JP6313779B2 - 置換ビアリールスルホンアミドおよびその利用 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
〔関連特許〕
本出願は、2012年11月39日に出願された米国特許出願第61/732,218号に基づく優先権を主張し、その開示の全てを参照によりここに組み込む。
〔技術分野〕
置換ビアリールスルホンアミド化合物、当該化合物を含む薬学組成物、これらの調製方法、およびこれらの利用方法をここに提供する。ここに提供する化合物は、癌、増殖性疾患、および脈管形成介在性疾患を含む、種々の疾患の治療、予防、および/または改善に有用である。
〔背景技術〕
癌は、主要な公衆衛生の世界的な問題であり、米国単独でも、2010年の癌による死亡者数は約574,000人である。たとえば、米国死亡データ2010、国立衛生統計センター、疾病対策予防センター(2010)を参照のこと。癌の多くの種類が医学文献に記載されている。その例には、たとえば、血液、骨、皮膚、肺、結腸、乳房、前立腺、卵巣、脳、腎臓、膀胱、膵臓および肝臓の癌が含まれる。癌の発生は、一般住民年齢および新型の進行癌と同様に増加し続けている。癌患者を治療する効果的な治療法が継続して必要とされる。乳癌は、特に女性において、最も一般的な型の癌の1つである。米国において、2012年に、約230,000件の新しい乳癌が生じ、約40,000人が乳癌により死亡することが推定される。たとえば、www.cancer.govにおいて入手可能な、乳癌の統計、国立癌研究所(2012)を参照のこと。様々な型の乳癌のうちで、トリプルネガティブ乳癌(エストロゲン受容体(ER)/プロゲステロン受容体/HER−2ネガティブ)は、他の乳癌のサブタイプよりも悪性である。トリプルネガティブ乳癌には、標的療法が存在しない。トリプルネガティブ乳癌は、初期の腫瘍は化学療法に対して反応性を示すが、死を招く再発率がより高い。トリプルネガティブ乳癌のための効果的な標的療法を開発する必要性は明らかである。
タンパク質合成の変化が、多発性ヒト癌に直接結びつく。たとえば、リンパ腫、乳癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、肺癌、膀胱癌、子宮頸癌および前立腺癌を含む、多くの癌において、翻訳開始が規制を解除する。癌細胞の高い成長率、増殖率および生存率を支持する多くのタンパク質が、二次構造を有するmRNAから翻訳され、その翻訳は、真核生物翻訳開始因子4E(eIF4E)のような翻訳の律速因子に大きく依存する。腫瘍において過発現したeIF4Eにより、こぶの状態に関係なく再発する乳癌、および、アジュバント化学療法への薬物耐性を予測することができる。トリプルネガティブ乳房腫瘍は、高い確率(>60%)で高レベルのeIF4Eを発現する。eIF4Eが高レベルの患者群は、再発率が1.6倍高く、癌で死亡する相対危険度が2.1倍増加している。高レベルのeIF4Eは、癌の開始および進行の原因であるタンパク質の翻訳を促進し、結果として悪性の表現型になり、腫瘍が放射線治療および化学療法に対してより生存することを可能にする。それゆえに、癌におけるタンパク質翻訳を調節すること、特に、細胞成長および増殖を制御するために、タンパク質翻訳における律速段階を抑制することが望ましい。
真核生物タンパク質翻訳開始のための律速因子であるeIF4Eは、複数の乳癌細胞株において偏在的に発現する。eIF4Eの活性化および有効性は、4E−BP1 のような結合タンパク質により制御される。これらの結合タンパク質の活性化は、リン酸化、特にmTORにより順に調節される。翻訳開始の強調に付随したeIF4Eの過発現は、細胞性形質転換および腫瘍形成を促進する。eIF4Eは多くの腫瘍形成経路の集合ポイントであり、また、ヒト癌組織および実験的な癌モデルにおける悪性度の主要な要因である。悪性の乳房表現型において、翻訳開始の増強がみられる。eIF4E過発現は、乳癌の脈管形成および進行を引き起こす。7倍以上のeIF4Eの増加が、過去および将来の研究において、乳癌の再発および死亡の強力で独立した予想因子である。eIF4Eをダウンレギュレートするアンチセンスオリゴヌクレオチド治療により、インビボにおいて、マウスのPC−3前立腺癌モデルおよびMDA−MB−231乳癌モデルにおける腫瘍成長の縮小をもたらした。主要な器官において80%のノックダウンが観察されたとき、毒性は全く観察されず、示された腫瘍は、健康な組織よりも翻訳開始抑制に対して反応しやすい。
翻訳開始因子eIF4Eおよびその結合タンパク質4E−BP1は、PI3K/Akt/mTOR経路の主要な下流エフェクタである。mTOR、およびPI3K/Akt/mTORファミリの他のメンバは、癌表現型の確立および維持を制御する。PI3K/Akt/mTOR経路は、癌治療の標的として臨床的に確認されている。PI3KおよびAktの過発現は、広範囲の腫瘍型において見られる。PI3Kは、フォスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸の生成を触媒する。この脂質は、Aktタンパク質キナーゼを活性化し、細胞成長から増殖までに広がる反応カスケードを、生存および死亡のために、順に誘引する。二重の特異的フォスファターゼであるPTENは、PI3K経路のインヒビタである。p53に並んで、PTENは、ヒト腫瘍において最も頻繁に変異および欠失する。PI3Kインヒビタのいくつかは、臨床試験において開発されている。mTORは、4E−BP結合タンパク質のリン酸化および不活性化を通して翻訳開始を制御し、それにより、eIF4Eを活性化する。eIF4Eの活性化は、長い構造化された5’非翻訳領域を有するmRNAの翻訳開始に必要とされる。細胞成長および増殖の主要な調節因子としてのmTORが、タンパク質の生合成を制御することを、さらなる証拠が支持している。mTOR経路が、G1細胞周期進行およびS期開始に重要なサイクリンD1、c−Mycおよびオルニチンデカルボキシラーゼのようなタンパク質をコードするmRNAの翻訳を制御する。mTORの抑制は、G1細胞周期に引き留める。mTOR抑制剤であるラパマイシンは、ヒトと同様にNCIスクリーニングにおいて、多くの腫瘍細胞株に対して著しい抗腫瘍活性を有する。しかしながら、形成性、溶解性、および安定性の問題がラパマイシンの開発を阻害している。ラパマイシンのアナログが、これらの問題を解決するために開発されており、臨床試験II/III期において有望な結果を示している。これらは、たとえば、細胞成長の最大抑制、健康細胞に対する最小の毒性、および治療患者における正確な副作用の最小化のような、効果的で安全な癌治療因子の代替の必要性を残す。
過剰でかつ持続する細胞の活性化は、癌および線維症の両方を特徴づける。線維症は、回復または反動的なプロセスにおいて、器官または組織における線維性結合組織の過剰形成であり、良性(たとえば、創傷治癒)または異常であり得る。線維症という用語は、結合組織の過剰堆積の異常な状態を示すために頻繁に用いられ、機能低下および器官の機能不全を導き得る。創傷治癒中に、筋線維芽細胞は、平滑筋の特徴(α−平滑筋アクチンを含む)を獲得して分化した細胞になり、組織修復の重要な貢献者になる。筋線維芽細胞は、線維芽細胞、上皮細胞および内皮細胞由来であり得、細胞外マトリクスを分泌する能力により特徴づけられる。その起源に関係なく、TGF−βは、筋線維芽細胞活性化型への分化を担う重要な成長因子である(JL Barnes, Y Gorin, Myofibroblast Differentiation During Fibrosis: Role of NAD(P)H Oxidases, Kidney Int. 2011, 79: 944-956)。正常な組織修復の間に、筋線維芽細胞は一時的な制御された方法で活性化される(Hinz B. et al, Recent developments in myofibroblast biology: paradigms for connective tissue remodeling, Am J Pathol. 2012, 180: 1340-55)。しかしながら、筋線維芽細胞の過剰で持続的な活性化は、線維性の疾患および癌の両方において重要な役割を果たす。線維症において、多数の筋線維芽細胞が堆積し、細胞外マトリクスの制御されない生産の原因となり、機能低下および器官の機能不全を引き起こす。線維症には、様々な臨床実体が含まれ、臓器特異的線維症(心臓、肝臓、肺、肝臓、骨髄、皮膚、膵臓)、他の型の線維症(後腹膜、腎原性および嚢胞性)、ならびに結合組織疾患(アテローム性動脈硬化症、肝硬変、硬皮症、ケロイド、クローン病および子宮内膜症)が含まれる。癌において、腫瘍基質微環境は、他の細胞と同様に多くの筋線維芽細胞を含み、癌関連線維芽細胞として集団で参照される。癌関連線維芽細胞は、様々な成長因子、ECMタンパク質、ならびに、他の前脈管形成因子および前転移性因子の生産を通して、腫瘍開始、増殖および転移において重要な役割を果たす(Khamis ZI, et al, Active roles of tumor stroma in breast cancer metastasis, Int J Breast Cancer, 2012, 2012:574025)。
それゆえに、繊維芽細胞の筋線維芽細胞への変化を抑制する薬物は、癌治療、転移の予防および治療、ならびに、様々な線維症の治療に対する可能性を有している。
〔概要〕
以下の化学式(I)の化合物、または、そのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはそのジアステレオマーの混合物、または、その薬学的に許容される塩、溶媒化合物、水和物もしくはプロドラッグをここに提供する。
Figure 0006313779
R、R’、XおよびYは、本明細書中の他の場所において定義されている。この化合物は、癌および増殖性疾患のような様々な疾患の治療、予防および/または改善に有用である。
また、たとえば化学式(I)の化合物のような、ここに提供した化合物、そのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはそのジアステレオマーの混合物、または、その薬学的に許容される塩、溶媒化合物、水和物もしくはプロドラック、を含む薬学組成物および剤形をここに提供する。一実施形態において、薬学組成物および剤形は、1以上の薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤をさらに含む。一実施形態において、ここに提供した薬学組成物および剤形は、たとえば癌治療剤のような、1以上の補助活性剤をさらに含む。
また、対象における、癌または増殖性疾患のような疾患の1以上の症状の治療、予防および/または改善のための方法をここに提供し、当該方法は、たとえば化学式(I)の化合物のような、ここに提供した化合物、そのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはそのジアステレオマーの混合物、または、その薬学的に許容される塩、溶媒化合物、水和物もしくはプロドラックの、治療的に効果的な量を、対象に投与する工程を包含している。一実施形態において、対象はヒトである。また、ここに提供した様々な疾患の治療、予防および/または改善のための薬物の製造における、ここに提供した化合物または組成物の使用をここに提供する。さらに、ここに提供した様々な疾患の治療、予防および/または改善において使用するための化合物および組成物を個々に提供する。治療、予防および/または改善し得る疾患には、癌、増殖性疾患、乳癌(たとえば、トリプルネガティブ乳癌、ER+乳癌またはER−乳癌)、基底細胞母斑症候群(ゴーリン症候群)、基底細胞癌、皮膚癌、肺癌、小細胞肺癌、脳の癌、髄芽細胞腫、グリア芽腫、結腸直腸癌、卵巣癌、肝臓癌、膵臓癌(たとえば、悪性腫瘍、血管肉腫、腺肉腫)、胃癌、胃食道接合部、前立腺癌、子宮頸癌、膀胱癌、頭頸部癌、リンパ腫(たとえば、外套細胞リンパ腫、拡散性大B細胞リンパ腫)、手術により除去できない固形腫瘍、局所的に進行した腫瘍、転移性固形腫瘍、白血病(たとえば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、または慢性骨髄性白血病(CML))、または、腫瘍の再発もしくは改変が含まれるが、これに限定されない。
一実施形態において、eIF4Eの活性化を抑制または減少する方法をここに提供する。一実施形態において、この方法は、たとえば化学式(I)の化合物のような、ここに提供した化合物、そのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはそのジアステレオマーの混合物、または、その薬学的に許容される塩、溶媒化合物、水和物もしくはプロドラックを用いて、eIF4E複合体を崩壊させることを包含する。一実施形態において、その方法は、たとえば化学式(I)の化合物のような、ここに提供した化合物、そのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはそのジアステレオマーの混合物、または、その薬学的に許容される塩、溶媒化合物、水和物もしくはプロドラックを用いて、タンパク質翻訳開始をダウンレギュレートすることを包含する。
〔図面の簡単な説明〕
図1は、正常なヒト肺線維芽細胞(NHLF)においてα−平滑筋アクチンのインビトロ活性を阻害することに対する、化合物1および化合物2の作用を示している。
図2は、正常な線維芽ヒト肺線維芽細胞(NHLF)においてα−平滑筋アクチンのインビトロ活性を阻害することに対する、化合物2および化合物5〜10の作用を示している。
図3は、ヌードマウスにおける乳癌用のMDA−MB−231異種移植モデルにおいてインビボの腫瘍成長を阻害することに対する、化合物1の作用(例えば、平均の腫瘍体積)を示している。
図4は、ヌードマウスにおける乳癌用のMDA−MB−231異種移植モデルにおいてインビボの腫瘍成長を阻害することに対する、化合物1の作用(例えば、体重変化率)を示している。
図5は、ヌードマウスにおける乳癌用のMDA−MB−231異種移植モデルにおいて、薬剤の投薬休止期間にインビボの腫瘍成長を阻害することに対する、化合物1の作用を示している。
図6は、ヌードマウスにおける乳癌用のMDA−MB−231異種移植モデルにおいてインビボの腫瘍成長を阻害することに対する、化合物1および2の作用(例えば、平均の腫瘍サイズ)を示している。
〔発明を実施するための形態〕
特に断りがない限り、本明細書に使用される技術用語および科学用語のすべては、当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有している。本明細書に参照されている刊行物および特許の全ては、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
A.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用するとき、不定冠詞「a」および「an」、ならびに定冠詞「the」は、文脈が指示しない限り、単数のみならず複数の言及を包含する。
本明細書において使用するとき、特に示されていない限り、「約(about)」または「おそよ(approximitely)」という用語は、当業者によって決定されるような特定の値にとっての、許容可能な誤差を意味し、当該誤差は、値がどのように測定または決定されているかに、部分的に依存する。ある実施形態において、「約」という用語は、1、2、3、または4の標準偏差の範囲にあることを意味する。ある実施形態において、「約」という用語は、所定の値または範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%または0.05%以内であることを意味する。
本明細書において使用するとき、特に示されていない限り、「アルキル」という用語は、1価の、直鎖または分岐鎖状飽和炭化水素ラジカルを表し、前記アルキルは1つ以上の置換基と必要に応じて置換され得る。「アルキル」という用語はまた、特に指定されていない限り、直鎖および分岐鎖状アルキルの両方を包含する。ある実施形態において、前記アルキルは、1から20個(C1−20)、1から15個(C1−15)、1から12個(C1−12)、1から10個(C1−10)、もしくは1から6個(C1−6)の炭素原子を有する、1価の直鎖状飽和炭化水素ラジカルである、または、3から20個(C3−20)、3から15個(C3−15)、3から12個(C3−12)、3から10個(C3−10)、もしくは3から6個(C3−6)の炭素原子を有する、1価の分岐鎖状飽和炭化水素ラジカルである。本明細書において使用するとき、直鎖状のC1−6であるアルキル基、および分岐鎖状のC3−6であるアルキル基はまた、「低級アルキル」と表される。アルキル基として、メチル、エチル、プロピル(全ての異性体を含む)、n−プロピル、イソプロピル、ブチル(全ての異性体を含む)、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル(全ての異性体を含む)、およびヘキシル(全ての異性体を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、C1−6アルキルは、炭素原子が1から6個の1価の直鎖状飽和炭化水素ラジカル、または、炭素原子が3から6個の1価の分岐鎖状飽和炭化水素ラジカルを表す。一実施形態において、前記アルキルは、2から20個(C2−20)、2から15個(C2−15)、2から12個(C2−12)、2から10個(C2−10)、または2から6個(C2−6)の炭素原子を有する。一実施形態において、前記アルキルは、3から20個(C3−20)、3から15個(C3−15)、3から12個(C3−12)、3から10個(C3−10)、または3から6個(C3−6)の炭素原子を有する。一実施形態において、前記アルキルは、2から6個(C2−6)、2から5個(C2−5)、2から4個(C2−4)、2から3個(C2−3)、3から6個(C3−6)、3から5個(C3−5)、3から4個(C3−4)、4から6個(C4−6)、4から5個(C4−5)、または5から6(C5−6)の炭素原子を有する。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「アルケニル」という用語は、1価の直鎖状または分岐鎖状炭化水素ラジカルであって、1つ以上の、一実施形態においては1から5つの炭素−炭素二重結合を含んでいるものを表す。前記アルケニルは任意で1つ以上の置換基で置換されている。「アルケニル」という用語はまた、当業者が認識しているように、「シス」および「トランス」の立体配座、またはその代りに「E」および「Z」の立体配座を有するラジカルを包含する。本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「アルケニル」という用語は、直鎖状および分岐鎖状アルケニルの両方を包含する。例えば、C2−6アルケニルは、炭素原子が2から6個の1価の直鎖状不飽和炭化水素ラジカル、または炭素原子が3から6個の1価の分岐鎖状不飽和炭化水素ラジカルを表す。特定の実施形態において、前記アルケニルは、炭素原子が2から20個(C2−20)、2から15個(C2−15)、2から12個(C2−12)、2から10個(C2−10)、または2から6個(C2−6)の、1価の直鎖状炭化水素ラジカル、または炭素原子が3から20個(C3−20)、3から15個(C3−15)、3から12(C3−12)、3から10(C3−10)、または3から6(C3−6)の、1価の分岐鎖状炭化水素ラジカルである。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペン−1−イル、プロペン−2−イル、アリル、ブテニル、および4−メチルブテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「アルキニル」という用語は、1価の直鎖または分岐鎖状炭化水素ラジカルであって、1つ以上の、一実施形態においては1から5つの炭素−炭素三重結合を含んでいるものを表す。前記アルキニルは任意で、1つ以上の置換基と置換されていてもよい。「アルキニル」という用語はまた、特に指定されていない限り、直鎖状および分岐鎖状アルキニルの両方を包含する。特定の実施形態において、前記アルキニルは、炭素原子が2から20個(C2−20)、2から15個(C2−15)、2から12個(C2−12)、2から10個(C2−10)、もしくは2から6個(C2−6)の、1価の直鎖状炭化水素ラジカルである、または、炭素原子が3から20個(C3−20)、3から15個(C3−15)、3から12個(C3−12)、3から10個(C3−10)、もしくは3から6個(C3−6)の、1価の分岐鎖状炭化水素ラジカルである。アルキニル基の例としては、エチニル(−C≡CH)およびプロパギル(−CHC≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、C2−6のアルキニルは、炭素原子が2から6個の、1価の直鎖状不飽和炭化水素ラジカル、または炭素原子が3から6個の、1価の分岐鎖状不飽和炭化水素ラジカルを表す。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「シクロアルキル」という用語は、架橋されたおよび/または架橋されていない、1価の飽和炭化水素ラジカルを表し、前記シクロアルキルは、本明細書に記載のように1つ以上の置換基と置換されていてもよい。特定の実施形態において、前記シクロアルキルは、3から20個(C3−20)、3から15個(C3−15)、3から12個(C3−12)、3から10個(C3−10)、または3から7個(C3−7)の炭素原子を有する。シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、デカリニル、およびアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「ヘテロアルキル」という用語は、安定な直鎖状、分岐鎖状もしくは環状炭化水素ラジカル、またはこれらの組み合わせに関し、定められた数の炭素原子と、O、N、SiおよびSからなる群より選択される1から3個のヘテロ原子とからなり、窒素原子および硫黄原子は任意で酸化されており、窒素ヘテロ原子は任意で四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、NおよびSは、ヘテロアルキル基内の任意の位置に存在してもよい。ヘテロ原子Siは、アルキル基が分子の残部に結合している位置を含む、ヘテロアルキル基内の任意の位置に存在し得る。ヘテロ原子O、NまたはSは、アルキル基が分子の残部と結合している位置に存在し得ない。ヘテロ原子O、NまたはSは、アルキル基が分子の残部と結合している位置から離れた外側の位置に存在し得る。例として、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、および−CH=CH−N(CH)−CHが挙げられる。2つまでのヘテロ原子は、例えば−CH2−NH−OCHおよび−CH−0−Si(CHのように連続していてもよい。また、「ヘテロアルキル」という用語に含まれるものには、「ヘテロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキル」と呼ばれるラジカルがある。「ヘテロアルキレン」という用語それ自体、または他の置換基の一部分としては、−CH−CH−S−CH−CH−および−CH−S−CH−CH−NH−CH−に例示される、ヘテロアルキル由来の2価のラジカルを意味する。さらに、ヘテロアルキレン結合基について、本明細書に記載の他の結合基と同様、結合基の向きは示されない。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「アリール」という用語は、1価の単環芳香族基および/または1価の多環芳香族基に関し、少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含んでいる。特定の実施形態において、アリールは、6から20個(C6−20)、6から15個(C6−15)、または6から10個(C6−10)の環状原子を有する。アリール基の例として、フェニル、ナフシル、フルオレニル、アズレニル、アンスリル、フェナンスニル、ピレニル、ビフェニル、およびターフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。アリールはまた、二環または三環の炭素環に関し、環の1つは芳香族であり、他の環は飽和、部分的不飽和、または芳香族であり、例えばジヒドロナフシル、インデニル、インダニル、またはテトラヒドロナフシル(テトラリニル)である。特定の実施形態において、アリールは、任意で1つ以上の置換基で置換され得る。
本明細書に使用されるとき、特に指定されていない限り、「アリールアルキル」または「アラルキル」という用語は、アリールに置換された1価のアルキル基に関する。特定の実施形態において、アルキルおよびアリールの両方は、任意で1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「ヘテロアリール」という用語は、単環芳香族基および/または多環芳香族基に関し、少なくとも1つの芳香族環を含んでおり、少なくとも1つの環は、O、S、およびNから独立して選択される1以上のヘテロ原子を含んでいる。ヘテロアリール基の各環は、各環におけるヘテロ原子の総数が4以下であり、かつ各環が少なくとも1つの炭素原子を含んでいる場合に、1つまたは2つのO原子、1つまたは2つのS原子、および/または1から4つのN原子を含んでいてもよい。特定の実施形態において、ヘテロアリールは、5から20個、5から15個、または5から10個の環状原子を有する。単環ヘテロアリール基の例として、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル、およびトリアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。二環ヘテロアリール基の例として、ベンゾフラニル、ベンジミダゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾキサゾリル、フロピリジル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドリジニル、インドリル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリジニル、ピュリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、チアジアゾロピリミジル、およびチエノピリジルが挙げられるが、これらに限定されない。三環ヘテロアリール基の例として、アクリジニル、ベンジンドリル、カルバゾリル、ジベンゾフラニル、ペリイミジニル、フェナントロリニル、フェナントリジニル、フェナサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、およびキサンセニルが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ヘテロアリールは、任意で1つ以上の置換基で置換され得る。
本明細書に使用されるとき、特に指定されていない限り、「ヘテロシクリル」「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロサイクリック」という用語は、単環の非芳香族環系および/または非芳香族環を少なくとも1つ含む多環系に関し、少なくとも1つの環はO、S、およびNから独立して選択される1以上のヘテロ原子を含んでおり、残りの環原子は炭素原子である。特定の実施形態において、ヘテロシクリルまたはヘテロサイクリック基は、3から20個、3から15個、3から10個、3から8個、4から7個、または5から6個の環原子有する。特定の実施形態において、前記ヘテロシクリルは、単環、二環、三環、または四環系であり、融合したまたは架橋された環系を含んでいてもよく、窒素または硫黄原子は任意で酸化されていてもよく、窒素原子は任意で四級化されていてもよく、いくつかの環は、部分的にもしくは完全に飽和されていてもよく、または、芳香族であってもよい。ヘテロシクリルは、任意のヘテロ原子または炭素原子によって主構造に結合されていてもよく、これにより安定した化合物を形成する。このようなヘテロサイクリックラジカルの例として、アゼピニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラノニル、ベンゾピラノニル、ベンゾピラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキサジニル、β−カルボリニル、クロマニル、クロモニル、シノリニル、クマリニル、デカヒドロイソキノリニル、ジヒドロベンズイソチアジニル、ジヒドロベンスイソキサジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジオキソラニル、1,4−ジチラニル、フラノニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルフォリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、チアモルフォリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロキノリニル、および1,3,5−トリチアニリルが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ヘテロサイクリックは任意で1つ以上の置換基で置換され得る。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「ハロゲン」、「ハライド」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、および/またはヨウ素を表す。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「水素」という用語はプロトン(H)、重水素(H)、三重水素(H)、および/またはこれらの組み合わせを包含する。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「任意に置換された」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル等の基が、例えば(a)C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C6−14アリール、C7−15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルであって、それぞれ任意で1つ以上の置換基Qで、一実施形態においては1、2、3または4つの置換基Qで置換された基;および(b)ハロ、シアノ(−CN)、ニトロ(−NO)、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(NR)NR、−OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−OC(=NR)NR、−OS(O)R、−OS(O)、−OS(O)NR、−OS(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−NRC(=NR)NR、−NRS(O)R、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−NRS(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、および−S(O)NRであって、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して(i)水素;(ii)C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C6−14アリール、C7−15アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであって、それぞれ任意で1つ以上の置換基Q、一実施形態においては1、2、3、または4つの置換基Qで置換された基;または(iii)RおよびRは、これらが結合しているN原子と共にヘテロアリールまたはヘテロシクリルを形成し、任意で1つ以上の置換基Q、一実施形態においては1、2、3、または4つの置換基Qで置換されている基、から独立して選択される、1つ以上の置換基で置換されていてもよいことを意図するものである。
一実施形態において、Qは、(a)シアノ、ハロ、およびニトロ;(b)C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C6−14アリール、C7−15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル;ならびに(c)−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(NR)NR、−OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−OC(=NR)NR、−OS(O)R、−OS(O)、−OS(O)NR、−OS(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−NRC(=NR)NR、−NRS(O)R、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−NRS(O)NR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)NR、および−S(O)NRであって、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して(i)水素;(ii)C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C6−14アリール、C7−15アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル;または(iii)RおよびRは、これらが結合しているN原子と共にヘテロアリールまたはヘテロシクリルを形成する基、からなる群よりそれぞれ独立して選択される。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「薬学的に許容される塩」という用語は、無機酸および有機酸を含む、薬学的に許容される毒性の無い酸から調製された塩を表す。適切な毒性の無い酸には、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルコレン酸、ガラクツロ酸、グリシド酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、リン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、および同様のもの等のような、これらに限定されない無機酸および有機酸が含まれる。いくつかの実施形態において、塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、または硫酸から形成される。一実施形態において、前記塩は塩酸から形成される。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「水和物」という用語は、本明細書において提供される化合物またはその塩を意味しており、非共有結合の分子間力で結合した定比または定比ではない量の水をさらに含む。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「溶媒和物」という用語は、本明細書において提供される化合物またはその塩に関し、非共有結合の分子間力で結合した定比または定比ではない量の溶媒を含む。溶媒が水であるならば、溶媒和物は水和物(例えば一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、および類似のもの)である。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「立体異性体」という用語は、全ての鏡像異性的に/立体異性的に純粋な、および鏡像異性的に/立体異性的に濃縮された、本明細書において提供された化合物を包含する。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「立体異性的に純粋」という用語は、化合物の1種類の立体異性体を含有し、その化合物の他の立体異性体を実質的に含有しない組成物を意味する。例えば、1つの不斉中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物は、その化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含有しない。2つの不斉中心を有する化合物の立体異性的に純水な組成物は、その化合物の他のジアステレオマーを実質的に含有しない。典型的な立体異性的に純粋な化合物は、化合物の1つの立体異性体を約80重量%より高い濃度で含有し、他の立体異性体を約20重量%より低い濃度で含有する、化合物の1つの立体異性体を約90重量%より高い濃度で含有し、他の立体異性体を約10重量%より低い濃度で含有する、化合物の1つの立体異性体を約95重量%より高い濃度で含有し、他の立体異性体を約5重量%より低い濃度で含有する、化合物の1つの立体異性体を約97重量%より高い濃度で含有し、他の立体異性体を約3重量%より低い濃度で含有する、または、化合物の1つの立体異性体を約99重量%より高い濃度で含有し、他の立体異性体を約1重量%より低い濃度で含有する。
本明細書において使用するとき、特に示されていない限り、「立体異性的に濃縮された」という用語は、化合物の1つの立体異性体を約55重量%より高い濃度で含有する、化合物の1つの立体異性体を約60重量%より高い濃度で含有する、化合物の1つの立体異性体を約70重量%より高い濃度で含有する、または、化合物の1つの立体異性体を約80重量%より高い濃度で含有する組成物を意味する。
本明細書において使用するとき、特に示されていない限り、「鏡像異性的に純粋」という用語は、1つの不斉中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物を意味する。同様に、「鏡像異性的に濃縮された」という用語は、1つの不斉中心を有する化合物の、立体異性的に濃縮された組成物を意味する。
特定の実施形態において、本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「光学的に活性である」および「立体異性的に活性である」という用語は、鏡像体過剰率が、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、約99.8%以上である分子の集合を表す。特定の実施形態において、化合物は、当該ラセミ体の総重量の約95%以上の所望のエナンチオマーと、約5%以下のそれよりは好ましくないエナンチオマーとを含有する。
光学的に活性である化合物の記述において、接頭語RおよびSは、不斉中心に関する分子の絶対立体配座を表すために使用される。(+)および(−)は化合物の旋光性、すなわち光学的に活性な化合物が、偏光面を旋回させる方向を表すために使用される。(−)の接頭語は化合物が左旋性である、すなわち化合物が偏光面を左へ、または反時計回りに旋回させることを表す。(+)の接頭語は化合物が右旋性である、すなわち化合物が偏光面を右へ、または時計回りに旋回させることを表す。しかしながら、旋光性の記号である(+)または(−)は、絶対立体配座、つまりRまたはSとは無関係である。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「組成物」、「調合」、または「剤形」という用語は、特定の成分(示されるならば特定の量において)を含む製品が含まれることが意図されており、同様に、特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的または間接的に得られるいずれの製品も含まれる。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「薬学的に許容される担体」、「薬学的に許容される賦形剤」、「生理学的に許容される担体」または「生理学的に許容される賦形剤」という用語は、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセルの材料等の、薬学的に許容される物質、組成物または媒体を表す。一実施形態において、各構成要素は、薬学的に調合された他の成分と共存可能であり、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、免疫原性、または、他の問題もしくは悪化なしに、正当な利益/リスク比に相応に、ヒトおよび動物の組織または臓器に接触させて使用するのに適しているという意味において、「薬学的に許容」される。一実施形態において、「薬学的に」または「薬学的に許容される」とは、組成物、調合物、または剤形内の希釈剤、賦形剤、または担体が、他の成分と共存可能であり、その受容体に対し有害ではないことを意味する。Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia, PA, 2005; Handbook of Pharmaceutical Excipients, 5th Edition, Rowe et al., Eds., The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association: 2005; and Handbook of Pharmaceutical Additives, 3rd Edition, Ash and Ash Eds., Gower Publishing Company: 2007; Pharmaceutical Preformulation and Formulation, 2nd Edition, Gibson Ed., CRC Press LLC: Boca Raton, FL, 2009. 等を参照のこと。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「活性成分」および「活性物質」という用語は、単独で、または1種類または2種類以上の賦形剤と組み合わせて、状態、疾患、または病気の1つ以上の症状を治療、予防、管理、または改善するために対象に投与される化合物を表す。本明細書において使用するとき、「活性成分」および「活性物質」という用語は、本明細書に記載の化合物の光学活性を有する異性体であり得る。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「薬物」、「治療薬」、および「化学療法剤」という用語は、状態、疾患、または病気の1つ以上の症状を治療、予防、管理、または改善するために対象に投与される化合物、またはその医薬組成物を表す。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」および「治療(treatment)」という用語は、病気もしくは疾患、または病気もしくは疾患に関連する1つ以上の症状を根絶または改善することを表す。特定の実施形態において、この用語は、病気または疾患に罹患している対象に、予防薬または治療薬を投与することで、病気または疾患の拡散または悪化を最少にすることを表す。いくつかの実施形態において、この用語は、特定の疾患の症状の診断または発病の後に、本明細書において提供される化合物または剤形を、1種類または2種類以上のさらなる活性物質と共に、またはそれを伴わずに投与することを表す。
本明細書において使用するとき、特に示されていない限り、「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」および「予防(prevention)」という用語は、病気もしくは疾患、またはこれらに関連する1つ以上の症状の発病、再発または拡散を予防することを表す。特定の実施形態において、この用語は、特に本明細書に記載の病気または疾患のリスクのある患者に対し、症状の発症の前に、本明細書に記載の化合物もしくはその剤形を、他の1種類または2種類以上のさらなる活性物質と共に、またはそれを伴わずに用いた治療、またはその投与を表す。この用語は、特定の疾患の症状の阻害または削減を包含する。特定の実施形態において、疾患の家族歴を有する対象は、予防的な投与計画の潜在的な候補である。特定の実施形態において、症状の再発歴のある対象もまた、予防的な投与計画の潜在的な候補である。この点において、「予防」という用語は、「予防的処置」という用語と互換的に使用され得る。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「管理する(manage)」、「管理すること(managing)」および「管理(management)」という用語は、病気もしくは疾患、またはこれらに関連する1つ以上の症状の進行、拡大、または悪化を予防または遅延させることを表す。対象が予防薬および/または治療薬から得る有益な効果は、しばしば、疾患の治癒という結果をもたらさない。この点において、「管理」という用語は、特定の疾患の再発を予防または最小にするために、前記疾患に罹患した患者を治療することを包含している。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、特定の医薬組成物の投与による特定の障害の症状の「改善」は、一時的または永続的、短期または長期に関わらず、組成物の投与がもたらすまたは関連する、いずれかの減少を表す。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、化合物の「治療上の有効量」または「有効量」という用語は、病気もしくは疾患の治療もしくは管理において、または、病気もしくは疾患に関連のある症状の遅延もしくは最小化において、治療上の利益を提供するのに十分な量を意味する。化合物の「治療上の有効量」または「有効量」は、単独で、または他の1つ以上の治療薬と組み合わせて病気もしくは疾患の治療または管理において治療上の利益を提供する治療薬の量を意味する。「治療上の有効量」または「有効量」という用語は、治療の全体を改善する、病気もしくは疾患の症状もしくは原因を削減、遅延、もしくは回避する、または他の治療薬の治療上の有効性を強化する量を包含し得る。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、化合物の「予防的な有効量」とは、病気もしくは疾患を予防する、またはその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防的な有効量は、単独で、または他の1つ以上の治療薬と組み合わせて、疾患の予防において、予防上の利益を提供する量を意味する。「予防上の有効量」という用語は、予防の全体を改善する、または他の予防薬の予防上の有効性を強化する量を包含し得る。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「対象」という用語は、例えば霊長類(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、および同様のものを含むが、これらのみに限定されない哺乳類等の動物を含むことをここに定義する。特定の実施形態において、対象はヒトである。「対象」および「患者」という用語は、例えばヒト等の哺乳類の対象に関しては、互換的に使用される。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「腫瘍」という用語は、悪性または良性を問わず、全ての腫瘍性細胞の成長および増殖、ならびに全ての前癌、癌細胞および癌組織を表す。本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「新生物」という用語は、悪性または良性を問わず、異常な組織増殖を引き起こす制御不良または制御されていない細胞増殖を表す。それゆえ、「新生物細胞」は、制御不良または制御されていない細胞増殖を行う、悪性および良性の細胞を含む。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「癌」および「癌性」という用語は、典型的には制御されていない細胞増殖によって特徴づけられる哺乳類の生理的な異常を表し、または記載する。癌の限定されない例として、リンパ腫、白血病および肺癌等の固形腫瘍が挙げられる。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「増殖性」の病気または疾患という用語は、結果として多細胞器官に対し有害である(例えば不快感または余命の短縮)、多細胞器官における1つ以上の細胞のサブセットの不必要な増殖を表す。例えば、本明細書において使用するとき、増殖性障害または疾患は、腫瘍性障害および他の増殖性障害を含む。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「トリプルネガティブ乳癌」という用語は、特定の乳癌のサブタイプであって、エストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PR)、およびヒト上皮成長因子レセプター2(HER2)タンパク質の発現が臨床的に陰性であるものを表す。これらの乳癌のサブタイプは、一般的に、ほとんどの乳癌を助長することが知られる3種類のレセプター:エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプターおよびヒト上皮成長因子レセプター2の存在または欠如に基づき診断される。これらのレセプターはいずれも、トリプルネガティブ乳癌と診断された患者においては発見されない。言い換えれば、トリプルネガティブ乳癌の診断は、罹患している腫瘍がエストロゲンレセプター陰性、プロゲステロンレセプター陰性およびHER2レセプター陰性であることを意味する。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「再発」という用語は、治療の後癌が寛解した対象に、癌細胞が戻ってきた状態を表す。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「難治性」または「抵抗性」という用語は、対象が集中的な治療の後においても、体内に癌細胞が残存している状況を表す。
本明細書に使用されるとき、特に指定されていない限り、「薬剤抵抗性」という用語は、疾患が薬物(複数種類であり得る)による治療に対し反応しない状態を表す。薬剤抵抗性は、疾患が薬物(複数種類であり得る)に対し反応性であったことがないことを意味する本質的なもの、または、疾患が以前には反応性であった薬物(複数種類であり得る)に対し反応しなくなったことを意味する獲得性のもの、のどちらでもあり得る。特定の実施形態において、薬剤抵抗性は獲得性のものである。
本明細書において使用するとき、特に指定されていない限り、「抗癌剤」または「癌治療薬」という用語は、代謝拮抗剤(例えば5−フルオロウラシル、メトトレキサート、フルダラビン、シタラビン(シトシンアラビノシドまたはAra−Cとしても知られる)、および高用量シタラビン)、微小管阻害剤(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン等のビンカアルカロイド、およびパクリタキセルおよびドセタキシル等のタキサン)、アルキル化剤(例えばメクロレザミン、クロランブシル、シクロホスファミド、メルファラン、メルファラン、イフォスファミド、カルムスチン、アザシチジン、デシタビン、ブスルファン、シクロホスファミド、ダカルバジン、イフォスファミドおよびカルムスチン、ロムスチン、ビスクロロエチルニトロソウレア、およびヒドロキシウレア等のニトロソウレア)、白金剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン(JM−216)およびCI−973)、アントラサイクリン(例えばドキソルビシンおよびダウノルビシン)、抗腫瘍抗生物質(例えばミトマイシン、ブレオマイシン、イダルビシン、アドリアマイシン、ダウノマイシン(ダウノルビシン、ルビドマイシン、またはセルビジンとしても知られる)、およびミトキサントロン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えばエトポシドおよびカンプトテシン)、プリンアンタゴニストまたはピリミジンアンタゴニスト(例えば6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビン、クロファラビン、およびゲムシタビン)、細胞成熟剤(例えば三酸化ヒ素およびトレチノイン)、DNA修復酵素阻害剤(例えばポロフィドトキシン、エトポシド、イリノテカン、トポテカン、テニポシド)、細胞の生存を防止する酵素(例えばアスパラギナーゼおよびペガスパルゲーゼ)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えばボリノスタット)、他の任意の細胞毒性剤(例えばリン酸エストラムスチン、デキサメタソン、プレドニムスチン、およびプロカルバジン)、ホルモン(例えばデキサメタソン、プレドニソン、メチルプレドニソロン、タモキシフェン、レウプロリド、フルタミド、およびメゲストロール)、モノクローナル抗体(例えばゲムツズマブ、オゾガミシン、アレムツズマブ、リツキシマブ、およびイットリウム90イブリツモマブチウキセタン)、免疫調整剤(例えばサリドマイドおよびレナリドマイド)、Bcr−Ablキナーゼ阻害剤(例えばAP23464、AZD0530、CGP76030、PD180970、SKI−606、イマニチニブ、BMS354825(ダサチニブ)、AMN107(ニロチニブ)、およびVX−680)、ホルモンアゴニストまたはアンタゴニスト、部分的アゴニストまたは部分的アンタゴニスト、キナーゼ阻害薬、外科的処置、放射線療法(例えばガンマ線照射、中性子線治療、電子線治療、陽子治療、小線源治療、および人工放射性同位体)、内分泌治療、生物学的反応調整剤(例えばインターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子)、温熱療法および凍結療法、および有害な作用を弱める薬剤(例えば鎮吐薬)を含むが、これらに限定されない抗増殖薬および化学療法剤を含むことを意味する。一実施形態において、抗癌剤および癌治療薬は、細胞毒性剤、代謝拮抗剤、抗葉酸剤、MGCD0103(a.k.a.N−(2−アミノフェニル)−4−((4−(ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)メチル)ベンザミド)等のHDAC阻害剤、DNAインターカレート剤、DNAクロスリンク剤、DNAアルキル化剤、DNA開裂剤、トポイソメラーゼ阻害剤、CDK阻害剤、JAK阻害剤、抗血管新生剤、Bcr−Abl阻害剤、HER2 阻害剤、EGFR阻害剤、EGFR阻害剤、VEGFR阻害剤、PDGFR阻害剤、HGFR阻害剤、IGFR阻害剤、c−Kit阻害剤、Rasパスウェイ阻害剤、PI3K阻害剤、多標的キナーゼ阻害剤、mTOR阻害剤、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、抗アロマターゼ阻害剤、ソマトスタチン類縁体、ER調整剤、抗チューブリン剤、ビンカアルカロイド、タキサン、HSP阻害剤、平滑末端アンタゴニスト、テロメラーゼ阻害剤、COX−2阻害剤、抗転移剤、免疫抑制剤、抗体等の生物製剤、およびホルモン療法剤である。
本明細書に使用されるとき、特に指定されていない限り、「同時投与」および「組合せ」という用語は、2種類以上の治療薬の同時投与、または特に示されていない限り、時間の制限無く連続しての投与を含む。一実施形態において、薬剤は細胞内または対象の体内に同時に存在する、または同時に生物学的または治療的作用を及ぼす。一実施形態において、治療薬は同一の組成物または単位剤形に存在する。他の実施形態において、治療薬は別々の組成物または単位剤形に存在する。特定の実施形態において、最初の薬剤は第二の薬剤の投与に先立って(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8 週間、または12週間前)投与される。
B.化合物
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(I):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグであり;
XはHであり、かつYはS(О)であるか;またはXはS(О)であり、かつYはNHであり;
R’は、水素、ハロゲン、シアノ、OH、OC(О)R、C(О)R、C(О)OR、C(О)NR、NRC(О)R、NR、OS(О)R、SR、S(О)R、S(О)、S(О)NR、NRS(О)、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれ1つ以上のハロゲンと任意に置換されており、
nは2、3または4であり;
Rの存在のそれぞれは、独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、または、(C−C)シクロアルキルであり、それぞれ1つ以上のハロゲンと任意に置換されており;
およびRは、それぞれ独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C12)アラルキル、フェニル、(5〜6員の)ヘテロアリールもしくは(3〜7員の)ヘテロシクリルであるか;またはRおよびRが共に3〜10員環を形成する。式(I)の化合物の一実施形態において、XはNHであり、かつYはS(О)である。式(I)の化合物の別の実施形態において、XはS(О)であり、かつYはNHである。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、F、Cl、Br、(C−C)アルキル、CFまたはOCFである。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は水素または(C−C)アルキルである。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は水素またはメチルである。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は水素である。式(I)の化合物の別の実施形態において、R’はメチルである。式(I)の化合物のさらなる別の実施形態において、R’はClである。式(I)の化合物の一実施形態において、R’はBrである。
式(I)の化合物の一実施形態において、nは2である。式(I)の化合物の別の実施形態において、nは3である。式(I)の化合物のさらなる別の実施形態において、nは4である。式(I)の化合物のさらなる別の実施形態において、nは2または3である。式(I)の化合物のさらなる別の実施形態において、nは3または4である。
式(I)の化合物の一実施形態において、Rの各存在は、独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、または(C−C)シクロアルキルである。式(I)の化合物の一実施形態において、Rの各存在は、独立して、(C−C)アルキルである。式(I)の化合物の一実施形態において、Rの各存在は独立して、メチル、エチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである。式(I)の化合物の一実施形態において、Rの各存在は、独立して、イソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(I):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグであり;
XはNHであり、かつYはS(О)であるか;またはXはS(О)であり、かつYはNHであり;
R’は、水素、ハロゲン、シアノ、OH、OC(О)R、C(О)R、C(О)OR、C(О)NR、NRC(О)R、NR、OS(О)R、SR、S(О)R、S(О)、S(О)NR、NRS(О)、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されており;
nは、2、3または4であり;
Rの存在のそれぞれは、独立して、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルであり;
およびRは、それぞれ独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C12)アラルキル、フェニル、(5〜6員の)ヘテロアリールもしくは(3〜7員の)ヘテロシクリルであるか;またはRおよびRが共に3〜10員環を形成する。
式(I)の化合物の一実施形態において、XはNHであり、かつYはS(О)2である。式(I)の化合物の別の実施形態において、XはS(О)2であり、かつYはNHである。
式(I)の化合物の一実施形態において、R’は水素、ハロゲン、シアノ、(C1−C8)アルキル、(C2−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は水素、F、Cl、Br、(C−C)アルキル、CFまたはOCFである。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は水素または(C−C)アルキルである。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は水素またはメチルである。式(I)の化合物の一実施形態において、R’は水素である。式(I)の化合物の別の実施形態において、R’はメチルである。式(I)の化合物の別の実施形態において、R’はClである。
式(I)の化合物の一実施形態において、nは2である。式(I)の化合物の別の実施形態において、nは3である。式(I)の化合物のさらなる別の実施形態において、nは4である。式(I)の化合物のさらなる別の実施形態において、nは2または3である。式(I)の化合物のさらなる別の実施形態において、nは3または4である。
式(I)の化合物の一実施形態において、Rの各存在は、独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルである。式(I)の化合物の一実施形態において、Rの各存在は、独立して、(C−C)アルキルである。式(I)の化合物の一実施形態において、Rの各存在は、独立して、エチルまたはイソプロピルである。式(I)の化合物の一実施形態において、Rの各存在は、独立して、イソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(II):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上
のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容可能な塩、その溶媒和物、その水
和物もしくはそのプロドラッグであり;
XはNHであり、かつYはS(О)であるか;またはXはS(O)であり、かつYはNHであり;
R’は水素、ハロゲン、シアノ、OH、OC(О)R、C(О)R、C(О)OR、C(О)NR、NRC(О)R、NR、OS(О)R、SR、S(О)R、S(О)、S(О)NR、NRS(О)、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されており;
は、独立して、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルであり;
は、独立して、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている、水素、(−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルであり;
は、独立して、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルであり;
およびRは、独立して、水素、(−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C12)アラルキル、フェニル、(5〜6員の)ヘテロアリールもしくは(3〜7員の)ヘテロシクリルであるか;またはRおよびRが共に3〜10員環を形成する。
式(II)の化合物の一実施形態において、XはNHであり、かつYはS(О)である。式(II)の化合物の別の実施形態において、XはS(О)であり、かつYはNHである。
式(II)の化合物の一実施形態において、R’は水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(II)の化合物の一実施形態において、R’は水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(II)の化合物の一実施形態において、R’は水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(II)の化合物の一実施形態において、R’は水素、F、Cl、Br、(C−C)アルキル、CFまたはOCFである。式(II)の化合物の一実施形態において、R’は水素または(C−C)アルキルである。式(II)の化合物の一実施形態において、R’は水素またはメチルである。式(II)の化合物の一実施形態において、R’は水素である。式(II)の化合物の別の実施形態において、R’はメチルである。式(II)の化合物の別の実施形態において、R’はClである。式(I)の化合物の一実施形態において、R’はBrである。
式(II)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(II)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルである。式(II)の化合物の一実施形態において、Rは水素または(C−C)アルキルである。式(II)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである。式(II)の化合物の一実施形態において、Rは、(C−C)アルキルである。式(II)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(II):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグであり;
XはNHであり、かつYはS(О)であるか;またはXはS(О)であり、かつYはNHであり;
R’は水素、ハロゲン、シアノ、OH、OC(О)R、C(О)R、C(О)OR、C(О)NR、NRC(О)R、NR、OS(О)R、SR、S(О)R、S(О)、S(О)NR、NRS(О)、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されており;
、Rおよび、Rは、独立して、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルであり;
およびRは、それぞれが独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C12)アラルキル、フェニル、(5〜6員の)ヘテロアリールもしくは(3〜7員の)ヘテロシクリルであるか;またはRおよびRが共に3〜10員環を形成する。
式(II)の化合物の一実施形態において、XはNHであり、かつYはS(О)である。式(II)の化合物の別の実施形態において、XはS(О)であり、かつYはNHである。
式(II)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(II)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(II)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(II)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、F、Cl、Br、(C−C)アルキル、CFまたはOCFである。式(II)の化合物の一実施形態において、R’は水素または(C−C)アルキルである。式(II)の化合物の一実施形態において、R’は水素またはメチルである。式(II)の化合物の一実施形態において、R’は水素である。式(II)の化合物の別の実施形態において、R’はメチルである。式(II)の化合物のさらなる別の実施形態において、R’はClである。
式(II)の化合物の一実施形態において、R、Rおよび、Rは、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルである。式(II)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(II)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。式(II)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(II)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。式(II)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(II)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(III):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物もしくは2つ以上のジアステレオマーの混合物;または薬学的に許容可能なその塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグであり;R’、R、RおよびRは、それぞれ本明細書に定義されている通りである。
式(III)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(III)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルである。式(III)の化合物の一実施形態において、Rは水素または(C−C)アルキルである。式(III)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである。式(III)の化合物の一実施形態において、Rは、(C1−C)アルキルである。式(III)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(III):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグであり;
R’は、水素、ハロゲン、シアノ、OH、OC(О)R、C(О)R、C(О)OR、C(О)NR、NRC(О)R、NR、OS(О)R、SR、S(О)R、S(О)、S(О)NR、NRS(О)、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されており;
、Rおよび、Rは、独立して、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルであり;
およびRは、それぞれ独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C12)アラルキル、フェニル、(5〜6員の)ヘテロアリールもしくは(3〜7員の)ヘテロシクリルであるか;またはRおよびRが共に3〜10員環を形成する。
式(III)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(III)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(III)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(III)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、F、Cl、Br、(C−C)アルキル、CFまたはOCFである。式(III)の化合物の一実施形態において、R’は水素または(C−C)アルキルである。式(III)の化合物の一実施形態において、R’は水素またはメチルである。式(III)の化合物の一実施形態において、R’は水素である。式(III)の化合物の別の実施形態において、R’はメチルである。式(III)の化合物のさらなる別の実施形態において、R’はClである。
式(III)の化合物の一実施形態において、R、Rおよび、Rは、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルである。式(III)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(III)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。式(III)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(III)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。式(III)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(III)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(IV):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグであり;R’、R、RおよびRは、それぞれ本明細書に定義されている通りである。
式(IV)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、Rは水素または(C−C)アルキルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、Rは(C1−C)アルキルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(IV):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグであり;
R’は、水素、ハロゲン、シアノ、OH、OC(О)R、C(О)R、C(О)OR、C(О)NR、NRC(О)R、NR、OS(О)R、SR、S(О)R、S(О)、S(О)NR、NRS(О)、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されており;
、Rおよび、Rは、独立して、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルであり;
およびRは、それぞれ独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C12)アラルキル、フェニル、(5〜6員の)ヘテロアリールもしくは(3〜7員の)ヘテロシクリルであるか;またはRおよびRが共に3〜10員環を形成する。
式(IV)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシそれぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(IV)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(IV)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(IV)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、F、Cl、Br、(C−C)アルキル、CFまたはOCFである。式(IV)の化合物の一実施形態において、R’は水素または(C−C)アルキルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、R’は水素またはメチルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、R’は水素である。式(IV)の化合物の別の実施形態において、R’はメチルである。式(IV)の化合物のさらなる別の実施形態において、R’はClである。
式(IV)の化合物の一実施形態において、R、Rおよび、Rは、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(IV)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(II−A):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグであり;R’、R、RおよびRは、それぞれ本明細書に定義されている通りである。
式(II−A)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、Rは水素または(C−C)アルキルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、Rは、(C−C)アルキルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(II−A):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグであり;
XはNHであり、かつYはS(О)であるか;またはXはS(О)であり、かつYはNHであり;
R’は、水素、ハロゲン、シアノ、OH、OC(О)R、C(О)R、C(О)OR、C(О)NR、NRC(О)R、NR、OS(О)R、SR、S(О)R、S(О)、S(О)NR、NRS(О)、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されており;
、Rおよび、Rは、独立して、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルであり;
およびRは、それぞれ独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C12)アラルキル、フェニル、(5〜6員の)ヘテロアリールもしくは(3〜7員の)ヘテロシクリルであるか;またはRおよびRが共に3〜10員環を形成する。
式(II−A)の化合物の一実施形態において、XはNHであり、かつYはS(О)である。式(II−A)の化合物の別の実施形態において、XはS(О)であり、かつYはNHである。
式(II−A)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(II−A)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(II−A)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(II−A)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、F、Cl、Br、(C−C)アルキル、CFまたはOCFである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、R’は水素または(C−C)アルキルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、R’は水素またはメチルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、R’は水素である。式(II−A)の化合物の別の実施形態において、R’はメチルである。式(II−A)の化合物のさらなる別の実施形態において、R’はClである。
式(II−A)の化合物の一実施形態において、R、Rおよび、Rは、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(II−A)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(II−A−1):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグであり;R’、R、RおよびRは、それぞれ本明細書に定義されている通りである。
式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、Rは水素または(C−C)アルキルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、Rは、(C−C)アルキルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(II−A−1):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグであり;
XはNHであり、かつYはS(О)であるか;またはXはS(О)であり、かつYはNHであり;
R’は、水素、ハロゲン、シアノ、OH、OC(О)R、C(О)R、C(О)OR、C(О)NR、NRC(О)R、NR、OS(О)R、SR、S(О)R、S(О)、S(О)NR、NRS(О)、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されており;
、Rおよび、Rは、独立して、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルであり;
およびRは、それぞれ独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C12)アラルキル、フェニル、(5〜6員の)ヘテロアリールもしくは(3〜7員の)ヘテロシクリルであるか;またはRおよびRが共に3〜10員環を形成する。
式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、XはNHであり、かつYはS(О)である。式(II−A−1)の化合物の別の実施形態において、XはS(О)であり、かつYはNHである。
式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、F、Cl、Br、(C1−C)アルキル、CFまたはOCFである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は水素または(C−C)アルキルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は水素またはメチルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は水素である。式(II−A−1)の化合物の別の実施形態において、R’はメチルである。式(II−A−1)の化合物のさらなる別の実施形態において、R’はClである。
式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、R、Rおよび、Rは、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(II−A−1)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(III−A−1):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグであり;R’、R、RおよびRは、それぞれ本明細書に定義されている通りである。
式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、Rは水素または(C−C)アルキルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、Rは、(C−C)アルキルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルである。
一実施形態において、本明細書に示されているのは、式(III−A−1):
Figure 0006313779
の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはその2つ以上のジアステレオマーの混合物;またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグであり;
XはNHであり、かつYはS(О)であるか;またはXはS(О)であり、かつYはNHであり;
R’は、水素、ハロゲン、シアノ、OH、OC(О)R、C(О)R、C(О)OR、C(О)NR、NRC(О)R、NR、OS(О)R、SR、S(О)R、S(О)、S(О)NR、NRS(О)、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであって、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されており;
、RおよびRは、独立して、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルであり;
およびRは、それぞれ独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C12)アラルキル、フェニル、(5〜6員の)ヘテロアリールもしくは(3〜7員の)ヘテロシクリルであるか;またはRおよびRが共に3〜10員環を形成する。
式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、XはNHであり、かつYはS(О)である。式(III−A−1)の化合物の別の実施形態において、XはS(О)であり、かつYはNHである。
式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキルまたは(C−C)シクロアルキルオキシであり、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキルオキシは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、当該アルキルおよびアルコキシルは、それぞれが1つ以上のハロゲンと任意に置換されている。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は、水素、F、Cl、Br、(C1−C)アルキル、CFまたはOCFである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は水素または(C−C)アルキルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は水素またはメチルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、R’は水素である。式(III−A−1)の化合物の別の実施形態において、R’はメチルである。式(III−A−1)の化合物のさらなる別の実施形態において、R’はClである。
式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、R、Rおよび、Rは、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、Rは(C−C)アルキルである。式(III−A−1)の化合物の一実施形態において、Rはイソプロピルである。
一実施形態において、式(III−A−1)の化合物の特定の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない。
Figure 0006313779
上述の実施形態のすべての組み合わせが本発明に包含される。
示された構造と、当該構造に付された名前との間に不一致がある場合、示された構造により重要性を与えられるべきことに注意すべきである。さらに、構造の立体化学または構造の部分が、例えば太線または破線で示されていない場合、当該構造または構造の部分はそのすべての立体異性体を包含すると解釈される。本明細書に示されている化合物がアルケニル基またはアルケニレン基を含んでいる場合、化合物はシス/トランス(またはZ/E)幾何異性体の1つまたは混合物として存在し得る。構造異性体が相互変換可能である場合、化合物は単一の互変異性体または互変異性体の混合物として存在し得る。これは、例えばイミノ、ケトまたはオキシム基を含んでいる化合物におけるプロトン互変異性;または芳香族部分を含んでいる化合物におけるいわゆる原子価互変異性の形態をとり得る。その結果、単一の化合物は一種類以上の異性を示すことになり得る。
本明細書に示されている化合物は、鏡像異性的に純粋(単一のエナンチオマーまたは単一のジアステレオマーなど)であるか、または立体異性的な混合物(エナンチオマーの混合物(例えば2つのエナンチオマーのラセミ混合物;もしくは2つ以上のジアステレオマーの混合物)など)であり得る。いくつかの例において、インビトロでエピマー化を受ける化合物について、その(R)型の化合物の投与は、その(S)型の化合物の投与と同等であることを、当業者は認識する。個々のエナンチオマーの調製/単離のための従来技術としては、好適な、光学的に純粋な前駆体からの合成、アキラルの開始物質からの不斉合成またはエナンチオマー混合物の分割(例えば、キラルクロマトグラフィー、再結晶化、分割、ジアステレオマーの塩形成、または分離を伴うジアステレオマーの付加物への誘導)が挙げられる。
本明細書に示される化合物が酸または塩基部分を含んでいる場合、当該化合物は、薬学的に許容される塩としても提供され得る(例えば、Berge et al., J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19; and Handbook of Pharmaceutical Salts, Properties, and Use, Stahl and Wermuth, ed.; Wiley- VCH and VHCA, Zurich, 2002を参照)。
薬学的に許容される塩の調製における使用のために好適な酸としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)−ショウノウ酸、カンファー−スルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマリン酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、過塩素酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、糖酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸および吉草酸が挙げられるが、これらに限定されない。
薬学的に許容される塩の調製における使用のための好適な塩基としては、無機塩基(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛または水酸化ナトリウムなど);および有機塩基(第1級、第2級、第3級および第4級の脂肪族アミンおよび芳香族アミン(L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、クロリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リジン、モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、第2級アミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールおよびトロメタミンが挙げられる)など)が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、本明細書に示されている化合物は、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸およびイソエトニック酸(isoethonic acids)のうちの1つ以上;または炭酸カリウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミンおよびトリエタノールアミンのうちの1つ以上を用いた、化合物の薬学的に許容される塩である。
また、本明細書に示されている化合物は、化合物の機能的な誘導体(例えば、式Iの)であり、インビボで親化合物に容易に変換可能である、プロドラッグとして提供され得る。プロドラッグは、ある状況においては、それらが親化合物よりも投与がより容易であり得るためにしばしば有用である。例えば、親化合物は生物学的に利用可能ではないのに対し、それらは経口投与によって生物学的に利用可能であり得る。また、プロドラッグは、親化合物を越える、薬学組成物における向上した溶解度を有し得る。プロドラッグは種々のメカニズム(酵素によるプロセスおよび代謝による加水分解が挙げられる)によって親薬剤に変換し得る(例えば、Harper, Progress in Drug Research 1962, 4, 221-294; Morozowich et al. in Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs, Roche ed., APHA Acad. Pharm. Sci. 1977; Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design, Theory and Application, Roche ed., APHA Acad. Pharm. Sci. 1987; Design of Prodrugs, Bundgaard, Elsevier, 1985; Wang et al., Curr. Pharm. Design 1999, 5, 265-287; Pauletti et al., Adv. Drug. Delivery Rev. 1997, 27, 235-256; Mizen et al, Pharm. Biotech. 1998, 11, 345-365; Gaignault et al, Pract. Med. Chem. 1996, 671-696; Asgharnejad in Transport Processes in Pharmaceutical Systems, Amidon et al, ed., Marcell Dekker, 185-218, 2000; Balant et al., Eur. J. Drug Metab. Pharmacokinet. 1990, 15, 143-53; Balimane & Sinko, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 183-209; Browne, Clin. Neuropharmacol. 1997, 20, 1-12; Bundgaard, Arch. Pharm. Chem. 1979, 86, 1-39; Bundgaard, Controlled Drug Delivery 1987, 17, 179-96; Bundgaard, Adv. Drug Delivery Rev. 1992, 8, 1-38; Fleisher et al, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 115-130; Fleisher et al., Methods Enzymol. 1985, 112, 360-381; Farquhar et al., J. Pharm. Sci. 1983, 72, 324-325; Freeman et al., J. Chem. Soc, Chem. Commun. 1991, 875-877; Friis and Bundgaard, Eur. J. Pharm. Sci. 1996, 4, 49-59; Gangwar et al., Des. Biopharm. Prop. Prodrugs Analogs, 1977, 409-421; Nathwani and Wood, Drugs 1993, 45, 866-94; Sinhababu and Thakker, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 241-273; Stella et al, Drugs 1985, 29, 455-73; Tan et al, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 117-151; Taylor, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 131-148; Valentino and Borchardt, Drug Discovery Today 1997, 2, 148-155; Wiebe and Knaus, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 63-80; and Waller et al, Br. J. Clin. Pharmac. 1989, 28, 497-507を参照のこと)。
C.合成の方法
以下のスキームは、本明細書に示されている化合物の調製のための典型的な合成方法を提供する。当業者は、同様の方法が本明細書に示されている化合物を調製するために用いられ得ることを理解するであろう。換言すれば、当業者は、試薬、保護基、反応条件および反応順についての好適な調整が所望の実施形態を調製するために用いられ得ることを認識するであろう。反応は調製される物質の量に合わせるために、より多くまたはより少なく調整され得る。一実施形態において、本明細書に示されている化合物は、実施例において開示されているものと同様の方法および技術によって調製され得る。一実施形態において、本明細書に示されている化合物は、塩化スルホニルのアミンとのカップリングについての当技術分野における公知の方法および技術によって調製され得る。一実施形態において、塩化スルホニルは、当技術分野における公知の方法および技術によって調製される。
一実施形態において、本明細書に示されている化合物を調製するために用いられる開始物質は、商業的供給源から入手し得る。一実施形態において、本明細書に示されている化合物を調製するために用いられる開始物質は、当技術分野における公知の方法または条件に従って調製され得る。
一実施形態において、本明細書に示されている化合物は、以下のスキーム1に従って調製され得る。一実施形態において、溶媒(例えばジクロロメタンなど)中の、好適なアミンおよび塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなど)の溶液に、過剰量またはおよそ等モル量の塩化スルホニルを添加することによって調製される。一実施形態において、化合物は、塩基性の溶媒(例えばピリジンなど)中の、好適なアミンの溶液に、過剰量またはおよそ等モル量の塩化スルホニルを添加することによって調製される。一実施形態において、例えば薄層クロマトグラフィーによってモニターしながら、反応が完了するまで、反応後に室温で攪拌される。一実施形態において、反応は、希釈したHCl、続いてNHCO飽和水溶液および塩性溶液によって洗浄する、水性のワークアップ(aqueous workup)を経る。一実施形態において、反応は、0.1NのHCl、続いて0.1NのNaOH水溶液および塩性溶液によって洗浄する、水性のワークアップを経る。一実施形態において、水性のワークアップの後、反応混合物はMgSOによって乾燥され、濃縮される。一実施形態において、化合物は、カラムクロマトグラフィー、または溶離液(酢酸エチル/ヘキサンなど)を用いてシリカゲルのプラグを通過させることによって、さらに精製され得る。一実施形態において、化合物はヘキサンによる倍散を用いてさらに精製され得る。一実施形態において、化合物はLCMSによって分析される。一実施形態において、化合物はH NMRによって分析される。
一実施形態において、XはNHであり、かつYはS(O)である、式(I)の化合物は、スキーム1に従って調製され、中間生成物1−1および1−2は、商業的供給源から得るか、当技術分野において公知の方法に従って調製され得る。R、R’およびnは本明細書に他の箇所で定義されている通りである。一実施形態において、スキーム1の反応において用いられる塩基はトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである。一実施形態において、スキーム1の反応は塩基性の溶媒中で行われる。一実施形態において、スキーム1の反応は乾燥ピリジン中で行われる。
Figure 0006313779
一実施形態において、XはNHであり、かつYはS(O)である、式(I)の化合物は、スキーム2に従って調製され、中間生成物1−3および1−4は、商業的供給源から得るか、当技術分野において公知の方法に従って調製され得る。R、R’およびnは明細書に他の箇所で定義されている通りである。一実施形態において、スキーム2の反応において用いられる塩基はトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである。一実施形態において、スキーム2の反応は塩基性の溶媒中で行われる。一実施形態において、スキーム2の反応は乾燥ピリジン中で行われる。
Figure 0006313779
一実施形態において本明細書に示されている化合物は、実施例において開示されている方法および技術、ならびに塩化スルホニルとアミンとのカップリングのための公知の有機合成技術によって作製され得る。
D.薬学的組成物
一実施形態において、本明細書に規定されているのは、(1)本明細書の他の箇所において規定されている通りの式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはそのジアステレオマーの混合物、または(2)その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグ、ならびに少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、補助剤、担体、緩衝剤または安定剤を含んでいる薬学的組成物である。
一実施形態において、薬学的に許容される賦形剤、補助剤、担体、緩衝剤または安定剤は、無毒であり、活性成分の有効性を妨げない。担体または他の物質の詳細な性質は、経口であり得るか、または注射(例えば、皮内注射、皮下注射もしくは静脈注射)による投与経路に依存する。
一実施形態において、薬学的組成物は、本明細書に規定されている化合物(例えば(1)式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはそのジアステレオマーの混合物、または(2)その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物、もしくはそのプロドラッグ)および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤もしくは担体を含んでいる、経口投与用の剤形において提供される。経口投与用に調合されている、本明細書に規定されている薬学的組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤または液剤の形態であり得る。錠剤は固形の担体または補助剤を含み得る。液体の薬学的組成物は、液体(例えば、水、石油、動物油、植物油、鉱油または合成油)の担体を一般的に含んでいる。生理的食塩水、デクストロース溶液、他の糖溶液、またはグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)が含まれ得る。カプセル剤は固形の担体(例えばゼラチン)を含み得る。
他の実施形態において、薬学的組成物は、非経口投与のための剤形において提供され、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤または担体である。薬学的組成物が、静脈注射、皮内注射または皮下注射のために調製され得る場合、活性成分は、適切なpH、等張性および安定性を有しており、かつ発熱物質を含んでいない、非経口的に許容可能な水溶液の形態である。当業者は、例えば等張性のビヒクル(例えば、塩化ナトリウム注射液、リンガー液、または乳酸加リンガー液)を用いて適切な溶液剤を調製することが十分に可能である。保存剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤および/または他の補助剤が、必要に応じて含まれ得る。
さらなる他の実施形態において、薬学的組成物は、本明細書に規定されている化合物、および1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤もしくは担体を含んでいる局所投与用の剤形において提供される。
一実施形態において、薬学的組成物はまた、放出調整剤形(例えば、遅延放出剤形、持続放出剤形、持効性放出剤形、維持放出剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、加速放出剤形、速放性剤形、標的化放出剤形、プログラム化された放出剤形および胃貯留剤形)において調合され得る。これらの剤形は、当業者にとって既知の従来の方法および技術にしたがって調製され得る(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, supra; Modified-Release Drug Delivery Technology, 2nd Ed., Rathbone et al., eds., Marcel Dekker, Inc.: New York, NY, 2008を参照)。
一実施形態において、本明細書に規定されている薬学的組成物は、単位剤形または複数剤形において提供され得る。本明細書において利用されるような単位剤形は、当該技術において知られておる通り、ヒトまたは動物の対象への投与に適した、個別に包装されている物理的に分離した単位を指す。各単位用量は、所望の治療効果を生じるために十分な所定の量の(複数の)活性成分を、必要とされる薬学的な担体または賦形剤とともに含んでいる。単位剤形の例としては、アンプル、シリンジ、個別に包装された錠剤および個別に包装されたカプセルが挙げられる。単位剤形は、その一部または複数において投与され得る。複数剤形は、分かれている単位剤形において投与される、単一の容器に包装されている複数の同一の単位剤形である。複数剤形の例としては、バイアル、錠剤の瓶、カプセルの瓶、数パイントの瓶数ガロンの瓶が挙げられる。
一実施形態において、薬学的組成物は、同時に、または時間の間隔をおいて複数回にわたって投与され得る。正確な用量および治療の期間は、治療される患者の年齢、体重または状態によって異なり得、既知の試験手順を用いてか、またはインビボ試験、インビトロ試験または診断データからの推定によって、経験的に決定されることが理解される。任意の特定の個体にとって、特定の投与計画は、個体の必要性、および製剤の投与を管理しているか、または指導している人間の専門的な判断にしたがって、時間をかけて調整されることが、さらに理解される。
他の実施形態において、本明細書に規定されている薬学的組成物は、本明細書に説明されている通り、さらに1つ以上の化学療法剤をさらに含んでいる。
さらなる他の実施形態において、本明細書に規定されているのは、(1)式(I)の化合物またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物もしくはそのジアステレオマーの混合物、または(2)その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その水和物もしくはそのプロドラッグの、本明細書に開示されている1つ以上の疾患の治療のための医薬の製造における使用である。ある実施形態において、医薬は、錠剤、カプセル、散剤または液剤の形態である。ある実施形態において、医薬は本明細書に記載の通りに調合調製されている。
1.経口投与
一実施形態において、本明細書に規定されている経口投与用の薬学的組成物は、経口投与のための固体、半固体または液体の剤形において提供され得る。また、本明細書において利用されるとき、経口投与としては、頬側投与、舌投与および舌下投与が挙げられる。適切な経口剤形としては、錠剤、速崩壊錠、チュアブル錠、カプセル剤、丸剤、ストリップ(strips)、トローチ剤、ロゼンジ、香錠、カシェ、小丸薬、薬用のチューインガム、混合散剤、発泡性もしくは非発泡性の散剤もしくは顆粒剤、経口噴霧剤、溶液剤、乳剤、懸濁剤、オブラート剤、スプリンクル(sprinkle)、エリキシル剤、およびシロップ剤が挙げられるが、これらに限定されない。(複数の)活性成分に加えて、薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体または賦形剤(結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、潤滑剤、滑剤、着色剤、移染抑制剤、甘味剤、香味物質、乳化剤、懸濁剤および分散剤、保存剤、溶媒、非水液の液体、有機酸ならびに二酸化炭素源が挙げられるが、これらに限定されない)を含んでいる。
一実施形態において、結合剤または造粒剤は、圧縮の後に錠剤が完全な状態を維持することを確保するために、錠剤に凝集性を付加する。適切な結合剤または造粒剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびα化デンプン(例えばSTARCH1500)等のデンプン;ゼラチン;スクロース、グルコース、デクストロース、糖蜜、およびラクトース等の糖;アカシア、アルギニン酸、アルギニン酸塩、アイリッシュモス抽出物、パンワーガム、ガッチガム、オオバコ種皮の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビーガム、カラマツアラボグラクタン、粉末のトラガント、およびグアーガム等の天然ゴムおよび合成ゴム;エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース;AVICEL―PH−101、AVICEL―PH−103、AVICELRC−581、AVICEL―PH−105(FMCCorp., MarcusHook, PA)等の微小結晶セルロース;およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、粉末のセルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、α化デンプンおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に規定されている薬学的組成物における結合剤および充填剤の量は、製剤形態の型によって変化し、当業者にとって容易に認識可能である。結合剤または充填剤は、本明細書に規定されている薬学的組成物において、約50から約99重量%まで存在し得る。
一実施形態において、適切な希釈剤としては、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、ソルビトール、スクロース、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプンおよび粉末の糖が挙げられるが、これらに限定されない。マンニトール、ラクトース、ソルビトール、スクロース、およびイノシトール等の特定の希釈剤は、十分な量において存在するとき、噛むことによって口において崩壊可能になる性質を、いくつかの圧縮錠に付加することができる。圧縮錠はチュアブル錠として使用可能である。本明細書に規定されている薬学的組成物における希釈剤の量は、製剤形態の型によって変化し、当業者にとって容易に認識可能である。
一実施形態において、適切な崩壊剤は、寒天;ベントナイト;メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース等のセルロース;木製品;天然海綿;陽イオン交換樹脂;アルギン酸;グアーゴムおよびビーガムHV等のゴム;かんきつ類のパルプ;クロスカルメロース等の架橋セルロース;クロスポビドン等の架橋ポリマー ;架橋デンプン;炭酸カルシウム;グリコール酸デンプンナトリウム等の微結晶性セルロース;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、およびα化デンプン等のデンプン;粘土;アライン(aligns);およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に規定されている薬学的組成物における崩壊剤の量は、製剤形態の型によって変化し、当業者にとって容易に認識可能である。本明細書に規定されている薬学的組成物における崩壊剤の量は、製剤形態の型によって変化し、当業者にとって容易に認識可能である。本明細書に規定されている薬学的組成物は、約0.5〜約15重量%または約1〜5重量%の崩壊剤を含み得る。
一実施形態において、適切な潤滑剤としては、ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;鉱油;軽油;グリセリン;ソルビトール;マンニトール;ベヘン酸グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)等のグリコール;ステアリン酸;ラウリル硫酸ナトリウム;タルク;ピーナツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油を含む、水素付加された植物油;ステアリン酸亜鉛;エチルオレイン酸;エチルラウリン酸;寒天;デンプン;ヒカゲノカズラ;AEROSIL(登録商標)200(W.R. Grace Co., Baltimore, MD)およびCAB−O−SIL(登録商標)(Cabot Co. of Boston, MA)等のシリカおよびシリカゲル;ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に規定されている薬学的組成物は、約0.1〜約5重量%の潤滑剤を含み得る。
一実施形態において、適切な滑材は、コロイド状の二酸化ケイ素、CAB−O−SIL(登録商標)(Cabot Co. of Boston, MA)、およびアスベストを含んでいない滑石が挙げられるが、これらに限定されない。適切な着色剤としては、認可されており、かつ認証されている、アルミナ水和物によって懸濁されている水溶性のFD&C色素および非水溶性のFD&C色素、およびレーキ顔料、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。レーキ顔料は、色素の不溶性の形態を生じる、重金属の水酸化物への水溶性の染料の吸収による組合せである。適切な香味料としては、果実等の植物から抽出された天然の香料、ならびに好ましい味覚を生ずる化合物(例えば、ペパーミントおよびサリチル酸メチル)の合成混合物したものが挙げられるが、これらに限定されない。適切な甘味料としては、スクロース、ラクトース、マンニトール、シロップ、グリセリン、ならびにサッカリンおよびアステルパーム等の人工甘味料が挙げられるが、これらに限定されない。適切な乳化剤としては、ゼラチン、アカシア、トラガント、ベントナイト、ならびにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(TWEEN(登録商標)20)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン80(TWEEN(登録商標)80)、およびオレイン酸トリエタノールアミン等の界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切な懸濁剤または分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガント、ビーガム、アカシア、カルボメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。適切な保存剤としては、グリセリン、メチルおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウムおよびアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。適切な湿潤剤としては、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコール、およびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。適切な溶媒としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、およびシロップを包含する、これらに限定されない。乳剤において利用される適切な非水液体は、鉱油および綿実油が挙げられるが、これらに限定されない。適切な有機酸は、クエン酸および酒石酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な二酸化炭素源としては、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
多くの担体および賦形剤は、同じ製剤内でも複数の機能を果たし得ることが理解される。
一実施形態において、本明細書に規定されている経口投与のための薬学的組成物は、圧縮錠、湿製錠、チュアブルロゼンジ、速溶解錠、多重圧縮錠、または腸溶解錠、糖衣錠またはフィルムコート錠として提供され得る。腸溶解錠は、胃酸の作用に抵抗するが、腸内において溶解または崩壊する物質で被覆されており、したがって胃の酸性環境から活性成分を保護する圧縮錠である。腸溶性コーティングとしては、脂肪酸、脂肪、サリチル酸フェニル、ろう、シェラック、アンモニア化シェラック、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。糖衣錠は、不快な味質または臭いを包み隠すこと、ならびに酸化から錠剤を保護することにおいて有益であり得る糖衣によって被覆されている圧縮錠である。フィルムコート錠は、水溶性の物質の薄層またはフィルム用いて被覆されている圧縮錠である。フィルムコーティングとしては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。フィルムコーティングは、糖衣と同じ一般的な特性を付加する。多重圧縮錠は、2以上の圧縮サイクルによって製造された圧縮錠であり、当該多重圧縮錠としては、層錠およびプレスコーティングした有核錠(press-coated tablets)もしくはドライコーティングした有核錠(dry-coated tablets)が挙げられる。
一実施形態において、錠剤の剤形は、粉末、結晶または顆粒の形態の活性成分から、単独に、または本明細書に記載されている1つ以上の担体もしくは賦形剤と組み合わせて調製され、当該担体または賦形剤としては、結合剤、崩壊剤、放出制御ポリマー、潤滑剤、希釈剤および/または着色剤が挙げられる。香味物質および甘味剤は、チュアブル錠およびロゼンジの調合において有用である。
一実施形態において、本明細書に規定されている経口投与のための薬学的組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン、またはアルギン酸カルシウムから製造され得るソフトカプセルまたはハードカプセルとして、提供され得る。乾燥充填カプセル(DFC)としても知られているハードゼラチンカプセルは、2つの部分からなり、一方が他方の全体に入り込んでおり、活性成分を完全に封入している。軟カプセル剤(SEC)は、グリセリン、ソルビトールまたは類似のポリオールの添加によって可塑化されている、柔軟な球状の殻(例えば、ゼラチンシェル)である。ソフトゼラチンシェルは、微生物の増殖を防止するために保存料を含有し得る。適切な保存料は、本明細書に記載されているような保存剤であり、当該保存剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびソルビン酸が挙げられる。本明細書に規定されている液体、半固体または固体の剤形は、カプセル剤に封入され得る。適切な液体または半固体の剤形としては、炭酸プロピレン、植物油またはトリグリセリドにおける溶液および懸濁液が挙げられる。溶液を含んでいるカプセルは、米国特許第4,328,245号;米国特許第4,409,239号;および米国特許第4,410,545号に記載の通りに調製され得る。また、カプセルは、活性成分の溶解を変更するか、または維持させるために、当業者によって知られている通りに、被覆され得る。
一実施形態において、本明細書に規定されている経口投与のための薬学的組成物は、液体および半固体の剤形で提供され得、当該剤形としては、乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、エリキシル剤、およびシロップ剤が挙げられる。乳剤は、一方の液体が、他方の液体の全体にわたって小さい球状の形態において分散されている、水中油型または油中水型であり得る二相系である。乳剤は、薬学的に許容可能な非水性の液体もしくは溶媒、乳化剤および保存剤を含み得る。懸濁剤は、薬学的に許容可能な懸濁化剤、および保存剤を含み得る。アルコール水溶液は、薬学的に許容可能なアセタール(例えば、低級アルキルアルデヒドのアセタール(例えばアセトアルデヒドジエチルアセタール));および1つ以上のヒドロキシル基を有している、水と混和可能な溶媒(例えば、プロピレングリコールおよびエタノール)を含み得る。エリキシル剤は、甘味のある透明な水性アルコール溶液である。シロップは、糖(例えばスクロース)の濃縮された水溶液であり、また保存剤を含み得る。例えば、液体の剤形のために、ポリエチレングリコールにおける溶液は、投与のために好都合に適応されるための十分な量の薬学的に許容可能な液体の担体(例えば水)を用いて希釈され得る。
一実施形態において、他の有用な液体または半固体の剤形としては、本明細書に規定されている(複数の)活性成分、およびジアルキル化されているモノアルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコールを含有している剤形が挙げられるが、これらに限定されない。当該ジアルキル化されているモノアルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコールとしては、1,2−ジメトキシメタン、ジグリム、トリグルム、テトラグリム、ポリエチレングリコール−350−ジメチルエーテル、 ポリエチレングリコール−550−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−750−ジメチルエーテルが挙げられる。ここで、350、550、および750は、ポリエチレングリコールの分子量の概算の平均値を表す。これらの製剤形態は、1つ以上の酸化防止剤をさらに含み得る。当該酸化防止剤は、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノリン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レクチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、重亜硫酸塩、ピロ亜硫酸ナトリウム、チオジプロピオン酸およびそのエステル、およびジチオカルバメートである。
一実施形態において、本明細書に規定されている経口投与のための薬学的組成物はまた、リポソーム、ミセル、ミクロスフェアまたはナノシステムの形態において提供され得る。ミセルの剤形は、米国特許第6,350,458号に記載の通りに調製される。
一実施形態において、本明細書に規定されている経口投与のための薬学的組成物は、液体の剤形に再構成される、非発泡性または発泡性の顆粒および粉末の形態として提供され得る。非発泡性の顆粒または粉末に使用される薬学的に許容可能な担体または賦形剤は、希釈剤、甘味剤、および湿潤剤を含み得る。発泡性の顆粒または粉末に使用される薬学的に許容可能な担体または賦形剤は、有機酸および二酸化炭素源を含み得る。
一実施形態において、着色剤および香味物質は、上述の剤形のすべてに使用され得る。
一実施形態において、本明細書に規定されている経口投与のための薬学的組成物は、即時放出剤形または放出調整剤形(遅延放出剤形、持続放出剤形、維持放出剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、標的化放出剤形およびプログラム化された放出剤形が挙げられる)として調製され得る。
2.非経口投与
一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、局所投与または全身投与のために、注射、注入、埋込みによって非経口的に投与され得る。本明細書において用いられる非経口投与は、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、髄腔内投与、心室内投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋内投与、髄膜内投与、膨腔内投与、および皮下投与を含む。
一実施形態において、本明細書で提供される非経口投与のための医薬組成物は、非経口投与に適した任意の剤形に調剤され得る。当該剤形は、溶液、懸濁液、乳濁液、ミセル、リポソーム、微粒子、ナノ組織、および、溶液または懸濁液に適した、注射する前の固体形態を含む。そのような剤形は、薬学の技術分野における当業者に知られた従来技術によって調製され得る(例えば、上記のRemington: The Science and Practice of Pharmacyを参照すること)。
一実施形態において、非経口投与を目的とした医薬組成物は、薬学的に許容され得る1つ以上のキャリアおよび添加剤を含み得る。当該キャリアおよび当該添加剤は、水性賦形剤、水溶性賦形剤、非水賦形剤、微生物の増殖に対する抗菌剤または防腐剤、安定剤、溶解促進剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔、懸濁剤および分散剤、湿潤剤または乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、凍結保護剤、リオプロテクタント(lyoprotectants)、増粘剤、pH調整剤、不活性ガスを含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、好適な水性賦形剤は、水、食塩水、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンガー液、等張性ブドウ糖注射液、滅菌水注射液、ブドウ糖、および乳酸加リンガー液を含むが、これらに限定されない。好適な非水賦形剤は、植物由来の不揮発性オイル、ヒマシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、ハッカ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、水素添加植物油、水素添加大豆油、ならびにココナッツ油およびパーム核油の中鎖トリグリセリドを含むが、これらに限定されない。好適な水溶性賦形剤は、エタノール、1,3−ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300およびポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、およびジメチルスルホキシドを含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、好適な抗菌剤または防腐剤は、フェノール、クレゾール、水銀、ベンジルアルコール、クロロブタノール、パラオキシ安息香酸メチルおよびパラオキシ安息香酸プロピル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム(例えば、塩化ベンゼトニウム)、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸を含むが、これらに限定されない。好適な等張剤は、塩化ナトリウム、グリセリン、およびブドウ糖を含むが、これらに限定されない。好適な緩衝剤は、リン酸塩およびクエン酸塩を含むが、これらに限定されない。好適な抗酸化剤は、本明細書に記載されるような抗酸化剤である。当該抗酸化剤は、重亜硫酸塩およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む。好適な局所麻酔は、塩酸プロカインを含むが、これに限定されない。好適な懸濁剤および分散剤は、本明細書に記載されるような懸濁剤および分散剤である。当該懸濁剤および当該分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを含むが、これらに限定されない。好適な乳化剤は、本明細書に記載されるような乳化剤である。当該乳化剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80、およびオレイン酸トリエタノールアミンを含む。好適な金属イオン封鎖剤またはキレート剤は、EDTAを含むが、これに限定されない。好適なpH調整剤は、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、および乳酸を含むが、これらに限定されない。好適な錯化剤は、シクロデキストリンを含むが、これに限定されない。当該シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル7−β−シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標),CyDex,Lenexa,KS)を含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、種々の用法用量のために調剤される。非経口的に投与される種々の製剤は、静菌性の濃度または静真菌性の濃度の抗菌剤を含有している必要がある。当該技術分野において知られており、実施されるように、すべての非経口製剤は、無菌である必要がある。
一実施形態において、非経口投与のための医薬組成物は、即時使用可能な無菌溶液として提供される。別の実施形態において、医薬組成物は、使用前に賦形剤を用いて再構成するために、無菌乾燥可溶性製品として提供される。当該製品は、凍結乾燥粉末および皮下注射用錠剤を含む。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、即時使用可能な無菌懸濁液として提供される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、使用前に賦形剤を用いて再構成するために、無菌乾燥不溶性製品として提供される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、即時使用可能な無菌乳濁液として提供される。
一実施形態において、本明細書で提供される非経口投与のための医薬組成物は、即時に放出する剤形、または調整された放出の剤形として調剤され得る。当該剤形は、遅延された放出の剤形、持続的な放出の剤形、断続的な放出の剤形、制御された放出の剤形、標的が定められた放出の剤形、および、プログラムに従った放出の剤形を含む。
一実施形態において、本明細書で提供される非経口投与のための医薬組成物は、埋め込まれたデポ剤として投与するために、懸濁液、固体、半固体、またはチキソトロピー液として調剤され得る。一実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、固形内部基質に分散される。当該固形内部基質は、体液に溶解しない外部高分子膜によって包囲されているが、医薬組成物中の有効成分を発散させる。
一実施形態において、好適な内部基質は、ポリメタクリル酸メチル ポリメタクリル酸プチル、可塑化ポリ塩化ビニルまたは硬質ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、炭酸ケイ素コポリマー(silicone carbonate copolymers)、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、および、部分的に加水分解された架橋ポリ酢酸ビニルを含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、好適な外部高分子膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデンとの塩化ビニルコポリマー、エチレンとの塩化ビニルコポリマー、および、プロピレンとの塩化ビニルコポリマー、イオノマーのポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元コポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーを含むが、これらに限定されない。
3.局所投与
一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、皮膚、開口部、または粘膜に局所的に投与され得る。本明細書で用いられるような局所投与は、皮膚投与(皮内投与)、結膜投与、角膜内投与、眼球内投与、点眼投与、耳介投与、経皮投与、経鼻投与、膣内投与、尿道投与、呼吸器投与、および直腸投与を含む。
一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、局所効果または全身効果のための局所投与に適した任意の剤形に調剤され得る。当該剤形は、乳濁液、溶液、懸濁液、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、散布剤、外傷用医薬材料(dressings)、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、フォーム、フィルム、エアゾール、潅水、スプレー、坐剤、包帯、および絆創膏を含む。また、本明細書で提供される医薬組成物の局所的な製剤は、リポソーム、ミセル、微粒子、ナノ組織、およびこれらの混合物を含む。
一実施形態において、本明細書で提供される局所的な製剤における使用に適した、薬学的に許容され得るキャリアおよび添加剤は、水性賦形剤、水溶性賦形剤、非水賦形剤、微生物の増殖に対する抗菌剤または防腐剤、安定剤、溶解促進剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔、懸濁剤および分散剤、湿潤剤または乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、経皮吸収促進剤、凍結保護剤、リオプロテクタント(lyoprotectants)、増粘剤、および、不活性ガスを含むが、これらに限定されない。
また、一実施形態において、当該医薬組成物は、電気穿孔法、イオン導入法、音波泳動法(phonophoresis)、超音波導入法(sonophoresis)、または、POWDERJECT(商標)(Chiron Corp., Emeryville, CA)、およびBIOJECT(商標)(Bioject Medical Technologies Inc., Tualatin, OR)などの、マイクロニードル注入、もしくはニードルを用いない注入によって局所的に投与され得る。
一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、軟膏、クリーム、およびゲルの形態で提供され得る。好適な軟膏賦形剤は、豚脂、安息香豚脂、オリーブ油、綿実油、および他のオイル、白色ワセリン;親水性ワセリン、ヒドロキシステアリンサルフェート(hydroxystearin sulfate)、および脱水ラノリンなどの、乳化可能な賦形剤または吸収性賦形剤;親水性軟膏などの、水が着脱可能な賦形剤;種々の分子量のポリエチレングリコールを含む水溶性軟膏賦形剤;セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ラノリンおよびステアリン酸を含む、オイル中に水を含む(W/O)乳濁液または水中にオイルを含む(O/W)乳濁液のどちらかである乳濁液賦形剤(例えば、上記のRemington: The Science and Practice of Pharmacyを参照すること)を含む。これらの賦形剤は、緩和剤ではあるが、一般的に、抗酸化剤および防腐剤の添加を必要とする。
一実施形態において、好適なクリームの基剤は、オイル中の水、または水中のオイルであり得る。好適なクリーム賦形剤は、水可洗性であってもよく、オイル相、乳化剤、および水相を含有していてもよい。また、オイル相は、一般的に、ワセリン、および、セチルアルコールまたはステアリルアルコールなどの脂肪アルコールから構成される“内部”相と呼ばれる。必ずしもそうではないが、水相は、通常、量においてオイル相を超え、一般的に湿潤剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、または両性界面活性剤であってもよい。
一実施形態において、ゲルは、半固体、懸濁タイプの組織である。単相ゲルは、液体キャリアの全体にわたって実質的に均一に分散された有機高分子を含有する。好適なゲル化剤は、カーボマー、カルボキシポリアルキレン(carboxypolyalkylenes)およびCARBOPOL(登録商標)などの、架橋アクリル酸ポリマー;ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびポリビニルアルコールなどの、親水性ポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびメチルセルロースなどの、セルロースポリマー;トラガカントガムおよびキサンタンガムなどの、ガム;アルギン酸ナトリウム;ならびにゼラチンを含むが、これらに限定されない。均一なゲルを調整するために、アルコールまたはグリセリンなどの分散剤が添加され得るか、または、ゲル化剤が、倍散、機械的な混合、および/または機械的な撹拌によって分散され得る。
一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、坐剤、膣坐剤、ブジー剤、パップ剤または湿布剤、ペースト、パウダー、外傷用医薬材料(dressings)、クリーム、硬膏剤、避妊剤、軟膏、溶液、乳濁液、懸濁液、タンポン、ゲル、フォーム、スプレーまたは浣腸剤の形態で、直腸に、尿道に、膣に、または膣周囲に投与され得る。これらの剤形は、上記のRemington: The Science and Practice of Pharmacyに記載されたような従来の工程を用いて製造され得る。
一実施形態において、直腸坐剤、尿道坐剤、および膣坐剤は、身体の開口部に挿入するための固形体である。当該固形体は、通常の温度では固体であるが、体温で融解するか、または軟化して、開口部内部で有効成分を放出する。直腸坐剤および膣坐坐剤に利用される薬学的に許容され得るキャリアは、硬化剤などの基剤または賦形剤を含む。当該基剤または当該賦形剤は、本明細書で提供される医薬組成物、および重亜硫酸およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む本明細書に記載される抗酸化剤とともに調剤された場合、体温に近い融解点を生じる。好適な賦形剤は、ココアバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨蝋、パラフィン、白蝋および黄蝋、脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの適当な混合物、ならびにポリビニルアルコール、メタクリル酸ヒドロキシエチルおよびポリアクリル酸などのヒドロゲルを含むが、これらに限定されない。また、種々の賦形剤の組合せが用いられ得る。直腸坐剤および膣坐剤は、圧縮または成型によって調製されてもよい。直腸坐剤および膣坐剤の典型的な重量は、約2gから約3gまでである。
一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、乳濁液、ゲルを形成する溶液、溶液のためのパウダー、ゲル、眼球への挿入物(ocular inserts)、およびインプラントの形態で眼球に投与され得る。
一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、鼻腔内に投与され得るか、または吸入によって気道に投与され得る。当該医薬組成物は、加圧容器、ポンプ、スプレー、微細なミストを生じる電気流体力学を用いたアトマイザー(atomizer)などのアトマイザー、またはネブライザー(nebulizer)単体、もしくは、1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの好適な高圧ガスと組み合わされたネブライザーを用いた送達のためのエアロゾルまたは溶液の形態で提供され得る。また、当該医薬組成物は、吸入用乾燥パウダー単体、または、ラクトースもしくはリン脂質などの不活性キャリアと組み合わされた吸入用乾燥パウダー、および点鼻薬として提供され得る。鼻腔内への使用のために、当該パウダーは、キトサンまたはシクロデキストリンを含む生体接着剤を含有し得る。
一実施形態において、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーで使用するための溶液または懸濁液は、本明細書で提供される有効成分の、拡散した放出、溶解度が高められた放出、もしくは増量した放出のための、エタノール、含水エタノールまたは好適な別の薬剤;溶媒としての高圧ガス;および/または、ソルビタントリオリエート、オレイン酸、もしくはオリゴ乳酸などの界面活性剤を含有するように調剤され得る。
一実施形態において、吸入器または注入器で使用するためのカプセル、ブリスター(blisters)およびカートリッジは、本明細書で提供される医薬組成物;ラクトースまたはデンプンなどの好適なパウダー基剤;および、l−ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムなどの性能調節剤(performance modifier)の、パウダー混合物を含有するように調合され得る。ラクトースは、無水物であってもよく、また、一水化物の形態であってもよい。他の好適な添加剤またはキャリアは、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースを含むが、これらに限定されない。本明細書で提供される吸入投与/鼻腔内投与のための医薬組成物は、メントールおよびレボメントール(levomenthol)などの好適な香味料;サッカリンおよびサッカリンナトリウムなどの甘味料をさらに含有し得る。
一実施形態において、本明細書で提供される局所投与のための医薬組成物は、即時の放出または調整された放出をするように調剤され得る。当該放出は、遅延した放出、持続的な放出、断続的な放出、制御された放出、標的が定められた放出、およびプログラムに従った放出を含む。
4.調整放出
一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、調整放出剤形として調剤され得る。本明細書で用いられるような用語“調整放出(modified release)”は、有効成分の放出速度または放出位置が、即効性の剤形の放出速度または放出位置と異なる剤形を示している。調整放出剤形は、遅延された放出の剤形、増量された放出の剤形、延長された放出の剤形、持続した放出の剤形、拍動性の放出の(pulsatile-release)剤形、制御された放出の剤形、促進されてかつ急速な放出の剤形、標的が定められた放出の剤形、プログラムに従った放出の剤形、および胃貯留剤形を含むが、これらに限定されない。調整放出剤形の医薬組成物は、当業者に知られた種々の調整された放出のデバイスおよび方法を、使用して調製され得る。当該デバイスおよび当該方法は、基質によって制御された放出のデバイス、浸透性によって制御された放出のデバイス、多粒子によって制御された放出のデバイス、イオン交換樹脂、腸溶性コーティング、多層コーティング、微粒子、リポソーム、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。また、有効成分の放出速度は、有効成分の粒子サイズおよび多形性(polymorphorism)を変更することによって調整され得る。
調整された放出の例は、米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、第4,008,719号、第5,674,533号、5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、第5,639,480号、第5,733,566号、第5,739,108号、第5,891,474号、第5,922,356号、第5,972,891号、第5,980,945号、第5,993,855号、第6,045,830号、第6,087,324号、第6,113,943号、第6,197,350号、第6,248,363号、第6,264,970号、第6,267,981号、第6,376,461号、第6,419,961号、第6,589,548号、第6,613,358号、および第6,699,500号に記載された例を含むが、これらに限定されない。
(a)基質制御放出デバイス
一実施形態において、本明細書で提供される、調整放出剤形の医薬組成物は、当業者に知られた、基質によって制御された放出のデバイスを用いて製造され得る(例えば、Takada et al. in Encyclopedia of Controlled Drug Delivery, Vol. 2, Mathiowitz Ed., Wiley, 1999を参照すること)。
特定の実施形態において、本明細書で提供される調整放出剤形の医薬組成物は、膨潤性ポリマー、浸食性ポリマーまたは溶解性ポリマーである浸食性基質デバイスを用いて調剤される。当該浸食性基質デバイスは、合成ポリマー、ならびに天然ポリマー、および、多糖類およびタンパク質などの誘導体を含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、浸食性基質を形成するのに有用な材料は、キチン、キトサン、デキストラン、およびプルラン;アガーガム(gum agar)、アラビアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラギーナン、ガティガム(gum ghatti)、グアルゴム、キサンタンガム、およびスクレログルカン;デキストリンおよびマルトデキストリンなどのデンプン;ペクチンなどの親水性コロイド;レシチンなどのリン脂質;アルギン酸塩;アルギン酸プロピレングリコール;ゼラチン;コラーゲン;エチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、トリメリト酸酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAT)、およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)などのセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ポリ酢酸ビニル;脂肪酸グリセロールエステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸;エタクリン酸のコポリマーまたはメタクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標), Rohm America, Inc., Piscataway, NJ);ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル);ポリラクチド;L−グルタミン酸およびエチル−L−グルタメート;分解性の、乳酸−グリコール酸コポリマー;ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸;ならびに、メタクリル酸ブチルの同種ポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸(2−ジメチルアミノエチル)およびメタクリル酸塩化(トリメチルアミノエチル)((trimethylaminoethyl)methacrylate chloride)などの他のアクリル酸誘導体を含むが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、非浸食性基質デバイスとともに調剤される。有効成分は、不活性基質中に溶解されるか、または分散され、いったん投与されると、主に不活性基質を介した拡散によって放出される。非浸食性基質デバイスとしての使用に適した材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデンとの塩化ビニルコポリマー、エチレンとの塩化ビニルコポリマー、およびプロピレンとの塩化ビニルコポリマー、イオノマーのポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元コポリマー、エチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサンおよび炭酸ケイ素コポリマー(silicone carbonate copolymers)などの不溶性プラスチック;エチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン(crospovidone)および部分的に加水分解された架橋ポリ酢酸ビニルなどの親水性ポリマー;ならびに、カルナウバワックス、微晶性ワックスおよびトリグリセリドなどの脂肪族化合物を含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、基質によって制御された放出システムにおける所望の放出キネティクスは、例えば、用いられたポリマータイプ、ポリマーの粘性、ポリマーおよび/または有効成分の粒子サイズ、ポリマーに対する有効成分の割合、ならびに組成物中の他の添加剤またはキャリアを、介して制御され得る。
一実施形態において、本明細書で提供される、調整放出剤形の医薬組成物は、当業者に知られた方法によって調製され得る。当該方法は、直接的な圧縮、乾式造粒法後の圧縮、または湿式造粒法後の圧縮、および溶融造粒法後の圧縮を含む。
(b)浸透性制御放出デバイス
一実施形態において、浸透性本明細書で提供される、調整放出剤形の医薬組成物は、浸透性によって制御された放出のデバイスを用いて製造され得る。当該デバイスは、ワンチャンバーシステム(one-chamber system)、ツーチャンバーシステム(two-chamber system)、非対称膜テクノロジー(AMT)、および噴出コアシステム(extruding core system)(ECS)を含むが、これらに限定されない。一般的に、そのようなデバイスは、少なくとも2つの成分、(a)有効成分を含有するコア、および(b)少なくとも1つの吐出口を伴った、コアを被包する半透膜を、有する。当該半透膜は、吐出口を介した噴出によって薬剤放出を生じさせるように、有用な水環境からコアへの、水の流入を制御する。
一実施形態において、浸透性デバイスのコアは、有効成分の他に、任意で浸透剤を含有する。当該浸透剤は、有用な環境から当該デバイスのコアへの水の運搬のための推進力を生じさせる。浸透剤のうちの一種類は、膨潤性親水性ポリマーである。また、当該ポリマーは、“オズモポリマー(osmopolymers)”および“ヒドロゲル”として示される。浸透剤として好適な膨潤性親水性ポリマーは、親水性ビニルポリマーおよび親水性アクリルポリマー、アルギン酸カルシウムなどの多糖類、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2−メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、メタクリル酸メチルおよび酢酸ビニルなどの疎水性単量体とのPVA/PVPコポリマー、大きいPEOブロックを含有する親水性ポリウレタン、クロスカルメロースナトリウム、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびカルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンガム、ならびにグリコール酸ナトリウムデンプンを含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、他の種類の浸透剤は、オスモゲン(osmogens)である。当該オスモゲンは、水を吸収することが可能であり、周囲のコーティングの障壁を介し、浸透圧勾配に影響を与える。好適なオスモゲンは、例えば、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、および硫酸ナトリウムなどの、無機塩;デクストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、スクロース、トレハロース、およびキシリトールなどの、糖;アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p−トルエンスルホン酸、コハク酸、および酒石酸などの、有機酸;尿素;ならびに、これらの混合物を含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、種々の溶解速度の浸透剤は、有効成分が剤形から最初に噴出される速さに影響を与えるために用いられ得る。例えば、迅速に所望の治療効果を生じさせる、最初の2、3時間のより速い送達、ならびに長期間にわたる所望のレベルの治療効果または予防効果を維持する、残りの量の漸進的な放出および継続的な放出を備えるために、MANNOGEM(商標)EZ(SPI Pharma, Lewes, DE)などの非晶質糖が用いられ得る。この場合、有効成分は、代謝された有効成分の量および排出された有効成分の量と入れ替わるような速度で放出される。
また、一実施形態において、剤形の性能を高めるために、または安定性もしくはプロセシングを向上するために、コアは、本明細書に記載されるような広い種類の他の添加剤およびキャリアを含有し得る。
一実施形態において、半透膜を形成するのに有用な材料は、種々のグレードの、アクリル、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステルおよびセルロース誘導体を含む。これらは、生理的に適切なpHにおいて水浸透性および水不溶性であるか、または、架橋などの化学変性によって水不溶性になりやすい。コーティングを形成するのに有用で好適なポリマーの例は、可塑化酢酸セルロース(CA)、非可塑化酢酸セルロース(CA)、強化酢酸セルロース(CA)、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸CA、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAカルバミン酸エチル、CAP、CAカルバミン酸メチル、コハク酸CA、トリメリト酸酢酸セルロース(CAT)、CA酢酸ジメチルアミノ、CA炭酸エチル、クロロ酢酸CA、CAシュウ酸エチル、CAスルホン酸メチル、CAスルホン酸ブチル、CAスルホン酸p−トルエン、酢酸アガー(agar acetate)、三酢酸アミロース、酢酸ベータグルカン、 三酢酸ベータグルカン、アセトアルデヒドジメチルアセテート(acetaldehyde dimethyl acetate)、ローカストビーンガムの三酢酸塩、ヒドロキシル化エチレン−酢酸ビニル、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸およびポリ(アクリル)酸エステル、ならびにポリ−(メタクリル)酸およびポリ−(メタクリル)酸エステル、ならびに、それらのコポリマー、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリハロゲン化ビニル、ポリビニルエステルおよびポリビニルエーテル、天然ワックス、ならびに合成ワックスを含む。
また、一実施形態において、米国特許第5,798,119号に記載されているように、半透膜は、疎水性で微孔性の膜であり得、当該膜の孔は、実質的に気体が充満していて、水媒体によって濡れてはいないが、水蒸気に対して透過性を有する。そのような、疎水性ではあるが水蒸気を透過し得る膜は、一般的に、ポリアルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、 ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルエステルおよびポリビニルエーテル等の、疎水性ポリマー、天然ワックス、ならびに合成ワックスから構成されている。
一実施形態において、半透膜上の吐出口は、機械的ドリルまたはレーザードリルによって、コーティングの後ろに形成され得る。また、吐出口は、水溶性材料のプラグの浸食によって、またはコア中の窪み上の膜のより薄い部分の破裂によって、原位置に形成され得る。さらに、吐出口は、米国特許第5,612,059号および第5,698,220号に開示されたタイプの非対称膜コーティングの場合のように、コーティングプロセス中に形成され得る。
一実施形態において、総量の有効成分が放出され、放出速度は、実質的に、半透膜の厚さおよび多孔性、コアの組成、ならびに吐出口の数、サイズ、および位置を介して調節され得る。
一実施形態において、浸透性制御放出剤形の医薬組成物は、製剤の性能またはプロセッシングを促進するために、本明細書に記載されたような、追加された従来の添加剤またはキャリアをさらに含有し得る。
一実施形態において、浸透性制御放出剤形は、当業者に知られた従来の方法および技術に従って調製され得る(例えば、上記のRemington: The Science and Practice of Pharmacy、 Santus & Baker, J. Controlled Release 1995, 35, 1-21、Verma et al., Drug Development and Industrial Pharmacy 2000, 26, 695-708、Verma et al, J. Controlled Release 2002, 79, 7-27を参照すること)。
特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、AMT制御放出剤形として調剤される。当該剤形は、有効成分および他の薬学的に許容され得る添加剤またはキャリアを含有するコアをコートする非対称浸透膜を備える。例えば、米国特許第5,612,059号および国際特許第WO2002/17918号を参照すること。AMT制御放出剤形は、当業者に知られた従来の方法および技術に従って調製され得る。当該方法および当該技術は、直接圧縮法、乾式造粒法、湿式造粒法および浸漬コーティング法を含む。
特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、ESC制御放出剤形として調剤される。当該剤形は、有効成分、ヒドロキシルエチルセルロースおよび他の薬学的に許容され得る添加剤またはキャリアを含有するコアをコートする浸透膜を備える。
(c)多粒子制御放出デバイス
一実施形態において、本明細書で提供される調整放出剤形の医薬組成物は、多粒子によって制御された放出のデバイスとして製造され得る。当該デバイスは、直径が約10μmから約3mmまでの範囲、約50μmから約2.5mmまでの範囲または約100μmから約1mmまでの範囲にある多数の粒子、顆粒またはペレットを含有する。そのような多粒子は、当業者に知られたプロセスによって作製され得る。当該プロセスは、湿式造粒および乾式造粒、押出し/球形化(spheronization)、ローラー圧縮、融解凝固(melt-congealing)、およびシードコア(seed core)をスプレーコーティングすることによるプロセスを含む。例えば、Multiparticulate Oral Drug Delivery; Marcel Dekker: 1994、Pharmaceutical Pelletization Technology; Marcel Dekker: 1989を参照すること。
一実施形態において、本明細書に記載されるような他の添加剤またはキャリアは、多粒子を処理および形成する上で補助する医薬組成物と調合され得る。生じた粒子は、それら自体が、多粒子デバイスを構成し得るか、または、腸溶性ポリマー、水膨潤性ポリマー、および水溶性ポリマーなどの種々のフィルム形成材料によってコートされ得る。当該多粒子は、カプセルまたはタブレットとしてさらに処理され得る。
(d)標的が定められた送達
また、一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、治療される被検体の身体の、特定の組織、特定の受容体、または他の部位に、標的を定められるように調剤され得る。これらは、リポソームに基づく送達システム、再封された赤血球に基づく送達システム、および抗体に基づく送達システムを含む。例としては、米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542号、および第5,709,874号に開示された送達システムを含むが、これらに限定されない。
(e)特殊なキャリアを用いて標的を定めた送達
また、一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、特殊なキャリアに結合するように調剤または設計され得る。当該キャリアは、アルブミン、PEG(ポリエチレングリコール)、PEG化アルブミンポリマー、PG(ポリ(l−グルタミン酸))ポリマー、およびポリマー−薬剤複合体を形成するものを含むが、これらに限定されない。例としては、米国特許第5,977,163号、第5,648,506号、第6,703,417号、第5,439,686号、第5,498,421号、第6,096,331号、第6,506,405号、第6,537,579号、第6,749,868号、第6,753,006号、第7,820,788号、第7,923,536号、第8,034,375号、第8,138,229号、第8,268,348号、および第8,314,156号に開示されたキャリア(それぞれが参照により本明細書に組み込まれている)を含むが、これらに限定されない。
5.キット
一実施形態において、本明細書で提供されるものは、キットである。当該キットは、医療従事者によって用いられる場合、被検体への、有効成分の適切な量の投与を、平易化し得る。特定の実施形態において、本明細書で提供されるキットは、容器および本明細書で提供される化合物の剤形を含み、当該剤形は、その単一のエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくは、それらのジアステレオマーの混合物、または薬学的に許容され得る塩、溶媒化合物もしくはそれらのプロドラッグを含む。
特定の実施形態において、キットは、本明細書で提供される化合物の剤形を備える容器を含む。当該剤形は、本明細書に記載される1つ以上の他の治療薬を備える容器中の、その単一のエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくは、そのジアステレオマーの混合物、または薬学的に許容され得る塩、溶媒化合物もしくはそれらのプロドラッグを含む。
一実施形態において、本明細書で提供される有効成分は、同時に患者に投与されないか、または同一の投与経路によって患者に投与されない。別の実施形態においては、有効成分の適切な量の投与を平易化し得るキットが提供される。
一実施形態において、キットは、本明細書で提供される化合物の剤形を備える。キットは、本明細書に記載されるような1つ以上の第二の有効成分、その薬理学的に有効な変異体、もしくはその誘導体、またはそれらの組み合わせをさらに備える。
他の実施形態において、キットは、有効成分を投与するために用いられるデバイスをさらに備え得る。そのようなデバイスの例としては、注射器、点滴バッグ、パッチおよび吸入器を含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、キットは、1つ以上の有効成分を投与するために使用され得る移植用の細胞または移植用の血液および薬学的に許容され得る賦形剤を、さらに備え得る。例えば、有効成分が、非経口投与のために再構成される必要がある固体の形態で提供される場合、当該キットは、好適な賦形剤の密封容器を備えることが可能であり、当該賦形剤は、有効成分が溶解され、微粒子を含有しない非経口投与に適した滅菌溶液を形成し得るものである。薬学的に許容され得る賦形剤の例としては、USP仕様の注射液用の水(Water for injection USP);塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖と塩化ナトリウムとを含有する注射液および乳酸加リンガー注射液などの、水性賦形剤(これらに限定されない);エチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどの、水混和性賦形剤(これらに限定されない);ならびに、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルおよび安息香酸ベンジルなどの、非水性賦形剤(これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない。
また、一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、当業者によく知られた包装材料を使用した製造物として提供され得る。例えば、米国特許第5,323,907号、第5,052,558号および第5,033,252号を参照すること。医薬包装材料の例としては、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、注射器、ならびに選択された製剤と投与および治療の意図した形態とに適した任意の包装材料を、含むが、これらに限定されない。
E.使用方法
1.インビトロアッセイおよびインビボアッセイ
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、eIF4Eの活性を阻害するか、または低減する。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、本明細書で提供される化合物(例えば、化学式(I)の化合物)を用いた、タンパク質の翻訳開始をダウンレギュレートする方法である。一実施形態において、当該方法は、特定の理論によって限定されることなく、eIF4E、eIF4G(骨格タンパク質)およびeIF4F(RNAヘリカーゼ)を備える翻訳開始複合体eIF4F中の1つ以上の分子標的と、本明細書で提供される化合物(例えば、化学式(I)の化合物)とを、接触させることを含む。一実施形態において、当該方法は、特定の理論によって制限されることなく、本明細書で提供される化合物(例えば、化学式(I)の化合物)を用いて、eIF4Eと7−メチルグアノシン5’キャップとの間の相互作用を妨害することを含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、本明細書で提供される化合物(例えば、化学式(I)の化合物)を用いて、タンパク質の翻訳開始を選択的にダウンレギュレートすることを含む。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、標的が定められた最小限の毒性を有する。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、大きな治療指数を有する。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、癌の増殖を阻害する一方で、正常細胞に対する毒性は最小限である。
一実施形態において、当該化合物は、選択的に、タンパク質の翻訳経路を標的に定める。一実施形態において、当該化合物は、特定の理論に制限されることなく、選択的に、eIF4F複合体を破壊する。
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、特定のタイプの線維症の1つ以上の細胞と、本明細書で提供される化合物とを、接触させる工程を含む。当該線維症は、臓器特異的線維症(心臓、肝臓、肺、腎臓、骨髄、皮膚、膵臓)、他の型の線維症(後腹膜、腎原性、および嚢胞性)、ならびに結合組織疾患(アテローム性動脈硬化症、肝硬変、硬皮症、ケロイド、クローン病、および子宮内膜症)を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、特定のタイプの癌の1つ以上の細胞と、本明細書で提供される化合物とを、接触させる工程を含む。当該癌は、転移性癌、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌、ER+乳癌、またはER−乳癌)、基底細胞癌、皮膚癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、脳癌、髄芽腫、グリア芽腫、結腸直腸癌、卵巣癌、肝臓癌、膵臓癌(例えば、悪性腫瘍、血管肉腫、腺肉腫)、胃癌、胃食道接合部癌、前立腺癌、子宮頸癌、膀胱癌、頭頸部癌、リンパ腫(例えば、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、手術によって除去することが不可能な固形腫瘍、局所的に進行した固形腫瘍、転移性固形腫瘍、白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、もしくは慢性骨髄性白血病(CML))、または、再発性腫瘍もしくは難治性腫瘍を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、特定のタイプの疾患の1つ以上の細胞と、本明細書で提供される化合物とを、接触させる工程を含む。当該疾患は、基底細胞母斑症候群(ゴーリン症候群)を含むが、これに限定されない。本明細書で提供される方法は、特定のタイプの疾患の1つ以上の細胞と、本明細書で提供される化合物とを、接触させる工程を含む。当該疾患は、ゴーリン症候群に関連した基底細胞癌を含むが、これに限定されない。特定の実施形態において、当該方法は、インビボ、インビトロ、および/またはエキソビボで実施されてもよい。特定の実施形態において、当該方法は、例えば、マウスまたはラットなどの動物で実施されてもよい。特定の実施形態において、本明細書で提供される方法は、当該技術分野において知られた方法を用いて、例えば、マウスまたはラットなどの動物に、例えば、乳癌などの特定の癌細胞型を移植する工程と、次に、当該動物を、本明細書で提供される化合物を用いて治療する工程とを、さらに含む。移植工程と治療工程との間の時間は、動物における癌の定着および/または転移を可能にするために変更してもよい。
一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、活性化末梢血単核細胞(PBMC)から分泌されたサイトカインを調節して、特定の癌細胞株における細胞毒性を増強する。当該癌細胞株は、MDA−MB−468(トリプルネガティブ乳癌)、XPA−1(膵臓癌)、およびPANC−1(膵臓癌)を含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、腫瘍間質における癌関連線維芽細胞の活性を阻害または低減する。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、α−平滑筋アクチンを阻害するか、または減少させる。
一実施形態において、当該細胞は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物などの、本明細書において提供される化合物に対して感受性を有する。ここで、当該化合物のEC50は、約0.001μΜ未満、約0.005μM未満、約0.01μΜ未満、約0.05μΜ未満、約0.1μΜ未満、約0.3μΜ未満、約0.5μM未満、約0.7μΜ未満、約1μΜ未満、約3μΜ未満、約5μΜ未満、約10μΜ未満、約15μΜ未満、または約30μΜ未満である。一実施形態において、当該細胞は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、またはそのジアステレオマーの混合物などの、本明細書において提供される化合物に対して感受性を有する。当該化合物のEC50は、約0.001μΜと約30μΜとの間、約0.01μMと約30μΜとの間、約0.1μMと約30μMとの間、約1μMと約30μΜとの間、約3μMと約30μMとの間、または約10μMと約30μMとの間である。一実施形態において、当該細胞は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物などの、本明細書において提供される化合物に対して感受性を有する。当該化合物のEC50は、約0.001μΜ、約0.005μΜ、約0.01μΜ、約0.05μΜ、約0.1μΜ、約0.3μΜ、約0.5μΜ、約0.7μΜ、約1μΜ、約3μΜ、約5μΜ、約10μΜ、約15μΜ、約30μΜであるか、または30μΜより大きい。
2.疾患の、治療、予防および/または改善
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、タンパク質の翻訳によって媒介される疾患の1つ以上の症状を治療、予防および/または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはその二つ以上のジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグ、または本明細書で提供される医薬組成物などの、本明細書で提供される化合物を投与することを含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、eIF4Eによって媒介される疾患の1つ以上の症状を治療、予防、または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはその二つ以上のジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグ、または本明細書で提供される医薬組成物などの、本明細書で提供される化合物を投与することを含む。一実施形態において、当該疾患は、癌、増殖性疾患、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、ER+乳癌、ER−乳癌、基底細胞母斑症候群(ゴーリン症候群)、基底細胞癌、皮膚癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、脳癌、髄芽細胞腫、グリア芽腫、結腸直腸癌、卵巣癌、肝臓癌、膵臓癌、膵癌、膵臓血管肉腫、膵臓腺肉腫、胃癌、胃食道接合部癌、前立腺癌、子宮頸癌、膀胱癌、頭頸部癌、リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、手術によって除去することが不可能な固形腫瘍、局所的に進行した固形腫瘍、転移性固形腫瘍、白血病、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、または再発性腫瘍もしくは難治性腫瘍である。一実施形態において、当該疾患は、ゴーリン症候群に関連した基底細胞癌である。
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、被検体における、癌、増殖性疾患、または血管形成によって媒介される疾患などの、1つ以上の症状の治療、予防または改善のための方法である。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物の治療的有効量を被検体に投与することを含む。一実施形態において、被検体は、ヒトである。一実施形態において、被検体は、哺乳類である。一実施形態において、被検体は、例えばマウスまたはラットなどのげっ歯類である。一実施形態において、被検体は、霊長類である。一実施形態において、被検体は、非ヒト霊長類、ウシなどの家畜、ウマなどの競技動物、または、イヌもしくはネコなどのペットである。
一実施形態において、本明細書で提供される、化合物の使用は、例えば、本明細書で提供される疾患の治療、予防または改善のための薬剤の製造における、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグ、または化学式(I)の化合物を含有する医薬組成物などの、化合物の使用である。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、例えば、本明細書で提供される疾患の治療、予防、または改善における使用のための、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグ、または化学式(I)の化合物を含有する医薬組成物などの、化合物である。一実施形態において、当該疾患は、癌である。一実施形態において、当該疾患は、増殖性疾患である。一実施形態において、本明細書で提供される、化合物の使用は、例えば、癌の治療のための薬剤の製造における、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグ、または化学式(I)の化合物を含有する医薬組成物などの、化合物の使用である。
一実施形態において、治療、予防または改善され得る疾患は、被検体における、eIF4Eレベルに関連した疾患、疾病または症状である。当該疾患、当該疾病または当該症状は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物の治療的有効量を被検体に投与して、治療、予防または改善され得る疾患、疾病または症状を含む。一実施形態において、治療、予防または改善され得る疾患は、被検体における、タンパク質の翻訳開始に関連した疾患、疾病または症状である。当該疾患、当該疾病または当該症状は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物の治療的有効量を被検体に投与して、治療、予防または改善され得る疾患、疾病または症状を含む。一実施形態において、治療、予防または改善され得る疾患は、被検体における、eIF4Eレベルの調節に反応する疾患、疾病または症状である。当該疾患、当該疾病または当該症状は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物の治療的有効量を被検体に投与して、治療、予防または改善され得る疾患、疾病または症状を含む。一実施形態において、治療、予防または改善され得る疾患は、被検体における、eIF4E複合体によって媒介される疾患、疾病または症状である。当該疾患、当該疾病または当該症状は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物の治療的有効量を被検体に投与して、治療、予防または改善され得る疾患、疾病または症状を含む。
一実施形態において、治療、予防または改善され得る疾患は、癌または増殖性疾患である。当該癌または当該増殖性疾患は、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌、ER+乳癌、もしくはER−乳癌)、基底細胞癌、皮膚癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、脳癌、髄芽細胞腫、グリア芽腫、結腸直腸癌、卵巣癌、肝臓癌、膵臓癌(例えば、悪性腫瘍、血管肉腫、腺肉腫)、胃癌、胃食道接合部癌、前立腺癌、子宮頸癌、膀胱癌、頭頸部癌、リンパ腫(例えば、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、手術によって除去することが不可能な固形腫瘍、局所的に進行した固形腫瘍、転移性固形腫瘍、白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、もしくは慢性骨髄性白血病(CML))、または再発性腫瘍もしくは難治性腫瘍を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、治療、予防または改善され得る疾患は、基底細胞母斑症候群(ゴーリン症候群)を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、治療、予防または改善され得る疾患は、ゴーリン症候群に関連した基底細胞癌を含むが、これに限定されない。
一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、血管形成を阻害するものであり、血管形成により媒介される疾病または症状の治療に有用である。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、例えば、固形腫瘍(例えば結腸腫瘍、肺腫瘍、膵臓腫瘍、卵巣腫瘍、乳腫瘍およびグリオーマなどの)などの腫瘍を治療するために有用である。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、滲出型加齢黄斑変性症などの黄斑変性症を治療するために有用である。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、例えば、クローン病、炎症性腸疾患、シェーグレン症候群、喘息、臓器移植拒絶反応、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、乾癬性関節炎、乾癬、および多発性硬化症などの、炎症性疾患/免疫性疾患を治療するために有用である。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、脱毛剤として有用である。
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、特定のタイプの癌の存在を、被検体において特定する工程を、含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、eIF4E調節に感受性を有するタイプの癌の存在を、被検体において特定する工程を含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、特定のタイプの癌に罹った被検体に投与する工程を含む。
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、リンパ節中の原発腫瘍の癌、および/または遠隔転移後の癌を治療、予防または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、それらを必要とする被検体に投与することを含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、原発腫瘍の癌を治療、予防または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、それらを必要とする被検体に投与することを含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、転移を予防する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、それらを必要とする被検体に投与することを含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、リンパ節中の癌を治療、予防または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、それらを必要とする被検体に投与することを含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、遠隔転移後の癌を治療、予防または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、それらを必要とする被検体に投与することを含む。
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、外科的に切除可能な癌、局所的に進行した癌、局所的に進行した癌および/または遠隔転移癌に罹った被検体中の癌を、治療、予防または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、それらを必要とする被検体に投与することを含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、外科的に切除可能な癌に罹った被検体中の癌を治療、予防または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、それらを必要とする被検体に投与することを含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、局所的に進行した癌に罹った被検体中の癌を治療、予防または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、それらを必要とする被検体に投与することを含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、局所的に進行した癌に罹った被検体中の癌を治療、予防または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、それらを必要とする被検体に投与することを含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、遠隔転移癌に罹った被検体中の癌を、治療、予防または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、それらを必要とする被検体に投与することを含む。
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、乳癌を、治療、予防または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、乳癌に罹った被検体に投与することを含む。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、トリプルネガティブ乳癌を、治療、予防または改善する。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を投与することを含む。
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、それらを必要とする被検体に投与することによって、特定のステージの乳癌を、治療、予防または改善する。当該ステージは、ステージ0、ステージI、ステージIIA、ステージIIB、ステージIIIA、ステージIIIB、ステージIIIC、およびステージIVを含むが、これらに限定されない。乳癌の病期分類は、当該技術分野において知られた方法に従って(例えば、米国癌合同委員会(AJCC)によって提供されたガイドラインに従って)、定義されてもよい。一実施形態において、乳癌の病期分類は、乳癌に罹った被検体において、TNM分類に基づいて指定され、グループ化される。当該TNM分類は、すなわち、原発腫瘍(例えば、TX、T0、Tis、T1、T2、T3、T4)、局部リンパ節(例えば、NX、N0、N1、N2、N3)および/または遠隔転移(例えば、MX、M0、M1)のステータスに基づいた分類である。例えば、Breast in: American Joint Committee on Cancer: AJCC Cancer Staging Manual, 6th ed., New York, NY, Springer, 2002, 171-80を参照すること。
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を用いて、例えば、特定の乳癌サブタイプを含む乳癌に罹った被検体を治療するための方法である。一実施形態において、当該腫瘍は、エストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性およびHER2陰性である。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、例えば、トリプルネガティブ乳癌を含む特定のタイプの乳癌の存在を、被検体において特定する工程、および、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物を、被験体に投与する工程を、含む方法である。
一実施形態において、本明細書で提供される化合物を用いて治療可能な、疾患、疾病または症状は、(1)全身性アナフィラキシーおよび過敏性疾患、アトピー性皮膚炎、じんましん、薬剤アレルギー、虫刺されによるアレルギー、食物アレルギー(セリアック病などを含む)および肥満細胞症を含む、炎症性疾患またはアレルギー性疾患;(2)クローン病、潰瘍性大腸炎、回腸炎および腸炎を含む、炎症性腸疾患;(3)血管炎およびベーチェット症候群;(4)皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、じんま疹、ウイルス性皮膚症状(ヒトパピローマウイルス、HIV感染またはRLV感染、細菌、flugalに由来する症状を含む)、および他のparasital皮膚症状、ならびに皮膚紅斑性狼瘡を含む、乾癬および炎症性皮膚病;(5)アレルギー性喘息、運動誘発性喘息、アレルギー性鼻炎、中耳炎、アレルギー性結膜炎、過敏性肺疾患、および慢性閉塞性肺疾患を含む、喘息および呼吸器アレルギー性疾患;(6)関節炎(関節リウマチおよび乾癬性関節炎を含む)、全身性紅斑性狼瘡、I型糖尿病、重症筋無力症、多発性硬化症、グレーブス病、および糸球体腎炎を含む、自己免疫疾患:(7)例えば、皮膚移植片拒絶反応、固体器官移植拒絶反応、骨髄移植拒絶反応などの、移植片拒絶反応(同種移植片拒絶反応および移植片対宿主病を含む);(8)熱病;(9)急性心不全、低血圧、高血圧、狭心症、心筋梗塞、心筋症、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患、再狭窄、および血管狭窄を含む、心血管疾患;(10)外傷性脳損傷、脳卒中、虚血性再灌流傷害、および動脈瘤を含む、脳血管障害;(11)胸部の癌、皮膚の癌、前立腺の癌、子宮頸部の癌、子宮の癌、卵巣の癌、精巣の癌、膀胱の癌、肺の癌、肝臓の癌、喉頭の癌、口腔の癌、結腸の癌および胃腸管の癌(例えば、食道の癌、胃の癌、膵臓の癌)、脳の癌、甲状腺の癌、血液の癌、およびリンパ系の癌;(12)線維症、結合組織病、およびサルコイドーシス、(13)勃起不全を含む、性器の症状および生殖の症状;(14)胃炎、潰瘍、悪心、膵炎、および嘔吐を含む、胃腸障害;(15)アルツハイマー病を含む神経障害;(16)不眠症、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、およびピックウィック症候群を含む、睡眠障害;(17)疼痛;(18)腎疾患;(19)緑内障を含む眼球疾患;(20)HIVを含む感染症、を含む。
一実施形態において、本明細書で提供される方法を用いて治療可能な癌には、(1)急性白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単核球性白血病、赤白血病などの、白血病)、および、骨髄異形成症候群またはその症状(貧血、血小板減少症、好中球減少症、二血球減少症または汎血球減少症など)、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴うRA(RARS)、過剰な芽球を伴うRA(RAEB)、移行期RAEB(RAEB−T)、前白血病、および慢性骨髄単球性白血病(CMML)を含む、白血病(これらに限定されない)、(2)慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、および有毛細胞白血病を含む、慢性白血病(これらに限定されない);(3)真性赤血球増加症;(4)ホジキン病および非ホジキン病を含む、リンパ腫(これらに限定されない);(5)くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、孤立性形質細胞腫、および髄外形質細胞腫を含む、多発性骨髄腫(これらに限定されない);(6)ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;(7)意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症;(8)良性単クローン性免疫グロブリン血症;(9)重鎖病;(10)骨肉腫(bone sarcoma)、骨肉腫(osteosarcoma)、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨の線維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、軟組織肉腫、血管肉腫(angiosarcoma)(血管肉腫(hemangiosarcoma))、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、転移性癌、神経鞘腫、横紋筋肉腫、および滑膜肉腫を含む、骨肉腫および結合組織肉腫(これらに限定されない);(11)神経膠腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣細胞腫、乏突起膠腫、非膠細胞腫瘍、聴神経腫瘍、 頭蓋咽頭腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽細胞腫、および一次性脳リンパ腫を含む、脳腫瘍(これらに限定されない);(12)腺癌、小葉(小細胞)癌、腺管内癌、乳房髄様癌、乳腺粘液癌、乳腺管状癌、乳頭性乳癌、原発性癌、パジェット病、および炎症性乳癌を含む、乳癌(これらに限定されない);(13)クロム親和性細胞腫および副腎皮質癌を含む、副腎癌(これらに限定されない);(14)乳頭状甲状腺癌または濾胞状甲状腺癌、甲状腺髄様癌、および未分化甲状腺癌を含む、甲状腺癌(これらに限定されない);(15)インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン分泌腫瘍、および類癌腫または膵島細胞腫を含む、膵臓癌(これらに限定されない);(16)クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、先端肥大症、および尿崩症を含む、下垂体癌(これらに限定されない);(17)虹彩黒色腫、脈絡膜黒色腫、および毛様体の黒色腫などの、眼球の黒色腫、ならびに網膜芽細胞腫を含む、眼の癌(これらに限定されない);(18)扁平上皮癌、腺癌、および黒色腫を含む、膣癌(これらに限定されない);(19)扁平上皮癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫、およびパジェット病を含む、外陰癌(これらに限定されない);(20)扁平上皮癌、および腺癌を含む、子宮頚癌(これらに限定されない);(21)子宮内膜癌および子宮肉腫を含む、子宮癌(これらに限定されない);(22)卵巣上皮癌、境界悪性腫瘍、胚細胞腫瘍、および間質腫瘍を含む、卵巣癌(これらに限定されない);(23)扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、粘表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、疣状癌、および燕麦細胞(小細胞)癌を含む、食道癌(これらに限定されない);(24)腺癌、菌状発育性(ポリープ)、潰瘍性、表在拡大型、広範囲拡散型(diffusely spreading)、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、および癌肉腫を含む、胃癌(これらに限定されない);(25)結腸癌;(26)直腸癌;(27)肝細胞癌および肝芽腫を含む、肝臓癌(これらに限定されない);(28)腺癌を含む胆嚢癌(これらに限定されない);(29)乳頭状胆管癌、結節性胆管癌、および、びまん性胆管癌を含む、胆管癌(これらに限定されない);(30)非小細胞肺癌、扁平上皮癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌、および小細胞肺癌を含む、肺癌(これらに限定されない);(31)胚腫瘍、精上皮腫、未分化、古典的な(標準)、精母細胞、非セミノーマ、胎生期癌、奇形腫癌および絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)を含む、精巣癌(これらに限定されない);(32)腺癌、平滑筋肉腫、および横紋筋肉腫を含む、前立腺癌(これらに限定されない);(33)penal癌;(34)扁平上皮癌を含む、口腔癌(これらに限定されない)(35)基底癌;(36)腺癌、粘表皮癌、および腺様嚢胞癌を含む、唾液腺癌(これらに限定されない);(37)扁平上皮細胞癌および疣状を含む、咽頭癌(これらに限定されない);(38)基底細胞癌、扁平上皮癌および扁平上皮黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節性黒色腫、黒子悪性黒色腫、および末端性黒子性黒色腫を含む、皮膚癌(これらに限定されない);(39)腎細胞癌、腺癌、副腎腫、線維肉腫、および移行上皮癌(腎盂および/または尿管)を含む、腎臓癌(これらに限定されない);(40)ウィルムス腫瘍;(41)移行上皮癌、扁平上皮癌、腺癌、および癌肉腫を含む、膀胱癌(これらに限定されない);ならびに、粘液肉腫、骨肉腫、endotheliosarcoma、lymphangio- endotheliosarcoma、中皮腫、滑膜腫、血管芽腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、および乳頭腺癌を含む、他の癌(これらに限定されない)、が含まれるが、これに限定されない(Fishman et al., 1985, Medicine, 2d Ed., J.B. Lippincott Co., Philadelphia and Murphy et al, 1997, Informed Decisions: The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery, Viking Penguin, Penguin Books U.S.A., Inc., United States of Americaを参照すること)。
特定の実施形態は、手術と共に、本明細書で提供される方法の1つ以上を用いて、癌に罹った被検体を治療することを提供する。特定の実施形態は、化学療法と共に、本明細書で提供される方法の1つ以上を用いて、癌に罹った被検体を治療することを提供する。特定の実施形態は、免疫療法と共に、本明細書で提供される方法の1つ以上を用いて、癌に罹った被検体を治療することを提供する。特定の実施形態は、標的療法と共に、本明細書で提供される方法の1つ以上を用いて、癌に罹った被検体を治療することを提供する。特定の実施形態は、放射線療法と共に、本明細書で提供される方法の1つ以上を用いて、癌に罹った被検体を治療することを提供する。特定の実施形態は、手術、化学療法、免疫療法、標的療法および放射線療法から選択される治療法の二つ以上と共に、本明細書で提供される方法の1つ以上を用いて、癌に罹った被検体を治療することを提供する。
特定の実施形態において、本明細書で提供される方法の1つを用いて治療される被検体は、本明細書で提供される化合物の投与前に、抗癌療法を用いて治療されていない。特定の実施形態において、本明細書で提供される方法の1つを用いて治療される被検体は、本明細書で提供される化合物の投与前に、1つ以上の抗癌療法を用いて治療されている。特定の実施形態において、本明細書で提供される方法の1つを用いて治療される被検体は、本明細書に記載されるように、癌治療薬を用いて治療されている。特定の実施形態において、本明細書で提供される方法の1つを用いて治療される被検体は、抗癌治療に対する薬剤耐性が発達している。特定の実施形態において、本明細書で提供される方法を用いて治療される被検体は、再発性癌に罹っている。特定の実施形態において、本明細書で提供される方法を用いて治療される被検体は、難治性癌に罹っている。特定の実施形態において、本明細書で提供される方法を用いて治療される被検体は、転移性癌に罹っている。
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、癌に罹った被検体を治療するための方法である。当該方法は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物の治療的有効量を、被検体に投与することを含み、当該癌は、従来の療法に対して耐性を有する(例えば、他の抗癌剤に対する耐性)。一実施形態において、本明細書で提供される化合物(例えば、化学式(I)の化合物)によって治療される癌は、1つ以上の抗癌剤に対して耐性を有する。当該抗癌剤は、ビンクリスチン、タキソール、シタラビン、および/またはドキソルビシンを含むが、これらに限定されない。一実施形態において、癌は、本明細書に記載される治療薬(例えば、下記のセクションE.5)に対して耐性を有する。一実施形態において、癌は、ビスクリチン耐性を有する。一実施形態において、癌は、タキソール耐性を有する。一実施形態において、癌は、シタラビン耐性を有する。一実施形態において、癌は、ドキソルビシン耐性を有する。一実施形態において、癌は、微小管形成を調節する治療薬に対して耐性を有する。一実施形態において、癌は、p−糖タンパク質媒介多剤耐性に関連する治療薬に対して耐性を有する。
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、いくつかの疾病または疾患が特定の年齢層においてより一般的であっても、患者の年齢にかかわらずに、被検体を治療することを含む。本明細書でさらに提供される方法は、問題の疾病または症状を治療する試みにおいて手術を受けた被検体を、治療するための方法である。本明細書でさらに提供される方法は、問題の疾病または症状を治療する試みとして手術を受けていない被検体を、治療するための方法である。癌に罹った被検体は、異質な臨床症状と種々の臨床結果とを有するので、特定の被検体に与えられる治療は、彼らの/彼女らの予後に応じて異なってもよい。熟練した臨床医は、癌に罹った個々の被検体を治療するために効果的に用いられ得る、特異的な二次薬剤、手術のタイプ、および非薬物に基づいた標準的な治療のタイプを、過度な実験をすることなく容易に決定することが可能であろう。
本明細書で提供される各々の実施形態において、当該方法は、例えば、被検体における、癌のタイプ、特定の細胞型の存在、および/または疾病の病期分類などを決定するために、1つ以上の診断工程をさらに含んでもよい。
本明細書で提供される各々の実施形態において、例えば、本明細書の他の箇所に記載されているような1つ以上の分子マーカーの変化、腫瘍のサイズおよび腫瘍の位置の変化、および/または被検体中の癌の予後を決定するために当業者によって用いられる他のベンチマークなどを、決定するために、当該方法は、化合物または医薬組成物が被検体に投与された後に、疾病評価工程をさらに含んでもよい。
3.バイオマーカー
特定の実施形態において、本明細書で提供される方法の、病状への効果を決定または予測するために、ならびに、投与スケジュールおよび投与量に関してのガイダンスを提供するために、適当なバイオマーカーが用いられてもよい。特定の実施形態において、より大きな効果は、全体的な延命効果である。特定の実施形態において、より大きな効果は、腫瘍の静止、および腫瘍の寛解である。特定の実施形態において、より大きな効果は、腫瘍の再発の予防である。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、癌と診断された患者が、本明細書で提供される化合物を用いた治療から、より大きな効果を得る可能性が高いかどうかを、当該患者から採取された腫瘍生検サンプル中のeIF4Eのレベルを評価することによって決定するための方法である。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、癌と診断された患者が、本明細書で提供される化合物を用いた治療から、より大きな効果を得る可能性が高いかどうかを、タンパク質翻訳開始のダウンレギュレートに対する患者から採取された癌細胞の感受性を評価することによって、決定するための方法である。一実施形態において、当該方法は、腫瘍生検サンプルにおける、本明細書で提供された化合物の活性を、インビトロで評価することを含む。一実施形態において、当該方法は、癌の進行および不十分な翻訳において重要な、1つ以上の成長因子および/またはサイトカインのレベルを評価することを含む。一実施形態において、成長因子マーカーおよびサイトカインマーカーは、VEFG、FGF、IL−1、およびTGF−βを含むが、これらに限定されない。一実施形態において、本明細書で提供される方法は、本明細書で提供される化合物の治療への患者の反応を、本明細書に記載された分子バイオマーカーの1つ以上を評価することによって決定するための方法である。一実施形態において、患者を治療する上で用いられる化合物の投与量は、当該化合物を用いた初期治療後の特定の患者におけるバイオマーカー反応の結果に基づいて調整される。
4.化合物の投与
治療される疾患、疾病または症状、および被検体の症状に従って、本明細書で提供される化合物または医薬組成物は、経口の、非経口の(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射もしくは嚢内注入、皮下注射、またはインプラントなど)、吸入の、経鼻の、膣の、直腸の、舌下の、または局所の(例えば、経皮または部分的な)、投与経路から投与されてもよく、かつ、単独で調剤され得るか、または、各々の投与経路に適切な、薬学的に許容され得る添加剤、キャリア、補助剤および賦形剤を伴った適切な用量単位で一緒に調剤され得る。また、本明細書で提供される投与は、有効成分が所定の時間にわたって放出される、デポ製剤中の本明細書で提供される化合物または医薬組成物の投与である。一実施形態において、当該化合物または組成物は、経口投与される。別の実施形態において、当該化合物または組成物は、非経口的に投与される。さらに別の実施形態において、当該化合物または組成物は、静脈内に投与される。
本明細書で提供される特定の方法は、静脈内(IV)経路投与、皮下(SC)経路投与、または経口経路投与による本明細書で提供される化合物の投与を提供する。本明細書における特定の実施形態は、相乗的な治療効果を必要とする被験者にそれを与えるために、1つ以上の追加の活性剤と本明細書で提供される化合物との同時投与を提供する。同時投与される薬剤は、本明細書に記載されるような癌治療薬であってもよい。特定の実施形態において、同時投与される薬剤は、例えば、経口投与されてもよく、または注射(例えば、IVもしくはSC)によって投与されてもよい。
本明細書における特定の実施形態は、異常細胞増殖の疾患を治療するための方法を提供する。当該方法は、例えば、IVの投与方法、SCの投与方法および/または経口の投与方法を用いて、本明細書で提供される化合物を投与することを含む。特定の実施形態において、治療サイクルは、それを必要とする被験体に、複数日(例えば、1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、または14日間よりも長く)にわたって投薬し、次に、任意で、投薬治療を行わない日(例えば、1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、または14日間よりも長く)を続けて設ける、複数回投与を含む。
本明細書で提供される方法に適切な投薬量は、例えば、治療的に有効な量、および予防的に有効な量を含む。例えば、特定の実施形態において、本明細書で提供される方法で投与される、本明細書で提供される化合物の量は、例えば、約10mg/日から約2000mg/日までの間、約20mg/日から約1000mg/日までの間、約50mg/日から約1000mg/日までの間、約100mg/日から約1000mg/日までの間、約100mg/日から約500mg/日までの間、約100mg/日から約200mg/日までの間、または約200mg/日から約500mg/日までの間で変動してもよい。特定の実施形態において、特定の投与量は、例えば、約10mg/日まで、約20mg/日まで、約40mg/日まで、約60mg/日まで、約80mg/日まで、約100mg/日まで、約120mg/日まで、約140mg/日まで、約150mg/日まで、約160mg/日まで、約180mg/日まで、約200mg/日、約220mg/日まで、約240mg/日まで、約250mg/日まで、約260mg/日まで、約280mg/日まで、約300mg/日まで、約320mg/日まで、約350mg/日まで、約400mg/日まで、約450mg/日まで、約500mg/日まで、約750mg/日まで、または約1000mg/日までである。特定の実施形態において、特定の投与量は、例えば、約10mg/日、約20mg/日、約50mg/日、約75mg/日、約100mg/日、約120mg/日、約150mg/日、約200mg/日、約250mg/日、約300mg/日、約350mg/日、約400mg/日、約450mg/日、約500mg/日、約600mg/日、約700mg/日、約800mg/日、約900mg/日、約1,000mg/日、約1200mg/日、または約1,500mg/日である。
一実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物または剤形の、本明細書で提供される化合物の量は、例えば、約5mgと約2000mgとの間、約10mgと約2000mgとの間、約20mgと約2000mgとの間、約50mgと約1000mgとの間、約100mgと約500mgとの間、約150mgと約500mgとの間、または約150mgと約250mgとの間で変動してもよい。特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物または剤形の、本明細書で提供される化合物の量は、例えば、約10mg、約20mg、約50mg、約75mg、約100mg、約120mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1200mg、または約1500mgである。特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物または剤形の、本明細書で提供される化合物の量は、例えば、約10mgまで、約20mgまで、約50mgまで、約75mgまで、約100mgまで、約120mgまで、約150mgまで、約200mgまで、約250mgまで、約300mgまで、約350mgのまで、約400mgまで、約450mgのまで、約500mgまで、約600mgまで、約700mgまで、約800mgまで、約900ミリグラムまで、約1000mgまで、約1200mgまで、または約1500mgまでである。
一実施形態において、当該化合物または当該組成物は、一回分の、ボーラス注射、または経口タブレットもしくは経口ピルなどの、単回投与として送達され得るか、または、例えば、時間経過を伴った継続的注入、または時間経過を伴った分割ボーラス投与などのように、徐々に送達され得る。一実施形態において、当該化合物または当該組成物は、必要であれば、例えば、患者が安定した病状もしくは回復を体感するまで、または、患者が病状の進行もしくは許容できない毒性を体感するまで、繰り返し投与され得る。例えば、固形腫瘍に対しての安定した病状とは、一般的に、測定可能な病巣の垂直直径(perpendicular diameter)が、最後の測定から25%以上までは増加していないことを意味する。
例えば、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors (RECIST) Guidelines, Journal of the National Cancer Institute 92(3): 205-216 (2000)を参照すること。安定した病状、またはそれの欠如は、患者の症状の評価、身体検査の評価、X線スキャン、CATスキャン、PETスキャン、またはMRIスキャン、および一般的に認められている他の評価モダリティを用いて撮像された腫瘍の視覚化の評価などの、当該技術分野において知られた方法によって決定される。
一実施形態において、当該化合物または当該組成物は、1日当たり1回(QD)投与され得るか、または、1日当たり2回(BID)、1日当たり3回(TID)、および1日当たり4回(QID)などの、1日当たり複数回の用量に分割され得る。一実施形態において、当該投与は、継続的(すなわち、連続した日、または毎日)であり得る。当該投与は、例えば、周期的などの断続的(すなわち、薬剤が投与されない休薬の数日間、数週間または数か月間を含む)であり得る。一実施形態において、当該化合物または当該組成物は、例えば、一時期の各日に、1回以上、毎日投与される。一実施形態において、当該化合物または当該組成物は、少なくとも7日間の連続的な期間のあいだ、いくつかの実施形態においては52週間までの連続的な期間のあいだ、毎日投与される。一実施形態において、当該化合物または当該組成物は、断続的に、すなわち、規則的な間隔または不規則的な間隔での、中断および開始をして、投与される。一実施形態において、当該化合物または当該組成物は、1週間当たり1日から6日間、投与される。一実施形態において、当該化合物または当該組成物は、周期的に投与される(例えば、2週間から8週間までの連続的な週毎日投与、次に、1週間までの投与しない休薬期間)。一実施形態において、当該化合物または当該組成物は、1日おきに投与される。一実施形態において、当該化合物または当該組成物は、周期的に投与される(例えば、休薬期間をはさむ特定の期間のあいだ、毎日または継続的に投与される。)。
一実施形態において、投与の頻度は、略毎日から略毎月までの範囲である。特定の実施形態において、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日おきに1回、1週間に2回、毎週1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、または4週間ごとに1回、投与される。
一実施形態において、当該化合物または当該組成物は、1日から6か月間、1週間から3か月間、1週間から4週間、1週間から3週間、または1週間から2週間、毎日投与される。特定の実施形態において、当該化合物または当該組成物は、1週間、2週間、3週間または4週間のあいだ、毎日投与される。一実施形態において、当該化合物または当該組成物は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約9週間、約12週間、約15週間、約18週間、約21週間または約26週間のあいだ、1日当たり1回投与される。特定の実施形態において、当該化合物または当該組成物は、断続的に投与される。特定の実施形態において、当該化合物または当該組成物は、継続的に投与される。特定の実施形態において、当該化合物または当該組成物は、被検体に、周期的に投与される。サイクリング療法(Cycling therapy)は、一時期の、活性剤の投与を含む。当該投与は、一時期の休薬が後に続き、そして、この逐次的な投与が繰り返される。サイクリング療法は、耐性の発生を減少させ、副作用を回避または軽減し、および/または治療の有効性を改善させ得る。
治療期間は、治療されている被検体の年齢、体重および状態に合わせて変更されてもよく、既知の検査プロトコルを用いて、または治療を提供もしくは管理する人の専門的判断に従って、経験的に決定されてもよい。熟練した臨床医は、過度の実験をすることなく、特定のタイプの癌に罹った個々の被検体を治療するための、効果的な薬剤の用量、および治療期間を容易に決定することが可能であろう。
5.同時投与された治療薬
一実施形態において、本明細書で提供される疾患を治療、予防または改善するための、本明細書で提供される方法は、相乗的な治療効果を得るために、例えば、癌治療薬などの1つ以上の治療薬と、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物とを、同時投与することを含む。一実施形態において、治療されている、予防されている、または改善されている、疾患は、癌である。一実施形態において、同時投与される治療薬は、例えば、細胞毒性剤、代謝拮抗薬、抗葉酸剤、MGCD0103(別名、N−(2−アミノフェニル)−4−((4−(ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)メチル)ベンズアミド)などのHDAC阻害剤、DNA挿入剤、DNA架橋剤、DNAアルキル化剤、DNA切断剤、トポイソメラーゼ阻害剤、CDK阻害剤、JAK阻害剤、抗血管新生剤、Bcr−Abl阻害剤、HER2阻害剤、EGFR阻害剤、VEGFR阻害剤、PDGFR阻害剤、HGFR阻害剤、IGFR阻害剤、c−Kit阻害剤、Ras経路阻害剤、PI3K阻害剤、多標的キナーゼ阻害剤、mTOR阻害剤、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、アロマターゼ阻害剤、ソマトスタチン類似体、ERモジュレーター、抗チューブリン剤、ビンカアルカロイド、タキサン、HSP阻害剤、平滑拮抗剤、テロメラーゼ阻害剤、COX−2阻害剤、抗転移剤、免疫抑制剤、抗体などの生物学的製剤、およびホルモン療法を含むが、これらに限定されない。同時投与される薬剤は、例えば、経口的に、または注入によって投与されてもよい。一実施形態において、本明細書で提供される各々の方法は、第二の治療薬を投与する工程を、独立に、さらに備えてもよい。当該第二の治療薬は、例えば、抗癌薬を含む。
一実施形態において、1つ以上の治療薬は、例えば、化学式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはそのジアステレオマーの混合物、またはその薬学的に許容され得る塩、その溶媒化合物、その水和物、もしくはそのプロドラッグなどの、本明細書で提供される化合物と共に同時投与される抗癌剤である。一実施形態において、抗癌剤は、代謝拮抗薬である。当該代謝拮抗薬は、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、シタラビン、高用量シタラビン、およびフルダラビンを含むが、これらに限定されない。一実施形態において、抗癌剤は、微小管阻害薬である。当該微小管阻害薬は、ビンカアルカロイド類(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、ならびにタキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、抗癌剤は、アルキル化剤である。当該アルキル化剤は、シクロホスファミド、メルファラン、カルムスチン、およびニトロソウレア(例えば、ヒドロキシ尿素およびビスクロロエチルニトロスウレア)を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、抗癌剤は、白金剤である。当該白金剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン(JM−216)、およびCI−973を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、抗癌剤は、アントラサイクリンである。当該アントラサイクリンは、ドキソルビシンおよびダウノルビシンを含むが、これらに限定されない。一実施形態において、抗癌剤は、抗腫瘍性抗生物質である。当該抗腫瘍性抗生物質は、マイトマイシン、イダルビシン、アドリアマイシン、およびダウノマイシン(また、ダウノルビシンとしても知られている)を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、抗癌剤は、例えば、エトポシドおよびカンプトテシンなどの、トポイソメラーゼ阻害剤である。一実施形態において、抗癌剤は、アドリアマイシン、ブスルファン、シタラビン、シクロホスファミド、デキサメタゾン、フルダラビン、フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、インターフェロン、オブリメルセン、白金誘導体、タキソール、トポテカン、およびビンクリスチンからなる群から選択される。
一実施形態において、本明細書で提供される化合物の投与経路は、第二の治療薬の投与経路とは独立している。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、経口投与される。別の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、静脈内投与される。これらの実施形態、すなわち、本明細書で提供される化合物を、経口的に、または静脈内に投与するのに対して、第二の治療薬は、経口的に、非経口的に、腹腔内に、静脈内に、動脈内に、経皮的に、舌下に、筋肉内に、直腸に、経頬的に、鼻腔内に、リポソームを介して、吸入を介して、膣内に、眼内に、カテーテルもしくはステントによる局所送達を介して、皮下に、脂肪内に、関節内に、髄腔内に、または持続放出剤形(slow release dosage form)で、投与され得る。一実施形態において、本明細書で提供される化合物、および第二の治療薬は、同様の投与形態(例えば、経口的に、または静脈内に)によって投与される。別の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、投与の一形態(例えば、経口的に)によって投与されるのに対して、第二の薬剤(例えば、抗癌剤)は、投与の別の形態(例えば、静脈内に)によって投与される。別の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、投与の一形態(例えば、静脈内に)によって投与されるのに対して、第二の薬剤(例えば、抗癌剤)は、投与の別の形態(例えば、経口的に)によって投与される。
また、他の好適な治療薬は、(1)アルファアドレナリン作動薬、(2)抗不整脈薬、(3)ACAT阻害剤などの抗アテローム性動脈硬化剤、(4)アントラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、およびプリカマイシンなどの、抗生物質、(5)例として、ナイトロジェンマスタード、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、エチレンイミン、およびトリアゼンなどの、アルキル化剤が挙げられる抗癌剤および細胞毒性剤、(6)アセノクマロール、アルガトロバン、ビバリルジン、レピルジン、フォンダパリヌクス、ヘパリン、フェニンジオン、ワルファリン、およびキシメラガトランなどの、抗凝固剤、(7)ビグアナイド(例えば、メトホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、インスリン、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、スルホニルウレア(例えば、グリメピリド、グリブリド、およびグリピジド)、チオゾリジンジオン(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾン、およびピオグリタゾン)、ならびにPPAR−γアゴニストなどの、抗糖尿病薬、(8)アモロルフィン、アンホテリシンB、アニデュラファンギン、ビホナゾール、ブテナフィン、ブトコナゾール、カスポファンギン、シクロピロクス、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、フィリピン、フルコナゾール、イソコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミカファンギン、ミコナゾール、ナフチフィン、ナタマイシン、ナイスタチン、オキシコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、リモシジン、セルタコナゾール、スルコナゾール、テルビナフィン、テルコナゾール、チオコナゾール、およびボリコナゾールなどの、抗真菌剤、(9)例として、アセクロフェナク、アセメタシン、アモキシプリン、アスピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ブロムフェナク、カルプロフェン、セレコキシブ、コリンサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、エトリコキシブ、faislamine、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メタミゾール、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチル酸サリチル、スリンダク、スルフィンピラゾン、スプロフェン、テノキシカム、チアプロフェン酸、およびトルメチンなどの、非ステロイド性抗炎症薬が挙げられる抗炎症薬、(10)葉酸アンタゴニスト、プリン類似体、およびピリミジン類似体などの、代謝拮抗薬、(11)GPIIb/IIIa遮断薬(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、およびチロフィバン)、P2Y(AC)アンタゴニスト(例えば、クロピドグレル、チクロピジン、およびCS−747)、シロスタゾール、ジピリダモール、およびアスピリンなどの、抗血小板剤、(12)メトトレキサート、FK506(タクロリムス)、およびミコフェノール酸モフェチルなどの、抗増殖剤、(13)エタネルセプト、ラパマイシン、およびレフルニミド(leflunimide)などの、抗TNF抗体または可溶性TNF受容体、(14)aP2阻害剤、(15)カルベジロールおよびメトプロロールなどの、βアドレナリン剤、(16)クエストランなどの胆汁酸捕捉剤、(17)ベシル酸アムロジピンなどの、カルシウムチャネル遮断薬、(18)化学療法剤、(19)セレコキシブおよびロフェコキシブなどの、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、(20)シクロスポリン、(21)アザチオプリンおよびシクロホスファミドなどの、細胞毒性剤、(22)クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロル、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸、チクリナフェン、クロルタリドン、フロセニド(furosenide)、ムゾリミン、ブメタニド、トリアムテレン、アミロライド、およびスピロノラクトンなどの、利尿薬、(23)ホスホラミドンなどの、エンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤、(24)L−アスパラギナーゼなどの酵素、(25)第VIIa因子阻害剤および第Xa因子阻害剤、(26)ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、(27)フィブラート、(28)PDGF活性の調節因子などの、成長因子阻害剤、(29)成長ホルモン分泌促進物質、(30)プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK−104(別名、イタバスタチン、ニスバスタチン(nisvastatin)、またはニスバスタチン(nisbastatin))および、ZD−4522(また、ロスバスタチン、アタバスチン(atavastatin)、またはビサスタチン(visastatin)としても知られている)などの、HMG−CoA還元酵素阻害剤;中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、(31)グルココルチコイド(例えば、コルチゾン)、エストロゲン/抗エストロゲン、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン、ならびに黄体形成ホルモン放出ホルモンアンタゴニスト、および酢酸オクトレオチドなどの、ホルモン剤、(32)免疫抑制剤、(33)スピロノラクトンおよびエプレレノンなどの、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、(34)エクチナサイジンなどの、微小管撹乱剤、(35)パクリタキセル、ドセタキセル、およびエポチロンA〜Fなどの、微小管安定剤、(36)MTP阻害剤、(37)ナイアシン、(38)PDE III阻害剤(例えば、シロスタゾール)およびPDE V阻害剤(例えば、シルデナフィル、タダラフィル、およびバルデナフィル)などの、ホスホジエステラーゼ阻害剤、(39)ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、およびタキサンなどの、植物由来の生成物、(40)血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト、(41)シスプラチン、サトラプラチン、およびカルボプラチンなどの、白金配位錯体、(42)カリウムチャネル開口薬、(43)プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、(44)タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、(45)レニン阻害剤、(46)スクアレンシンセターゼ阻害剤、(47)アルドステロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、およびトリアムシノロンなどの、ステロイド、(48)テニダップなどの、TNF−α阻害剤、(49)ヒルジンなどのトロンビン阻害剤、(50)アニストレプラーゼ、レテプラーゼ、テネクテプラーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、組換えtPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、およびアニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化複合体(APSAC)などの、血栓溶解剤、(51)イフェトロバンなどの、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、(52)トポイソメラーゼ阻害剤、(53)オマパトリラートおよびゲモパトリラートなどのバソペプチダーゼ阻害剤(NEP−ACE二重阻害剤(dual NEP-ACE inhibitors))、ならびに(54)ヒドロキシ尿素、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミン、および金化合物などの、他の種々の薬剤を含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、本明細書で提供される化合物と組み合わされて用いられてもよい他の治療または抗癌剤は、手術、放射線治療(例えば、ガンマ放射線、中性子ビーム放射線療法、電子ビーム放射線治療、陽子線治療、近接照射療法、および全身放射性同位体)、内分泌療法、生物学的応答調整剤(例えば、インターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子(TNF))、温熱療法および寒冷療法、任意の副作用を弱める薬剤(例えば、制吐剤)、および認可された他の化学療法剤を含む。当該化学療法剤は、アルキル化剤(メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、およびイフォスファミド)、代謝拮抗物質(シタラビン、高用量シタラビン、およびメトトレキサート)、プリンアンタゴニストおよびピリミジンアンタゴニスト(6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビン、およびゲムシタビン)、紡錘体毒(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、およびパクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、およびトポテカン)、抗生物質(ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、およびマイトマイシン)、ニトロソ尿素(カルムスチンおよびロムスチン)、無機イオン(シスプラチンおよびカルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)、およびホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、およびメゲストロール)、イマチニブ、アドリアマイシン、デキサメタゾン、およびシクロホスファミドを含むが、これらに限定されない。追加の利用可能な癌治療については、例えば、http://www.nci.nih.gov/を参照すること。FDAが認可した腫瘍学薬剤のリストについては、例えば、http://www.fda.gov/、The Merck Manual, 18th Ed. 2006, and PDR: Physician Desk Reference 2010, 64th Ed. 2009を参照すること。これらのそれぞれの内容は、これらの全体を参照として本明細書に組み込む。
〔実施例〕
特定の実施形態が、以下の非限定的な実施例によって示されている。
A.化合物の合成
下記の実施例において、特段の記載がない限り、温度は全て摂氏で規定され、全ての部およびパーセンテージは重量による。試薬は、シグマアルドリッチ社等の商業的供給業者から購入され得、特段の記載がない限り、さらに精製することなく使用され得る。また、試薬は、当業者に公知の標準的な文献の手順に従って調製され得る。溶媒は、Sure-Sealボトルにおいてアルドリッチ社から購入され、そのまま使用され得る。全ての溶媒は、特段の記載がない限り、当業者に公知の標準的な方法を用いて精製され得る。
下記に規定される反応は、特段の記載がない限り、概して周囲温度で行った。一実施形態において、反応フラスコには、基質および試薬の導入のためのラバーセプタを、シリンジを介して取り付けた。一実施形態において、分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)を、裏がガラスのシリカゲルプレコートプレート(Whatman MK6F Silica Gel 60Å, 2.5 x 7.6cm, TLCプレート)を用いて行い、適切な溶媒比(v/v)で溶出した。一実施形態において、反応は、TLC、HPLCまたはLCMSによって評価し、出発物質の消費によって判断したときに終了させた。一実施形態において、TLCプレートの可視化は、UV光(245波長)を用いて、または適切なTLC可視化剤(熱で活性化したKMnOの塩基水溶液など)を用いて行った。一実施形態において、フラッシュカラムクロマトグラフィー(Still et al., J. Org. Chem., 43: 2923 (1978)を参照)を、シリカゲル60(Whatman Silica Gel 60Å 70-230 Mesh ASTM)または種々のMPLCシステムを用いて行った。
下記の実施例における化合物の構造を、次の方法のうちの1つ以上によって確認した:プロトン磁気共鳴スペクトロスコピー、質量分析、元素微量分析、および融点。一実施形態において、プロトン磁気共鳴(H−NMR)スペクトルを、所定の電界強度において操作したNMR分光計を用いて決定した。化学シフトは、TMS等の内部標準から百万分の一(ppm、δ)低磁場において報告されている。あるいは、H−NMRスペクトルは、次の重水素化溶媒中に残存するプロトンからのシグナルを基準とした:CDCl3 = 7.25 ppm; DMSO-d6 = 2.49 ppm; C6D6= 7.16 ppm; CD3OD = 3.30 ppm。ピークの多重度は次のように示される:s、シングレット;d、ダブレット;dd、ダブレットのダブレット;t、トリプレット;dt、トリプレットのダブレット;q、カルテット:br、ブローデンド;およびm、マルチプレット。結合定数はヘルツ(Hz)において規定される。一実施形態において、マススペクトル(MS)データを、APCIまたはESIイオン化による質量分析装置を用いて取得した。
実施例1
化合物1:N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
方法A. 2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホニルクロライド(0.210g、0.693mmol)を、3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニルアミン(0.159g、0.693mmol)の乾燥ピリジン溶液(1mL)に添加した。室温で1日間撹拌した後、反応物を真空下で濃縮した。ここに酢酸エチル(30mL)を添加し、混合物を希釈HCl(2×30mL)で洗浄した後、飽和NaHCO(2×30mL)、次いで塩水(飽和NaCl、2×30mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、混合物を真空下で濃縮した。粗化合物を、ヘキサン/酢酸エチル(10:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物を得た(0.046g、13%収率)。ES-MS negative Ql (m/z) 494.7. 1HNMR (CDCl3) 7.55 (s, 1H), 7.31 (s, 2H), 7.18 (s, 2H), 6.98 (s, 1H), 4.10 (m, 2H), 2.90 (m, 1H), 1.23 (m, 18H)。
化合物1:N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
方法B. 2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホニルクロライド(5.00g、16.5mmol)を、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン(3.79g、16.5mmol)の乾燥ピリジン溶液(4mL)に添加した。反応物を密封して、室温で2日間撹拌し、次いで真空下で濃縮した。ここにジエチルエーテル(100mL)を添加し、混合物を0.1NのHCl(2×30mL)で洗浄した後、飽和NaHCO(2×30mL)、次いで飽和NaCl(2×30mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、混合物を真空下で濃縮した。粗化合物を、シリカゲルのプラグに通し、エーテルで溶出し、濃縮した。得られた固体をヘキサンで倍散し、標題の化合物を得た(3.72g、43%収率)。ES-MS negative Ql (m/z) 494.7. 1H NMR (CDC13) 7.55 (s, 1H), 7.32 (s, 2H), 7.18 (s, 2H), 6.99 (s, 1H), 4.09 (m, 2H), 2.90 (m, 1H), 1.23 (m, 18H)。
実施例2
化合物2:N−[2−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
方法A. 2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホニルクロライド(0.150g、0.495mmol)を、2−メチル−3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニルアミン(0.120g、0.495mmol)の乾燥ピリジン溶液(1mL)に添加した。室温で1日間撹拌した後、反応物を真空下で濃縮した。ここに酢酸エチル(30mL)を添加し、混合物を希釈HCl(2×30mL)で洗浄した後、飽和NaHCO(2×30mL)、次いで塩水(飽和NaCl、2×30mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、混合物を真空下で濃縮した。粗化合物を、ヘキサン/酢酸エチル(10:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物を得た(0.050g、20%収率)。ES-MS negative Ql (m/z) 508.5. 1H NMR (CDC13) 7.67 (s, 1H), 7.19 (s, 2H), 7.18 (s, 1H), 6.46 (s, 1H), 3.97 (m, 2H), 2.92 (m, 1H), 2.42 (s, 3H), 1.25 (d, 6H), 1.18 (d, 12 H)。
化合物2:N−[2−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
方法B. 20mLのシンチレーションバイアルにおいて、2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホニルクロライド(2.49g、8.23mmol)を、2−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン(2.00g、8.23mmol)および乾燥ピリジン(3mL)の溶液に添加した。反応物を密封して、室温で1日間撹拌し、次いで30℃で1日間撹拌した。次いで、反応物を真空下で濃縮した。ここにジエチルエーテル(125mL)を添加し、混合物を0.1NのHCl(3×30mL)で洗浄した後、0.1NのNaOH(2×30mL)、次いで飽和NaCl(2×30mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、溶液を濾過し、真空下で濃縮した。粗化合物を、ヘキサン(3×10mL)で倍散し、次いで真空下で乾燥して、標題の化合物を得た(1.68g、40%収率)。ES-MS negative Ql (m/z) 508.5. LCMS (M+Na) 532. 1H NMR (CDCl3) 7.67 (s, 1H), 7.19 (s, 2H), 7.18 (s, 1H), 6.50 (s, 1H), 3.98 (m, 2H), 2.91 (m, 1H), 2.42 (s, 3H), 1.25 (d, 6H), 1.18 (d, 12 H)。
実施例3
化合物3:N−[2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
方法A. 2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホニルクロライド(0.520g、1.97mmol)を、2−クロロ−3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニルアミン(0.597g、1.97mmol)の乾燥ピリジン溶液(4mL)に添加した。78℃、窒素下で1日間撹拌した後、反応物を真空下で濃縮した。ここに酢酸エチル(90mL)を添加し、混合物を希釈HCl(2×60mL)で洗浄した後、飽和NaHCO(2×60mL)、次いで塩水(飽和NaCl、2×60mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、混合物を真空下で濃縮した。粗化合物を、ヘキサン/酢酸エチル(10:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン/エーテル(2:1)から再結晶化して、標題の化合物を得た(0.175g、18%収率)。ES-MS negative Ql (m/z) 528.9. 1H NMR (CDC13) 7.64 (s, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.45 (bs, 1H), 7.19 (s, 2H), 4.10 (m, 2H), 2.90 (m, 1H), 1.24 (m, 18H)。
化合物3:N−[2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
方法B. 20mLのシンチレーションバイアルにおいて、2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホニルクロライド(2.49g、8.23mmol)を、2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン(2.17g、8.23mmol)および乾燥ピリジン(3mL)の溶液に添加した。反応物を密封して、室温で1日間撹拌し、次いで30℃で1日間撹拌した。次いで、反応物を真空下で濃縮した。ここにジエチルエーテル(125mL)を添加し、混合物を0.1NのHCl(3×30mL)で洗浄した後、0.1NのNaOH(2×30mL)、次いで飽和NaCl(2×30mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、溶液を濾過し、真空下で濃縮した。粗化合物を、ヘキサン(3×10mL)で倍散し、次いで真空下で乾燥して、標題の化合物を得た(1.26g、29%収率)。ES-MS negative Ql (m/z) 528.9. 1H NMR (CDC13) 7.64 (s, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.45 (bs, 1H), 7.19 (s, 2H), 4.10 (m, 2H), 2.90 (m, 1H), 1.24 (m, 18H)。
実施例4
化合物4:3,5−ビス(トリフルオロメチル)−N−(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロライド(0.037g、0.12mmol)を、2,4,6−トリイソプロピルアニリン(0.025g、0.11mmol)の乾燥ピリジン溶液(1mL)に添加した。室温で1日間撹拌した後、反応物を真空下で濃縮した。ここに酢酸エチル(30mL)を添加し、混合物を0.1NのHCl(2×20mL)で洗浄した後、飽和NaHCO(2×20mL)、次いで飽和NaCl(2×20mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、混合物を真空下で濃縮した。粗化合物を、ヘキサン/酢酸エチル(4:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物を得た(0.040g、71%収率)。ES-MS negative Ql (m/z) 494.6. 1H NMR (CDC13) 8.14 (s, 2H), 8.05 (s, 1H), 6.96 (s, 2H), 6.05 (s, 1H), 2.97 (m, 2H), 2.88 (m, 1H), 1.23 (d, 6H), 0.98 (d, 12H)。
実施例5
化合物5:N−[2−ブロモ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
2,4,6−トリイソプロピル−ベンゼンスルホニルクロライド(0.491g、1.59mmol)を、2−ブロモ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン(0.483g、1.59mmol)の乾燥ピリジン溶液(1mL)に添加した。反応物を密封して、室温で1日間撹拌し、次いで30℃で1日間撹拌した。次いで、反応物を真空下で濃縮した。ここにジエチルエーテル(100mL)を添加し、混合物を0.1NのHCl(3×30mL)で洗浄した後、0.1NのNaOH(2×30mL)、次いで飽和NaCl(2×30mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、溶液を濾過し、真空下で濃縮した。粗化合物を、ヘキサン/酢酸エチル(10:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物を得た(0.036g、4%収率)。LCMS (M+Na) 597。
実施例6
化合物6:N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−4−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
4−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ベンゼンスルホニルクロライド(0.100g、0.383mmol)を、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン(0.089g、0.387mmol)の乾燥ピリジン溶液(1mL)に添加した。反応物を密封して、室温で1日間撹拌し、次いで30℃で1日間撹拌した。次いで、反応物を真空下で濃縮した。ここにジエチルエーテル(60mL)を添加し、混合物を0.1NのHCl(3×20mL)で洗浄した後、0.1NのNaOH(2×20mL)、次いで飽和NaCl(2×20mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、溶液を濾過し、真空下で濃縮した。粗化合物をヘキサン(2×10mL)で倍散し、標題の化合物を得た(0.040g、23%収率)。LCMS (M+Na) 476。
実施例7
化合物7:2,6−ジエチル−N−[2−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
2,6−ジエチルベンゼンスルホニルクロライド(0.100g、0.430mmol)を、2−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン(0.106g、0.434mmol)の乾燥ピリジン溶液(1mL)に添加した。反応物を密封して、室温で1日間撹拌し、次いで30℃で1日間撹拌した。次いで、反応物を真空下で濃縮した。ここにジエチルエーテル(60mL)を添加し、混合物を0.1NのHCl(3×20mL)で洗浄した後、0.1NのNaOH(2×20mL)、次いで飽和NaCl(2×20mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、溶液を濾過し、真空下で濃縮した。粗化合物を、ヘキサン/酢酸エチル(4:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物を得た(0.080g、42%収率)。LCMS (M+Na) 461。
実施例8
化合物8:N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,6−ジエチル−ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
2,6−ジエチルベンゼンスルホニルクロライド(0.100g、0.430mmol)を、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン(0.099g、0.434mmol)の乾燥ピリジン溶液(1mL)に添加した。反応物を密封して、室温で1日間撹拌し、次いで30℃で1日間撹拌した。次いで、反応物を真空下で濃縮した。ここにジエチルエーテル(60mL)を添加し、混合物を0.1NのHCl(3×20mL)で洗浄した後、0.1NのNaOH(2×20mL)、次いで飽和NaCl(2×20mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、溶液を濾過し、真空下で濃縮した。粗化合物をヘキサン(2×10mL)で倍散し、標題の化合物を得た(0.037g、20%収率)。LCMS (M+Na) 447。
実施例9
化合物9:4−tert−ブチル−2,6−ジメチル−N−[2−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
4−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ベンゼンスルホニルクロライド(0.100g、0.383mmol)を、2−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン(0.094g、0.387mmol)の乾燥ピリジン溶液(1mL)に添加した。反応物を密封して、室温で1日間撹拌し、次いで30℃で1日間撹拌した。次いで、反応物を真空下で濃縮した。ここにジエチルエーテル(60mL)を添加し、混合物を0.1NのHCl(3×20mL)で洗浄した後、0.1NのNaOH(2×20mL)、次いで飽和NaCl(2×20mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、溶液を濾過し、真空下で濃縮した。粗化合物を、ヘキサン(3×10mL)で倍散し、標題の化合物を得た(0.051g、28%収率)。LCMS (M+Na) 490。
実施例10
化合物10:4−tert−ブチル−N−[2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,6−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド
Figure 0006313779
4−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ベンゼンスルホニルクロライド(0.100g、0.383mmol)を、2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン(0.101g、0.387mmol)の乾燥ピリジン溶液(1mL)に添加した。反応物を密封して、室温で1日間撹拌し、次いで30℃で1日間撹拌した。次いで、反応物を真空下で濃縮した。ここにジエチルエーテル(60mL)を添加し、混合物を0.1NのHCl(3×20mL)で洗浄した後、0.1NのNaOH(2×20mL)、次いで飽和NaCl(2×20mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、溶液を濾過し、真空下で濃縮した。粗化合物をヘキサン(2×10mL)で倍散し、標題の化合物を得た(0.027g、14%収率)。LCMS (M+Na) 510。
B.セルベースアッセイにおけるIC50の決定
一実施形態において、本明細書に規定されている化合物のIC50を、接着細胞を用いたセルベースアッセイにおいて決定した。一実施形態において、本明細書に規定されている化合物の活性を、トリプルネガティブの乳癌細胞株MDA−MB−468を用いたセルベースアッセイにおいて決定した。一実施形態において、本明細書に規定されている化合物の活性を、トリプルネガティブの乳癌細胞株MDA−MB−231を用いたセルベースアッセイにおいて決定した。一実施形態において、本明細書に規定されている化合物の活性を、トリプルネガティブの乳癌細胞株4T1を用いたセルベースアッセイにおいて決定した。
一実施形態において、セルベースアッセイは、本明細書に規定されている通りに行われ得る。0日目において、96ウェル組織培養プレートのそれぞれのウェル中に、細胞を1ウェルあたり20,000個(100μLの培地中)において播種した。次の日、化合物を所望の最終濃度の2倍に希釈し、100μLの培地に添加して、最終体積を200μLとした。各化合物についての標準溶液は、DMSO中に1000×の濃度において調製した。最も高い濃度は30mMであった。ここから連続的な1:1希釈を、6点または9点曲線(例えば、20mM、10mM、5mM等)のために行った。次いで、化合物を培地中で1:500に希釈し、得られた溶液のうち100μLを各ウェルに添加し、最終希釈を1:1000とした。各濃度の化合物を3回試験した。37℃、5%COにおいて、細胞をインキュベートした。72時間後、20μLのCellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega)を各ウェルに添加した。細胞をインキュベーター中に戻し、2〜3時間後に490nmにおける吸光度を読んだ。代謝的に活性な細胞の数が50%に減少した化合物の濃度を決定し、IC50として報告した。平均バックグラウンド値(培地のみ)を差し引くことによって“パーセント生存率”を決定し、DMSOのみで処理した細胞から得られた平均値との比として表した。
本明細書に規定されている化合物を、接着細胞タイプのセルベースアッセイのパネルにおいて試験した。本明細書に規定されている化合物の薬物動態学もプロファイルした。データは表1および表2に要約されている。
Figure 0006313779
一実施形態において、本明細書に規定されている化合物のIC50を、浮遊細胞を用いたセルベースアッセイにおいて決定した。一実施形態において、本明細書に規定されている化合物の活性を、B細胞急性リンパ性白血病細胞株(Nalm−6、SupB−15、MHH−CALL−4)、急性骨髄性白血病細胞株(Kgla)、または複数の骨髄腫細胞株(NCI−H929またはU266)を用いたセルベースアッセイにおいて決定した。一実施形態において、セルベースアッセイにおいて用いた浮遊細胞は、表3から選択される細胞タイプであり得る。浮遊細胞を用いたアッセイは、各ウェルに40,000〜60,000個の細胞を添加し、細胞の播種後直ぐに化合物を添加したこと以外は、同様であった。
本明細書に規定されている化合物を、浮遊細胞タイプのセルベースアッセイのパネルにおいて試験した。データは表3に要約されている。
Figure 0006313779
本明細書に規定されている化合物およびいくつかの参考化合物のIC50を、トリプルネガティブの乳癌細胞株MDA−MB−468を用いたセルベースアッセイにおいて決定した。結果は表4に要約されている。
Figure 0006313779
Figure 0006313779
Figure 0006313779
Figure 0006313779
C.追加のアッセイ
一実施形態において、本明細書に規定されている化合物を、m7GpppNでキャップされたルシフェラーゼmRNAレポーターを有するインビトロのHeLa細胞抽出翻訳系を用いて、翻訳阻害活性についてアッセイした。一実施形態において、化合物1は10μMにおいてDMSOと比較してルシフェラーゼ活性を97.4%阻害したが、対してシクロヘキシミドによる阻害は99.3%であった。何ら特定の理論に縛られないが、当該化合物は100μMにおいて精製ルシフェラーゼタンパク質の阻害を示さなかったので、ルシフェラーゼ活性の阻害は翻訳阻害に特有であった。
サイクリンDは、乳癌において最も一般的に過剰発現している遺伝子の1つであり、高いレベルは悪い予後と相関する。さらに、サイクリンDの過剰発現は、トリプルネガティブの基底様腫瘍と相関する。一実施形態において、本明細書に規定されている化合物の、サイクリンDの過剰発現に対する効果を評価した。MDA−MB−231細胞を、2μMおよび10μMの化合物1ならびに20μMのシクロヘキシミド(CHX)で12時間処理した。サイクリンD3バンドとそれぞれのβアクチンバンドとの密度比を、ウエスタンブロット分析によって決定し、DMSO(100%)に対して標準化した。一実施形態において、10μMの化合物1は、18および24時間において、サイクリンD3レベルにおける減少を示した。
癌の成長および生存をさせる多くのタンパク質(サイクリン、c−myc、およびPim−1が挙げられる)は、翻訳開始の速度を制限する、それらのmRNAの5’−UTRにおける二次構造を有する。一実施形態において、高度に構造化した5’−UTRを有さないmRNAと比較した、当該mRNAの翻訳における、本明細書に規定されている化合物の効果を評価した。一実施形態において、化合物1は、高度に構造化された5’−UTR HB3(トリプルステムループ)レポーターの選択的な阻害を示した。
一実施形態において、本明細書に規定されている化合物を、腫瘍間質における癌関連線維芽細胞の阻害について試験した。1つのプロトコルにおいて、正常なヒトの肺線維芽細胞(NHLF)を24時間血清不足にし、次いで、TGF−βありまたはTGF−βなしで且つ0.1%DMSO(コントロール)または10μMもしくは20μMの化合物1もしくは化合物2で48時間処理した。細胞を溶解させ、SDS−PAGEによって分離し、PVDF膜上にブロットし、抗α−SMA抗体または抗β−アクチン抗体と共にインキュベートした(図1)。
別の典型的なプロトコル:6ウェルプレート中の〜50%コンフルエントにおける正常なヒトの肺線維芽細胞(NHLF)を、DMEM(FBSなし)を用いて24時間血清不足にし、TGF−β[30ng/ml]および本明細書に規定されている化合物[μM]で48時間処理した。1ウェルあたり200μlのMPER+HALTを用いて溶解させた。12ウェルのSDS−PAGEミニゲルに、同量(ブラッドフォード法によって決定した)の全タンパク質をロードした(1レーンあたり15〜17μl)。PVDFへ半乾きの転写、TBST+1%BSAを用いて1時間室温でブロッキング、1:5000のマウス抗α−SMA O/N 4C、および1:5000の抗マウスHRP 1時間 室温。TBST+1%BSA中(図2)。
D.乳癌についてのマウス異種移植モデルにおける腫瘍の成長阻害
一実施形態において、マウス動物モデルにおける腫瘍成長に対する、本明細書に規定されている化合物の効果を評価した。特定の実施形態において、マウス動物モデルは、乳癌についてのMDA−MB−231異種移植モデルであった。マウスにおけるMDA−MB−231乳癌の成長に対する、本明細書に規定されている化合物の効果を評価するために、実験を行った。用いた試験系を以下に要約する。
Figure 0006313779
動物を、無菌のトウモロコシ穂軸の寝わら、食物および水と共に、マイクロ隔離器中に、1ケージあたりマウス10匹を収容した。マウスを3日間順応させ、随意に、食物を与え、水を与えた。十分な健康および適正を保証するために、実験の開始前に動物を試験した。病気であるかまたは不適切であることがわかった動物は、実験に参加しなかった。実験の過程の間、12時間明期/12時間暗期のサイクルを維持した。30%〜70%の相対湿度を伴う20〜23℃の範囲の名目温度を維持した。実験の間、LabDiet 5053-certified PicoLab Rodent Dietおよび滅菌水を随意に与えた。
模範的なプロトコル:1群あたり10匹のマウスに、5×10個のMDA−MB−231細胞を、左脇腹の皮下に接種した。腫瘍が約100mmの平均体積に達したとき、本明細書に規定されている化合物による動物の処理を開始した(表5を参照)。31日間にわたって、試験物またはビヒクルを腹腔内注射によって1日1回与えた。月曜日、水曜日および金曜日ごとに腫瘍を評価し、体重および状態を原則毎日、評価した。
Figure 0006313779
細胞培養:MDA−MB−231乳癌細胞を、10%ウシ胎児血清および1%pen/strepを含むLiebowitz’s L−15中で成長させた。細胞を定期的にトリプシン処理して、1:3で継代した。移植の日において、細胞をPBS中で洗浄し、トリプシン処理し、完全培地中に再懸濁した。細胞を無血清培地において3回洗浄した(1000rpmで5分間遠心した)。細胞を1×10個/mLの密度まで再懸濁し、Matrigelで1:1に希釈した。細胞を0.1mLの体積において、23Gの針を用いて皮下に移植した。
腫瘍の測定:腫瘍を毎日モニタリングした。毎日の評価の間に、動物の腫瘍が1500mmを超えているようであれば、当該腫瘍を測定し;1500mmを超えるおよび/もしくは壊死した腫瘍を有する動物、ならびに/または動作が妨害された動物を、安楽死させた。二次元(最も長い寸法(長さ、L)およびこの寸法の垂線(幅、W)に沿う)において各腫瘍を測定することによって、腫瘍を週に2回測定した。腫瘍の重さを、標準的な式:(L×W)/2を用いて算出した。各時点において、平均の腫瘍の重さおよび平均の標準誤差を各群について算出した。最初の腫瘍の体積の差を比較するためにANOVAを用いた。
動物の体重:実験の間、週に2回、全ての動物の重さを測定した。群の重さの変化を、毎日の群の平均の重さとして表した。開始時の全体重の20%よりも多く減少した動物を安楽死させた。
一実施形態おいて、化合物1を、例えば、毎日50mg/kgの用量においてマウスに投与し、当該用量を7日目に25mg/kgまで減らした。一実施形態において、ビヒクル群の31日目における腫瘍の平均体積は898±260mmであった一方、化合物1で処理したマウス群の31日目における腫瘍の平均体積は276±119mmであった。一実施形態において、ビヒクル群の平均の体重増加は4.2%であった一方、化合物1で処理したマウス群の平均の体重増加は0.1%であった。
32日目において、化合物1で処理したマウス群を2つの群にさらに分けた。次の10日間、1つの群は処理を受け続け、もう1つの群は処理を受けなかった。一実施形態において、化合物1の投与中止から10日以内に腫瘍の成長が再開することはなかった。
実験の終わりに、依然として処理を受けているマウスに最終用量の化合物を与え、2時間後に殺処分した。血漿および腫瘍中の化合物の平均濃度を決定した。一実施形態において、31日目に処理を中止したマウスからの血漿サンプルおよび腫瘍サンプルの両方において、検出可能なレベルの化合物1が見られたが、これは間隔の長い化合物1の投与が選択肢であり得ることを示す。
一実施形態において、トリプルネガティブの乳癌異種移植(MDA−MB−231)を、腹腔内および経口で投与された化合物1および化合物2において行った。経時的な腫瘍の平均体積を、長さおよび幅の計測から算出した。腫瘍の平均サイズが100mmに到達した時に、処理を開始した。腹腔内に50mg/kgおよび経口で100mg/kgにおいて、化合物1および化合物2を投与した。体重が15%より多く減少したマウスについては、投与をしないか、または半分にカットした。腫瘍の成長阻害のデータを図3〜6および表6に要約する。
Figure 0006313779
Figure 0006313779
以上に述べられている実施例は、請求されている実施形態を作製し、使用するための方法の完全な開示および説明を当業者に示すために与えられており、本明細書に開示されている範囲を限定することを意図されていない。当業者にとって明白な変更は、以下の特許請求の範囲内にあると意図されている。本明細書に引用されているすべての刊行物、特許および特許出願は、当該刊行物、特許および特許出願が、参照によってその全体が本明細書に援用されると具体的かつ個別にあたかも示されているかのように、参照によって本明細書に援用される。
正常なヒト肺線維芽細胞(NHLF)においてα−平滑筋アクチンのインビトロ活性を阻害することに対する、化合物1および化合物2の作用を示している。 正常な線維芽ヒト肺線維芽細胞(NHLF)においてα−平滑筋アクチンのインビトロ活性を阻害することに対する、化合物2および化合物5〜10の作用を示している。 ヌードマウスにおける乳癌用のMDA−MB−231異種移植モデルにおいてインビボの腫瘍成長を阻害することに対する、化合物1の作用(例えば、平均の腫瘍体積)を示している。 ヌードマウスにおける乳癌用のMDA−MB−231異種移植モデルにおいてインビボの腫瘍成長を阻害することに対する、化合物1の作用(例えば、体重変化率)を示している。 ヌードマウスにおける乳癌用のMDA−MB−231異種移植モデルにおいて、薬剤の投薬休止期間にインビボの腫瘍成長を阻害することに対する、化合物1の作用を示している。 ヌードマウスにおける乳癌用のMDA−MB−231異種移植モデルにおいてインビボの腫瘍成長を阻害することに対する、化合物1および2の作用(例えば、平均の腫瘍サイズ)を示している。

Claims (60)

  1. 化学式(I)の化合物、または、そのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはその2以上のジアステレオマーの混合物、または、その薬学的に許容される塩、その溶媒化合物もしくはその水和物:
    Figure 0006313779
    XがNHかつYがS(O)である、または、XがS(O)かつYがNHであり、
    R’は水素、ハロゲン、シアノ、OH、OC(O)R (O)R (O) (O) C(O)R OS(O)R (O)R (O) (O) S(O) (C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルケニルオキシ、(C−C)アルキニルオキシ、(C−C)シクロアルキル、または、(C−C)シクロアルキルオキシであり、上記アルキル、上記アルケニル、上記アルキニル、上記アルコキシ、上記アルケニルオキシ、上記アルキニルオキシ、上記シクロアルキルおよび上記シクロアルキルオキシは、それぞれ1つ以上のハロゲンと任意に置換されており、
    nは2、3または4であり、
    Rの存在のそれぞれは、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、または、(C−C)シクロアルキルであり、
    よび 、それぞれ独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C12)アラルキル、フェニル、(5から6員)ヘテロアリールもしくは(3から7員)ヘテロシクリルである、または、 およびR 、3から10員環を共に形成しており、
    ただし、上記化合物は、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,4−ジメチルベンゼン−スルホンアミド、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,5−ジメチル−ベンゼンスルホンアミド、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジメチルベンゼンスルホンアミド、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2,3,5,6−テトラメチルベンゼンスルホンアミド、N−(2,6−ジメチルフェニル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、N−(3,5−ジメチルフェニル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)−ベンゼンスルホンアミド、N−(2−イソプロピル−6−メチルフェニル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)−ベンゼンスルホンアミド、N−(2−エチル−6−イソプロピルフェニル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)−ベンゼンスルホンアミド、及びN−(2−エチル−6−メチルフェニル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)−ベンゼンスルホンアミド、のいずれでもない。
  2. 請求項1に記載の化合物であって、
    化学式(II)を有する化合物、または、そのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはその2以上のジアステレオマーの混合物、または、その薬学的に許容される塩、その溶媒化合物もしくはその水和物:
    Figure 0006313779
    は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルであり、
    は、独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルであり、
    は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルである。
  3. 請求項2に記載の化合物であって、
    化学式(II−A)を有する化合物、または、そのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはその2以上のジアステレオマーの混合物、または、その薬学的に許容される塩、その溶媒化合物もしくはその水和物。
    Figure 0006313779
  4. 請求項3に記載の化合物であって、
    化学式(II−A−1)を有する化合物、または、そのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはその2以上のジアステレオマーの混合物、または、その薬学的に許容される塩、その溶媒化合物もしくはその水和物。
    Figure 0006313779
  5. XがNHであり、YがS(O)である、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
  6. XがS(O)であり、YがNHである、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
  7. 請求項4に記載の化合物であって、
    化学式(III−A−1)を有する化合物、または、そのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはその2以上のジアステレオマーの混合物、または、その薬学的に許容される塩、その溶媒化合物もしくはその水和物。
    Figure 0006313779
  8. R’は水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシであり、上記アルキルおよびアルコキシルは、それぞれ1つ以上のハロゲンと任意に置換されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の化合物。
  9. R’は水素、ハロゲン、または1つ以上のハロゲンと任意に置換されている(C−C)アルキルである、請求項8に記載の化合物。
  10. R’は水素、F、Cl、Br、(C−C)アルキル、CFまたはOCFである、請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物。
  11. R’は水素、Cl、Brまたは(C−C)アルキルである、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物。
  12. R’は水素、クロロ、ブロモまたはメチルである、請求項1から11のいずれか1項に記載の化合物。
  13. R’は水素である、請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物。
  14. R’はメチルである、請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物。
  15. R’はクロロである、請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物。
  16. R’はブロモである、請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物。
  17. 、RおよびRは、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C)シクロアルキルである、請求項2から16のいずれか1項に記載の化合物。
  18. は(C−C)アルキルである、請求項2から17のいずれか1項に記載の化合物。
  19. はメチル、エチルまたはイソプロピルである、請求項2から18のいずれか1項に記載の化合物。
  20. は水素または(C−C)アルキルである、請求項2から19のいずれか1項に記載の化合物。
  21. はメチル、イソプロピルまたはtert−ブチルである、請求項2から20のいずれか1項に記載の化合物。
  22. は(C−C)アルキルである、請求項2から21のいずれか1項に記載の化合物。
  23. はメチル、エチルまたはイソプロピルである、請求項2から22のいずれか1項に記載の化合物。
  24. 上記化合物が以下の化学式である、請求項7に記載の化合物。
    Figure 0006313779
  25. XがS(O)であり、YがNHであり、R’が水素であり、R、RおよびRはイソプロピルである、請求項4に記載の化合物。
  26. 請求項1から25のいずれか1項に記載の化合物、または、そのエナンチオマー、そのエナンチオマーの混合物、もしくはその2以上のジアステレオマーの混合物、または、その薬学的に許容される塩、その溶媒化合物もしくはその水和物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤またはキャリアとを含む、薬学組成物。
  27. 1以上の補助活性剤をさらに含む、請求項26に記載の薬学組成物。
  28. パクリタキセルまたはドセタキセルをさらに含む、請求項27に記載の薬学組成物。
  29. 上記化合物は単回投与用に処方されている、請求項26に記載の薬学組成物。
  30. 上記化合物は経口投与型、非経口投与型、または静脈投与型で処方されている、請求項26に記載の薬学組成物。
  31. 上記経口投与型は錠剤またはカプセルである、請求項29に記載の薬学組成物。
  32. タンパク質翻訳開始が媒介する疾患の1以上の症状を治療、予防または改善するための、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  33. eIF4Eが媒介する疾患の1以上の症状を治療、予防または改善するための、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  34. 上記疾患が、癌である、請求項32または33に記載の薬学組成物。
  35. 上記疾患が、増殖性疾患である、請求項32または33に記載の薬学組成物。
  36. 上記疾患が、リンパ腫、手術により除去することができない固形腫瘍、または、白血病である、請求項32または33に記載の薬学組成物。
  37. 前記疾患が、転移性癌、または、再発性もしくは難治性腫瘍である、請求項33または34に記載の薬学組成物。
  38. 前記疾患が、乳癌、皮膚癌、肺癌、脳の癌、結腸直腸癌、卵巣癌、肝臓癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部癌、前立腺癌、子宮頸癌、膀胱癌、頭頸部癌、または、転移性固形腫瘍である、請求項33または34に記載の薬学組成物。
  39. 前記疾患が、トリプルネガティブ乳癌、ER+乳癌、ER−乳癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、基底細胞母斑症候群(ゴーリン症候群)、基底細胞癌、髄芽細胞腫、グリア芽腫、膵癌、膵臓血管肉腫、膵臓腺肉腫、外套細胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、局所的進行性固形腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、または、慢性骨髄性白血病(CML)である、請求項33または34に記載の薬学組成物。
  40. 疾患の1以上の症状を治療、予防または改善するための薬学組成物であって、
    上記疾患が、癌である、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  41. 疾患の1以上の症状を治療、予防または改善するための薬学組成物であって、
    上記疾患が、増殖性疾患である、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  42. 疾患の1以上の症状を治療、予防または改善するための薬学組成物であって、
    上記疾患が、リンパ腫、手術により除去することができない固形腫瘍、または、白血病である、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  43. 疾患の1以上の症状を治療、予防または改善するための薬学組成物であって、
    上記疾患が、転移性癌、または、再発性もしくは難治性腫瘍である、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  44. 疾患の1以上の症状を治療、予防または改善するための薬学組成物であって、
    上記疾患が、乳癌、皮膚癌、肺癌、脳の癌、結腸直腸癌、卵巣癌、肝臓癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部癌、前立腺癌、子宮頸癌、膀胱癌、頭頸部癌、または、転移性固形腫瘍である、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  45. 疾患の1以上の症状を治療、予防または改善するための薬学組成物であって、
    上記疾患が、トリプルネガティブ乳癌、ER+乳癌、ER−乳癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、基底細胞母斑症候群(ゴーリン症候群)、基底細胞癌、髄芽細胞腫、グリア芽腫、膵癌、膵臓血管肉腫、膵臓腺肉腫、外套細胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、局所的進行性固形腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、または、慢性骨髄性白血病(CML)である、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  46. 上記癌は従来の治療に対して耐性がある、請求項34から45のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  47. 上記癌はビンクリスチン耐性である、請求項34から45のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  48. 上記癌はタキソール耐性である、請求項34から45のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  49. 上記癌はシタラビン耐性である、請求項34から45のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  50. 上記癌はドキソルビシン耐性である、請求項34から45のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  51. 1以上の補助活性剤と共に投与される、タンパク質翻訳開始が媒介する疾患の1以上の症状を治療、予防または改善するための、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  52. 上記補助活性剤はパクリタキセルまたはドセタキセルを含む、請求項51に記載の薬学組成物。
  53. 転移を予防するための、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  54. 線維症の1以上の症状を治療、予防または改善するための、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  55. 上記線維症が心臓線維症である、請求項54に記載の薬学組成物。
  56. 線維性の疾患の1以上の症状を治療、予防または改善するための、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  57. 上記線維性の疾患が心血管疾患である、請求項56に記載の薬学組成物。
  58. 上記線維性の疾患が心不全である、請求項56に記載の薬学組成物。
  59. 心血管疾患の1以上の症状を治療、予防または改善するための、請求項26から31のいずれか1項に記載の薬学組成物。
  60. 上記心血管疾患が心不全である、請求項59に記載の薬学組成物。
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