以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.弾球遊技機の装置構成:
A−1.正面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.背面側の構成:
B.遊技の概要:
C.制御装置の構成:
C−1.メイン制御装置の構成:
C−2.周辺装置の構成:
D.メイン制御装置の制御内容:
D−1.メインループ処理:
D−2.タイマ割り込み処理:
D−3.残余時間処理:
E.サブ制御装置の制御内容:
F.保留表示演出:
G.払出機構の構成 :
H.払出制御装置の制御内容 :
H−1.払出制御装置の周辺の装置構成 :
H−2.払出制御装置の処理 :
H−2−1.払出制御メイン処理 :
H−2−2.コマンド割込処理 :
H−2−3.タイマ割込処理 :
I.変形例 :
I−1.第1変形例 :
I−2.第2変形例 :
I−3.第3変形例 :
I−4.第4変形例 :
A.弾球遊技機の装置構成 :
A−1.正面側の構成 :
図1は、本実施例の弾球遊技機10の正面図である。図示されている様に、本実施例の弾球遊技機10の正面側は、弾球遊技機10の前面を構成する樹脂製の正面パネル15や、正面パネル15の中央に設けられた盤面部12や、正面パネル15上のやや下方に設けられた上皿13などから構成されている。盤面部12には正面パネル15の背面側からガラス板がはめ込まれており、ガラス板を通して正面パネル15の背面側に設置された遊技盤を視認することが可能である。なお、図1では、遊技盤の詳細な構成については図示を省略している。
上皿13は、皿状に形成された凹部と、凹部を囲む壁面とから構成されており、上皿1
3の内側に遊技球を保持することが可能となっている。また、上皿13は弾球遊技機10の内部に設けられた発射ユニットに接続されており、上皿13に遊技球を投入することによって発射ユニットに遊技球を供給することが可能である。上皿13の下方には下皿16が設けられており、上皿13の近傍に設けられたレバーを操作することにより、上皿13と下皿16とを連通させることが可能となっている。後述するように、上皿13には遊技に伴って遊技球が払い出されることがあることから、上皿13に遊技球が収まりきらなくなる場合が生じ得るが、このように下皿16を設けて上皿13と下皿16とを連通させることにより、上皿13に収まりきらなくなった遊技球を下皿16に排出することが可能である。
上皿13の右下には、遊技球を遊技盤に発射するための発射ハンドル11が備えられている。この発射ハンドル11は上述した発射ユニットに接続されており、上皿13から発射ユニットに遊技球を供給した状態で発射ハンドル11を操作することにより、遊技球を遊技盤に発射することが可能である。また、この発射ハンドル11には、図示しないセンサ11sが備えられており、遊技者が発射ハンドル11に触れているか否かをセンサ11sによって検出することが可能である。そして、センサ11sの検出結果に応じて発射ユニットからの発射を制御することにより、遊技者が発射ハンドル11に触れていない状態で遊技球が発射されてしまうのを防ぐことが可能となっている。
正面パネル15の上方には、左右に2つのスピーカ14が備えられており、弾球遊技機10で行われる遊技にともなって効果音やメロディーなどの演出音を出力することが可能である。これらのスピーカ14は、正面パネル15の背面側から正面側に向けて取り付けられており、正面パネル15に向かって遊技を行う遊技者に演出音を効率よく届けることが可能となっている。
また、正面パネル15の端(図1の右側の端)には、シリンダ錠を用いて施錠や開錠が可能な鍵部17が設けられており、この鍵部17を施錠することにより、正面パネル15を弾球遊技機10の本体に固定することが可能である。また、鍵部17を開錠すれば、正面パネル15を弾球遊技機10の本体から離間することが可能であり、こうすることで、正面パネル15の裏面に設けられた各種の装置や、本体側の装置にアクセスすることが可能となる。なお、正面パネル15は弾球遊技機10の本体に軸支されており、正面パネル15を弾球遊技機10の本体に対して回動させることにより、正面パネル15を本体から離間することが可能である。
弾球遊技機10の横には、貸し玉機4が備えられており、弾球遊技機10の遊技者は遊技を行う際に貸し玉機4に紙幣やプリペイドカードを挿入することで、貸し玉機4から遊技球を借り受けることができる。この貸し玉機4と上皿13との間にはノズル52が設けられており、貸し玉機4から貸し出された遊技球をノズル52を介して上皿13へと投入することができる。上述したように、上皿13に遊技球を投入すると遊技球が発射ユニットに供給されるので、遊技者は、貸し玉機4から遊技球を借り受けて発射ハンドル11を操作することにより、遊技盤20に遊技球を発射して遊技を行うことが可能となる。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、本実施例の弾球遊技機10に備えられた遊技盤20の構成を示した説明図である。前述したように、こうした遊技盤20は、正面パネル15の盤面部12(図1を参照)にガラス板の背面側から取り付けられる。図2に示されている様に、遊技盤20には、土台となるベース板29の外縁付近にベース板29に対して略垂直に設けられたレール21が備えられており、このレール21の内側に、釘22や風車23などが取り付けられた遊技領域28が形成されている。発射ユニットによって発射された遊技球は、レール21によって遊技領域28へと導かれ、遊技領域28内を、釘22や風車23などによって進
行方向を変えられながら流下していく。遊技領域28にはスルー作動口24や作動口25や小入賞口26などの遊技球が入球可能な口(入球口)が設けられており、流下する遊技球がこれらの作動口や小入賞口に入球すると、賞球が払い出されたり、後述する大当たり抽選などが行われる。
これらの入球口のうち、スルー作動口24は、入球した遊技球が通過可能なゲート形状の作動口であり、スルー作動口24に入球した遊技球は遊技領域28から排出されることなくそのままスルー作動口24を通過して遊技盤20上を流下し続ける。また、スルー作動口24には入球を検知するセンサ24sが設けられており、弾球遊技機10の制御装置は、センサ24sの検知状態を読み出すことにより、スルー作動口24へ入球があったことを把握することが可能である。スルー作動口24への入球があった場合、弾球遊技機10の制御装置は、スルー作動口24への入球に対する賞球を上皿13に払い出したり、スルー作動口24への入球を契機として抽選を行うなどの各種の処理を実行する。こうした賞球の払い出し処理や抽選処理については、後で詳しく説明する。
一方、小入賞口26は、遊技球が入球すると入球した遊技球を取り込んで遊技盤20の背面側へと排出するタイプの入賞口である。この小入賞口26も上述したスルー作動口24と同様にセンサ26sが備えられており、制御装置はセンサ26sの検知状態を読み出すことにより、小入賞口26への入球を検出して、小入賞口26への入球に対する賞球を払い出すことが可能となっている。
また、本実施例の弾球遊技機10の作動口25(第1作動口25aおよび第2作動口25b)は、小入賞口26と同様に、入球した遊技球を遊技盤20の背面側に排出するタイプの作動口である。これらの作動口25もセンサ(25as,25bs)を備えており、センサの検知状態を読み出すことにより、第1作動口25aおよび第2作動口25bへの入球をそれぞれ検出することが可能である。なお、第2作動口25bの近傍には、電動役物41が備えられており、この電動役物41を駆動することにより、第2作動口25bに遊技球が入球しやすい状態と、入球し難い状態とを切り替えることが可能である。この点について、図3を参照しながら説明する。
図3は、第2作動口の近傍に設けられた電動役物41を駆動することにより、遊技球が第2作動口に入球し易い状態と入球し難い状態とを切り替える様子を示した説明図である。図3(a)に示されているように、電動役物41は、上部に第1作動口25aが設けられた作動口ユニット40に組み付けられており、2つの電動役物41の間に第2作動口25bが設けられている。この電動役物41は作動口ユニット40の内部に設けられた駆動機構に接続されており、駆動機構によって電動役物41を駆動することが可能である。
図3(b)には、電動役物41を駆動して電動役物41と電動役物41との間隔を広げた状態が示されている。図示されているように、電動役物41を駆動すると、左右の電動役物41の間が大きく広がる。この状態では、電動役物41の上面が第2作動口25bに向かって傾斜しており、このため、図中に矢印で示されているように、電動役物41の上面で受けた遊技球を第2作動口25bの方向に導くことができる。こうすることで、左右の電動役物41の間を大きく開いていない状態(図3(a)を参照)に比べて、第2作動口25bに遊技球が入球しやすい状態を実現することができる。また、電動役物41を駆動して左右の電動役物41を元の位置(図3(a)を参照)に戻せば、ふたたび遊技球が入球し難い状態にすることができる。このように、電動役物41を駆動することで、第2作動口25bに遊技球が入球しやすい状態と入球し難い状態とを、容易に切り替えることが可能となっている。
なお、本実施例では、電動役物41の間隔が広がって遊技球が入球し易い状態(図3(
b)を参照)を電動役物41の開放状態と呼び、電動役物41の間隔が狭まって遊技球が入球し難い状態(図3(a)を参照)を電動役物41の閉鎖状態と呼ぶものとする。ここで、電動役物41を駆動することによって第2作動口25bへの入球し易さを変化させる観点からは、電動役物41の閉鎖状態は、遊技球の入球が完全に不可能な程度に第2作動口25bが閉鎖されている必要は必ずしもなく、電動役物41の開放状態よりも入球が困難であればよい。
また、第1作動口25aおよび第2作動口25bに遊技球が入球した場合、本実施例の弾球遊技機10では、賞球を払い出したり、後述する「大当たり抽選」を行って抽選の結果に応じた各種の動作を行う。こうした遊技球の入球を契機として行う賞球の払い出し処理や、大当たり抽選の結果に応じて行う各種の動作については、後で詳しく説明する。
遊技盤20上の作動口ユニット40の下方には、図2に示されている様に、大型の入球口である大入球口60が設けられている。大入球口60には駆動機構が備えられており、開口部の前面に設けられた板部材を遊技盤20の前方に傾斜させることによって、開口部が閉じて入球が不可能な閉鎖状態から、開口部が開口して入球可能な開放状態に切り替えることが可能である。大入球口60の開放状態では、開口部が広いことから多数の遊技球が容易に入球することが可能なので、大入球口60を開放状態にすることによって、遊技者に対して大変に有利な遊技状態を作り出すことが可能である。なお、本実施例の弾球遊技機10では、大入球口60への入球に対して「15個」の賞球を払い出す。
遊技領域28の最下部には、小入賞口26や作動口25や大入球口60などのいずれにも入球しなかった遊技球を回収するアウト口50が設けられている。アウト口に入球した遊技球は遊技盤20から排出されて、弾球遊技機10内に設けられた球回収装置に回収される。また、アウト口50に達した遊技球に対しては、賞球は払い出されない。アウト口50は他の作動口や賞球口よりも下方に設けられているので、遊技者は、遊技球がアウト口50に達するまでにいずれかの作動口や入賞口に入球することを望みながら遊技を行う。これにより、遊技者の意識を遊技に引きつけることが可能となっている。
遊技盤20の右側の右端には、所定の図柄を表示可能なセグメント式表示装置70が設けられている。セグメント式表示装置70の内部には複数の発光ダイオード(LED)が設けられており、LEDを発光させることによって図柄を表示することが可能である。また、これら複数のLEDはそれぞれ個別に発光させることが可能であり、このため、次の図4に示すように、発光させるLEDを適切に組み合わせることで、各種の文字や数字を表示することも可能である。
図4は、本実施例の弾球遊技機10に備えられたセグメント式表示装置70の詳細な構成を示した説明図である。図4(a)に示されている様に、本実施例の弾球遊技機10のセグメント式表示装置70は、左表示部72、中央表示部74、および右表示部76の3つの表示部を備えており、それぞれの表示部は、数字の「8」の字状に配置された7つのLED(左表示部72ではLED72a〜LED72g)および右下に配置されたドット形状のLED(左表示部ではLED72p)から構成されている。上述したように、これらのLEDはそれぞれ個別に点灯あるいは消灯することが可能であり、点灯あるいは消灯するLEDを組み合わせることで、文字や数字を表現することが可能である。例えば、図4(b)に示されている例では、左表示部72のハッチングを付したLEDを点灯させることにより、左表示部に数字の「2」を表示している。
また、数字だけでなく、文字を表示することも可能である。例えば、図4(b)の例では、中央表示部74にアルファベットの「H」の文字を表示しており、右表示部76には「L」の文字を表示している。このように点灯あるいは消灯させるLEDを組み合わせる
ことで、文字や数字を表示することが可能である。もちろん、表示可能な文字や数字は図4(b)の例に限られず、各種の文字や数字、更には「−」などの記号を表示することが可能である。また、図4(b)の例では、左表示部72に数字を表示し、中央表示部74および右表示部76には文字を表示しているが、この例とは逆に、中央表示部74や右表示部76に数字を表示することも可能であるし、左表示部72にアルファベットを表示することも可能である。
なお、セグメント式表示装置70の各LEDを、文字や数字を形成しない組み合わせで点灯させることも可能である。例えば、LED72aとLED72eとを点灯させれば、数字とも文字とも呼べない態様の表示を行うことが可能である。このような文字とも数字とも呼べない態様の表示を行えば、遊技者は表示の意味を直ちに理解することが困難になる。このため、後述する「大当たり遊技状態」や「確変状態」などの遊技者にとって有利な遊技状態が発生したのではとの期待を遊技者に抱かせたり、あるいは、有利な遊技状態が発生していることを遊技者に容易に察知されることを回避して、有利な遊技状態の発生を遊技者に報知した際の遊技者の高揚感を高めて、遊技の興趣を向上させることが可能である。
セグメント式表示装置70の各LEDは、後述するメイン制御装置100に接続されており、メイン制御装置100はセグメント式表示装置70の各LEDを点灯あるいは消灯させることによって、各種の文字や数字や記号などを表示することが可能である。また、点灯させるLEDを次々と切り替えることで、セグメント式表示装置70上で文字や数字を次々と変動させながら表示すること(図柄の変動表示)も可能である。本実施例の弾球遊技機10では、こうした図柄の変動表示が、作動口25への入球を契機として開始される。この点については後で詳しく説明する。
また、図2に示されている様に、セグメント式表示装置70の下方には、スルー用セグメント式表示装置80が備えられている。このスルー用セグメント式表示装置80も、セグメント式表示装置70と同様に、複数のLEDが備えられており、各LEDを個別に点灯あるいは消灯することが可能である。また、点灯させるLEDを次々と切り替えることで、図柄の変動表示を行うことも可能である。本実施例の弾球遊技機10では、こうしたスルー用セグメント式表示装置80での図柄の変動表示が、スルー作動口24への入球を契機として行われる。この点についても、後で詳しく説明する。
図2に示されている様に、遊技領域28の中央には、液晶ディスプレイ装置を備えた演出表示装置30が設けられており、遊技の進行に応じて演出表示装置30に各種の演出画像を表示することによって、弾球遊技機10の遊技の興趣をより高めることを可能としている。演出表示装置30は弾球遊技機10の背面側に設けられた表示制御装置300によって制御されており、弾球遊技機10は遊技の進行状況に応じて表示制御装置300へ所定のコマンドを送信することにより、遊技の進行状況に応じた各種の演出画像を表示することが可能である。
演出表示装置30の上方には、演出役物35が備えられている。演出役物35は、内部に光源が設けられて発光することが可能であり、更に、遊技盤20の背面側に設けられた駆動装置によって回転することが可能である。そして、演出表示装置30に表示される演出画像に連動して回転しながら発光したり、あるいは演出画像とは無関係に唐突に発光したり回転したりすることで、遊技の興趣をより高めることを可能としている。また、詳細な図示は省略するが、演出役物35の他にも各種のランプが遊技盤20や正面パネル15に設けられており、遊技の進行に合わせて各ランプが点灯することで遊技を盛り上げることが可能である。こうした演出表示装置30や演出役物35や各種ランプなどについても、弾球遊技機10の背面側に設けられた装置群によって制御される。
A−3.背面側の構成 :
図5は、上述した遊技盤20上で行われる遊技を制御するための装置が備えられた弾球遊技機10の背面側の構成を示した説明図である。図示されている様に、弾球遊技機10の背面側には、遊技を制御するメイン制御装置100や、遊技に伴う各種の演出を制御するサブ制御装置200や、サブ制御装置200からの命令に従って演出表示装置30の液晶ディスプレイ装置に種々の画像を表示する表示制御装置300などが設けられている。メイン制御装置100には、RAM140やROM110などを備えたMPU102が搭載されており、こうしたMPU102やRAM140やROM110などが協働することによって遊技を制御する。サブ制御装置200もメイン制御装置100と同様にMPUを備えており、MPUやMPU内のRAMやROMなどが協働しながら遊技に伴う演出を制御する。なお、メイン制御装置100やサブ制御装置200や表示制御装置300の構成については、後で詳しく説明する。
これらメイン制御装置100やサブ制御装置200は、透明なプラスチック製のケースに収められた状態で弾球遊技機10の背面側に搭載されている。このプラスチック製のケースは、2つのケース部材がメイン制御装置100の電子回路を両側から囲った状態でケース部材同士が互いに結合された構造となっており、プラスチックケースを取り外して電子回路にアクセスするためには、ケース部材の結合部分やケース部材自体を破壊する必要がある。一般に、遊技ホールに設置される遊技機は、遊技機に細工をすることで遊技機を操作して賞球を払い出させたり、あるいは遊技機を誤動作させることで賞球を不正に獲得するなどの不正行為を受ける虞があるが、このようにプラスチックケースでメイン制御装置を覆っておけば、メイン制御装置100に細工をされた場合には、ケース部材の結合部分が破壊されていたり、ケース部材自体が破壊されていることによって細工がされたことを発見できる。これにより、たとえ不正行為を受けたとしても、被害の発生を未然に回避することが可能となる。
弾球遊技機10の背面側には、演出役物35を駆動するための演出役物駆動装置350や、後述する払出制御装置410や、メイン制御装置100やサブ制御装置200などの各装置に電力を供給するための電源装置240なども備えられている。電源装置240には電源スイッチ242が設けられており、電源スイッチ242をONにすることにより、電源装置240から各装置に電力が供給される。
また、背面側の上部には、遊技ホールに備えられた島設備から遊技球の供給を受ける遊技球貯留タンク400が備えられている。この遊技球貯留タンク400には上部遊技球通路402が接続されており、その先には払出賞球の払い出しを行う払出装置420が接続されている。払出装置420にはステッピングモータからなる払出モータ426が内蔵されており、払出モータ426を回転させると払出装置420内のカムが回転することにより、遊技球を一球ずつ下方流路440に向けて流下させることが可能である。下方流路440へ流下した遊技球は、下方流路440を介して上皿13や下皿16に払い出される。このような構成では、払い出される遊技球の数がカムの回転量に応じて定まることから、払出モータ426の回転量を制御することにより、払い出す技球の数を制御することが可能である。また、払出モータ426の回転速度を制御することにより、遊技球の払出速度(単位時間あたりに払い出す遊技球の数)を制御することも可能である。
払出装置420は、CPUやRAMやROMを備えた払出制御装置410に接続されている。払出制御装置410はメイン制御装置100と協働しながら払出装置420を駆動することにより、遊技の進行に応じて遊技球の払い出しを行う。また、払出制御装置410には遊技球貯留タンク400や下方流路440に設けられたセンサが接続されており、センサからの信号に基づいて、球切れや球詰まりなどの異常状態を検出することが可能で
ある。なお、下方流路440及びセンサの構成や、払出制御装置410のCPUで行われる処理の内容については、後で詳しく説明する。
また、本実施例の弾球遊技機10の背面側には、ケーブルを接続可能な外部出力端子910が備えられている。一般に遊技ホールには、ホール内に設置した各遊技機の情報を集めるためのコンピュータ(ホールコンピュータ)が設置されており、本実施例の弾球遊技機10では、こうしたホールコンピュータからのケーブルを外部出力端子910に接続することにより、弾球遊技機10で行われている遊技に関連する各種の情報をホールコンピュータに対して送信することが可能となっている。例えば、発射ユニットから遊技球が発射されたことを示す信号や、アウト口50から遊技球が排出されたことを示す信号や、賞球を払い出したことを示す信号や、あるいは、払い出した賞球の数を示す情報などを送信することが可能である。ホールコンピュータでは、これらの情報を集めることで、遊技者が本実施例の弾球遊技機10に投入した遊技球の数と、遊技者が獲得した遊技球の数とを把握することが可能であり、延いては、本実施例の弾球遊技機10の収益状況を把握することが可能となる。
また、外部出力端子910は、上述したスルー作動口24や作動口25に遊技球が入球したことを示す信号を出力したり、あるいは、上述したセグメント式表示装置70(図4を参照)で図柄の変動表示を開始したことを示す信号や、変動表示を行っている最中であることを示す信号や、変動表示が終了したことを示す信号を出力することも可能である。
なお、弾球遊技機10は、遊技ホールの島に取り付けられた枠板にヒンジを介して取り付けられており、ヒンジを軸にして弾球遊技機10を前面方向に回転させることにより、こうした背面側の各装置にアクセスすることが可能である。
B.遊技の概要 :
本実施例の弾球遊技機10では、上述した各構成を用いて遊技の進行を制御するが、こうした制御の詳細を説明する前に、弾球遊技機10で行われる遊技の概要を説明しておく。
まず、遊技者が上皿13に遊技球を投入して発射ハンドル11を操作すると、上皿13から発射ユニットに供給された遊技球が、遊技盤20の遊技領域28に一球ずつ発射される。発射ユニットは、遊技球を発射する速度が発射ハンドル11の回転角に応じて変化するようになっており、このため、遊技者は発射ハンドル11の回転角を調整することで、遊技球が発射される位置の狙いをつけることが可能である。
遊技領域28に発射された遊技球は、釘22や風車23などによって進行方向を変えられながら、遊技盤20の盤面上を流下していく。このとき、遊技球は釘22や風車23などに阻まれながら時間をかけて流下していくので、遊技者は遊技球の動きを目で追うことにより、遊技球の動きを楽しんだり、あるいは、作動口25や小入賞口26などに遊技球が入球することを期待しながら遊技球を見守るなどして、遊技の興趣を楽しむことが可能である。
遊技盤20の盤面上を流下する遊技球がスルー作動口24に入球すると、前述したスルー用セグメント式表示装置80(図2を参照)において、図柄の変動表示が開始される。こうした図柄の変動表示は、変動表示を開始してから所定の時間(変動表示時間)が経過するまで継続され、変動表示時間が経過すると、今度は図柄が停止した状態で表示される。この図柄の停止表示の際に、予め定められた当たり図柄が表示されると、スルー図柄の当たりとなる。
本実施例の弾球遊技機10では、スルー図柄の当たりが発生すると、前述した作動口ユニット40の電動役物41が所定時間(例えば0.5秒)の間だけ開放状態となる(図3(b)を参照)。前述したように、電動役物41の開放状態では第2作動口25bに遊技球が入球し易いので、この所定時間の間は、遊技者にとっては第2作動口25bに遊技球を入球させ易い有利な状態となる。このようにスルー作動口24への入球に起因して遊技者に有利な状態を付与すれば、遊技者はスルー作動口24に遊技球が入球することを狙って遊技球の発射位置を調整したり、発射した遊技球がスルー作動口24に入球することを期待しながら遊技球の動きを追うことになるので、遊技の興趣を高めることが可能となる。なお、本実施例では、スルー図柄の当たりが発生すると、このように第2作動口25bへの入球が電動役物41によってサポートされることから、スルー図柄の当たりを「サポート当選」と呼ぶものとする。
前述したように、スルー用セグメント式表示装置80では、図柄の変動表示が所定の時間に渡って継続する。このため、図柄の変動表示を行っている間に、別の遊技球がスルー作動口24に入球する場合もある。この場合、本実施例の弾球遊技機10では、遊技球の入球を保留(スルー作動口の保留)として蓄えておき、図柄の変動表示が終了した後に、保留しておいた分の変動表示を行う。また、蓄えることが可能な保留は一つに限らず、複数の保留を蓄えておくことが可能である。なお、本実施例の弾球遊技機10では、最大で4つの保留を蓄えることができるものとして説明する。
本実施例の弾球遊技機10では、スルー作動口の保留の数を、遊技盤20に設けられた表示ランプ82(図2を参照)によって確認することが可能である。図2に示されている様に、表示ランプ82は演出表示装置30の下方に4つ設けられており、4つの表示ランプ82のうちの点灯している表示ランプ82の個数が、スルー作動口の保留数に対応している。例えば、保留が一つも無い場合には、いずれの表示ランプ82も点灯していない状態となる。そして、保留が1つ蓄えられている状態では、表示ランプ82の1つが点灯した状態となり、保留が2つ蓄えられた状態では、2つの表示ランプ82が点灯した状態となる。同様に、保留が3つ蓄えられた状態では3つの表示ランプ82が点灯し、保留が4つ蓄えられた状態では4つの表示ランプ82が点灯する。また、本実施例の弾球遊技機10では、保留数が増加するのにしたがって、表示ランプ82が左端の表示ランプ82から順に点灯していき、保留が消化されるのにしたがって、表示ランプ82が右側から順に消灯していく。これにより、保留が増減する様子を遊技者に直感的に把握させることが可能となり、遊技者が遊技の状況を把握する労力を軽減して遊技をより楽しめるようになっている。
遊技盤20を流下する遊技球が作動口25(第1作動口25aあるいは第2作動口25b)に入球した場合は、セグメント式表示装置70(図4を参照)において、図柄の変動表示が開始される。このセグメント式表示装置70での図柄の変動表示も、上述したスルー用セグメント式表示装置80での図柄の変動表示と同様に、図柄の変動表示が所定の時間だけ継続し、その後、図柄が停止表示される。このとき、図柄が所定の当たり図柄で停止表示されると、「大当たり」となって弾球遊技機10は「大当たり遊技状態」に移行する。「大当たり遊技状態」では、遊技盤20に設けられた大入球口60が開放状態となり、遊技者は発射した遊技球を大入球口60に容易に入球させて多数の賞球を獲得することが可能となる。このように、大当たり遊技状態は遊技者にとって大変に有利な状態なので、遊技者は大当たり遊技状態が発生することを狙って遊技を行うことが通常である。
なお、セグメント式表示装置70の図柄が当たり図柄で停止するか否か(大当たり遊技状態が発生するか否か)は、弾球遊技機10のメイン制御装置100で行われる大当たり抽選によって決定される。こうした大当たり抽選については、後で詳しく説明する。また、作動口25に遊技球が入球すると、図柄の変動表示から停止表示までの一連の遊技が行
われることから、この一連の遊技を、遊技の一単位と捉えることが可能である。このことから、本実施例では、作動口への入球から図柄の停止表示までの一連の遊技を「1遊技回」と呼ぶものとする。
大当たり遊技状態が開始されて大入球口60が開放状態になると、所定の時間が経過するか、あるいは所定の数の遊技球が大入球口60に入球するまで、大入球口60は開放状態を維持する。そして、所定の時間が経過するか、あるいは所定の数の遊技球が大入球口60に入球すると、大入球口60は閉鎖状態に戻る。大入球口60が開いてから閉じるまでの遊技は「ラウンド遊技」あるいは単に「ラウンド」と呼ばれる。大当たり遊技状態では、こうしたラウンドが所定の回数だけ繰り返し行われ、その後、大当たり遊技状態が終了する。
なお、大入球口60にはセンサ60sが設けられており、遊技球の入球を1球ずつ検出することができるので、検出した遊技球の数をカウントすることによって所定の数の遊技球が大入球口60に入球したことを検出可能である。ここで、センサ60sの位置や検出タイミングによっては、所定数の入球を検出したタイミングで大入球口60を閉じても、そのタイミングでは既に所定数よりも多くの遊技球が入球している場合がある。こうした場合には、遊技者は通常よりも多くの賞球を獲得することが可能となる。そこで、このように所定数よりも多くの遊技球が入球する場合が時折生じるように、センサ60sの検出タイミングやセンサ60sの位置を調整しておけば(例えば、センサ60sの位置を遊技盤20の表面よりも遊技球数個分だけ奥側に配置しておく)、遊技者は、できるだけ多くの遊技球が入球することを願いながら、大入球口60が閉まる瞬間まで大入球口60の動向に注目することになる。これにより、遊技者の興味をラウンド遊技により強く引きつけることが可能となる。また、このように所定の個数の遊技球が入球したことをセンサ60sで検出してから大入球口60を閉じる場合、所定数の遊技球が入球する前に大入球口60が閉じてしまうことがないので、遊技球が少ししか入球していないのに大入球口60が閉じたという不満を遊技者が抱く虞がなく、好適である。
一方、所定の時間が経過したら大入球口60を閉じる場合、遊技者は、大入球口60が閉じる前により多くの遊技球を大入球口60に入球させようとすることから、遊技球が大入球口60に向かうように発射ハンドル11を操作して狙いを付けようとする。これにより、遊技球を狙った場所に発射するという遊技の興趣を高めることが可能である。また、本実施例の弾球遊技機10では、大入球口60は風車23よりも遊技盤20の内側に設けられており(図2を参照)、このため、遊技球の進路が風車23によって内側に向けられると、大入球口60に入球しやすくなる。したがって、遊技者は風車23によって遊技球の進路が内側に向けられることを期待しながら遊技を行うことになり、その結果、遊技者の注意を風車23に引きつけて風車23の興趣を向上させることができる。
また、本実施例の弾球遊技機10では、ラウンド数などが異なる複数の種別の「大当たり遊技状態」が発生可能であり、大当たりが発生した場合には、これら複数の種別のいずれかの大当たり遊技状態に移行する。ここで、以降の説明の理解を容易にするために、こうした各種別の大当たり遊技状態について説明しておく。
「2R大当たり遊技状態(あるいは単に2R大当たり)」は、上述したラウンドが2回繰り返し行われる大当たり遊技状態である。この大当たり遊技状態では、ラウンドが2回繰り返されると大当たり遊技状態が終了するので、大当たり遊技状態を迅速に終了することができる。弾球遊技機10では、遊技状態を次々と変化させることで遊技の興趣を向上させることが可能であるが、こうすると、遊技状態が迅速に変化することから、遊技の興趣を効果的に高めることが可能である。加えて、遊技がテンポ良く進む印象を遊技者に与えて、遊技の爽快感を向上させることが可能となる。
なお、本実施例の弾球遊技機10では、後述するように、大当たり遊技状態が発生した後に、大当たりの発生確率を変更することが可能である。本実施例では、大当たりの発生確率が高確率に変更された状態(大当たりに当選しやすい状態)を「確率変動状態」あるいは「確変状態」と呼び、高確率に変更されていない状態を「非確率変動状態」あるいは「非確変状態」と呼ぶものとする。また、確変状態への移行を伴う大当たりを「確変大当たり」と呼び、それ以外の大当たりを「通常大当たり」と呼ぶものとする。
ここで、本実施例の弾球遊技機10では、「明示確変2R大当たり遊技状態(あるいは単に明示確変2R大当たり)」と「非明示確変2R大当たり遊技状態(あるいは単に非明示確変2R大当たり)」の2種類の2R大当たり遊技状態が実行可能である。これらの大当たり遊技状態は、いずれもラウンドが2回繰り返されるとともに、確変状態への移行を伴う大当たりであるが、確変状態に移行したことを遊技者が容易に認識できるか否かが異なる。詳しくは後述するが、例えば、「明示確変2R大当たり遊技状態」が発生した場合には、電動役物41(図3を参照)が、それまでは低頻度で開閉していたのに途端に頻繁に開閉し始めることによって、遊技者は確変状態が発生したことを認識できる。これに対して「非明示確変2R大当たり遊技状態」では、電動役物41の動作にそのような変化が起こらず、したがって、遊技者は確変状態が発生したことを容易に認識することは困難となっている。このため、「非明示確変2R大当たり遊技状態」では、遊技者に気付かせずに確変状態を発生させることが可能であり、延いては、いつのまにか確変状態が発生していたという驚きを遊技者に与えたり、あるいは、もしかしたら確変状態が発生しているかもしれないという期待感を遊技者に与えて、遊技の興趣を高めることが可能である。
「15R大当たり遊技状態(あるいは単に15R大当たり)」は、上述したラウンドが15回繰り返し行われる大当たり遊技状態である。この状態では、遊技者は多くのラウンド遊技を行うことができるので、多数の賞球を得ることができる。このため、遊技者は15R大当たり遊技状態が発生することを望む傾向があり、したがって、弾球遊技機10において15R大当たり遊技状態を発生可能としておくことにより、15R大当たりへの期待を遊技者に抱かせて遊技者の興味を弾球遊技機10に引きつけることが可能となる。
また、15R大当たり遊技状態についても、2R大当たり遊技状態と同様に、複数の態様の15R大当たり遊技状態があるものとしてもよい。本実施例の弾球遊技機10では、こうした15R大当たりとして、「通常15R大当たり遊技状態(あるいは単に通常15R大当たり)」と「確変15R大当たり遊技状態(あるいは単に確変15R大当たり)」の2種類の大当たり遊技状態が実行可能となっている。このうち、「確変15R大当たり」では、大当たり遊技状態が発生した後の所定のタイミングに(例えば、大当たり遊技状態が終了した際に)、大当たりの発生確率を高確率に変更する。こうすると、「確変15R大当たり」が発生した場合、大当たり遊技の後は大当たりに当選し易い状態となるため、遊技者にとってたいへんに有利な状態となる。また、大当たりの発生確率が高いことから、通常よりも少ない回数の大当たり抽選によって大当たりに当選することが可能となる。したがって、確変15R大当たりを発生可能としておくことにより、遊技者に、複数の大当たり遊技状態が短期間に発生して多数の遊技球を短時間で獲得できるのではとの期待感を抱かせて、遊技者を遊技に強く引きつけることが可能である。加えて、確変15R大当たりが実際に発生した際には、遊技者の達成感が大きく高揚されるので、遊技の興趣をいっそう高めることが可能となる。
一方、「通常15R大当たり遊技状態」では、大当たり遊技状態の終了後に確変状態への移行は行わない。また、通常15R大当たり遊技状態が発生した際に確変状態であった場合には、確変状態から非確変状態に移行する。こうすれば、確変状態から非確変状態に変更することによって遊技者に有利な確変状態が終了したとしても、大当たり遊技状態が
発生したことにより、遊技者が大きく失望してしまうのを防ぐことができる。これにより、遊技者の興味を大きく損なうことなく、確変状態から非確変状態に移行することが可能となる。確変状態と非確変状態とを切り替える処理の詳細や、上述した各種の大当たり遊技状態を実行する処理の詳細については、後で詳しく説明する。
なお、前述したように、これらの大当たり遊技状態が発生すると大入球口60が開いて遊技球が入球可能となるが、このときの大入球口60の開閉の態様を、上述した各大当たりの種別に応じて異ならせてもよい。例えば、非明示確変2R大当たりの場合には、大入球口60を短時間(例えば0.2秒)だけ開けるものとしてもよい。こうすれば、大入球口60を開閉させても、遊技者は大入球口60が開閉したことに気付き難いので、大入球口60の開閉に起因して遊技者が大当たりの発生を認識してしまう虞を低減することができる。したがって、前述したように非明示確変2R大当たりの発生後に確変状態に変更してやれば、いつのまにか確変状態になっていたという驚きを遊技者により確実に与えることが可能となる。あるいは、1つの大当たり種別に対して複数の開閉態様を実行可能とすることも可能である。例えば、通常15R大当たりの場合に、開放時間が短いラウンドを15回繰り返す態様と、それよりも開放時間が長いラウンドを15回繰り返す態様とのいずれの態様で実行するかを抽選により決定するものとしてもよい。こうした場合、遊技者は大入球口60がいずれの態様で開閉を開始するか注目しながら大当たり遊技状態の開始を待つことになるので、大当たりに当選したことで遊技者が安心して遊技に対する興味が低下してしまう虞を回避することが可能である。
また、明示確変2R大当たりの場合も非明示確変2R大当たりと同様に、大入球口60を短時間だけ開くものとしてもよい。そして、明示確変2R大当たりの場合には、大入球口60が開閉動作を行った後に、電動役物41が開閉動作を頻繁に行う遊技状態に移行するものとしてもよい。こうすると、確変状態の発生を、大入球口60の開閉によって気付かせるのではなく、電動役物41の動作によって遊技者に気付かせることができる。前述したように、電動役物41はスルー作動口24への入球に起因して開閉することがあるので、遊技者は、スルー作動口24への入球に起因して電動役物41が開閉したのか、それとも大当たりの発生に起因して電動役物41が開閉したのかを、即座に識別することは困難である。したがって、明示確変2R大当たりが発生したのではとの期待を遊技者に抱かせるとともに、遊技者の興味を電動役物41に引きつけることが可能となり、その結果、遊技の興趣を高めることが可能となる。
一方、通常15R大当たりや、確変15R大当たりの場合には、2R大当たりの場合よりも長い時間に渡って(例えば、数秒間〜30秒間程度)、大入球口60を開けるものとしてもよい。こうすれば、遊技者は大入球口60が開いたことを十分に認識できるとともに、大入球口60に遊技球が入球する様子を視認することで、大当たりが発生したことによる高揚感をいっそう楽しむことが可能となる。また、遊技球が大入球口60に入球する様子を視認できることから、遊技球が大入球口60に入球するように発射ハンドル11を操作して狙いを付ける遊技をいっそう楽しむことが可能となる。
なお、本実施例では、大入球口60が開閉を繰り返し行う動作状態(遊技状態)を「開閉モード」と呼ぶ。また、大入球口60が短時間だけ開く上述した態様は、遊技球が入球し難いことから「低頻度入球モード」と呼び、大入球口60が低頻度入球モードよりも長い時間に渡って開く上述した態様は、低頻度入球モードよりも遊技球が入球し易いことから「高頻度入球モード」と呼ぶものとする。
また、電動役物41が開閉を繰り返し行う動作状態(遊技状態)は、第2作動口25bへの入球を促している状態であることから、「サポートモード」と呼ぶものとする。更に、電動役物41についても大入球口60と同様に、電動役物41が開いている時間を短く
すれば遊技球が入球し難くなり、逆に電動役物41が開いている時間を長くすれば遊技球が入球し易くなる。したがって、電動役物41が開く時間を変化させることで、第2作動口25bへの入球のし易さを変化させることが可能である。本実施例の弾球遊技機10では、電動役物41が開く時間が異なる2つの種別のサポートモードが実行可能となっており、2つの種別のサポートモードのうち、電動役物41が開放状態を維持する時間(開放時間)が他方のサポートモードよりも短いサポートモードを「低サポートモード」と呼び、電動役物41の開放時間が他方のサポートモードよりも長いサポートモードを「高サポートモード」と呼ぶものとする。こうしたサポートモードを実現する処理の詳細については、後で詳しく説明する。
なお、こうしたサポートモードでは、電動役物41の単位時間あたりの開放回数を変化させれば、第2作動口25bへの入球のし易さを変えることが可能である。このことから、複数の種別のサポートモードを備えた場合には、単位時間あたりの電動役物41の開閉回数を各サポートモードの間で異ならせてもよい。本実施例の弾球遊技機10では、高サポートモードの方が低サポートモードよりも電動役物41の単位時間あたりの開閉回数が多くなっており、こうすることで、高サポートモードでは第2作動口25bへの入球を低サポートモードよりも容易としている。この点についても後で詳しく説明する。
また、大当たり遊技状態の終了後にサポートモードを開始する場合、開始するサポートモードの種別を大当たりの種別に応じて異ならせてもよい。あるいは、大当たりの種別によっては、サポートモードを開始しないものとしてもよい。また、サポートモードの実行中に大当たりに当選する場合もあるが、こうした場合には、大当たり遊技状態の終了後に、サポートモードの種別を変更するものとしてもよい。こうすれば、大当たり遊技状態の発生に起因して電動役物41の動作態様に変化を生じさせることができる。本実施例の弾球遊技機10では、「通常15R大当たり」の場合や「確変15R大当たり」の場合や「明示確変2R大当たり」の場合には、高サポートモードを開始する(低サポートモード中にこれらの大当たりに当選した場合には、サポートモードを高サポートモードに切り替える)ものとし、「非明示確変2R大当たり」の場合には、高サポートモードを開始しない(低サポートモード中に非明示確変2R大当たりに当選した場合には、サポートモードを高サポートモードに切り替えずに低サポートモードを継続する)ものとしている。こうしたサポートモードを制御する処理の詳細についても、後で詳しく説明する。
上述したように、本実施例の弾球遊技機10では、作動口25に遊技球が入球するとセグメント式表示装置70で図柄の変動表示と停止表示とが行われ、図柄が所定の当たり図柄で停止表示されると、大当たり遊技状態へと移行する。この図柄の変動表示および停止表示の際には、セグメント式表示装置70だけでなく、演出表示装置30の液晶ディスプレイ装置においても種々の画像や図柄が表示されて演出が行われる。
図6は、演出表示装置30において演出画像が表示されている様子を例示した説明図である。図6(a)に示されている様に、本実施例の弾球遊技機10では、数字が付されたキャラクタ図柄32が演出表示装置30に表示される。キャラクタ図柄32は、演出表示装置30の縦方向に3つの段(図中に「上段」「中段」「下段」と示した各段を参照)に分かれて各段で横一列に並んでいる。また、各段のキャラクタ図柄32とキャラクタ図柄32との間には、副図柄34が描かれている。そして、セグメント式表示装置70で図柄の変動表示が行われる際には、各段のキャラクタ図柄32および副図柄34が、横一列に並んだ状態を保ちながら演出表示装置30の横方向に移動する様子が表示される。
前述したように、セグメント式表示装置70では、図柄の変動表示が開始されてから所定の変動時間が経過すると、図柄が停止表示される。このとき、演出表示装置30においても、横方向に移動していたキャラクタ図柄32および副図柄34が停止して、キャラク
タ図柄32および副図柄34が停止表示される。ここで、本実施例の弾球遊技機10では、キャラクタ図柄32および副図柄34の停止表示の態様を、セグメント式表示装置70での図柄の停止表示の態様に対応させることが可能となっている。例えば、セグメント式表示装置70において大当たりに対応する図柄が停止表示された場合には、これに対応させて、演出表示装置30では、同一の数字が付されたキャラクタ図柄32が一列に並んだ状態で停止表示される。
図6(b)には、同一の数字が付されたキャラクタ図柄32が縦方向に一列に並んだ状態で停止表示されている様子が例示されている。図示されている様に、図中に「L1」と示されたライン上に、数字の「3」が付されたキャラクタ図柄32が並んで表示されている。このように同じ数字が付されたキャラクタ図柄32を並べて表示すれば、大当たりが発生したことを遊技者に容易に認識させることが可能である。
また、キャラクタ図柄32を停止表示させる際には、上段、中段、下段の各段を同時に停止させてもよいが、それぞれの段を異なるタイミングで停止させてもよい。例えば、まず上段および下段を停止表示し、最後に中段を停止表示する。このとき、上段と下段とで同じキャラクタ図柄32を一列に並べた状態で停止させれば、中段でも同じキャラクタ図柄32が停止して大当たり状態が発生するのではとの期待を遊技者に抱かせることができるので、遊技の興趣を高めることが可能となる。なお、本実施例では、このように2つの段の図柄を揃えて停止表示させる表示態様をリーチ表示とよび、リーチ表示を用いた演出をリーチ演出と呼ぶものとする。
また、図6(b)では、「L1」と示したライン上に同じキャラクタ図柄32が並んだ態様を例示したが、キャラクタ図柄32が一列に並ぶ態様はこの態様に限らず、種々の態様が可能である。すなわち、本実施例の弾球遊技機10の演出表示装置30では、図6(b)に示されている「L1」から「L5」までの5つのラインのいずれかのライン上に同じキャラクタ図柄32を並べて停止表示することが可能となっている。このように複数のラインのいずれに並んだ場合も、大当たり遊技状態の発生に対応するものとしておけば、多数のラインのいずれかのライン上には同じ図柄が並ぶのではとの期待を遊技者に抱せることができるので、遊技者の期待感をいっそう向上させて遊技の興趣を高めることが可能である。
また、キャラクタ図柄32を停止表示させる際には、大当たりの種別に応じて、異なる態様で停止表示させるものとしてもよい。例えば、確変15R大当たりなどの確変状態に移行する大当たり(確変大当たり)では、「1」や「3」などの奇数が付されたキャラクタ図柄32を一列に揃えて停止表示させ、通常15R大当たりなどの非確変状態に移行する大当たりでは、「2」や「4」などの偶数が付されたキャラクタ図柄32を一列に揃えて停止表示するものとしてもよい。こうすれば、確変状態へ移行する大当たりであることや、非確変状態へ以降する大当たりであることを、演出表示装置30によって遊技者に認識させることも可能となる。
これとは逆に、非明示確変2R大当たりの場合には、キャラクタ図柄32を一列に揃えないものとしてもよい。こうすれば、大当たりが発生したことを遊技者が演出表示装置30によって知ってしまう虞を回避して、いつのまにか大当たり遊技状態が発生していたという驚きや、いつのまにか確変状態に移行していたという驚きをより確実に与えることが可能となる。
演出表示装置30は、遊技盤20の中央付近に設けられ、サイズも大きいので、遊技者の目にとまりやすい。このため、遊技者は演出表示装置30を見ながら遊技を行うことが通常である。したがって、演出表示装置30を用いることで演出を効果的に行うことが可
能である。また、演出表示装置30は面積が大きい上に液晶ディスプレイ装置の画素数を多くするなどして精細な画像を表示することが可能なので、高品質な映像を表示することができる。こうした高品質な画像を表示すれば、演出の効果をいっそう高めることが可能である。
また、作動口25に遊技球が入球した場合、演出表示装置30での演出や、セグメント式表示装置70での図柄の変動表示を行うだけでなく、賞球を払い出すものとしてもよい。こうすると、作動口25に遊技球が入球すると図柄の変動表示が始まって大当たり状態に移行する可能性が生じるだけでなく、賞球を得ることもできるので、遊技者は作動口25に入球することをより強く望みながら遊技を行うことになる。このため、作動口25に遊技球が入球するか否かに遊技者をいっそう注目させることができ、遊技の興趣をいっそう高めることが可能となる。更には、払い出した賞球の分だけ遊技者は遊技を長く行うことができるので、遊技者を遊技により長く引きつけておくことが可能となる。本実施例の弾球遊技機10では、第1作動口25aへの入球に対しては「3個」の賞球を払い出し、第2作動口25bへの入球に対しては「4個」の賞球を払い出すものとしている。こうした賞球を払い出す処理の詳細についても、後で詳しく説明する。
演出表示装置30やセグメント式表示装置70で図柄の変動表示を行っている間に遊技球が作動口25に入球した場合には、スルー作動口24の場合と同様に、遊技球の入球を保留(作動口の保留)として蓄えておき、図柄の変動表示が終了した後に、保留していた分の変動表示を行う。本実施例の弾球遊技機10では、遊技盤20に設けられた表示ランプ83a(図2を参照)によって第1作動口25aの保留数を確認可能であり、同様に、表示ランプ83bによって第2作動口25bの保留数を確認可能である。図2に示されている様に、表示ランプ83aおよび表示ランプ83bはそれぞれ4つずつ設けられており、これらのうちの点灯している表示ランプの個数が、それぞれの作動口の保留数に対応している。すなわち、保留が1つも無い場合には、いずれの表示ランプも消灯した状態となり、保留が1つ存在する状態では、表示ランプの1つが点灯した状態となる。同様に、保留が2つ存在する状態では、2つの表示ランプが点灯した状態となり、保留が3つ存在する状態では3つの表示ランプが、保留が4つ存在する状態では4つの表示ランプが、それぞれ点灯状態となる。
また、本実施例の弾球遊技機10では、保留数が増加するのにしたがって、左端の表示ランプから順に表示ランプが点灯していき、保留が消化されるのにしたがって、右側から順に表示ランプが消灯していく。これにより、保留が増減する様子を遊技者に容易に把握させることが可能である。保留数が多いほど大当たり抽選を行う回数が多いことから、遊技者は保留数が多い状態を望む傾向があるので、このように保留数が増減する様子をわかりやすく表示することで、保留数の増減に伴う遊技の興趣を遊技者にいっそう楽しませることが可能となる。
なお、本実施例の弾球遊技機10では、こうした保留数の表示を演出表示装置30で行うことも可能である。すなわち、図6(a)に示されているように、演出表示装置30の一部の領域(第1作動口保留表示エリアおよび第2作動口保留表示エリア)に意匠図柄を表示することにより、演出表示装置30を用いて保留数を表示することが可能である。ここで、図中の「第1作動口保留表示エリア」は、第1作動口25aの保留数を表示するための領域であり、図示されているように、第1エリアa1、第2エリアa2、第3エリアa3、第4エリアa4の4つの表示エリアから構成されている。そして、第1作動口25aの保留数と同数の意匠図柄を表示エリアの左から順に表示することにより、第1作動口25aの保留数を表示することが可能である。
例えば第1作動口25aの保留数が「2」であれば、これに対応して、第1作動口保留
表示エリアの左から2つのエリア(第1エリアa1及び第2エリアa2)に意匠図柄を表示することで、第1作動口25aの保留数が「2」であることを表示可能である。第2作動口保留表示エリアについても同様に、第1エリアb1、第2エリアb2、第3エリアb3、第4エリアb4の4つの表示エリアから構成されており、第2作動口の保留数に対応する数の意匠図柄を表示エリアに表示することにより、第2作動口25bの保留数を表示することが可能である。なお、演出表示装置30に保留数を表示するこうした処理については、後で詳しく説明する。
図2に示されているように、遊技盤20には、小入賞口26も設けられている。遊技球が小入賞口26に入球した場合、本実施例の弾球遊技機10では、所定の数の遊技球を賞球として上皿13に払い出す。このように小入賞口26への入球に伴って賞球を払いだせば、たとえ小入賞口26への入球時に大当たり抽選が行われなくても、遊技者は小入賞口26へ遊技球が入球することを期待しながら遊技を行う傾向がある。したがって、小入賞口26を設けることにより、大当たり抽選の回数を増やすことなく、遊技者の興味を遊技に引きつけて遊技の興趣を高めることが可能である。
また、小入賞口26を、作動口25よりも遊技盤20の下方に設けておけば、作動口25に遊技球が入球しなくても、小入賞口26に入球する可能性があるので、遊技球が作動口25に入球しなかったことにより遊技者の興味がそがれてしまうのを回避することができる。これにより、遊技者を遊技により強く引きつけておくことが可能となる。
一方、スルー作動口24や作動口25などの入球口のいずれにも遊技球が入球しなかった場合には、遊技球は遊技盤20の下部に設けられたアウト口50に回収されて遊技盤20の外に排出される。この場合、遊技者は賞球を獲得することができない。このように弾球遊技機10では、遊技者が遊技球を発射して遊技盤20上の作動口25や小入賞口26に入球させる遊技が行われ、こうした遊技の進行に伴って賞球が払い出されたり、各種の演出が行われながら遊技が進行する。以下では、かかる遊技を制御する制御装置の詳細な構成について説明する。
C.制御装置の構成 :
図7は、弾球遊技機10の制御装置の構成を示したブロック図である。図示されているように、遊技機の制御装置は、メイン制御装置100や、サブ制御装置200や、表示制御装置300などから構成されている。メイン制御装置100は、上述した大当たり抽選を行ったり、大当たり抽選の結果に応じて大当たり遊技状態への移行を行うなど、主として遊技の進行を制御する役割を果たす。また、サブ制御装置200や払出制御装置410に各種の動作を指令するコマンドを送信することにより、これらの装置に各種の動作を実行させる。なお、図7では、データや信号を入出力する方向を黒色の矢印で示している。
C−1.メイン制御装置の構成 :
メイン制御装置100には、演算装置104やROM110やRAM140などが搭載されたワンチップタイプのMPU102が備えられている。MPU102のチップの内部では演算装置104やROM110やRAM140が互いにバス接続されており、これらの間でデータを相互に送受信可能である。MPU102は、こうしたバス接続を用いてROM110からプログラムを読み出すとともに、読み出したプログラムに記述された各種の命令を演算装置104において実行することが可能である。加えて、加算や減算などの算術計算を演算装置104を用いて実行することも可能である。また、MPU102には、読み込んだプログラムを一時的に格納するプログラムレジスタや、演算装置104において実行中の命令のアドレス(プログラム内でのアドレス)を記憶するプログラムカウンタや、演算装置104での演算に用いる各種のデータを格納するワーキングレジスタなども備えられており、これらの構成を用いてプログラムを適切に実行することが可能となっ
ている。
また、MPU102は、実行中のプログラムに対して一定の時間間隔で割り込みを発生させるタイマ割り込み機能を有している。MPU102は、タイマ割り込み機能による割り込みが発生すると、プログラムの実行を中断するとともに、プログラムカウンタの値をMPU102内のスタックメモリに格納する。また、ワーキングレジスタ等の各レジスタの値についても、MPU102内のメモリに格納する。そして、割り込んで実行するプログラムの先頭アドレスをMPU102のプログラムレジスタから取得してそのプログラムを実行する。また、割り込んで実行したプログラムが終了すると、MPU102内のスタックメモリに格納しておいたプログラムレジスタの値を読み出すとともに、MPU102内のメモリに格納しておいた各レジスタの値をそれぞれのレジスタに戻す。そして、元のプログラムを、プログラムレジスタに格納されたアドレスから実行開始することにより、元のプログラムを続きから再開することが可能である。本実施例の弾球遊技機10では、かかるタイマ割り込み機能を用いて、スルー作動口24への入球を検出する処理や作動口25への入球を検出する処理などを実行する。この点については、後で詳しく説明する。
ROM110には、各種のデータを記憶可能な記憶エリアが複数備えられており、このうち、プログラムエリア111には、MPU102が実行するプログラムが記憶されている。また、プログラムの先頭アドレスなどのプログラム実行時に必要な種々のデータもプログラムエリア111に記憶されている。MPU102は、ROM110のプログラムエリア111からこれらのプログラムやデータを読み出してプログラムを実行することにより、弾球遊技機10の制御を行う。
ROM110の抽選テーブルエリア112には、メイン制御装置100によって大当たり抽選が行われる際に参照される「大当たり抽選テーブル」が記憶されている。本実施例の弾球遊技機10の大当たり抽選テーブルには、「0」から「599」までの各数値と、各数値に対する大当たり抽選の当否結果が対応付けられており、「0」から「599」までのいずれかの数値を取得して大当たり抽選テーブルを参照することにより、取得した数値に対する大当たり抽選の当否を判定することが可能である。こうした大当たり抽選テーブルの詳細な構成や、抽選に用いる数値を取得する方法については、後で詳しく説明する。
振り分けテーブルエリア113には、大当たりが発生した際に参照される「振り分けテーブル」が記憶されている。前述したように、本実施例の弾球遊技機10では、非明示確変2R大当たりや通常15R大当たりなどの複数の種別の大当たり遊技状態を発生可能である。このため、大当たりが発生した際には、振り分けテーブルを参照することにより、これらの大当たり遊技状態のうちのいずれの大当たり遊技状態を実行するかを決定する。振り分けテーブルの詳細や、振り分けテーブルを参照して実行する大当たり遊技状態を決定する処理についても、後で詳しく説明する。
停止態様テーブルエリア114には、セグメント式表示装置70において図柄を停止表示させる際に参照する「停止態様テーブル」が記憶されている。停止態様テーブルには、セグメント式表示装置70の各LEDを点灯させるか否かがLEDごとに定められており、停止態様テーブルにしたがって各LEDを点灯あるいは消灯させることで、セグメント式表示装置70に所定の停止図柄を表示することが可能である。停止態様テーブルの詳細な構成や、停止態様テーブルを参照して停止図柄を表示する処理の詳細については、後で説明する。
変動表示時間テーブルエリア115には、セグメント式表示装置70において図柄の変動表示を行う時間(変動表示時間)が設定された「変動表示時間テーブル」が記憶されて
いる。この変動表示時間テーブルには、長さが異なる複数の変動表示時間が、それぞれの変動時間を識別する番号が付された状態で設定されている。図柄の変動表示を行う際には、変動表示時間の番号を決定した後に、変動表示時間テーブルを参照してその番号に対応する変動表示時間を読み出すことにより、図柄の変動表示時間が決定される。図柄の変動表示を行う処理の詳細については後述する。
コマンド情報記憶エリア116には、メイン制御装置100がサブ制御装置200や払出制御装置410などに送信する各種のコマンドが記憶されている。本実施例の弾球遊技機10では、これらのコマンドは所定のデータ長(バイト数)からなるバイナリデータであり、このため、ROM110上に記憶しておくことが可能である。このようにROM110上にコマンドを記憶しておけば、メイン制御装置100がサブ制御装置200や払出制御装置410などにコマンドを送信する際には、記憶しておいたコマンドを読み出してサブ制御装置200や払出制御装置410に送信すればよい。こうすれば、コマンドを送信する度にコマンドを新たに生成する必要がないので、コマンドを迅速に送信することが可能である。各種コマンドの詳細や、メイン制御装置100がコマンドを送信する処理の詳細については、後で詳しく説明する。
なお、上述したROM110の各記憶エリアの分類は、記憶する内容に着目して分類したものであり、これらの記憶エリアがROM110上で実際に分けられて構成されている必要は必ずしもない。もちろん、ROM110上で実際に分けて構成することも可能である。例えば、ROM110のアドレス空間において、各記憶エリアごとにアドレスを分けて構成してもよいし、あるいは、いわゆるバンク構造を用いて、各記憶エリアをそれぞれ異なるバンクに割り当てるものとしてもよい。このように各記憶エリアをROM110上で実際に分けて構成すれば、各々の記憶エリアのデータがまとめられた状態でROM110に記憶されるので、各記憶エリアからデータをより迅速に読み出すことが可能となる。
メイン制御装置100のRAM140は、遊技の進行に用いられる各種のデータを一時的に記憶しておくことが可能なランダムアクセスメモリーである。RAM140もROM110と同様に、演算装置104とバス接続されており、MPU102は演算装置104のデータをRAM140に格納したり、RAM140のデータを読み出して演算装置104に転送することが可能である。また、ROM110からデータを読み出してRAM140にデータを書き込むことにより、ROM110のデータをRAM140に格納することも可能である。更に、RAM140とROM110とがバス接続されていることから、ROM110のデータをRAM140に格納する際には、ROM110のデータを演算装置104を介さずにRAM140に直接書き込むことも可能である。こうすれば、ROM110のデータをより迅速にRAM140に書き込むことが可能であり、また、ROM110のデータをRAM140に書き込む際の演算装置104の処理負担を軽減することが可能である。
なお、図7では図示を省略しているが、メイン制御装置100には、バックアップ装置も備えられている。このバックアップ装置は、電源装置240からメイン制御装置100に供給される電圧を監視するとともに、電圧が所定の電圧を下回ると、停電が発生したものと判断してメイン制御装置100に停電通知信号を送信する。メイン制御装置100は停電通知信号を受信すると、大入球口60を閉じる等の停電時処理を行うとともに、MPU102の動作を停止する。このとき、RAM140にはバックアップ用のコンデンサからバックアップ電圧が供給されるようになっており、こうすることで、RAM140に記憶されたデータを停電中もそのまま保持することが可能となっている。バックアップ用のコンデンサは静電容量が大きく、また、RAM140は記憶状態を維持するだけであればそれほど大きな電力を必要としないので、このようにバックアップ用のコンデンサから電圧を供給することにより、RAM140の記憶状態を長い時間に渡って保つことが可能で
ある。その結果、停電から回復した際には、RAM140の記憶状態が元の状態に復元された状態で動作を再開することが可能となる。
RAM140は、記憶するデータの内容や、記憶したデータにより実現される機能に着目すると、図7に示されているように、複数の記憶エリア(カウンタエリア141、保留記憶エリア142、フラグエリア143、電動役物保留エリア144、コマンドバッファ145、汎用エリア146)を備えていると捉えることが可能である。これらの記憶領域を使用する処理の詳細については後述するが、理解を容易にするために、各記憶エリアについて簡単に説明しておく。
図8は、カウンタエリア141の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように、カウンタエリア141には、「大当たり乱数カウンタ141a」「乱数初期値カウンタ141b」「大当たり種別カウンタ141c」「変動種別カウンタ141d」「リーチ乱数カウンタ141e」「電動役物開放カウンタ141f」「ラウンド残数カウンタ141g」の各カウンタが設けられている。各カウンタはそれぞれ独立しており、それぞれのカウンタの数値を個別に変更することが可能である。また、図示されているように、カウンタエリア141には、各々のカウンタごとにバッファが設けられており、図中に黒色の矢印で示されている様に、各カウンタの数値をそれぞれバッファに格納することが可能である。こうすると、各カウンタの数値を参照する際にカウンタからデータを読み出すのではなく、バッファからデータを読み出すことが可能となり、こうすることで、カウンタの数値を更新している最中などのカウンタのデータを読み出せないタイミングであっても、カウンタの数値を取得することが可能となる。なお、本実施例では、各カウンタをまとめて「カウンタ群」とよび、各カウンタに対応する各バッファをまとめて「バッファ群」と呼ぶものとする。
「大当たり乱数カウンタ141a」は、大当たり抽選に用いられる数値を保持するカウンタである。大当たり抽選の詳細については後で説明するが、この大当たり乱数カウンタ141aの数値と大当たり抽選テーブルとを対比することにより、大当たり抽選の当否判定が行われる。また、大当たり乱数カウンタ141aの数値は、メイン制御装置100により実行される制御処理によって、数値が「1」ずつ、所定の時間間隔で繰り返し加算(カウントアップ)されるようになっている。メイン制御装置100により行われるこうした処理についても、後で詳しく説明する。
大当たり乱数カウンタ141aは、カウンタの数値が最大値に達すると、数値が「0」に戻るように構成されている。このため、カウンタの数値が「0」から最大値(本実施例の弾球遊技機10では「599」)までの間の値をくりかえし指し示すいわゆるループカウンタを構成している。このようなループカウンタを用いた場合、カウンタの最小値(本実施例の大当たり乱数カウンタ141aでは「0」)から最大値(本実施例の大当たり乱数カウンタ141aでは「599」)までの数値のいずれかの数値を取得でき、また、カウンタの数値を読み出すタイミングによって異なる数値を取得することができるので、ランダムなタイミング(例えば、遊技球が作動口25に入球したタイミング)でカウンタから数値を取得すれば、ランダムな数値(いわゆる乱数)を取得することが可能である。
更に、カウンタの値に「1」を加算する時間間隔を等しくすれば(例えば4msecごとに加算すれば)、カウンタの値の最小値(本実施例の大当たり乱数カウンタ141aでは「0」)から最大値(本実施例の大当たり乱数カウンタ141aでは「599」)までのいずれの数値についても、カウンタがその数値を示している確率が等しくなるので、最小値から最大値までのいずれの数値についても、その数値が取得される確率が等しくなる(全ての数値の間で等しくなる)。こうすることにより、カウンタから一様な乱数を取得することが可能となる。本実施例の弾球遊技機10の大当たり乱数カウンタ141aは、
こうした一様な乱数を取得可能なカウンタを構成している。
また、こうしたループカウンタを用いて乱数を取得する場合、カウンタの数値を単純にループさせるのでは、カウンタの数値が周期的に繰り返されることになる。そこで、本実施例の弾球遊技機10では、大当たり乱数カウンタ141aと、「乱数初期値カウンタ141b」とを組み合わせて使用することにより、大当たり乱数カウンタ141aの周期性を低減させてより一様な乱数を取得可能としている。
「乱数初期値カウンタ141b」は、大当たり乱数カウンタ141aの数値範囲と等しい数値範囲(本実施例では、最小値「0」から最大値「599」まで)をとるループカウンタである。乱数初期値カウンタ141bも大当たり乱数カウンタ141aと同様に、メイン制御装置100が行う制御処理によって数値が更新されるようになっている。ここで、大当たり乱数カウンタ141aでは、カウンタの数値が一定の時間周期ごと(たとえば毎4msecごと)に「1」ずつ加算されるが、乱数初期値カウンタ141bでは、後述する理由から、数値が更新される時間周期が完全に一様ではない。このため、乱数初期値カウンタ141bでは、大当たり乱数カウンタ141aよりも数値の周期性が低くなっている。本実施例の弾球遊技機10では、こうした乱数初期値カウンタ141bを用いて、大当たり乱数カウンタ141aの数値を次のように更新する。
図9は、乱数初期値カウンタ141bの数値を参照しながら大当たり乱数カウンタ141aの数値を更新する様子を概念的に示した説明図である。図中には、乱数初期値カウンタ141bおよび大当たり乱数カウンタ141aの数値が示されており、これら乱数初期値カウンタ141bおよび大当たり乱数カウンタ141aの数値は、図示されているように、それぞれ「0」から「599」までの数値をとることができる。
大当たり乱数カウンタ141aを更新する際には、まず、乱数初期値カウンタ141bを参照して、カウントアップを開始する最初の数値(乱数初期値)を決定する。例えば、乱数初期値カウンタ141bの数値が「0」の場合(図中の「乱数初期値カウンタ」の数値のうちの破線で囲まれた数値を参照)、大当たり乱数カウンタ141aのカウントアップを「0」から開始するものと決定する(図中の「大当たり乱数カウンタ」の数値のうちの破線で囲まれた数値を参照)。そして、決定した乱数初期値から、数値を周期的に「1」ずつカウントアップしていく(図中の黒色の矢印を参照)。また、大当たり乱数カウンタ141aの数値が最大値に達したら、前述したように、大当たり乱数カウンタ141aの数値を最小値(図9の例では「0」)に戻す。
ここで、こうして大当たり乱数カウンタ141aをカウントアップしていく間には、乱数初期値カウンタ141bの数値も更新していく。こうして大当たり乱数カウンタおよび乱数初期値カウンタを更新していき、大当たり乱数カウンタ141aが、カウントアップを開始した乱数初期値(図9の例では「0」)に戻ったら、再び乱数初期値カウンタを参照して乱数初期値を決定する。例えば、図9に鎖線で示されている様に、乱数初期値カウンタの数値が「597」であれば、乱数初期値を「597」とする。そして、今度はこの新しい乱数初期値から、数値が乱数初期値の「597」に戻るまでカウントアップを行い、カウンタの数値が一巡したら(カウンタの数値が「597」から「596」までの全ての数値をとったら)、再び乱数初期値カウンタ141bを参照して乱数初期値を決定し直す。
このように、大当たり乱数カウンタ141aの数値が一巡したら、乱数初期値カウンタを参照して乱数初期値を取得し、大当たり乱数カウンタ141aの数値を乱数初期値からカウントアップしなおしてやれば、大当たり乱数カウンタ141aでは、数値が一巡する度に異なる初期値からカウントアップが開始されるので、大当たり乱数カウンタ141a
の数値が周期性を持ってしまう事態を回避できる。これにより、本実施例の弾球遊技機10では、大当たり乱数カウンタ141aから、より一様な乱数を取得することを可能としている。
なお、図9に白抜きの矢印で示されているように、乱数初期値カウンタ141bおよび大当たり乱数カウンタ141aは、メイン制御装置100で実行される「メインループ処理」や「タイマ割り込み処理」によって更新される。これらの処理については、後で詳しく説明する。
図10は、大当たり抽選の当否判定を行う際に参照する大当たり抽選テーブルを示した説明図である。図10(a)には、非確変状態用の大当たり抽選テーブルが示されており、図10(b)には、確変状態用の大当たり抽選テーブルが示されている。図示されているように、大当たり抽選テーブルには、抽選に用いる数値(抽選数値)に対して、「大当たり」「通常外れ」「特別外れ」のいずれかの抽選結果が対応付けられている。なお、前述したように、こうした大当たり抽選テーブルは、メイン制御装置100のROM110の抽選テーブルエリア112に記憶されている。
大当たり抽選の当否判定を行う際には、大当たり乱数カウンタ141aの数値を読み出して抽選数値を取得するとともに、大当たり抽選テーブルを参照して、取得した抽選数値に対応する抽選結果を読み出すことにより、「大当たり」「通常外れ」「特別外れ」のいずれであるかを判定する。このとき、弾球遊技機10が確変状態であれば、確変状態用の大当たり抽選テーブル(図10(b)を参照)を参照し、非確変状態であれば、非確変状態用の大当たり抽選テーブル(図10(a)を参照)を参照する。
たとえば、非確変状態において、大当たり乱数カウンタ141aから取得した抽選数値が「7」であれば、非確変状態用の大当たり抽選テーブルを参照して抽選数値「7」に対応する抽選結果を取得する。図10(a)に例示されている非確変状態用の大当たり抽選テーブルでは、抽選数値「7」に対応する抽選結果は「大当たり」なので、この場合の当否判定結果は「大当たり」となる。
図10(a)に示されているように、本実施例の非確変状態用の大当たり抽選テーブルでは、「7」と「307」の2つの抽選数値が大当たりに対応付けられている。これに対して確変状態用の大当たり抽選テーブルでは、図10(b)に示されているように、非確変状態用の大当たり抽選テーブルに比べて多くの抽選数値が大当たりに対応付けられている。このため、確変状態用の大当たり抽選テーブルを参照して大当たり抽選の当否判定を行う場合には、非確変状態用の大当たり抽選テーブルを参照して当否判定を行う場合よりも、高い確率で大当たりに当選することになる。このように、大当たりに対応付けられた抽選数値の数が異なる複数の大当たり抽選テーブルを用意しておき、参照する大当たり抽選テーブルを切り替えれば、大当たりに当選する確率を容易に切り替えることが可能である。本実施例の弾球遊技機10では、確変状態の場合には、多くの抽選数値が大当たりに対応付けられた確変状態用の大当たり抽選テーブルを参照し、非確変状態の場合には、大当たりに対応付けられた抽選数値の数が確変状態用の大当たり抽選テーブルよりも少ない非確変状態用の大当たり抽選テーブルを参照することによって、高い確率で大当たりが発生する確変状態と、確変状態よりも大当たりの発生確率が低い非確変状態とを実現可能としている。
なお、このように確変状態用の大当たり抽選テーブルと非確変状態用の大当たり抽選テーブルとを備える場合、非確変状態用の大当たり抽選テーブルにおいて大当たりに対応付けられている抽選数値を、確変状態用の大当たり抽選テーブルにおいても大当たりに対応付けておくものとしてもよい。例えば、図10の例では、非確変状態用の大当たり抽選テ
ーブル(図10(a)を参照)において「7」と「307」の2つの抽選数値が「大当たり」に対応付けられているが、これら2つの抽選数値は、確変状態用の大当たり抽選テーブル(図10(b)を参照)においても「大当たり」に対応付けられている。本実施例の弾球遊技機10では、このように非確変状態用の大当たり抽選テーブルと確変状態用の大当たり抽選テーブルとで、大当たりに該当する抽選数値の一部を共通にしておくことにより、後述する「保留表示演出」の効果を向上させている。この点については後で詳しく説明する。
大当たり抽選の結果が大当たりでない場合には外れとなるが、本実施例の弾球遊技機10では、こうした外れとして、「通常外れ」と「特別外れ」の2つの種別の外れが大当たり抽選テーブルに設定されている。このように複数の種別の外れを大当たり抽選テーブルに設定しておき、外れの種別に応じて異なる動作を遊技機にさせることで、大当たり抽選の結果が外れの場合でも、遊技に変化を生じさせて遊技の興趣を高めることが可能となる。例えば、本実施例の弾球遊技機10では、大当たり抽選の結果が「特別外れ」となった場合には、開閉モード(大入球口60が開閉を繰り返し行うモード)を低頻度入球モード(大入球口60が短時間だけ開く態様)で実行する。前述したように、本実施例の弾球遊技機10では、非明示確変2R大当たりが発生した場合にも大入球口60が低頻度入球モードで開閉するので、特別外れの場合にも大入球口60を低頻度入球モードで開閉してやれば、遊技者は、非明示確変2R大当たりが発生したのか、それとも特別外れが発生したのかを判断することが困難となる。非明示確変2R大当たりの場合には確変状態に移行して遊技者に有利な遊技状態となることから、大入球口60が低頻度入球モードで開閉すると、遊技者は、非明示確変2R大当たりが発生したのではないかとの期待を抱くことになる。これにより、非明示確変2R大当たりが発生していないにもかかわらず、確変状態に移行したのではとの期待を遊技者に抱かせることができる。
一般に、大当たりが発生しないと遊技者は遊技に対する興味を次第に失ってしまう傾向があるが、かといって大当たりを頻繁に発生させることは実際には困難である。そこで、このように特別外れを設けておき、特別外れが発生した際の大入球口60の動作を、大当たりの際の動作と同一にしておけば(あるいは類似させておけば)、実際に大当たりを発生させなくても、遊技者の興味を遊技に引きつけることが可能となる。
また、大入球口60の動作だけでなく、電動役物41の動作を同一にしたり類似させてもよい。例えば、「特別外れ」となった場合には、電動役物41を低サポートモードで動作させる。前述したように、本実施例の弾球遊技機10では、サポートモード中に非明示確変2R大当たりが発生した場合にはサポートモードを変更しないので、低サポートモード中に非明示確変2R大当たりが発生すると、大入球口60の開閉動作が終了後には、電動役物41が低サポートモードで動作する。したがって、特別外れが発生した場合に低サポートモードを開始すれば、電動役物41の動作についても、非明示確変2R大当たりが発生した場合と一致させることができる。これにより、非明示確変2R大当たりが発生したのではとの期待を遊技者により強く抱かせることが可能となる。
なお、こうした大当たり抽選の当否判定を行う処理の詳細や、当否判定の結果に応じて種々の動作を行う処理の詳細については、後で詳しく説明する。
図8に示されている様に、カウンタエリア141には、上述した大当たり抽選に用いる大当たり乱数カウンタ141aや乱数初期値カウンタ141bに加えて、大当たり種別カウンタ141cが備えられている。大当たり種別カウンタ141cも、大当たり乱数カウンタ141aや乱数初期値カウンタ141bと同様にループカウンタであり、本実施例の弾球遊技機10では、「0」から「29」までの範囲の数値を繰り返し指し示すように構成されている。また、大当たり乱数カウンタ141aや乱数初期値カウンタ141bと同
様に、メイン制御装置100で実行される処理によって数値が定期的に更新される(数値が「1」ずつ定期的に繰り返し加算される)。前述した大当たり抽選において大当たりとなった場合には、この大当たり種別カウンタ141cを用いて、前述した複数の種別の中から大当たりの種別を次のように決定する。
図11は、大当たりの種別を決定する際に参照する振り分けテーブルを例示した説明図である。図11(a)に示されている様に、振り分けテーブルには、参照数値と、大当たりの種別とが対応付けられている。前述したように、こうした振り分けテーブルは、メイン制御装置100のROM110の振り分けテーブルエリア113に記憶されている。大当たりの種別を決定する(大当たりの種別を振り分ける)際には、大当たり種別カウンタ141cの数値を参照数値として読み出すとともに、読み出した参照数値に対応する大当たり種別を振り分けテーブルから取得することにより、大当たり種別を決定する。
たとえば、図11(a)に例示された振り分けテーブルでは、参照数値「0」から「9」が「通常15R大当たり」に対応しているので、大当たり種別カウンタ141cから取得した参照数値が「0」から「9」までのいずれかの数値であれば、大当たりの種別は通常15R大当たりとなる。同様に、大当たり種別カウンタ141cから取得した参照数値が「10」から「14」までのいずれかの数値であれば、非明示確変2R大当たりとなり、「15」から「19」までのいずれかの数値であれば、明示確変2R大当たりとなり、「20」から「29」までのいずれかの数値であれば、確変15R大当たりとなる。
ここで、大当たり種別カウンタ141cの数値に「1」を加算する時間間隔が等間隔であれば、大当たり種別カウンタ141cの数値が「0」から「29」までの各数値をとる割合は各数値の間で等しくなるので、各々の大当たり種別に振り分けられる割合は、それぞれの大当たり種別に対応付けられた参照数値の個数に比例することになる。したがって、このように参照数値と大当たり種別とを対応付けた振り分けテーブルを用いて、大当たりの種別を決定する構成を採用すれば、それぞれの大当たり種別に振り分けられる割合を、大当たりの種別に対応付ける参照数値の個数を変更するだけで容易に変更することが可能である。このため、製造済みの遊技機を元にして、大当たり種別の振り分け割合が元の遊技機と異なる遊技機(いわゆる兄弟機や派生バージョンの遊技機など)を製造することが容易に可能となり、延いては、複数の種類の遊技機を製造して、各遊技機の違いを遊技者に楽しませることも可能となる。
また、図11(a)に示されている振り分けテーブルでは、確変状態に移行する大当たり(本実施例では「非明示確変2R大当たり」「明示確変2R大当たり」「確変15R大当たり」)に対応する参照数値は「10」から「29」までの20個の数値となっている。これに対して、確変状態に移行しない大当たり(本実施例では「通常15R大当たり」)に対応する参照数値は「0」から「9」までの10個の数値となっている。そして、こうした参照数値の比(この例では、20対10)が、確変状態に移行する割合と移行しない割合との比に対応している。前述したように、確変状態に移行する大当たりは遊技者にとってたいへんに有利な大当たりなので、こうした確変状態に移行する割合の大小によって、遊技の興趣が大きく左右される。この点、このような振り分けテーブルを用いれば、確変状態に移行する割合が、各大当たり種別に対応付ける参照数値の数によって定まるので、各大当たり種別に適切な数の参照数値を対応付けることによって、確変状態に移行する割合を適切に設定することが可能である。また、振り分けテーブルの参照数値の個数を設定するだけでよいので、設定が容易に可能である。
また、大当たり抽選は、第1作動口25aまたは第2作動口25bへの入球を契機として行われるが、入球した作動口が第1作動口25aであるか第2作動口25bであるかに応じて、異なる振り分けテーブルを参照するものとしてもよい。本実施例の弾球遊技機1
0では、第1作動口25aへの入球を契機として大当たり抽選が行われた場合には、図11(a)に示された振り分けテーブルを用い、第2作動口25bへの入球を契機として大当たり抽選が行われた場合には、図11(b)に示された振り分けテーブルを使用するものとする。
図11(b)に示された第2作動口25b用の振り分けテーブルでは、確変状態に移行しない大当たり(本実施例では通常15R大当たり)に対応する参照数値は、「0」から「9」までの10個の数値となっている。一方、確変状態に移行する大当たりに対応する参照数値は、「10」から「29」までの20個の数値となっている。これらの参照数値の個数は、上述した第1作動口25a用の振り分けテーブルと同一である。したがって、本実施例の弾球遊技機10では、確変状態に移行する割合は、第1作動口25aに入球して大当たりが発生した場合と、第2作動口25bに入球して大当たりが発生した場合とで、等しくなっている。
その一方で、図11(b)に示された振り分けテーブルでは、確変状態に移行する大当たりは「確変15R大当たり」しか設定されておらず、したがって、確変状態への移行を伴う大当たりが第2作動口25bへの入球に起因して発生する際には、確変15R大当たりが必ず発生する。前述したように、非明示確変2R大当たり及び明示確変2R大当たりでは、大入球口60への入球が困難なことから、遊技者にとっては、これら非明示確変2R大当たりや明示確変2R大当たりよりも、確変15R大当たりの方が有利である。このため、このように第2作動口25bに対応する振り分けテーブルの確変15R大当たりの割合を増やしておけば、第1作動口25aに入球することよりも第2作動口25bへ入球することを遊技者に望ませることができる。このように2つの作動口に有利不利の差異を設けることにより、2つの作動口(第1作動口25aおよび第2作動口25b)のうちの一方に入ることを狙いながら遊技球を発射するという遊技を弾球遊技機10に付加することが可能となる。
また、本実施例の弾球遊技機10では、このように複数の作動口25のそれぞれに対応する振り分けテーブルを互いに異ならせているものの、前述したように、確変状態に移行する割合は、第1作動口25aと第2作動口25bとで等しくなっている。すなわち、第1作動口25aの振り分けテーブルと第2作動口25bの振り分けテーブルとでは、確変状態に移行する割合(本実施例では「非明示確変2R大当たり」「明示確変2R大当たり」「確変15R大当たり」を合計した割合)を変えずに、確変状態に移行する各大当たりの間の比率(「非明示確変2R大当たり」「明示確変2R大当たり」「確変15R大当たり」の各比率)を変えている。前述したように、確変状態に移行する割合の大小によって遊技の興趣が大きく左右されるが、このように確変状態に移行する割合を変えずに確変状態に移行する各大当たりの間の比率を変えてやれば、上述したように第2作動口25bを遊技者に有利に設定しておくことで第2作動口25bを狙う遊技性を遊技に付加しながらも、第1作動口25aに入球した場合と第2作動口25bに入球した場合とで遊技の興趣が大きく異なってしまう虞を回避することができる。
また、確変状態では大当たりに再び当選する確率が高いので、確変状態に移行する大当たりに当選すると、その後に多くの賞球が払い出されることが通常である。このため、第1作動口25aと第2作動口25bとで確変状態に移行する割合が大きく異なると、第1作動口25aと第2作動口25bとのいずれにより入球し易いかによって、払い出される賞球の数に大きな差が生じることがある。さらには、遊技球を発射する際の狙いの付け方の微妙な違いなどに起因して第1作動口25aと第2作動口25bとのいずれに入球し易いかが変化することにより、遊技者ごとに、払い出される賞球の数(いわゆる出玉数)に大きな差が生じる場合もある。一般に、弾球遊技機を設置して営業を行う遊技ホールにとっては、出玉数のバラツキが少ない方が好ましいが、上述したように確変状態に移行する
割合を複数の作動口の間で等しくしておけば、特定の作動口を遊技者に有利に設定しておくことでその作動口を狙う遊技性を遊技に付加しながらも、出玉数に大きなバラツキが生じてしまう虞を回避することが可能である。
一方、これとは逆に、確変状態に移行する大当たりの比率を複数の作動口25の間で異ならせた場合には、作動口ごとの有利不利の差をより明確にすることができるので、遊技者は特定の作動口をより積極的に狙うことになり、特定の作動口を狙う遊技の興趣を向上させることができる。また、大当たりの契機となった作動口に応じて大当たり後の遊技の興趣が異なるので、遊技に多様性が生じ、その結果、遊技者の興味を遊技により引きつけることが可能となる。
なお、本実施例の弾球遊技機10では、上述したように第2作動口25bに入球した場合の方が遊技者にとって有利になっている。遊技者に特定の作動口を狙わせる観点からは、第1作動口25aと第2作動口25bとのいずれの作動口を遊技者にとって有利に設定してもよいが、このように第2作動口25bを有利に設定しておくとより好適である。すなわち、本実施例の弾球遊技機10では、第2作動口25bの近傍に電動役物41が設けられており(図3を参照)、電動役物41が開放状態になると(図3(a)を参照)、遊技球が第2作動口25bに入球し易くなる。したがって、第2作動口25bを遊技者にとって有利に設定しておけば、遊技者は電動役物41の動作により注目することになり、その結果、遊技者を遊技により強く引き込むことが可能となる。
更に、本実施例の弾球遊技機10では、電動役物41が開閉動作を行うサポートモードが実行可能であるが、前述した様にこのサポートモードには、第2作動口25bへ遊技球がより入球し易い高サポートモードと、高サポートモードよりも入球し難い低サポートモードとがある。第2作動口25bを遊技者にとって有利に設定しておけば、遊技者は第2作動口25bに入球し易い高サポートモードを期待しながら遊技機を行うことになるので、高サポートモードが開始されるか否かに遊技者の興味を引きつけることができる。また、前述したように、本実施例では高サポートモードが開始されるか否かは、大当たりの種別ごとに定められているので、高サポートモードが開始される種別の大当たり(本実施例では「明示確変2R大当たり」「通常15R大当たり」「確変15R大当たり」)に当選することを遊技者はより望む傾向がある。このため、どの種別の大当たりが発生するのかについての遊技者の興味をより高めることも可能となる。
加えて、前述したように電動役物41はスルー作動口24(図2を参照)への入球に起因して動作することがあるので、遊技者はスルー作動口24へ遊技球が入球するか否かにもより注目するようになり、遊技者の興味をスルー作動口24に引きつけることも可能となる。延いては、スルー作動口24への入球を積極的に狙って遊技球を発射させることも可能となり、スルー作動口24へ遊技球を入球させる遊技の興趣をより高めることが可能となる。
図8に示されているように、カウンタエリア141には、上述した大当たり乱数カウンタ141aや乱数初期値カウンタ141bや大当たり種別カウンタ141cの他に、「変動種別カウンタ141d」が設けられている。この変動種別カウンタ141dも上述した各カウンタと同様のループカウンタであり、所定の範囲内の数値を繰り返し指し示す。また、他のカウンタと同様に、カウンタの数値が定期的に更新されるようになっている。本実施例の弾球遊技機10では、変動種別カウンタ141dの数値を参照することによって、セグメント式表示装置70での図柄の変動時間や図柄の変動パターンを決定する。変動種別カウンタ141dを参照するこうした処理の詳細については後で説明する。
カウンタエリア141には「リーチ乱数カウンタ141e」が備えられているが、この
リーチ乱数カウンタ141eも他のカウンタと同様にループカウンタである。また、他のカウンタと同様に、メイン制御装置100で実行される処理によりカウンタの数値が定期的に更新されるようになっている。本実施例の弾球遊技機10では、リーチ乱数カウンタ141eの数値に基づいて、リーチ演出を実行するか否かを決定したり、実行するリーチ演出の態様を決定する。リーチ乱数カウンタ141eの数値を更新する処理や、リーチ乱数カウンタ141eの数値を参照してリーチ演出の実行の有無を決定する処理の詳細については後述する。
電動役物開放カウンタ141fは、前述したスルー作動口24への入球に対して電動役物41を開くか否かを決定する際に用いるカウンタである。この電動役物開放カウンタ141fも他のカウンタと同様にループカウンタであり、また、カウンタの数値が定期的に更新されるようになっている。本実施例の弾球遊技機10では、電動役物開放カウンタ141fの数値を抽選数値として取得するとともに、スルー作動口用の抽選テーブルを参照して抽選数値に対応する抽選結果を取得することにより、抽選の当否を判定する。当否判定の結果が当たりであれば、電動役物41を所定の時間だけ開放状態(図3(b)を参照)にする。こうした当否判定を行ったり電動役物41を開放状態にする処理の詳細については、後で詳しく説明する。なお、カウンタエリア141にはその他にラウンド残数カウンタ141gが設けられているが、かかるラウンド残数カウンタ141gについても後で説明する。
図7に示されているよう、RAM140には、図8を用いて上述したカウンタエリア141の他に、保留記憶エリア142が設けられている。前述した様に、本実施例の弾球遊技機10では、作動口25に遊技球が入球してセグメント式表示装置70で図柄の変動表示を行っている最中に、別の遊技球が更に作動口25に入球した場合には、入球を保留として記憶する。保留記憶エリア142は、こうした保留を記憶しておく記憶エリアである。また、本実施例では、第1作動口25aと第2作動口25bの2つの作動口を備えていることに対応して、保留記憶エリア142には、「第1作動口保留記憶エリア」と「第2作動口保留記憶エリア」の2つの保留記憶エリアが設けられている。
図12は、保留記憶エリアの構成を概念的に示した説明図である。図示されているように、第1作動口保留記憶エリアおよび第2作動口保留記憶エリアには、それぞれ「保留数記憶領域(142a,142e)」が設けられており、各々の作動口の保留数をそれぞれの保留数記憶領域に記憶することが可能である。前述したように、本実施例の弾球遊技機10では、各々の作動口への入球を作動口ごとに最大で4つまで保留することが可能であり、このことに対応して、それぞれの保留数記憶領域は、1バイト(8ビット)の記憶領域のうちの3ビット分を使用して「0」から「4」までの数値を記憶する。また、各作動口の入球を最大で4つまで保留可能なことから、図示されているように、第1作動口保留記憶エリアおよび第2作動口保留記憶エリアは、それぞれ「第1エリア」「第2エリア」「第3エリア」「第4エリア」の4つのエリアから構成されている。
各エリアには、「大当たり乱数記憶領域(142b,142f)」「大当たり種別記憶領域(142c,142g)」「リーチ乱数記憶領域(142d,142h)」の各記憶領域が備えられている。これらの記憶領域のうち、「大当たり乱数記憶領域(142b,142f)」には、大当たり乱数カウンタ141a(図8を参照)の数値を記憶しておくことが可能である。前述したように、本実施例の弾球遊技機10では大当たり乱数カウンタ141aの数値が「0」から「599」までの範囲の数値をとるので、このことに対応して、大当たり乱数記憶領域(142b,142f)は2バイト(16ビット)の記憶領域のうちの10ビットを使用する構成となっている。
「大当たり種別記憶領域(142c,142g)」(図12を参照)は、大当たり種別
カウンタ141c(図8を参照)の数値を記憶する記憶領域である。前述したように、本実施例では大当たり種別カウンタ141cは「0」から「29」までの範囲の数値をとるので、大当たり種別記憶領域は、1バイトの記憶領域のうちの5ビットを使用する構成となっている。
「リーチ乱数記憶領域(142d,142h)」(図12を参照)は、リーチ乱数カウンタ141e(図8を参照)の数値を記憶する記憶領域である。本実施例の弾球遊技機10では、リーチ乱数カウンタ141eは「0」から「238」までの範囲の数値をとるものとし、この数値範囲に対応して、リーチ乱数記憶領域は1バイトの記憶領域を使用するものとする。なお、本実施例では、記憶エリアに値が格納されるこれら一群のカウンタ(大当たり乱数カウンタ、大当たり種別カウンタ、リーチ乱数カウンタ)をまとめて「保留時取得カウンタ群」と呼び、記憶エリアに格納された各カウンタの値を「保留時カウンタ情報」と呼ぶものとする。
第1作動口保留記憶エリアおよび第2作動口保留記憶エリアには、こうした記憶領域を備えたエリアがそれぞれ4つずつ備えられており、保留が発生すると、保留時取得カウンタ群(大当たり乱数カウンタ141a、大当たり種別カウンタ141c、リーチ乱数カウンタ141e)から読み出された値が、それぞれの記憶領域に格納される。そして、記憶エリアが作動口ごとに4つずつ備えられていることから、それぞれの作動口について最大で4つの保留について、保留時取得カウンタ群の各カウンタの数値を記憶することが可能となっている。
なお、図柄の変動表示が行われていない状態で作動口に遊技球が入球した場合、図柄の変動表示が直ちに実行されるが、本実施例の弾球遊技機10では、こうした場合も各カウンタの数値が保留記憶エリア142に格納される。そして、保留記憶エリア142に格納された数値に基づいて、図柄の変動表示が行われる。こうすると、図柄の変動表示を実行する際には、図柄の変動表示を行っている場合と行っていない場合とのいずれの場合も、保留記憶エリア142の数値を参照して処理を実行すればよい。このため、図柄の変動表示を行う処理を共通化させることができ、プログラムを簡素に保つことができる。その結果、プログラムを実行する際にMPU102にかかる負荷を軽減させたり、プログラムを記憶しておくプログラムエリア111の記憶容量を抑えることも可能となる。
また、図12に示されているように、保留記憶エリア142には、各作動口の保留数を合計した数(総保留数)を記憶する総保留数記憶領域142iも備えられている。前述したように、保留記憶エリア142には、第1作動口25aの保留数を記憶する記憶領域(保留数記憶領域142a)と、第2作動口25bの保留数を記憶する記憶領域(保留数記憶領域142e)とがそれぞれ備えられているが、このように総保留数記憶領域142iを設けて総保留数を記憶しておけば、総保留数記憶領域142iを参照することにより総保留数を迅速に取得することが可能である。
更に、保留記憶エリア142には待機エリア142jも設けられている。待機エリア142jは第1エリア〜第4エリアと同様に、大当たり乱数記憶領域や大当たり種別記憶領域やリーチ乱数記憶領域を備えており、第1エリア〜第4エリアのデータを待機エリア142jにコピーしたり、あるいは、第1エリア〜第4エリアのデータを待機エリア142jに移動させることが可能である。このよう待機エリア142jを設けた場合、保留記憶エリア142内から保留時カウンタ情報を読み出す際には、読み出す対象となるエリアのデータを予め待機エリア142jに移動しておくかコピーしておくものとすれば、待機エリア142jからデータを読み出すことで目的の保留時カウンタ情報を取得すことが可能である。ここで、複数の作動口の保留時カウンタ情報を保留記憶エリア142に記憶したり、複数の保留の保留時カウンタ情報を保留記憶エリア142に記憶する場合、多数の記
憶領域が保留記憶エリア142内に設けられることから、保留記憶エリア142内のメモリ空間のアドレスの割り当てが複雑になり、その結果、読み出したいデータが格納されたアドレスを取得する処理も複雑になる傾向がある。この点、このように目的のデータを予め特定のエリア(待機エリア142j)に移動させておけば、データを読み出す際にはその特定のエリアからデータを読み出すだけでよいので、目的のデータを迅速に取得することが可能となる。
なお、保留記憶エリア142の各記憶領域に各カウンタの数値を格納する処理や、記憶領域から保留時カウンタ情報を取得する処理については、後で詳しく説明する。また、本実施例では詳しい説明を省略するが、保留記憶エリア142の保留数記憶領域142aおよび保留数記憶領域142eに記憶された各作動口の保留数は、メイン制御装置100が実行する処理により表示ランプ83aおよび83bの点灯状態に反映されて、第1作動口25aおよび第2作動口25bの保留数をそれぞれ表示することが可能となっている。
図7に示されているように、メイン制御装置100のRAM140には、上述した保留記憶エリア142のほかに、フラグエリア143が設けられている。フラグエリア143には、遊技の進行に伴う遊技状態の変化や、大当たりの発生などを契機としてONあるいはOFFに設定される各種のフラグが保持されている。例えば、前述したように本実施例の弾球遊技機10では、通常15R大当たりや確変15R大当たりなどの複数の種別の大当たり遊技状態に移行可能であるが、こうした各種別の大当たりに対応して、「通常15R大当たりフラグ」や「確変15R大当たりフラグ」がフラグエリア143に設けられている。そして、大当たりが発生した場合には、その大当たりの種別に対応する大当たりフラグがセットされる(ONに設定される)。また、大当たり遊技状態が終了すると、対応する大当たりフラグがリセット(OFFに設定)される。このため、各大当たりフラグを参照することにより、大当たり遊技状態か否かを判断したり、大当たり遊技状態がどの種別の大当たりなのかを判断することが可能である。
また、前述したように、本実施例の弾球遊技機10では、低頻度入球モードや高頻度入球モードなどの大入球口60の開閉モードを実行可能であるが、こうした開閉モードに対応して、フラグエリア143には「低頻度入球モードフラグ」および「高頻度入球モードフラグ」が設けられている。これらのフラグも大当たりフラグと同様に、各開閉モードが開始されるとセットされ、開閉モードが終了するとリセットされる。このため、各フラグを参照することで、各開閉モードが実行中か否かを判断することが可能である。
なお、フラグエリア143には上述した各フラグの他にも各種のフラグが備えられているが、これらのフラグについては後述する。また、各フラグをセットあるいはリセットする処理や、各フラグを参照する処理についても、後で詳しく述する。
メイン制御装置100のRAM140には、「電動役物保留エリア144」も備えられている。前述したように、スルー作動口24に遊技球が入球した際にはスルー用セグメント式表示装置80で図柄の変動表示が行われるが、図柄の変動表示を行っている間に遊技球がスルー作動口24に入球した場合には、入球を保留として記憶する。電動役物保留エリア144は、こうした保留を記憶するための記憶エリアである。電動役物開放カウンタ141fから読み出された数値は、電動役物保留エリア144にいったん格納され、図柄の変動表示が終了すると、電動役物保留エリア144から数値が読み出されて図柄の変動表示が行われることによって保留が消化される。これらの処理の詳細については後述する。
コマンドバッファ145は、メイン制御装置100に接続された周辺の各装置(サブ制御装置200や電動役物駆動部42や大入球口駆動部62など)に送信するコマンドを一
時的に記憶しておくバッファ領域である。詳しくは後述するが、メイン制御装置100は、遊技の進行に応じて各種のコマンドをコマンドバッファ145に格納し、所定のタイミングでサブ制御装置200や電動役物駆動部42などにコマンドを出力することにより、これらの各装置の動作を制御する。
汎用エリア146は、メイン制御装置100が遊技を制御する際に各種のデータを一時的に記憶したり、演算装置104の演算結果を一時的に格納することが可能な、汎用的な記憶領域である。メイン制御装置100のMPU102は、遊技を制御する各種のプログラムを実行する際に、この汎用エリア146を適宜使用することで、処理を的確に実行することが可能である。
前述したように、メイン制御装置100はこれらの各構成を用いて遊技の進行を制御する。このとき、メイン制御装置100に接続された各種のセンサ(11sなど)や払出制御装置410からの信号に応じて、各種の処理を行う。また、メイン制御装置100に接続されたサブ制御装置200や電動役物駆動部42などの各装置に向けて、メイン制御装置100から各種のコマンドを送信することにより、これらの各装置の動作を制御する。以下では、メイン制御装置100に接続されたこれらの周辺装置の構成について説明する。
C−2.周辺装置の構成:
サブ制御装置200は、メイン制御装置100から送信されてくるコマンドを受信してコマンドに応じた各種の制御を行う制御装置であり、主として、遊技に伴う各種の演出を制御する役割を果たす。詳細な説明は省略するが、サブ制御装置200もメイン制御装置100と同様に、MPUやROMやRAMを備えており、これらの各装置を用いて各種の処理を実行可能である。また、サブ制御装置200には表示制御装置300が接続されており、サブ制御装置200からの命令に従って表示制御装置300が各種の演出画像や演出図柄を演出表示装置30に表示することにより、演出表示装置30を用いた演出を実行することが可能である。
サブ制御装置200は、メイン制御装置100からコマンドを受け取ると、コマンドを解析してコマンドに含まれる各種の情報を取得し、取得した情報に応じて各種の演出処理を行う。例えば、セグメント式表示装置70の図柄の変動表示時間や図柄の変動パターンに関する情報を含むコマンド(後述する「変動開始コマンド」)を受信すると、表示制御装置300に指示を送ることにより、表示制御装置300に接続された演出表示装置30に演出図柄を変動表示させる。このとき、メイン制御装置100から送られてくるコマンドには、セグメント式表示装置70での図柄の変動表示時間に関する情報が含まれていることから、サブ制御装置200は、演出表示装置30での演出図柄の変動表示を、セグメント式表示装置70での図柄の変動表示に合わせて実行させることが可能である。また、セグメント式表示装置70での図柄の停止表示にあわせて、演出表示装置30での演出図柄の変動表示を停止させる(確定表示させる)ことも可能である。
また、前述したように、本実施例の弾球遊技機10ではリーチ演出が可能であるが、こうしたリーチ演出についても、メイン制御装置100からのコマンドに応じてサブ制御装置200が所定の処理を行うことにより実現される。すなわち、サブ制御装置200はメイン制御装置100から変動開始コマンドを受信すると、変動開始コマンドに含まれる変動表示時間に関する情報に基づいて、リーチ演出を行うのに必要な時間があるか否かを判断する。そして、リーチ演出を実行可能であると判断した場合には、実際にリーチ演出を行うか否かを決定し、リーチ演出を行う場合には、表示制御装置300に所定のコマンドを送信することによって演出表示装置30でリーチ演出を実行する。こうしたリーチ演出だけでなく、その他の種々の演出についても、メイン制御装置100からサブ制御装置2
00にコマンドが送信されることによって実現される。
表示制御装置300は、メイン制御装置100やサブ制御装置200と同様に、MPUやROMやRAMなどを搭載した制御回路を備えており、これらの各構成を用いて種々の処理を実行可能である。また、演出表示装置30に表示する種々の画像の画像データを予め記憶している。これらの画像データは各種のエンコード処理が施された状態で記憶されており、こうすることで、画像データを記憶しておく記憶領域が過大になってしまう事態を回避している。表示制御装置300は、エンコード処理された画像データをMPUやデコード用LSIなどを用いてデコード処理し、デコード処理した画像データを演出表示装置30に出力する。こうすることにより、エンコード処理された画像データであっても、演出表示装置30に迅速に表示することが可能となっている。
図7に示されている様に、メイン制御装置100には、サブ制御装置200だけでなく、スルー作動口24や作動口25などに設けられた各センサも接続されている。こうした入球口に設けられた各センサは、遊技球の入球を検出するとメイン制御装置100に信号を送り、これを受けて、メイン制御装置100に設けられたラッチ回路(図示は省略)がラッチ状態になることにより、遊技球の入球を記憶する。メイン制御装置100のMPU102は、このラッチ回路の状態を読み出すことにより、スルー作動口24や作動口25への入球を検出することが可能である。
電動役物駆動部42は、電動役物41を開閉するアクチュエータや、アクチュエータを駆動する駆動回路などから構成されている。メイン制御装置100は、電動役物駆動部42に信号を送信して電動役物駆動部42を動作させることにより、電動役物41を開閉することが可能である。また、大入球口駆動部62も電動役物駆動部42と同様に、大入球口60を開閉するアクチュエータや、アクチュエータを駆動する制御回路などから構成されており、大入球口駆動部62に信号を送信することで大入球口60を開閉することが可能である。
メイン制御装置100には、前述したセグメント式表示装置70も接続されている。このため、メイン制御装置100はセグメント式表示装置70に信号を出力してセグメント式表示装置70での図柄の変動表示や停止表示を行うことが可能である。
払出制御装置410は、前述したように遊技球貯留タンク400(図5を参照)に接続された払出装置420を制御する装置であり、払出制御装置410を介して払出装置420を動作させることによって、遊技球貯留タンク400内の遊技球を弾球遊技機10の上皿13(図1を参照)に払い出すことが可能である。メイン制御装置100は、この払出制御装置410を介して払出装置420を動作させることにより、第1作動口25aや第2作動口25bなどの作動口への入球に対する賞球や、小入賞口26や大入球口60などの入賞口への入球に対する賞球を払い出す。また、払出装置420には、払い出した遊技球の数を計数する払出球カウンタが備えられており、メイン制御装置100は払出制御装置410を介してこの払出球カウンタを参照することによって、入球口ごとに定められた所定数の遊技球が払い出されたことを確認することが可能である。
更に、払出制御装置410には、下皿16が満杯になったことを検知する下皿満タンセンサ530が接続されており、下皿16が満杯になった状態を検出するとともに、検出状態をメイン制御装置100に通知することが可能である。メイン制御装置100では払出制御装置410からの通知を受けることにより、下皿が満杯になっていること把握することが可能である。こうした満杯状態の検出機構や、払出制御装置410で行われる処理の内容については、後で詳しく説明する。
図7に示されているように、メイン制御装置100には、外部出力端子910も接続されている。前述したように、外部出力端子910は弾球遊技機10の背面側に設けられており、遊技ホールに設置されたホールコンピュータからのケーブを外部出力端子910に接続することが可能である(図5を参照)。ホールコンピュータからのケーブを外部出力端子910に接続した状態でメイン制御装置100から外部出力端子910に向けて信号を出力してやれば、外部出力端子910を介してホールコンピュータに各種の信号を送信することが可能となる。
外部出力端子910には各種々の信号を出力することが可能であるが、本実施例の弾球遊技機10では、大当たりが発生したことを示す「大当たり信号」を送信することが可能となっている。また、大当たり信号を出力する際の態様としては種々の態様を採用することが可能であるが、簡単には、大当たり抽選の結果が大当たりとなったらパルスを出力すればよい。こうすれば、ホールコンピュータはパルスを検出することにより、大当たりが発生したことを容易に検出することができる。あるいは、大当たりが発生した際に一時的に信号を出力するのではなく、大当たりが発生して大当たり遊技状態が継続している間に信号を出力し続けるものとしてもよい。例えば、大当たり遊技状態でない間は電圧レベルを低レベル(「Low」の状態)に保ち、一方、大当たり遊技状態の継続中は電圧レベルを高レベル(「High」の状態)に保つ。こうすれば、ホールコンピュータは電圧レベルの変化を検出することにより、大当たりが発生したことを検出可能である。加えて、電圧レベルが現在の遊技状態(この場合は大当たり遊技状態か否か)に対応していることから、電圧レベルを調べることで、大当たり遊技状態が現在も継続中か否かを容易に検出することが可能である。
なお、前述したように本実施例の弾球遊技機10では、「特別外れ」が発生することがあるが、こうした特別外れの場合にも信号(特別外れ信号)を出力するものとしてもよい。特別外れでは前述したように大入球口60が開閉動作を行うので、特別外れも大当たりに類似するものと捉えることが可能である。したがって、こうした特別外れの場合にも信号を出力してやれば、ホールコンピュータでは、大入球口60の開閉動作が行われることを的確に把握することが可能となり好適である。また、特別外れ信号を出力する場合には、大当たり信号と特別外れ信号とを、1つの信号線(端子)からまとめて出力するものとしてもよい。例えば、大当たりと特別外れとのいずれが発生した場合にも特定の端子の電圧レベルを高レベルにし、いずれも発生していない場合には、その端子の電圧レベルを低レベルにする。こうすれば、ホールコンピュータでは、大入球口60の開閉が行われるか否かを、1つの信号線の電圧を調べるだけで把握することが可能となり、好適である。もちろん、大当たりと特別外れとを別個の端子から出力してもよく、こうした場合には、ホールコンピュータはぞれぞれの端子の電圧を調べることにより、大当たりと特別外れとのいずれが発生したのかを把握することが可能である。
また、本実施例の弾球遊技機10では、遊技球貯留タンク400の遊技球が不足した場合にも所定の信号を出力する。これにより、遊技ホールは遊技球の不足をホールコンピュータで検出することができ、遊技球を補給するなどの対処を施すことで弾球遊技機10を正常に稼動させることが可能である。
更に、遊技球が払い出されたことを示す信号や、遊技球がアウト口50から排出されたことを示す信号も出力可能になっている。これらの信号を出力する態様についても種々の態様を採用することが可能であるが、例えば、遊技球が払い出されたりアウト口50から排出される度にパルスを出力すればよい。こうした場合、遊技球の1球ごとにパルスを出力してもよいし、所定の数の遊技球ごと(たとえば10球ごと)にパルスを出力するものとしてもよい。いずれの場合も、ホールコンピュータはパルスを計数することにより、払い出された遊技球の数や、アウト口50から排出した遊技球の数を把握することが可能で
ある。また、遊技球が発射されるごとにパルスを出力するなどして、発射された遊技球の数をホールコンピュータで把握可能としてもよい。こうすれば、アウト口50から排出された遊技球の数(いわゆるアウト数)だけでなく、発射された遊技球の数とアウト数との差(いわゆるセーフ数)を把握することも可能となる。
加えて、正面パネル15(図1を参照)が開いたことを示す信号を出力することも可能である。こうした信号を出力するには、正面パネル15と本体との間にセンサやスイッチを設けておき、センサやスイッチで正面パネル15の開閉状態を検出すればよい。あるいは、正面パネル15の開閉状態を直接検出するのではなく、鍵部17の状態に基づいて間接的に検出してもよい。例えば、鍵部17にセンサを設けておき、センサで鍵部17の施錠状態を検出する。通常、弾球遊技機10が遊技ホールに設置された状態では、鍵部17は施錠されているので、鍵部17が開錠された場合には、正面パネル15が開けられたものと推測することができる。したがって、鍵部17に設けたセンサ状態を示す信号を出力してやれば、ホールコンピュータで正面パネル15の開閉状態を検出することが可能となる。加えて、このように鍵部17の状態を検出してやれば、正面パネル15を閉じた後に鍵部17を施錠するのを忘れた場合でも、施錠がされていないことをホールコンピュータで検出可能である。これにより、鍵部17の施錠の不備を原因として不正行為を受けてしまう虞を回避可能である。
なお、こうした各種の信号は、それぞれの信号ごとに異なる信号線や端子を用いて出力するものとしてもよいし、あるいは、信号線や端子を複数の信号の間で共用させて出力するものとしてもよい。例えば、いわゆるシリアル通信を行ったり、複数の信号をまとめて1つの信号にエンコードするなどすれば、複数の信号の間で信号線や端子を共用することが可能である。こうすれば、信号線の数や端子の数に限りがある場合でも、多数の種類の信号を出力することが可能である。
本実施例の弾球遊技機10では、上述した各構成を用いて遊技の制御が行われる。以下では、弾球遊技機10の各構成を用いて行われる制御処理について、詳しく説明する。
D.メイン制御装置の制御内容 :
D−1.メインループ処理 :
図13は、本実施例の弾球遊技機10で実行される「メインループ処理」の処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、弾球遊技機10が起動されると、メイン制御装置100のプログラムエリア111から読み出されてメイン制御装置100のMPU102上で実行される処理である。なお、図13では図示を省略しているが、弾球遊技機10が起動された際には、弾球遊技機10を停電発生時の状態に復帰させる停電復帰処理を行ってから、図13のメインループ処理を実行する。また、停電が発生した際には、MPU102を停止するとともにRAM140へバックアップ電圧を供給する等の停電時処理を行うが、これらの処理については詳しい説明は省略する。
図示されているように、メインループ処理では、ステップS1000からステップS1010までの一連の処理を順に行う。その後、一連の処理(ステップS1000からステップS1010までの処理)を開始してから所定の時間(本実施例では4msec)が経過しているか否かを判断し(ステップS1012)、経過している場合には(ステップS1012:Yes)、ステップS1000に戻り、経過していない場合には(ステップS1012:No)、ステップS1014の残余時間処理を実行しながら、時間が経過したか否かの判断(ステップS1012)を繰り返す。このため、メインループ処理では、ステップS1000からステップS1010までの一連の処理が、所定の時間周期で繰り返し実行される。
本実施例の弾球遊技機10では、このように各処理を繰り返し実行するとともに、繰り返し実行している間にスルー作動口24や作動口25等へ遊技球が入球すると、入球に応じて各ステップが種々の処理を実行したり、あるいは、時間の経過に応じて所定の処理を実行することにより、遊技を制御する。また、これらの各処理の中で、サブ制御装置200をはじめとする周辺の装置に各種のコマンドや信号を送信することにより、遊技の進行に応じて各種の演出を行ったり、賞球の払い出しを行う。これにより、弾球遊技機10全体で遊技が進行する。以下では、図13のフローチャートに沿ってメインループ処理の各処理の詳細を説明する。
メイン制御装置100のMPU102は、メインループ処理を開始すると、まず、メイン制御装置100に接続された各装置へ向けて、コマンドや信号を出力する外部出力処理(ステップS1000)を実行する。前述したように、メインループ処理ではステップS1000からステップS1010までの一連の処理が所定の時間周期で繰り返し実行されるが、後述するように、これらの各処理では、周辺の装置に送信するコマンドをRAM140のコマンドバッファ145(図7を参照)に格納する。そこで、ステップS1000の外部出力処理では、コマンドバッファ145に格納されたコマンドを周辺装置に向けて送信する処理を行う。
例えば、本実施例の弾球遊技機10のメイン制御装置100には払出制御装置410が接続されており、払出制御装置410を動作させることで賞球の払い出しを行うことが可能であるが、このことに対応して、賞球の払い出しを払出制御装置410に指示する「賞球コマンド」を送信する。この賞球コマンドには払い出す賞球の数の情報が含まれており、払出制御装置410は賞球コマンドに従って動作することで、適切な数の賞球を払い出すことが可能である。また、後述する変動開始コマンドや変動終了コマンドなどをサブ制御装置200に送信することも可能であり、こうすることによって、サブ制御装置200を介して表示制御装置300を駆動して演出表示装置30に演出画像を表示させることが可能である。こうした各種のコマンドをコマンドバッファ145に格納する処理については、メインループ処理のフローチャートに沿って説明を進めながら適時説明する。
また、前述したように弾球遊技機10には外部出力端子910が備えられており、ホールコンピュータなどの弾球遊技機10の外部に設置された装置に各種の情報を出力可能である。ステップS1000の外部出力処理では、こうした外部出力端子910へ信号を出力する処理も行うことが可能である。例えば、前述したフラグエリア143を参照して、遊技状態が大当たり遊技状態であることを示す大当たりフラグや、特別外れが発生したことを示す特別外れフラグなどの各種のフラグを読み出す。そして、各フラグの状態に応じて外部出力端子910の各端子に信号を出力することにより、外部の装置に情報を送信することが可能となる。
図13のフローチャートに示されている様に、外部出力処理(ステップS1000)を行ったら、次いで、変動種別カウンタ141dの値を更新する(ステップS1002)。前述したように、変動種別カウンタ141dはRAM140のカウンタエリア141に設けられているので(図8を参照)、MPU102はRAM140にアクセスして変動種別カウンタ141dの数値に「1」を加算することにより、変動種別カウンタ141dの数値を更新する。このとき、前述したようにカウンタエリア141には、変動種別カウンタ141dに対応するバッファ(変動種別バッファ)が設けられているので、カウンタの数値を更新したら、更新後の数値を変動種別バッファに格納する。
このように、カウンタエリア141の数値を更新するとともに、変動種別バッファの数値を変動種別カウンタ141dの数値に一致させておけば、変動種別バッファを読み出すことで変動種別カウンタ141dの数値を取得することが可能である。したがって、変動
種別カウンタ141dの数値を更新している最中などの変動種別カウンタ141dに直接アクセスできない場合でも、変動種別カウンタ141dの数値を取得することが可能となる。また、不正行為を受けて変動種別カウンタ141dの数値が変更された場合には、変動種別カウンタ141dの数値と変動種別バッファの数値との間にズレが生じることから、不正行為を受けたことを検出することが可能であり、延いては不正行為による被害を未然に防ぐことが可能となる。
変動種別カウンタ141dの値を更新したら(図13のステップS1002)、次いで、払出制御装置410からの賞球計数信号および払出異常信号を読み込む(ステップS1004)。前述したように、払出制御装置410には賞球の払出しを計数するカウンタや支払いに異常が生じたことを検出する異常センサが備えられているので、MPU102はこれらのカウンタやセンサから信号を読み出すことにより、賞球の払出しが正常に行われたことを確認することが可能である。なお、賞球の払出しに関するこれらの情報を払出制御装置410から取得する際には、払出制御装置410からの信号を直接取得するものとしてもよいし、あるいは、払出制御装置410がRAM140上に情報を書き込み、書き込まれた情報をMPU102が読み込んで取得するものとしてもよい。
賞球計数信号および払出異常信号の読み込みを行ったら(ステップS1004)、続くステップS1006では、図柄の変動表示に関する各種の処理を行う「図柄遊技処理」を実行する。
図14は、図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。図示されているように、処理を開始すると、まず大入球口60の開閉モード中か否かを判断する(ステップS1030)。前述したように、本実施例の弾球遊技機10では、大入球口60が開閉動作を繰り返す開閉モードを実行可能であり、こうした開閉モード中はフラグエリア143の「開閉モードフラグ」がセットされる。したがって、MPU102はフラグエリア143を参照して開閉モードフラグの状態を読み出すことで、大入球口60の開閉モード中か否かを判断することができる。なお、開閉モードフラグを設定する処理については後述する。
大入球口60の開閉モード中と判断された場合には(ステップS1030:Yes)、現在の遊技状態は、大当たり遊技状態などの図柄の変動表示を行わない遊技状態なので、図柄遊技処理を終了してメインループ処理に復帰する。一方、大入球口60の開閉モード中でないと判断された場合には(ステップS1030:No)、次いで、セグメント式表示装置70において図柄の変動表示が実行中か否かを判断する(ステップS1032)。すなわち、セグメント式表示装置70で図柄の変動表示がすでに開始されている場合、図柄の変動表示を重ねて行う必要はないので、図柄の変動表示中か否かを判断して、判断結果に応じて処理を切り替える。図柄の変動表示中か否かは、フラグエリア143の図柄変動中フラグを参照することで判断可能である。
図柄の変動表示中でない場合は(ステップS1032:No)、図柄の変動表示を実行するための各種の準備処理を行えばよい。もっとも、前述したように弾球遊技機10では作動口25への入球を契機として図柄の変動表示を行うので、作動口への入球が無かったり入球の保留が無い場合には、図柄の変動表示を行う必要がない。そこで、まずは保留記憶エリア142(図12を参照)の総保留数記憶領域142iを参照して総保留数を確認する(ステップS1034)。詳しくは後述するが、本実施例の弾球遊技機10では、第1作動口25aや第2作動口25bに入球があると、それぞれの作動口の保留数記憶領域(142aおよび142e)の数値に「1」が加算され、保留が消化させると数値から「1」が減算される。また、前述したように、総保留数記憶領域142iには第1作動口25aの保留数と第2作動口25bの保留数との合計が記憶されているので、総保留数記憶領域142iの数値が「0」であれば、第1作動口25aと第2作動口25bとのいずれ
の作動口にも入球や保留がないことを意味する。
したがって、総保留数記憶領域142iの数値が「0」であれば(図14のステップS1034:Yes)、図柄の変動表示を行う必要がないので、図柄遊技処理を終了してメインループ処理に復帰する。一方、総保留数記憶領域142iの数値が「0」でなければ(ステップS1034:No)、図柄の変動表示を行うためにステップS1036の「変動表示準備処理」を開始する。
図15は、変動表示準備処理の流れを示したフローチャートである。図示されているように、変動表示準備処理を開始すると、まず、処理の対象となる作動口を決定する(ステップS1050)。すなわち、前述したように弾球遊技機10では作動口への入球を契機として図柄の変動表示を行うが、本実施例では第1作動口25aと第2作動口25bの2つの作動口が設けられているので、いずれの作動口への入球を対象に変動表示を行うかを決定する。
いずれの作動口への入球を対象に変動表示を行うかは、次のように決定することが可能である。まず、保留数記憶領域142aおよび保留数記憶領域142e(図12を参照)の数値を読み出すことにより、第1作動口25aの保留数および第2作動口25bの保留数を把握する。第1作動口25aおよび第2作動口25bのいずれか一方にしか保留がない場合(他方の保留数が「0」の場合)には、保留がある方の作動口について変動表示を行えばよいので、保留のある作動口を変動表示準備処理の対象とする。一方、第1作動口25aと第2作動口25bとのいずれにも保留がある場合(保留数記憶領域142aおよび保留数記憶領域142eのいずれの数値も「0」でない場合)には、いずれの作動口を処理の対象とすることも可能であるが、本実施例の弾球遊技機10では、第2作動口25bを優先して処理対象とする。
こうすると、第2作動口25bに1つでも保留があれば、第1作動口25aの保留の数にかかわらず、第2作動口25bの保留が先に消化されるので、第2作動口25bの保留が全て消化されてから第1作動口25aの保留が消化されることになる。前述したように、参照する振り分けテーブルを第1作動口25aと第2作動口25bとで異ならせることにより(図11を参照)、大当たりの種別の割合を第1作動口25aと第2作動口25bとの間で異ならせることができ、延いては遊技者にとっての有利不利に差異を生じさせることが可能であるが、これに加えて一方の作動口の保留を優先して消化してやれば、有利な作動口の保留が優先して消化される心地よさや、逆に有利な作動口の保留がなかなか消化されないもどかしさを遊技者に感じさせて、遊技の興趣をより向上させることが可能である。
また、本前述したように実施例の弾球遊技機10では、第2作動口25b用の振り分けテーブル(図11(b)を参照)は第1作動口25a用の振り分けテーブル(図11(a)を参照)よりも15R大当たり(通常15R大当たり及び確変15R大当たり)の割合が大きく設定されていることから、大当たり時に多くの賞球を獲得する観点からは、第2作動口25bの方が第1作動口25aよりも有利になっている。このように遊技者にとって有利な作動口の保留を優先して消化してやれば、遊技者に有利な状態が継続していると遊技者に感じさせて、遊技者を遊技に引きつけることが可能となる。
変動表示準備処理の対象となる作動口を決定したら(図15のステップS1050)、次いで、保留を消化して変動表示を行うので、対象の作動口の保留数を1つ減らす(ステップS1052)。前述したように、各作動口の保留数は保留記憶エリア142の保留数記憶領域(図12の142aおよび142eを参照)に記憶されているので、対象となる作動口の保留数記憶領域に記憶されている数値から「1」を減算する。また、作動口の保
留数から「1」を減算したので、各作動口の保留数の合計値を記憶する総保留数記憶領域142iの数値からも「1」を減算しておく。保留数を減らしたら(図15のステップS1052)、次いで、保留を実際に消化するために以下の各処理を順に行う。
まず、本実施例の弾球遊技機10では、第1エリア、第2エリア、第3エリア、第4エリアの順に記憶エリアが予め順序付けられており、遊技球が作動口に入球して保留が発生すると、その入球に対応する保留時カウンタ情報が、各記憶エリアにこの順に格納されていく(第1エリア、第2エリア、第3エリア、第4エリアの順に格納される)。したがって、保留を消化する際にも、この順序付けに従って、第1エリアの保留時カウンタ情報から順に消化していけば、入球した順に保留を消化することができる。そこで、まず第1エリアの保留時カウンタ情報を待機エリア142jに格納する(ステップS1054)。前
述したように、保留記憶エリア142内の読み出したい保留時カウンタ情報を事前に待機エリア142jに格納しておけば、待機エリア142jから保留時カウンタ情報を容易に読み出すことが可能となる。このため、このように第1エリアの保留時カウンタ情報を待機エリア142jに格納しておくことで、この後に実行する「変動表示開始処理」(図14のステップS1038)において保留時カウンタ情報を迅速に読み出すことが可能となる。なお、保留時カウンタ情報は、後述する「タイマ割込処理」によって保留記憶エリア142の各エリアに格納される。この点については後で詳しく説明する。
また、第1エリアの保留情報を待機エリア142jに格納したら、第2エリア、第3エリア、第4エリアの各エリアの保留時カウンタ情報を、それぞれ前方のエリアに1エリアずつシフトしておく(ステップS1056)。すなわち、第2エリアの保留時カウンタ情報を第1エリアに移動し、第3エリアの保留時カウンタ情報を第2エリアに移動し、第4エリアの保留時カウンタ情報を第3エリアに移動する。このように保留時カウンタ情報を前方のエリアにシフトしておけば、保留を消化する際には常に第1エリアの保留時カウンタ情報を待機エリア142jに格納すればよく、記憶エリアを切り替える必要がない。したがって、MPU102はRAM140内の記憶エリアを指定するアドレスを切り替えなくてよいので、MPU102の処理を簡素に保つことが可能である。また、アドレスを切り替える処理をプログラムに記述しておく必要がないことから、プログラムのサイズをコンパクトに保つことが可能であり、延いてはプログラムを格納するROM110の記憶領域を節約することも可能となる。
保留記憶エリア142のデータをシフトさせたら(図15のステップS1056)、次いで、変動表示の対象となった作動口を記憶しておくために、「変動表示対象フラグ」を設定する(ステップS1058)。変動表示対象フラグは、変動表示の対象となった作動口が判断可能であれば、どのような態様のフラグであってもよい。例えば、作動口ごとにフラグを設けておき、変動表示の対象となった作動口のフラグをセット(ONに設定)して他の作動口のフラグをリセット(OFFに設定)する態様のフラグを用いればよい。こうすれば、各作動口のフラグを参照することで、図柄変動の対象となった作動口を特定することが可能である。また、本実施例の弾球遊技機10では、2つの作動口(第1作動口25aおよび第2作動口25b)が設けられていることから、作動口ごとにフラグを設けるのではなく、フラグを1つだけ設けておくことも可能である。例えば、図柄の変動表示の対象が第1作動口25aの場合にはフラグをリセット(OFFに設定)し、第2作動口25bの場合にはフラグをセット(ONに設定)する。こうすれば、いずれの作動口が図柄変動の対象になったのかを1つのフラグで判断することができるので、フラグを設けるフラグエリア143(図7を参照)の容量を節約することが可能である。本実施例では、この方式の変動表示対象フラグを用いるものとする。
変動表示対象フラグをセットしたら(図15:ステップS1058)、サブ制御装置200に送信する「保留シフト通知コマンド」を設定する(ステップS1060)。すなわ
ち、先のステップS1056で保留記憶エリア142のデータをシフトしたので、その旨をサブ制御装置200に通知するコマンド(保留シフト通知コマンド)をコマンドバッファ145に格納する。かかる保留シフト通知コマンドには、保留情報をシフトした作動口(すなわち、図柄の変動表示の対象となった作動口)を特定する情報が含まれており、サブ制御装置200は保留シフト通知コマンドを受け取ることにより、変動表示の対象となった作動口を特定することが可能となる。これにより、例えば作動口ごとに異なる演出を行うといったように、いずれの作動口が変動表示の対象であるかに応じて演出の態様を決定することが可能となる。
また、前述したように、本実施例の弾球遊技機10には、各作動口の保留数を示す表示ランプ83が遊技盤20に設けられている(図2を参照)。本実施例では、これらの表示ランプ83の点灯状態をメイン制御装置100によって制御するものとしているが、サブ制御装置200によって制御するものとしてもよい。すなわち、サブ制御装置200は、保留が消化されたことを、保留シフト通知コマンドを受け取ることにより把握できるので、保留シフト通知コマンドを受けて表示ランプ83の点灯状態を更新することにより、各作動口の保留数を表示ランプ83に適切に反映させることが可能である。
あるいは、サブ制御装置200は、保留数を反映する各種の演出図柄を演出表示装置30に表示するものとしてもよい。たとえば、各保留数にそれぞれ異なる意匠図柄を予め対応付けておき、保留数に対応する意匠図柄を演出表示装置30に表示したり、あるいは、より単純に、保留数を数字で演出表示装置30に表示するものとしてもよい。こうした場合、サブ制御装置200は保留シフト通知コマンドを受け取ることにより、保留が消化されたことを把握できるので、演出表示装置30に表示した演出図柄を保留の消化に同期して更新することが可能である。こうすれば、保留数が変化する様子を、表示ランプ83だけでなく演出表示装置30によっても遊技者に視認させることが可能となる。演出表示装置30は遊技盤20の中央の遊技者に見やすい位置に設けられているので、こうすることで、保留数が増減する興趣を遊技者により効果的に楽しませることが可能となる。
加えて、上述したように保留が消化された作動口を特定できることから、作動口ごとに異なる演出図柄を表示しておき、保留が消化された作動口の演出図柄のみを更新することも可能である。前述したように、本実施例の弾球遊技機10では遊技者にとっての有利さを作動口25ごとに異ならせておくことが可能であるが、こうした場合には、保留数が増減することに対する遊技者の興味についても、作動口25ごとに差異が生じる。そこで、保留数を反映した演出図柄を作動口ごとに表示してやれば、遊技者は、作動口ごとの有利不利の差異を意識しながら保留数が増減する興趣を楽しむことが可能となる。また、作動口ごとの有利不利に差異があれば、有利な作動口の演出図柄ほど遊技者にとって重要になるので、いずれの保留口に対応する演出図柄なのかを一見しただけでは判別できない態様で演出図柄を表示すれば、遊技者はどの演出図柄が重要なのかを見定めようとする。例えば、第1作動口25aの保留に対しては動物を模した演出図柄を表示し、第2作動口25bの保留に対しては植物を模した演出図柄を表示してやれば、遊技者はどちらの図柄が重要なのかを一見しただけでは判断できないので、自己にとって有利な作動口に対応する演出図柄はどちらなのかを見定めようとする。このように遊技者にとって重要な演出図柄を他の演出図柄とともに表示してやれば、複数の演出図柄の中から重要な演出図柄を見定めるといった新たな楽しみ方を遊技者に提供することも可能となる。
保留シフト通知コマンドを設定したら(図15:ステップS1060)、変動表示準備処理を終了して図14の図柄遊技処理に復帰する。以上に説明した変動表示準備処理により図柄の変動表示の準備を行ったら、次いで、図柄の変動表示を実際に開始する「変動表示開始処理」を実行する(図14:ステップS1038)。
図16および図17は、変動表示開始処理の流れを示したフローチャートである。図示されているように、変動表示開始処理では、まず、大当たり抽選の当否判定に用いる抽選テーブルを決定する(ステップS1070)。すなわち、本実施例の弾球遊技機10は、非確変状態用の大当たり抽選テーブル(図10(a)を参照)と確変状態用の大当たり抽選テーブル(図10(b)を参照)とを備えているので、遊技状態が確変状態か非確変状態かに応じて、当否判定に用いる抽選テーブルを決定する。遊技状態が確変状態か非確変状態かは、フラグエリア143の「確変状態フラグ」を参照することで判断することが可能である。この確変状態フラグは、遊技状態が確変状態に移行するとセット(ONに設定)され、遊技状態が非確変状態に移行するとリセット(OFFに設定)されるフラグである。なお、確変状態フラグを設定する処理については後述する。
確変状態フラグがONに設定されている場合、遊技状態は確変状態なので、確変状態用の大当たり抽選テーブルを当否判定に用いる。これとは逆に確変状態フラグがOFFに設定されている場合には、遊技状態は非確変状態なので、非確変状態用の大当たり抽選テーブルを用いる。大当たり抽選に用いる抽選テーブルを決定したら、次いで、実際に大当たり抽選テーブルを用いて大当たり抽選の当否判定を行う(図16:ステップS1072)。
大当たり抽選の当否判定は、待機エリア142jの大当たり乱数記憶領域の数値と、先に決定した大当たり抽選テーブルとを対比することによって行う。すなわち、前述したように大当たり抽選テーブルには抽選数値と抽選結果とが対応付けられているので(図10を参照)、大当たり乱数記憶領域に記憶された数値を抽選数値として、対応する抽選結果を大当たり乱数テーブルから読み出すことにより、大当たり抽選の結果を取得する。
ここで、前述したように大当たり乱数記憶領域は、作動口25へ入球があると大当たり乱数カウンタ141aの数値が記憶される記憶領域である。したがって、大当たり乱数記憶領域の数値は、作動口25への入球を契機として取得された数値である。このため、大当たり乱数記憶領域の数値を用いてこのように大当たり抽選の当否判定を行うことは、実質的には、作動口への入球(入球タイミング)に基づいた大当たり抽選を行うことに相当する。これにより、本実施例の弾球遊技機10では、遊技球が作動口25へ入球したタイミングに厳密にタイミングを合わせて当否判定を行うわけではないものの、実質的には、作動口への入球に基づいた大当たり抽選を行うことが可能となっている。
大当たり抽選の当否判定結果が大当たりの場合(ステップS1074:Yes)、本実施例の弾球遊技機10では複数の大当たり種別があるので、それらの中から大当たり種別を決定する。大当たり種別は振り分けテーブル(図11を参照)を用いて決定することが可能であるが、前述したように、本実施例の弾球遊技機10には複数の振り分けテーブルが備えられている。そこで、まずはこれら複数の振り分けテーブルのいずれの振り分けテーブルを使用するかを決定する(ステップS1076)。
図11に例示した様に、本実施例の弾球遊技機10には、第1作動口25a用の振り分けテーブルと第2作動口25b用の振り分けテーブルとが備えられている。そこで、大当たり抽選の契機となった入球が第1作動口25aへの入球であれば、第1作動口25a用の振り分けテーブルを使い、第2作動口25bへの入球であれば、第2作動口25b用の振り分けテーブルを用いる。大当たり抽選の対象となった作動口は、図15の変動表示準備処理の対象となった作動口であるから、変動準備処理のステップS1050で決定した作動口を調べることにより、大当たり抽選の対象となった作動口を特定することが可能である。上述したように、変動表示準備処理では、処理対象の作動口を「変動表示対象フラグ」によって記憶しているので(図15のステップS1058を参照)、変動表示対象フラグを参照することにより作動口を特定して、その作動口用の振り分けテーブルを用いれ
ばよい。本実施例では、変動表示準備処理において、図柄の変動表示の対象が第1作動口25aの場合には変動表示対象フラグをリセット(OFFに設定)し、第2作動口25bの場合にはセット(ONに設定)しているので、変動表示対象フラグが「ON」であれば第2作動口用の振り分けテーブルを用い、変動表示対象フラグが「OFF」であれば第1作動口用の振り分けテーブルを用いればよい。
参照する振り分けテーブルを決定したら、振り分けテーブルを実際に参照して大当たり種別を決定する(図16:ステップS1078)。図11に例示した様に、参照テーブルには参照数値に対して大当たり種別が対応付けられているので、大当たりテーブルを参照して参照数値に対応する大当たり種別を取得することで、大当たり種別を決定することが可能である。ここで、大当たりテーブルを参照する際の参照数値としては、待機エリア142jの大当たり種別記憶領域に格納された数値を用いればよい。前述したように、大当たり種別記憶領域には大当たり種別カウンタ141cの数値が格納されているので、大当たり種別記憶領域の数値を用いることで、大当たりカウンタ141cの値に基づいて大当たり種別を決定することが可能となる。また、大当たり種別記憶領域の数値は、前述した大当たり乱数記憶領域の数値と同様に、作動口への遊技球の入球を契機として格納される。したがって、このように大当たり種別記憶領域の数値に基づいて大当たり種別を決定することにより、実質的には、作動口への入球に基づいて大当たり種別を決定することが可能である。
大当たり抽選に関する以上の処理を行ったら、今度は、図柄の変動表示の終了後に行う図柄の停止表示の態様を決定するとともに、決定した態様で図柄の停止表示を行うための各種のデータを設定する処理を行う。本実施例では、大当たり抽選の結果を反映した態様で図柄を停止表示するべく、大当たり抽選の結果が大当たりの場合には(ステップS1074:Yes)、「大当たり用の停止態様設定処理」を行い(ステップS1082)、大当たり抽選の結果が大当たりでない場合(外れの場合)には(ステップS1074:No)、「外れ用の停止態様設定処理」を行う(ステップS1084)。
図18は、大当たり用の停止態様設定処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、大当たり抽選の当否判定の結果が大当たりの場合に実行される処理であり、大当たりに対応する態様で図柄を停止表示するための各種のデータを設定する処理である。ここで、本実施例の弾球遊技機10では複数の種別の大当たりが存在することから、停止表示を行う際には、こうした大当たりの種別を反映させた態様で停止表示を行う。このことに対応して、大当たり用の停止態様設定処理では、大当たりの種別を判断して各種別ごとに処理を行う。
図示されているように、まず、通常15R大当たりか否かを判断し(ステップS1100)、通常15R大当たりであれば(ステップS1100:Yes)ステップS1118へと分岐して通常15R大当たり用の処理を行う。通常15R大当たりでなければ(ステップS1100:No)、続いて確変15R大当たりか否かを判断し(ステップS1102)、確変15R大当たりであれば(ステップS1102:Yes)、ステップS1114へと分岐して確変15R大当たり用の処理を行う。同様に、確変15R大当たりでなければ(ステップS1102:No)、続いて明示確変2R大当たりか否かを判断し(ステップS1104)、明示確変2R大当たりであれば(ステップS1104:Yes)、ステップS1110へと分岐して明示確変2R大当たり用の処理を行う。明示確変2R大当たりでもなければ(ステップS1104:No)、非明示確変2R大当たりと判断できるので、非明示確変2R大当たり用の処理を行う(ステップS1106)。こうして大当たりの種別に応じて処理を分岐させたら、分岐先の各処理(ステップS1106、ステップS1110、ステップS1114、ステップS1118)では、次に説明する「停止態様テーブル」を参照することにより、図柄の停止表示態様を決定する。
図19は、停止態様テーブルを例示した説明図である。図19(a)には、通常15R大当たり用の停止態様テーブルが示されており、図19(b)には確変15R大当たり用の停止態様テーブルが、図19(c)には非明示確変2R大当たり用の停止態様テーブルが、図19(d)には明示確変2R大当たり用の停止態様テーブルが、それぞれ示されている。前述したように、かかる停止態様テーブルはROM110の停止態様テーブルエリア114(図7を参照)に記憶されている。
図19に示されているように、停止態様テーブルには、セグメント式表示装置70での図柄の表示パターンが2パターン(図中に「表示パターン1」ないし「表示パターン2」と示された欄を参照)ずつ設定された停止態様データが複数設定されている。そして、各々の停止態様データに対して、参照数値が対応付けられている。例えば、通常15R大当たり用の停止態様テーブル(図19(a)を参照)では、図示されている様に、「0」から「4」までの参照数値に対して、「F」の文字を表す表示パターンと「L.」の文字を表す表示パターンとが設定された停止態様データ(データ1)が対応付けられている。
図柄の停止表示を行う際には、こうした停止態様テーブルから停止態様データを読み出してセグメント式表示装置70の表示パターンを取得し、取得した表示パターンに従ってセグメント式表示装置70の各LEDを点灯させることにより、図柄の停止表示を適切に行うことが可能である。停止態様データには、「表示パターン1」と「表示パターン2」の2つの表示パターンが設定されているが、このうちの表示パターン1は、セグメント式表示装置70の左表示部72(図4を参照)を点灯させる際のパターンに用いる。ここで、図19に示されている例では、15R大当たりに対応する停止態様テーブル(図19(a)の「通常15R大当たり用の停止態様テーブル」および図19(b)の「確変15R大当たり用の停止態様テーブル」)では、表示パターン1には「F」の文字を表すパターンが設定されており、一方、2R大当たりに対応する停止態様テーブル(図19(c)の「非明示確変2R大当たり用の停止態様テーブル」および図19(d)の「明示確変2R大当たり用の停止態様テーブル」)では、表示パターン1に数字の「2」を表す表示パターンが設定されている。こうすると、セグメント式表示装置70の左表示部72に表示される図柄(表示パターン1に設定された図柄)が、大当たりのラウンド数に対応することになるので、左表示部72によってラウンド数を報知することが可能である。
一方、表示パターン2は、中央表示部74あるいは右表示部76に図柄を停止表示する際に用いればよい。このとき、第1作動口25aと第2作動口25bとのどちらの作動口への入球を契機として図柄の変動表示が行われたかに応じて、図柄を停止表示する表示部を決定してもよい。例えば、第1作動口25aへの入球が契機となった場合には、中央表示部74に表示し、第2作動口25bへの入球が契機となった場合には、右表示部76に表示する。こうすれば、いずれの作動口への入球を契機として図柄の停止表示が行われたのかを報知することが可能である。
停止態様テーブルは大当たり種別ごとに設けられているので、停止態様テーブルから停止態様データを読み出す際には、大当たりの種別に応じて、それぞれの大当たりに対応する停止態様テーブルを参照すればよい。ここで、停止態様テーブルを参照して停止態様データを取得する際には、まず参照数値を取得し、その参照数値に対応付けられた停止態様データを取得する。この参照数値としては、待機エリア142jの大当たり種別記憶領域に格納された数値を用いればよい。前述したように、待機エリア142jの大当たり種別記憶領域には、大当たり種別カウンタの数値が格納されるので、こうすることで、停止態様テーブルから取得する停止態様データを、大当たり種別カウンタの数値に基づいて決定することが可能となる。
ここで、本実施例では、それぞれの停止態様テーブルの参照数値の範囲を、前述した振り分けテーブルの参照数値の範囲に対応させている。例えば、図11(a)に示された第1作動口25a用の振り分けテーブルでは、通常15R大当たりに「0」から「9」までの数値が参照数値として設定されている。これに対して図19(a)に示された通常15R大当たり用の停止態様テーブルでは、停止態様データ1に「0」から「4」までの参照数値が対応付けられ、停止態様データ2に「5」から「9」までの参照数値が対応付けられており、通常15R大当たり用の停止態様テーブル全体としては、図11(a)の振り分けテーブルと同様に、「0」から「9」までの数値が対応付けられている。
このように振り分けテーブルの参照数値の範囲と停止態様テーブルの参照数値の範囲とを対応させておけば、大当たり種別カウンタの数値を参照数値として停止態様テーブルを参照すると、その参照数値に対応する停止態様データが停止態様テーブルに確実に存在するので、停止態様データを確実に取得することができる。したがって、振り分けテーブルを参照する際と停止態様テーブルを参照する際とのいずれの場合も大当たり種別カウンタ141cの数値を参照数値として用いることが可能である。こうすれば、振り分けテーブル用の参照数値と停止態様テーブル用の参照数値とを別々に記憶しておく必要がないので、RAM140の記憶容量を節約したり、MPU102で実行する処理を簡素に保つことが可能である。
また、大当たり種別ごとに停止態様テーブルを設けておくことにより、振り分けテーブルに対応付けられた参照数値が複数の大当たり種別の間で共通している場合であっても、停止態様データを適切に取得することが可能である。例えば、図11(a)に示された第1作動口25a用の振り分けテーブルでは、「10」から「14」までの各参照数値が非明示確変2R大当たりに対応付けられているが、この「10」から「14」までの各参照数値は、図11(b)に示された第2作動口25b用の振り分けテーブルでは、確変15R大当たりに対応している(図11(b)では「10」から「29」までの参照数値が確変15R大当たりに対応付けられている点を参照)。このことに対応して、図19の停止態様テーブルでは、非明示確変2R大当たり用の停止態様テーブル(図19(c)を参照)と、確変15R大当たり用の停止態様テーブル(図19(b)を参照)とのいずれの停止態様テーブルにも、「10」から「14」までの各参照数値が設定されている。したがって、参照数値だけからは、図柄の停止表示に用いる停止態様データを適切に取得して所定の態様で停止表示を行うことは困難である。この点、停止態様テーブルを大当たり種別ごとに分けておき、参照する停止態様テーブルを決定してから停止態様テーブルを参照すれば、目的の停止態様データを確実に取得することが可能である。
一般に、複数の作動口を設けて作動口ごとに振り分けテーブルを備えると、このように同一の参照数値(上述した例では「10」から「14」までの参照数値)に対して複数の大当たり種別が対応することがあるが、こうした場合でも、大当たり種別ごとに停止態様テーブルを設けておき、参照する停止態様テーブルを決定してやれば、大当たり種別に対応する停止態様データを確実に取得することが可能である。こうすれば、参照数値に対して複数の大当たり種別が対応しないように、振り分けテーブルの間で参照数値の範囲を異ならせる(例えば、第1作動口25aでは参照数値として「0」から「29」までの数値範囲を用い、第2作動口25b用では「30」から「59」までの数値を用いる)必要がないので、振り分けテーブルの構造を簡素に保つことが可能である。更には、振り分けテーブルごとに参照数値が異なることに起因して振り分けテーブルごと(複数の作動口ごと)に大当たり種別カウンタを設ける必要もないので、メイン制御装置100の構成を簡素に保つことが可能である。
図18の大当たり用の停止態様設定処理では、大当たりの種別を判断した後、上述した様にそれぞれの大当たり種別の停止態様テーブルを参照する(ステップS1106、ステ
ップS1110、ステップS1114、ステップS1118)。このとき、参照数値に対応する停止態様データを停止態様テーブルから読み出してRAM140に格納してもよいが、停止態様データは複数のLEDの点灯パターンを記憶していることから、データ構造が複雑であったり、データサイズが大きい傾向がある。そこで、本実施例では、停止態様データを読み出すのではなく、停止態様データが格納された記憶領域のアドレスを取得する。こうすれば、停止態様データをRAM140に格納しなくても、取得したアドレスにアクセスすることで停止態様データを容易に取得することができるので、RAM140の記憶容量を節約することが可能である。また、ROM110のデータをRAM140に転送する処理を行う必要がないので、ROM110やRAM140を制御するMPU102にかかる処理負担を軽減することも可能となる。
停止態様テーブルを参照して停止態様データのアドレスを取得したら(ステップS1106、ステップS1110、ステップS1114、ステップS1118)、今度は、大当たりの種別に応じて、大当たりの種別を記憶するフラグをセットする。すなわち、通常15R大当たりであれば通常15R大当たりフラグをセットし(ステップS1120)、確変15R大当たりであれば確変15R大当たりフラグをセットし(ステップS1116)、明示確変2R大当たりであれば明示確変2R大当たりフラグをセットし(ステップS1112)、非明示確変2R大当たりであれば非明示確変2R大当たりフラグをセットする(ステップS1106)。その後、先に取得した停止態様データのアドレスをRAM140に格納し(ステップS1122)、大当たり用の停止態様設定処理を終了して、図16の変動表示開始処理に復帰する。
変動表示開始処理では、大当たり抽選の当否判定結果が大当たりの場合には、上述した大当たり用の停止態様設定処理を行う。一方、当否判定結果が外れの場合には(ステップS1074:No)、外れ用の停止態様設定処理を行う(ステップS1084)。
図20は、外れ用の停止態様設定処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、大当たり抽選の結果が外れであることを受けて、外れに対応する態様でセグメント式表示装置70の図柄を停止表示させるべく、図柄の停止表示に関する各種のデータを設定する処理である。ここで、本実施例の弾球遊技機10では、図10を参照して前述したように、「通常外れ」と「特別外れ」の2つの種別の外れが存在する。このことに対応して、外れ用の停止態様設定処理では、特別外れか通常外れかを判断して、それぞれの外れ種別に対応付けられたデータを設定することにより、外れ種別に応じて停止表示の態様を変化させる。特別外れか通常外れかは、大当たり抽選テーブルを参照することにより判別可能であるが、大当たり抽選テーブルには、非確変状態用の大当たり抽選テーブルと確変状態用の大当たり抽選テーブルとが存在する(図10を参照)。そこで、外れ用の停止態様設定処理では、まず、遊技状態が確変状態か否かを判断する(図20:ステップS1140)。前述したように、遊技状態が確変状態か否かは、フラグエリア143の「確変状態フラグ」を参照することにより判断可能である。
確変状態の場合(ステップS1140:Yes)には、確変状態用の大当たり抽選テーブルを参照して特別外れか否かを判断すればよい(S1142)。前述したように、大当たり抽選テーブルには抽選数値と抽選結果とが対応付けられているので、待機エリア142jの大当たり乱数記憶領域の数値を抽選数値として大当たり抽選テーブルを参照することにより、特別外れか否かを判断することが可能である。同様に、非確変状態の場合には(ステップS1140:No)、非確変状態用の大当たり抽選テーブルを参照して特別外れか否かを判断する。そして、特別外れの場合には(ステップS1146:Yes)、特別外れ用の停止態様テーブルを参照し(ステップ)S1148)、特別外れではない場合には(ステップS1146:No)、通常外れ用の停止態様テーブルを参照する(ステップS1150)。
図21は、特別外れ用の停止態様テーブルと通常外れ用の停止態様テーブルとを例示した説明図である。図21(a)に示された特別外れ用の停止態様テーブルや、図21(b)に示された通常外れ用の停止態様テーブルは、前述した大当たり用の停止態様テーブル(図19を参照)と同様に、セグメント式表示装置70のLEDの点灯パターンが設定された停止態様データと、参照数値とが対応付けられたデータテーブルである。こうした外れ用の停止態様テーブル(特別外れ用の停止態様テーブル及び通常外れ用の停止態様テーブル)も大当たり用の停止態様テーブルと同様に、ROM110の停止態様テーブルエリア114に記憶されている。
ここで、特別外れか通常外れかは、大当たり乱数記憶領域の数値(大当たり乱数カウンタ141aの数値)に基づいて決定されるので、このことに対応して、外れ用の停止態様テーブルから停止態様データを取得する際には、大当たり乱数記憶領域の数値を参照数値として用いる。このとき、大当たり抽選テーブル(図10を参照)において「特別外れ」の抽選結果に対応付けられている抽選数値(図10(a)の例では「157」及び「457」、図10(b)の例では「157」)を、いずれも特別外れ用の停止態様テーブル(図21(a)を参照)に設定しておく。
こうすると、特別外れが生じて特別外れ用の停止態様テーブルを参照する際には、大当たり乱数記憶領域の数値を参照数値に用いるだけで、参照数値に対応する停止態様データを確実に取得することができる。こうすれば、停止態様テーブルを参照するための数値カウンタを別途設ける必要がないので、RAM140の記憶容量を節約することが可能である。また、参照するカウンタを頻繁に切り替える必要がないことから、プログラムを簡素に保つことが可能となり、プログラムエリア111の容量を節約したり、プログラムを実行するMPU102の負荷を軽減することも可能となる。
また、通常外れ用の停止態様テーブル(図21(b)を参照)についても、特別外れ用の停止態様テーブルと同様に、大当たり抽選テーブルで「通常外れ」の抽選結果に設定されている抽選数値を全て設定しておけばよい。こうすれば、通常外れの場合にも、大当たり乱数記憶領域の数値を参照数値として用いるとにより、外れに対応する停止態様データを確実に取得することが可能となる。
上述したように、停止態様テーブルを参照することにより停止態様データを取得可能であるが、図20の外れ用の停止態様設定処理においても前述した大当たり用の停止態様設定処理と同様に、停止態様データ自体を読み出すのではなく、停止態様データが記憶された記憶領域のアドレスを取得する。そして、特別外れの場合には特別外れであることを示す「特別外れフラグ」をセットした後(図20:ステップS1152)、停止態様データのアドレスをRAM140に記憶する(ステップS1154)。以上の各処理を行って停止表示を行う準備を完了したら、図20の外れ用の停止態様設定処理を終了して、図16の変動表示開始処理に復帰する。
以上に説明したように、図16の変動表示開始処理では、大当たりの場合には大当たり用の停止態様設定処理を行い(ステップS1082)、外れの場合には外れ用の停止態様設定処理を行う(ステップS1084)ことにより、停止表示を大当たり抽選の結果に対応する態様で実行する準備を行う。こうして停止表示の準備が完了したら、続いて、図柄の変動表示時間を設定する処理(図17:ステップS1086の「変動表示時間設定処理」)を実行する。
図22は、変動表示時間設定処理の流れを示したフローチャートである。図示されているように、変動表示時間設定処理では、まず、変動種別カウンタ141dの数値を取得す
る(ステップS1180)。変動種別カウンタ141dはRAM140のカウンタエリア141に備えられているので、MPU102はRAM140にアクセスして変動種別カウンタ141dの数値を取得することが可能である。こうして変動種別カウンタ141dの数値を取得すれば、変動種別カウンタ141dの数値と変動表示時間とが対応付けられた「変動表示時間テーブル」を参照することにより、変動表示時間を設定することが可能となる。
もっとも、本実施例の弾球遊技機10では、前述したように演出表示装置30でリーチ演出を行うことが可能であり、こうしたリーチ演出では、通常の演出よりも演出時間が長くなる傾向がある。そこで、セグメント式表示装置70の図柄の変動表示時間を設定する際には、リーチ演出を行うか否かに応じて、参照する変動表示時間テーブルを切り替える(ステップS1182)。
ここで、本実施例の弾球遊技機10では、大当たり抽選の結果が大当たりの場合(明示確変2R大当たり、非明示確変2R大当たり、通常15R大当たり、確変15R大当たりの場合)および特別外れの場合にリーチ演出を行うものとする。前述したように、大当たりや特別外れが発生すると、フラグエリア143の各フラグ(非明示確変2R大当たりフラグ、明示確変2R大当たりフラグ、確変15R大当たりフラグ、通常15R大当たりフラグ、特別外れフラグ)がセットされるので(図18の「大当たり用の停止態様設定処理」および図20の「外れ用の停止態様設定処理」を参照)、フラグエリア143の各フラグを参照することにより、リーチ演出を行うか否かを判断することが可能である。
また、本実施例の弾球遊技機10では、こうした大当たりや特別外れでなくても、待機エリア142jのリーチ乱数記憶領域の数値(リーチ乱数カウンタ141eから取得した数値)が予め定められた所定の数値の場合には、リーチ演出を行う。リーチ乱数カウンタ141eはランダムな数値をとるカウンタなので、リーチ乱数カウンタ141eの数値に基づいてリーチ演出を行うか否かを決定してやれば、リーチ演出をランダムに発生させることが可能である。このように大当たりでなくてもリーチ演出をランダムに発生させてやれば、遊技者はリーチ演出が発生しても大当たりが発生すると直ちに確信することが困難なので、リーチ演出が終了して当否結果が明らかになるまで演出表示装置30に注目し続ける。これにより、遊技者の興味を遊技に引きつけることが可能である。
リーチ演出を行うものと判断された場合(ステップS1182:Yes)、次いで、「非明示確変2R大当たり」または「特別外れ」か否かを判定する(ステップS1192)。そして、非明示確変2R大当たり又は特別外れの場合には(ステップS1192:Yes)、非明示確変2R大当たり用の変動表示時間テーブルから変動表示時間を取得する(ステップS1196)。一方、非明示確変2R大当たりと特別外れとのいずれでもない場合には(ステップS1192:No)、通常リーチ演出用の変動表示時間テーブルから変動表示時間を取得する(ステップS1194)。
前述したように、本実施例の弾球遊技機10では、非明示確変2R大当たりの場合と特別外れの場合とで、大入球口60の動作や電動役物41の動作を一致させたり類似させることにより、特別外れの場合においても、非明示確変2R大当たりが発生したのではとの期待を遊技者に抱かせて遊技者を遊技に引きつけることが可能である。この点、大入球口60の動作や電動役物41の動作に加えて、図柄の変動表示時間を一致させておけば、非明示確変2R大当たりの場合と特別外れの場合とで、弾球遊技機10の動作をより類似させることができる。そこで、このように非明示確変2R大当たりの場合と特別外れの場合とで、同じ変動表示時間テーブル(図22の例では非明示確変2R大当たり用の変動表示時間テーブル)を参照してやれば、非明示確変2R大当たりの場合と特別外れの場合とで、図柄の変動時間を同一にすることが容易に可能となる。
一方、リーチ演出を実行しない場合には(ステップS1182:No)、続いて、作動口25の保留数を取得する処理を行う(ステップS1184)。すなわち、保留数が多い場合、保留が十分にあることや上限値を超えて保留数を増やすことはできないことから、遊技者は遊技球の発射を停止してしまうことがある。この観点から、保留数が多い場合には、保留を迅速に消化することが望ましい。そこで、変動表示時間設定処理では、保留数に応じて変動表示時間を適切に設定するために、保留数を取得しておく。前述したように、保留数は保留記憶エリア142の総保留数記憶領域142iや保留数記憶領域142aや保留数記憶領域142eにアクセスすることで取得可能である。
保留数を取得したら、次いで、高サポートモードが実行されているか否かを判断する(ステップS1186)。前述したように、高サポートモードは、遊技球の入球が容易な態様で電動役物41が開閉する動作モードであるから、高サポートモードでは、第2作動口25bに遊技球が入球し易く保留が貯まり易い。そこで、高サポートモード用の変動表示時間テーブルを用意しておき、高サポートモードの実行中には(ステップS1186:Yes)、高サポートモード用の変動表示時間テーブルを参照する(ステップS1190)。こうすれば、高サポートモード用の変動表示時間テーブルの変動表示時間を短時間に設定しておくことにより、貯まった保留を迅速に消化することが可能となる。これにより、高サポートモードでは、第2作動口25bへ遊技球が頻繁に入球するとともに図柄の変動表示が短時間で終了することになり、図柄の変動表示が次から次へと行われてスピード感のある遊技を楽しむことが可能となる。
一方、高サポートモードでない場合には(ステップS1186:No)、低サポートモード用の変動表示時間テーブルから変動表示時間を取得すればよい(ステップS1188)。こうして、リーチ演出の有無や高サポートモードか否かに応じて参照する変動表示時間テーブルを決定し、変動表示時間テーブルから変動表示時間を取得したら、取得した変動表示時間をRAM140の汎用エリア146に記憶する。なお、変動表示時間テーブルから変動表示時間を取得する際には、ステップS1184で取得した保留数に基づいて、取得する変動表示時間を決定する。例えば、変動表示時間テーブルに保留数と変動表示時間と対応付けて設定しておき、保留数に対応する変動表示時間を取得すればよい。こうすることにより、保留数に応じて適切な変動表示時間を設定することが可能となる。
以上の各処理により、図柄の変動表示時間を設定したら、図22の変動表示時間設定処理を終了して、図16ないし図17の変動表示開始処理に復帰する。なお、変動表示時間テーブルから取得した変動表示時間は、RAM140の汎用エリア146に格納するものとしてもよいし、あるいは、MPU102内のカウンタに格納するものとしてもよい。後述するように、図柄の変動表示が開始されると時間の経過を計時するが、取得した変動表示時間をMPU102内のカウンタに格納しておけば、そのカウンタを所定のペースでカウントダウンしてカウンタが「0」になったことを検出することにより、変動表示時間の経過を容易に検出することができるので、好適である。
図16ないし図17の変動表示開始処理に復帰したら(図17:ステップS1086)、次いで、図柄の変動表示を実行する旨をサブ制御装置200に伝えるために、「変動開始コマンド」および「遊技結果コマンド」を前述したコマンドバッファ145に格納する(ステップS1088)。変動開始コマンドには、先に設定した変動表示時間に関する情報や、リーチ演出の有無に関する情報が含まれており、サブ制御装置200は変動開始コマンドを受け取ることにより、セグメント式表示装置70での図柄の変動表示時間にあわせて演出表示装置30で演出図柄を変動表示したり、リーチ演出を行うことが可能である。また、遊技結果コマンドには、今回の変動表示にかかる遊技回の結果に関する情報が含まれている。例えば、大当たり抽選の結果に関する各種の情報(大当たりの種別や外れの
種別など)が含まれており、遊技結果コマンドを受け取ることにより、サブ制御装置200は大当たり抽選の結果や大当たりの種別や外れの種別に応じて、各種の演出を実行することが可能である。なお、コマンドバッファ145に格納されたこれらのコマンドは、前述したように、外部出力処理(図13:ステップS1000)の際にサブ制御装置200に送信される。
コマンドバッファ145にコマンドを格納したら、図柄の変動表示を実行する準備が整ったので、実際に変動表示を開始する(ステップS1090)。これにより、セグメント式表示装置70で図柄の変動表示が開始されるので、図16ないし図17の変動表示開始処理を終了して図14の図柄遊技処理に復帰する(図14のステップS1038を参照)。
なお、本実施例のセグメント式表示装置70には、左表示部72と中央表示部74と右表示部76の3つの表示部が設けられているが、図柄の変動表示を行う際には、変動表示の契機が第1作動口25aへの入球か第2作動口25bへの入球かに応じて、変動表示を行う表示部を決定すればよい。本実施例では、第1作動口25aへの入球を契機として変動表示を行う場合には、中央表示部74で変動表示を行い、第2作動口25bへの入球を契機として変動表示を行う場合には、右表示部76で変動表示を行うものとする。
図14の図柄遊技処理では、図柄の変動表示が行われていない場合には(ステップS1032:No)、上述した変動表示準備処理および変動表示開始処理を実行することにより、図柄の変動表示を開始する。一方、図柄の変動表示を実行中の場合には(ステップS1032:Yes)、変動表示時間が経過するまで図柄の変動表示を継続するために、次に説明する「変動表示継続処理」を実行する(ステップS1040)。
図23は、変動表示継続処理の流れを示したフローチャートである。図示されているように、変動表示継続処理では、まず、変動表示時間が経過したか否かを判断する(ステップS1210)。変動表示時間が経過したか否かは各種の方法により判断可能であるが、簡単には、変動表示を開始してからの経過時間をメイン制御装置100に備えられたタイマ回路等を用いて計測し、前述の変動表示時間設定処理(図22を参照)で設定した変動表示時間と比較することにより判断すればよい。あるいは、MPU102のクロックパルスをカウントすることにより、変動表示時間が経過したか否かを判断することも可能である。例えば、所定の数のクロックパルスをカウントするごとにカウンタをカウントアップしていき、変動表示時間に対応する所定の数値にカウンタの数値が達したら、割り込みを発生させて、変動表示時間が経過したことを示すフラグを割り込み処理によりセットする。このフラグがセットされているか否かを調べることにより、変動表示時間が経過したか否かを判断可能である。一般に、クロックパルスは正確な時間周期を有するので、クロックパルスをカウントすることで、変動表示時間の経過を正確に検出することが可能である。
あるいは、メインループ処理(図13を参照)のループ回数をカウントすることによって、変動表示時間の経過を検出することも可能である。すなわち、前述したようにメインループ処理は4msecごとに繰り返し実行されるので、繰り返し回数(ループ回数)から経過時間を推測することができる。このようにループ回数をカウントすることで変動表示時間が経過したか否かを判断すれば、タイマ回路等を別途設けなくてもよいので、メイン制御装置100の装置構成を簡素に保つことが可能である。更には、後述するタイマ割り込み処理が実行された際にカウンタを更新することによって時間を計測することも可能である。タイマ割り込み処理は所定の時間周期で実行されるので、タイマ割り込み処理の実行時にカウンタを更新すれば、カウンタの数値が経過時間に対応する。こうした場合もタイマ回路等を別途設ける必要がないので、好適である。
変動表示時間が経過していない場合(図23のステップS1210:No)、セグメント式表示装置70のLEDの点灯パターンを変更する(S1212)。前述したように、図柄遊技処理は4msecごとに繰り返し実行されるので(図13を参照)、図柄遊技処理内で実行される変動表示継続処理も、4msecごとに繰り返し実行される。したがって、変動表示継続処理の中でLEDの点灯パターンを変更してやれば、変動表示時間が経過するまでLEDの点灯パターンを繰り返し変更することが可能である。もっとも、LEDの点灯パターンを4msec間隔で変更するのでは変更の間隔が短すぎるので、実際には、0.1秒程度の間隔で更新すればよい。例えば、変動表示継続処理が25回繰り返されたらLEDの点灯パターンを変更してやれば、0.1秒間隔でLEDの点灯パターンを変更することが可能である。こうしてセグメント式表示装置70のLEDの点灯パターンを速い周期で繰り返し変更することにより、セグメント式表示装置70において図柄の変動表示を実行することが可能となる。
セグメント式表示装置70のLEDの点灯パターンを繰り返し変更しているうちに変動表示時間が経過すると、今度は、ステップS1210において変動表示時間が経過したものと判断されて(ステップS1210:Yes)、ステップS1214の「変動表示終了処理」を実行する。
図24は、変動表示終了処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、セグメント式表示装置70の図柄の変動表示時間が経過すると、これを受けて、セグメント式表示装置70で図柄の停止表示を行う処理である。図示されている様に、処理を開始すると、まず、図柄の停止態様が設定された停止態様データ(図19および図21を参照)を取得するために、前述の停止態様設定処理で取得した停止態様データのアドレス(図18のステップS1122および図20のステップS1154を参照)をRAM140から読み出す(ステップS1230)。次いで、取得したアドレスに基づいて、ROM110のテーブルエリア113から停止態様データを取得する(ステップS1232)。
前述したように、停止態様データにはセグメント式表示装置70のLEDの表示パターンが設定されているので(図19または図20を参照)、設定された表示パターンにしたがってLEDを点灯させればよい。停止態様データには「表示パターン1」と「表示パターン2」の2つの表示パターンが設定されているが、図柄の停止表示には「表示パターン2」を用いればよい。また、前述したように本実施例の弾球遊技機10では、第1作動口25aへの入球を契機とする変動表示を中央表示部74で行い、第2作動口25bへの入球を契機とする変動表示を右表示部76で行う。これに対応させて、第1作動口25aへの入球を契機とする変動表示の場合には、中央表示部74で図柄の停止表示を行い、第2作動口25bへの入球を契機とする変動表示の場合には、右表示部76で図柄の停止表示を行えばよい。そこで、停止態様データを取得したら(ステップS1232)、中央表示部74と右表示部76とのいずれの表示部で停止表示を行うかを決定するために、変動表示対象フラグを参照することにより、実行中の図柄の変動表示がいずれの作動口への入球を契機とする変動表示なのかを特定する(ステップS1234)。
変動表示の対象が第2作動口25bへの入球の場合(ステップS1236:Yes)、図柄の変動表示が右表示部76で行われることから、これに対応して右表示部76で図柄の停止表示を行う(ステップS1240)。このとき、停止態様データの表示パターン2に従って右表示部76の各LEDを点灯させることで、停止態様データに設定された態様で停止表示を行うことが可能である。一方、第2作動口25bへの入球ではなく第1作動口25aへの入球を契機とした場合は、図柄の変動表示が中央表示部74で行われることに対応して、中央表示部74で図柄の停止表示を行う(ステップS1238)。このときも停止態様データに従って中央表示部74の各LEDを点灯させることにより、停止態様
データに設定された態様で停止表示を行うことが可能である。こうしてセグメント式表示装置70で停止表示を行うことにより図柄の変動表示を終了したら、図24の変動表示終了処理を終了して図23の変動表示継続処理に復帰する(図23のステップS1214を参照)。変動表示継続処理へ復帰した後は、図柄の変動表示が終了したことをサブ制御装置200に通知する「変動終了コマンド」をコマンドバッファ145に格納する(ステップS1216)。その後、変動表示継続処理を終了して、図14の図柄遊技処理に復帰する(図14のステップS1040を参照)。
以上に説明したように、図柄遊技処理では、大当たり抽選の当否判定や、図柄の変動表示や停止表示に関連する各種の処理を実行する。そして、図柄の変動表示を実行すると、大当たり抽選の当否結果が大当たりの場合には、大当たりに対応した態様で図柄を停止表示させる。こうして大当たりが発生した場合には、メインループ処理(図13を参照)において図柄遊技処理の次に実行される「遊技状態移行処理」(図13:ステップS1008)により、弾球遊技機10の遊技状態を大当たり遊技状態に移行させる。
図25は、遊技状態移行処理の流れを示したフローチャートである。図示されている様に、遊技状態移行処理では、まず、大入球口60の開閉モードを実行中か否かを判断する(ステップS1260)。すなわち、遊技状態移行処理は図13のメインループ処理内で繰り返し実行されるので、すでに大当たり遊技状態に移行して大入球口60の開閉モードを実行している場合がある。そこで、開閉モードを実行中か否かを判断して、開閉モードの実行中でない場合にのみ、開閉モードを開始する処理を行う。後述するように、本実施例の弾球遊技機10では、開閉モードが開始されると「開閉モードフラグ」がセットされるので、この開閉モードフラグを参照することにより、開閉モードを実行中か否かを判断することが可能である。
開閉モードの実行中でない場合には(ステップS1260:No)、まず、セグメント式表示装置70の図柄の変動表示が終了したか否かを判断する(ステップS1262)。前述したように、大入球口60の開閉モードは、図柄の変動表示を終了して図柄を停止表示した後に開始するので、図柄の変動表示が終了していない場合には、開閉モードを開始せずにそのまま遊技状態移行処理を終了する(ステップS1262:No)。変動表示が終了している場合には(ステップS1262:Yes)、続いて、開閉モードを実際に開始するか否かを判断する(ステップS1264)。
前述したように、本実施例では大入球口60の開閉モードを実行するのは、大当たり抽選の結果が大当たり(通常15R大当たり、確変15R大当たり、非明示確変2R大当たり、明示確変2R大当たり)の場合および特別外れの場合である。したがって、大当たり抽選の結果がこれらに該当するか否かを判断すればよい。前述したように、本実施例では大当たり抽選の結果が大当たりの場合には、各大当たり種別に対応するフラグ(通常15R大当たりフラグ、確変15R大当たりフラグ、非明示確変2R大当たりフラグ、明示確変2R大当たりフラグ)がセットされるので(図18の「大当たり停止態様設定処理を参照」)、これらのフラグを参照することにより、大当たり抽選の結果を調べることが可能である。また、特別外れの場合も同様に、特別外れフラグがセットされるので(図20のステップS1152を参照)、特別外れフラグを参照することで特別外れか否かを判断することが可能である。
開閉モードを開始すると判断した場合(図25のステップS1264:Yes)、ステップS1266の開閉モード開始処理を実行する。かかる処理では、前述した開閉モードフラグをセットする。また、本実施例の弾球遊技機10では、開閉モードを開始するといっても、大当たりや特別外れが発生すると大入球口60の開閉を直ちに開始するのではなく、所定の時間だけ待機してから開閉動作を開始する。そこで、この待機時間の経過を検
出するために、待機時間をMPU102のタイマに設定する。このように大入球口60の開閉を開始する前に所定の待機時間(オープニング時間)を設けておくと、大入球口60の開閉を開始する前に、大入球口60の開閉が開始されることを遊技者に知らせる演出(オープニング演出)を行うことが可能である。これにより、大当たり遊技等の興趣をいっそう向上させることが可能となる。また、待機時間を設けておけば、開閉モードを実行するための準備処理を確実に完了してから実際の開閉動作を開始することができるので、不完全な状態で開閉動作を開始してしまう事態を回避して開閉モードを適切に実行することが可能となる。例えば、サブ制御装置200では開閉モードにあわせて所定の演出画像を演出表示装置30に表示するが、こうした演出画像はデータサイズが大きいため、サブ制御装置200内のROMからの読み出しに時間を要することがある。こうした場合でも、待機時間を設けておくことで、開閉モードの開始にあわせて演出画像を適切に表示することが可能となる。
なお、オープニング時間は予めROM110に記憶されており、ROM110から読み出してタイマに設定することが可能である。本実施例では、開閉モードを高頻度入球モードで実行する場合(通常15R大当たり又は確変15R大当たりの場合)には、オープニング時間を「1秒」に設定する。一方、低頻度入球モードの場合(非明示確変2R大当たり、明示確変2R大当たり、特別外れの場合)には、高頻度入球モードの場合よりも短い「0.2秒」に設定する。後述するように、低頻度入球モードでは大入球口60の開閉動作がすばやく行われて大入球口60の開閉モードが迅速に終了するので、これにあわせてオープニング時間も短く設定しておけば、開閉モードの開始から終了までの一連の遊技をテンポよく進行させることができる。これにより、延いては遊技者に爽快感を与えることも可能とある。
また、時間の経過を計測するタイマとしては各種のタイマを用いることが可能であるが、本実施例では、カウンタに設定された数値を一定の時間間隔でカウントダウンすることにより時間を計測するカウントダウンタイマを用いる。カウントダウンタイマはメイン制御装置100に備えられており、カウンタの数値を一定の時間間隔で繰り返しカウントダウンすることにより経過時間を計測するとともに、カウンタの値が「0」になったことを検出することによって、カウンタに設定した時間が経過したことを検出することが可能である。
開閉モード開始処理を実行したら(ステップS1266)、次いで、セグメント式表示装置70の左表示部72のLEDを、停止態様テーブルの停止態様データに従って点灯させる。すなわち、前述したように停止態様テーブルの停止態様データには、中央表示部74や右表示部76の表示に用いる表示パターン(表示パターン2)に加えて、左表示部72の表示に用いる表示パターン(表示パターン1)が設定されているので、この表示パターン1に従って左表示部72のLEDを点灯させる。前述したように、大当たりの停止態様データでは表示パターン1が大当たり遊技のラウンド数に対応しているので(図19を参照)、こうすることで。左表示部72をラウンド数表示部として用いることが可能となる。
続くステップS1270では、大当たり抽選の結果が15R大当たり(通常15R大当たり又は確変15R大当たり)か否かを判断する。こうした判断は、通常15R大当たりフラグや確変15R大当たりフラグを参照することにより可能である。15R大当たりの場合には(ステップS1270:Yes)、大入球口60を開放する残りの回数(ラウンド数)をカウントするラウンド残数カウンタ141gに「15」を設定する(ステップS1274)。一方、15R大当たりでない場合は(ステップS1270:No)、非明示確変2R大当たりや明示確変2R大当たりや特別外れ等の、大入球口60を2回開放する種別に該当するので、ラウンド残数カウンタ141gに「2」を設定する(ステップS1
272)。
ラウンド残数カウンタ141gを設定したら、次いで、開閉モードが開始されてオープニング時間に移行することをサブ制御装置200に通知するために、「オープニング開始コマンド」をコマンドバッファ145に格納する。コマンドバッファ145に格納したオープニング開始コマンドは、前述した外部出力処理(図13:ステップS1000)によりサブ制御装置200へと送信され、これを受けてサブ制御装置200では、開閉モードの開始にあわせて各種の演出処理を実行することにより、遊技を盛り上げることが可能となる。また、かかるオープニング開始コマンドには、開始する開閉モードが低頻度入球モードであるか高頻度入球モードであるかを通知する情報を含めることが可能であり、こうすることで、サブ制御装置200では低頻度入球モードか高頻度入球モードかに応じて演出内容を切り替えるなど、開閉モードの種別に基づいて演出内容を決定することが可能となる。
コマンドバッファ145にオープニング開始コマンドを格納したら(ステップS1276)、次いで、開閉モードの開始に関連する各種の情報を外部に出力するために、外部出力端子910に各種の信号を出力する(ステップS1278)。例えば、大当たりの種別を示す各フラグ(通常15R大当たりフラグ、確変15R大当たりフラグ、非明示確変2R大当たりフラグ、明示確変2R大当たりフラグ)を参照して、いずれかのフラグがセットされていれば、大当たりが発生したことを伝える端子の電圧を高レベルに設定する。こうすることにより、外部出力端子910に接続されたホールコンピュータでは、大当たりが発生したことを把握することが可能となる。もちろん、前述したように、特別外れの場合にも信号を出力してもよいし、あるいは、大当たりであることを知らせるだけでなく大当たりの種別を知らせる信号を出力してもよい。
以上の処理により開閉モードの実行を開始すると、図13のメインループ処理で遊技状態移行処理が再び呼び出された際に、図25のステップS1260で今度は開閉モードの実行中と判断されて(ステップS1260:Yes)、ステップS1280へと移行する。ステップS1280では、先に設定したカウントダウンタイマを参照することにより、先に設定したオープニング時間が終了したか否かを判断する。オープニング時間が終了していない場合には(ステップS1280:No)、オープニング時間が終了するまで待機するために、そのまま遊技状態移行処理を終了してメインループ処理(図13を参照)に復帰する。このようにオープニング時間が終了するまではステップS1280において「No」と判断されてメインループ処理に復帰することにより、大入球口60の開閉動作をオープニング時間が終了するまで待機することができる。こうしてステップS1280の判断を繰り返しながら待機するうちにオープニング時間が終了すると、今度はステップS1280で「Yes」と判断されて、ステップS1282の「大入球口開閉処理」に移行する。
図26および図27は、大入球口開閉処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、オープニング時間が終了したことを受けて、大入球口60の開閉を実際に行う処理である。大入球口開閉処理を開始すると、まず、大入球口60が開放状態か否かを判断して、開放中か否かに応じて処理を分岐させる(ステップS1310)。大入球口60を開放中でない場合には(ステップS1310:No)、次いでラウンド残数カウンタ141gが「0」か否かを確認する(ステップS1312)。ラウンド残数カウンタ141gが「0」の場合には(ステップS1312:Yes)、全てのラウンドが消化されており、大入球口60を開放する必要がないので、そのまま大入球口開閉処理を終了して図25の遊技状態移行処理へと復帰する。
一方、ラウンド残数カウンタ141gが「0」でない場合には、続いてカウントダウン
タイマが「0」か否かを判断し(ステップS1314)、カウントダウンタイマが「0」でない場合は、そのまま大入球口開閉処理を終了する(ステップS1314:No)。すなわち、後述するようにカウントダウンタイマには、大入球口60を閉鎖状態に維持する時間(閉鎖時間)が大入球口60を閉鎖した際に設定されているので、カウントダウンタイマが「0」になるまで(カウントダウンタイマに設定された閉鎖時間が経過するまで)は、大入球口60を開放せずにそのまま処理を終了する。こうすることにより、設定した閉鎖時間が経過するまで大入球口60を閉鎖状態に保って、大入球口60の開閉動作を適切な時間間隔で繰り返すことが可能となる。
カウントダウンタイマが「0」の場合には(ステップS1314:Yes)、大入球口60の閉鎖後に所定の時間(設定した閉鎖時間)が経過しているので、大入球口60を開放する「大入球口開放処理」を行う(ステップS1316)。かかる処理では、メイン制御装置100に接続された大入球口駆動部62に駆動信号を送信することにより、大入球口駆動部62を駆動して大入球口60を開放状態にする。
こうして大入球口60を開放状態にしても、前述したように、所定の数の遊技球が大入球口60に入球したり、あるいは開放後に所定の時間が経過した場合には、大入球口60を再び元の閉鎖状態に戻す必要がある。そこで、大入球口60を開放状態にしたら、続いて、開放状態から閉鎖状態に戻すか否かの判断に用いる各種のカウンタを設定すべく、ステップS1318の「開放時の条件カウンタ設定処理」を実行する。
図28は、開放時の条件カウンタ設定処理の流れを示した説明図である。かかる処理では、まず、大入球口60の開閉モードを、高頻度入球モードと低頻度入球モードとのいずれのモードで実行するかを判断する(S1360)。すなわち、高頻度入球モードと低頻度入球モードとでは、前述したように大入球口60が閉鎖されるまでの時間(開放時間)が異なるが、こうした差異は、大入球口60を閉鎖状態に戻すまでの条件をそれぞれ異なる条件に設定することにより生じさせることが可能である。そこで、実行する開閉モードが高頻度入球モードか低頻度入球モードかに応じて処理を分岐させて、それぞれのモードで異なる条件を設定する。前述したように、本実施例では、通常15R大当たりや確変15R大当たりの場合には高頻度入球モードを実行し、非明示確変2R大当たりや明示確変2R大当たりや特別外れの場合には、低頻度入球モードを実行するものとしている。したがって、ステップS1360では、各大当たり種別に対応するフラグ(通常15R大当たりフラグ、確変15R大当たりフラグ、非明示確変2R大当たりフラグ、明示確変2R大当たりフラグ)や、特別外れフラグを参照することにより、高頻度入球モードを実行するか否かを判断すればよい。
大入球口60の開閉モードを高頻度入球モードで実行する場合(ステップS1360:Yes)、前述したカウントダウンタイマを「30秒」に設定する(ステップS1362)。一方、低頻度入球モードで実行する場合には(ステップS1360:No)、カウントダウンタイマを「0.2秒」に設定する(ステップS1366)。こうすることにより、高頻度入球モードの場合には、低頻度入球モードよりも長い時間にわたって大入球口60を開放状態にすることができるので、遊技球がより入球し易い態様で開閉モードを実行することが可能となる。
また、高頻度入球モードの場合には、入球残数カウンタに「10」を設定する(ステップS1364)。後述するように、入球残数カウンタは大入球口60への入球があると1ずつカウントダウンされるので、設定した個数の遊技球が入球すると、入球残数カウンタが「0」になる。これにより、設定した個数の入球があったことを検出することが可能となる。一方、低頻度入球モードの場合には、入球残数カウンタの数値を高頻度入球モードの場合よりも小さくして「6」に設定する(ステップS1368)。こうすることで、低
頻度入球モードの場合には高頻度入球モードよりも少ない入球数で大入球口60を閉鎖することができるので、低頻度入球モードの場合には、大入球口60への入球に対して払い出す賞球数を、高頻度入球モードの場合よりも抑えることができる。
図28の条件カウンタ設定処理を終了して図26の大入球口開閉処理に復帰したら(ステップS1318)、今度は、大入球口60を開放状態にしたことをサブ制御装置200に通知するために、「大入球口開放コマンド」をコマンドバッファ145に格納する(ステップS1320)。大入球口開放コマンドには、大入球口60の開閉モードが高頻度入球モードと低頻度入球モードとのいずれであるかの情報が含まれており、大入球口開放コマンドをサブ制御装置200に送信することにより、サブ制御装置200では開閉モードが高頻度入球モードか低頻度入球モードであるかを把握して、それぞれのモードに対応した演出を実行することが可能となる。
こうして図26の大入球口開閉処理を終了したら、図25の遊技状態移行処理へと復帰し(図25のステップS1282を参照)、後述するステップS1284からステップS1292の各処理を行った後に、図13のメインループ処理へと復帰する。図13に示されているようにメインループ処理では各処理が繰り返し実行されるので、所定の時間が経過した後に図25の遊技状態移行処理が再び実行されて、ステップS1282において大入球口開閉処理が再び実行される。すると今度は大入球口60が開放されていることから、大入球口開閉処理のステップS1310(図26を参照)において「Yes」と判断されて、図27のステップS1322へと移行する。
ステップS1322へ移行した状態では、上述したように大入球口60は開放状態になっているので、今度は大入球口60を閉鎖するか否かの判断を行う。まずはカウントダウンタイマが「0」か否かを判断する(ステップS1322)。前述したように、カウントダウンタイマには大入球口60を開放状態に維持する時間(開放時間)が設定されているので(図28のステップS1362、ステップS1366を参照)、カウントダウンタイマが「0」であれは、開放時間が経過したものと判断できる。そこで、カウントダウンタイマが「0」の場合には(ステップS1322:Yes)、大入球口60を閉鎖すべく、ステップS1330の「大入球口閉鎖処理」を実行する。かかる大入球口閉鎖処理では、大入球口駆動部62に駆動信号を送信することにより、大入球口駆動部62を駆動して大入球口60を閉鎖状態にする。
一方、カウントダウンタイマが「0」でない場合には、開放時間がまだ経過していないので、大入球口60を直ちに閉鎖する必要はない。もっとも、開放時間が経過していなくても、所定の数の遊技球が大入球口60に入球した場合には、大入球口60を閉鎖してもよい。そこで、本実施例では、カウントダウンタイマが「0」でない場合には(ステップS1322:No)、今度は大入球口60への入球があったか否かを判断し(ステップS1324)、入球があった場合には、入球残数カウンタをカウントダウンする(ステップS1326)。入球残数カウンタをカウントダウンした結果、入球残数カウンタが「0」になれば(ステップS1328:Yes)、所定の数の遊技球が大入球口60に入球したことを意味するので、大入球口60を閉鎖するために、上述した大入球口閉鎖処理を実行する(ステップS1330)。入球残数カウンタが「0」でない場合は(ステップS1328:No)、所定の入球数に達していないので、大入球口60を閉鎖せずに、大入球口開閉処理をそのまま終了すればよい。また、大入球口60への入球がなかった場合には(ステップS1324:No)、入球残数カウンタをカウントダウンするまでもなく、大入球口閉鎖処理をそのまま終了すればよい。なお、大入球口60への入球の有無は、大入球口60内に設けたセンサ60sの検出状態をメイン制御装置100が読み出すことにより判定可能である。
入球残数カウンタが「0」の場合(ステップS1328:Yes)、大入球口閉鎖処理を行って大入球口60を閉鎖するとともに(ステップS1330)、大入球口60を閉鎖したことにより1回分のラウンドが終了したので、ラウンド残数カウンタ141gから「1」を減算する(ステップS1332)。次いで、所定のラウンド数が全て終了したか否かを判断すべく、ラウンド残数カウンタが「0」か否かを判断する(ステップS1334)。ラウンド残数カウンタが「0」でない場合には(ステップS1334:No)、ラウンドがまだ残っているので、大入球口60を再び開放状態にする必要がある。そこで、大入球口60を再び開放状態にする際に用いる各種のカウンタを設定すべく、ステップS1336の「閉鎖時の条件カウンタ設定処理」を実行する。
図29は、閉鎖時の条件カウンタ設定処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理では、前述した「開放時の条件カウンタ設定処理」と同様に、高頻度入球モードか否かに応じて処理を分岐させて、開放状態に移行する条件を各モードごとに設定する。高頻度入球モードの場合は(ステップS1380:Yes)、カウントダウンタイマを「2秒」に設定する(ステップS1382)。こうすることにより、カウントダウンタイマを設定してから2秒が経過すると、大入球口開閉処理(図26を参照)のステップS1314において「Yes」と判断されることとなり、その結果、大入球口60が開放される(ステップS1316)。これにより、所定の閉鎖時間(この例では2秒)が経過するまでは大入球口60を閉鎖状態に保つとともに、閉鎖時間が経過すると大入球口60を開放状態に移行させることが可能となる。
一方、低頻度入球モードの場合には(図29のステップS1380:No)、カウントダウンタイマを「0.2秒」に設定する。こうすることで、大入球口60を閉鎖してから僅かな時間が経つとすぐに大入球口60を開放することができる。また、前述したように、低頻度入球モードの場合には、大入球口60を開放してもすぐに大入球口60を閉鎖する(図28の開放条件カウンタ設定処理のステップS1336においてカウントダウンタイマに「0.2秒」を設定している点を参照)。したがって、低頻度入球モードでは、大入球口60の開放と閉鎖とが短時間に繰り返されて全ラウンドが迅速に終了する。こうすることで、スピード感のある遊技を実現したり、あるいは、大入球口60の開閉モードが実行されたことを遊技者に気付かれることなく開閉モードを終了することが可能である。前述したように、非明示確変2R大当たりや明示確変2R大当たりでは、大入球口60の開閉モードの終了後に確変状態に移行するので、こうすることで、遊技者に気付かれずに確変状態へ移行することも可能となり、延いては、いつのまにか大当たりが発生しやすくなっているという驚きを遊技者に与えて遊技の興趣を高めることが可能となる。
なお、開閉モードを実行したことを遊技者に気付かれ難くするためには、大入球口60の開放時間が短ければよく、閉鎖時間は必ずしも短い必要はない。すなわち、遊技者は閉鎖状態の大入球口60を見ても、大入球口60が開閉動作を行っていることに気付くのは困難である。したがって、閉鎖時間は必ずしも短く設定しておく必要はない。もちろん、閉鎖時間を短く設定してもよく、こうした場合には、開閉モード全体が迅速に終了するので、開閉モードを遊技者により気付かれ難い態様で実行することが可能である。なお、これらの閉鎖時間や開放時間は、ROM110に予め記憶しておき、ROM110から読み出してカウントダウンタイマに設定すればよい。
カウントダウンタイマに閉鎖時間を設定したら(図29のステップS1382又はステップS1384)、閉鎖時の条件カウンタ設定処理を終了して図27の大入球口閉鎖処理に復帰する(図27のステップS1336を参照)。次いで、大入球口60を閉鎖したことをサブ制御装置200に通知するために、「大入球口閉鎖コマンド」をコマンドバッファ145に格納する(ステップS1338)。大入球口閉鎖コマンドには、開閉モードが高頻度入球モードと低頻度入球モードとのいずれのモードかに関する情報が含まれており
、サブ制御装置200は大入球口閉鎖コマンドを受け取ることにより、それぞれのモードに対応した演出を実行することが可能である。
一方、ラウンド残数カウンタが「0」の場合には(ステップS1334:Yes)、エンディング開始処理を実行する(ステップS1340)。すなわち、全てのラウンドが終了したことから開閉モードを終了することが可能であるが、本実施例では、全ラウンドの終了後に直ちに開閉モードを終了するのではなく、所定の時間(エンディング時間)が経過してから開閉モードを終了する。そこで、ステップS1340では、こうしたエンディング時間をカウントダウンタイマに設定する処理を行う。エンディング時間はROM110に予め記憶しておき、ROM110から読み出してカウントダウンタイマに設定すればよい。こうすれば、エンディング時間が経過するとカウントダウンタイマが「0」になることにより、エンディング時間の経過を検出することが可能となる。
このようなエンディング時間を設けた場合、エンディング時間中に各種の演出を行うことが可能である。例えば、開閉モードの終了後に確変状態に移行するのであれば、確変状態に移行する旨を演出により遊技者に知らせることが可能であるし、あるいは、再び大当たりに当選することを狙って遊技者が遊技を続けるように、遊技を盛り上げる各種の演出を行うことも可能である。そこで、エンディング開始処理を実行したら(ステップS1340)、エンディング時間が始まったことをサブ制御装置200に通知するために、「エンディング開始コマンド」をコマンドバッファ145に設定する(ステップS1342)。かかるエンディング開始コマンドには、開閉モードが高頻度入球モードか低頻度入球モードかについての情報が含まれており、サブ制御装置200はエンディング開始コマンドを受け取ることにより、高頻度入球モードか低頻度入球モードかに応じて演出態様を決定することができる。エンディング開始コマンドも他のコマンドと同様に、メインループ処理の中の外部出力処理(図13:ステップS1000)によりサブ制御装置200に送信されるので、サブ制御装置200は、エンディング時間の開始に同期して演出を開始することが可能である。
なお、本実施例では、高頻度入球モードの場合にはカウントダウンタイマに「1秒」を設定し、低頻度入球モードの場合には「0.2秒」を設定する。前述したように、低頻度入球モードの場合には大入球口60の開閉が短時間で行われるので、これにあわせてエンディング時間も短くしてやれば、開閉モードの開始から終了までの一連の動作を迅速に実行することができる。こうすることで、遊技をテンポ良く進行させて遊技の爽快感を高めることが可能となる。
以上に説明したように、大入球口開閉処理では、大入球口60を開閉してラウンドを消化するとともに、全ラウンドを消化した際には、エンディング時間をカウントダウンタイマに設定する。こうした大入球口開閉処理を終了したら、図25の遊技状態移行処理に復帰する(図25のステップS1282を参照)。
遊技状態移行処理に復帰したら、次いで、ラウンド残数カウンタ141gを参照することにより、全ラウンドが終了したか否かを判断する(ステップS1284)。ラウンド残数カウンタ141gが「0」であれば(ステップS1284:Yes)、次いで、カウントダウンタイマを参照することにより、エンディング時間が経過したか否かを判断する(ステップS1286)。全ラウンドが終了して且つエンディング時間も終了していれば(ステップS1286:Yes)、開閉モードを終了するために、後述する「開閉モード終了時移行処理」(ステップS1288)や開閉モード終了処理(ステップS1292)などを実行する。一方、全ラウンドが終了していなかったり(ステップS1284:No)、エンディング時間が終了していない場合には(ステップS1286:No)、開閉モードを継続するので、遊技状態移行処理をそのまま終了する。
図30および図31は、開閉モード終了時移行処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、大入球口60の開閉モードの終了にともなって遊技状態を各種の状態に移行させる処理である。本実施例の弾球遊技機10では、エンディング時間の終了後(開閉モードを終了する直前)にこうした処理を実行することにより(図25のステップS1288)、開閉モードの終了後に遊技状態を所定の状態に確実に移行させることを可能としている。
前述したように、本実施例の弾球遊技機10では開閉モードの終了後の遊技状態が、大当たりの種別や外れの種別によって異なる。そこで、開閉モード終了時移行処理では、大当たりの種別に応じて処理を分岐させる。まず、確変15R大当たり又は明示確変2R大当たりであるかを判断して(ステップS1400)、確変15R大当たり又は明示確変2R大当たりの場合には(ステップS1400:Yes)、ステップS1406へと進む。確変15R大当たりや明示確変2R大当たりであるかは、確変15R大当たりフラグや明示確変2R大当たりフラグを参照することにより判断可能である。
確変15R大当たりの場合および明示確変2R大当たりの場合には、前述したように、大入球口60の開閉モードの終了後に確変状態に移行するとともに、電動役物41のサポートモードを高サポートモードで実行開始する。このことに対応して、確変15R大当たりの場合および非明示確変2R大当たりの場合には、確変状態フラグをセットするとともに(ステップS1408)、高サポートモードフラグをセットする(S1410)。こうすることで、確変状態に移行するとともに、高サポートモードを実行開始することができる。なお、各フラグをセットする前には、遊技状態を識別する各種のフラグ(開閉モードフラグ、確変状態フラグ、高サポートモードフラグ)を一旦リセットしておく(ステップS1406のフラグリセット処理)。こうすることにより、目的のフラグだけを確実にセットすることが可能である。
なお、確変状態であって且つ高サポートモードが実行されている状態は、第2作動口25bに遊技中が入球し易い上に大当たりが発生しやすいので、遊技者にとってたいへんに有利な状態である。このことから、本実施例では、確変状態かつ高サポートモード中の遊技状態を、「特別有利状態」と呼ぶものとする。
確変15R大当たりの場合または非明示確変2R大当たりの場合(ステップS1400:Yes)、こうした特別有利状態が開始されることに対応して、確変状態フラグおよび高サポートモードフラグをセット(ステップS1408、ステップS1410)した後に、「特別有利状態開始コマンド」をコマンドバッファ145にセットする(ステップS1412)。特別有利状態開始コマンドは他の各種コマンドと同様に、メインループ処理の外部出力処理(図13:ステップS1000)によってサブ制御装置200へと送信される。これを受け取ることでサブ制御装置200では、特別有利状態が開始されたことを把握して、特別有利状態を盛り上げる演出などの各種の演出を実行することが可能となる。
一方、確変15R大当たりや明示確変2R大当たりでない場合には(ステップS1400:No)、次いで、非明示確変2R大当たりか否かを判断する(ステップS1402)。すなわち、確変15R大当たりや明示確変2R大当たりではなくても、非明示確変2R大当たりの場合には、大入球口60の開閉モードの終了後に遊技状態を確変状態に移行させる。このため、非明示確変2R大当たりか否かを判断して、非明示確変2R大当たりの場合には(ステップS1402:Yes)、ステップS1404へと分岐する。なお、非明示確変2R大当たりか否かは、非明示確変2R大当たりフラグを参照することで判断可能である。
ここで、非明示確変2R大当たりは、開閉モードが終了しても高サポートモードが開始されない点で、確変15R大当たりや明示確変2R大当たりと異なる。もっとも、非明示確変2R大当たりに当選する以前から高サポートモードが実行されている場合には、そのまま高サポートモードを継続すればよい。そこで、ステップS1404では、高サポートモードフラグがセットされているか否かを判断し、高サポートモードフラグがセットされていれば(ステップS1404:Yes)、確変15R大当たりや明示確変2R大当たりと同様に、確変状態フラグをセットするとともに(ステップS1408)、高サポートモードフラグをセットする(ステップS1410)。また、特別有利状態開始コマンドをコマンドバッファに格納する(ステップS1412)。
一方、高サポートモードフラグがセットされていない(高サポートモードが実行されていない)場合には(ステップS1404:No)、確変状態フラグのみをセットする(ステップS1416)。こうすると、非明示確変2R大当たりが発生した際に電動役物41が高サポートモードで駆動していれば、そのまま高サポートモードが継続され、高サポートモードが実行されていなければ、高サポートモードが実行されない状態が継続する。これにより、前述したように非明示確変2R大当たりに当選したことを遊技者が電動役物41によって気付くことを困難にして、いつのまにか確変状態に移行しているという驚きを遊技者により確実に与えることが可能となる。
また、高サポートモードフラグがセットされていない場合には(ステップS1404:No)、確変状態フラグのみをセットして高サポートモードフラグをセットしないことから、特別有利状態は開始されない。このことに対応して、「特別有利状態終了コマンド」をコマンドバッファ145に格納する(ステップS1418)。サブ制御装置200は、かかる特別有利状態終了コマンドを受け取ることにより、特別有利状態が発生しないことを把握して特別有利状態以外の遊技状態に応じた演出を実行することが可能である。なお、ステップS1416で確変状態フラグをセットする前には、遊技状態を識別する各種のフラグ(開閉モードフラグ、確変状態フラグ、高サポートモードフラグ)をリセットしておく(ステップS1414)。前述したように、こうすることで確変状態フラグだけを確実にセットすることができる。
非明示確変2R大当たりでない場合には(ステップS1402:No)、次いで、通常15R大当たりフラグを参照して通常15R大当たりか否かを判断する(図31:ステップS1420)。通常15R大当たりの場合には(ステップS1420:Yes)、他の大当たり種別の場合と同様にフラグリセット処理(ステップS1422)を実行した後、高サポートモードフラグをセットする(ステップS1424)。ここで、通常15R大当たりの場合には、フラグリセット処理を行った後に確変状態フラグをセットしないことから、確変状態フラグは「OFF」の状態となる。こうすることで、通常15R大当たりの場合には、遊技状態を確変状態に移行させずに大入球口60の開閉モードを終了させることができる。また、通常15R大当たりが発生した際に遊技状態が確変状態であったとしても、非確変状態に復帰させることが可能である。
フラグリセット処理を行ったら(ステップS1422)、次いで、高サポートモードフラグを設定する(ステップS1424)。これにより、大入球口60の開閉モードの終了後には高サポートモードが開始されて第2作動口25bに遊技球が入球し易くなる。通常15R大当たりの場合には開閉モードの終了後に確変状態に移行しないことから、開閉モードが終了すると遊技者の遊技に対する興味が低下し易い傾向があるが、このように第2作動口25bに入球し易い遊技状態に移行すれば、遊技者にとって有利な状態になることから遊技者の興味が低下するのを回避して遊技者の興味を遊技に引きつけておくことが可能となる。
高サポートモードフラグをセットしたら(ステップS1424)、次いで、遊技回残数カウンタを「100」にセットする。ここで、前述したように本実施例では、作動口への入球から図柄の停止表示までの一連の遊技が「1遊技回」に相当する。遊技回残数カウンタは1遊技回が行われるごとにカウントダウンされるので、遊技回残数カウンタを「100」に設定した場合は100遊技回が行われると遊技回残数カウンタが「0」になる。したがって、遊技回残数カウンタが「0」になったら高サポートモードを終了させてやれば、100遊技回の間だけ高サポートモードを実行することが可能である。前述したように、作動口25への入球から図柄の停止表示までが1遊技回に相当するので、こうすることにより、作動口へ100回の入球があるまで高サポートモードを継続することができる。このように所定の数の入球があるまで高サポートモードを継続すれば、高サポートモード時の作動口への入球を容易にしておくことにより、遊技者に対して所定の数の入球(および入球を契機とする大当たり抽選の実施)を実質的に保障することが可能となる。その結果、遊技者の興味を遊技にいっそう引きつけておくことが可能となる。
遊技回残数カウンタを設定したら(ステップS1426)、続いて、「特別有利状態終了コマンド」をコマンドバッファ145に格納する(ステップS1428)。すなわち、通常15R大当たりの場合には大入球口60の開閉モードの終了後に確変状態に移行しないので、特別有利状態とはならない。このため、特別有利状態にはならない旨をサブ制御装置200に通知する特別有利状態終了コマンドをコマンドバッファ145に設定しておく。
一方、通常15R大当たりでもない場合には(ステップS1420:No)、特別外れの場合なので、確変状態フラグや高サポートモードフラグを変更せずに、開閉モード終了時移行処理をそのまま終了する。すなわち、特別外れの場合には、特別外れが発生する前の遊技状態が確変状態であれば、確変状態を維持するし、非確変状態であれば非確変状態を維持する。同様に、高サポートモードであれば高サポートモードを維持し、高サポートモードでなければ、高サポートモードでない状態を維持する。
ここで、前述したように、非明示確変2R大当たりの場合についても特別外れの場合と同様に、非明示確変2R大当たりの発生時に高サポートモードであれば、開閉モードの終了後も高サポートモードが継続され、非明示確変2R大当たりの発生時に高サポートモードが実行されていなければ、高サポートモードが実行されない状態が継続する。したがって、開閉モードの終了時に遊技者が電動役物41の動作に注目していても、非明示確変2R大当たりと特別外れとのいずれが発生したのかを電動役物41の動作から判断することは困難である。非明示確変2R大当たりの場合には、開閉モードの終了後に確変状態に移行することから、遊技者は非明示確変2R大当たりに当選していることを期待しながら遊技を行うので、このように非明示確変2R大当たりと特別外れとの見分けを困難にすることにより、特別外れの場合であっても、非明示確変2R大当たりが発生したのではないかとの期待を遊技者に抱かせることができる。こうして遊技者の期待感を高揚させることにより、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
以上に説明したように、開閉モード終了時移行処理では、開閉モードの終了後に大当たりの種別等に対応した所定の遊技状態に移行させるべく、確変状態フラグや高サポートモードフラグなどの各種のフラグを設定する処理を行う。こうして開閉モード終了時移行処理を終了したら、図25の遊技状態移行処理へと復帰する(図25のステップS1288を参照)。
遊技状態移行処理へと復帰したら、引き続き、開閉モードを終了するための各処理を行う。まず、セグメント式表示装置70の左表示部72の表示を終了する(ステップS1290)。前述したように、セグメント式表示装置70の左表示部72には開閉モードのラ
ウンド数に対応する図柄を表示しているので(ステップS1268を参照)、開閉モードの終了にともなって表示を終了する。左表示部72の表示を終了したら、最後に、開閉モード終了処理を実行する(ステップS1292)。かかる処理では、それぞれの種別の大当たりフラグ(通常15R大当たりフラグ、確変15R大当たりフラグ、明示確変2R大当たりフラグ、非明示確変2R大当たりフラグ)および特別外れフラグをリセットする。以上の処理により開閉モードを終了したら、図13のメインループ処理に復帰する。
なお、セグメント式表示装置70の左表示部72の表示(ラウンド数に対応する表示)は、上述したように、開閉モードの開始時に表示が開始され(ステップS1268)、開閉モードの終了時に表示が終了する(ステップS1290)。一方、右表示部76や中央表示部74(作動口への入球に起因して図柄の変動表示および停止表示が行われる表示部)の停止表示は、開閉モードの開始前から表示されるとともに、開閉モードが終了しても直ちに終了せず、次の変動表示が開始されるまで継続して表示される。このため、左表示部72の表示は、中央表示部74や右表示部76の停止表示に比べて短時間だけ表示することが可能となっている。特に、低頻度入球モードの場合には、開閉モードが短時間で終了することから、左表示部72の表示をより短時間だけ表示することが可能である。これにより、特別外れの場合と非明示確変2R大当たりとを、左表示部72の表示に基づいて容易に判別されてしまう事態を回避可能としている。
上述したように、メインループ処理の遊技状態移行処理(ステップS1008)では、大当たりや特別外れの発生に応じて、遊技状態を開閉モードに移行させるとともに、開閉モードを終了する際に各種のフラグを設定することにより、大当たりの種別に応じた遊技状態に遊技状態を移行させる。こうした遊技状態移行処理を行ったら、次いで、電動役物41の動作を制御する「電動役物制御処理」を行う(ステップS1010)。なお、上述した電動役物41のサポートモードは、かかる電動役物制御処理によって電動役物41が駆動されることにより実現される。
図32および図33は、電動役物制御処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理では、まず、「サポート中フラグ」がセットされているか否か(「ON」に設定されているか否か)を判定する(ステップS1440)。後述するように、サポート中フラグはサポートモードを開始するための諸条件がそろった際にセットされるフラグである。サポート中フラグがセットされている場合には(ステップS1440:Yes)、電動役物41を開閉させる「電動役物開閉処理」(ステップS1490)を実行することにより、サポートモードを開始する。サポート中フラグが「ON」でない場合には(ステップS1440:No)、続いて、サポートモードを開始する諸条件を確認する各処理(ステップS1442〜ステップS1450)を順に行う。
まず、サポート当選フラグが「ON」か否かを判定する(ステップS1444)。前述したように、本実施例の弾球遊技機10では、スルー作動口24への入球を契機とした抽選に当選した場合(サポート当選の場合)に電動役物41を開放状態にするが、サポート当選フラグは、こうした抽選(サポート抽選)に当選したことを記憶するフラグである。サポート当選フラグをセットする処理については後述する。
サポート抽選に当選していない場合や、あるいは、サポート抽選の当否判定をまだ行っていない場合は、サポート当選フラグがセットされていないのでステップS1442で「No」と判断されてステップS1444へと進む。ステップS1444では、カウントダウンタイマが「0」か否かの判定を行う。後述するように、カウントダウンタイマには、スルー用セグメント式表示装置80での図柄の変動表示時間が設定されている。したがって、ステップS1444では、図柄の変動表示時間が経過したか否かの判定を行うことになる。カウントダウンタイマが「0」でない場合には(ステップS1444:No)、変
動表示時間がまだ経過していないので、サポートモードを開始せずに電動役物制御処理を終了してメインループ処理(図13を参照)に復帰する。
メインループ処理では、電動役物制御処理が所定の時間間隔で繰り返し実行されるが(図13を参照)、変動表示時間が経過するまでは、電動役物制御処理(図32を参照)のステップS1444で「No」と判定されてすぐにメインループ処理に復帰する。このため、ステップS1444以降の処理の実行を、変動表示時間が経過するまで待機することができる。こうして待機しているうちに変動表示時間が経過すると、ステップS1444で「Yes」と判定されて、ステップS1446へと進む。
変動表示時間が経過した場合には、変動表示時間が経過したことに対応して、スルー用セグメント式表示装置80の変動表示を終了して図柄を停止表示すればよい。もっとも、ステップS1444においてカウントダウンタイマが「0」と判定されるのは、変動表示時間が経過した場合に限らない。たとえば、図柄の変動表示がそもそも開始されていない場合には、カウントダウンタイマは「0」のままである。あるいは、前述したように電動役物制御処理はメインループ処理で繰り返し実行されるので、図柄の変動表示時間が経過した直後だけでなく、その後も繰り返し実行され、この場合もステップS1444においてカウントダウンタイマは「0」のままである。そこで、カウントダウンタイマが「0」の場合には(ステップS1444:Yes)、変動表示が終了した直後か否かを判断する(ステップS1446)。かかる判断は種々の方法で行うことが可能であるが、例えば、電動役物制御処理が前回に実行されたときのカウントダウンタイマの数値を記憶しておき、今回のカウントダウンタイマの数値とを比較すればよい。カウントダウンタイマの前回の数値が「0」以外の数値であり、今回の数値が「0」であれば、前回は変動表示時間が経過しておらず、今回は変動表示時間が経過していることから、変動表示時間が経過した直後であると判断することができる。
変動表示が終了した直後の場合には(ステップS1446:Yes)、スルー用セグメント式表示装置80の変動表示を終了して図柄を停止表示させるために、スルー用セグメント式表示装置80に停止図柄を表示する(ステップS1448)。このとき、サポート当選フラグがOFFであることから(ステップS1442を参照)、実行していた図柄の変動表示に対応するサポート抽選の結果は、外れである。したがって、スルー用セグメント式表示装置80には外れに対応する図柄(外れ図柄)を表示する。
変動表示が終了した直後でない場合は(ステップS1446:No)、変動表示がそもそも行われていないか、あるいは変動表示は行われたものの、変動表示の終了直後に外れ図柄を既に停止表示しているので、ステップS1448をスキップしてステップS1450へと進む。
ステップS1450では、スルー作動口の保留数が「0」か否かを判定する。すなわち、スルー用セグメント式表示装置80で図柄の変動表示が終了していることから、スルー作動口の保留があれば(ステップS1450:No)、保留を消化して図柄の変動表示を開始すればよい。逆に、保留がなければ(ステップS1450:Yes)、そのまま電動役物制御処理を終了すればよい。スルー作動口の保留に関する情報は、RAM140の電動役物保留エリア144に記憶されているので、電動役物保留エリア144を参照することで保留の有無を判定可能である。
スルー作動口の保留がある場合(ステップS1450:Yes)、上述したように、保留を消化して図柄の変動表示を開始するとともに、サポート抽選の当否判定を行えばよい。そして、当否判定の結果が当たりであれば電動役物41を開放状態にすればよい。ここで、本実施例では、こうした処理を行うに際して、まず、電動役物41を高サポートモー
ドで動作させるか否かを判定する(図33:ステップS1452)。そして、高サポートモードで動作させる場合と、そうでない場合(低サポートモードの場合)とで処理を分岐させる。こうすることにより、高サポートモードと低サポートモードとで電動役物41の動作態様に差異を設けることが可能となる。高サポートモードで実行するか否かは、前述した開閉モード終了時移行処理で設定した高サポートモードフラグ(図30のステップS1410及び図31のステップS1424を参照)を参照することにより判定可能である。
ここで、本実施例では、高サポートフラグがセットされている場合には(図33のステップS1452:Yes)、更に、大入球口60の開閉モードの実行中か否かを判断し(ステップS1454)、開閉モードの実行中の場合には(ステップS1454:Yes)低サポートモード用の処理(ステップS1472から始まる処理)に移行させる。こうすると、開閉モードの実行中には、電動役物41の動作モードは低サポートモードとなって第2作動口25bへの入球が高サポートモードほど容易ではなくなる。開閉モードの実行中は大入球口60に遊技球が入球し易いことから多数の賞球が払い出される傾向があるが、このように第2作動口25bへの入球を高サポートモードよりも困難にしておけば、第2作動口25bへの入球に対する賞球の払出を抑えることができるので、大入球口60の開閉モード中に払い出される賞球の数を全体として抑えることが可能である。
更に、このように開閉モード中に第2作動口25bへの入球を抑制することにより、遊技者に著しい不満を抱かせることなく出玉数を抑制することが可能となる。すなわち、大入球口60の開閉モード中は、遊技者は大入球口60に注目する傾向があることから、電動役物41の動作態様が変化したことに気付き難い。また、たとえ電動役物41の動作態様の変化に気付いたとしても、大入球口60への入球によって多数の賞球が得られることから、第2作動口25bへの入球によって得られる賞球がある程度減っても、全体として多数の賞球を得られることには変わりがないので、著しい不満を抱き難い傾向がある。こうした理由から、遊技者に不満や不信感を感じさせることなく出玉数を抑制することが可能である。
なお、大入球口60への入球が容易な高頻度入球モードに限らず、入球が困難な低頻度入球モードの場合であっても同様に、遊技者に著しい不満を抱かせることなく電動役物41の動作モードを低サポートモードに切り替えることが可能である。すなわち、大入球口60の開閉モードが低頻度入球モードの場合には、大入球口60の開放時間が短いことから、開閉モード自体を迅速に終了することができる。このため、大入球口60の開閉モードの終了にともなって直ぐに高サポートモードを再開することができるので、電動役物41の動作モードが低サポートモードになったことに遊技者は気付き難い。また、たとえ遊技者が気付いたとしても、すぐに高サポートモードが再開されることから、遊技者は著しい不満を感じることが少ない。こうした理由から、大入球口60の動作モードが低頻度入球モードの場合であっても、遊技者に不満を抱かせることなく低サポートモードに切り替えることが可能である。
また、このように大当たり発生時に高サポートモードであったか否かにかかわらず、大入球口60の開閉モード中は低サポートモードにするものとしておけば、大当たり発生時に高サポートモードであったか否かによって、大当たり遊技中の第2作動口25bへの入球のし易さが大きく変化することがない。したがって、大当たり発生時に高サポートモードであったか否かによって、大当たり遊技により得られる出玉数に大きな差が生じることがなく、結果として、大当たり遊技ごとの出球数のバラツキを抑えることが可能となる。
なお、本実施例では、まず高サポートモードか否かを判定し(ステップS1452)、その次に開閉モード中か否かを判定しているが(ステップS1454)、これとは逆の順
に判定を行ってもよい。すなわち、まず開閉モード中か否かを判定し、開閉モード中の場合にはステップS1472以降の低サポートモード用の処理を行う。開閉モード中でない場合は、次いで高サポートモードか否かの判定を行い、高サポートモードであればステップS1456以降の高サポートモード用の処理を行い、高サポートモードでなければステップS1472以降の低サポートモード用の処理を行う。こうすれば、開閉モード中は高サポートモードか否かの判定をしなくてよいので、開閉モード中のMPU102の処理負担を軽減することが可能である。これとは逆に、図33のように高サポートモードか否かの判断を先に行えば、高サポートモードでない場合(低サポートモードの場合)には開閉モード中か否かの判定をしなくてよいので、高サポートモードでない状態でのMPU102の処理負担を軽減することが可能である。
高サポートモードかつ開閉モード中でない場合(ステップS1452:Yes、ステップS1454:No)および低サポートモードまたは開閉モード中の場合(ステップS1452:No、またはステップS1454:Yes)のいずれの場合も、保留を消化して図柄の変動表示を開始する際には、まず、電動役物保留エリア144の値を用いて、サポート抽選の当否判定を行う(ステップS1456、ステップS1472)。すなわち、スルー作動口24に遊技球が入球すると電動役物開放カウンタ141fの値が電動役物保留エリア144に取得されるので、この値が所定の当たり数値に該当するか否かを判定することにより、サポート抽選の当否判定を行う。本実施例では、電動役物開放カウンタ141fの値は「0」から「249」までの数値範囲をとり、このうちの「0」から「190」までの範囲の数値が当たり数値に該当する。したがって、電動役物保留エリア144の値が「0」から「190」までの範囲内であれば、当否判定結果はサポート抽選の当選(サポート当選)となる。
なお、高サポートモードの場合と低サポートモードの場合とで、サポート抽選に当選する確率を異ならせておくものとしてもよい。例えば、高サポートモードでは低サポートモードよりも高い確率でサポート抽選に当選するようにしておく。こうすれば、高サポートモードでは、電動役物41の開放時間を低サポートモードよりも長くすることができるだけでなく、電動役物41が開閉する頻度を高めることもできるので、第2作動口25bへの入球をより容易にすることが可能となる。また、これとは逆に、低サポートモードの場合の方が高サポートモードの場合よりも高い確率でサポート当選するように当選確率を設定しておくものとしてもよい。こうすれば、低サポートモードでは電動役物41が高サポートモードよりも頻繁に開閉するので、たとえ電動役物41の開放時間が短くても、第2作動口25bに入球するのではとの期待を遊技者に抱かせて遊技者を遊技に引きつけることが可能である。さらには、電動役物41の開閉がスルー作動口24に起因することから、遊技者の注意をスルー作動口24に引きつけたり、スルー作動口24を狙って発射ハンドル11を操作させることも可能となる。
サポート抽選の当否判定を行ったら(ステップS1456又はステップS1472)、次いで、図柄の変動表示を開始するために、スルー用セグメント式表示装置80の図柄の変動表示時間をカウントダウンタイマに設定する(ステップS1458又はステップS1474)。こうしてカウントダウンタイマに図柄の変動表示時間を設定することにより、前述したように、カウントダウンタイマが「0」か否かを判定することによって、図柄の変動表示時間の経過を検出することが可能となる(図32のステップS1444、ステップS1492を参照)。
ここで、本実施例では、高サポートモードの場合には図柄の変動表示時間を「1.5秒」に設定している(ステップS1458)。図柄の変動表示が終了すると、サポート抽選の結果に応じて電動役物41が開放状態になるが、このように図柄の変動表示時間を数秒程度に設定しておけば、図柄の変動表示を数秒程度で終了して電動役物41を開放状態に
迅速に切り替えることができる。これにより、遊技がテンポよく進む印象を遊技者に与えて遊技の興趣を高めることができる。また、電動役物41が開放状態になるのは図柄の変動表示の終了後であるから、図柄の変動表示時間を短くしてやれば、その分だけ電動役物41が頻繁に開放状態になる。これにより、開放状態の割合(開放状態の時間と閉鎖状態の時間との和に占める開放時間の割合)を向上させて、第2作動口25bへの入球をより促進することが可能となる。加えて、スルー作動口24への入球に対する保留を迅速に消化することができるので、保留数が上限値に達してスルー作動口24への入球が無駄になることによって遊技者が不満を抱いてしまう虞を回避することが可能である。
一方、低サポートモードの場合には、図柄の変動表示時間を高サポートモードの場合よりも長い「29.5秒」に設定している(ステップS1474)。このように変動表示時間を高サポートモードの場合よりも長くしておけば、図柄の変動表示が長く行われる分だけ電動役物41の開閉動作の頻度が低下するので、第2作動口25bへの入球が高サポートモードよりも困難な状態を実現することが可能である。また、変動表示時間を長くすれば、開放状態の時間の割合(開放状態の時間と閉鎖状態の時間との和に占める開放状態の時間の割合)を低下させることができ、逆に、変動表示時間を短くすれば、開放状態の割合を上昇させることができるので、変動表示時間を調整することにより、結果として第2作動口25bへの入球のし易さを調整することができる。このことから、延いては第2作動口25bへの入球を起因とする大当たり抽選が行われる頻度や、第2作動口25bへの入球に対して払い出される遊技球の数を調整することも可能である。特に、本実施例のように低サポートモード時の変動表示時間を20秒以上に設定しておけば、第2作動口25bへの入球を十分に抑制して出玉数を抑えたり、あるいは、低サポートモード時には第1作動口25aへの入球に基づく大当たり抽選が主として行われるようにすることも可能である。
カウントダウンタイマに図柄の変動表示時間を設定したら(ステップS1458、またはステップS1474)、次いで、サポート抽選の結果がサポート当選か否かに応じて処理を分岐させる(ステップS1460、またはステップS1474)。サポート当選でなければ(ステップS1460:No、またはステップS1476:No)、電動役物41の開閉動作は行わないので、電動役物制御処理をそのまま終了してメインループ処理に復帰する。一方、サポート当選の場合には(ステップS1460:Yes、またはステップS1476:Yes)、これに対応して、「サポート当選フラグ」をセットする(ステップS1462、またはステップS1478)。
次いで、電動役物41を開放状態にする回数を、開放残数カウンタにセットする(ステップS1464、またはステップS1480)。本実施例では、高サポートモードの場合には開放残数カウンタに「3」を設定し(ステップS1464)、低サポートモードの場合には高サポートモードよりも少ない「1」を設定している(ステップS1480)。こうすることにより、高サポートモードでは低サポートモードよりも多数回にわたって電動役物41が開閉されるので、第2作動口25bへの入球が低サポートモードよりも促進される状態を実現することが可能となる。一方、低サポートモードでは、開放残数カウンタに設定する数値を小さくしておけば、電動役物41が開放状態になる回数を抑えて出玉数を抑えることが可能である。特に、本実施例のように最も小さい「1」に設定しておけば、電動役物41を開放状態にすることによって、電動役物41が開かないことによる不満を遊技者が抱くのを回避しつつ、第2作動口25bへの入球に起因する出玉を極力抑えることが可能となる。また、第2作動口25bへの入球が困難なことから、前述したように、低サポートモード時には第1作動口25aへの入球に基づく大当たり抽選が主として行われるようにすることも可能となる。
低サポートモードの場合、開放残数カウンタに数値を設定したら(ステップS1480
)、図32ないし図33の電動役物制御処理を終了してメインループ処理へと復帰する。一方、高サポートモードの場合には、続いて、高サポートモードフラグをリセットするか否かの判断を行うとともに、判断結果に応じて高サポートフラグをリセットする各処理を行う(ステップS1466〜ステップS1470)。
まず、確変状態の場合には(ステップS1466:No)、高サポートモードフラグをリセットすることなく、電動役物制御処理を終了する。こうすることで、確変状態の場合には高サポートモードを終了せずにそのまま維持することが可能となるので、確変状態では、大当たり抽選の当選確率が高いことに加えて、第2作動口25bへの入球も頻繁に生じることになり、その結果、大当たりをより容易に発生させることが可能となる。
非確変状態の場合には(ステップS1466:Yes)、次いで、遊技回残数カウンタが「0」か否かを判定する。すなわち、前述したように本実施例の弾球遊技機10では、通常15R大当たりの発生にともなって高サポートモードに移行した場合は(図31のステップS1424を参照)、所定回数の遊技回が行われるまで高サポートモードを維持し、所定回数の遊技回が行われたら高サポートモードを終了する。そこで、高サポートモードを維持する遊技回の残数が設定された遊技回残数カウンタ(ステップS1426を参照)を参照して、遊技回残数カウンタが「0」か否かを判定する。遊技回残数カウンタが「0」であれば(ステップS1468:Yes)、所定回数の遊技回が行われたことを意味するので、高サポートモードフラグをリセットする(ステップS1470)。一方、遊技回残数カウンタが「0」でなければ、所定回数の遊技回がまだ終了していないので、高サポートモードフラグをリセットすることなく、図32ないし図33の電動役物制御処理を終了する(ステップS1468:No)。
なお、本実施例では、確変状態の場合には高サポートモードを継続するものとして説明したが、確変状態についても上述した非確変状態の場合と同様に、所定回数の遊技回が行われたら高サポートモードを終了する(高サポートモードフラグをリセットする)ものとしてもよい。こうした場合には、遊技者は高サポートモードが終了して入球が困難になる前に大当たりに当選したいと望みながら遊技を行う傾向があるので、確変状態であることに遊技者が安心してしまって遊技に対する興味が低下してしまう虞を回避して、遊技者の興味を遊技に引きつけておくことが可能となる。
また、上述したように本実施例では、高サポートモードでない場合(ステップS1452:No)と、開閉モード中の場合(ステップS1454:Yes)とで、図柄の変動表示やサポート抽選にかかる各処理(ステップS1472〜ステップS1480)を共通化しているが、それぞれの場合で異なる処理を行ってもよい。例えば、高サポートモードでない場合と開閉モード中の場合とで図柄の変動時間を異ならせたり、あるいはサポート抽選の当選確率を異ならせてもよい。こうすれば、大入球口60の開閉モードの実行中と低サポートモード時とで電動役物41が開閉する頻度や開閉までに要する時間を異ならせることが可能であり、延いては、第2作動口25bへの入球頻度や、第1作動口25aと第2作動口25bとの入頻度の比率を、開閉モード時と低サポートモード時とで異ならせることも可能となる。一方、本実施例のように処理を共通化しておけば、プログラムを簡素に保ってROM110のプログラムエリア111の容量を節約したり、あるいは、プログラムを実行するMPU102の処理負担を軽減することが可能である。
電動役物制御処理を終了してメインループ処理に復帰すると(図13:ステップS1010)、所定時間の経過後に電動役物制御処理が再び実行されるが、このとき、先に実行したサポート抽選に当選してサポート当選フラグを設定していれば(図33のステップS1462、ステップS1478を参照)、今度は図32のステップS1442において「Yes」と判定されて、ステップS1492へと移行する。ステップS1492では、ス
ルー用セグメント式表示装置80の図柄の変動表示時間が経過したか否かを判断するために、カウントダウンタイマが「0」か否かを判定する。カウントダウンタイマが「0」でなければ、変動表示時間がまだ経過していないので、そのまま電動役物制御処理を終了して再びメインループ処理に復帰する(ステップS1492:No)。一方、カウントダウンタイマが「0」であれば(ステップS1492:Yes)、変動表示時間が経過したので、スルー用セグメント式表示装置80の図柄を停止表示する(ステップS1494)。このとき、サポート抽選に当選していることから、当たりに対応する図柄(当たり図柄)を停止表示する。
当たり図柄を停止表示したら、図柄の変動表示が終了してサポートモードに実際に移行することに対応して、「サポート中フラグ」をセットする(ステップS1496)。また、サポート中フラグをセットしたことに伴って、代わりにサポート当選フラグをリセットする(ステップS1498)。こうしてサポート中フラグをセットすると、メインループ処理に復帰後に再び電動役物制御処理が実行された際に、今度はステップS1440で「Yes」と判定されて、電動役物41を実際に開閉する「電動役物開閉処理」(ステップS1490)へと移行する。
図34は、電動役物開閉処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理では、まず、電動役物41を開放中か否かを判断する(ステップS1500)。電動役物41を開放中か否かは種々の方法で判断することが可能であるが、本実施例の弾球遊技機10では、電動役物41を駆動する電動役物駆動部42(図7を参照)の動作状況をメイン制御装置100が検知することにより、電動役物41を開放中か否かを判断する。電動役物41を開放中の場合には(図34のステップS1500:Yes)、次いで、所定の時間が経過するまで電動役物41を開放状態に保つために、カウントダウンタイマが「0」か否かを判定する(ステップS1502)。すなわち、後述するようにカウントダウンタイマには電動役物41を開放状態に維持する時間(開放時間)が設定されるので、カウントダウンタイマが「0」か否かを調べることにより、設定した開放時間が経過したか否かを判断する。
カウントダウンタイマが「0」でない場合には、カウントダウンタイマに設定した開放時間がまだ経過していないので、電動役物41を閉鎖せずに電動役物開閉処理をそのまま終了する(ステップS1502:No)。こうして電動役物開閉処理を終了すると、図32の電動役物制御処理へと復帰した後(ステップS1490)、更に図13のメインループ処理へと復帰する。メインループ処理では電動役物制御処理が繰り返し実行されるので、図32の電動役物制御処理が再び実行され、更に図34の電動役物開閉処理が実行される(図32:ステップS1490)。電動役物制御処理(図34を参照)では、カウントダウンタイマが「0」でなければ、再びメインループ処理に復帰するので(ステップS1502:No)、こうしたメインループ処理への復帰と電動役物開閉処理の実行とが、カウントダウンタイマが「0」になるまで繰り返される。これにより、カウントダウンタイマに設定した開放時間が経過するまで、電動役物41を開放状態に保つことが可能となる。
メインループ処理への復帰と電動役物開閉処理の実行を繰り返すうちに開放時間が経過すると、今度はステップS1502において「Yes」と判定されて、ステップS1504の「電動役物閉鎖処理」へと移行する。かかる処理では、メイン制御装置100に接続された電動役物駆動部42(図7を参照)に制御信号を送信することにより、電動役物41を駆動して電動役物41を閉鎖状態にする。次いで、電動役物41を閉鎖状態に保つ時間をカウントダウンタイマに設定する。本実施例では、カウントダウンタイマを「0.5秒」に設定する(図34:ステップS1506)。このように閉鎖時間を短時間に設定しておくことにより、電動役物41を複数回にわたって開放させる高サポートモードでは、
電動役物41が閉鎖されても短時間ですぐに次の開放が行われるので、第2作動口25bへの入球が容易な状態に電動役物41を迅速に復帰させることが可能となる。
電動役物41を開放状態から閉鎖状態に切り替えたら、電動役物41の開放が1回終了したことから、開放残数カウンタの値をカウントダウンする(ステップS1508)。次いで、開放残数カウンタが「0」か否かを判定し(ステップS1510)、開放残数カウンタが「0」であれば(ステップS1510:Yes)、設定した回数だけ電動役物41を開放したので、サポートモードを終了すべく、サポート中フラグをリセットする(ステップS1512)。開放残数カウンタが「0」でない場合には、設定した回数分の開放動作がまだ終了していないので、サポート中フラグをリセットせずに電動役物開閉処理を終了する(ステップS1510:No)。
一方、電動役物を開放中でない場合には(ステップS1500:No)、電動役物41が閉鎖状態なので、今度は電動役物41を開放状態にする処理を行う。まず、カウントダウンタイマが「0」か否かを判定する(ステップS1514)。電動役物41が閉鎖状態の場合、前述したように、カウントダウンタイマには電動役物41を閉鎖状態に維持する時間(閉鎖時間)が設定されている(ステップS1506を参照)。したがって、カウントダウンタイマが「0」でない場合には閉鎖時間がまだ経過していないので、電動役物41を開放せずに電動役物開閉処理を終了する(ステップS1514:No)。
前述したように、電動役物開閉処理を終了して電動役物制御処理(図32を参照)へ復帰すると、更にメインループ処理(図13を参照)へと復帰した後、再び電動役物制御処理が実行されて(図13:ステップS1010)、電動役物開閉処理が呼び出される(図32:ステップS1490)。そして、電動役物開閉処理では、カウントダウンタイマが「0」になるまではメインループ処理への復帰を続ける(ステップS1514:No)。こうしてメインループ処理への復帰と電動役物開閉処理の実行とが、カウントダウンタイマが「0」になるまで繰り返されることにより、カウントダウンタイマに設定した閉鎖時間が経過するまで、電動役物41を閉鎖状態に保つことができる。
閉鎖時間が経過してカウントダウンタイマが「0」になったら(ステップS1514:Yes)、電動役物41を開放状態にすべく、ステップS1516の「電動役物開放処理」を実行する。かかる処理では、電動役物駆動部42に制御信号を送信して電動役物41を駆動することにより、電動役物41を開放状態にする。こうして電動役物41を開放状態にしたら、続いて、電動役物41を開放状態に維持する時間(開放時間)をカウントダウンタイマに設定する処理を行う。
ここで、本実施例では、図柄の変動時間を設定する前述の処理(図33を参照)と同様に、高サポートモードか否かを判断して(ステップS1518)、高サポートモードの場合と、そうでない場合とで、処理を分岐させる。こうすることにより、高サポートモードと低サポートモードとで電動役物41の開放時間に差異を設けることが可能となる。高サポートモードか否かは、高サポートモードフラグを参照することで判定可能である。高サポートモードでない場合には(ステップS1518:No)、カウントダウンタイマを「0.2秒」に設定する(ステップS1524)。一方、高サポートモードの場合には(ステップS1518:Yes)、更に開閉モード中か否かを判定して(ステップS1520)、開閉モード中の場合には(ステップS1520:Yes)、低サポートモードの場合と同様に、カウントダウンタイマを「0.2秒」に設定する(ステップS1524)。
前述したように、大入球口60の開閉モード中に電動役物41を開放状態にすると、大入球口60への入球を起因とする出玉に加えて、第2作動口25bへの入球を起因とする出球も払い出されやすくなるが、このように開閉モード中の開放時間を短く設定しておけ
ば、第2作動口25bへの入球を起因とする出玉を抑制することができる。また、大入球口60の開閉モード中は、高サポートモード中か否かにかかわらず開放時間を短く設定してやれば、大当たり遊技状態に移行した際に高サポートモードであったか否かによって、第2作動口25bへの入球を起因とする出玉数に大きな差が生じることがない。これにより、大入球口60の開閉モード中に払い出される賞球の総数を抑えたり、大当たり遊技ごとの出玉数のバラツキを抑えることが可能となる。
なお、本実施例では、低サポートモード中の場合(ステップS1518:Noの場合)と開閉モード中の場合(ステップS1520:Yesの場合)とで、カウントダウンタイマに設定する開放時間を同一にしているが、それぞれ異なる開放時間を設定してもよい。こうすれば、大入球口60の開閉モードの実行中と低サポートモード時とで電動役物41の開放時間が異なることから、第2作動口25bへの入球頻度や、第1作動口25aと第2作動口25bとの入頻度の比率を、開閉モード時と低サポートモード時とで異ならせることが可能となる。これに対して本実施例のように開放時間を同一にしておけば、低サポートモード中の場合と開閉モード中の場合とで処理を共通化することができるので、プログラムを簡素に保ってROM110のプログラムエリア111の容量を節約したり、プログラムを実行するMPU102の処理負担を軽減することが可能となる。
高サポートモード中であって開閉モード中でない場合には(ステップS1518:Yes且つステップS1520:No)、カウントダウンタイマを「1.6秒」に設定する(ステップS1522)。このように高サポートモードの場合には低サポートモードの場合よりも長い開放時間を設定することにより、高サポートモード時には電動役物41が低サポートモード時よりも長い時間に渡って開放状態にすることができ、その結果、第2作動口25bへの入球を低サポートモード時よりも促進することが可能となる。
なお、本実施例では、まず高サポートモード中か否かを判定し(ステップS1518)、次に開閉モード中か否かを判定しているが(ステップS1520)、これとは逆の順に判定を行ってもよい。すなわち、はじめに開閉モード中か否かの判定を行い、開閉モード中の場合には低サポートモード用の開放時間を設定し、開閉モード中でない場合には次いで高サポートモードか否かの判定を行う。高サポートモードであれば高サポートモード用に開放時間を設定し、高サポートモードでなければ低サポートモード用の開放時間を設定する。こうすれば、開閉モード中は高サポートモードか否かの判定をしなくてよいので、開閉モード中のMPU102の処理負担を軽減することが可能である。これとは逆に、高サポートモードか否かの判断を先に行えば、高サポートモードでない場合(低サポートモードの場合)には開閉モード中か否かの判定をしなくてよいので、高サポートモードでない状態でのMPU102の処理負担を軽減することが可能である。
電動役物41の開放時間をカウントダウンタイマに設定したら(ステップS1524又はステップS1522)、図34の電動役物開閉処理を終了して図32の電動役物制御処理へと復帰し(図32:ステップS1490)、その後、図13のメインループ処理へと復帰する(図13のステップS1010を参照)。こうした電動役物制御処理がメインループ処理内で繰り返し実行されることにより、電動役物41の開放と閉鎖とが行われ、結果として高サポートモードや低サポートモードが実現される。
以上に説明したように、図13のメインループ処理では、外部出力処理(ステップS1000)から電動役物制御処理(ステップS1010)までの各処理を、所定の周期(4msec)で繰り返し実行する。ここで、上述した各処理内で参照する各種のカウンタの数値は、メインループ処理に対して所定の時間周期で割り込みを発生させる「タイマ割り込み処理」により更新される。こうすることで、メインループ処理の各処理を実行しながらカウンタの数値を随時更新することを可能としている。以下では、こうしたタイマ割り
込み処理について説明する。なお、メインループ処理の残余時間処理(ステップS1014)については、後で詳しく説明する。
D−2.タイマ割り込み処理 :
図35は、タイマ割り込み処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、上述したメインループ処理の実行中に発生する割り込みを受けて、MPU102が実行する処理である。本実施例の弾球遊技機10では、MPU102のタイマ割り込み機能を用いることにより、こうした割り込みが2msec周期で発生するようになっており、したがって、かかるタイマ割り込み処理も、2msec周期で繰り返し実行される。なお、割り込みが発生する周期は2msecに限らずどのような周期でもよいが、メインループ処理の周期よりも短くしておくことが好ましい。こうすると、メインループ処理内の各処理が実行されてから次に実行されるまでの間に、タイマ割込処理が少なくとも1回は実行されるので、メインループ処理内の各処理がカウンタの値を参照してから次に参照するまでの間にカウンタの値を確実に更新することが可能である。
また、タイマ割り込み処理は所定の時間周期で繰り返し実行されることから、タイマ割り込み処理の実行回数をカウントすることにより、時間経過を計測することが可能である。例えば、タイマ割り込み処理の実行回数が2回に達することによって(2msec×2回)、メインループ処理の繰り返し時間(4msec)の経過を検出することが可能である(図13のステップS1012を参照)。こうすると、繰り返し時間の経過を検出するためのタイマを別途備えておく必要がないので好適である。本実施例の弾球遊技機10では、メインループ処理の繰り返し時間をかかる方法で検出することにより、メイン制御装置100に備えるタイマの個数を抑えて装置構成を簡素に保つことを可能としている。
図35のタイマ割り込み処理では、まず、弾球遊技機10の各作動口(スルー作動口24、第1作動口25a、第2作動口25b)に設けられたセンサの検出状態を読み込むセンサ読み込み処理を行う(ステップS1600)。すなわち、前述したように各作動口に入球があると、各作動口に設けられたセンサによって入球が検出されるので、この検出状態を読み出してRAMに記憶する。タイマ割り込み処理は一定周期で実行される処理なので、このようにタイマ割り込み処理内においてセンサの検出状態を読み出してやれば、センサの検出状態を一定周期で読み出すことが可能である。こうすると、大当たり乱数カウンタが取り得る各値(本実施例では「0」から「599」の各値)について、各値を取得する確率を均一に保つことが可能となる。この点については後で詳しく説明する。
次いで、乱数初期値カウンタ141bの値に「1」を加算して乱数初期値カウンタ141bの値を更新する(ステップS1602)。前述したように、乱数初期値カウンタ141bは、大当たり乱数カウンタ141aのカウントアップを開始する初期値を指定するカウンタである(図9を参照)。この乱数初期値カウンタ141bの値を更新しておくことにより、大当たり乱数カウンタ141aの数値が一巡してカウントアップを再開する際には、前回とは異なる初期値からカウントアップを再開することができ、その結果、大当たり乱数カウンタ141aの数値が一定の周期で繰り返されてしまう事態を回避することが可能となる。ここで、前述したように乱数初期値カウンタ141bは、メインループ処理においても更新されるが(図9を参照)、後述するように、メインループ処理は処理を繰り返す際に乱数初期値カウンタ141bを毎回更新するとは限らない。そこで、タイマ割り込み処理においても乱数初期値カウンタの値を更新しておけば、乱数初期値カウンタ141bの値を確実に更新することが可能となり、その結果、大当たり抽選に当選する数値を狙ってその数値が繰り返されるタイミングで作動口25に遊技球を入球させる等の不正行為をより確実に回避することが可能となる。
乱数初期値カウンタの数値を更新したら(図35:ステップS1602)、次いで、カ
ウンタエリア141(図8を参照)の他のカウンタについても値を更新する(図35:ステップS1604)。すなわち、大当たり乱数カウンタ141a、大当たり種別カウンタ141c、変動種別カウンタ141d、リーチ乱数カウンタ141e、電動役物開放カウンタ141fの各値に「1」を加算する(インクリメントする)。前述したように、これらの各カウンタはループカウンタを構成しているので、タイマ割り込み処理でカウンタの値を更新することにより、これらのカウンタは値を次々と変えながら所定の範囲内の数値を繰り返し指し示すことが可能となる。
なお、前述したように本実施例では、カウンタエリア141に各カウンタに対応するバッファを設けてあり、各カウンタの値を対応するバッファに格納することが可能である(図8を参照)。したがって、各カウンタの更新時には更新後の値をそれぞれのバッファに格納しておけばよい。このとき、タイマ割り込み処理が起動されたタイミングによっては、メインループ処理内の処理からバッファが参照されている最中の場合があるが、こうした場合にはカウンタの値だけを更新しておき、メインループ処理内の処理からの参照が終了してからカウンタの値をバッファにコピーする。こうすれば、メインループ処理内の処理がバッファを参照中にバッファの値が更新されてしまう虞を確実に回避できる。また、バッファを参照中であってもカウンタの値を更新できるので、メインループ処理が呼び出されるタイミングによらずに、カウンタの値を確実に更新できる。こうすれば、カウンタの値の更新を妨害することでカウンタの値を操作して大当たりを発生させる等の不正行為を受ける虞を回避することが可能である。こうして各カウンタの値およびカウンタに対応するバッファの値を更新したら、次いで、作動口への入球を検出して入球に対する各種の処理を行う「作動口入球処理」(図35:ステップS1606)を実行する。
図36は、作動口入球処理の流れを示したフローチャートである。図示されているように、作動口入球処理では、まず、第1作動口25aに入球があったか否かを判定する(ステップS1620)。すなわち、タイマ割り込み処理は繰り返し実行される処理であるが、タイマ割り込み処理が実行されてから次に実行されるまでの間には所定の時間間隔がある。そこで、この間に第1作動口25aに入球があれば、その入球に対して所定の処理を行う。第1作動口25aに入球があったか否かは、前述したセンサ読み込み処理(図35:ステップS1600)においてRAM140に記憶したセンサの検知状態(第1作動口25aに設けられたセンサ25asの検知状態)を読み出すことにより判断可能である。
第1作動口25aに入球があった場合には(ステップS1620:Yes)、まず、第1作動口25aへの入球に対する賞球を払い出すために、第1作動口25aに設定された賞球数をRAM140に書き込む(ステップS1622)。本実施例の弾球遊技機10では、第1作動口25aの賞球数は「3個」に設定されてROM110に予め記憶されており、この賞球数を読み出してRAM140に書き込めばよい。RAM140に書き込んだ賞球数は、メインループ処理の外部出力処理(図13:ステップS1000)によって払出制御装置410へと送信され、その結果、所定の数の賞球が上皿13に払い出される。
賞球数をRAMに書き込んだら、次いで、第1作動口25aへ入球があったことをホールコンピュータ等の外部装置に伝えるために、外部出力端子910に信号を出力する(ステップS1624)。こうした信号は各種の態様で出力することが可能であるが、例えば、第1作動口25aへ入球したことを伝達する端子にパルスを出力すればよい。こうすれば、外部出力端子910に接続したホールコンピュータはパルスを検出することにより、第1作動口25aへの入球を容易に検出することが可能である。なお、タイマ割り込み処理は短い時間周期で繰り返し実行されるので、このようにタイマ割り込み処理内で信号を出力する処理を行うことにより、ホールコンピュータ等の外部装置では、第1作動口25aへの入球をほぼリアルタイムで把握することが可能である。外部出力端子910に信号を出力したら、次いで、「情報取得処理」(図36:ステップS1626)を実行する。
図37は、情報取得処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、作動口25への入球を契機として各カウンタから情報を取得するとともに、作動口25の保留数を更新する処理である。ここで、情報取得処理は、後述するように第1作動口25aへの入球に対してだけでなく、第2作動口25bへの入球に対しても実行される(図36のステップS1634を参照)。そこで、情報取得処理では先ず、処理対象の作動口が第1作動口25aか否かを判定する(図37のステップS1650)。こうした判定は各種の方法で行うことが可能であるが、例えば、図36の作動口入球処理において情報取得処理を実行する前に、いずれの作動口に対応する情報取得処理を実行するかを示すフラグを設定しておけばよい(例えば、ステップS1626において情報取得処理を実行する場合には、処理対象の作動口が第1作動口である旨を示すフラグを設定し、一方、ステップS1634において情報取得処理を実行する場合には、処理対象の作動口が第2作動口である旨を示すフラグを設定すればよい)。
処理対象の作動口が第1作動口25aである場合は(ステップS1650:Yes)、次いで、第1作動口25aの保留数が上限値に達しているか否かを判定する(ステップS1652)。前述したように、第1作動口25aの保留数は第1作動口保留記憶エリアの保留数記憶領域142aに記憶されているので(図12を参照)、保留数記憶領域142aに記憶された保留数が上限値(本実施例では4個)に達しているか否かを判定すればよい。
保留数が上限値に達している場合(図37のステップS1652:Yes)、保留数が上限値に達していることから今回の入球を保留せずにそのまま情報取得処理を終了する。一方、保留数が上限に達していない場合には(ステップS1652:No)、続いて今回の入球を保留する処理を行う。まず、第1作動口25aの保留が増加することに対応して、保留数記憶領域142aに記憶された第1作動口の保留数に「1」を加算する(ステップS1654)。また、第1作動口の保留数が増加したことによって総保留数も増加するので、総保留数記憶領域142iの値に「1」を加算する(ステップS1656)。
次いで、保留時取得カウンタ群の各値を、第1作動口保留記憶エリアに格納する処理を行う(ステップS1658)。すなわち、前述したように第1作動口保留記憶エリアには第1エリアから第4エリアまでの4つの記憶エリアが備えられており、各エリアには、大当たり乱数カウンタ141aの値を記憶可能な大当たり乱数記憶領域142bや、大当たり種別カウンタ141cの値を記憶可能な大当たり種別記憶領域142cや、リーチ乱数カウンタ141eの値を記憶可能なリーチ乱数記憶領域142dが設けられている(図12を参照)。そこで、第1作動口25aへ遊技球が入球したことに対応して、これらのカウンタ(保留時取得カウンタ群)の値を取得して、第1作動口保留記憶エリアの各記憶領域へ格納する。第1エリアから第4エリアまでの記憶エリアのいずれの記憶エリアに格納するかは、前述した記憶エリアの順序付け(第1エリア、第2エリア、第3エリア、第4エリアの順)に従って決定すればよい。すなわち、保留が無い場合には第1エリアに記憶すればよく、保留が存在して記憶エリアのいくつかが使用されている場合には、この順にしたがって次の記憶エリアに記憶する。例えば、保留が1つ存在して第1エリアが使用されている場合には、次の第2エリアに格納すればよいし、保留が2つ存在して第2エリアも使用されている場合には、その次の第3エリアに格納すればよい。どの記憶エリアまで使用されているか(すなわち保留数)は、保留数記憶領域142aの値を参照することにより判断可能である。
こうして、第1作動口25aへの入球を契機として大当たり乱数カウンタ141aの値を取得しておけば、取得した値を大当たり抽選テーブルと対比することによって(図16の変動表示開始処理のステップS1072を参照)、第1作動口25aへ遊技球が入球す
るタイミングに基づいた大当たり抽選を実行することが可能となる。同様に、第1作動口25aへの入球を契機として大当たり種別カウンタ141cの値を取得することにより、第1作動口25aへの入球タイミングに基づいて大当たりの種別を決定することが可能となる(図16のステップS1078を参照)。また、第1作動口25aへの入球を契機としてリーチ乱数カウンタの値を取得することにより、第1作動口25aの入球タイミングに基づいてリーチ演出を行うか否かの抽選を行うことも可能となる。以上のようにして各カウンタの値を第1作動口保留記憶エリアに格納したら(図37:ステップS1658)、図37の情報取得処理を終了して図36の作動口入球処理に復帰する(図36のステップS1626を参照)。
作動口入球処理では、第1作動口25aに対する上述の各処理を実行したら、今度は、第2作動口25bに対する処理を行う。まず、第2作動口に入球があったか否かを判断する(ステップS1628)。第2作動口25bに入球があったか否かは、前述した第1作動口の場合と同様に、タイマ割り込み処理のステップS1600において記憶したセンサの検出状態(第2作動口25bに設けられたセンサ25bsの検出状態)を読み出すことによって判断可能である。第2作動口25bへの入球がなければ、作動口入球処理を終了してタイマ割り込み処理へと復帰する(ステップS1628:No)。一方、第2作動口25bへの入球があれば、上述した第1作動口25aに対する処理と同様に、第2作動口25bの賞球数をRAMに書き込む(ステップS1630)。本実施例の弾球遊技機10では、第2作動口25bの賞球数は第1作動口25aの賞球数よりも多い「4個」に設定されてROM110に予め記憶されており、この賞球数を読み出してRAM140に書き込む。RAM140に書き込んだ賞球数は、前述した第1作動口25aの賞球数と同様に、メインループ処理の外部出力処理(図13:ステップS1000)によって払出制御装置410へと送信されることにより、所定の数の賞球が上皿13に払い出されることになる。
賞球数をRAM140に書き込んだら、次いで、第2作動口25bへの入球があったことをホールコンピュータ等の外部の装置に知らせるために、外部出力端子910に信号を出力する(図36:ステップS1632)。かかる信号の出力は、前述した第1作動口25aへの入球を通知する信号と同様に、各種の方法を用いて送信することが可能である。外部出力端子に信号を出力したら、次いで、前述した第1作動口25aの場合と同様に、情報取得処理(図37を参照)を実行する。
情報取得処理を実行すると、ステップS1650において今度は「No」と判定されて、第2作動口25bの保留数を更新する各処理(ステップS1660〜ステップS1666)を実行する。まず、第2作動口25bの保留数が上限値に達しているか否かを判定する(ステップS1660)。第2作動口25bの保留数は第2作動口保留記憶エリアの保留数記憶領域142eに記憶されているので、この値が上限値に達していれば、それ以上の保留はしないので、情報取得処理を終了して作動口入球処理に復帰する(ステップS1660:Yes)。
一方、第2作動口25bの保留数が上限値に達していなければ、前述した第1作動口25aの場合と同様に、第2作動口25bの保留数に「1」を加算(第2作動口保留記憶エリアの保留数記憶領域142eの値に「1」を加算)するととともに(ステップS1662)、総保留数に「1」を加算(総保留数記憶領域142iの値に「1」を加算)する(ステップS1664)。更に、カウンタ群の各値を第2作動口保留記憶エリアに格納する処理を行う(ステップS1666)。カウンタ群の各値を第2作動口保留記憶エリアに格納する処理は、前述した第1作動口25aの場合(ステップS1658)と同様に行えばよい。このように第2作動口25bについても第1作動口25aと同様に、第2作動口25bへの入球を契機として各カウンタの値を取得することにより、第2作動口25bへの
入球タイミングに基づいて、大当たり抽選を行ったり、大当たり種別を決定したり、リーチ演出の有無を決定することが可能となる。以上のようにして第2作動口の入球に対する情報取得処理を終了したら、図36の作動口入球処理へと復帰し(ステップS1634)、次いで図35のタイマ割り込み処理へと復帰する(図35のステップS1606を参照)。
なお、センサ読み込み処理(図35:ステップS1600)では、第1作動口25aや第2作動口25bへの入球を、第1作動口25aや第2作動口25bに設けたセンサの検知状態を読み出すことで検出するが、こうしたセンサの検知状態を読み出したら、検知状態をリセットしておく。例えば、第1作動口25aや第2作動口25bに入球があると電気信号を所定の電圧レベルにラッチするタイプのセンサを用いた場合、検知状態を読み出したらラッチをリセットしておく。こうすることで、読み出し後の入球を確実に検知することが可能となる。また、検知状態を読み出した直後にリセットしておけば、複数の作動口に対して処理を行うことに起因して処理の実行に時間を要したとしても、作動口への入球を検知し損なう虞がなく好適である。
また、上述したように、本実施例のタイマ割り込み処理では、作動口に設けたセンサの検出状態を読み出して記憶するとともに(図35のステップS1600)、入球が検出されている場合には、センサの検出状態を読み出した後に同じタイマ割り込み処理内で実行される情報取得処理(図37を参照)において、大当たり乱数カウンタ141aの値を取得する(図37のステップS1658、ステップS1666)。したがって、センサの検出状態を読み出してから、次にセンサの検出状態を読み出すまでの期間(再びタイマ割り込み処理が実行されてステップS1600のセンサ読み込み処理が実行されるまでの期間)の入球に対しては、期間の中のどのタイミングの入球に対しても、同一の値(図35のステップS1604によって更新された後の値)が大当たり乱数カウンタ141aから取得される。このため、センサの検出状態を読み出してから再びセンサの検出状態を読み出すまでの時間間隔が長いほど、大当たり乱数カウンタ141aのそのときの値(図35のステップS1604によって更新された後の値)が取得される確率が高くなり、逆に、時間間隔が短いほど、その値が取得される確率が低くなる。このため、大当たり乱数カウンタ141aが取り得る各値(本実施例では「0」から「599」の各値)について、各値が取得される確率を均一に保つ観点からは、センサの読み出しを行ってから次にセンサを読み出すまでの時間間隔をできるだけ均一に保つことが望ましい。
この点、本実施例のように、センサの読み出しをタイマ割り込み処理内で行えば、タイマ割り込み処理は一定の時間周期で実行されることから、センサを読み出す時間間隔を均一に保つことが可能となる。また、本実施例のように、タイマ割り込み処理内の早い段階でセンサ読み込み処理を実行すれば、より均一な周期でセンサの検出状態を読み出すことが可能となって好適である。例えば、作動口入球処理(ステップS1606)よりも前の段階で実行すれば、作動口入球処理の実行に要する時間(あるいは作動口入球処理内で行われる情報取得処理に要する時間)がたとえ均一でない(実行の度に変化する)としても、センサの検出状態を一定周期で読み出すことが可能である。その結果、大当たり乱数カウンタ141aが取り得る各値(本実施例では「0」から「599」の各値)について、各値を取得する確率をより均一に保つことが可能となる。
図35のタイマ割り込み処理では、以上のようにして第1作動口25aや第2作動口25bへの入球に対する処理(ステップS1606の作動口入球処理)を行ったら、続いて、スルー作動口24への入球に対する各種の処理を行う「スルー作動口入球処理」を実行する(ステップS1608)。
図38は、スルー作動口入球処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は
、スルー作動口24への入球を契機として、スルー作動口24の保留数を更新したりカウンタの値を取得する処理である。処理を開始すると、まず、スルー作動口24に入球があったか否かを判定する(ステップS1680)。スルー作動口24への入球の有無は、前述した第1作動口25aや第2作動口25bと同様に、センサ読み込み処理(図35:ステップS1600を参考)において記憶したセンサの検出状態に基づいて判断することが可能である。すなわち、スルー作動口24に入球があった場合、スルー作動口24に設けられたセンサ(センサ24s)が入球を検知しているので、スルー作動口24の検知状態を読み出してRAMに記憶しておけば、記憶した検知状態に基づいて入球の有無を判定可能である。スルー作動口24への入球がない場合には、そのままスルー作動口入球処理を終了すればよい(ステップS1680:No)。
一方、スルー作動口24への入球があった場合は(ステップS1680:Yes)、次いで、スルー作動口24の保留数が上限値に達しているか否かを判定する(ステップS1682)。本実施例の弾球遊技機10では、RAM140の電動役物保留エリア144にスルー作動口24の保留数を記憶しており、この保留数を参照して上限値(本実施例では4個)に達しているか否かを判断する。スルー作動口24の保留数が上限値に達していれば、それ以上は保留を記憶しないものとして、スルー作動口入球処理をそのまま終了する(ステップS1682:Yes)。
一方、スルー作動口24の保留数が上限値に達していない場合には(ステップS1682:No)、スルー作動口24への入球があったことに対応して、スルー作動口24の保留数に「1」を加算する(ステップS1684)。詳しい説明は省略するが、スルー作動口24の保留数は、メイン制御装置100によって表示ランプ82の点灯状態に反映されることにより、スルー作動口24の保留数を表示ランプ82によって表示することが可能となる。次いで、電動役物開放カウンタ141fの値を、電動役物保留エリア144に格納する(ステップS1686)。電動役物保留エリア144についての詳細な説明は省略するが、電動役物保留エリア144も保留記憶エリア142と同様に、記憶エリアを保留数の上限値と同じ数だけ備えており、これらの各記憶エリアに電動役物開放カウンタ141fの値を記憶することによって、保留数の上限値まで保留を記憶することが可能である。このように、スルー作動口24の入球を契機として電動役物開放カウンタ141fの値を電動役物保留エリア144に取得しておくことにより、前述した電動役物制御処理(図32を参照)において、スルー作動口24の入球を契機とした抽選(サポート抽選)を行うことが可能となる。以上の各処理を行ったら、図38のスルー作動口入球処理を終了して、図35のタイマ割り込み処理に復帰する。
なお、本実施例の弾球遊技機10では、スルー作動口24への入球に対して賞球を払い出さないものとしているが、これとは異なり、スルー作動口24への入球に対して賞球を払い出すものとしてもよい。この場合には、スルー作動口24への入球の有無を判定する処理(図38のステップS1680を参照)に次いで、スルー作動口24の賞球数をRAM140に書き込む処理を行えばよい。スルー作動口24の賞球数はROM110に予め記憶しておき、これを読み出してRAM140に書き込めばよい。RAM140に書き込んだ賞球数は、前述した作動口25の賞球の場合と同様に、メインループ処理内の外部出力処理(図13のステップS1000)において払出制御装置410へと送信することができるので、スルー作動口24に設定された賞球数分の遊技球を上皿13に払い出すことが可能となる。
また、こうしたスルー作動口24の賞球数をRAM140に書き込む処理は、メインループ処理内のスルー作動口24に関連する処理(ステップS1010の電動役物制御処理)において実行することも可能であるが、このようにタイマ割り込み処理内で実行すれば、割り込み処理はメインループ処理よりも優先して実行されることから、スルー作動口2
4の賞球数をRAM140に書き込む処理を確実に実行して賞球を確実に払い出すことが可能である。
なお、スルー作動口24への入球に対する処理(図38のスルー作動口入球処理)においても、第1作動口25aや第2作動口25bへの入球に対する処理(図36の作動口入球処理)と同様に、図35のステップS1600においてスルー作動口24のセンサ24sの検出状態を読み出しておいてから、入球に対する処理を行っている。このようにスルー作動口24についても一定の時間間隔でセンサの検出状態を読み出してやれば、前述した第1作動口25aや第2作動口25bの場合と同様に、電動役物開放カウンタ141fが取り得る各値(本実施例では「0」から「249」の各値)について、それぞれの値を取得する確率を均一に保つことが可能となる。
以上に説明したように、タイマ割り込み処理では、大当たり乱数カウンタ141aや乱数初期値カウンタ141b等の各カウンタの値を更新するとともに、第1作動口25aや第2作動口25bやスルー作動口24への入球を契機として、各カウンタの値を、保留記憶エリア142や電動役物保留エリア144に格納する。こうすることにより、前述したメインループ処理では、作動口25やスルー作動口24への入球を契機とした抽選等を行いながら遊技を進行することが可能となる。
また、前述したように、弾球遊技機10ではこうした遊技の進行をメイン制御装置100で制御しながら、メイン制御装置100からサブ制御装置200に向けて各種のコマンドを送信することにより(図13のステップS1000を参照)、サブ制御装置200を動作させて演出表示装置30や各種ランプを用いた種々の演出を実行することが可能である。これにより、遊技の進行に応じて各種の演出を実行して、遊技の興趣をいっそう向上させることが可能となっている。
ここで、本実施例の弾球遊技機10では、作動口25への遊技球の入球を受けて各カウンタ(保留時取得カウンタ群)から値を取得して保留記憶エリア142に記憶していることから、この保留記憶エリア142の情報(保留時カウンタ情報)をコマンドに格納してサブ制御装置200に送信してやれば、サブ制御装置200では保留時カウンタ情報に基づいて演出態様を決定することが可能である。例えば、保留時カウンタ情報には大当たり乱数カウンタ141aの値が含まれているので、この値を参照すれば、メイン制御装置100で図柄の変動表示が開始される前に、大当たり抽選の当否判定結果を把握することが可能である。このため、例えば演出表示装置30に保留を示す画像を表示する際に、通常の保留を示する画像とは異なる画像を表示することにより、その保留が大当たりに対応することを遊技者に報知するといった演出を実行することが可能である。あるいは、保留時カウンタ情報には大当たり種別カウンタ141cの値が含まれていることから、図柄の変動表示を開始する前に大当たりの種別を把握することも可能である。したがって、演出表示装置30に表示する保留を示す画像を、大当たりの種別に対応した画像とすることにより、遊技者に大当たり種別を報知することも可能である。保留時カウンタ情報を用いれば、こうした保留表示を用いた演出(保留表示演出)を行うことが可能となり、その結果、遊技の興趣を更に向上させることができる。
もちろん、こうした保留表示演出に限らず、保留時カウンタ情報を用いれば、図柄の変動表示が開始される前に大当たり抽選の結果や大当たり種別を把握することができることから、大当たり抽選の結果や大当たり種別に基づいて演出実行の有無や演出態様を決定して各種の演出を実行することが可能である。例えば、大当たりに対応する保留が存在することを条件として、特定の演出画像を表示してやれば、その演出画像を見た遊技者は大当たりに対する期待を大きく高めるので、遊技者を遊技に強く引きつけることが可能である。また、大当たりに対応する図柄の変動表示が開始される前からこうした演出を実行可能
なことから、例えば、大当たりに対応する図柄の変動表示が行われるタイミングよりも早いタイミング(例えば、大当たりに対応する保留よりも先に入球した保留の変動表示を開始するタイミング)から大当たりの発生時まで続く一連の演出を実行したり、大当たりに対応する保留の消化が近づくにつれて演出内容が段階的に変化していく演出を実行することも可能である。こうすることで、演出が進行するにつれて遊技者は大当たりに対する期待感を次第に高めていくので、遊技者を遊技により強く引きつけることが可能である。
もっとも、保留時カウンタ情報をサブ制御装置200に送信するといっても、前述したように、保留時カウンタ情報をそのままサブ制御装置200に送信しようとすると、コマンドのデータ量が増大したり、コマンドの種類が増加してしまう傾向がある。このため、保留時カウンタ情報を用いた演出を行うか否かの判断や演出態様を決定する処理をメイン制御装置100で行っておき、サブ制御装置200には処理の結果をコマンドに格納して送信することが望ましい。とはいえ、こうした処理が複雑になると、メイン制御装置100の処理負担が増加して遊技の制御処理に支障をきたす虞が生じる。そこで、本実施例の弾球遊技機10では、こうした演出に関する処理を、メインループ処理の残余時間処理を用いて次のように実行することにより、これらの処理をメイン制御装置100で実行可能としながらも、遊技の制御に支障をきたす虞を回避可能としている。
D−3.残余時間処理 :
図39は、本実施例の残余時間処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、メインループ処理において図柄遊技処理などの各処理(図13のステップS1000〜ステップS1010)を行った後に、所定の繰り返し時間(4msec)が経過するまでの時間(残余時間)を用いて実行される処理である(図13のステップS1014を参照)。
図39に示されているように、残余時間処理では、まず、乱数初期値カウンタ141bの値に「1」を加算して乱数初期値カウンタ141bの値を更新する(ステップS1700)。同様に、変動種別カウンタ141dの値に「1」を加算して変動種別カウンタ141dの値を更新する(ステップS1702)。このように残余時間処理を用いて乱数初期値カウンタ141bや変動種別カウンタ141dを更新することにより、これらのカウンタの値が時間周期を持ってしまう虞を回避することが可能となる。すなわち、MPU102によってカウンタの値を更新する場合、MPU102は動作の基準となる一定周期のパルス信号(いわゆるベースクロック)に基づいて動作することから、カウンタの値を更新するタイミングが周期性をもってしまう傾向がある。特に、本実施例のメインループ処理のように所定の周期で処理を繰り返し実行する場合、こうした処理の中でカウンタの値を更新すると、カウンタの値が更新されてから次に更新されるまでの時間間隔が一定間隔になることから、カウンタの更新間隔が一定になり、結果として、カウンタがある値を指した状態から同じ値を指すまでの時間間隔も一定になってしまう。前述したように、カウンタの値がこうした周期性を持ってしまうと、大当たり抽選に当選するタイミングを狙って作動口25に遊技球を入球させる等の不正行為を受ける虞が生じる。
この点、本実施例の弾球遊技機10では、メインループ処理内の各処理(図13のステップS1000〜ステップS1010)を実行した残りの時間を使って残余時間処理を繰り返し実行することから、カウンタが周期性を持ってしまう虞を回避可能である。すなわち、メインループ処理内の各処理では、スルー作動口24や作動口25への入球に応じて処理を行ったり、あるいは遊技状態に応じて処理を分岐させているため、遊技の進行状況に応じて実行する処理内容が変化する。したがって、これらの処理に要する時間も一定ではなく遊技の状況によって変化する。加えて、本実施例の弾球遊技機10では、メインループ処理の実行中に割り込みが発生してタイマ割り込み処理(図35を参照)が実行されると、タイマ割り込み処理が終了するまでメインループ処理の実行を待機することになる
が、このタイマ割り込み処理においてもスルー作動口24や作動口25への入球に応じて処理を行うので、タイマ割り込み処理の実行に要する時間も遊技の状況に応じて変化し、結果としてメインループ処理の待機時間が変化する。これらの理由から、メインループ処理の一連の処理(図13のステップS1000〜ステップS1010)の実行に要する時間は遊技の状況に応じて変化し、その結果、残余時間についても、遊技の状況に応じて変化することになる。
すると、前述したように、本実施例のメインループ処理では残余時間がなくなるまで残余時間処理を繰り返し実行するので(ステップS1012およびステップS1014を参照)、残余時間処理が繰り返し実行される回数が遊技の状況に応じて変化することになる。その結果、乱数初期値カウンタ141bや変動種別カウンタ141dの値が更新される回数(すなわちカウンタの値に加算される値)が実質的にランダムに変化することになる。これにより、乱数初期値カウンタ141bや変動種別カウンタ141dの値が周期性を持ってしまう虞を回避することが可能となり、延いては、大当たり抽選に当選するタイミングを狙って作動口25に遊技球を入球させる等の不正行為を受ける事態を回避することが可能となる。
図39の残余時間処理では、乱数初期値カウンタ141bの値および変動種別カウンタ141dの値を更新したら(ステップS1700、ステップS1702)、次いで、作動口25に遊技球が入球したことをサブ制御装置200に通知する「作動口入球コマンド」をコマンドバッファ145に設定するか否かの判断を行う(ステップS1704)。作動口入球コマンドは作動口25への入球をサブ制御装置200に通知するコマンドであるから、作動口25へ入球があれば、作動口入球コマンドを設定すればよい。
作動口25への入球の有無は種々の方法で判断することが可能である。例えば、タイマ割り込み処理内の作動口入球処理(図36を参照)において作動口25への入球を検出した際(図36のステップS1620:Yesの後、またはステップS1628:Yesの後)にフラグをセットしておき、このフラグを参照することで各作動口への入球を検知するものとしてもよい。あるいは、残余時間処理を前回に実行した際の保留記憶エリア142の状態と、今回の保留記憶エリア142の状態とを比較して、保留記憶エリア142の保留数が増加しているか否かを判断することにより、各作動口への入球の有無を判断してもよい。本実施例では、図36の作動口入球処理において、第1作動口25aへの入球を検出すると「第1作動口入球フラグ」をセットし、第2作動口25bへの入球を検出すると「第2作動口入球フラグ」をセットするものとし、これらのフラグを参照していずれかのフラグがセットされている場合に、作動口入球コマンドを設定する(S1704:Yes)と判断するものとする。
作動口入球コマンドを設定すると判断した場合(図39のステップS1704:Yes)、続いてステップS1706の「作動口入球コマンド設定処理」を実行する。一方、作動口25への入球がなければ、作動口入球コマンドを設定する必要はないので、残余時間処理を終了してメインループ処理へと復帰すればよい(ステップS1704:No)。
図40および図41は、作動口入球コマンド設定処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、作動口25への入球があったことを受けて、作動口入球コマンドをコマンドバッファ145に設定する処理である。サブ制御装置200では、この作動口入球コマンドを受け取ることにより、作動口25への入球があったことを検知できるとともに、演出表示装置30に表示した保留数を変更するなどの各種の処理を実行することが可能となる。また、作動口25への入球に関連する各種の情報(作動口25への入球を契機とする大当たり抽選の結果など)を作動口入球コマンドに包含させておけば、サブ制御装置200では、入球に関連する各種の情報に基づいて演出態様を決定することも可能とな
る。加えて、作動口入球コマンドは作動口への入球時に送信されることから、サブ制御装置200では、入球に対応する図柄の変動表示が行われる前に、その入球に関連する各種の情報を演出内容に反映させることが可能となる。本実施例の作動口入球コマンド設定処理では、こうした作動口25への入球に関連する各種の情報を包含した「作動口入球コマンド」を設定する。
ここで、本実施例の弾球遊技機10は第1作動口25aと第2作動口25bとの2つの作動口を備えていることから、作動口入球コマンドを設定する際には、第1作動口への入球に対応する作動口入球コマンドと、第2作動口への入球に対応する作動口入球コマンドとをそれぞれ設定する。そこで、図40の作動口入球コマンド設定処理では、まず、第1作動口25aへの入球があったか否かを判断する(ステップS1720)。第1作動口25aへの入球の有無は種々の方法で判断可能であり、例えば、前述した作動口入球処理(図36を参照)で第1作動口25aへの入球を検出した際や(ステップS1620:Yes)、第2作動口25bへの入球を検出した際(ステップS1628:Yes)にフラグを設定しておき、このフラグを参照することでいずれの作動口へ入球したかを検知すればよい。あるいは、前述したように、残余時間処理を前回に実行した際の保留記憶エリア142の状態と、今回の保留記憶エリア142の状態とを比較して、第1作動口25aの保留数が増加しているか否かを判断することにより、第1作動口25aへの入球の有無を判断するものとしてもよい。
第1作動口25aへの入球がなかった場合、第1作動口25aに対応する作動口入球コマンドを設定する必要はないので、次いで、第2作動口25bに対応する作動口入球コマンドを設定する処理へと移行する(ステップS1720:No)。第2作動口25bの作動口入球コマンドを設定する処理では、第1作動口25aの場合と同様に、まず、第2作動口25bへの入球の有無を判断する(ステップS1732)。第2作動口25bへの入球の有無は、前述した第1作動口25aへの入球の有無を判断する場合と同様の方法により行うことが可能である。第2作動口25bへの入球があれば(ステップS1732:Yes)、第2作動口25bへ入球があった旨をサブ制御装置200に伝達する作動口入球コマンドである「第2作動口入球コマンド」をコマンドバッファ145に格納する(ステップS1734)。
一方、第1作動口25aへの入球があった場合には(ステップS1720:Yes)、単に第1作動口に入球があった旨を送信するだけでなく、その入球に関連する各種の情報についてもサブ制御装置200に送信すべく、以下の各処理を実行する。まず、入球時に各カウンタから取得しておいた値(保留時カウンタ情報)を参照するために、保留時カウンタ情報が格納された記憶エリアを特定する(図40:ステップS1722)。すなわち、第1作動口25aへの入球時に情報が格納される第1作動口保留記憶エリア(図12を参照)には、第1エリアから第4エリアまでの4つの記憶エリアが設けられているので、コマンド設定の対象となる保留時カウンタ情報が、いずれの記憶エリアに記憶されているかを特定する。ここで、作動口入球コマンドの対象となるのは直近の入球であり、また、前述したように、カウンタの値は第1エリアから順に記憶されていく。したがって、保留数記憶領域142aを参照して保留数を把握すれば、直近の入球に対応する保留時カウンタ情報が格納されている記憶エリアを特定することが可能である。例えば、保留数が3であれば、第1エリア、第2エリア、第3エリアの3つの記憶エリアに保留時カウンタ情報が格納されているが、このうちで直近の入球に対応する保留時カウンタ情報が格納されているのは、保留時カウンタ情報が格納される順番が最後の記憶エリアである第3エリアであると判断することができる。
こうして入球に対応する記憶エリアを特定したら(ステップS1722)、特定した記憶エリアの大当たり乱数記憶領域142bに記憶された大当たり乱数カウンタ141aの
値を取得する(ステップS1724)。こうして大当たり乱数カウンタ141aの値を取得すれば、大当たり抽選テーブルを参照することにより、大当たり抽選の当否判定結果を取得することが可能である。もっとも、本実施例では、大当たり抽選テーブルを参照するのではなく、次に説明する「保留種別テーブル」を参照する。こうすると、次に説明するように、大当たり抽選の当否判定結果だけでなく、大当たり乱数カウンタ141aの各値に対して定められた保留種別も取得することが可能となる。
図42は、保留種別テーブルを示した説明図である。図示されているように、保留種別テーブルでは、大当たり乱数カウンタ141aの各値に対して保留種別が対応付けられている。ここで、大当たり乱数カウンタ141aの各値と大当たり種別との対応関係は、前述した大当たり抽選テーブル(図10を参照)に対応している。すなわち、図10(a)に示されている非確変状態用の大当たり抽選テーブルでは、抽選数値(大当たり乱数カウンタの値)「7」および「307」が大当たりに対応付けられているが、これら「7」および「307」は、図10(b)に示されている確変状態用の大当たり抽選テーブルにおいても大当たりに対応付けられている(図10中に破線で囲んだ数字を参照)。このことに対応して、図42の保留種別テーブルでは、大当たり乱数カウンタの値「7」および「307」は、非確変状態と確変状態とのいずれの状態でも大当たりに対応することから、「共通当選保留」に類別されている。
また、確変状態用の大当たり抽選テーブルでは大当たりに対応付けられているものの、非確変状態用の大当たり抽選テーブルでは大当たりに対応付けられていない値は、確変状態の場合にのみ大当たりに対応する。このことから、これらの値は「確変限定当選保留」に類別されている。そして、大当たり抽選テーブルにおいて大当たりに対応していないその他の値は、「通常保留」に類別されている。
図40のステップS1726では、こうした保留種別テーブルを参照することにより、取得した大当たり乱数カウンタの値に対応する保留種別を特定する。詳しくは後述するが、このような保留種別を取得することにより、演出表示装置30に表示する保留表示を用いて遊技の興趣を高める保留表示演出を実行することが可能となる。なお、特定した保留種別はRAM140の汎用エリア146に記憶しておけばよい。こうすることにより、後続する各処理において保留種別を容易に把握することが可能となる。
保留種別を特定したら(ステップS1726)、今度は、保留に対応する大当たり種別を特定するために、記憶エリアの大当たり種別記憶領域142cの値を取得するとともに(ステップS1728)、取得した値に対応する大当たり種別を、図11の振り分けテーブルを参照して特定する(ステップS1730)。こうして保留種別および大当たり種別を特定したら、続いて、サブ制御装置200へ送信する作動口入球コマンドを、これら保留種別および大当たり種別に基づいて決定する図41の各処理を実行する。
図41に示されているように、まず、保留種別が通常保留か否かを判定する(ステップS1750)。通常保留の場合は(ステップS1750:Yes)、通常保留である旨をサブ制御装置200へ送信する「第1作動口入球コマンドD」をコマンドバッファ145に格納する(ステップS1764)。サブ制御装置200では、かかる第1作動口入球コマンドDを受け取ることにより、第1作動口25aへの入球があった旨および入球を契機に取得された大当たり乱数カウンタ141aの値が大当たりに該当しない旨を把握することが可能となる。
保留種別が通常保留でない場合(ステップS1750:No)、次いで、大当たりの種別が2R大当たり(非明示確変2R大当たり又は明示確変2R大当たり)に該当するか否かを判定する(ステップS1752)。2R大当たりの場合には(ステップS1752:
Yes)、通常保留の場合と同様に、第1作動口入球コマンドDをコマンドバッファ145に格納する。すなわち、本実施例の弾球遊技機10では、2R大当たりと15R大当たりとを発生可能であるが、2R大当たりは、ラウンド数が少なかったり大入球口60の開放時間が短い性質がある。このため、2R大当たりに当選した場合と15R大当たりに当選した場合とでは、15R大当たりに当選した場合の方が遊技者の高揚感がより大きい傾向がある。こうした点に鑑みて、本実施例では、15R大当たりの場合については、通常保留の場合とは異なるコマンドを送信することにより、15R大当たりに対応する保留の発生に呼応してサブ制御装置200で通常保留とは異なる演出を実行可能としており、一方、2R大当たりの場合については、通常保留と同一のコマンドを送信することにより、通常保留と同一の演出を実行可能としている。
なお、本実施例では、上述したように、2R大当たりの場合には通常保留と同一の第1作動口入球コマンド(第1作動口入球コマンドD)をサブ制御装置200に送信するものとしているが、2R大当たりの場合にも通常保留とは異なる第1作動口入球コマンドを送信するものとしてもよい。こうすれば、サブ制御装置200において2R大当たりに対応する保留が発生したことを把握することができるので、2R大当たりの保留が発生したことに呼応して通常保留とは異なる演出を実行することが可能となる。これに対して、上述したように同一のコマンドを送信するものとすれば、コマンドの種類数を抑えることができるので、コマンドを記憶するROMの記憶領域を節約したり、あるいは、コマンドを受信してコマンドの種類を判断するサブ制御装置200の処理負担を軽減することが可能となる。
2R大当たりでない場合には(15R大当たりの場合、ステップS1752:No)、次いで、通常15R大当たりか否かを判定する(ステップS1754)。通常15R大当たりの場合には(ステップS1754:Yes)、「第1作動口入球コマンドC」をコマンドバッファ145に格納する(ステップS1762)。かかる「第1作動口入球コマンドC」を受け取ることにより、サブ制御装置200は、第1作動口25aへの入球があった旨を把握するとともに、入球を契機に取得された大当たり乱数カウンタ141aの値が大当たりに該当し、その大当たり種別は通常15R大当たりである旨を把握することが可能となる。
通常15R大当たりでない場合(確変15R大当たりの場合、ステップS1754:No)、続いて、保留種別が確変限定当選保留か否かを判断する(ステップS1756)。保留種別が確変限定当選保留であれば(ステップS1756:Yes)、「第1作動口入球コマンドB」を設定し(ステップS1760)、確変限定当選保留でなければ(共通当選保留の場合、ステップS1756:No)、「第1作動口入球コマンドA」を設定する(ステップS1758)。こうすることにより、サブ制御装置200は、「第1作動口入球コマンドA」または「第1作動口入球コマンドB」を受け取った場合には、入球を契機に取得された大当たり乱数カウンタ141aの値が大当たりに該当するとともに、大当たりの種別が確変15R大当たりであることを把握することが可能となる。加えて、「第1作動口入球コマンドA」を受け取った場合には、保留種別が共通当選保留であり、「第1作動口入球コマンドB」を受け取った場合には、保留種別が確変限定当選保留であることを把握可能である。以上のようにして、保留種別や大当たり種別に応じて、各種の作動口入球コマンドを設定したら、図40および図41の作動口入球コマンド設定処理を終了する。
なお、前述したように本実施例では、図36の作動口入球処理において、第1作動口25aへの入球を検出すると「第1作動口入球フラグ」をセットし、第2作動口25bへの入球を検出すると「第2作動口入球フラグ」をセットするものとし、その上で図40の残余時間処理では、これらのフラグを参照していずれかのフラグがセットされている場合に
、作動口入球コマンドを設定するものとしている(図39:S1704を参照)。したがって、作動口入球コマンド設定処理を終了したら、作動口入球コマンドの設定を行ったことに対応して、これらのフラグをリセットしておく。
上述した作動口入球コマンド設定処理によってコマンドバッファ145に格納された作動口入球コマンドは、残余時間が終了してメインループ処理の外部出力処理(図13のステップS1000を参照)に復帰した際に、サブ制御装置200へと送信される。これにより、作動口25への入球があった直後に、作動口入球コマンドをサブ制御装置200へと送信することが可能となる。
図43は、上述した各種の作動口入球コマンドのデータ構造を例示した説明図である。図示されている様に、本実施例の弾球遊技機10では、作動口入球コマンドは上位バイトと下位バイトの2バイトから構成されている。このうち、上位バイトの上位4ビットは、変動開始コマンドやシフト通知コマンドやオープニング開始コマンドなどの各コマンドの種別に対応しており、図示されているコマンドはいずれも作動口入球コマンドであることから、いずれも同一の値「1000」に設定されている。一方、上バイトの下位4ビットは、入球があった作動口が第1作動口25aであるか第2作動口25bであるかに応じて設定されており、第1作動口25aへの入球に対応する作動口入球コマンド(第1作動口入球コマンドA〜第1作動口入球コマンドD)では、「1000」に設定されており、第2作動口入球コマンドでは、「1100」に設定されている。したがって、サブ制御装置200では、コマンドの上位バイトを参照することにより、コマンドの種別が作動口入球コマンドであることを特定するとともに、第1作動口25aと第2作動口25bとのいずれの作動口への入球に起因する作動口入球コマンドであるかを特定することが可能である。
また、第1作動口への入球に関する作動口入球コマンドには、第1作動口入球コマンドAから第1作動口入球コマンドDまでの4種類のコマンドが存在するが、送られてきたコマンドがいずれのコマンドであるかは、下位バイトを参照することで特定可能である。すなわち、第1作動口の作動口入球コマンドはコマンドごとに異なるデータが下位バイトに設定されている。このため、サブ制御装置200では、送られてきた作動口入球コマンドの下位バイトを参照することにより、4種類のコマンドのうちのいずれのコマンドであるかを特定することが可能である。上述したように、送信されるコマンドは保留種別や大当たり種別に基づいて決定されるので、サブ制御装置200ではこうしてコマンドを特定することにより、保留種別や大当たり種別を把握するとともに、保留種別や大当たり種別に基づいて演出態様を決定することが可能となる。
なお、こうした作動口入球コマンドは、ROM110に予め記憶しておき、ROM110から読み出してコマンドバッファ145に格納するものとしてもよいし、あるいは、MPU102が2バイトのデータの各ビットを操作してコマンドを作成し、作成したコマンドをコマンドバッファ145に格納するものとしてもよい。
以上に説明したように、本実施例の作動口入球処理では、遊技球が作動口25へ入球した際に取得した各カウンタの値(保留時カウンタ情報)に基づいて、保留種別や大当たり種別を特定し、特定した保留種別や大当たり種別に基づいて、サブ制御装置200へ送信する作動口入球コマンドを決定している。このため、サブ制御装置200では、受け取った作動口入球コマンドに基づいて、保留種別や大当たり種別を特定することが可能となり、その結果、保留種別や大当たり種別に基づいて演出態様を決定することが可能となる。
このように、メイン制御装置100で、保留時カウンタ情報に基づいて保留種別や大当たり種別を特定して作動口入球コマンドを決定してやれば、サブ制御装置200では、コ
マンドに基づいて大当たり種別や保留種別を特定することができるので、サブ制御装置200に保留時カウンタ情報を送信する必要がない。これにより、本実施例では、サブ制御装置200において保留種別や大当たり種別を把握可能としながらも、サブ制御装置200へ送信するコマンドのデータサイズが増大してしまう事態を回避可能となっている。
また、メイン制御装置100からサブ制御装置200へ送信するコマンドに大当たり乱数カウンタ141aの値(保留時カウンタ情報)を格納した場合、メイン制御装置100とサブ制御装置200との間の信号を不正に読み取ることにより、大当たり乱数カウンタ141aの値を取得されてしまう虞がある。こうした場合、大当たり乱数カウンタ141aの値に基づいて、大当たりに対応する抽選数値を推測したり、大当たりに当選する入球タイミングを推測されてしまう虞がある。この点、このように作動口入球コマンドを用いて、保留種別や大当たり種別をサブ制御装置200に送信すれば、たとえ信号を不正に読み取られたとしても、大当たり乱数カウンタ141aの値自体を読み取られることはないので、かかる不正行為によって被害を被る事態を回避可能である。
加えて、本実施例の弾球遊技機10では、かかる作動口入球コマンドの設定処理を、残余時間処理の中で実行している(図39のステップS1706を参照)。このように遊技の進行に関連する処理をメインループ処理内で実行しておき、各処理を実行した後の残余の時間で作動口入球コマンドを設定してやれば、作動口入球コマンドを設定する処理がたとえ複雑化したとしても、メインループ処理内の各処理に支障をきたすことなく作動口入球コマンドを作成することが可能である。例えば、上述した本実施例の作動口入球コマンド設定処理(図40を参照)では、作動口への入球時に取得した大当たり乱数カウンタの値がいずれの保留種別に対応するのかを、保留種別テーブルを参照することにより特定しているが、保留種別を特定するためには、入球時に取得した大当たり乱数カウンタの値を、保留種別テーブルに対応付けられた複数の数値のそれぞれに対して照合する必要がある。例を挙げて説明すると、図42に示した保留種別テーブルの例では、「共通当選保留」に対応付けられた各数値(「7」「307」)および「確変限定当選保留」に対応付けられた各数値のそれぞれに対して、入球時に取得した大当たり乱数カウンタの値を照合する必要がある。このように複数の数値を照合しなければならないため、保留種別を特定する処理は、どうしても処理時間が長くなる傾向がある。
もちろん、保留種別テーブルに対応付けておく数値を単純なルールに従って定めておけば、こうした照合処理を簡略化することも可能と考えられる。例えば、確変限定当選保留には「0」から「20」までの数値を対応付けておけば、入球時に取得した大当たり乱数カウンタの値が「20以下」であるか否かを判断するだけで、確変限定保留に該当するか否かを判定可能である。とはいえ、前述したように保留種別テーブルは大当たり抽選テーブルに対応しているので、保留種別テーブルをこのように簡略化しようとすると、大当たり抽選テーブルを簡略化しなければならない。こうした場合、大当たりに該当する抽選数値が単純なルールに従うことになるので、今度は、不正行為による被害を受けやすくなってしまう。こうした理由から、保留種別テーブルに対応付けておく数値(大当たりに対応する保留種別に対応付けておく数値)は、単純なルールに従って設定することは実際には困難であり、したがって、保留種別を特定する照合処理にはどうしても時間がかかってしまう。この点、本実施例では、保留種別を特定する処理に時間を要するとしても、かかる処理を残余時間に行っていることから、メインループ処理内の各処理に支障をきたす虞を回避可能である。
また、本実施例の弾球遊技機10のように、複数の作動口を有する弾球遊技機では、複数の作動口に対して処理を行わなければならないことから、単一の作動口を有する弾球遊技機と比較すると、作動口入球コマンド設定処理がどうしても長期化してしまう傾向がある。例えば、図40の作動口入球コマンド設定処理では、第1作動口25aと第2作動口
25bとの両方に入球があった場合、第1作動口25aへの入球に対する作動口入球コマンドの設定処理(図40のステップS1722からステップS1730までの各処理および図41の各処理)と、第2作動口25bへの入球に対する作動口入球コマンドの設定処理(図40のステップS1734)との両方を行うので、どうしても処理に時間がかかってしまうことがある。
この点、本実施例では、こうした作動口入球コマンド設定処理を残余時間処理で行っていることから、たとえ処理に時間がかかったとしても、メインループ処理で行う他の処理の実行に支障をきたしてしまう虞を回避することが可能となっている。
もちろん、メインループ処理内の各処理についてだけでなく、メインループ処理に割り込んで実行するタイマ割り込み処理内の各処理についても支障が生じる虞を回避可能であり、タイマ割り込み処理内で実行する各処理を適切に実行可能である。例えば、タイマ割り込み処理では、大当たり乱数カウンタ141aの値を更新しているが(図35のステップS1604を参照)、タイマ割り込み処理の繰り返し周期(本実施例では2msec)に遅れが生じると、大当たり乱数カウンタ141aが各値を指し示す確率が、各値の間で同一ではなくなってしまう。例えば、大当たり乱数カウンタ141aが「0」を指し示している状態で、タイマ割り込み処理の繰り返し周期が遅れた場合、「0」を指し示している時間が他の数値を指し示している時間よりも長くなるので、「0」を指し示す確率が他の数値を指し示す確率よりも高くなってしまう。作動口入球コマンド設定処理をタイマ割り込み処理内で実行した場合、作動口入球コマンド設定処理に時間を要すると、そのことに起因してこのような不都合が生じる虞がある。
この点、作動口入球コマンドの設定処理を残余時間に行えば、たとえ作動口入球コマンド設定処理に時間がかかったとしても、タイマ割り込み処理の処理時間が長期化してタイマ割り込み処理を所定の時間周期で実行できなくなってしまう虞はない。したがって、タイマ割り込み処理内で実行するカウンタの更新処理(図35のステップS1604)や、作動口25やスルー作動口24への入球を検出する処理(ステップS1606、ステップS1608を参照)を確実に実行して、遊技を適切に進行させることが可能となる。また、タイマ割り込み処理は、コマンド設定処理の実行中であってもコマンド設定処理に割り込んで実行することができる(MPU102はコマンド設定処理を中断してタイマ割り込み処理を実行する)ので、コマンド設定処理に時間を要する場合であっても、タイマ割り込み処理を確実に実行可能である。
加えて、タイマ割り込み処理を確実に実行可能なことから、作動口入球コマンド設定処理を実行する際には、保留時カウンタ情報がタイマ割り込み処理によって確実に取得されており、したがって、保留時カウンタ情報に基づいて作動口入球コマンドを確実に設定することが可能である。以上の理由から、本実施例の弾球遊技機10では、保留種別や大当たり種別に基づいた多様な演出を適切に実行可能としながらも、サブ制御装置200に送信するコマンドのデータ量が増大してしまう事態を回避可能であり、加えて、遊技の制御に支障が生じる虞を回避して遊技を適切に制御することが可能となっている。
なお、前述したように、メイン制御装置100のコマンドバッファ145に格納された作動口入球コマンドなどの各種のコマンドは、メインループ処理の外部出力処理(図13のステップS1000を参照)においてサブ制御装置200へと送信されるので、これを受けてサブ制御装置200では演出に関連する各種の処理を実行することが可能である。
ここで、サブ制御装置200は、作動口入球コマンドを受け取ることにより、保留種別や大当たり種別を把握することができることから、保留種別や大当たり種別に応じて演出内容を決定することが可能である。もちろん、サブ制御装置200は、大当たり種別や保
留種別を「変動開始コマンド」によって把握することも可能であるが、前述したように変動開始コマンドは図柄の変動表示が開始される際に送信されるのに対して、作動口入球コマンドは作動口25への入球の直後に送信される。このため、入球に対する図柄の変動表示がすぐに開始されない場合(保留される場合)であっても、保留種別や大当たり種別をサブ制御装置200で把握することが可能であり、したがって、変動表示が開始されるタイミングよりも先に実行する演出(保留中に実行される演出)に、大当たり種別や保留種別を反映させることが可能となる。以下では、メイン制御装置100が送信したコマンドを受けてサブ制御装置200が実行する処理の内容と、こうした保留中に実行される演出に大当たり種別や保留種別を反映させる例として、本実施例の「保留表示演出」について説明する。
E.サブ制御装置の制御内容 :
図44は、サブ制御装置200が実行するコマンド対応処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理はサブ制御装置200に搭載されたMPUで実行される処理であり、サブ制御装置200のMPUではこうした処理を所定の時間周期(例えば2msec周期)で繰り返し実行することによって、メイン制御装置100から送られてきたコマンドを次々と処理していく。また、メイン制御装置100から送られてきたコマンドは、サブ制御装置200に設けられたコマンドバッファに格納されるようになっており、コマンド対応処理では、コマンドバッファからコマンドを1つずつ取り出して、そのコマンドに対処する処理を実行する。なお、メイン制御装置100から未だコマンドが送られていない場合や、送られてきたコマンドを全て処理し終わった場合など、処理すべきコマンドがコマンドバッファにない場合には、かかる処理は実行を開始した後に直ちに終了する。
メイン制御装置100からは、セグメント式表示装置70で図柄の変動表示が開始されたことを通知する変動開始コマンドや、オープニング時間が開始したことを通知するオープニング開始コマンドなど、様々な種別のコマンドが送信されてくる。そこで、コマンド対応処理では、コマンドバッファから取り出したコマンドの種別を特定してコマンドの種別に応じた処理を行う。
まず、処理対象のコマンドが作動口入球コマンドであるか否かを判断する(図44:ステップS2000)。前述したように、本実施例の弾球遊技機10ではコマンドは2バイトのデータ構造をしており、この2バイトのデータにコマンドの種別が格納されている。したがって、こうしたデータを解析することにより、そのコマンドが作動口入球コマンドか否かを判断することが可能である。例えば、図43に例示した作動口入球コマンドでは、前述したようにコマンドを構成する2バイトのうちの上位バイトにコマンドの種類が格納されており、上位バイトの上位4ビットの「1000」が作動口入球コマンドであることを表している。したがって、コマンドの上位バイトの上位4ビットを解析することにより、作動口入球コマンドか否かを判断することが可能である。コマンドが作動口入球コマンドであれば(ステップS2000:Yes)、これに対応して、ステップS2012の「作動口入球コマンド対応処理」を実行する。
図45は、作動口入球コマンド対応処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理では、まず、処理対象の作動口入球コマンドが第2作動口入球コマンドか否かを判断する(ステップS2030)。図43に例示したように、作動口入球コマンドは各コマンドごとに異なるデータ(ビット列)が設定されているので、コマンドのデータを調べることにより、第2作動口入球コマンドか否かを判断することが可能である。
処理対象のコマンドが第2作動口入球コマンドである場合には(ステップS2030:Yes)、サブ制御装置200に設けられた第2作動口保留数カウンタの数値をカウントアップする(ステップS2048)。詳細な説明は省略するが、本実施例の弾球遊技機1
0では、第1作動口25aと第2作動口25bとの各々について保留数をカウントする保留数カウンタ(第1作動口保留数カウンタ、第2作動口保留数カウンタ)をサブ制御装置200に備えており、これらのカウンタを用いることで、各作動口の保留数をサブ制御装置200においても把握することが可能である。作動口入球コマンドを受け取った場合には、保留数が増加したことを意味するので、これらのカウンタをカウントアップする。なお、後述するようにこれらのカウンタは、メイン制御装置100で保留が消化されて保留シフト通知コマンドが送信されると、これを受けてカウントダウンされる。サブ制御装置200ではこうした第1作動口保留数カウンタや第2作動口保留数カウンタの値に基づいて、各作動口の保留数を演出表示装置30の表示内容に反映させることが可能である。
第2作動口保留数カウンタをカウントアップしたら(図45:ステップS2048)、次いで、第2作動口の保留の増加に伴って所定の演出画像を演出表示装置30に表示するために、「第2作動口保留増加コマンド」を表示制御装置300に向けて送信する(ステップS2050)。表示制御装置300では、かかる第2作動口保留増加コマンドを受信することにより、演出表示装置30上の第2作動口保留表示エリア(図6(a)を参照)の表示状態を更新する。すなわち、第2作動口25bの保留数が増加したことに対応して、増加後の保留数と同数の意匠図柄を、第2作動口保留表示エリアの第1エリアb1から第4エリアb4に、第1エリアから順に表示する(左詰で表示する)。こうすることで、演出表示装置30を用いて第2作動口の保留数を表示することが可能となる。
一方、作動口入球コマンドが第2作動口入球コマンドでない場合には(図45のステップS2030:No)、第1作動口への入球にかかる作動口入球コマンドであることから、第1作動口保留数カウンタの値をカウントアップする(ステップS2032)。次いで、作動口入球コマンドが「第1作動口入球コマンドA」か否かを判定する(ステップS2034)。第1作動口入球コマンドAであれば(ステップS2034:Yes)、これに対応して、「保留増加コマンドA」を表示制御装置300に送信する(ステップS2036)。表示制御装置300では、保留増加コマンドAを受け取ると、演出表示装置30の第1作動口保留表示エリア(図6を参照)に、第1作動口の保留数と同数の意匠図柄を表示する。このとき、本実施例では、保留増加コマンドの種別ごとに異なる意匠図柄を表示する保留表示演出を行う。かかる保留表示演出については後で詳しく説明する。
処理対象の作動口入球コマンドが第1作動口入球コマンドAでなければ(図45のステップS2034:No)、続いて、「第1作動口入球コマンドB」か否かの判定を行い(ステップS2038)、第1作動口入球コマンドBでなければ、続いて「第1作動口入球コマンドC」であるか否かの判定を行う(ステップS2042)。そして、第1作動口入球コマンドBであれば、これに対応して「保留増加コマンドB」を表示制御装置300へ送信し(ステップS2040)、第1作動口入球コマンドCであれば、これに対応して「保留増加コマンドCを」表示制御装置300へ送信する(ステップS2044)。処理対象の作動口入球コマンドが、第1作動口入球コマンドAから第1作動口入球コマンドCのいずれでもない場合には、「第1作動口入球コマンドD」であるから、これに対応して、「保留増加コマンドD」を表示制御装置300に送信する。なお、これらの保留増加コマンドBないし保留増加コマンドDを受けて表示制御装置300が行う保留表示演出については、後で詳しく説明する。以上のようにして、それぞれの作動口入球コマンドに対応する保留増加コマンドを表示制御装置300に送信したら、図45の作動口入球コマンド対応処理を終了して、図44のコマンド対応処理に復帰する(図44のステップS2012を参照)。
図44のコマンド対応処理では、処理対象のコマンドが作動口入球コマンドでない場合には(ステップS2000:No)、今度は、処理対象のコマンドが「保留シフト通知コマンド」であるか否かを判断する(ステップS2002)。保留シフト通知コマンドであ
るか否かの判断は、前述した作動口入球コマンドの場合と同様に、処理対象のコマンドを解析することで可能である。処理対象のコマンドが保留シフト通知コマンドであれば(ステップS2002:Yes)、ステップS2010の「保留シフト通知コマンド対応処理」を実行する。
図46は、保留シフト通知コマンド対応処理の流れを示したフローチャートである。前述したように、保留シフト通知コマンドは保留を消化する際に送信されるコマンドであるから、かかる処理では、保留シフト通知コマンドを受けて、保留数を把握する保留数カウンタ(第1作動口保留数カウンタおよび第2作動口保留数カウンタ)をカウントダウンする処理を行えばよい。まず、保留が消化される作動口が第1作動口25aと第2作動口25bとのいずれであるかを判断する(ステップS2070)。前述したように、保留シフト通知コマンドには保留が消化される作動口を特定する情報が含まれているので、保留シフト通知コマンドを解析することにより、第1作動口25aと第2作動口25bとのいずれの作動口の保留が消化されるのかを判断することが可能である。
保留消化の対象が第2作動口25bである場合には(ステップS2070:Yes)、第2作動口25bの保留が消化されることから、第2作動口保留数カウンタの値をカウントダウンする(ステップS2076)。次いで、演出表示装置30に表示した保留表示を更新するために、表示制御装置300に「第2作動口保留数減少コマンド」を送信する。表示制御装置300ではかかるコマンドを受信すると、演出表示装置30の第2作動口保留表示エリア(図6を参照)に表示した保留表示用の意匠図柄を右から1つ消去する。これにより、演出表示装置30の第2作動口保留表示エリアに保留数の減少を反映させて、保留消化後の第2作動口25bの保留数と同数の意匠図柄を表示することが可能となる。
一方、保留消化の対象が第1作動口25aの場合には(図46のステップS2070:No)、第1作動口25aの保留が消化されることから、第1作動口保留数カウンタの値をカウントダウンする(ステップS2072)。次いで、上述した第2作動口25bの場合と同様に、演出表示装置30の保留表示を更新するためのコマンド(第1作動口保留数減少コマンド)を表示制御装置300に送信する(ステップS2074)。表示制御装置300は、かかるコマンドを受けて、第1作動口保留表示エリアに表示した保留表示用の意匠図柄を右から1つ消去することにより、第1作動口25aの保留の減少を第1作動口保留表示エリアに反映させる。これにより、保留消化後の第1作動口25aの保留数と同数の意匠図柄を第1作動口保留表示エリアに表示することが可能となる。以上の処理により、保留数の減少をサブ制御装置200の保留数カウンタ(第1作動口保留数カウンタおよび第2作動口保留数カウンタ)や演出表示装置30の保留表示エリアの表示に反映させたら、保留シフト通知コマンド対応処理を終了して図44のコマンド対応処理に復帰する(図44のステップS2010を参照)。
図44のコマンド対応処理では、処理対象のコマンドが作動口入球コマンドでもなく(ステップS2000:No)、保留シフト通知コマンドでない場合には(ステップS2002:No)、次いで、特別有利状態に関連するコマンド(「特別有利状態開始コマンド」または「特別有利状態終了コマンド」)であるか否かを判断する(ステップS2004)。特別有利状態に関連するコマンドであれば(ステップS2004:Yes)、これらのコマンドに対応する処理を行う(ステップS2008)。
まず、「特別有利状態開始コマンド」の場合には、メイン制御装置100において特別有利状態が開始されたことをサブ制御装置200においても把握するために、サブ制御装置200のRAMに「特別有利状態フラグ」をセットする。さらに、特別有利状態が開始されたことを表示制御装置300に通知するために、「特別有利状態開始コマンド」を表示制御装置300に送信する。表示制御装置300に通知する際には、メイン制御装置1
00から受け取った特別有利状態開始コマンドをコマンドバッファから取り出してそのまま表示制御装置300に送信すればよい。こうすれば、表示制御装置300に送信するコマンドをサブ制御装置200に予め記憶しておく必要がないので、サブ制御装置200のROMの記憶容量を節約することが可能である。もちろん、メイン制御装置100から受け取ったコマンドとは別のコマンドを送信するものとしてもよい。表示制御装置300では、こうしたコマンドを受け取ると、特別有利状態であることを記憶する「特別有利状態フラグ」をセットする。なお、本実施例の表示制御装置300では、かかる特別有利状態フラグの状態に応じて、演出表示装置30の保留表示エリアに表示する保留表示図柄を決定する。この点については後で詳しく説明する。
一方、「特別有利状態終了コマンド」の場合には、メイン制御装置100において特別有利状態が終了したことをサブ制御装置200において把握するために、サブ制御装置200のRAMにセットした特別有利状態フラグをリセットする。また、上述した特別有利状態開始コマンドの場合と同様に、特別有利状態が終了したことを表示制御装置300でも把握可能とするために、表示制御装置300に「特別有利状態終了コマンド」を送信する。このときも、上述した特別有利状態開始コマンドと同様に、メイン制御装置100から受信したコマンドをそのまま表示制御装置300に送信すればよい。もちろん、メイン制御装置100から受け取るコマンドとは別のコマンドを予め記憶しておき、そのコマンドを送信するものとしてもよい。表示制御装置300では、こうしたコマンドを受け取ると、上述した「特別有利状態フラグ」をリセットする。
処理対象のコマンドが特別有利状態に関連するコマンドでもない場合には(ステップS2004:No)、処理対象のコマンドは、「変動開始コマンド」や「変動終了コマンド」などである。これらのコマンドについては、次に説明する「一般コマンド対応処理」(ステップS2006)により対処する。
図47および図48は、一般コマンド対応処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理では、まず、処理対象のコマンドが「変動開始コマンド」か否かを判断する(ステップS2090)。変動開始コマンドの場合には(ステップS2090:Yes)、セグメント式表示装置70において図柄の変動表示が開始されることから、図柄の変動表示に合わせて演出表示装置30に表示する演出画像の内容を決定する処理を行う。かかる処理は、演出内容を記憶した演出内容テーブルを参照することにより行うことができる。
ここで、本実施例の弾球遊技機10では、図柄の変動表示に伴う大当たり抽選の結果が「非明示確変2R大当たり」または「特別外れ」であるか否かを判定し(ステップS2092)、「非明示確変2R大当たり」または「特別外れ」の場合と、それ以外の場合とで、参照する演出内容テーブルを切り替える。非明示確変2R大当たりや特別外れであるかの判定は、変動開始コマンドと共に送られてくる「遊技結果コマンド」(図17のステップS1088を参照)を解析することにより実行可能である。すなわち、前述したように遊技結果コマンドには大当たり抽選の結果や大当たり種別に関する情報が包含されているので、この遊技結果コマンドを解析することにより、非明示確変2R大当たり又は特別外れであるか否かを判定することが可能である。
非明示確変2R大当たりの場合または特別外れの場合には、共通演出内容テーブルを参照して演出内容を決定する(ステップS2094)。共通演出内容テーブルには、演出に要する時間が異なる複数の演出内容が記憶されているので、セグメント式表示装置70の図柄の変動表示時間に基づいて、これら複数の演出内容の中から実際に実行する演出内容を決定する。なお、変動開始コマンドには、セグメント式表示装置70の図柄の変動表示時間に関する情報が包含されているので、変動開始コマンドを解析することにより変動表示時間を把握することが可能である。
共通演出内容テーブルには、演出表示装置30に表示する演出図柄の表示態様や、弾球遊技機10に設けられた各種のランプの点灯態様や、スピーカ14から出力する音声の内容などを設定しておくことが可能である。また、演出図柄を表示する態様を詳細に設定しておくことも可能であり、例えば、演出表示装置30の演出図柄を変動表示する変動表示時間や、前述したリーチ演出の有無や、リーチ演出を実行する場合にリーチ表示を開始するタイミング(図柄の変動表示を開始してからリーチ表示を開始するまでの時間)などを設定しておくことが可能である。更には、リーチ表示の際に演出表示装置30のラインL1〜L5(図6を参照)のいずれのラインを用いてリーチ表示を行うかや、リーチ表示に用いるキャラクタ図柄32の種類や、変動表示を終了して停止表示する際のキャラクタ図柄32の組み合わせなどを設定しておくことも可能である。図47のステップS2092では、こうした共通演出内容テーブルを参照することにより、各種のランプの点灯態様や演出表示装置30に表示する演出図柄の態様などの演出内容を決定する。
ここで、本実施例では、非明示確変2R大当たりの場合と、特別外れの場合とで、同一の演出内容テーブル(共通演出内容テーブル)を参照するものとしている。こうすることにより、本実施例の弾球遊技機10では、非明示確変2R大当たりの場合と、特別外れの場合とで、各種ランプの点灯態様や演出表示装置30の表示内容などが同一になるので、遊技者は、非明示確変2R大当たりと特別外れとを、各種ランプの点灯状態や演出表示装置30の表示内容から判別することが困難となる。これにより、特別外れの場合であっても、確変状態が発生したかもしれないという期待を遊技者に抱かせることが可能となり、その結果、遊技者を遊技により引きつけることが可能となる。
一方、非明示確変2R大当たり又は特別外れのいずれでもない場合には(ステップS2092:No)、通常演出内容テーブルを参照して演出内容を決定する。この通常演出内容テーブルも上述した共通演出内容テーブルと同様に、演出表示装置30に表示する演出図柄の態様や、演出図柄の変動表示時間や、各種ランプの点灯態様などの演出態様に関する各種の内容を設定しておくことが可能である。ステップS2096では、変動開始コマンドを解析して取得した変動表示時間(セグメント式表示装置70での図柄の変動表示時間)に基づいて、これらの演出内容の中から、実行する演出内容を決定する。
ステップS2094またはステップS2096で決定した演出内容は、サブ制御装置200のRAM上に設けられた演出内容エリアに設定される。サブ制御装置200は、かかる演出内容エリアを参照しながら各種ランプやスピーカ14の動作を制御することにより、決定された演出内容の演出を実行することが可能となる。また、サブ制御装置200は、演出表示装置30に関連する演出内容を「表示内容コマンド」に格納して表示制御装置300に送信する。表示制御装置300では、かかる表示内容コマンドに従って演出表示装置30に各種の画像を表示することにより、決定された演出内容に沿って演出表示装置30に演出画像を表示することが可能である。
一般コマンド対応処理では、処理対象のコマンドが変動開始コマンドでない場合には(ステップS2090:No)、次いで、処理対象のコマンドが「オープニング開始コマンド」であるか否かを判断する(ステップS2098)。オープニング開始コマンドである場合には(ステップS2098:Yes)、メイン制御装置100においてオープニング時間が開始されることから、オープニング時間中に実行する演出内容を決定して、決定した演出内容をサブ制御装置200の演出内容エリアに設定する(ステップS2100)。また、演出表示装置30で行う演出の内容を演出内容コマンドに格納して表示制御装置300に送信する。これにより、オープニング時間の開始とともに、各種ランプやスピーカ14や演出表示装置30を用いた演出を実行することが可能となる。
処理対象のコマンドがオープニング開始コマンドでない場合には(ステップS2098:No)、次いで、「エンディング開始コマンド」か否かの判断を行う(ステップS2102)。エンディング開始コマンドの場合には(ステップS2102:Yes)、エンディング時間が開始されることを受けて、エンディング時間に実行する演出内容を決定して演出内容エリアに設定する(ステップS2104)。また、演出表示装置30に関連する演出内容を演出内容コマンドに格納して表示制御装置300に送信する。これにより、エンディング時間の開始にあわせて各種の演出を行うことが可能となる。
処理対象のコマンドがエンディングコマンドでもない場合には(ステップS2012:No)、続いて、「大入球口開放コマンド」か否かを判定する(図48:ステップS2120)。大入球口開放コマンドの場合には(ステップS2120:Yes)、大入球口60が開放されることを受けて、大入球口60の開放時に行う演出内容を演出内容エリアに設定する(ステップS2124)。また、処理対象のコマンドが大入球口開放コマンドでない場合には(ステップS2120:No)、今度は「大入球口閉鎖コマンド」であるか否かを判定し(ステップS2126)、大入球口閉鎖コマンドであれば、大入球口60の閉鎖時に行う演習の内容を演出内容エリアに設定する(ステップS2128)。これにより、大入球口60の開閉動作にあわせて、開放状態用の演出と閉鎖状態用の演出とを実行することが可能となる。大入球口開放時の演出や大入球口閉鎖時の演出についても、上述したエンディング演出等と同様に、演出表示装置30に関連する演出内容を演出内容コマンドに格納して表示制御装置300に送信することにより、演出表示装置30を用いた演出を実行することが可能である。
なお、大入球口60の開閉モードが低頻度入球モードの場合には、大入球口60が開放状態となる時間が短いことから、サブ制御装置200では、高頻度入球モードか低頻度入球モードかを判断して、高頻度入球モードの場合にのみ演出を実行するものとしてもよい。大入球口60の開閉モードが高頻度入球モードと低頻度入球モードとのいずれのモードであるかは、大入球口開放コマンドや大入球口閉鎖コマンドの設定時に、モードを特定する情報をコマンドに格納しておくことにより、サブ制御装置200で判断可能となる。
処理対象のコマンドが大入球口開放コマンドや大入球口閉鎖コマンドでない場合には(ステップS2120:No,ステップS2126:No)、今度は、「変動終了コマンド」か否かを判定する(ステップS2130)。変動終了コマンドの場合には(ステップS2130:Yes)、図柄の変動表示時間が終了したことに対応して、演出表示装置30において変動表示していた演出画像を停止させる(確定表示させる)べく、表示制御装置300に「変動表示停止コマンド」を送信する。これを受けて表示制御装置300では、演出表示装置30の変動表示を停止させて確定表示させる。一方、処理対象のコマンドが変動終了コマンドでもない場合には(ステップS2130)No)、その他の種々の演出コマンドであるから、それぞれのコマンドに対応して演出設定処理を行う。詳しい説明は省略するが、こうした各種のコマンドをメイン制御装置100からサブ制御装置200に適時送信することにより、スピーカ14や各種ランプや演出表示装置30を用いて種々の演出を実行可能である。
以上に説明したように、サブ制御装置200で行うコマンド対応処理(図47および図48)では、メイン制御装置100から送信される各種のコマンドを受けて、コマンドの種類に応じた処理を行うことにより、メイン制御装置100での遊技の進行に合わせて各種の演出を実行する。このとき、表示制御装置300に向けて各種のコマンドを送信することにより、演出表示装置30を用いて各種の演出を実行することも可能となる。また、前述したように本実施例の弾球遊技機10では、作動口入球コマンドに基づいて保留種別や大当たり種別をサブ制御装置200において把握可能なことから、こうした演出表示装置30を用いる演出の一態様として、演出表示装置30の保留表示エリア(第1作動口保
留表示エリア及び第2作動口保留表示エリア)に表示する画像を、保留種別や大当たり種別に応じて変更する「保留表示演出」を実行することも可能となっている。以下では、本実施例の弾球遊技機10が行う保留表示演出について説明する。
F.保留表示演出 :
図49および図50は、本実施例の保留表示演出の内容を例示した説明図である。図49(a)には、第1作動口保留表示エリアの第1エリアa1から第3エリアa3の3つのエリアに、貝殻をモチーフにした意匠図柄が表示された様子が例示されている。前述したように、第1作動口保留表示エリアは第1作動口25aの保留数に対応しており、第1作動口保留表示エリアの意匠図柄(保留表示図柄)の個数を第1作動口25aの保留数に対応させることにより、第1作動口25aの保留数を表示することが可能である。
例えば、図49(a)に示されている例では、第1作動口25aの保留数が「3」であることに対応して、3つの意匠図柄を第1作動口保留表示エリアに表示している。第2作動口保留表示エリアについでも同様に、第2作動口保留表示エリアに表示する意匠図柄の数を第2作動口25bの保留数に対応させることが可能であり、図49(a)の例では、第2作動口25bの保留数が「2」であることに対応して、第2作動口保留表示エリアに2つの意匠図柄が表示されている。前述したように、表示制御装置300は、保留数増加コマンドを受け取ると、保留が増加した作動口の保留表示エリアに意匠図柄を1つ追加するとともに、その一方で、保留数減少コマンド(第1作動口保留数減少コマンドまたは第2作動口保留数減少コマンド)を受け取ると、対応する保留表示エリアから意匠図柄を1つ消去する。こうすることで、各作動口の保留数の変化を、演出表示装置30の表示内容に迅速に反映させることが可能となっている。
なお、本実施例では、保留表示エリアに表示する意匠図柄を保留表示図柄と呼ぶものとする。こうした保留表示図柄は、表示制御装置300のROMに予め記憶しておき、演出表示装置30に表示する際にROMから読み出して表示すればよい。
ここで、本実施例の保留表示演出では、第1作動口保留表示エリアに表示する保留表示図柄を、サブ制御装置200が受け取った作動口入球コマンドの種別に基づいて決定する。まず、サブ制御装置200が「第1作動口入球コマンドA」を受け取った場合には、図49(b)に例示されているように、円の中に「確共」の文字が付された保留表示図柄(保留表示図柄A)を表示する。前述したように、サブ制御装置200が第1作動口入球コマンドAを受け取ると、表示制御装置300に向けて「保留増加コマンドA」が送信されるので(図45のステップS2036を参照)、表示制御装置300では、保留増加コマンドAを受け取った場合に保留表示図柄Aを表示すればよい。
なお、保留増加コマンドAを受け取った場合、常に保留表示図柄Aを表示するのではなく、所定の条件が成立している場合にのみ保留表示図柄Aを表示するものとしてもよい。本実施例では、前述した「特別有利状態フラグ」が設定されている場合、すなわち、特別有利状態(確変状態かつ高サポートモード中の状態)の場合に、かかる保留表示図柄Aを表示し、それ以外の場合には通常の保留表示図柄(図49の例では貝をモチーフにした意匠図柄)を表示するものとして説明する。
前述したように、第1作動口入球コマンドAが送信されるのは、保留種別が「共通当選保留」の場合である(図41のステップS1758を参照)。このように保留種別が共通当選保留の場合には、作動口への入球時に取得した大当たり乱数カウンタ141aの値が、確変状態用の大当たり抽選テーブルと非確変状態用の大当たり抽選テーブルとのいずれにおいても、大当たりに該当している(図10および図42を参照)。このため、保留表示図柄Aに対応する保留が消化されて大当たり抽選が行われると、遊技状態が確変状態で
あるか非確変状態であるかにかかわらず、大当たりに当選することになる。
したがって、保留表示図柄Aを表示することにより、保留表示図柄Aにかかる保留を消化した際には非確変状態と確変状態とのいずれの遊技状態においても大当たりが発生することを、遊技者に認識させることが可能となる。その結果、遊技者は、当該保留を消化すると生じる結果を認識した状態で遊技を行うことが可能となり、延いては、認識した結果に応じて、発射する遊技球の狙いを変えるなど遊技の進め方を変化させることも可能となる。これにより、表示された保留表示図柄に応じて遊技の進め方を考えながら遊技を行うという新たな楽しみ方を遊技者に提供することが可能となる。
例えば、保留表示図柄Aが表示された場合には、確変状態においても非確変状態においても大当たりに当選することから、遊技者は、あえて確変状態中に当該保留を消化する必要はなく、確変状態が終了して非確変状態になってから当該保留を消化すればよいと考えることがある。こうした場合には、かかる保留を消化しないように、第2作動口25bへの入球を狙って遊技球を発射すればよい。前述したように、本実施例の弾球遊技機10では、第2作動口25bの保留が第1作動口25aの保留よりも優先して消化されるので、第2作動口25bへ遊技球を入球させて第2作動口25bの保留数を確保しておけば、保留表示図柄Aにかかる保留が消化されるのを回避することが可能である。
また、これとは逆に、遊技者はとにかく早く大当たりに当選したいと遊技者が考える場合もある。例えば遊技ホールの閉店時間が近い場合や、遊技後に別の用事を抱えている場合などのように、遊技を行える時間が限られている場合には、限られた時間のうちに大当たり遊技を済ませて出玉を確保しておきたいと考える傾向がある。こうした場合には、発射した遊技球が第2作動口25bへ入球しないように第2作動口25bから狙いを外したり、あるいは遊技球の発射を停止するなどして第2作動口25bの保留を無くすことにより、保留表示図柄Aにかかる保留を消化することが可能である。このように、遊技者は自己の判断に基づいて遊技の進め方を変えることができるので、遊技をよりいっそう楽しむことが可能となる。
加えて、本実施例の弾球遊技機10では、保留表示図柄Aにかかる大当たりの種別が確変大当たり(確変15R大当たり)であること(図41のステップS1754及びステップS1758を参照)、及び、保留表示図柄Aが表示されるのは確変状態の場合(特別有利状態の場合)であることから、保留表示図柄Aを表示することにより、第2作動口25bへの入球を狙って遊技を行う遊技態様に遊技者を誘導することが可能となっている。すなわち、保留表示図柄Aにかかる保留を消化して大当たりが発生すると、大当たり後には確変状態になることを遊技者は認識可能である。一方、第2作動口25bへの入球に起因して大当たりが発生した場合には、大当たり後には非確変状態になる場合がある(通常15R大当たり等の確変状態にならない大当たり種別に当選した場合)。一般に、確変状態では非確変状態よりも大当たりに当選するのが容易なことから、遊技者は確変状態が継続することを望みながら遊技を行う傾向がある。特に、本実施例のように、確変状態の際の大当たり遊技によって獲得できる賞球の数が、非確変状態の際の大当たり遊技によって獲得できる賞球の数とほぼ同等の場合(大幅に減ることがない場合)には、こうした傾向がより強い。したがって、大当たりに当選して遊技状態が非確変状態になるまで保留表示図柄Aにかかる保留を消化せずに残しておけば、非確変状態になってしまった際に、当該保留を消化することで遊技状態を確変状態に再び戻すことが可能となる。このため、保留表示図柄Aが表示された場合には、遊技者は第2作動口25bへの入球を狙って遊技を行う傾向がある。このように保留表示図柄Aを表示することにより、第2作動口25bを狙う遊技態様に遊技者を誘導することが可能となる。
なお、保留表示図柄Aを確変状態の場合ではなく非確変状態の場合に表示するものとし
てもよく、こうすれば、今度は逆に、第2作動口25bへの入球を避ける遊技態様に遊技者を誘導することが可能である。すなわち、保留表示図柄Aにかかる保留を消化することによって非確変状態から確変状態に移行できることを遊技者は認識可能である。前述したように、遊技者は確変状態で遊技を進めることを望む傾向があるので、こうした場合には、保留表示図柄Aにかかる保留を消化して確変状態に移行しようとして、第2作動口25bから狙いを外した状態で遊技球を発射したり、あるいは遊技球の発射を停止する傾向がある。これにより、第2作動口25bへの入球を回避する遊技態様に遊技者を誘導することが可能となる。
図49(c)には、円の中に「確限」の文字が付された保留表示図柄(保留表示図柄B)が表示されている様子が示されている。本実施例の保留表示演出では、サブ制御装置200が「第1作動口入球コマンドB」を受け取った場合に、こうした保留表示図柄Bを表示する。前述したように、サブ制御装置200は第1作動口入球コマンドBを受け取ると、表示制御装置300に向けて「保留増加コマンドB」を送信するので(図45のステップS2038を参照)、表示制御装置300では、保留増加コマンドBを受け取った場合に保留表示図柄Bを表示すればよい。なお、本実施例では、かかる保留表示図柄Bについても上述した保留表示図柄Aと同様に、特別有利状態(確変状態かつ高サポートモード中の状態)の場合にのみ表示し、それ以外の場合には通常の保留表示図柄を表示するものとする。
前述したように、第1作動口入球コマンドBは、作動口への入球により生じた保留の保留種別が「確変限定当選保留」の場合である(図41のステップS1760を参照)。確変限定当選保留の場合には、作動口への入球時に取得した大当たり乱数カウンタ141aの値が、確変状態用の大当たり抽選テーブルにおいてのみ、大当たりに該当している。このため、保留表示図柄Bに対応する保留が消化されて大当たり抽選が行われた際には、遊技状態が確変状態の場合にのみ大当たりに当選し、非確変状態の場合には大当たりに当選しないことになる。
このような保留表示図柄Bを表示することによっても、表示された保留表示図柄に応じて遊技の進め方を考えたり、遊技の進め方を選択する楽しみを、遊技者に提供することが可能である。すなわち、保留表示図柄Bにかかる保留は確変状態でのみ大当たりに当選することから、保留表示図柄Bにかかる保留を確変状態のうちに消化してしまおうと遊技者が考えた場合、第2作動口25bの保留の消化ばかりが行われて第1作動口25aの保留の消化が行われなくなるのを防ぐべく、第2作動口25bから狙いを外した状態で遊技球を発射したり、あるいは遊技球の発射を停止すればよい。このように保留表示図柄Bを表示することによっても、保留表示図柄に応じて遊技の進め方を選択する楽しみを遊技者に提供することが可能である。
また、本実施例では、非確変状態の場合には保留表示図柄Bが表示されないことから、保留表示図柄Bに起因して遊技者が遊技に対する興味を失ってしまう虞を回避することも可能となっている。すなわち、非確変状態においてかかる保留表示図柄Bを表示した場合、遊技者は、本来ならば大当たりに当選できたのに、遊技状態が非確変状態であるがゆえに当選できなくなってしまったと考えて、損をしたかのような印象を抱いて興ざめしてしまう場合も起こり得る。この点、非確変状態の場合には保留表示図柄Bを表示しないものとすれば、遊技者がこうした不満を抱く虞を回避することが可能である。
更に、本実施例では、保留表示図柄Bにかかる保留は、確変大当たり(確変15R大当たり)に該当している(図41のステップS1754、ステップS1756、ステップS1760を参照)。このことから、保留表示図柄Bを表示することにより、第2作動口25bへの入球を避ける遊技の進め方に遊技者を強く誘導することが可能となっている。す
なわち、保留表示図柄Bにかかる保留は、確変状態の場合にのみ大当たりに当選するだけでなく、大当たりに当選した後には遊技状態が必ず確変状態となる。一般に遊技者は確変状態で遊技を進行したいと考える傾向があることから、かかる保留をはやく消化したいとより強く望む傾向がある。このため、第2作動口25bへの入球を避けながら遊技を行う傾向がいっそう強まるので、第2作動口25bへの入球を避ける遊技態様に遊技者を強く誘導することが可能となる。
加えて、このように保留表示図柄Bにかかる保留を早く消化したいと考えることから、第2作動口25bの保留が消化される際に行われる演出の興趣を向上させることが可能である。すなわち、第2作動口25bの保留が消化されて大当たりに当選した場合、当選した大当たりの種別によっては、非確変状態に移行してしまう場合がある(通常15R大当たりなどの確変状態を伴わない大当たりの場合)。したがって、遊技者は、第2作動口25bの保留が消化されて演出表示装置30で図柄の変動表示が始まると、大当たりが発生しないことを望みながら演出表示装置30を注視することになる。これにより、遊技者を遊技により強く引きつけることが可能となる。
また、第2作動口25bの保留が消化されて演出表示装置30で演出図柄の変動表示が行われた際には、大当たりが発生しない確率の方が、大当たりが発生する確率よりも高い。したがって、保留表示図柄Bを表示した状態では、遊技者にとって望ましい結果(外れ)を、遊技者にとって望ましくない結果(大当たり)よりも高い頻度で演出表示装置30に表示することが可能となる。一般に、演出表示装置30を用いて通常行う演出では、遊技者にとって望ましい結果(大当たりに対応する画像)が表示される頻度が低く、望ましくない結果(外れに対応する画像)が表示される頻度が高いが、このように通常とは逆の頻度で演出表示装置30に望ましい結果を表示することができる。このため、演出表示装置30を用いて行う通常の演出よりも演出効果を高めて、遊技者の興趣を通常の演出よりも大きく向上させることが可能となる。
加えて、保留表示図柄Bが表示された場合、外れに対応する画像が、保留が消化されるまでの限られた回数だけ表示されればよいことから、演出表示装置30による演出の効果をいっそう向上させることが可能である。すなわち、遊技者は、保留表示図柄Bにかかる保留が消化されるまでに外れ図柄があと何回表示されればよいかを把握した状態で演出表示装置30の表示内容を見守ることが可能である。こうした場合、外れに対応する画像が表示される度に、残りの回数をカウントダウンしながら、あと少しで目的の保留を消化できるという期待感を徐々に高めていくとともに、目的の保留まで何とかたどり着けるように、外れに対応する画像があと数回だけ何とか出続けて欲しいと望みながら、演出表示装置30を見守ることになる。このため、遊技者の意識を演出表示装置30に強く引きつけることができるとともに、目的の保留までたどり着いた際には、遊技者に大きな喜びを与えることができる。これにより、遊技の興趣をいっそう高めることが可能となる。
一方、サブ制御装置200が「第1作動口入球コマンドC」を受け取った場合には、図50(a)に示されているように、円形の中に「通」の文字が付された保留表示図柄(保留表示図柄C)を表示する。前述したように、サブ制御装置200が第1作動口入球コマンドCを受け取った場合には、表示制御装置300に向けて「保留増加コマンドC」が送信されるので(図45のステップS2044を参照)、表示制御装置300はかかる保留増加コマンドCを受け取ったら保留表示図柄Cを表示すればよい。なお、本実施例では、上述した保留表示図柄Aや保留表示図柄Bと同様に、特別有利状態(確変状態かつ高サポートモード中の状態)の場合にのみ保留表示図柄Cを表示し、それ以外の場合には通常の保留表示図柄を表示するものとする。
保留表示図柄Cを表示した場合も、上述した保留表示図柄Aや保留表示図柄Bと同様に
、遊技者は、遊技の進め方を考えながら遊技を楽しむことが可能となる。すなわち、保留表示図柄Cにかかる保留は、大当たり種別が通常15R大当たりに対応しているので(図41のステップS1754及びステップS1762を参照)、保留表示図柄Cにかかる保留が消化されると、大当たりに当選するものの、大当たり遊技後には確変状態から非確変状態へと移行してしまう。したがって、保留表示図柄Cを視認した遊技者が確変状態を継続したいと考えた場合には、保留表示図柄Cにかかる保留が消化されるのを回避すべく、第2作動口25bに遊技球を入球させて第2作動口25bの保留数を増加させればよい。これとは逆に、確変状態が終了してもかまわないから大当たりに当選したいと考える場合には、第2作動口25bから狙いを外した状態で遊技球を発射したり、遊技球の発射を停止するなどして、保留表示図柄Cにかかる保留が消化されるようにすればよい。このように、保留表示図柄Cを表示した場合についても、遊技者は保留表示図柄に応じて遊技の進め方を考えながら遊技を行うことが可能となり、その結果、遊技をいっそう楽しむことが可能となる。
また、本実施例の保留表示演出では、確変状態の場合に保留表示図柄Cが表示されることから、上述した保留表示図柄Aや保留表示図柄Bと同様に、保留表示図柄Cを表示することにより、遊技者を特定の遊技態様に誘導することが可能である。すなわち、保留表示図柄Cにかかる保留が消化されると、確変状態であった遊技状態が、大当たり遊技状態を経て非確変状態に移行してしまうが、前述したように遊技者は確変状態が継続することを望む傾向があるので、こうした保留表示図柄Cにかかる保留が消化されないように遊技を行う傾向が強い。このため、保留表示図柄Cを表示することにより、第2作動口25bへの入球を狙って遊技を行う遊技態様に遊技者を強く誘導することが可能となる。
なお、上述した説明では、サブ制御装置200が第1作動口入球コマンドAを受信した場合には保留表示図柄Aを表示し、第1作動口入球コマンドBを受信した場合には保留表示図柄Bを表示するものとして説明したが、第1作動口入球コマンドAを受信した場合と第1作動口入球コマンドBを受信した場合とで、共通の保留表示図柄を表示してもよい。例えば、第1作動口入球コマンドAまたは第1作動口入球コマンドBのいずれかを受信した場合には、所定の確率(例えば50%の確率)で、図50(b)に示されているように、円の中にクエスチョンマークが付された意匠図柄(保留表示図柄D)を表示するものとしてもよい。
このように、第1作動口入球コマンドAを受信した場合と第1作動口入球コマンドBを受信した場合とのいずれの場合も保留表示図柄Dが表示されるものとすれば、遊技者は、保留表示図柄Dに対応する保留が、非確変状態と確変状態とのいずれの遊技状態においても大当たりに当選する保留(作動口入球コマンドAに対応する保留)なのか、それとも、確変状態の場合にのみ大当たりに当選する保留(作動口入球コマンドBに対応する保留)なのかを判断することが困難となる。前述したように、非確変状態と確変状態とのいずれの場合にも大当たり当選する保留と、確変状態の場合にのみ大当たりに当選する保留とでは、保留を消化すべきか否かの判断が異なるので、保留表示図柄Dが表示された場合には、遊技者は当該保留がいずれの保留に該当するかを予想した上で、保留を消化するか否かを決定することになる。これにより、いずれの保留に該当するのかを予測しながら遊技を行うという楽しみを遊技者に提供することが可能となる。加えて、遊技者は予測した結果が的中しているか否かに注目しながら保留表示図柄Dにかかる保留を消化するので、遊技者の興味を遊技に強く引きつけることが可能となる。その結果、遊技の興趣をいっそう向上させることが可能となる。
更には、第1作動口入球コマンドAおよび第1作動口入球コマンドBに加えて、第1作動口入球コマンドCについても共通の保留表示図柄を表示するものとしてもよい。すなわち、第1作動口入球コマンドA、第1作動口入球コマンドB、第1作動口入球コマンドC
のいずれかを受信した場合には、所定の確率で、同一の保留表示図柄を表示する。例えば、図50(c)に示されているように、円の中に2つのクエスチョンマークを付した意匠図柄(保留表示図柄E)を表示すればよい。前述したように、第1作動口入球コマンドAおよび第1作動口入球コマンドBは確変大当たりに対応しているが(図41のステップS1754、ステップS1758、ステップS1760を参照)、第1作動口入球コマンドCに対応する大当たりは確変大当たりではない。確変大当たりとそうでない大当たり(通常大当たり)とでは、大当たり遊技後に確変状態になるか否かという大きな違いがあるので、保留表示図柄Eにかかる保留を消化するか否かにより、その後の遊技の状況が大きく左右される。したがって、遊技者にとっては、保留表示図柄Dにかかる保留がいずれのコマンドに対応する保留であるかの予想が重要になるので、遊技者はかかる予想により集中する。このように、確変大当たりに対応する保留と、確変大当たり以外の大当たりに対応する保留とで、保留表示図柄を共通にしておくことにより、共通の保留表示図柄がいずれの保留に対応するかの予想に遊技者の意識を強く引きつけることが可能となり、延いては遊技の興趣を大きく向上させることが可能となる。
なお、このような共通化した保留表示図柄(保留表示図柄Dや保留表示図柄E)を表示するのか、それともコマンドごとに対応付けられた保留表示図柄(保留表示図柄Aや保留表示図柄Bや保留表示図柄C)を表示するのかは、抽選により決定すればよい。かかる抽選は種々の方法により実行可能であり、どのような方法を用いてもよい。また、かかる抽選において保留表示図柄Aが選ばれる確率(当該抽選における確率)と、保留表示図柄Dが選ばれる確率(当該抽選における確率)とは任意であるが、例えば、保留表示図柄Aが選ばれる確率(当該抽選における確率)と保留表示図柄Dが選ばれる確率(当該抽選における確率)とを同程度にしておくと、いずれの保留表示図柄についても同じ程度の頻度で表示することができるので好適である。
なお、上述した説明では、共通当選保留の場合には「確共」の文字画付された保留表示図柄が表示され、確変限定当選保留の場合には「確限」の文字が付された保留表示図柄が表示されるなど、保留種別を表す文字が保留表示図柄に付されているものとして説明した。しかし、保留表示図柄は、このように保留種別を明示ずる図柄である必要は必ずしも無く、他の保留表示図柄との判別が可能な図柄であれば、どのような図柄であってもよい。例えば、カメやクジラやタコなどの生物を意匠化した図柄を用いてもよい。こうした場合でも、各々の保留表示図柄が互いに識別可能であれば、遊技者は各々の保留表示図柄がいずれの保留種別や大当たり種別に対応しているのかを予め知っておくことにより、保留種別や大当たり種別が表示された保留表示図柄の場合と同様に、保留表示図柄に基づいて遊技の進め方を決定することが可能となる。
以上に説明したように、本実施例の弾球遊技機10では、演出表示装置30の保留表示エリアに、大当たり種別や保留種別に対応する保留表示図柄を表示する保留表示演出を実行可能となっており、これにより、遊技の興趣を向上させることが可能となっている。ここで、表示する保留表示図柄を大当たり種別や保留種別に基づいて決定する処理は、メイン制御装置100のMPU102により実行される作動口入球コマンド設定処理(図40および図41を参照)において実行している。そして、かかる作動口入球コマンド設定処理を、メインループ処理の残余時間を使って実行していることから、作動口入球コマンドの設定に時間を要したとしても、メインループ処理内の各処理や、タイマ割り込み処理内の各処理に支障をきたしてしまう虞がない。これにより、本実施例の弾球遊技機10では、大当たり種別や保留種別に基づいて演出態様を決定することにより遊技の興趣を大きく向上可能としながらも、遊技の進行に支障が生じてしまう事態を確実に回避して遊技を安定して制御することが可能となっている。
以上、本実施例の弾球遊技機10の遊技の制御について説明したが、上述した実施例に
限らず、その趣旨を逸脱しないかぎり、種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上述した実施例および変形例では、確変状態が次回の大当たりまで継続するものとして説明したが、次回の大当たりまで継続するのではなく、一定回数の遊技回の間だけ継続するものとしてもよい。あるいは、確変状態から非確変状態へ移行するか否かの抽選を作動口25への入球を契機として行い、抽選の結果に応じて確変状態から非確変状態へ移行させたり、確変状態を継続するものとしてもよい。また、電動役物41の高サポートモードについては、一定数の遊技回の間だけ継続するものとしてもよいし、あるいは、大当たりが発生するまで継続するものとしてもよい。更には、大当たりに伴って高サポートモードを開始したら、次回の大当たりの後には高サポートモードを実行しないものとしてもよい。
G.払出機構の構成 :
上述したように、弾球遊技機10では、各種の演出を伴いながら遊技が進行するとともに、作動口25や大入球口60に遊技球が入球すると、遊技球が賞球として払い出される。こうした遊技球の払い出しは払出装置420により行われ、払い出された遊技球は遊技機内の流路を通って上皿13および下皿16に貯留される。このとき、上皿13や下皿16が満杯の状態のまま遊技球の払い出しを行うと、遊技球が詰まって払出装置420が故障するなどの不都合が生じる虞がある。したがって、一般に弾球遊技機では、満杯状態を検出するセンサを設けておき、満杯の際には払い出しを停止する工夫がなされている。
ここで、最近ではこうしたセンサ機構を設けることが困難になりつつある。すなわち、近年では弾球遊技機に大型の遊技盤を設けることがあり、こうした場合には背面側の装置構成が複雑化したり大型化したりすることがある。あるいは、いわゆる演出役物などの演出装置に技巧を凝らそうとすると、それに伴って背面側の装置構成が大型化することがある。このように背面側の装置構成が複雑化あるいは大型化すると、満杯状態を検出するセンサを設けるスペースが限られてしまう場合がある。特に、背面側の装置が大型化したことに伴って、遊技球の通路(遊技機の背面側の通路)を限られたスペースに設けなければならない場合、それに伴ってセンサの設置スペースも限られてしまう。そこで、本実施例の弾球遊技機10では、払出機構に以下の構成を採用することにより、スペースが限られている場合であっても、下皿16の満杯状態の検出機構を適切に設置可能としている。
図51は、本実施例の弾球遊技機10の払出機構の詳細な構成を示した説明図である。前述したように、こうした払出機構は弾球遊技機10の背面側に設けられている(図5を参照)。前述のように、払出装置420には遊技球貯留タンク400から遊技球が供給され、払出装置420内のカム機構がステッピングモータによって駆動されることにより、遊技球が一球ずつ下方流路440に流下されて遊技球の払出しが行われる。
図51には、下方流路440の内部の構造が示されている。図示されているように、下方流路440内の上部には、払出装置420からのノズル流路422が突出している。払出装置420からの遊技球はこのノズル流路422を通って下方流路440の上部空間に導かれ、下方流路440内をノズル流路422の出口から下方へと向かって重力により流下していく。
下方流路440の下方では、第1流路448と第2流路450の2つの流路に下方流路440が分岐している。第1流路448の下端には上皿13に向かう上皿排出流路452が設けられており、一方、第2流路450の下端には下皿16に向かう下皿排出流路454が設けられている。ここで、ノズル流路422の出口は第1流路448の方向に開口しており、したがって、ノズル流路422からの遊技球は第1流路448へと向かうことになる。
図52は、ノズル流路422から排出された遊技球が下方流路440内を流下する様子を示した説明図である。図52(a)に示されているように、ノズル流路422内を流下した遊技球はノズル流路422によって水平方向(第1流路448に向かう方向)にも速度を与えられた状態で(図中の白抜きの矢印を参照)、下方流路440内を流下していく。このように、第1流路448に向かう水平方向の速度をノズル流路422によって遊技球に与えることにより、遊技球をより確実に第1流路448へと導くことが可能である。
第1流路448内へと流下した遊技球は、第1流路448の下端に設けられた上皿排出流路452を介して上皿13へと排出される。このように払出装置420からの遊技球を第1流路448へと導くことにより、下皿16よりも優先して上皿13に遊技球を排出することが可能である。また、上述したようにノズル流路422によって第1流路448に向かう向きに速度を与えることによって、遊技球をより確実に上皿13に導くことが可能である。
ここで、上皿13が遊技球で満杯になると、図52(b)に示されているように、上皿13へ排出しきれなくなった遊技球が上皿排出流路452から溢れ出し、第1流路448の下端に滞留する。その状態で払出装置420からの遊技球の排出が継続すると、図52(b)に示されているように、第1流路448に遊技球が積み上がった状態となる。更に払い出しが継続して遊技球が積みあがると、次の図53に示すように、今度は遊技球が第2流路450へと流下する。
図53は、第1流路448に遊技球が積み上がったことにより、遊技球が第2流路450へと流下する様子を示した説明図である。図53(a)に示されているように、第1流路448に遊技球が積み上がっていくと、やがて積み上がった遊技球が第1流路448と第2流路450とを仕切る仕切部480の高さを超える。この状態でノズル流路422から遊技球が放出されると、図中に矢印で示されているように、積み上がった遊技球に押しやられるようにして、仕切部480の右側(第2流路450の側)へと遊技球が流下する。第2流路450は下皿16へと繋がっているので、第2流路450へと流下した遊技球は下皿16へと排出される。これにより、上皿13が満杯になると、今度は下皿16に遊技球を排出することが可能となる。
ここで、下皿16に遊技球が溜まり始めると、遊技者は下皿16に設けられたスライドレバーを操作するなどして、下皿16に溜まった遊技球を玉箱に移すことが通常である。もっとも、遊技者が遊技球を移さなかったり、あるいは移そうとしても多数の遊技球が短時間に払い出されて間に合わなかった場合などには、下皿16が満杯状態になることがある。このような場合、今度は下皿16に排出しきれなくなった遊技球が下皿排出流路454から溢れ出て第2流路450に積み上がる。
図53(b)には、第2流路450に遊技球が積み上がる様子が示されている。図示されているように、下皿排出流路454から遊技球が溢れ出た状態のまま、払出装置420からの払出しが継続すると、下皿排出流路454から溢れ出た遊技球の上に、払出装置420からの遊技球が積み上がる。ここで、仮にこの状態のまま第2流路450に遊技球が積み上がり続けると、やがて積み上がった遊技球が払出装置420にまで達してしまう。そうなると、払出装置420を駆動させても遊技球を払出装置420から排出することができなくなり、延いては払出装置420を駆動させた際に払出装置420を故障させてしまう虞が生じる。例えば、カム機構によって遊技球を落下穴に導き、遊技球を落下穴から流下させるタイプの払出装置420では、遊技球が落下穴から流下せずに落下穴に留まり、その状態で次の遊技球を落下穴に移動させようとして、カム機構が破損してしまう虞がある。こうした点に鑑みて、本実施例の弾球遊技機10では、次に説明する下皿満杯検出
機構500を用いることにより、下皿16の満杯状態を検出可能としている。
図54は、下皿満杯検出機構500の詳細な構成を示した説明図である。図54(a)に示されているように、下皿満杯検出機構500は、軸部512を中心に回動可能に設けられたレバー部材510や、レバー部材の突起部514の近傍に設けられた下皿満タンセンサ530などから構成されている。下皿満タンセンサ530は、光源と、光源からの光を検出する検出素子とを備えたいわゆるフォトセンサであり、光源と検出素子との間に部材が挿入されると、光源からの光が検出素子に届かなくなり検出素子の出力が変化することにより、部材が挿入されたことを検出可能である。この下皿満タンセンサ530は、レバー部材510の回動に伴って次のように動作する。
図54(b)には、レバー部材510が回動した状態が示されている。図示されているように、レバー部材510が第2流路450の外側方向に向けて押されると(図中の白抜きの矢印を参照)、軸部512を軸にしてレバー部材510が回動する。レバー部材510には第2流路450と反対側に突起部514が突設されており、レバー部材510の回動に伴ってこの突起部514が下皿満タンセンサ530の光源と検出素子との間に挿入される。これにより、レバー部材510が第2流路450の外側に向かって押されたことを下皿満タンセンサ530によって検出することが可能である。なお、本実施例では、下皿満タンセンサ530が突起部514の挿入を検出した状態を「センサ検知状態」と呼ぶものとし、検出していない状態を「センサ非検知状態」と呼ぶものとする。また、下皿満タンセンサ530が「センサ検知状態」となるレバー部材510の位置を「センサ検知位置」と呼び、下皿満タンセンサ530が「センサ非検知状態」となるレバー部材510の位置を「センサ非検知位置」と呼ぶものとする。
また、レバー部材510にはバネ部材504が接続されており、このバネ部材504によってレバー部材510を第2流路450の内側方向に付勢することが可能となっている。このため、レバー部材510が第2流路450の外側に向けて押されていない状態では、530の光源と検出素子との間から突起部514を離間して、下皿満タンセンサ530をセンサ非検知状態に維持することが可能である。
こうした下皿満杯検出機構500は下皿排出流路454の入口の近傍に設けられており、下皿排出流路454の入口の近傍では、レバー部材510が第2流路450の側壁の一部を構成している。こうした下皿満杯検出機構500を用いて、本実施例の弾球遊技機10では、下皿16の満杯状態を次のように検出する。
図55は、下皿満杯検出機構500によって下皿16の満杯状態を検出する様子を示した説明図である。図55(a)には、下皿16が満杯状態となって遊技球が第2流路450に積み上がる様子が示されている。前述したように、下皿16が満杯状態になると、下皿16に排出しきれなくなった遊技球が下皿排出流路454から第2流路450に溢れ出すので、その状態で払出装置420から更に遊技球が払い出されると、第2流路450に遊技球が積み上がる。
ここで、下皿排出流路454の近傍では、レバー部材510が第2流路450の側壁の一部を構成している。このため、遊技球が積み上がると、遊技球の重さによってレバー部材510が第2流路450の外側方向に次第に押されていく。やがて遊技球が所定の球数(図55の例では9球)よりも多く積み上がると、遊技球がレバー部材510を押す力が、バネ部材504の付勢力に勝ることにより、図55(b)に示されているように、レバー部材510が第2流路450の外側方向に回動する。これにより、下皿満タンセンサ530がセンサ検知状態となり、下皿満タンセンサ530の検知状態を読み出すことにより、下皿16の満杯状態を検出することが可能となる。
また、本実施例の弾球遊技機10では、下皿16の満杯状態をより的確に検出するために、下皿満タンセンサ530の検知状態が所定時間以上にわたって継続した場合に、下皿16が満杯状態であると判断するものとしている。すなわち、下皿16が満杯状態になった場合、第2流路450に積み上がった遊技球が排出されない限りはこの遊技球がレバー部材510を押し続けることから、下皿満タンセンサ530は検知状態が継続する。一方、遊技機が設置される環境では、他の遊技機からの電気的なノイズや、あるいは遊技機自身からの電気的なノイズなどが存在することから、下皿満タンセンサ530の出力にノイズが乗ることによって検知状態と誤って判断されてしまう場合がある。もっともこの場合、ノイズは短時間で変動することが通常なので、検知状態が長い時間に渡って継続することは稀である。そこで、上述したように下皿満タンセンサ530の検知状態が所定時間以上に渡って継続した場合に、下皿16が満杯であると判断するものとすれば、ノイズに起因して誤検出を生じてしまう虞を回避して、下皿16の満杯状態を的確に検出することが可能となる。
なお、下皿16の満杯状態を検出した後は、払出制御装置410を介して払出装置420を制御することにより、遊技球の払い出しを停止すればよい。更には、下皿16の遊技球を排出するように遊技者を促す画像を、サブ制御装置200および表示制御装置300を介して、演出表示装置30に表示してもよい。例えば、払出制御装置410からメイン制御装置100へと信号を送信することにより、メイン制御装置100が満杯状態を把握し、さらにメイン制御装置100からサブ制御装置200へとコマンドを送信する。これを受けてサブ制御装置200は表示制御装置300を介して、下皿16が満杯である旨を遊技者に通知する画像を演出表示装置30に表示する。あるいは、下皿16の満杯状態を遊技者に知らせる音声や効果音をスピーカ14から出力する。こうすることにより、遊技者を促して下皿16の満杯状態を解消させることが可能となる。なお、本実施例の弾球遊技機10が行うこうした払い出し停止動作については、後で詳しく説明する。また、上述した検知状態の継続を検出する処理の詳細についても後述する。
また、上述した誤検出は、電気的なノイズに起因するものばかりではなく、遊技球の流下に起因して生じる場合もあり得る。すなわち、下皿16が満杯でなくても、第2流路450を流下する遊技球がレバー部材510に衝突すると、衝突の衝撃によってレバー部材510が回動してしまい、結果として誤検出されてしまう虞がある。こうした遊技球の流下に起因する誤検出を回避するためには、レバー部材510を払出装置420の出口(ノズル流路422の出口)から離れた位置に設けて衝突を回避することが考えられる。あるいは、遊技球の水平速度の方向(本実施例では第1流路448の入口から第2流路450の入口へ向かう方向)と交差する方向に、レバー部材510の回動方向を設けることにより、レバー部材510に遊技球が衝突してもレバー部材510が回動しないようにすることが考えられる。
もっとも、払出装置420の出口(ノズル流路422の出口)から離れた位置にレバー部材510を設けようとすると、どうしてもその分だけ装置構成が大型化してしまう傾向が生じる。あるいは、遊技球の水平方向の速度方向と交差する方向にレバー部材510を回動させようとすると、レバー部材510の回動方向に装置構成が大型してしまう。例えば図54の例では、図の左右方向に遊技球が速度を持つので、遊技球がレバー部材510に衝突してもレバー部材510が回動しないようにするためには、図の前後方向(弾球遊技機の正面背後方向)にレバー部材510が回動するように配置することが考えられる。そうすると、弾球遊技機の正面背後方向に装置構成が大型化してしまう。
そこで、本実施例の弾球遊技機10では、次に説明するように、レバー部材510の上方に反跳板600を設けることにより、レバー部材510を払出制御装置410から離し
て設置したり、レバー部材510の回動方向を、遊技球の速度方向と異なる方向に設けなくても、レバー部材510への遊技球の衝突を回避可能として、装置構成をコンパクトに保つことを可能としている。
図56は、反跳板600を設けることによりレバー部材510への遊技球の衝突が回避可能となる様子を示した説明図である。図56(a)に示されているように、第1流路448に遊技球が積み上がった状態でノズル流路422から遊技球が排出されると、その遊技球は仕切部480を越えて第2流路450に押し出される。ここで、弾球遊技機10では、仕切部480の頂点を越えた箇所に傾斜面480sが設けられており、遊技球はこの傾斜面480sによって水平方向の速度を与えられながら、第2流路450内に導かれる(図中の矢印を参照)。
ここで、本実施例の弾球遊技機10では、遊技球が導かれた第2流路450の先に反跳板600を備えている。したがって、図56(b)に示されているように、遊技球をこの反跳板600で跳ね返らせることが可能である。こうして遊技球を跳ね返らせると、遊技球が今度は第1流路448の向きに速度を持つようになるので、反跳板600と同じ側に設けたレバー部材510から遊技球が離れていく。その結果、レバー部材510に遊技球が衝突する虞を回避することが可能となる。
このように、遊技球に水平方向の速度を与えて所定の方向に導いておき、導いた先に設けた部材で跳ね返らせてやれば、導いた方向とは逆向きの水平方向速度を与えることができる。したがって、遊技球を導いた方向にレバー部材510を設けておけば、レバー部材510に遊技球が衝突する虞を回避することが可能となる。こうしてレバー部材510への遊技球の衝突を回避してやれば、レバー部材への遊技球の衝突を回避するためにレバー部材510をノズル流路422から大きく離して設けなくてもよいので、装置構成をコンパクトに保つことが可能となる。特に、鉛直方向にレバー部材510とノズル流路422とを大きく離す必要がないことから、鉛直方向の装置サイズをコンパクトに保つことが可能となる。
加えて、前述したように、レバー部材510の回動方向を、遊技球を導いた方向と交差する方向に設ける必要もない。したがって、遊技球を導いた方向と交差する方向(本実施例の弾球遊技機10では弾球遊技機10の前面背面方向)のサイズを小型化することが可能となる。
更に、レバー部材の回動方向が遊技球の速度の方向と交差している場合、レバー部材の回動軸の方向から遊技球が飛来するため、レバー部材の側面に遊技球が衝突すると、レバー部材がテコになって回動軸をこじってしまう場合が考えられる。その結果、回動軸がズレてレバー部材がスムーズに回動しなくなり、結果として装置の動作の信頼性を低下させてしまったり、あるいは装置の寿命を悪化せてしまう場合も考えられる。この点、本実施例の弾球遊技機10では、遊技球がレバー部材510に衝突する際にはレバー部材510の回動方向から衝突するので、回動軸をこじってしまう虞を回避することが可能である。これにより、弾球遊技機10の信頼性を高めるとともに、弾球遊技機10の寿命を向上させることが可能となっている。
また、本実施例の弾球遊技機10では、第1流路448から第2流路450を挟んで対面側に反跳板600を設けている。反跳板600は遊技球を導いた先であればどのような位置に設けてもよいが、このように、第1流路448に対して第2流路450を挟んだ対面側に設けるとより好適である。すなわち、上述したようにレバー部材510は反跳板600と同じ側に設けることができるので、第2流路450を挟んだ対面側(第1流路448から離れた側)にレバー部材510を設けることが可能である。このため、第1流路4
48と第2流路450との間にレバー部材510を設ける必要がなく、したがって、第1流路448と第2流路450との間にレバー部材510を設けるスペースを確保する必要がない。このことから、第1流路448と第2流路450とを近接させて設けることが可能となり、その結果、下方流路440のサイズをコンパクトに保つことが可能となる。
更には、上皿排出流路452と下皿排出流路454とを近接させることができることから、上皿排出流路452と下皿排出流路454とを一体の部材で構成する(1つの部材内に2つの流路を形成して上皿排出流路452と下皿排出流路454とを構成する)ことも可能となる。これにより、弾球遊技機10の部品点数を減らして装置構成を簡素化することも可能となる。
なお、本実施例では傾斜面480sによって遊技球を反跳板600の方向に導くものとして説明したが、傾斜面を用いる必要は必ずしもなく、遊技球を反跳板600の方向に導ければどのような方法を用いてもよい。例えば、弾性部材を設けておき、遊技球が弾性部材に衝突した際の弾性力によって遊技球を導くものとしてもよい。もっとも、傾斜面を用いて遊技球を反跳板600に導いてやれば、こうした弾性部材等を設けなくてもよいので装置構成を簡素に保つことが可能となってより好適である。更には、傾斜面であれば、遊技球の鉛直方向への落下を妨げる虞がないので、遊技球に水平方向の速度を与えることを可能としながらも、遊技球を確実に下方流路440の下方まで流下させることが可能となる。
また、反跳板600はどのような角度に設けてもよいが、鉛直方向に対して傾けて設けるものとすると、より好適である。すなわち、遊技球に横方向の速度を与えるものの、遊技球は重力を受けながら下方流路440内を流下することから、鉛直方向の速度が大きくなり、結果として水平方向への移動量が小さくなる場合が起こり得る。そこで、反跳板600を鉛直方向に対して傾けて設ければ、水平方向の移動量が少なくなったとしても、遊技球を反跳板600により確実に衝突させることが可能となり、その結果、遊技球の横方向の速度をより確実に変化させることが可能となる。
また、本実施例の弾球遊技機10では、反跳板600が第2流路450の側壁の一部を構成しており、更に、この反跳板600に対して第2流路450を挟んで向かい合う側壁(対向面560)が、反跳板600と略平行に形成されている(図57を参照)。こうすることにより、本実施例の弾球遊技機10では、下皿16が満杯になった際に、第2流路450内のレバー部材510の上流側の空間を、遊技球を貯留するバッファ領域として有効に使用可能としている。この点について、図57を参照しながら説明する。
図57は、下皿16が満杯になった際に、レバー部材510の上流側の空間に遊技球を貯留させる様子を示した説明図である。図57(a)には、下皿16が満杯になったことに起因して、第2流路450に遊技球が積み上がって下皿満タンセンサ530が検知状態になった様子が示されている。ここで、前述したように本実施例の弾球遊技機10では、こうした検知状態が一定の時間以上に渡って継続した場合に、下皿16が満杯状態になったものと判断して払出装置420からの遊技球の払い出しを停止する。
すると、第2流路450に遊技球が積み上がってレバー部材510が回動した後でも、一定の時間の間は遊技球の払い出しが継続するので、図57(a)の状態から遊技球が更に積み上がる。例えば本実施例の弾球遊技機10では、下皿満タンセンサ530の検知状態が0.5秒間継続した場合に遊技球の払い出しを停止するが、この間も払出装置420からは約0.06秒(60ミリ秒)に1個のペースで遊技球が払い出される。したがって、下皿満タンセンサ530が検知状態になってから、遊技球の払い出しが停止するまでの間に、8個の遊技球が払い出されて第2流路450に積み上がることになる。
図57(b)には、下皿満タンセンサ530が検知状態になった後に遊技球の払い出しが停止するまでの間に、第2流路450に遊技球が積み上がった様子が示されている。図中にハッチングを付して示した遊技球は、下皿満タンセンサ530が検知状態になった後に払い出された遊技球である。前述したように、下皿満タンセンサ530の検知状態が一定時間継続した場合に遊技球の払い出しを停止するものとすれば、ノイズの影響を回避して満杯状態を的確に検出することが可能であるが、その一方で、払い出しを停止するまでの間に払い出される遊技球を貯留する領域が必要になる。
そこで、このように、反跳板600と、反跳板600に向かい合う対向面560とを平行に設けておけば、反跳板600と対向面560との間に遊技球を貯留することが可能である。こうすれば、遊技球を貯留するためのスペースを別途設ける必要がなく、反跳板600を設けた近傍のスペースを有効に利用することが可能となる。その結果、ノイズ等の影響を回避して下皿16の満杯状態を的確に検出可能としながらも、装置構成をコンパクトに保つことが可能となる。
なお、遊技球を貯留するこうしたスペースは、遊技球を払い出す速度(単位時間当たりの払い出し個数)と、センサ検知状態になってから払い出しを停止するまでの時間(満杯判定時間)との積の値の、整数部分の値以上の値であることが望ましい。例えば、上述した本実施例では、払い出し速度は1/0.06(個/秒)であり、センサ検知状態になってから払い出しを停止するまでの時間は0.5秒であるから、積は「8.33」となる。したがって、8個以上の遊技球を貯留可能なスペースを設けることが望ましい。こうすれば、遊技球を貯留スペースに確実に貯留することができるので、払出装置420から貯留スペースまでの間にほとんどスペースがなくても、積み上がった遊技球が払出装置420に達してしまう虞を回避可能である。
更には、上述した整数部分の値と同じ数の遊技球を貯留可能とするとより好ましい。すなわち、こうした場合には、積み上がった遊技球が払出装置420に達するのを回避しながらも、貯留スペースのサイズを可能な限りコンパクトにすることが可能となる。
また、遊技球の払い出し速度(単位時間当たりの払い出し個数)と、センサ検知状態になってから払い出しを停止するまでの時間(満杯判定時間)との積の値が、小数部分を持つように、払い出し速度と、満杯判定時間とを設定しておくとより好適である。すなわち、こうした場合には、遊技球を貯留するスペースを増やさなくても、満杯判定時間を長くとることが可能である。例えば、本実施例では、0.06秒に1個のペースで遊技球を払い出し、満杯判定時間は0.5秒なので、8球の遊技球を払い出した後も、0.02秒間の間、満杯判定時間が継続する。そして、この間は遊技球の払い出しは行われない。したがって、この0.02秒については、遊技球の貯留スペースを増やさなくてもよい。前述したように、満杯判定時間を長くとることにより、ノイズ等に対する耐性を向上させることができるので、こうすることにより、貯留スペースが大型化するのを回避して装置構成をコンパクトに保ちながらも、ノイズ等に対する耐性を向上させることが可能となる。
なお、遊技球を貯留するスペースについては、スペースの断面積(水平平面で切断した断面積)が、鉛直方向の下方に向かって広がるか、または均一に保たれることが望ましい。すなわち、そのような形状にしておけば、下皿16から遊技球が排出されて第2流路450から遊技球が排出され始めた際には、遊技球を貯留したスペースから遊技球が流れ出し易くなる。これにより、下皿16の満杯状態が解消された際に遊技球をスムーズに排出することが可能となって、より好適である。
H.払出制御装置の制御内容 :
上述したように、本実施例の弾球遊技機10では、払出装置420を駆動して遊技球の払い出しを行うとともに、下皿16の満杯状態を検出した場合には、遊技球の払い出しを停止する。こうした動作は払出制御装置410およびメイン制御装置100が協働することにより実現される。以下では、払出制御装置410およびメイン制御装置100が協働して行う処理の詳細について説明するが、そのための準備として、まず、払出制御装置410の周辺の装置構成について説明する。
H−1.払出制御装置の周辺の装置構成 :
図58は、払出制御装置410および払出制御装置410に電気的に接続された各装置の関係を示したブロック図である。図示されているように、払出制御装置410はCPUやROMやRAMを備えている。これらCPUやROMやRAMは相互に接続されており、ROMから読み出したプログラムをCPUで実行するとともに、プログラムの実行に伴う各種のデータをRAMに読み書き可能である。
払出制御装置410にはメイン制御装置100が接続されており、払出制御装置410はメイン制御装置100から各種のコマンド(後述する賞球コマンド等)を受け取ることが可能である。これらのコマンドはシリアルデータの態様で送受信され、メイン制御装置100に備えられたシリアル信号出力バッファから、払出制御装置410に備えられたシリアル信号入力バッファにシリアルデータが送信されることにより、コマンドの受け渡しが行われる。また、払出制御装置410からメイン制御装置100に各種のコマンドを送信することも可能となっており、払出制御装置410のシリアル信号出力バッファから、メイン制御装置100のシリアル信号受信バッファに向けてシリアルデータを送信することにより、払出制御装置410からメイン制御装置100にコマンドが受け渡される。
また、払出制御装置410には、貸出装置490も接続されている。前述したように、本実施例の弾球遊技機10では、遊技者は貸し玉機4から遊技球を借り受けることが可能であるが、貸し玉機4だけでなく、弾球遊技機10内に備えられた貸出装置490から遊技球を借り受けることも可能である。払出制御装置410はこうした貸出装置490と接続されており、貸出装置490との間で各種の信号を受け渡しすることにより、払出装置420から遊技球を払い出して遊技者に遊技球を貸し出すことが可能である。遊技球を貸し出す処理については後述する。
払出制御装置410には、状態復帰スイッチ412、タンク球検出スイッチ408、払出カウントスイッチ424の各スイッチも接続されている。状態復帰スイッチ412は、球詰りなどの異常が発生した際に、メンテナンス作業者が遊技球を排出するなどして異常状態を解消した後に押下するスイッチである。後述するように、状態復帰スイッチ412を押下することにより、払出装置420を異常状態から通常状態に復帰させることが可能である。
タンク球検出スイッチ408は、遊技球が遊技球貯留タンク400から払出装置420へ供給される通路に設けられたセンサスイッチであり、遊技球貯留タンク400が無球状態であるか否かを検知する機能を担う。払出制御装置410はこのタンク球検出スイッチ408からの信号に基づいて、遊技球貯留タンク400の状態(無球状態か否か)を把握可能である。
払出カウントスイッチ424は、払出装置420内に設けられて払出装置420が払い出した遊技球を検知するセンサスイッチである。払出制御装置410は、この払出カウントスイッチ424からの信号に基づいて、払出装置420から実際に払い出された遊技球の数を把握することが可能である。
また、払出制御装置410には、前述した下皿満タンセンサ530も接続されている。払出制御装置410は下皿満タンセンサ530の出力信号を取得することにより、下皿満タンセンサ530の検知状態(前述した「センサ検知状態」および「センサ非検知状態」)を把握することが可能である。こうした装置構成を用いて、払出制御装置410は以下の処理を実行する。
H−2.払出制御装置の処理 :
H−2−1.払出制御メイン処理 :
図59は、払出制御装置410が実行する「払出制御メイン処理」の処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、払出制御装置410に電源が投入されると、払出制御装置410内のCPUにより実行される処理である。
図示されているように、払出制御メイン処理では、まず、払出制御装置410のCPUの初期化処理を行う(ステップS4000)。すなわち、CPUが正常に起動したことを確認するとともに、プログラムカウンタが正常の値を示していることを確認することにより、CPUが不正な動作を行うことなく正常に動作することを確認する。それとともに、スタックポインタに初期値を設定することにより、CPUがスタックメモリを正しく使用可能な状態にする。
次いで、払出制御装置410に設けられた表示装置の表示内容を初期化する処理を行う(ステップS4002)。すなわち、本実施例の弾球遊技機10の払出制御装置410には、7セグメントLEDからなる表示装置が備えられており、払出制御装置410や払出装置420の状態に関する情報をこの表示装置に表示することが可能である。そこで、払出制御装置410が処理を開始したことに対応して、表示装置の表示内容を、初期状態に対応する表示内容に設定する。本実施例では、表示装置に数字の「0」を表示するものとする。
続くステップS4004では、RAMへのアクセス許可設定を許可状態に設定する。これにより、払出制御装置410のCPUおよび周辺装置は、RAMへのアクセスが可能になる。次いでステップS4006では、割込ベクタの設定を行う。後述するように、本実施例の払出制御装置410では、CPUの割込機能を用いて各種の処理を行う。このため、割込ベクタを設定して割込機能を使用可能にしておく。
割込ベクタを設定したら、次いで、RAMの値を初期化する処理を行う(ステップS4008)。かかる処理では、RAMの全ての記憶領域の値を一旦「0」に設定した上で、RAMの各記憶領域に、それぞれ所定の初期値を設定する。このように全ての記憶領域を一旦「0」に設定してから各記憶領域に値を設定してやれば、RAMの記憶領域に不正な値を書き込む不正行為が行われたとしても、払出制御装置410の起動時にはその値を消去することができるので、不正行為に対する耐性を高めることが可能となる。
割込ベクタおよびRAMの初期値の設定を行ったら、今度は周辺デバイスの初期化を行う(ステップS4010)。すなわち、払出制御装置410のCPU周辺のデバイスが起動したことを確認するとともに、周辺デバイスを初期状態に設定することにより、周辺装置を使用可能な状態にする。
以上の処理により、払出制御装置410のCPUおよび周辺装置の初期化が完了したら、払出制御装置410のCPUへの割込を許可設定する(ステップS4012)。これにより、実際に割込処理が実行可能な状態となる。こうして割込処理を実行可能な状態とした後は、払出制御装置410のCPUは、割込を許可設定する処理(ステップS4012)を繰り返し実行しながら、実際に割込が発生するまで待機する。このように割込許可状
態に設定する処理を繰り返し実行すると、ノイズ等の影響を受けたり、あるいは不正行為を受けることによって、割込許可設定が不許可状態になってしまったとしても、直ちに割込許可状態に設定し直すことが可能である。これにより、ノイズに起因して賞球を正しく払い出せなくなってしまう虞や、不正行為によって賞球が不当に払い出されてしまう虞を回避可能としている。
以上に説明したように、払出制御メイン処理では、払出制御装置410のCPUおよび周辺装置を初期化した後、割込許可設定を繰り返し実行して割込処理が可能な状態を維持する。こうして割込処理が可能な状態を維持しているうちに、メイン制御装置100からコマンドが送信されてくると、払出制御装置410は割込みを発生させて、次に説明する「コマンド割込処理」を実行する。
H−2−2.コマンド割込処理 :
図60は、「コマンド割込処理」の処理の流れを示したフローチャートである。上述したように、かかる処理は、払出制御装置410がメイン制御装置100からコマンドを受け取ると、払出制御装置410のCPUが「払出制御メイン処理」に割り込んで実行する処理である。図示されているように、コマンド割込処理では、まず、メイン制御装置100から受け取ったコマンドを取得する(ステップS4050)。前述したように、メイン制御装置100からのコマンドは払出制御装置410のシリアル信号入力バッファ(図58を参照)に格納されるので、これを読み出して取得する。
ここで、本実施例の弾球遊技機10では、メイン制御装置100から送信されてくるコマンドには複数の種類のコマンドがある。そこで、図60のコマンド割込処理では、取得したコマンドの種類を特定しながら、各コマンドの種類に対応する処理を実行していく。まず、受け取ったコマンドが「初期コマンド」であるか否かを判断する(ステップS4052)。
「初期コマンド」は、メイン制御装置100が起動して払出制御装置410とのコマンドの送受信が可能になった際に、メイン制御装置100から送信されるコマンドである。払出制御装置410では、かかるコマンドを受信することにより、メイン制御装置100がコマンドの送受信を可能な状態になったことを把握可能である。そこで、受け取ったコマンドが初期コマンドである場合には(ステップS4052:Yes)、初期表示解除処理を行う(ステップS4060)。すなわち、初期コマンドを受け取ったことを払出制御装置410の表示装置の表示内容に反映させるために、表示装置に表示させた前述の初期表示(本実施例では数字の「0」の表示)を停止する処理を行う。こうすることにより、メイン制御装置100から払出制御装置410にコマンドが送信されたことを、表示装置によって把握可能となる。
なお、払出制御装置410のRAMに「コマンド未受信フラグ」を設けておき、払出制御装置410が起動した際にはこのフラグをONに設定する(例えば前述の「払出制御メイン処理」でONに設定する)ものとし、初期コマンドを受信した際にはこのコマンド未受信フラグをOFFにするものとしてもよい。こうしたコマンド未受信フラグを設けておけば、メイン制御装置100との通信状態を、コマンド未受信フラグに基づいて容易に把握することが可能となって好適である。
コマンドが初期コマンドでない場合には(ステップS4052:No)、次いで、「賞球コマンド」か否かの判断を行う(ステップS4054)。「賞球コマンド」は、メイン制御装置100が払出制御装置410に賞球の払い出しを行わせるために送信するコマンドである。ここで、賞球コマンドには、賞球の数(賞球数)に応じて複数の種類の賞球コマンド(「1個賞球コマンド」〜「15個賞球コマンド」)があり、賞球コマンドに基づ
いて、賞球数を特定することが可能である。そこで、取得したコマンドが賞球コマンドである場合には(ステップS4054:Yes)、賞球の払い出しの準備として、取得した賞球コマンドを払出制御装置410のRAM上のコマンド格納エリアに格納する。詳しくは後述するが、払出制御装置410では、実際に賞球の払い出しを行う際に、このコマンド格納エリアから賞球コマンドを読み出すことにより、賞球数を特定する(後述の「賞球設定処理」を参照)。
取得したコマンドが賞球コマンドでない場合には(ステップS4054:No)、今度はコマンドが「前扉枠開放コマンド」であるか否かを判断する(ステップS4056)。ここで、「前扉枠開放コマンド」は、弾球遊技機10の正面パネル15が開放状態になった際に、メイン制御装置100から払出制御装置410に送信されるコマンドである。そこで、払出制御装置410は、前扉枠開放コマンドを受け取ると(ステップS4056:Yes)、前扉枠開放コマンドを受け取った旨を記憶すべく、「前扉枠開放フラグ」をRAMにセット(ONに設定)する(ステップS4064)。払出制御装置410はこの「前扉枠開放フラグ」を後述の「タイマ割込処理」において参照することにより、正面パネル15の開閉に応じた処理を実行することが可能となる。この点については後で説明する。
取得したコマンドが前扉枠開放コマンドでない場合には(ステップS4056:No)、次いで、コマンドが「前扉枠閉鎖コマンド」であるか否かを判断する(ステップS4058)。「前扉枠閉鎖コマンド」は、弾球遊技機10の正面パネル15が閉鎖状態になった際に、メイン制御装置100から払出制御装置410に送信されるコマンドである。そこで、払出制御装置410は前扉枠閉鎖コマンドを受け取ると(ステップS4058:Yes)、前述の「前扉枠開放フラグ」をリセットする(ステップS4066)。前述したように、前扉枠開放フラグは正面パネル15が開放されて前扉枠開放コマンドを受け取った際にセットされるフラグである。したがって、正面パネル15が閉鎖された際にこの前扉枠開放フラグを「OFF」にしてやれば、正面パネル15の開閉状態と前扉枠開放フラグの状態とを対応させることが可能となる。これにより、正面パネル15の開閉状態を前扉枠開放フラグに基づいて把握することが可能となる。
このようにコマンド割込処理では、メイン制御装置100からのコマンドを取得するとともに、そのコマンドに応じて、各種のフラグを設定したり、賞球コマンドをRAMに格納する処理を行う。払出制御装置410はこうしたコマンド割込処理を実行する一方で、CPUのタイマ割込機能を用いて定期的に割込みを発生させることにより、次に説明する「タイマ割込処理」を実行する。これにより、コマンド割込処理で設定された各フラグや賞球コマンドに対応する処理を直ちに実行可能としている。
H−2−3.タイマ割込処理 :
図61は、払出制御装置410が実行する「タイマ割込処理」の処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、払出制御装置410のCPUが、タイマ割込機能を用いて一定の時間周期(本実施例では2ミリ秒周期)で実行する処理である。図示されているように、タイマ割込処理を実行すると、まず、状態復帰スイッチ412の出力信号に基づいて、異常状態から正常状態への復帰処理(状態復帰処理)を行う(ステップS4080)。本実施例の弾球遊技機10では、状態復帰スイッチ412が20msec(20ミリ秒)以上にわたって押下された場合に、状態復帰動作を開始して異常状態を解除する。また、状態復帰スイッチ412が1000msec以上にわたって押下された場合には、払出装置420内および遊技球貯留タンク400から払出装置420までの通路(上部遊技球通路402)内の遊技球を、下方流路440に向けて排出する。
状態復帰処理を行ったら、次いで、下皿16が満杯か否かを下皿満タンセンサ530の
出力信号に基づいて判断する「下皿満タンチェック処理」を実行する。
図62〜図64は、「下皿満タンチェック処理」の流れを示したフローチャートである。図示されているように、下皿満タンチェック処理では、まず、「下皿満タンセンサ監視タイマ」の値を読み込む処理を行う(ステップS4200)。ここで、「下皿満タンセンサ監視タイマ」は、下皿満タンセンサ530の状態を監視するために使用するカウンタであり、後述するように、この下皿満タンセンサ監視タイマの値を定期的に変更することにより、所定の時間が経過したか否かを判断することが可能である。ステップS4200では、後述の各処理のための準備として、この下皿満タンセンサ監視タイマの値を取得する。なお、下皿満タンセンサ監視タイマは、払出制御装置410のCPU内のメモリを用いて実現するものとしてもよいし、払出制御装置410のRAMを用いて実現してもよい。あるいは、専用のメモリを用いるものとしてもよい。
下皿満タンセンサ監視タイマの値を読み込んだら、次いで、下皿満タンセンサ530からの信号のレベル値を取得する(ステップS4202)。すなわち、前述したように下皿満タンセンサ530はフォトセンサから構成されているが、フォトセンサの出力信号は、検出した光の強度に応じて変化する。そこで、下皿満タンセンサ530からの信号に基づいて検知状態と非検知状態とを判断するために、下皿満タンセンサ530からの信号の大きさ(レベル値)を取得する。前述したように、下皿満タンセンサ530は払出制御装置410に接続されているので、下皿満タンセンサ530からの信号を払出制御装置410で受信して信号レベル値を取得すればよい。信号レベル値の取得は種々の方法により可能であるが、例えば、払出制御装置410にADC(アナログデジタル変換機)を設けておき、下皿満タンセンサ530からの信号をデジタル値に変換して、変換後のデジタル値を取得すればよい。
なお、本実施例では、下皿満タンセンサ530のフォトセンサの検出光量が少ないほど出力レベル値が大きくなり、検出光量が多いほど出力レベル値が小さくなるものとして説明する。もちろん、これとは逆に、検出光量が多いほど出力レベル値が大きくなり、検出光量が少ないほど出力レベル値が小さくなる構成としてもよい。例えば上述のADC(アナログデジタルコンバーター)への入力信号の極性を反転させれば、こうした変更が容易に可能である。
下皿満タンセンサ信号レベル値を取得したら、次いで、取得した信号レベル値が閾値を超えているか否かを判断する(ステップS4204)。すなわち、前述のように下皿満タンセンサ530の信号レベル値は、下皿満タンセンサ530のフォトセンサの検出光量を反映しているが、本実施例の弾球遊技機10では、フォトセンサの検出光量はレバー部材510の位置を反映している(図54を参照)。そこで、下皿満タンセンサ530の信号レベル値に基づいて、レバー部材510が回動してセンサ検知状態になっているか否かを判断する。
信号レベル値が閾値を超えていれば(図62:ステップS4204:Yes)、レバー部材510が初期位置から回動しているものと考えられる。そこで、この場合には、「下皿満タンセンサ監視タイマ」の値に「1」を加算する(ステップS4206)。こうすると、レバー部材510が初期位置から回動した位置にあった時間の長さを、下皿満タンセンサ監視タイマの値に反映させることができる。すなわち、上述したようにタイマ割込処理は一定の時間間隔(本実施例では2msec間隔)で実行されるので、タイマ割込処理内で実行される下皿満タンチェック処理(及び、その中で行われる下皿満タンセンサ監視タイマに「1」を加算する処理)も一定の時間間隔で実行される。したがって、下皿満タンセンサ監視タイマには一定の時間間隔で「1」が加算されることになり、結果として、下皿満タンセンサ監視タイマの値は、レバー部材510が初期位置から回動した位置にあ
った時間の長さを反映する。
下皿満タンセンサ監視タイマの値に「1」を加算したら、次いで、「下皿満タンセンサ監視時間」を「250」に設定する(ステップS4208)。ここで、「下皿満タンセンサ監視時間」とは、前述の「下皿満タンセンサ監視タイマ」の値との比較に用いる値であり、後述するように、「下皿満タンセンサ監視タイマ」の値と「下皿満タンセンサ監視時間」とを比較することによって、下皿満タンセンサ530が所定時間に渡って検知状態(あるいは非検知状態)にあったか否かを判断する。ステップS4208では、こうした比較を行うための準備として、下皿満タンセンサ監視時間を「250」に設定する。なお、下皿満タンセンサ監視時間を設定する際には、払出制御装置410のRAMやCPU内のメモリに記憶領域を確保し、そこに値をセットすればよい。
下皿満タンセンサ監視時間を設定すれば、下皿満タンセンサ監視タイマの値と、下皿満タンセンサ監視時間とを比較することにより、下皿満タンセンサ530が一定時間に渡って、検知状態であったことを判断可能である。例えば本実施例では、下皿満タンセンサ監視時間に「250」を設定しているが(ステップ4208)、前述のように下皿満タンセンサ監視タイマは2msec間隔で「1」づつ加算されるので、約500msec(0.5秒)経過すると、下皿満タンセンサ監視時間の値を上回ることになる。したがって、下皿満タンセンサ監視時間と、下皿満タンセンサ監視タイマの値とに基づいて、下皿満タンセンサ530が0.5秒以上にわたって検知状態であったことを判断可能である。
ここで、本実施例の弾球遊技機10では、こうした下皿満タンセンサ監視時間を、次のように変更可能としている。すなわち、払出制御装置410がメイン制御装置100からコマンドを受け取っているか否かを判断し(ステップS4210)、コマンドを受け取っていない場合には(ステップS4210:No)、設定した下皿満タンセンサ監視時間を変更して「1000」(2秒に相当)に設定する。このように、払出制御装置410がメイン制御装置100からコマンドを受け取っているか否かを判断し、受け取っていない場合には、下皿満タンセンサ監視時間をより長い時間に変更することにより、本実施例の弾球遊技機10では、下皿16の満杯状態を的確に検出可能としながらも装置構成をコンパクトに保つことを可能としている。この点については後で詳しく説明する。
なお、メイン制御装置100からのコマンドを受け取り済みの場合には(ステップS4210:Yes)、ステップS4212をスキップすることにより、下皿満タンセンサ監視時間を、メイン制御装置100からコマンドを受け取っていない場合(本実施例では「1000」)よりも短い値(本実施例では「250」)に維持する。こうすることにより、弾球遊技機10の装置構成をコンパクトに保つことを可能としている。この点についても後で詳しく説明する。
下皿満タンセンサ監視時間を設定したら、次いで、下皿満タンセンサ監視タイマと下皿満タンセンサ監視時間との値を実際に比較して、下皿満タンセンサ監視タイマの値が、下皿満タンセンサ監視時間を越えたか否かを判断する(図63:ステップS4214)。下皿満タンセンサ監視タイマの値が、下皿満タンセンサ監視時間をまだ越えていなければ(ステップS4214:No)、そのまま下皿満タンチェック処理を終了して(図62を参照)、タイマ割込処理へと復帰すればよい(図61を参照)。
一方、前述したようにタイマ割込処理は一定の時間周期で実行されるので、タイマ割込処理内で実行される下皿満タンチェック処理も一定の時間周期で実行される。したがって、下皿満タンチェック処理が実行された際に、下皿満タンセンサ530からの信号レベル値が所定の閾値を超えていれば(レバー部材510が所定量以上回動していれば)、下皿満タンセンサ監視タイマの値は次第に増加していく(図62のステップS4204及びス
テップS4206を参照)。そして、下皿満タンセンサ監視タイマの値が、下皿満タンセンサ監視時間を越えると、図63のステップS4214で今度は「Yes」と判定される。
このように、本実施例の弾球遊技機10では、下皿満タンセンサ530からの出力信号を所定の時間周期で繰り返しチェックするとともに、出力信号が所定のレベルを超えていた場合には、カウンタ(本実施例では下皿満タンセンサ監視タイマ)の値を増加させる。そして、カウンタ(本実施例では下皿満タンセンサ監視タイマ)の値が、所定の閾値(本実施例では下皿満タンセンサ監視時間)を超えたか否かを判定している。こうすると、センサ(本実施例では下皿満タンセンサ530)が一定の時間以上に渡って検知状態であった場合に、閾値(本実施例では下皿満タンセンサ監視時間)を超えることから、閾値を超えたか否かを判定することにより、レバー部材510が一定時間以上に渡って、所定量以上回動した位置にあったか否かを判定することができる。
こうすれば、前述したように、レバー部材510に遊技球が衝突して下皿満タンセンサ530が検知状態になったり、あるいは電気的なノイズの影響を受けて検知状態と誤判断されたとしても、それらの影響は短時間しか継続しないのが通常であるから、それらの影響を排除して下皿16の満杯状態を的確に検出することが可能となる。なお、本実施例では、このように検知状態が所定時間以上継続したことにより、下皿16が満杯状態になっていると判定することを「下皿満タンオン検出」と呼び、下皿16が満杯状態になっていると判定されている状態を「下皿満タンオン検出状態」呼ぶものとする。
下皿満タンセンサ監視タイマの値が下皿満タンセンサ監視時間を越えていることを検出したら(ステップS4214:Yes)、今度は下皿満タンセンサ監視タイマの値を「1000」(本実施例では2秒に相当)にセットする(ステップS4216)。すなわち、下皿16が満杯であることを検出したので、今度は、下皿16の満杯状態が解消されたことを検出するために、下皿満タンセンサ監視タイマに、満杯状態の解消の検出に用いる値をセットする。後述するように、本実施例の弾球遊技機10では、下皿満タンセンサ監視タイマの値に基づいて、下皿16の満杯状態が解消したことを検出する。
下皿満タンセンサ監視タイマに値をセットしたら、次いで、「払出エラーフラグ」が「OFF」か否かを判定し(ステップS4218)、「OFF」の場合には払出エラーフラグをセット(「ON」に設定)する(ステップS4220)。ここで、「払出エラーフラグ」は、下皿16の満杯状態を検出したことを受けて、下皿満タンオン検出状態であることを記憶するためにセットされるフラグである。このように払出エラーフラグをセットしておくことにより、下皿満タンオン検出状態であるか否かをフラグに基づいて容易に判断可能となる。なお、払出エラーフラグがOFFでない場合は(ステップS4218:No)、払出エラーフラグの設定がすでに完了しているので、そのまま下皿満タンチェック処理を終了してタイマ割込処理に復帰すればよい。
払出エラーフラグをセットしたら、次いで、「下皿満タン信号オンコマンド」を送信レジスタにセットする(ステップS4222)。ここで「下皿満タン信号オンコマンド」は、下皿満タンオン検出がなされたことを、メイン制御装置100に通知するためのコマンドである。払出制御装置410は、かかる「下皿満タン信号オンコマンド」を払出制御装置410内の送信レジスタにセットし、送信レジスタからシリアル信号出力バッファを介して「下皿満タン信号オンコマンド」をメイン制御装置100に送信することにより、下皿満タンオン検出状態である旨をメイン制御装置100に通知することが可能となる。
なお、メイン制御装置100では、かかる下皿満タン信号オンコマンドを受信すると、払出制御装置410への賞球コマンドの送信を停止するとともに、サブ制御装置200に
対してエラー報知コマンドを送信する。サブ制御装置200では、エラー報知コマンドを受け取ると、下皿16が満杯である旨を、スピーカ14や演出表示装置30を介して遊技者に通知する。これにより、遊技者を促して下皿16から遊技球を排出させることが可能となる。
以上のように、下皿満タンチェック処理では、下皿16の満杯状態を検出すると、満杯状態の解消を検出するための準備を行うとともに(ステップS4126)、払出エラーフラグをセットすることにより下皿16の満杯状態を検出したことを記憶する(ステップS4128)。加えて、下皿満タン信号オンコマンドを送信レジスタにセットすることにより、メイン制御装置100に通知する(ステップS4222)。こうして下皿16の満杯状態に対応する処理を行ったら、今度は、実際に払出装置420の動作を変化させるべく、払出状態設定処理を実行する(ステップS4224)。払出状態設定処理では、払出装置420に制御信号を送信することにより、払出装置420の動作を制御する。かかる払出状態設定処理については後で詳しく説明する。
図62のステップS4204において、下皿満タンセンサ530の信号レベル値が閾値を超えていたら(図62:ステップS4204:Yes)、レバー部材510が初期位置から回動していることに対応して、上述の各処理を実行する。一方、下皿満タンセンサ530の信号レベル値が閾値を超えていなければ(センサ非検知状態であれば)、レバー部材510が初期位置にあるか、あるいは回動しているとしても回動量は僅かなので、下皿16は満杯状態ではないと判断できる。そこで、この場合には図64の各処理を実行する。
まず、下皿満タンセンサ監視タイマの値が「0」か否かを判断し(図64:ステップS4226)、「0」でなければ、下皿満タンセンサ監視タイマの値から「1」を減算する(ステップS4228)。すなわち、前述したように、下皿満タンセンサ監視タイマには、下皿満タンオン検出の際に値を設定してある(図63:ステップS4216を参照)。そこで、下皿満タンセンサ530が非検知状態の場合には(図62のステップS4204:No)、この下皿満タンセンサ監視タイマの値から「1」を減算していく(ステップS4228)。こうすると、前述したように下皿満タンチェック処理は所定の時間周期で繰り返し実行されるので、センサ非検知状態が所定の時間に渡って継続すれば、やがて下皿満タンセンサ監視タイマの値が「0」になる。したがって、下皿満タンセンサ監視タイマの値が「0」か否かを判断することにより、センサ非検知状態が所定の時間にわたって継続したか否かを判断できる。こうすれば、前述したノイズ等の影響による誤判断を回避できるので、下皿16の満杯状態が解消したことを的確に検出可能となる。
なお、本実施例では、このようにセンサ非検知状態が所定時間以上継続したことにより、下皿16の満杯状態が解消したと判断することを「下皿満タンオフ検出」と呼ぶものとする。
また、本実施例の下皿満タンチェック処理では、上述したように下皿満タンセンサ監視タイマの値を一方的に減少させるのではなく、途中で増加させる場合もある。例えば、下皿満タンセンサ530が非検知状態になると、下皿満タンセンサ監視タイマの値を減少させるが(図64:ステップS4228)、下皿満タンセンサ530が検知状態になると、今度は下皿満タンセンサ530の値を増加させる(図62:ステップS4206)。そして、下皿満タンセンサ530が再び非検知状態になると、増加させた下皿満タンセンサ530の値を再び減少させる(図64:ステップS4228)。こうして下皿満タンセンサ監視タイマの値を途中で増加させたとしても、下皿満タンセンサ監視タイマの値が「0」になれば、下皿満タンオフ検出が可能である(ステップS4230を参照)。このため、上述したようにセンサ非検知状態が所定時間以上継続した場合だけでなく、センサ非検知
状態が途中で中断した場合についても、検出が可能である。
このように、センサ非検知状態が継続した場合だけでなく、途中で中断した場合についても検出してやれば、たとえ電気的なノイズ等に起因してセンサ非検知状態が中断してしまったとして、下皿満タンオフを的確に検出することが可能である。また、本実施例では、センサ非検知状態の場合にはカウンタの値から「1」を減算し、センサ検知状態の場合にはカウンタの値に「1」を加算しているので、いわば、センサ非検知状態の回数(センサ非検知状態の時間の長さに相当)とセンサ検知状態の回数(センサ検知状態の時間の長さに相当)とで多数決を取っている。こうすることにより、ノイズ等の影響を適切に低減させて下皿満タンオフをより的確に検出可能としている。なお、この点については下皿満タンオンを検出する場合についても同様である。
下皿満タンセンサ監視タイマの値から「1」を減算したら(ステップS4228)、再び下皿満タンセンサ監視タイマの値が「0」か否かを調べる(ステップS4230)。下皿満タンセンサ監視タイマの値が「0」であれば(ステップS4230:Yes)、下皿満タンセンサ監視タイマの値がちょうど「0」になったタイミングであるから、「下皿満タンオフ検出」に相当する。そこで、この場合には、払出エラーフラグが「ON」か否かを判断し(ステップS4232)、「ON」であれば、下皿満タンオフを検出したことに対応して払出エラーフラグをリセット(OFFに設定)する(ステップS4234)。次いで、下皿16の満杯状態が解消した旨をメイン制御装置100に通知するために、「下皿満タン信号オフコマンド」を送信レジスタにセットする(ステップS4236)。
こうして、下皿満タンオフ検出に対応する各処理を行ったら、下皿満タンオン検出の場合と同様に、払出装置420の動作状態を実際に変化させるべく、払出状態設定処理を実行する(ステップS4238)。
図65は、払出状態設定処理の流れを示したフローチャートである。図示されているように、処理を開始すると、まず、払出エラー状態か否かを判断する(ステップS4260)。ここで、払出エラー状態とは、払出装置420からの遊技球の払出しに支障が生じていると判断された状態である。前述したように、下皿満タンオン検出状態では、下皿16が満杯になって払出しに支障が生じていると考えられることから、こうした払出エラー状態に該当する。そこで、前述の払出エラーフラグに基づいて、払出エラー状態か否かを判定する。すなわち、下皿満タンオン検出状態の場合には払出エラーフラグをセットしているので(図63:ステップS4220)、払出エラーフラグに基づいて、払出エラー状態か否かを判断する。
なお、下皿16が満杯状態の場合に限らず、払出装置420からの遊技球の払出に支障が生じている状態であれば、払出エラー状態として扱うものとしてもよい。例えば、遊技球貯留タンク400が空になって遊技球を払出装置420に供給できなくなったり、あるいは上部遊技球通路402やノズル流路422で球詰まりが生じて払い出しに支障が生じた場合についても、払出エラー状態として扱うものとしてもよい。
払出エラー状態と判断した場合(ステップS4260:Yes)、払出装置420の払出モータ426に制御信号を送信することにより、実際に払出装置420からの払い出しを停止する(ステップS4268)。こうすることにより、払出エラー状態であるにもかかわらず払出装置420を駆動して払出装置420等を故障させてしまう虞を回避することが可能となる。なお、本実施例では、払出装置420の払出モータ426を停止させた状態を払出装置420の停止状態と呼ぶものとする。こうして払出装置420を停止状態に移行した後は、前述の下皿満タンチェック処理(図62〜図64を参照)へと復帰する。
一方、払出エラー状態ではない場合には(図65のステップS4260:No)、次いで、払出個数カウンタの値が「0」か否かを判断する(ステップS4262)。ここで「払出個数カウンタ」は、後述するように、払出装置420から払い出すべき遊技球の残数を記憶したカウンタである。この払出個数カウンタの値が「0」であれば(ステップS4262:Yes)、払い出すべき遊技球がないことから、払出装置420を停止状態へと移行させる(ステップS4268)。
払出個数カウンタの値が「0」でない場合には(ステップS4262:No)、次いで、低速フラグがセットされているか否か(「ON」に設定されているか否か)を判断する(ステップS4264)。ここで「低速フラグ」は、払出装置420からの遊技球の払い出しの速さ(払出速度)を制御するためのフラグである。かかる低速フラグは、タイマ割込処理内で実行される賞球設定処理(図66及び図67を参照)において設定される。この点については後述する。
低速フラグが「ON」に設定されている場合(ステップS4264:Yes)、これを受けて、払出装置420を「低速状態」に移行させる(ステップS4270)。低速状態では、払出装置420内の払出モータ426の回転速度が、通常の状態よりも低速になることにより、遊技球の払い出し速度(単位時間当たりの払い出し球数)が低速になる。一方、低速フラグが「ON」でなければ、そのことに対応して、払出装置420を、低速状態よりも払い出し速度が高い「通常状態」に移行する(ステップS4266)。本実施例の弾球遊技機10では、このように遊技球の払い出し速度を変更することも可能であり、このことを利用して、払出機構の装置構成をよりコンパクト化することも可能である。この点については後で説明する。
以上のように、払出状態設定処理では、払出エラーフラグや低速フラグなどの制御フラグに基づいて、払出装置420の動作状態を変化させる。こうして払出装置420の動作状態を変化させたら、前述の下皿満タンチェック処理へと復帰し(図63:ステップS4224および図64:ステップS4238を参照)、更にタイマ割込処理へと復帰する(図61:ステップS4082を参照)。
タイマ割込処理(図61を参照)では、上述の下皿満タンチェック処理に続いて、今度は球無処理を実行する(ステップS4084)。かかる球無処理では、タンク球検出スイッチ408に基づいて、遊技球貯留タンク400の球無し状態を検出するとともに、球無し状態を検出した場合には「球無フラグ」をセットする。また、遊技球貯留タンク400の球無し状態が一定時間以上に渡って継続すると、「球無低速フラグ」をセットする。かかる球無低速フラグは上述の低速フラグの一種であり、払出状態設定処理(図65を参照)では、球無低速フラグがセットされていると、払出装置420を低速状態に移行させる(図65:ステップS4264、ステップS4270)。
こうすると、払出モータ426が停止する頻度を低下させることが可能なことから、払出モータ426の寿命を向上させたり、あるいは消費電力を抑制することが可能となる。すなわち、球無し状態が一定時間以上に渡って継続した場合、遊技球貯留タンク400が実際に空になっている場合だけでなく、遊技球貯留タンク400に遊技球があるものの、通路の一部で遊技球の流れが滞るなどして、タンク球検出スイッチ408が遊技球を一時的に検出しない場合もある。こうした場合、時間が少し経過すれば、遊技球の流れが回復することがある。
そこで、遊技球の払い出し速度を低下させてやれば、遊技球の払い出しを行っている間に遊技球の流れが回復することがあり、こうした場合には、払出モータ426を停止させ
ずに済む。払出モータ426を停止させた場合、再び払出モータ426を駆動させる際には、いわゆる突入電流のために電力の消費量が増えてしまうし、更には、払出モータ426の電磁石を励磁しなおすための電力も必要になる。この点、払出モータ426を停止させずに済めば、突入電流を抑えることが可能な上、払出モータ426の電磁石を励磁しなおす必要がないので、消費電力を抑えることが可能となる。加えて、突入電流や励磁の際の電流に起因して、払出モータ426の寿命が低下してしまう虞を回避することも可能となる。更に、払出モータ426を励磁しなおさなくて良いことから、励磁に要する時間を削減することが可能となり、結果として、遊技球の払い出しを迅速に完了することが可能となる。
タイマ割込処理(図61を参照)では、球無処理に次いで、賞球の払い出しの準備を行う「賞球設定処理」を実行する(ステップS4088)。
図66および図67は、賞球設定処理の流れを示したフローチャートである。図示されているように、賞球設定処理を開始すると、まず、コマンド格納エリアに賞球コマンドがあるか否かを判断する(ステップS4300)。すなわち、前述したように、払出制御装置410は賞球数の情報が格納された賞球コマンドをメイン制御装置100から受け取ると、賞球コマンドをコマンド格納エリアに記憶する(図60:ステップS4062を参照)。そこで、賞球数を把握するべく、コマンド格納エリアに格納した賞球コマンドを取得する。コマンド格納エリアに賞球コマンドがない場合は、賞球払い出しの準備は不要なので、そのまま処理を終了してタイマ割込処理に復帰すればよい(ステップS4300:No)。
コマンド格納エリアに賞球コマンドがあれば(ステップS4300:Yes)、次いで、その賞球コマンドに対して、チェック演算を実行する(ステップS4302)。ここでチェック演算とは、コマンド格納エリアの賞球コマンドが正当であるか否かを確認する演算である。こうした演算は種々の方法により可能であるが、例えば、賞球コマンドを1バイト(8ビット)のデータとしておき、その1バイトの下位4ビットと、上位4ビットとを加算する。このとき、正当な賞球コマンドの場合には演算結果が必ず「0xFF」(全てのビットが「1」)となるように賞球コマンドを予め設定しておけば、下位4ビットと上位4ビットとの加算演算により、賞球コマンドが正当か否かを容易に確認することが可能である。こうして賞球コマンドの正当性を確認してやれば、不正行為によって不正な賞球コマンドが格納されたり、あるいは電気的なノイズのために賞球コマンドが変化してしまったとしても、賞球が不当に払い出されてしまう虞を回避可能である。
チェック演算を実行したら、次いで、コマンド格納エリアの賞球コマンドを消去した後(ステップS4304)、チェック演算結果の正当性を実際に確認する。チェック演算結果が正当でなければ(ステップS4306:No)、そのまま賞球設定処理を終了する。これにより、前述したように、賞球が不当に払い出される虞を回避可能となる。チェック演算の結果が正当であれば(ステップS4306:Yes)、次いで、賞球コマンドに対応する賞球数を特定する(ステップS4308)。前述したように、賞球コマンドには賞球数の情報が格納されているので、賞球コマンドに基づいて賞球数を特定可能である。なお、賞球数の情報を賞球コマンドに格納する方法としては、種々の方法を用いることが可能であるが、本実施例の弾球遊技機10では、1バイト(8ビット)の賞球コマンドのうちの下位4ビットに、賞球数を格納している。一般にCPUは1バイトのデータから下位4ビットを抽出する演算を高速に実行可能なことから、こうすることにより、賞球コマンドに基づいて賞球数を迅速に特定可能としている。
賞球コマンドに基づいて賞球数を特定したら、次いで、「賞球数記憶エリア」の値にマスク処理を施す(ステップS4310)。ここで「賞球数記憶エリア」は、払出装置42
0から払い出すべき賞球数を記憶した記憶エリアであり、後述するように、賞球コマンドに基づいて特定された賞球数は、「賞球数記憶エリア」の値に加算される。ステップS4310では、この賞球数記憶エリアの値が不正な値になるのを回避するために、賞球数記憶エリアの値にマスク処理を施す。例えば、賞球数記憶エリアの値が上限値を上回るのを回避する場合には、賞球数記憶エリアの値に対応するビットパターンと、上限値に対応するビットパターンとで、論理積を算出(AND演算を実行)し、結果を賞球数記憶エリアに格納すればよい。こうすると、賞球数記憶エリアに上限値を超える値が格納されていたとしても、演算後には、上限値を超えた部分のビットは全て「0」になるので、上限値を超えることがない。これにより、上限値を超えた数の遊技球が不当に払い出されてしまう虞を回避可能としている。
賞球数記憶エリアの値にマスク処理を施したら、次いで、賞球コマンドに基づいて特定した賞球数を、賞球数記憶エリアの値に加算するための準備として、加算する賞球数が所定の数値範囲内にあるか否かを判断する。まず、加算する賞球数が「1」以上であるか否かを判断する(ステップS4312)。次いで、加算する賞球数が「16」以下であるか否かを判断する(ステップS4314)。本実施例の弾球遊技機10では、賞球の数が「1個」から「16個」までに設定されているので、このように、加算する賞球数がこの範囲内にあるか否かを判断する。加算する賞球数がこの範囲になければ(ステップS4312:No、またはステップS4314:No)、何らかの不整合が生じているので、賞球が不正に払い出されるのを回避すべく、そのまま賞球設定処理を終了する。
加算する賞球数が所定の範囲内にあることを確認したら、今度は、その賞球数を実際に賞球数記憶エリアの値に加算する(ステップS4316)。次いで、加算結果が所定の値(本実施例では「18」)以下になっているか否かを確認する(ステップS4318)。すなわち、後述するように本実施例の弾球遊技機10では、賞球数記憶エリアの値が「3」以下の場合に、メイン制御装置100からの賞球コマンドを受け付ける。そして、賞球コマンドに対応つけられた賞球数の最大値は「15」である。したがって、賞球数記憶エリアの値は、最大でも「18」となる。このため、賞球数記憶エリアの値が「18」よりも大きな値を示している場合には、何らかの不整合が生じたと考えられる。
そこで、賞球数記憶エリアの値が「18」よりも大きな値となっている場合には(ステップS4318:No)、賞球数記憶エリアの値を「18」に設定する(ステップS4324)。こうすることにより、賞球数記憶エリアの値が不正な値となっている場合であっても、正常な値に修正することが可能である。加えて、修正後の値を、正当な値のうちの最も大きな値としてやれば、賞球の数を著しく減らしてしまうことがない。したがって、ノイズ等の影響によって不整合が生じた場合などに、賞球の数が著しく減少して遊技者が不満を抱く虞を回避可能である。これにより、不正に多数の賞球が払い出される事態を回避することと、賞球が減少して遊技者が不満を抱く虞を回避することとを、両立可能としている。
このように、賞球コマンドに対応する賞球数の最大値(本実施例では「15」)と、賞球コマンドを受け付ける際の賞球数記憶エリアの最大値(本実施例では「3」)とに基づいて、賞球コマンドの賞球数を加算後の値が正当か否かを判断してやれば、賞球数の正当性を容易に判断することが可能であり、その結果、不正な値に基づいて遊技球が不正に払い出されてしまう虞を回避可能となる。また、賞球数に不整合が生じた場合であっても、適切に修正することが可能となる。
賞球数記憶エリアの値の正当性を確認したら、次いで、「賞球低速フラグ」が「ON」か否かを判定する(ステップS4320)。ここで、「賞球低速フラグ」は、前述した低速フラグの一種である(図65:ステップS4264を参照)。こうした賞球低速フラグ
をONにセットすることにより、払出装置420を低速状態に移行させて、遊技球の払い出しを低速に行わせることが可能である(図65:ステップS4270を参照)。通常は賞球の払い出しを低速に行わせる必要はないことから、賞球低速フラグがONであれば(ステップS4320:Yes)、賞球低速フラグをリセット(「OFF」に設定)する(ステップS4326)。
こうして賞球低速フラグをリセットしたら、最後に、エラーフラグをリセットして(ステップS4322)、図66および図67の賞球設定処理を終了する。以上に説明したように、賞球設定処理では、賞球を実際に払い出すための準備として、賞球数を取得し、更に、払出装置420から払い出しを行う際の払出装置420の動作態様を設定すべく、各種のフラグをセットする。こうして賞球の払い出しの準備を行うことにより、後述の「払出制御処理」により、賞球を適切に払い出し可能となる。
賞球設定処理を終了してタイマ割込処理(図61を参照)に復帰すると、次いで、貸出装置490から遊技球の貸し出しを行うための「貸球設定処理」を実行する(ステップS4088)。
図68は、貸球設定処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、貸出装置490から遊技球を貸し出す準備を行うために実行される処理である。図示されているように、処理を開始すると、まず、「貸球状態フラグ」がONか否かを判断する(ステップS4350)。ここで「貸球状態フラグ」は、貸出装置490からの遊技球の貸し出し要求を払出制御装置410が待機中であることを示すフラグである。貸球状態フラグをセットする処理については後述する。
貸球状態フラグがONでない場合(ステップS4350:No)、貸出装置490からの貸し出し要求を受け入れる準備をすべく、次いで、「接続確認信号」および「貸球待機信号」がONか否かの判断を行う(ステップS4362)。ここで、「接続確認信号」は、貸出装置490と払出制御装置410との接続か確立されていることを確認するための信号である。本実施例の弾球遊技機10では、貸出装置490から払出制御装置410に向けて「BRDY信号」及び「BRQ信号」の2つの信号が送信可能であり(図58を参照)、このうち「BRDY信号」が接続確認信号に対応する。
一方、「貸球待機信号」は、貸出装置490が遊技球の貸し出し要求を待ち受けていることを示す信号である。例えば、遊技者が貸出装置490に貸球カードを挿入した状態や、貸出装置490の操作ボタンを操作している状態などのように、遊技球の貸し出しがいずれ要求されると考えられる状態であることを示す信号である。本実施例の弾球遊技機10では、「BRQ信号」が貸球待機信号に相当する。接続確認信号および貸球待機信号が「ON」でなければ(ステップS4362:No)、貸出装置490との接続が正常でないか、貸し出し要求がまだ無いと考えられるので、そのまま処理を終了する。
接続確認信号および貸球待機信号が「ON」であれば(ステップS4362:Yes)、次いで、払出エラー状態か否かを判断する(ステップS4364)。すなわち、下皿16が満杯状態になるなどして払出装置420からの払い出しが正常に行えない場合には、遊技球の貸し出しも正常に行えないと考えられるので、その場合にはそのまま処理を終了する(ステップS4364:Yes)。
払出エラー状態でなければ(ステップS4364:No)、次いで、払出動作中か否かを判断する(ステップS4366)。前述したように、払出装置420からは、貸球の払出しの他にも、賞球の払い出しなどが行われるので、他の払い出しが行われている場合には、払い出しが終了するまで待機すべく、そのまま処理を終了する(ステップS4366
:Yes)。払出動作中でなければ(ステップS4366:No)、遊技球の貸し出しが可能であることを貸出装置490に通知すべく、貸球許可信号を「ON」にする(ステップS4368)。本実施例の弾球遊技機10では、払出制御装置410から貸出装置490に向けて「EXS信号」を送信可能であり(図58を参照)、このEXS信号をONにすることが、貸球許可信号をONにすることに対応する。こうして貸球許可信号をONにしたら、遊技球の貸し出し要求を受け入れる準備が整ったので、前述の「貸球状態フラグ」をセットする(「ON」に設定する)ことにより、貸出装置490からの貸し出し要求の待機状態に移行する(図68:ステップS4370)。
こうして貸球状態フラグをONに設定すると、再び貸球設定処理が実行された際には、ステップS4350において今度は「Yes」と判定されて、ステップS4352へと移行する。ステップS4352では、貸出装置490からの貸出要求である「貸球要求信号」を受信したか否かを判断する。本実施例の弾球遊技機10では、貸出装置490からのBRQ信号(図58を参照)がOFFになることが、貸球要求信号の受信に相当する。
貸球要求信号を受信したら(ステップS4352:Yes)、次いで、貸球数記憶エリアの値に、貸球数を加算する(ステップS4354)。貸球数記憶エリアは、貸球として払い出す遊技球の数を記憶するために、払出制御装置410のRAM上に設けられた記憶領域である。貸球要求信号を受信したことに対応して、この貸球数記憶エリアの値に、貸球数を加算する。貸球数は予め定めておいてもよいし、あるいは貸球要求信号を用いて貸出装置490から指定を受けるものとしてもよい。本実施例では、貸球数は予め25球に定められているものとして説明する。なお、貸球要求信号を受信していない場合には、貸球数を加算する必要がないので、ステップS4354はスキップすればよい(ステップS4352:No)。
貸球数記憶エリアの値に貸球数を加算したら、次いで、貸球要求終了信号を受信したか否かを判断する(ステップS4356)。貸球要求終了信号は、貸球要求信号が所定の回数(本実施例では5回)だけ貸出装置490から送信された後に、貸出装置490から送信される信号である。前述したように、貸球要求信号を受信すると、貸球数記憶エリアの値に貸球数を加算していくので(ステップS4354)、このように貸球要求信号を所定回数だけ受信した後に貸球要求終了信号を受信することにより、1回の貸し出し要求に対して、予め定めた数の遊技球を正確に貸し出すことが可能となる。
貸球要求終了信号を受信したら(ステップS4356:Yes)、次いで、遊技球の貸し出しが完了したことに対応して、貸球状態フラグをリセットする(ステップS4358)。その後、賞球許可信号を再びOFFにした後(ステップS4360)、貸球設定処理を終了してタイマ割込処理に復帰する。貸球要求終了信号を受信していない場合には(ステップS4356:No)、遊技球の貸し出しがまだ継続すると考えられるので、貸球状態フラグや貸球許可信号を変更することなく、そのまま貸球設定処理を終了してタイマ割込処理(図61を参照)に復帰すればよい。
上述したように、貸球設定処理(図61:ステップS4088)では、貸出装置490からの貸球要求を受けて、貸球数記憶エリアに、払い出す遊技球の数を格納する。こうして、賞球設定処理(ステップS4086)ではメイン制御装置100から賞球数を取得し、貸球設定処理では貸出装置490から貸球数を取得したら、今度は遊技球を実際に払い出すために、払出個数設定処理(ステップS4090)を実行する。
図69は、払出個数設定処理の流れを示したフローチャートである。図示されているように、払出個数設定処理では、まず、賞球数記憶エリアの値にマスク処理を施す(ステップS4500)。前述したように、賞球設定処理においても賞球数記憶エリアの値にマス
ク処理をおこなっているが(図66:ステップS4310を参照)、実際に賞球の払い出しを行うまでには時間があるので、その間に賞球数記憶エリアの値がノイズ等の影響を受ける場合もある。そこで、払出個数設定処理においてもマスク処理を行えば、賞球数記憶エリアの値が不正な値になる虞をより確実に回避することが可能となる。
賞球数記憶エリアの値にマスク処理を施したら、次いで、払出制御装置410が球抜き動作中か否かを判断する(ステップS4502)。ここで、球抜き動作とは、遊技機のメンテナンス作業等のために、遊技球貯留タンク400や上部遊技球通路402(図5を参照)から遊技球を排出して空にする動作である。本実施例の弾球遊技機10では、次のようにすることで、球抜き動作を実行可能である。まず、遊技球貯留タンク400への遊技球の供給を停止する。次いで、正面パネル15を開き、入球口へ遊技球を入れる。その後、正面パネル15を閉じると、後述する賞球許可信号が払出制御装置410からメイン制御装置100に送信され、これを受けてメイン制御装置100から払出制御装置410に賞球コマンドが送信される。払出制御装置410では、賞球コマンドを受けて払出装置420から遊技球を払い出す。
払出装置420から遊技球を払い出すと、やがて遊技球貯留タンク400内の遊技球がなくなり、タンク球検出スイッチ408が球無状態を検知する。前述したように、タンク球検出スイッチ408が球無状態を検知すると、払出装置420からの払い出しが停止するので、遊技球貯留タンク400が空になった状態で払出装置420が停止することになる。
もっとも、この状態では遊技球貯留タンク400は空になっているものの、タンク球検出スイッチ408から払出装置420までの間の通路には遊技球がまだ残っていると考えられる。そこで、今度は球抜操作スイッチ416を操作する。こうすると、払出制御装置410のRAM上に「球抜き動作フラグ」がセットされることにより、払出制御装置410は「球抜き動作状態」へと移行する。球抜き動作状態では、タンク球検出スイッチ408が球無状態を検知していても、払出装置420から払い出しを行う。こうすることにより、タンク球検出スイッチ408から払出装置420までの間の通路に残留していた遊技球についても、排出することが可能となる。
図69のステップS4502では、球抜き動作フラグに基づいて、球抜き動作中か否かを判断する。球抜き動作中の場合には(ステップS4502:Yes)、タンク球検出スイッチ408が球無状態を検知して払出エラー状態になっているか否かにかかわらず、賞球数記憶エリアの値を払出個数カウンタに設定する(ステップS4512)。これにより、上述したように、タンク球検出スイッチ408が球無状態を検知している場合であっても、払出装置420からの遊技球を払い出して、遊技球貯留タンク400や上部遊技球通路402を空にすることが可能となる。
弾抜き動作中でない場合には(ステップS4502:No)次いで、払出エラー状態か否かを判断する(ステップS4504)。前述したように、払出エラー状態か否かは払出エラーフラグに基づいて判断可能である。払出エラー状態の場合には、下皿16が満杯状態になっている場合などのように、正常な払い出しを行えない状態なので、そのまま払出個数設定処理を終了する(ステップS4504:Yes)。払出エラー状態でなければ(ステップS4504:No)、次いで、リトライ動作中か否かを判断する(ステップS4506)。
ここで、リトライ動作とは、払出装置420で球詰まりが発生した場合などのように払出装置420が遊技球を正常に排出できなくなった場合に、払出装置420の払出モータ426の回転方向を変えるなどして、球詰まりを解消して正常な状態への復帰を試みる動
作である。こうしたリトライ動作中の場合は、正常な状態へ復帰するまで待機すべく、そのまま払出個数設定処理を終了する(ステップS4506:Yes)。
リトライ動作中でなければ(ステップS4506:No)、次いで、貸球動作中か否かを判断する(ステップS4508)。すなわち、本実施例の払出制御装置410は、賞球の払い出しを行う場合と、貸球の払い出しを行う場合とがある。そこで、貸球の払い出しを行う場合(貸球動作中の場合)は、貸球数を記憶した貸球数記憶エリアの値を、払出個数カウンタに設定する(ステップS4510)。一方、貸球動作中でなければ、賞球の払い出しを行うべく、賞球数記憶エリアの値を払出個数カウンタに格納する(ステップS4512)。なお、貸球動作中か否かの判断は種々の方法により可能であるが、容易には、前述の貸球状態フラグに基づいて判断すればよい。
以上のように、払出個数設定処理では、払出装置420の動作状況や、賞球を払い出すのか貸球を払い出すのかに応じて、払出個数カウンタに払い出す遊技球の個数を設定する。こうして払出個数設定処理を完了してタイマ割込処理(図61を参照)に復帰すると、今度は、実際に払い出しを行うべく、払出制御処理を実行する(図61:ステップS4092)。
図70は、払出制御処理の流れを示したフローチャートである。図示されている様に、処理を開始すると、まず、払出状態設定処理を実行する(ステップS4550)。前述したように、払出状態設定処理では、エラーフラグや低速フラグに基づいて、払出装置420の動作状態を変化させる(図65を参照)。これにより、払出装置420から遊技球が実際に払い出される。次いで、払出装置420から払い出された遊技球(払出球)を、払出カウントスイッチ424が検出したか否かを判定する(図70:ステップS4552)。前述したように、払出カウントスイッチ424は払出装置420内に設けられて払出装置420が払い出した遊技球を1球ずつ検出するセンサスイッチである。この払出カウントスイッチ424により払出球が検出されていなければ、遊技球がまだ払い出されていないので、払い出されるまで処理を待機すべく、そのまま払出制御処理を終了してタイマ割込処理へと復帰する(ステップS4552:No)。
一方、払出球を検出した場合は(ステップS4552:Yes)、次いで、遊技球が1球払い出されたことに対応して、払い出す遊技球の数を記録したカウンタの値を減算する処理を行う。まず、貸球動作中か否かを判断する(ステップS4554)。すなわち、前述したように、遊技球の払い出しを行うのは、賞球を払い出す場合と、貸球を払い出す場合とがある。そこで、貸球動作中か否かを判断することにより、賞球の場合と貸球の場合とで、処理を分岐させる。貸球動作中の場合は、貸球を1つ払い出したことに対応して、貸球数記憶エリアの値から「1」を減算する(ステップS4566)。また、遊技球を1つ払い出したことに対応して、払出個数カウンタの値から「1」を減算する(ステップS4568)。
一方、貸球動作中でなければ(ステップS4554:No)、賞球を1つ払い出したことに対応して、賞球数記憶エリアの値から「1」を減算する(ステップS4556)。加えて、遊技球を1つ払い出したことに対応して、払出個数カウンタの値から「1」を減算する(ステップS4558)。
更に、賞球数記憶エリアの値が「2」以下か否かを判断し(ステップS4560)、「2」以下であれば、賞球低速フラグがセットされているか(「ON」か)否かを判断した上で(ステップS4562)、賞球低速フラグを「ON」に設定する(ステップS4564)。前述したように、賞球低速フラグを「ON」に設定すると、払出装置420からの遊技球の払い出しを低速に行うことが可能である(図65:ステップS4264およびス
テップS4270を参照)。したがって、このように賞球数記憶エリアの値が「2」以下になった場合に賞球低速フラグをセットすることにより、払い出す残りの賞球数が2個以下になった状態では、遊技球の払い出しが低速で行われることになる。
こうすると、前述したように払出モータ426を停止する頻度を低減することができるので、結果として、払出モータ426の消費電力を抑えたり、払出モータ426の寿命を向上させることが可能となる。すなわち、払い出す残りの賞球数が少なくなったら遊技球の払い出し速度を低速にしてやれば、払い出しを行っている間に遊技球が第1作動口25aや第2作動口25bに入球する可能性が高まり、第1作動口25aや第2作動口25bに遊技球が入球すれば、賞球の払い出しを行うことになるので、払出モータ426を停止させずに駆動し続けることが可能である。これにより、払出モータ426の消費電力を抑えたり、払出モータ426の寿命を向上させることが可能となる。その一方で、残りの賞球数が多い状態では、遊技球を速い速度で払い出すことができるので、遊技球の払い出しを迅速に実行することが可能となる。これにより、迅速に払い出しを行うことと、払出モータ426が停止する頻度を低減して消費電力や寿命を向上させることとを、両立させることが可能となる。
上述したように、払出制御処理では、払出状態設定処理(図65を参照)を実行することにより、払出装置420から遊技球を払い出すとともに、遊技球が実際に払い出されたか否かを払出カウントスイッチ424を用いて検出する。その上で、遊技球の払い出しが実際に行われた場合には、払出個数カウンタの値を減算する。こうして、遊技球の払い出しに伴って払出個数カウンタの値が減算されていき、やがて「0」になると、払出状態設定処理において払出装置420が停止状態に移行することにより、払い出しが停止する(図65:ステップS4262及びS4268を参照)。以上に説明した払出個数設定処理を終了したら、タイマ割込処理へと復帰し(図61を参照)、次いで、「賞球許可信号設定処理」を実行する(図61:ステップS4094)。
図71は、タイマ割込処理において実行される「賞球許可信号設定処理」の流れを示した説明図である。かかる処理は、賞球の払い出し要求を払出制御装置410が受け付け可能であるか否かをメイン制御装置100に対して通知するための処理である。こうした通知は、払出制御装置410からメイン制御装置100に送られる「賞球許可信号」(図58を参照)を介して行われる。
賞球許可信号設定処理を開始すると、まず、賞球数記憶エリアの値が「3」以下か否かを判断する(図71:ステップS4600)。すなわち、本実施例の弾球遊技機10では、賞球数記憶エリアの値が「3」以下の場合に、メイン制御装置100からの賞球払い出し要求を受け取るものとしている。このため、賞球数記憶エリアの値が「3」以下でなければ(ステップS4600:No)、賞球許可信号を不許可状態(賞球不許可状態)に設定する(ステップS4612)。このことに対応して、メイン制御装置100では、賞球許可信号が賞球不許可状態の場合には、払出制御装置410への賞球の払い出し要求(賞球コマンドの送信)を停止する。
一方、賞球数記憶エリアの値が「3」以下であれば(ステップS4600:Yes)、賞球許可信号を賞球許可状態にすればよい。もっとも、払出エラー状態であれば、賞球の払い出しを正常に行うことができない。そこで、払出エラー状態であるか否かを判断し(ステップS4604)、払出エラー状態の場合には(ステップS4604:Yes)、賞球許可信号を賞球不許可状態に設定する(ステップS4612)。なお、球抜き動作中の場合には(ステップS4602:Yes)、前述したように払出エラー状態であるか否かに関わらず払い出しを行うので、ステップS4604をスキップする。
このように、払出エラー状態の場合には賞球コマンドを受け付けないものとすると、払出エラー状態の際に電力供給が遮断されたとしても、賞球に関する情報を失ってしまう虞を回避することが可能となる。すなわち、払出エラー状態の場合には払出制御装置410は賞球に関する情報を受け取らないので、払出エラー状態で払出制御装置410の電力が遮断されたとしても、賞球に関する情報を払出制御装置410が失うことはない。その一方で、メイン制御装置100では払出制御装置410に賞球に関する情報を送信できずに待機することになるが、一般にメイン制御装置100はバックアップ機能を備えていることが通常なので、電力が遮断されても賞球に関する情報を保持可能である。これにより、賞球に関する情報の喪失を回避して賞球を適切に払い出すことが可能となる。また、払出制御装置410にバックアップ装置を設ける必要がないので、払出制御装置410の装置構成を簡素に保つことが可能となり、延いては、払出制御装置410の装置サイズをコンパクト化することも可能となる。
ステップS4604において、払出エラー状態でない場合には(ステップS4604:No)、賞球の払い出しを受付可能であることから、賞球許可信号を賞球許可状態に移行する(ステップS4610)。これにより、メイン制御装置100から払出制御装置410へと賞球コマンドを送信可能となり、遊技の進行に応じて賞球を払出装置420から払い出し可能となる。以上のようにして賞球許可信号設定処理を終了したら、タイマ割込処理(図61を参照)へと復帰する。
タイマ割込処理では、上述したステップS4080〜ステップS4094の各処理を所定の時間周期で繰り返し実行する。これにより、上述したように、遊技の進行に応じて、払出装置420を制御して遊技球の払い出しを適切に行うことが可能となる。
ここで、前述したように本実施例の下皿満タンチェック処理(図62を参照)では、メイン制御装置100からコマンドを受け取っているか否かを判断し(ステップS4210)、コマンドを受け取っている場合と、受け取っていない場合とで、下皿満タンセンサ監視時間(下皿満タンセンサ530が検知状態になってから下皿満杯と判断するまでの判定時間に相当)を、切り替えている。こうすると、下皿16の満杯状態を確実に検知可能としながらも、装置構成をコンパクト化することが可能である。この点について説明する。
前述したように、下皿満タンセンサ監視時間が経過するまでの間は、センサ検知状態であっても遊技球の払い出しは停止せず、遊技球の払い出しが継続する。すると、この間に払い出される遊技球を貯留するスペースが必要になることから、装置構成をコンパクト化する観点からは、下皿満タンセンサ監視時間をできるだけ短くすることが望ましい。その一方で、メイン制御装置100との連携を確実に行って遊技球を適切に払い出す観点からは、下皿満タンセンサ監視時間を長くとることが望ましい場合がある。特に、電力の供給が遮断された状態から復帰した場合に、こうした傾向が顕著になる。すなわち、電力が遮断された状態から電力が回復した際には、メイン制御装置100が起動するまでに時間を要する場合がある。例えば、メイン制御装置100がいわゆるバックアップ機能を備えている場合、バックアップした状態に復旧するまでに時間を要したり、あるいは、バックアップ機能が無いとしても、メイン制御装置100のCPUの初期化に時間を要したり、RAMやROMとの接続の確立に時間を要したり、サブ制御装置200との接続の確立に時間を要する場合もある。
こうした場合、下皿満タンセンサ監視時間が短いと、電源が回復してメイン制御装置100が立ち上がる前に、下皿16の満杯状態を通知するコマンド(本実施例では図63のステップS4222の「下皿満タン信号オンコマンド」)を払出装置420からメイン制御装置100に送信してしまう虞が生じる。例えば、下皿16が満杯の状態で電源が回復すると、電源の回復後に払出制御装置410は下皿満タンセンサ監視タイマのカウントア
ップを開始し、その後、下皿満タンセンサ監視タイマの値が下皿満タンセンサ監視時間に達すると、下皿満タン信号オンコマンドをメイン制御装置100に送信する。このとき、下皿満タンセンサ監視時間が短いと、メイン制御装置100の起動がまだ完了していないうちに下皿満タン信号オンコマンドをメイン制御装置100に送信してしまう虞があり、その場合にはメイン制御装置100は下皿満杯状態を通知するコマンドを受け取ることができない。
このように、メイン制御装置100との連携を適切に行うためには下皿満タンセンサ監視時間を長くすることが好ましく、逆に、装置構成をコンパクト化するためには下皿満タンセンサ監視時間を短くすることが好ましい。このため、一般の弾球遊技機では、両者のバランスをとった値に下皿満タンセンサ監視時間を設定することが通常である。
これに対して、本実施例の弾球遊技機10では、下皿満タンセンサ監視時間を変更可能な構成を採用しており、こうすることにより、状況に応じて適切な下皿満タンセンサ監視時間を設定可能としている。例えば、電源が回復した際には、メイン制御装置100からまだコマンドを受け取っていないことに基づいて、下皿満タンセンサ監視時間を長い時間に設定する。こうすることにより、メイン制御装置100が立ち上がる前にメイン制御装置100に下皿満タンを通知するコマンドを送信する虞を回避している。
なお、電源から回復した直後であれば、遊技球の払い出し要求を受けることはないので、下皿満タンセンサ監視時間を長い時間に設定しても、第2流路450に積み上がった遊技球が払出装置420まで達してしまう虞はない。本実施例の弾球遊技機10では、こうした点に着目して、メイン制御装置100からのコマンドを受け取る前には下皿満タンセンサ監視時間を長い時間に設定することにより、遊技球が払出装置420まで積み上がって不都合が生じる虞を回避しながらも、払出制御装置410とメイン制御装置100とを確実に連携可能としている。
また、その一方で、メイン制御装置100からコマンドを受け取った後(メイン制御装置100が起動してメイン制御装置100との接続が確立された後)は、下皿満タンセンサ監視時間を短い時間に設定している。こうすることにより、下皿満タンセンサ530が検知状態になってから払い出しが実際に停止するまでの間に払い出される遊技球の数を少なくして、遊技球を貯留するスペースを小型化することを可能としている。これにより、本実施例の弾球遊技機10では、メイン制御装置100との協働を適切に行うことと、装置構成をコンパクト化することとを、妥協することなく両立させることが可能となっている。
なお、下皿満タンセンサ監視時間を短い時間に切り替える際には、遊技球の払い出し速度(単位時間あたりの払い出し個数)と、第2流路450に積み上がった遊技球を貯留可能なスペース(貯留スペース)の大きさとに基づいて、切り替え後の下皿満タンセンサ監視時間を決定するものとしてもよい。すなわち、払い出し速度と、貯留スペースの大きさとに基づいて、貯留スペースに遊技球が入りきらなくなるまでの時間を推測することが可能である。そこで、この時間を超過しないように、下皿満タンセンサ監視時間を設定してやれば、遊技球が払出装置420に達してしまう虞を確実に回避しながらも、下皿満タンセンサ監視時間を十分に長くしてノイズ等の影響を回避することが可能となる。
加えて、こうすれば遊技球が払出装置420に達する虞を回避可能なことから、貯留可能な遊技球の数に余裕を持たせた大きな貯留スペースを予め設けておく必要がない。これにより、コンパクトな装置構成を採用することが可能となる。
また、本実施例では、下皿満タンセンサ監視時間を短い時間に設定してから(図62:
ステップS4208を参照)、下皿満タンセンサ監視時間を変更するか否かの条件を判断して(ステップS4210)下皿満タンセンサ監視時間を長い時間に設定している(ステップS4212)。一般に、CPUを用いる処理では、予め定めた固定値を用いる場合と、値を変更可能な場合とでは、値が確実に設定されることから固定値を用いた場合の方が動作の確実性が高い傾向がある。この点、本実施例では、このように条件判断を行う前に値を一旦設定することにより、値を変更可能としながらも、値を確実に設定して動作の確実性を高めることを可能としている。
加えて、本実施例では下皿満タンセンサ監視時間をまず短い時間に設定していることから、何らかのトラブルに起因して、下皿満タンセンサ監視時間を変更できなかったとしても、積み上がった遊技球が払出装置420に達して装置が故障してしまう虞を確実に回避可能である。このように、下皿満タンセンサ監視時間を短い時間に一旦設定してから、長い時間に設定するものとすれば、下皿満タンセンサ監視時間を変更可能としたことに起因する種々の危惧をより確実に回避することも可能となる。
なお、本実施例では、こうした下皿満タンセンサ監視時間を変化させる機能を、前述した払出機構(図51〜図57を参照)に適用するものとして説明したが、こうした払出機構に限らず、種々の払出機構に適用することが可能である。例えば、従来の弾球遊技機のようにレバー部材が遊技機の正面背後方向に回転する払出機構を備えた遊技機に採用してもよい。もちろん、上述した本実施例の払出機構に適用すれば、装置構成をコンパクトに保つことが可能になり、なおかつ、そうしたコンパクトな構造の払出機構であっても、満杯状態を確実に検出することが可能となるので、より好適である。
I.変形例 :
以下では、上述した実施例の変形例について説明する。なお、以下の変形例の説明では、上述した実施例と同様の構成については、実施例と同様の符号を付すとともにその詳細な説明を省略する。
I−1.第1変形例 :
上述した実施例では、メイン制御装置100が起動したか否かに応じて、下皿満タンセンサ監視時間を切り替えるものとして説明した。しかし、遊技球の払い出し速度に応じて、下皿満タンセンサ監視時間を切り替えるものとしてもよい。
図72は、遊技球の払い出しを低速に行う場合(低速モード)と、通常の速度で行う場合(通常モード)とで下皿満タンセンサ監視時間を切り替える変形例の弾球遊技機について、遊技球の払い出し速度(単位時間あたりの払い出し個数)と下皿満タンセンサ監視時間との組み合わせを例示した説明図である。図示されているように、通常モードでは0.06秒(60ミリ秒)に1個のペースで遊技球を払い出すのに対し、低速モードでは、それよりも遅く、0.12秒(120ミリ秒)に1個のペースで遊技球を払い出すものとしている。このことに対応して、低速モードでは、下皿満タンセンサ監視時間を、通常モードよりも長い「1秒」に設定している。
前述したように、装置構成をコンパクト化するためには、下皿満タンセンサ530が検知状態になってから下皿16が満杯と判断するまでの時間(下皿満タンセンサ監視時間)を短くすることによって、遊技球を貯留するスペースを小さくすることが望ましい。その一方で、ノイズ等の影響を避けて満杯状態を適切に検出したり、あるいはメイン制御装置100との連携を確実に行うためには、下皿満タンセンサ監視時間を長くすることが望ましい。
そこで、このように遊技球の払い出し速度に応じて下皿満タンセンサ監視時間を切り替
える。下皿満タンセンサ監視時間が経過するまでの間に払い出される遊技球の数(すなわちその遊技球を貯留するのに必要なスペースの大きさ)は、遊技球の払い出し速度に依存することから、こうすることにより、払い出し速度に応じた適切な下皿満タンセンサ監視時間を設定することが可能となる。例えば、図72の例では、低速モードの場合には遊技球を払い出すペースが遅いことから、その分だけ下皿満タンセンサ監視時間を長く設定することが可能となっている。こうすることにより、遊技球を貯留するスペースをコンパクトに保ちながらも、下皿満タンセンサ監視時間を長くしてノイズ等の影響をより確実に回避し、下皿16の満杯状態を適切に検出可能としている。
なお、こうした低速モードと通常モードとの切り替えは、種々の方法により可能である。たとえば前述した実施例の弾球遊技機10では、低速フラグ(賞球低速フラグ、球無低速フラグ)に基づいて、低速モードと通常モードとを切り替えればよい。
I−2.第2変形例 :
また、払出装置420から遊技球を貸し出す際と、賞球を払い出す際とで、下皿満タンセンサ監視時間を切り替えるものとしてもよい。すなわち、遊技球の貸し出しを行う場合、遊技者は遊技球を持っていないことが通常であるから、下皿16が満杯状態になるとは考え難い。したがって、下皿満タンセンサ監視時間を短くするよりは、下皿満タンセンサ監視時間を長くすることによって、ノイズに対する耐性を高めたり、メイン制御装置100との連携を確実に可能とすることが好ましい。
そこで、遊技球の貸し出し動作の最中は、下皿満タンセンサ監視時間をより長い時間に変更するものとしてもよい。こうすれば、ノイズ等に対する耐性を高めることが可能となる。また、貸し出し動作が完了したら、下皿満タンセンサ監視時間を、貸し出し動作中よりも短い時間に変更するものとしてもよい。こうすれば、賞球等の払い出しにより下皿16が満杯になった際に、第2流路450に積み上がった遊技球が払出装置420に達する虞をより確実に回避可能となる。加えて、下皿満タンセンサ監視時間を短くすれば、第2流路450に積み上がる遊技球の数を少なく抑えることができることから、遊技球を貯留するスペースを少なくして、装置構成をコンパクトに保つことが可能となる。
I−3.第3変形例 :
上述した実施例の弾球遊技機10では、大当たり遊技状態(特別遊技状態)を発生可能であり、大当たり遊技状態では大入球口60が開放状態になることにより、多数の賞球が払い出される。したがって、大当たり遊技状態では、下皿16が満杯になりやすい傾向がある。こうした点に鑑みて、大当たり遊技状態では、下皿満タンセンサ監視時間を、通常の遊技状態よりも短い時間に設定するものとしてもよい。
こうすれば、下皿16が満杯になって第2流路450に積み上がった遊技球が払出装置420に達してしまう虞をより確実に回避可能となる。また、下皿満タンセンサ監視時間を短くすれば、第2流路450に積み上がる遊技球の数を抑えることができるので、積み上がった遊技球を貯留するためのスペースを抑えることも可能である。これにより、装置構成をよりコンパクト化することが可能となる。また、下皿満タンセンサ監視時間を短くすれば、遊技球の払い出し速度が速くても、払出しを停止するまでに遊技球が払出装置420に達してしまう虞を回避できる。このため、遊技球の払い出し速度をより速めて賞球を迅速に払い出すことも可能となる。延いては、賞球を迅速に払い出すことによって大当たり遊技状態の爽快感を向上させ、遊技の興趣を高めることが可能となる。
加えて、通常の遊技状態では、下皿満タンセンサ監視時間を大当たり遊技状態よりも長い時間に設定できるので、ノイズ等に対する耐性を高めることができるとともに、メイン制御装置100との連携を確実に行うことが可能となるので、遊技の進行に応じて遊技球
を適切に払い出すことが可能となる。
I−4.第4変形例 :
弾球遊技機10の下皿満タンチェック処理では、下皿満タンセンサ530の検知状態が所定時間に渡って継続した場合に、遊技球の払い出し速度を低速にしてから、遊技球の払い出しを停止するものとしてもよい。
図73〜図75は、遊技球の払い出し速度を低速にしてから、遊技球の払い出しを停止する第4変形例の下皿満タンチェック処理の流れを示したフローチャートである。図73に示されているように、第4変形例の下皿満タンチェック処理においても前述の実施例と同様に、下皿満タンセンサ530の信号レベルを取得し(ステップS4202)、信号レベルが所定の閾値を超えていれば(ステップS4204)、検知状態と判断して、下皿満タンセンサ監視タイマの値をカウントアップする(ステップS4206)。そして、この下皿満タンセンサ監視タイマの値と、下皿満タンセンサ監視時間とを比較することにより、遊技球の払い出しを停止するか否かを判断する。
ここで、第4変形例の下皿満タンチェック処理では、図74のステップS4250に示されているように、まず、下皿満タンセンサ監視タイマの値が、下皿満タンセンサ監視時間の一定の割合(図74の例では50%)を超えているか否かを判断する。そして、超えている場合には(ステップS4250:Yes)、下皿満タン低速フラグをセット(「ON」に設定)する(ステップS4252)。これを受けて、払出装置420の動作状態を制御する払出状態設定処理(図65を参照)では、この下皿満タン低速フラグがセットされている場合には、払出装置420を低速状態に移行させる(ステップS4264、ステップS4270を参照)。
下皿満タンセンサ530の検知時間がある程度継続した場合、下皿16が満杯になっている可能性が高い。そこで、こうした場合には遊技球の払い出し速度を低速にしてやれば、下皿満タンセンサ監視時間が継続するまでの間に払い出される遊技球の数を抑えることが可能となる。これにより、下皿満タンセンサ監視時間が継続するまでの間に払い出される遊技球を貯留するスペースを小型化して、装置構成をよりコンパクトにすることが可能となる。
また、下皿満タンセンサ530が検知状態から非検知状態に切り替わることにより、下皿満タンセンサ監視タイマの値が所定の値を下回ったら、遊技球の払い出し速度を通常の速度に復帰させるものとしてもよい。例えば、図73のステップS4204において、下皿満タンセンサ530が非検知状態と判断されたら(ステップS4204:No)、次いで、図75のステップS4256に示されているように、下皿満タンセンサ監視タイマの値が所定の閾値(図75の例では下皿満タンセンサ監視時間の50%の値)を下回ったら、下皿満タン低速フラグをリセット(「OFF」に設定)する(ステップS4258)。これを受けて、払出状態制御処理(図65を参照)では、払出装置420からの払い出し速度を通常の速度に移行させる(ステップS4264、ステップS4266)。こうすることにより、下皿16が満杯状態でない際には、遊技球を迅速に払い出すことが可能となる。
なお、下皿満タン低速フラグがセットされている場合には、賞球許可信号設定処理において、賞球許可信号を次のように制御するものとしてもよい。
図76は、下皿満タン低速フラグに基づいて賞球許可信号を設定する変形例の賞球許可信号設定処理を示したフローチャートである。かかる変形例の賞球許可信号設定処理においても、前述の実施例と同様に、賞球数記憶エリアの値が「3」以下か否かに応じて(ス
テップS4600)、賞球許可状態と賞球不許化状態とを切り替える(ステップS4610、ステップS4612)。ここで、変形例の賞球許可信号設定処理では、下皿満タン低速フラグがセットされている場合には(ステップS4606:Yes)、賞球許可信号を賞球不許化状態に移行させる(ステップS4612)。
前述したように、下皿満タン低速フラグは、下皿満タンセンサ監視タイマが所定の値を上回った場合にセットされるので(図74:ステップS4250、ステップS4252を参照)、やがて下皿16が満杯と判断されて遊技球の払い出しを停止する可能性がある。そこで、こうした場合にはメイン制御装置100からの賞球コマンドの受け付けを停止するものとすれば、払出制御装置410の賞球数記憶エリアに多数の賞球数が記憶された状態で払い出しが停止した状態になることを回避できる。その結果、払い出しを停止した状態で電力の供給が切断されるなどして、払出制御装置410が賞球の情報を失う事態がたとえ生じたとしても、多数の賞球が払い出されなくなってしまう事態を回避することが可能となって、より好適である。
以上、本実施例の弾球遊技機10及びその変形例について説明したが、本発明は、上述した実施例および変形例に限らず、その趣旨を逸脱しないかぎり、種々の態様で実施することが可能である。
上述の実施例および変形例に具現化された発明 :
パチンコ機やアレンジボール機などのように、遊技球を用いて遊技を行う遊技機では、遊技の進行に応じて遊技球の払い出しが行われる。例えばパチンコ機では、遊技盤面に設けられた入球口に遊技球が入球すると、遊技球が賞球として払い出される。遊技球は払出装置から払出通路を通って遊技機の正面側に払い出され、正面側に設けられた受け皿に貯留されることが通常である。
ここで、受け皿が遊技球で満杯になった場合、その状態のまま遊技球を払い出すと、遊技球が払出通路に詰まって遊技機が故障してしまう等の不都合が生じる虞がある。例えばパチンコ機では、いわゆる大当たり状態が発生すると、短時間に多数の賞球が払い出されることがあり、こうした場合には受け皿が満杯になり易く、満杯の状態で遊技球の払い出しを行うと、遊技球が詰まって遊技が続行できなくなったり、あるいはパチンコ機自体が故障してしまう等の不都合が生じる虞がある。そこで、満杯状態を検出する検出機構を払出通路に設けておき、受け皿が満杯の状態を検出した場合には払い出しを停止することにより、こうした不都合を回避する技術が採用されている。
しかし、近年ではこうした検出機構を設けるスペースを遊技機内に確保することが困難になりつつある。すなわち、近年では遊技機に搭載される他の装置が複雑化あるいは大型化する傾向があり、こうした場合には、払出通路を設置するスペースや、検出機構を設置するスペースがどうしても限られてしまうことがある。このため、限られたスペースに設置可能なコンパクトな満杯検出機構が求められている。
そこで、上述した課題の少なくとも一部を解決するために、遊技機A1では次の構成を採用した。すなわち、
遊技機A1 :
遊技球を用いて遊技を行う遊技機であって、
遊技球を払い出す払出装置と、
前記払出装置から払い出された遊技球を受け取る受部と、
前記払出装置と前記受部との間に設けられて、該払出装置からの遊技球が流れる遊技球通路と、
遊技球が前記受部に貯留することにより前記遊技球通路に溢れ出た遊技球を検出する遊技球検出手段と、
前記遊技球検出手段により遊技球を検出した状態が、所定の判定時間にわたり継続すると、前記払出装置からの払い出しを停止する払出停止手段と、
前記判定時間を変更する判定時間変更手段と、
前記受部の遊技球の貯留に伴って溢れ出た遊技球が収容されるとともに、該貯留の解消に伴って該遊技球が該受部へ流れる収容部と
を備え、
前記判定時間変更手段は、前記判定時間の間に前記払出装置から払い出される遊技球の数が、前記収容部が収容可能な遊技球数以下となる時間に、該判定時間を変更する手段である遊技機。
かかる遊技機A1では、払出装置から払い出された遊技球が遊技球通路を流れて受部に払い出される。また、受部が満杯になる等の理由により受部に到達できない遊技球が遊技球通路に溢れ出すと、この遊技球を検出する。更に、こうした遊技球を検出した状態が所定の判定時間にわたって継続すると、払出装置からの遊技球の払い出しを停止する。ここで、遊技機A1は、判定時間を変更可能に構成されており、判定時間の間に払い出される遊技球の数が、収容部に収容可能な遊技球の数以下となるように、判定時間を変更する。
受部へ流れ出なくなった遊技球を検出して払い出しを停止しようとする場合、誤検出を避ける等の理由から、所定の判定時間に渡って検出状態が継続したことを確認してから、払い出しを停止することがある。こうした場合、遊技球を検出してから払い出しが停止するまでの間に払い出された遊技球を収容するスペースが必要になる。ここで、装置構成をコンパクト化するためには、こうした収容スペースは極力小さくすることが望ましい。もっとも、収容スペースを小さくすると遊技球を収容しきれなくなり、収容しきれない遊技球が球詰まりを起こす等の不都合が生じる虞がある。このため、どうしても収容スペースに余裕を持たせた構成を採用せざるを得ない場合がある。
そこで、遊技機A1では、判定時間を変更可能としており、判定時間の間に払い出される遊技球の数が、収容部に収容可能な遊技球の数以下となるように、判定時間を変更する。こうすれば、収容スペースを超える数の遊技球が払い出されてしまう事態を回避することができるので、収容スペースに余裕を持たせた構成を採用する必要がない。なおかつ、検出状態が判定時間以上に渡って継続したか否かに基づいて、遊技球の払い出しを停止することができるので、誤検出等を回避して受部の満杯状態を適切に検出することが可能である。これにより、装置構成をコンパクトに保ちながらも、満杯状態を適切に検出することが可能となる。
なお、収容部については、遊技球通路の一部分を収容部として用いるものとしてもよいし、収容部を遊技球通路とは別に設けてもよい。遊技球通路の一部を収容部として用いるものとすれば、装置構成をよりコンパクトにすることが可能となってより好適である。
遊技機A2 :
遊技機A1であって、
前記遊技の進行にともなって遊技球の払出命令を出力する払出命令出力装置と、
前記遊技球検出手段による検出状態が前記判定時間にわたって継続すると、前記払出命令出力装置に検出信号を送信する検出信号送信手段と
を備え、
前記払出命令出力装置は、
電力の供給が開始されてから所定の起動所要時間の経過後に、前記検出信号を受信可能な状態になる装置であるとともに、
前記検出信号を受信可能な状態になると、受信可能信号を送信する受信可能信号送手段と、
前記検出信号を受信すると前記払出命令の出力を停止する払出命令出力停止手段と
を備え、
前記判定時間変更手段は、前記受信可能信号を受信した後に、前記起動所要時間よりも長い前記判定時間を変更する手段である遊技機A2。
かかる遊技機A2では、払出命令出力装置が払出命令を出力することにより、遊技球の払い出しが行われる。また、遊技球検出手段による検出状態が判定時間にわたって継続すると、検出信号を送信する。払出命令出力装置は、電力の供給を受けて起動開始した後に、検出信号を受信可能な状態になると、受信可能信号を送信する。また、検出信号を受信可能な状態で検出信号を受信すると、払出命令の出力を停止する。ここで、遊技機A2では、払出命令出力装置からの受信可能信号を受信した後に、払出命令出力装置の起動所要時間よりも長い判定時間を、前述の判定時間(判定時間の間に払い出される遊技球数が、収容部に収容可能な遊技球数以下となる判定時間)に変更する。
一般に遊技球を用いる遊技機では、払出命令を出力する装置からの命令を受けて遊技球の払出を行う構成を採用することがある。こうした構成では、受部が満杯になるなどして遊技球の払い出しを停止する際には、払出命令を出力する装置に検出信号を送信することにより、払出命令の出力を停止させる。ここで、停電状態から復帰した直後などのように、払出命令出力装置の起動が完全に完了していない状態では、払出命令出力装置が検出信号を受信できない場合が生じ得る。そこで、判定時間を長く設定することによって検出信号の送信を遅らせることにより、払出命令出力装置の起動が十分に完了してから検出信号を送信することが考えられる。もっとも、判定時間が長くなると、その間に払い出される遊技球の数が増えることから、今度は遊技球を収容するスペースが必要となって装置構成が大型化してしまう虞が生じる。
そこで、遊技機A2では、払出命令出力装置からの受信可能信号を受信した後に、起動所要時間よりも長い判定時間を、前述の判定時間(判定時間の間に払い出される遊技球数が、収容部に収容可能な遊技球数以下となる判定時間)に変更する。こうすれば、払出命令出力装置が検出信号を受信可能な状態になる前に、検出信号を送信してしまうことがないので、払出命令出力装置が検出信号を受信できなくなる虞を確実に回避することが可能となる。なおかつ、払出命令出力装置の起動後には、判定時間を短い時間に変更することから、判定時間の間に払い出される遊技球の数を抑制して収容部をコンパクトに保つことが可能である。これにより、受部の満杯状態を適切に検出可能としながらも、装置構成をコンパクトに保つことが可能となる。
なお、検出信号は、遊技球検出手段による検出状態が判定時間にわたって継続した旨を通知可能であれば、どのような態様のものでもよい。例えば、パルス信号であってもよいし、あるいは、いわゆるコマンドであってもよい。いずれの場合も、遊技球検出手段による検出状態が判定時間にわたって継続した旨を通知可能である。同様に、受信可能信号についても、検出信号を受信可能である旨を通知可能であれば、どのような態様のものでもよい。
遊技機A3 :
遊技機A1または遊技機A2であって、
前記払出装置からの単位時間あたりの払出個数たる払出速度を変更する払出速度変更手段を備え、
前記判定時間変更手段は、前記払出速度に基づいて決定した判定時間に、前記判定時間を変更する手段である遊技機A3。
かかる遊技機A3は、遊技球の払出速度を変更可能に構成されている。ここで、判定時間を切り替える際には、遊技球の払出速度に基づいて、変更後の判定時間を決定する。
遊技球の払出速度を変更可能とすれば、遊技の進行状況に応じて遊技球を適切に払い出すことが可能となって好適である。ここで、判定時間の間に払い出される遊技球の数は、遊技球の払出速度に依存する。そこで、払出速度に応じて判定時間を変更してやれば、判定時間の間に払い出される遊技球の数を、収容部に収容可能な遊技球数以下に制御しながらも、払出速度に応じてより適切な判定時間を設定することが可能となる。例えば、払出速度が遅い場合には、その分だけ判定時間を長くしても、判定時間の間に払い出される遊技球の数を、収容部に収容可能な遊技球数以下に制御することが可能である。そこで、払出速度に応じて判定時間を決定してやれば、判定時間をより長くすることが可能となり、その結果、誤検出をより確実に回避して、受部の満杯状態をいっそう的確に検出することが可能となる。
遊技機B1 :
遊技球を用いて遊技を行う遊技機であって、
遊技球を払い出す払出装置と、
前記払出装置から払い出された遊技球を受け取る受部と、
前記払出装置と前記受部との間に設けられて、該払出装置からの遊技球が流下する流下通路と、
前記流下通路内に設けられ、遊技球を鉛直方向と交差する方向に導く誘導部と、
前記流下通路内に、前記導いた遊技球の進行方向に設けられ、該遊技球を跳ね返らせる反跳部と、
前記流下通路内の前記反跳部の鉛直下方に、前記導いた遊技球の水平方向速度の向きに変位可能に設けられ、該流下通路内に遊技球が滞留すると遊技球に押されて変位する変位部材と、
前記変位部材の変位を検出すると前記払出装置からの払い出しを停止する払出停止手段と
を備える遊技機B1。
かかる遊技機B1では、払出装置から流下通路に流入した遊技球を、鉛直方向と交差する方向に導く。また、遊技球を導いた先に反跳部を設けておき、遊技球を跳ね返らせる。この反跳部の鉛直下方には、流下通路内に遊技球が滞留すると遊技球に押されて変位する変位部が設けられており、遊技機B1は、変位部が変位すると遊技球の払出を停止する。ここで反跳部は、水平方向について、変位部の変位の向きと逆向きに、遊技球を反ね返らせる。
一般に、変位部材が遊技球に押されて変位することによって受部の満杯状態を検出する構成では、払出装置から流下した遊技球が変位部材に衝突して変位部材が変位することが誤検出の原因となる場合がある。このため、払出装置と変位部材を離して設ける必要が生じ、結果として装置構成が大型化してしまう傾向がある。
そこで、このように遊技球を反跳部の方向に導き、反跳部で遊技球を跳ね返らせれば、少なくとも水平方向については、跳ね返った遊技球が跳ね返った向きと逆向きに変位部を押すことは無い。したがって、変位部の変位方向を、跳ね返りの向きと逆向き(少なくとも水平方向について逆向き)に設けておけば、流下する遊技球によって変位部が変位して誤検出を生じる虞を回避可能となる。こうすれば、払出装置と変位部材とを離して設けなくてよいので、結果として装置構成をコンパクトに抑えることが可能となる。加えて、誤検出を回避して受部の満杯状態をより的確に検出することも可能となる。
遊技機B2 :
遊技機B1であって、
前記反跳部は、鉛直方向に対して傾けて設けられた面により遊技球を跳ね返らせる反跳部であり、
前記反跳部と略並行に設けられた対向面を備え、
前記反跳部と前記対向面との間に、前記流下通路内に滞留した遊技球を収容する遊技機B2。
かかる遊技機B2では、鉛直方向に対して傾けて設けられた面によって遊技球を跳ね返らせる。また、この面に対して略並行に対向面が設けられており、これら2つの面の間に、流下通路内に滞留した遊技球を収容する。
一般に、変位部材の変位により受部の満杯状態を検出して払い出しを停止する構成では、変位部材が変位しても遊技球の払い出しを直ちに停止することが困難な場合がある。例えば、変位直後に払出装置を停止しようとしても、払出装置自身の慣性のために払い出しが直ちに停止できない場合がある。あるいは、誤検出を避けるために、変位部材が所定の時間にわたって変位状態であることを確認してから、払い出しを停止しなければならない場合もある。こうした理由から、払い出しが停止するまでの間に遊技球が更に払い出されることになり、その結果、それらの遊技球を収容するスペースが必要になることがある。なお、遊技球を収容した場合、受部の満杯状態が解消した際には、収容した遊技球を流下させて受部に排出することが望ましい。
そこで、反跳部と略並行な面を設けて、反跳部との間に遊技球を収容すれば、遊技球を収容するスペースを別途設けなくてよいので、スペースを節約して装置構成をコンパクトに保つことが可能となる。加えて、略並行な2つの面の間に遊技球を収容しておけば、遊技球の滞留が解消した際には、遊技球の流下が再開するので、遊技球を受部に適切に排出することが可能である。
遊技機D1 :
遊技機A1〜A3,遊技機B1〜B2のいずれかにおいて、遊技に伴い遊技球を払い出す払出手段(払出装置420)と、その払出手段から払い出される遊技球を貯留する第1貯留部(上皿13)と、その第1貯留部で余剰となった遊技球を貯留する部位であって前記第1貯留部より下側に設けられる第2貯留部(下皿16)と、前記払出手段と第1貯留
部との間で遊技球を流下させる第1通路部(第1流路448)と、前記第1通路部と分岐して形成され、前記払出手段と前記第2貯留部との間で遊技球を流下させる第2通路部(第2流路450)と、前記払出手段から払い出された遊技球を前記第1通路部へ流下させると共に該第1通路部内に遊技球が満たされた場合に前記払出手段から払い出された遊技球を前記第2通路部へ流下させる分岐部と前記払出手段との間に形成される共通部(ノズル流路422、下方流路440)と、前記第2通路部を流下する遊技球によって形成される所定の満状態を検出する検出手段(下皿満杯検出機構500)と、該検出手段の検出結果に基づいて前記払出手段からの遊技球の払い出しを停止させる停止制御手段(払出制御装置410)と、を備え、
前記検出手段は、前記第1貯留部より高い位置に配設されることを特徴とする遊技機。
遊技機D1によれば、第1貯留部より高い位置に検出手段が配設されているので、第2貯留部と第2通路部の途中までに貯留される遊技球数を従来以上に多量とすることができる。また、第2貯留部から検出手段までの通路が長いため、不正の目的や遊技場への不満による悪戯の目的等により検出手段にアクセスする行為を抑制することができ、不正や故障が生じにくい遊技機を提供することができる。
なお、遊技機D1における第1貯留部および第2貯留部は、上方が開放されて遊技者が
遊技球を取出可能に構成された部位としても良く、また、遊技機D1における第1通路部
および第2通路部は、遊技者が遊技球を取出不能に構成された部位としても良い。
遊技機D2 :
遊技機D1において、
支持部材(正面パネル15が装着される遊技機正面視矩形状の部材、または、所謂外枠)と、該支持部材に対する所定の解錠操作によって一端側を軸として前方に開放可能に構成される開閉部材(正面パネル15、または所謂内枠)とを備え、
前記第1通路部および第2通路部は、前記開閉部材の前記一端側に配設されると共に、
前記第2通路部が前記第1通路部より前記開閉部材の前記一端側に配設され、
前記検出手段は、前記第2通路部に対して前記開閉部材の前記一端側に配設されていることを特徴とする遊技機。
遊技機D2によれば、検出手段が開閉部材の開閉軸に近い位置に配設されることで開閉部材の開閉に伴う振動が抑制されることとなって故障を防止することができ、また、検出手段を狙った不正行為は、開閉部材の開放端側から遠い位置に検出手段が配置されることで防止することができる。
遊技機D3 :
遊技機D2において、
前記開閉部材に着脱可能に取着される部材であって、前面側に遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技部材(遊技盤)を備え、
前記検出手段は、前記遊技部材と遊技機正面視において重なる位置(又は該重なる位置であって前記遊技領域の下端より上側)に配設されていることを特徴とする遊技機。
遊技機D3によれば、遊技部材の裏側に検出手段が配置されることで遊技機正面側から検出手段を狙った不正行為を実行しにくくすることができる。
遊技機D4 :
遊技機D2またはD3において、
前記開閉部材に対して所定の解錠操作によって一端側を軸として前方に開放可能に構成されると共に、前記第1貯留部および前記第2貯留部を有する前面側部材(前面扉)と、
該前面側部材が開放された場合に前記開閉部材側から前記前面側部材側への前記第1通路部および前記第2通路部の遊技球の流れを遮断する遮断手段とを備え、
前記払出手段は、前記開閉部材に設けられ、
前記第2通路部は、前記前面側部材と前記開閉部材との両方に形成され、
前記検出手段は、前記前面側部材と前記開閉部材とのうち前記開閉部材側に配置されていることを特徴とする遊技機。
前面側部材側に検出手段が配置されていると、前面側部材が開放された状態で第2貯留部の満状態が球抜き操作や球こぼれによって解除された場合に不用意に払い出しが実行されてしまう。遊技機D4によれば、検出手段を上流側に配置することで満状態において第2貯留部および第2通路部に貯留される遊技球を多量にしつつ、前面側部材が開放された状態においても不用意に遊技球の払い出しが実行されることがない。
遊技機C1 :
遊技機A1〜A3,遊技機B1〜B2,遊技機D1〜D4のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機である遊技機C1。
ここで、パチンコ遊技機としては、例えば次の構成のパチンコ遊技機を採用することが可能である。すなわち、遊技者が操作する操作手段(例えば操作ハンドル)と、操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
遊技機C2 :
遊技機A1〜A3,遊技機B1〜B2のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンである遊技機C2。
ここで、スロットマシンとしては、例えば次の構成のスロットマシンを採用することが可能である。すなわち、複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に該識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバーや操作ハンドル)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間が経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備える遊技機。なお、かかる遊技機の遊技媒体としては、コインやメダルや遊技球などが代表例として挙げられる。
遊技機C3 :
遊技機A1〜A3,遊技機B1〜B2のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものである遊技機C3。
ここで、パチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させた遊技機としては、例えば次の構成の遊技機を採用することが可能である。すなわち、複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に該識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバーや操作ハンドル)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間が経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段を備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるよう構成された遊技機を採用可能である。