JP6314835B2 - 有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法及び製造装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法及び製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンスパネル(以下、「有機ELパネル」とも記載する。)の製造方法及び製造装置に関する。
有機ELパネルの発光層を構成する材料及び発光ユニットは、吸湿すると、その発光輝度は著しく損なわれる。そのため、有機ELパネルの内部を低湿度環境に保つことが必要であり、外気から遮断・保護するための手段を設けて封止構造としている。
有機ELパネルの製造方法としては、例えば、ガラスキャップや金属製缶と接着材とを使用して気密性空間を作り、その中に有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」とも記載する。)及び乾燥剤を入れて封止するケーシングタイプの方法が開示されている。
また近年は、プラスチック基板上やガラス基板上に薄い有機発光層を形成し、可撓性のあるハイバリアフィルムや金属箔等を用いて、接着材で面接着して封止する固体封止タイプの有機ELパネルの製造方法が開発されている。この製造方法は、耐湿性に優れた薄型・軽量の有機ELパネルの製造方法として実用化が進められている。
一方、樹脂フィルム等の可撓性の基板を用いて、ロールツーロール方式によって有機ELパネルを製造する方法も盛んに検討されるようになってきた。ロールツーロール方式による製造方法は、連続生産が可能なので、生産効率を向上させるというメリットを有している。また、面接着構造の封止方法では、封止性能すなわち貼合品質を向上させるために、真空下で貼り合せる等の各種方式が提案されている。
特許文献1には、真空中で蒸着成膜し、真空下で基板同士を貼り合せる製造方法が開示されている。特許文献2には、連続基材同士の真空ラミネーションにおいて、チャンバ内にストレージ手段を設けることによって効率よくラミネートすることが開示されている。特許文献3は、高真空チャンバ内で、連続する基板にハーフカットした封止材を貼り合せる封止装置に関するものであり、該チャンバ前後にゲートバルブを介したチャンバを設けて、高真空のまま連続処理する装置が開示されている。
特表2010−525520号公報 特開2002−52610号公報 特開2010−182530号公報
有機EL素子を表面に有する素子基板と封止基板とを接着材で面接着して封止する固体封止タイプの有機ELパネルの製造方法において、真空下で貼り合せを実施することは、気泡の巻き込みや封止基材のシワの発生を抑制することができ、封止性能を向上させることが可能である。しかしまだ十分なものではない。特に、ボイド(真空の空洞)や基板表面のヒケが発生し易くなり、封止性能の他、外観上の見栄え、発光性能への影響が問題となっている。また、連続基板の貼り合せ処理を実施する場合、真空チャンバの寸法上の制約から処理長さに限界があり、生産性向上に限界があるといった問題が存在している。
特許文献1では、真空下で貼り合せを行っているが、ボイドや基板表面のヒケの発生が問題となる。特許文献2では、ストレージ手段に溜められた長さのみ連続して処理することが可能であり、生産性の向上に限界がある。また、随時チャンバを開閉する必要があり、環境劣化や真空度の低下が避けられない。さらに貼り合せ後にストレージ手段等で屈曲させたときに層間剥離が発生して、問題となる懸念がある。特許文献3では、貼合部の真空チャンバの前後に、ゲートバルブ付きのチャンバを設置し、連続処理可能な構造ではあるが、ゲート部は製品とならずにロスとなってしまい、製品収率が低下するという問題がある。
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものである。本発明の課題は、ボイドやヒケの発生を抑制し、有機ELパネルの封止性能、色ムラ等の発光性能、外観上の見栄えの向上を図ることを可能とする有機ELパネルの製造方法及び製造装置を提供することである。さらに、製造工程における層間剥離が抑制され、長尺基材を用いた連続生産が可能となり、生産性の向上を図ることを可能とする有機ELパネルの製造方法及び製造装置を提供することである。
本発明者らは、上記のボイド発生の現象について分析、検討を進めたところ、ボイドは主に真空下での加工時に起こるものであり、貼合ロールによる貼り合せ時に異物を噛み込んだり、貼合ロールの圧力むらや接着層の塗工むら等に起因して真空の空洞として発現するものであることを見出した。また、ボイドは、大気圧に戻したときには、そのまま層中に残存していたり、押しつぶされてへこみとなりヒケを発生させることとなり、封止性能を低下させたり、色ムラや発光欠点等の発光性能の低下につながる、ということを見出した。
そこで、こうした問題点の解決策を鋭意検討したところ、真空下で貼合ロールを用いて貼合した後に、接着層を一旦冷却させることによって、多層構造が安定化され、その後巻き取りすることが可能となり、長尺基材による連続加工が可能となることを見出した。さらに、真空下で素子基板と封止基板とを貼合した後に、大気圧環境下に移し、再度加熱して接着層を軟化させ、流動化させることによって、残存していた真空の空洞であるボイドが消滅したり、表面のヒケがならされて平坦になるという現象を見出した。その結果、封止性能が改善され、色ムラや発光欠点等といった欠点が改善されることを見出した。本発明は、上記の複数の知見を基に到達されたものである。
即ち、本発明は下記の構成を有するものである。
1.第1電極と発光層を含む有機機能層と第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子が表面に形成された長尺の素子基板と、シート状の接着層が表面に形成された長尺の封止基板とを、当該素子基板の有機エレクトロルミネッセンス素子が形成された面と当該封止基板の接着層が形成された面において貼合して、封止構造を形成する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、大気圧未満の減圧環境下にて、前記接着層を加熱して流動化させ、前記素子基板と前記封止基板とを貼合して多層基板を形成する貼合工程と、大気圧未満の減圧環境下にて、前記接着層を冷却して非流動化させる非流動化工程と、前記貼合工程及び前記非流動化工程の環境圧力よりも高い圧力環境下にて、前記接着層を加熱して流動化させる流動化工程とを有し、この順序にて封止構造を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
2.前記接着層は、硬化性樹脂から構成されることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
3.前記流動化工程の後に前記接着層を硬化させる硬化工程を有することを特徴とする前記2に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
4.前記硬化工程における前記接着層の硬化手段は、加熱又は光照射であることを特徴とする前記3に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
5.前記硬化工程は、前記貼合工程及び前記非流動化工程の環境圧力よりも高い圧力環境下にて行うことを特徴とする前記3又は4に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
6.前記接着層は、熱可塑性樹脂から構成されることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
7.前記流動化工程の後に前記接着層を冷却して非流動化させる工程を有することを特徴とする前記6に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
8.前記貼合工程における前記接着層の流動化とは、前記接着層を構成する樹脂の粘度を10Pa・s以上5000Pa・s未満とすることであり、前記流動化工程における前記接着層の流動化とは、前記接着層を構成する樹脂の粘度を10Pa・s以上5000Pa・s未満とすることであり、前記非流動化工程における前記接着層の非流動化とは、前記接着層を構成する樹脂の粘度を5000Pa・s以上とすることである前記1〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
9.前記貼合工程と前記非流動化工程は、空間的に連続して接続された減圧チャンバ内にて行われ、当該減圧チャンバ内にて前記非流動化工程後の貼合された多層基板をロール状に巻き取ることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
10.前記減圧チャンバ内にて巻き取られた貼合された多層基板のロールを、前記貼合工程及び前記非流動化工程の環境圧力よりも高い圧力環境下に移動させてから前記流動化工程を行うことを特徴とする前記9に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
11.大気圧未満の減圧環境下に保つ減圧チャンバと、前記減圧チャンバ内に、第1電極と発光層を含む有機機能層と第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子が表面に形成された長尺の素子基板のロールから素子基板を繰り出すための第1繰り出し部と、前記減圧チャンバ内に、シート状の接着層が表面に形成された長尺の封止基板のロールから封止基板を繰り出すための第2繰り出し部と、前記減圧チャンバ内に、前記素子基板と前記封止基板とを貼合する貼合部と、前記減圧チャンバ内に、前記接着層を冷却して非流動化させる非流動化部と、前記減圧チャンバの外に、前記貼合部及び前記非流動化部の環境圧力よりも高い圧力環境下にて、前記接着層を加熱して流動化させる流動化部とを備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造装置。
12.さらに、前記流動化部の後に、前記接着層を硬化させる硬化部を備えることを特徴とする前記11に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造装置。
13.前記硬化部における前記接着層の硬化手段は、加熱又は光照射であることを特徴とする前記12に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造装置。
14.前記減圧チャンバ内において、前記第1繰り出し部、前記第2繰り出し部、前記貼合部及び前記非流動化部は、空間的に連続して接続されていることを特徴とする前記1113のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造装置。
15.さらに、前記減圧チャンバ内の前記非流動化部の後に、貼合された多層基板をロール状に巻き取る巻き取り部を備え、前記減圧チャンバの外であって前記流動化部の前に、多層基板のロールから多層基板を繰り出す第3繰り出し部を備えることを特徴とする前記1114のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造装置。
16.さらに、前記減圧チャンバ内にて巻き取られた貼合された多層基板のロールを大気圧にまで復圧することができる復圧部を備えることを特徴とする前記15に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造装置。
本発明の有機ELパネルの製造方法によると、ボイドやヒケの発生を抑制し、有機ELパネルの封止性能、色ムラ等の発光性能、外観上の見栄えの向上を図ることができる。また、製造工程における層間剥離の発生が抑制され、長尺基材を用いた連続生産が可能となり、生産性の向上を図ることができる。
本発明の有機ELパネルの製造装置によると、上記の有機ELパネルの製造方法と同様に、ボイドやヒケの発生を抑制し、有機ELパネルの封止性能、色ムラ等の発光性能、外観上の見栄えの向上を図ることができる。また、製造工程における層間剥離が抑制され、長尺基材を用いた連続生産が可能となり、生産性の向上を図ることができる。
本実施形態の有機ELパネルの製造工程及び製造装置を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明するが、本発明は、以下に説明する実施形態に何ら制限されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で実施形態を任意に変更して実施することが可能である。
(有機ELパネルの製造方法)
本実施形態の有機ELパネルの製造は、第1電極と発光層を含む有機機能層と第2電極とを有する有機EL素子が表面に形成された長尺の素子基板と、シート状の接着層が表面に形成された長尺の封止基板とを、当該素子基板の有機EL素子が形成された面と当該封止基板の接着層が形成された面において貼合して、封止構造を形成する方法(固体封止法)によって行われる。
(有機ELパネル)
本実施形態において、有機ELパネルは、有機EL素子が表面に形成された素子基板と、接着層が表面に形成された封止基板とを、それぞれ当該素子基板の有機EL素子が形成された面と当該封止基板の接着層が形成された面において、貼合することによって形成される多層構造を有している。
ここで、有機EL素子は少なくとも、素子基板上に形成された第1電極、当該第1電極上に形成されかつ発光層を含む有機機能層及び当該有機機能層上に形成された第2電極を有しており、薄膜状である。この有機EL素子の両電極間に電圧が印加されることによって発光層が発光する。
本実施形態の有機ELパネルにおいては、有機ELパネル内の有機EL素子を低湿度環境に保ち、外部環境から遮断・保護するために、有機EL素子は、素子基板と封止基板上の接着層とによって挟まれて密閉・封止されている。
本実施形態の素子基板及び封止基板は、いずれも可撓性で長尺のシートである。そして、素子基板上には、通常は有機EL素子が間隔をおいて間欠的に存在する。当該素子基板及び当該封止基板は、接着層を介して連続的に貼合されて、多層構造を有する長尺の多層基板となる。そのため、製造された長尺の多層基板を有機EL素子の前後で切断することによって、多数の有機ELパネルを得ることができる。
(素子基板)
ここで、本実施形態の素子基板について説明する。
素子基板は、有機EL素子を形成するときのベースとなる基板である。素子基板は、可撓性であり、機械的強度、素子基板上に有機EL素子を製造する際の耐熱性、水蒸気や酸素に対するガスバリヤ性等を有していることが好ましい。また、素子基板は、発光した光を透過させるため、透明樹脂により構成されることが好ましい。
素子基板を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロハン(登録商標)、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル、ポリアリレート、アートン(登録商標、JSR社製)あるいはアペル(登録商標、三井化学社製)等のシクロオレフィン系樹脂、等が挙げられる。また、発光した光を封止基板から透過させる場合は、素子基板を構成する材料としては、透明樹脂以外の材料も選択可能であり、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、金、ニッケル、チタン、ステンレス、スズ等の金属が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合したり、多層化したりして用いてもよい。
素子基板の厚さは、特に制限されないものの、成形加工性、取扱性等を考慮すると、50μm〜500μmが好ましい。なお、素子基板の厚さは、マイクロメータを使用して測定することが可能である。
有機EL素子は、素子基板の表面に形成されている。有機EL素子は、素子基板の少なくとも片側の表面に形成されてあればよい。そして、素子基板の有機EL素子が形成された面と封止基板の接着層が形成された面において貼合することによって、有機EL素子を封止・密閉することができる。また、有機EL素子を素子基板の両側の表面に形成して、2枚の封止基板を当該素子基板の両側から貼合して、両側の面の有機EL素子を封止・密閉することもできる。
素子基板上に形成される有機EL素子の構成の詳細については、後述する。
(封止基板)
次に、本実施形態の封止基板について説明する。
封止基板は、外部環境から有機EL素子等を遮断・保護するためのものである。封止基板は、可撓性であり、機械的強度、水蒸気や酸素に対するガスバリヤ性等を有していることが好ましい。
封止基板を構成する材料としては、例えば、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルスルホン等の熱可塑性樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等の硬化性樹脂、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、金、ニッケル、チタン、ステンレス、スズ等の金属が挙げられる。
これらの材料は、1種類を単独で用いてもよく、必要に応じて、複数種類の材料を混合したり、貼り合せ、押出しラミネート、共押出し等によって組み合わせた多層シートとして使用することも可能である。さらに、所望の物性を得るために、使用するシートの厚さ、密度、分子量等を種々組み合わせて作製することも可能である。
封止基板の厚さは、特に制限されないものの、成形加工性、取扱性等やガスバリア層の耐ストレスクラッキング性等を考慮すると、10μm以上300μm以下が好ましい。なお、封止基板の厚さは、マイクロメータを使用して測定することが可能である。
封止基板として上記の熱可塑性樹脂や硬化性樹脂を用いる場合は、封止基板上に蒸着法やコーティング法でガスバリア層を形成することが好ましい。ガスバリア層としては、例えば、金属蒸着膜、無機蒸着膜、金属箔が挙げられる。金属蒸着膜、無機蒸着膜としては、薄膜ハンドブックp879〜p901(日本学術振興会)、真空技術ハンドブックp502〜p509、p612、p810(日刊工業新聞社)、真空ハンドブック増訂版p132〜p134(ULVAC 日本真空技術K.K)に記載されている如き蒸着膜が挙げられる。例えば、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni、W等の金属、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO、Cr、Si(x=1、y=1.5〜2.0)、Ta等の金属酸化物、ZrN、SiC、TiC、PSG、Si、SiN、単結晶Si、アモルファスSi等が挙げられる。又、金属箔の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料や、ステンレス、アルミニウム合金などの合金材料等が挙げられるが、加工性やコストの面でアルミニウムが好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。
金属蒸着膜、無機蒸着膜の膜厚は、蒸着膜の形成のし易さの観点から、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは300nm以下である。金属箔の膜厚は、製造時の取り扱い性及びパネルの薄板化の観点から、1〜100μm、好ましくは10μm〜50μmである。又、製造時の取り扱いを容易にするために、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの樹脂フィルムを予めラミネートしておいてもよい。更に、ガスバリア層の上に熱可塑性樹脂からなる保護層を設けてもよい。
本実施形態の封止基板の水蒸気透過度は、有機ELパネルとして製品化する際に必要とされるガスバリア性等を考慮し、0.01g/m・day以下であることが好ましく、且つ酸素透過度は、0.1ml/m・day・MPa以下であることが好ましい。水分透過度はJIS K7129B法(1992年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した値であり、酸素透過度はJIS K7126B法(1987年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した値である。
(接着層)
本実施形態において、接着層は、素子基板と封止基板とを接着して固定し、有機EL素子を外部環境から隔離して密閉し保護する層である。
接着層はシート状であり、封止基板の表面に形成されている。シート状の接着層は、封止基板の少なくとも片側の表面に形成されてあればよい。そして、封止基板の接着層が形成された面と素子基板の有機EL素子が形成された面において貼合することによって、有機EL素子を封止・密閉することができる。また、シート状の接着層を封止基板の両側の表面に形成して、2枚の素子基板を当該封止基板の両側から貼合して、両側の面の有機EL素子を封止・密閉することもできる。
シート状の接着層を構成する樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用することができる。耐湿性、耐水性に優れ、揮発成分が少なく、硬化時の収縮が少ない樹脂を用いることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、シリコーン樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾルシノール樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、ポリウレタン樹脂系等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
光硬化性樹脂としては、例えば、エステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート等の各種アクリレート、又はウレタンポリエステル等の樹脂を用いたラジカル系光硬化性樹脂、エポキシ、ビニルエーテル等の樹脂を用いたカチオン系光硬化性樹脂、等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、アイオノマー等の使用が可能である。中でも、基板との接着性に優れたポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンの酸変性物、エチレン・酢酸ビニル共重合体の酸変性物、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、などが好ましい。特に、有機EL素子を劣化させるアウトガス成分が少ないポリエチレン、ポリプロピレンの酸変性物が好ましい。
接着層の厚さは、封止性能及びパネルの薄板化の観点から、1μm〜100μmが好ましい。封止基板上への接着層の形成方法としては、接着層を構成する樹脂の種類に応じて、グラビアコート、ロールコート、バーコート、ダイコート、ナイフコート、ホットメルトコート、ディッピング、スピンコート、スプレーコートなどのコーティング法、スクリーン印刷などの印刷法を用いることができる。また、接着層内部の含有水分を除去するために、酸化バリウムや酸化カルシウムなどの乾燥剤を混入してもよい。
接着層を構成する樹脂には必要に応じてフィラーを添加することが好ましい。フィラーの添加量としては、接着力を考慮し、5〜70体積%が好ましい。又、添加するフィラーの大きさは、接着力、貼合後の接着層の厚さ等を考慮し、1μm〜100μmが好ましい。添加するフィラーの種類としては特に限定はなく、例えばソーダガラス、無アルカリガラス或いはシリカ、酸化アンチモン、チタニア、アルミナ、ジルコニアや酸化タングステン等の金属酸化物等が挙げられる。
(有機ELパネルの製造方法)
本実施形態の有機ELパネルの製造方法は、有機EL素子が表面に形成された素子基板と、接着層が表面に形成された封止基板とを貼合して、有機ELパネルを製造するにあたり、大気圧未満の減圧環境下にて、接着層を加熱して流動化させ、素子基板と封止基板とを貼合して多層基板を形成する貼合工程と、大気圧未満の減圧環境下にて、接着層を冷却して非流動化させる非流動化工程と、貼合工程及び非流動化工程の環境圧力よりも高い圧力環境下にて、接着層を加熱して流動化させる流動化工程とを有することを特徴としている。
(有機ELパネルの製造装置)
また、本実施形態の有機ELパネルの製造装置は、大気圧未満の減圧環境下に保つ減圧チャンバと、減圧チャンバ内に、第1電極と発光層を含む有機機能層と第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子が表面に形成された長尺の素子基板のロールから素子基板を繰り出すための第1繰り出し部と、減圧チャンバ内に、シート状の接着層が表面に形成された長尺の封止基板のロールから封止基板を繰り出すための第2繰り出し部と、減圧チャンバ内に、素子基板と封止基板とを貼合する貼合部と、減圧チャンバ内に、接着層を冷却して非流動化させる非流動化部と、減圧チャンバの外に、貼合部及び非流動化部の環境圧力よりも高い圧力環境下にて、接着層を加熱して流動化させる流動化部とを備えることを特徴としている。
以下、本実施形態の有機ELパネルの製造工程及び製造装置について説明する。製造工程に沿って、繰り出し工程、貼合工程、非流動化工程、巻き取り工程、流動化工程、硬化工程の各工程及びその他の工程、設備を含めて、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の有機ELパネルの製造工程及び製造装置を示す模式図であり、本実施形態の有機ELパネルの製造装置の断面図として表わされている。
(減圧チャンバ2、後部チャンバ3)
本実施形態の有機ELパネルの製造装置1は、内部が大気圧未満の減圧環境下に保つように管理された減圧チャンバ2と、内部が当該減圧チャンバ2の内部圧力よりも高い圧力環境下に保つように管理された後部チャンバ3とを備えている。減圧チャンバ2の内部圧力は、特に制限はされないが、有機EL素子の封止操作中に酸素や水分等の外部環境から遮断・保護するという観点から、通常、1×10−4〜1×10Paの範囲にあることが好ましく、1×10−1〜1×10Paの範囲にあることがより好ましい。
(繰り出し工程)
繰り出し工程は、大気圧未満の減圧環境下にて、長尺の素子基板が巻かれたロールから素子基板を繰り出し、長尺の封止基板が巻かれたロールから封止基板を繰り出す工程である。
図1の減圧チャンバ2内には、有機EL素子が片面に形成された長尺の素子基板が巻かれたロール4とロール4から繰り出される素子基板6をガイドするためのガイドロール5とを備える第1繰り出し部7が設置されている。素子基板6は、ロール4からガイドロール5を経て繰り出される。このとき、有機EL素子は素子基板6の下側の表面に形成されている。
同様に、図1の減圧チャンバ2内には、シート状の接着層が片面に形成された長尺の封止基板が巻かれたロール8とロール8から繰り出される封止基板10をガイドするためのガイドロール9とを備える第2繰り出し部11が設置されている。封止基板10は、ロール8からガイドロール9を経て繰り出される。このとき、接着層は封止基板10の上側の表面に形成されている。
(貼合工程)
貼合工程は、大気圧未満の減圧環境下にて、接着層を加熱して流動化させ、素子基板と封止基板とを、該素子基板の有機EL素子が形成された面と該封止基板の接着層が形成された面において貼合して、多層基板を形成する工程である。貼合する方式は、貼合ロールによる加熱圧着方式であるが、貼合する手段は、特に限定されるわけではない。ロールラミネート、平板貼り合せ、ダイヤフラム貼り合せ、等種々の手段を用いることができる。本実施形態においては、代表的な貼合手段として、貼合ロールを用いている。
図1において、ロール4から繰り出された素子基板6とロール8から繰り出された封止基板10は、それぞれ繰り出し部を出た後、減圧チャンバ2内で貼合されるため、貼合部14に搬送される。貼合部14は、減圧チャンバ2内に設置され、素子基板6と封止基板10とを貼合する貼合ロール13と、必要に応じて貼合する前に封止基板10を加熱するためのヒータ12とを備えている。
封止基板10の片面に形成された接着層は、流動化された状態で、貼合ロール13によって貼合される。このとき、接着層は、貼合ロール13自体が加熱されて、その熱でもって流動化されてもよいし、貼合ロール13の手前に設置されたヒータ12によって加熱されて流動化されてもよい。貼合ロール13自体が加熱されることによって流動化されるときには、ヒータ12は不要となる。
また、貼合ロール13の手前に設置されたヒータ12は、図示された間接加熱方式に限定されるわけではなく、ヒートロール、プレートヒータ、赤外線ヒータ、熱風ヒータ等、種々の方式を用いることができる。
ここで、接着層の流動化とは、接着層を構成する樹脂の粘度を10Pa・s以上5000Pa・s未満とすることである。接着層を構成する樹脂をこの範囲内の粘度にすることによって、接着層が適度に流動化され、貼合ロール13による貼合によって、素子基板6と封止基板10とは接着層を介して隙間なく密着し、有機EL素子を内部に封止することが可能となる。接着層を構成する樹脂の流動化時の粘度は、好ましくは、50〜200Pa・sである。
接着層を構成する樹脂が、加熱をしなくとも貼合ロール13直前において、粘度が10Pa・s以上5000Pa・s未満であれば、貼合ロール13自体を加熱することもヒータ12によって加熱することも不要である。但し、接着層を構成する樹脂が、熱硬化性樹脂であるときは、加熱温度が硬化開始温度を超えないように留意する。
接着層を構成する樹脂の粘度は、通常の高分子用粘度計であれば測定可能である。例えば、REOLOGICA社製レオメータDAR−100を用いて測定することができる。測定対象である接着層を構成する樹脂と同一の樹脂サンプルを用いて、貼合時の温度に置いたときの粘度を測定することによって、貼合時の粘度と認定することができる。
また、熱硬化性樹脂の硬化開始温度とは、DSCを用いて、窒素雰囲気下、昇温速度5℃/分で熱硬化性樹脂を加熱していったときの、硬化による発熱ピークの立ち上がりの温度でもって定義される。
貼合ロール13は、上下対のロールから構成される、いわゆるニップロールである。素子基板6と封止基板10とが貼合され、流動化された接着層によって有機EL素子が密閉・封止された多層基板18が形成される。ロールの数は1対の2本であってもよいし、必要に応じてさらに2対の4本等と増やしても構わない。またニップ圧やロールの回転速度は、素子基板6と封止基板10とを貼合でき、有機EL素子を損傷しないような条件に適宜設定する。
(非流動化工程)
非流動化工程は、大気圧未満の減圧環境下にて、多層基板中の接着層を冷却して非流動化させる工程である。
図1において、貼合部14において形成された多層基板18は、減圧チャンバ2内で、接着層を冷却して非流動化させるために非流動化部17に搬送される。
非流動化部17は、減圧チャンバ2内に設置され、冷却ロール15及び16を備えている。貼合部14において貼合された多層基板18は、接着層が加熱された状態にあるので、冷却ロール15及び16に接触させることによって、接着層を冷却して非流動化させる。接着層が加熱されていない樹脂の場合であっても、冷却することによって非流動化させる。
ここで、接着層の非流動化とは、接着層を構成する樹脂の粘度を5000Pa・s以上とすることである。接着層を構成する樹脂の非流動化時の粘度は、好ましくは10000Pa・s以上である。
接着層を冷却して非流動化させることによって、接着層が未硬化状態ではありながら、素子基板6と封止基板10との貼合状態が固定化され、その後の製造工程を通過する際に、両基板がずれたり、ロールの曲率によって層間剥離することを防止することができる。その結果、多層基板18の形態が安定化され、ロール状に巻き取ることや減圧チャンバ2から環境圧力の高い外部に移動することが可能となる。
非流動化部17における冷却の手段は、冷却ロールに限定されるわけではなく、冷却ベルト、冷却プレート等、種々の手段を用いることができるが、冷却ロールでニップする方法が好ましい。冷却ロール15及び16を用いるときであっても、その数は1対の2本であってもよいし、必要に応じてさらに3対の6本等と増やしても構わない。また冷却温度や搬送速度については、接着層を冷却できる条件に適宜設定する。また冷却ロール15及び16を用いるときは、ニップ圧は、有機EL素子を損傷しないような条件に設定する。
上記の貼合工程及び非流動化工程は、空間的に連続して接続された減圧チャンバ内にて行われることが、生産性、設備構造上の観点から好ましい。さらには、第1繰り出し部、第2繰り出し部、貼合部、非流動化部、下記の巻き取り部に至るまでが、空間的に連続して接続された同一の減圧チャンバ内に設置されていることが、生産性、設備構造上の観点から好ましい。
(巻き取り工程)
巻き取り工程は、大気圧未満の減圧環境下にて、非流動化工程において接着層が冷却された多層基板をロール状に巻き取る工程である。
図1において、巻き取り部21は、減圧チャンバ2内の非流動化部17の後に設置され、ガイドロール19と巻き取りロール20とを備えている。巻き取り部21にて、接着層が非流動化された多層基板18は、減圧チャンバ2内で、巻き取りロール20に巻き取られる。
(復圧部)
復圧部は、巻き取りロールの環境を、大気圧未満の減圧環境下から、より高い圧力環境下に変換できる装置である(不図示)。
本実施形態の有機ELパネルの製造装置1では、復圧部を備えることにより、減圧チャンバ2内にて巻き取られた多層基板の巻き取りロール20は、大気圧未満の減圧環境下から、より高い圧力環境下にまで復圧される。復圧部は特に、減圧チャンバ2の内部圧力から、後述する後部チャンバ3の内部圧力にまで復圧させる条件に設定されることが好ましい。その結果、復圧された巻き取りロール20aは、減圧チャンバ2の環境圧力よりも高い圧力環境下にある後部チャンバ3に移動することが可能となる。減圧チャンバ2の環境圧力よりも高い圧力として、例えば、大気圧にまで復圧することができる。
(後部チャンバ3)
図1において、本実施形態の有機ELパネルの製造装置1は、減圧チャンバ2の後ろに設置され、内部が当該減圧チャンバ2の内部圧力よりも高い圧力環境下に保つように管理された後部チャンバ3を備えている。
減圧チャンバ2内で製造された多層基板が巻かれたロール20は、減圧チャンバ2から後部チャンバ3に移動される。後部チャンバ3に移動されたロール20は、ロール20aとなる。
このように、大気圧未満の減圧環境下で製造された多層基板を、大気圧未満の減圧環境よりも高い圧力環境下に移動することによって、貼合工程において巻き込まれた内部が減圧状態にある気泡や内部が減圧状態にある層間のシワを消滅させることが可能となる。
また、多層基板が巻かれたロール20は、外部圧力によって巻芯方向に巻き締まりされるため、ロール内層にある多層基板表面のへこみやシワが修正される。
後部チャンバ3の内部圧力は、気泡の巻き込みや封止基材のシワの発生を抑制するという観点から、通常、1×10〜1×10Paの範囲とすることが好ましく、1×10〜1×10Paの範囲とすることがより好ましい。例えば、大気圧にすることができる。
(第3繰り出し部22)
図1において、第3繰り出し部22は、減圧チャンバ2の外であって、流動化部24の前にあり、多層基板の巻き取りロール20aから多層基板18を繰り出すことができる装置である。後部チャンバ3内に設置され、巻き取りロール20aとガイドロール21とを備えている。多層基板18は、巻き取りロール20aからガイドロール21を経て繰り出され、次の流動化部24に搬送される。
(流動化工程)
流動化工程は、貼合工程及び非流動化工程の環境圧力よりも高い圧力環境下にて、接着層を加熱して流動化させる工程である。ここで、接着層の流動化とは、接着層を構成する樹脂の粘度を10Pa・s以上5000Pa・s未満とすることである。接着層を構成する樹脂の流動化時の粘度は、好ましくは、50〜200Pa・sである。
貼合工程及び非流動化工程の環境圧力よりも高い圧力環境下で、接着層を再度加熱して上記の粘度範囲内で流動化させることによって、接着層を構成する樹脂は流動して、接着層内に残存していた真空の空洞であるボイドを消滅させたり、接着層表面のヒケをならして平坦にし、外観上の見栄えを向上させることができる。その結果、有機EL素子の封止性能が改善され、色ムラや発光欠点等といった問題点を解消して、有機ELパネルとしての発光性能を向上させることができる。さらに、接着層を再度加熱して流動化させることによって、貼合工程、非流動化工程、巻き取り工程等で生じた歪みを解放することができるため、多層基板がその後、カールしたり、剥離したりすることを防止することができる。
また、接着層を流動化させた後に、圧着ロールによって多層基板を圧着することを行ってもよい。多層基板の表面を平坦化するために有効である。
なお、接着層を構成する樹脂が、熱硬化性樹脂であるときは、流動化とそれに引き続く熱硬化とをこの流動化工程において同時に行ってもよい。
図1において、流動化部24は、後部チャンバ3内に設置され、多層基板18を加熱するためのヒータ23を備えている。減圧チャンバ2の環境圧力よりも高い圧力環境下にて、多層基板18中の接着層を加熱して流動化させることができる。
また、ヒータ23は、図示された間接加熱方式に限定されるわけではなく、ヒートロール、プレートヒータ、赤外線ヒータ、熱風ヒータ等、種々の方式を用いることができる。
(硬化工程)
硬化工程は、流動化工程の後にあって、接着層を硬化させる工程である。
接着層を構成する樹脂が、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂であるときは、流動化工程を経た後に、接着層を硬化させて、有機ELパネルの形態を固定し、安定化させることが必要である。接着層を硬化させることによって、素子基板と封止基板とは接着層によって強固に接着され、有機EL素子は両基板間に密閉・封止されて、耐久性に優れた有機ELパネルとすることができる。
接着層を構成する樹脂が、熱硬化性樹脂であるときは、硬化工程における接着層の硬化手段は加熱であることが好ましい。接着層を構成する樹脂が、光硬化性樹脂であるときは、硬化工程における接着層の硬化手段は光照射であることが好ましい。
図1において、流動化部24において接着層が流動化された多層基板18は、ガイドロール25を経て、硬化部27に搬送される。硬化部27は、後部チャンバ3内に設置され、接着層を硬化させるためのヒータ26を備えている。接着層を構成する樹脂が、熱硬化性樹脂であるときは、このヒータ26によって加熱されて、接着層は硬化される。
接着層を構成する樹脂が、光硬化性樹脂であるときは、ヒータ26に代えて、硬化部27に光照射装置(不図示)を設置する。この光照射装置によって光照射されて、接着層は硬化される。ヒータ又は光照射装置は、公知の種々の方式の装置から適切なものを選択して用いることができる。
上記の流動化工程と硬化工程はいずれも、貼合工程及び非流動化工程の環境圧力よりも高い、同一の圧力環境下にて行うことが設備構造上の観点から好ましい。
さらに、上記の第3繰り出し部、流動化部、硬化部あるいは下記の接着層を非流動化させる冷却部がいずれも、空間的に連続して接続された同一のチャンバ内に設置されていることが、生産性、設備構造上の観点から好ましい。
(非流動化させる工程)
接着層を構成する樹脂が、熱可塑性樹脂であるときは、硬化性樹脂とは異なり、硬化工程を必要としない。しかし、流動化工程において加熱されて、接着層は軟化されているため、流動化工程の後に接着層を冷却して非流動化させる工程を有することが好ましい。ここで、接着層の非流動化とは、上述した非流動化工程における非流動化と同様に、接着層を構成する樹脂の粘度を5000Pa・s以上とすることである。
流動化工程において接着層を構成する熱可塑性樹脂が加熱されて、その後すぐにロール状に巻き取られると、多層基板を構成する両基板がずれたり、多層基板が層間剥離を引き起こす懸念がある。そこで、多層基板を冷却して、接着層を非流動化させる工程を設けることが好ましい。
例えば、図1において、流動化部24の後ろに、硬化部27に代えて、冷却ロール等を備えた冷却部(不図示)を設置することができる。但し、流動化部24の後、次の巻き取りや有機ELパネルとしての切断等の操作に至るまでの間に、多層基板が自然冷却されて、接着層が非流動化されるようであれば、冷却部を設ける必要はない。
上述の硬化工程又は非流動化させる工程を経た多層基板18は、ガイドロール28を経て、長尺の有機ELパネルとして、本実施形態の有機ELパネルの製造装置1から搬出される。その後、ロール状に巻き取られたり、所定の寸法に切断されて、多数の有機ELパネルとすることができる。
[第2の実施形態]
以上説明してきた本発明の実施形態とは異なる本発明の第2の実施形態について、以下に説明する。
本発明の第2の実施形態は、内部が大気圧未満の減圧環境下に保つように管理された減圧チャンバと、内部が当該減圧チャンバの内部圧力よりも高い圧力環境下に保つように管理された後部チャンバとの間に、差圧調整室を設けることによって、多層基板を一旦巻き取ることなく、有機ELパネルを製造することができる製造方法及び製造装置に係るものである。
減圧チャンバと後部チャンバとの間に、両者の内部圧力の違いを解消させる仕組みとして、差圧調整室を設ける。差圧調整室の一方の入口は減圧チャンバに接続され、他方の出口は後部チャンバに接続されている。当該入口及び出口は、ゲートバルブ方式や狭ギャップ方式等とすることによって、内部圧力の違いを解消できるようになっている。多層基板はこの差圧調整室内を間欠的にあるいは連続して通過することによって、減圧チャンバから後部チャンバへと連続して移動することが可能となる。そのため、非流動化工程と流動化工程とが差圧調整室を介して、直接繋がることとなる。
図1を用いて説明すると、巻き取り部21、復圧部(不図示)、第3繰り出し部22が不要となり、減圧チャンバ2と後部チャンバ3との間に、差圧調整室(不図示)が設置される。多層基板18は、非流動化部17から差圧調整室(不図示)を経由して、流動化部24へ直接搬送されることとなる。
本発明の第2の実施形態において、上記以外の製造工程や製造装置については、既に上述した内容と同様である。巻き取り工程を経由しないことにより、屈曲による層間剥離が発生しにくくなり、封止性能に優れた有機ELパネルを製造することが可能となる。また、素子基板と封止基板から有機ELパネルの連続シートに至るまで、ロールツーロール方式によって連続して製造することを可能とするものであり、生産性向上を図ることが可能である。
以上、説明してきたように、本実施形態の有機ELパネルの製造方法によると、ボイドやヒケの発生を抑制して、有機ELパネルの封止性能、色ムラ等の発光性能、外観上の見栄えの向上を図ることができる。また、製造工程における層間剥離の発生が抑制され、長尺基材を用いた連続生産が可能となり、生産性の向上を図ることができる。
また、本実施形態の有機ELパネルの製造装置によると、上記の有機ELパネルの製造方法と同様に、ボイドやヒケの発生を抑制し、有機ELパネルの封止性能、色ムラ等の発光性能、外観上の見栄えの向上を図ることができる。また、製造工程における層間剥離が抑制され、長尺基材を用いた連続生産が可能となり、生産性の向上を図ることができる。
[有機EL素子の構造]
以下に、本実施形態の有機EL素子の構成について、より詳細に説明する(不図示)。
有機EL素子の有機機能層としては、発光層という発光に直接関与する基本的な有機機能層のほかに、例えば、キャリア(正孔及び電子)の注入層、阻止層及び輸送層等の各種機能を有する有機機能層を備えていてもよい。そして、有機EL素子は、通常は、素子基板、電極や発光層に加えて、これらの各種有機機能層等を積層して構成される。
有機EL素子において、有機機能層の好ましい積層例は以下の通りである。なお、以下の(1)〜(6)において、通常は、先に記載された層が第1電極(陽極)側に設けられ、以下、記載の順番で第2電極(陰極)側に至るように積層される。
(1)発光層/電子輸送層
(2)正孔輸送層/発光層/電子輸送層
(3)正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層
(4)正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層(陰極バッファー層)
(5)正孔注入層(陽極バッファー層)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層
以下、有機EL素子を構成する各部を説明する。ただし、有機EL素子の構成は、以下の内容に何ら限定されるものではない。
素子基板は、上記したように、樹脂等の可撓性のある基材で構成されることが好ましい。なお、素子基板として樹脂を用いる場合、樹脂シートの表面には、次に記載するガスバリア層が形成されることが好ましい。
(ガスバリア層)
素子基板と有機機能層との間には、防湿の観点から、1層又は2層以上のガスバリア層が形成されることが好ましい。
ガスバリア層を形成する材料としては、特に制限はされないものの、例えば、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が挙げられる。水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料が好ましく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素等の金属酸化物、窒化珪素等の金属窒化物等を用いることができる。さらに、ガスバリア層の強度をより向上させるために、無機層と有機層とからなる層の積層構造とすることが好ましい。無機層と有機層との積層順は特に制限されないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
(第1電極)
第1電極(陽極)は、有機機能層(具体的には発光層)に正孔を供給(注入)する電極膜である。第1電極の材料の種類や物性は特に制限されず、任意に設定できる。例えば、第1電極は、仕事関数の大きい(4eV以上)材料、例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等の電極材料で形成可能である。また、第1電極は、酸化インジウム錫(ITO)や酸化インジウム亜鉛等の光透過性を有する材料(透明電極)により構成されていてもよい。
第1電極(陽極)としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(有機機能層)
有機機能層を構成する各種有機機能層について以下に説明するが、これらの有機機能層の各有機機能層の具体的な材料等は公知の材料等を適用することが可能であるため、その説明を省略する。また、有機機能層を形成する方法についても、蒸着法、塗布法等、公知の方法を適用することが可能であるため、その説明を省略する。
《発光層》
発光層は、第1電極から直接、又は第1電極から正孔輸送層等を介して注入される正孔と、第2電極(陰極)から直接、又は第2電極から電子輸送層等を介して注入される電子とが再結合することにより、発光する層である。なお、発光する部分は、発光層の内部であってもよいし、発光層とそれに隣接する層との間の界面であってもよい。
発光層は、ホスト化合物(ホスト材料)と、発光材料(発光ドーパント化合物)とを含む有機発光性材料で形成することが好ましい。発光層をこのように構成すると、発光材料の発光波長や含有させる発光材料の種類等を適宜調整することにより、任意の発光色を得ることができる。また、発光層をこのように構成することにより、発光層中の発光材料において発光させることができる。
発光層の膜厚の総和は、所望の発光特性等に応じて適宜設定することができる。例えば、発光層の均質性、発光時における不必要な高電圧の印加の防止、及び駆動電流に対する発光色の安定性向上等の観点から、発光層の膜厚の総和は、1nm以上200nm以下とすることが好ましい。特に、低駆動電圧の観点からは、発光層の膜厚の総和は、30nm以下とすることが好ましい。
発光層に含まれるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率として、0.1以下である化合物が好ましく、0.01以下の化合物がより好ましい。また、発光層中のホスト化合物の体積比は、発光層に含まれる各種化合物うち、50%以上とすることが好ましい。
発光層に含まれる発光材料としては、例えば、燐光発光材料(燐光性化合物、燐光発光性化合物)、蛍光発光材料等を用いることができる。なお、一つの発光層には、一種類の発光材料を含有させてもよいし、発光極大波長が互いに異なる複数種の発光材料を含有させてもよい。複数種の発光材料を用いることにより、発光波長の異なる複数の光を混合させて発光させることができ、これにより、任意の発光色の光を得ることができる。具体的には例えば、青色発光材料、緑色発光材料及び赤色発光材料(3種類の発光材料)を発光層に含有させることにより、白色光を得ることができる。
《注入層(正孔注入層、電子注入層)》
注入層は、駆動電圧の低下や発光輝度の向上を図るための層である。注入層は、通常は、電極及び発光層の間に設けられる。注入層は、通常は2つに大別される。即ち、注入層は、正孔(キャリア)を注入する正孔注入層、及び電子(キャリア)を注入する電子注入層に大別される。正孔注入層(陽極バッファー層)は、第1電極と、発光層又は正孔輸送層との間に設けられる。また、電子注入層(陰極バッファー層)は、第2電極と、発光層又は電子輸送層との間に設けられる。
《阻止層(正孔阻止層、電子阻止層)》
阻止層は、キャリア(正孔、電子)の輸送を阻止するための層である。阻止層は、通常は2つに大別される。即ち、阻止層は、正孔(キャリア)の輸送を阻止する正孔阻止層と、電子(キャリア)の輸送を阻止する電子阻止層とに大別される。
正孔阻止層は、広い意味で、後記する電子輸送層の機能(電子輸送機能)を有する層である。正孔阻止層は、電子輸送機能を有しつつ、正孔の輸送能力が小さい材料で形成される。このような正孔阻止層が設けられることにより、発光層に対する正孔及び電子間の注入バランスを好適なものにすることができる。また、これにより、電子と正孔との再結合確率を向上させることができる。
なお、正孔阻止層としては、必要に応じて、後記する電子輸送層の構成が同様に適用可能である。さらに、正孔阻止層が設けられる場合、正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられることが好ましい。
一方、電子阻止層は、広い意味で、後記する正孔輸送層の機能(正孔輸送機能)を有する層である。電子阻止層は、正孔輸送機能を有しつつ、電子の輸送能力が小さい材料で形成される。このような電子阻止層が設けられることにより、発光層に対する正孔及び電子間の注入バランスを好適なものにすることができる。また、これにより、電子と正孔との再結合確率を向上させることができる。なお、電子阻止層としては、必要に応じて、後記する正孔輸送層の構成が同様に適用可能である。
阻止層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上であり、また好ましくは100nm以下、より好ましくは30nm以下である。
《輸送層(正孔輸送層、電子輸送層)》
輸送層は、キャリア(正孔及び電子)を輸送する層である。輸送層は、通常は2つに大別される。即ち、輸送層は、正孔(キャリア)を輸送する正孔輸送層と、電子(キャリア)を輸送する電子輸送層とに大別される。
正孔輸送層は、第1電極から供給された正孔を発光層に輸送(注入)する層である。正孔輸送層は、第1電極又は正孔注入層と発光層との間に設けられる。また、正孔輸送層は、第2電極側からの電子の流入を阻止する障壁としても作用する。それゆえ、正孔輸送層という用語は、広い意味で、正孔注入層及び/又は電子阻止層を含む意味で用いられることもある。なお、正孔輸送層は、一層だけ設けてもよいし、複数層設けてもよい。
電子輸送層は、第2電極から供給された電子を発光層に輸送(注入)する層である。電子輸送層は、第2電極又は電子注入層と発光層との間に設けられる。また、電子輸送層は、第1電極側からの正孔の流入を阻止する障壁としても作用する。それゆえ、電子輸送層という用語は、広い意味で、電子注入層及び/又は正孔阻止層を含む意味で用いられることもある。なお、電子輸送層は、一層だけ設けてもよいし、複数層設けてもよい。
電子輸送層(電子輸送層を一層構造とする場合には当該電子輸送層、電子輸送層を複数設ける場合には最も発光層側に位置する電子輸送層)に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねることがある)は、特に制限されない。ただし、電子輸送層に用いられる電子材料は、通常は、第2電極より注入された電子を発光層に伝達(輸送)する機能を有する材料を適用可能である。
(第2電極)
第2電極(陰極)は、発光層に電子を供給(注入)する電極膜である。第2電極を構成する材料は特に制限されないが、通常は、仕事関数の小さい(4eV以下)材料、例えば、金属(電子注入性金属)、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等の電極材料で形成される。
有機EL素子において、第2電極側から光を取り出す場合、第2電極は、第1電極と同様に、光透過性を有する電極材料で形成可能である。この場合、例えば1nm以上20nm以下の膜厚になるように陰極形成用電極材料からなる金属膜を形成した後、この金属膜上に、第1電極で説明した導電性透明材料からなる膜を形成することにより、透明又は半透明の第2電極を形成することができる。
1 有機ELパネルの製造装置
2 減圧チャンバ
3 後部チャンバ
4、8 ロール
5、9、19、21、25、28 ガイドロール
6 素子基板
7 第1繰り出し部
10 封止基板
11 第2繰り出し部
12、23、26 ヒータ
13 貼合ロール
14 貼合部
15、16 冷却ロール
17 非流動化部
18 多層基板
20 巻き取りロール
21 巻き取り部
22 第3繰り出し部
24 流動化部
27 硬化部

Claims (16)

  1. 第1電極と発光層を含む有機機能層と第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子が表面に形成された長尺の素子基板と、シート状の接着層が表面に形成された長尺の封止基板とを、当該素子基板の有機エレクトロルミネッセンス素子が形成された面と当該封止基板の接着層が形成された面において貼合して、封止構造を形成する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
    大気圧未満の減圧環境下にて、前記接着層を加熱して流動化させ、前記素子基板と前記封止基板とを貼合して多層基板を形成する貼合工程と、
    大気圧未満の減圧環境下にて、前記接着層を冷却して非流動化させる非流動化工程と、
    前記貼合工程及び前記非流動化工程の環境圧力よりも高い圧力環境下にて、前記接着層を加熱して流動化させる流動化工程とを有し、
    この順序にて封止構造を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  2. 前記接着層は、硬化性樹脂から構成されることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  3. 前記流動化工程の後に前記接着層を硬化させる硬化工程を有することを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  4. 前記硬化工程における前記接着層の硬化手段は、加熱又は光照射であることを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  5. 前記硬化工程は、前記貼合工程及び前記非流動化工程の環境圧力よりも高い圧力環境下にて行うことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  6. 前記接着層は、熱可塑性樹脂から構成されることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  7. 前記流動化工程の後に前記接着層を冷却して非流動化させる工程を有することを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  8. 前記貼合工程における前記接着層の流動化とは、前記接着層を構成する樹脂の粘度を10Pa・s以上5000Pa・s未満とすることであり、前記流動化工程における前記接着層の流動化とは、前記接着層を構成する樹脂の粘度を10Pa・s以上5000Pa・s未満とすることであり、前記非流動化工程における前記接着層の非流動化とは、前記接着層を構成する樹脂の粘度を5000Pa・s以上とすることである請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  9. 前記貼合工程と前記非流動化工程は、空間的に連続して接続された減圧チャンバ内にて行われ、当該減圧チャンバ内にて前記非流動化工程後の貼合された多層基板をロール状に巻き取ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  10. 前記減圧チャンバ内にて巻き取られた貼合された多層基板のロールを、前記貼合工程及び前記非流動化工程の環境圧力よりも高い圧力環境下に移動させてから前記流動化工程を行うことを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  11. 大気圧未満の減圧環境下に保つ減圧チャンバと、
    前記減圧チャンバ内に、第1電極と発光層を含む有機機能層と第2電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子が表面に形成された長尺の素子基板のロールから素子基板を繰り出すための第1繰り出し部と、
    前記減圧チャンバ内に、シート状の接着層が表面に形成された長尺の封止基板のロールから封止基板を繰り出すための第2繰り出し部と、
    前記減圧チャンバ内に、前記素子基板と前記封止基板とを貼合する貼合部と、
    前記減圧チャンバ内に、前記接着層を冷却して非流動化させる非流動化部と、
    前記減圧チャンバの外に、前記貼合部及び前記非流動化部の環境圧力よりも高い圧力環境下にて、前記接着層を加熱して流動化させる流動化部とを備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造装置。
  12. さらに、前記流動化部の後に、前記接着層を硬化させる硬化部を備えることを特徴とする請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造装置。
  13. 前記硬化部における前記接着層の硬化手段は、加熱又は光照射であることを特徴とする請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造装置。
  14. 前記減圧チャンバ内において、前記第1繰り出し部、前記第2繰り出し部、前記貼合部及び前記非流動化部は、空間的に連続して接続されていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造装置。
  15. さらに、前記減圧チャンバ内の前記非流動化部の後に、貼合された多層基板をロール状に巻き取る巻き取り部を備え、前記減圧チャンバの外であって前記流動化部の前に、多層基板のロールから多層基板を繰り出す第3繰り出し部を備えることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造装置。
  16. さらに、前記減圧チャンバ内にて巻き取られた貼合された多層基板のロールを大気圧にまで復圧することができる復圧部を備えることを特徴とする請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造装置。
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