JP6303459B2 - 免震構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、免震構造物に関する。
免震装置により免震される免震構造物は、既によく知られている。
かかる免震装置の中には、高度な免震機能を提供するアクティブ免震装置がある。
特開平11−190149号公報
構造物を適切に地震から守るためには、構造物全体をアクティブ免震装置により免震するのが望ましい。
しかしながら、かかる場合には、経済的な負担が大きくなるという課題があった。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、経済的、かつ、適切に免震された免震構造物を提供することにある。
主たる発明は、パッシブ免震装置により免震される構造体を有する免震構造物であって、
前記構造体は、アクティブ免震装置により免震されるアクティブ免震空間を含み、
前記アクティブ免震空間は、備蓄庫及び貯水槽のうちの少なくどちらか一方の貯蔵設備を備えることを特徴とする免震構造物である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、経済的、かつ、適切に免震された免震構造物を提供することが可能となる。
本実施の形態に係る免震構造物10の概略断面図である。 変形例に係る免震構造物10の概略断面図である。 アクティブ制御を説明するためのモデル図である。 第一例に係るアクティブ制御機器50を説明するための概略説明図である。 第一例の変形例に係るアクティブ制御機器50を説明するための概略説明図である。 第二例に係るアクティブ制御機器50を説明するための概略説明図である。 第二例の変形例に係るアクティブ制御機器50を説明するための概略説明図である 第二実施形態に係る免震構造物10の概略断面図である。 第二実施形態の変形例に係る免震構造物10の概略断面図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
パッシブ免震装置により免震される構造体を有する免震構造物であって、
前記構造体は、アクティブ免震装置により免震されるアクティブ免震空間を含むことを特徴とする免震構造物。
かかる場合には、経済的、かつ、適切に免震された免震構造物を提供することが可能となる。
また、前記構造体は、下部構造体を有し、
前記アクティブ免震装置は、
前記下部構造体と前記アクティブ免震空間の間に位置し、前記アクティブ免震空間を免震支持するための免震部材と、
前記アクティブ免震空間に対して外力を付与するためのアクチュエーターと、
振動を計測するセンサーと、
前記センサーの計測結果に基づいて前記アクチュエーターを制御するコントローラーと、
を有することとしてもよい。
かかる場合には、免震部材の機能により、ある程度振動からアクティブ免震空間を免れさせた上で、さらに、センサー、コントローラー、アクチュエーターの組み合わせにより、免震の完全化を目指すことが可能となる。
また、前記センサーは、前記下部構造体の前記振動を計測する下部構造体計測センサーであり、
前記コントローラーは、前記下部構造体計測センサーの計測結果から得られた前記下部構造体の絶対変位及び絶対速度に基づいて、前記アクチュエーターを以下の制御式により制御することとしてもよい。
f=−k(x+y)−c(x’+y’)
(f:付与外力、k:アクティブ免震空間剛性、x+y:下部構造体絶対変位、c:アクティブ免震空間減衰係数、x’+y’:下部構造体絶対速度)
かかる場合には、アクティブ免震空間の絶対応答をほぼ0とすることができる。
また、前記センサーは、前記下部構造体の前記振動を計測する下部構造体計測センサー及び前記アクティブ免震空間の前記振動を計測するアクティブ免震空間計測センサーであり、
前記コントローラーは、
前記下部構造体計測センサーの計測結果から得られた前記下部構造体の絶対変位及び絶対速度と、前記アクティブ免震空間計測センサーの計測結果から得られた前記アクティブ免震空間の絶対速度と、に基づいて、
前記アクチュエーターを以下の制御式により制御することとしてもよい。
f=−k(x+y)−c(x’+y’)−c(x’+y’)
(f:付与外力、k:アクティブ免震空間剛性、x+y:下部構造体絶対変位、c:アクティブ免震空間減衰係数、x’+y’:下部構造体絶対速度、c:スカイフックダンパー減衰係数、x’+y’:アクティブ免震空間絶対速度)
かかる場合には、アクティブ免震空間の絶対応答をほぼ0とすることができる。
また、前記アクチュエーターと前記アクティブ免震空間との間にバネが設けられており、前記アクチュエーターは前記バネを介して前記アクティブ免震空間に対して外力を付与することとしてもよい。
かかる場合には、制御の安定化を図ることが可能となる。
また、前記構造体の屋上部には、ヘリポートが設けられていることとしてもよい。
かかる場合には、免震構造物(構造体)の中で重要な部分をアクティブ免震空間に割り当て、この重要な部分(アクティブ免震空間)に置かれる対象物をヘリコプターで迅速に搬送することができる。
また、前記アクティブ免震空間は、手術室と、発電設備及び蓄電設備のうちの少なくともどちらか一方の設備と、を備えることとしてもよい。
かかる場合には、地震があっても、確実に救急医療が実現される。
また、前記構造体の屋上部には、ヘリポートが設けられており、
前記アクティブ免震空間は、患者を前記ヘリポートから前記手術室へ搬送するためのエレベーターを備えることとしてもよい。
かかる場合には、地震があっても、ヘリコプターでヘリポートに搬送された患者を確実に手術室へ移送することが可能となる。
また、前記アクティブ免震空間は、細胞培養設備と、発電設備及び蓄電設備のうちの少なくともどちらか一方の設備と、を備えることとしてもよい。
かかる場合には、地震があっても、細胞培養が適切に継続される。
また、前記構造体の屋上部には、ヘリポートが設けられており、
前記アクティブ免震空間は、細胞を前記ヘリポートから前記細胞培養設備へ搬送するためのエレベーターを備えることとしてもよい。
かかる場合には、地震があっても、ヘリコプターでヘリポートに搬送された細胞を確実に細胞培養設備へ移送することが可能となる。
また、前記アクティブ免震空間は、備蓄庫及び貯水槽のうちの少なくどちらか一方の貯蔵設備を備えることとしてもよい。
かかる場合には、構造物の孤立状態をしのぐことができる。
また、前記アクティブ免震空間は、前記構造体の既存部に付加して、あるいは、該既存部を置換して、設置されることとしてもよい。
かかる場合には、既存免震構造物の増改築を行う際にも、経済的、かつ、適切に免震された免震構造物を提供することが可能となる。
===免震構造物10の構成例について===
図1は、本実施の形態に係る免震構造物10の概略断面図である。なお、本実施の形態においては、免震構造物10を病院に適用した例を示す。
免震構造物10は、構造体20と、パッシブ免震装置30と、アクティブ免震装置40と、を備えている。
構造体20は(構造体20全体は)、後述するパッシブ免震装置30により免震されている。そして、構造体20は、下部構造体22と上部構造体24とを有している。なお、本実施の形態においては、上部構造体24がアクティブ免震空間に相当する。
下部構造体22は、例えば地上複数階建て(本実施の形態においては、四階建て。当然のことながら、地上一階建てでもよい)の構造体であり、図1に示すように、地面Gにパッシブ免震装置30を介して支持されている。そして、各フロアーには、患者用の正面出入り口、患者を受け付ける受け付け室、待合室、診察室、薬局、ナースセンター、レントゲン室、MRI室、病室等が設けられている。
かかる下部構造体22は、下部構造体22の外形をなすべく外周に沿って四方に設けられた外壁部22aを有する。そして、外壁部22aによって内方に区画された空間には、不図示の床部、柱部、及び、梁部が、それぞれ各階フロアーに対応する高さに設けられているとともに、下部構造体22の最上階たる四階には、天井部22bも設けられており、これにより複数階建ての一例として四階建ての下部構造体22が形成されている。このような下部構造体22は、RC造で構築されていても良いし、S造又はSRC造でも良いし、更には、これらを複合した構造様式でも良い。
また、下部構造体22には、エレベーターEV1と、上下に隣り合う階同士を繋ぐ階段(不図示)と、下部構造体22と上部構造体24とを繋ぐ階段(不図示)と、が設けられている。下部構造体22と上部構造体24とを繋ぐ階段は、例えば適宜なスライド部材を用いることにより、下部構造体22と上部構造体24との間の相対移動を許容しつつ、下部構造体22と上部構造体24に連結されている。
アクティブ免震空間の一例としての上部構造体24も、例えば複数階建て(本実施の形態においては、二階建て。当然のことながら、一階建てでもよい)の構造体であり、図1に示すように、下部構造体22にアクティブ免震装置40(具体的には、後述する積層ゴム42)を介して支持されている。つまり、上部構造体24は、アクティブ免震装置40により免震されている。そして、かかる上部構造体24は、下部構造体22の上に載置されていることから、上部構造体24の一階フロアーは、構造体20全体としては五階フロアーに相当し、同様に、上部構造体24の二階フロアーは、構造体20全体としては六階フロアーに相当している。
そして、五階フロアーには、手術室が設けられており、当該手術室には、救急医療に必要な各種の医療機器が装備されている。
また、六階フロアーには、発電設備及び蓄電設備のうちの少なくともどちらか一方の設備(本実施の形態においては、双方の設備)が設けられている。
上記医療機器の中には、電力で作動する機器も存在するが、平時には、かかる機器への給電は、例えばその地域の電力会社から供給される電力によってなされる。すなわち、電力会社の発電所で発電された電気が、送電線を介して病院へ送られて、病院の配電盤等を経由して手術室へ供給される。
但し、かかる電気が絶たれる停電時には、上部構造体24が具備する上記の発電設備又は蓄電設備によって手術室への給電がなされる。ここで、発電設備としては、エンジンと発電機とがセットになったものを例示できる。すなわち、軽油やガソリン、LPG、石炭等の燃料をエンジンで燃焼することにより発電機を作動させ、作動した発電機が電磁誘導によって電力を生むものが、上記の発電設備である。但し、何等これに限らず、場合によっては、太陽光を受けて発電する太陽光発電装置でも良く、その場合には、太陽光パネルは、後述する屋上部20aなどに設けられることになる。また、蓄電設備としては、充電を行うことにより電気を蓄えて電池として繰り返し使用可能な蓄電池(二次電池)を例示できる。
また、構造体20(本実施の形態においては、上部構造体24)には、屋上部20aが備えられており、当該屋上部20aには、ヘリポートが設けられている。そして、上部構造体24には、患者をヘリポートから手術室へ搬送するためのエレベーターEV2が備えられている。
そして、かかる上部構造体24も、下部構造体22と同様、上部構造体24の外形をなすべく外周に沿って四方に設けられた外壁部24aを有する。そして、外壁部24aによって内方に区画された空間には、不図示の床部、柱部、及び、梁部が、それぞれ各階フロアーに対応する高さに設けられているとともに、上部構造体24の最上階たる二階には、天井部24bも設けられており、これにより複数階建ての一例として二階建ての上部構造体24が形成されている。このような上部構造体24は、RC造で構築されていても良いし、S造又はSRC造でも良いし、更には、これらを複合した構造様式でも良い。
パッシブ免震装置30は、構造体20(構造体20全体)を免震するためのものである。このパッシブ免震装置30は、構造体20を免震支持するための積層ゴム32(図1参照)とエネルギー吸収により振動を低減するためのダンパー(不図示)とを備えている。積層ゴム32及びダンパーは、水平方向に複数並んだ状態で、地面Gと下部構造体22の間に位置している。すなわち、パッシブ免震装置30は、地面G、構造体20(下部構造体22)間に挟まれた状態で、構造体20を免震する。
アクティブ免震装置40は、パッシブ免震装置30よりも高度な免震装置であり、アクティブ免震空間(上部構造体24)を免震する。
このアクティブ免震装置40は、上部構造体24を免震支持するための免震部材の一例としての積層ゴム42(図1参照)とエネルギー吸収により振動を低減するためのダンパー(不図示)とを備えている(なお、本実施の形態に係るアクティブ免震装置40には、ダンパーが備えられているが、必ずしもダンパーが備えられている必要はない)。積層ゴム42及びダンパーは、水平方向に複数並んだ状態で、下部構造体22と上部構造体24の間に位置している。すなわち、積層ゴム42及びダンパーは、下部構造体22、上部構造体24間に挟まれた状態で、上部構造体24を免震する。
さらに、アクティブ免震装置40には、上部構造体24に対してアクティブ制御を行うための機器(便宜上、アクティブ制御機器50と呼ぶ)が備えられている。アクティブ制御機器50としては、センサー52と、コントローラー54と、アクチュエーター56と、が設けられている(図4参照)。なお、アクティブ制御の詳細(アクティブ制御機器50の構成や制御方法)については、後に詳述する。
また、このような免震構造物10は、増築により構築されている。すなわち、免震構造物10がパッシブ免震装置30及び下部構造体22のみを有している際に、この下部構造体22の上にアクティブ免震装置40及び上部構造体24が追設され、上記の免震構造物10が構築されている。つまり、上部構造体24は、構造体20の既存部に付加して設置されている。なお、当然のことながら、当該免震構造物10は、新築により構築することもできる。
<<<変形例に係る免震構造物10の構成例について>>>
図2は、変形例に係る免震構造物10の概略断面図である。この変形例も、上記実施形態(第一実施形態と呼ぶ)と同様、免震構造物10を病院に適用した例である。
第一実施形態に係る免震構造物10は、増築により構築されていたが、当該変形例に係る免震構造物10は、改築(改修すること)によって構築されている。すなわち、免震構造物がパッシブ免震装置30及び下部構造体22のみを有している際に、下部構造体22の一部(本変形例においては、既存の下部構造体22の最上階(5階)部分)を改修して空間Sを作り、この空間Sにアクティブ免震装置40及び上部構造体24が挿入され、上記の免震構造物10が構築されている。つまり、上部構造体24は、構造体20の既存部を置換して設置されている。なお、当然のことながら、変形例に係る免震構造物10は、新築により構築することもできる。また、改修するのは、最上階部分に限定されず、途中階部分(例えば、3階部分)であってもよい。以下、変形例に係る免震構造物10について、詳しく説明する。
変形例に係る免震構造物10は、第一実施形態と同様、構造体20と、パッシブ免震装置30と、アクティブ免震装置40と、を備えている。パッシブ免震装置30とアクティブ免震装置40については、第一実施形態と同様であるため、以下、構造体20について説明する。
構造体20は(構造体20全体は)、パッシブ免震装置30により免震されている。そして、構造体20は、下部構造体22と上部構造体24とを有している。なお、変形例においても、上部構造体24がアクティブ免震空間に相当する。
下部構造体22は、例えば地上複数階建て(当然のことながら、地上一階建てでもよい)の構造体であり、図2に示すように、地面Gにパッシブ免震装置30を介して支持されている。本実施の形態においては、既存の下部構造体22の最上階(5階)部分が、空間Sとされ、上部構造体24の設置のために使われるため、下部構造体22は、四階建ての構造体となっている。そして、各フロアーには、患者用の正面出入り口、患者を受け付ける受け付け室、待合室、診察室、薬局、ナースセンター、レントゲン室、MRI室、病室等が設けられている。
かかる下部構造体22は、下部構造体22の外形をなすべく外周に沿って四方に設けられた外壁部22aを有する。そして、外壁部22aによって内方に区画された空間には、不図示の床部、柱部、及び、梁部が、それぞれ各階フロアーに対応する高さに設けられているとともに、下部構造体22の最上階たる四階には、天井部22bも設けられており、これにより複数階建ての一例として四階建ての下部構造体22が形成されている。このような下部構造体22は、RC造で構築されていても良いし、S造又はSRC造でも良いし、更には、これらを複合した構造様式でも良い。
また、下部構造体22には、エレベーターEV1と、上下に隣り合う階同士を繋ぐ階段(不図示)と、が設けられている。
アクティブ免震空間の一例としての上部構造体24も、例えば複数階建て(本実施の形態においては、一階建て。当然のことながら、複数階建てでもよい)の構造体であり、図1に示すように、下部構造体22にアクティブ免震装置40(具体的には、後述する積層ゴム42)を介して支持されている。つまり、上部構造体24は、アクティブ免震装置40により免震されている。そして、かかる上部構造体24は、下部構造体22の上に載置されていることから、上部構造体24のフロアーは、構造体20全体としては五階フロアーに相当している。
上部構造体24は、上述したとおり、下部構造体22を改修することにより設けられた空間Sに収容されている。すなわち、改築により既存の下部構造体22の5階部分の間仕切り等が取り外されて、5階フロアー全体が一連の大きな空間Sにされている。そして、この空間Sに、新規のアクティブ免震装置40及び上部構造体24が挿入されている。
また、図2に示すように、変形例においては、第一実施形態とは異なり、上部構造体24が複数(本変形例においては、二つ)設けられている。すなわち、上部構造体24が第一上部構造体102と第二上部構造体104とに分かれている。そして、第一上部構造体102は、当該第一上部構造体102に対応したアクティブ免震装置40により免震され、第二上部構造体104は、当該第二上部構造体104に対応したアクティブ免震装置40により免震されている。
そして、第一上部構造体102には、手術室が設けられており、当該手術室には、救急医療に必要な各種の医療機器が装備されている。
また、第二上部構造体104には、発電設備及び蓄電設備のうちの少なくともどちらか一方の設備(本実施の形態においては、双方の設備)が設けられている。
また、構造体20(本実施の形態においては、下部構造体22)には、屋上部20aが備えられており、当該屋上部20aには、ヘリポートが設けられている。そして、上部構造体24(第一上部構造体102)には、患者をヘリポートから手術室へ搬送するためのエレベーターEV2が備えられている。
そして、かかる上部構造体24も、下部構造体22と同様、上部構造体24の外形をなすべく外周に沿って四方に設けられた外壁部24aを有する。そして、外壁部24aによって内方に区画された空間には、不図示の床部、柱部、及び、梁部が、それぞれ各階フロアーに対応する高さに設けられているとともに、天井部24bも設けられており、これにより一階建ての上部構造体24が形成されている。このような上部構造体24は、RC造で構築されていても良いし、S造又はSRC造でも良いし、更には、これらを複合した構造様式でも良い。
===アクティブ制御について===
次に、アクティブ制御について、4つの例(それぞれを、第一例、第一例に係る変形例、第二例、第二例に係る変形例とする)を挙げて説明する。
<<<第一例について>>>
図3のモデル図に基づいて、下部構造体22の運動方程式を求めると、(1)式のようになる。なお、「’」は1階微分を、「”」は2階微分を、それぞれ表している。
”+c’−c(x’−x’)+k−k(x−x)=−my”―f・・・(1)
同様に、上部構造体24の運動方程式を求めると、(2)式のようになる。
”+c (x’−x’)+k(x−x)=−my”+f・・・(2)
下部構造体22の絶対変位x+yと上部構造体24の絶対変位x+yとを用いて、(1)(2)式を変換すると(3)(4)式となる。
(x”+y”)+c(x’+y’)+k(x+y)=cy’+ky+c(x’+y’)−c(x’+y’)+k(x+y)−k(x+y)―f・・・(3)
(x”+y”)+c (x’+y’)+k(x+y)=c(x’+y’)+k(x+y)+f・・・(4)
ここで、制御力fを、(5)式のようにする。
f=−k(x+y)−c(x’+y’)・・・(5)
そして、(5)式を(3)(4)式に代入すると、(6)(7)式となる。
(x”+y”)+c(x’+y’)+k(x+y)=cy’+ky+c(x’+y’)+k(x+y)・・・(6)
(x”+y”)+c (x’+y’)+k(x+y)=0・・・(7)
上述したとおり、制御力fを(5)式のようにすれば、(7)式に示されるように、理論上、上部構造体24への入力は0となり、上部構造体24の絶対応答は0となる(絶対座標系において、上部構造体24は静止する)。つまり、(5)式の制御力fが上部構造体24に正確に付与されれば、絶対制震が完全に実現されることとなる。
ただし、実際には、誤差が存在するので、完全な絶対制震とはならないが、絶対応答をほぼ0とすることができる(絶対座標系において、上部構造体24をほぼ静止させることが可能となる)。
そして、このような制御力fの上部構造体24に対する付与を実現するために、第一例に係るアクティブ制御機器50は、以下の構成を備えている。
図4は、第一例に係るアクティブ制御機器50を説明するための概略説明図である。
アクティブ制御機器50としては、前述したとおり、センサー52と、コントローラー54と、アクチュエーター56と、が設けられている。
センサー52は、振動を計測するためのものである。第一例においては、図4に示すように、当該センサー52として、下部構造体22の振動を計測する下部構造体計測センサー52aが下部構造体22に設けられている。より具体的には、当該下部構造体計測センサー52aは、下部構造体22の水平方向における振動の加速度を取得する加速度センサーである。
コントローラー54は、センサー52の計測結果に基づいて、アクチュエーター56を制御するためのものである。すなわち、図4に示すように、コントローラー54は、下部構造体計測センサー52aが取得した下部構造体22の加速度から下部構造体22の絶対変位及び絶対速度を算出し、さらに、(5)式により求められる外力(制御力)fが上部構造体24に付与されるように、アクチュエーター56を制御する。すなわち、コントローラー54は、下部構造体計測センサー52aの計測結果から得られた下部構造体22の絶対変位及び絶対速度に基づいて、アクチュエーター56を(5)式の制御式により制御する。
アクチュエーター56は、上部構造体24に対して外力(制御力)fを付与するためのものである。このアクチュエーター56は、下部構造体22に(具体的には、下部構造体22に設けられた設置台22cに)設置された状態で、上部構造体24に対して水平方向に外力を付与するようになっている。すなわち、アクチュエーター56は、上部構造体24と下部構造体22に連結され、上部構造体24を水平方向に押したり引っ張ったりすることが可能となっている。そして、アクチュエーター56は、コントローラー54により制御されて、(5)式により求められる外力(制御力)fを上部構造体24に対して付与することとなる。
<第一例に係る変形例について>
上述したとおり、(5)式の外力(制御力)fが上部構造体24に正確に付与されれば、絶対制震が完全に実現されることとなるが、実際には、誤差が存在する。例えば、センサー52には測定誤差が生ずるため、絶対制震に必要な外力(制御力)fをコントローラー54が誤差無く算出することは難しいし、また、例え当該外力(制御力)fが誤差無く算出されたとしても、アクチュエーター56がコントローラー54の指令通りに寸分の狂いも無く動作することは難しい。
そこで、誤差がある程度大きい場合には、スカイフックダンパーを導入して、上記誤差によって生じた上部構造体24の応答を素早く減衰させるのが望ましい。この場合にも、第一例と同様、完全な絶対制震とはならないが、絶対応答をほぼ0とすることができる(絶対座標系において、上部構造体24をほぼ静止させることが可能となる)。
つまり、制御力fを、(5)式の代わりに、以下の(8)式のようにする。
f=−k(x+y)−c(x’+y’)−c(x’+y’)・・・(8)
(すなわち、スカイフックダンパーに係る項−c(x’+y’)を、(5)式に追加する。なお、cは、スカイフックダンパーの減衰係数)
そして、このような制御力fの上部構造体24に対する付与を実現するために、第一例の変形例に係るアクティブ制御機器50は、以下の構成を備えている。
図5は、第一例の変形例に係るアクティブ制御機器50を説明するための概略説明図である。
アクティブ制御機器50としては、第一例と同様、センサー52と、コントローラー54と、アクチュエーター56と、が設けられている。
センサー52は、振動を計測するためのものである。第一例に係る変形例においては、図5に示すように、当該センサー52として、前述した下部構造体計測センサー52aが下部構造体22に設けられるとともに、上部構造体24には、上部構造体24の振動を計測する上部構造体計測センサー52b(アクティブ免震空間計測センサーに相当)が設けられている。より具体的には、当該下部構造体計測センサー52aは、下部構造体22の水平方向における振動の加速度を取得する加速度センサーであり、当該上部構造体計測センサー52bは、上部構造体24の水平方向における振動の加速度を取得する加速度センサーである。
コントローラー54は、センサー52の計測結果に基づいて、アクチュエーター56を制御するためのものである。すなわち、図5に示すように、コントローラー54は、下部構造体計測センサー52aが取得した下部構造体22の加速度から下部構造体22の絶対変位及び絶対速度を算出し、上部構造体計測センサー52bが取得した上部構造体24の加速度から上部構造体24の絶対速度を算出する。さらに、(8)式により求められる外力(制御力)fが上部構造体24に付与されるように、アクチュエーター56を制御する。すなわち、コントローラー54は、下部構造体計測センサー52aの計測結果から得られた下部構造体22の絶対変位及び絶対速度と、上部構造体計測センサー52bの計測結果から得られた上部構造体24の絶対速度と、に基づいて、アクチュエーター56を(8)式の制御式により制御する。
アクチュエーター56は、上部構造体24に対して外力(制御力)fを付与するためのものである。このアクチュエーター56は、下部構造体22に(具体的には、下部構造体22に設けられた設置台22cに)設置された状態で、上部構造体24に対して水平方向に外力を付与するようになっている。すなわち、アクチュエーター56は、上部構造体24と下部構造体22に連結され、上部構造体24を水平方向に押したり引っ張ったりすることが可能となっている。そして、アクチュエーター56は、コントローラー54により制御されて、(8)式により求められる外力(制御力)fを上部構造体24に対して付与することとなる。
<<<第二例について>>>
図6は、第二例に係るアクティブ制御機器50を説明するための概略説明図である。
第二例の第一例に対する構成上の相違点は、図6に示すように、アクチュエーター56と上部構造体24との間にバネ58が設けられている点である。そして、アクチュエーター56は、バネ58を介して、上部構造体24に対して外力(制御力)を付与する。
アクチュエーター56には、油圧によって動作するものや電動モータによって動作するものなど様々な種類があるが、どんなアクチュエーター56であっても、追従できる周波数には限界がある。その限界周波数より高い周波数をもつ指令信号が仮にアクチュエーター56に入力されてしまうと、アクチュエーター56が指令通りに追従できず、上部構造体24の揺れを止める方向にアクチュエーター56を動かすはずなのに、逆に上部構造体24の揺れを大きくする方向に動いてしまう可能性がある。このような不測の事態が起こると、上部構造体24の揺れはどんどん大きくなってしまい非常に危険である。
第二例においては、かかる事態に念のため備える目的で、柔らかいバネ58をアクチュエーター56と上部構造体24の間に挿入している。このようにすれば、高い周波数をもつ指令信号がアクチュエーター56に入力されてしまった場合であっても、当該高い周波数の振動がアクチュエーター56から上部構造体24に伝わらないようにすることができ、制御の安定化を図ることができる。
バネ58の剛性をkとすると、アクチュエーター56の制御変位量zと制御力fの関係式は以下の(9)式のようになる。
f=k(z−(x−x))・・・(9)
この(9)式を(3)(4)式に代入してまとめると、(10)(11)式となる。
(x”+y”)+c(x’+y’)+k(x+y)=cy’+ky+c(x’+y’)−c(x’+y’)+(k+k)(x+y)−(k+k)(x+y)―kz・・・(10)
(x”+y”)+c (x’+y’)+(k+k)(x+y)=c(x’+y’)+(k+k)(x+y)+kz・・・(11)
ここで、制御変位量zを、(12)式のようにする。
z=−(k+k)(x+y)/k−c(x’+y’)/k・・・(12)
そして、(12)式を(10)(11)式に代入すると、(13)(14)式となる。
(x”+y”)+c(x’+y’)+k(x+y)=cy’+ky+c(x’+y’)+(k+k)(x+y)・・・(13)
(x”+y”)+c (x’+y’)+(k+k)(x+y)=0・・・(14)
上述したとおり、制御変位量zを(12)式のようにすれば(図6参照)、(14)式に示されるように、理論上、上部構造体24への入力は0となり、上部構造体24の絶対応答は0となる(絶対座標系において、上部構造体24は静止する)。つまり、(12)式の制御変位量zで正確に制御されれば、絶対制震が完全に実現されることとなる。
ただし、実際には、誤差が存在するので、完全な絶対制震とはならないが、絶対応答をほぼ0とすることができる(絶対座標系において、上部構造体24をほぼ静止させることが可能となる)。
<第二例に係る変形例について>
上述したとおり、(12)式の制御変位量zで正確に制御されれば、絶対制震が完全に実現されることとなるが、実際には、誤差が存在する。例えば、センサー52には測定誤差が生ずるため、絶対制震に必要な制御変位量zをコントローラー54が誤差無く算出することは難しいし、また、例え当該制御変位量zが誤差無く算出されたとしても、アクチュエーター56がコントローラー54の指令通りに寸分の狂いも無く動作することは難しい。
そこで、誤差がある程度大きい場合には、スカイフックダンパーを導入して、上記誤差によって生じた上部構造体24の応答を素早く減衰させるのが望ましい。この場合にも、第二例と同様、完全な絶対制震とはならないが、絶対応答をほぼ0とすることができる(絶対座標系において、上部構造体24をほぼ静止させることが可能となる)。
つまり、制御変位量zを、(12)式の代わりに、以下の(15)式のようにする。
z=−(k+k)(x+y)/k−c(x’+y’)/k−c(x’+y’)/k・・・(15)
(すなわち、スカイフックダンパーに係る項−c(x’+y’)/kを、(12)式に追加する)
図7は、第二例の変形例に係るアクティブ制御機器50を説明するための概略説明図である。図7に示すように、第二例に係る変形例の第一例に係る変形例に対する構成上の相違点は、アクチュエーター56と上部構造体24との間にバネ58が設けられている点である。そして、アクチュエーター56は、バネ58を介して、上部構造体24に対して外力(制御力)を付与する。
===本実施の形態に係る免震構造物10の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係る免震構造物10は、パッシブ免震装置30により免震される構造体20を有している。そして、当該構造体20は、アクティブ免震装置40により免震されるアクティブ免震空間(上部構造体24)を含んでいる。そのため、経済的、かつ、適切に免震された免震構造物を提供することが可能となる。
前述したとおり、構造体20を適切に地震から守るためには、構造体全体をアクティブ免震装置40により免震するのが望ましい。
しかしながら、アクティブ免震装置40は、高度な免震装置であるが故、高価であり、経済的な負担が大きくなるという課題があった。
そこで、本実施の形態においては、構造体20(構造体全体)については、アクティブ免震装置40ではなく、パッシブ免震装置30で免震することとし、構造体20の一部分(すなわち、アクティブ免震空間)のみをアクティブ免震装置40で免震することとした。
そのため、経済的な負担がより小さくなり、さらに、免震構造物10(構造体20)の中で重要な部分をアクティブ免震空間に割り当てれば、構造体20の免震も適切なものとなる。すなわち、本実施の形態によれば、経済的、かつ、適切に免震された免震構造物10を提供することが可能となる。
また、本実施の形態において、構造体20は、下部構造体22を有し、アクティブ免震装置40は、下部構造体22と上部構造体24の間に位置し、上部構造体24を免震支持するための積層ゴム42と、上部構造体24に対して外力を付与するためのアクチュエーター56と、振動を計測するセンサー52と、センサー52の計測結果に基づいてアクチュエーター56を制御するコントローラー54と、を有することとした。
そのため、積層ゴム42の機能により、ある程度振動から上部構造体24を免れさせた上で、さらに、センサー52、コントローラー54、アクチュエーター56の組み合わせにより、免震の完全化を目指すことが可能となる。
また、本実施の形態(例えば、第一例)において、センサー52は、下部構造体22の振動を計測する下部構造体計測センサー52aであり、コントローラー54は、下部構造体計測センサー52aの計測結果から得られた下部構造体22の絶対変位及び絶対速度に基づいて、アクチュエーター56を以下の制御式(つまり、(5)式)により制御することとした。
f=−k(x+y)−c(x’+y’)
(f:付与外力、k:アクティブ免震空間剛性、x+y:下部構造体絶対変位、c:アクティブ免震空間減衰係数、x’+y’:下部構造体絶対速度)
そのため、前述したとおり、上部構造体24の絶対応答をほぼ0とすることができる(絶対座標系において、上部構造体24をほぼ静止させることが可能となる)。特に、誤差が比較的小さい場合には、本例は特に有効であり、また、センサー52に関して下部構造体計測センサー52aの使用のみ(上部構造体計測センサー52bは不要)で目的が達成できるため、コストメリットも生ずる。
さらに、上部構造体24に係る優位性のみならず、後述するように下部構造体22に係る優位性も生ずる。
すなわち、上述したとおり、制御力fを(5)式のようにすれば、絶対応答をほぼ0とすることができるため、(16)式がほぼ成り立つ。
+y=0・・・(16)
また、(16)式を(6)式に代入すると、(17)式となる。
(x”+y”)+c(x’+y’)+k(x+y)=cy’+ky・・・(17)
そして、(17)式は、仮に上部構造体24が存在せず下部構造体22のみがパッシブ免震装置30により免震されているときの構造体20の運動方程式と一致する。つまり、制御力fを(5)式のようにすれば、上部構造体24をほぼ静止させ、上部構造体24の振動を下部構造体22へほぼ伝わらないようにすることが可能となる(換言すれば、上部構造体24が振動することによる力が下部構造体22へほぼ伝わらないようにすることが可能となる)。したがって、下部構造体22を設計する際に当該力を殆ど考慮する必要がなくなり設計の自由度が向上することとなる。
また、本実施の形態(例えば、第一例に係る変形例)において、センサー52は、下部構造体22の振動を計測する下部構造体計測センサー52a及び上部構造体24の振動を計測する上部構造体計測センサー52bであり、コントローラー54は、下部構造体計測センサー52aの計測結果から得られた下部構造体22の絶対変位及び絶対速度と、上部構造体計測センサー52bの計測結果から得られた上部構造体24の絶対速度と、に基づいて、アクチュエーター56を以下の制御式(つまり、(8)式)により制御することとした。
f=−k(x+y)−c(x’+y’)−c(x’+y’)
(f:付与外力、k:アクティブ免震空間剛性、x+y:下部構造体絶対変位、c:アクティブ免震空間減衰係数、x’+y’:下部構造体絶対速度、c:スカイフックダンパー減衰係数、x’+y’:アクティブ免震空間絶対速度)
そのため、前述したとおり、上部構造体24の絶対応答をほぼ0とすることができる(絶対座標系において、上部構造体24をほぼ静止させることが可能となる)。特に、誤差が比較的大きい場合には、本例は特に有効である。
さらに、上部構造体24に係る優位性のみならず、後述するように下部構造体22に係る優位性も生ずる。
すなわち、上述したとおり、制御力fを(8)式のようにすれば、絶対応答をほぼ0とすることができるため、(16)式がほぼ成り立つ。
+y=0・・・(16)
また、(16)式を(6)式に代入すると、(17)式となる。
(x”+y”)+c(x’+y’)+k(x+y)=cy’+ky・・・(17)
そして、(17)式は、仮に上部構造体24が存在せず下部構造体22のみがパッシブ免震装置30により免震されているときの構造体20の運動方程式と一致する。つまり、制御力fを(8)式のようにすれば、上部構造体24をほぼ静止させ、上部構造体24の振動を下部構造体22へほぼ伝わらないようにすることが可能となる(換言すれば、上部構造体24が振動することによる力が下部構造体22へほぼ伝わらないようにすることが可能となる)。したがって、下部構造体22を設計する際に当該力を殆ど考慮する必要がなくなり設計の自由度が向上することとなる。
また、本実施の形態(例えば、第二例、第二例に係る変形例)においては、アクチュエーター56と上部構造体24との間にバネ58が設けられており、アクチュエーター56はバネ58を介して上部構造体24に対して外力を付与することとした。
そのため、前述したとおり、制御の安定化を図ることが可能となる。
また、上記実施の形態において、構造体20の屋上部20aには、ヘリポートが設けられていることとした。
そのため、免震構造物10(構造体20)の中で重要な部分をアクティブ免震空間に割り当て、この重要な部分(アクティブ免震空間)に置かれる対象物(例えば、患者や後述する細胞)をヘリコプターで迅速に搬送することができる。
また、上記実施の形態において、アクティブ免震空間(上部構造体24)は、手術室と、発電設備及び蓄電設備のうちの少なくともどちらか一方の設備と、を備えることとした。
そのため、免震構造物10が病院である場合に、免震構造物10(構造体20)の中で重要な部分である手術室と発電設備や蓄電設備とが、地震被害から適切に守られる。したがって、地震があっても、確実に救急医療が実現されることとなる。つまり、救急医療に欠かせない手術室、及び、手術室での手術や治療に必要な電力を、確実に確保できて、結果、被災直後から救急医療を問題無く行うことができる。
また、上記実施の形態において、構造体20の屋上部20aには、ヘリポートが設けられており、アクティブ免震空間(上部構造体24)は、患者をヘリポートから手術室へ搬送するためのエレベーターEV2を備えることとした。
そのため、患者をヘリポートから手術室へ搬送するためのエレベーターEV2が、地震被害から適切に守られる。したがって、地震があっても、ヘリコプターでヘリポートに搬送された患者を確実に手術室へ移送することが可能となる。
また、上記実施の形態において、アクティブ免震空間(上部構造体24)は、構造体20の既存部に付加して、あるいは、該既存部を置換して、設置されることとした。
そのため、既存免震構造物の増改築を行う際にも、経済的、かつ、適切に免震された免震構造物を提供することが可能となる。
===その他の実施の形態===
上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
上記実施の形態においては、免震部材として積層ゴム42を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、水平免震可能な滑り支承や転がり支承であってもよい。
上記実施形態においては、免震構造物10を病院に適用した例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、図8及び図9に示すように、細胞培養が行われる施設(細胞培養センター、研究所など。便宜上、細胞培養施設と呼ぶ)に適用してもよい(この適用例を、第二実施形態と呼ぶ)。なお、図8と図9は、それぞれ、図1と図2に対応した図であり、図8は、第二実施形態に係る免震構造物10の概略断面図であり、図9は、第二実施形態の変形例に係る免震構造物10の概略断面図である。
図8、図9に示すように、上部構造体24(5階フロアー)には、細胞培養設備が設けられており、当該細胞培養設備には、細胞培養に必要な各種の電気機器(例えば、照明やクリーンベンチ)が装備されている。
また、上部構造体24(図8においては、6階フロアー。図9においては、5階フロアー)には、発電設備及び蓄電設備のうちの少なくともどちらか一方の設備(本実施の形態においては、双方の設備)が設けられている。そして、停電時には、当該発電設備又は蓄電設備によって細胞培養設備への給電がなされる。
すなわち、第二実施形態及び第二実施形態の変形例においては、アクティブ免震空間(上部構造体24)は、細胞培養設備と、発電設備及び蓄電設備のうちの少なくともどちらか一方の設備と、を備えている。
そのため、免震構造物10が細胞培養施設である場合に、免震構造物10(構造体20)の中で重要な部分である細胞培養設備と発電設備や蓄電設備とが、地震被害から適切に守られる。したがって、地震があっても、長い年月を要する細胞培養が瞬断されることなく、細胞培養が適切に継続されることとなる。つまり、細胞培養に欠かせない細胞培養設備、及び、細胞培養設備での細胞培養に必要な電力を、確実に確保できて、結果、細胞培養を問題無く継続することができる。
また、図8、図9に示すように、第二実施形態及び第二実施形態の変形例において、構造体20の屋上部20aには、ヘリポートが設けられており アクティブ免震空間(上部構造体24)は、細胞をヘリポートから細胞培養設備へ搬送するためのエレベーターEV2を備えている。
そのため、細胞をヘリポートから細胞培養設備へ搬送するためのエレベーターEV2が、地震被害から適切に守られる。したがって、地震があっても、ヘリコプターでヘリポートに搬送された細胞を確実に細胞培養設備へ移送することが可能となる。
また、前記アクティブ免震空間(上部構造体24)は、備蓄庫及び貯水槽のうちの少なくどちらか一方の貯蔵設備(望ましくは、双方の設備)を備えることとしてもよい。ここで、備蓄庫には、例えば、上記のエンジンの燃料たる軽油やガソリン、LPG、石炭等を貯留するタンクが収容され、また、貯水槽には、例えば、飲料水や水道水等の水が貯留されている。よって、かかる備蓄庫や貯水槽を備えていれば、被災時に構造物(病院、細胞培養施設)の孤立状態が長期化しても、救急医療、細胞培養を継続して行えるようになる。すなわち、大災害時には、電気や水道等のライフラインも停止するので、上記の燃料や水についても所定日数分の備蓄が必要となるが、上記のような備蓄庫や貯水槽を備えていれば、備蓄庫の燃料や貯水槽の水を消費することにより、孤立状態をしのぐことができる。
10 免震構造物
20 構造体
20a 屋上部
22 下部構造体
22a 外壁部
22b 天井部
22c 設置台
24 上部構造体
24a 外壁部
24b 天井部
30 パッシブ免震装置
32 積層ゴム
40 アクティブ免震装置
42 積層ゴム
50 アクティブ制御機器
52 センサー
52a 下部構造体計測センサー
52b 上部構造体計測センサー
54 コントローラー
56 アクチュエーター
58 バネ
102 第一上部構造体
104 第二上部構造体
EV1 エレベーター
EV2 エレベーター
G 地面
S 空間

Claims (12)

  1. パッシブ免震装置により免震される構造体を有する免震構造物であって、
    前記構造体は、アクティブ免震装置により免震されるアクティブ免震空間を含み、
    前記アクティブ免震空間は、備蓄庫及び貯水槽のうちの少なくどちらか一方の貯蔵設備を備えることを特徴とする免震構造物。
  2. 請求項1に記載の免震構造物であって、
    前記構造体は、下部構造体を有し、
    前記アクティブ免震装置は、
    前記下部構造体と前記アクティブ免震空間の間に位置し、前記アクティブ免震空間を免震支持するための免震部材と、
    前記アクティブ免震空間に対して外力を付与するためのアクチュエーターと、
    振動を計測するセンサーと、
    前記センサーの計測結果に基づいて前記アクチュエーターを制御するコントローラーと、
    を有することを特徴とする免震構造物。
  3. 請求項2に記載の免震構造物であって、
    前記センサーは、前記下部構造体の前記振動を計測する下部構造体計測センサーであり、
    前記コントローラーは、前記下部構造体計測センサーの計測結果から得られた前記下部構造体の絶対変位及び絶対速度に基づいて、前記アクチュエーターを以下の制御式により制御することを特徴とする免震構造物。
    f=−k2(x1+y)−c2(x1’+y’)
    (f:付与外力、k2:アクティブ免震空間剛性、x1+y:下部構造体絶対変位、c2:アクティブ免震空間減衰係数、x1’+y’:下部構造体絶対速度)
  4. 請求項2に記載の免震構造物であって、
    前記センサーは、前記下部構造体の前記振動を計測する下部構造体計測センサー及び前記アクティブ免震空間の前記振動を計測するアクティブ免震空間計測センサーであり、
    前記コントローラーは、
    前記下部構造体計測センサーの計測結果から得られた前記下部構造体の絶対変位及び絶対速度と、前記アクティブ免震空間計測センサーの計測結果から得られた前記アクティブ免震空間の絶対速度と、に基づいて、
    前記アクチュエーターを以下の制御式により制御することを特徴とする免震構造物。
    f=−k2(x1+y)−c2(x1’+y’)−cs(x2’+y’)
    (f:付与外力、k2:アクティブ免震空間剛性、x1+y:下部構造体絶対変位、c2:アクティブ免震空間減衰係数、x1’+y’:下部構造体絶対速度、cs:スカイフックダンパー減衰係数、x2’+y’:アクティブ免震空間絶対速度)
  5. 請求項2に記載の免震構造物であって、
    前記アクチュエーターと前記アクティブ免震空間との間にバネが設けられており、前記アクチュエーターは前記バネを介して前記アクティブ免震空間に対して外力を付与することを特徴とする免震構造物。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の免震構造物であって、
    前記構造体の屋上部には、ヘリポートが設けられていることを特徴とする免震構造物。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の免震構造物であって、
    前記アクティブ免震空間は、手術室を備えることを特徴とする免震構造物。
  8. 請求項7に記載の免震構造物であって、
    前記構造体の屋上部には、ヘリポートが設けられており、
    前記アクティブ免震空間は、患者を前記ヘリポートから前記手術室へ搬送するためのエレベーターを備えることを特徴とする免震構造物。
  9. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の免震構造物であって、
    前記アクティブ免震空間は、細胞培養設備を備えることを特徴とする免震構造物。
  10. 請求項9に記載の免震構造物であって、
    前記構造体の屋上部には、ヘリポートが設けられており、
    前記アクティブ免震空間は、細胞を前記ヘリポートから前記細胞培養設備へ搬送するためのエレベーターを備えることを特徴とする免震構造物。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の免震構造物であって、
    前記アクティブ免震空間は、発電設備及び蓄電設備のうちの少なくともどちらか一方の設備を備えることを特徴とする免震構造物。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の免震構造物であって、
    前記アクティブ免震空間は、前記構造体の既存部に付加して、あるいは、該既存部を置換して、設置されることを特徴とする免震構造物。
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