以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、各図は、実施の形態またはその変形例に係る蓄電装置の説明のための図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
また、以下で説明する実施の形態およびその変形例は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態および変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ(蓄電素子の冷却方法における各処理工程)、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態)
まず、蓄電装置10の構成概要について、図1および図2を用いて説明する。
図1は、実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。なお、同図では、外装体400を透視して外装体400の内方を示している。このことは、後述する、図10、図11、および図13でも同様である。
また、図1では、Z軸方向を上下方向として示しており、以下ではZ軸方向を上下方向として説明するが、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるため、Z軸方向は上下方向となることには限定されない。以下の図においても、同様である。
図2は、蓄電装置10における第一導入部200および第二導入部220の構成概要を示す断面図である。なお、同図では、上下方向に並んで配置された第一導入部200および第二導入部220をXZ平面に平行な面で切断した場合の断面を示すように、蓄電装置10の一部が図示されている。
本実施の形態に係る蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる電源装置(電池モジュールまたは電池パック)である。
蓄電装置10は、図1および図2に示すように、蓄電素子100と、蓄電素子100を収容する外装体400と、第一導入部200と、第二導入部220と、遮断部材230と、塞ぎ部材210とを備える。
本実施の形態では、蓄電装置10は、図1に示すように複数(図1では4つ)の蓄電素子100を備える。
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。本実施の形態では、4個の矩形状の蓄電素子100が3つのバスバー300によって直列に配置されている。
なお、蓄電素子100の個数は4個に限定されず、少なくとも1個あればよい。また、蓄電素子100の形状も特に限定されない。また、蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。この蓄電素子100の構成の詳細な説明については、図3を用いて後述する。
第一導入部200は、第一流体を外装体400の内部に導入するための開口201を有する。本実施の形態では、外装体400の一部(開口201が形成された部分)によって第一導入部200が構成されている。
第二導入部220は、第二流体を外装体400の内部に導入するための流路221を形成する部材である。本実施の形態では、第二流体を貯蔵する貯蔵容器600に接続された管部材224によって第二導入部220が形成されている。
遮断部材230は、流路221を遮断するとともに、所定の条件を満たす場合に流路221の遮断を開放することで、第二流体を外装体400の内部に導入させる部材である。
本実施の形態では、遮断部材230は、管部材224の内方に配置されることで、第二流体の流路221を遮断する円盤形状の部材であり、所定の温度以上で溶融する素材で形成されている。
塞ぎ部材210は、流路221の遮断が開放された場合に、第一導入部200における開口201を塞ぐ部材である。
本実施の形態では、塞ぎ部材210は、例えばシリコーンゴムのような耐熱性の高い素材で形成されており、図2に示すように、開口201の周縁部に塞ぎ部材210を回動可能に接続する接続部211を有する。
つまり、塞ぎ部材210は、開口201を介した第一流体の外装体400内部への流入を許容し、かつ、第二流体の外装体400の内部への流入時において、第二流体の開口201からの外装体400の外部への漏れ出し(逆流)を抑制する部材である。
なお、塞ぎ部材210が開口201を「塞ぐ」という場合、塞ぎ部材210が開口201を完全に密封することは必須ではない。開口201からの第二流体の逆流を抑制することができるのであれば、塞ぎ部材210が開口201を塞いだ状態において、塞ぎ部材210と開口201の周縁との間において隙間が存在していてもよい。
ここで、第一流体は、蓄電装置10の通常時において、少なくとも1つの蓄電素子100の冷却を行う流体である。第二流体は、少なくとも1つの蓄電素子100が高温になるなどの異常時において当該少なくとも1つの蓄電素子100の冷却を行う流体である。
つまり、第一流体および第二流体は、蓄電素子100を冷却するための気体または液体等であり、第二流体は第一流体よりも冷却能力の高い流体である。
第一流体および第二流体それぞれの種類は、特定の種類に限定されないが、第一流体としては大気(空気)が例示され、第二流体としては炭酸ガス(二酸化炭素)が例示される。
なお、第二流体としては、蓄電素子100を冷却可能な物質であればどのような物質が用いられてもかまわないが、無害であるという観点から、上述の炭酸ガス(二酸化炭素)が好ましい。
第二流体として用いられる物質の他の例としては、窒素ガスなど炭酸ガス以外の不活性ガス、水または液体窒素などの液体、ドライアイスなどの固体を含む流体などが挙げられる。さらに、第二流体として用いられる物質の例として、炭酸水素ナトリウムを主成分とする粉末状の消火剤、および、絶縁オイルなどの不活性な液体からなる消火剤なども挙げられる。
なお、例えば、第一流体が室温程度の空気であり、かつ、第二流体が、第一流体よりも低い温度まで冷却された空気であってもよい。つまり、第一流体を構成する物質と、第二流体を構成する物質とが同一であり、かつ、流速または温度等が異なることで、第一流体と、第一流体よりも冷却能力の高い第二流体とが実現されてもよい。
蓄電装置10において、第二導入部220および遮断部材230の組は、複数の蓄電素子100に対して少なくとも1つ配置される。より好ましくは、当該組は、複数の蓄電素子100の各々に対して少なくとも1つ配置される。また、第一導入部200および塞ぎ部材210の組も、複数の蓄電素子100に対して少なくとも1つ配置され、より好ましくは、複数の蓄電素子100の各々に対して少なくとも1つ配置される。
本実施の形態では、4つの蓄電素子100の各々に対して、第二導入部220および遮断部材230の組が1つ配置され、かつ、第一導入部200および塞ぎ部材210の組も1つ配置されている。
第一導入部200および第二導入部220は、それぞれの蓄電素子100の側方(X軸方向プラス側)に配置されている。つまり、本実施の形態では、4個の蓄電素子100の短側面側に、4組の第一導入部200および第二導入部220が配置されている。
なお、第一導入部200および第二導入部220の配置位置はこれに限定されない。第一導入部200および第二導入部220の配置位置は、蓄電素子100の他の短側面側(X軸方向マイナス側)、長側面側(Y軸方向プラス側またはマイナス側)、および蓄電素子100の上方または下方(Z軸方向プラス側またはマイナス側)であってもよい。
なお、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示しており、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示している。Y軸方向およびZ軸方向についても同様である。
本実施の形態では、上記のように配置された4つの第二導入部220のそれぞれに、貯蔵容器600から第二流体が供給される。なお、図1では、貯蔵容器600は、円柱形状の容器であるが、貯蔵容器600の形状は円柱形状には限定されず矩形状などであってもよい。また、貯蔵容器600の材質は、冷却剤である第二流体を貯蔵可能な材質であれば特に限定されないが、例えば金属または樹脂などである。
また、貯蔵容器600には、第二流体が加圧された状態で貯蔵されている。例えば、加圧されることで液化された二酸化炭素(液体二酸化炭素)が貯蔵容器600に貯蔵されている。この場合、液体二酸化炭素が気化することで得られる炭酸ガスが第二流体として用いられる。これにより、動力を必要とすることなく、貯蔵容器600から蓄電装置10へ第二流体を供給することができる。なお、当該第二流体は、重力により蓄電素子100へ供給されるなどでもよく、加圧されていなくともかまわない。
具体的には、貯蔵容器600は、供給管500によって、4つの第二導入部220に対応する4つの管部材224と接続されている。
つまり、複数の第二導入部220のそれぞれは、第二流体を貯蔵する貯蔵容器600と接続された管部材224を有し、管部材224を介して貯蔵容器600から第二流体の供給を受ける。
また、各管部材224では、加圧された状態の第二流体の流路221が、遮断部材230によって遮断されている。この状態で、いずれかの第二導入部220の遮断部材230が流路221の遮断を開放した場合、当該第二導入部220から外装体400の内部に向けて第二流体が噴出される。つまり、当該第二導入部220から外装体400の内部に第二流体が導入され、これにより、蓄電素子100が冷却される。
ここで、本実施の形態では、複数の第二導入部220のそれぞれに遮断部材230が配置されている。そのため、複数の第二導入部220それぞれにおいて遮断された流路221の開放が、流路221ごとに行われる。
従って、本実施の形態のように、複数の第二導入部220への第二流体の供給を1つの貯蔵容器600でまかなう場合であっても、各第二導入部220からの第二流体による各蓄電素子100の冷却に実効性を持たせることができる。
なお、供給管500および管部材224の形状は、円筒形状には限定されず、角筒形状などであってもかまわない。また、供給管500および管部材224の材質は、第二流体の流路221を形成可能な材質であれば特に限定されないが、例えば金属または樹脂などである。
また、本実施の形態において蓄電装置10に配置された4つの第一導入部200(4つの開口201)のそれぞれには、例えば送風機によって、第一流体としての空気が供給される。つまり、送風機から吹き付けられる空気が各開口201を介して外装体400の内部に導入される。この場合、第一流体の圧力によって、塞ぎ部材210の、開口201を塞がない状態が維持される。つまり、第一流体の圧力を利用して、第一流体が開口201から流入する状態が維持される。
なお、図2に点線で示すように、蓄電装置10に、各開口201に接続された管部材205が配置されてもよい。例えば、送風機に一端が接続された管部材205の他端を開口201に接続することで、比較的に高い圧力の空気を外装体400の内部に導入することができる。
第一流体の導入から第二流体の導入への切り替えなどの蓄電素子100の冷却のための動作等については、図4〜図8を用いて後述する。
外装体400は、例えば全体として箱状の部材であり、複数の蓄電素子100等を収容する。つまり、外装体400は、複数の蓄電素子100等を所定の位置に保持し、複数の蓄電素子100等を衝撃などから保護する。また、外装体400は、例えば樹脂などの絶縁性の材料により構成されており、蓄電素子100等が外部の金属部材などに接触することを回避する。
なお、外装体400には、例えば複数の蓄電素子100の充電状態および放電状態を監視するための制御基板、並びに、外部からの電気の充電および外部への電気の放電のための外部電極端子なども配置されるが、これらの図示および詳細な説明は省略する。
また、図1には図示されていないが、外装体400には、例えば複数の通気孔が設けられており、外装体400の内部に導入され蓄電素子100と熱交換した第一流体および第二流体は、これら通気孔から外装体400の外部に放出される。
次に、蓄電素子100について、図3を用いて詳細に説明する。
図3は、実施の形態に係る蓄電素子100の構成を示す斜視図である。なお、同図は、蓄電素子100から素子容器110の容器本体111を分離して、素子容器110の内方を示した図となっている。
同図に示すように、蓄電素子100は、素子容器110と、正極端子120と、負極端子130とを備え、素子容器110の内方には、正極集電体113と、負極集電体114と、電極体115とが配置されている。なお、素子容器110の内部には電解液などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。
素子容器110は、金属からなる矩形筒状で底を備える容器本体111と、容器本体111の開口を閉塞する金属製の蓋板112とで構成されている。また、素子容器110は、電極体115等を内部に収容後、蓋板112と容器本体111とが溶接等されることにより、内部を密封する構造が採用されている。
電極体115は、正極と負極とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる発電要素である。具体的には、電極体115は、正極と負極との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものを全体が長円形状となるように巻回されて形成された巻回型の電極体である。なお、電極体115は、円形状または楕円形状などに形成されていてもよいし、正極と負極とセパレータとが積層された積層型の電極体であってもかまわない。
正極は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる長尺帯状の導電性の正極集電箔の表面に、正極活物質層が形成された電極板である。なお、正極活物質層に用いられる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、正極活物質として、LiMPO4、LiMSiO4、LiMBO3(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
負極は、銅または銅合金などからなる長尺帯状の導電性の負極集電箔の表面に、負極活物質層が形成された電極板である。なお、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、負極活物質として、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li4Ti5O12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。
正極端子120は、正極集電体113を介して、電極体115の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子130は、負極集電体114を介して、電極体115の負極に電気的に接続された電極端子である。
つまり、正極端子120及び負極端子130は、電極体115に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体115に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。また、正極端子120及び負極端子130は、電極体115の上方に配置された蓋板112に取り付けられている。
正極集電体113は、電極体115の正極と素子容器110の側壁との間に配置され、正極端子120と当該正極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体113は、当該正極の正極集電箔と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などを主成分とする金属で形成されている。
負極集電体114は、電極体115の負極と素子容器110の側壁との間に配置され、負極端子130と当該負極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電体114は、当該負極の負極集電箔と同様、銅または銅合金などを主成分とする金属で形成されている。
次に、以上のように構成された蓄電装置10における蓄電素子100の冷却のための動作について図4〜図8を用いて説明する。
まず、図4を用いて、蓄電素子100の冷却のための動作の流れの一例を説明する。
図4は、実施の形態に係る蓄電装置10における蓄電素子100の冷却のための動作の流れを示すフロー図である。
図4に示すように、蓄電装置10において、開口201を介して第一流体が外装体400の内部に導入される(S10)。
次に、第二流体の流路221を遮断している遮断部材230は、所定の条件を満たす場合(S20でYes)、流路221の遮断を開放する(S30)。
例えば、第一流体で各蓄電素子100が冷却されている状態において、複数の蓄電素子100のうちのいずれかが比較的に高い温度になった場合を想定する。この場合、例えば、当該蓄電素子100に最も近い第二導入部220の遮断部材230の温度が上昇し(例えば100℃以上)、これにより、遮断部材230が溶融する。その結果、当該第二導入部220から第二流体が外装体400の内部に導入される(S40)。
また、上記のように第二流体の流路221の遮断が開放された場合、第一導入部200における開口201が塞ぎ部材210によって塞がれる(S50)。
本実施の形態では、塞ぎ部材210は、外装体400の内部に導入される第二流体の圧力を利用して開口201を塞ぐように動作する。
以上の動作を、図5〜図8を参照して具体的に説明する。
図5は、実施の形態に係る蓄電装置10において第一流体710が導入される様子を示す断面図であり、図6は、図5に対応する平面図である。
図7は、実施の形態に係る蓄電装置10において第二流体720が導入される様子を示す断面図であり、図8は、図7に対応する平面図である。
なお、図5および図7は、蓄電装置10を、第一導入部200および第二導入部220通る、XZ平面に平行な平面で切断した場合の部分断面を示す図であり、蓄電素子100は断面ではなく側面が示されている。また、図5および図7では、第一流体710および第二流体720のおおよその流れが、白抜き矢印によって模式的に表されている。
また、図6および図8では、第一流体710および第二流体720のおおよその流れが、矢印線によって模式的に表されており、かつ、4つの蓄電素子100が、蓄電素子100a〜100dと表記されている。さらに、4つの塞ぎ部材210が、塞ぎ部材210a〜210dと表記され、4つの第二導入部220が、第二導入部220a〜220dと表記されている。
本実施の形態では、図5および図6に示すように、4つの第一導入部200それぞれの開口201から第一流体710が外装体400の内部に導入され、各蓄電素子100が冷却される。言い換えると、第一流体710により各蓄電素子100の温度上昇が抑制される。
具体的には、各開口201から導入される第一流体710は、各蓄電素子100、外装体400の内面、および、当該内面に設けられたリブ(図示せず)等の物体と衝突することで、外装体400の内部で拡散する。これにより、第一流体710は、各蓄電素子100に接触して熱を奪い、外装体400の外部に放出される。
また、第一流体710が、外装体400の内部に導入される場合、図5に示すように、第二導入部220における第二流体720の流路221は遮断部材230により遮断されている。
より具体的には、図6に示すように、4つの第二導入部220(220a〜220d)それぞれにおける第二流体720の流路221は遮断部材230によって遮断されている。
これにより、本実施の形態において、各開口201に比較的に近い位置に配置された各第二導入部220(220a〜220d)から、第一流体710が漏れ出すこと(逆流)が防止される。
従って、複数の蓄電素子100のいずれかが高温になるなどの異常がない場合、つまり、通常時において、各蓄電素子100の冷却(温度上昇の抑制)が、第一流体710によって効率よく行われる。
また、複数の蓄電素子100のうちのいずれかが比較的に高い温度になった場合、例えば当該蓄電素子100に最も近い第二導入部220の遮断部材230が溶融する。
例えば、図8に示す蓄電素子100bが高温になり、蓄電素子100bから放出される熱により、第二導入部220bに配置された遮断部材230が加熱された場合を想定する。この場合、第二導入部220bに配置された遮断部材230は、所定の温度以上になることにより溶融する。
なお、本実施の形態における遮断部材230は、所定の温度(例えば100℃)以上に加熱されると溶融する材料によって形成されている。このような材料としては、ポリエチレン(PE)およびポリエチレンテレフタラート(PET)などの熱溶融性の樹脂、半田などの低融点の金属または合金、並びに、パラジウムおよび白金などの高温で昇華する金属などが例示される。
このように、第二導入部220bに配置された遮断部材230が溶融した場合、第二導入部220bにおける第二流体720の流路221の遮断が開放される。その結果、図7および図8に示すように、第二流体720が、外装体400の内部に導入される。
外装体400の内部に導入された第二流体720は、各蓄電素子100、外装体400の内面、および、当該内面に設けられたリブ(図示せず)等の物体と衝突することで、外装体400の内部で拡散する。これにより、第二流体720は、各蓄電素子100の熱を奪い、外装体400に設けられた孔から外部に放出される。図8に示す場合では、主として、冷却が最も必要な蓄電素子100bの熱が、第二導入部220bからの第二流体720によって奪われる。
なお、蓄電装置10において、隣り合う2つの蓄電素子100の間に遮蔽板が配置されてもよい。例えば、蓄電素子100aと蓄電素子100bとの間に遮蔽板を配置し、かつ、蓄電素子100bと蓄電素子100cとの間に遮蔽板を配置する。これにより、第二導入部220bから導入された第二流体720が、他の蓄電素子100(100a、100c、100d)の方向に流れることが抑制される。その結果、第二導入部220bから導入された第二流体720よって、蓄電素子100bのみを効率よく冷却することができる。この遮蔽板による、各々の蓄電素子100に対する冷却効率の向上効果は、冷却媒体が第一流体710である場合であっても同様に奏される。
また、第二流体720が外装体400の内部に導入される場合、塞ぎ部材210は、当該塞ぎ部材210が受ける、外装体400の内部に導入される第二流体720の圧力が第一流体710の圧力より大きいことにより開口201を塞ぐ。
つまり、図6に示すように、第二流体720の圧力を利用して、塞ぎ部材210による開口201が塞がれた状態が維持される。例えば、第二流体720が、塞ぎ部材210の、開口201とは反対側の面に衝突することで、塞ぎ部材210が、開口201を塞ぐように動作する。
具体的には、図8に示すように第二導入部220bのみから第二流体720が導入される場合、例えば、4つの塞ぎ部材210のうちの、少なくとも第二導入部220bの下方の塞ぎ部材210bが、開口201を塞ぐよう動作する。
これにより、第二導入部220bに最も近い開口201からの第二流体720の逆流が防止される。その結果、4つの蓄電素子100のうちの、最も冷却を必要とする蓄電素子100bに、効率的に第二流体720を接触させることができる。
また、外装体400の内部には、瞬間的に多量の第二流体720が導入され、かつ、外装体400の内部には、蓄電素子100等の、流路抵抗となる物体が比較的多く存在する。また、4つの塞ぎ部材210a〜210dのそれぞれは、外装体400において、4つの第二導入部220a〜220dが配置された側と同じ側(X軸方向プラス側)に配置されている。そのため、密閉されていない外装体400において、例えば図8に示すように、4つの塞ぎ部材210a〜210dのそれぞれを、第二導入部220bからの第二流体720の圧力によって、各開口201を塞ぐよう動作させることも可能である。
また、本実施の形態では、例えば図5および図7に示すように、塞ぎ部材210は、開口201の周縁部に塞ぎ部材210を回動可能に接続する接続部211を有する。また、第二導入部220は、接続部211を挟んで開口201とは反対側に配置されている。
そのため、第二流体720が外装体400の内部に導入された場合に、開口201の方向に向かう第二流体720の圧力を効率よく利用して、塞ぎ部材210に開口201を塞がせることができる。つまり、塞ぎ部材210による、開口201を塞ぐ動作の確実性または迅速性を向上させることができる。
ここで、図6および図8では、外装体400のX軸方向マイナス側のみから、第一流体710および第二流体720が放出されている。しかしながら、第一流体710および第二流体720が外装体400の外部に放出される位置はこれに限定されない。例えば、外装体400のY軸方向の側面に通気孔が形成されている場合、外装体400のY軸方向プラス側またはマイナス側から、第一流体710および第二流体720が放出されてもよい。
ただし、第一流体710および第二流体720による、各蓄電素子100についての冷却効率を考慮すると、外装体400における通気孔は、第一導入部200および第二導入部220から遠い位置に配置されることが好ましい。
例えば、外装体400の、4つの蓄電素子100を挟んで、第一導入部200および第二導入部220とは反対側(本実施の形態における、外装体400のX軸方向マイナス側)のみに、1以上の通気孔を配置する。これにより、第一流体710および第二流体720のそれぞれを、効率よく4つの蓄電素子100に接触させることができる。
以上のように、実施の形態に係る蓄電装置10は、蓄電素子100を備え、2種類の流体(第一流体710および第二流体720)を用いて蓄電素子100を冷却することができる。
具体的には、第二流体720の流路221は遮断部材230によって遮断されており、この状態で第一流体710が開口201から外装体400の内部に導入される。また、所定の条件を満たす場合、遮断部材230は流路221の遮断を開放し、その結果、第二流体720が外装体400の内部に導入される。また、第二流体720の導入時においては、開口201は塞ぎ部材210によって塞がれる。
つまり、第二流体720が外装体400の内部に導入された場合において、第一導入部200の開口201からの第二流体720の漏れ出し(逆流)は抑制される。
特に、本実施の形態のように、第一導入部200と第二導入部220とが比較的に近い位置に配置されている場合において、塞ぎ部材210が第二流体720の逆流を抑制することは、第二流体720による冷却効率の向上にとって重要である。
また、第一流体710が外装体400の内部に導入される状態では、遮断部材230によって流路221が遮断されているため、第二導入部220を介した第一流体710の漏れ出し(逆流)も抑制される。
従って、本実施の形態に係る蓄電装置10では、蓄電素子100の状態に応じた、蓄電素子100の効率的な冷却が可能となる。
また、本実施の形態では、塞ぎ部材210は、開口201から導入される第一流体710の圧力により、開口201を塞がない状態を維持する。塞ぎ部材210はさらに、塞ぎ部材210が受ける、外装体400の内部に導入される第二流体720の圧力が第一流体710の圧力より大きいことにより、開口201を塞ぐ。
つまり、塞ぎ部材210の開口201を塞がない状態および塞ぐ状態の制御に、第一流体710および第二流体720それぞれの圧力が利用される。そのため簡易な構成で塞ぎ部材210の適切な動作制御が実現される。
また、本実施の形態では、第二導入部220は、塞ぎ部材210の接続部211を挟んで開口201とは反対側に配置されている。
そのため、第二導入部220から外装体400の内部に導入される第二流体720の圧力を効率よく利用して、塞ぎ部材210に開口201を塞がせることができる。
なお、本実施の形態では、例えば図7に示すように、第一導入部200(開口201)と第二導入部220とは、上下方向(Z軸方向)に並んで配置されている。しかし、第一導入部200(開口201)と第二導入部220とは、例えば横方向(XY平面に平行な方向)に並んで配置されてもよい。この場合であっても、第二導入部220が、塞ぎ部材210の接続部211を挟んで開口201とは反対側に配置されていることで、第二流体720の圧力を効率よく利用して、塞ぎ部材210に開口201を塞がせることが可能である。
また、本実施の形態では、蓄電装置10は、蓄電素子100を複数備え、第二導入部220および遮断部材230の組は、複数の蓄電素子100の各々に対して少なくとも1つ配置されている。
これにより、個々の蓄電素子100の状態に応じて、複数の遮断部材230のいずれかを開放させることができる。例えば、図8に示すように、蓄電素子100bが高温になった場合に、蓄電素子100bに対応する第二導入部220bの遮断部材230を開放させることができる。その結果、蓄電素子100bに対して集中的に第二流体720を接触させることができる。つまり、特定の蓄電素子100に対する第二流体720による効率的な冷却が実現される。
また、本実施の形態では、遮断部材230は、所定の条件である、蓄電装置10のいずれかの部位が所定の温度以上であるという条件を満たす場合、流路221の遮断を開放する。
従って、例えば蓄電素子100が高温になった場合などの異常時において、第二流体720を外装体400の内部に導入させ、かつ、第一導入部200の開口201を塞ぐことができる。つまり、異常時における第二流体720による効率的な冷却が実現される。
より詳細には、遮断部材230は所定の温度以上で溶融することで、流路221の遮断を開放する。つまり、遮断部材230として、熱で溶融する部材が採用されるため、第二流体720の導入(流路221の遮断の開放)のための機構および電子装置等は不要である。
また、本実施の形態に係る蓄電素子100の冷却方法によれば、開口201を介して第一流体710を外装体400の内部に導入する。その後、遮断部材230による、第二流体720を外装体400の内部に導入するための流路221の遮断を、所定の条件を満たす場合に開放させる。これにより、第二流体720を外装体400の内部に導入させる。さらに、流路221の遮断が開放された場合に、開口201を塞ぎ部材210によって塞ぐ。
このように、本実施の形態に係る蓄電素子100の冷却方法では、第一流体710で蓄電素子100を冷却し、所定の条件を満たす場合に、第二流体720を外装体400の内部に導入する。また、第二流体720の導入時には、開口201は塞ぎ部材210で塞がれ、これにより、第二流体720の逆流は抑制される。
従って、当該冷却方法によれば、蓄電素子100の状態に応じた、蓄電素子100の効率的な冷却を行うことができる。
なお、蓄電装置10は、図5〜図8に示す構成と異なる構成で蓄電素子100を冷却してもよい。そこで、以下に、蓄電素子100の冷却のための構成の各種の変形例を、上記実施の形態に係る蓄電装置10との差分を中心に説明する。
(変形例1)
図9は、実施の形態の変形例1に係る蓄電装置11における第二導入部220の配置位置を示す平面図である。
なお、図9では、第二流体720のおおよその流れが、矢印線によって模式的に表されている。
図9に示すように、変形例1に係る蓄電装置11では、第二導入部220が、隣り合う蓄電素子100の間を通過する直線上に配置されている。つまり、4つの蓄電素子100に対し、3つの第二導入部220が配置されている。
この構成によれば、1つの第二導入部220に、主として2つの蓄電素子100の冷却を担わせることができる。
具体的には、第二導入部220aから導入される第二流体720は、主として、蓄電素子100aおよび100bを冷却することができる。また、第二導入部220bから導入される第二流体720は、主として、蓄電素子100bおよび100cを冷却することができる。また、第二導入部220cから導入される第二流体720は、主として、蓄電素子100cおよび100dを冷却することができる。
この場合、例えば蓄電素子100bが高温になった場合に、蓄電素子100bに近い位置に存在する第二導入部220aおよび220bそれぞれの遮断部材230が溶融することが想定される。つまり、第二導入部220aおよび220bの双方から導入される第二流体720によって、蓄電素子100bを集中的に冷却することができる。
また、第二導入部220a〜220cのそれぞれから外装体400の内部に導入された第二流体720は、比較的に高い圧力を維持した状態で、いずれかの蓄電素子100の長側面に沿って流れる。つまり、第二流体720が、主として、蓄電素子100の素子容器110における最も面積の広い面に沿って高速で流れるため、蓄電素子100を効率よく冷却することができる。
このように、本変形例に係る蓄電装置11によれば、蓄電素子100の状態に応じた効率的な蓄電素子100の冷却を行うことができる。
なお、蓄電素子100aのY軸方向プラス側、および、蓄電素子100dのY軸方向マイナス側のそれぞれに、さらに第二導入部220を配置してもよい。
これにより、4つの蓄電素子100a〜100dのそれぞれを、2つの第二導入部220からの第二流体720によって冷却することができる。
また、本変形例では、第二導入部220a〜220cのそれぞれに対応して、塞ぎ部材210(210a〜210c)が配置されている。つまり、本変形例に係る蓄電装置11では、3つの第一導入部200(開口201)が配置されている。しかし、第一導入部200(開口201)は、下記の変形例2でも示されるように、少なくとも1つあればよい。
(変形例2)
図10は、実施の形態の変形例2に係る蓄電装置12の外観を示す斜視図である。
図10に示す変形例2に係る蓄電装置12では、上記実施の形態に係る蓄電装置10とは異なり、複数の第二導入部220に対して第一導入部200が1つのみ設けられている。
具体的には、本変形例に係る第一導入部200は、Y軸方向に並べられた4つの第二導入部220に対応してY軸方向に長尺状に形成された1つの開口201を有する。また、図10に示すように、開口201の周縁には、Y軸方向に長尺状の塞ぎ部材210が配置されている。
本変形例に係る蓄電装置12は、このように比較的に大きな開口201を有することで、開口201を介して外装体400の内部に導入される第一流体710の量(単位時間当たりの量)を増加させることができる。
また、Y軸方向に長尺状の塞ぎ部材210は、4つの第二導入部220のいずれか1つから導入された第二流体720の圧力を受け易い。
例えば、4つの蓄電素子100のいずれかが高温となることに起因して4つの第二導入部220のいずれか1つのみから第二流体720が導入された場合を想定する。この場合であっても、第二流体720の圧力を利用した、塞ぎ部材210による開口201を塞ぐための動作が行われ易い。
すなわち、本変形例に係る蓄電装置12は、比較的に大きな開口201を有することで、第一流体710の単位時間当たりの導入量を増加させつつ、第二流体720の圧力を有効に利用して開口201からの第二流体720の逆流を抑制することができる。
このように、本変形例に係る蓄電装置12によれば、蓄電素子100の状態に応じた効率的な蓄電素子100の冷却を行うことができる。
(変形例3)
図11は、実施の形態の変形例3に係る蓄電装置13の外観を示す斜視図である。
図12Aは、実施の形態の変形例3に係る流体導入部250の外観を示す斜視図である。
図12Bは、実施の形態の変形例3に係る流体導入部250の構成概要を示す断面図である。ある。なお、同図では、上下方向に並んで配置された第一導入部200および第二導入部220をXZ平面に平行な面で切断した場合の断面を示すように、流体導入部250の一部が図示されている。
図11に示すように、本変形例に係る蓄電装置13は、流体導入部250を備えている。具体的には、蓄電装置13において、外装体400の内部に、外装体400とは別体の流体導入部250が配置されている。また、図12Aおよび図12Bに示すように、流体導入部250には、第一導入部200、第二導入部220、塞ぎ部材210、および遮断部材230が配置されている。
流体導入部250は、図12Aおよび図12Bに示すように、X軸マイナス方向に開口した箱状の導入部本体251を有し、当該開口に蓄電素子100のX軸プラス方向の端部が挿入される。導入部本体251は、例えば外装体400と同じく、樹脂などの絶縁性の材料により構成されている。
また、導入部本体251のX軸方向プラス側の面には開口201が形成されている。つまり、本変形例では、導入部本体251の一部(開口201が形成された部分)によって第一導入部200が構成されている。
さらに、導入部本体251の、開口201の上方には、第二流体720の流路221を形成する管部材224が接続されており、管部材224の内部には遮断部材230が配置されている。
このような構成の流体導入部250は、蓄電装置13に備えられた4つの蓄電素子100のそれぞれに対応して配置されている。
つまり、本変形例では、流体導入部250を複数の蓄電素子100のそれぞれに配置することで、これら複数の蓄電素子100それぞれの近傍に、一組の第一導入部200および第二導入部220を配置している。
また、蓄電素子100の端部が挿入された状態の導入部本体251の内面から第一流体710および第二流体720が導入されるため、蓄電素子100に対する第一流体710および第二流体720それぞれによる冷却が効率よく行われる。また、第二流体720の導入時においては、導入部本体251の内面によって第二流体720の流れが規制されるため、塞ぎ部材210に衝突する第二流体720の量が比較的に多くなり、その結果、塞ぎ部材210の開口201を塞ぐ動作が促される。つまり、塞ぎ部材210による開口201を塞ぐ動作の確実性または迅速性が向上する。
なお、導入部本体251に接続された管部材224は、例えば、外装体400に設けられた孔を貫通した状態で配置されており、これにより、外装体400の外部に配置された貯蔵容器600から第二流体720の供給を受けることができる。
また、導入部本体251には、例えば図12Bに点線で示すように、開口201に接続された管部材205が配置される。この場合、管部材205は、第二導入部220における管部材224と同じく、外装体400に設けられた孔を貫通した状態で配置される。例えば、送風機に一端が接続された管部材205の他端を開口201に接続することで、比較的に高い圧力の空気を外装体400の内部に導入することができる。
このように、本変形例では、蓄電素子100の単位で流体導入部250が作製されている。従って、例えば、蓄電装置13における、第一流体710および第二流体720の導入のための構成の実装を容易化することができる。
つまり、第一導入部200、第二導入部220、塞ぎ部材210、および遮断部材230を1つのユニットとして作製することで、第一流体710および第二流体720を用いた冷却効率の向上、および、蓄電装置13の生産効率の向上等が実現可能となる。
このように、本変形例に係る蓄電装置13によれば、蓄電素子100の状態に応じた効率的な蓄電素子100の冷却を行うことができる。
(変形例4)
図13は、実施の形態の変形例4に係る蓄電装置14の外観を示す斜視図である。
図13に示す変形例4に係る蓄電装置14は、第一流体710および第二流体720の外装体400の内部への導入を電気的に制御する点に特徴を有する。
具体的には、本変形例に係る蓄電装置14は、蓄電素子100と、蓄電素子100を収容する外装体400と、第一導入部200と、第二導入部220と、遮断部材232と、塞ぎ部材212と、外部電源800とを備える。
外部電源800は、蓄電素子100の外部に配置された電源であって、遮断部材232およびに塞ぎ部材212に動作のための電流を供給するための電源である。つまり、外部電源800は、蓄電素子100とは独立して設けられた電源である。なお、外部電源800は、例えば蓄電装置14が備える制御基板(図示せず)に設けられてもよい。
本変形例に係る塞ぎ部材212は、電気的な制御によって開口201の開閉を行う部材である。また、本変形例に係る遮断部材232は、電気的な制御により、第二流体720の流路221の遮断および開放を行う部材である。
本変形例に係る塞ぎ部材212および遮断部材232としては、例えば、電磁石の磁力を用いて弁を開閉する構造を有する電磁弁、または、モータによって弁の開閉を駆動する電動弁などが例示される。
塞ぎ部材212は、例えば、外部電源800から電流が供給されていない状態(OFF状態)では弁を開いた状態を維持し、外部電源800から電流が供給されている状態(ON状態)では、弁を閉じた状態を維持する。つまり、塞ぎ部材212は、OFF状態において開口201からの第一流体710の導入を許容し、ON状態にされることで、開口201を塞ぐよう動作する。
遮断部材232は、例えば、外部電源800から電流が供給されていない状態(OFF状態)では弁を閉じた状態を維持し、外部電源800から電流が供給されている状態(ON状態)では、弁を開いた状態を維持する。つまり、遮断部材232は、OFF状態において第二流体720の流路221を遮断しており、ON状態にされることで、流路221の遮断を開放する。
また、塞ぎ部材212および遮断部材232のそれぞれに対する外部電源800からの電流の供給の制御は、例えば、蓄電装置14が備える制御基板に含まれる制御部(制御回路)によって行われる。また、蓄電装置14が車載用の電源装置である場合には、例えば、車に備え付けられた制御装置(ソフトウェアまたはハードウェア)によって、当該電流の供給の制御が行われてもよい。
このような構成において、通常時では、各塞ぎ部材212および各遮断部材232のそれぞれはOFF状態となるよう制御される。これにより、各第一導入部200(開口201)からは第一流体710が外装体400の内部に導入され、各第二導入部220において第二流体720の流路221は遮断される。つまり、蓄電装置14に備えられた4つの蓄電素子100は、各開口201からの第一流体710によって冷却される。
また、4つの蓄電素子100のいずれかが高温になるなどの異常時には、各塞ぎ部材212および各遮断部材232のそれぞれはON状態となるよう制御される。これにより、各第二導入部220において第二流体720の流路221の遮断は開放され、各第二導入部220から第二流体720が導入される。また、各第一導入部200(開口201)は塞ぎ部材212によって塞がれる。
つまり、蓄電装置14に備えられた4つの蓄電素子100は、各第二導入部220からの第二流体720によって冷却され、かつ、各開口201からの第二流体720の逆流は抑制される。
以上のような塞ぎ部材212および遮断部材232の動作制御は、上記制御部が、例えば、蓄電装置14に備えられた温度センサからの検出結果に基づいて行う。
このように、本変形例に係る蓄電装置14では、塞ぎ部材212および遮断部材232のそれぞれを電気的な制御によって動作させ、これにより、第一流体710および第二流体720による蓄電素子100の冷却を行うことができる。
従って、本変形例に係る蓄電装置14によれば、蓄電素子100の状態に応じた効率的な蓄電素子100の冷却を行うことができる。
なお、本変形例に係る蓄電装置14では、例えば、各蓄電素子100の温度に依存せずに、第一流体710による冷却から第二流体720による冷却に切り替えることができる。
例えば、温度センサ以外から得られる所定の信号(衝撃センサもしくは振動センサ等からの検出結果、または、ユーザから任意のタイミングでなされる所定の指示など)に応じて、第一流体710による冷却から第二流体720による冷却に切り替えが可能である。
例えば、蓄電装置14が車載用の電源装置である場合に、車に搭載された衝撃センサの出力電圧値に応じて、第一流体710による冷却から第二流体720による冷却に切り替えてもよい。
つまり、衝撃センサが比較的に大きな衝撃を検出した場合に、蓄電装置14の複数の蓄電素子100のそれぞれにも大きな衝撃が与えられる可能性がある。すなわち、車に比較的大きな衝撃が与えられた場合に、複数の蓄電素子100のそれぞれが非通常状態に置かれる可能性がある。
そこで、蓄電装置14において、例えば衝撃センサの出力電圧値に応じて、第一流体710による冷却から第二流体720による冷却に切り替える。これにより、複数の蓄電素子100が高温にならないように、これらを予防的に冷却しておくことができる。なお、第一流体710と第二流体720との切り替えのトリガとなり得る検出結果を出力する衝撃センサ等の検出装置は、蓄電装置14に取り付けられてもよく、また、蓄電装置14が備えてもよい。
また、本変形例では、蓄電素子100のそれぞれに、第二導入部220および遮断部材232の組が配置されているため、例えば、所定の温度以上になった蓄電素子100に対応する遮断部材232のみをON状態にすることも可能である。つまり、複数の第二導入部220のうちの選択された1以上の第二導入部220のみから第二流体720を導入してもよい。これにより、例えば、第二流体720の単位時間当たりの消費量を抑制することができ、その結果、冷却が必要な蓄電素子100に対する十分な冷却が可能となる。
なお、塞ぎ部材212および遮断部材232それぞれの、ON状態およびOFF状態と弁の開閉との関係は、上述の関係には限定されない。
例えば、遮断部材232は、ON状態で弁を閉じた状態を維持し、OFF状態にされることで弁を開いた状態を維持してもよい。これにより、例えば、蓄電装置14に対する過大な衝撃に起因して外部電源800からの電流の供給が不可能となった場合に、第二流体720による冷却が実行される。
また、図13では、塞ぎ部材212は外装体400の内面に配置されているが、塞ぎ部材212は外装体400の外面に配置されてもよい。また、同じく図13では、遮断部材232は外装体400の外面に配置されているが、遮断部材232は外装体400の内面に配置されてもよい。
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電装置10〜13のそれぞれは、複数の第二導入部220を備えている。しかし、蓄電装置10〜13のそれぞれが備える第二導入部220の数は1以上であればよい。
つまり、蓄電装置10〜13のそれぞれは、少なくとも一組の第二導入部220および遮断部材230(または232)と、少なくとも一組の第一導入部200および塞ぎ部材210(または212)とを備えていれば、上述の効率的な冷却は実現される。
すなわち、蓄電素子100の状態に応じた、第一流体710による冷却から第二流体720による冷却への切り替え、および、第一流体710の導入のための開口201からの、第二流体720の逆流の抑制が可能となる。これにより、蓄電装置10等に備えられた蓄電素子100に対する、蓄電素子100の状態に応じた効率的な冷却が実現される。
また、例えば上記実施の形態に係る蓄電装置10において、遮断部材230と塞ぎ部材210とは、一体の構造物として備えられてもよい。
例えば、外装体400の内面において管部材224の端部開口を塞ぐように配置された一枚の板状部材を下方に移動させる。これにより、当該板状部材に、第二流体720の遮断を開放させ、かつ、第一導入部200における開口201を塞がせることができる。つまり、当該板状部材の移動により、第一流体710の導入から第二流体720の導入への切り替えと、第二流体720の開口201からの逆流の抑制とが行われる。
このように、一枚の板状部材を、遮断部材230および塞ぎ部材210として機能させることも可能である。なお、この場合、当該板状部材の移動には、重力、弾性力、磁力、またはモータによる駆動力などの各種の力を利用することができる。
また、上記実施の形態及び上記変形例における各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、上記変形例4に係る蓄電装置13において、上記変形例2に係る開口201のような一方向に長尺状の開口を備えてもよい。つまり、第一流体710の導入のための比較的大きな開口を、電気的な制御によって開閉してもよい。
また、例えば、上記実施の形態に係る蓄電装置10において、遮断部材230に代えて上記変形例4に係る遮断部材232が配置されてもよい。