。ここで、ψは、伝送線路TL2において生じる線路遅延である。
Figure 0006317384
混合器MX2は、局所信号VLO”(t)を用いて中間周波数信号VIF’(t)をアップコンバートすることによって、遅延無線周波数信号VRF’(t)を生成する。混合器MX2に入力される中間周波数信号VIF’(t)及び局所信号VLO”(t)が、それぞれ、上記の式(11)及び式(12)のように表される場合、混合器MX2にて生成される遅延無線周波数信号VRF’(t)は、下記の式(13)のように表される。
Figure 0006317384
したがって、遅延無線周波数信号VRF’(t)の無線周波数信号VRF(t)に対する遅延δは、下記の式(14)で表される。
Figure 0006317384
上記の式(14)に示すように、時間遅延器21が無線周波数信号VRF(t)に与える遅延δは、局所信号VLO(t)の周波数fLOの二次関数になる。したがって、時間遅延器21によれば、局所信号VLO(t)の周波数fLOを変化させることによって、無線周波数信号VRF(t)に与える遅延δを変化させることができる。
しかしながら、式(14)から明らかなように、制御変数である局所信号VLO(t)の周波数fLOの変化量ΔfLOと、被制御変数である遅延δの変化量Δδとの間には、Δδ=
{2DfLO/fRF−(ψ+ψ−ψ)/fRF+2D}ΔfLOという関係が成り立つ。したがって、遅延δをΔδだけ変化させるために必要な周波数fLOの変化量ΔfLOは、無線周波数信号VRF(t)の周波数fRFと局所信号VLO(t)の周波数fLOとの組み合せ毎に異なる。このため、無線周波数信号VRF(t)に与える遅延δを広帯域に亘って精度良く制御することが困難になる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、無線周波数信号に与える遅延を、局所信号の周波数を変化させることによって制御することができ、さらに、この無線周波数信号に与える遅延の制御を広帯域に亘って従来よりも精度良く行うことが可能な時間遅延器を備えたフェイズドアレイアンテナを実現することにある。
上記の課題を解決するために、本願発明者は、まず、時間遅延器を発明した。すなわち、周波数fLOを有する第1局所信号VLO(t)に遅延θを与えることによって、第2局所信号VLO’(t)=VLO(t−θ)を生成する第1伝送線路と、周波数fRF(fLO<fRF)を有する第1無線周波数信号VRF(t)と前記第2局所信号VLO’(t)とを乗算することによって、周波数fRF−fLOを有する第1中間周波数信号VIF(t)を生成する第1混合器と、第1分散付与フィルタが挿入された第2伝送線路であって、前記第1分散付与フィルタによる遅延θと前記第2伝送線路による遅延θとを前記第1局所信号VLO(t)に与えることによって、第3局所信号VLO”(t)=VLO(t−θ−θ)を生成する第2伝送線路と、前記第1分散付与フィルタとは逆符号の分散を与える第2分散付与フィルタが挿入された第3伝送線路であって、前記第2分散付与フィルタによる遅延θ’と前記第3伝送線路による遅延θとを前記前記第1中間周波数信号VIF(t)に与えることによって、第2中間周波数信号VIF’(t)=VIF(t−θ’−θ)を生成する第3伝送線路と、前記第3局所信号VLO”(t)と前記第2中間周波数信号VIF’(t)とを乗算することによって、周波数fRFを有する第2無線周波数信号VRF’(t)を生成する第2混合器と、を備えている、ことを特徴とする時間遅延器を発明した。
上記の構成によれば、第1分散付与フィルタが与える遅延θが、θ=+DfLO+θと表され、第2分散付与フィルタが与える遅延θ’が、θ’=−D(fRF−fLO)+θと表される場合、第2無線周波数信号VRF’(t)の第1無線周波数信号VLO(t)に対する遅延δをδ={(θ−θ−θ)/fRF+2D}fLO−DfRF+θ+θ又はδ={(θ−θ−θ)/fRF−2D}fLO+DfRF+θ+θとすることができる。したがって、遅延δを第1局所信号VLO(t)の周波数fLOに応じて変化させることができる。
更に、上記の構成によれば、制御変数である局所信号VLO(t)の周波数fLOの変化量ΔfLOと、被制御変数である遅延δの変化量Δδとの間に、Δδ={(θ−θ)/fRF+2D}ΔfLO又はΔδ={(θ−θ)/fRF−2D}ΔfLOという関係が成り立つ。したがって、例えば第2伝送線路の電気長を第1伝送線路の電気長と第3伝送線路の電気長との和に近づけることにより、θ−θを0に近づけていけば、遅延δの変化量Δδが無線周波数信号VRF(t)の周波数fRFに依存する依存度をいくらでも小さくすることができる。このため、第1無線周波数信号VRF(t)に与える遅延δの制御を広帯域に亘って従来よりも精度良く行うことができる。
そして、本願発明者は、上記の時間遅延器を用いた下記のフェイズドアレイアンテナを発明した。
すなわち、本発明の第一の態様に係るフェイズドアレイアンテナは、m個(mは2以上の整数)×n個(nは2以上の整数)の2次元的に配列された放射素子Aij(i=1〜m,j=1〜n)と、周波数fLOを有する第1局所信号VLO1(t)に遅延θを与えることによって、第2局所信号VLO2(t)=VLO1(t−θ)を生成する第1伝送線路と、前記第1局所信号VLO1(t)に遅延θを与えることによって、第3局所信号VLO3(t)=VLO1(t−θ)を生成する第2伝送線路と、周波数fRF(fLO<fRF)を有する第1無線周波数信号VRF1(t)と前記第2局所信号V LO2 (t)とを乗算することによって、周波数fRF−fLOを有する第1中間周波数信号VIF1(t)を生成する第1混合器と、前記第3局所信号VLO3(t)と前記第1中間周波数信号VIF1(t)とを加算した和信号VIF1+LO3(t)から信号光SLを生成し、生成した信号光SLに遅延ψ,…,ψ,…,ψを与えることによって、m個の遅延信号光SL'1,…,SL'i,…,SL'mを生成する時間遅延光学系と、前記遅延信号光SL'iをO/E変換することによって、遅延和信号VIF1+LO3(t−ψ)を生成するO/E変換器と、
前記遅延和信号VIF1+LO3(t−ψ)を分波することによって、遅延中間周波数信号VIF1(t−ψ)と遅延局所信号VLO3(t−ψ)とを生成する分波器と、n個ずつm個のグループに分けられた合計m個×n個の時間遅延器TDij(i=1〜m、j=1〜n)であって、各グループに属するn個の時間遅延器TDijに対応する前記遅延信号光SL'iが入力される時間遅延器TDijと、を備えており、前記時間遅延器TDijのそれぞれは、第1分散付与フィルタが挿入された第3伝送線路であって、前記第1分散付与フィルタによる遅延θDjと、前記第3伝送線路による遅延θ3jとを前記遅延局所信号VLO3(t−ψ)に与えることによって、第4局所信号VLO4(t)=VLO3(t−ψ−θDj−θ3j)を生成する第3伝送線路と、前記第1分散付与フィルタとは逆符号の分散を与える第2分散付与フィルタが挿入された第4伝送線路であって、前記第2分散付与フィルタによる遅延θDj'と、前記第4伝送線路による遅延θ4jとを前記遅延中間周波数信号VIF1(t−ψ)に与えることによって、第2中間周波数信号VIF2(t)=VIF1(t−ψ−θDj'−θ4j)を生成する第4伝送線路と、前記第4局所信号VLO4(t)と前記第2中間周波数信号VIF2(t)とを乗算することによって、周波数fRFを有する第2無線周波数信号VRF2(t)を生成する第2混合器と、を備えており、前記遅延θDj及び遅延θDj'の各大きさは、同一のグループに属するn個の前記時間遅延器TDij同士で互いに異なっており、各時間遅延器TDijにて生成された前記第2無線周波数信号VRF2(t)を、対応する放射素子Aijに供給する、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、例えばm行n列に放射素子Aijを配列した場合、行方向には、時間遅延光学系がm個の遅延信号光を生成することによって、各行方向に沿って配列されたm個の放射素子Aijに供給される第2無線周波数信号VRF2(t)を第1無線周波数信号VRF1(t)に対して遅延させ、送信する電磁波のビーム方向を変えることができる。
また、列方向には、第1分散付与フィルタ及び第2分散付与フィルタによる遅延θDj及び遅延θDj’によって、各列方向に沿って配列されたn個の放射素子Aijに供給される第2無線周波数信号VRF2(t)を第1無線周波数信号VRF1(t)に対して遅延させ、送信する電磁波のビーム方向を変えることができる。より具体的には、第2無線周波数信号VRF2(t)の第1無線周波数信号VLO1(t)に対する遅延δをδ={(θ4j+θ−θ−θ3j)/fRF+2D}fLO−DfRF+θ+θ3j(第1分散付与フィルタの分散を−D、第2分散付与フィルタの分散を+Dとし、θ0を各分散付与フィルタが与える遅延における定数項とした場合)又はδ={(θ4j+θ−θ−θ3j)/fRF−2D}fLO+DfRF+θ+θ3j(第1分散付与フィルタの分散を+D、第2分散付与フィルタの分散を−Dとし、θを各分散付与フィルタが与える遅延における定数項とした場合)とすることができる。したがって、遅延δを第1局所信号VLO(t)の周波数fLOに応じて変化させることができる。
更に、上記の構成によれば、制御変数である局所信号VLO(t)の周波数fLOの変化量ΔfLOと、被制御変数である遅延δの変化量Δδとの間に、Δδ={(θ4j+θ−θ−θ3j)/fRF+2D}ΔfLO又はΔδ={(θ4j+θ−θ−θ3j)/fRF−2D}ΔfLOという関係が成り立つ。したがって、例えば第4伝送線路の電気長と第1伝送線路の電気長との和を第2伝送線路の電気長と第3伝送線路の電気長との和に近づけることにより、θ4j+θ−θ−θ3jを0に近づけていけば、遅延δの変化量Δδが無線周波数信号VRF(t)の周波数fRFに依存する依存度をいくらでも小さくすることができる。このため、第1無線周波数信号VRF(t)に与える遅延δの制御を広帯域に亘って従来よりも精度良く行うことができる。
これにより、放射素子を2次元的に配列した送信用のフェイズドアレイアンテナにおいて、電磁波を効率良く送信できる方向(送信する電磁波の主ビーム方向)を広帯域に亘って従来よりも精度良く制御することが可能な送信用のフェイズドアレイアンテナを実現することができる。
本発明の第二の態様に係るフェイズドアレイアンテナは、m個(mは2以上の整数)×n個(nは2以上の整数)の2次元的に配列された放射素子Aij(i=1〜m、j=1〜n)と、合計n個×m個の受信回路Bij(i=1〜m、j=1〜n)とを備えており、前記受信回路Bijのそれぞれは、周波数fLOを有する第1局所信号VLO1(t)に遅延θ1jを与えることによって、第2局所信号VLO2(t)=VLO1(t−θ1j)を生成する第1伝送線路と、前記第1局所信号VLO1(t)に遅延θ2jを与えることによって、第3局所信号VLO3(t)=VLO1(t−θ2j)を生成する第2伝送線路と、周波数fRF(fLO<fRF)を有する第1無線周波数信号VRF1(t)と前記第2局所信号V LO2 (t)とを乗算することによって、周波数fRF−fLOを有する第1中間周波数信号VIF1(t)を生成する第1混合器と、前記第3局所信号VLO3(t)と前記第1中間周波数信号VIF1(t)とを加算した和信号VIF1+LO3(t)から信号光SLjを生成し、生成した信号光SLjに遅延ψを与えることによって、遅延信号光SL'jを生成する時間遅延光学系と、前記遅延信号光SL'jが入力される時間遅延器TDijと、を備えており、前記時間遅延器TDijは、前記遅延信号光SL'jをO/E変換することによって、遅延和信号VIF1+LO3(t−ψ)を生成するO/E変換器と、前記遅延和信号VIF1+LO3(t−ψ)を分波することによって、遅延中間周波数信号VIF1(t−ψ)と遅延局所信号VLO3(t−ψ)とを生成する分波器と、第1分散付与フィルタが挿入された第3伝送線路であって、前記第1分散付与フィルタによる遅延θDjと、前記第3伝送線路による遅延θ
とを前記遅延局所信号VLO3(t−ψ)に与えることによって、第4局所信号VLO4(t)=VLO3(t−ψ−θDj−θ)を生成する第3伝送線路と、前記第1分散付与フィルタとは逆符号の分散を与える第2分散付与フィルタが挿入された第4伝送線路であって、前記第2分散付与フィルタによる遅延θDj'と、前記第4伝送線路による
遅延θとを前記遅延中間周波数信号VIF1(t−ψ)に与えることによって、第2中間周波数信号VIF2(t)=VIF1(t−ψ−θDj'−θ)を生成する第4
伝送線路と、前記第4局所信号VLO4(t)と前記第2中間周波数信号VIF2(t)とを乗算することによって、周波数fRFを有する第2無線周波数信号VRF2(t)を生成する第2混合器と、を備えており、前記遅延θDj及び遅延θDj'の各大きさは、同一のグループに属するn個の前記時間遅延器TDij同士で互いに異なっており、各放射素子Aijから出力された無線信号を、前記第1無線周波数信号VRF1(t)として対応する前記第1混合器に供給する、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、電磁波を効率良く受信できる方向(受信する電磁波の主ビーム方向)を広帯域に亘って従来よりも精度良く制御することが可能な受信用のフェイズドアレイアンテナを実現することができる。
本発明の前記第一の態様に係るフェイズドアレイアンテナにおいて、前記時間遅延光学系は、搬送光CLを生成する光源と、前記信号光SLを分岐することによって、信号光SL1,…,SLi,…,SLmを生成する光分岐器と、各信号光SLiに前記遅延ψを与えることによって、前記遅延信号光SL’iを生成する光導波路からなる光導波路群であって、各光導波路にて与えられる遅延ψ,ψ,…,ψの大きさをそれぞれ制御できる光導波路群と、を更に有していてもよい。
上記の構成によれば、単一光源が出射する搬送光CLと和信号VIF1+LO3(t)とから生成した信号光SLを複数の信号光SLiに分岐し、各信号光SLiを伝送する各光導波路が、各信号光SLiに異なる大きさの遅延ψを与えることができる。この結果、例えばm行n列に放射素子Aijを配列した場合の行方向に配列された放射素子Aijが電磁波を効率良く送信できる方向(送信する電磁波の主ビーム方向)を変化させることができる。また、搬送光CLを生成するための光源がひとつで済むので、より安価なフェイズドアレイアンテナを実現することができる。
本発明の前記第二の態様に係るフェイズドアレイアンテナにおいて、前記時間遅延光学系は、搬送光CLを生成する光源と、前記信号光SLjに前記遅延ψを与えることによって、前記遅延信号光SL’jを生成する光導波路であって、前記遅延ψの大きさが、前記受信回路Bijのi=1〜mに応じて互いに異なる量変化するように設定されている光導波路と、を更に有していてもよい。
上記の構成によれば、単一光源が出射する搬送光CLと和信号VIF1+LO3(t)とから生成した信号光SLjに異なる量変化した遅延ψを与えることができる。この結果、例えばm行n列に放射素子Aijを配列した場合の行方向に配列された放射素子A1j〜Amjが電磁波を効率良く受信できる方向(受信する電磁波の主ビーム方向)を変化させることができる。また、搬送光CLを生成するための光源がひとつで済むので、より安価なフェイズドアレイアンテナを実現することができる。
本発明の前記第一の態様に係るフェイズドアレイアンテナにおいて、前記時間遅延光学系は、搬送光CLiを生成する光源からなる光源群であって、各光源にて生成される搬送光CL1,CL2,…,CLmの波長が異なる光源群と、搬送光CL1,CL2,…,CLmを合波することによって、搬送光CLを生成する合波器と、前記搬送光CLを、前記和信号VIF1+LO3(t)に基づいて強度変調し、前記信号光SLを生成する強度変調器と、前記信号光SLに波長分散を与えることによって、遅延信号光SL’を生成する光導波路と、前記遅延信号光SL’を波長分波することによって、前記遅延信号光SL’1,…,SL’i,…,SL’mを生成する波長分波器と、を更に有していてもよい。
上記の構成によれば、各搬送光CLiの波長λiを変化させることによって、遅延時間ψを変化させることができ、例えばm行n列に放射素子Aijを配列した場合の行方向に配列された放射素子A1j〜Amjが電磁波を効率良く送信できる方向(送信する電磁波の主ビーム方向)を変化させることができる。また、信号光SLを遅延させるための導波路がひとつで済むので、より安価なフェイズドアレイアンテナを実現することができる。
本発明の第六の態様に係る受信用のフェイズドアレイアンテナは、m個(mは2以上の整数)×n個(nは2以上の整数)の2次元的に配列された放射素子Aij(i=1〜m、j=1〜n)と、合計m個×n個の受信回路Bij(i=1〜m、j=1〜n)とを備えており、前記受信回路Bijのそれぞれは、周波数fLOを有する第1局所信号VLO1(t)に遅延θ1jを与えることによって、第2局所信号VLO2(t)=VLO1(t−θ1j)を生成する第1伝送線路と、前記第1局所信号VLO1(t)に遅延θ2jを与えることによって、第3局所信号VLO3(t)=VLO1(t−θ2j)を生成する第2伝送線路と、周波数fRF(fLO<fRF)を有する第1無線周波数信号VRF1(t)と前記第2局所信号V LO2 (t)とを乗算することによって、周波数fRF−fLOを有する第1中間周波数信号VIF1(t)を生成する第1混合器と、前記第3局所信号VLO3(t)と前記第1中間周波数信号VIF1(t)とを加算した和信号VIF1+LO3(t)から信号光SLjを生成し、生成した信号光SLjに遅延ψを与えることによって、遅延信号光SL'ijを生成する時間遅延光学系と、前記遅延信号光SL'ijが入力される時間遅延器TDijと、を備えており、前記時間遅延器TDijは、前記遅延信号光SL'ijをO/E変換することによって、遅延和信号VIF1+LO3(t−ψ)を生成するO/E変換器と、前記遅延和信号VIF1+LO3(t−ψ)を分波することによって、遅延中間周波数信号VIF1(t−ψ)と遅延局所信号VLO3(t−ψ)とを生成する分波器と、第1分散付与フィルタが挿入された第3伝送線路であって、前記第1分散付与フィルタによる遅延θDijと、前記第3伝送線路による遅延θとを前記遅延局所信号VLO3(t−ψ)に与えることによって、第4局所信号VLO4(t)=VLO3(t−ψ−θDij−θ)を生成する第3伝送線路と、前記第1分散付与フィルタとは逆符号の分散を与える第2分散付与フィルタが挿入された第4伝送線路であって、前記第2分散付与フィルタによる遅延θDij'と、前記第4伝送線路による遅延θとを前記遅延中間周波数信号VIF1(t−ψ)に与えることによって、第2中間周波数信号VIF2(t)=VIF1(t−ψ−θDij'−θ)を生成する第4伝送線路と、前記第4局所信号VLO4(t)と前記第2中間周波数信号VIF2(t)とを乗算することによって、周波数fRFを有する第2無線周波数信号VRF2(t)を生成する第2混合器と、を備えており、前記遅延θDii及び遅延θDij
'の各大きさは、iが同じならば互いに同じである一方、jが異なっているならば互いに異なっており、前記時間遅延光学系は、放射素子A1j〜Amjに対応して搬送光CL1j〜CLmjを生成する光源と、搬送光CL1j〜CLmjを、対応する前記和信号VIF1+LO3(t)に基づいて強度変調し、信号光SL1j,…,SLij,…,SLmjを生成するm個の強度変調器と、前記信号光SL1j,…,SLij,…,SLmjを合波することによって、前記信号光SLjを生成する合波器と、前記信号光SLjに波長分散を与えることによって、遅延信号光SL'jを生成する光導波路と、前記遅延信号光SL'jを波長分波することによって、前記遅延信号光SL'ij(i=1〜m)を生成する波長分波器と、を更に有しており、各放射素子Aijから出力された無線信号を、前記第1無線周波数信号VRF1(t)として対応する前記第1混合器に供給する、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、搬送光CLijの波長λiをi=1〜mに応じて変化させることによって、遅延時間ψを変化させることができ、例えばm行n列に放射素子Aijを配列した場合の行方向に配列された放射素子A1j〜Amjが電磁波を効率良く受信できる方向(受信する電磁波の主ビーム方向)を変化させることができる。また、信号光SLjを遅延させるための導波路がひとつで済むので、より安価なフェイズドアレイアンテナを実現することができる。
本発明の前記各態様に係るフェイズドアレイアンテナにおいて、前記ψが、対応するm個の放射素子Aij(i=1〜m)の配列順に等差的に設定されており、前記第1分散付与フィルタ及び前記第2分散付与フィルタが信号に与える分散の絶対値を、各グループに属するn個の前記時間遅延器TDijにおいて|D|であるとすると、分散の絶対値|D|が、対応するn個の放射素子Aij(j=1〜n)の配列順に等差的に設定されていてもよい。
上記の構成によれば、放射素子Aijが受信した第1無線周波数信号VRFj(t)を、周波数fLOを有する共通の第1局所信号VLO(t)を用いてダウンコンバートする構成の場合には、第1分散付与フィルタが信号に与える分散を等差的に変えるとともに、第2分散付与フィルタが信号に与える逆符号の分散を等差的に変えるとよい。これにより、前記受信用のフェイズドアレイアンテナでは、放射素子Ai1〜Ainが同一直線上に等間隔で配置されている場合に、電磁波を効率良く受信できる方向を広帯域に亘って精度良く制御することができる。したがって、前記送受信用のフェイズドアレイアンテナでは、電磁波を効率良く送受信できる方向を広帯域に亘って精度良く制御することができる。
本発明の前記各態様に係るフェイズドアレイアンテナにおいて、前記第1伝送線路及び前記第4伝送線路と各電気長の和は、前記第2伝送線路及び前記第3伝送線路の各電気長の和と等しくてもよい。
上記の構成によれば、θ4j+θ−θ−θ3j=0又はθ+θ1j−θ2j−θ=0となるので、制御変数である第1局所信号VLO1(t)の周波数fLOの変化量ΔfLOと、被制御変数である遅延δの変化量Δδとの間に、Δδ=2DΔfLO又はΔδ=−2DΔfLOという関係が成り立つ。したがって、遅延δの変化量Δδが第1無線周波数信号VRF(t)の周波数fRFに依存しなくなる。このため、第1無線周波数信号VRF(t)に与える遅延δの制御を広帯域に亘って更に精度良く行うことができる。
本発明の前記各態様に係るフェイズドアレイアンテナにおいて、前記第1分散付与フィルタ及び前記第2分散付与フィルタは、CEBG(Chirped Electromagnetic Bandgap)伝送線路により構成されていてもよい。
CEBG伝送線路は、入力信号に対して分散(該入力信号の周波数に比例する遅延)を与えることが可能なマイクロストリップ線路である。したがって、上記の構成によれば、第1分散付与フィルタ及び第2分散付与フィルタを低コスト(マイクロストリップ線路と同程度のコスト)で実現することができる。
上記の時間遅延器によれば、無線周波数信号に与える遅延を、局所信号の周波数を変化させることによって制御することができ、しかも、この制御を広帯域に亘って従来よりも精度良く行うことが可能な時間遅延器を実現することができる。したがって、上記の時間遅延器を用いた本発明のフェイズドアレイアンテナによれば、電磁波を効率良く送信又は受信できる方向(放射する電磁波の主ビーム方向)を広帯域に亘って従来よりも精度良く制御することができる。
本発明の第1の実施形態に係る送信用のフェイズドアレイアンテナの構成を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る送信用のフェイズドアレイアンテナの無線周波数信号生成部の変形例の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る送受信兼用のフェイズドアレイアンテナの構成を示すブロック図である。 第2の実施形態に係る送受信兼用のフェイズドアレイアンテナの無線周波数信号生成部の変形例の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る送信用のフェイズドアレイアンテナの構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係る送受信用のフェイズドアレイアンテナの構成を示すブロック図である。 本発明の第5の実施形態に係る送受信用のフェイズドアレイアンテナの構成を示すブロック図である。 フェイズドアレイアンテナで送受信される電波の主ビーム方向を制御する原理を説明するための図である。 従来の送信用フェイズドアレイアンテナの一構成例を示すブロック図である。 従来の受信用フェイズドアレイアンテナの一構成例を示すブロック図である。 従来の送受信兼用フェイズドアレイアンテナの一構成例を示すブロック図である。 従来の時間遅延器の一構成例を示すブロック図である。 従来の時間遅延器の他の構成例を示すブロック図である。
〔第1の実施形態〕
(1.フェイズドアレイアンテナの構成)
(フェイズドアレイアンテナの概略構成)
本発明の第1の実施形態に係る送信用のフェイズドアレイアンテナ1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、フェイズドアレイアンテナ1の構成を示すブロック図である。フェイズドアレイアンテナ1は、大きく分けて、複数個の放射素子と、信号光生成部1Aと、遅延信号光生成部1Bと、無線周波数信号生成部1Ciとを備えている。
放射素子として、m個(mは2以上の整数)×n個(nは2以上の整数)の放射素子Aij(i=1〜m,j=1〜n)が2次元的に配列されている。信号光生成部1Aは、無線周波数信号源RFから出力される第1無線周波数信号VRF1(t)に基づいて、信号光SLを生成する。遅延信号光生成部1Bは、信号光SLに基づいてm個の遅延信号光SL’1,…,SL’i,…,SL’mを生成する。無線周波数信号生成部1Ciは、遅延信号光SL’1,…,SL’i,…,SL’mのうちの遅延信号光SL’iに基づいて、対応する放射素子Ai1,…,Aij,…,Ainに供給する第2無線周波数信号VRF2(t)を生成する。なお、無線周波数信号生成部1Ciは、m個の遅延信号光SL’1,…,SL’i,…,SL’mのそれぞれに対応してm個設けられている。次に、各部1A,1B,1Ciの構成をより具体的に説明する。
(信号光生成部の構成)
信号光生成部1Aは、局所信号源LOと、前記無線周波数信号源RFと、第1伝送線路TL1と、混合器MX1(第1混合器)と、第2伝送線路TL2と、合波器MPと、光源LSと、光変調器OM(強度変調器)とを備えている。
局所信号源LOは、周波数fLOを有する第1局所信号VLO1(t)を出力する。無線周波数信号源RFは、周波数fRF(fLO<fRF)を有する前記第1無線周波数信号VRF1(t)を出力する。第1伝送線路TL1は、局所信号源LOの出力端子から混合器MX1の2つの入力端子のうち第2入力端子に至る線路であり、第1局所信号VLO1(t)に遅延θを与えることによって、第2局所信号VLO2(t)=VLO1(t−θ)を生成する。混合器MX1は、第1入力端子から入力される第1無線周波数信号VRF1(t)と、第2入力端子から入力される第2局所信号V LO2 (t)とを乗算することによって、周波数fRF−fLOを有する第1中間周波数信号VIF1(t)を生成する。
第2伝送線路TL2は、局所信号源LOの出力端子から合波器MPの2つの入力端子のうち第2入力端子に至る線路であり、第1局所信号VLO1(t)に遅延θを与えることによって、第3局所信号VLO3(t)=VLO1(t−θ)を生成する。合波器MPは、第1入力端子から入力される第1中間周波数信号VIF1(t)と、第2入力端子から入力される第3局所信号VLO3(t)とを加算することによって、和信号VIF1+LO3(t)=VIF1(t)+VLO3(t)を生成する。光源LSは、搬送光CLを生成する。光変調器OMは、搬送光CLを和信号VIF1+LO3(t)で強度変調することによって、前記信号光SLを生成する。なお、光変調器OMとして、例えばMZ変調器(Mach-Zehnder Modulator)を用いることができる。
(遅延信号光生成部の構成)
遅延信号光生成部1Bは、光分岐器ODと、m個の光導波路OWGiからなる光導波路群とを備えている。光分岐器ODは、信号光SLを分岐することによって、信号光SL1,SL2,…,SLmを生成する。光分岐器ODにより生成された各信号光SLiは、対応する光導波路OWGiに供給される。なお、前記の光源LS及び光変調器OMと、遅延信号光生成部1Bとが、時間遅延光学系を構成する。
光導波路OWGiは、例えば信号光SLiに時間遅延(以下、遅延と呼ぶ)ψ={Dλ+(i−1)dλ}λ+φを与えることによって、遅延信号光SL’iを生成する。光導波路OWG1,…,OWGi,…,OWGmにて与えられる遅延ψ,…,ψ,…,ψの大きさは、n×m個の放射素子Aijが放射する電磁波の主ビーム方向の行方向成分に応じて設定される。また、行方向の時間遅延差Δt=ψ−ψ=ψ−ψ=…=ψ−ψm−1は、例えば一定値dλに等しく、等差的に設定されている。行方向に配列された放射素子A1j,…,Aij,…,Amjの等位相面は、この時間遅延差Δtに応じて傾く。光導波路OWGiとして、波長分散の異なる光導波路、又は、光路長の可変な光導波路を用いることができる。波長分散の異なる光導波路としては、例えば、チャープファイバブラッググレーティング(CFBG)、シングルモードファイバと分散補償ファイバとの組み合わせ、又は分散シフトファイバなどが挙げられる。なお、本実施形態においては、光導波路OWGiとして、遅延ψに応じた光路長を有する光ファイバを用いる。
(無線周波数信号生成部の構成)
光導波路OWGiに対応して設けられた無線周波数信号生成部1Ciは、O/E変換器OEと、分波器DIPと、n個の時間遅延器TDi1,…,TDij,…,TDinとを備えている。O/E変換器OEは、光導波路OWGiにて生成された遅延信号光SL’iをO/E変換(光電変換)することによって、遅延和信号VIF+LO(t−ψ)を生成する。O/E変換器OEiは、例えば、フォトダイオードである。
分波器DIPは、遅延和信号VIF+LO(t−ψ)を分波することによって、遅延中間周波数信号VIF1'(t)=VIF1(t−ψ)と遅延局所信号VLO3'(t)=VLO3(t−ψ)とを生成する。
時間遅延器TDijの構成を説明するにあたって、時間遅延器TD11を代表的に取り上げて説明する。時間遅延器TD11は、混合器MX2(第2混合器)と、2つのサーキュレータC1、C2と、2つの分散付与フィルタDF11(第1分散付与フィルタ),DF21(第2分散付与フィルタ)とを備えている。サーキュレータC1、C2の働きについては、図11を参照して前述したとおりである。
混合器MX2の2つの入力端子のうち第1入力端子には、分散付与フィルタDF11が挿入された第3伝送線路TL3が接続されている。第3伝送線路TL3は、O/E変換器OEiの出力端子から始まり、サーキュレータC1の第1ポート及び第2ポートを経て分散付与フィルタDF11を往復し、サーキュレータC1の第2ポート及び第3ポートを経て混合器MX2の第1入力端子に至る線路である。第3伝送線路TL3は、分波器DIPiから出力される遅延局所信号VLO3'(t)に対して、分散付与フィルタDF11による遅延θD1と、第3伝送線路TL3による遅延θ31とを与えることによって、第4局所信号VLO4(t)=VLO3(t−ψ−θD1−θ31)を生成する。
分散付与フィルタDF11として、負の分散−D[s/Hz]を与える分散付与フィルタを用いた場合、遅延局所信号VLO3'(t)に与えられる遅延θD1は、θD1=DfLO+θとなり、第4局所信号VLO4(t)は、VLO4(t)=VLO3(t−ψ−DfLO−θ−θ31)となる。一方、分散付与フィルタDF11として、正の分散+D[s/Hz]を与える分散付与フィルタを用いた場合、遅延局所信号VLO3'(t)に与えられる遅延θD1は、θD1=−DfLO+θとなり、第4局所信号VLO4(t)は、VLO4(t)=VLO(t−ψ+DfLO−θ−θ31)となる。
なお、このような分散付与フィルタDF11は、例えば、非特許文献1に開示されているようなCEBG(Chirped Electromagnetic Bandgap)伝送線路により構成することができる。CEBG伝送線路は、マイクロストリップ線路のストリップ導体の幅を周期的に拡縮させて構成されている。これにより、CEBG伝送線路は、入力された信号の周波数に応じて該信号を反射する線路上の位置を変えて線路長を変えることができるので、入力された信号の周波数に応じた遅延を該信号に与えることができる。
混合器MX2の第2入力端子には、分散付与フィルタDF21が挿入された第4伝送線路TL4が接続されている。第4伝送線路TL4は、O/E変換器OEiの出力端子から始まり、サーキュレータC2の第1ポート及び第2ポートを経て分散付与フィルタDF21を往復し、サーキュレータC2の第2ポート及び第3ポートを経て混合器MX2の第2入力端子に至る線路である。第4伝送線路TL4は、分波器DIPiから出力される遅延中間周波数信号VIF1'(t)に対して、分散付与フィルタDF21による遅延θD1'と、第4伝送線路TL4による遅延θ41とを与えることによって、第2中間周波数信号VIF2(t)=VIF1(t−ψ−θD1’−θ41)を生成する。
分散付与フィルタDF21としては、分散付与フィルタDF11が与える分散と絶対値が等しく符号が反対の分散を与える分散付与フィルタが用いられる。すなわち、分散付与フィルタDF11として、負の分散−D[s/Hz]を与える分散付与フィルタが用いられている場合、分散付与フィルタDF21としては、正の分散+D[s/Hz]を与える分散付与フィルタが用いられる。一方、分散付与フィルタDF11として、正の分散+D[s/Hz]を与える分散付与フィルタが用いられている場合、分散付与フィルタDF21としては、負の分散―D[s/Hz]を与える分散付与フィルタが用いられる。
分散付与フィルタDF21が正の分散+D[s/Hz]を有している場合、遅延中間周波数信号VIF1'(t)に与えられる遅延θD1’は、θD1’=−D(fRF−fLO)+θとなり、第2中間周波数信号VIF2(t)は、VIF2(t)=VIF1(t−ψ+D(fRF−fLO)−θ−θ41)となる。一方、分散付与フィルタDF21が負の分散−D[s/Hz]を有している場合、遅延中間周波数信号VIF1'(t)に与えられる遅延θD1’は、θD1’=+D(fRF−fLO)+θとなり、第2中間周波数信号VIF2(t)は、VIF2(t)=VIF1(t−ψ−D(fRF−fLO)−θ−θ41)となる。
なお、遅延θDj及び遅延θDj’の各大きさは、同一のグループに属するn個の前記時間遅延器TDij同士で互いに異なっている。例えば、図1に図示しているように、分散付与フィルタDF1j及び分散付与フィルタDF2jの分散の大きさは、D+(j−1)dに設定されている。この場合、隣り合う時間遅延器TDij及び時間遅延器TDi(j−1)同士の分散の大きさの差ΔDは一定値dに等しい。言い換えると、m個のグループのそれぞれに属するn個の時間遅延器TDijにおいて、分散付与フィルタDF1j及び分散付与フィルタDF2jの分散の絶対値を|D|であるとすると、分散の絶対値|D|が、対応するn個の放射素子Aij(j=1〜n)の配列順に等差的に設定されている。
(2.フェイズドアレイアンテナの動作)
上記の構成を備えたフェイズドアレイアンテナ1が、第1無線周波数信号VRF1(t)及び第1局所信号VLO1(t)を入力して、最終的に第2無線周波数信号VRF2(t)を出力する動作を以下説明する。
まず、無線周波数信号源RFにて生成される第1無線周波数信号VRF1(t)及び局所信号源LOにて生成される第1局所信号VLO1(t)は、例えば、下記の式(15)及び式(16)で表すことができる。
Figure 0006317384
Figure 0006317384
第1局所信号VLO1(t)に対し、第1伝送線路TL1による遅延θを与えることにより得られた第2局所信号VLO2(t)は、第1局所信号VLO1(t)が上記の式(16)のように表される場合、下記の式(17)のように表される。
Figure 0006317384
混合器MX1は、第1入力端子に入力される第1無線周波数信号VRF1(t)と、第2入力端子に入力される第2局所信号VLO2(t)とを乗算した後、高周波成分をカットする(第2局所信号VLO2(t)を用いて第1無線周波数信号VRF1(t)をダウンコンバートする)ことによって、第1中間周波数信号VIF1(t)を生成する。第1無線周波数信号VRF1(t)及び第2局所信号VLO2(t)が上記の式(15)及び(17)で表される場合、第1中間周波数信号VIF1(t)は、下記の式(18)のように表される。
Figure 0006317384
第1局所信号VLO(t)に対し、第2伝送線路TL2による遅延θを与えることにより得られた第3局所信号VLO3(t)は、第1局所信号VLO1(t)が上記の式(16)のように表される場合、下記の式(19)のように表される。
Figure 0006317384
合波器MPは、第1中間周波数信号VIF1(t)と第3局所信号VLO3(t)とを加算することによって、和信号VIF1+LO3(t)=VIF1(t)+VLO3(t)を生成する。第1中間周波数信号VIF1(t)及び第3局所信号VLO3(t)が上記の式(18)及び(19)で表される場合、和信号VIF1+LO3(t)は、下記の式(20)のように表される。
Figure 0006317384
光変調器OMが、搬送光CLと和信号VIF1+LO3(t)とから信号光SLを生成し、光分岐器ODが、信号光SLを信号光SL1,SL2,…,SLmに分岐し、光導波路OWGiが、分岐された信号光SLiから遅延信号光SL’iを生成し、O/E変換器OEが、遅延信号光SL’iから遅延和信号VIF+LO(t−ψ)を生成する動作は、既に説明したとおりである。
和信号VIF1+LO3(t)が上記の式(20)で表される場合、遅延和信号VIF+LO(t−ψ)は、下記の式(21)のように表される。
Figure 0006317384
遅延和信号VIF+LO(t−ψ)は、分波器DIPによって、遅延中間周波数信号VIF1'(t)と遅延局所信号VLO3'(t)とに分波され、時間遅延器TDijに入力される。遅延和信号VIF+LO(t−ψ)が上記の式(21)で表される場合、遅延中間周波数信号VIF1'(t)と遅延局所信号VLO3'(t)とは、下記の式(22)及び(23)のように表される。
Figure 0006317384
Figure 0006317384
以下、時間遅延器TDijの動作を説明するにあたって、時間遅延器TD11を代表的に取り上げて説明する。混合器MX2の第1入力端子には、遅延局所信号VLO3'(t)に対して、分散付与フィルタDF11による遅延θD1と、第3伝送線路TL3による遅延θ31とを与えることによって生成された第4局所信号VLO4(t)=VLO3(t−ψ−θD1−θ31)が入力される。分散付与フィルタDF11として、負の分散−D[s/Hz]を与える分散付与フィルタを用いているものとすると、遅延局所信号VLO3'(t)が上記の式(23)のように表される場合、第4局所信号VLO4(t)は、下記の式(24)のように表される。
Figure 0006317384
混合器MX2の第2入力端子には、遅延中間周波数信号VIF1'(t)に対して、分散付与フィルタDF21による遅延θD1'と、第4伝送線路TL4による遅延θ41とを与えることによって生成された第2中間周波数信号VIF2(t)が入力される。分散付与フィルタDF21として、正の分散+D[s/Hz]を与える分散付与フィルタを用いているものとすると、遅延中間周波数信号VIF1'(t)が上記の式(22)のように表される場合、第2中間周波数信号VIF2(t)は、下記の式(25)のように表される。
Figure 0006317384
混合器MX2は、第2中間周波数信号VIF2(t)と第4局所信号VLO4(t)とを乗算した後、低周波成分をカットする(第4局所信号VLO4(t)を用いて第2中間周波数信号VIF2(t)をアップコンバートする)ことによって、第2無線周波数信号VRF2(t)を生成する。混合器MX2に入力される第2中間周波数信号VIF2(t)及び第4局所信号VLO4(t)が上記の式(25)及び上記の式(24)のように表される場合、混合器MX2にて生成される第2無線周波数信号VRF2(t)は、下記の式(26)のように表される。
Figure 0006317384
式(26)から、第2無線周波数信号VRF2(t)の第1無線周波数信号VRF1(t)に対する遅延δは、下記の式(27)で表される。
Figure 0006317384
なお、ここでは、分散付与フィルタDF11として、負の分散−D[s/Hz]を与える分散付与フィルタを用い、分散付与フィルタDF21として、正の分散+D[s/Hz]を与える分散付与フィルタを用いた場合の動作について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、分散付与フィルタDF11として、正の分散+D[s/Hz]を与える分散付与フィルタを用い、分散付与フィルタDF21として、負の分散−D[s/Hz]を与える分散付与フィルタを用いてもよい。この場合における遅延δは、下記の式(23)で表される。
Figure 0006317384
上記の式(27)または式(28)によれば、以下のことが分かる。すなわち、フェイズドアレイアンテナ1によれば、列方向に配列された放射素子Ai1,…,Aij,…,Ainについて、遅延δを第1局所信号VLO1(t)の周波数fLOに応じて自在に変化させることができる。
更に、フェイズドアレイアンテナ1においては、制御変数である第1局所信号VLO1(t)の周波数fLOの変化量ΔfLOと、被制御変数である遅延δの変化量Δδとの間に、Δδ=[{θ+θ31−(θ41+θ)}/fRF+2D]ΔfLO又はΔδ=[{θ+θ31−(θ41+θ)}/fRF−2D]ΔfLOという関係が成り立つ。したがって、第1伝送線路TL1及び第4伝送線路TL4の各電気長の和を、第2伝送線路TL2及び第3伝送線路TL3の各電気長の和に近づけることにより、θ+θ31−(θ41+θ)を0に近づけていけば、遅延δの変化量Δδが、第1無線周波数信号VRF1(t)の周波数fRFに依存する依存度をいくらでも小さくすることができる。特に、第1伝送線路TL1及び第4伝送線路TL4の各電気長の和を、第2伝送線路TL2及び第3伝送線路TL3の各電気長の和に一致させることにより、θ+θ31−(θ41+θ)=0とすれば、遅延δの変化量Δδが第1無線周波数信号VRF1(t)の周波数fRFに依存しなくなる。このため、列方向に配列された放射素子Ai1,…,Aij,…,Ainについて、第1局所信号VLO1(t)の周波数fLOを制御変数とする遅延δの制御が従来よりも容易になる。
なお、第1伝送線路TL1及び第4伝送線路TL4の各電気長の和を、第2伝送線路TL2及び第3伝送線路TL3の各電気長の和に一致させるとは、ダウンコンバートに用いる局所信号の伝送線路(TL1)及び第1無線周波数信号VRF1(t)のダウンコンバートによって生成された第2中間周波数信号の伝送線路(TL4)の各電気長の和を、アップコンバートに用いる局所信号の伝送線路(TL2、TL3)の各電気長の和に等しくするということである。
≪本発明におけるビーム走査≫
フェイズドアレイアンテナ1にて行うビーム走査について、以下説明する。m×n個の放射素子Aijを間隔Δsで格子状に配列したフェイズドアレイアンテナ1において、二次元にビーム走査する場合を考える。また、互いに直交するx軸とy軸とを考え、x軸が、時間遅延光学系に対応して設けられた放射素子A1j〜Amjの配列方向に対応し、y軸が、時間遅延器TDijに対応して設けられた放射素子Ai1〜Ainの配列方向に対応するものとする。
x軸について、信号光SLiと信号光SLi−1に与える遅延ψと遅延ψi−1との差(波長分散の差)は、前述したdλ(ps/nm)である。また、y軸について、時間遅延器TDijと時間遅延器TDi(j−1)とに設定される各分散の差は、前述したd(ps/GHz)である。
フェイズドアレイアンテナ1が送信する電磁波の主ビーム方向が0°になるときの波長と、第1局所信号VLO1(t)の局所周波数をfとする。また、ビーム走査する際の波長の変化量及び局所周波数の変化量を、それぞれΔλ及びΔfとする。この場合、電磁波の主ビーム方向が、x軸に対してなす角度α1と、y軸に対してなす角度α2とは、それぞれ、sinα1=c×dλ×Δλ/Δs、sinα2=c×2d×Δf/Δsとなる。したがって、x軸とy軸とのそれぞれについて、光源LSが生成する搬送光の波長と、局所周波数とを用いて、独立に制御することができる。図5に示すフェイズドアレイアンテナ3についても同様である。
ここで、具体的な主ビーム方向の設定例を説明する。例えば、60GHz帯(57GHz以上66GHz以下)の電磁波を放射する場合、隣接する放射素子間の距離は、例えば、中心周波数61.5GHzに対応する自由空間波長の1/2、すなわち、2.44mmに設定すればよい。この場合において、x軸について、波長分散の差であるdλを10ps/nmとし、y軸について、分散の差であるdを10ps/GHzとし、主ビーム方向が0°から、Δλ=0.5nm、Δf=0.3GHzの各変化量にて、搬送光の波長と局所周波数とを変化させるとする。そうすると、主ビーム方向は、60GHz帯(57GHz以上66GHz以下)の全帯域において、第1無線周波数信号VRF1(t)の周波数fRFに依存することなく、x軸について37.9°、y軸について47.5°の一定角度になる。
また、70GHz帯(71GHz以上76GHz以下)の電磁波を放射する場合、隣接する放射素子間の距離は、例えば、中心周波数73.5GHzに対応する自由空間波長の1/2、すなわち、2.04mmに設定すればよい。この場合において、x軸について、波長分散の差であるdλを10ps/nmとし、y軸について、分散の差であるdを10ps/GHzとし、主ビーム方向が0°から、Δλ=0.3nm、Δf=0.2GHzの各変化量にて、搬送光の波長と局所周波数とを変化させるとする。そうすると、主ビーム方向は、70GHz帯(71GHz以上76GHz以下)の全帯域において、第1無線周波数信号VRF1(t)の周波数fRFに依存することなく、x軸について26.2°、y軸について36°の一定角度になる。
このように、特許文献1の時間遅延器では、周波数fRFが変わると、主ビーム方向の角度αも変わってしまうので、本発明に係る時間遅延器の優位性が明らかである。
(3.分散補償)
図2は、図1に示す無線周波数信号生成部1Ciの変形例である無線周波数信号生成部1Ci'の構成を示すブロック図である。図2に示すように、無線周波数信号生成部1Ci'は、前記無線周波数信号生成部1Ciの構成に加えて、混合器MX2の出力側、すなわち混合器MX2から第2無線周波数信号VRF2(t)が出力される各伝送線路に、さらにサーキュレータC3と分散付与フィルタDF3j(j=1〜n)とを備えている。混合器MX2の出力端子は、サーキュレータC3の3つのポートのうち第1ポートに接続され、サーキュレータC3の第2ポートには分散付与フィルタDF3jが接続されている。
分散付与フィルタDF3jが与える分散は、分散付与フィルタDF2jが与える分散と逆符号に設定されている。つまり、分散付与フィルタDF2jが正の分散+D+(j−1)d[s/Hz]を与える場合には、分散付与フィルタDF3jは負の分散−{D+(j−1)}[s/Hz]を与え、分散付与フィルタDF2が負の分散−{D+(j−1)d}[s/Hz]を与える場合には、分散付与フィルタDF3は正の分散+D(j−1)d[s/Hz]を与える。
これにより、サーキュレータC3の第3ポートから、第2無線周波数信号VRF2(t)に含まれている遅延を修正した、より適切な遅延を有する第3無線周波数信号VRF3(t)が出力される。
無線周波数信号生成部1Ci'が、より適切な遅延を有する第3無線周波数信号VRF3(t)を生成できる理由は以下のとおりである。第2無線周波数信号VRF2(t)の周波数は、前記式(26)からfRFである。したがって、例えば分散付与フィルタDF21が正の分散+D[s/Hz]を与え、かつ、分散付与フィルタDF31は負の分散−D[s/Hz]を与える場合には、VRF3(t)=VRF2(t−DfRF)となる。したがって、上記の式(26)の遅延δに含まれる項DfRFをキャンセルすることができる。
これにより、θ+θ31−(θ41+θ)=0とした場合には、周波数fRFを全く含まない遅延δを生成することができる。この場合、無線周波数信号生成部1Ci'は、第1局所信号VLO(t)の周波数fLOに比例して変動する最適な遅延δを生成することができる。
なお、無線周波数信号生成部1Ci'の構成は、後述する図5に示す無線周波数信号生成部3Ciにも同様に適用することができる。
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係る送受信兼用のフェイズドアレイアンテナ2の構成について、図3を参照して説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
(1.フェイズドアレイアンテナの構成)
(フェイズドアレイアンテナの概略構成)
図3は、フェイズドアレイアンテナ2の構成を示すブロック図である。フェイズドアレイアンテナ2は、送信用アンテナ部2Aと、m個の受信用アンテナ部2Bi(i=1〜m)と、m個×n個の放射素子Aijとを備えている。送信用アンテナ部2Aの構成は、前記実施形態で説明したフェイズドアレイアンテナ1の構成と同じである。m個の受信用アンテナ部2B1〜2Bmのうち、i番目の受信用アンテナ部2Biは、送信用アンテナ部2Aに具備されたm個の前記光導波路OWG1〜OWGmのうちi番目の光導波路OWGiに対応して設けられている。さらに、各受信用アンテナ部2Biは、n個の受信回路Bi1〜Binを備えている。
i番目の光導波路OWGiに対応して設けられたn個の放射素子Ai1〜Ainは、前記実施形態で説明した送信用アンテナ部2Aの時間遅延器TDi1〜TDinと、受信回路Bi1〜Binとの間に接続され、送信用アンテナ部2Aのi番目の無線周波数信号生成部1Ciと、受信用アンテナ部2Biとによって共有されている。以下に、受信回路Bi1〜Binの構成について説明するが、1番目の受信回路Bi1の構成を代表的に取り上げて説明し、適宜、j番目の受信回路Bij等の構成についても補足する。
(受信回路の構成)
受信回路Bi1は、信号光生成部Bi1aと、遅延信号光生成部Bi1bと、無線周波数信号生成部Bi1cとを備えている。
(信号光生成部の構成)
信号光生成部Bi1aは、混合器MX1(第1混合器)と、合波器MPと、光変調器OMとを備えている。混合器MX1の2つの入力端子のうち、第1入力端子には、放射素子Ai1が受信した第1無線周波数信号VRF1(t)が入力される。混合器MX1の第2入力端子には、第1伝送線路TL1を介して、局所信号源LOが接続されている。
合波器MPの2つの入力端子のうち、第1入力端子には、混合器MX1の出力端子が接続されている。また、合波器MPの第2入力端子には、第2伝送線路TL2を介して、局所信号源LOが接続されている。
光変調器OMは、光源LSが生成する搬送光CLを、合波器MPから出力される信号(後述)で強度変調することによって、信号光SL1を生成する。j番目の光変調器OMは、搬送光CLを、j番目の合波器MPから出力される信号で強度変調することによって、信号光SLjを生成する。なお、局所信号源LO及び光源LSは、フェイズドアレイアンテナ2の全体に対して、1つずつ設けるだけでよい。したがって、光源LSは、m×n個の受信回路Bijに対して共通の搬送光CLを生成する。
(遅延信号光生成部の構成)
遅延信号光生成部Bi1bは、1つの光導波路OWG1を備えている。なお、受信回路Bi1,…,Bij,…,Binに対応して設けられた光導波路OWG1,…,OWGj,…,OWGnにそれぞれ設定された遅延は、互いに等しく、かつ、送信用アンテナ部2Aのi番目の光導波路OWGiに設定された遅延ψ={Dλ+(i−1)dλ}λ+φに等しい。言い換えると、遅延ψの大きさは、受信回路Bijのi=1〜mに応じて互いに異なる量変化するように設定されている。光導波路OWG1は、信号光SLに上記の遅延ψを与えることによって、遅延信号光SL'1を生成する。j番目の光導波路OWGjも、信号光SLに上記の遅延ψを与えることによって、遅延信号光SL'jを生成する。
(無線周波数信号生成部の構成)
無線周波数信号生成部Bi1cは、O/E変換器OEと、分波器DIPと、時間遅延器TDi1’とを備えている。時間遅延器TDi1’の構成は、前記実施形態で説明した時間遅延器TDi1の構成と同じである。
(2.フェイズドアレイアンテナの動作)
上記の構成を備えたフェイズドアレイアンテナ2の受信回路Bijが、周波数fRFを有する第1無線周波数信号VRF1(t)を放射素子Aijから入力し、周波数fLO(fLO<fRF)を有する第1局所信号VLO1(t)を局所信号源LOから入力して、最終的に周波数fRFを有する第2無線周波数信号VRF2(t)を出力する動作を以下説明する。
まず、混合器MX1の第1入力端子には、放射素子Aijによって受信された第1無線周波数信号VRF1(t)が入力される。混合器MX1の第2入力端子には、第1局所信号VLO1(t)に対し、第1伝送線路TL1による遅延θ1jを与えることにより得られた第2局所信号VLO2(t)=VLO1(t−θ1j)が入力される。遅延θ1jの大きさは、受信回路Bi1〜Binにおいて互いに相違しているとする。ただし、第1伝送線路TL1の配線レイアウトによって、遅延θ1jの大きさを、受信回路Bi1〜Binによらず一定にしてもよい。
混合器MX1は、第1入力端子に入力される第1無線周波数信号VRF1(t)と、第2入力端子に入力される第2局所信号VLO2(t)とを乗算した後、高周波成分をカットする(第2局所信号VLO2(t)を用いて第1無線周波数信号VRF1(t)をダウンコンバートする)ことによって、周波数fRF−fLOを有する第1中間周波数信号VIF1(t)を生成する。第1中間周波数信号VIF1(t)は、合波器MPの第1入力端子に入力される。
合波器MPの第2入力端子には、第1局所信号VLO1(t)に対し、第2伝送線路TL2による遅延θ2jを与えることにより得られた第3局所信号VLO3(t)=VLO1(t−θ2j)が入力される。これにより、合波器MPは、第1中間周波数信号VIF1(t)と第3局所信号VLO3(t)とを加算することによって、和信号VIF1+LO3(t)=VIF1(t)+VLO3(t)を生成する。
続いて、光変調器OMは、光源LSが生成した搬送光CLと和信号VIF1+LO3(t)とから信号光SLjを生成し、光導波路OWGjが、信号光SLに遅延ψ={Dλ+(i−1)dλ}λ+φを与えることによって遅延信号光SL’jを生成する。n個の光導波路OWG1,…,OWGj,…,OWGnに対して等しく設定される遅延ψの大きさは、m×n個の放射素子Aijが受信する電磁波の主ビーム方向の行方向成分に応じて設定される。また、行方向に配列された放射素子A1j〜Amjにおいて、隣り合う放射素子AijとA(i-1)j同士の時間遅延差Δt=ψ−ψi−1は、一定値dλと波長変化量の積に等しく、等差的に設定されている。
この結果、時間遅延差Δtが、前述したd×sinα/cに一致するように設定すれば、行方向に配列された放射素子A1j〜Amjは、等位相面の傾き角がαとなる電磁波を効率良く受信することができる。また、遅延ψの大きさを変えることによって、放射素子A1j〜Amjが電磁波を効率良く受信できる方向(受信する電磁波の主ビーム方向)を変化させることができる。また、搬送光CLを生成するための光源がひとつで済むので、より安価なフェイズドアレイアンテナを実現することができる。
受信回路Bijに備えられた無線周波数信号生成部Bijcが、前記遅延信号光SL’jから第2無線周波数信号VRF2(t)を生成する動作は、前記実施形態で説明した無線周波数信号生成部1Ciが、遅延信号光SL’iから第2無線周波数信号VRF2(t)を生成する動作と全く同じである。したがって、その重複する説明を省略する。
(3.分散補償)
図4は、図3に示す無線周波数信号生成部Bi1cの変形例である無線周波数信号生成部Bi1c'の構成を示すブロック図である。図4に示すように、各混合器MX2から第2無線周波数信号VRF2(t)が出力される伝送線路に、分散付与フィルタDF21とは逆符号の分散を与える分散付与フィルタDF3(第3分散付与フィルタ)を挿入してもよい。より具体的には、各混合器MX2と、各時間遅延器TDij’から出力される第2無線周波数信号VRF2(t)の和信号が出力される合流端子との間にサーキュレータC3を挿入し、サーキュレータC3の第1ポートを各混合器MX2の出力端子に接続し、第2ポートを分散付与フィルタDF3に接続し、第3ポートを合流端子に接続する。
これにより、各時間遅延器TDij’から出力される第2無線周波数信号VRF2(t)の第1無線周波数信号VRF(t)に対する遅延δから第1無線周波数信号VRF1(t)の周波数fRFに比例する項+DfRF又は−DfRFを除去することができる。この結果、第2無線周波数信号VRF2(t)が出力される伝送線路によって、第2無線周波数信号VRF2(t)の信号波形が崩されることを抑えられるので、第2無線周波数信号VRF2(t)の信号品質を向上させることができる。
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態に係る送信用のフェイズドアレイアンテナ3の構成について、図5を参照して説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
(フェイズドアレイアンテナの概略構成)
図5は、フェイズドアレイアンテナ3の構成を示すブロック図である。フェイズドアレイアンテナ3は、m個×n個の放射素子Aijと、信号光生成部3Aと、遅延信号光生成部3Bと、無線周波数信号生成部3Ciとを備えている。放射素子Aijと無線周波数信号生成部3Ciとは、前記実施形態で説明したフェイズドアレイアンテナ1の放射素子Aijと無線周波数信号生成部1Ciと、構成及び動作において全く同じである。一方、信号光生成部3A及び遅延信号光生成部3Bは、フェイズドアレイアンテナ1の信号光生成部1A及び遅延信号光生成部1Bと、構成及び動作において異なっている。
(信号光生成部の構成及び動作)
信号光生成部3Aは、局所信号源LOと、無線周波数信号源RFと、第1伝送線路TL1(図1参照)と、混合器MX1と、第2伝送線路TL2(図1参照)と、合波器MPと、光源LS1〜LSm(光源群)と、光合波器OMPと、光変調器OM(強度変調器)と、を備えている。局所信号源LO、無線周波数信号源RF、第1伝送線路TL1、混合器MX1、第2伝送線路TL2、及び光変調器OMについては、フェイズドアレイアンテナ1において説明したとおりなので、重複する説明を省略する。
光源LSi(i=1〜m)は、搬送光CLi(i=1〜m)を生成する。生成される搬送光CL1,CL2,…,Cmの波長λ1,λ2,…,λmは、互いに異なっている。各光源LSiにて生成された搬送光CLiは、光合波器OMPに供給される。なお、本実施形態においては、光源LSiとして、半導体レーザ素子を用いる。
光合波器OMPは、搬送光CL1,CL2,…,CLmを合波することによって、搬送光CLを生成する。搬送光CLには、波長λ1,λ2,…,λmを有する搬送光CL1,CL2,…,CLmが成分として含まれる。光合波器OMPにて生成された搬送光CLは、光変調器OMに供給される。これにより、光変調器OMは、搬送光CLと前記実施形態で説明した和信号VIF1+LO3(t)とから信号光SLを生成する。
(遅延信号光生成部の構成及び動作)
遅延信号光生成部3Bは、光導波路OWGと、波長分波器WDMとを備えている。なお、遅延信号光生成部3Bは、光源LSi、光合波器OMP及び光変調器OMとともに、時間遅延光学系を構成する。
光導波路OWGは、波長分散媒質により構成された光導波路であり、信号光SLに波長分散(波長λに依存した時間遅延)を与えることによって、信号光SLに遅延ψを与えた遅延信号光SL’を生成する。信号光SLには、波長の異なる信号光SL1,SL2,…,SLmが成分として含まれているので、光導波路OWGは、信号光SL1,SL2,…,SLmに対して、ψ=Dλλi+φ0_i(i=1〜m)を与えることによって、遅延信号光SL’を生成する。遅延信号光SL’には、波長及び位相の異なる遅延信号光SL’1,SL’2,…,SL’mが成分として含まれている。なお、本具体例においては、光導波路OWGとして、シングルモードファイバを用いる。
光導波路OWGにて生成された遅延信号光SL’は、波長分波器WDMに供給される。波長分波器WDMは、遅延信号光SL’を波長分波することによって、遅延信号光SL’1,SL’2,…,SL’nを生成(抽出)する。波長分波器WDMにて生成された各遅延信号光SL’iは、前記実施形態で説明した無線周波数信号生成部1Ciと同一構成を備えた無線周波数信号生成部3Ciに供給される。
なお、本実施形態に係るフェイズドアレイアンテナ3においては、行方向に配列された放射素子A1j,…,Aij,…,Amjについて、各搬送光CLiの波長λiを変化させることによって、遅延ψを変化させることができる。光導波路OWGとして、波長分散媒質により構成された光導波路を用いているからである。したがって、生成する搬送光CLiの波長λiが可変な光源を光源LSiとして用い、各光源LSiが生成する搬送光CLiの波長λiを変化させることによって、行方向に配列された放射素子A1j,…,Aij,…,Amjが送信する電磁波の主ビーム方向を制御することができる。
また、フェイズドアレイアンテナ3においては、光導波路OWGが信号光SLに与える波長分散を変化させることによっても、信号光SLに与える遅延ψを変えることができ、結果的に、第1無線周波数信号VRF1(t)に与える遅延δ(上記の式(27)参照)を変化させることができる。したがって、信号光SLに与えられる波長分散が可変な光導波路を光導波路OWGとして用い、光導波路OWGが信号光SLに与える遅延ψを変化させることによって、行方向に配列された放射素子A1j,…,Aij,…,Amjが送信する電磁波の主ビーム方向を制御することができ、局所信号の周波数を変えることで列方向に配列された放射素子Ai1,…,Aij,…,A1nが送信する電磁波の主ビーム方向を制御することもできる。
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態に係る送信用のフェイズドアレイアンテナ4の構成について、図6を参照して説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
(フェイズドアレイアンテナの概略構成)
図6は、フェイズドアレイアンテナ4の構成を示すブロック図である。フェイズドアレイアンテナ4は、図3に示すフェイズドアレイアンテナ2の受信用アンテナ部2Biを受信用アンテナ部4Bjに置き換えた構成を備えている。なお、図3の受信用アンテナ部2Biは同一行に配列された放射素子Ai1〜Ainに対応した回路構成を示しているのに対し、図6は同一列に配列された放射素子A1j〜Amjに対応した回路構成を示している。しかし、その構成および動作の本質は変わらない。
受信用アンテナ部4Bjは、m個の受信回路Bij(i=1〜m)を備えている。m個の受信回路Bij(i=1〜m)は、j列目に配列された放射素子A1j〜Amjに対応しているので、フェイズドアレイアンテナ4の全体では、m×n個の受信回路Bij(i=1〜m、j=1〜n)を備えている。
受信用アンテナ部4Bjでは、j列目に配列された放射素子A1j〜Amjが受信した第1無線周波数信号VRF1_1j(t)〜VRF1_mj(t)に対し、行方向に異なる光学的遅延を与え、列方向に異なる電気的遅延を与えることによって、m個の第2無線周波数信号VRF2_1j(t)〜VRF2_mj(t)を生成し、これらを合波して第2無線周波数信号VRF2_j(t)を生成するようになっている。したがって、各列に配列された放射素子に対して、同様に生成したn個の第2無線周波数信号VRF2_1(t)〜VRF2_n(t)が最終的に合波されることによって、受信用アンテナ部4Bから第2無線周波数信号VRF2(t)が出力される。
(受信回路の構成及び動作)
受信用アンテナ部4Bjは、m個の受信回路B1j〜Bmjを備えている。受信回路B1j〜Bmjは、送信用アンテナ部に具備されたm個の前記光導波路OWG1〜OWGmに対して配列された1列目からn列目の放射素子のうち、j列目の放射素子A1j〜Amjにそれぞれ対応している。受信回路Bij(i=1〜m)は、信号光生成部Bija'(i=1〜m)と、受信回路B1j〜Bmjに共有された遅延信号光生成部Bjbと、無線周波数信号生成部Bijc(i=1〜m)とを備えている。
無線周波数信号生成部Bijcの各構成及び各動作は、フェイズドアレイアンテナ2の受信用アンテナ部2Biについて説明したとおりなので、重複した説明を省略する。ただし、無線周波数信号生成部B1jc〜Bmjcは、j番目の同じ列の放射素子A1j〜Amjに対応しているので、同じ大きさの負の分散−{D+(j−1)d}[s/Hz]を与える分散付与フィルタDF1jと、同じ大きさの正の分散D+(j−1)d[s/Hz]を与える分散付与フィルタDF2jとを備えている。すなわち、ある列に配列された放射素子に対応した分散は、同じ大きさで符号が異なっており、かつ、1〜nの列に応じて大きさが異なっている。
信号光生成部Bija'は、放射素子A1j〜Amjに対応して、波長の異なる搬送光CL1j〜CLmjを生成する光源LS1j〜LSmjを備えている。なお、同一行の光源LSi1〜LSinの波長は同一であるから、例えば、1行目の光源LS11〜LS1nを別々に設ける必要はなく、光源LS11が出射する搬送光を分岐すればよい。
信号光生成部B1ja'〜Bmja'の各光変調器OMは、対応する搬送光CL1j〜CLmjを、対応する前記和信号VIF1+LO3(t)に基づいて強度変調し、信号光SL1j,SL2j,…,SLmjを生成する。
遅延信号光生成部Bjbは、光合波器OMPと、光導波路OWGjと、波長分波器WDMとを備えている。生成された信号光SL1j,SL2j,…,SLmjは、光合波器OMPによって合波され、信号光SLjとなる。光導波路OWGjは、信号光SLjに成分として含まれる信号光SL1j,SL2j,…,SLmjのそれぞれに、波長に応じた遅延ψを与えることによって、遅延信号光SL1j’,SL2j’,…,SLmj’を成分として含む遅延信号光SLj'を生成する。
波長分波器WDMは、遅延信号光SLj’を波長分波することによって、遅延信号光SLj'1,SLj'2,…,SLj'mを生成(抽出)する。波長分波器WDMにて生成された各遅延信号光SLj'iは、無線周波数信号生成部Bijcが具備する前記O/E変換器OEに入力される。
〔第5の実施形態〕
第5の実施形態として、図7に送受信用のフェイズドアレイアンテナ5を示す。フェイズドアレイアンテナ5は、図5を参照して説明した送信用のフェイズドアレイアンテナ3と、図6を参照して説明した受信用アンテナ部4Bとを組み合わせた構成を備えている。構成および動作については、既に説明したとおりなので、重複した説明を省略する。
〔付記事項〕
以上のように、本発明に係るフェイズドアレイアンテナでは、放射素子Aijがm行n列に配列され、行方向に異なる遅延を与えた遅延第3局所信号(VLO3(t−ψ))に対し、さらに列方向に異なる遅延を与える第1分散付与フィルタ(DF1j)の分散と、第1局所信号(VLO1(t))および第1無線周波数信号(VRF1(t))から生成した第1中間周波数信号(VIF1(t))に対し、行方向に異なる遅延を与えた後で、列方向に異なる遅延を与える第2分散付与フィルタ(DF2j)の分散とは、正負の符号が互いに逆に設定されている。
本発明は上述した実施形態や各変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態又は各変形例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1、2、3、4 フェイズドアレイアンテナ
Ai1、Aij、Ain 放射素子
Bi1、Bij、Bin 受信回路
DF11、DF1j、DF1n 分散付与フィルタ(第1分散付与フィルタ)
DF21、DF2j、DF2n 分散付与フィルタ(第2分散付与フィルタ)
DF3、DF4 分散付与フィルタ(第3分散付与フィルタ)
LS、LS1、LS2、LSm 光源(光源群、時間遅延光学系)
OM 光変調器(時間遅延光学系、強度変調器)
OMP 光合波器(時間遅延光学系、合波器)
1B 遅延信号光生成部(時間遅延光学系)
3B 遅延信号光生成部(時間遅延光学系)
DIP 分波器
MX1 混合器(第1混合器)
MX2 混合器(第2混合器)
OD 光分岐器
OE O/E変換器
OWG1、OWGi、OWGn 光導波路(光導波路群)
TDi1、TDi1’、TDij、TDij’、TDin、TDin’ 時間遅延器
TD21、TD22、…、TD2n 時間遅延器
TL1 第1伝送線路
TL2 第2伝送線路
TL3 第3伝送線路
TL4 第4伝送線路
WDM 波長分波器

Claims (8)

  1. m個(mは2以上の整数)×n個(nは2以上の整数)の2次元的に配列された放射素子Aij(i=1〜m,j=1〜n)と、
    周波数fLOを有する第1局所信号VLO1(t)に遅延θを与えることによって、第2局所信号VLO2(t)=VLO1(t−θ)を生成する第1伝送線路と、
    前記第1局所信号VLO1(t)に遅延θを与えることによって、第3局所信号VLO3(t)=VLO1(t−θ)を生成する第2伝送線路と、
    周波数fRF(fLO<fRF)を有する第1無線周波数信号VRF1(t)と前記第2局所信号V LO2 (t)とを乗算することによって、周波数fRF−fLOを有する第1中間周波数信号VIF1(t)を生成する第1混合器と、
    前記第3局所信号VLO3(t)と前記第1中間周波数信号VIF1(t)とを加算した和信号VIF1+LO3(t)から信号光SLを生成し、生成した信号光SLに遅延ψ,…,ψ,…,ψを与えることによって、m個の遅延信号光SL'1,…,SL'i,…,SL'mを生成する時間遅延光学系と、
    前記遅延信号光SL'iをO/E変換することによって、遅延和信号VIF1+LO3(t−ψ)を生成するO/E変換器と、
    前記遅延和信号VIF1+LO3(t−ψ)を分波することによって、遅延中間周波数信号VIF1(t−ψ)と遅延局所信号VLO3(t−ψ)とを生成する分波器と、
    n個ずつm個のグループに分けられた合計m個×n個の時間遅延器TDij(i=1〜m、j=1〜n)であって、各グループに属するn個の時間遅延器TDijに対応する前記遅延信号光SL'iが入力される時間遅延器TDijと、を備えており、
    前記時間遅延器TDijのそれぞれは、
    第1分散付与フィルタが挿入された第3伝送線路であって、前記第1分散付与フィルタによる遅延θDjと、前記第3伝送線路による遅延θ3jとを前記遅延局所信号VLO3(t−ψ)に与えることによって、第4局所信号VLO4(t)=VLO3(t−ψi−θDj−θ3j)を生成する第3伝送線路と、
    前記第1分散付与フィルタとは逆符号の分散を与える第2分散付与フィルタが挿入された第4伝送線路であって、前記第2分散付与フィルタによる遅延θDj'と、前記第4伝送線路による遅延θ4jとを前記遅延中間周波数信号VIF1(t−ψ)に与えることによって、第2中間周波数信号VIF2(t)=VIF1(t−ψ−θDj'−θ4j)を生成する第4伝送線路と、
    前記第4局所信号VLO4(t)と前記第2中間周波数信号VIF2(t)とを乗算することによって、周波数fRFを有する第2無線周波数信号VRF2(t)を生成する第2混合器と、を備えており、
    前記遅延θDj及び遅延θDj'の各大きさは、同一のグループに属するn個の前記時間遅延器TDij同士で互いに異なっており、
    各時間遅延器TDijにて生成された前記第2無線周波数信号VRF2(t)を、対応する放射素子Aijに供給する、
    ことを特徴とする送信用のフェイズドアレイアンテナ。
  2. m個(mは2以上の整数)×n個(nは2以上の整数)の2次元的に配列された放射素子Aij(i=1〜m、j=1〜n)と、
    合計m個×n個の受信回路Bij(i=1〜m、j=1〜n)とを備えており、
    前記受信回路Bijのそれぞれは、
    周波数fLOを有する第1局所信号VLO1(t)に遅延θ1jを与えることによって、第2局所信号VLO2(t)=VLO1(t−θ1j)を生成する第1伝送線路と、
    前記第1局所信号VLO1(t)に遅延θ2jを与えることによって、第3局所信号VLO3(t)=VLO1(t−θ2j)を生成する第2伝送線路と、
    周波数fRF(fLO<fRF)を有する第1無線周波数信号VRF1(t)と前記第2局所信号V LO2 (t)とを乗算することによって、周波数fRF−fLOを有する第1中間周波数信号VIF1(t)を生成する第1混合器と、
    前記第3局所信号VLO3(t)と前記第1中間周波数信号VIF1(t)とを加算した和信号VIF1+LO3(t)から信号光SLjを生成し、生成した信号光SLjに遅延ψを与えることによって、遅延信号光SL'jを生成する時間遅延光学系と、
    前記遅延信号光SL'jが入力される時間遅延器TDijと、を備えており、
    前記時間遅延器TDijは、
    前記遅延信号光SL'jをO/E変換することによって、遅延和信号VIF1+LO3(t−ψ)を生成するO/E変換器と、
    前記遅延和信号VIF1+LO3(t−ψ)を分波することによって、遅延中間周波数信号VIF1(t−ψ)と遅延局所信号VLO3(t−ψ)とを生成する分波器と、
    第1分散付与フィルタが挿入された第3伝送線路であって、前記第1分散付与フィルタによる遅延θDjと、前記第3伝送線路による遅延θとを前記遅延局所信号VLO3(t−ψ)に与えることによって、第4局所信号VLO4(t)=VLO3(t−ψ−θDj−θ)を生成する第3伝送線路と、
    前記第1分散付与フィルタとは逆符号の分散を与える第2分散付与フィルタが挿入された第4伝送線路であって、前記第2分散付与フィルタによる遅延θDj'と、前記第4
    伝送線路による遅延θとを前記遅延中間周波数信号VIF1(t−ψ)に与えることによって、第2中間周波数信号VIF2(t)=VIF1(t−ψ−θDj'−θ
    を生成する第4伝送線路と、
    前記第4局所信号VLO4(t)と前記第2中間周波数信号VIF2(t)とを乗算することによって、周波数fRFを有する第2無線周波数信号VRF2(t)を生成する第2混合器と、を備えており、
    前記遅延θDj及び遅延θDj'の各大きさは、同一のグループに属するn個の前記時間遅延器TDij同士で互いに異なっており、
    各放射素子Aijから出力された無線信号を、前記第1無線周波数信号VRF1(t)として対応する前記第1混合器に供給する、
    ことを特徴とする受信用のフェイズドアレイアンテナ。
  3. 前記時間遅延光学系は、
    搬送光CLを生成する光源と、
    前記信号光SLを分岐することによって、信号光SL1,…,SLi,…,SLmを生成する光分岐器と、
    各信号光SLiに前記遅延ψを与えることによって、前記遅延信号光SL'iを生成する光導波路からなる光導波路群であって、各光導波路にて与えられる遅延ψ,ψ,…,ψの大きさをそれぞれ制御できる光導波路群と、を更に有している、
    ことを特徴とする請求項1に記載のフェイズドアレイアンテナ。
  4. 前記時間遅延光学系は、
    搬送光CLを生成する光源と、
    前記信号光SLjに前記遅延ψを与えることによって、前記遅延信号光SL'jを生成する光導波路であって、前記遅延ψの大きさが、前記受信回路Bijのi=1〜mに応じて互いに異なる量変化するように設定されている光導波路と、を更に有している、ことを特徴とする請求項2に記載のフェイズドアレイアンテナ。
  5. 前記時間遅延光学系は、
    搬送光CLiを生成する光源からなる光源群であって、各光源にて生成される搬送光CL1,CL2,…,CLmの波長が異なる光源群と、
    搬送光CL1,CL2,…,CLmを合波することによって、搬送光CLを生成する合波器と、
    前記搬送光CLを、前記和信号VIF1+LO3(t)に基づいて強度変調し、前記信号光SLを生成する強度変調器と、
    前記信号光SLに波長分散を与えることによって、遅延信号光SL'を生成する光導波路と、
    前記遅延信号光SL'を波長分波することによって、前記遅延信号光SL'1,…,SL'i,…,SL'mを生成する波長分波器と、を更に有している、
    ことを特徴とする請求項1に記載のフェイズドアレイアンテナ。
  6. m個(mは2以上の整数)×n個(nは2以上の整数)の2次元的に配列された放射素子Aij(i=1〜m、j=1〜n)と、
    合計m個×n個の受信回路Bij(i=1〜m、j=1〜n)とを備えており、
    前記受信回路Bijのそれぞれは、
    周波数fLOを有する第1局所信号VLO1(t)に遅延θ1jを与えることによって、第2局所信号VLO2(t)=VLO1(t−θ1j)を生成する第1伝送線路と、
    前記第1局所信号VLO1(t)に遅延θ2jを与えることによって、第3局所信号VLO3(t)=VLO1(t−θ2j)を生成する第2伝送線路と、
    周波数fRF(fLO<fRF)を有する第1無線周波数信号VRF1(t)と前記第2局所信号V LO2 (t)とを乗算することによって、周波数fRF−fLOを有する第1中間周波数信号VIF1(t)を生成する第1混合器と、
    前記第3局所信号VLO3(t)と前記第1中間周波数信号VIF1(t)とを加算した和信号VIF1+LO3(t)から信号光SLjを生成し、生成した信号光SLjに遅延ψを与えることによって、遅延信号光SL'ijを生成する時間遅延光学系と、
    前記遅延信号光SL'ijが入力される時間遅延器TDijと、を備えており、
    前記時間遅延器TDijは、
    前記遅延信号光SL'ijをO/E変換することによって、遅延和信号VIF1+LO3(t−ψ)を生成するO/E変換器と、
    前記遅延和信号VIF1+LO3(t−ψ)を分波することによって、遅延中間周波数信号VIF1(t−ψ)と遅延局所信号VLO3(t−ψ)とを生成する分波器と、
    第1分散付与フィルタが挿入された第3伝送線路であって、前記第1分散付与フィルタによる遅延θDijと、前記第3伝送線路による遅延θとを前記遅延局所信号VLO3(t−ψ)に与えることによって、第4局所信号VLO4(t)=VLO3(t−ψ−θDij−θ)を生成する第3伝送線路と、
    前記第1分散付与フィルタとは逆符号の分散を与える第2分散付与フィルタが挿入された第4伝送線路であって、前記第2分散付与フィルタによる遅延θDij'と、前記第4伝送線路による遅延θとを前記遅延中間周波数信号VIF1(t−ψ)に与えることによって、第2中間周波数信号VIF2(t)=VIF1(t−ψ−θDij'−θ)を生成する第4伝送線路と、
    前記第4局所信号VLO4(t)と前記第2中間周波数信号VIF2(t)とを乗算することによって、周波数fRFを有する第2無線周波数信号VRF2(t)を生成する第2混合器と、を備えており、
    前記遅延θDij及び遅延θDij'の各大きさは、iが同じならば互いに同じである一方、jが異なっているならば互いに異なっており、
    前記時間遅延光学系は、放射素子A1j〜Amjに対応して搬送光CL1j〜CLmjを生成する光源と、
    搬送光CL1j〜CLmjを、対応する前記和信号VIF1+LO3(t)に基づいて強度変調し、信号光SL1j,…,SLij,…,SLmjを生成するm個の強度変調器と、
    前記信号光SL1j,…,SLij,…,SLmjを合波することによって、前記信号光SLjを生成する合波器と、
    前記信号光SLjに波長分散を与えることによって、遅延信号光SL'jを生成する光導波路と、
    前記遅延信号光SL'jを波長分波することによって、前記遅延信号光SL'ij(i=1〜m)を生成する波長分波器と、を更に有しており、
    各放射素子Aijから出力された無線信号を、前記第1無線周波数信号VRF1(t)として対応する前記第1混合器に供給する、
    ことを特徴とする受信用のフェイズドアレイアンテナ。
  7. 前記遅延ψが、対応するm個の放射素子Aij(i=1〜m)の配列順に等差的に設定されており、
    前記第1分散付与フィルタ及び前記第2分散付与フィルタが信号に与える分散の絶対値を、各グループに属するn個の前記時間遅延器TDijにおいて|D|であるとすると、分散の絶対値|D|が、対応するn個の放射素子Aij(j=1〜n)の配列順に等差的に設定されている、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のフェイズドアレイアンテナ。
  8. 前記第1伝送線路及び前記第4伝送線路と各電気長の和は、前記第2伝送線路及び前記第3伝送線路の各電気長の和と等しい、
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のフェイズドアレイアンテナ。
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