JP6303947B2 - リラクタンス同期モータの駆動制御方法及びリラクタンス同期モータの駆動制御装置 - Google Patents

リラクタンス同期モータの駆動制御方法及びリラクタンス同期モータの駆動制御装置 Download PDF

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本発明は、リラクタンス同期モータを駆動制御する方法及び装置に関する。
リラクタンス同期モータの一種であるスイッチトリラクタンスモータ(以下、SRMと称す)は、一般に、ロータ角に応じて対応する相のステータコイルに一定電流を通電して一定のトルクを発生させるように駆動制御する。このとき、ロータの回転に伴い、一定電流を通電する相を順次切り替えて行くが、通電相の切替えに際して電流を急に立ち上げると、磁束が急峻に増加してステータがロータを吸引する電磁力が強く作用する。すると、ステータが変形して大きな騒音が発生することがある。
上記の問題に対処するため、特許文献1では、電流を立ち上げる際にコイルに印加する電圧を抑制して、磁束を緩慢に増加させる技術が提案されている。
特開平8−172794号公報
しかしながら、通電電流の立ち上げを過剰に抑制するとトルクリップルが増加するというトレードオフがあるため、特許文献1の技術においても、印加電圧を抑制するに当たっては両者のバランスを考慮する必要がある。また、通電電流を立ち下げる直前は、磁極の磁気抵抗が低い状態で一定電流を流しているので、大きな磁束が発生している。したがって、通電電流を低下させるのにより長い時間が必要となり、モータを高速で回転させる際の追従性が低下するという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、騒音の低下とトルクリップルの抑制とを両立させると共に、高速回転時の追従性も確保できるリラクタンス同期モータの駆動制御方法及びリラクタンス同期モータの駆動制御装置を提供することにある。
請求項1記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法によれば、各相への通電により各磁極に生成される磁束波形に対する指令磁束波形φは、各磁極について各磁極の対向位置を起点とするそれぞれの電気角θの関数として磁束の絶対値が同じ波形であり、ある相の磁極対向位置を起点とする電気角をθ、極対数をP、前記リラクタンス同期モータの対応する磁極の磁気抵抗をR(θ)とすると、次式で表される電気角θの関数T(θ)
Figure 0006303947
に含まれる、θに関するN倍高調波成分がゼロとなるものを用いる。このような方法によれば、高調波成分が機械的にモータを変形させることで生じる騒音を抑制すると共に、当該高調波によるトルクリップルを低減することができる。当該高調波は、後述のようにトルクリップルの最低次数の高調波であるため、通常は振幅が大きく騒音の要因となりやすいが、請求項1に記載の駆動制御方法により騒音・トルクリップルの双方を好適に抑制することができる。
請求項3記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法によれば、T(θ)は電気角θによらない定値を用いる。このような方法によれば、高次高調波成分がモータを変形させることで生じる騒音を抑制することができると共に、更に高次の高調波によるトルクリップルも低減できるようになるため、より一層騒音の抑制及びトルクリップルの抑制能力を両立することができる。
請求項4記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法によれば、指令磁束波形φを、磁極が飽和する磁束量より常に小さくなるように設定する。これにより、磁気抵抗Rを電気角θのみの関数と設定でき、制御器を簡便に構成できるようになる上、駆動に際して過大な磁束を生成させない範囲でモータを駆動することができるため、磁極の磁束を指令磁束波形に追従させやすくなり、高速回転時の追従性を一層向上することができる。また、磁束量を低く抑えることで、ロータ・ステータ間に過大な電磁力を発生させないようにでき、モータの変形に伴う騒音を一層抑制することができる。
請求項6記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法によれば、指令磁束波形φとして電気角1周期にわたって連続的に変化し続ける波形を用いる。このような方法によれば、磁束の変化速度をより確実に滑らかにすることができるため、一層騒音を低減できると共に高速回転時の追従性を向上することができる。
第1実施形態であり、スイッチトリラクタンスモータ(SRM)の駆動システムを示す図 SRM制御器の内部構成を示す機能ブロック図 指令磁束生成器の内部構成を示す機能ブロック図 理想磁束マップを示す図 ゲート信号発生器の動作を示すフローチャート 本実施形態と従来とについて、制御で使用する磁束の領域を説明する図 電気角の変化に対するSRMの磁気抵抗の変化をシミュレーションした結果を示す図 理想磁束波形を示す図 理想磁束波形のA値に応じた変化を示す図 本実施形態の制御と従来の制御とについて、トルクリップルの大きさを比較した図 第2実施形態であり、SRMの駆動システムを示す図 SRM制御器の内部構成を示す機能ブロック図 指令磁束生成器の内部構成を示す機能ブロック図 理想電流マップを示す図 ゲート信号発生器の動作を示すフローチャート 第3実施形態であり、分布巻構成のSRMの構造を模式的に示す断面図 第4実施形態であり、指令磁束生成器の内部構成を示す機能ブロック図 理想磁束生成器の内部構成を示す図 (a)は対数変換器、(b)は指数変換器の具体構成を示す図 第5実施形態であり、理想磁束生成器の内部構成を示す図
(第1実施形態)
先ず、本実施形態の制御で使用する指令磁束(U,V,W)について説明する。スイッチトリラクタンスモータ(以下、SRMと称す)が出力するトルクTを、磁束量の関数として表現する。トルクTは、ロータの回転によって失われる磁気エネルギーEに等しいので、(1)式で表される。
Figure 0006303947
ここで、PはSRMの極対数、θは電気角、φ,φ,φ,…は、各相(の番号)1,2,3,…に割り付けられた全ての固定子巻線を鎖交する磁束量の合計である。
そして、磁束φ,φ,φ,…を滑らかに変化させながらトルクTを一定にすることを考える。各磁極同士で磁気的な干渉は殆どないものと近似すると、SRMに蓄積された磁気エネルギーは(2)式のように表現できる。
Figure 0006303947
ここで、iは相に付した番号、Fは各相の起磁力である。したがって、トルクTは(3)式で表される。
Figure 0006303947
また、SRMの高速回転時の追従性を向上するためには、または、駆動時の騒音を低減するためには、磁束φを滑らかに変化させる際に、磁束φの最大値がSRMの磁極を磁気飽和させないように制御することが望ましい。従来のようにSRMを一定の電流で駆動すると、ロータとステータとが対向する位置関係になった際に大きな磁束が発生し、この時、磁極は磁気飽和する。そこで、本実施形態では、SRMの駆動時にロータ、ステータ間に過大な電磁力を発生させないように、大きくは磁気飽和させない範囲で制御する(図6参照)。
この場合の磁気エネルギーは、(4)式で表される。
Figure 0006303947
ここでRは、各相に属する磁極の磁気抵抗を並列に接続して得られる合成磁気抵抗であり、各磁極の磁気抵抗をχとすると、χ/Pに等しい。したがって、トルクT(θ)は(5)式のように表現できる。
Figure 0006303947
ここで、今は磁気飽和させない範囲で動作させると仮定しているため、磁気抵抗Rは磁束量φの関数ではないと近似している。一方で、SRMにおけるステータやロータの対称性から、磁気抵抗Rは、一般にステータとロータの磁極の対向関係によってのみ決定される関数であることを考慮すると、各磁極の磁気抵抗R(=χ/P)は、電気角の周期関数Rを用いて(6)式のように表現できるはずである。
Figure 0006303947
尚、Nは相数である。
また、本実施形態では、各磁極の磁束の2乗値φ も同様に、ステータとロータの磁極の対向関係によってのみ決定される関数で表現可能と仮定し、関数Bを用いて(7)式のように表現する。
Figure 0006303947
すると、トルクT(θ)は(8)式のように表現できる。
Figure 0006303947
ここで、例えば3相のSRMは、以下のようにトルクを表現できるはずである。周期関数Rは、一般に基本波成分とその低次高調波との重ね合わせで近似できる。周期関数Bも同様であるが、負の値をとらないので、適当な正の定数を加算して値域が正の値をとるようにする。説明を簡単にするため、以下では3相を例にして考える。関数Rを、例えば3次高調波まで近似して(9)式のように表現する。
Figure 0006303947
尚、電気角θの原点は、ステータのU相の磁極とロータの磁極とが対向した位置とする。また、関数Bも同様に、3次高調波までを想定して(10)式のように仮定する。
Figure 0006303947
(9)(10)式を(8)式に代入すると、(11)式が得られる。
Figure 0006303947
ここで、トルクTを電気角θによらず一定にするには、(11)式中のsin3θ、sin6θ、cos3θ、cos6θの項をゼロにする必要がある。この条件から、本実施形態で設定する関数Bの波形に求められる各係数の条件が、(12)式のように定まる。
Figure 0006303947
すなわち、関数Bに3次高調波まで採用する場合、関数Bが電気角θによらず負値にならないという条件で、係数A,A,Bを任意に決定することができる。そして、SRMの各磁極を(13)〜(15)式の磁束波形で制御すれば良い。
Figure 0006303947
尚、φ、φ、φは、U,V,W各相に対応する磁束波形である。そして、この時トルクTは、(16)式で表される。
Figure 0006303947
本実施形態では、(13)〜(15)式で表される磁束を指令磁束として用い、SRMを駆動制御する。
図7に示すように、50kWのSRMの実機について磁気抵抗を、磁気飽和の影響を無視した磁界解析ソフトのシミュレーション結果と、パラメータK〜Kを与えて(9)式で近似した結果とはほぼ一致している。パラメータK〜Kは、実機の特性に応じて決定される。
= 89765
=−74789
=171616
= −1157
また、指令磁束を決定するパラメータA〜A,B〜Bについては、A,A,Bを任意に決定してパラメータK〜Kを与えれば、(12)式よりA,Bが決まる。Aは、指令トルクTを決めれば(16)式より得られる。残りのA,Bについては、指令磁束が虚数にならない範囲で任意の値をとれるが、制御目的から磁束の振幅が小さくなるように設定するのが望ましい。ここでは、指令トルクを10NmとしてAを算出し、磁束の振幅が小さくなるようにA,Bの値を決定した。
= 2.25×10−5
=−1.91×10−5
= 9.50×10−6
そして、以上のようにして決定した各パラメータに基づく理想磁束(トルクTに対応する指令磁束。図4参照)の波形は、図8に示す波形となる。尚、Aについては、理想磁束の最小値がゼロになるように調整している。図9に示すように、Aの値を大きくすると磁束の絶対値の最大値が増大する。そこで、磁束が負値をとることなく、且つ磁気飽和を回避する目的から、Aをできるだけ小さく設定することが望ましく、結果として磁束波形の絶対値の最小値をゼロにすることが望ましいと言える。
図1に示すように、直流電源1の両端には、コンデンサ2とインバータ回路3とが接続されている。インバータ回路3は、各相アーム3U,3V,3Wからなり、これらはそれぞれ、NチャネルMOSFET4及び逆方向のダイオード5の直列回路と、逆方向のダイオード6及びNチャネルMOSFET7の直列回路とを有している。そして、ダイオード5のカソードとダイオード6のアノードとの間には、SRM(リラクタンス同期モータ)8の各相固定子巻線9(U,V,W)が接続されている。また、各相の固定子巻線9の両端には電圧センサ10が接続されている。
SRM8は、断面形状が概ね円環である固定子鉄心11の内周側に突出した形状の複数のティース部を有しており、それらのティース部に各相の固定子巻線9が巻装されており、集中巻で構成されている。固定子鉄心11の中空部には、断面形状が概ね十字状の回転子鉄心12(ロータ)が配置されている。
SRM8のロータには、例えばロータリエンコーダなどのロータ位置検出器13が配置されており、ロータ位置θの検出信号はSRM制御器14(制御装置)に入力されている。また、電圧センサ10より出力されるセンサ信号(電圧フィードバック;F/B)もSRM制御器14に入力されている。SRM制御器14は、例えばマイクロコンピュータにより構成され、入力される各センサ信号等に基づいて、インバータ回路3の各相アーム3U,3V,3Wを構成するNチャネルMOSFET4及び7(スイッチング素子)のゲートに駆動信号を出力する。なお、スイッチング素子はMOSFETに限ることなく、IGBT多バイポーラトランジスタ、サイリスタなどでも良い。
図2に示すように、SRM制御器14の指令磁束生成器21には、外部より与えられる指令トルクと、ロータ位置検出器13より出力されるロータ位置θとが入力されている。指令磁束生成器21は、上記の入力信号に基づいて3相分の指令磁束(U,V,W)を生成し、ゲート信号発生器22に入力する。電圧積分器23には、電圧センサ10からのセンサ信号;電圧F/B(U,V,W)が入力されており、電圧積分器23は、入力される電圧信号を積分して磁束F/B信号(U,V,W)を生成し、ゲート信号発生器22に入力する。ゲート信号発生器22は、入力信号に基づいてゲート信号を生成し、インバータ回路3を構成する各NチャネルMOSFET4及び7のゲートに出力する。
図3に示すように、指令磁束生成器21では、入力されるロータ位置θmを電気角変換部24において電気角θ(=θm・P)に変換する。理想磁極マップ25(データテーブル)には、基準トルクTに対応した、(13)式で表されるU相の理想磁束φが記憶されている(図4参照)。そして、電気角θに応じた理想磁束φが理想磁極マップ25より読み出されて指令磁束発生部26に入力される。
指令磁束発生部26では、理想磁束φを、入力される指令トルクTに応じた指令磁束φ(=φ・√(T/T))にすると、それをU相の指令磁束として出力する。また、U相の指令磁束を電気角120度、240度シフトさせたものを、それぞれV,W相の指令磁束として出力する。
図5に示すように、ゲート信号発生器22は、指令磁束生成器21より入力される指令磁束(理想磁束)と、電圧積分器23より入力される磁束F/B信号(測定した磁束)との差を求める(S1)。そして、両者の差がゼロより大であれば(S2:YES)、対応する相のMOSFET4及び7をオンする(S3)。一方、前記差がゼロ以下であれば(S2:NO)、対応する相のMOSFET4及び7をオフする(S4)。このようにして、各相アームのMOSFET4及び7のオンオフを制御し、SRM8を駆動制御する。
図10に示すように、本実施形態の制御方法によりSRM8がトルク50Nmを出力した場合のトルクリップルを特許文献1の技術における「出力大」の場合(100%)と比較したところ、トルクリップルが約52%低減するという結果が得られた。
尚、本実施形態では、(11)式に含まれる3倍高調波sin3θ、cos3θの項と、6倍高調波sin6θ、cos6θの両方をゼロにすることで指令磁束波形を得た。しかし、仮に3倍高調波のみをゼロにするという条件で指令磁束波形を得るとしても、先に述べた程ではないにせよ、本発明の効果を十分に得ることができる。何故なら、一般にRは低次高調波ほど振幅が大きい傾向にあり、低次高調波成分で大きなトルクを得やすいため、B(θ)も低次高調波成分を大きく設定することが好ましい。この場合には、トルクリップルも低次高調波成分ほど大きな振幅を持ちやすいため、トルクリップルの最低次数である3倍高調波(N相の場合はN倍高調波)のみを抑制するとしても、大きなトルクリップル低減効果を期待できるからである。
以上のように本実施形態によれば、SRM制御器14は、SRM8に対する各相固定子巻線7への通電により各磁極に生成される磁束波形に対する指令磁束波形φとして、(5)式で表されるトルクT(θ)に含まれる、θに関する3倍高調波成分がゼロとなるものを用いるようにした。これにより、高調波成分が機械的にモータを変形させることで生じる騒音を抑制することができると共に、当該高調波によるトルクリップルを低減することができる。更に、同時に6倍高調波成分もゼロとしたことで、一層騒音・トルクリップルを抑制することができる。
また、指令磁束波形を常に磁極が磁気飽和する磁束量以下となるように与えているため、磁気抵抗Rを電気角θのみの関数とでき、SRM制御器14をより簡便に構成できるようになる上、駆動に際して過大な磁束を発生させることがないため、SRM8が高速に回転する領域まで追従させることができる。
加えて、指令磁束波形として、電気角1周期にわたって連続的に変化し続ける波形を用いることで、磁束の変化がより滑らかとなり、騒音の低減ならびに高速回転時の追従性能を一層向上することが可能になる。
更に、指令磁束波形の2乗に電気角θに関する基本波成分を含んでいるため、小さな磁束波形の振幅でも好適に大きなトルクを得ることができることから、磁気飽和を好適に回避することができる。また、指令磁束波形の絶対値の最小値をゼロとすることで、指令磁束波形の磁束量を低減することができ、一層磁気飽和を回避しやすくすることができる。
尚、本実施形態ではBをゼロにしなかったが、B=0となるように指令磁束波形を構成しても構わない。一般に、指令磁束波形の2乗においてcosθ、cos2θ、…の成分はトルクの平均値に寄与することがない。このため、B=B=…=0と設定することで、全体としては小さな磁束量でSRM8を駆動することができるようになり、一層高速回転時に追従性を向上できる。この場合、指令磁束波形の2乗は、磁極対向位置を起点とする磁極ごとに定めた電気角θについての奇関数に定値を加えた波形となる。
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。(13)式で示されるU相の指令磁束φは、以下のように指令電流Iに変換できる。
=R/N・φ …(15)
したがって、指令磁束φに替えて、指令電流Iを用いることができる。
図11に示すように、第2実施形態では、第1実施形態の構成における電圧センサ10U、10V、10Wに代えて、電流センサ31U,31V,31Wを配したもので、これらは、インバータ回路3の各相アーム3U,3V,3Wの出力端子と、SRM8の各相巻線9U,9V,9Wとの間に配置されている。電流センサ31が出力するセンサ信号(電流F/B)は、SRM制御器32(制御装置)に入力されている。
図12に示すように、SRM制御器32は、指令電流生成器33及びゲート信号発生器34を備えている。指令電流生成器33は、第1実施形態の指令磁束生成器21と同様に指令トルクとロータ位置θとが入力されており、これらの入力信号に基づき3相分の指令電流を生成してゲート信号発生器34に入力する。ゲート信号発生器34には、電流センサ31が出力する電流F/B(U,V,W)が入力されており、ゲート信号発生器34は、それらの入力信号に基づいてゲート信号を生成し、インバータ回路3にゲート信号を出力する。
図13に示すように、指令電流生成器33は、電気角変換部24、理想電流マップ35(データテーブル)及び指令電流発生器36を備えている。理想電流マップ35には、基準トルクTに対応した、(15)式で表されるU相の理想電流Iが記憶されている(図14参照)。そして、電気角θに応じた理想磁束φが理想電流マップ35より読み出されて指令電流発生部36に入力される。
指令電流発生部36では、理想電流Iを、入力される指令トルクTに応じた指令電流I(=I・√(T/T))にすると、それをU相の指令磁束とする出力する。また、U相の指令電流を電気角120度、240度シフトさせたものを、それぞれV,W相の指令電流として出力する。
図15に示すフローチャートは、第1実施形態のステップS1をステップS5に置き換えて、指令電流と測定電流との差を求めている。以降の処理は第1実施形態と同様である。以上のように構成される第2実施形態によれば、指令磁束φに替えて指令電流Iを用いた場合も、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第3実施形態)
第3実施形態は、図16に示すように、分布巻構成のSRM41への適用を検討する。集中巻構成のSRM8について(5)式を展開すると(16)式となり、これは(17)式のように表すことができる。ここで、Ru、Rv、Rwは各相U、V、Wに対応する磁極の合成磁気抵抗である。
Figure 0006303947
これらの式は、分布巻構成のSRM41の場合、(18)式、(19)式となる。
Figure 0006303947
ここで、R,R,Rは、それぞれ磁束φ、φ、φが通る磁極の合成磁気抵抗であり、磁束φ、φ、φは、磁極P,P,Pの磁束に極数を乗じたものである。したがって、各磁束φ、φ、φを、集中巻に対応する磁束φ、φ、φと同じ波形となるように制御すれば良い。
分布巻の場合は、3つの磁極の磁束の合計が各相の巻線に鎖交するので、U,V,Wの各相巻線に鎖交する全磁束量をφ’、φ’、φ’とすると、
φ’= φ−φ−φ
φ’=−φ+φ−φ …(20)
φ’=−φ−φ+φ
となる。したがって、第1実施形態のように磁束で制御する場合は、(20)式に従い所定の磁束φ、φ、φを得るように、各相のφ’、φ’、φ’を決定すれば良い。
また、第2実施形態のように電流で制御する場合は、(21)式に従って所定の磁束φ、φ、φを得るように、各相の電流I’、I’、I’を決定すれば良い。
Figure 0006303947
以上のように第3実施形態によれば、分布巻構成のSRM41についても本発明を適用することができる。
(第4実施形態)
図17に示すように、第4実施形態では、理想磁束をアナログ的に合成して生成出力する指令磁束発生器49を用いる。指令磁束発生器49は、第1実施形態の指令磁束発生器21における理想磁束マップ25を、理想磁束発生器50に置き換えたものである。例えば(13)式で表される理想磁束φを構成する項は、A,sinθ、sin2θ、cosθ、cos2θであるから、図18に示すように、理想磁束発生器50は、これらのアナログ電圧波形を、電圧発生器51及び発振器52〜55により発生させる。尚、発振器52〜55は、例えばsinθを基準に同期して各信号を発生させることは勿論である。
そして、電圧発生器51が出力する信号Aは、加算器56にそのまま入力され、発振器52が出力する信号sinθは、アンプ57により係数Aが乗じられて加算器56に入力される。また、発振器52〜55がそれぞれ出力する信号sin2θ、cosθ、cos2θは、それぞれアンプ58〜60により係数(2・K・A/K)、B、−(6・K・A/K+2・K・B/K)が乗じられて加算器56に入力される。
加算器56の出力信号は、対数変換器61により対数に変換されると、アンプ62により係数(1/2)が乗じされ、更に指数変換器63により指数に変換されることで、その平方根が得られる。そして、指数変換器63の出力端子より、U相の理想磁束φが出力される。
図19(a)に示すように、対数変換器61は、抵抗素子64、アンプ65及びNPNトランジスタ66で構成されている。抵抗素子64の一端は入力端子であり、他端はアンプ65の反転入力端子に接続されている。前記反転入力端子は、NPNトランジスタ66のコレクタに接続されている。NPNトランジスタ66のベースはグランドに接続され、エミッタはアンプ65の出力端子に接続されている。アンプ65の非反転入力端子はグランドに接続されている。
図19(b)に示すように、指数変換器63は、NPNトランジスタ67、抵抗素子68及びアンプ69で構成されている。NPNトランジスタ67のエミッタは入力端子であり、ベースはグランドに接続され、コレクタはアンプ69の反転入力端子に接続されている。前記反転入力端子は、抵抗素子68を介してアンプ69の出力端子に接続されている。アンプ69の非反転入力端子はグランドに接続されている。
以上のように第4実施形態によれば、理想磁束発生器50は、指令磁束波形φを、複数のアナログ電圧波形を合成して生成するので、このように構成した場合も第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第5実施形態)
図20に示すように、第5実施形態の理想磁束発生器70は、第4実施形態の理想磁束発生器50における電圧発生器51を電圧発生器71に置き換えたものである。電圧発生器71には、例えばロータ位置信号θmの変化に基づき検出されたSRM8の回転速度ωが入力されている。そして、電圧発生器71は、回転速度ωが所定の閾値ωを超えると、信号Aのレベルを上昇させるように制御する。以下に、電圧発生器71の動作原理を説明する。指令磁束波形φの変化速度は、(22)式のように表される。
Figure 0006303947
この(22)式から、回転速度ω((22)式では角速度)が上昇すれば、指令磁束波形φの変化速度dφ/dtも上昇することが判る。また、指令磁束波形φの変化速度は回転速度ωに比例する。
一方、SRM8の巻線9に印加できる電圧の上下限は、電源電圧をVsupplyとすると±Vsupplyとなる。したがって、SRM8に実際に発生させることができる磁束φの変化速度にも、(23)式のように上下限があることになる。
Figure 0006303947
(23)式から、SRM8の回転速度ωがある回転数以上になると、指令磁束波形φに追従できなくなることが判る。
しかし、指令磁束波形φに含まれる項Aの値を増加させることで、追従が可能になる。これは、図9に示すように、項Aの値を増加させると指令磁束波形φの勾配φ/dtが小さくなるからである。そこで、電圧発生器71が、回転速度ωが所定の閾値ωを超えると信号Aのレベルを上昇させれば、実際のSRM8の回転速度を指令磁束波形φに追従させることができる。
尚、所定の閾値ωを設けなくても、回転数ωの上昇に伴い連続的にAの値を上昇させるように制御するものであっても構わない。
本発明は上記した、又は図面に記載した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
SRMに限ることなく、ステッピングモータやシンクロナスリラクタンスモータ等、リラクタンストルクを主体とする同期モータであれば適用が可能である。
モータは3相構成に限ることなく、2相又は4相以上であっても良い。3相以外のモータであっても、(5)式に表わされるT(θ)に、θに関する高調波リップルを抑制させるような磁束波形を用いて制御すれば良い。この場合も、磁束波形が極力滑らかになるように、磁束の2乗値φ が低次高調波の項で表されることが望ましい。
磁気抵抗Rは、磁束量に応じて変化することがあり得る。その場合には、(8)式に代えて(3)式を用いて制御することで、一層良好なトルク特性を得ることができる。
トルクは、必ずしも一定値に限らない。一般には、トルクリップルのうち高次高調波成分については、ロータや負荷の慣性モーメントによるモータの出力に影響を与えない。したがって、特に問題になり易い最低次数の高調波のみを抑制するように制御しても良い。
上記の実施形態で言えば、sin3θ,cos3θのみを抑制しても良い(最低次数は、相数倍の高調波)。
上記実施形態では、磁気抵抗Rを電気角θの3倍高調波までの高調波の重ね合わせと近似して指令磁束波形を導出したが、Rの近似にθに関するより高次の高調波まで考慮して、指令磁束波形を上述の手続きと同様の手続きにより導出しても構わない。Rをθの3倍高調波までで近似した場合は、(11)式のようにT(θ)にθの6倍高調波までが現れるため、A−A,B,Bを適切に選ぶことで、トルクの6倍高調波までを抑制するように制御することができる。一方、Rをより高次の高調波までを使って近似することができればT(θ)に9倍高調波以上の高次高調波の項が得られるため、トルクの9倍高調波以上の抑制することが可能になる。
更に、ゲート信号発生器において、測定した磁束や電流を、指令磁束や電流に追従させる制御アルゴリズムは、図5や図15に示したものに限らず、PWM制御など指令値に測定値を追従させるためにインバータ制御等で用いられる任意の制御アルゴリズムを用いることができる。
また、T(θ)に指令磁束波形φの2乗の依存性しかないことから、φとして正値、負値の何れも用いることができる。しかも、波形の途中で正値から負値に変化する波形で指令磁束波形を構成しても本発明を実施することが可能である。
図面中、3はインバータ回路、8はスイッチトリラクタンスモータ(リラクタンス同期モータ)、14はSRM制御器(制御装置)を示す。

Claims (13)

  1. 所定の磁束波形(以下、指令磁束波形と称す)に基づく指令値によって、N(Nは2以上の自然数)相リラクタンス同期モータをインバータ回路により駆動制御する方法であって、
    各相への通電により各磁極に生成される磁束波形に対する前記指令磁束波形φ(iは1からNまでの自然数)として、各磁極について各磁極の対向位置を起点とするそれぞれの電気角θの関数として磁束の絶対値が同じ波形であり、且つ、ある相の磁極対向位置を起点とする電気角をθ、極対数をP、前記リラクタンス同期モータの対応する磁極の磁気抵抗をR(θ)とすると、次式に示す電気角θの関数T(θ)
    Figure 0006303947
    に含まれる、θに関するN倍高調波成分がゼロとなるものを用いることを特徴とするリラクタンス同期モータの駆動制御方法。
  2. 前記指令磁束波形φとして、前記関数値T(θ)が、電気角θに関するN倍高調波成分よりも高次の少なくとも1つ以上の高調波成分もゼロとなるものを用いることを特徴とする請求項1記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法。
  3. 前記指令磁束波形φに、前記関数値T(θ)が電気角θの変化に対して一定値となるものを用いることを特徴とする請求項1又は2記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法。
  4. 前記指令磁束波形φを、磁極が飽和する磁束量より常に小さくなるように設定することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法。
  5. 前記磁気抵抗R(θ)について、電流の増加によって磁束が飽和しない領域で示す値を用いることを特徴とする請求項4記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法。
  6. 前記指令磁束波形φに、電気角の1周期にわたって連続的に変化し続ける波形を用いることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法。
  7. 前記指令磁束波形φに、電気角の1周期内における絶対値の最小値がゼロとなる波形を用いることを特徴とする請求項6記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法。
  8. 前記指令磁束波形φの2乗値の波形に含まれる電気角θに関する最低次数の周波数成分は、基本波成分であることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法。
  9. 前記指令磁束波形φは、その2乗値が前記各磁極の磁極対向位置を起点とする電気角θに関して、定値に奇関数を加えた波形であることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法。
  10. 前記指令磁束波形φを、電気角θの値に応じたデータテーブルで与えることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法。
  11. 前記指令磁束波形φを、複数のアナログ電圧波形を合成して生成することを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法。
  12. 前記モータの回転速度の上昇に伴い、前記指令磁束波形φの直流磁束成分を増加させることを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載のリラクタンス同期モータの駆動制御方法。
  13. 請求項1から12の何れか一項に記載の駆動制御方法を実行することを特徴とするリラクタンス同期モータの駆動制御装置。
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