JP6304171B2 - スポット溶接継手、スポット溶接継手の製造方法およびスポット溶接継手の強度判定方法 - Google Patents

スポット溶接継手、スポット溶接継手の製造方法およびスポット溶接継手の強度判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、薄鋼板をスポット溶接することによって形成されるスポット溶接継手であって、優れた静的強度、衝撃強度および疲労強度が付与されたスポット溶接継手、その製造方法および強度判定方法に関する。
自動車産業では、車体重量の軽量化による燃費向上および衝突時の乗員の安全性確保を両立した車体の技術開発が推進され、車体に用いられる薄鋼板の高強度化および薄肉化がキーテクノロジーとなっている。しかしながら、車体組み立て時の主要な溶接方法であるスポット溶接を薄鋼板に適用した場合、化学成分、鋼板強度、継手形式および負荷形式によっては、静的強度、衝撃強度および疲労強度が低下することがある。そのため、スポット溶接継手の静的強度、衝撃強度および疲労強度を向上させる手法とそのような溶接継手を作製する溶接技術を見出すことが急務となっていた。また、溶接継手の中でも、非特許文献1や非特許文献2に示すようなL字引張継手は低強度破壊を起こしやすく、自動車構造の中にこのような溶接継手が含まれるにはその健全性が危惧されている。
特開2010−59451号公報 特開2014−180698号公報 特許第5043236号公報 特許第5549618号公報 特許第4133956号公報 特開2009−190046号公報
ISO14270、Specimen dimensions and procedure for mechanized peel testing resistance spot, seam and embossed projection welds(2000) 岡田徹ら、「熱間プレス鋼板のスポット溶接性」、溶接学会全国大会講演概要 平成23年度秋季全国大会、P114(2011) 篠崎ら、「高張力鋼板における点溶接継手疲労強度の改善」、鉄と鋼、Vol.68、No.9、P1444(1982) 須藤ら、「高強度薄鋼板のスポット溶接性」、鉄と鋼、Vol.68、No.9、P1411(1982) 貞末ら、「高張力鋼板スポット溶接継ぎ手の破壊挙動と数値解析的考察」、溶接学会論文集、Vol.32、No.2、P64(2014) 古迫ら、「スポット溶接されたL字継手の強度および破壊挙動に及ぼす添加元素の影響」、溶接学会論文集、Vol.33、No.2、P133(2015)
ここで、特許文献1には、スポット溶接金属の化学成分を規定し、スポット溶接後に熱処理を行うことでL字継手引張強度を向上させる溶接継手およびその製造方法が開示されている。しかし、自動車1台当たり数千点にも及ぶスポット溶接部にこのような溶接後の熱処理を実施することは生産性や経済性の観点から見て非効率であり現実的ではない。また、特許文献1で提案された技術では、衝撃強度や疲労強度に対する効果も明らかではない。
特許文献2には、ナゲット内の成分、組織と酸化物系介在物の分布密度を規定した高強度スポット溶接継手が開示されている。また、特許文献3には、鋼板組成を規定し、ナゲットのデンドライトアーム間隔等を規定した高強度スポット溶接継手が開示されている。そして、特許文献4には、成分および脆さ指標を規定したスポット溶接継手強度に優れた鋼板が開示されている。しかし、これらの技術では、それぞれの実施例にあるように、十字引張強度(Cross Tension Strength:CTS)の向上には効果が見られるが、低強度破壊を示すより厳格な試験であるL字継手引張強度(L-shape Tension Strength:LTS)試験での効果は明確ではない。また、特許文献2〜4で提案された技術では、衝撃強度や疲労強度に対する効果も明らかではない。
特許文献5には、引張強さや試験片厚さ等からスポット溶接継手のせん断引張強度や十字引張強度を推定する方法が開示されている。しかし、この技術では、より低強度破壊を示すL字継手引張強度を推定することはできない。また、特許文献5で提案された技術では、衝撃強度や疲労強度に対する効果も明らかではない。
一方、非特許文献3に示すように、スポット溶接時に中散り(中チリ)を発生させることでシートセパレーション終端の形状を変化させ継手疲労強度を向上させる技術がある。また、特許文献6には、散りを発生させて十字継手引張強度を向上させる技術が開示されている。これは、非特許文献4に示すように、中散りを発生させて、シートセパレーション終端領域を散りで埋めることでコロナボンドからのき裂発生が抑止されるためであると考えられる。しかし、これら技術が、より低強度破壊を示す複雑な破壊モードであるL字継手引張強度の向上に寄与する確証は得られていない。また、これら技術は散りを活用するものであるが、散りで飛散した溶接金属が例えば車体に付着した場合には手入れが必要であると同時に、作業環境や安全衛生上も好ましくない。
非特許文献5では、シートセパレーション終端がw型をなすことによってコロナボンドからのき裂発生が抑止され、十字引張強度が向上することが実験や解析によって示唆されている。しかし、より低強度破壊を示す厳格なL字継手引張強度やせん断強度に対する効果については明らかでなく、さらには衝撃強度や疲労強度に関しては示唆もされていない。また、十字引張強度を向上させるための必要十分条件も明らかではなく、さらには、そのようなw型のシートセパレーション終端形状を示すための溶接条件が明確ではないため、第三者による実施が不可能である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、優れた静的強度、衝撃強度および疲労強度が付与されたスポット溶接継手と、その製造方法および強度判定方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るスポット溶接継手は、板厚t[mm]の2枚以上の薄鋼板をスポット溶接したスポット溶接継手であって、ナゲット径[mm]が3√t以上であり、ナゲット断面において、シートセパレーション終端領域内にナゲットと反対方向に凸形状をなす凸部を有し、前記凸部の外郭線が、前記薄鋼板の鋼板合わせ面を結んだ直線と交わり、前記凸部が、面積率で50%以上の溶接熱影響部からなることを特徴とする。
また、本発明に係るスポット溶接継手は、上記発明において、前記ナゲットと反対方向に凹形状をなす2つの凹部を有し、前記2つの凹部の間に前記凸部が形成されていることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るスポット溶接継手の製造方法は、電極先端径をd[mm]、本通電時間をT[sec]、本通電電流をc[kA]、前記薄鋼板の引張強度をTS[MPa]としたとき、加圧力P[N]を下記式(1)の範囲内とすることを特徴とする。
(上記式(1)において、A〜Aは0を含む係数、f(x)はxの関数、f(x,y,z)はxとyとzの関数である)
また、本発明に係るスポット溶接継手の製造方法は、上記発明において、上記式(1)は、下記式(2)で表されることを特徴とする。
(上記式(2)において、Hは
であり、H<10.0のときは
とする。また、TS<270であるとき、上記式(2)における最終項の(TS−270)は
とする。なお、上記式(2)において、πは円周率、eは自然対数の底である)
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るスポット溶接継手の強度判定方法は、板厚t[mm]の2枚以上の薄鋼板をスポット溶接したスポット溶接継手の強度判定方法であって、ナゲット径[mm]が3√t以上であり、ナゲット断面において、シートセパレーション終端領域内にナゲットと反対方向に凸形状をなす凸部を有し、前記凸部の外郭線が、前記薄鋼板の鋼板合わせ面を結んだ直線と交わり、前記凸部が、面積率で50%以上の溶接熱影響部からなるとき、前記スポット溶接部の強度が所定値以上であると判定するステップを含むことを特徴とする。
また、本発明に係るスポット溶接継手の強度判定方法は、上記発明において、前記ナゲットと反対方向に凹形状をなす2つの凹部を有し、前記2つの凹部の間に前記凸部が形成されているとき、前記スポット溶接部の強度が所定値以上であると判定するステップを含むことを特徴とする。
本発明によれば、スポット溶接継手に対して優れた静的強度、衝撃強度および疲労強度を付与することができるとともに、静的強度、衝撃強度および疲労強度等の強度特性全般に優れるスポット溶接継手であるか否かを判定することができる。
図1は、LTSおよびCTSと、ナゲット径との関係を示すグラフである。 図2は、板厚1.6mmの980MPa級薄鋼板を用いて作製したL字引張継手(ナゲット径3√t)に対して、荷重を負荷した場合のき裂発生・進展状況を示す図である。 図3は、板厚1.6mmの980MPa級薄鋼板を用いて作製したL字引張継手(ナゲット径4√t)に対して、荷重を負荷した場合のき裂発生・進展状況を示す図である。 図4は、板厚1.6mmの980MPa級薄鋼板を用いて作製したL字引張継手(ナゲット径5.5√t)に対して、荷重を負荷した場合のき裂発生・進展状況を示す図である。 図5は、有限要素解析(FEA)モデルにおけるシートセパレーション終端領域の形状を示す図であって、(a)は凸部なしの場合を示す図、(b)は凸部ありの場合を示す図である。 図6は、有限要素解析(FEA)による、各節点における開口応力の計算結果を示すグラフである。 図7は、板厚1.6mmの1180MPa級薄鋼板を用いて作製したL字引張継手(ナゲット径4√t)に対して、荷重を負荷した場合のき裂発生・進展状況を示す図であって、(a)はLTSの40%まで荷重を負荷した場合のナゲット断面を示す図、(b)はLTSの70%まで荷重を負荷した場合のナゲット断面を示す図である。 図8は、本発明におけるナゲット断面の定義を説明するための図である。 図9は、本発明において、L字引張試験片で対象となるナゲット断面の定義を説明するための図である。 図10は、本発明において、十字引張試験片で対象となるナゲット断面の定義を説明するための図である。 図11は、本発明において、せん断引張試験片で対象となるナゲット断面の定義を説明するための図である。 図12は、本発明において、ナゲット断面におけるシートセパレーション終端領域の定義を説明するための図であって、(a)はナゲット断面を示す図、(b)はシートセパレーション終端領域を示す図である。 図13は、本発明において、ナゲット断面におけるナゲット径と鋼板あわせ面の定義を説明するための図である。 図14は、ナゲット断面とその硬度分布を示す図であって、(a)はピクリン酸腐食溶液によって腐食させたナゲット断面を示す図、(b)はナゲット断面における硬度分布を示す図である。 図15は、シートセパレーション終端領域の外郭線と凸部の面積の定義を説明するための図であって、(a)は無負荷状態のナゲット断面を示す図、(b)は凸部の模式図である。
以下、本発明に係るスポット溶接継手、スポット溶接継手の製造方法およびスポット溶接継手の強度判定方法について、図1〜図15を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
ここで、本発明の第一の目的は、後記する図1や非特許文献6に示すように、スポット溶接におけるL字引張継手のような厳しい条件下において、はく離破断強度を向上させるスポット溶接継手を提供することにある。また、スポット溶接継手を車両に用いた場合、実車構造においては様々な負荷形式や変形形式が作用し、荷重も静荷重のみならず衝撃荷重や繰返し荷重が作用する。そこで、本発明は、スポット溶接継手を対象にはく離破断強度やせん断強度あるいはそれらの組み合わせ等の静的強度、衝撃強度および疲労強度等の強度特性全般を、スポット溶接継手に対して与えること、およびそのようなスポット溶接継手を製造すること、ならびにスポット溶接継手の強度を精度よく判定することを目的とする。
本発明者らは、静的はく離破断を評価する指標として最も厳しいとされるL字継手引張強度(以下、LTSという)を向上させる方策について鋭意検討した。まず、C量0.13%で板厚tが1.6mmの980MPa級薄鋼板でナゲット径[mm]を3√t〜5.5√tの範囲で変化させて2枚重ねのL字引張継手を作製し、各ナゲット径について、7本のLTSの引張試験を実施した。なお、試験片の作製方法および試験方法は非特許文献1に準拠した。
ナゲット径とLTSの関係を図1に示す。同図によれば、ナゲット径を5√tとしてもはく離破断し低強度破壊していること、ナゲット径を5.5√tとするとプラグ破断に移行し、破断強度が向上することがわかる。ここで、注目すべきは、ナゲット径が5√tから5.5√tへ、わずか0.5√t(0.63mm)増加することでプラグ破断へ移行していること、5.5√tで7本ともプラグ破断し、LTSの値も安定していることである。
なお、図1では同鋼板で作製した十字引張継手の十字引張強度(以下、CTSという)の引張試験の結果も併記しているが、十字引張継手では5√tでプラグ破断していること、またLTSはCTSと比較して荷重が著しく低いこと等から、LTSの引張試験が静的はく離破断に対して非常に厳格な試験であることがわかる。
このようなLTSの破壊形態についてさらに詳細に検討するため、図1で示すナゲット径3√t(はく離破断)、4√t(はく離破断)、5.5√t(プラグ破断)の溶接継手について、LTSの10%(LTS×0.10),25%(LTS×0.25),50%(LTS×0.50),75%(LTS×0.75),95%(LTS×0.95)まで荷重を負荷した後に除荷し、ナゲット断面におけるき裂発生・進展状況を調査した。その結果を図2〜図4に示す。
図2および図3に示すように、はく離破断したナゲット径3√t,4√tの溶接継手では、LTSの10%でコロナボンドがはく離し、先鋭なき裂が発生しており、き裂先端がナゲット内にある。さらに、荷重をLTSの25%〜75%に増加させると、ナゲット径3√t,4√tともに、き裂が徐々に進展しながら開口する。そして、LTSの95%まで達すると、3√t,4√tともに、き裂がナゲット方向へとさらなる進展を見せる。なお、前記した「ナゲット方向」とは、ナゲットに向かう方向、より詳細にはナゲットの中心(以下、ナゲット中心という)に向かう方向のことを示している。なお、図2〜図4では、ナゲット方向=き裂進展方向としている。
一方、図4に示すように、ナゲット径5.5√tの溶接継手では、LTSの50%の荷重を負荷してもコロナボンドにはく離は生じない。このとき、シートセパレーション終端領域において、ナゲット方向と反対方向に凹な領域(以下、凹部という)からサブクラックが生じているが、その長さは200μmにも満たずわずかであり、その後の負荷増加に際しても破壊に寄与することはなかった。そして、LTSの75%の荷重を負荷したとき、シートセパレーション終端領域において、凹部から先鋭な主き裂が溶接熱影響部(Heat Affected Zone:HAZ)方向へと、上下板ともに斜めに発生する。さらに、LTSの95%まで荷重を負荷すると、上下のき裂は溶接熱影響部(以下、HAZという)を超えて母材へ安定成長し、プラグ破断へと至った。
ここで、図4で注目すべき点は、シートセパレーション終端領域でナゲット方向と反対方向に凸な領域(以下、凸部という)が存在すること、そして凸部の外径線がコロナボンドを結ぶ直線と交わっていることである。すなわち、この凸部の存在により、低強度破壊であるはく離破断の先駆となるコロナボンドのはく離による先鋭なき裂の発生が妨げられたものと考えることができる。なお、前記した「コロナボンドを結ぶ直線」とは、ナゲットからシートセパレーションに向かって伸びる直線のことであり、言い換えると、薄鋼板の鋼板合わせ面を結んだ直線のことを示している。
上記の仮説を検証するため、L字引張継手の1/2対称3次元ソリッドモデルを作製し、有限要素解析ソフトウェア「ABAQUS Ver.6−12−1」にて有限要素解析(Finite Element Analysis:FEA)を実施した。板厚は1.6mmとし、ナゲット径は5√tとした。また、ナゲット、HAZおよび母材の領域はミクロ組織や硬度を参照して求め、モデルに反映させた。解析においてナゲットおよびHAZ領域では、母材の実験により得られた応力と歪みとの関係に基づいて、母材との硬度比(例えばナゲットではナゲット硬度/母材硬度)を母材の降伏応力および引張応力に乗じ、他方で一様伸びは母材のそれを硬度比で除することによって外挿した。降伏応力以降の塑性域の外挿の際にはSwiftの式を用いた。
シートセパレーション間隔Dは、実体を模擬して200μmとした。モデルは、図5に示すように、シートセパレーション終端領域の形状が、(a)凸部がなく半径D/2の半円である場合、(b)最深部がD/2となる楕円弧の組み合わせの場合、の2ケースとした。また、図5(b)における凸部は、図4を参照し、凸部最深部から凸部頂点までの長さを170μmとした。
図5(a)において、コロナボンドを示す線(一点鎖線)上のモデル最外面にある節点Aの開口応力を解析した。また、図5(b)において、ナゲット方向と反対方向に凹で最深部のモデル最外面にある節点Bと節点D、コロナボンドを示す線上のモデル最外面にある節点C(凸部の頂点)の開口応力をそれぞれ解析した。その解析結果を図6に示す。
図6に示すように、節点Aの開口応力が最も高く、図5(a)に示すような凸部の無い形状では、コロナボンドのはく離によるき裂発生が予想される。これは前記した図2および図3の実験結果とも一致している。
一方、図5(b)に示すような凸部を有する形状では、図6に示すように、最深部の節点Bと節点Dの開口応力が同じで節点Aに次いで高い。但し、コロナボンドは、図5(b)に示すように鋼板合わせ面上に存在し、節点B,Dの位置にはコロナボンドが無いため、き裂が発生したとしても軽微であると考えられる。これは前記した図4の実験結果とも一致している。
また、節点Bと節点Dの開口応力は同じであるため、それぞれのき裂進展駆動力が半分となり、そこからのき裂が進展しにくくなるという効果も有する。一方、節点Cはナゲット方向と反対方向に凸形状をなしているため、開口応力はほとんど作用していない。よって、はく離破断の先駆となるコロナボンドがはく離するようなき裂は発生しないと考えられ、これも前記した図4の実験結果と一致している。
図7(a)は、後記する実施例と同様の溶接条件で1180MPa級薄鋼板(板厚1.6mm)を2枚重ね、ナゲット径4√tでスポット溶接したL字引張継手において、プラグ破断した際のLTSの40%まで荷重を負荷した後に除荷し、ナゲット断面におけるき裂発生状況を示す図を調査した結果である。
この場合も、シートセパレーション終端領域にサブクラックが発生していたが、その長さは100μmに満たない。また、この場合もシートセパレーション終端領域にナゲット方向と反対方向に凸部が形成され、その凸部の外径線とコロナボンドを結ぶ直線が交わっていた。また、この凸部は、ナゲット方向と反対方向に凹形状をなす2つの凹部の間にあった。そのため、その後載荷しても前記した微小なサブクラックはほとんど進展せず、LTSの70%まで荷重を負荷すると、図7(b)に示すように、シートセパレーション終端領域において、ナゲット方向と反対方向に凹形状をなす凹部からHAZへと斜め方向にき裂が発生し、それが安定成長してプラグ破断した。
以上より、板厚t[mm]の2枚以上の薄鋼板をスポット溶接したスポット溶接継手において、そのスポット溶接部が以下の条件(1)〜(5)を満たす場合、はく離破断の先駆となるコロナボンドのはく離による先鋭なき裂が発生せず、プラグ破断化が促進されることがより明らかとなった。
(1)ナゲット径[mm]が3√t以上である。
(2)ナゲット断面において、シートセパレーション終端領域内にナゲット方向と反対方向に凸形状をなす凸部を有する。
(3)凸部の外郭線が、コロナボンドを結ぶ直線(薄鋼板の鋼板合わせ面を結んだ直線)と交わっている。
(4)凸部が、面積率で50%以上のHAZからなる。
(5)好ましくは、ナゲット方向と反対方向に凹形状をなす2つの凹部を有し、2つの凹部の間に凸部が形成されている。
なお、図4および図7を見れば明らかなように、シートセパレーション終端領域でナゲット方向と反対方向に凸形状をなす凸部は、楕円状あるいは台形状等、形状によらず効果が発揮されることがわかる。
また、上記条件(1)〜(5)を満たすスポット溶接部を有する十字引張試験片、せん断引張試験片、L字引張試験片を作製し、静的荷重、衝撃荷重および繰返し荷重を与えて評価したところ、継手形式や負荷形式によらずプラグ破断化が促進され、強度が向上することが判明した。
さらには、このようなスポット溶接部の条件についても明らかになった。従って、具体的な溶接条件等が未知の溶接継手であっても、上記の条件を満たすスポット溶接部が存在すれば、スポット溶接継手に対して優れた静的強度、衝撃強度および疲労強度が付与され、スポット溶接継手の強度特性全般が向上することが判明した。
ここで、スポット溶接される2枚以上の薄鋼板の板組は、同種同厚、他種同厚、同種異厚、他種異厚でも構わない。また、薄鋼板の強度は特に限定されず、またナゲット径の基準となる板厚tは、異厚の組み合わせの場合には最小の板厚をとるものとする。また、最も厳しい試験であるLTSのL字引張試験で、シートセパレーション終端領域に凸部があることでプラグ破断を示した最小ナゲット径が3√tであったため、本発明に係るスポット溶接部のナゲット径の下限は3√tとする。
また、同様の効果は十字引張試験やせん断引張試験でも見られた。また、十字引張試験片、せん断引張試験片、L字引張試験片で、衝撃荷重や疲労荷重を与えた場合にも、破断形式がプラグ破断となり、強度向上が認められた。
ここで、本発明に係るスポット溶接部のナゲット断面は、図8(a)および図8(b)に示すように、鋼板表面の電極加圧によるへこみをベストフィットするような円あるいは楕円で近似し、その中心点Oを通る断面でA−A’断面やB−B’断面のことを指している。なお、同図は、鋼板表面を、スポット溶接における電極加圧の方向から見た図である。
ナゲット断面は、具体的には、溶接継手においてき裂が進展する方向であって、継手試験片の長手方向端部の幅中央点と長手方向外郭線とを平行に結んだ線上にある断面とする。例えば図9に示すようなL字引張試験片では、幅中央点Aと幅中央点Bとを結んだ線上における1つのナゲット断面で評価すればよい。また、図10に示すような十字引張試験片では、幅中央点Aと幅中央点Bとを結んだ線上と、幅中央点Cと幅中央点Dとを結んだ線上とにおける2つのナゲット断面で評価すればよい。そして、図11に示すようなせん断引張試験片では、幅中央点Aと幅中央点Bとを結んだ線上における1つのナゲット断面で評価すればよい。
図12(a)にナゲット断面の模式図を示す。tを板厚とするとき、HAZの端部から距離2tである上板のシートセパレーションの点をA、下板のシートセパレーションの点をA’とする。同様に、HAZの端部から距離tである上板のシートセパレーションの点をB、下板のシートセパレーションの点をB’とする。そして、AとB、A’とB’をそれぞれ直線で結んだ時、図12(b)に示すように、シートセパレーションの外郭線が鋼板あわせ面の端部Dの方向に、直線を外れて近づく領域(C−D−C’)を、ここではシートセパレーション終端領域と定義する。なお、図12および後記する図13では、凸部の図示は省略している。
また、鋼板あわせ面とは、図13に示すように、ナゲット断面において一方側(左側)のシートセパレーション間隔を2L、他方側(右側)のシートセパレーション間隔を2Rとしたとき、左右でそれぞれ2Lと2Rの中心とを結んだ線上にある、鋼板表面と平行な面のことを示している。
ここで、前記したように、低強度破壊においてはその先駆となるコロナボンドのはく離が重要である。そして、このコロナボンドは、図4や図7に示すように、シートセパレーション終端領域でナゲット方向と反対方向に凸部が形成されている場合は明瞭には判別できないが、図13に示すように、基本的には鋼板あわせ面上に存在するものと考えられる。
なお、図13において、2Lおよび2Rは、シートセパレーションの上側の輪郭が鋼板上表面に平行であり、かつシートセパレーションの下側の輪郭が鋼板下表面に平行となる位置で鋼板厚さ方向にとったシートセパレーション間隔とする。同図に示すシートセパレーションの終端領域において、鋼板あわせ面を結んだ直線(コロナボンドを結んだ直線)が凸部(同図では図示省略)の外郭線と交わるとき、その節点では前記した図5,6に示すように、開口応力が0になるため、コロナボンドは開口しない。
次に、図14(a)は、980MPa級薄鋼板(板厚1.6mm)を2枚重ね、ナゲット径5√tでスポット溶接した後、ナゲット断面をピクリン酸腐食溶液で腐食させたものであり、ナゲットを明瞭に識別することができる。ここで、ナゲット外周の白い境界線から外側がHAZである。このHAZは、図14(b)に示すように、ナゲットの外周側にあり、母材よりも硬度が高い、あるいは低い領域として区別される。また、シートセパレーション終端領域にある凸部は、図14(a)に示すようにHAZから構成される。
ここで、非特許文献4に示すように、中散りの場合もシートセパレーション終端領域に凸部が形成されるが、同文献の図2に示すように、この場合の凸部は溶融・凝固した金属となり、HAZとはならない。一方、本発明では、この凸部が面積率で50%以上のHAZであるため、破断形式がプラグ破断になることによって高強度化が達成される。
次に、前記した図4で凸部が形成された溶接継手の、無負荷状態におけるナゲット断面を図15(a)に示す。また、このナゲット断面のシートセパレーション終端領域における形状を模式的に示すと図15(b)のようになる。図15(b)に示すように、シートセパレーション終端領域において、その外郭線がナゲット方向に対して反対方向に進む領域、すなわち図中ハッチングによって示された領域を凸部の面積とする。そして、この面積の50%以上がHAZで構成されていれば、上述の効果が得られる。
また、図15(b)に示すように、ナゲット方向と反対方向に凹形状をなす2つの凹部が形成され、この2つの凹部の間に凸部が形成されていることで、荷重が加わった際に凹部に主き裂が入ってエネルギーが分散されるため(図4「LTS×0.75」参照)、前記した図5および図6に示すような、凸部に対してコロナボンドを開口させる開口応力が作用しなくなる、という効果がさらに強くなる。
なお、シートセパレーション終端領域の形状は、必ずしも図15(b)に示すように上下対称である必要はなく、上下非対称でもよく、さらに形状も楕円状である必要性はない。また、ナゲット方向と反対方向に凹形状をなす2つの凹部も楕円状でなくてもよく、深さも同じではなく、形も揃っていなくてもよい。
以下、本発明の実施形態に係るスポット溶接継手の製造方法(スポット溶接方法)について説明する。スポット溶接継手の製造方法では、加圧力制御がキーテクノロジーとなる。これは、加圧力を後述するパラメータで適切に制御することで、スポット溶接中にナゲット方向と反対方向に凸部を形成することができるからである。本発明者らは、前記したような特徴を有するスポット溶接継手を製造する方法について鋭意検討した結果、電極先端径をd[mm]、本通電時間をT[sec]、本通電電流をc[kA]、薄鋼板の引張強度をTS[MPa]としたとき、加圧力P[N]を下記式(1)の範囲内とすることで、シートセパレーション終端領域において、ナゲット方向と反対方向に凸形状をなすHAZからなる凸部が形成されることが判明した。
ここで、上記式(1)において、A〜Aは0を含む係数、f(x)はxの関数、f(x,y,z)はxとyとzの関数である。そしてさらに検討を重ねた結果、上記式(1)は、下記式(2)で表されることが判明した。
ここで、上記式(2)において、Hは
であり、H<10.0のときは
とする。また、TS<270であるとき、上記式(2)における最終項の(TS−270)は
とする。なお、上記式(2)において、πは円周率、eは自然対数の底である。
以上のような溶接条件を加味してスポット溶接を行うことで、静的強度、衝撃強度および疲労強度等の強度特性全般に優れるスポット溶接継手を製造することができる。
また、前記したようなスポット溶接部に関する知見を応用し、例えば溶接条件等が未知のスポット溶接継手であっても、これらに含まれるスポット溶接部が前記した条件(1)〜(5)を満たすか否かを判定することで、静的強度、衝撃強度および疲労強度等の強度特性全般に優れるスポット溶接部であるか否か、より具体的には当該スポット溶接部の強度が所定値以上であるか否かを判定することができる。なお、前記した「所定値以上」とは、前記したような、破断形式がプラグ破断になることによって高強度化が達成されるような強度の値を示している。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本実施例では、本発明に係るスポット溶接継手の強度判定方法を用いたスポット溶接部の評価(表1〜表3参照)と、このスポット溶接部を有するスポット溶接継手の強度の評価(表4〜表6参照)とを行った。
スポット溶接部の評価では、表1〜表3に示すように、種々の引張強度と板厚の薄鋼板の等厚の2枚重ねスポット溶接継手を作製した。そして、作製の際に、電極先端径、本通電時間、本通電電流およびナゲット径を所定範囲で変化させた。また、スポット溶接の際の加圧力は上記式(2)により算出し、これを下回る条件で調整した。また、各溶接継手では、前記した図9〜図11に示した方向のナゲット断面を評価した。
スポット溶接部の評価に際しては、シートセパレーション終端領域内において、以下の条件1〜3を満たすか否かを評価し、満たす場合を○とし、満たさない場合を×とした。
条件1:ナゲット方向と反対方向に凸部を有すること
条件2:凸部の外郭線が鋼板あわせ面を結んだ直線(コロナボンドを結んだ直線)と交わること
条件3:ナゲット方向と反対方向に凹形状をなす2つの凹部の間に凸部が形成されていること
また、スポット溶接部の評価では、前記した図15(b)に示すようなシートセパレーション終端領域の形状を忠実に模式し、ナゲット方向と反対方向に凸形状をなす凸部の面積率を求めた。なお、凸部の面積率は、図14(a)に示すようにナゲット断面をピクリン酸エッチングするとともに、図14(b)に示すように硬さ測定を行うことで求めた。また、ナゲット径は、図14(a)に示すような断面で、かつ図13に示すような要領で求めた。
スポット溶接継手の強度の評価では、表4〜表6に示すように、スポット溶接継手として、十字引張試験片、せん断引張試験片、L字引張試験片を作製した。そして、引張速度5mm/minにて静的荷重を負荷する静的引張試験を実施し、破断荷重(破断強度)および破断形式を求めた。なお、試験片や試験方法は、「JIS Z 3136」、「JIS Z 3137」、「ISO14270」に準拠した。
また、表4〜表6に示すように、同じスポット溶接継手を用いて引張速度10m/sにて衝撃荷重を負荷する衝撃引張試験を実施し、破断荷重(破断強度)および破断形式を求めた。さらに、表4〜表6に示すように、「JIS Z 3138」に準拠して、最小最大荷重比0.05、周波数20Hzにて繰返し荷重を負荷する疲労試験を実施した。この疲労試験では、繰り返し数で10Cyclesに到達した最大の荷重範囲を疲労限度荷重範囲とし、併せて10Cyclesに最も近い寿命で破断した試験片の破断形式を求めた。
スポット溶接継手の強度の評価では、破断形式がプラグ破断であるものを合格とした。具体的には、「JIS Z 3136」に準拠し、破面に残存するナゲット径が元のナゲット径の80%以上である場合をプラグ破断とした。そして、破面に残存するナゲット径が元のナゲット径の80%未満である場合を部分プラグ破断、ナゲット部の破面が平坦である場合をはく離破断とした。
本発明範囲の溶接条件で作製した実施例1〜70は、表1および表2に示すように、いずれもナゲット径[mm]が3√t以上であり、かつナゲット断面で、シートセパレーション終端領域内において、条件1〜3を全て満足し、かつ凸部におけるHAZの面積率が50%以上であった。そして、表4および表5に示すように、実施例1〜70のいずれの溶接継手も、静的荷重、衝撃荷重および繰返し荷重下においてプラグ破断を示し強度が向上した。
ここで、実施例61〜70は、表4および表5に示すように、鋼板の引張強度TSと板厚tのみが既知であるが、溶接条件は未知のスポット溶接継手である。これらのナゲット断面を観察したところ、いずれもナゲット径[mm]が3√t以上であり、かつナゲット断面で、シートセパレーション終端領域内において、条件1〜3を全て満足し、かつ凸部におけるHAZの面積率が50%以上であった。そのため、表5に示すように、実施例61〜70のいずれの溶接継手も、静的荷重、衝撃荷重、繰返し荷重下においてプラグ破断を示し強度が向上した。
一方これに対し、比較例1〜10は、表3に示すように、スポット溶接の際の加圧力が上記式(2)を満たしていなかった。その結果、シートセパレーション終端領域に凸部が形成されず、条件1,2,3を満たさなかった。そのため、表6に示すように、比較例1〜10のいずれの溶接継手も、部分プラグ破断またははく離破断し、強度が低下した。
ここで、比較例11〜20は、表3に示すように、鋼板の引張強度TSと板厚tのみが既知であるが、溶接条件は未知のスポット溶接継手である。これらのナゲット断面を観察したところ、いずれも条件1〜3の少なくとも一つを満足しないか、あるいは凸部の面積率が50%未満であった。そのため、表6に示すように、比較例11〜20のいずれの溶接継手も、部分プラグ破断またははく離破断し、強度が低下した。
なお、比較例16は、条件1〜3を満足していたものの、ナゲット径が3√t未満であったため、比較例16の溶接継手は部分プラグ破断またははく離破断し、強度が低下した。また、比較例17は、条件1を満足していたものの、条件2,3を満足しておらず、比較例18は、条件1,2を満足していたものの、条件3を満足していなかった。そのため、比較例17,18のいずれの溶接継手も、コロナボンドがはく離し、部分プラグ破断またははく離破断し、強度が低下した。
比較例19は、条件1〜3を満足していたものの、エッチングによって確認したところ、比較例19の凸部は中散りであり、当該凸部におけるHAZの面積率が0%であった。そのため、比較例19の溶接継手はコロナボンドがはく離し、部分プラグ破断またははく離破断し、強度が低下した。
比較例20は、条件1〜3を満足していたものの、エッチングによって確認したところ、比較例20の凸部は多くが中散りで占められており、当該凸部におけるHAZの面積率が50%未満であった。そのため、比較例20の溶接継手はコロナボンドがはく離し、部分プラグ破断またははく離破断し、強度が低下した。
以上のような結果から、本発明によれば、スポット溶接継手の強度を向上させることができるとともに、スポット溶接継手の強度が向上したか否かを精度よく判定することができることが判明した。
以上、本発明に係るスポット溶接継手、スポット溶接継手の製造方法およびスポット溶接継手の強度判定方法について、発明を実施するための形態および実施例により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。

Claims (6)

  1. 板厚t[mm]の2枚以上の薄鋼板をスポット溶接したスポット溶接継手であって、
    ナゲット径[mm]が3√t以上であり、
    ナゲット断面において、シートセパレーション終端領域内にナゲットと反対方向に凸形状をなす凸部を有し、
    前記凸部の外郭線が、前記薄鋼板の鋼板合わせ面を結んだ直線と交わり、
    前記凸部が、面積率で50%以上の溶接熱影響部からなることを特徴とするスポット溶接継手。
  2. 前記ナゲットと反対方向に凹形状をなす2つの凹部を有し、
    前記2つの凹部の間に前記凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスポット溶接継手。
  3. 請求項1または請求項2に記載のスポット溶接継手の製造方法であって、
    電極先端径をd[mm]、本通電時間をT[sec]、本通電電流をc[kA]、前記薄鋼板の引張強度をTS[MPa]としたとき、加圧力P[N]を下記式(1)の範囲内とすることを特徴とするスポット溶接継手の製造方法。
    (上記式(1)において、A〜Aは0を含む係数、f(x)はxの関数、f(x,y,z)はxとyとzの関数である)
  4. 上記式(1)は、下記式(2)で表されることを特徴とする請求項3に記載のスポット溶接継手の製造方法。
    (上記式(2)において、Hは
    であり、H<10.0のときは
    とする。また、TS<270であるとき、上記式(2)における最終項の(TS−270)は
    とする。なお、上記式(2)において、πは円周率、eは自然対数の底である)
  5. 板厚t[mm]の2枚以上の薄鋼板をスポット溶接したスポット溶接継手の強度判定方法であって、
    ナゲット径[mm]が3√t以上であり、
    ナゲット断面において、シートセパレーション終端領域内にナゲットと反対方向に凸形状をなす凸部を有し、
    前記凸部の外郭線が、前記薄鋼板の鋼板合わせ面を結んだ直線と交わり、
    前記凸部が、面積率で50%以上の溶接熱影響部からなるとき、
    前記スポット溶接継手の強度が所定値以上であると判定するステップを含むことを特徴とするスポット溶接継手の強度判定方法。
  6. 前記ナゲットと反対方向に凹形状をなす2つの凹部を有し、
    前記2つの凹部の間に前記凸部が形成されているとき、
    前記スポット溶接継手の強度が所定値以上であると判定するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載のスポット溶接継手の強度判定方法。
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