以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.構成>
[1−1.基本構成]
本発明の一実施形態に係る装填計画策定システム1は、資金装填の効率性を向上させることを目的とする。また、本実施形態に係る装填計画策定システム1は、自動取引装置7に収容された取引媒体の収容量の変化が日によって異なる場合においても、当該変化に追随して収容量が所定量以上に維持されるように装填量を算出する。以下では、まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る装填計画策定システム1を含む情報処理システムの概要について説明する。なお、以降では、単に「流出量」と記載した場合には、特に説明が無い限りは「取引媒体の流出量」を指すものとする。
図1は、本実施形態に係る装填計画策定システム1を含む情報処理システムの概要を示す説明図である。図1に示したように、情報処理システムは、装填計画策定システム1と、実績データ管理部2と、自動取引装置中央管理部3と、金融機関ホスト4と、支店5−1及び5−2と、端末管理部6と、自動取引装置7−1及び7−2と、専用網8とを含む。なお、支店5−1、5−2を特に区別する必要が無い場合には、「支店5」と記載する場合がある。同様に、自動取引装置7−1、7−2を特に区別する必要が無い場合には、「自動取引装置7」と記載する場合がある。以降では、本実施形態に係る情報処理システムが有する各構成要素について説明する。
(支店5)
支店5は、金融機関の店舗である。図1に示したように、支店5には、端末管理部6および複数の自動取引装置7が設置される。なお、本明細書では、端末管理部6および自動取引装置7が金融機関の店舗である支店5に設置される例を説明するが、コンビニエンスストア、駅構内、デパート、ホテル、オフィスビルなどの多様な施設に設置され得る。
(端末管理部6)
端末管理部6は、同一の支店5内に設置された自動取引装置7を管理する機能を有する。具体的には、端末管理部6は、自動取引装置7が保有する取引媒体の保有量や稼働状況、取引内容等を管理する。以下では、自動取引装置7が保有する取引媒体の保有量(換言すると、自動取引装置7に収容された取引媒体の収容量)を、有高とも称する。端末管理部6は、専用網8を介して、自動取引装置中央管理部3および金融機関ホスト4に接続されており、管理下にある自動取引装置7における有高等の情報を、自動取引装置中央管理部3および金融機関ホスト4に送信する。
(自動取引装置7)
自動取引装置7は、金融機関の顧客による操作に基づいて金銭の取引を実行する顧客操作型端末である。自動取引装置7は、現金や通帳、カード、レシート用紙等の多様な取引媒体が装填されており、取引処理の際に取引媒体が流出/流入する。本明細書では、取引媒体の一例として現金を対象とし、装填計画策定システム1は自動取引装置7に現金を装填するための装填計画を策定するものとする。
(専用網8)
専用網8は、専用網8に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。専用網8は、金融機関のネットワークであり、例えば専用線またはIP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)により構成される。
(金融機関ホスト4)
金融機関ホスト4は、自動取引装置7の上位装置として、専用網8を介して自動取引装置7と通信することにより、各種取引を制御する。例えば、金融機関ホスト4は、自動取引装置7を操作する顧客の認証や、自動取引装置7において顧客により指示された入金や振込などの金銭取引(勘定の取引処理)を実行する。また、金融機関ホスト4は、口座番号、暗証番号、氏名、住所、年齢、生年月日、電話番号、職業、家族構成、年収、預金口座残高などの顧客情報(口座の元帳)を管理する。
(自動取引装置中央管理部3)
自動取引装置中央管理部3は、専用網8を介して自動取引装置7と通信することにより、各自動取引装置7の稼働状況を監視する。例えば、自動取引装置中央管理部3は、自動取引装置7内に残っている現金の量、取引の状況、エラー(現金切れや紙幣詰まりなど)の有り無しなどを監視している。
また、自動取引装置中央管理部3は、自動取引装置7が保有する現金の有高を取得する取得部としての機能を有する。より具体的には、自動取引装置中央管理部3は、専用網8を介して端末管理部6と通信を行うことにより、端末管理部6の管理下にある各自動取引装置7の有高や取引の状況を示す情報(例えば、流出量)を監視する。自動取引装置中央管理部3は、自動取引装置7の有高や取引の状況を示す情報を、実績データ管理部2に出力する。なお、取引の状況を示す情報には、少なくとも、自動取引装置7からの取引媒体の流出実績が含まれている。また、取引の状況を示す情報には、自動取引装置7への取引媒体の流入実績が含まれていてもよい。
(実績データ管理部2)
実績データ管理部2は、各自動取引装置7の有高や取引の状況を示す情報を、所定の期間ごと(例えば、日ごと)に自動取引装置中央管理部3から取得し、取得した有高や取引の状況を示す情報を、過去の実績データとして蓄積する。また、実績データ管理部2は、後述する装填計画策定システム1からの要求に基づき、各自動取引装置7の過去の実績データを、当該装填計画策定システム1に出力する。
(装填計画策定システム1)
装填計画策定システム1は、対象となる自動取引装置7の過去の実績データを取得し、取得した過去の実績データに基づいて、未来の流出量及び有高を予測する。なお、以降では、装填計画策定システム1が予測した未来の流出量及び有高を、「流出予測」と呼ぶ場合がある。そして、装填計画策定システム1は、対象となる自動取引装置7の有高と流出予測とに基づいて、どの日にどれだけの量の取引媒体を装填するかを示す装填計画を策定する。
ここで、図2を参照しながら、本実施形態にかかる装填計画策定システム1の概略的な動作について説明する。図2は、本実施形態にかかる装填計画策定システム1の概略的な動作について説明するための図であり、自動取引装置7への装填量と当該自動取引装置7の収容量の変化について示している。
図2において、横軸は時系列を示しており、縦軸は取引媒体の量を示している。また、図2は、自動取引装置7への取引媒体の装填を行う候補日として、3/1、3/6、3/8、3/11、3/15、3/18、3/22、3/25、3/27、3/29の11日が設定されている場合の例を示している。なお、本実施形態に係る装填計画策定システム1は、各候補日を、互いに不連続となるように設定するとよい。
グラフg31〜g38は、流出予測に基づき、設定された各候補日の少なくとも前日において、自動取引装置7の有高があらかじめ決められた下限値を下回らないように、取引媒体の装填が計画された場合の、各候補日における装填量の一例を示している。なお、以降では、この「あらかじめ決められた下限値」を、単に「下限値」と呼ぶ場合がある。また、この下限値は、自動取引装置7の有高が0の場合でもよいし、0よりも大きい値(当該0に対して、あらかじめ決められたマージンを加算した値)でもよい。
また、グラフg70は、グラフg31〜g38に示すように装填を計画した場合における、自動取引装置7の有高の推移に関する予測値を示している。グラフg31〜g38が示すように、月初では月末に比べて候補日間の間隔(即ち、装填間隔)が長く、各候補日における装填量も少ない。即ち、図2に示す例は、取引媒体の流出量が日々変化し、それに伴って自動取引装置7の有高も日々変化するため、各候補日において必要な装填量が、日によって異なる場合の一例を示している。
また、グラフg11〜g14は、本実施形態に係る装填計画策定システム1により計画された装填計画の一例を示している。即ち、図2に示す例では、装填計画策定システム1は、3/1、3/11、3/18、3/22、3/27に自動取引装置7への取引媒体の装填を計画している。また、グラフg11〜g14のそれぞれは、装填計画策定システム1により計画された、3/1、3/11、3/18、3/22、3/27それぞれにおける装填量を示している。また、グラフg50は、グラフg11〜g14に示すように装填を計画した場合における、自動取引装置7の有高の推移に関する予測値を示している。
例えば、グラフg11に示すように、装填計画策定システム1は、取引媒体を装填後の自動取引装置7の有高が、あらかじめ決められた上限値を超えない範囲で、以降の候補日、即ち、3/6及び3/8の分の装填量を、3/1の装填量に加算している。なお、以降では、この「あらかじめ決められた上限値」を、単に「上限値」と呼ぶ場合がある。また、この上限値は、自動取引装置7が収容できる取引媒体の最大値でもよいし、当該最大値よりも小さい値(当該最大値に対して、あらかじめ決められたマージンを減算した値)でもよい。
このように装填量を算出することで、グラフg50が示すように、装填計画策定システム1は、自動取引装置7の有高を、3/8よりも後の候補日の前日(即ち、3/10)まで、下限値以上に維持することが可能となる。そして、装填計画策定システム1は、図2に示すように、3/6及び3/8における装填を計画しないことで、装填回数を低減することも可能となる。
即ち、本実施形態に係る装填計画策定システム1は、装填日よりも後の複数の候補日それぞれを時系列に沿って順次対象日とし、流出予測に基づき、少なくとも各対象日の前日における自動取引装置7の有高が下限値を下回らないように、装填日における装填量を算出する。そして、装填計画策定システム1は、算出した装填量を装填後の装填日における有高の予測値が上限値を上回った場合には、当該装填量に対応する対象日の直前の候補日に基づき算出された装填量の装填を、当該装填日に計画する。また、装填計画策定システム1は、次回の装填を、装填後の有高の予測値が上限値を上回った直前の候補日よりも後の候補日に設定することが可能である。即ち、自動取引装置7の有高が下限値を下回らない限り、次回の装填が設定された候補日(装填日)までに到来する他の候補日については、自動取引装置7への取引媒体の装填がスキップされる。
なお、装填計画策定システム1は、次回の装填を行う候補日における装填量については、当該候補日を新たな装填日とみなして、上記に示した方法に基づき、再帰的に装填量を算出し、さらに次の装填日を設定する。以上のようにして、装填計画策定システム1は、あらかじめ決められた未来の期間における、装填計画を、当該未来の期間における流出予測に基づき策定する。なお、この装填計画の策定対象である未来の期間を、以降では「対象期間」と呼ぶ場合がある。
以上のようにして、装填計画策定システム1は、対象期間中における装填計画を策定し、策定した装填計画を示す計画データを出力する。
なお、装填計画策定システム1は、例えば、各種演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、各種情報を記憶するためのRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)のような記憶部を備えた情報処理装置により構成することができる。
また、装填計画策定システム1(例えば、情報処理装置)は、上述した、過去の実績データの取得、取得した実績データに基づく流出予測、及び、当該流出予測に基づく装填計画の策定に係る動作を、自動で実行する。具体的な一例として、装填計画策定システム1は、あらかじめ決められたタイミングごとに上記各動作を実行してもよい。また、他の一例として、装填計画策定システム1は、所定の処理が実行された場合(例えば、実績データ管理部2により過去の実績データが更新された場合)に、当該処理に連動して上記各動作を実行してもよい。もちろん、装填計画策定システム1は、装填計画策定システム1の管理者(以降では、単に「管理者」と記載する場合がある)からの指示を受けて、上記各処理を実行するようにしてもよい。
また、上記では、装填計画策定システム1は、ネットワークを介して接続された複数の情報処理装置により構成されてもよい。この場合には、「1−2.装填計画策定システム1の内部構成」において後述する、装填計画策定システム1の各構成の位置は特に限定されないことは言うまでもない。
以上説明したように、装填計画を策定することで、本実施形態に係る装填計画策定システム1は、図2に示すように、有高の変化が日によって異なる場合においても、当該変化に追随して当該有高が所定量以上に維持されるように装填量を算出することが可能となる。また、装填計画策定システム1が作成した計画データに基づき、自動取引装置7への取引媒体の装填を行うことで、図2に示すように、一部の候補日における装填を行う必要がなくなるため、対象期間中の装填日を少なく抑え、取引媒体の装填に係る作業を効率化することが可能となる。
なお、策定された装填計画に基づき、装填が計画された候補日(即ち、装填日)に、警送により行われる自動取引装置7への取引媒体の装填が「計画装填」に相当する。また、計画装填以外に、当初の装填計画とは異なるタイミングで、警送により自動取引装置7への取引媒体の装填が行われる場合もある。そこで、以降では、装填が計画された候補日とは異なる他の日に、追加で行われる装填を「追加装填」と呼ぶ場合がある。追加装填は、例えば、装填計画では設定されていないが、事前に(例えば、2〜1営業日前、もしくは、当日営業開始前)に追加で計画される装填を示すものとする。また、営業開始後に装填が実施される場合もある。このように、リアルタイムで実施される装填を、「臨時装填」と呼ぶ場合がある。
[1−2.装填計画策定システム1の内部構成]
次に、図3を参照して、装填計画策定システム1の内部構成について詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る装填計画策定システム1の概略的な構成を示したブロック図である。図3に示すように、装填計画策定システム1は、流出予測部12と、候補日設定部14と、候補日データ記憶部16と、装填計画部18とを含む。
(流出予測部12)
流出予測部12は、実績データ管理部2から過去の実績データを取得する。この過去の実績データには、例えば、過去の期間における、自動取引装置7の有高や、当該自動取引装置7からの取引媒体の流出実績が含まれている。
流出予測部12は、取得した過去の実績データに基づき、対象期間中の各日における流出量を予測する。このとき、流出予測部12は、例えば、対象期間中の一の日の流出量を、過去数カ月の実績データのうち、当該一の日と同日における流出量の統計または平均に基づき算出してもよい。また、流出予測部12は、対象期間中の一の日の流出量を、過去数年の実績データのうち、当該一の日と同月同日における流出量の統計または平均に基づき算出してもよい。
流出予測部12は、以上のようにして算出した対象期間中の各日における流出量の予測結果(即ち、対象期間中の流出予測)と、実績データに含まれた過去の期間における自動取引装置7の有高(即ち、有高の実績値)とを、後述する装填計画部18に出力する。
(候補日設定部14)
候補日設定部14は、実績データ管理部2から過去の実績データを取得する。候補日設定部14は、取得した過去の実績データに基づき、対象期間中において、自動取引装置7への取引媒体の装填を行う候補日を設定する。なお、候補日設定部14により設定される候補日は、あくまで装填を行う装填日の候補となる日を示すものであり、必ずしも各候補日において装填が行われることを示しているとは限らない。
具体的な一例として、候補日設定部14は、取得した過去の実績データに基づき、自動取引装置7の有高が下限値を下回らないように維持することが可能な装填周期を設定し、設定した装填周期に基づき、対象期間中の各候補日を設定してもよい。なお、設定した装填周期に基づき候補日を設定する場合の候補日設定部14の動作の詳細については、「2.処理」において別途後述する。
また、候補日設定部14は、算出した周期に基づき設定した候補日の少なくとも一部を、操作部(図示しない)を介した管理者からの指定に基づき、他の日に変更できるようにしてもよい。
もちろん、候補日設定部14は、操作部を介して管理者からの指定に基づき、各候補日を設定してもよい。具体的な一例として、候補日設定部14は、管理者により指定された候補日を示す情報が記憶されたデータベースを参照することで、各候補日を認識してもよい。
なお、候補日設定部14は、自身が各候補日を設定する限り、当該各候補日を互いに不連続となるように設定するとよい。
候補日設定部14は、設定した候補日を示すデータ(以降では「候補日データ」と記載する場合がある)を候補日データ記憶部16に記憶させる。
(候補日データ記憶部16)
候補日データ記憶部16は、候補日設定部14により設定された各候補日を示す候補日データを記憶する。候補日データ記憶部16に記憶された候補日データは、後述する装填計画部18により読み出される。
(装填計画部18)
装填計画部18は、装填量算出部182と、装填計画設定部184とを含む。装填計画部18は、流出予測部12から、対象期間中の流出予測と有高の実績値とを取得する。また、装填計画部18は、対象期間中に設定された候補日を示す候補日データを候補日データ記憶部16から読み出す。
装填計画部18は、取得した対象期間中の流出予測及び有高の実績値と、候補日データ記憶部16から読み出した候補日データとを装填量算出部182及び装填計画設定部184に出力する。そして、装填計画部18は、装填計画設定部184に装填日を設定させ、当該装填日における装填量を装填量算出部182に算出させる。
装填計画部18からの指示を受け、装填計画設定部184は、最初の装填日を決定する。このとき、装填計画設定部184は、例えば、候補日データが示す複数の候補日のうち、最初の候補日を最初の装填日として設定してもよい。最初の装填日を設定すると、装填計画設定部184は、当該装填日を装填量算出部182に通知する。装填量算出部182は、取得した対象期間中の流出予測及び有高の実績値に基づき、装填計画設定部184から通知された装填日における装填量を算出する。
なお、以降は、装填量算出部182による装填量の算出結果に基づき、装填計画設定部184が、対象となる装填日の装填計画を策定するとともに、次回の装填日を決定する。そして、装填量算出部182が、当該次回の装填日における装填量を改めて算出する。以上のように、装填量算出部182と装填計画設定部184と連携して動作することで、対象期間中における装填日及び当該装填日における装填量を決定することで装填計画を策定する。
なお、装填量算出部182と装填計画設定部184と連携により、対象期間中における装填日及び当該装填日における装填量が決定される処理の詳細については、「2.処理」において別途後述する。
また、装填計画部18は、対象期間中の少なくとも一部の装填日を指定もしくは変更できるようにしてもよい。具体的な一例として、装填計画部18は、直前の対象期間に対する装填計画の策定時に、今回の対象期間中の一部の装填日(例えば、最初の装填日)を策定して記憶しておき、当該装填日を装填計画設定部184に設定させてもよい。
また、他の一例として、装填計画部18は、対象期間中の少なくとも一部の装填日を、操作部(図示しない)を介した管理者の指示に基づき、指定もしくは変更できるようにしてもよい。具体的な一例として、流出予測よりも流出量の実績値が高く、次の装填日まで有高が下限値を下回らないように維持することが困難な場合には、管理者の指示の元に、当初予定していない日における取引媒体の装填や、当日に臨時で行う取引媒体の装填が行われる場合がある(即ち、管理者により、追加装填や臨時装填が指示される場合がある)。このように、管理者により取引媒体の装填が指示された場合には、装填計画部18は、対象期間中における装填日の指定を管理者から受け、当該装填日を装填計画設定部184に設定させてもよい。この場合には、装填量算出部182及び装填計画設定部184は、指定された装填日における装填量を算出するとともに、当該装填量の算出結果に基づき、指定された装填日以降の他の装填日における装填計画を策定してもよい。
また、装填計画部18は、計画された装填日を、管理者からの指定に基づき変更(例えば、前倒しもしくは先送り)してもよい。例えば、計画された装填日が祝日であり、警送が、当該装填日に自動取引装置7への取引媒体の装填を行えず、管理者により当該装填日の装填を他の日に変更される場合がある。このような場合には、装填計画部18は、変更後の装填日における装填量を算出するとともに、当該装填量の算出結果に基づき、指定された装填日以降の他の装填日における装填計画を策定してもよい。また、装填日を先送りにした場合には、装填計画部18は、当該装填日の直前の他の装填日における装填量を算出し直してもよい。
以上のようにして、装填計画部18は、対象期間中における装填計画を策定し、策定した装填計画を示す計画データを出力する。
なお、上記に説明した装填計画策定システム1の各構成間の情報の流れや、当該各構成の動作を実現可能であれば、当該各構成を実現するためのハードウェア構成は特に限定されない。例えば、上記に説明した装填計画策定システム1の各構成のうち、一部の構成と他の一部の構成とのそれぞれを、ネットワークを介して接続された互いに異なる複数の情報処理装置により実現してもよい。また、他の一例として、装填計画策定システム1の各構成を1つの情報処理装置により実現してもよい。
<2.処理>
次に、図4〜図13を参照しながら、装填計画策定システム1の一連の処理の流れについて説明する。まず、図4を参照する。図4は、本実施形態にかかる装填計画策定システム1の一連の動作を示したフローチャートである。
(ステップS102:流出量の予測)
まず、流出予測部12は、実績データ管理部2から過去の実績データを取得する。この過去の実績データには、例えば、対象期間の前日までにおける自動取引装置7の有高や、当該自動取引装置7からの取引媒体の流出実績が含まれている。
流出予測部12は、取得した過去の実績データに基づき、対象期間中の各日における流出量を予測する。このとき、流出予測部12は、例えば、対象期間中の一の日の流出量を、過去数カ月の実績データのうち、当該一の日と同日における流出量の統計または平均に基づき算出してもよい。また、流出予測部12は、対象期間中の一の日の流出量を、過去数年の実績データのうち、当該一の日と同月同日における流出量の統計または平均に基づき算出してもよい。
流出予測部12は、以上のようにして算出した対象期間中の各日における流出量の予測結果(即ち、対象期間中の流出予測)と、実績データに含まれた対象期間の前日までにおける自動取引装置7の有高(即ち、有高の実績値)とを、後述する装填計画部18に出力する。
(ステップS104:候補日の設定)
候補日設定部14は、実績データ管理部2から過去の実績データを取得する。候補日設定部14は、実績データ管理部2から過去の実績データに基づき、対象期間中において、自動取引装置7への取引媒体の装填を行う候補日を設定する。
ここで、図5〜図8を参照しながら、自動取引装置7への取引媒体の装填を行う候補日を設定する方法の一例として、過去の実績データに基づき装填周期を設定し、当該装填周期に基づき候補日を設定する方法について説明する。なお、ここでは、候補日設定部14は、装填周期の最大値を14日とし、当該装填周期を4日、7日、及び14日のいずれかに設定するものとして説明する。
まず、候補日設定部14は、過去の実績データに基づき、累積日数ごとの流出量の予測値を、装填計画の策定の対象となる自動取引装置7ごとに算出する。例えば、図5は、累積日数ごとの取引媒体の流出量の予測値を示したデータの一例を示した図である。図5に示したデータd10において、店番d12は、対象となる自動取引装置7が配置された支店やスポットを識別するための識別子(例えば、ID)である。また、機番d14は、各自動取引装置7を識別するための識別子である。また、種別d16は、流出量の算出対象となる取引媒体の種別(例えば、金種)を示している。即ち、図5に示す例では、候補日設定部14は、万円券及び千円券のそれぞれについて累積日数ごとの流出量を算出している。
また、参照符号d18は、算出された累積日数ごとの流出量の予測値を示している。即ち、図5に示す例では、候補日設定部14は、累積日数の最大を装填周期の最大値である14日として、累積日数が1日〜14日の範囲で、各自動取引装置7から流出した種別d16ごとの流出量の予測値を、累積日数ごとに算出している。
ここで、候補日設定部14による、累積日数ごとの流出量の算出に係る処理の一例について説明する。例えば、候補日設定部14は、過去の実績データのうち少なくとも一部の期間(過去の期間)の実績データを抽出し、抽出した実績データが示す期間中の各日を順次基準日に設定し、設定した基準日を基準(例えば、1日目)とした所定期間(例えば、2週間)における流出量の実績値を、累積日数ごとに算出する。
そして、候補日設定部14は、順次設定された各基準日に基づき算出された当該所定期間における流出量が最大となる、累積日数ごとの流出量の実績値を、累積日数ごとの流出量の予測値として設定する。また、他の一例として、候補日設定部14は、順次設定された各基準日に基づき算出された累積日数ごとの流出量の実績値の平均や統計に基づき、累積日数ごとの流出量の予測値を算出してもよい。
以上のようにして、候補日設定部14は、過去の実績データに基づき、累積日数ごとの流出量の予測値を算出する。
累積日数ごとの流出量の予測値を算出すると、候補日設定部14は、累積日数ごとの流出量を閾値と比較することで、流出量が当該閾値を超えない累積日数を周期として設定する。例えば、図5に示す例では、候補日設定部14は、閾値を「2000」として設定し、各自動取引装置7について、種別d16ごとに周期を、4日、7日、及び14日のうちのいずれかに特定している。
具体的な一例として、機番d14が「11」、かつ種別d16が「万(即ち、万円券)」のデータに着目する。この場合には、累積日数が「7日」の時点では流出量が閾値を超えておらず、かつ、「14日」の時点において流出量が閾値を超えていることがわかる。そのため、候補日設定部14は、機番d14が「11」、かつ種別d16が「万」に対応する周期を「7日」に設定する。
また、他の一例として、機番d14が「13」、かつ種別d16が「万」のデータに着目する。この場合には、累積日数が「4日」の時点では流出量が閾値を超えておらず、かつ、「14日」の時点において流出量が閾値を超えていることがわかる。そのため、候補日設定部14は、機番d14が「13」、かつ種別d16が「万」に対応する周期を、流出量が閾値を超えた「5日」の直前の累積日数である「4日」に設定する。
また、他の一例として、機番d14が「12」、かつ種別d16が「千(即ち、千円券)」のデータに着目する。この場合には、累積日数が「14日」の時点においても流出量が閾値を超えていないことがわかる。そのため、候補日設定部14は、機番d14が「12」、かつ種別d16が「千」に対応する周期を「14日」に設定する。
以上のようにして、候補日設定部14は、各自動取引装置7について種別d16ごとに、流出量が当該閾値を超えない累積日数に基づき、周期を4日、7日、及び14日のうちのいずれかに設定する。例えば、図6は、装填周期の設定に係る動作の一例について説明するための図であり、図6に示すデータd20は、図5に示したデータd10に基づき特定された周期の一例を示している。なお、参照符号d22は、累積日数ごとの取引媒体の流出量の予測値に基づき特定された周期を日数で示している。
次に、候補日設定部14は、各自動取引装置7について、種別d16ごとに特定された周期d22を互いに比較し、より短い周期を当該自動取引装置7の装填周期として設定する。
例えば、機番d14が「13」のデータに着目する。この場合には、種別d16が「万」に対応する周期d22が「4」であり、種別d16が「千」に対応する周期が「7」であることがわかる。そのため、候補日設定部14は、機番d14が「13」に対応する周期d22を、より短い周期である「4」に設定する。このようにして設定された周期d22(即ち、「4日」)が、機番d14が「13」で示された自動取引装置7の装填周期に相当する。
また、他の一例として、機番d14が「11」のデータに着目する。この場合には、種別d16が「万」に対応する周期d22が「7」であり、種別d16が「千」に対応する周期も「7」であることがわかる。そのため、候補日設定部14は、機番d14が「11」に対応する周期d22を「7」に設定する。
以上のようにして、候補日設定部14は、各自動取引装置7について装填周期を設定する。例えば、図7は、装填周期の設定に係る動作の一例について説明するための図であり、図7に示すデータd30は、図6に示したデータd20に基づき設定された、各自動取引装置7の装填周期の一例を示している。なお、図7に示す周期d22が、各自動取引装置7の装填周期に相当する。
各自動取引装置7について装填周期を設定すると、候補日設定部14は、設定された装填周期に基づき、各自動取引装置7に取引媒体を装填する曜日を設定する。例えば、図8は、装填周期の設定に係る動作の一例について説明するための図であり、図8に示されたデータd40は、図7に示したデータd30に基づき設定された、各自動取引装置7に取引媒体を装填する曜日に関する設定の一例を示している。図8において、参照符号d42は、曜日ごとの装填の設定情報を示しており、「日曜日」〜「土曜日」までの各曜日に対して、装填が設定されているか否かが「0」または「1」により示されている。具体的には、「1」は装填が設定されている曜日であることを示し、「0」は装填が設定されていない曜日であることを示している。また、設定情報d42は、隔週の装填を示す「隔週」の項目を含んでもよい。即ち、対応する自動取引装置7への装填を隔週で行えばよい場合(例えば、装填周期が14日の場合)には、「隔週」の項目に「1」が設定され、毎週行う場合(例えば、装填周期が7日以下の場合)には、「隔週」の項目に「0」が設定される。
具体的な一例として、機番d14が「11」のデータに着目する。この場合には、図6のデータd30に示すように、周期d22(即ち、装填周期)には「7」が設定されている。そのため、候補日設定部14は、機番d14が「11」で示された自動取引装置7に対して1週間に1回装填が行われるものとし、自動取引装置7に取引媒体を装填する曜日として「日曜日」〜「土曜日」のうちのいずれか1日を設定する。例えば、図8に示す例では、候補日設定部14は、機番d14が「11」で示された自動取引装置7への取引媒体の装填を「月曜日」に設定している。
なお、候補日設定部14は、装填が設定された曜日間の期間が装填周期を超えない限りは、各自動取引装置7に取引媒体を装填する曜日として、「日曜日」〜「土曜日」のうちのどの曜日を設定してもよい。また、候補日設定部14は、累積日数ごとの流出量の推移に基づき、自動取引装置7に取引媒体を装填する曜日として、「日曜日」〜「土曜日」のうちのどの曜日に設定するかを決定してもよい。
また、他の一例として、機番d14が「13」のデータに着目する。この場合には、図6のデータd30に示すように、周期d22(即ち、装填周期)には「4」が設定されている。そのため、候補日設定部14は、機番d14が「13」で示された自動取引装置7に対して、装填が設定された曜日間の期間が装填周期の「4日」を超えない範囲で、自動取引装置7に取引媒体を装填する曜日を設定する。例えば、図8に示す例では、候補日設定部14は、機番d14が「13」で示された自動取引装置7への取引媒体の装填を「月曜日」及び「木曜日」に設定している。
また、他の一例として、機番d14が「12」のデータに着目する。この場合には、図6のデータd30に示すように、周期d22(即ち、装填周期)には「14」が設定されている。そのため、候補日設定部14は、機番d14が「12」で示された自動取引装置7に対して、2週間に1回装填が行われるものとして、自動取引装置7に取引媒体を装填する曜日として「日曜日」〜「土曜日」のうちのいずれか1日を設定するとともに、「隔週」を示す設定を行う。例えば、図8に示す例では、候補日設定部14は、機番d14が「12」で示された自動取引装置7への取引媒体の装填を「隔週」の「水曜日」に設定している。
なお、一部の月に関しては、他の月に比べて流出量の傾向が異なる場合がある。具体的な一例として、6月や12月のように企業から賞与が支給される月については、他の月に比べて流出量が増加する傾向にある。そのため、候補日設定部14は、一部の月については、他の月とは別に装填周期を設定して、当該装填周期に基づき自動取引装置7への取引媒体の装填を行う曜日を設定してもよい。例えば、図9〜図10は、装填周期の設定に係る動作の他の一例について説明するための図であり、一部の月と他の月とに分けて装填周期を設定した場合の一例を示している。
図9に示すデータd30aは、各自動取引装置7の装填周期を、流出量が増加する傾向にある6月及び12月の場合と、6月及び12月以外の月の場合とに分けて設定した場合の一例を示している。図9において、周期d22aは、6月及び12月に対応する装填周期を示している。また、周期d22bは、6月及び12月以外の月に対応する装填周期を示している。
また、図10に示すデータd40aは、図9に示したデータd30aにおける、6月及び12月に対応する周期d22aに基づき設定された、各自動取引装置7に取引媒体を装填する曜日に関する設定の一例を示している。同様に、図11に示すデータd40bは、データd30aにおける、6月及び12月以外の月に対応する周期d22bに基づき設定された、各自動取引装置7に取引媒体を装填する曜日に関する設定の一例を示している。
具体的な一例として、図9に示したデータd30aにおける、機番d14が「11」及び「14」のデータに着目する。この場合には、候補日設定部14は、6月及び12月に対応する周期d22aに「7」を設定し、6月及び12月以外の月に対応する周期d22bには「14」を設定している。そのため、候補日設定部14は、図10に示すデータd40aでは、機番d14が「11」及び「14」に対応するデータの「隔週」の項目に「0」を設定している。これに対して、候補日設定部14は、図11に示すデータd40bでは、機番d14が「11」及び「14」に対応するデータの「隔週」の項目に「1」を設定している。
また、他の一例として、図9に示したデータd30aにおける、機番d14が「13」のデータに着目する。この場合には、候補日設定部14は、6月及び12月に対応する周期d22aに「4」を設定し、6月及び12月以外の月に対応する周期d22bには「7」を設定している。そのため、候補日設定部14は、図10に示すデータd40aでは、機番d14が「13」に対応するデータの「月曜日」及び「木曜日」に、自動取引装置7への取引媒体の装填を設定している。これに対して、候補日設定部14は、図11に示すデータd40bでは、機番d14が「13」に対応するデータの「月曜日」にのみ自動取引装置7への取引媒体の装填を設定し、「木曜日」には当該装填を設定していない。
このように、候補日設定部14は、一部の月については、他の月とは別に装填周期を設定して、当該装填周期の設定に基づき自動取引装置7に対して取引媒体の装填を行う曜日を設定してもよい。
以上のようにして、各自動取引装置7に取引媒体を装填する曜日の設定に基づきデータd40を作成すると、候補日設定部14は、当該データd40に基づき、対象期間中において取引媒体の装填を行うための候補日を設定する。具体的な一例として、候補日設定部14は、機番d14が「13」で示された自動取引装置7を対象とする場合には、図8に示すデータd40に基づき、対象期間中における「月曜日」及び「木曜日」を候補日として設定する。
候補日設定部14は、設定した候補日を示す候補日データを候補日データ記憶部16に記憶させる。
上記に示すように、候補日設定部14は、過去の実績データに基づき装填周期を設定し、当該装填周期に基づき候補日を設定する。このように過去の実績データに基づき装填周期を設定し、当該装填周期に基づき設定された候補日に基づき取引媒体の装填を計画することで、自動取引装置7の有高を、当該自動取引装置7の流出実績にあわせて、少なくとも下限値以上に維持することが可能となる。
なお、上記に示す例では、候補日設定部14は、装填周期を4日、7日、及び14日のうちのいずれかに設定する例について説明したが、候補日設定部14が設定する装填周期は運用にあわせて適宜変更してもよい。例えば、候補日設定部14は、装填周期の最大値を14日以外の期間に変更してもよい。また、候補日設定部14は、装填周期を4日、7日、及び14日に限らずに、累積日数ごとに流出量を閾値と比較し、流出量が閾値を上回る直前の累積日数を装填周期として設定してもよい。
(ステップS106:装填日の特定)
ここで、再度図4を参照する。装填計画部18は、取得した対象期間中の流出予測及び有高の実績値と、候補日データ記憶部16から読み出した候補日データとを装填量算出部182及び装填計画設定部184に出力する。そして、装填計画部18は、装填計画設定部184に装填日を設定させ、当該装填日における装填量を装填量算出部182に算出させる。
装填計画部18からの指示を受け、装填計画設定部184は、最初の装填日を決定する。このとき、装填計画設定部184は、例えば、候補日データが示す複数の候補日のうち、最初の候補日を最初の装填日として設定してもよい。最初の装填日を設定すると、装填計画設定部184は、当該装填日を装填量算出部182に通知する。
(ステップS108:装填量の算出)
装填量算出部182は、取得した対象期間中の流出予測及び有高の実績値に基づき、装填計画設定部184から通知された装填日における装填量を算出する。
ここで、図12及び図13を参照しながら、装填量算出部182による装填量の算出に係る処理の詳細について説明する。まず、図12を参照する。図12は、装填量の算出に係る動作の一例について説明するための図である。
まず、図12のデータd502に着目する。データd502は、1つの自動取引装置7について、有高の実績値と、装填日及び装填額の設定と、当該自動取引装置7の流出予測と、当該自動取引装置7の有高予測とを示している。なお、ここでは、データd502には、既に、3/7までの装填計画が策定されているものとして、3/6の営業開始前の時点を基準として当該基準以降を対象期間とし、装填日として指定された3/8の装填量を算出する場合を例に説明する。
まず、装填量算出部182は、データd502の状態を基準として、データd504に示すように、装填日として設定された3/8の前日までの有高予測を算出する。具体的には、装填量算出部182は、3/5の有高の実績値「1925」と、3/6の装填額「1400」とを加算し、加算値から3/6の流出予測「1021」を減算することで、3/6の有高予測「2304」を算出する。
3/6の有高予測を算出すると、装填量算出部182は、算出された3/6の有高予測から、装填日の前日までの流出予測の累積値を減算することで、当該装填日の前日における有高予測を算出する。例えば、データd504では、装填量算出部182は、装填日である3/8の前日、即ち、3/7の有高予測として「1283」を算出している。
次に、装填量算出部182は、装填日よりも後の複数の候補日それぞれを時系列に沿って順次対象日とし、流出予測に基づき、少なくとも各対象日の前日における自動取引装置7の有高の予測値が下限値を下回らないように、装填日における装填量を算出する。なお、ここでは、下限値として「1200」が設定されているものとして説明する。
例えば、データd506に示すように、取得された候補日データに基づき、3/11が、3/8より後の直近の候補日として設定されていたとする。この場合には、装填量算出部182は、まず、3/11を対象日として、3/11の前日である3/10における有高の予測値が下限値「1200」を下回らないように、3/8の装填量を算出する。
具体的には、装填量算出部182は、装填日から対象日の前日までの流出予測の累積値と、下限値との加算値から、装填日の前日の有高予測を減算した値を算出し、算出した値以上の値となるように、装填日における装填量を算出する。例えば、3/11を対象日として3/8の装填量を算出する場合には、装填量算出部182は、3/8から3/10までの流出量の累積値「2046」と下限値「1200」との加算値から、3/7の有高予測「1283」を減算して「1963」を算出する。そして、装填量算出部182は、算出した「1963」以上となるように、装填量「2000」を算出する。なお、ここでは、取引媒体の装填量は100単位で行われるものとして、装填量算出部182は、「1963」以上の100の倍数である「2000」を装填量として算出している。
ここで、データd508を参照する。データd508は、3/8の装填量を「2000」に設定した場合における、3/8から3/10までの有高予測を示している。データd508に示すように、3/8の装填量と、3/7の有高予測と、3/8から3/10までの流出予測とに基づき、3/8から3/10までの有高予測を算出すると、算出された有高予測が下限値である「1200」を下回らないことがわかる。
設定した対象日に基づき装填量を算出すると、装填量算出部182は、装填日の前日の有高予測と、算出した装填量との加算値を、上限値と比較する。なお、ここでは、上限値として「7500」が設定されているものとして説明する。算出した加算値が上限値以下の場合には、装填量算出部182は、対象日より後の直近の候補日を新たな対象日として、当該新たな対象日に基づき、新たな装填量を算出する。
例えば、データd506に示す例では、3/7の有高予測「1283」と算出された3/8の装填量「2000」の加算値「3283」は、上限値「7500」以下である。そのため、装填量算出部182は、3/11よりも後の直近の候補日を新たな対象日として、当該新たな対象日に基づき、新たな装填量を算出することとなる。
ここで、図13を参照する。図13は、装填量の算出に係る動作の一例について説明するための図である。図13に示すデータd512は、図12に示すデータd506に示す状態から、3/11より後の直近の候補日である3/13を新たな対象日として、3/8における新たな装填量を算出した場合の例を示している。
具体的には、装填量算出部182は、3/8から3/12までの流出量の累積値「4118」と下限値「1200」との加算値から、3/7の有高予測「1283」を減算した「4035」以上の値として、装填量「4100」を算出する。
ここで、データd514を参照する。データd514は、3/8の装填量を「4100」に設定した場合における、3/8から3/12までの有高予測を示している。データd514に示すように、3/8の装填量と、3/7の有高予測と、3/8から3/12までの流出予測とに基づき、3/8から3/12までの有高予測を算出すると、当該有高予測が下限値である「1200」を下回らないことがわかる。
また、3/13を対象日とした場合の装填量の算出値「4100」と、3/7の有高予測「1283」との加算値「5383」は、上限値「7500」以下である。そのため、装填量算出部182は、3/13より後の直近の候補日である3/15を新たな対象日として、当該新たな対象日に基づき、新たな装填量を算出する。
例えば、データd516は、3/15を新たな対象日として、3/8における新たな装填量を算出した場合の例を示している。この場合には、装填量算出部182は、3/8から3/14までの流出量の累積値「4118」と下限値「1200」との加算値から、3/7の有高予測「1283」を減算した「6107」以上の値として、装填量「6200」を算出する。
なお、この場合には、装填量の算出値「6200」と、3/7の有高予測「1283」との加算値「7483」は、上限値「7500」以下となる。そのため、装填量算出部182は、3/13より後の直近の候補日である3/15を新たな対象日として、当該新たな対象日に基づき、新たな装填量を算出する。
なお、算出した装填量を装填した後の有高予測が上限値を上回った場合には、装填量算出部182は、当該装填量に対応する対象日の直前の候補日に基づき算出された装填量を、装填日における装填量として設定する。
ここで、データd518を参照する。データd518は、データd516に示す例よりも、3/9及び3/10の流出予測が多い場合の一例を示している。この場合には、装填量算出部182は、3/15を対象日とした3/8における装填量として、3/8から3/14までの流出量の累積値「6715」と下限値「1200」との加算値から、3/7の有高予測「1283」を減算した「6632」以上の値である「6700」を算出する。
ここで、3/8の装填量を「6700」に設定した場合には、3/7の有高予測「1283」との加算値「7983」は、上限値「7500」を上回る。そのため、装填量算出部182は、対象日である3/15の直前の候補日である3/13に基づき算出された装填量を、装填日における装填量とする。データd518に示す例では、装填量算出部182は、3/8から3/12までの流出量の累積値「4643」と下限値「1200」との加算値から、3/7の有高予測「1283」を減算した「4560」以上の値(例えば、「4600」)を、3/8の装填量として設定することとなる。
以上のようにして、装填量算出部182は、装填日における装填量を算出したら、装填量算出部182は、算出した装填量と、当該装填量に対応する対象日とを示す情報を、装填計画設定部184に通知する。
(ステップS110:装填の計画)
ここで、再度図4を参照する。装填計画設定部184は、装填量算出部182への装填日の出力に対する応答として、装填量算出部182から、当該装填日における装填量と、当該装填量に対応する対象日との通知を受ける。装填計画設定部184は、当該装填日に装填量算出部182から通知された装填量の装填を計画し、次回の装填を、装填量算出部182から通知された対象日よりも後の候補日に計画する。
即ち、装填量算出部182は、第1の候補日(例えば、データd518の3/11)と連続せず、かつ当該第1の候補日よりも後の第2の候補日(例えば、データd518の3/13)の前日における有高予測が下限値を下回らないように装填量を算出する。そして、装填量算出部182は、算出した装填量を装填後の装填日(例えば、データd518の3/8)における有高予測が上限値以下の場合には、当該装填量を、装填日における装填量とする。そして、装填計画設定部184は、第2の候補日に基づき算出された装填量の装填を装填日に計画し、第1の候補日での装填を避けて、次回の装填を第2の候補日以降に計画する。
次回の装填を計画したら、装填計画設定部184は、計画した次回の装填日を装填量算出部182に通知する。そして、装填量算出部182は、装填計画設定部184から通知された次回の装填日における装填量を算出する。以上のように、装填量算出部182と装填計画設定部184とは、互いに連携することで、装填日の決定、及び、当該装填日における装填量の算出に係る動作を、対象期間中における一連の装填計画が策定されるまで再帰的に実行する(ステップS112、NO)。
対象期間中における一連の装填計画の策定が完了したら(ステップS112、YES)、装填計画部18は、策定した装填計画を示す計画データを出力する。
なお、装填計画部18が策定した装填計画に基づき自動取引装置7への装填を行ったとしても、当該自動取引装置7の取引媒体の流出量の実績値が流出予測通りになるとは限らず、自動取引装置7の有高実績も有高予測通りに推移するとは限らない。そのため、装填計画部18は、策定した装填計画と、自動取引装置7の有高実績とを所定のタイミングごとに比較することで有高実績の推移を監視し、監視結果に基づき、装填計画の見直しを行ってもよい。
例えば、装填計画部18は、設定した各候補日の直前(例えば、2営業日前等)のタイミングで、自動取引装置7の有高実績と、当該候補日の前日までの流出予測とに基づき当該候補日の前日における有高予測が下限値を下回ることを予測したとする。この場合には、装填計画部18は、当該候補日において自動取引装置7への取引媒体の装填が計画されていない場合においても、当該候補日における取引媒体の装填を新たに計画してもよい。
また、装填計画部18が、有高実績の推移を監視するタイミングは、各候補日の直前に限定されない。例えば、装填計画部18は、候補日の有無に関わらず、所定のタイミングごと(例えば、毎日または2日おき等)で、有高実績の推移を監視し、監視結果に基づき、装填計画の見直しを行ってもよい。この場合には、装填計画部18は、候補日か否かに関わらず、有高予測が下限値を下回ることが予測された場合には、有高予測が下限値を下回る当日、またはその前日に、取引媒体の装填を新たに計画してもよい。
このように、装填計画部18は、装填計画に基づきあらかじめ決められた装填日とは異なる日において、有高予測が下限値を下回ることを予測した場合には、装填日とは別に追加で取引媒体の装填を行ってもよい(即ち、追加装填)。
同様にして、装填計画部18は、有高実績の推移を日よりも短い単位(例えば、時または分単位)で監視し、有高実績が下限値を下回った場合には、当日における取引媒体の装填を新たに計画してもよい(即ち、臨時装填)。
もちろん、装填計画部18は、有高実績と流出予測とに基づく有高予測が、次回の装填日の前日まで下限値を下回らないことが予測された場合には、次回の装填日までに到来する他の候補日における取引媒体の装填は、当初の装填計画通りに行わなくてもよい(スキップしてもよい)。
なお、装填計画部18は、取引媒体の装填を新たに計画する場合には、装填計画の策定時の流出予測に基づき装填量を算出してもよい。また、装填計画部18は、直近の有高実績に基づき流出予測を流出予測部12に再度実行させ、その結果に基づいて装填量を算出してもよい。
また、装填計画部18は、新たに装填が計画された日よりも後の他の装填日における装填量を改めて算出し直してもよいし、装填日を改めて設定し直してもよい。
即ち、装填計画部18は、新たに装填が計画された日を装填日として、当該装填日と連続せず、かつ当該装填日よりも後の候補日を第1の候補日とする。そして、装填計画部18は、当該第1の候補日の前日における有高予測が下限値と下回らないように装填量を算出し、当該装填日に算出した装填量の装填を計画する。また、装填計画部18は、当該第1の候補日と連続せず、かつ当該第1の候補日よりも後の候補日を第2の候補日とする。そして、装填計画部18は、第2の候補日の前日における有高予測が下限値を下回らないように装填量を算出し、算出した装填量を装填後の装填日における有高予測が上限値以下の場合には、装填日に当該装填量の装填を計画する。なお、この場合には、装填計画部18は、第1の候補日での装填を避けて、次回の装填を前記第2の候補日以降に計画する。
このように、装填計画部18は、取引媒体の装填が新たに計画されることで有高実績が当初の予定から変動した場合においても、改めて装填計画を策定し直すことにより、当該装填以降も自動取引装置7の有高が下限値を下回らないように維持することが可能となる。
また、流出量の実績値が流出予測より下回り、装填が計画されている装填日の前日における有高予測が下限値を下回らない場合もある。このような場合には、装填計画部18は、装填計画の策定時に計画されていた装填日における装填を行わず、当該装填日より後に取引媒体の装填を行ってもよい。
具体的な一例として、装填計画部18は、一の装填日の直前(例えば、2営業日前等)のタイミングで、当該一の装填日の前日における有高予測が下限値を下回らないことを予測したとする。このときに、装填計画部18は、自動取引装置7の有高実績と、流出予測とに基づき、当該一の装填日の次に到来する装填日(次回の装填日)の前日における有高予測を算出し、当該有高予測が下限値を下回らない場合には、一の装填日における装填を行わなくてもよい(スキップしてもよい)。
また、装填計画部18は、装填が計画されている一の装填日において取引媒体の装填を行わなかった場合には、当該一の装填日よりも後の他の装填日における装填量を改めて算出し直してもよい。
なお、装填計画部18は、有高予測の算出に用いる流出予測として、装填計画の策定時の流出予測を用いてもよいし、直近の有高実績に基づき流出予測を流出予測部12に再度実行させ、その結果を用いてもよいことは言うまでもない。
また、他の一例として、装填計画部18は、装填が計画されている一の装填日において取引媒体の装填を行わなかった場合には、装填計画を改めて策定し直してもよい。例えば、装填計画部18は、一の装填日において取引媒体の装填を行わないことで、次に到来する装填日の前日よりも前に、有高予測が下限値を下回ることが予測された場合には、次回の装填を前倒しにするように装填計画を策定し直してもよい。
なお、上述した一連の動作は、装填計画策定システム1の各構成を動作させる装置のCPUを機能させるためのプログラムによって構成することができる。このプログラムは、その装置にインストールされたOS(Operating System)を介して実行されるように構成してもよい。また、このプログラムは、上述した処理を実行する構成が含まれる装置が読み出し可能であれば、記憶される位置は限定されない。例えば、装置の外部から接続される記録媒体にプログラムが格納されていてもよい。この場合には、プログラムが格納された記録媒体を装置に接続することによって、その装置のCPUに当該プログラムを実行させるように構成するとよい。
また、上記に示す例では、自動取引装置7からの取引媒体の流出に着目して装填計画を策定する例について説明したが、装填計画策定システム1は、自動取引装置7への取引媒体の流入をあわせて考慮してもよい。即ち、装填計画策定システム1は、自動取引装置7に収容された取引媒体の変化量(流出量及び流入量に基づく変化量)を考慮して装填計画を策定することも可能である。この場合には、実績データに、自動取引装置7への取引媒体の流入実績を示すデータを含めればよい。また、流出予測部12は、実績データ中の流出実績と流入実績とに基づき、対象期間中の各日における流出量を予測すればよい。なお、流入量が流出量を上回る場合には、流出予測部12は、流出量の予測値を負の値として算出すればよい。また、取引媒体の流出量に加えて流入量を考慮する場合には、装填計画策定システム1は、装填量に加えて回収量を算出するようにしてもよい。なお、この場合には、装填計画策定システム1は、装填量とは別に回収量を算出することで回収計画を策定してもよいし、装填量が負の値を示す場合に回収を行うものとみなしても計画を策定してもよい。
また、流入量を考慮した場合には、自動取引装置7の収容量は、流出量と流入量との差に基づき日々増減する。そのため、対象日の前日に有高が下限値を下回らない場合においても、装填日から対象日までの期間中のいずれかの日において、一時的に有高が下限値を下回る場合もある。そのため、装填計画策定システム1は、装填日から対象日の前日までの期間における各日までの流出予測の累積値のうち、最大となる累積値に基づき装填量を算出してもよい。このような構成により装填量を算出することで、装填日から対象日の前日までの期間において自動取引装置7の収容量が増減する場合においても、当該期間中に収容量が下限値を下回る事態を防止することが可能となる。
同様に、流入量を考慮した場合には、装填日から対象日までの期間中のいずれかの日において、一時的に有高が上限値を上回る場合もある。そのため、装填計画策定システム1は、装填日から対象日の前日までの期間における各日までの流出予測の累積値のうち、最小となる累積値に基づき装填量を算出してもよい。即ち、装填計画策定システム1は、当該最小となる累積値に基づき算出される有高予測が、上限値を上回らない範囲で、対象日及び当該対象日に基づく装填量を算出すればよい。このような構成により対象日を決定し装填量を算出することで、装填日から対象日の前日までの期間において自動取引装置7の収容量が増減する場合においても、当該期間中に収容量が上限値を上回る事態を防止することが可能となる。
また、算出した装填量を装填した後の有高予測が上限値を上回らない範囲であれば、装填計画策定システム1は、各候補日に基づき算出された装填量のうちのいずれを、装填日における装填量としてもよい。例えば、図13のデータd518に示す例の場合には、3/11及び3/13それぞれを対象日とした場合の装填量を装填後の有高予測は、いずれも上限値を上回らない。そのため、装填計画策定システム1は、装填日である3/8の装填量として、3/11を対象日とした算出した装填量を設定してもよいし、3/13を対象日とした算出した装填量を設定してもよい。
また、装填計画策定システム1は、計画された装填日間の間隔(即ち、装填間隔)が所定の期間を上回らないように、装填日における装填量の算出と、次回の装填の計画(即ち、当該装填日より後の他の装填日の設定)を行うようにしてもよい。具体的な一例として、装填計画策定システム1は、自動取引装置7に対して取引媒体の装填が、少なくとも月に1回は行わるように、装填計画を策定するようにしてもよい。
また、装填計画策定システム1は、有高予測に対する誤差を算出し、装填量に当該誤差分を上乗せしてもよい。例えば、装填計画策定システム1は、過去の実績データ(例えば、過去の流出実績)にばらつきがある場合には、当該ばらつきにより有高予測の変化幅を算出し、算出された当該変化幅分を許容できるように装填量を上乗せしてもよい。また、装填計画策定システム1は、上乗せする取引媒体の量を、あらかじめ決めておいてもよい。例えば、装填計画策定システム1は、装填量に対して所定の割合分を上乗せしてもよい。具体的な一例として、装填計画策定システム1は、装填量の10%分を上乗せしてもよい。また、他の一例として、装填計画策定システム1は、あらかじめ決められた量の取引媒体を上乗せしてもよい。具体的な一例として、装填計画策定システム1は、装填量を上乗せする場合には、あらかじめ決められた「300」分の取引媒体を上乗せしてもよい。
また、装填計画策定システム1は、算出した装填量に対して誤差分の算出及び上乗せを行うか否かを、あらかじめ決められた条件に基づき決定してもよい。具体的な一例として、装填計画策定システム1は、追加装填や臨時装填を行うことで改めて装填量を算出する必要がある場合に、算出した装填量に対して、直近の有高の推移に基づき誤差分を算出し、当該誤差分を当該装填量に上乗せしてもよい。
<3.まとめ>
以上説明したように、本実施形態に係る装填計画策定システム1は、装填日よりも後の複数の候補日それぞれを時系列に沿って順次対象日とし、流出予測に基づき、少なくとも各対象日の前日における自動取引装置7の有高が下限値を下回らないように、装填日における装填量を算出する。そして、装填計画策定システム1は、算出した装填量を装填後の有高の予測値が上限値を上回った場合には、当該装填量に対応する対象日の直前の候補日に基づき算出された装填量の装填を、当該装填日に計画する。このような構成により、装填計画策定システム1は、図2に示すように、有高の変化が日によって異なる場合においても、当該変化に追随して当該有高が所定量以上に維持されるように装填量を算出することが可能となる。
また、本実施形態に係る装填計画策定システム1は、装填量の算出結果に基づき、次回の装填を、装填後の有高の予測値が上限値を上回った直前の候補日よりも後の候補日に設定することが可能である。そのため、装填計画策定システム1が作成した計画データに基づき取引媒体の装填を行うことで、図2に示すように、一部の候補日における装填を行う必要がなくなるため、対象期間中の装填日を少なく抑え、資金装填の効率性を向上させることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。