[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態にかかるオーディオシステム1の一構成例を模式的に示した図である。オーディオシステム1は、楽器等の音響機器から出力される音波形データに様々な処理を施した後、スピーカ等に出力するシステムである。オーディオシステム1においては、ユーザは楽器等の音響機器に応じたNFCタグをNFCリーダ・ライタにかざす、もしくは接触させる(以下、NFCタグをNFCリーダ・ライタにかざす、もしくは接触させることを総称して「かざす」という)ことにより、音響機器の接続および接続に伴う各種設定(ボリューム設定等)を容易に行うことができる。以下にオーディオシステム1の構成を説明する。
オーディオシステム1は、まず、音波形データに各種処理を施すオーディオスマートボックス11を備えている。オーディオスマートボックス11は外部の機器からケーブルを介して各種データの入力を受け付けるためのIF(InterFace)や、外部の機器に対し各種データを出力するためのIFを備えている。また、オーディオスマートボックス11は、外部の機器から無線により各種データの入力を受け付けるための無線ユニットや、外部の機器に対し各種データを出力するための無線ユニットを備えている。
オーディオスマートボックス11の音波形データ出力用のIFには、ケーブルを介して、左右1組をなすスピーカ12Lおよびスピーカ12R(以下、これらを総称して「スピーカ12」という)が接続されている。スピーカ12は、例えば一般的なアンプ内蔵のスピーカであり、オーディオスマートボックス11から出力される音波形データに従い放音を行う。
また、オーディオスマートボックス11の画像データ出力用のIFには、ケーブルを介して、テレビ13が接続されている。テレビ13は、例えば一般的なテレビであり、オーディオスマートボックス11から出力される画像データに従い画像の表示を行う。なお、テレビ13はスピーカを内蔵していてもよいが、スピーカ12により放音が行われる場合、テレビ13に内蔵のスピーカは使用されなくてもよい。また、テレビ13がスピーカを内蔵している場合、スピーカ12に代えてオーディオスマートボックス11に対しテレビ13に内蔵されたスピーカを接続し、当該スピーカが放音を行ってもよい。
また、図1に例示のオーディオシステム1においては、エレキギター14が、トランスミッタ15およびレシーバ16を介して、オーディオスマートボックス11の音波形データ入力用のIFに接続されている。エレキギター14は一般的なエレキギターであり、演奏者の演奏に応じて楽音を表す音波形データを電気信号として出力する。トランスミッタ15は一般的な楽器用のワイヤレストランスミッタであり、電気信号として入力される音波形データに従い、指定された周波数の電磁波をFM変調して発信する。
レシーバ16は一般的な楽器用のワイヤレスレシーバにNFCタグを付加した装置である。レシーバ16は、トランスミッタ15から発信される電磁波を受信し、当該電磁波を復調して音波形データを再現した後、出力する。レシーバ16が備えるNFCタグには、レシーバ16の装置種別を示すデータ等が格納されている。レシーバ16の使われ方については後述する。
また、図1に例示のオーディオシステム1においては、エレキベース17が、ケーブルを介して、オーディオスマートボックス11の音波形データ入力用のIFに接続されている。エレキベース17は一般的なエレキベースであり、演奏者の演奏に応じて楽音を表す音波形データをアナログ電気信号として出力する。
エレキベース17には、NFCタグ18が付属している。NFCタグ18は、例えばエレキベース17の販売時にエレキベース17の付属品として購入者(エレキベース17の演奏者)に提供されたものである。NFCタグ18には、エレキベース17の装置種別を示すデータ等が記憶されている。NFCタグ18の使われ方については後述する。
また、図1に例示のオーディオシステム1においては、ミュージックキーボード19が、ケーブルを介して、オーディオスマートボックス11の音波形データ等の入出力用のIFに接続されている。ミュージックキーボード19は一般的なミュージックキーボードであり、演奏者の演奏に応じて楽音を表す音波形データをデジタル電気信号として出力する。また、ミュージックキーボード19は、外部の機器から音色等の各種パラメータ(楽音パラメータ)の設定を指示する指示データを受け取り、受け取った指示データに従い自機における各種パラメータの設定を行う。
また、図1に例示のオーディオシステム1においては、ワイヤレスマイク20が、電磁波により、オーディオスマートボックス11の音波形データ入力用の無線ユニットに接続されている。ワイヤレスマイク20は一般的なワイヤレスマイクであり、所定の周波数の電磁波を歌唱者の声を表す音波形データに従い変調して発信する。
また、図1に例示のオーディオシステム1においては、ワイヤレスマイク20のユーザが持参したタブレットPC21が用いられる。タブレットPC21は、NFCリーダ・ライタおよびNFCタグとして機能する近距離無線通信ユニットと、近距離無線通信ユニットの通信可能距離(外部の装置との間でデータを受け渡すことができる最大距離(数センチメートル〜数十センチメートル程度)よりも通信可能距離が長く(数メートル〜数十メートル程度)、外部の機器との間で各種データの送受信を行う通信ユニットである非近距離無線通信ユニットと、タッチディスプレイを備えた一般的なタブレットPCである。
タブレットPC21は、近距離無線通信ユニットにより、オーディオスマートボックス11との間で非近距離無線通信ユニットを介した通信を行うために必要なSSID等のデータを交換し、交換したデータを用いて非近距離無線通信ユニットとオーディオスマートボックス11との間で確立された通信接続を介して、オーディオスマートボックス11との間で各種データの送受信を行う。タブレットPC21の使われ方については後述する。
また、図1に例示のオーディオシステム1においては、オーディオスマートボックス11の各種データの送受信用のIFは、ケーブルを介してルータ22に接続され、ルータ22を介してインターネット9に接続されている。ルータ22は一般的な有線LAN用のルータであり、オーディオスマートボックス11と外部の装置がインターネット9(WAN)を介して行う各種データの送受信を中継する。
続いて、オーディオスマートボックス11の構成を説明する。図2は、オーディオスマートボックス11のハードウェア構成を示したブロック図である。オーディオスマートボックス11は、まず一般的なコンピュータと同様のハードウェア構成として、CPU1101、ROM1102、RAM1103、HDD1104を備えている。また、オーディオスマートボックス11は、一般的な音源装置と同様のハードウェア構成として、音源ユニット1105とDSP1106を備えている。従って、CPU1101が様々なアプリケーションプログラムに従った処理を行うことにより、オーディオスマートボックス11はDAW(Digital Audio Workstation)やカラオケ装置等の、音波形データの入出力や処理を行う各種装置として機能する。
また、オーディオスマートボックス11はディスプレイ1107、キーパッド1108を備えている。ディスプレイ1107およびキーパッド1108は、例えばオーディオスマートボックス11の筐体のフロント面上に配置され、ユーザとオーディオスマートボックス11との情報交換のためのマンマシンインタフェースとして機能する。
また、オーディオスマートボックス11は、楽器等の外部の機器からケーブルを介して電気信号によりアナログ形式の音波形データ(エンコードや暗号化等はされていない)を受け付けるIF(Interface)であるアナログ音信号入力IF1109を備えている。アナログ音信号入力IF1109は、例えば標準フォーンプラグ(モノラル)、RCA端子等の汎用的な規格に応じた入力端子を、例えば左右2個×8chの計16個のように複数備えており、これらの入力端子を介して同時に複数の音波形データの入力を受け取ることができる。例えば、レシーバ16やエレキベース17はアナログ音信号入力IF1109に接続される。
また、オーディオスマートボックス11は、オーディオスマートボックス11において各種処理を施したアナログ形式の音波形データ(エンコードや暗号化等はされていない)をケーブルを介して電気信号によりスピーカ等の外部の機器に出力するIFであるアナログ音信号出力IF1110を備えている。アナログ音信号出力IF1110は、例えばスピーカケーブルの端部を直接把持する形状の出力端子や、標準フォーンプラグ(モノラル)、RCA端子等の汎用的な規格に応じた出力端子を、例えば左右2個×4chの計8個のように複数備えており、これらの出力端子を介して同時に複数の音波形データを出力することができる。なお、これらの複数チャンネルの各々から同時に出力される音波形データは、必ずしも同じである必要はない。例えば、スピーカ12がアナログの音波形データに従い放音を行う場合、スピーカ12はアナログ音信号出力IF1110に接続される。
また、オーディオスマートボックス11は、オーディオプレーヤ等の外部の機器からケーブルを介して光信号や電気信号によりデジタル形式の音波形データを受け付けるIFであるデジタル音信号入力IF1111を備えている。デジタル音信号入力IF1111は、例えばS/PDIF(Sony Philips Digital InterFace)等の汎用的な規格に応じた入力端子を、例えば2ch(計2個)のように複数備えており、これらの入力端子を介して同時に複数の音波形データの入力を受け取ることができる。図1に例示のオーディオシステム1の構成においてはデジタル音信号入力IF1111は使用されないが、デジタル音信号入力IF1111には、例えば音楽CDプレーヤから出力される音波形データ等が入力される。
また、オーディオスマートボックス11は、オーディオスマートボックス11において各種処理を施したデジタル形式の音波形データをケーブルを介して光信号や電気信号によりオーディオレコーダ等の外部の機器に出力するIFであるデジタル音信号出力IF1112を備えている。デジタル音信号出力IF1112は、例えばS/PDIF等の汎用的な規格に応じた出力端子を、例えば2ch(計2個)のように複数備えており、これらの出力端子を介して同時に複数の音波形データを出力することができる。なお、これらの複数チャンネルの各々から同時に出力される音波形データは、必ずしも同じである必要はない。例えば、スピーカ12がデジタルの音波形データに従い放音を行う場合、スピーカ12はデジタル音信号出力IF1112に接続される。
また、オーディオスマートボックス11は、例えば電子楽器等の外部の機器との間でケーブルを介して音波形データや制御データ等の各種データをデジタル形式で双方向に入出力するIFであるデジタル信号入出力IF1113を備えている。デジタル信号入出力IF1113は、例えばUSB等の汎用的な規格に応じた入出力端子を、例えば8個のように複数備えており、これらの入出力端子を介して同時に複数の音波形データや制御データ等を入出力することができる。なお、これらの複数の入出力端子を介して同時に入出力されるデータは、必ずしも同じである必要はない。例えば、ミュージックキーボード19はデジタル信号入出力IF1113に接続される。
また、オーディオスマートボックス11は、例えばテレビ等の外部の機器との間でケーブルを介して画像データ、音波形データ、制御データ等の各種データをデジタル形式で双方向に入出力するIFであるマルチメディア信号入出力IF1114を備えている。マルチメディア信号入出力IF1114は、例えばHDMI(登録商標)等の汎用的な規格に応じた入出力端子を、例えば2個のように複数備えており、これらの入出力端子を介して同時に複数の画像データ、音波形データ、制御データ等を入出力することができる。なお、これらの複数の入出力端子を介して同時に入出力されるデータは、必ずしも同じである必要はない。例えば、テレビ13はデジタル信号入出力IF1113に接続される。
また、オーディオスマートボックス11は、外部の機器から電磁波信号によりアナログ形式の音波形データを受信する通信ユニットであるアナログ無線音信号受信ユニット1115を備えている。アナログ無線音信号受信ユニット1115は、例えば互いに異なる周波数の複数の電磁波信号の各々にFM変調された音波形データを同時に受信し、それらを復調して複数チャンネルの音波形データを再現する。例えば、アナログ無線音信号受信ユニット1115は、ワイヤレスマイク20から発信される音波形データを示す電磁波を受信する。
また、オーディオスマートボックス11は、ケーブルを介して通信ネットワークに接続し、当該通信ネットワークに接続されている外部の通信装置との間で各種データの送受信を行うIFである有線通信IF1116を備えている。有線通信IF1116は、例えばEthernet(登録商標)等の通信規格に従った端子を備え、この端子を介して電気信号によりデジタル形式の各種データを外部の装置との間で送受信することができる。例えば、ルータ22は有線通信IF1116に接続される。
また、オーディオスマートボックス11は、NFCの規格に従い、オーディオスマートボックス11にかざされたNFCタグ等との間で電磁波信号により各種データの受け渡しを行う通信ユニットである近距離無線通信ユニット1117を備えている。近距離無線通信ユニット1117は、NFCリーダ・ライタの機能を備え、自機に対しかざされたNFCタグから各種データを読み出したり、当該NFCタグに対し各種データの書き込みを指示したりする。
また、オーディオスマートボックス11は、近距離無線通信ユニット1117よりも通信可能距離が長い無線通信ユニットである非近距離無線通信ユニット1118(無線通信手段)を備えている。非近距離無線通信ユニット1118は、例えばIEEE 802.11a、IEEE 802.11b、IEEE 802.11n、Bluetooth(登録商標)等の無線通信規格に従い、デジタル形式の各種データを外部の装置との間で送受信することができる。
なお、上述した各種IFが備える端子の一部は、ユーザによるケーブルの抜き差しが容易なように、例えばオーディオスマートボックス11の筐体のフロント面に配置されている。また、近距離無線通信ユニット1117が備えるNFCリーダ・ライタは、ユーザがNFCタグをかざしやすいように、例えばオーディオスマートボックス11の筐体の上面に配置されている。
また、オーディオスマートボックス11が備える各構成部は、バス(図示略)を介して互いにデータの受け渡しを行う。
図3は、オーディオスマートボックス11の基本的な機能構成を示したブロック図である。オーディオスマートボックス11のCPU1101が本発明にかかるプログラムに従った処理を行うと、オーディオスマートボックス11は図3に示す構成を備える装置として機能する。オーディオシステム1は、まず、楽器等の機器から出力される音波形データの入力を受け取る音波形データ入力手段111と、音波形データ入力手段111により受け取られた音波形データに様々な処理を施して新たな音波形データを生成する音波形データ処理手段112と、音波形データ処理手段112により生成された音波形データをスピーカ等の機器に出力する音波形データ出力手段113を備える装置として機能する。
オーディオスマートボックス11は、さらに、NFCタグとの間で所定の周波数の電磁波により各種データを送受信するリーダ114を備える装置として機能する。リーダ114は、NFCタグから、音波形データ処理手段112による処理の内容を指示する指示データを受信すると、当該指示データを音波形データ処理手段112に引き渡し、音波形データ処理手段112は当該指示データに従い音波形データの処理を行う。
オーディオスマートボックス11は、さらに、インターネット9を介して外部の装置に対し各種データを送信する送信手段116と、インターネット9を介して外部の装置から各種データを受信する受信手段117を備える装置として機能する。送信手段116は音波形データ処理手段112が音波形データの処理に要するデータの送信要求を外部の装置に送信する。受信手段117は送信手段116から送信された送信要求に応じて外部の装置から送信されてくるデータを受信し、音波形データ処理手段112に引き渡す。音波形データ処理手段112は受信手段117から引き渡されたデータを用いて、音波形データの処理を行う。
続いて、トランスミッタ15とレシーバ16の構成を説明する。図4は、トランスミッタ15の外観を模式的に示した図である。トランスミッタ15は、例えば標準フォンプラグの形状の入力端子151と、入力端子151を介して入力される音波形データに従い指定された周波数の電磁波をFM変調する変調部(図示略)と、FM変調された電磁波を発信するアンテナ(図示略)と、トランスミッタ15の他の構成部に電力を供給する電池(図示略)と、電池に対し充電用の電力を供給するとともにトランスミッタ15の発信する電磁波の周波数を指定するデータを外部の装置から受け取るための、例えばマイクロUSBの形状の入出力端子152を備えている。ユーザは、例えばPC(Personal Computer)等の端末装置にケーブルを介してトランスミッタ15を接続し、端末装置からトランスミッタ15に対する充電を行ったり、端末装置を操作して、トランスミッタ15が発信する電磁波の周波数を変更したりすることができる。図1に例示のオーディオシステム1においては、トランスミッタ15はエレキギター14の出力端子に接続されている。
図5は、レシーバ16の外観を模式的に示した図である。図5に示されるように、レシーバ16の外観はトランスミッタ15の外観とほぼ同じである。レシーバ16は、トランスミッタ15から発信された電磁波を受信するアンテナ(図示略)と、アンテナが受信した電磁波を復調する復調部(図示略)と、復調により再現された音波形データを出力する例えば標準フォンプラグの形状の出力端子161と、レシーバ16の他の構成部に電力を供給する電池(図示略)と、電池に対し充電用の電力を供給するとともにレシーバ16の受信する電磁波の周波数を指定するデータを外部の装置から受け取るための、例えばマイクロUSBの形状の入出力端子162と、NFCタグ163を備えている。NFCタグ163には、レシーバ16の装置種別を示すデータ等が記憶されており、レシーバ16がオーディオスマートボックス11の近距離無線通信ユニット1117(NFCリーダ・ライタ)にかざされると、NFCタグ163は格納しているデータを近距離無線通信ユニット1117に対し無線送信する。NFCタグ163の使われ方については後述する。
また、ユーザは、例えばPC等の端末装置にケーブルを介してレシーバ16を接続し、端末装置からレシーバ16に対する充電を行ったり、端末装置を操作して、レシーバ16が受信する電磁波の周波数を変更したりすることができる。図1に例示のオーディオシステム1においては、レシーバ16はオーディオスマートボックス11のアナログ音信号入力IF1109に接続されている。
続いて、オーディオシステム1のユーザがオーディオシステム1を利用して楽曲の演奏を行う場合におけるオーディオシステム1の動作例を説明する。
この場合、オーディオシステム1のユーザとは、具体的にはエレキギター14の演奏者(以下、「ユーザG」という)、エレキベース17の演奏者(以下、「ユーザB」という)、ミュージックキーボード19の演奏者(以下、「ユーザK」という)、ワイヤレスマイク20を用いて歌唱を行う歌唱者(以下、「ユーザV」という)の4名であるものとする。そして、これらのユーザは同じ音楽バンドのメンバであり、各自自分の機器を持って、オーディオスマートボックス11が配置されている練習スタジオに集まって楽曲演奏の練習を行うものとする。練習スタジオに配置されているオーディオスマートボックス11には、予めスピーカ12とテレビ13が接続されている。また、オーディオスマートボックス11はルータ22を介してインターネット9に接続可能となっている。ただし、オーディオスマートボックス11にはレシーバ16等の他の機器(ユーザが持参)はまだ接続されていない。
ユーザVは、ワイヤレスマイク20とタブレットPC21を持参している。タブレットPC21には、予め、タブレットPC21をオーディオスマートボックス11のコントローラとして使用するためのアプリケーションプログラムであるASB(Audio Smart Box)アプリがインストールされている。ユーザVがタブレットPC21を操作してASBアプリを起動すると、タブレットPC21は図6に示すようなモード選択画面を表示する。モード選択画面には、オーディオスマートボックス11をDAWとして機能させる「DAW」ボタン、オーディオスマートボックス11をカラオケ装置として機能させる「カラオケ」ボタン、オーディオスマートボックス11を楽器のレッスン装置として機能させる「レッスン」ボタン、オーディオスマートボックス11に楽器等の機器を接続する際の設定等を行うための「機器接続」ボタンが配置されている。
この場合、ユーザVはモード選択画面において「DAW」ボタンを指で触れる(以下、「タッチ」という)等により操作する。その操作に応じて、タブレットPC21は図7に示すようなログイン画面を表示する。ログイン画面には、インターネット9内のクラウドストレージに保存されている各種データを利用するために必要な本人認証情報であるユーザ名およびパスワードの入力欄が配置されている。ユーザVはこれらの入力欄にユーザ名およびパスワードを入力する。なお、ASBアプリの設定により、過去に入力されたユーザ名およびパスワードの保持が許可されていると、ユーザVは初めてログイン画面を開く時以外はユーザ名およびパスワードの入力を求められない。
ログイン画面において、ユーザ名およびパスワードが入力されると、タブレットPC21は自機のNFCタグの記憶領域に以下のデータを格納する。
(1)自機の識別データ
(2)クラウドストレージのURL
(3)ユーザ名およびパスワード
(4)DAWデータ(DAWにおける各種設定や演奏内容等を記録したデータ)のリスト(DAWデータの各々に関するファイル名、最終更新日等のデータ)の送信要求コマンド
(5)自機(タブレットPC21)が使用可能な非近距離無線通信の規格名および暗号化方式を示すデータ
ユーザVはログイン画面を表示したまま、タブレットPC21を、オーディオスマートボックス11の近距離無線通信ユニット1117(NFCリーダ・ライタ)が配置されている位置(オーディオスマートボックス11の上面)にかざす。オーディオスマートボックス11のNFCリーダ・ライタは常時、所定の周波数の電磁波を発信しており、タブレットPC21がオーディオスマートボックス11にかざされると、タブレットPC21のNFCタグはオーディオスマートボックス11のNFCリーダ・ライタから発信されている電磁波を所定の強度以上で受けることになる。タブレットPC21のNFCタグはこの所定の強度以上の電磁波に応答して所定の周波数の電磁波の発信を開始する。その後、オーディオスマートボックス11のNFCリーダ・ライタとタブレットPC21のNFCタグは各々が発信する電磁波により、NFCに規定のプロトコルに従い、データの送受信を行う。
以下の説明において、NFCリーダ・ライタにNFCタグがかざされると、上記と同様の手順によりNFCリーダ・ライタとNFCタグとの間でデータの送受信が行われる。ただし、タブレットPC21が備えるNFCタグはタブレットPC21が備える電池から電力の供給を受けることができるが、例えばNFCタグ18は電池を備えず、自機内から電力の供給を受けることはできない。このように、電源を持たないNFCタグがNFCリーダ・ライタにかざされた場合、NFCタグはNFCリーダ・ライタから発信される電磁波により生じるRF磁界内で電磁誘導によりアンテナ・コイルに発生する起電力により動作する。
タブレットPC21のNFCタグは、オーディオスマートボックス11のNFCリーダ・ライタにかざされると、自機に格納しているデータをオーディオスマートボックス11のNFCリーダ・ライタに送信する。その結果、オーディオスマートボックス11のNFCリーダ・ライタは、タブレットPC21のNFCタグに格納されているデータを取得する。以下、NFCリーダ・ライタが、自機にかざされたNFCタグに格納されているデータを取得する処理を、「NFCリーダ・ライタがNFCタグからデータを読み取る」のように記載する。
オーディオスマートボックス11は、タブレットPC21のNFCタグから読み取った非近距離無線通信の規格名および暗号化方式を示すデータに応じて、近距離無線通信ユニット1117により、オーディオスマートボックス11の非近距離無線通信ユニット1118に設定されているSSID、暗号化方式を示すデータ、暗号鍵をタブレットPC21のNFCタグに送信する。タブレットPC21のNFCタグは、オーディオスマートボックス11から送信されてくるSSID等を自機の記憶領域に格納する。以下、NFCタグが、自機のかざされたNFCリーダ・ライタから送信されたデータを自機の記憶領域に格納する処理を、便宜的に「NFCリーダ・ライタがNFCタグにデータを書き込む」のように記載する。
オーディオスマートボックス11は、タブレットPC21のNFCタグに対するSSID等の書き込みを完了すると、例えば電子音発生器(図示略)により「ピッ」という電子音を鳴らして通知を行う。ユーザVは、この通知の後、タブレットPC21をオーディオスマートボックス11から自由に離してよい。
オーディオスマートボックス11は、タブレットPC21から読み取ったURLにより識別されるインターネット9上のクラウドストレージに対し、有線通信IF1116(送信手段116および受信手段117)により、タブレットPC21から読み取ったユーザ名およびパスワードと、DAWデータのリストの送信要求コマンドを送信する。オーディオスマートボックス11は、有線通信IF1116により、この送信要求コマンドに応じてクラウドストレージから送信されてくるDAWデータのリストを受信する。
一方、タブレットPC21は、オーディオスマートボックス11に書き込まれたSSID等のデータを用いて、自機の非近距離無線通信ユニットにより、オーディオスマートボックス11に対する非近距離無線通信接続の確立要求コマンドの送信を行う。オーディオスマートボックス11の非近距離無線通信ユニット1118はタブレットPC21からの確立要求コマンドに応答し、非近距離無線通信の規格に応じた所定のプロトコルに従い、オーディオスマートボックス11の非近距離無線通信ユニット1118とタブレットPC21の非近距離無線通信ユニットとの間で非近距離無線通信接続が確立される。その後、オーディオスマートボックス11とタブレットPC21は、非近距離無線通信接続を介してデータ通信を行うことができるようになるため、ユーザVはタブレットPC21をオーディオスマートボックス11にかざす動作を繰り返す必要はない。
続いて、オーディオスマートボックス11はクラウドストレージから受信したDAWデータのリストをタブレットPC21に送信する。タブレットPC21は、オーディオスマートボックス11から受信したDAWデータのリストを用いて、図8に示すようなDAWデータ操作画面を表示する。DAWデータ操作画面には、ユーザVがクラウドストレージに格納しているDAWデータのリスト、DAWデータをオーディオスマートボックス11にロードする「ロード」ボタン、オーディオスマートボックス11にロードされているDAWデータをクラウドストレージに格納する「セーブ」ボタンが配置されている。
ユーザVは、演奏の練習に用いたいDAWデータをリストからタッチ等により選択し、「ロード」ボタンをタッチ等により操作する。この操作に応じて、タブレットPC21は選択されたDAWデータの送信要求コマンドを生成し、オーディオスマートボックス11に送信する。オーディオスマートボックス11はDAWデータの送信要求コマンドに応じて、指定されたDAWデータをクラウドストレージからダウンロードする。
続いて、オーディオスマートボックス11は、例えばダウンロードしたDAWデータのファイル名の拡張子に応じたアプリケーションプログラム(以下、「DAWアプリ」という)を起動する。なお、DAWアプリが予めオーディオスマートボックス11にインストールされていない場合、オーディオスマートボックス11は、例えばクラウドストレージのユーザVの記憶スペースに格納されているDAWアプリをダウンロードし、インストールした後にそれを起動する。
DAWアプリの画面を表す画像データは、例えばオーディオスマートボックス11に接続されているテレビ13に出力されるとともに、非近距離無線通信ユニット1118を介してタブレットPC21にも送信される。従って、DAWアプリの画面はテレビ13において表示されるとともに、タブレットPC21のディスプレイにも表示される。また、タブレットPC21に表示される画面に対しユーザVが各種操作を行うと、それらの操作に応じたコマンドがタブレットPC21からオーディオスマートボックス11に送信される。その結果、ユーザVはタブレットPC21をDAWとして機能するオーディオスマートボックス11のマンマシンインタフェースとして利用することができる。
続いて、ユーザは各自、自分の機器をオーディオスマートボックス11に接続する作業を行う。ユーザGは、エレキギター14、トランスミッタ15、レシーバ16を持参している。なお、トランスミッタ15とレシーバ16には予め、同じ周波数が設定されており、トランスミッタ15から送信される電磁波をレシーバ16が受信可能となっている。また、レシーバ16が備えるNFCタグ163の記憶領域には、例えば以下のデータが格納されている。
(1)自機の識別データ
(2)自機の種別を示す「ギター用ワイヤレスレシーバ」等のデータ
(3)出力端子の形状を示す「標準フォンプラグ」等のデータ
(4)自機の出力レベルを示す「**dBv」等のデータ
(5)設定可能な周波数(バンド)を示すデータ
(6)設定されている周波数を示すデータ
(7)エレキギター14に応じたエフェクタのパラメータ
(8)クラウドストレージのURL
(9)ユーザ名およびパスワード
レシーバ16のNFCタグ163に格納されている上記(1)〜(5)のデータは、通常、書き替えられることはない固定的なデータであり、上記(6)のデータはユーザGによりレシーバ16に設定される周波数が変更される際に書き換えられるデータである。上記(1)〜(6)のデータは、レシーバ16の属性を示す属性データである。また、上記(7)のデータは、例えばユーザGが前回の練習の際にオーディオスマートボックス11(練習スタジオが異なる場合、今回利用の装置と同種の異なる装置)のNFCリーダ・ライタにより書き込んだデータである。上記(7)のデータは、レシーバ16が受信しオーディオスマートボックス11に入力される音波形データの処理の内容をオーディオスマートボックス11に対し指示する指示データである。また、上記(8)および(9)のデータは、例えばユーザGがPC等に接続されたNFCリーダ・ライタ等により書き込んだデータである。
ユーザGは、エレキギター14にトランスミッタ15を接続する。また、ユーザGは、トランスミッタ15をオーディオスマートボックス11にかざす。オーディオスマートボックス11のNFCリーダ・ライタは、レシーバ16のNFCタグ163からデータを読み取ると、読み取ったデータに含まれるレシーバ16の属性データに従い、まず、既にオーディオスマートボックス11に接続されている他の機器が用いている周波数と、レシーバ16に設定されている周波数に干渉が生じないかをチェックする。
周波数に干渉が生じる場合、オーディオスマートボックス11はディスプレイ1107に、例えば「設定されている周波数は使用できません。周波数**に設定変更して下さい。」といったメッセージを表示する。ユーザGはその表示に応じて、例えば別途持参したPC等にトランスミッタ15およびレシーバ16を各々接続し、周波数の設定変更を行った後、再度、レシーバ16をオーディオスマートボックス11にかざす。
周波数に干渉が生じない場合、オーディオスマートボックス11はレシーバ16から受信した属性データに従い、アナログ音信号入力IF1109(音波形データ入力手段111)が備える複数の入力端子のうち、レシーバ16に適する規格の入力端子(他の機器が接続されていないもの)を選択し、ディスプレイ1107に例えば図9に示すような案内画像を表示する。ユーザGは、ディスプレイ1107に表示される案内画像に従い、レシーバ16を指定された入力端子に接続する。これにより、オーディオスマートボックス11はギター用のレシーバ16がどの入力端子に接続されているかを特定することができる。
また、オーディオスマートボックス11は、レシーバ16から受信した指示データ(エフェクタのパラメータ)に従い、指定されたエフェクタのプラグインプログラムを読み出してDAWアプリにプラグインし、指定されたパラメータをそれらのエフェクタに設定する。指定されたエフェクタがオーディオスマートボックス11にインストールされていない場合、DAWアプリの場合と同様に、オーディオスマートボックス11は、例えばレシーバ16から受信したURLに従いクラウドストレージにアクセスし、レシーバ16から受信したユーザ名およびパスワードを用いてクラウドストレージにログインした後、ユーザGの記憶スペースに格納されているエフェクタのプラグインプログラムをダウンロードして用いる。
このように、ユーザGは、レシーバ16をオーディオスマートボックス11にかざし、オーディオスマートボックス11の指示に従いレシーバ16をオーディオスマートボックス11に接続することで、トランスミッタ15およびレシーバ16を介したエレキギター14のオーディオスマートボックス11に対する接続作業およびエフェクタのパラメータ設定作業を完了することができる。
ユーザBは、エレキベース17、NFCタグ18、シールドケーブル(標準フォンプラグ)を持参している。NFCタグ18の記憶領域には、例えば以下のデータが格納されている。
(1)自機の識別データ
(2)エレキベース17の種別を示す「エレキベース」等のデータ
(3)エレキベース17の接続に用いられるケーブルの端子の形状を示す「標準フォンプラグ」等のデータ
(4)エレキベース17の出力レベルを示す「**dBv」等のデータ
(5)エレキベース17に応じたエフェクタのパラメータ
(6)クラウドストレージのURL
(7)ユーザ名およびパスワード
NFCタグ18に格納されている上記(1)〜(4)のデータは、通常、書き替えられることはない固定的なデータであり、エレキベース17の属性を示す属性データである。また、上記(5)のデータは、例えばユーザBが前回の練習の際にオーディオスマートボックス11(練習スタジオが異なる場合、今回利用の装置と同種の異なる装置)のNFCリーダ・ライタにより書き込んだデータであり、エレキベース17からオーディオスマートボックス11に入力される音波形データの処理の内容をオーディオスマートボックス11に対し指示する指示データである。また、上記(6)および(7)のデータは、例えばユーザBがPC等に接続されたNFCリーダ・ライタ等により書き込んだデータである。
ユーザBは、NFCタグ18をオーディオスマートボックス11にかざす。オーディオスマートボックス11のNFCリーダ・ライタは、NFCタグ18からデータを読み取ると、読み取ったデータに含まれるエレキベース17の属性データに従い、アナログ音信号入力IF1109(音波形データ入力手段111)が備える複数の入力端子のうち、エレキベース17の接続に適する規格の入力端子(他の機器が接続されていないもの)を選択し、ディスプレイ1107に例えば図10に示すような案内画像を表示する。ユーザBは、ディスプレイ1107に表示される案内画像に従い、エレキベース17をシールドケーブルにより指定された入力端子に接続する。これにより、オーディオスマートボックス11はエレキベース17がどの入力端子に接続されているかを特定することができる。
また、オーディオスマートボックス11は、NFCタグ18から受信した指示データ(エフェクタのパラメータ)に従い、指定されたエフェクタのプラグインプログラムを読み出してDAWアプリにプラグインし、指定されたパラメータをそれらのエフェクタに設定する。指定されたエフェクタがオーディオスマートボックス11にインストールされていない場合の処理は、レシーバ16のNFCタグがオーディオスマートボックス11にかざされた場合と同様である。
このように、ユーザBは、NFCタグ18をオーディオスマートボックス11にかざし、オーディオスマートボックス11の指示に従いエレキベース17をオーディオスマートボックス11に接続することで、エレキベース17のオーディオスマートボックス11に対する接続作業およびエフェクタのパラメータ設定作業を完了することができる。
ユーザKは、ミュージックキーボード19、USBケーブルを持参している。ユーザKは、ミュージックキーボード19をUSBケーブルにより、オーディオスマートボックス11のデジタル信号入出力IF1113(音波形データ入力手段111)が備えるUSB端子のうち未使用のいずれかに接続する。オーディオスマートボックス11はミュージックキーボード19の接続を検出し、必要に応じてミュージックキーボード19とUSBの規格に従ったデータ通信を行うためのドライバをインターネット9を介してダウンロードし、インストールする。その後、オーディオスマートボックス11はミュージックキーボード19との間でUSBケーブルを介した各種データの送受信を行う。
このように、ユーザKはNFCタグをオーディオスマートボックス11にかざすことなく、単にUSBケーブルによりミュージックキーボード19をオーディオスマートボックス11の空いている端子に接続するだけでよい。なぜなら、ミュージックキーボード19はUSBケーブルを介してオーディオスマートボックス11との間で双方向の各種データ通信が可能であり、オーディオスマートボックス11はミュージックキーボード19からUSBケーブルを介してミュージックキーボード19の機器種別を示すデータ等の属性データを受信し、ミュージックキーボード19がどの端子に接続されたかを特定することができるためである。
また、ミュージックキーボード19はエフェクタを内蔵しており、必ずしもオーディオスマートボックス11内のプラグインエフェクタを用いる必要がない。そのため、オーディオスマートボックス11に対し、ミュージックキーボード19が用いるエフェクタのパラメータ等を指示データとして送信しなくてもよい。なお、ミュージックキーボード19における各種のパラメータ(音色設定のパラメータ、エフェクタのパラメータ等)は、DAWデータに、例えばMIDIのエクスクルーシブデータの形式等で記録しておくことができる。その場合、オーディオスマートボックス11がDAWデータに従った演奏の再生を行う際に、オーディオスマートボックス11からミュージックキーボード19に対し各種のパラメータの送信が行われ、ミュージックキーボード19においてそれらのパラメータの設定が行われる。
ユーザVは、ワイヤレスマイク20、タブレットPC21を持参している。ユーザVは、タブレットPC21を操作してASBアプリのモード選択画面(図6)を表示させ、「機器接続」ボタンをタッチ等で操作する。その操作に応じて、タブレットPC21は図11に示すような機器接続画面を表示する。機器接続画面には、ユーザVによりタブレットPC21に予め登録されている機器のリストが表示される。
また、ユーザVがタッチ等によりリストからいずれかの機器を選択すると、リストの下に、選択された機器に関し登録されている機器種別等の属性データや、エフェクタのパラメータ等の指示データが表示される。これらのデータのうち、属性データは、機器に付属していたNFCタグに予め格納されていたデータをタブレットPC21のNFCリーダ・ライタにより読み取ったり、ユーザVがタブレットPC21を操作して手動で入力したりしたデータである。また、指示データは、例えばユーザVが前回の練習の際にオーディオスマートボックス11(練習スタジオが異なる場合、今回利用の装置と同種の異なる装置)のNFCリーダ・ライタにより書き込んだデータである。
この場合、ユーザVは、機器接続画面のリストから「ワイヤレスマイク」をタッチ等で選択する。この選択に応じて、タブレットPC21は、自機が備える記憶手段(SSD等)から、例えば以下のデータを読み出す。
(1)自機の識別データ
(2)機器の種別を示す「ワイヤレスマイク」等のデータ
(3)ワイヤレスマイクが使用する周波数
(4)ワイヤレスマイクに応じたエフェクタのパラメータ
(5)クラウドストレージのURL
(6)ユーザ名およびパスワード
続いて、ユーザVは、機器接続画面に表示される「接続」ボタンをタッチ等により操作する。この操作に応じて、タブレットPC21は自機の記憶手段から読み出した上記の(1)〜(6)のデータを、オーディオスマートボックス11に送信する。オーディオスマートボックス11は、タブレットPC21から受信したデータに含まれる属性データに従い、アナログ無線音信号受信ユニット1115(音波形データ入力手段111)の未使用のチャンネルの1つに読み取ったデータが示す周波数を設定する。これにより、オーディオスマートボックス11はワイヤレスマイク20から発信される音波形データを示す電磁波を受信可能となる。
また、オーディオスマートボックス11は、タブレットPC21から受信したデータに含まれる指示データに従い、指定されたエフェクタのプラグインプログラムを読み出してDAWアプリにプラグインし、指定されたパラメータをそれらのエフェクタに設定する。指定されたエフェクタがオーディオスマートボックス11にインストールされていない場合の処理は、レシーバ16のNFCタグがオーディオスマートボックス11にかざされた場合と同様である。
このように、ユーザVは、タブレットPC21を操作することで、ワイヤレスマイク20のオーディオスマートボックス11に対する接続作業およびエフェクタのパラメータ設定作業を完了することができる。
以上のように、各ユーザの機器がオーディオスマートボックス11に接続される毎に、オーディオスマートボックス11はDAWアプリにおいて、機器が接続されたチャンネルを、DAWにおけるトラックにアサインする。DAWデータにより既に特定のトラックにアサインされている機器がオーディオスマートボックス11に接続された場合には、オーディオスマートボックス11は当該機器のチャンネルを当該機器のトラックにアサインする。また、DAWデータにより特定のトラックにアサインされていない機器が新たに接続された場合には、オーディオスマートボックス11は未使用のトラックに当該機器のチャンネルをアサインする。
オーディオスマートボックス11は、未使用のトラックに新たな機器のチャンネルをアサインする際、当該機器の属性データが示す機器種別および入力レベルに応じて、例えば予め機器種別の組み合わせ毎に記憶しているテンプレートデータに基づき、各トラックの増幅率(ミキシングレベル)を調整する。また、オーディオスマートボックス11は、未使用のトラックに新たな機器のチャンネルをアサインする際、例えば予め機器種別の組み合わせ毎に記憶しているテンプレートデータに基づき、当該機器の属性データが示す機器種別に応じて、各トラックのパン(定位)を調整する。さらに、オーディオスマートボックス11は、未使用のトラックに新たな機器のチャンネルをアサインする際、例えば予め機器種別毎に記憶しているテンプレートデータに基づき、当該機器の属性データが示す機器種別に応じた一般的なエフェクタを当該トラックにプラグインし、プラグインしたエフェクタに対し一般的なパラメータを設定する。
従って、ユーザは新たな機器をオーディオスマートボックス11に接続した場合であっても、ミキシングレベルの調整、パンの調整、エフェクタの設定を行うことなく、ある程度良好な状態で演奏の練習を開始することができる。
なお、この例では、一般的なバンドを構成する楽器パートであるドラムの演奏者が不在であるが、DAWアプリにおける通常の機能を用いて、ドラムパートを自動演奏により補うことが考えられる。その場合、例えばMIDIデータに従い音源ユニット1105により自動生成されるドラムパートの音波形データが、エレキギター14等の機器からオーディオスマートボックス11に入力される音波形データとミキシングされて用いられる。
以上のように、全てのユーザが自分の機器をオーディオスマートボックス11に接続すると、ユーザ達は演奏を開始することができる。ユーザの各々の演奏により各機器からオーディオスマートボックス11に入力される器楽音や歌唱音を示す音波形データは、オーディオスマートボックス11が各機器に応じたNFCタグ等から受信した指示データに従い、CPU1101およびDSP1106(音波形データ処理手段112)によりエフェクト処理、ミキシング処理が施された後、アナログ音信号出力IF1110(音波形データ出力手段113)を介してスピーカ12に出力され、音に変換されて放音される。
なお、ユーザはタブレットPC21のディスプレイに表示されるDAWのインタフェースを用いて、演奏の再生、停止、録音等の基本操作をはじめ、ミキシングレベルの調整、エフェクタの設定変更等のDAWにおいて可能な様々な操作を行うことができる。
また、ユーザは、練習中や練習の完了時などの任意のタイミングで、タブレットPC21を操作してDAWデータ操作画面(図8)を表示させ、「セーブ」ボタンをタッチ等で操作することにより、オーディオスマートボックス11において更新されたDAWデータを、クラウドストレージのユーザVの記憶スペースにアップロードすることができる。このようにアップロードされたDAWデータは、例えば次回の練習時等の任意のタイミングで再度、オーディオスマートボックス11にダウンロードされて利用される。
さらに、各ユーザは、練習中や練習の完了時などの任意のタイミングで、自分の機器が備えるNFCタグや自分の機器に対応するNFCタグに、その時点でDAWにおいて設定されているエフェクタのパラメータ等を書き込むことができる。その場合、例えばユーザはオーディオスマートボックス11のキーパッド1108を操作して、オーディオスマートボックス11を「書き込み」モードにした後、NFCタグをオーディオスマートボックス11にタッチする。そのタッチにおいて、オーディオスマートボックス11のNFCリーダ・ライタはNFCタグから識別データを読み取り、読み取った識別データに応じた機器のトラックで用いられているエフェクタのパラメータ等をNFCタグに書き込む。このようにNFCタグに書き込まれたエフェクタのパラメータ等のデータは、例えば次回の練習時等の任意のタイミングで再度、オーディオスマートボックス11に読み取られて利用される。
以上のように、オーディオシステム1によれば、ユーザは楽曲の演奏に用いる機器に応じたNFCタグをオーディオスマートボックス11にかざしたり、NFCタグを備えるタブレットPC等のデバイスをオーディオスマートボックス11にかざした後にそのデバイスを操作することで、オーディオスマートボックス11に機器の接続の案内を行わせたり、機器の接続を自動的に行わせたり、エフェクタやミキサの各種設定を自動的に行わせたりすることができる。その結果、ユーザは機器の接続や設定の作業に煩わされることなく、気軽に楽曲の演奏を楽しむことができる。
また、オーディオシステム1によれば、オーディオスマートボックス11がインターネット9等のWANを介して外部のリソースから、音波形データの処理に要する各種データ(例えば、DAWアプリやエフェクタのプラグインといったプログラムや、DAWデータ等のユーザデータ)を自動的に取得するため、ユーザは、例えば異なる練習スタジオで演奏の練習を行うような場合であっても、それらの必要なデータを予め準備して持参する必要がない。
[変形例]
上述した実施形態は本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形可能である。以下にそれらの変形の例を示す。
(1)上述した実施形態においては、オーディオシステム1がバンドによる楽曲の演奏に用いられる場合を例として説明した。オーディオシステム1はバンドによる楽曲の演奏に限られず、音波形データの入力、処理、出力を伴う他の様々な用途において利用され得る。
例えば、オーディオシステム1はネットワークカラオケシステムとして用いることもできる。その場合、オーディオスマートボックス11は例えば、カラオケ店舗のボックス内に配置される。オーディオスマートボックス11はカラオケ用のアプリケーションを実行し、様々な楽曲のカラオケデータを格納したクラウドストレージからユーザにより指定された楽曲のカラオケデータをダウンロードし、ダウンロードしたカラオケデータに従いカラオケの演奏や歌詞の表示等を行う。
ユーザは、例えばNFCリーダ・ライタおよびNFCタグを備えるスマートフォンやタブレットPC等の端末装置を操作して、クラウドストレージからカラオケデータの楽曲名等のリストをダウンロードし、リストから歌唱を行いたい楽曲を選択する。選択された楽曲の識別データは端末装置のNFCタグに格納される。その後、ユーザが端末装置をオーディオスマートボックス11にかざすと、オーディオスマートボックス11は端末装置のNFCタグから楽曲の識別データを読み取り、読み取った識別データに応じたカラオケデータをクラウドストレージからダウンロードして、カラオケの演奏および歌詞の表示を開始する。
なお、端末装置において楽曲を選択した後に端末装置をオーディオスマートボックス11にかざす代わりに、ユーザが楽曲の選択の前に端末装置をオーディオスマートボックス11にかざして、端末装置とオーディオスマートボックス11との間に非近距離無線通信接続を確立させた後、楽曲の選択を行うようにしてもよい。その場合、ユーザにより選択された楽曲の識別データは、非近距離無線通信接続によりオーディオスマートボックス11に送信される。
なお、ユーザがカラオケデータのリストを端末装置にダウンロードする経路は、直接、端末装置が広域無線データ通信網を介してクラウドストレージからダウンロードする方法、端末装置をオーディオスマートボックス11にかざす操作等により端末装置とオーディオスマートボックス11との間で非近距離無線通信接続が確立され後にオーディオスマートボックス11経由でクラウドストレージからダウンロードする方法等のいずれであってもよい。
また、NFCタグを備える端末装置とオーディオスマートボックス11との間で非近距離無線通信接続が確立された後は、端末装置とオーディオスマートボックス11との間のデータの送受信は、端末装置をオーディオスマートボックス11にかざす操作により近距離無線通信により行うよりも、非近距離無線通信接続を介して行う方が便利な場合が多いが、例えば重要なデータの更新等の確認を要する処理に関しては、ユーザが端末装置をオーディオスマートボックス11にかざすことを要求するなど、目的により非近距離無線通信と近距離無線通信の使い分けを行うことが望ましい。
オーディオシステム1の用途の他の一典型例として、オーディオシステム1を楽器のオンラインレッスンシステムとして用いることも考えられる。その場合、オーディオスマートボックス11は楽器のレッスンを受けるユーザの自宅等に配置される。ユーザは、レッスンを受けたい楽器やそのレベル等に応じたNFCタグを購入する。同様のNFCタグが、例えば楽器の購入時に特典として購入者に対し提供されてもよい。このNFCタグには、オンラインレッスンの提供サイトのURL、ユーザが利用可能なレッスンのコースを識別するコースID、レッスンを利用可能な期間を示すデータ等が格納されている。
ユーザは、例えば電子ピアノ等の楽器をUSBケーブル等でオーディオスマートボックス11に接続した後、NFCタグをオーディオスマートボックス11にかざす。オーディオスマートボックス11はNFCタグからデータを読み取り、読み取ったデータに従い、オンラインレッスンの提供サイトからレッスンの内容を示すデータをダウンロードして、当該データに従いユーザに対する楽器のレッスンを提供する。
このように、オーディオシステム1によれば、カラオケ装置に対し楽曲を指示する操作や、オンラインレッスンの提供サイトへアクセスするための操作等がNFCタグやNFCタグを備えた端末装置をオーディオスマートボックス11にかざす、という直感的な動作により可能となるため、便利である。
(2)オーディオスマートボックス11に接続される機器は、上述した実施形態において例示した機器に限定されず、他の様々な機器がオーディオスマートボックス11に接続され得る。例えば、カメラをUSBケーブル等によりオーディオスマートボックス11に接続し、演奏の様子を示す画像をテレビ13等に表示させたり、それらの画像を動画もしくは静止画として記録したりしてもよい。
(3)オーディオスマートボックス11が入力を受け付けるデータのフォーマットや入力端子の形状、およびオーディオスマートボックス11が出力するデータのフォーマットや出力端子の形状は、上述した実施形態において例示したものに限定されず、オーディオスマートボックス11が他のフォーマットのデータを入出力可能とする構成や、オーディオスマートボックス11が他の形状の端子を介してデータを入出力可能とする構成としてもよい。例えば、オーディオスマートボックス11がMIDI入力端子やMIDI出力端子を備え、MIDIケーブルを介して、MIDIデータの入力を受け付けたり、MIDIデータの出力を行ったりしてもよい。
(4)オーディオスマートボックス11により生成されたデータを、例えばSNS(Social Network Service)等を介して、特定多数もしくは不特定多数の人々に利用可能としてもよい。例えば、作曲や演奏を行うユーザは、DAWアプリ等を用いて生成した楽曲を示すデータ(DAWデータ、音波形データ等)を公開することにより、ユーザは自分が作曲した楽曲や自分が演奏した楽曲を手軽に公開することができ、また、その楽曲や演奏に対する人々の評価をフィードバックとして得ることができる。また、音楽のオンラインレッスンを受けているユーザがレッスンの履歴データを公開することにより、同じレッスンを受けている他のユーザとの間でコミュニケーションを取るなどして、レッスンを受ける意欲を維持しやすくすることができる。
(5)地理的に異なる位置に配置された複数のオーディオスマートボックス11を、インターネット9を介して相互に通信させることにより、互いに離れた場所にいる複数のユーザ間で音や画像を用いたコミュニケーションを可能としてもよい。例えば、上述した楽器のオンラインレッスンシステムはASP型の自動化されたレッスンを想定しているが、楽器のレッスンを提供する先生と、楽器のレッスンを受ける生徒が、各々の自宅等に配置されたオーディオスマートボックス11を介して、相互に音波形データや画像データを交換することにより、オンラインレッスンを可能としてもよい。
具体例を説明する。例えば、先生と生徒は各々、相手のオーディオスマートボックス11のURLを格納したNFCタグを持ち、レッスンの開始時刻に各々がNFCタグをオーディオスマートボックス11にかざす。その操作により、各々のオーディオスマートボックス11は、NFCタグから読み取ったURLに従い、相手のオーディオスマートボックス11との接続を試みる。その結果、先生と生徒の両方が自分のNFCタグを自分のオーディオスマートボックス11にかざすだけで、先生と生徒のオーディオスマートボックス11の間に相互接続が確立される。その後、音波形データや画像データがオーディオスマートボックス11間で送受信され、オンラインレッスンが行われる。
このように、NFCタグをオーディオスマートボックス11にかざすという直感的な操作により異なる場所に配置された複数のオーディオスマートボックス11間の相互接続が行われるため、先生は手軽にオンラインレッスンの提供を行うことができ、生徒は手軽にオンラインレッスンを受けることができる。
(6)オーディオシステム1において、オーディオスマートボックス11が利用するデータをいずれの場所に格納しておくかは様々に変更可能である。例えば、上述した実施形態の説明においては、DAWデータはクラウドストレージに格納されているものとしたが、例えばユーザが携帯するスマートフォン等の端末装置に格納されていてもよい。また、NFCタグに格納されるエフェクタのパラメータ等のデータをクラウドストレージに格納しておき、必要に応じてNFCタグに書き込んで用いる構成としてもよい。
(7)上述した実施形態においては、オーディオスマートボックス11は自機にかざされたNFCタグから読み取った指示データに従い、そのNFCタグに応じた機器からオーディオスマートボックス11に入力される音波形データを処理する。これに加えて、または代えて、オーディオスマートボックス11が、自機にかざされたNFCタグから読み取った指示データに従い、そのNFCタグに応じた機器(オーディオスマートボックス11に接続されている機器)に対し、パラメータ設定等の指示を行う指示データを出力する構成としてもよい。
具体例として、オーディオスマートボックス11にハードウェアで構成されるエフェクタとデジタルアンプを接続する場合を想定する。これらのエフェクタやデジタルアンプは、オーディオスマートボックス11から出力される音波形データに対し処理を行う装置または音波形データを生成してオーディオスマートボックス11に入力する装置の例示である。
この変形例において、エフェクタやデジタルアンプには、各々の機器に応じた機器種別を示すデータ等の属性データと、パラメータを示すデータ等の指示データを格納したNFCタグが予め準備されている。ユーザがこれらのNFCタグをオーディオスマートボックス11にかざすと、例えばレシーバ16をオーディオスマートボックス11にかざす場合と同様に、オーディオスマートボックス11はNFCタグから読み取った属性データに従い、エフェクタやデジタルアンプを接続すべき端子をディスプレイに表示したり(エフェクタやデジタルアンプがオーディオスマートボックス11に対し有線接続される場合)、エフェクタやデジタルアンプを自動的に接続したりする(エフェクタやデジタルアンプがオーディオスマートボックス11に対し無線接続される場合)。
その後、オーディオスマートボックス11は、NFCタグから読み取った指示データに従い、オーディオスマートボックス11に接続されたエフェクタやデジタルアンプに対し、パラメータの設定等を指示する指示データを出力する。エフェクタやデジタルアンプは、オーディオスマートボックス11から受け取った指示データに従い、自機に対するパラメータ設定等を行う。
この変形例によれば、ユーザはオーディオスマートボックス11に接続される機器に応じたNFCタグをオーディオスマートボックス11にかざすことで、それらの機器に対するパラメータ設定等の指示を行うことができる。
(8)オーディオスマートボックス11に接続される機器に応じたNFCタグが、オーディオスマートボックス11に対しユーザが指示を与えるための操作子として利用されてもよい。以下に、ユーザBがNFCタグ18を用いて、オーディオスマートボックス11において実行されるDAWにおいてエレキベース17にアサインされているトラックのパン(定位)とボリュームを調整する操作を行う場合を例として説明する。
ユーザBは、既にNFCタグ18をオーディオスマートボックス11にかざし、オーディオスマートボックス11の案内に従いエレキベース17をオーディオスマートボックス11に接続している。また、ユーザVは既に、タブレットPC21をオーディオスマートボックス11にかざし、タブレットPC21とオーディオスマートボックス11との間で非近距離無線通信が可能となっている。その状態において、例えばユーザBはユーザVからタブレットPC21を借りて、タブレットPC21を操作し、図12に示すようなDAWアプリのパン・ボリューム調整画面を表示させる。
パン・ボリューム調整画面においては、上下方向がミキシングにおけるボリュームの大小に対応しており、左右方向がミキシングにおけるパン(定位)の左右位置に対応している。ユーザBがNFCタグ18をタブレットPC21のタッチディスプレイ上に置くと、NFCタグ18がタブレットPC21のNFCリーダ・ライタに近接するため、タブレットPC21のNFCリーダ・ライタによりNFCタグ18に格納されているデータの読み取りが行われる。タブレットPC21は、NFCタグ18から読み取ったデータに含まれるNFCタグ18の識別データに基づき、NFCタグ18に応じた機器であるエレキベース17がDAWにおいてアサインされているトラックを特定する。タブレットPC21は、パン・ボリューム調整画面に、例えば、タッチディスプレイ上に置かれたNFCタグ18に応じた機器名「エレキベース」と、エレキベース17がアサインされているDAWのトラックを示す「トラック##」を表示する。
続いて、タブレットPC21はNFCタグ18がタッチディスプレイ上において接触している位置を特定する。タブレットPC21はNFCタグ18が接触しているタッチディスプレイ上の上下位置に応じたボリュームを、エレキベース17のトラックのボリュームとして設定し、NFCタグ18が接触しているタッチディスプレイ上の左右位置に応じたパンを、エレキベース17のトラックのパンとして設定する。
タッチディスプレイ上においてNFCタグ18の位置が変更されると、タブレットPC21は変更後の位置に応じたボリュームおよびパンを、エレキベース17のトラックに設定する。従って、ユーザBは、例えばDAWにおいて録音されているバンドの演奏音を再生しながら、タブレットPC21のタッチディスプレイ上でNFCタグ18を上下左右にスライドさせることにより、バンド全体の演奏音におけるエレキベース17のボリュームとパンを自由に調整することができる。なお、タブレットPC21はタッチパネルが一体化されたディスプレイ(タッチディスプレイ)を備えるものとしたが、タッチパネルがタブレットPC本体に外付けの装置として接続されている構成であってもよい。その場合、ユーザは外付けのタッチパネル上でNFCタグをスライドさせることにより、タブレットPC本体に対しボリュームの調整等を指示することができる。
なお、タブレットPC21は、例えばタブレットPC21のNFCリーダ・ライタがNFCタグ18からNFCタグ18の識別データを読み取った後に最初にタブレットPC21のタッチディスプレイに接触したポインタをNFCタグ18として認識することにより、仮にタッチディスプレイ上に複数のポインタが接触していたとしても、それらのいずれがNFCタグ18であるかを特定することができる。ただし、タブレットPC21がタッチディスプレイに接触されるポインタがいずれのNFCタグであるかを認識する方法は、NFCタグから識別データを読み取ったタイミングとタッチディスプレイに対するポインタの接触を検出したタイミングとの時間差に基づく方法に限られず、例えばNFCリーダ・ライタがNFCタグから受信する電波の強度により推定される当該NFCタグの位置と、タッチディスプレイ上で検出されたポインタの位置との距離差に基づく方法など、他の方法が採用されてもよい。
(9)上述した実施形態またはその変形例において、タブレットPC21のタッチディスプレイに表示されるものとした画面がオーディオスマートボックス11のディスプレイ1107に表示される構成としてもよい。また、上述した実施形態またはその変形例において、オーディオスマートボックス11のディスプレイ1107に表示されるものとした画面がタブレットPC21のタッチディスプレイに表示される構成としてもよい。
さらに、オーディオスマートボックス11が備えるディスプレイ1107を、タッチパネル(位置特定手段)を備えるタッチディスプレイとし、上述した変形例(8)におけるタブレットPC21に代えて、ユーザがオーディオスマートボックス11のディスプレイ1107上に接触させたNFCタグの位置に応じて、オーディオスマートボックス11が当該NFCタグに応じた機器から入力される音波形データに対する処理の内容を決定する構成としてもよい。この場合、オーディオスマートボックス11はディスプレイ1107に例えば図12に示したような画面を表示し、ユーザは例えばNFCタグ18をディスプレイ1107上でスライドさせる。オーディオスマートボックス11は、ディスプレイ1107上のNFCタグ18の位置に応じたボリュームおよびパンを、NFCタグ18に応じた機器であるエレキベース17がアサインされているDAWのトラックに設定する。その結果、エレキベース17からオーディオスマートボックス11に入力される音波形データのミキシングにおけるボリュームやパンが、ユーザによるNFCタグ18のスライド操作により変更されることになる。
(10)上述した実施形態においては、端末装置として、NFCリーダ・ライタを内蔵したタブレットPC21が用いられる例を示したが、タブレットPC21に加えて、もしくは代えて、タブレットPC本体に外付けの装置としてNFCリーダ・ライタが接続される構成が採用されてもよい。また、端末装置の形態はタブレットPCに限られず、スマートフォン、ノート型PC、デスクトップ型PC等、他の形態であってもよい。
なお、本発明は、上述したオーディオシステム1に例示されるシステム、上述したオーディオシステム1を構成するオーディオスマートボックス11やタブレットPC21等に例示される装置、上述したオーディオシステム1を構成するオーディオスマートボックス11やタブレットPC21等のコンピュータに処理を指示するDAWアプリ、ASBアプリ等のプログラム、当該プログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した不揮発性の記録媒体、上述したオーディオシステム1の動作により例示される方法、のいずれとしても把握され得る。