JP6308516B2 - 放射線量低減用処理液の製造方法、その方法で製造された処理液を用いた、地表からの放射線量低減方法 - Google Patents

放射線量低減用処理液の製造方法、その方法で製造された処理液を用いた、地表からの放射線量低減方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6308516B2
JP6308516B2 JP2013131175A JP2013131175A JP6308516B2 JP 6308516 B2 JP6308516 B2 JP 6308516B2 JP 2013131175 A JP2013131175 A JP 2013131175A JP 2013131175 A JP2013131175 A JP 2013131175A JP 6308516 B2 JP6308516 B2 JP 6308516B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
radiation dose
treatment liquid
radioactive
reducing
radiation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013131175A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015004626A (ja
Inventor
滋 田丸
滋 田丸
由美 草薙
由美 草薙
豊 久保木
豊 久保木
Original Assignee
株式会社プラズマ化学
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社プラズマ化学 filed Critical 株式会社プラズマ化学
Priority to JP2013131175A priority Critical patent/JP6308516B2/ja
Publication of JP2015004626A publication Critical patent/JP2015004626A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6308516B2 publication Critical patent/JP6308516B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、放射能汚染された地域の地表からの放射線量を低減するために用いる処理液、その処理液の製造方法、並びにその処理液を用いた放射線量低減方法に関する。
原発事故等で放射能汚染された地域の地表、例えば田畑や森林の地表からの放射線量を低減するために、従来ではその地表から数センチの厚みの土を一律に削り取ることが行われていた(下記非特許文献を参照)。
環境省除染情報サイト「除染方法と必要性について」( http://josen.env.go.jp/about/method_necessity.html)
従来のような除染手法では、田畑や森林の地表に存する腐植土等の富栄養性土壌が削り取られてしまうため、土壌が痩せてしまい、植物の生育が悪くなる等の問題がある。
また放射能汚染された地表から数センチの厚みの土を削り取る作業を行う際に作業員や農業従事者が少なからず被爆してしまい、その上、人や機械が入りにくい荒地や森林での作業は能率が非常に悪い等の問題もある。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもので、放射能汚染された除染対象地域の地表に散布されることで、従来手法の上記問題を一挙に解決しながら地表からの放射線量を効果的に低減できる放射線量低減用処理液、及びその製造方法、並びにその処理液を用いた放射線量低減方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、地表に拡散した放射性セシウムを含む放射性物質からの放射線量を低減するために地表に散布される放射線量低減用処理液の製造方法であって、真水を、その酸化還元電位が増加するようプラズマ放電処理してプラズマ放電処理水を得る工程と、好気的条件下及び嫌気的条件下の何れでも光合成可能な光合成細菌を前記プラズマ放電処理水中で培養すると共に、その培養液に、放射性セシウムを含む外部の放射性物質から発する放射線を前記光合成細菌が死滅しない程度に当てて、該光合成細菌に放射線に対する耐性を付与する工程とを少なくとも含むことを特徴としている。
また請求項2の発明は、請求項1の発明の特徴に加えて、前記外部の放射性物質として、放射線量を低減すべき除染対象地域の地表に存する土壌を用いることを特徴とする。
また請求項3の発明は、請求項1又は2の発明の特徴に加えて、前記光合成細菌が紅色非イオウ細菌であることを特徴とする。
また請求項の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の製造方法により製造された放射線量低減用処理液を用いて、放射性セシウムを含む放射性物質が拡散する地表からの放射線量を低減する方法であって、前記放射線量低減用処理液を前記地表に散布して、該放射線量低減用処理液中に含まれる前記光合成細菌の体内に、地表に存する放射性物質中の放射性セシウムを取り込ませ、次いでその光合成細菌を、該光合成細菌中の放射性セシウムと共に地中に下方移動させて、その下方移動と共に地表の放射性セシウムからの放射線量が低減されるようにしたことを特徴とする。
尚、本発明において、「プラズマ放電処理」とは、真水にプラズマ放電流を直接作用させて酸化還元電位が高い状態に変化させる処理をいう。
また、本発明において、「地表」とは、厳密な意味での地表(表層)のみならず、地表付近の地層、即ち地表から数mm程度までの極浅い深度の地層を含む概念である。
以上のように本発明に係る放射線量低減用処理液を放射能汚染された除染対象地域の地表に散布することで、該放射線量低減用処理液中に含まれる光合成細菌の体内に、地表に存する放射性物質中の放射性セシウムを取り込ませ、次いでその光合成細菌を、該光合成細菌中に取り込んだ放射性セシウムと共に地中に下方移動させることができるため、その細菌(従って放射性セシウム)の下方移動により、地表からの放射線量を効果的に低減することができる。特に処理液中の光合成細菌としては、好気的条件下でも嫌気的条件下でも光合成が可能なものが選定されるため、処理液中に混じって地表に散布されたときに、この光合成細菌が地中で繁殖して適度な深度まで自力移動すると共にその深度に留まり、従って、その細菌が過度に深く移動して地下水を放射能汚染するのを回避できる。
しかも地表からの放射線量を低減するために、前記処理液を地表に単に散布するだけで足り、従来のように地表に存する腐植土等の富栄養性土壌を削り取る必要はないことから、地表付近の土壌の富栄養状態が維持されて植物の生育環境を良好に保つことができ、のみならず、光合成細菌を含む処理液の散布により、地表に存する枯葉や枯草の分解(土壌化)促進が図られて、放射性物質が付着した枯葉等が風で飛散するのを効果的に防止できる。その上、放射能汚染された地表から土を削り取る作業を省略できる関係で、その削り取り作業に伴う作業員等の被爆を回避できる。また、上記処理液の散布作業は、平地は元より、人や機械が入りにくい荒地や森林においても比較的容易に行うことができるから、作業能率の向上に寄与することができる。
また上記処理液の製造に当たっては、上記光合成細菌をプラズマ放電処理水中で培養すると共に、その培養液に、放射性セシウムを含む外部の放射性物質から発する放射線を前記光合成細菌が死滅しない程度に当てて、該光合成細菌に放射線に対する耐性を付与するので、プラズマ放電処理水により活性化されて生命力が増した(従って放射能にも強くなった)光合成細菌に対して、更に十分な放射線耐性を効果的に付与することができ、これにより、放射能汚染された地表に処理液が散布されたときに、この光合成細菌が、地中で支障なく(即ち放射能で死滅することなく)繁殖可能となる。
また特に請求項2の発明によれば、前記外部の放射性物質として、放射線量を低減すべき除染対象地域の地表に存する土壌を用いるので、上記光合成細菌の放射線耐性を、それが散布される地表の土壌に含まれる放射性物質とマッチングさせることができ、その光合成細菌をより有効に働かせることができる。
また特に請求項3の発明によれば、光合成細菌が、好気的条件と嫌気的条件の境界領域を好む紅色非イオウ細菌であるので、これが処理液中に混じって地表に散布されたときに、この細菌が過度に深く移動して地下水を放射能汚染するのをより確実に回避することができる。
本発明に係る放射線量低減用処理液の製造プロセスの一例を簡略的に示す工程説明図 本発明に係る放射線量低減用処理液を用いて除染対象地域の地表の放射線量を低減する手法を示す工程説明図 本発明に係る放射線量低減用処理液を地表に散布することによる放射線量低減効果を原理的に示す地中断面の簡略説明図であって、トーンの濃い部分ほど放射性物質濃度が高いことを示す 本発明に係る放射線量低減用処理液の製造に用いるプラズマ放電処理水を生成する装置の一実施形態を示す要部破断説明図 前記プラズマ放電処理水生成装置のプラズマ放電処理部の拡大断面図(図4の5矢視拡大図) 図5の6−6線断面図
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
本発明に係る放射線量低減用処理液は、地表Eに拡散した放射性セシウムを含む放射性物質からの放射線量を低減するために地表に散布されるものであり、その処理液の製造プロセスは、真水を、その酸化還元電位が増加するようプラズマ放電処理してプラズマ放電処理水を得る第1工程と、好気的条件下及び嫌気的条件下の何れでも光合成可能な光合成細菌を前記プラズマ放電処理水中で培養すると共に、その培養液に、放射性セシウムを含む外部の放射性物質Xから発する放射線を前記光合成細菌が死滅しない程度に当てて、該光合成細菌に放射線に対する耐性を付与する第2工程とを少なくとも含むものである。
この処理液の製造過程を簡略的に図示すると、図1のようになる。先ず、前記第1工程により得られたプラズマ放電処理水を培養タンクTに入れる(図1の(A)参照)。尚、この第1工程によるプラズマ放電処理水の生成手法については、図4〜図6を参照して、後述する。またこの培養タンクT内には、プラズマ放電処理水だけでなく、通常の真水も適宜入れてもよい。
次に図1(B)に示すように、培養タンクT内に本発明に係る光合成細菌と、この細菌の栄養成分となる栄養液とが投入、混合されて、光合成細菌を所定温度(例えば20°C)で所定期間(例えば7日)培養する。尚、この培養プロセスは、ベース水としてプラズマ放電処理水を使用することを除いて、従来公知の一般的な土壌細菌の培養処理プロセスと同様の手法である。
そして、その培養プロセス、即ち前記第2工程の実行中、特に本発明では図1(C)に示すように培養タンクTの近傍に外部の放射性物質Xが置かれ、それから発する放射線を培養液中の光合成細菌に所定時間、当て続けることで本発明に係る放射線量低減用処理液Lが製造される。この場合、培養液に当てるべき放射線を発する「外部の放射性物質」としては、放射線量を低減すべき除染対象地域の地表Eに存する土壌が使用されることが望ましい。その土壌には放射性物質、例えば放射性セシウム(例えばセシウム137、セシウム134等)が含まれる。
而して、外部の放射性物質Xとして、除染対象地域の地表Eに存する土壌を使用した場合には、前記光合成細菌の放射線耐性を、それが実際に散布される地表Eの土壌に含まれる放射性物質Xとマッチングさせつつ獲得可能となり、その後に当該地域の地表Eに処理液Lが散布された場合に、光合成細菌の死滅を効果的に回避しつつ、同細菌をより有効に働かせることが可能となる。
かくして、前記第2工程で得られた、放射線耐性を有する光合成細菌を含む処理液Lは、図1(D)に示すように輸送可能な容器10に移し替えられ、除染対象地域まで輸送される。
ところで前記第2工程で使用される光合成細菌としては、好気的条件下及び嫌気的条件下の何れの土壌中でも生存可能な光合成細菌、例えば紅色非イオウ細菌(ロドシュードモナス)の採用が望ましい。この細菌は、ATP(アデノシン三燐酸)生産および光合成の何れでもエネルギ生産が可能な細菌であり、また好気的条件下でも嫌気的条件下でも生育可能な細菌である。
一般的に真核細胞の微生物は、その細胞中のミトコンドリアで糖、脂肪、蛋白質等を有酸素燃焼してATPを生産し生存に必要なエネルギを発生させるが、このATP生産に必要なプロトンH+ 及び電子e- は、微生物のミトコンドリア電子伝達系に取り込まれてATP生産に使われる。即ち、微生物のクエン酸回路で生成される水素には、通常利用される太陽光(電磁波エネルギ)の他、同様の電磁波エネルギである自然界の放射性物質(例えば40K)も吸収され、その放射性物質から放射される電磁波エネルギを利用することで、その水素がプロトンH+ 及び電子e- に分離し、それらがミトコンドリア電子伝達系でATP合成に利用されるのである。
而して真核細胞生命体は、全て(従って紅色非イオウ細菌も)上記したメカニズムでエネルギ生産を実施しているため、その生存雰囲気下で放射性物質が存在すると、その生命体内で当該放射性物質を吸収(即ち放射線被曝)して、その電磁波エネルギをATP生産に利用しようとする。特にセシウムは、自然界の放射性物質として一般的な40Kと同族のアルカリ金属であることから、これが土壌中に存在しておれば、土壌中の真核細胞生命体は、その細胞内にセシウムを取り込み、それが特に放射性セシウムであれば、その放射線の電磁波エネルギをATP生産に利用すると推測される。
ところでプラズマ放電処理を施した水の中には、電子e- と一酸化窒素(NO)が十分に含まれ、これらが微生物中のクエン酸回路及びATP生産回路に作用して、微生物のATP生産量を上昇させ、即ち、その微生物が活性化することが判明した。そして、その活性化に伴い微生物は、放射線(例えばα線、β線、γ線)への耐性が高くなるため、少々の放射線を浴びても死滅せずに生存可能となる。
前記第1及び第2工程を経て製造された放射線量低減用処理液Lを用いて、放射性セシウムを含む放射性物質が拡散する地表Eからの放射線量を低減する手法の概略を、図2を参照して説明する。
先ず、図2(E)に示すように、散布装置Sを用いて処理液Lを放射能汚染された除染対象地域の地表Eに広範囲に万遍なく散布する。尚、その散布装置Sとしては、例えば処理液容器10から処理液を吸い込んで圧送可能なポンプ11と、そのポンプ11の吐出側に可撓性の配管を介して接続される、多数の噴口を有する噴射ノズル12とを備えたものが使用され、噴射ノズル12は作業員が持ち運び移動させて散布作業を行う。
そして、処理液Lの上記散布により、処理液L中に含まれる光合成細菌、例えば紅色非イオウ細菌(ロドシュードモナス)の体内に、地表Eに存する放射性物質中の放射性セシウムを取り込ませる。この場合、その光合成細菌の少なくとも一部は、図2(F)に簡略的に示すように時間の経過に伴い、体内の放射性セシウムと共に地中を下方移動するが、その下方移動と共に地表Eの放射性セシウムの一部が地中を下方に移動する(即ち地表の放射性セシウム量が少なくなる)ため、その地表Eからの放射線量が低減されるものと推測される。
このことを実証、確認するために、本発明者は、除染対象地域の地表Eにおいて、実験のための所定の試験領域と、その周辺に位置し且つ地表及び地中での放射線量が試験領域のそれと略同じである比較領域とを設定した上で、特に試験領域に対してだけ本発明に係る放射線量低減用処理液Lを散布した。そして、その処理液Lの散布後、所定期間(例えば10日)経過するのを待ち、その経過後に各領域の地表E(特に表層)からの放射線量を測定したものが、下記の表1の測定結果である。
而して表1によれば、処理液散布後の試験領域の表層での放射線量が比較領域(即ち不散布領域)のそれと比べて半分以下に低減されており、これにより、処理液Lの散布による表層での放射線量低減効果が確認できた。尚、上記測定後において、比較領域(処理液不散布領域)で清水を散布して、地表(表層)の放射線量を測定したが、処理液Lの散布後と比べて顕著な放射線量低減効果は確認されなかった。
また、別の除染対象地域で同様の実験を行ない、そこの試験領域及び比較領域において、地表Eから10cm深い場所での放射線量を測定したものが下記の表2の測定結果であり、更に地表Eから30cm深い場所での放射線量を測定したものが下記の表3の測定結果である。
これら表2,3によれば、処理液散布後の試験領域での地中の放射線量が比較領域(処理液不散布領域)のそれと比べて大幅に増えており、その増加割合は、特に地表から10cmでの割合が30cmでの割合よりも大きいことが確認できた。尚、上記測定後において、比較領域(処理液不散布領域)で清水を散布して、地表から10cm、30cmでの放射線量を測定したが、処理液散布後と比べて顕著な放射線量増加変化は確認されなかった。
以上の放射線量の測定結果は、本発明者の仮説、即ち、
[A]処理液の散布により、処理液中の光合成細菌の体内に、地表に存する放射性物質 中の放射性セシウムが一部取り込まれて、その光合成細菌が時間の経過と共に、体内の 放射性セシウムと一緒に地中下方に移動する点
[B]その光合成細菌の下方移動と共に地表の放射性セシウムが地中に下方移動(即ち 地表の放射性セシウム量が減少)して、地表(表層)での放射線量が低減される点
の推測と一致、整合するものである。従って、本発明者の上記仮説が前記した実験結果からも裏付けられたことが判る。
このように本実施形態によれば、本発明に係る放射線量低減用処理液Lを放射能汚染された除染対象地域の地表Eに散布することで、該放射線量低減用処理液L中に含まれる光合成細菌、例えば紅色非イオウ細菌(ロドシュードモナス)の体内に、地表Eに存する放射性物質中の放射性セシウムを取り込ませ、次いでその光合成細菌の少なくとも一部を、該光合成細菌中に取り込んだ放射性セシウムと共に地中に下方移動させることができるため、その光合成細菌(従って放射性セシウム)の下方移動により、地表Eからの放射線量を効果的に低減可能となる。この原理を図3で模式的に示すと、本発明に係る放射線量低減用処理液Lを地表Eに散布することにより、その処理液L中の光合成細菌の一部が、地表Eの表層付近の放射性物質(セシウム)を体内に取込みつつ地表Eの表層から徐々に下方移動し、これと共に表層付近の放射性物質(セシウム)の一部が徐々に地中を下方移動する。その結果、地表Eの表層付近の放射性物質(セシウム)の濃度が減少するため、地表Eからの放射線量が低減される。
この場合、特に処理液L中の光合成細菌として、好気的条件下でも嫌気的条件下でも光合成が可能なもの、例えば紅色非イオウ細菌(ロドシュードモナス)が選定されると、これが処理液L中に混じって地表Eに散布されたときに、この光合成細菌が地中で繁殖して所定深度(例えば、50cm)まで自力移動すると共にその深度までの地中に留まり、したがって、その細菌が過度に深く移動して地下水を放射能汚染するのを回避することができる。
しかも地表Eからの放射線量を低減するために、本発明の前記処理液Lを地表Eに単に散布するだけで足り、従来のように地表に存する腐植土等の富栄養性土壌を削り取る必要はないことから、地表E付近の土壌の富栄養状態が維持されて植物の生育環境を良好に保つことができ、のみならず、前記光合成細菌を含む処理液Lの散布により、地表Eに存する枯葉や枯草の分解(土壌化)促進が図られて、放射性物質が付着した枯葉等が風で飛散するのを効果的に防止できる。
その上、放射能汚染された地表Eから土を削り取る面倒で時間の掛かる作業を省略できる関係で、その削り取り作業に伴う作業員等の被爆を回避できる。また、上記処理液Lの散布作業は、平地は元より、人や機械、作業車両が入りにくい荒地や森林においても比較的容易に行うことができるから、作業能率の向上に寄与することができる。
また本発明の前記処理液Lの製造に当たっては、前記光合成細菌をプラズマ放電処理水中で培養すると共に、その培養液に、放射性セシウムを含む外部の放射性物質Xから発する放射線を前記光合成細菌が死滅しない程度に当てて、該光合成細菌に放射線に対する耐性を付与するので、プラズマ放電処理水により活性化されて生命力が増した(従って放射能にも強くなった)光合成細菌に対して、更に十分な放射線耐性を効果的に付与することができる。これにより、放射能汚染された地表Eに処理液Lが散布されたときに、この光合成細菌が、地中で支障なく(即ち放射能で死滅することなく)生存可能となり、所期の効果を長期に亘り持続させることができる。

次に図4〜図6を参照して、前記プラズマ放電処理水を生成するためのプラズマ放電処理水生成装置Aの一例を説明する。
この装置Aにおいて、固定ベース1上には、縦長の円筒状処理筒2が立設され、その処理筒2内には、砂利等の濾過材3が収容される。その処理筒2の上端部には放電処理部4が連設される。さらにその放電処理部4の上部には、未処理水の入口筒5が連設されており、その入口筒5の漏斗状の開放上端には、給水源20より延びる給水管6の下流端が臨んでいる。また処理筒2の下端部には、下向きの出口筒7が連設され、その出口筒7の下端が排水管8を介して放電処理水容器9に接続される。尚、前記固定ベース1、処理筒2、入口筒5及び出口筒7、並びに放電処理部4のハウジング4mは、いずれも絶縁体より構成される。
前記放電処理部4のハウジング4mには、入口筒5から鉛直下方に流下する水路の中心側に向かって下側に傾斜する一対の針状陰電極M1,M2と、それら陰電極M1,M2に対し水路周方向で180度の位相差を以て配置されると共に同じく水路中心側に向かって下側に傾斜する一対の針状陽電極P1,P2とが絶縁支持材を介して取付けられる。
処理筒2の外には、高電圧放電手段としての高周波高電圧パルス放電用電源Eが設置されており、この電源Eの印加側端子Eaに接続した印加側の外部配線Laが前記陽電極P1,P2に接続される。また同電源Eのグランド側端子Ebに接続したグランド側の外部配線Lbが前記陰電極M1,M2に接続される。前記高周波高電圧パルス放電用電源Eは、図示例では周波数が高く(例えば10KHz)、電圧が高い(例えば10KV)の高周波高電圧パルスを連続的に出力し得るように構成される。
而して、給水源20から供給された真水は、給水管6及び入口筒5を経て円筒状処理筒2内にその上部より連続的に流下し、濾過材3で濾過された後に出口筒7及び排水管8を経て放電処理水容器9に溜められる。この場合、前記陽電極P1,P2と陰電極M1,M2との相互間には、入口筒5から自然落下する流下水Wが介在するので、その陽電極P1,P2と陰電極M1,M2との間で高周波高電圧パルス放電用電源Eにより高周波高電圧パルスを放電させると、陽電極P1,P2と陰電極M1,M2間の流下水Wにプラズマ放電流PLが直接作用する。これにより、その流下水Wが、プラズマ放電前の状態よりもオゾン濃度が高く且つ酸化還元電位が高く且つまた溶存酸素量が少ないプラズマ放電処理水となる。
即ち、上記プラズマ放電流PLは、陽電極P1,P2から流下水W側に向かう途中でその周囲の窒素分子、酸素分子やスーパーオキサイト群を巻き込むことで、オゾンや酸素ラジカルを生じさせると共にそのオゾンや酸素ラジカルを水中に強力に引擦り込んでオゾンの水中への分子レベルでの溶解を起こし、さらにその水中に一酸化窒素(NO)を溶解させる。そして、その水に溶解した一部のオゾンと酸素ラジカルが水分子と反応すると、水酸基ラジカル(・OH)等が発生する。
このようにして得られたプラズマ放電処理水は、プラズマ放電処理前の水と比べ溶存酸素量が大幅に減少(例えば750 ppm →500 ppm )すると共に、酸化還元電位がプラズマ放電処理前と比べて大幅に増加(例えば250 mV→400mV )し、またオゾン濃度が大幅に増加して0.1 ppm 〜3ppm 程度含まれるようになり、更に電子e- とNO(一酸化窒素)が十分に含まれる。しかも、このプラズマ放電処理水は、生成後、比較的長期(約1カ月以上)に亘って水中にオゾンを高い濃度のまま溶解させ続け得ることが確認された。これは、前述のようにプラズマ放電流PLによりオゾンを水中に強力に引擦り込んで、オゾンの水中への分子レベルでの溶解を促進できるためと考えられる。
而して、本実施形態のようなプラズマ放電処理水生成装置Aを使用すれば、プラズマ放電処理水を効率よく大量に生成可能であり、その生成したプラズマ放電処理水を用いて本発明の放射線量低減用処理液Lを効率よく製造可能となる。

以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はそれら実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態が可能である。
例えば、前記実施形態では、放射線量低減用処理液Lを、除染対象地域から離れた別の場所で製造し、これを容器10に詰めて除染対象地域まで輸送して、その地域の地表に散布するようにしたものを示したが、本発明では、放射線量低減用処理液を除染対象地域又はその周辺で製造して、散布場所への輸送の手間を省けるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、放射線量低減用処理液Lを除染対象地域の地表に散布するに当り、作業員が散布装置Sを手動操作して散布する手法を示したが、本発明では、作業車両に散布装置を搭載し、その作業車両を移動させながら処理液を機械的に散布するようにしてもよく、更にはヘリコプターや航空機に散布装置を搭載し、そのヘリコプター等を除染対象地域の上空で移動させることで、上空から散布するようにしてもよい。
特にヘリコプターや航空機で処理液を散布するようにすれば、人や機械、車両が入りにくい荒地や森林等においても散布作業を比較的容易に行うことができる利点がある。
A・・・・プラズマ放電処理水生成装置
E・・・・地表
L・・・・放射線量低減用処理液
10・・・処理液容器

Claims (4)

  1. 地表(E)に拡散した放射性セシウムを含む放射性物質からの放射線量を低減するために地表(E)に散布される放射線量低減用処理液の製造方法であって、
    真水を、その酸化還元電位が増加するようプラズマ放電処理してプラズマ放電処理水を得る工程と、好気的条件下及び嫌気的条件下の何れでも光合成可能な光合成細菌を前記プラズマ放電処理水中で培養すると共に、その培養液に、放射性セシウムを含む外部の放射性物質(X)から発する放射線を前記光合成細菌が死滅しない程度に当てて、該光合成細菌に放射線に対する耐性を付与する工程とを少なくとも含むことを特徴とする、放射線量低減用処理液の製造方法。
  2. 前記外部の放射性物質(X)として、地表(E)からの放射線量を低減すべき除染対象地域の地表(E)に存する土壌を用いることを特徴とする、請求項1に記載の放射線量低減用処理液の製造方法。
  3. 前記光合成細菌は紅色非イオウ細菌であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の放射線量低減用処理液の製造方法。
  4. 求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法により製造された放射線量低減用処理液(L)を用いて、放射性セシウムを含む放射性物質が拡散する地表(E)からの放射線量を低減する方法であって、
    前記放射線量低減用処理液(L)を前記地表(E)に散布して、該放射線量低減用処理液(L)中に含まれる前記光合成細菌の体内に、地表(E)に存する放射性物質中の放射性セシウムを取り込ませ、
    次いでその光合成細菌を、該光合成細菌中の放射性セシウムと共に地中に下方移動させて、その下方移動と共に地表(E)の放射性セシウムからの放射線量が低減されるようにしたことを特徴とする、地表からの放射線量低減方法。
JP2013131175A 2013-06-21 2013-06-21 放射線量低減用処理液の製造方法、その方法で製造された処理液を用いた、地表からの放射線量低減方法 Active JP6308516B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013131175A JP6308516B2 (ja) 2013-06-21 2013-06-21 放射線量低減用処理液の製造方法、その方法で製造された処理液を用いた、地表からの放射線量低減方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013131175A JP6308516B2 (ja) 2013-06-21 2013-06-21 放射線量低減用処理液の製造方法、その方法で製造された処理液を用いた、地表からの放射線量低減方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015004626A JP2015004626A (ja) 2015-01-08
JP6308516B2 true JP6308516B2 (ja) 2018-04-11

Family

ID=52300643

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013131175A Active JP6308516B2 (ja) 2013-06-21 2013-06-21 放射線量低減用処理液の製造方法、その方法で製造された処理液を用いた、地表からの放射線量低減方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6308516B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6309124B1 (ja) * 2017-02-15 2018-04-11 Jx金属株式会社 電子部品用金属材料及びその製造方法、それを用いたコネクタ端子、コネクタ及び電子部品

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004057874A (ja) * 2002-07-25 2004-02-26 Yoshiki Taki 光合成細菌の生成する泡を活用する廃水処理法
JP5000855B2 (ja) * 2005-04-08 2012-08-15 内田 照捷 プラズマ放電処理水生成装置、並びにプラズマ放電水、植物成長促進液、化粧用水、工業用オゾン洗浄水、医療用オゾン殺菌水及び医療用オゾン治療水
JP2013068556A (ja) * 2011-09-26 2013-04-18 Takeshi Sasaki 放射性セシウムで汚染された環境の浄化方法
JP2013088422A (ja) * 2011-10-14 2013-05-13 Yoichiro Yamanobe 放射能汚染土壌の除洗方法
JP5074632B1 (ja) * 2012-02-23 2012-11-14 健 佐々木 放射性セシウムで汚染された環境媒体を浄化する方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015004626A (ja) 2015-01-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kitazaki et al. Plasma induced long-term growth enhancement of Raphanus sativus L. using combinatorial atmospheric air dielectric barrier discharge plasmas
Takahashi et al. Development of automatically controlled corona plasma system for inactivation of pathogen in hydroponic cultivation medium of tomato
Krause et al. Degradation of the endocrine disrupting chemicals (EDCs) carbamazepine, clofibric acid, and iopromide by corona discharge over water
US9814127B2 (en) Liquid treatment device and liquid treatment method
Wang et al. Glyphosate contaminated soil remediation by atmospheric pressure dielectric barrier discharge plasma and its residual toxicity evaluation
JP5916086B2 (ja) プラズマ酸化還元方法及びそれを用いた動植物成長促進方法、並びに動植物成長促進方法に用いるプラズマ生成装置
CN101439346A (zh) 一种放电等离子体修复土壤的方法及装置
CA2472807A1 (en) Method for evaluating elimination of microorganisms and apparatus for evaluating elimination of microorganisms
Moghaddam et al. Removal of tylosin from aqueous solution by UV/nano Ag/S 2 O 8 2− process: influence of operational parameters and kinetic study
CN201214635Y (zh) 光触媒杀菌灭藻装置
Ebihara et al. Recent development of ozone treatment for agricultural soil sterilization and biomedical prevention
JP2008183502A (ja) ナノバブルによる水処理装置及びナノバブルによる水処理方法
JP6308516B2 (ja) 放射線量低減用処理液の製造方法、その方法で製造された処理液を用いた、地表からの放射線量低減方法
Jo et al. Plasma activated medium prepared by a bipolar microsecond-pulsed atmospheric pressure plasma jet array induces mitochondria-mediated apoptosis in human cervical cancer cells
US10988390B2 (en) Gas/liquid plasma reactor with pulsed power supply and secondary direct current electrodes
CN104927864A (zh) 一种氟化物基稀土离子掺杂可见-紫外上转换发光材料及其制备方法和应用
CN102432095A (zh) 利用电子束辐照降解水中二氯吡啶酸的方法
Kawasaki et al. Visualization of the two-dimensional distribution of ROS supplied to a water-containing target by a non-thermal plasma jet
Rongsangchaicharean et al. Effect of dielectric barrier discharge plasma on rice (Oryza sativa L.) seed hydration and hygroscopicity
JP2013226082A (ja) カブトエビの卵の孵化率向上方法
CN112789349A (zh) 用于刺激生物反应器内的液体中所含的生物质生长的方法
KR102436467B1 (ko) 양자에너지가 조사되는 식물 성장 촉진 시스템
DE202020005219U1 (de) Tragbares Gerät zur Herstellung von bakteriziden, viroziden und fungiziden Aerosolen durch lonisierung einer Sprühlösung, eines Gels oder einer Pulversubstanz mit kaltem Plasma zur Desinefktion von Materialien, Gegenständen und Oberflächen.
JP2949211B2 (ja) 環境蘇生加速方法および装置
Kawakami et al. Bactericidal effects of low-temperature atmospheric-pressure air plasma jets with no damage to plant nutrient solutions

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160526

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170329

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170927

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171027

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180214

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180306

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6308516

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250