JP6302378B2 - ヘキサフルオロベンゼンの脱フルオロ化によるフルオロベンゼン類の製造方法 - Google Patents

ヘキサフルオロベンゼンの脱フルオロ化によるフルオロベンゼン類の製造方法 Download PDF

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本発明は、ヘキサフルオロベンゼンを原料としてこれを脱フルオロ化してフルオロベンゼン類を製造する方法に関する。詳しくは、上記反応を比較的低温・低圧の温和な反応条件で進行させる方法に関する。
フルオロベンゼン類は、液晶材料、医薬品、農薬等の各種分野において、フルオロフェニル基を有する機能性化合物の原料として利用されている化合物である。フルオロベンゼン類の利用形態としては、直接的に上記化合物の合成原料となる他、中間原料としてフルオロベンゼン誘導体に合成された後に最終化合物となる。
フルオロベンゼン類の製造方法としては、従来から各種のものが知られている。例えば、特許文献1では、フルオロ安息香酸を塩基性下で脱炭酸してペンタフルオロベンゼンやテトラフルオロベンゼンを製造する方法が記載されている(下記式参照)。尚、この文献では、得られたフルオロベンゼン類を更に臭素化し、機能性化合物原料として有用なフルオロベンゼン誘導体(ブロモペンタフルオロベンゼン)を製造している。
Figure 0006302378
また、特許文献2では、ハロゲン化されたフルオロベンゼン(クロロベンゼン、ブロモベンゼン)をPd触媒とアミンの存在下で水素と反応させて脱ハロゲン化してフルオロベンゼン類を合成する方法が記載されている。
Figure 0006302378
フルオロベンゼン類の合成に際しては、上記の反応例の他にも、予めフッ素以外の置換基が導入されたフルオロベンゼン類を出発原料とし、その置換基を脱離・置換させるものである。しかし、このようなフルオロベンゼン類に置換基を導入した原料は、合成が困難であることが多く高価になりがちである。
そして、原料コストを考慮する場合、上記のような置換基のないヘキサフルオロベンゼンの利用が適当である。ヘキサフルオロベンゼンは比較的安価であり入手も容易だからである。この点、C−F結合は炭素原子が形成する単結合の中でも極めて強い結合であり、その活性化による脱フルオロ化には困難性が伴うものと考えられるが、これまでいくつかの試みが報告されている。例えば、非特許文献1では、ヘキサフルオロベンゼンを脱フルオロ化してフルオロベンゼン類を製造する方法として、均一系Rh触媒((PMeRhSiMePh)を用い、水素源としてRSiH(R:Ph又はEtO)を適用してヘキサフルオロベンゼンの脱フルオロ化を図る方法を報告している。
特許第2793090号明細書 米国特許公開5498807公報
Michael Aizenberg andDavid Milstein,"Catalytic Activation of Carbon−Fluorine Bonds by a Soluble Transition Metal Complex",Scinece,265巻(1995年), 359頁−361頁.
しかしながら、上記非特許文献1におけるヘキサフルオロベンゼンの脱フルオロ化は、水素源として有機シラン化合物を適用するが、直接水素で還元できる反応の方がグリーンケミストリーの観点から好ましいといえる。また、上記非特許文献1における反応は、反応温度を90℃以上にすることが要求されるが、フルオロベンゼン類の有用性を考慮しこれを安定的に製造するためには、より低温且つ低圧な温和条件(理想的には常温常圧)であっても進行し得る反応が好ましいといえる。
そこで本発明は、ヘキサフルオロベンゼンを脱フルオロ化してフルオロベンゼン類を製造する方法について、水素を還元剤として利用可能とし、更に、低温・低圧としても反応を進行させることができる方法を提供する。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、ヘキサフルオロベンゼンの脱フルオロ化反応を触媒的により活性化する手法として、所定構成のRh1価触媒の適用を見出し本発明に想到した。
即ち、本発明は、ヘキサフルオロベンゼン(C)を脱フルオロ化反応させて、フルオロベンゼン類(C(n+m=6、nは1以上5以下の整数))を製造するための方法であって、前記脱フルオロ化反応は、ヘキサフルオロベンゼンと、触媒として次式で示される1価のRh錯体とが共存するステップを含み、反応条件を、水素雰囲気下として、反応圧0.01MPa以上15MPa以下、反応温度0℃以上200℃以下とするフルオロベンゼン類を製造する方法である。
Figure 0006302378
以下、本発明についてより詳細に説明する。本発明に係るフルオロベンゼン類の製造方法は、ヘキサフルオロベンゼンの脱フルオロ化の反応過程として、ヘキサフルオロベンゼンと上記式のRh錯体とが共存するステップを含むことを特徴とする。そして、この反応は、還元剤(水素源)として水素の供給により進行するものである。ここで、本発明者等によると、本発明におけるヘキサフルオロベンゼンの脱フルオロ化は次式の触媒サイクルに従って進行すると考察している。
Figure 0006302378
上記式は、Rh錯体触媒として、R〜Rがいずれもメチル基のRh錯体((η−CMe)Rh(I)(bpy)(bpyは2,2’−ビピリジンを表す)、このRh錯体及び化3の錯体について「Rh錯体1」と称するときがある。)を適用する例である。この式で示すように、ヘキサフルオロベンゼンとRh錯体1とが共存し、反応が開始する段階(式の右側)で、触媒であるRh錯体1はヘキサフルオロベンゼンと反応し、C−F結合を切断しつつ((η−CMe)Rh(III)(bpy)(C))を形成する(かかる中間的な錯体を「Rh錯体2(F)」と称するときがある。)。このRh錯体2(F)は、供給された水素と反応し、フルオロベンゼン類(ペンタフルオロベンゼン)を与えると共にRhヒドリド錯体(触媒サイクルの左側の錯体)を形成する。そして、Rhヒドリド錯体はRh錯体1となる。このような触媒サイクルにより、ヘキサフルオロベンゼンが脱フルオロ化してフルオロベンゼン類(ペンタフルオロベンゼン)を生成する。
本発明者等によると、上記の触媒サイクルに基づく反応は、室温且つ大気圧(25℃、1atm)であっても十分な反応の進行が認められる。従って、温和な雰囲気下で水素により反応を進行させるという本願発明の目的に合致した条件でのフルオロベンゼン類の製造が可能となる。以下、好適な反応条件を説明する。
本発明に係るフルオロベンゼン類の合成反応は、適宜の溶媒にヘキサフルオロベンゼン及び触媒が溶解する均一系で進行させるのが好ましい。好ましい溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、THF(テトラヒドロフラン)、DME(ジメトキシエタン)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒や、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒(直鎖、枝分かれあるものを含む)、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、更に、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒である。これらの溶媒は炭素数が1以上15以下のものがより好ましい。これらの溶媒が好ましい理由は、触媒と基質を溶解させることができることに加え、触媒と反応しないからである。溶媒の使用量は、原料となるヘキサフルオロベンゼン1molに対して1倍以上100倍以下とするのが好ましい。
触媒である上記化3で示したRh錯体(Rh錯体1)について、錯体の置換基R〜Rは、水素又はメチル基又はエチル基である。R〜Rの炭素数を限定するのは、触媒の反応性と入手の容易性を考慮するものである。またR〜Rは、全て同じ基でも良いし、相互に相違する基であっても良い。
フルオロベンゼン類の製造においては、その操作開始時に溶媒にヘキサフルオロベンゼンと触媒とが含まれる反応系を形成した後、反応させる。ここで、本発明では、製造操作の開始時における出発原料としての触媒は化3のRh錯体(Rh錯体1)が当然適用されるが、他のRh錯体であっても適用可能となることがある。この「他のRh錯体」とは、上記化3のRh錯体1とは構造が相違するが、脱フルオロ化の反応雰囲気下でRh錯体1に変化することができるRh錯体である。本発明における脱フルオロ化反応において、触媒であるRh錯体1は、上記の化4で例示されたような触媒サイクルを有する。そして、Rh錯体1と構造が相違するものであっても、反応雰囲気中で触媒サイクル中の錯体と同一又は近似する化合物に変化するようなものであれば、いずれRh錯体1となることができるので、本発明の出発原料としての触媒となり得る。
この他のRh錯体として適用できるのものとして次式の3価のRh錯体がある(以下、このRh錯体を「Rh錯体3(X)」と称するときがある。)。このRh錯体3(X)は、本発明の反応雰囲気(水素雰囲気)で触媒サイクル中のRhヒドリド錯体に変化することができる錯体である。特に、このRh錯体3(X)は、安定性が高く、取り扱い性良好なものが多く触媒材料として好適な錯体である。
Figure 0006302378
このRh錯体3(X)においては、水素雰囲気中でRhに配位するハロゲン(X)が水素と反応しRhヒドリド錯体を生じさせる。そして、反応雰囲気中に塩基(アミン)がある場合、生成したRhヒドリド錯体は、更にアミンと反応し、Rh錯体1を生成することができる。Rh錯体1が生じることによって化4に示した触媒サイクルに従った反応の進行が可能となり、フルオロベンゼン類が製造可能となる。この一連の反応プロセスとして、次式が例示できる(下記式中のRh錯体3は、R〜Rがいずれもメチル基であり、Xが塩素の錯体である(以下、この錯体をRh錯体3(Cl)と称することがある。))。
Figure 0006302378
このRh錯体3(X)としては、ハロゲン元素(X)として塩素、フッ素、臭素が配位したものが例示できる(次式)。
Figure 0006302378
また、上記したRh錯体3(X)に加えて、反応出発時の触媒として利用できる他の錯体として、下記式で示されるRh錯体が挙げられる(このRh錯体を「Rh錯体2(X)」と称するときがある。)。
Figure 0006302378
例えば、Xがフッ素であり、配位子Cがペンタフルオロベンゼンアニオンである場合、Rh錯体2(X)は、化4の触媒サイクルで生じるRh錯体2(F)(下記式)に相当する。Rh錯体2(F)も水素と反応して、Rhヒドリド錯体を形成した後にRh錯体1となる。従って、Rh錯体2(F)も出発原料としての触媒として適用可能である。尚、Rh錯体2(F)は、Rh錯体1とヘキサフルオロベンゼンとを反応させて生成でき、単離可能な物質である。よって、予めRh錯体2(F)を合成し、これを水素雰囲気下でヘキサフルオロベンゼンと混合することでフルオロベンゼン類の製造が可能である。
Figure 0006302378
尚、Rh錯体2(X)としては、上記したRh錯体2(X)の他、以下のようなRh錯体が挙げられる。下記の具体例は、配位子Cとしてトリフルオロメタンアニオン、ペンタフルオロシクロヘキサニルアニオン、テトラフルオロシクロペンタジエニルアニオンが配位したRh錯体である。
Figure 0006302378
このように本発明では、フルオロベンゼン類の製造開始時、ヘキサフルオロベンゼンとRh錯体1とを共存させて反応させることができ、これが基本的態様となる。そして、これに加えて、ヘキサフルオロベンゼンとRh錯体3(X)、Rh錯体2(X)とを共存させても反応を進行させることができる。
そして、本発明でヘキサフルオロベンゼンと反応させる触媒の使用量は、基質であるヘキサフルオロベンゼンに対して0.05mol%以上50mol%以下とするのが好ましい。0.05mol%未満では反応が進行しにくいためであり、50mol%を超えると触媒コストが高価となり好ましくないからである。触媒の使用量は、ヘキサフルオロベンゼンに対して1mol%以上10mol%以下とするのが特に好ましい。これはRh錯体1、Rh錯体3(X)、Rh錯体2(X)のいずれについて適用される使用量である。
本発明に係るフルオロベンゼン類の製造における反応条件は、反応温度は0℃以上200℃以下とする。0℃未満では、他の反応条件を最適なものとしても反応速度が低下し、200℃を超えると錯体が分解し触媒能が低下する。このように本発明に係るフルオロベンゼン類の製造方法は、比較的低温でも反応が進行することから、好ましい反応温度としては15℃以上200℃以下であり、25℃以上90℃以下がより好ましい温度範囲である。
本発明における脱フルオロ化反応は、水素雰囲気下で進行する。水素は、重水素(D)も適用できる。反応圧(水素圧)は0.01MPa以上15MPa以下とする。0.01MPa未満では反応が進行しにくいからであり、15MPaを超えると加圧条件を保つのが困難となり好ましくないからである。そして、本発明は反応圧も抑制することができることから、より好ましい反応圧として、0.1MPa以上1.0MPa以下とすることができる。
本発明におけるフルオロベンゼン類の合成反応では、C−F結合の水素化の結果生じるHFをトラップするため、塩基性とするのが好ましい。そこで、好ましくは適宜の塩基を添加することで、反応を効率的に進行させてヘキサフルオロベンゼンの転化率を向上させる。好ましい塩基は、ジエチルアミン(EtNH)、トリエチルアミン(EtN)、ピリジン及びその誘導体等のアミン、金属炭酸塩(LiCO、NaCO、KCO、CsCO)、金属酢酸塩(LiOAc、NaOAc、KOAc)、金属水酸化物(LiOH、NaOH、KOH)を添加する。塩基の添加量は、ヘキサフルオロベンゼンに対して1mol等量以上10mol等量以下とするのが好ましい。より好ましくは、ヘキサフルオロベンゼンに対して1mol等量以上2mol等量以下とする。
反応時間に関しては特に限定はない。好ましくは、1時間以上100時間以下で上記反応条件を維持することで好適にフルオロベンゼン類を回収することができる。
本発明に係るRh錯体触媒を適用するヘキサフルオロベンゼンの脱フルオロ化では、1又は複数のC−F結合を触媒的に活性化することができる。即ち、上記した触媒サイクルにより合成されたペンタフルオロベンゼンは、再度触媒サイクルにより反応することが可能であり、C−F結合の追加的な活性化が生じ脱フルオロ化する。これにより2つの脱フルオロ化が生じテトラフルオロベンゼンも生成することができる。そのため、本発明に係る製造方法ではフッ素数の相違するフルオロベンゼン類が同時に製造される場合がある。このとき、必要なフルオロベンゼン類は蒸留あるいはカラムクロマトグラフィーにより分離回収可能である。
本発明によれば、ヘキサフルオロベンゼンを出発原料として、これを脱フルオロ化してフルオロベンゼン類を製造することができる。この合成反応は、温度及び圧力を温和な条件としても進行させることができる。また、水素を還元剤として適用することができグリーンケミカルの観点からも好適な方法である。本発明によれば、比較的安価なヘキサフルオロベンゼンを利用してフルオロベンゼン類を製造することができ、各種の機能性化合物の製造コストを低廉なものとすることができる。
以下、本発明における最良の実施形態について説明する。
第1実施形態:本実施形態では、まず、Rh1価触媒(Rh錯体1)を合成し、その後に触媒量、塩基添加量を変化させつつヘキサフルオロベンゼンを脱フルオロ化してフルオロベンゼン類を合成した。
本実施形態では、Rh錯体1の合成は、 [(η−CMe)Rh(III)(bpy)Cl](Cl))(即ち、Rh錯体3(Cl)である。)を原料として使用した。Rh錯体3(Cl)を100mg(0.215mmol)用意し、これを10mLのTHFに懸濁させた。この懸濁液を10mgのナトリウムを含むバイアル瓶に入れて12時間攪拌した。溶液は黄色から紫色に変化した。次に、溶媒を除去し、残滓部分についてベンゼンにて溶媒抽出を行いろ過し、溶媒を除去して紫色の固体を得た(74mg)。以上のRh錯体1の合成反応は下記のようになる。
Figure 0006302378
上記で製造したRh1価触媒を用いてヘキサフルオロベンゼンの脱フルオロ化の反応試験を行った。反応溶媒であるTHF2.34mLにRh1価触媒を溶解した溶液に、ヘキサフルオロベンゼン58μL(0.5mmol)及びジエチルアミンを添加した。この溶液を水素雰囲気(0.1MPa)中温度25℃で24時間攪拌して反応させた。
次に、反応液の構成分析のため、反応液に1−フルオロペンタン29μLを加えた後、反応液0.2mLを採取してこれに重水素化ベンゼン(C)0.4mLを加えてこれをNMR測定(H及び19F)のためのサンプルとした。そして、NMR分析を行い反応液の構成成分からターンオーバー数(TON:反応生成物のmol数/触媒のmol数)と転化率を求めた。尚、今回の反応試験では、生成したフルオロベンゼン類としてペンタフルオロベンゼン(CH)と1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン(C)の2つが確認されたため、それぞれについてのTONを求めている。
以上の反応試験は、Rh錯体1の使用量及びジエチルアミンの添加量を変化させた条件でおこなっている。また、一部の試験では塩基としてトリエチルアミンを使用した。更に、反応雰囲気を重水素(0.1MPa)とした条件でも試験を行った。この結果を表1に示す。
Figure 0006302378
表1から、触媒を使用しないNO.9では全く反応が進行しなかった。よって、本実施形態で使用したRh1化触媒の有用性が確認できる。また、NO.7の結果とNo.1、2の結果との対比から、この反応は塩基性の反応系が好ましく、塩基(ジエチルアミン、トリエチルアミン)の添加が好ましいことがわかる。更に、この反応は重水素雰囲気でも進行する(No.8)。
尚、反応条件(触媒使用量、塩基添加量)の好適範囲の設定にあたっては、転化率、ターンオーバー数のいずれを重視するかによるが、ペンタフルオロベンゼンのターンオーバー数は触媒を5mol%使用し塩基添加量を2等量としたときに最大となっている。一方、転化率は触媒を10mol%としたときに99%を超え最大となる。触媒使用量の条件設定に当たっては、触媒及び原料(ヘキサフルオロベンゼン)のコストや製造装置の構成(リサイクルシステムの有無等)といった複数の要素から決定されるべきである。
第2実施形態:本実施形態では、Rh錯体1、Rh錯体3(Cl)、Rh錯体2(F)を触媒として用いつつ、反応条件を変更してヘキサフルオロベンゼンの脱フルオロ化の反応試験を行った。
尚、触媒の用意に関して、Rh1価触媒は第1実施形態で合成したしたものと同じものを使用した。Rh錯体3(Cl)は、第1実施形態で用意したものを使用した。そして、Rh錯体2(F)については、第1実施形態で合成したRh1価触媒を含む溶液(溶媒THF)をヘキサフルオロベンゼンに添加して6時間攪拌して錯体を合成し、その後、濃縮・濾過して回収した。
ヘキサフルオロベンゼンの脱フルオロ化は、反応溶媒としてアセトニトリル2.34mLを用意し、ここに触媒(Rh錯体1、Rh錯体3(Cl)、Rh錯体2(F))を溶解し、この溶液にヘキサフルオロベンゼン58μL(0.5mmol)及びジエチルアミン(2mol等量)を添加した。この溶液を水素雰囲気(0.1MPa又は0.8MPa)中、温度25℃で攪拌して反応させた(反応時間は24時間又は48時間とした)。
反応液の構成分析のため、反応液に1−フルオロペンタン29μLを加えた後、反応液0.2mLを採取してこれに重水素化アセトニトリル(CDCN0.4mLを加えてこれをNMR測定(H及び19F)のためのサンプルとした。そして、NMR分析を行い反応液の構成成分からターンオーバー数(TON)と転化率を求めた。本実施形態でもペンタフルオロベンゼン(CH)と1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン(C)の2つが確認されたため、それぞれについてのTONを求めている。この分析結果を表2に示す。
Figure 0006302378
この第2実施形態の結果は全般に良好であり、より高い転化率、TONでフルオロベンゼン類を製造することができたことがわかる。そして、反応開始段階でヘキサフルオロベンゼンと共存させる触媒についてみると、基本となるRh1価触媒(No.10〜No.15)だけでなく、Rh錯体3(Cl)やRh錯体2(F)でも好適な結果が得られた(No.16、17)。また、触媒を使用しないNO.18では、反応が全く進行しなかった。
本発明に係る方法は、フルオロベンゼン類を製造する方法として、その出発原料にヘキサフルオロベンゼンを利用することができるようにしたものである。このときヘキサフルオロベンゼンの脱フルオロ化は、常温常圧で進行可能であり、且つ、水素を還元剤として適用することができる。本発明は、低コストで安定的にフルオロベンゼン類を製造することができる。フルオロベンゼン類は、各種の機能性化合物及びその製造のための中間体の原料として利用されるものであり、液晶材料、医薬品、農薬等の多方面の分野において本発明は有用である。

Claims (7)

  1. ヘキサフルオロベンゼン(C)を脱フルオロ化反応させて、フルオロベンゼン類(C(n+m=6、nは1以上5以下の整数))を製造するための方法であって、
    前記脱フルオロ化反応は、ヘキサフルオロベンゼンと、触媒として次式で示される1価のRh錯体とが共存するステップを含み、
    反応条件を、水素雰囲気下として、反応圧0.01MPa以上15MPa以下、反応温度0℃以上200℃以下とするフルオロベンゼン類を製造する方法。
    Figure 0006302378
  2. フルオロベンゼン類の製造開始時に、ヘキサフルオロベンゼンと化1のRh錯体とを共存させて反応させる請求項1記載のフルオロベンゼン類の製造方法。
  3. フルオロベンゼン類の製造開始時に、ヘキサフルオロベンゼンと化2で示される3価のRh錯体を共存させ、前記3価のRh錯体から化1で示される1価のRh錯体を生成した後、
    前記ヘキサフルオロベンゼンと前記1価のRh錯体とを共存させて反応させる請求項1記載のフルオロベンゼン類の製造方法。
    Figure 0006302378
  4. フルオロベンゼン類の製造開始時に、ヘキサフルオロベンゼンと化3又は化4で示される3価のRh錯体のいずれかを共存させ、前記3価のRh錯体から化1で示される1価のRh錯体を生成した後、
    前記ヘキサフルオロベンゼンと前記1価のRh錯体とを共存させて反応させる請求項1記載のフルオロベンゼン類の製造方法。
    Figure 0006302378
    Figure 0006302378
  5. 触媒の使用量を、ヘキサフルオロベンゼンに対して0.05mol%以上50mol%以下とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のフルオロベンゼン類の製造方法。
  6. ヘキサフルオロベンゼンに対して1mol当量以上10mol当量以下の塩基を添加し、反応系を塩基性にする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のフルオロベンゼン類の製造方法。
  7. 塩基として、アミン、金属炭酸塩、金属酢酸塩、金属水酸化物のいずれか1つを添加する請求項6記載のフルオロベンゼン類の製造方法。
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