以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1を参照して、本発明の第1実施形態による冷蔵システム100の構成について説明する。
第1実施形態による冷蔵システム100は、物品を低温での温度管理下で冷蔵保存することが可能なように構成されている。また、冷蔵システム100は、図1に示すように、冷蔵倉庫1と、冷蔵倉庫1に物品を搬入搬出させるための扉2と、冷蔵倉庫1を冷却する第1空調機3および第2空調機4と、第1空調機3および第2空調機4を総括的に制御する制御装置5と、冷蔵倉庫1内の温度を検知する温度センサ6a、6bおよび6cとを備える。なお、冷蔵倉庫1は、本発明の「冷蔵室」の一例であり、制御装置5は、本発明の「制御部」の一例である。また、温度センサ6cは、本発明の「温度センサ」の一例である。
第1空調機3は、ユニットクーラ31と、冷凍機32と、電磁弁33とを含む。ユニットクーラ31は、蒸発器34と、膨張弁35とを有する。冷凍機32は、圧縮機36と、凝縮器37と、制御部38とを有する。第2空調機4は、ユニットクーラ41と、冷凍機42と、電磁弁43とを含む。ユニットクーラ41は、蒸発器44と、膨張弁45とを有する。冷凍機42は、圧縮機46と、凝縮器47と、制御部48とを有する。
冷蔵倉庫1は、冷蔵保蔵される物品が保管されるように構成されている。また、冷蔵倉庫1には、扉2を介して、物品が搬入または搬出される。また、冷蔵倉庫1は、断熱材を含む材料により、床、壁、天井が形成されている。
扉2は、冷蔵倉庫1に物品を搬入搬出させるために設けられている。つまり、扉2を開放することにより、物品を冷蔵倉庫1に搬入搬出可能にするとともに、扉2を閉塞することにより、冷蔵倉庫1を外気から遮蔽して保温性を高めるように構成されている。また、扉2は、断熱材を含む材料により形成されている。
第1空調機3は、たとえば二酸化炭素(CO2)などの冷媒を圧縮機36、凝縮器37、膨張弁35および蒸発器34に循環させて冷蔵倉庫1を冷却させるように構成されている。
圧縮機36は、制御部38の制御に基づいて駆動されるように構成されている。また、圧縮機36は、第1空調機3における低圧側から吸入されたガス冷媒を圧縮して高圧側に吐出する役割を有している。また、圧縮機36には、回転数(運転周波数)の変更により冷媒吐出量が制御可能なインバータ制御式圧縮機が用いられている。
凝縮器37は、内部を流通する過熱ガス状態の冷媒を外部空気を用いて冷却する機能を有している。また、凝縮器37内で凝縮(液化)された冷媒は、電磁弁33を介して、膨張弁35に流入される。
膨張弁35は、凝縮器37で冷却(液化)された冷媒を絞り膨張(減圧)させて蒸発器34に供給する役割を有している。また、膨張弁35は、パルス制御により駆動されるステッピングモータの駆動力を利用して弁機構を開閉駆動されるように構成されている。また、膨張弁35により絞り膨張された液冷媒は、気相および液相からなる気液二相状態のまま蒸発器34に流入される。
蒸発器34には、送風機(図示せず)が設けられており、冷蔵倉庫1内を冷却するための空気(冷気)が送風機によって蒸発器34と冷蔵倉庫1内との間を循環するように構成されている。また、蒸発器34は、流通する冷媒が蒸発(気化)する際に、流通する空気から熱を奪って循環空気を冷却する。また、蒸発器34における蒸発後の冷媒は、気相を多く含んだガス状態となって圧縮機36に戻される。このように、第1空調機3では、圧縮機36から吐出された冷媒が、凝縮器37、膨張弁35、蒸発器34の順に流れて圧縮機36に帰還されるサイクルを繰り返す。
また、電磁弁33は、凝縮器37と、膨張弁35との間に配置され、冷媒の流れを制御するように構成されている。具体的には、電磁弁33は、制御部38のON/OFF制御により冷媒を流す(ONする)または止める(OFFする)ように構成されている。電磁弁33をOFFにする(冷媒を止める)時間が長くなると、凝縮器37および蒸発器34における熱交換量がそれぞれ小さくなり、熱負荷が低くなる。この場合、制御部38により圧縮機36の出力(回転数)が下げられる、または停止される。一方、電磁弁33をONにする(冷媒を流す)時間が長くなると、凝縮器37および蒸発器34における熱交換量がそれぞれ大きくなり、熱負荷が高くなる。この場合、制御部38により圧縮機36の出力(回転数)が上げられる。
制御部38は、第1空調機3の各部を制御するように構成されている。特に、制御部38は、電磁弁33のON/OFFの制御、圧縮機36の出力(回転数)制御を行い、第1空調機3が冷蔵倉庫1に供給する冷気の制御を行うように構成されている。また、制御部38は、ユニットクーラ31近傍に配置された温度センサ6aにより検知した温度に基づいて、電磁弁33および圧縮機36の制御を行うように構成されている。つまり、制御部38は、検知された温度が目標温度より高くなった場合、電磁弁33のON時間を長くするとともに、圧縮機36の出力(回転数)を上げる制御を行う。また、制御部38は、検知された温度が目標温度より低くなった場合、電磁弁33のON時間を短くするとともに、圧縮機36の出力(回転数)を下げるまたは停止させる制御を行う。
第2空調機4は、第1空調機3とは別個に設けられており、扉2が閉塞している場合は、第1空調機3とは独立して駆動される。つまり、扉2が閉塞している場合は、第1空調機3の圧縮機36の出力と第2空調機4の圧縮機46の出力とは、異なる場合がある。たとえば、冷蔵倉庫1内で物品の配置が片寄っている場合や、冷蔵倉庫1内の形状、冷蔵倉庫1の外部の影響、ユニットクーラの着霜の有無などにより、第1空調機3と第2空調機4との冷却状態が異なり、第1空調機3の圧縮機36の出力と第2空調機4の圧縮機46の出力とが異なる場合がある。また、電磁弁33および34のON/OFFのタイミングが異なる場合にも、第1空調機3の圧縮機36の出力と第2空調機4の圧縮機46の出力とが異なる場合がある。
また、第2空調機4の各部の構成は、上記第1空調機3の構成と同様であり、説明を省略する。つまり、第2空調機4のユニットクーラ41、冷凍機42および電磁弁43は、それぞれ、第1空調機3のユニットクーラ31、冷凍機32および電磁弁33に対応する。また、ユニットクーラ41の蒸発器44および膨張弁45は、それぞれ、ユニットクーラ31の蒸発器34および膨張弁35に対応する。また、冷凍機42の圧縮機46、凝縮器47および制御部48は、それぞれ、冷凍機32の圧縮機36、凝縮器37および制御部38に対応する。
ここで、第1実施形態では、制御装置5は、扉2付近の温度が上昇した場合に、第1空調機3および第2空調機4のうち出力が低い方の空調機(圧縮機)の出力を上げて冷蔵倉庫1の温度を調整するように構成されている。つまり、制御装置5は、扉2付近の温度センサ6cによる温度の上昇を検知した場合に、扉2が開放されたと判断して、第1空調機3および第2空調機4のうち出力が低い方の空調機の出力を上げるように構成されている。ここで、空調機(圧縮機)の出力は、低いほど、消費エネルギーに対して効率よく冷却することが可能である。したがって、第1空調機3および第2空調機4のうち出力が低い方の空調機の出力を上げることにより、一方の空調機の出力が過度に大きくなることを抑制して、冷却効率を高めることが可能である。
また、制御装置5は、扉2付近の温度が上昇した後、扉2付近の温度が下降した場合、第1空調機3および第2空調機4のうち出力を上げた空調機の出力を、上げた出力分だけ下げるように構成されている。つまり、制御装置5は、扉2付近の温度が上昇して扉2が開放されたことを検知し、第1空調機3および第2空調機4のうち出力が低い方の空調機の出力を上げたのち、扉2付近の温度が下降して扉2が閉塞されたことを検知した場合、第1空調機3および第2空調機4のうち出力を上げた空調機の出力を、扉2付近の温度の上昇前の出力に戻すように構成されている。なお、扉2付近の温度が上昇した際に出力を上げた後、他の制御により出力が変更された場合は、空調機の出力は、温度上昇前の出力に戻らず、上げた出力分だけ下げられた状態になる。
また、制御装置5は、扉2付近の温度が上昇した場合に、第1空調機3および第2空調機4の出力が略等しくなるように、第1空調機3および第2空調機4のうち低い方の出力のみならず高い方の出力も上げるように構成されている。また、制御装置5は、第1空調機3および第2空調機4の出力が略等しい場合において、扉2付近の温度が上昇した場合に、第1空調機3および第2空調機4の出力をそれぞれ上げるように構成されている。
温度センサ6aおよび6bは、それぞれ、ユニットクーラ31および41の近傍(循環空気吸込口または吐出口近傍)に設けられている。温度センサ6aおよび6bは、それぞれ、制御部38および48に接続されている。温度センサ6cは、扉2の近傍に設けられている。また、温度センサ6cは、扉2付近の温度を検知するように構成されている。また、温度センサ6cは、制御装置5に接続されている。また、温度センサ6cは、ユニットクーラ31およびユニットクーラ41から略等しい距離に配置されている。
次に、図2を参照して、第1実施形態による冷蔵システム100の制御装置5による第1空調機3および第2空調機4の出力制御処理について説明する。この出力制御処理は、冷蔵システム100が稼働中に継続的に行われる。
ステップS1において、温度センサ6cにより扉2付近の温度T1が検知される。ステップS2において、扉2付近の温度T1がしきい値より大きいか否かが判断される。なお、しきい値は、冷蔵倉庫1の冷却設定温度に所定の値を加えた温度が設定されている。また、扉2付近の温度T1がしきい値より大きければ、扉2が開放されていると判断される。扉2付近の温度T1がしきい値以下であれば、ステップS3に進み、扉2付近の温度T1がしきい値より大きければステップS9に進む。
ステップS3において、所定時間経過したか否かが判断される。所定時間経過していなければ、所定時間経過するまで、ステップS3の処理が繰り返される。所定時間経過すれば、ステップS4において、温度センサ6cにより扉2付近の温度T2が検知される。ステップS5において、扉2付近の温度T2がしきい値より大きいか否かが判断される。扉2付近の温度T2がしきい値よりも大きければ、ステップS6に進み、扉2付近の温度T2がしきい値以下であれば、出力制御処理が終了される。
ステップS6において、扉2が開放された場合の第1空調機3および第2空調機4を合わせた出力のアップ量αが算出される。具体的には、合計出力アップ量αは、冷蔵倉庫1の冷却設定温度と、外部の温度(たとえば、夏場30℃、冬場10℃などの設定された一定値)と、第1空調機3および第2空調機4の冷却能力とに基づいて算出される。ステップS7において、第1空調機3および第2空調機4の合計出力FがF+αとされて更新される。ステップS8において、合計出力アップ量αが第1空調機3および第2空調機4に割り振られて、第1空調機3および第2空調機4の出力がそれぞれ更新される。その後、出力制御処理が終了される。
ステップS2において、扉2付近の温度T1がしきい値以上であると判断されたら、ステップS9において、所定時間経過したか否かが判断される。所定時間経過していなければ、所定時間経過するまで、ステップS9の処理が繰り返される。所定時間経過すれば、ステップS10において、温度センサ6cにより扉2付近の温度T3が検知される。
ステップS11において、扉2付近の温度T3がしきい値以下であるか否かが判断される。なお、扉2付近の温度T3がしきい値以下であれば、扉2が閉塞されたと判断される。扉2付近の温度T3がしきい値以下であれば、ステップS12に進み、扉2付近の温度T3がしきい値より大きければ、出力制御処理が終了される。
ステップS12において、第1空調機3および第2空調機4の合計出力FがF−αとされて更新される。つまり、扉2開放前の出力に戻される。ステップS13において、第1空調機3および第3空調機4の出力が扉2開放前の出力に戻される。つまり、第1空調機3および第2空調機4の出力が、ステップS8において割り振られて更新される前の出力にそれぞれ戻される。その後、出力制御処理が終了される。
次に、図3を参照して、図2のステップS8における合計出力アップ量αの割り振り処理について説明する。
ステップS21において、|F1ーF2|がαより大きいか否かが判断される。なお、F1は、第1空調機3の出力を表し、F2は、第2空調機4の出力を表す。つまり、空調機の合計出力Fは、F1+F2となる。|F1ーF2|がαより大きければ、ステップS22に進み、|F1ーF2|がα以下であれば、ステップS25に進む。ステップS22において、F1がF2より大きいか否かが判断される。第1空調機3の出力F1が第2空調機4の出力F2より大きければ、ステップS24に進み、第1空調機3の出力F1が第2空調機4の出力F2以下であれば、ステップS23に進む。
ステップS23において、第1空調機3の出力F1がF1+αとされて更新される。この場合、第2空調機4の出力F2は、そのまま維持される。ステップS24において、第2空調機4の出力F2がF2+αとされて更新される。この場合、第1空調機3の出力F1は、そのまま維持される。ステップS25において、F1およびF2が、(F1+F2+α)/2とされて更新される。つまり、ステップS25では、F1およびF2が同じ値になるようにそれぞれ出力が上げられる。ステップS23、S24またはS25の後、合計出力アップ量αの割り振り処理が終了される。
たとえば、第1空調機3の出力F1が30%で、第2空調機4の出力F2が70%で、合計出力アップ量αが20の場合、ステップS23に進み、F1が50%に更新され、F2は70%に維持される。また、第1空調機3の出力F1が50%で、第2空調機4の出力F2が50%で、合計出力アップ量αが20の場合、ステップS25に進み、F1およびF2が60%に更新される。また、第1空調機3の出力F1が40%で、第2空調機4の出力F2が50%で、合計出力アップ量αが20の場合、ステップS25に進み、F1およびF2が55%に更新される。
上記第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、扉2付近の温度が上昇した場合に、第1空調機3および第2空調機4のうち出力が低い方の空調機の出力を上げて冷蔵倉庫1の温度を調整する制御装置5を設けることによって、冷蔵倉庫1の扉2が開放したことに起因して扉2付近の温度が上昇した場合に、出力の低い方の空調機の出力が上げられるので、一方の空調機が過度に高出力になることを抑制することができる。これにより、第1空調機3および第2空調機4の出力をバランス良くすることができるので、第1空調機3および第2空調機4のトータルの消費エネルギーの上昇を抑制することができる。その結果、省エネルギー化を図りながら、扉2付近の温度上昇を抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置5を、扉2付近の温度が上昇した後、扉2付近の温度が下降した場合、第1空調機3および第2空調機4のうち出力を上げた空調機の出力を、上げた出力分だけ下げるように構成する。これにより、冷蔵倉庫1の扉2が閉塞されて扉2開放前の状態に戻った際に、第1空調機3および第2空調機4の出力が上げられた分だけ下げられるので、扉2が閉塞した状態で、複数の空調機を用いて温度ムラの発生を抑制しながら効率よく冷蔵倉庫1を冷却することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置5を、扉2付近の温度が上昇した場合に、第1空調機3および第2空調機4の出力が略等しくなるように、第1空調機3および第2空調機4のうち低い方の出力のみならず高い方の出力も上げるように構成する。これにより、第1空調機3および第2空調機4の出力をバランス良く上げることができるので、第1空調機3および第2空調機4のトータルの消費エネルギーの上昇を容易に抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置5を、第1空調機3および第2空調機4の出力が略等しい場合において、扉2付近の温度が上昇した場合に、第1空調機3および第2空調機4の出力をそれぞれ上げるように構成する。これにより、第1空調機3および第2空調機4の出力が等しい状態から、一方のみの出力を上げる場合と異なり、第1空調機3および第2空調機4の出力をバランス良く上げて、省エネルギー化を図りながら、扉2付近の温度上昇を抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、冷蔵倉庫1内の扉2付近の温度を検知する温度センサ6cを設け、制御装置5を、温度センサ6cによる温度の上昇を検知した場合に、第1空調機3および第2空調機4のうち出力が低い方の空調機の出力を上げるように構成する。これにより、温度センサ6cにより扉2の開放に起因した温度上昇を速やかに検知することができるので、出力が低い方の空調機の出力を速やかに上げて、扉2付近の温度上昇を効果的に抑制することができる。
(第2実施形態)
図4を参照して、本発明の第2実施形態による冷蔵システム200の構成について説明する。
この第2実施形態では、扉2近傍に温度センサ6cを設けた上記第1実施形態とは異なり、扉2の開放を検知する扉センサ7を設ける構成の例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
第2実施形態による冷蔵システム200は、図4に示すように、冷蔵倉庫1と、冷蔵倉庫1に物品を搬入搬出させるための扉2と、冷蔵倉庫1を冷却する第1空調機3および第2空調機4と、第1空調機3および第2空調機4を総括的に制御する制御装置201と、冷蔵倉庫1内の温度を検知する温度センサ6aおよび6bと、扉2の開放を検知する扉センサ7とを備える。なお、冷蔵倉庫1は、本発明の「冷蔵室」の一例であり、制御装置201は、本発明の「制御部」の一例である。
ここで、第2実施形態では、制御装置201は、扉2が開放されたことが検知された場合に、第1空調機3および第2空調機4のうち出力が低い方の空調機(圧縮機)の出力を上げて冷蔵倉庫1の温度を調整するように構成されている。つまり、制御装置201は、扉センサ7による扉2の開放を検知した場合に、第1空調機3および第2空調機4のうち出力が低い方の空調機の出力を上げるように構成されている。
また、制御装置201は、扉2が開放されたことが検知された後、扉2が閉塞されたことが検知された場合に、第1空調機3および第2空調機4のうち出力を上げた空調機の出力を、上げた出力分だけ下げるように構成されている。つまり、制御装置201は、扉2が開放されたことを検知し、第1空調機3および第2空調機4のうち出力が低い方の空調機の出力を上げたのち、扉2が閉塞されたことを検知した場合、第1空調機3および第2空調機4のうち出力を上げた空調機の出力を、扉2の開放の検知前の出力に戻すように構成されている。
また、制御装置201は、扉2が開放されたことが検知された場合に、第1空調機3および第2空調機4の出力が略等しくなるように、第1空調機3および第2空調機4のうち低い方の出力のみならず高い方の出力も上げるように構成されている。また、制御装置201は、第1空調機3および第2空調機4の出力が略等しい場合において、扉2が開放されたことが検知された場合に、第1空調機3および第2空調機4の出力をそれぞれ上げるように構成されている。
次に、図5を参照して、第2実施形態による冷蔵システム200の制御装置201による第1空調機3および第2空調機4の出力制御処理について説明する。この出力制御処理は、冷蔵システム200が稼働中に継続的に行われる。
ステップS31において、扉センサ7により扉2の開放または閉塞が検知される。ステップS32において、扉2が閉塞中か否かが判断される。扉2が閉塞中であれば、ステップS33に進み、扉2が開放中であれば、ステップS36に進む。
ステップS33において、所定時間経過したか否かが判断される。所定時間経過していなければ、所定時間経過するまで、ステップS33の処理が繰り返される。所定時間経過すれば、ステップS34において、扉センサ7により扉2の開放または閉塞が検知される。ステップS35において、扉2の開放が検知されたか否かが判断される。扉2が開放されていると判断されれば、ステップS6に進み、扉2が開放されていない(閉塞されている)と判断されれば、出力制御処理が終了される。なお、ステップS6〜S8の処理は、上記第1実施形態と同様である。
ステップS32において、扉2が開放中であると判断されたら、ステップS36において、所定時間経過したか否かが判断される。所定時間経過していなければ、所定時間経過するまで、ステップS36の処理が繰り返される。所定時間経過すれば、ステップS37において、扉センサ7により扉2の開放または閉塞が検知される。ステップS38において、扉2の閉塞が検知されたか否かが判断される。扉2が閉塞されていると判断されれば、ステップS12に進み、扉2が閉塞されていない(開放されている)と判断されれば、出力制御処理が終了される。なお、ステップS12およびS13の処理は、上記第1実施形態と同様である。
なお、第2実施形態による冷蔵システム200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
上記第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、扉2が開放されたことが検知された場合に、第1空調機3および第2空調機4のうち出力が低い方の空調機の出力を上げて冷蔵倉庫1の温度を調整する制御装置201を設けることによって、冷蔵倉庫1の扉2が開放したことに起因して扉2付近の温度が上昇した場合に、出力の低い方の空調機の出力が上げられるので、一方の空調機が過度に高出力になることを抑制することができる。これにより、第1空調機3および第2空調機4の出力をバランス良くすることができるので、第1空調機3および第2空調機4のトータルの消費エネルギーの上昇を抑制することができる。その結果、省エネルギー化を図りながら、扉2付近の温度上昇を抑制することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、制御装置201を、扉2が開放されたことが検知された後、扉2が閉塞されたことが検知された場合に、第1空調機3および第2空調機4のうち出力を上げた空調機の出力を、上げた出力分だけ下げるように構成する。これにより、冷蔵倉庫1の扉2が閉塞されて扉2開放前の状態に戻った際に、第1空調機3および第2空調機4の出力が上げられた分だけ下げられるので、扉2が閉塞した状態で、複数の空調機を用いて温度ムラの発生を抑制しながら効率よく冷蔵倉庫1を冷却することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、制御装置201を、扉2が開放されたことが検知された場合に、第1空調機3および第2空調機4の出力が略等しくなるように、第1空調機3および第2空調機4のうち低い方の出力のみならず高い方の出力も上げるように構成する。これにより、第1空調機3および第2空調機4の出力をバランス良く上げることができるので、第1空調機3および第2空調機4のトータルの消費エネルギーの上昇を容易に抑制することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、制御装置201を、第1空調機3および第2空調機4の出力が略等しい場合において、扉2が開放されたことが検知された場合に、第1空調機3および第2空調機4の出力をそれぞれ上げるように構成する。これにより、第1空調機3および第2空調機4の出力が等しい状態から、一方のみの出力を上げる場合と異なり、第1空調機3および第2空調機4の出力をバランス良く上げて、省エネルギー化を図りながら、扉2付近の温度上昇を抑制することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、扉2の開放を検知する扉センサ7を設け、制御装置201を、扉センサ7による扉2の開放を検知した場合に、第1空調機3および第2空調機4のうち出力が低い方の空調機の出力を上げるように構成する。これにより、扉センサ7により扉2の開放を速やかに検知することができるので、出力が低い方の空調機の出力を速やかに上げて、扉2付近の温度上昇を効果的に抑制することができる。
また、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、冷蔵倉庫を備える冷蔵システムに本発明を適用する例について示したが、本発明はこれに限られない。冷蔵倉庫以外の冷蔵室を備える冷蔵システムに本発明を適用してもよい。たとえば、ショーケースや、冷蔵庫に本発明を適用してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、第1空調機および第2空調機の2つの空調機を備える冷蔵システムの構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷蔵システムは、3つ以上の空調機を備えていてもよい。
また、上記第1実施形態では、扉近傍に温度センサを設け、第2実施形態では、扉の開放を検知する扉センサを設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、扉センサおよび扉近傍の温度センサの両方を設ける構成でもよい。また、温度センサまたは扉センサを用いずに扉の開放を検知してもよい。たとえば、光センサなどを用いて外光を検知して扉の開放を検知してもよい。
また、上記第1実施形態では、扉近傍に温度センサを設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷蔵室内の任意の位置に温度センサを設けてもよい。これにより、冷蔵室内よりも高い温度の物品が搬入された場合でも、冷蔵室内の温度上昇を検知して、迅速に冷却することが可能である。
また、上記第1および第2実施形態では、図3に示すように、扉が開放された場合に、合計出力アップ量αを第1空調機および第2空調機に割り振る際に、ステップS25の場合は、第1空調機および第2空調機の出力が略等しくなるように、第1空調機および第2空調機の出力をそれぞれ上げる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、出力が低い方の空調機の出力のみを一律に上げる構成であってもよい。この場合にも、省エネルギー化を図りながら、扉付近の温度上昇を抑制することができるという効果を得ることができる。
たとえば、図6に示す変形例のように、合計出力アップ量αを第1空調機および第2空調機に割り振ってもよい。具体的には、ステップS41において、F1がF2より大きいか否かが判断される。なお、F1は、第1空調機3の出力を表し、F2は、第2空調機4の出力を表す。つまり、空調機の合計出力Fは、F1+F2となる。F1がF2より大きければ、ステップS44に進み、F1がF2以下であれば、ステップS42に進む。ステップS42において、F1がF2と等しいか否かが判断される。F1がF2と等しければ、ステップS45に進み、F1がF2と等しくなければ(F1がF2より小さければ)、ステップS43に進む。
ステップS43において、第1空調機3の出力F1がF1+αとされて更新される。この場合、第2空調機4の出力F2は、そのまま維持される。ステップS44において、第2空調機4の出力F2がF2+αとされて更新される。この場合、第1空調機3の出力F1は、そのまま維持される。ステップS45において、第1空調機3の出力F1および第2空調機4の出力F2が、(F1+F2+α)/2とされて更新される。ステップS43、S44またはS45の後、合計出力アップ量αの割り振り処理が終了される。
たとえば、第1空調機3の出力F1が40%で、第2空調機4の出力F2が50%で、合計出力アップ量αが20の場合、ステップS43に進み、F1が60%に更新され、F2は50%に維持される。また、第1空調機3の出力F1が50%で、第2空調機4の出力F2が50%で、合計出力アップ量αが20の場合、ステップS45に進み、F1およびF2が60%に更新される。
また、上記第1および第2実施形態では、1つの扉が設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の扉が設けられていてもよい。この場合、各々の扉付近の温度が上昇した場合、または、各々の扉が開放されたことが検知された場合に、第1空調機および第2空調機のうち出力が低い方の空調機の出力を上げるように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、冷媒として二酸化炭素(CO2)を用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷媒として二酸化炭素以外の冷媒を用いてもよい。たとえば、二酸化炭素以外の他の自然冷媒を用いてもよいし、オゾン層破壊係数がゼロの代替フロン冷媒を用いてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、制御装置(制御部)による制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部による処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。