JP6300269B2 - 特性情報作成装置、特性情報作成プログラム、特性情報作成システム、特性情報作成方法、光学フィルムの設計方法及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents

特性情報作成装置、特性情報作成プログラム、特性情報作成システム、特性情報作成方法、光学フィルムの設計方法及び光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルムの映込み特性を示す情報を作成する装置、映込み特性を示す情報を作成するためのプログラム、映込み特性を示す情報を作成するシステム、映込み特性を示す情報の作成方法、光学フィルムの設計方法及び光学フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置等の画像表示装置の画面には、外光の映り込みを抑制するために、防眩性などを付与する表面処理が施された光学フィルムが貼付されることがある(特許文献1参照)。このような光学フィルムは表面処理フィルムとして知られる。
特開2003−279485号公報
表面処理フィルムにおける映込み特性(例えば、防眩性)の評価並びに所望の映込み特性を有する光学フィルムの設計などは、従来、経験に基づいていた。また、光学フィルムを製造する際も、試作した光学フィルムの評価については、上記のように、経験に基づいていた。そのため、光学フィルムを、効率的に、評価、設計又は製造できないという問題があった。
そこで、本発明は、光学フィルムを、効率的に、評価、設計又は製造することが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る特性情報作成装置は、画像表示装置の画面に貼付される光学フィルムの映込み特性を示す情報を作成する特性情報作成装置であって、第1の画像データを2次元フーリエ変換して第1のスペクトル分布を算出するフーリエ変換部であって、第1の画像データは、支持体に貼付された特性情報作成用光学フィルムに所定画像が映り込むことによって特性情報作成用光学フィルムの表面に現れる第1の映込み画像を撮像装置が撮影して得られる信号データに基づく第1の映込み画像に対応する第1の画像データである、フーリエ変換部と、参照用の第2のスペクトル分布と、第1のスペクトル分布との比を演算することによって、相対スペクトル分布を算出する相対スペクトル分布作成部であって、第2のスペクトルは、支持体に貼付された参照用光学フィルムに所定画像が映り込んで参照用光学フィルムの表面に現れる第2の映込み画像に対応する第2の画像データを2次元フーリエ変換して得られるスペクトル分布である、相対スペクトル分布作成部と、相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を算出し、空間周波数に対する上記平均の変化を映込み特性としたとき、映込み特性を式(1)で近似し、式(1)内のパラメータρa0,ρa1,μ及びσを決定することによって、映込み特性を示す情報としての関数ρを生成する特性情報生成部と、を備える。

式(1)において、rは空間周波数である。
本発明の他の側面に係る特性情報作成プログラムは、画像表示装置の画面に貼付される光学フィルムの映込み特性を示す情報を作成する特性情報作成プログラムであって、コンピュータに、第1の画像データを2次元フーリエ変換して第1のスペクトル分布を算出するフーリエ変換工程であって、前記第1の画像データは、支持体に貼付された特性情報作成用光学フィルムに所定画像が映り込むことによって特性情報作成用光学フィルムの表面に現れる第1の映込み画像を撮像装置が撮影して得られる信号データに基づく第1の映込み画像に対応する第1の画像データである、フーリエ変換工程と、参照用の第2のスペクトル分布と、第1のスペクトル分布との比を演算することによって、相対スペクトル分布を算出する相対スペクトル分布作成工程であって、第2のスペクトルは、支持体に貼付された参照用光学フィルムに所定画像が映り込んで参照用光学フィルムの表面に現れる第2の映込み画像に対応する第2の画像データを2次元フーリエ変換して得られるスペクトル分布である、相対スペクトル分布作成工程と、相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を算出し、空間周波数に対する上記平均の変化を映込み特性としたとき、映込み特性を式(2)で近似し、式(2)内のパラメータρa0,ρa1,μ及びσを決定することによって、映込み特性を示す情報としての関数ρを生成する特性情報生成工程と、を実行させる。

式(2)において、rは空間周波数である。
本発明の更に他の側面に係る特性情報作成方法は、画像表示装置の画面に貼付される光学フィルムの映込み特性を示す情報を作成する特性情報作成方法であって、支持体に貼付された特性情報作成用光学フィルムに所定画像が映り込むことによって特性情報作成用光学フィルムの表面に現れる第1の映込み画像を、特性情報作成用光学フィルムに対向して配置された撮像装置で撮影する撮影工程と、撮像装置から第1の映込み画像に対する信号データに基づく第1の映込み画像に対応する画像データを2次元フーリエ変換して第1のスペクトル分布を算出するフーリエ変換工程と、参照用の第2のスペクトル分布と、第1のスペクトル分布との比を演算することによって、相対スペクトル分布を作成する相対スペクトル分布作成工程であって、第2のスペクトル分布は、支持体に貼付された参照用光学フィルムに所定画像が映り込んで参照用光学フィルムの表面に現れる第2の映込み画像に対応する第2の画像データを2次元フーリエ変換して得られるスペクトル分布である、相対スペクトル分布作成工程と、相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を算出し、空間周波数に対する上記平均の変化を映込み特性としたとき、映込み特性を式(3)で近似し、式(3)内のパラメータρa0,ρa1,μ及びσを決定することによって、映込み特性を示す情報としての関数ρを生成する特性情報生成工程と、を備える。

式(3)において、rは空間周波数である。
上記特性情報作成装置、特性情報作成プログラム及び特性情報作成方法において、第1及び第2のスペクトル分布は、同じ支持体に貼付された特性情報作成用光学フィルム及び参照用光学フィルムに対して所定画像が映り込んだ第1及び第2の映込み画像に対応する第1及び第2の画像データを2次元フーリエ変換して得られるスペクトル分布である。そのため、相対スペクトル分布は、参照用光学フィルムの映込み特性を基準とした特性情報作成用光学フィルムの映込み特性を表している。
上記構成では、相対スペクトル分布に含まれる同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を算出する。そして、空間周波数に対する相乗平均の変化として表される映込み特性を式(1)、式(2)又は式(3)で表される関数ρで近似し、式(1)、式(2)又は式(3)内のパラメータρa0,ρa1,μ及びσを決定することによって、特性情報作成用光学フィルム映込み特性を示す情報としての関数ρを生成している。
このように、映込み特性を関数ρで表しているので、客観的に、特性情報作成用光学フィルムの映込み特性を評価可能であり、また、評価が一意に決まる。そのため、映込み特性の評価の時間を短縮可能であり、特性情報作成用光学フィルムの映込み特性の評価を効率的に実施可能である。
また、相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの相乗平均を算出することは、空間周波数が0を原点とした座標系で相対スペクトル分布を表した場合において、同じ空間周波数を有する複数のスペクトルの原点周りの平均値を相乗平均によって算出することに相当する。そのため、相乗平均の算出によって、空間周波数に対する方位角依存性のないスペクトル情報が得られる。このように方位角依存性を除くことによって、所定画像に依存しておらず、参照用光学フィルムの映込み特性に対する、特性情報作成用光学フィルムの映込み特性を評価する評価用情報を取得できる。
一実施形態に係る特性情報作成装置が備える特性情報生成部は、相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を、相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの相乗平均として算出してもよい。同様に、一実施形態に係る特性情報作成プログラムにおいて、上記特性情報生成工程では、相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を、相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの相乗平均として算出してもよい。同様に、一実施形態に係る特性情報作成方法において、上記特性情報生成工程では、相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を、相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの相乗平均として算出してもよい。
また、本発明者らの知見によれば、相対スペクトル分布に含まれる同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を計算する際、相乗平均を利用して算出した場合の方が、相加平均を利用して算出した場合より、空間周波数に対して上記平均をプロットした場合のバラツキが小さい。そして、上記構成では、相対スペクトル分布に含まれる同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均値を、相乗平均を利用して算出しているので、空間周波数に対する相乗平均の変化の近似曲線である関数ρを、より精度良く決定できる。
一実施形態に係る特性情報作成装置は、上記信号データを輝度データに変換することによって、第1の画像データを作成する画像データ作成部を有し、フーリエ変換部は、画像データ作成部で作成された第1の画像データを2次元フーリエ変換してもよい。また、一実施形態に係る上記特性情報作成プログラムは、コンピュータに、信号データを輝度データに変換することによって、第1の画像データを作成する画像データ作成工程を、更に実行させ、フーリエ変換工程は、画像データ作成工程で作成された第1の画像データを2次元フーリエ変換してもよい。同様に、一実施形態に係る特性情報作成方法は、信号データを輝度データに変換することによって、第1の画像データを作成する画像データ作成工程を、更に有し、フーリエ変換工程は、画像データ作成工程で作成された前記第1の画像データを2次元フーリエ変換してもよい。
理論的には、輝度は光量に比例している。しかしながら、撮像装置によっては、その出力データである信号データが光量に比例していない場合がある。信号データを、輝度データに変換して画像データを作成すれば、実際の明るさに対応した画像データに基づいて特性情報作成用光学フィルムを評価し得る。
一実施形態に係る特性情報作成装置において、上記画像データ作成部は、複数の信号データをそれぞれ輝度データに変換し、変換された輝度データを合成することによって、第1の画像データを作成し、複数の信号データは、撮像装置における露出量が異なっている第1の映込み画像に対応する信号データであってもよい。同様に、一実施形態に係る特性情報作成プログラムにおいて、上記画像データ作成工程は、複数の信号データをそれぞれ輝度データに変換し、変換された輝度データを合成することによって、第1の画像データを作成し、複数の信号データは、撮像装置における露出量が異なっている第1の映込み画像に対応する信号データであってもよい。同様に、一実施形態に係る特性情報作成方法において、上記画像データ作成工程は、複数の信号データをそれぞれ輝度データに変換し、変換された輝度データを合成することによって、第1の画像データを作成し、複数の信号データは、撮像装置における露出量が異なっている第1の映込み画像に対応する信号データであってもよい。
撮像装置にはダイナミックレンジがあるので、実際の画像の明るさを一度の撮影では得られない場合があるが、画像データ作成部が、撮像装置における露出量が異なっている複数の信号データをそれぞれ輝度データに変換し、変換された輝度データを合成して第1の画像データを作成することによって、実際の明るさの画像に対応する画像データを得ることができる。そのため、実際の明るさに対応した画像データに基づいて特性情報作成用光学フィルムを評価し得る。
本発明の更に他の側面に係る特性情報作成システムは、画像取得部と、本発明の一側面に係る特性情報作成装置と、を備え、画像取得部は、特性情報作成用光学フィルムが貼付される支持体、支持体と対向して配置され特性情報作成用光学フィルムに映り込ませる所定画像を表示する画像表示装置、及び、支持体と、画像表示装置との間に配置され所定画像が特性情報作成用光学フィルムに映り込むことによって特性情報作成用光学フィルムの表面に現れる第1の映込み画像を撮影して、第1の映込み画像に対応する信号データを得る撮像装置と、を有し、特性情報作成装置には、画像取得部が有する撮像装置からの信号データが入力される。
上記構成では、支持体に貼付された特性情報作成用光学フィルムに映り込んだ第1の映込み画像は、支持体に対向して配置された画像表示装置に表示される所定画像が特性情報作成用光学フィルムに映り込んだものである。このように特性情報作成用光学フィルムの表面に現れる第1の映り込み画像を撮像装置が撮影して得られる信号データを、特性情報作成装置が処理して、評価用情報を作成する。特性情報作成用光学フィルムには、それに対向した画像表示装置に表示される所定画像を映り込ませるので、季節や時間などによる評価用情報への影響を低減できる。そのため、特性情報作成用光学フィルムをより正確に評価できる。
本発明の更に他の側面に係る設計方法は、画像表示装置の画面に貼付される光学フィルムの設計方法であって、基準画像データを2次元フーリエ変換して基準スペクトル分布を算出するフーリエ変換工程であって、基準画像データは、支持体に貼付された基準光学フィルムに所定画像が映り込むことによって基準光学フィルムの表面に現れる映込み画像を撮像装置が撮影して得られる基準映込み画像に対する信号データに基づいた画像である、フーリエ変換工程と、被設計光学フィルムの映込み特性を表しており式(4)で定義される関数ρであって、パラメータρb0、ρb1、μ及びσに初期値が設定されている関数ρをフィルタとして使用して、基準スペクトル分布をフィルタ処理し、得られたスペクトル分布を逆フーリエ変換することによって、被設計光学フィルムに所定画像が映り込んだとした場合のシミュレーション映込み画像を作成するシミュレーション映込み画像作成工程と、シミュレーション映込み画像作成工程で作成されたシミュレーション映込み画像における所定画像の映り込み状態が許容範囲か否かを判定する判定工程と、判定工程において、シミュレーション映込み画像における映り込み状態が許容範囲でないと判定された場合、関数ρのパラメータρb0、ρb1、μ及びσの少なくとも一つを修正する修正工程と、判定工程において、シミュレーション映込み画像における映り込み状態が許容範囲であると判定された場合、映込み画像作成工程において使用した関数ρを被設計光学フィルムの映込み特性として決定する映込み特性決定工程と、を備え、修正工程が実施された場合、修正工程で修正された関数ρに基づいて、シミュレーション映込み画像作成工程を実施する。

式(4)において、rは空間周波数である。
上記設計方法では、式(4)で定義されており、各パラメータρb0、ρb1、μ及びσに値が入力されている関数ρをフィルタとして、フーリエ変換工程で算出される上記基準スペクトル分布をフィルタ処理している。式(4)において、ρは、基準光学フィルムに対する特性情報作成用光学フィルムの映込み特性であるから、上記フィルタ処理によって、仮に、被設計光学フィルムに上記所定画像が映し込まれた場合の映込み画像に対応する2次元スペクトル分布が得られる。そのため、フィルタ処理して得られたスペクトル分布を逆フーリエ変換することによって、被設計光学フィルムに上記所定画像が映し込まれた場合の映込み画像としてのシミュレーション映込み画像が再現される。上記設計方法では、このようして得られたシミュレーション映込み画像における映り込み状態を判定し、映り込み状態が許容範囲でない場合、パラメータρb0、ρb1、μ及びσの少なくとも一つを修正して、再度、シミュレーション映込み画像を作成する。そのため、許容範囲の映り込み状態を実現可能な映込み特性としての関数ρを設計できる。このように、上記設計方法では、映込み特性を関数ρで表していることから、シミュレーション映込み画像が作成でき、その映込み状態を参照して、所望の映込み特性を有する光学フィルムを設計できる。また、映込み特性を関数ρで表しているので、パラメータρb0、ρb1、μ及びσを修正することによって、映込み特性を調整できる。そのため、光学フィルムを設計者の経験によって設計する場合に比べて、所望の映込み特性を有する光学フィルムを効率的に設計出来る。
一実施形態において、支持体に貼付された基準光学フィルムに所定画像が映り込むことによって基準光学フィルムの表面に現れる基準映込み画像を撮像装置が撮影する撮影工程を更に備え、フーリエ変換工程では、撮影工程で取得された設計用映込み画像に対応する信号データに基づく基準画像データを2次元フーリエ変換して基準スペクトル分布を算出してもよい。
一実施形態において、信号データを輝度データに変換することによって、基準画像データを作成する画像データ作成工程を、更に有し、フーリエ変換工程は、画像データ作成工程で作成された前記基準画像データを2次元フーリエ変換してもよい。
理論的には、輝度は光量に比例している。しかしながら、撮像装置によっては、その出力データである信号データが光量に比例していない場合がある。信号データを、輝度データに変換して画像データを作成すれば、実際の明るさに対応した基準画像データに基づいて被設計光学フィルムの映込み特性を設計できる。
一実施形態において、基準光学フィルムから透過した支持体の像である透過像を撮像装置で撮影して得られる信号データに基づく透過像の画像データに、映込み画像作成工程で作成された映り込み画像を重畳して得られる合成画像を作成する画像合成工程を更に備え、判定工程では、合成画像に含まれるシミュレーション映込み画像における所定画像の映り込み状態が許容範囲か否かを判定する。
この場合、被設計光学フィルムが実際に使用された状態により近い状態で被設計光学フィルムを効率的に設計できる。
一実施形態において、上記フーリエ変換工程で2次元フーリエ変換される上記基準画像データは、信号データに基づいて作成された画像データの輝度をN倍(Nは0より大きい実数)された画像データであってもよい。
被設計光学フィルムが使用される環境の明るさによって映り込み状態が影響を受ける場合があるが、上記方法では、所望の明るさ状態での被設計光学フィルムへの映り込みをシミュレーションできる。そのため、種々の明るさに対応して、所望の映り込み特性を有する光学フィルムを設計できる。
本発明の更に他の側面に係る光学フィルムの製造方法は、画像表示装置の画面に貼付される光学フィルムの製造方法であって、光学フィルムを所定の製造条件を試作する試作工程と、試作工程で試作された光学フィルムを、本発明の一側面に係る特性情報作成方法における特性情報作成用光学フィルムとして、上記特性情報作成方法によって、試作工程で試作された光学フィルムの映込み特性を示す情報を作成する特性情報作成工程と、特性情報作成工程で作成される映込み特性を示す情報としての式(3)で表される関数ρの各パラメータρa0,ρa1,μ及びσが許容範囲か否かを判定する判定工程と、を備え、判定工程において、パラメータρa0,ρa1,μ及びσのうちの少なくとも一つが許容範囲でないと判定された場合、試作工程における製造条件を変更して試作工程を行い、判定工程において、パラメータρa0,ρa1,μ及びσが許容範囲であると判定された場合、試作工程における製造条件に基づいて製品としての光学フィルムを製造する。
上記製造方法では、試作した光学フィルムの映込み特性情報を、本発明の一側面に係る上記特性情報作成方法によって作成しているので、試作した光学フィルムの映込み特性を客観的に評価可能である。更に、判定工程において、パラメータρa0,ρa1,μ及びσのうちの少なくとも一つが許容範囲でないと判定された場合であっても、パラメータρa0,ρa1,μ及びσの値の変化を参照しながら、製造条件を変更できるので、光学フィルムの試作回数を低減できる。その結果、効率的に光学フィルムを製造できる。
一実施形態において、上記光学フィルムの製造方法は、本発明の他の側面に係る光学フィルムの設計方法で光学フィルムを設計する設計工程を更に備え、判定工程では、特性情報作成工程で作成される映込み特性情報としての関数ρを定義する各パラメータρa0,ρa1,μ及びσが、設計工程で決定された式(4)で表される関数ρを定義しており、パラメータρa0,ρa1,μ及びσに対応する各パラメータρb0、ρb1、μ及びσに対して許容範囲か否かを判定してもよい。
この場合、特性情報作成工程で算出されるパラメータρa0,ρa1,μ及びσが、設計値、すなわち、設計工程で決定される各パラメータρb0、ρb1、μ及びσに対して許容範囲か否かを判定する。そのため、設計された映込み特性を有する光学フィルムをより効率的に製造出来る。
本発明によれば、効率的に、光学フィルムを評価、設計又は製造する技術を提供できる。
一実施形態に係る特性情報作成装置を備える特性情報作成システムの概略構成を示す図面である。 図1に示した特性情報作成装置を利用した特性情報作成方法のフローチャートである。 図3は、露出量の異なる複数の画像の撮像を説明するための模式図である。 (a)は、参照用光学フィルムに映り込んだ映込み画像の一例を示す図面である。(b)は、特性情報作成用光学フィルムに映り込んだ映込み画像の一例を示す図面である。 輝度データ変換を説明するための図面である。 (a)は、参照用光学フィルムに映り込んだ映込み画像に対するスペクトル分布である。(b)は、特性情報作成用光学フィルムに映り込んだ映込み画像に対するスペクトル分布である。 図6(a)及び図6(b)に示したスペクトル分布に対して、相対スペクトル分布を算出した結果を示す図面である。 空間周波数に対して、平均相対強度をプロットしたグラフである。 シグモイド関数を示す図面である。 測量値拡張型シグモイド関数を示す図面である。 図8に示した平均相対強度分布と、その近似曲線を示した図面である。 図11に示されている関数ρに基づいて特性情報作成用光学フィルムの映込み画像を再現した図面である。 特性情報作成用光学フィルムとして、光学フィルムE2を使用した場合の映り込み画像を示す図面である。 図13に示した画像を利用して図2に示した評価方法を実施して得られた平均相対強度分布と、その近似曲線を示す図面である。 図14に示されている関数ρに基づいて特性情報作成用光学フィルムの映込み画像を再現した図面である。 特性情報作成用光学フィルムとして、光学フィルムE3を使用した場合の映り込み画像を示す図面である。 図16に示した画像を利用して図2に示した評価方法を実施して得られた平均相対強度分布と、その近似曲線を示す図面である。 図17に示されている関数ρに基づいて特性情報作成用光学フィルムの映込み画像を再現した図面である。 相加平均による平均相対強度と、相乗平均による平均相対強度とを、空間周波数に対してプロットした図面である。 一実施形態に係る設計方法を実施するための設計システムの概略構成を示す図面である。 図20に示した設計システムを利用した設計方法のフローチャートである。 図4(a)と、光学フィルムE2の映込み特性を示す関数ρを利用して得られたシミュレーション映り込み画像を示す図面である。 透過像の画像を示す図面である。 シミュレーション合成画像を示す図面である。 実際の光学フィルムを使用した場合の合成画像に対応する図面である。 実験で得られた各画像に基づく平均相対強度分布を示す図面である。 複数の関数ρを示す図面である。 図27に示した各関数を、光学フィルムの映り込み特性とした場合における合成画像を示す図面である。 一実施形態に係る光学フィルムの製造方法を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。同一の要素には同一符号を付する。重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。説明中、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
図1は、一実施形態に係る特性情報作成装置を備える特性情報作成システムの概略構成を示す図面である。特性情報作成システム1は、画像表示装置の画面に貼付される光学フィルムの映込み特性を示す情報を作成するシステムである。
映込み特性を示す情報(以下、「映込み特性情報」とも称す)が作成されるべき対象としての光学フィルム(特性情報作成用光学フィルム)は、表面処理が施された表面処理フィルムである。表面処理の一例は、反射防止機能及び防眩性の少なくとも一方が付与されるような表面処理である。具体的には、表面処理フィルムとしての光学フィルムは、透明な基材フィルムの表面に光拡散層(或いは防眩層)を形成したフィルム或いは透明な基材フィルムの表面に微細な凹凸を形成したフィルムなどが例示され得る。上記基材フィルムの例は、ポリエチレンテレフタレートといった透明な樹脂である。
上述した表面処理フィルムのように、画像表示装置の画面に貼付される光学フィルムは、画面の保護フィルムとしても機能する。画像表示装置の例は、液晶ディスプレイ及びプラズマディスプレイといったフラットパネルディスプレイである。
特性情報作成システム1は、映込み特性情報を作成するための画像を取得する画像取得部10と、空間周波数解析を利用して光学フィルムの映込み特性情報を作成する特性情報作成装置20と、を備える。
画像取得部10は、2台の画像表示装置11,12と、撮像装置としてのカメラ13とを有する。
2台の画像表示装置11,12は、それらの画面11a,12aが互いに向かいあうように、一定の距離を開けて配置されている。画像取得部10で使用される画像表示装置11,12の例も上述したフラットパネルディスプレイである。画像表示装置11の画面11aには、評価用情報を作成するために使用される光学フィルム30が貼付される。画像表示装置11は、光学フィルム30を支持する支持体として機能する。
画像表示装置12は、光学フィルム30に映り込ませる所定画像を表示する。図1では、所定画像が画面12aに表示されることによって発せられる光を矢印で模式的に示している。
カメラ13は、画像表示装置11と画像表示装置12との間に配置されている。カメラ13は、画面11aに貼付された光学フィルム30がカメラ13の撮影範囲内に入るように配置されていればよい。カメラ13は、通常、画像表示装置12寄りであって、画面12aの中央近傍に配置される。カメラ13は、CMOSイメージセンサといった撮像素子を備えており、撮影した画像に対応する信号データを出力し得る。カメラ13と、画面11aに貼付された光学フィルム30との間の距離は、例えば、カメラ13のレンズ特性に応じて適切な画像を取得可能な距離に設定すればよい。
一実施形態において、画面12aは、画面11a及びカメラ13の大きさより大きくしてもよい。これにより、画面12aに表示された所定画像を、光学フィルム30に映り込ませられ得る。
特性情報作成装置20は、ユーザ(操作者又は評価者)からの指示の入力或いはカメラ13からの信号データを受け付ける入力部21と、各種データ及びプログラムを記憶する記憶部22と、カメラ13から特性情報作成装置20に入力される信号データを処理して、評価用情報を作成する特性情報作成部23と、作成した映込み特性情報をユーザに提示するための表示部24と、特性情報作成装置20の各構成要素(例えば、入力部21、特性情報作成部23等)を制御する制御部25とを備える情報処理装置である。図1では、特性情報作成装置20の構成を機能ブロックで示している。特性情報作成装置20の各構成要素は、互いにデータを通信可能なように電気的に接続されている。
入力部21は、例えば、操作者からの指示の入力を受け付けるキーボード及び信号データなどを受け付けるインターフェースを有する。また、表示部24が例えばタッチパネル式のディスプレイである場合、入力部21は、表示部24を介しての入力も受け付ける。記憶部22は、例えば、RAM及びROM等を有する。表示部24は、液晶ディスプレイといったディスプレイである。制御部25は、例えば、CPUである。
特性情報作成部23は、カメラ13からの信号データに基づいたデータ処理用の画像データを作成する画像データ作成部23Aと、画像データを2次元フーリエ変換してスペクトル分布を得るフーリエ変換部23Bと、参照用の所定のスペクトル分布(第2のスペクトル分布)に対する、評価用の光学フィルム30に対するスペクトル分布(第1のスペクトル分布)の比を演算することによって、相対スペクトル分布を作成する相対スペクトル分布作成部23Cと、相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの方位角に対する平均値を算出し、算出された平均値を利用して映込み特性情報を生成する特性情報生成部23Dと、を有する。
特性情報作成装置20が有する各構成要素の具体的な機能については、特性情報作成方法の各工程を説明する際に、より具体的に説明する。
次に、一実施形態に係る特性情報作成方法について、カメラ13が備える撮像素子をCMOSイメージセンサとして説明する。図2は、図1に示した特性情報作成装置を利用した特性情報作成方法のフローチャートである。
まず、特性情報作成装置20でデータ処理すべき画像を撮影する(撮影工程S10)。撮影工程S10について具体的に説明する。
映込み特性情報の作成対象としての光学フィルム30を画像表示装置11の画面11aに貼付した後、画像表示装置12の画面12aに所定画像を表示する。これにより、光学フィルム30の表面(画面11aと反対側の面)に、画面12aで表示された所定画像が擬似外光として映り込む。次に、カメラ13で光学フィルム30に映り込んだ画像(以下、映込み画像と称す)を撮影する。この撮影の際、画像表示装置11の電源はOFF、すなわち、画面11aには何も表示させない。
映込み画像を撮影する場合、カメラ13の露出量を変えた複数枚の画像を撮影する。露出量は、例えば、カメラ13の絞りを一定にして露出時間を変化させることによって調整され得る。これは、図3に示すように、撮影したい実際の画像の明るさを複数の明るさの範囲に分割して撮影していることに対応する。図3では、撮影したい実際の画像の明るさの範囲を、第1の明るさ範囲、第2の明るさ範囲及び第3の明るさ範囲の3つに分割している例を模式的に示している。
撮影したい実際の画像の明るさの範囲を輝度に換算した場合の範囲が、0.55〜720cd/mである場合、第1〜第3の明るさ範囲に対応する第1〜第3の輝度範囲の例は次の通りである。すなわち、第1の輝度範囲の例は0.55〜7.4cd/mであり、第2の輝度範囲の例は、7.4〜60cd/mであり、第3の輝度範囲の例は60〜720cd/mである。明るさ範囲の分割数は、撮影したい実際の画像の明るさと、CMOSイメージセンサのダイナミックレンジの大きさに応じて決定すればよく、分割数は3に限定されない。分割した明るさ範囲は、図3に示したように重複範囲がなくてもよいが、一定の重複範囲が生じていても良い。
撮影工程S10では、映込み特性情報の作成対象としての光学フィルム30の代わりに、基準となる参照用の光学フィルム30を画面11aに貼付して、参照用の光学フィルム30を使用した点以外は、映込み特性情報作成用の光学フィルム30の場合と同様にして、参照用の光学フィルム30に映り込んだ映込み画像を撮影する工程を更に有してもよい。参照用の光学フィルム30の例は、表面処理が施されていない光学フィルム30、すなわち、いわゆるグレアフィルムである。参照用の光学フィルム30の一例は、映込み特性情報の作成対象としての光学フィルム30と同じ基材フィルムで構成され、映込み特性情報の作成対象としての光学フィルム30に対して施された表面処理が施されていないフィルムである。
説明の便宜のために、映込み特性情報の作成対象としての光学フィルム30を、特性情報作成用光学フィルム31(或いは、単に、光学フィルム31)と称し、参照用の光学フィルム30を、参照用光学フィルム32(或いは、単に、光学フィルム32)と称する場合もある。
図4(a)は、参照用光学フィルムに映り込んだ映込み画像の一例を示す図面である。図4(b)は、特性情報作成用光学フィルムに映り込んだ映込み画像の一例を示す図面である。図4(a)及び図4(b)は、光学フィルムの違い以外は、同じ条件で撮影された画像を示している。
図4(a)及び図4(b)は、実際に撮影を行って取得された画像である。図4(a)及び図4(b)の画像を取得した際の取得条件について説明する。図4(a)は、参照用光学フィルム32として、表面処理が施されていないフィルム、具体的には、凸版印刷株式会社製のハードコートを使用した場合の映込み画像である。凸版印刷株式会社製のハードコートを、以下、光学フィルムE0とも称す。図4(b)は、特性情報作成用光学フィルム31として、表面処理が施されたVH01(凸版印刷株式会社製)を使用した場合の映込み画像である。光学フィルム30としてのVH01を、以下、光学フィルムE1とも称す。図4(a)及び図4(b)の画像を撮影したカメラ13は、画素数が5616×3744であるCMOSセンサーを内蔵した一眼レフカメラである。また、図4(a)及び図4(b)の画像を撮影した際、カメラ13と、画面11a(又は画面11aに貼布された光学フィルム30)までの距離は1170mmであった。
撮影工程S10で、特性情報作成用光学フィルム31及び参照用光学フィルム32に映り込んだ画像をカメラ13で撮影する場合、特性情報作成用光学フィルム31及び参照用光学フィルム32に所定画像からの光以外の光が反射しないように、例えば、画像取得部10を暗幕などで覆っておいてもよい。
次に、図2に示すように、カメラ13で撮影された画像に対応する信号データの入力を特性情報作成装置20が受け付ける(データ受付工程S11)。このデータの受け付けは、例えば、特性情報作成装置20が外部からのデータなどの入力を受け付ける入力部21を介して実施され得る。
カメラ13が露出量の異なる状態で撮影された複数枚の映込み画像に対する信号データを有する場合、それら複数の信号データの入力がデータ受付工程S11で受け付けられる。カメラ13が参照用光学フィルム32に映り込んだ映込み画像の信号データを有する場合、それらの信号データもデータ受付工程S11で受け付けられる。
特性情報作成装置20への信号データの入力方法又は転送方法は、カメラ13から特性情報作成装置20に信号データを入力できれば特に限定されない。例えば、USBケーブルといった有線を利用してカメラ13と特性情報作成装置20とを物理的に連結する方法でもよいし、無線通信を利用した方法でもよいし、SDメモリカードといった記録媒体を利用した方法でもよい。
特性情報作成装置20がカメラ13で撮影された画像に対応する信号データの入力を受け付けると、画像データ作成部23Aが、カメラ13からの信号データを、後工程においてデータ処理するための処理用画像データに変換する(画像データ作成工程S12)。具体的には、画像データ作成工程S12では、次の工程1と、必要に応じて工程2とを行う。
工程1:カメラ13からの信号データを輝度データに変換する。
図5は、輝度データ変換を説明するための図面である。図5中の横軸は光量を示し、縦軸は、カメラ13からの出力値を示す。撮像素子としてのCMOSイメージセンサが理想的な信号特性を有する、すなわち、輝度計として機能する場合、図5に示す破線のように光量に対して出力値は比例する。このように光量に比例した出力値は輝度値に対応する。しかしながら、通常、図5の実線で示すようにCMOSイメージセンサ固有の出力特性が生じる。そのため、CMOSイメージセンサからの信号データは、映込み画像の輝度情報を正確に表していない場合もある。
工程1では、カメラ13が有するCMOSイメージセンサの出力特性に基づいた出力値を補正して、破線で表される光量に比例した輝度値に変換する。この変換は、例えば、CMOSイメージセンサから出力された値に、所定の補正係数を乗算することにより行い得る。補正係数は、例えば、所定の光量の光に対するCMOSイメージセンサの出力値と、同じ光量に対する輝度計の計測結果とを比較して予め算出しておけばよい。ただし、変換方法は、カメラ13が有するCMOSイメージセンサの出力特性に基づいた出力値を補正して、破線で表される光量に比例した輝度値に変換できれば、上記例示した方法に限定されない。本実施形態において輝度データとは、上記のように、光量に比例した輝度値から構成されるデータである。
工程2:同一の映込み画像を異なる露出量で撮影することによって得られた輝度データを合成して1つの処理用画像データを作成する。
撮影工程S10で説明したように、露出量の異なる複数枚の画像を撮影することで、撮影したい実際の画像の明るさを分割している場合、工程2では、工程1において、各信号データから変換された輝度データを合成して、1つの画像データを形成する。
撮像素子としてCMOSイメージセンサを使用している場合、ダイナミックレンジが制限されている。そのため、CMOSイメージセンサのダイナミックレンジを越える光量がカメラ13に入射すると、画像に、いわゆる白飛び領域が生じ、ダイナミックレンジより少ない光量の場合には、いわゆる黒つぶれ領域が生じる。そこで、図3に示したように、実際の画像の明るさを複数に分割して、各明るさに対応する画像を撮影した後、工程2で合成することによって、実際の画像の明るさを反映した画像データを得ることができる。複数の明るさ範囲(図3では、第1〜第3の明るさ範囲)のうち隣接する2つの明るさ範囲の境界領域で重なりが生じている場合、予めどちらかのデータを採用するように決めておけばよい。上記第1〜第3の明るさ範囲は、実際の画像の明るさ範囲に対応する輝度範囲を第1〜第3の輝度範囲に分割し、第1〜第3の輝度範囲に対応するように設定され得る。
撮影工程S10で露出量を変えて映込み画像を撮影していない場合、画像データ作成部23Aは、工程2を実施しない。工程2を実施するか否かは、入力部21が受け付けられ得るユーザからの指示に基づいて判断されてもよい。或いは、例えば、特性情報作成部23が判定部を備え、その判定部がカメラ13から入力部21に入力され受け付けられた同じ画像に対する信号データの数を判定すると共に、その判定に基づいて決定してもよい。
画像データ作成部23Aは、上記工程1及び工程2を、特性情報作成用光学フィルム31に映り込んだ画像をカメラ13で撮影して得られる映込み画像(第1の映込み画像)の信号データに対して実行する。画像データ作成部23Aは、参照用光学フィルム32に映り込んだ画像をカメラ13で撮影している場合、カメラ13で撮影して得られる参照用光学フィルム32に現れた映込み画像(第2の映込み画像)の信号データにも、上記工程1及び工程2を実行する。
画像データ作成部23Aが、カメラ13からの信号データを画像データに変換すると、その画像データを、フーリエ変換部23Bが、映込み画像に対応する画像データを2次元フーリエ変換し、空間周波数に対してフーリエ変換値が対応づけられたスペクトル分布を算出する(フーリエ変換工程S13)。
具体的には、特性情報作成用光学フィルム31の映込み画像に対応する画像データ(第1の画像データ)における(x,y)の輝度値をfr(x,y)と表し、参照用光学フィルム32の映込み画像に対応する画像データ(第2の画像データ)における(x,y)の輝度値をf(x,y)としたとき、fr(x,y)及びf(x,y)それぞれを2次元フーリエ変換して、スペクトルFr(u,v)及びF(u,v)を算出する。
上記xは、図4(a)及び図4(b)に示した画像におけるx方向の位置を示し、yは図4(a)及び図4(b)に示した画像におけるy方向の位置を示す。uは、x方向の空間周波数成分であり、vは、y方向の空間周波数成分である。
図6(a)は、参照用光学フィルムに映り込んだ画像に対するスペクトル分布(フーリエ画像)の一例であり、図4(a)に示した映込み画像を利用したスペクトル分布である。図6(b)は、特性情報作成用光学フィルムに映り込んだ画像に対するスペクトル分布(フーリエ画像)の一例であり、図4(b)に示した映込み画像を利用したスペクトル分布である。図6(a)及び図6(b)では、画像上の変化を視認し易くするために、Fr(u,v)及びF(u,v)の絶対値(強度)の対数値が輝点として表現されている。実数を対数値に変換する際の底は特に限定されないが、例えば、図6(a)及び6(b)では、底が10である常用対数を使用している。
図6(a)及び図6(b)は、横方向をu軸、すなわち、x方向の空間周波数成分を示す軸とし、横方向に直交する縦方向を、v軸、すなわち、y方向の空間周波数成分を示す軸として表される座標系に対して表されたスペクトル分布(フーリエ画像)である。図6(a)及び図6(b)における上記座標系の原点Oは、空間周波数のu成分及びy成分が共に0、すなわち、DC成分を表している。原点Oに近いほど低周波成分を示し、原点Oから離れるに従って高周波成分を表すように、図6(a)及び図6(b)ではスペクトルがプロットされている。
図6(a)及び図6(b)において、(u,v)で表される輝点の原点Oに対する位置は波の方向を示し、輝点と、原点Oとの距離は、空間周波数の大きさを示す。更に、各スペクトルの大きさ、すなわち、波の大きさ(強度)は、輝点の明るさで表されている。輝点の明るさは、グレースケールで表現されており、白い方がより明るい、すなわち、強度がより大きいことを示す。
図2に戻って、評価方法について更に説明する。フーリエ変換部23Bによってスペクトル分布が算出されると、相対スペクトル分布作成部23Cが、参照用光学フィルム32に対応する参照用のスペクトル分布(第2のスペクトル分布)に対する特性情報作成用光学フィルム31に対応する、特性情報作成用スペクトル分布(第1のスペクトル分布)の比を算出する(相対スペクトル分布作成工程S14)。参照用のスペクトル分布に対する特性情報作成用スペクトル分布の比を算出するとは、2つのスペクトル分布において対応する位置のスペクトルの比を算出することである。
具体的には、相対スペクトル分布作成部23Cが、式(5)で表される演算を実行する。
比Mr(u,v)は、特性情報作成用光学フィルム31及び参照用光学フィルム32が貼付された支持体としての画像表示装置11のスペクトルへの影響が取り除かれたスペクトルを表す。換言すれば、Mr(u,v)を算出することによって、Fr(u,v)で表されるスペクトルから、光学フィルム31の表面特性(例えば、映込み特性)を抽出している。更に、光学フィルム32として、表面処理が施されていない光学フィルム、すなわち、グレアフィルムを用いた場合、比Mr(u,v)は、表面処理が施された光学フィルム31固有の空間周波数特性を示す。従って、Mr(u,v)は、光学フィルム31の伝達関数MTF(Modulation Transfer Function)に対応する。Mr(u,v)は、式(5)より、光学フィルム32に対応するスペクトルからの変化率でもある。
図7は、図6(a)及び図6(b)に示したスペクトル分布から、相対スペクトル分布を算出した結果を示す図面である。図7に示された相対スペクトル分布を表すための座標系は、図6(a)及び図6(b)の場合と同様である。図7においても、図6(a)及び図6(b)の場合と同様に、Mr(u,v)の対数値で輝点の明るさを表している。図7の輝点の明るさは、相対スペクトルの大きさ(強度)を示している。輝点の明るさがグレースケールで示されているのは、図6(a)及び図6(b)の場合と同様である。
図2に示すように、相対スペクトル分布作成部23Cによって相対スペクトル分布が作成されると、特性情報生成部23Dが、映込み特性情報の生成を行う(特性情報生成工程S15)。特性情報生成工程S15について具体的に説明する。
特性情報生成部23Dは、相対スペクトル分布作成工程S14で作成された相対スペクトル分布において、同じ空間周波数に対する複数の相対スペクトルを、方位角依存性をなくすように相乗平均する。「同じ空間周波数」とは、(u,v)で表される空間周波数ベクトルの大きさが同じことを意味している。従って、特性情報生成部23Dは、相対スペクトル分布において、(u+v1/2が同じものに対して相乗平均を計算する。この場合、同じ空間周波数に対する複数の相対スペクトルは、原点Oに対して、同一円周上にある複数の相対スペクトルである。各相対スペクトルに対応する空間周波数をνとも称す。なお、ν=(u+v1/2である。上記相乗平均とは、「n(nは2以上の整数)個の量の相乗平均は,それらの積のn乗根である」という定義に基づいた平均である。n個の相対スペクトルの相乗平均は、対数を利用して計算してもよい。対数を利用して、相乗平均を算出する場合は、各相対スペクトルの対数値の総和を、nで除算する。これによって、相乗平均の対数値が得られるので、その対数値を実数に変換することによって、n個の相対スペクトルの相乗平均が得られる。
原点Oに対して、同一円周上にある全ての相対スペクトルを相乗平均すればよいが、例えば、u軸を基準にして、u軸から180度以下の角度、すなわち、図7に示した矢印の範囲における相乗平均の値(相乗平均値)を算出してもよい。これは、スペクトル分布における対称性のためである。図7では、u軸を基準にして説明しているが、原点Oに対して所定方向を基準して、その方向から180度以下の角度範囲における相乗平均値を算出してもよい。以下、相乗平均値を、平均相対強度と称す。
特性情報生成部23Dが、上記平均相対強度を算出することにより、低周波から高周波に渡る空間周波数それぞれに対して平均相対強度が得られる。一実施形態において、特性情報生成部23Dは、対数を利用して平均相対強度を算出してもよい。
図8は、空間周波数に対して、平均相対強度をプロットしたグラフである。横軸は、空間周波数を示し、縦軸は、平均相対強度を示している。横軸及び縦軸は共に、対数スケールで表されている。図8にプロットされている平均相対強度は実数である。具体的には、図8では、特性情報生成部23Dが、同じ空間周波数に対する各相対スペクトルの対数値の平均を算出した後、実数に変換した値をプロットしている。この図8における平均相対強度分布が、特性情報作成用光学フィルム31における映込み特性を表しているので、図8を利用して、光学フィルム31の映込み特性を評価可能である。
特性情報作成用光学フィルム31の映込み特性情報の作成には、測量値拡張型シグモイド関数を利用する。ここで、上記測量値拡張型シグモイド関数について説明する。
まず、測量値拡張型シグモイド関数の説明のために、シグモイド関数について説明する。シグモイド関数は、式(6)によって表される。

式(6)は、いわゆるゲインが1の標準シグモイド関数であり、図9に示すようにX<0の領域からX>0の領域にかけてYの値が、0から1に非線形的に増加する曲線形状を有する。式(6)における変曲点は、(X,Y)=(0,0.5)である。
図9と図8とを比較すれば、図8の分布は、図9の曲線形状に対して反転しており、且つ、縦軸及び横軸のそれぞれにおいて正の方向(図8及び図9の縦軸において上側であり、横軸において右側)にシフトしている。そのため、光学フィルム31の映込み特性情報の作成には、式(6)を変形する必要がある。
光学フィルム31の映込み特性情報を作成するために、式(6)を用いて式(7)のように変形する。この式(7)で表される関数ρが測量値拡張型シグモイド関数であり、図10のような曲線形状を有する。

式(7)において、rは、空間周波数である。ρa0は、図8の縦軸における実質的な切片に対応し、反射像全体の平均相対輝度を表す。ρa1は、平均相対強度分布における最小値である。μは、位置パラメータであり、関数ρのr方向の位置を規定するものである。μは、ρa0と、ρa1との中点ρa2に対応するrの位置を示しており、関数ρにおいて、(r,ρ)=(μ,ρ2a)は、関数ρで表される近似曲線の変曲点の位置を示している。換言すれば、関数ρで表される近似曲線の変曲点におけるrの値がμである。σは、関数ρで表される近似曲線の形状を規定する形状パラメータであり、σが大きくなれば、なだらかにρが減少し、σが小さくなれば、急にρの値が減少する。
特性情報生成工程S15において、特性情報生成部23Dは、式(7)によって表される関数ρによって、平均相対強度分布を近似し、式(7)中のパラメータρa0,ρa1、μ及びσを決定する。これによって、特性情報生成部23Dは、映込み特性情報としての関数ρを生成する。
上記特性情報作成方法では、平均相対強度分布の近似曲線として関数ρを取得している。まず、関数ρで平均相対強度分布を近似できることについて説明する。
図11は、図8に示した平均相対強度分布と、その近似曲線を示した図面である。図11中の実線が近似曲線としての関数ρを示しており、下記式(8)で表される。すなわち、ρa0=1.117、ρa1=0.104、μ=1.459及びσ=2.429である。
図12は、図11に示されている関数ρに基づいて特性情報作成用光学フィルムの映込み画像、すなわち、図4(b)に対応する画像を再現した図面である。具体的には、式(8)の関数ρを2次元スペクトルに展開し、その2次元スペクトルを逆フーリエ変換して得られたシミュレーション画像である。
図11から理解されるように、式(8)で平均相対強度分布が近似できていることがわかる。更に、図4(b)と図12とを比較すると、式(8)で定義される関数ρによって、実際の特性情報作成用光学フィルム31の映り込み画像により近い画像が再現出来ていることがわかる。
更に、図13は、特性情報作成用光学フィルム31として、光学フィルムE2を使用した場合の映り込み画像を示す図面である。図13に示した画像は、光学フィルム31を光学フィルムE1から光学フィルムE2に代えた点以外は、図4(b)と同様の撮影条件で撮影された画像である。図14は、図13に示した画像を利用して図2に示した特性情報作成方法を実施して得られた平均相対強度分布と、その近似曲線を示す図面である。図13中の黒塗りの三角マークが、図8及び図9の場合と同様に平均相対強度を示しており、実線が、近似曲線として関数ρを表している。図14中の関数ρは、式(9)で表されている。すなわち、ρa0=0.922、ρa1=0.012、μ=0.426及びσ=1.892である。
図15は、図14に示されている関数ρに基づいて特性情報作成用光学フィルム31の映込み画像、すなわち、図13に対応する画像を再現した図面である。具体的には、式(9)の関数ρを2次元スペクトルに展開し、その2次元スペクトルを逆フーリエ変換して得られたシミュレーション画像である。
図14から理解されるように、式(9)で平均相対強度分布が近似できていることがわかる。更に、図13と図15とを比較すると、式(9)で定義される関数ρによって、実際の特性情報作成用光学フィルム31の映り込み画像に対応した画像が再現出来ていることがわかる。
更に、図16は、特性情報作成用光学フィルム31として、光学フィルムE3を使用した場合の映り込み画像を示す図面である。図16に示した画像は、光学フィルム31を光学フィルムE1から光学フィルムE3に代えた点以外は、図4(b)と同様の撮影条件で撮影された画像である。図17は、図16に示した画像を利用して図2に示した特性情報作成方法を実施して得られた平均相対強度分布と、その近似曲線を示す図面である。図17中の黒塗りの四角マークが、図8及び図9の場合と同様に平均相対強度を示しており、実線が、近似曲線として関数ρを表している。図17中の関数ρは、式(10)で表されている。すなわち、ρa0=0.570、ρa1=0.513、μ=2.680及びσ=1.90である。
図18は、図17に示されている関数ρに基づいて特性情報作成用光学フィルム31の映込み画像、すなわち、図16に対応する画像を再現した図面である。具体的には、式(10)の関数ρを2次元スペクトルに展開し、その2次元スペクトルを逆フーリエ変換して得られたシミュレーション画像である。
図17から理解されるように、式(10)で平均相対強度分布が近似できていることがわかる。更に、図16と図18とを比較すると、式(10)で定義される関数ρによって、実際の特性情報作成用光学フィルム31の映り込み画像により近い画像が再現出来ていることがわかる。
特性情報作成用光学フィルム31として光学フィルムE1,E2,E3を使用した場合の結果から理解されるように、式(7)で表される測量値拡張型シグモイド関数ρを採用することによって、平均相対強度分布を近似できる。そのため、関数ρが光学フィルム31の映込み特性を示していることになるので、関数ρを利用して、光学フィルム31を定量的に評価できる。この点について説明する。
特性情報生成工程S15において、図8に示した平均相対強度分布を式(7)で近似して近似曲線を得ると、式(7)におけるパラメータρa0,ρa1、μ及びσが決定される。
ρa0は、前述したように、図8の縦軸における実質的な切片に対応しており、DC成分に対する平均相対強度を示し、参照用光学フィルム32に対する特性情報作成用光学フィルム31の反射像(又は映込み画像)全体の平均相対輝度を示している。すなわち、ρa0は、参照用光学フィルム32に対する光学フィルム31の反射特性を示している。DC成分は、図7における原点、すなわち、u=v=0でのMr(u,v)である。
DC成分に対する平均相対強度から、ある空間周波数に対する平均相対強度までの距離は、ボケの程度、換言すれば、特性情報作成用光学フィルム31の防眩性を示している。従って、ρa1或いは(ρa0−ρa1)は、高空間周波数の防眩特性を示している。また、μは、ρa0とρa1の中点(関数ρの変曲点の位置に対応)を示す空間周波数に対応するので、μが小さくなれば、低空間周波数において、ρa0から急激に平均相対強度が減少し、μが大きくなれば、低空間周波数において、ρa0から緩やかに平均相対強度が減少することなる。そのため、μは低周波数側の防眩特性を示していることになる。更に、σは、関数ρの形状を表しており、換言すれば、低空間周波数側から高周波空間周波数側にかけての防眩特性のバランスを表している。そのため、σは、光学フィルム31における全体の防眩特性(或いは映込み特性)を示していることになる。
関数ρが得られると、上記のように、光学フィルム31の特性を示すパラメータρa0,ρa1、μ及びσの値が決まる。よって、光学フィルム31の映込み特性或いは防眩特性を、関数ρを利用して定量的に評価することができる。その結果、光学フィルム31の映込み特性或いは防眩特性を効率的に評価可能である。この点を、関数ρを使用しないで、光学フィルム31を評価する場合と比較しながら説明する。
映込み特性が関数ρで表されていない場合、光学フィルム31の映込み特性は、実際に光学フィルム30を用いて実験して、映込み画像を評価者が主観で判断しなければならない。この場合、評価にバラツキが生じ易い。そのため、評価を複数回行ったり、或いは、複数の評価者で行うことが考えられる。
これに対して、上記のように、光学フィルム31の映込み特性が関数ρとして表されていれば、光学フィルム31を従来のように評価者の感覚に依存していた場合より客観的に評価可能である。その結果、評価のバラツキが減少する。また、光学フィルム31の映込み特性として一つの関数ρが作成されるので、得られた関数ρで光学フィルム31を評価可能である。従って、光学フィルム31の映込み特性が関数ρとして表されていれば、光学フィルム31を効率的に評価可能である。
光学フィルム31の映込み特性を関数ρで評価する場合は、例えば、次のような方法が考えられる。すなわち、各パラメータρa0,ρa1、μ及びσに対する基準値(例えば、既存の表面処理フィルムに対する値)を取得しておき、それらからの変化で、基準値を有する光学フィルムからの映込み特性或いは防眩特性を評価可能である。
また、上記方法では、参照用スペクトル分布に対する特性情報作成用スペクトル分布の比を算出している。そのため、特性情報生成部23Dが生成した映込み特性情報は、特性情報作成用スペクトル分布から支持体としての画像表示装置11の影響を取り除いた特性情報作成用光学フィルム31のデータである。そのため、光学フィルム31の映込み特性を定量的に評価できる。このように、映込み特性情報としての関数ρを用いて光学フィルム31が評価され得るので、光学フィルム31は、被評価光学フィルムでもある。
特に、参照用光学フィルム32として、表面処理が施されていない光学フィルム30を使用している場合、映込み特性情報としての関数ρは、特性情報作成用光学フィルム31が有する映込み特性固有の周波数特性を表す。よって、関数ρを利用して、光学フィルム31の映込み特性を、より正確に評価(或いは解析)できる。更に、関数ρが、光学フィルム31が有する映込み特性固有の周波数特性を表している場合、映り込みに使用した画像を変えた場合において、他の画像に対する映り込み画像をシミュレーションにより再現することも可能である。
更に、相対スペクトル分布において同じ空間周波数に対する角度周りの相乗平均値を算出するので、相対スペクトル分布における方位角依存性が除去される。
方位角依存性があると、光学フィルム30(本実施形態では、特性情報作成用光学フィルム31及び参照用光学フィルム32)に映り込ませる所定画像を変えた場合に、評価が異なる場合が生じる。これに対して、上記のように方位角依存性を除去することによって、光学フィルム30に映り込ませる所定画像に依存せずに、光学フィルム31の表面特性を評価可能である。
上記方位角依存性を低減するために、相対スペクトル分布において同じ空間周波数の平均値を算出する際、相加平均の代わりに相乗平均を使用することで、評価の精度を上げることができる。この点について図19を利用して説明する。
図19は次のようにして取得された平均相対強度分布である。すなわち、図4(a)及び図13に示した画像を利用して図2に示した画像データ作成工程S12、フーリエ変換工程S13及び相対スペクトル分布作成工程S14を実施した。そして、相対スペクトル分布作成工程S14で作成された相対スペクトル分布に対して、方位角依存性をなくすための平均を算出する際に、相加平均と、相乗平均とを共に算出した。
図19は、相加平均による平均相対強度と、相乗平均による平均相対強度とを、空間周波数に対してプロットした図面である。図19における縦軸及び横軸は、図8の場合と同様であり、縦軸及び横軸は、常用対数で表されている。図19に示すように、相乗平均による平均相対強度分布の方が、相加平均に基づく平均相対強度分布より、バラツキが小さい。そのため、各分布を式(7)で近似する際、近似曲線としての関数ρを高い精度で得ることができる。その結果、相加平均を使用するより、特性情報作成用光学フィルム31をより正確に評価可能である。
図2を利用して説明した特性情報作成方法の一実施形態では、参照用光学フィルム32として、表面処理が施されていない光学フィルム30を使用している場合を例示して説明した。しかしながら、例えば、参照用スペクトルとして既知の所定のスペクトル、すなわち、周波数特性が既知の光学フィルム30を、参照用光学フィルム32として使用した場合も、例えば、特性情報作成用光学フィルム31の映込み特性としての関数ρを得ることができる。
映込み特性情報としての関数ρは、特性情報作成用光学フィルム31に映り込んだ画像を実際に撮影した2次元画像を元に作成されている。そのため、光学フィルム31の評価を、光学フィルム31が実際に使用された状況で且つユーザからの視点により近い状態で定量的に行うことができる。その結果、得られた評価は、所望の映込み特性を有する光学フィルム30の製造に寄与しやすい。前述したように、関数ρは、反射特性を示すρa0、防眩性を示すρ,μなどをパラメータとして含んでいるので、反射特性及び防眩性の観点から光学フィルム30を評価し得る。よって、ユーザによる官能評価に近い評価を定量的に行うことができる。
カメラ13からの信号データを輝度データに変換して画像データを作成する形態では、実際の映り込み画像の輝度情報をより反映した映込み特性情報、すなわち、関数ρを得ることができる。その結果、特性情報作成用光学フィルム31を正確に評価し得る。同じ映込み画像をカメラ13が異なる露出量で撮影して得られる複数の信号データを処理する形態では、実際の映り込み画像の輝度情報をより正確に反映した映込み特性情報を得ることができる。その結果、より一層、光学フィルム31を正確に且つ客観的に評価し得る。
図1に示した特性情報作成システム1では、光学フィルム31,32に対向して配置される画像表示装置12に映し出した所定画像を擬似外光としながら、その所定画像が、光学フィルム31,32に映し込んだ画像をカメラ13で撮影している。そのため、例えば、光学フィルム31として表面処理の異なる複数枚のフィルムを評価する場合又は参照用光学フィルム32の映り込み画像を撮影する場合に、同じ条件で撮影が可能である。その結果、撮影環境(季節及び撮影時間等)の影響が評価に対して低減され得る。
以上、第1の実施形態について説明したが、一実施形態において、特性情報作成装置20は、画像データ作成部23A、フーリエ変換部23B、相対スペクトル分布作成部23C及び特性情報生成部23Dの各機能を備えた専用の装置であり得る。一実施形態において、特性情報作成装置20は、特性情報作成部23が有する画像データ作成部23A、フーリエ変換部23B、相対スペクトル分布作成部23C及び特性情報生成部23Dの各機能、すなわち、画像データ作成工程S12、フーリエ変換工程S13、相対スペクトル分布作成工程S14及び特性情報生成工程S15をコンピュータに実行せしめる特性情報作成プログラムを組み込んだ情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ)でもよい。特性情報作成プログラムが情報処理装置に組み込まれている場合、情報処理装置が特性情報作成プログラムを実行することによって、情報処理装置が特性情報作成装置20として機能する。
(第2の実施形態)
次に、一実施形態に係る光学フィルムの設計方法を第2の実施形態として説明する。図20は、一実施形態に係る設計方法を実施するための設計システムの概略構成を示す図面である。設計システム2は、画像表示装置11の画面11aに貼付される光学フィルム30を設計するためのシステムである。
本実施形態において、光学フィルム30の設計とは、設計のための基準となる光学フィルム(以下、基準光学フィルムと称す)30に対して、設計されるべき光学フィルム(以下、被設計光学フィルムと称す)30の映込み特性を示す式(11)の関数ρを設計、すなわち、関数ρに含まれる各パラメータを決定することを意味する。被設計光学フィルム30の一例は、第1の実施形態における特性情報作成用光学フィルム31であり、基準光学フィルム30の一例は、第1の実施形態における参照用光学フィルム32である。本実施形態において、基準光学フィルム30は、表面処理が施されていない光学フィルム、すなわち、いわゆるグレアフィルムである。

式(11)中のrは空間周波数である。
式(7)と式(11)の比較から理解されるように、式(11)も測定値拡張型シグモイド関数である。第1の実施形態において映込み特性情報として算出される関数と、第2の実施形態における設計用の関数とを区別するために、便宜的に表記を変えている。
また、基準光学フィルム30に所定画像が映り込んだとした場合の映り込み画像をフーリエ変換して得られる2次元スペクトル分布(以下、基準スペクトル分布)において、同じ空間周波数νのスペクトル(強度)が同じであると仮定した場合の基準スペクトル分布での空間周波数νに対するスペクトルをF(ν)とする。そして、被設計光学フィルム30に上記所定画像が映り込んだとした場合の映り込み画像を2次元フーリエ変換して得られる2次元スペクトル分布(被設計スペクトル分布)において同じ空間周波数νのスペクトル(強度)が同じであると仮定した場合における被設計スペクトル分布での空間周波数νに対するスペクトル値をFr(ν)とする。このように、Fr(ν)及びF(ν)を定義したとき、式(11)のρは、Fr(ν)/F(ν)に対応しており、式(11)は、基準光学フィルム30の映込み特性に対する被設計光学フィルム30の映込み特性を示している。
なお、νは、上記基準スペクトル分布及び被設計スペクトル分布を、図6(a)及び図6(b)に示したように、u軸及びv軸で定義される座標系で表している場合、第1の実施形態と同様に、(u+v1/2である。
設計システム2は、設計に使用する画像を取得する画像取得部10と、画像処理装置40と、を備える。設計システム2が有する画像取得部10の構成は、特性情報作成システム1の場合と同様であるため、説明を省略する。
画像処理装置40は、カメラ13からのデータ及び操作者からの入力を受け付ける入力部41と、各種データ及びプログラムを記憶する記憶部42と、被設計光学フィルム30を使用した場合の画像を模擬的に作成する画像作成部43と、各種画像データなどを表示する表示部44と、画像処理装置40の各構成要素(例えば、入力部21、画像生成部など)を制御する制御部45とを有する。画像処理装置40の各構成要素は、互いにデータの入出力が行えるように電気的に接続されている。
入力部41は、例えば、操作者からの指示の入力を受け付けるキーボード及び信号データなどを受け付けるインターフェースを有する。また、表示部44が例えばタッチパネル式のディスプレイである場合、入力部41は、表示部44を介しての入力も受け付ける。記憶部42は、例えば、RAM及びROM等を有する。表示部44は、液晶ディスプレイといったディスプレイである。制御部45は、例えば、CPUである。
画像作成部43は、カメラ13からの信号データに基づいたデータ処理用の画像データを作成する画像データ作成部43Aと、画像データを2次元フーリエ変換してスペクトル分布を得るフーリエ変換部43Bと、被設計光学フィルム30に画像が映り込んだと仮定した場合の映り込み画像を模擬的に作成するシミュレーション映込み画像作成部43Cと、被設計光学フィルム30が貼付された画像表示装置11で表示された画像とシミュレーション映込み画像作成部43Cで作成されたシミュレーション映込み画像とを合成して合成画像を作成する画像合成部43Dと、を有する。
画像処理装置40が有する各構成要素の具体的な機能については、後述する設計方法の各工程を説明する際に、より具体的に説明する。
以下、一実施形態に係る設計方法について、カメラ13が備える撮像素子をCMOSイメージセンサとして説明する。図21は、図20に示した設計システムを利用した設計方法のフローチャートである。
式(11)に示したρを初期設定するために、ρb0,ρb1,μ及びσの初期値の入力を、画像処理装置40が受け付ける(パラメータ情報受付け工程S20)。画像処理装置40は、入力部41を介して、上記初期値の入力を受け付ける。一実施形態において、初期値として、ρb0,ρb1,μ及びσの値が記憶部42に予め保存されており、関数ρが初期設定されている場合には、パラメータ情報入力工程S20は実施しなくてもよい。
また、設計に使用する画像を撮影する(撮影工程S21)。具体的には、第1の実施形態で説明した参照用光学フィルム32を基準光学フィルム30として画像表示装置11の画面11aに貼付した後、画像表示装置12の画面12aに所定画像を表示する。これにより、基準光学フィルム30の表面(画面11aと反対側の面)に、画面12aで表示された所定画像が擬似外光として映り込む。次に、カメラ13で基準光学フィルム30に映り込んだ画像である基準映込み画像を撮影する。この撮影の際、画像表示装置11の電源はOFF、すなわち、画面11aには何も表示させない。
基準映込み画像を撮影する場合、カメラ13の露出量を変えた複数枚の画像を撮影することは、第1の実施形態における撮影工程S10と同様である。
また、撮影工程S21では、画像表示装置11の電源をONにして、画面11aに画像を表示する一方、画像表示装置12の電源をOFFにして、画面11aに表示された参照用光学フィルム32を透過した画像(以下、透過画像と称す)をカメラ13で撮影する。
撮影工程S10で、参照用映込み画像及び透過画像をカメラ13で撮影する場合、基準光学フィルム30に所定画像からの光以外の光が反射しないように、例えば、画像取得部10を暗幕などで覆っておいてもよい。
図21では、パラメータ情報受付け工程S20の後に、撮影工程S21を実施するように図示されているが、パラメータ情報受付け工程S20と撮影工程S21との順番は特に限定されない。
上記パラメータ情報受付け工程S20及び撮影工程S21の後に、カメラ13で撮影された画像に対応する信号データの入力を、画像処理装置40が入力部21を介して受け付ける(信号データ受付け工程S22)。このデータの受け付け方法は、第1の実施形態におけるデータ受付工程S11と同様であるため、説明を省略する。
次に、画像データ作成部43Aが、基準映込み画像及び透過画像に対応する信号データを後工程においてデータ処理するための処理用画像データに変換する(画像データ作成工程S23)。画像データ作成部43Aにおけるデータの処理の仕方は、第1の実施形態の画像データ作成工程S12での画像データ作成部23Aにおけるデータの処理の仕方と同様であるので、説明を省略する。
続いて、フーリエ変換部43Bが、基準映込み画像に対応する画像データを2次元フーリエ変換し、空間周波数に対してフーリエ変換値が対応づけられたスペクトル分布を算出する(フーリエ変換工程S24)。フーリエ変換工程S24における処理、すなわち、フーリエ変換部43Bによって実行される処理は、第1の実施形態におけるフーリエ変換工程S13における処理、すなわち、フーリエ変換部23Bによって実行される処理と同様であるため、説明を省略する。
その後、シミュレーション映込み画像作成部43Cが、被設計光学フィルム30に所定画像が映り込んだと想定した場合の映込み画像を、フーリエ変換工程S24で作成されたスペクトル分布と、式(11)の各パラメータに、パラメータ情報受付け工程S40で入力されたパラメータが設定された関数ρとに基づいて作成する(シミュレーション映込み画像作成工程S25)。
具体的には、フーリエ変換工程S24で作成されたスペクトル分布に対して、関数ρをフィルタとして作用させ、上記スペクトル分布をフィルタ処理する(換言すれば、関数ρを乗算する)。すなわち、スペクトル分布における各空間周波数νに対する値に、対応する空間周波数νでの関数ρの値を乗算する。νは、(u+v1/2で定義されているので、スペクトル分布における各空間周波数νに対する値に、対応する空間周波数νでの関数ρの値を乗算するとは、スペクトル分布において、原点Oを中心としたνを半径とする円上のスペクトルに、対応する空間周波数νでの関数ρの値を乗算することに対応する。
関数ρは、前述したように、基準光学フィルム30に対する被設計光学フィルム30の映込み特性を表しているので、上記のように、フーリエ変換工程S24で作成されたスペクトル分布に対して、関数ρを乗算することによって、被設計光学フィルム30に所定画像が映り込んだと想定された場合の映込み画像のスペクトル分布が得られる。
シミュレーション映込み画像作成工程25において、シミュレーション映込み画像作成部43Cは、上記のようにして得られたF(u,v)を逆フーリエ変換して、シミュレーション映込み画像を作成する。
シミュレーション映込み画像が作成されると、画像合成部43Dが、シミュレーション映込み画像作成工程S25で作成されたシミュレーション映込み画像と、撮影工程S20で取得され画像データ受付け工程S22で受け付けられていた透過画像とを合成する(合成画像作成工程S26)。これにより、被設計光学フィルム30が画面11aに貼付された画像表示装置11において画面11aに画像を表示した際に、視聴者が視認すると想定される画像(透過画像と、所定画像の映込み画像が重畳された画像)が模擬的に得られる。
合成画像作成工程S26において画像合成部43Dが合成画像を作成すると、制御部45が、その合成画像を、ディスプレイといった表示部24を介して、設計者(操作者)に提示する(提示工程S27)。
設計者は、提示工程S27で提示される合成画像における画像の映り込み状態が許容範囲か否かを判定する(判定工程S28)。
判定工程S28における判定結果が、「許容範囲でない」場合(S28で「NO」の場合)、パラメータρb0,ρb1、μ及びσの少なくとも一つを修正し、その修正されたパラメータを、入力部41を介して画像処理装置40に入力する(パラメータ修正工程S29)。換言すれば、画像処理装置40は、修正パラメータの入力を、入力部41を介して受け付ける。このパラメータ修正工程S29が行われたら、修正されたパラメータに基づいて、シミュレーション映込み画像生成工程S25を再度実施する。
一方、判定工程S28における判定結果が、「許容範囲である」場合(S28で「YES」の場合)、シミュレーション映込み画像生成工程S25で使用された関数ρを、被設計光学フィルム30の映込み特性として決定(或いは設定)する(映込み特性決定工程S30)。
上記設計方法では、測量値拡張型シグモイド関数である関数ρを利用して、光学フィルム30の設計、より具体的には、製造すべき光学フィルム30の映込み特性を設計している。そのため、光学フィルム30を効率的に設計可能である。この点を、関数ρを利用していない場合と比較して、説明する。
関数ρを利用しない場合、光学フィルム30の設計、すなわち、光学フィルム30が有すべき映込み特性の設計は、設計者(或いは、製造者)の経験に基づいており定量化できていなかった。そして、光学フィルム30が実際に所望の映込み特性を有するか否かは、光学フィルム30を試作し、その試作品を用いた実験を行うことが考えられる。そのため、光学フィルム30の設計に時間を要する。
これに対して、上記のように、上記設計方法では、関数ρを用いているため、光学フィルム30の映込み特性を定量的に設計できる。更に、関数ρを利用して合成画像を作成し、合成画像が許容範囲になるように、測量値拡張型シグモイド関数のパラメータρ,ρ、μ及びσを変更しながら光学フィルムを設計できるので、光学フィルムの設計が容易である。
一実施形態において、シミュレーション映込み画像作成工程23Cにおいて、シミュレーション映込み画像作成部43Cは、基準映込み画像に対応する画像データの輝度を、N倍(Nは0より大きい実数)して得られる画像データに基づいて、シミュレーション映込み画像を作成してもよい。N=1の場合は、基準映込み画像の撮影時の明るさに対応しているが、Nが2より大きい、例えば、N=50の場合、基準映込み画像の撮影時の明るさの50倍の明るさの状態でのシミュレーション映込み画像が作成され得る。
実験結果を参照して、測量値拡張型シグモイド関数を適用することで、実際の画像に対応したシミュレーション画像が得られることについて具体的に説明する。
実験では、基準光学フィルム30として光学フィルムE0、すなわち、凸版印刷株式会社製のハードコート(表面処理が施されていないフィルム)を使用した。被設計光学フィルム30として、光学フィルムE2、すなわち、SR16Hを想定した。
基準光学フィルム30を使用した場合において、図21に示した撮影工程S21で述べたようにして、映込み画像を取得した。基準光学フィルム30に映り込ませる所定画像は、図4(a)の場合と同様である。また、基準光学フィルム30として、光学フィルムE0を使用しているので、基準光学フィルム30を使用した場合の映込み画像は、図4(a)である。
シミュレーション映込み画像を作成するために、設計用の関数ρとして、式(12)を利用した。換言すれば、式(11)において、式(12)に示すように、ρ=0.922、ρ=0.012、μ=0.426及びσ=1.892とした。

式(12)は、式(9)と比較して理解されるように、第1の実施形態で説明した評価方法において、特性情報作成用光学フィルム31として光学フィルムE2を採用した際に算出された映込み特性を表す関数ρに対応する。
図4(a)に示した画像及び式(12)に示した関数ρを利用して、図21及び図22を利用して説明した設計方法のうちシミュレーション映込み画像作成工程S25までを実施した。図22は、図4(a)及び式(12)を利用して得られたシミュレーション映込み画像を示す図面である。図22に示した画像は、図4(a)に対応する画像データにおいて、輝度を50倍にして、実際の撮影時の50倍の明るさを想定した場合のものである。
また、合成画像を作成するために、基準光学フィルム30を使用した場合において、図21に示した撮影工程S21で述べた方法によって透過画像の撮影画像を取得した。図23は、透過画像の撮影画像を示す図面である。
図22及び図23を合成して、シミュレーションによって、SR16Hである光学フィルムE2を被設計光学フィルム30と想定した場合の合成画像、すなわち、透過画像とシミュレーション映込み画像とを重畳した画像を作成した。図24は、シミュレーション合成画像を示す図面である。
比較のために、画面11aに実際に光学フィルムE2を貼付して、所定画像を映り込ませ、カメラ13で撮影した。そして、撮影で得られた画像の信号データに対して、画像データ作成工程S22までを実施した。その後、得られた画像データにおいて、輝度を50倍にして、実際の撮影時の50倍の明るさを想定したシミュレーション映込み画像と、図23に示した透過画像とを重畳して光学フィルムE2を実際に使用した場合の合成画像を作成した。図25は、実際の光学フィルムを使用した場合の合成画像に対応する図面である。
図26は、実験で得られた各画像に基づく平均強度分布を示す図面である。具体的には、図26には、透過画像、実測の映込み画像、実測の合成画像、シミュレーション映込み画像、及びシミュレーション合成画像に基づく平均強度分布を示している。
図26中、「透過画像」で表される平均強度分布は、次のようにして得られた分布である。すなわち、図23に示した透過画像の画像データに対して、フーリエ変換工程S24を行って2次元のスペクトル分布を算出する。その後、算出された2次元スペクトル分布において、第1の実施形態の映込み特性情報算出工程S15(図2参照)で行ったように、同じ空間周波数に対して相乗平均を取って得られた平均強度を、空間周波数に対して対数スケールでプロットしたものが、図26中の「透過画像」に基づく平均強度分布である。
図26中、「映込み画像(実測)」で表される平均強度分布は、図13に示した画像の画像データ(ただし、輝度は50倍)に対して、上記「透過画像」の場合と同様の処理を行って得られた分布である。また、図26中、「合成画像(実測)」は、図25に示した合成画像の画像データに対して、上記「透過画像」の場合と同様の処理を行って得られた分布である。
図26中、「映込み画像(シミュレーション)」で表される平均強度分布は、図22に示したシミュレーション映込み画像の画像データに対して、上記「透過画像」の場合と同様の処理を行って得られた分布である。また、「合成画像(シミュレーション)」で表される平均強度分布は、図24に示したシミュレーション合成画像の画像データに対して、上記「透過画像」の場合と同様の処理を行って得られた分布である。
図24及び図25を比較すると、シミュレーションにより、実際の画像を使用した場合と同様の画像を生成できていることがわかる。これは、図26において、対応する実測の映込み画像及びシミュレーションの映込み画像の平均強度分布がほぼ一致していること、および、対応する実測の合成画像及びシミュレーションの合成画像の平均強度分布がほぼ一致していることからも理解できる。
そのため、設計方法において、関数ρを利用したシミュレーションにより画像を生成しながら、生成された画像に基づいて関数ρを修正することで、所望の映込み特性を示す関数ρが設計でき、結果として、所望の映込み特性を有する光学フィルムを設計できることがわかる。
上記設計方法では、判定工程S28において、許容範囲でないと判定された場合、式(11)におけるパラメータの少なくとも一つを修正することで、関数ρ、すなわち、被設計光学フィルム30の映込み特性を調整している。
式(11)は、式(7)に示した測量値拡張型シグモイド関数に対応しており、式(11)中のパラメータは、式(7)中のパラメータに対応する。従って、ρは、DC成分に対する平均相対強度を示しており、被設計光学フィルム30の反射特性を示している。また、ρ或いは(ρ−ρ)は、高空間周波数の防眩特性を示している。μは、低周波側の防眩特性を示している。更に、σは、関数ρの形状を表しており、換言すれば、低空間周波数側から高周波空間周波数側にかけての防眩特性のバランスを表している。そのため、σは、光学フィルム31における全体の防眩特性(或いは映込み特性)を示していることになる。
よって、式(11)におけるパラメータを適宜変更することで、映り込み特性を調整できる。この点について説明する。
図27は、複数の関数ρを示す図面である。図27の横軸は、r(すなわち、空間周波数)を表しており、縦軸はρを表している。図27には、式(13a)〜式(13d)で表される4つの関数ρが示されている。
説明の便宜のため、式(13a)〜式(13d)の関数ρを、それぞれρ1、ρ2、ρ3、ρ4と称する。
図28は、図27に示した各関数を、光学フィルムの映り込み特性とした場合における合成画像を示す図面である。具体的には、図28(a)は、関数ρ1を使用した場合の合成画像であり、図28(b)は、関数ρ2を使用した場合の合成画像であり、図28(c)は、関数ρ3を使用した場合の合成画像であり、図28(d)は、関数ρ4を使用した場合の合成画像である。図28(a)〜図28(d)の比較より、パラメータの変化により、映り込み状態が代わっていることが理解され得る。
具体的には、図28(a)と図28(b)とを比較すれば、図28(b)の方が、白茶け(低周波成分)が減少している一方、映込み画像の窓枠の輪郭(高周波成分)がはっきりと見えてくるようになる。関数ρ1と、関数ρ2とを比較すれば、σの値が異なっており、図28(a)と図28(b)における上記画像の違いは、主にσの影響によるものであることがわかる。
また、図28(b)と図28(c)とを比較すると、図28(c)の方が、図28(b)に比べて、映込み画像の窓枠の輪郭(高周波成分)がボケており、見えづらくなっていることがわかる。関数ρ2と、関数ρ3とを比較すれば、関数ρ3の方がρの値が小さくなっている。この場合、ρ−ρの値が大きくなり、高周波成分での防眩性が高くなるので、図28(b)と図28(c)における上記画像の違いは、主にρの影響によるものであることがわかる。
図28(c)と図28(d)とを比較すると、図28(d)の方が、図28(c)に比べて、映込み画像全体が見えなくなってきていることがわかる。関数ρ3と、関数ρ4とを比較すれば、関数ρ4の方がρの値が小さくなっている。すなわち、関数ρ4で表される特性を有する光学フィルムの反射特性は、関数ρ3で表される特性を有する光学フィルムの反射特性より小さいと考えられる。よって、図28(c)と図28(d)における上記画像の違いは、主にρの影響によるものであることがわかる。
また、前述したように、シミュレーション映込み画像作成工程23Cにおいて、シミュレーション映込み画像作成部43Cが、基準映込み画像に対応する画像データの輝度を、N倍(例えば、50倍など)して得られる画像データに基づいて、シミュレーション映込み画像を作成する形態では、種々の明るさ状態での被設計光学フィルムへの映り込みをシミュレーションできる。そのため、種々の明るさに対応して、所望の映り込み特性を有する光学フィルムを設計できる。
以上、第2の実施形態について説明したが、一実施形態において、画像処理装置40は、図20に示した各構成要素の機能を備えた専用の装置であり得る。一実施形態において、画像処理装置40は、図20に示した各構成要素の各機能又は図21に示した信号データ受付け工程S22以降の工程をコンピュータに実行せしめる設計プログラムを組み込んだパーソナルコンピュータ(パソコン)でもよい。設計プログラムを組み込んだパソコンである場合、パソコンが設計プログラムを実行することによって、パソコンが画像処理装置40として機能する。例えば、画像処理装置40と、特性情報作成装置20とは同じコンピュータでもよい。この場合、制御部25又は制御部45が、記憶部22又は記憶部42に組み込まれた設計プログラムを実行すれば、上記コンピュータは、設計用の画像処理装置40として機能し、特性情報作成プログラムを実施すれば上記コンピュータは特性情報作成装置20として機能する。
設計プログラムを処理することによって情報処理装置が画像処理装置40として機能する場合、上記判定工程S28に対応する工程として、判定結果を受付ける判定結果受付け工程を有すればよい。また、修正工程S29に対応する工程として、修正結果、すなわち、修正されたパラメータを受け付ける工程を有すればよい。この場合、例えば、入力部41が表示部44を介して、設計者に修正パラメータの入力の要否を問い合わせるメッセージを表示してもよい。また、判定結果受付け工程で、判定結果が許容範囲である旨の指示が入力されたら、図21に対応する映込み特性の決定工程において、例えば、制御部45が、シミュレーション映込み画像の作成に使用した関数ρの各パラメータを記憶部42等に、設計された映込み特性を表すパラメータとして格納させればよい。
また、図21に示した設計方法は、画像合成工程S26を有しているが、設計方法は、画像合成工程S26を有さなくても良い。すなわち、透過画像を取得せずに、シミュレーション映込み画像作成工程S25で作成されたシミュレーション映込み画像を、判定工程S28において判定、すなわち、その画像中における所定画像の映り込み状態が許容範囲か否かを判定してもよい。
(第3の実施形態)
次に、一実施形態に係る光学フィルムの製造方法について説明する。図29は、一実施形態に係る光学フィルムの製造方法を示すフローチャートである。
まず、所定の製造条件で光学フィルム30を試作する。光学フィルム30の製造方法は、公知の方法と同様でよい。一実施形態において、光学フィルム30は、画面11aから出射される光に対して透明な基材フィルム上に、光拡散性(或いは、防眩性)を有する層を形成することで製造され得る。
基材フィルムの材料の例は、例えば、TAC(トリアセチルセルロース)などのセルロースアセテート系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等を含む。基材フィルム上に形成される層は、例えば、無機のフィラー(炭酸カルシウム、シリカ、又は、酸化アルミニウムなど)或いは有機のフィラー(ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂又はメラミン樹脂など)が分散されたバインダーポリマーを基材フィルムにコーティングすることによって形成され得る。
或いは、一実施形態において、光学フィルム30は、上記基材フィルムの表面に、上述した無機フィラー又は有機フィラーが分散されてサンドブラスト処理或いはエンボス賦形加工処理によって凹凸を付すことによって製造されてもよい。
或いは、一実施形態において、光学フィルム30は、基材フィルム中に上述した無機フィラー又は有機フィラーを分散することによって製造されてもよい。上記例示した光学フィルム30の製造方法において、基材フィルム中に、上述した無機フィラー又は有機フィラーが更に分散されていてもよい。更に、或いは、一実施形態において、上述した無機フィラー又は有機フィラーが更に分散された基材フィルムを光学フィルム30としてもよい。
つぎに、試作した光学フィルム30を、第1の実施形態で説明した特性情報作成用光学フィルム31として使用し、図1に示した特性情報作成システム1において図2に示した特性情報作成方法によって、試作光学フィルム30の映込み特性を示す関数ρを作成する。(特性情報作成工程S31)。試作した光学フィルム30を、試作光学フィルム30と称す。
続いて、特性情報作成工程S31で算出した関数ρを定義する各パラメータρa0,ρa1,μ及びσが許容範囲か否かを判定する(判定工程S32)。
判定工程で、各パラメータρa0,ρa1,μ及びσのうちの少なくとも一つが「許容範囲内でない」と判定されれば、製造条件を修正する(製造条件修正工程S33)。製造条件の修正の例は、上述した無機フィラー又は有機フィラーの材質又は分散状態の修正、及び、サンドブラスト処理又はエンボス賦形加工処理による凹凸形成状態の修正を含む。製造条件修正工程S33が実施されると、再度試作工程S30を実施する。
一方、判定工程S32で、各パラメータρa0,ρa1,μ及びσが「許容範囲内である」と判定されれば、判定工程S32で「許容範囲内である」と判定された試作光学フィルム30の製造条件と同様の製造条件で、製品用の光学フィルムを製造する(製品用光学フィルム製造工程S34)。
上記製造方法では、試作工程で製造した試作光学フィルムを、第1の実施形態で説明した評価方法で評価できるので、光学フィルムをより客観的に評価できる。更に、試作工程で製造条件を代えた場合も、その反映を定量的に評価できるので、試行錯誤する場合より、効率的に光学フィルムを製造できる。
一実施形態では、上記製造方法において、第2の実施形態で説明した設計方法に基づいて製造すべき光学フィルム30を設計する設計工程を備えてもよい。この場合、判定工程S32では、特性情報作成工程S31で得られた試作光学フィルム30の映り込み特性を示す関数ρaの各パラメータρa0,ρa1,μ及びσと、第2の実施形態で説明した設計工程で設計した光学フィルム30の映込み特性を示す関数ρの各パラメータρb0,ρb1,μ及びσとを比較して、各パラメータρa0,ρa1,μ及びσが、対応する各パラメータρb0,ρb1,μ及びσに対して許容範囲か否かを判定すればよい。この場合、設計工程で設計した光学フィルム30の映込み特性に対して、試作光学フィルム30の良否を判定しているので、より設計条件に近い光学フィルム30を製造できる。また、設計工程では、合成画像を想定して光学フィルム30を設計しているので、実際に画面を見た状況に応じた光学フィルム30を製造できる。
以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態及び実験例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、特性情報作成装置20は、画像データ作成部23Aを備えている。しかしながら、画像データ作成部23Aで作成される画像データを、予め撮影可能な撮像装置で、映り込み画像を撮影した場合には、画像データ作成部23Aを備え無くてもよい。具体的には、光量に対して信号値が比例しており(図5の破線で示す特性を有する)且つ所望の明るさの範囲を一度に撮影できる撮像装置で、映込み画像を撮影した場合には、画像データ作成部23Aを備え無くてもよい。或いは、画像データ作成部23Aに対応する処理を、撮像装置側が備えている場合にも、画像データ作成部23Aを備えなくてよい。ここでは、特性情報作成装置20の画像データ作成部23Aについて説明したが、画像処理装置40の画像データ作成部43Aについても同様である。すなわち、画像処理装置40も画像データ作成部43Aを備え無くても良い。
更に前述したように、画像データ作成部23A,43Aを備えている場合であっても、露出量を変えて映込み画像を複数回撮影していない場合には、画像データ作成部23A,43Aは、工程2を実施しなくてもよい。或いは、所望の明るさの範囲を一度に撮影できる撮像装置で、映込み画像を撮影した場合には、工程2を実施しなくてもよい。
画像データ作成部23A,43Aが、工程1と工程2とを実施する場合、工程1と工程2の順番で行っている形態を説明したが、先に、複数の信号データを合成した後に、その合成されたデータを輝度データに変換してもよい。
撮像装置が備える撮像素子の例はCMOSセンサーに限定されない。例えば、撮像素子としては、例えば、CCDが使用されてもよい。
支持体として画像表示装置11を例示したが、光学フィルム30を支持できれば特に限定されない。画像表示装置11を利用することで、光学フィルム30が実際に使用される状況により近い状況で光学フィルム30を評価できる。
図2に示した特性情報作成方法では、参照用光学フィルム32に映り込んだ画像に対しても、特性情報作成用光学フィルム31に対する処理と同様に、処理用画像データを作成すると共に、2次元フーリエ変換をして参照用スペクトルを作成している。しかしながら、参照用スペクトルは、予め特性情報作成装置20の記憶部などに記録しておけば、画像データ作成部23A及びフーリエ変換部23Bは、参照用光学フィルム32に対応するデータの処理を実施しなくてもよい、或いは、最初に一回だけ、実施すればよい。相対スペクトル分布作成部S21Dは、記憶部に格納されている参照用スペクトルを読み出して利用すればよい。同様に、図21に示した設計方法では、基準光学フィルム30に映込んだ画像を実際に撮影した場合を示しているが、基準光学フィルム30の映込み画像に対応する基準画像データが記憶部などに格納されている場合は、撮影工程S21は実施しなくてもよい。或いは、最初に一回だけ実施すればよい。
第2の実施形態においても基準光学フィルム30は、表面処理されていない光学フィルム、いわゆるグレアフィルムとして説明したが、表面処理されていない光学フィルムに限定されない。
第1の実施形態で説明した特性情報生成工程S15において、特性情報生成部23Dは、同じ空間周波数に対する複数の相対スペクトルの平均を相乗平均として算出していた。しかしながら、同じ空間周波数に対する複数の相対スペクトルの平均は、相加平均として算出されてもよい。ただし、図19を利用して説明したように、相乗平均を利用する方が、平均相対強度のバラツキが小さいため、より高い精度で、映込み特性情報を作成できる。
10…画像取得部、11…画像表示装置(支持体)、11a…画面、13…カメラ(撮像装置)、20…特性情報作成装置、23A…画像データ作成部、23A…画像データ作成部、23B…フーリエ変換部、23C…相対スペクトル分布作成部、23D…特性情報生成部、30…光学フィルム(被設計光学フィルム、基準光学フィルム、試作光学フィルム)、31…特性情報作成用光学フィルム、32…参照用光学フィルム。

Claims (21)

  1. 画像表示装置の画面に貼付される光学フィルムの映込み特性を示す情報を作成する特性情報作成装置であって、
    第1の画像データを2次元フーリエ変換して第1のスペクトル分布を算出するフーリエ変換部であって、前記第1の画像データは、支持体に貼付された特性情報作成用光学フィルムに所定画像が映り込むことによって前記特性情報作成用光学フィルムの表面に現れる第1の映込み画像を撮像装置が撮影して得られる信号データに基づく前記第1の映込み画像に対応する第1の画像データである、前記フーリエ変換部と、
    参照用の第2のスペクトル分布と、前記第1のスペクトル分布との比を演算することによって、相対スペクトル分布を算出する相対スペクトル分布作成部であって、前記第2のスペクトルは、前記支持体に貼付された参照用光学フィルムに前記所定画像が映り込んで前記参照用光学フィルムの表面に現れる第2の映込み画像に対応する第2の画像データを2次元フーリエ変換して得られるスペクトル分布である、前記相対スペクトル分布作成部と、
    前記相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を算出し、空間周波数に対する前記平均の変化を前記映込み特性としたとき、前記映込み特性を式(1)で近似し、式(1)内のパラメータρa0,ρa1,μ及びσを決定することによって、前記映込み特性を示す情報としての関数ρを生成する特性情報生成部と、
    を備える、
    特性情報作成装置。

    式(1)において、rは空間周波数である。
  2. 前記特性情報生成部は、前記相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を、前記相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの相乗平均として算出する、請求項1に記載の特性情報作成装置。
  3. 前記信号データを輝度データに変換することによって、前記第1の画像データを作成する画像データ作成部を、
    更に有し、
    前記フーリエ変換部は、前記画像データ作成部で作成された前記第1の画像データを2次元フーリエ変換する、
    請求項1又は2に記載の特性情報作成装置。
  4. 前記画像データ作成部は、複数の信号データをそれぞれ前記輝度データに変換し、変換された前記輝度データを合成することによって、前記第1の画像データを作成し、
    前記複数の信号データは、前記撮像装置における露出量が異なっている前記第1の映込み画像に対応する信号データである、
    請求項3に記載の特性情報作成装置。
  5. 画像表示装置の画面に貼付される光学フィルムの映込み特性を示す情報を作成する特性情報作成プログラムであって、
    コンピュータに、
    第1の画像データを2次元フーリエ変換して第1のスペクトル分布を算出するフーリエ変換工程であって、前記第1の画像データは、支持体に貼付された特性情報作成用光学フィルムに所定画像が映り込むことによって前記特性情報作成用光学フィルムの表面に現れる第1の映込み画像を撮像装置が撮影して得られる信号データに基づく前記第1の映込み画像に対応する第1の画像データである、前記フーリエ変換工程と、
    参照用の第2のスペクトル分布と、前記第1のスペクトル分布との比を演算することによって、相対スペクトル分布を算出する相対スペクトル分布作成工程であって、前記第2のスペクトルは、前記支持体に貼付された参照用光学フィルムに前記所定画像が映り込んで前記参照用光学フィルムの表面に現れる第2の映込み画像に対応する第2の画像データを2次元フーリエ変換して得られるスペクトル分布である、前記相対スペクトル分布作成工程と、
    前記相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を算出し、空間周波数に対する前記平均の変化を前記映込み特性としたとき、前記映込み特性を式(2)で近似し、式(2)内のパラメータρa0,ρa1,μ及びσを決定することによって、前記映込み特性を示す情報としての関数ρを生成する特性情報生成工程と、
    を実行させる、
    特性情報作成プログラム。

    式(2)において、rは空間周波数である。
  6. 前記特性情報生成工程では、前記相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を、前記相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの相乗平均として算出する、請求項5に記載の特性情報作成プログラム。
  7. 前記コンピュータに、
    前記信号データを輝度データに変換することによって、前記第1の画像データを作成する画像データ作成工程を、
    更に実行させ、
    前記フーリエ変換工程は、前記画像データ作成工程で作成された前記第1の画像データを2次元フーリエ変換する、
    請求項5又は6に記載の特性情報作成プログラム。
  8. 前記画像データ作成工程は、複数の信号データをそれぞれ輝度データに変換し、変換された輝度データを合成することによって、前記第1の画像データを作成し、
    前記複数の信号データは、前記撮像装置における露出量が異なっている前記第1の映込み画像に対応する信号データである、
    請求項7に記載の特性情報作成プログラム。
  9. 画像取得部と、
    請求項1〜4の何れか一項記載の特性情報作成装置と、
    を備え、
    前記画像取得部は、
    特性情報作成用光学フィルムが貼付される支持体、
    前記支持体と対向して配置され前記特性情報作成用光学フィルムに映り込ませる前記所定画像を表示する画像表示装置、及び、
    前記支持体と、前記画像表示装置との間に配置され前記所定画像が前記特性情報作成用光学フィルムに映り込むことによって前記特性情報作成用光学フィルムの表面に現れる第1の映込み画像を撮影して、前記第1の映込み画像に対応する信号データを得る撮像装置と、
    を有し、
    前記特性情報作成装置には、前記画像取得部が有する前記撮像装置からの信号データが入力される、
    特性情報作成システム。
  10. 画像表示装置の画面に貼付される光学フィルムの映込み特性を示す情報を作成する特性情報作成方法であって、
    支持体に貼付された特性情報作成用光学フィルムに所定画像が映り込むことによって前記特性情報作成用光学フィルムの表面に現れる第1の映込み画像を、前記特性情報作成用光学フィルムに対向して配置された撮像装置で撮影する撮影工程と、
    前記撮像装置から前記第1の映込み画像に対する信号データに基づく前記第1の映込み画像に対応する画像データを2次元フーリエ変換して第1のスペクトル分布を算出するフーリエ変換工程と、
    参照用の第2のスペクトル分布と、前記第1のスペクトル分布との比を演算することによって、相対スペクトル分布を作成する相対スペクトル分布作成工程であって、前記第2のスペクトル分布は、前記支持体に貼付された参照用光学フィルムに前記所定画像が映り込んで前記参照用光学フィルムの表面に現れる第2の映込み画像に対応する第2の画像データを2次元フーリエ変換して得られるスペクトル分布である、前記相対スペクトル分布作成工程と、
    前記相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を算出し、空間周波数に対する前記平均の変化を前記映込み特性としたとき、前記映込み特性を式(3)で近似し、式(3)内のパラメータρa0,ρa1,μ及びσを決定することによって、前記映込み特性を示す情報としての関数ρを生成する特性情報生成工程と、
    を備える、
    特性情報作成方法。

    式(3)において、rは空間周波数である。
  11. 前記特性情報生成工程では、前記相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの平均を、前記相対スペクトル分布内の同じ空間周波数に対する複数のスペクトルの相乗平均として算出する、請求項10に記載の特性情報作成方法。
  12. 前記信号データを輝度データに変換することによって、前記第1の画像データを作成する画像データ作成工程を、
    更に有し、
    前記フーリエ変換工程は、前記画像データ作成工程で作成された前記第1の画像データを2次元フーリエ変換する、
    請求項11に記載の特性情報作成方法。
  13. 前記画像データ作成工程は、複数の信号データをそれぞれ輝度データに変換し、変換された輝度データを合成することによって、前記第1の画像データを作成し、
    前記複数の信号データは、前記撮像装置における露出量が異なっている前記第1の映込み画像に対応する信号データである、
    請求項12に記載の特性情報作成方法。
  14. 画像表示装置の画面に貼付される光学フィルムの設計方法であって、
    基準画像データを2次元フーリエ変換して基準スペクトル分布を算出するフーリエ変換工程であって、基準画像データは、支持体に貼付された基準光学フィルムに所定画像が映り込むことによって前記基準光学フィルムの表面に現れる映込み画像を撮像装置が撮影して得られる基準映込み画像に対する信号データに基づいた画像である、前記フーリエ変換工程と、
    被設計光学フィルムの映込み特性を表しており式(4)で定義される関数ρであって、パラメータρb0、ρb1、μ及びσに初期値が設定されている前記関数ρをフィルタとして使用して、前記基準スペクトル分布をフィルタ処理し、得られたスペクトル分布を逆フーリエ変換することによって、前記被設計光学フィルムに前記所定画像が映り込んだとした場合のシミュレーション映込み画像を作成するシミュレーション映込み画像作成工程と、
    前記シミュレーション映込み画像作成工程で作成された前記シミュレーション映込み画像における前記所定画像の映り込み状態が許容範囲か否かを判定する判定工程と、
    前記判定工程において、前記シミュレーション映込み画像における映り込み状態が許容範囲でないと判定された場合、前記関数ρのパラメータρb0、ρb1、μ及びσの少なくとも一つを修正する修正工程と、
    前記判定工程において、前記シミュレーション映込み画像における映り込み状態が許容範囲であると判定された場合、前記映込み画像作成工程において使用した前記関数ρを被設計光学フィルムの映込み特性として決定する映込み特性決定工程と、
    を備え、
    前記修正工程が実施された場合、前記修正工程で修正された前記関数ρに基づいて、前記シミュレーション映込み画像作成工程を実施する、
    光学フィルムの設計方法。

    式(4)において、rは空間周波数である。
  15. 支持体に貼付された基準光学フィルムに前記所定画像が映り込むことによって前記基準光学フィルムの表面に現れる基準映込み画像を撮像装置が撮影する撮影工程を更に備え、
    前記フーリエ変換工程では、前記撮影工程で取得された前記基準映込み画像に対応する前記信号データに基づく基準画像データを2次元フーリエ変換して基準スペクトル分布を算出する、
    請求項14に記載の光学フィルムの設計方法。
  16. 前記信号データを輝度データに変換することによって、前記基準画像データを作成する画像データ作成工程を、
    更に有し、
    前記フーリエ変換工程は、前記画像データ作成工程で作成された前記基準画像データを2次元フーリエ変換する、
    請求項14又は15に記載の光学フィルムの設計方法。
  17. 前記画像データ作成工程は、複数の信号データをそれぞれ輝度データに変換し、変換された輝度データを合成することによって、前記基準画像データを作成し、
    前記複数の信号データは、前記撮像装置における露出量が異なっている前記基準映込み画像に対応する信号データである、
    請求項16に記載の光学フィルムの設計方法。
  18. 前記基準光学フィルムから透過した前記支持体の像である透過画像を前記撮像装置で撮影して得られる信号データに対する前記透過画像の画像データに、前記シミュレーション映込み画像作成工程で作成された前記シミュレーション映り込み画像を重畳して得られる合成画像を作成する合成画像作成工程を更に備え、
    前記判定工程では、前記合成画像に含まれる前記映込み画像における前記所定画像の映り込み状態が許容範囲か否かを判定する、
    請求項14〜17の何れか一項に記載の光学フィルムの設計方法。
  19. 前記フーリエ変換工程で2次元フーリエ変換される前記基準画像データは、前記信号データに基づいて作成された画像データの輝度をN倍(Nは0より大きい実数)された画像データである、
    請求項14〜18の何れか一項に記載の光学フィルムの設計方法。
  20. 画像表示装置の画面に貼付される光学フィルムの製造方法であって、
    前記光学フィルムを所定の製造条件を試作する試作工程と、
    前記試作工程で試作された光学フィルムを、請求項10〜13の何れか一項に記載の特性情報作成方法における特性情報作成用光学フィルムとして、前記特性情報作成方法によって、前記試作工程で試作された光学フィルムの前記映込み特性を示す情報を作成する特性情報作成工程と、
    前記特性情報作成工程で作成される前記映込み特性を示す情報としての前記式(3)で表される関数ρの各パラメータρa0,ρa1,μ及びσが許容範囲か否かを判定する判定工程と、
    を備え、
    前記判定工程において、パラメータρa0,ρa1,μ及びσのうちの少なくとも一つが許容範囲でないと判定された場合、前記試作工程における製造条件を変更して前記試作工程を行い、
    前記判定工程において、パラメータρa0,ρa1,μ及びσが許容範囲であると判定された場合、前記試作工程における製造条件に基づいて製品としての光学フィルムを製造する、光学フィルムの製造方法。
  21. 請求項14〜19の何れか一項に記載の光学フィルムの設計方法で前記光学フィルムを設計する設計工程を更に備え、
    前記判定工程では、前記特性情報作成工程で作成される映込み特性情報としての関数ρを定義する各パラメータρa0,ρa1,μ及びσが、前記設計工程で決定された前記式(4)で表される関数ρを定義しており、前記パラメータρa0,ρa1,μ及びσに対応する各パラメータρb0、ρb1、μ及びσに対して許容範囲か否かを判定する、
    請求項20に記載の光学フィルムの製造方法。
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