JP6302668B2 - 複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、金属体の中空部に樹脂発泡小片と熱硬化性樹脂硬化物とからなる樹脂製成形体が充填されている複合体に関するものである。
クルマを始めとして鉄道、船舶、飛行機など様々な移動媒体の材料、建築物などの構造材料等として信頼性が高いのは金属系材料である。具体的には、鋼管、棒鋼、高張力鋼板など鋼材が挙げられるが、本質的な軽量化を達するには、更に軽量で比強度の高い材料開発が必要とされている。
特許文献1には、中空を有する構造体の内部に、構造体を補強するための発泡補強材が充填された中空充填補強構造体において、発泡補強材として、ポリウレタン系硬質材料、ポリスチレン系硬質材料、エポキシ樹脂系硬質材料、または、フェノール樹脂系硬質材料が挙げられている。
また、特許文献2には、高軸力や曲げモーメントに対する座屈強度を高め、経済性に優れた薄板鋼部材として、角形の閉断面形態からなる薄板鋼材の内側にプラスチックフォームを充填硬化してなることを特徴とする高耐力薄板鋼部材が提案されている。
特開2002−36413号公報 特開2001−262776号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発泡補強材が充填された中空充填補強構造体は、発泡補強材が、ポリウレタン系硬質材料、ポリスチレン系硬質材料、エポキシ樹脂系硬質材料、または、フェノール樹脂系硬質材料であり、発泡条件によって、気泡の大きさや、気泡の分布等に変動が生じることから、曲げ強度などの物性や、その再現性、信頼性に課題を残すものであった。
また、特許文献2に記載の薄板鋼材の内側にプラスチックフォームを充填硬化してなる高耐力薄板鋼部材においても、より高い物性が求められる場合には、薄板鋼材の内側に充填するプラスチックフォームにおいて、特許文献1同様の危惧がある。
本発明は、上記の問題点に鑑み、中空部を有する金属体と複合して、軽量にして高い曲げ強度を有する複合体を提供することを目的とするものである。
本発明者は、鋭意研究の結果、中空部を有する金属体の該中空部に樹脂製成形体が充填されている複合体とすることによって、前記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に記載の〔1〕〜〔8〕を提供する。
〔1〕中空部を有する金属体の該中空部に樹脂製成形体が充填されている複合体であって、該成形体は、複数の樹脂発泡小片と熱硬化性樹脂硬化物とから構成されるとともに、
該樹脂発泡小片間に該熱硬化性樹脂硬化物が形成されており、
該成形体の密度が100〜600g/Lであることを特徴とする複合体。
〔2〕前記熱硬化性樹脂硬化物は、網目構造を形成している前記〔1〕に記載の複合体。
〔3〕前記成形体の外形表面が熱硬化性樹脂硬化物からなる硬化物層から形成されており、該硬化物層が前記金属体の内面と密着している前記〔1〕または〔2〕に記載の複合体。
〔4〕前記成形体の前記熱硬化性樹脂硬化物の体積分率が3〜55体積%である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の複合体。
〔5〕前記熱硬化性樹脂硬化物が、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、およびポリイミド系樹脂から選ばれる少なくとも一種である前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の複合体。
〔6〕前記樹脂発泡小片を構成する基材樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリ塩化ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも一種である前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の複合体。
〔7〕前記複合体の比重が1以下である前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の複合体。
〔8〕前記金属体の形状が筒状であることを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕に記載の複合体。
本発明によれば、金属体と、複数の樹脂発泡小片と熱硬化性樹脂硬化物とから構成される樹脂製成形体とが、特定の構造により複合一体化している複合体である(以下、「複合体」ということがある)ので、金属体に比べて曲げ強度などの機械的強度を向上させることができる。また、同じ機械的強度で比較した場合には、材料の軽量化が可能となる。
本発明の複合体の構成を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施例に用いられた金属体の(A)丸型断面、(B)角型断面の模式的説明図である。 本発明の複合体の製造方法の一例の概略的説明図である。 本発明の複合体の三点曲げにおける荷重−ひずみ曲線である。
本発明の複合体は、中空部を有する金属体の該中空部に樹脂製成形体が充填されている複合体であって、該成形体は、複数の樹脂発泡小片と熱硬化性樹脂硬化物とからなるとともに、該樹脂発泡小片間に熱硬化性樹脂硬化物が形成されており、該成形体の密度が100〜600g/Lであることを特徴とする。
本発明の複合体に用いられる金属体は、鉄、アルミニウム、銅等、一般的に多用されている金属材料で、丸型、角型等の管(パイプ)状や、チャンネル状またはコ字状、L字状等の断面を有する、中空部を形成できるものであれば特にその種類を問わない。また、これらの金属体を組み合わせて中空部を形成させることができる。さらにこれらの合金も含めて、使用目的に応じた特性を有する材質のものが選択される。
例えば、鉄においては、一般鋼材、ステンレス材など、強度の面から高張力鋼等が用途に応じて選択される。また、アルミニウムにおいても、耐食性を有する各種アルミニウム合金から目的、用途に応じて選択して使用できる。銅においても同様に、強度、導電性、熱伝導性等の特性を、目的、用途に応じて選択して使用できる。
本発明の複合体において、金属体の中空部に充填されている樹脂製成形体は、複数の樹脂発泡小片と熱硬化性樹脂硬化物とから構成される。さらに、該熱硬化性樹脂硬化物は、該樹脂発泡小片間に未硬化状熱硬化性樹脂(以下、「熱硬化性樹脂液体原料」ということがある。)が含浸された後に硬化されたものであることが好ましい。
前記樹脂製成形体は、予め、樹脂発泡小片を相互に融着させて、金属体の中空部に挿通可能な寸法形状に成形した樹脂発泡小片成形体とし、樹脂発泡小片からなる成形体を金属体の中空部に挿入し、しかる後、熱硬化性樹脂液体原料を、樹脂発泡小片間に含浸、硬化させて、樹脂製成形体とすることができる。なお、複数の樹脂発泡小片が融着している樹脂発泡小片成形体を用いる場合には、それらの樹脂発泡小片同士の間隙部分に熱硬化性樹脂硬化物が存在している。
また、樹脂発泡小片成形体とすることなく、複数の樹脂発泡小片を直接金属体の中空部に充填した後、熱硬化性樹脂液体原料を個々の樹脂発泡小片間に含浸し、硬化させることによって、金属体の中空部に樹脂製成形体を形成させてもよい。なお、複数の樹脂発泡小片が融着していない場合には、樹脂発泡小片間とは、熱硬化性樹脂硬化物を介して樹脂発泡小片が存在している。
該樹脂製成形体が複数の樹脂発泡小片と熱硬化性樹脂硬化物とからなり、樹脂発泡小片間に熱硬化性樹脂硬化物が形成されて、熱硬化性樹脂硬化物からなる網目構造が形成されることにより、複合体の強度を向上させることができる。すなわち、熱硬化性樹脂硬化物からなる網目構造が存在することにより、複合体の強度が飛躍的に向上する。なお、熱硬化性樹脂硬化物からなる網目構造が均一に形成される観点からは、予め、樹脂発泡小片からなる成形体を金属体の中空部に挿入し、しかる後、熱硬化性樹脂液体原料を樹脂発泡小片間に含浸、硬化させて、樹脂製成形体とすることが好ましい。上記の網目構造は、通常の発泡剤を用いて形成される発泡体の気泡構造としては形成されず、より機械的強度が向上された樹脂製成形体が形成されることから好ましい構造である。なお、熱硬化性樹脂硬化物は、樹脂発泡小片間だけでなく、樹脂発泡小片内に形成されていても良い。樹脂発泡小片内に熱硬化性樹脂硬化物が形成されるものとしては、例えば、樹脂発泡小片が貫通孔を有する筒型形状の樹脂発泡小片である場合などが挙げられる。
本発明の複合体では、金属体の中空部に充填されている樹脂製成形体の、熱硬化性樹脂硬化物の体積分率が3〜55体積%であることが好ましい。該熱硬化性樹脂硬化物の体積分率が3体積%以上であれば、網目構造を構成する熱硬化性樹脂硬化物の強度が低下することがない。一方、該熱硬化性樹脂硬化物の体積分率が55体積%以下であれば、軽量性が低下することがない。上記観点から、熱硬化性樹脂硬化物の体積分率は、4〜40体積%であることがより好ましく、4.5〜30体積%であることがさらに好ましい。
該樹脂製成形体に対する熱硬化性樹脂硬化物の体積分率は、樹脂製成形体における、硬化物層を除く外形体積、から樹脂発泡小片の真の体積の総計を差し引いた体積を、該外形体積で除して算出される。
本発明の複合体は、充填される樹脂製成形体の密度が、100〜600g/Lであることを要し、110〜500g/Lであることがより好ましく、120〜400g/Lであることが特に好ましい。
密度が100g/L未満であると、樹脂製成形体の物性が複合体の強度物性に寄与する効果が低く、密度が600g/Lを超えると複合体の軽量化に寄与しないおそれがある。
本発明の複合体において、樹脂製成形体に用いられる樹脂発泡小片を構成する基材樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましく、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリブチレンサクシネート,ポリエチレンテレフタレート,及びポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、などを挙げることができる。
これらの中で、樹脂発泡小片の基材樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリ塩化ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも一種をより好ましく用いることができる。さらに好ましい基材樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ乳酸が挙げられる。
前記樹脂発泡小片は、その形状が熱硬化性樹脂硬化物による網目構造(以下、「熱硬化性樹脂複合成形体の網目構造」という場合がある。)を決定することになるため、該樹脂発泡小片の長手方向の寸法と短手方向の寸法の比(長手方向の寸法/短手方向の寸法、以下、「アスペクト比」という場合がある。)が1〜2であることが好ましい。上記範囲内であれば、樹脂発泡小片間に形成される空隙が樹脂発泡小片成形体中に均一に形成されやすくなり、この空隙に熱硬化性樹脂原料液体が充填されて、より均一で強固な熱硬化性樹脂硬化物の網目構造が形成される。
また、該樹脂発泡小片の形状としては、発泡粒子、発泡ストランド、発泡成形体及び押出発泡体の粉砕物等が挙げられるが、その中でも、発泡粒子が好ましい。さらに、該発泡粒子としては、発泡粒子内に貫通孔からなる空隙を有する、特開平08−108441号公報等に記載の、筒状形状の発泡粒子を使用することもできる。なお、筒型形状の発泡粒子を用いた場合には、筒孔の貫通孔部分も、空隙が存在することから、熱硬化性樹脂液体原料が含浸されて固化し、さらに熱硬化性樹脂硬化物の網目構造が形成されやすくなり、強度等の諸物性が向上することから好ましい。
また、樹脂発泡小片の粒子径は、1〜5mmが好ましく、2〜4mmがさらに好ましい。上記範囲内であれば、樹脂製複合体の強度の向上に好適なものとなる。なお、樹脂発泡小片の粒子径が小さい場合には、一対の樹脂発泡小片間に形成される空隙の体積(開口面)が小さくなる傾向にあることから、発泡小片成形体全体の空隙率を大きくして熱硬化性樹脂液体原料を含浸させ易くすることが好ましい。なお、樹脂発泡小片の粒子径は、少なくとも100個以上の樹脂発泡小片の最大外形寸法として測定される値の平均値である。上記のような樹脂発泡小片を用いることにより、樹脂製成形体の網目構造における網目径は1〜5mmとなる。さらに好ましい網目径は2〜4mmである。
さらに、本発明の複合体に用いられる樹脂発泡小片は、通常、使用する液体状熱硬化性樹脂原料に不溶性であるものが用いられるが、特に、特開2004−068016号公報に記載されているような、鞘芯構造の発泡粒子を用いることが好ましい。前記鞘芯構造の発泡粒子を用い、鞘層を形成する基材樹脂を熱硬化性樹脂原料との親和性が高いものを選択することにより、より強固な複合体を形成することができる。
前記鞘芯構造の発泡粒子としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子が挙げられ、芯層に結晶構造を有するポリ乳酸樹脂、鞘層に結晶化しない非晶性ポリ乳酸樹脂を用いることが好ましい。該非晶性ポリ乳酸樹脂は熱硬化性樹脂に溶解または膨潤しやすい特性を有することから、熱硬化性樹脂液体原料との親和性が高くなる。従って、本発明の複合体の製造に用いた場合には、金属体内で発泡粒子と熱硬化性樹脂液体原料が接触した際に、鞘層を流路として熱硬化性樹脂液体原料が発泡粒子間の空隙に導入されやすくなり、熱硬化性樹脂硬化物の三次元網目構造がより形成されやすくなる。また、樹脂製成形体として構成される熱硬化性樹脂硬化物の体積は、樹脂発泡小片間の空隙から求められる理論体積よりも、鞘層の分だけ大きくなる傾向にある。
一方、該結晶構造を有するポリ乳酸系樹脂は、熱硬化性樹脂液体原料に対して溶解や膨潤され難く、発泡粒子の形状が維持される易くなる。
上記のようなポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、例えば、特開2012−025869号公報に記載の方法により調製することができる。
本発明の複合体の製造に用いられる樹脂発泡小片の嵩密度は、15g/L〜250g/Lであることが好ましく、18〜100g/Lであることがより好ましく、20〜80g/Lであることがさらに好ましい。上記範囲内であれば、軽量化効果が高い上に、より強度に優れる熱硬化性樹脂硬化物の網目構造が形成され易くなることから、複合体に好適である。
前記樹脂発泡小片としては、例えば、市販の発泡粒子、株式会社ジェイエスピーのポリプロピレン系樹脂発泡体である商品名「ピーブロック(登録商標)」の内、嵩密度が15〜90g/Lのものや、同社のポリエチレン系樹脂発泡体である商品名「エルブロック(登録商標)」の内、嵩密度が15〜80g/Lのもの、株式会社ジェイエスピーの発泡性ポリスチレン樹脂粒子、商品名「スチロダイヤ (登録商標)」を予備発泡機で所定の嵩密度に発泡させたポリスチレン樹脂発泡粒子、ポリ乳酸系の樹脂発泡体である商品名「LACTIF(登録商標)」のうち、嵩密度が15〜200g/Lである発泡粒子などが例示される。また、特公昭53−1313号公報、WO2012/086305号公報、特開2012−025869号公報などを参照して、発泡粒子を得ることもできる。
本発明の複合体を構成する樹脂製成形体の熱硬化性樹脂硬化物は、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、およびポリイミド系樹脂から選ばれる少なくとも一種とすることができる。
さらに、これらのなかでも、取り扱い性の観点から、エポキシ樹脂が好適に用いられる。
前記エポキシ樹脂としては、1分子に2個以上のエポキシ基を含有するものが好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD(アセトアルデヒド)型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。なお、前記熱硬化性樹脂は、架橋モノマー、硬化促進剤、添加剤等と混合した液体原料の状態で用いられる。
このような熱硬化性樹脂に対応して、熱硬化性樹脂原料と反応して硬化物を生成し得る硬化剤を添加することが好ましい。硬化剤としては、熱硬化性樹脂原料と反応して硬化物を生成し得るものであれば特に制限されるものではなく、例えばエポキシ樹脂の硬化剤としては、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等の酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール樹脂、無水フタル酸誘導体、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、アルミニウムキレート、BFのようなルイス酸のアミン錯体等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
硬化剤の添加量は、熱硬化性樹脂の種類、硬化剤の種類等によっても異なるものの、例えばエポキシ樹脂については、そのエポキシ当量によっても異なるものの、エポキシ樹脂原料100質量部に対して、通常2質量部以上150質量部以下添加することが好ましい。
熱硬化性樹脂液体原料の硬化方法に関しては、前述のように、特段に規定されるものではなく、更には1液性の硬化剤を用いても2液以上の複数液の混合物の硬化剤を用いてもよい。また、硬化手段としては、その目的とする硬化物が得られれば特段に規定されるものではなく、ラジカル反応、重縮合反応、メタセシス反応などの一般的な化学反応を伴う形態で硬化させることができる。
なお、前記熱硬化性樹脂硬化物は、その表面硬度がバーコル硬度で20以上であることが望ましい。なお、バーコル硬度は、JIS K7060(1995)に準拠して測定することができる。
硬化前の、熱硬化性樹脂液体原料の見かけ粘度は、100〜10000mPa・sであることが好ましい。上記範囲内であれば、樹脂発泡小片間の空隙に、液体原料を均一に且つ容易に含浸させることができる。上記観点から、200〜8000mPa・sであることがより好ましい。なお、本明細書において粘度は、JIS K6901(2008)のブルックフィールド型粘度計法に基づいて測定された値である。
なお、粘度を調整するために揺変性付与剤等の粘度を高くするもの及び粘度低下剤等の粘度を低くするものを必要に応じて添加することができる。この場合、粘度調整後の液体樹脂原料の粘度を測定する。
前記熱硬化性樹脂液体原料には、物性向上のための添加剤を配合することができる。なお、無機系添加剤としては、顔料系無機物、ガラス繊維、ガラス粉、タルク、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどの無機物が挙げられる。一方、有機系添加剤としては、フェノール系酸化防止剤、HALS、有機系顔料などが一般的に用いられる。有機系添加剤の添加量は、硬化物に影響がない範囲で添加することができる。前記添加剤の添加量は、熱硬化性樹脂液体原料100質量部に対して10質量部以下とすることが好ましい。なお、添加剤を添加した場合には、添加剤を含んだ状態で粘度測定を行う。
また、前記熱硬化性樹脂液体原料は溶剤を含まない組成であることが望ましい。溶剤は熱硬化性樹脂硬化物の網目構造壁中に気泡を生じさせる原因となる虞があるからである。
前記熱硬化性樹脂硬化物は、樹脂発泡小片間の空隙に充填された未硬化状熱硬化性樹脂が硬化されることにより形成された網目構造を呈し、樹脂発泡小片の粒径に由来する、該網目径である平均目開き径を1〜5mmとすることが好ましい。本発明において、熱硬化性樹脂硬化物により形成される網目径とは、樹脂製成形体において、任意の断面における、熱硬化性樹脂硬化物部分の網目構造における、個々の網目における目開きの寸法のことをいう。なお、該網目径は、樹脂発泡小片の大きさと相関するものである。また、該樹脂発泡小片を熱分解(消失)温度以上で焼成処理した場合においては、樹脂発泡小片が消失し、熱硬化性樹脂硬化物の気泡構造の平均気泡径として観察されるので、該網目径は熱硬化性樹脂硬化物の擬似気泡径ということもできる。
さらに、本発明の複合体においては、樹脂製成形体を構成する樹脂発泡小片として、隣接する複数の樹脂発泡小片が相互に融着している樹脂発泡小片成形体を用いることが、より均一性の高い網目構造を形成する観点から好ましい。
なお、該樹脂発泡小片成形体が用いられる場合には、該樹脂発泡小片成形体の空隙率は3〜55%が好ましく、4〜30%がさらに好ましい。なお、樹脂発泡小片成形体を構成する樹脂発泡小片間には空隙が多く形成されており、該空隙に熱硬化性樹脂液体原料が含浸される。該樹脂発泡小片成形体の空隙率は、樹脂発泡小片の形状や粒子径によって制御することができる。
また、本発明の複合体において、樹脂製成形体の外表面部分は、熱硬化性樹脂硬化物からなる硬化物層から形成されていると、樹脂製成形体が前記筒状金属体の内面と隙間なく密着(接着)され、複合体としてより高い物性を発現できる。また、上記の樹脂発泡小片成形体を用いることにより、金属体の中空部分の寸法と、中空部分に挿入する樹脂発泡小片成形体の寸法を調整することで、該硬化物層の厚みを変更することもできる。上記観点から、該硬化物層の厚みは、0.1〜3mmであることが好ましく、0.5〜2mmであることがより好ましい。
さらに、中空部を有する金属体の中空部の容積を大きくしたり、比重の小さい金属体を使用するなどして、複合体の比重を1以下とすれば、水中で浮力を与えることが可能となる軽量化材料を提供できる。
また、本発明の複合体を構成する金属体が筒状形状であることが、樹脂製成形体を充填した複合体を容易に製造できるという観点から好ましい。なお、本発明において筒状形状とは、外周が継ぎ目なく完全に閉鎖状に金属体で覆われたものを意味するものではなく、一部開口部を有していてもよい。例えば、チャンネル状(またはコ字状)の型材を2つ対向させて矩形状の筒状体とすることもできる。なお、金属体が開口部を有する場合には、樹脂製成形体を充填する工程においては、当該開口部を粘土やパテ等のシール材で塞ぐことによって、支障なく本発明の複合体を得ることができる。なお、複合体を形成後に、これらのシール材は除去される。
本発明の複合体の製造方法について説明する。
本発明の複合体の製造方法の第一の態様としては、中空部を有する金属体の内部空間に収納(挿通)可能な寸法を有する形状に賦形された、複数の樹脂発泡小片からなる樹脂発泡小片成形体を形成する工程、金属体の中空部に前記樹脂発泡小片成形体を配置する工程、熱硬化性樹脂液体原料を金属体の一端側から導入して、該液体原料を該樹脂発泡小片成形体の空隙部、及び金属体中空部内表面と前記樹脂発泡小片成形体との間隙に含浸させる工程、及び該液体原料を硬化させる工程、を含むことを特徴とする製造方法を挙げることができる。
また、本発明の複合体の製造方法の第二の態様としては、筒状金属体の内部空間に、複数の樹脂発泡小片を充填する工程、上記と同様に、該内部空間に熱硬化性樹脂液体原料を導入して、該液体原料を該樹脂発泡小片成形体の空隙部に含浸させる工程、及び
該液体原料を硬化させて樹脂製成形体とする工程、を含むことを特徴とする製造方法を挙げることができる。
本発明の複合体の製造方法の一例を、図3を参照して説明する。同図に示す製法は、架台B上に丸型パイプからなる金属体1の中空部に、樹脂発泡粒子2を予め円柱状に成形した樹脂発泡小片成形体2Aをパイプ内に挿通して、該パイプを傾斜させて配置し、金属体端部1b側に熱硬化性樹脂液体原料の供給装置4からチューブ5を介して、熱硬化性樹脂液体原料3’が供給される。一方、金属体端部1a側は減圧装置6にチューブ7で接続される。
なお、チューブ5及び7は、金属体1と接続するため、熱硬化性樹脂液体原料の供給装置側、及び減圧装置側を粘土Cによりシールされている。また、チューブには熱硬化性樹脂液体原料の供給装置側、及び減圧装置側と絶縁するためのバルブ(図示省略)を備えており、製造スタート前にパイプ内を減圧にするときや、熱硬化性樹脂液体原料の含浸完了後等に必要に応じてバルブの開閉操作が行われる。
また、熱硬化性樹脂液体原料3’は、熱硬化性樹脂と硬化剤等を別々に計量し、ミキシングしながら供給することが、樹脂組成物の効率的利用の観点(樹脂組成物の歩留)から好ましい。製造のスタート時には、熱硬化性樹脂液体原料の供給装置4側の図示省略の原料供給用バルブを閉じ、減圧吸引用のバルブを開いて、真空ポンプ等により内部空間4が減圧される。なお、少なくとも、熱硬化性樹脂液体原料の導入時には、減圧度が金属体1の中空部内の内部空間で均一となっていることが好ましい。すなわち、金属体の一端を減圧ラインに接続し、金属体の他端を供給ラインに接続した後に、内部空間を減圧し、減圧された該内部空間に熱硬化性樹脂液体原料を導入することが好ましい。予め減圧状態として、密閉された内部空間が均一の減圧度となることにより、熱硬化性樹脂液体原料の含浸がさらに均一となり、良好な複合体が得られる。上記観点から、減圧は−0.01〜−0.1MPa(G)の範囲とすることが好ましく、−0.02〜−0.08MPa(G)の範囲とすることがさらに好ましい。なお、(G)はゲージ圧を意味する。但し、内部空間内を減圧にする場合は、硬化前の熱硬化性樹脂の沸点が下がるため、沸騰現象による気泡の混入が生じる虞があることから、これらを考慮した上記範囲の減圧環境とする必要がある。
さらに、熱硬化性樹脂液体原料の導入は準静的に行われることが好ましい。導入における、準静的な状態とは、レイノルズ数で定義される層流の状態が好ましく、乱流の状態は好ましくない。層流状態での導入により、気泡を巻き込むなどの防止に役立つのみならず、網目構造の欠損を防止することが可能になることから、導入中での層流状態の維持が好ましい。
なお、熱硬化性樹脂原料を導入する工程の際には、導入口で樹脂に圧力をかける方法を併用してもよい。樹脂の加圧は、ピストンプランジャーなどによる機械的な圧縮が一般的に採用されるが、タンクを気体などで加圧する方法であっても構わない。しかしながら、空気または水蒸気成分との接触により、熱硬化性樹脂の変性若しくは失活などの虞がある場合は、プランジャーを用いた導入を採用するのが好ましい。導入する際に加圧する圧力としては、0.5MPa(G)以下とすることが好ましい。
充填された樹脂発泡小片間には、熱硬化性樹脂液体原料が含浸可能な空隙部を備えており、空隙部が三次元網目状に形成されている。また、樹脂発泡小片成形体2Aを用いた場合にも樹脂発泡小片間に空隙部が存在し、樹脂発泡小片成形体2A中に空隙部が連通して網目状に形成されている。当該空隙部に熱硬化性樹脂液体原料が含浸され、硬化することにより、熱硬化性樹脂硬化物の三次元網目構造が形成され、複合体の強度が飛躍的に向上する。
なお、熱硬化性樹脂硬化物の網目構造の形成には、金属体中空部の減圧状態、熱硬化性樹脂液体原料の粘度、導入圧力、含浸速度や硬化速度が関連し、熱硬化性樹脂液体原料が硬化する前に該液体原料が空隙部分に含浸されることが好ましい。
なお、前記空隙部に熱硬化性樹脂液体原料が含浸される工程においては、密閉された内部空間の圧力が均一であることが好ましい。さらに、前記空隙部に熱硬化性樹脂液体原料が含浸されると共に、該液体原料が該樹脂発泡小片成形体の周囲を覆う状態とすることが好ましい。この様な状態が形成されるのは、金属体の中空部と樹脂発泡小片成形体との間に間隙を残して配置することにより、中空部の樹脂発泡小片成形体の周囲全体に熱硬化性樹脂液体原料が回り込み、熱硬化性樹脂硬化物層が金属体の中空部内周と樹脂発泡小片成形体との間に形成され易くしているためである。
また、本発明に用いられる金属体は、予め、その内面が脱脂処理されていることが好ましい。脱脂処理を行うことにより、さらに、金属体の内面と熱硬化性樹脂硬化物との接着性が向上する。脱脂処理は、例えば、金属体をトルエンに浸漬するように配置した超音波洗浄機を用い、内壁面を洗浄することにより行うことができる。
得ようとする複合体の用途などの目的によっては、特に制限されるものではないが、樹脂発泡小片成形体または樹脂発泡小片と熱硬化性樹脂硬化物は強固に接着していることが好ましい。上記観点からは、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合には、樹脂発泡小片の基材樹脂としてはポリ乳酸樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
また、本発明の複合体は、複合体を加熱し、樹脂製成形体を構成する樹脂発泡小片成形体または樹脂発泡小片を溶融分解、溶解、または減容することによって、外観上は熱硬化性樹脂硬化物による網目構造のみが残存した形態の成形品を提供することもできる。
この熱硬化性樹脂硬化物の網目構造のみが残存した形態の成形品は、本発明の複合体を、熱硬化性樹脂硬化物の分解温度以下であり、且つ樹脂発泡小片成形体の溶融分解温度、或いは減容温度以上に加熱処理することによって、樹脂発泡小片成形体を揮散或いは減容させて、樹脂発泡小片成形体が占有していた部分を空洞状とすることによって達成される。かかる溶融分解操作或いは減容操作は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが、網目構造を形成している熱硬化性樹脂硬化物の酸化劣化等を防止する観点から望ましい。
なお、この網目構造の複合体を得るには、耐熱性の高い熱硬化性樹脂を選択する必要がある。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、複合体、樹脂製成形体、樹脂発泡小片などの物性は、以下の方法により測定した。
(樹脂発泡小片の嵩密度)
樹脂発泡小片の嵩密度は、樹脂発泡小片を無作為に抜き出し、気温23℃、相対湿度50%の大気圧下において、容積1Lのメスシリンダーの中に、静電気を除去しつつ自然堆積状態となるように多数の発泡小片を1Lの目盛まで収容し、次に、収容された発泡小片の重量を測定することにより求めた。
(樹脂発泡小片の粒径)
樹脂発泡小片の粒径は、任意の樹脂発泡小片100個について各々の最大直径を測定し、算出した値の平均値を樹脂発泡小片の平均径として示した。
(樹脂製成形体の密度)
前記樹脂製成形体の密度は、樹脂製成形体の一部(硬化物層部分を含まない)を切り出し、切り出した試験片の重量を水没法にて求められる該試験片の体積で除して求めた。
(熱硬化性樹脂硬化物により形成される網目の目開き径)
網目径の測定方法は、以下のようにして行った。得られた複合体を厚み方向に2分割し、切断面の拡大写真を撮影した。この断面における、熱硬化性樹脂硬化物部分の網目構造における、個々の網目における目開きの最大寸法(網目を形成する熱硬化性樹脂硬化物間のすき間の最大寸法)を拡大写真から測定し、その最大値とした。
(熱硬化性樹脂硬化物の体積分率)
前記熱硬化性樹脂硬化物の体積分率は、樹脂製成形体の一部(硬化物層部分を含まない部分)を切り出した試験片において、硬化物層を除く試験片の外形体積、から樹脂発泡小片の真の体積の総計を差し引いた体積を、該外形体積で除して算出した。
(樹脂発泡小片成形体の空隙率)
樹脂発泡小片成形体の空隙率は、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上放置した樹脂発泡小片成形体から直方体サンプルを切り出し、該サンプルの外形寸法より嵩体積Va[cm3]を求める。次いで該サンプルを温度23℃のエタノールの入ったメスシリンダー中に金網などの道具を使用して沈め、軽い振動等を加えることにより予備成形体中の空隙に存在している空気を脱気する。そして、金網などの道具の体積を考慮して水位上昇分より読みとられる該サンプルの真の体積Vb[cm3]を測定する。求められたサンプルの嵩体積Va[cm3]と真の体積Vb[cm3]から、次式により空隙率Y[%]を求めた。
空隙率Y[%]=〔(Va−Vb)/Va〕×100・・・(1)
(3点曲げ試験)
バンドソーで、得られた複合体の両端部を略10mmずつ切除して380mm長とし、切削面で鋼管と熱硬化性樹脂製成形体が面一の同一面を形成した複合体を調整した後、重量及びサイズを測定し、JIS Z2248に基づき、3点曲げ試験を行った。曲げ試験条件は、下部治具間のスパンがL=100mm、下部治具のRはR=2mm、上部治具はR=5mmで、上部治具は、下部治具間の中心位置(L/2)に配置した。上部治具の下方移動速度が5mm/分で試験片を曲げる際に、移動距離とその際に発生する作用力をリアルタイムで計測した。測定結果を表1に示す。また、曲げ試験の応力−歪み曲線を図4に示す。
実施例1
(金属体の脱脂)
外径19.1mm、肉厚1mmの機械構造用炭素鋼管(STKM13A)の420mm長のものを用い、少なくとも鋼管の内壁面がトルエンに浸漬するように配置した超音波洗浄機を用い、内壁面を洗浄した。振動子の発振周波数は、27kHzであり、高周波出力が3.6kWの発振器を搭載した洗浄機を使用し室温下で60分間の洗浄処理を実施した。その後、大気中に取り出し、乾燥した後、複合体の成形に供した。
〔鋼管(パイプ)内面に挿入する樹脂発泡小片成形体(ロッド)の成形〕
密閉し開放し得る金型を用いて、ポリ乳酸発泡粒子をロッド状に成形した。用いたポリ乳酸発泡粒子は、鞘層がネイチャーワークス社製の非晶性ポリ乳酸、グレード名:「Ingeo4060D」の無発泡層であり、芯層が同社の結晶性ポリ乳酸、グレード名:「Ingeo2003D」からなる鞘芯型ポリ乳酸発泡粒子であり、鞘層と芯層の重量比率は5/95であり、該発泡粒子をDSCで測定した高温ピークは熱量5J/gであった。該発泡粒子を、16.5mmの直径を有する金型内で成形して、ロッド状の樹脂発泡小片成形体を得た。金型は、圧力容器構造を有する金型フレームに装着されており、加熱媒体としてスチームや熱風、冷却媒体として水やエアを任意に選択しながら、金型内面を含めたフレーム内部の流体媒体量を制御できる構造を有するものである。
金型内面に2mmのクラッキングを有した状態で発泡粒子を充填したのち、0.05MPa(G)の飽和蒸気で8秒間加熱した後30℃の水で10秒間冷却し、次いで60秒間−90kPa(G)以下の減圧環境を金型内部で維持し、大気圧に戻したのちに脱型し、40℃のオーブンで24時間乾燥したのち、70℃のオーブンでヒートセットして、成形品を得た。ポリ乳酸発泡粒子成形体の見かけ密度は42g/Lであり、空隙率は7%であり、円柱ロッドの形状は断面が16.2mmの直径を有していた。該発泡体を、長手方向に400mとして切断して複合体の成形用とした。
(複合体の製造)
内壁面を洗浄した鋼管(以下、「パイプ」という。)の開口部の両端に内径10mmのナイロンチューブを開口部の略中央に配置し、チューブ(ホース)が開口部の隙間を粘土で埋めた。パイプの両端にチューブが各1本ずつ接続された状態になっている片端を−40kPa(G)の減圧タンクの口に繋ぎ、パイプ内を略−40kPa(G)に維持できる状態を形成した。次いで、何も接続していないもう一端のチューブから後述する熱硬化性樹脂液体原料を吸引し、パイプの内部を充満し、減圧タンク側のチューブにオーバーフローした状態で、樹脂の注入を停止し、80度の温度下で3時間静置し、熱硬化性樹脂を硬化して、複合体を得た。
なお、熱硬化性樹脂液体原料は、予め調合しておいたエポキシ系熱硬化性樹脂液状原料を、導入口を開いてパイプ内へ導入した。エポキシ系樹脂は三菱化学(株)製jER807を100質量部と三菱化学(株)製TETA 11質量部とからなる熱硬化性樹脂液体原料を用いた。なお、この熱硬化性樹脂液体原料の粘度は、7000mPa・sであった。
実施例2
実施例1において、空間サイズで直径16mmの金型を用い、表に記載の樹脂発泡小片成形体を用いた以外は、実施例1と同じ工程で複合体を得た。
実施例3
金属体として外径直径25.4mm、肉厚が1.4mmのSTKM13Aパイプを用い、表に記載の樹脂発泡小片成形体を用いた以外は、実施例1と同じ工程で複合体を得た。
実施例4
耐食性アルミニウム5052Aからなる、長さ420mmのC型アルミ片を2本対向させることによって30×31mmの角型の金属体とし、該金属体を超音波洗浄せずに、複合体の成形に供した。
樹脂発泡小片成形品は、実施例1と同一の樹脂発泡小片から平板状に成形された空隙率5%の樹脂発泡小片成形品から、24.7×25.7×400mmの四角柱状に切り出したものを用いた。
複合体の成形は、2本のC型アルミ片を内壁面空間が略正方形を形成するように相対するように配置し、内壁面空間に空隙率5%の前記の切り出した四角柱状樹脂発泡小片成形品を挿入した。C型アルミ片の継ぎ目には、略1mmの隙間が形成されたため、この部分を粘土(シール材)で穴埋めした以外は、実施例1と同様にして、複合体を得た。
比較例1〜4
樹脂製成形体を複合することなく、実施例1〜3で用いた鋼管、肉厚の異なる鋼管、及び実施例4で用いたC型アルミからなる金属管体そのものの性状および三点曲げ試験結果を表1に示す。
表1の三点曲げの結果より肉厚1mmの鋼管と樹脂製成形体とからなる実施例1の複合体は、肉厚が1.2mmの鋼管(比較例2)と同じ最大荷重を示している。それにも関らず、実施例1の複合体の単位長さ当たりの重量は452g/mであり、比較例2に対して36g/mの軽量化が達成されることが確認された。
また、実施例1と実施例2の比較から、発泡小片成形体の外径のみを細くして、熱硬化性樹脂硬化物層の厚みを実施例1の0.45mmから実施例2では0.85mmとしたところ、実施例2の方が三点曲げの最大荷重、最大曲げ応力が共に向上することが確認された。
また、実施例3と比較例3の対比からも、複合体とした実施例3では、比較例3に対して、三点曲げの最大荷重及び最大応力が向上することが確認された。
また、C型アルミ片を用いた実施例4と比較例4の対比から、複合体とした実施例4では、比較例4に対して三点曲げの最大荷重及び最大応力が向上することが確認された。
さらに、実施例4のアルミによる複合体では、密度が732g/Lであることから、水の比重1より小さく、水に浮く複合体であった。
また、図4の三点曲げの荷重―歪み曲線より、実施例1の複合体は、降伏点で最大荷重を示した後、荷重が漸減するので、荷重×歪みの面積で表わされる吸収エネルギーが大であることが確認された。
本発明によれば、金属体と、樹脂発泡小片と熱硬化性樹脂硬化物とからなる樹脂製成形体とが複合一体化しているので、金属体の重量を高めることなく所定の強度が得られるので、各種構造材の軽量化材として利用できる。
1. 金属体(パイプ)
1b 下端
1u 上端
2. 樹脂発泡小片
2A 樹脂発泡小片成形体
3. 熱硬化性樹脂硬化物
3’ 熱硬化性樹脂液体原料
4. 液体原料供給装置
5、7. チューブ(ホース)
10. 複合体
C. 粘土

Claims (8)

  1. 中空部を有する金属体の該中空部に樹脂製成形体が充填されている複合体であって、
    該成形体は、複数の樹脂発泡小片と熱硬化性樹脂硬化物とから構成されるとともに、
    前記熱硬化性樹脂硬化物は、粒子径が1〜5mmの樹脂発泡小片間の空隙に充填された未硬化状熱硬化性樹脂が硬化されてなり、
    前記熱硬化性樹脂硬化物は、網目構造を形成し、その網目径が1〜5mmであり、
    該成形体の密度が100〜600g/Lであり、
    前記樹脂発泡小片の長手方向の寸法と短手方向の寸法の比(長手方向の寸法/短手方向の寸法)が1〜2である、
    ことを特徴とする複合体。
  2. 前記成形体の外形表面が熱硬化性樹脂硬化物からなる硬化物層から形成されており、該硬化物層が前記金属体の内面と密着している、請求項に記載の複合体。
  3. 前記成形体の前記熱硬化性樹脂硬化物の体積分率が3〜55体積%である請求項1又は2に記載の複合体。
  4. 前記熱硬化性樹脂硬化物が、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、およびポリイミド系樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜のいずれかに記載の複合体。
  5. 前記樹脂発泡小片を構成する基材樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリ塩化ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜のいずれかに記載の複合体。
  6. 前記複合体の比重が1以下である請求項1〜のいずれかに記載の複合体。
  7. 前記金属体の形状が筒状であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の複合体。
  8. 中空部を有する金属体の該中空部に樹脂製成形体が充填され、該成形体が複数の樹脂発泡小片と熱硬化性樹脂硬化物とから構成されている複合体の製造方法であって、
    前記中空部を有する金属体の内部空間に、前記複数の樹脂発泡小片、または前記複数の樹脂発泡小片からなる樹脂発泡小片成形体を充填する工程、
    該内部空間に熱硬化性樹脂液体原料を導入して該液体原料を樹脂発泡小片間に充填させる工程、
    該樹脂発泡小片間に充填された該液体原料である未硬化状熱硬化性樹脂を硬化させる工程を備え、
    前記樹脂発泡小片は、長手方向の寸法と短手方向の寸法の比(長手方向の寸法/短手方向の寸法)が1〜2であり、粒子径が1〜5mmである、複合体の製造方法。
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