JP2006301090A - 自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価方法および設計方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】第1の目的は、自動車ウインドシールド用反射防止膜の映りこみ抑制効果を、ダッシュボード色及び外部光のスペクトル、さらに人間の目の感度を直接考慮することで、実際の視感に合った自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価方法を提供することである。第2の目的は、本評価方法を設計に適用することで従来費やしていた多大な工数を大幅に短縮することである。
【解決手段】自動車のウインドシールドに設けられた反射防止膜の評価方法であって、可視光の波長λに対する人間の目の明るさ感度を表す関数V(λ)を含む評価関数を用いて反射防止膜の映りこみ抑制効果を評価する。
【選択図】図2
【解決手段】自動車のウインドシールドに設けられた反射防止膜の評価方法であって、可視光の波長λに対する人間の目の明るさ感度を表す関数V(λ)を含む評価関数を用いて反射防止膜の映りこみ抑制効果を評価する。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価方法および設計方法に関する。
従来、自動車ウインドシールドの中には、その車内側面に反射防止膜が設けられているものがある。この反射防止膜は、ダッシュボードで反射した外部光が、ウインドシールドの車内側面でさらに反射してから乗員の視界に入る、いわゆる「映りこみ」現象を抑制することにより、乗員にとってクリアで安全な運転視界を提供するためのものであり、一般的には屈折率の異なる複数の薄膜層をウインドシールドの車内側面に積層することで得られる。
一方、このような自動車ウインドシールド用反射防止膜の性能評価には、可視光反射率(JIS R3106:1998)が用いられている。可視光反射率とは、所定入射角におけるガラス表面での物理的な分光反射率に人間の目の明るさに対する波長感度(比視感度)を波長ごとに掛け合わせて、可視光(380〜780nm)全域にわたり積分した値である。
また、自動車ウインドシールド用反射防止膜によって、ダッシュボードに使用できる色の自由度が拡大することになるが、従来、ダッシュボード色を評価する際に用いられている明度L*(JIS Z8729:1994)もまた、ダッシュボード表面の分光反射率と比視感度を波長ごとに掛け合わせて可視光全域で積分し、さらに非線形変換処理を行うことで得られる指標である。
しかしながら、同一明度のダッシュボードであっても、その色彩が異なる場合、必ずしも同一の映りこみ抑制効果を示さないという問題が指摘されている。その結果、最終的に設計仕様を決めるには、サンプルを試作しながら、種々のダッシュボードやインパネ等のウインドシールドへの映り込みが生じることが想定されるものの色との組合せにより、実際に人間の目で確かめるという一連の工程を繰り返す必要があり、設計工数が膨大である。
また、最終的に仕様が決まり自動車に装着した場合でも、走行中の外部光源の状態によって映りこみの視感が異なり、例えば昼間の太陽光下と夜間の道路照明下を統一的に評価する方法がなかった。
なお、上記特開2003−240905号公報には、表示装置用反射防止膜の設計方法が提案されており、膜の分光反射率、人間の目の感度、膜に入射する光源のスペクトルを含んだ評価関数が用いられている。しかし、この公報に開示されている技術は、表示装置用反射防止膜に限定された設計方法に関するものであり、自動車ウインドシールド用反射防止膜の設計に関することは一切開示されていない(例えばダッシュボードの特性等)。さらに、この公報には、設計時に用いる評価関数の特性曲線として、従来技術の比視感度(JIS R3106:1998)が使用されているが、波長555[nm]を基準として相対的に表された視感度である比視感度を用いても実際の人間の視感に一致しない場合があった。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は、自動車ウインドシールド用反射防止膜の映りこみ抑制効果を、ダッシュボード色および外部光のスペクトル、さらに人間の目の感度を直接考慮することで、実際の視感に合った自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価方法を提供することにある。また、第2の目的は、本評価方法を設計に適用することで従来費やしていた多大な工数を大幅に短縮する自動車ウインドシールド用反射防止膜の設計方法を提供することにある。
以上の目的を達成するために本発明は、自動車のウインドシールドに設けられた反射防止膜の評価方法であって、可視光の波長λに対する人間の目の明るさ感度を表す関数V(λ)を用いて反射防止膜の映りこみ抑制効果を評価する自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価方法を提供する。
また、本発明の一態様において、前記関数V(λ)は、等色関数x−(λ)、y−(λ)およびz−(λ)のそれぞれに所定の重み付けが行われたものの線形和によって構成される。また、本発明の一態様において、前記関数V(λ)は、縦軸を等色関数の値とし、かつ横軸を波長とする座標平面において、少なくとも二つのピークを有する曲線をなす。また、本発明の一態様において、前記関数V(λ)は、440nm以上かつ460nm以下の波長域に第1のピークを有し、570nm以上かつ590nm以下の波長域に第2のピークを有する。
また、本発明の一態様において、前記評価関数は、前記反射防止膜の可視光域透過スペクトルを表す関数Tg(λ)と、前記反射防止膜の可視光域反射スペクトルを表す関数Rg(λ)と、自動車ダッシュボードの可視光域反射スペクトルを表す関数Rp(λ)と、外部光のスペクトルを表す関数S(λ)と、前記関数V(λ)との積であるTg(λ)・Rg(λ)・Rp(λ)・S(λ)・V(λ)を含む。また、本発明の一態様において、前記評価関数は、式(1)のVIで表される。
ここで、Cは定数項、λ1、λ2はそれぞれ反射防止膜を設計する際の可視光域下限波長および上限波長である。
また、本発明は、上記の内の何れかの評価関数を用いて、反射防止多層膜の膜厚を決定する自動車ウインドシールド用反射防止膜の設計方法を提供する。
以上説明した本発明は、自動車のウインドシールド用反射防止膜の効果を容易に知ることができる。また、自動車用反射防止膜の設計効率を大きく改善するものである。
(第1の発明の実施の形態)
以下、本発明を自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価に具体化した第1の実施の形態を説明する(第1の目的に対応する実施の形態)。
図1は、自動車室内で乗員がダッシュボードの映り込みを感じるまでの光の経路を表す模式図である。同図に示すように、ウインドシールドGで反射するダッシュボード12の映りこみは、外部光(外部光源11から照射された光線)が一旦ウインドシールドGを透過した後に、ダッシュボード12で反射し、さらにそれがウインドシールドGで反射されたものが乗員20の目に到達する過程を経る。したがって、最終的に乗員20の目に入る映りこみ反射光は、外部光、ガラス透過、ダッシュボード反射、ガラス反射の4つのスペクトルを掛け算したものである。
以下、本発明を自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価に具体化した第1の実施の形態を説明する(第1の目的に対応する実施の形態)。
図1は、自動車室内で乗員がダッシュボードの映り込みを感じるまでの光の経路を表す模式図である。同図に示すように、ウインドシールドGで反射するダッシュボード12の映りこみは、外部光(外部光源11から照射された光線)が一旦ウインドシールドGを透過した後に、ダッシュボード12で反射し、さらにそれがウインドシールドGで反射されたものが乗員20の目に到達する過程を経る。したがって、最終的に乗員20の目に入る映りこみ反射光は、外部光、ガラス透過、ダッシュボード反射、ガラス反射の4つのスペクトルを掛け算したものである。
図2は、本発明における自動車ウインドシールド用反射防止膜を評価する手順を表したフローチャートである。上述のように、映りこみ反射光が乗員の目に到達するまでの4つのスペクトルを入力し、それらを掛け算したものに人間の目の明るさ感度スペクトルV(λ)をさらに掛け合わせて、可視光域全体で積分評価する。但し、人間の目の明るさ感度スペクトルとして比視感度を用いると実際の視感と一致しない場合がある。そこで、人間の目の明るさ感度スペクトルV(λ)を、被験者実験によって決定し、それを用いることにする。
図3は、被験者実験で使用した実験装置の構成を模式的に示す断面図である。外部光を模擬する光源11aとしては、図4に示す波長特性を有する人工太陽灯を用い、自動車ウインドシールド用反射防止膜として図5および図6に示す透過率および反射率特性を有するタイプ1を用いた。また、ダッシュボードを模擬するサンプルとして表1および図7に示す21種類の色を用いた。暗室10内には、テーブル上にサンプル材として設置されたダッシュボード12と、観察対象を表示するディスプレイ装置13と、ガラス製のウインドシールドGと、人工太陽灯で構成された光源11aとが設置されている。ディスプレイ装置13の表示駆動はパーソナルコンピュータ14によって制御される。また、表1および図7における#1〜#21の各色は、L*a*b*表色系で表されている(JIS Z8729:1994)。また、ここで、水平面とガラス面のなす角を自動車ウィンドシールドの取付角代表値として30°としたため、図5に示すガラス透過率はガラス法線面からの入射角0°の特性であり、図6に示すガラス反射率は入射角60°の特性である。
被験者は図3に示した実験装置を用い、21種類のダッシュボードサンプルを評価し、映りこみの視感を数字で申告した。
図8は、被験者実験の結果を示す申告結果グラフである。横軸が実験に使用したダッシュボードサンプルの明度L*[無次元数]、縦軸が被験者の申告値を表す指標となっており、縦軸のVeiling Index(以下、VIと記す)は、値が大きいほど映りこみの視感を明るいと感じていることを表す。また、このグラフ中に記載の数字は、表1のダッシュボードのサンプル番号を表す。サンプル毎に被験者を変えた実験を31回行った申告結果および全試行平均値が示されている。同図が示すように、映りこみの視感VI値は、ダッシュボードサンプルの明度L*に対して増加傾向にあるが、局所的な非直線性があった。これは映りこみ視感がダッシュボードサンプルの明度L*だけではなく、色彩a*やb*の影響を受けているためである。そこで、被験者の目に入る映りこみの光を三刺激値X、Y、Z(JIS Z8701:1999)で各ダッシュボードサンプルごとに表し、この三刺激値と映りこみ視感VI値との多重相関式を求めた。
次式は算出された多重相関式である。
さらに、これをもとに人の目の明るさ感度V(λ)を抽出するため、上式を物理的な分光スペクトルの積Tg(λ)・Rg(λ)・Rp(λ)・S(λ)と目の感度V(λ)とに分け、V(λ)を等色関数(JIS Z8701:1999)の線形和の形に変換した。
図9は、等色関数を表すグラフである。また、次式は式(2)を変換した結果である。
ただし、V(λ)は以下の式を満たす。
図10は、式(4)で示されるV(λ)を、従来使用されていた比視感度と比較したグラフである。但し、各グラフと波長の軸とで囲まれる面積は、両者で等しくなるようにしている。関数V(λ)は、等色関数x−(λ)、y−(λ)およびz−(λ)のそれぞれに所定の重み付けが行われたものの線形和によって表されることが好ましく、また関数V(λ)は、縦軸を等色関数の値としかつ横軸を波長とする座標平面において、少なくとも二つのピークを有する曲線をなすことが好ましい。
特に、関数V(λ)は、440nm以上かつ460nm以下の波長域に第1のピークを有し、570nm以上かつ590nm以下の波長域に第2のピークを有することで、従来の比視感度よりも人間の感覚にマッチした評価を行うことができる。人間の目は青っぽい色に対して敏感に反応するため、青色の波長域(例えば440nm以上かつ460nm以下の波長域)にピークを有する関数V(λ)を用いることは、評価精度を向上させる上で有効である。
以上の結果得られたV(λ)を用いて自動車ウインドシールド用反射防止膜を評価した例を、図2に示したフローチャートに従って説明する。評価の一連の手順は、パーソナルコンピュータまたはワークステーション等のコンピュータによって実施される。
まず、外部光スペクトルS(λ)として図4に示した人工太陽灯のスペクトルをコンピュータに入力する(ステップS101)。次に、ダッシュボード反射スペクトルRp(λ)として図11のグラフに示す5種類(No.13,29,30,46,58)の色をコンピュータに入力する(ステップS102)。なお、ダッシュボードのL*、a*、b*の値は表2に示すとおりであり、a*およびb*の色彩を2次元にプロットしたものは図12に示すとおりである。従来の評価方法との違いを分かりやすくするために、ダッシュボード色として明度L*が同一(=40.0)で色彩a*、b*の大きく異なる5種類を選択している。
次に、ガラス透過スペクトルTg(λ)およびガラス反射スペクトルRg(λ)として、図5および図6に示した2種類(コートなし、タイプ1)をコンピュータに入力する(ステップS103)。ここでは、反射防止膜がコーティングされたガラス(タイプ1)と、反射防止膜がコーティングされていない通常ガラス(コートなし)とを比較する。
以上入力されたスペクトルおよび被験者実験結果から抽出したV(λ)を用いてVI値を計算し(ステップS104)、その結果を表2に示す。表2では5種類のダッシュボードごとにa)コートなし、b)タイプ1の各々のVI値および両者の差a)−b)を記す。また、a)コートなし、b)タイプ1ごとに5種類のダッシュボード評価結果のVI値の最大値と最小値の差をあわせて記す。
表2から明らかなように、通常ガラスとタイプ1反射防止膜との差を見ると、5色のダッシュボードに対して1.2〜2.0の違いがある。すなわち、VI値で約2程度の差があると視感的に映りこみの違いを認識できることが分かる。
一方、a)コートなし、b)タイプ1ごとにVI値の最大値と最小値の差を見ると各々5.0と4.2であり、上記のガラス種類による差である1.2〜2.0に比べて十分大きな差である。
従来の評価方法では、ガラス種類を固定した場合、ダッシュボードが同一明度なら映りこみも同一と評価されていた。しかし、表2では、同一明度のダッシュボードでもその色彩によって映りこみの視感評価が大きく異なることを示している。
(第2の発明の実施の形態)
次に、本発明を自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価に具体化した第2の実施の形態を説明する(第1の目的に対応する実施の形態)。ダッシュボード色と映りこみ視感の関係を広範囲に調べるため、ダッシュボード色を増やして図2に沿った評価を行い、個々に求めたVI値を等高線表示する。
次に、本発明を自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価に具体化した第2の実施の形態を説明する(第1の目的に対応する実施の形態)。ダッシュボード色と映りこみ視感の関係を広範囲に調べるため、ダッシュボード色を増やして図2に沿った評価を行い、個々に求めたVI値を等高線表示する。
図12は、使用したダッシュボード色の色彩a*、b*を2次元表示したグラフであり、93種類の色を評価した結果を示す。明度L*は全てL*=40とした。入力した外部光スペクトルS(λ)およびガラス透過スペクトルTg(λ)およびガラス反射スペクトルRg(λ)は第1の発明の実施の形態で評価に用いたものと同一である。
図13は、明度L*=40のダッシュボードの色彩a*b*平面内でVI値を表した等高線であり、反射防止膜がコーティングされていない通常ガラス(コートなし)の評価結果である。同様に、図14は、明度L*=40のダッシュボードの色彩a*b*平面内でVI値を表した等高線であり、反射防止膜がコーティングされたガラス(タイプ1)の評価結果である。何れも映りこみが許容される仮のVI閾値としてVI=72を選び、太破線で表示している。通常ガラスの図13に対して、反射防止膜をコートしたガラスの図14では、VI値が72以下となる領域が拡大しており、ダッシュボードで使用しても映りこみの目立たない色彩範囲が拡大していることが分かる。
(第3の発明の実施の形態)
以下、本発明を自動車ウインドシールド用反射防止膜の設計に具体化した第3の実施の形態を説明する(第2の目的に対応する実施の形態)。
以下、本発明を自動車ウインドシールド用反射防止膜の設計に具体化した第3の実施の形態を説明する(第2の目的に対応する実施の形態)。
図15は、本発明に係る自動車ウインドシールド用反射防止膜を設計する手順の一実施形態を表したフローチャートである。設計の一連の手順は、パーソナルコンピュータまたはワークステーション等のコンピュータによって実施される。まず、外部光スペクトルS(λ)として図4に示した人工太陽灯のスペクトルをコンピュータに入力する(ステップS201)。次に、ダッシュボード反射スペクトルRp(λ)として図16に示すデータをコンピュータに入力する(ステップS202)。ここでは、No.129とNo.130の2色を合わせて図示しているが、実際の手順では各色ごとに設計する。
次に、反射防止膜を積層するための基材情報をコンピュータに入力する(ステップS203)。基材の物性値としては、屈折率スペクトルおよび吸収係数スペクトルまたは透過スペクトルおよび反射スペクトルを用いる。ここで使用した基材は図17に示す透過スペクトル(入射角0°)および図18に示す反射スペクトル(入射角60°)を有するガラス基材である。次に、最適化の制約条件をコンピュータに入力する(ステップS204)。ここでは、入射角0°における基材も含めた可視光透過率(JIS R3106:1998)が72%以上であることとした。
次に、反射防止膜として使用する多層膜の膜層数mおよび膜材料を決定する(ステップS205)。膜材料の物性値としては、屈折率スペクトルn(λ)iおよび吸収係数スペクトルk(λ)iを用いる。ここでは、両物性値ともに波長依存性がないものとし、基材に近い側からn1=1.7、k1=0、n2=2.4、k2=0、n3=1.46、k3=0とした。次に、反射防止膜の各層の初期膜厚diをコンピュータに入力する(i=1〜m)(ステップS206)。ここでは、各層の初期膜厚をdi=500オングストローム(i=1〜m)(=5000nm)とした。以上が設計条件の入力である。
次に設計を最適化するために反射防止膜各層の膜厚を変更しながら、その組合せ解の中で制約条件を満たしつつ、かつ最適なものを探索する。まず、現在の設定膜厚でガラス透過スペクトルTg(λ)およびガラス反射スペクトルRg(λ)をコンピュータにより計算する(ステップS207)。
次に、この光学特性が制約条件を満たすか否かを判定し(ステップS208)、不満足の場合は膜厚の組合せを変更する(ステップS209)。満足する場合は映りこみの評価に進む。映りこみの評価に用いる評価関数VIとしては、式(3)を使用する(ステップS210)。この評価関数で表されるVI値が最小となるように膜厚の組合せを変更し、最適化を行う(ステップS211,ステップS212)。評価関数はダッシュボード反射スペクトルとしRp(λ)を中に含むため、ダッシュボード色が変われば評価関数も変わることになる。図16に示す2色のダッシュボード色(NO.129,No.130)のそれぞれに対する評価関数の違いを図19に示す。同図は、評価関数の可視光域積分部分の中身に関して、ガラス透過スペクトルTg(λ)およびガラス反射スペクトルRg(λ)を除いた関数形を示したグラフである。
以上の設計手順に従って得られた結果について説明する。
図20は、反射防止膜付きガラスの透過スペクトルを表すグラフである(入射角0°)。参照データとして反射防止膜なしのガラス基板データ(コートなし)および従来の設計方法で設計された反射防止膜付きガラスのデータ(タイプ1)をあわせて記載する。
図20は、反射防止膜付きガラスの透過スペクトルを表すグラフである(入射角0°)。参照データとして反射防止膜なしのガラス基板データ(コートなし)および従来の設計方法で設計された反射防止膜付きガラスのデータ(タイプ1)をあわせて記載する。
図21は、反射防止膜付きガラスの反射スペクトルを表すグラフである(入射角60°)。参照データとして反射防止膜なしのガラス基板データ(コートなし)および従来の設計方法で設計された反射防止膜付きガラスのデータ(タイプ1)をあわせて記載する。
表3は、得られた反射防止膜付きガラスの光学特性値および映りこみ視感評価VI値および反射防止膜各層の決定された厚みを記載した特性表である。参照データとして反射防止膜なしのガラス基板データ(コートなし)および従来の設計方法で設計された反射防止膜付きガラスのデータ(タイプ1)をあわせて記載する。ただし、表中のTvは可視光透過率を、Rvは可視光反射率を表す。
図16、図19、図20および図21から、使用したいダッシュボード色が変わることで評価関数形が変わり、それに応じて得られる最適解が変わることが分かる。
表3から、ダッシュボード色No.129とNo.130に対して得られる最適解は、その構成膜厚が全く異なることが分かる。また、タイプ1の従来設計方法で得られる反射防止膜と本発明で提供する設計方法で得られるNo.130の最適解を比較すると、従来の評価方法であるRv値(可視光反射率JIS R3106:1998)では同等性能と評価されるが、本発明で提供するVI値評価ではNo.130の解はさらにダッシュボードの映り込みを抑制できていることが分かる。
以上説明した本発明は、外部光、ダッシュボードの色が評価関数内に直接考慮されているため、昼間の太陽光下または夜間の道路照明下等の外部環境、使用したいダッシュボードの色を自由に設定できるため、特定の状況を想定しそれに好適な反射防止膜を設計することができる。
G:ウインドシールド
11:外部光源
12:ダッシュボード
20:乗員
11:外部光源
12:ダッシュボード
20:乗員
Claims (7)
- 自動車のウインドシールドに設けられた反射防止膜の評価方法であって、可視光の波長λに対する人間の目の明るさ感度を表す関数V(λ)を含む評価関数を用いて反射防止膜の映りこみ抑制効果を評価する自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価方法。
- 前記関数V(λ)は、等色関数x−(λ)、y−(λ)およびz−(λ)のそれぞれに対し所定の重み付けが行われたものの線形和で構成される請求項1に記載の自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価方法。
- 前記関数V(λ)は、縦軸を等色関数の値とし、かつ横軸を波長とする座標平面において、少なくとも二つのピークを有する曲線をなす請求項2に記載の自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価方法。
- 前記関数V(λ)は、440nm以上かつ460nm以下の波長域に第1のピークを有し、570nm以上かつ590nm以下の波長域に第2のピークを有する請求項3に記載の自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価方法。
- 前記評価関数は、前記反射防止膜の可視光域透過スペクトルを表す関数Tg(λ)と、前記反射防止膜の可視光域反射スペクトルを表す関数Rg(λ)と、自動車ダッシュボードの可視光域反射スペクトルを表す関数Rp(λ)と、外部光のスペクトルを表す関数S(λ)と、前記関数V(λ)との積であるTg(λ)・Rg(λ)・Rp(λ)・S(λ)・V(λ)を含む請求項1〜4の何れか一項に記載の自動車ウインドシールド用反射防止膜の評価方法。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載の評価関数を用いて、反射防止多層膜の膜厚を決定する自動車ウインドシールド用反射防止膜の設計方法。
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