JP6301030B1 - プレス成形品の成形方法 - Google Patents

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Abstract

成形品を成形するための圧力を低減するとともに、成形品の薄肉部分に対しても十分にガラス繊維を充填させることを可能とし、さらにガラス繊維の含有量の高い原料の使用を可能とすること、成形品の品質を安定化させる。熱可塑性樹脂中に強化繊維が分散してなる中間基材を、金型によりプレス成形して成形品を製造する方法であって、加熱した中間基材を、120℃以上に加熱した金型によりプレスして加圧状態を保持すると共に、加圧状態を保持しながら金型を冷却し、金型冷却後にプレス圧を解放する。

Description

GMT(ガラスマット強化熱可塑性プラスチック)等繊維強化複合材を材料とする成形品の成形方法に関する。
従来、自動車部品等を形成するための材料として、金属材料に変わる繊維強化複合材が開発されており、特に近年では、熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材は、プレス成形により大量生産が可能であり、複雑な形状にも対応できることから注目されている。
プレス成形に用いる熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材として、例えばGMT(ガラスマット強化熱可塑性プラスチック)がある。この繊維強化複合材の成形には、加熱した繊維強化複合材をプレスする成形法が採用されていた(特許文献1)。
特開2014−04775公報
しかし、上記特許文献1等公知のプレスによる成形法では、成形品の末端部分まで十分に材料を充填するためには高いプレス圧が必要となり、そのため大型のプレス機が必要であった。また、成形品が複雑になり、薄肉のリブ等の薄肉部分がある場合には、薄肉部分の樹脂内にまでガラス繊維等の強化繊維が十分に充填されずに、強化繊維による補強効果を発揮することができず、成形品の安定的な品質を確保できなかった。さらに、強化繊維の含有量についても、50%程度が限界であって、さらに高含有の繊維強化複合材を加工することは望めなかった。
本発明は、上記の事情を鑑みたものであり、成形品を成形するための圧力を低減するとともに、成形品の薄肉部分に対しても十分に強化繊維を充填させることを可能とし、さらにガラス繊維等の強化繊維の含有量の高い材料の使用を可能とすること、成形品の品質を安定化させること、などを目的とする。
本発明は、熱可塑性樹脂中に強化繊維が分散してなる中間基材を、金型によりプレス成形して成形品を成形する方法であって、加熱した中間基材を、120℃以上に加熱した金型によりプレスして加圧状態を保持すると共に、加圧状態を保持しながら金型を冷却し、金型冷却後にプレス圧を解放することを特徴とする。
本発明のプレス成形品の成形方法を用いることにより、比較的低いプレス圧によって、成形品の末端部分にまで十分に強化繊維を充填させることが可能となり、また、強化繊維が高含有率の繊維強化複合材を用いることを可能として、強度の高い成形品を成形することができる。
本発明の実施形態に係るプレス成形品の成形方法に用いられる製造設備の概念図である。 本発明の実施形態に係るプレス成形品の成形方法の工程図である。 本発明の実施形態に係るプレス成形品の成形方法と従来法との加圧工程における成形方法の違いを説明する図であり、(a),(b)は従来法による加圧方法を説明する図であり、(c),(d)は本発明の成形方法による加圧方法を説明する図である。 本発明の実施形態に係るプレス成形品の成形方法のガラス含有量の減少率を検証したときの金型に対するGMT材の配置図である。 本発明の実施形態に係るプレス成形品の成形方法の流動面積を検証したときの金型に対するGMT材の配置図である。 本発明の実施形態に係るプレス成形品の成形方法のプレス圧を検証するために測定した金型温度と単位面積あたりのプレス圧との関係を示すグラフであり、(a)は成形品の立ち壁を入れない投影面積による単位面積あたりの型温度とプレス圧との関係を示すグラフであり、(b)は成形品の立ち壁を入れる流動面積による単位面積あたりの型温度とプレス圧との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態に係るプレス成形品の成形方法の成形品の均質性(長繊維充填性)を検証したときの透過X線写真であり、(a),(b)は従来法による成形品の透過X線写真であり、(c),(d)は本発明の成形方法による成形品の透過X線写真である。 本発明の実施形態に係るプレス成形品の成形法の成形品の衝撃に対する強さ(靭性)を検証したときの図であり、(a)は成形した成形品の斜視図であり、(b)はそのフランジ部の図であり、(c)はフランジ部の一部Bの透過X線写真及びアイゾット衝撃試験の結果を示す表である。 本発明の実施形態に係るプレス成形品の成形方法のGF高含有材に対する適用性を検証したときの図であり、(a)は成形した成形品の平面図であり、(b)は従来法により成形した成形品のリブ部の透過X線写真であり、(c),(d)は本発明のプレス成形方法により成形した成形品のリブ部の透過X線写真である。 本発明の実施形態に係るプレス成形品の成形方法の表面転写性を検証したときの図であり、(a)は使用した金型の表面の写真であり、(b)は従来法により成形した成形品の表面の顕微鏡写真であり、(c)は本発明の成形方法により成形した成形品の表面の顕微鏡写真である。
本発明のプレス成形品の成形方法は、熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材を原料としてプレス成形品を成形する方法であって、加熱された原料をチャージする工程と、チャージされた原料に対して加熱された金型により加圧をする工程と、加圧を保持しながら金型を冷却する工程と、金型による加圧を解放する工程と、金型からプレス成形品を取り出す工程と、を備えている。
以下、本発明のプレス成形品の成形方法について詳しく説明する。
(製造設備)
本発明のプレス成形品の成形方法(以下、「本プレス成形方法」という。)に用いられる製造設備は、図1に示すように、原料Aをプレス成形する上、下金型11,12を備えるプレス機1と、原料Aを加熱する加熱炉21を備え原料Aをプレス機1に搬送する加熱搬送路2と、プレス機1の上、下金型11,12に対して蒸気もしくは冷却水の供給、排出を行うマニーホールド3と、マニーホールド3に対してボイラー5から供給される蒸気もしくは冷却塔6から供給される冷却水を伝達する加熱冷却制御手段4と、を備えている。
ボイラー5と加熱冷却制御手段4は、制御弁7aを備えた蒸気供給路7により接続されており、冷却塔6と加熱冷却制御手段4は、制御弁8aを備えた冷却水供給路8により接続されている。加熱冷却制御手段4により各制御弁7a,8aが制御され、プレス機1に対する蒸気もしくは冷却水の供給を制御して、金型11,12の温度制御を行っている。
そして、加熱搬送路2により加熱された原料Aをプレス機1にチャージして、ボイラー5、冷却塔6及び加熱冷却制御手段4により温度制御がなされた金型11,12によりプレスすることで成形品Bを成形しており、成形された成形品Bは搬送装置9によって、所定の保管場所に搬送される。
(原料)
本プレス成形方法に用いられる原料としては、ポリプロピレン樹脂にガラス繊維を混練させてなるGMT材等の繊維強化複合材が用いられているが、繊維強化複合材に使用される熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)の他にも、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリブチレン等のポリオレフィンや、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などのポリアリーレンスルフィド、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの結晶性樹脂を用いることができる。
また、スチレン系樹脂の他、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート(PAR)などの非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系樹脂、およびアクリロニトリル系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体および変性体等から選ばれる熱可塑性樹脂を用いることができる。
また、繊維強化複合材に使用される強化繊維としても、ガラス繊維の他に、アルミニウムなどの金属繊維や、PAN系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維や、黒鉛繊維や、ガラスなどの絶縁性繊維や、アラミド、PBO、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリエチレンなどの有機繊維や、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドなどの無機繊維を用いることができる。
繊維強化複合材(中間基材)に対する強化繊維含有量としては、20%から75%程度の範囲で適宜設定することができる。物理的な強度の高い成形品を成形するために、繊維強化複合材(中間基材)に対する強化繊維含有量を50%以上、もしくは60%以上とすることも可能である。なお、本明細書において、含有量は質量%を示したものである。
(製造工程)
上記製造設備を用いて行われる本プレス成形方法は、図2に示すように、1.原料チャージ工程、2.加圧工程、3.圧力保持・冷却工程、4.圧力解放・型開放工程、5.取り出し工程、を有している。
「1.原料チャージ工程」において、プレス機1の上下の金型11,12は開放されており、上下の金型11,12間に加熱炉21により加熱され加熱搬送路2により搬送された原料Aがチャージされる。(GMT材の場合には、加熱温度は200℃程度)
一方、加熱冷却制御手段4により、制御弁7aが開放され、ボイラー5の蒸気が蒸気供給路7、マニーホールド3を介して上、下金型11,12に供給されることで、本プレス成形方法における上、下金型11,12は、図2の点線で示す従来法による金型温度よりも高温(120℃以上)に加熱されている。
「2.加圧工程」において、油圧シリンダ等により上金型11に徐々に加圧がなされ、加熱された上金型11により原料Aがプレス加工される。上、下金型11,12によりプレスされる間は加熱冷却制御手段4による加熱制御が継続され、上、下金型11,12は120℃以上の温度を維持している。
本プレス成形方法においては、プレス加工時に上、下金型11,12が120℃以上の温度を維持しているために、加熱されて搬送された原料Aの表面の温度低下を防ぐことができ、原料Aの流動性を保つことができる。このため、図2の一点鎖線で示す従来法による成形圧力よりも低い圧力である15MPa未満、好ましくは10MPa以下、プレス加工時の上、下金型の温度等により8MPa以下、あるいは6MPa以下の単位面積あたりのプレス圧で成形することができる。さらに、本プレス成形方法においては、原料Aの形状や大きさ等の状態に影響を受けることが少なく、また、成形する成形品の形状にかかわらず、良好なプレス成形をすることができる。
例えば、従来法により成形品にリブ形状B1やボス形状を成形する場合、図3(a),(b)に示すように、原料Aの表面A1,A2は金型11,12に当接することで温度低下がおこり、原料Aの表面A1,A2の樹脂の流動性が低下してリブ形状B1を成形することが難しかった。
そのため、リブ形状やボス形状を、複数の原料Aの継ぎ目の、原料Aの表面A1,A2から離れた流動性を有する中央部分で成形することが行われていた。しかし、このような方法では、前記継ぎ目がウエルドラインとなり、強度が低下する。このため、継ぎ目に原料をさらに重ねるようにしてウエルドラインを防止するなどしていた。
しかし、本プレス成形方法によると、図3(c)に示すように、加熱された金型11,12に当接する原料Aの表面A3,A4は温度低下せずに樹脂の流動性を低下させることなくプレス成形ができるので、図3(d)に示すように、流動性を有する原料Aの表面A4からリブ形状B1等を成形することができ、成形の自由度を増すことができる。
「3.圧力保持・冷却工程」において、上、下金型11,12による加圧状態は所定時間保持され、その間に加熱冷却制御手段4により上、下金型11,12の冷却が行われる。上、下金型11,12の冷却は、加熱冷却制御手段4により蒸気供給路7の制御弁7aが閉鎖されてボイラー5からの蒸気の供給を停止するとともに、冷却水供給路8の制御弁8aが開放されて冷却塔6から冷却水の供給を開始することにより行われる。冷却水はマニーホールド3を介して上、下金型11,12に供給され、温められた温水は冷却塔6に循環される。
「4.圧力解放・型開放工程」において、冷却水の供給によって上、下金型11,12が冷却されたのち、プレス機1の圧力を解放して、上、下金型11,12を開放する。
「5.取り出し工程」において、開放された金型11,12からプレス成形された成形品を取り出して冷却するとともに、成形品が取り出された上、下金型11,12は、加熱冷却制御手段4により再び加熱され、次のプレス成形に備える。
以上のように、本プレス成形方法においては、加熱されて搬送された原料Aを、加熱された金型によりプレス成形することで、プレス成形時に原料AであるGMT材の熱可塑性樹脂の温度低下を防止することができる。そのため、原料AであるGMT材の形状等に影響されることなく、GMT材全体の流動性を保ち、樹脂とガラス繊維を併せて低圧のプレス成形で流動させることができ、成形品の細部に亘ってガラス繊維を十分に充填することができ、強度にムラのない成形品を作ることができる。また、熱可塑性樹脂の流動性が低下しないのでガラス繊維の高含有なGMT材をプレス加工することができ、さらに強度を向上させることができる。
本プレス成形方法により成形した成形品について、従来法により成形した成形品と比較などして、本プレス成形方法による効果を検証する。
−成形品のガラス繊維の充填性−
繊維強化複合材をプレス成形して成形品を成形するに際しては、プレス成形品にガラス繊維が均等に充填されて含有されることが望ましい。
ここでは、実際のスペアタイヤパンのプレス成形を想定して、ガラス繊維の含有量が略40%のGMT材(公称GF40%グレードのGMT材)を原料として使用し、本プレス成形方法によりスペアタイヤパン形状品を成形し、成形したスペアタイヤパン形状品の各部位のガラス繊維含有量を測定して、プレス成形品におけるガラス繊維の充填性について検証した。なお、チャージされるGMT材は200℃程度に加熱されている。
チャージしたGMT材と成形したスペアタイヤパン形状品の位置関係を図4に示す。
図4(a)は、GMT材をあまり流動させない状態(900mm×500mm寸法)のGMT材(以下、「900mm×500mm寸法のGMT材」という。)91を一枚用いた場合を示し、1は流動長が0mmの地点(チャージ位置)、2は流動長が50mmの地点(成形品の端末)を示す。
図4(b)は、GMT材を大きく流動させる状態(530mm×500mm寸法のGMT材二枚、530mm×125mm寸法のGMT材一枚を重ねたもの)のGMT材(以下、「530mm×500mm寸法のGMT材」という。)92を用いた場合を示し、3は流動長が0mmの地点(チャージ位置)、4は流動長が50mmの地点、5は流動長が170mmの地点(成形品の端末)を示す。
図4(a),(b)に示すようにGMT材91,92を配置して、従来法を用いた比較例として金型温度を35℃、80℃とし、プレス機によりプレス圧220ton(金型の温度を35℃とした比較例については、プレス機によるプレス圧は790ton。)でプレス成形した。一方、本プレス成形方法の実施例として金型温度を120℃、160℃とし、プレス機によりプレス圧220tonでプレス成形した。
図4(a)の900mm×500mm寸法のGMT材91を原料として使用した場合のスペアタイヤパン形状品のチャージ位置(流動長0mm)及び端末位置(流動長50mm)におけるガラス密度及び含有量%、及び、図4(b)の530mm×500mm寸法のGMT材92を原料として使用した場合のスペアタイヤパン形状品のチャージ位置(流動長0mm)、中間位置(流動長50mm)及び端末位置(流動長170mm)におけるガラス密度及び含有量%をそれぞれ測定して、その結果を表1−1及び表1−2に示す。
なお、本発明を検証するための試験に使用する原料として、公称GF40%グレードのGMT材を使用しているが、実際に使用したGMT材のガラス繊維の含有量は固体により30〜50%程度のばらつきがあった。
Figure 0006301030
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表1−1を見ると、900mm×500mm寸法のGMT材91を原料として使用した場合については、比較例1、2(型温度:35℃、プレス圧790ton)のチャージ位置(流動長0mm)でのガラス含有量%は44.4〜45.6であり端末位置(流動長50mm)でのガラス含有量%が43.3〜44.4で、チャージ位置と端末位置とでのガラス密度の減少率(%)が0.81〜0.81であり、比較例3、4(型温度80℃、プレス圧220ton)のチャージ位置(流動長0mm)でのガラス含有量%が46.7〜47.8であり端末位置(流動長50mm)でのガラス含有量%が45.6〜46.7で、チャージ位置と端末位置とでのガラス密度の減少率(%)が0.79〜0.80であった。
これに対し、実施例1〜3(型温度:120℃、プレス圧220ton)のチャージ位置(流動長0mm)でのガラス含有量%が35.6〜37.8であり端末位置(流動長50mm)でのガラス含有量%が34.4〜36.7で、チャージ位置と端末位置とでのガラス密度の減少率(%)が0.00〜0.87であり、実施例4〜6(型温度160℃、プレス圧220ton)のチャージ位置(流動長0mm)でのガラス含有量%が32.2〜34.4であり端末位置(流動長50mm)でのガラス含有量%が31.1〜33.3で、チャージ位置と端末位置とでのガラス密度の減少率(%)が0.00〜0.89であった。
以上のように、900mm×500mm寸法のGMT材91を原料として使用した場合については、本プレス成形方法と従来法とは、共にチャージ位置(流動長0mm)と端末位置(流動長50mm)でのガラス密度の減少率が1.0%以下に抑えられており、型温度80℃以上であればガラス密度の減少率に顕著な差は見られなかった。
なお、比較例1、2(型温度:35℃、プレス圧790ton)の結果から、型温度が低い場合には、プレス圧を大きくする必要がある。
一方、表1−2をみると、530mm×500mm寸法のGMT材92を原料として使用した場合については、比較例5、6(型温度:35℃、プレス圧790ton)のチャージ位置(流動長0mm)でのガラス含有量%が46.7〜47.8であり中間(流動長50mm)でのガラス含有量%が41.1〜41.1であり端末位置(流動長170mm)でのガラス含有量%が41.1〜41.1で、ガラス密度の減少率(%)が4.13〜4.96(すなわち、端末位置でのガラス繊維の密度の、チャージ位置でのガラス繊維の密度に対する比は、0.9504〜0.9587)であり、比較例7、8(型温度80℃、プレス圧220ton)のチャージ位置(流動長0mm)でのガラス含有量%が43.3〜43.3であり中間(流動長50mm)でのガラス含有量%が38.9〜38.9であり端末位置(流動長170mm)でのガラス含有量%が38.9〜38.9で、ガラス密度の減少率(%)が3.36〜3.36(すなわち、端末位置でのガラス繊維の密度の、チャージ位置でのガラス繊維の密度に対する比は、0.9664〜0.9664)であった。
これに対し、実施例7,8(型温度:120℃、プレス圧220ton)のチャージ位置(流動長0mm)でのガラス含有量%が40.0〜43.3であり中間(流動長50mm)でのガラス含有量%が38.9〜42.2であり端末位置(流動長170mm)でのガラス含有量%が38.9〜42.2で、ガラス密度の減少率(%)が0.82〜0.84(すなわち、端末位置でのガラス繊維の密度の、チャージ位置でのガラス繊維の密度に対する比は、0.9916〜0.9918)であり、実施例9,10(型温度160℃、プレス圧220ton)のチャージ位置(流動長0mm)でのガラス含有量%が44.4〜45.6であり中間(流動長50mm)でのガラス含有量%が43.3〜44.4であり端末位置(流動長170mm)でのガラス含有量%が43.3〜44.4で、ガラス密度の減少率(%)が0.81〜0.81(すなわち、端末位置でのガラス繊維の密度の、チャージ位置でのガラス繊維の密度に対する比は、0.9919〜0.9919)であった。
以上のように、530mm×500mm寸法のGMT材92を原料として使用した場合については、本プレス成形方法では、チャージ位置(流動長0mm)と端末位置(流動長170mm)でのガラス密度の減少率が1.0%以下に抑えられているのに対して、従来法では、チャージ位置(流動長0mm)と端末位置(流動長170mm)でのガラス密度の減少率が4.0%前後と大きく、両者の間には顕著な差が確認できる。
このように、本プレス成形方法においては、金型を少なくとも120℃(結晶化温度程度)以上に加熱することによって、プレス成形時に原料の樹脂が金型と接触することによる温度低下が抑えられ、樹脂の流動性を低下させず樹脂とガラス繊維とを併せた状態で成形することができ、原料Aの状態(形状、寸法等)に影響を受けることなく、成形品の端末位置にまでガラス含有量を減少させることなく(具体的には、端末位置でのガラス繊維の密度の、チャージ位置でのガラス繊維の密度に対する比が0.9以上、好ましくは0.97以上、より好ましくは0.99以上となるように)、成形品内に均一にガラス繊維を充填されることを可能にしている。
−流動面積の向上−
繊維強化複合材をプレス成形するに際しては、原料がスムーズに流動して所定範囲に広がることが望ましい。
ここでは、ガラス繊維の含有量が40%のGMT材を原料として、本プレス成形方法によりスペアタイヤパン形状品を成形し、成形したスペアタイヤパン形状品の表面積を測定して流動面積について検証した。なお、チャージされるGMT材は200℃程度に加熱されている。
本検証に使用した金型と、金型に対してチャージしたGMT材の位置関係を図5に示す。図5(a)は、900mm×500mm寸法のGMT材93を用いた場合の金型12に対する配置状態を示し、図5(b)は、上記GMT材93を三分割して重ねた300mm×500mm寸法のGMT材94を用いた場合の金型に対する配置状態を示している。
図5(a),(b)に示すようにGMT材93,94を配置して、従来法を用いた比較例として金型温度を80℃とし、プレス機によりプレス圧220tonでプレス成形し、本プレス成形方法の実施例として金型温度を120℃、140℃、160℃とし、プレス機によりプレス圧220tonでプレス成形した。なお、GMT材94における金型温度が140℃とした実施例21〜23については、プレス機によるプレス圧を220ton、280ton、330tonの三段階で行った。成形されたスペアタイヤパン形状品の表面積を測定した結果を表2−1及び表2−2に示す。
Figure 0006301030
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表2−1を見ると、900mm×500mm寸法のGMT材93を原料として使用した場合については、比較例9,10(型温度:80℃、プレス圧220ton)の成形品の表面積は、5326.4〜5594.2cm2(平均5460.31cm2)であった。
これに対し、実施例11,12(型温度:120℃、プレス圧220ton)の成形品の表面積は、6125.1〜6149.4cm2(平均6137.22cm2)であって比較例9,10の1.12倍であり、実施例13,14(型温度:140℃、プレス圧220ton)の成形品の表面積は、6380.3〜6530.8cm2(平均6455.45cm2)であって比較例9,10の1.18倍であり、実施例15〜17(型温度:160℃、プレス圧220ton)の成形品の表面積は、6533.0〜6930.5cm2(平均6725.75cm2)であって比較例9,10の1.23倍であった。
以上のように、900mm×500mm寸法のGMT材93を原料として使用した場合について、本プレス成形方法による実施例では、比較例9,10(型温度:80℃、プレス圧220ton)に比べて、表面積が一割以上増加しており、特に、実施例15〜17(型温度:160℃、プレス圧220ton)は、表面積が二割以上増加することが確認できる。
また、表2−2をみると、300mm×500mm寸法のGMT材の三枚重ね94を原料として使用した場合については、比較例11〜13(型温度:80℃、プレス圧220ton)の成形品の表面積は、4638.8〜4847.3cm2(平均4754.93cm2)であった。
これに対し、実施例18〜20(型温度:120℃、プレス圧220ton)の成形品の表面積は、5287.1〜5606.9cm2(平均5398.50cm2)であって比較例11〜13の1.14倍であり、実施例23(型温度:140℃、プレス圧220ton)の成形品の表面積は、5828.2cm2であって比較例11〜13の1.20倍)であり、実施例24〜26(型温度:160℃、プレス圧220ton)の成形品の表面積は、6513.7〜6727.5cm2(平均6620.30cm2)であって比較例11〜13の1.39倍であった。
以上のように、300mm×500mm寸法のGMT材の三枚重ね94を原料として使用した場合についても、本プレス成形方法による実施例では、比較例11〜13(型温度:80℃、プレス圧220ton)に比べて、表面積が一割以上増加しており、特に、実施例24〜26(型温度:160℃、プレス圧220ton)は、表面積が四割程度増加することが確認できる。
このように、金型を少なくとも120℃以上に加熱とすることにより、GMT材の形状等の状態にかかわらず、より広い範囲に流動させることができ、特に、金型温度を160℃以上とすることで、チャージする原料の状態にかかわらず流動面積を二割以上増加させることができる。
したがって、本プレス成形方法によれば、チャージする原料の形状等のばらつきに影響を受けにくく、原料を広い範囲に流動させて安定した成形品の成形を行うことができる。
なお、実施例21〜23の想定結果から、プレス圧が高くなるに応じて流動した表面積が大きくなり、上、下金型11、12を加熱することでGMT材を広い範囲に流動させることができることから、さらに圧力を低減させても従来例と同等程度の十分な表面積を得ることができる。
−プレス圧低減−
繊維強化複合材をプレス成形して成形品を成形するに際しては、プレス成形時のプレス圧はできるだけ小さい方が設備的に小型化することができて望ましい。
ここでは、ガラス繊維の含有量が40%のGMT材を原料として、本プレス成形方法によりスペアタイヤパン形状品を成形し、成形時のプレス圧を測定して本プレス成形方法におけるプレス圧について検証した。なお、チャージされるGMT材は200℃程度に加熱されている。
本検証に使用した金型12は、「流動面積の向上」の検証に用いたものと同じものを用いた。GMT材として、900mm×500mm寸法のGMT材の一枚をチャージしたものと、GMT材を三分割して重ねた300mm×500mm寸法のGMT材の三枚重ねでチャージしたものを用いて、金型の温度を35℃、80℃、120℃、140℃にして、成形品の板厚を3mmに成形するためのプレス圧を計測した。
プレス圧とそのときの成形品の立ち壁を面積として算入しない投影面積及び立ち壁を面積として算入する流動面積を測定して、表3−1及び表3−2に示す。単位面積あたりのプレス圧は、プレス圧を投影面積及び流動面積で除算して求めた。
また、表3−1及び表3−2の型温度(℃)を横軸とし、単位面積あたりのプレス圧(kg/cm2)を縦軸として、各計測の値をグラフにして図6(a)(b)に示す。
Figure 0006301030
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図6(a)を見ると、単位面積あたりのプレス圧は、型温度が高くなるについて低くなっており、投影面積については、チャージしたGMT材の状態にかかわらず、型温度が120℃以上になると単位面積あたり80kg/cm2(≒8.16MPa)以下のプレス圧によって成形が可能となっている。
さらに、型温度を140℃以上とすることにより、さらに低圧(6MPa以下)でのプレス加工が可能となる。
従来のプレス面圧としては、15MPa以上の単位面積あたりのプレス圧が必要なことが多かったことから考えると、本プレス成形方法によって、従来法による成形圧力よりも低い圧力である15MPa未満、好ましくは10MPa以下、プレス加工時の上、下金型の温度等により8MPa以下、あるいは6MPa以下と、単位面積あたりのプレス圧を大幅に減少することができる。
したがって、本プレス成形方法によれば、チャージする原料の形状等に影響を受けることなく、比較的小さなプレス圧で成形品を成形することができ、比較的小型のプレス機による成形を可能としている。
−成形品の均質性(長繊維充填性)−
繊維強化複合材をプレス成形するに際しては、プレス成形品の末端部にまで長繊維が充填され、成形品の全体において長繊維の充填状態が均一であることが好ましい。
ここでは、ガラス繊維の含有量が40%のGMT材を原料として、本プレス成形方法により平板状の成形品を成形し、成形した成形品内の長繊維の充填状態を透過X線により観察し、長繊維の充填性について検証した。なお、チャージされるGMT材は200℃程度に加熱されている。
本検証に使用した金型は、250mm×150mm寸法の平板金型であり、平板金型に対して110mm×70mm寸法のGMT材を4枚重ねてチャージした。原料のGMT材のチャージ箇所を平板金型の中央位置と左下端部の2カ所に設定し、従来法を用いた比較例として金型温度を40℃としプレス面圧を3.8MPaとしてプレス成形し、本プレス成形方法の実施例として金型温度を160℃としプレス面圧を3.8MPaとしてプレス成形して、それぞれ平板状の成形品を成形した。
比較例と実施例によって成形した平板状の成形品の透過X線写真を、図7に示す。図7(a)は、GMT材Aのチャージ箇所を成形品の中央部分とした比較例であり、図7(b)は、GMT材Aのチャージ箇所を成形品の左下端部とした比較例であり、図7(c)は、GMT材Aのチャージ箇所を成形品の中央部分とした実施例であり、図7(d)は、GMT材Aのチャージ箇所を成形品の左下端部とした実施例である。
図7(a)及び図7(b)に見られるように、比較例においては、GMT材Aのチャージ箇所を成形品の中央部分とした場合と同左下端部とした場合のいずれにおいても流動末端部に長繊維の未充填の部分a−1〜a−3(図7(a))、b−1,b−2(図7(a))が発生していた。
これに対して、本プレス成形方法による実施例は、チャージ箇所をいずれにした場合においても、長繊維の未充填の箇所は認められず、成形品の端部にまで十分な長繊維が充填されることが確認できた。
このように、本プレス成形方法のように金型温度を160℃以上とすることで、GMT材Aの熱可塑性樹脂の流動性が高く保たれ、混入した長繊維を熱可塑性樹脂とともに流動させ、プレス面圧を低く設定しても成形品の端部にまで均一に充填することができる。
−成形品の衝撃に対する強さ(靭性)−
繊維強化複合材をプレス成形して成形される成形品は、リブ等の細部にまで繊維が十分に充填されることにより、衝撃に対する強さを確保することができる。
ここでは、ガラス繊維の含有量が40%のGMT材を原料として、本プレス成形方法により成形品を成形し、成形した成形品のリブ部分に対して衝撃試験を行い、本プレス成形方法による成形品の耐衝撃性について検証した。なお、チャージされるGMT材は200℃程度に加熱されている。
従来法による比較例として、金型温度を80℃としプレス圧45Kg/cm2とし、本プレス成形方法の実施例として金型温度を160℃としプレス圧45Kg/cm2として、それぞれ図8(a)に示す成形品をプレス成形し、成形品のフランジ部B(図8(b))から試験片Cを採取した。
それぞれの試験片Cに対してアイゾット衝撃試験を行い、流動末端部の物性比較を実施して耐衝撃性を検証した。上記比較例と実施例についての、アイゾット衝撃試験の結果及び破壊後の試験片Cの透過X線写真を図8(c)に示す。
図8(c)の破壊後の試験片Cの透過X線に見られるように、従来法による比較例では、フランジ部Bには十分な長繊維が充填されず、試験片Cに対するアイゾット衝撃試験による数値はGMT標準値の約1/4程度(197J/m)に低下している。
これに対して、本プレス成形方法では、フランジ部Bの端部にまで長繊維が充填されており、試験片Cに対するアイゾット衝撃試験による数値はGMT標準値と略同等(914J/m)であることが分かった。
以上のことから、本プレス成形方法によれば、成形される成形品にフランジやリブ等の細部があっても、細部の末端部に到るまでガラス繊維を十分充填することができ、細部の強度を低下させることがないことが確認された。
−GF高含有材に対する適用性−
従来のプレス成形法では、熱可塑性樹脂にガラス繊維等強化繊維が高含有率で含まれる繊維強化複合材をプレス成形して成形品の細部にまで強化繊維を充填させることが難しく、使用できる繊維強化複合材の強化繊維含有量は50%程度が限度であった。
本プレス成形方法によれば、繊維強化複合材の強化繊維含有量を20%から75%程度の範囲で適宜設定することができる。物理的な強度の高い成形品を成形するために、強化繊維含有量を50%以上、もしくは60%以上とすることも可能である。
ここでは、ガラス繊維の含有量が60%のGMT材を原料として、本プレス成形方法によりトレイ形状の成形品を成形し、成形した成形品の機械的物性を評価し、本プレス成形方法のGF高含有材に対する適用可能性について検証した。なお、チャージされるGMT材は200℃程度に加熱されている。
従来法による比較例として、金型温度80℃としプレス圧200Kg/cm2とし、本プレス成形方法による実施例として、金型温度150℃としプレス圧200Kg/cm2とし、それぞれ図9(a)に示すトレイ形状の成形品を成形した。
成形したトレイ形状の成形品の厚さの異なる4つのリブ部R1(t=4mm),リブ部R2(t=3mm),リブ部R3(t=2mm),リブ部R4(t=5mm)について、透過X線で繊維の充填状況を観察した。図9(b)は、従来法による前記比較例で成形した成形品のリブ部R1乃至リブ部R4の透過X線写真であり、図9(c)は、本プレス成形方法による前記実施例で成形した成形品のリブ部R1乃至リブ部R4の透過X線写真である。さらに、図9(d)は、ガラス繊維の含有量が65%のGMT材を原料として、本プレス成形方法による実施例で成形した成形品のリブ部R1乃至リブ部R4の透過X線写真である。
図9(b)に示すように、比較例のプレス成形では、全ての厚さのリブ部R1乃至リブ部R4の先端部でガラス繊維が十分に充填されていないことが確認でき、特に、幅寸法が小さいリブほどその減少は顕著であった。一方、図9(c)に示すように、本プレス成形方法を用いて成形されたトレイの各リブ部R1乃至リブ部R4は、幅寸法の小さいものであっても十分なガラス繊維の充填が認められた。さらに、図9(d)に示すように、ガラス繊維の含有量が65%のGMT材を原料として使用した成形品にあっても、各リブ部R1乃至リブ部R4には、十分なガラス繊維の充填が認められた。
繊維強化複合材による成形品については、ガラス繊維の含有量が多いほど物理的な強度(引っ張り強度、曲げ強度、アイゾッド衝撃強度、パンクチャー衝撃強度等)は向上することから、本プレス成形方法によって、より強度の高い成形品の成形が可能となった。
−表面転写性−
繊維強化複合材をプレス成形して成形される成形品においても、その他の工業製品同様にその表面は美しく、なめらかであることが望まれる。
ここでは、本プレス成形方法及び従来法により、ガラス繊維の含有量が30%のGMT材を原料として成形品を成形して、両成形品の表面の状態を顕微鏡により観察し、両者を比較して本プレス成形方法により成形した成形品の表面転写性について検証した。なお、チャージされるGMT材は200℃程度に加熱されている。
従来法による比較例として、金型温度80℃としプレス面圧40Kg/cm2(プレス圧:36ton)とし、本プレス成形方法による実施例として、金型温度120℃としプレス面圧40Kg/cm2(プレス圧:36ton)として、それぞれ成形品を成形した。金型として、図10(a)に示す、シボパターンMTJ−605、深さ140μmのシボ金型を使用した。
比較例及び実施例により成形した成形品の表面の顕微鏡写真を図10(b),(c)に示す。
図10(b)に見られるように、金型を80℃に加熱した比較例では、成形品の表面にはガラス繊維の浮きやシボ欠け等が見られた。一方、図10(c)に見られるように、本プレス成形方法の従来例により成形した成形品の表面にはガラス繊維の浮きやシボ欠け等は見られず、外観はなめらかで良好であった。
なお、加熱したGMT材の表面温度185〜195℃の範囲とすることにより、外観見栄えがよく、好ましい。
以上のように、本プレス成形方法によれば、成形品の表面にガラス繊維の浮きやシボ欠けが生じるのを抑制し、表面を良好にすることができる。
以上、本発明のプレス成形方法は、加熱したGMT材(中間基材)を、加熱した金型によりプレスして加圧状態を保持することにより、加熱されたGMT材の温度を金型との接触により低下させることなく成形するので、GMT材の熱可塑性樹脂とガラス繊維の流動性を維持することができ、「成形品のガラス繊維の充填性」、「流動面積の向上」、「プレス圧低減」、「成形品の均質性(長繊維充填性)」、「成形品の衝撃に対する強さ(靭性)」、「GF高含有材に対する適用性」、「表面転写性」について、従来法に比較して、優れた効果を有するものである。
そして、金型の加熱温度を少なくとも120℃(結晶化温度程度)以上とすることにより、従来法では、比較的面積の小さいGMT材に対しては、成形品のガラス含有量の減少率が4%程度であったものが、そのガラス含有量の減少率を、1%以下に抑えることができ、成形品のガラス繊維の充填性において特に優れた効果を有するものである。
このことは、本発明のプレス成形方法によれば、原料であるGMT材の形状等状態に影響を受けることなく、安定した成形品を成形することができることを意味するものであり、本発明のプレス成形方法により、不良品の発生を抑えて生産効率を向上させることができる。
1 :プレス機
11 :上金型
12 :下金型
2 :加熱搬送路
21 :加熱炉
3 :マニーホールド
4 :加熱冷却制御手段
5 :ボイラー
6 :冷却塔
7 :蒸気供給路
7a :制御弁
8 :冷却水供給路
8a :制御弁
9 :搬送装置
A :原料
B :成形品

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂中に強化繊維が混練分散してなる中間基材を、金型によりプレス成形してプレス成形品を成形する方法であって、前記プレス成品の成形方法は、
    加熱した中間基材を、120℃以上140℃未満に加熱した前記金型により8.16MPa以下の単位面積あたりのプレス圧でプレスして加圧し、又は、140℃以上160℃以下に加熱した前記金型により6MPa以下の単位面積あたりのプレス圧でプレスして加圧し、加圧状態を保持する工程と、
    加圧状態を保持しながら前記金型を冷却する工程と、
    前記金型を冷却後にプレス圧を解放する工程と、
    を含み、
    プレス成形された前記中間基材の流動長170mmの位置での前記強化繊維の密度の、前記中間基材の流動長0mmの位置での前記強化繊維の密度に対する比は、0.9以上である、プレス成形品の成形方法。
  2. 前記中間基材中の前記強化繊維の含有量は20%〜75%である、請求項1に記載のプレス成品の成方法。
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