[実施形態の概要]
実施形態は、WWAN・WLANアグリゲーション(若しくは高度化インターワーキング技術)により効率的な通信を実現可能とすることを目的とする。
第1実施形態に係る無線端末は、WWAN通信及びWLAN通信を同時に使用したWWAN・WLANアグリゲーション通信が可能な無線端末である。前記無線端末は、前記WWAN・WLANアグリゲーション通信の実行中に、前記WLAN通信の測定結果に関するWLAN測定情報を前記WWAN通信により特定の基地局に送信する送信部を備える。
第1実施形態において、前記特定の基地局は、前記無線端末における前記WWAN・WLANアグリゲーション通信の設定の解放、変更、及び使用停止のうち少なくとも1つを制御する基地局である。
第1実施形態において、前記WWAN通信は、マスタ基地局及びセカンダリ基地局との二重接続を使用する二重接続通信である。前記特定の基地局は、前記マスタ基地局である。
第2実施形態において、前記特定の基地局は、前記無線端末の1つのベアラを前記WWAN通信用の第1のベアラ及び前記WLAN通信用の第2のベアラに分割するとともに、前記第1のベアラと前記第2のベアラとの間のデータ割り振りを行う基地局である。
第2実施形態において、前記WWAN通信は、マスタ基地局及びセカンダリ基地局との二重接続を使用する二重接続通信である。前記特定の基地局は、前記マスタ基地局又は前記セカンダリ基地局である。
第1実施形態及び第2実施形態において、前記送信部は、前記WWAN通信の物理層仕様で規定された物理層シグナリングにより、前記WLAN測定情報を前記特定の基地局に送信する。
第1実施形態の変更例において、前記送信部は、前記WWAN通信のRRC層仕様で規定されたRRCシグナリングにより、前記WLAN測定情報を前記特定の基地局に送信する。
第1実施形態及び第2実施形態において、前記WLAN測定情報は、WLANチャネル品質パラメータを含む。
第1実施形態及び第2実施形態において、前記WLAN測定情報は、WLAN混雑度パラメータを含む。
第1実施形態及び第2実施形態に係る基地局は、WWAN通信及びWLAN通信を同時に使用して無線端末との通信を行うWWAN・WLANアグリゲーション通信が可能なネットワークに設けられる。前記基地局は、前記WWAN・WLANアグリゲーション通信の実行中に、前記WLAN通信の測定結果に関するWLAN測定情報を前記WWAN通信により前記無線端末から受信する受信部を備える。
第1実施形態において、前記基地局は、前記WLAN測定情報に基づいて、前記無線端末における前記WWAN・WLANアグリゲーション通信の設定の解放、変更、及び使用停止のうち少なくとも1つを制御する制御部を備える。
第2実施形態において、前記無線端末の1つのベアラを前記WWAN通信用の第1のベアラ及び前記WLAN通信用の第2のベアラに分割するとともに、前記WLAN測定情報に基づいて前記第1のベアラと前記第2のベアラとの間のデータ割り振りを行う制御部を備える。
第3実施形態に係る基地局は、WWAN通信及びWLAN通信を同時に使用して無線端末との通信を行うWWAN・WLANアグリゲーション通信が可能なネットワークに設けられる。前記基地局は、前記WWAN・WLANアグリゲーション通信の実行中に、前記WLAN通信の測定結果に関するWLAN測定情報を取得するWLAN通信部と、前記WLAN測定情報に基づいて、前記WWAN・WLANアグリゲーション通信を制御する制御部と、を備える。
第3実施形態において、前記制御部は、前記WLAN測定情報に基づいて、前記無線端末における前記WWAN・WLANアグリゲーション通信の設定の解放、変更、及び使用停止のうち少なくとも1つを制御する。
第3実施形態において、前記制御部は、前記無線端末の1つのベアラを前記WWAN通信用の第1のベアラ及び前記WLAN通信用の第2のベアラに分割するとともに、前記WLAN測定情報に基づいて前記第1のベアラと前記第2のベアラとの間のデータ割り振りを行う。
第4実施形態に係る基地局は、WWAN通信及びWLAN通信を同時に使用して無線端末との通信を行うWWAN・WLANアグリゲーション通信が可能なネットワークに設けられる。前記基地局は、前記WWAN・WLANアグリゲーション通信の実行中に、前記WLAN通信の測定結果に関するWLAN測定情報をWLANノードから取得する制御部を備える。前記制御部は、前記WLAN測定情報に基づいて、前記WWAN・WLANアグリゲーション通信を制御する。
第4実施形態において、前記制御部は、前記WLAN測定情報に基づいて、前記無線端末における前記WWAN・WLANアグリゲーション通信の設定の解放、変更、及び使用停止のうち少なくとも1つを制御する。
第4実施形態において、前記制御部は、前記無線端末の1つのベアラを前記WWAN通信用の第1のベアラ及び前記WLAN通信用の第2のベアラに分割するとともに、前記WLAN測定情報に基づいて前記第1のベアラと前記第2のベアラとの間のデータ割り振りを行う。
第5実施形態に係る無線端末は、WWAN通信及びWLAN通信を同時に使用したWWAN・WLANアグリゲーション通信が可能な無線端末である。前記無線端末は、上りデータ送信に前記WWAN通信を適用する第1のベアラ及び上りデータ送信に前記WLAN通信を適用する第2のベアラを選択する制御部と、前記第1のベアラの上りデータを前記WWAN通信により送信し、前記第2のベアラの上りデータを前記WLAN通信により送信する送信部と、を備える。
第5実施形態において、前記無線端末は、前記無線端末のベアラについて前記WWAN通信を適用するか又は前記WLAN通信を適用するかを示す制御情報を、特定の基地局から前記WWAN通信により受信する受信部をさらに備える。前記制御部は、前記制御情報に従って、前記第1のベアラ及び前記第2のベアラを選択する。
第5実施形態において、前記受信部は、前記WWAN通信のPDCP層仕様で規定されたPDCP層シグナリングにより、前記制御情報を前記特定の基地局から受信する。
第5実施形態において、前記WWAN通信は、マスタ基地局及びセカンダリ基地局との二重接続を使用する二重接続通信である。前記特定の基地局は、前記セカンダリ基地局である。
第5実施形態において、前記制御部は、基地局からの制御情報に基づくことなく、前記第1のベアラ及び前記第2のベアラを選択する。
第6実施形態に係る基地局は、無線端末のベアラが他の基地局により2つのベアラに分割されており、前記2つのベアラのうち一方のベアラを介して前記他の基地局から下りデータが転送される基地局である。前記基地局は、前記一方のベアラを介して前記他の基地局から転送された前記下りデータの中から、WWAN通信により前記無線端末に送信する第1の下りデータ及び前記WLAN通信により前記無線端末に送信する第2の下りデータを選択する制御部と、前記第1の下りデータを前記WWAN通信により前記無線端末に送信するWWAN通信部と、前記第2の下りデータを前記WLAN通信により前記無線端末に送信するWLAN通信部と、を備える。
第6実施形態において、前記制御部は、前記他の基地局からの制御情報に基づくことなく、前記第1の下りデータと前記第2の下りデータとを自律的に選択する。
第6実施形態において、前記制御部は、前記WLAN通信のチャネル状態に基づいて、前記第1の下りデータと前記第2の下りデータとを自律的に選択する。
第6実施形態において、前記制御部は、前記第1の下りデータのバッファ蓄積量と前記第2の下りデータのバッファ蓄積量との合計を前記他の基地局に通知する。
第6実施形態において、前記制御部は、前記他の基地局からの制御情報に基づいて、前記第1の下りデータと前記第2の下りデータとを選択する。前記制御部は、前記第1の下りデータのバッファ蓄積量と前記第2の下りデータのバッファ蓄積量とを個別に前記他の基地局に通知する。
第6実施形態において、前記制御部は、前記WLAN通信を停止又は再開した場合、前記他の基地局から自基地局に転送可能なデータ量に関する情報を前記他の基地局に通知する。
第7実施形態に係る基地局は、他の基地局との直接的なインターフェイスを有するとともに、WLANノードとの直接的なインターフェイスを有する基地局である。前記基地局は、無線端末の第1のベアラ及び第2のベアラのそれぞれを2つに分割し、前記第1のベアラの一方の分割ベアラを介して前記他の基地局に下りデータを転送し、前記第2のベアラの一方の分割ベアラを介して前記WLANノードに下りデータを転送するデータ転送部と、前記第1のベアラの他方の分割ベアラを介して前記無線端末に下りデータを送信し、前記第2のベアラの他方の分割ベアラを介して前記無線端末に下りデータを送信するデータ送信部と、を備える。
第8実施形態に係る基地局は、他の基地局との直接的なインターフェイスを有するとともに、WLANノードとの直接的なインターフェイスを有する基地局である。前記基地局は、無線端末の1つのベアラを2つに分割し、前記1つのベアラの一方の分割ベアラを介して前記他の基地局に下りデータを転送するデータ転送部と、前記1つのベアラの他方の分割ベアラを介して前記無線端末に下りデータを送信するデータ送信部と、前記1つのベアラの新たな分割ベアラを前記WLANノードと構築し、前記一方の分割ベアラを解放する制御部と、を備える。前記データ転送部は、前記他の基地局へのデータ転送を停止し、前記新たな分割ベアラを介して前記WLANノードに下りデータを転送する。
第9実施形態に係る基地局は、無線端末がWWAN通信及びWLAN通信を同時に使用して通信を行うWWAN・WLANアグリゲーション通信が可能なシステムにおける基地局である。前記基地局は、前記無線端末が有する機能を示す能力情報を取得する制御部を備える。前記WWAN通信のPDCP層において前記無線端末のベアラを分割するとともに該ベアラの無線通信に前記WWAN通信及び前記WLAN通信を使用する第1の機能と、前記PDCP層を経由する前記ベアラを分割せずに該ベアラの無線通信に前記WLAN通信のみを使用する第2の機能と、が規定されている。前記制御部は、前記第1の機能の能力情報とは別の情報として、前記第2の機能の能力情報を取得する。
第9実施形態において、前記第2の機能が設定されるベアラには、送達確認モード及び非達確認モードが許容される。前記第1の機能が設定されるベアラには、送達確認モードのみが許容される。
第9実施形態において、前記制御部は、前記第1の機能及び前記第2の機能の両方を有する前記無線端末に対して、前記第1の機能が設定されたベアラ及び前記第2の機能が設定されたベアラの両方を設定する。
第9実施形態において、前記制御部は、前記第1の機能及び前記第2の機能の両方を有する前記無線端末に対して、前記第1の機能と前記第2の機能との間でベアラの設定を変更するための変更情報を送信する処理を行う。
第9実施形態において、前記ベアラの設定を前記第2の機能から前記第1の機能に変更する場合において、前記制御部は、前記第1の機能のための設定情報を前記変更情報と共に送信する処理を行う。
第9実施形態に係る無線端末は、WWAN通信及びWLAN通信を同時に使用して通信を行うWWAN・WLANアグリゲーション通信が可能な無線端末である。前記無線端末は、前記無線端末が有する機能を示す能力情報を基地局に通知する制御部を備える。前記WWAN通信のPDCP層において前記無線端末のベアラを分割するとともに該ベアラの無線通信に前記WWAN通信及び前記WLAN通信を使用する第1の機能と、前記PDCP層を経由する前記ベアラを分割せずに該ベアラの無線通信に前記WLAN通信のみを使用する第2の機能と、が規定されている。前記制御部は、前記第1の機能の能力情報とは別の情報として、前記第2の機能の能力情報を通知する。
第10実施形態に係る無線通信装置は、WWAN通信及びWLAN通信を同時に使用して通信を行うWWAN・WLANアグリゲーション通信が可能なシステムにおける無線通信装置である。前記無線通信装置は、前記WWAN通信のPDCP層からWLAN通信エンティティにデータが転送される場合において、前記PDCP層よりも下位のWWAN下位層に期待される機能が前記PDCP層に提供されるように、前記WLAN通信エンティティの機能を補完する制御を行う制御部を備える。
第10実施形態において、前記WLAN通信エンティティは、前記PDCP層から転送された前記データを前記WLAN通信により送信する処理を行う。前記制御部は、前記WLAN通信エンティティにおけるデータ送信状況を監視することにより、前記PDCP層が解釈可能な送信完了通知を前記PDCP層に提供する。
第10実施形態において、前記制御部は、前記WWAN通信における非達確認モードが設定されたベアラのデータが前記PDCP層から前記WLAN通信エンティティに転送される場合において、前記WLAN通信における非達確認モードで前記WLAN通信エンティティを動作させる。
第10実施形態において、前記制御部は、前記WWAN通信のRRC層から前記WLAN通信の再確立を指示された場合において、前記WLAN通信エンティティに保持されている前記データの破棄、及び前記WLAN通信エンティティに設定されているパラメータの初期化のうち、少なくとも一方を行う。
第10実施形態において、前記制御部は、前記WLAN通信における二重データ破棄動作を行うように前記WLAN通信エンティティを動作させる。
第10実施形態において、前記無線通信装置は、前記PDCP層を有する基地局である。前記WLAN通信エンティティは、前記基地局又はWLANノードに設けられる。
第10実施形態において、前記無線通信装置は、前記WLAN通信エンティティを有するWLANノードである。
第10実施形態において、前記無線通信装置は、前記PDCP層及び前記WLAN通信エンティティを有する無線端末である。
[移動通信システム]
以下において、第1実施形態乃至第10実施形態に係る移動通信システムであるLTEシステムについて説明する。
(移動通信システムの概要)
図1は、第1実施形態乃至第10実施形態に係るLTEシステム(移動通信システム)の構成を示す図である。図1に示すように、LTEシステムは、UE(User Equipment)100、E−UTRAN(Evolved−UMTS Terrestrial Radio Access Network)10、及びEPC(Evolved Packet Core)20を備える。
UE100は、無線端末に相当する。UE100は、移動型の通信装置であり、セル(サービングセル)との無線通信を行う。第1実施形態乃至第10実施形態において、UE100は、LTE通信(WWAN通信)及びWLAN通信の両通信方式をサポートする。UE100の構成については後述する。
E−UTRAN10は、無線アクセスネットワークに相当する。E−UTRAN10は、eNB200(evolved Node−B)を含む。eNB200は、基地局に相当する。eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。eNB200の構成については後述する。
eNB200は、1又は複数のセルを管理しており、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。eNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される他に、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても使用される。
EPC20は、コアネットワークに相当する。EPC20は、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving−Gateway)300を含む。MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。S−GWは、データの転送制御を行う。MME/S−GW300は、S1インターフェイスを介してeNB200と接続される。E−UTRAN10及びEPC20は、ネットワークを構成する。
図2は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。図2に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルの第1層乃至第3層に区分されており、第1層は物理(PHY)層である。第2層は、MAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層を含む。第3層は、RRC(Radio Resource Control)層を含む。
物理層は、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100の物理層とeNB200の物理層との間では、物理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
MAC層は、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセス手順等を行う。UE100のMAC層とeNB200のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。eNB200のMAC層は、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定するスケジューラを含む。
RLC層は、MAC層及び物理層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE100のRLC層とeNB200のRLC層との間では、論理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
PDCP層は、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
RRC層は、制御信号を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRC層とeNB200のRRC層との間では、各種設定のためのメッセージ(RRCメッセージ)が伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッドモード(コネクティッドモード)であり、そうでない場合、UE100はRRCアイドルモード(アイドルモード)である。
RRC層の上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)層は、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。
図3は、LTEシステムで使用される無線フレームの構成図である。LTEシステムは、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)、上りリンクにはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)がそれぞれ適用される。
図3に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成される。各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各リソースブロックは、周波数方向に複数個のサブキャリアを含む。1つのシンボル及び1つのサブキャリアにより1つのリソースエレメント(RE)が構成される。また、UE100に割り当てられる無線リソース(時間・周波数リソース)のうち、周波数リソースはリソースブロックにより特定でき、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により特定できる。
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に下りリンク制御信号を伝送するための物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)として使用される領域である。PDCCHの詳細については後述する。また、各サブフレームの残りの部分は、主に下りリンクデータを伝送するための物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)として使用できる領域である。
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に上りリンク制御信号を伝送するための物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)として使用される領域である。各サブフレームにおける残りの部分は、主に上りリンクデータを伝送するための物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)として使用できる領域である。
(二重接続)
第1実施形態乃至第8実施形態に係るLTEシステムは、「Dual Connectivity」(二重接続)をサポートする。以下において、「Dual Connectivity」の概要について説明する。
「Dual Connectivity」において、UE100との接続を確立する複数のeNB200のうち、マスタeNB(MeNB)のみが当該UE100とのRRC接続を確立する。これに対し、当該複数のeNB200のうちセカンダリeNB(SeNB)は、RRC接続をUE100と確立せずに、追加的な無線リソースをUE100に提供する。言い換えると、MeNBは、ユーザプレーン接続だけでなく制御プレーン接続をUE100と確立する。これに対し、SeNBは、制御プレーン接続をUE100と確立せずに、ユーザプレーン接続をUE100と確立する。MeNBとSeNBとの間の通信にはX2インターフェイスが使用される。
UE100は、MeNBが管理するN個のセル及びSeNBが管理するM個のセルを同時に利用したキャリアアグリゲーションが可能である。UE100のサービングセルの最大数、すなわち、(N+M)の最大数は、例えば5である。MeNBが管理するN個のセルからなるグループは、マスタセルグループ(MCG)と称される。また、SeNBが管理するM個のセルからなるグループは、セカンダリセルグループ(SCG)と称される。
(設置シナリオ)
第1実施形態乃至第10実施形態に係るLTEシステムは、LTE・WLANアグリゲーション(WWAN・WLANアグリゲーション)をサポートする。UE100は、LTE通信及びWLAN通信を同時に使用してデータをネットワークと送受信する。WLAN通信は、IEEE802.11規格に基づく通信方式であってもよい。以下において、主として下り(下りリンク)について説明するが、本発明は下りに限定されるものではない。
第1実施形態乃至第10実施形態に係るLTEシステムにおいて、WLANノードは、eNB200と共同設置(Collocated)される。この場合、eNB200は、WLAN機能(WLAN通信部)を有する。
或いは、WLANノードは、eNB200と個別設置(Non−collocated)される。この場合、eNB200は、WLANノードとの間に直接的なインターフェイスを有する。このような直接的なインターフェイスは、「XWインターフェイス」と称されてもよい。WLANノードは、WLANアクセスポイント(WLAN AP)である。WLANノードは、WLANアクセスポイントの制御装置であるWLANアクセスコントローラ(WLAN AC)を含んでもよい。
図4は、eNB200及びWLANノード500の設置シナリオの概要を示す図である。ここでは、「Dual Connectivity」を考慮した設置シナリオを説明する。
図4に示すように、MeNB(マスタ基地局)200Mは、S1−Uインターフェイスを介してS−GW300と接続されている。Non−collocatedシナリオの場合、MeNB200Mには、XWインターフェイスを介してWLANノード500−1が接続される。Collocatedシナリオの場合、MeNB200Mは、WLAN機能を有する。
SeNB(セカンダリ基地局)200Sは、S1−Uインターフェイスを介してS−GW300と接続され、X2−Uインターフェイスを介してMeNB200Mと接続されている。Non−collocatedシナリオの場合、SeNB200Sには、XWインターフェイスを介してWLANノード500−2が接続される。Collocatedシナリオの場合、SeNB200Sは、WLAN機能を有する。
(1)Collocatedシナリオ
以下において、Collocated(共同設置)シナリオの具体例について説明する。
(1.1)Collocatedシナリオ1
図5は、Collocatedシナリオ1を示す図である。図5(A)はユーザプレーンの接続関係を示し、図5(B)はユーザプレーンのプロトコルスタックを示す。なお、以下のユーザプレーンのプロトコルスタックにおいては、RRC層の図示を省略していることに留意すべきである。
図5(A)に示すように、Collocatedシナリオ1において、eNB200は、WLAN機能を有する。eNB200は、S1−Uインターフェイスを介してS−GW300と接続される。
図5(B)に示すように、eNB200は、LTEプロトコルのエンティティとWLANプロトコルのエンティティとを有する。ここでは、UE100とS−GW300との間に2つのベアラ(E−RAB:E−UTRAN Radio Access Bearer)が確立されている場合を想定する。
一方のベアラ#1の下りデータは、PDCP層#1、RLC層#1、及びMAC層の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。
他方のベアラ#2は、PDCP層#2により2つに分割(スプリット)されている。ベアラ#2の一方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#2及びMAC層の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。これに対し、ベアラ#2の他方の分割ベアラの下りデータは、WLAN MAC層により処理され、図示を省略するWLAN物理層を介してUE100に送信される。
(1.2)Collocatedシナリオ2
図6は、Collocatedシナリオ2を示す図である。Collocatedシナリオ2は、「Dual Connectivity」を想定したシナリオである。図6(A)はユーザプレーンの接続関係を示し、図6(B)はユーザプレーンのプロトコルスタックを示す。
図6(A)に示すように、Collocatedシナリオ2において、SeNB200Sは、WLAN機能を有する。MeNB200M及びSeNB200Sのそれぞれは、S1−Uインターフェイスを介してS−GW300と接続される。MeNB200M及びSeNB200Sは、X2−Uインターフェイスを介して相互に接続される。
図6(B)に示すように、MeNB200Mは、LTEプロトコルのエンティティを有する。SeNB200Sは、LTEプロトコルのエンティティとWLANプロトコルのエンティティとを有する。ここでは、UE100とS−GW300との間に2つのベアラ#1,#2が確立されている場合を想定する。
一方のベアラ#1の下りデータは、MeNB200Mにおいて、PDCP層#1、RLC層#1、及びMAC層の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。
他方のベアラ#2は、MeNB200Mにおいて、PDCP層#2により2つに分割(スプリット)されている。ベアラ#2の一方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#2及びMAC層の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。
これに対し、ベアラ#2の他方の分割ベアラは、SeNB200Sを介して確立される。SeNB200Sにおいて、ベアラ#2の他方の分割ベアラの下りデータは、一部がRLC層#3及びMAC層#2により処理され、残りがWLAN MAC層により処理される。RLC層#3及びMAC層#2により処理された下りデータは、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。WLAN MAC層により処理された下りデータは、図示を省略するWLAN物理層を介してUE100に送信される。
Collocatedシナリオ2において、SeNB200SがLTE通信により送信する下りデータとWLAN通信により送信する下りデータとを決定する方法については、第6実施形態において説明する。
(2)Non−collocatedシナリオ
以下において、Non−collocated(非共同設置)シナリオの具体例について説明する。
(2.1)Non−collocatedシナリオ1
図7は、Non−collocatedシナリオ1を示す図である。図7(A)はユーザプレーンの接続関係を示し、図7(B)はユーザプレーンのプロトコルスタックを示す。
図7(A)に示すように、Non−collocatedシナリオ1において、eNB200は、S1−Uインターフェイスを介してS−GW300と接続される。eNB200及びWLANノード500は、XWインターフェイスを介して相互に接続される。
図7(B)に示すように、eNB200は、LTEプロトコルのエンティティを有する。WLANノード500は、WLANプロトコルのエンティティを有する。ここでは、UE100とS−GW300との間に2つのベアラ#1,#2が確立されている場合を想定する。
一方のベアラ#1の下りデータは、eNB200において、PDCP層#1、RLC層#1、及びMAC層の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。
他方のベアラ#2は、MeNB200Mにおいて、PDCP層#2により2つに分割(スプリット)されている。ベアラ#2の一方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#2及びMAC層の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。
これに対し、ベアラ#2の他方の分割ベアラは、WLANノード500を介して確立される。WLANノード500において、ベアラ#2の他方の分割ベアラの下りデータは、WLAN MAC層により処理され、図示を省略するWLAN物理層を介してUE100に送信される。
(2.2)Non−collocatedシナリオ2
図8は、Non−collocatedシナリオ2を示す図である。Non−collocatedシナリオ2は、「Dual Connectivity」を想定したシナリオである。図8(A)はユーザプレーンの接続関係を示し、図8(B)はユーザプレーンのプロトコルスタックを示す。
図8(A)に示すように、Non−collocatedシナリオ2において、MeNB200M及びSeNB200Sのそれぞれは、S1−Uインターフェイスを介してS−GW300と接続される。MeNB200M及びSeNB200Sは、X2−Uインターフェイスを介して相互に接続される。MeNB200Mには、XWインターフェイスを介してWLANノード500が接続されている。
図8(B)に示すように、MeNB200M及びSeNB200Sのそれぞれは、LTEプロトコルのエンティティを有する。WLANノード500は、WLANプロトコルのエンティティを有する。ここでは、UE100とS−GW300との間に3つのベアラ#1乃至#3が確立されている場合を想定する。
ベアラ#1は、MeNB200Mにおいて、PDCP層#1により2つに分割(スプリット)されている。ベアラ#1の一方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#1及びMAC層#1の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。ベアラ#1の他方の分割ベアラは、SeNB200Sを介して確立される。SeNB200Sにおいて、ベアラ#1の他方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#4及びMAC層#2により処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。
ベアラ#2は、MeNB200Mにおいて、PDCP層#2により2つに分割(スプリット)されている。ベアラ#2の一方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#2及びMAC層#1の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。ベアラ#2の他方の分割ベアラは、WLANノード500を介して確立される。WLANノード500において、ベアラ#2の他方の分割ベアラの下りデータは、WLAN MAC層により処理され、図示を省略するWLAN物理層を介してUE100に送信される。
ベアラ#3の下りデータは、SeNB200Sにおいて、PDCP層#3、RLC層#3、及びMAC層#2の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。
(2.3)Non−collocatedシナリオ3
図9は、Non−collocatedシナリオ3を示す図である。Non−collocatedシナリオ3は、「Dual Connectivity」を想定したシナリオである。図9(A)はユーザプレーンの接続関係を示し、図9(B)はユーザプレーンのプロトコルスタックを示す。
図9(A)に示すように、Non−collocatedシナリオ3において、MeNB200M及びSeNB200Sのそれぞれは、S1−Uインターフェイスを介してS−GW300と接続される。MeNB200M及びSeNB200Sは、X2−Uインターフェイスを介して相互に接続される。SeNB200Sには、XWインターフェイスを介してWLANノード500が接続されている。
図9(B)に示すように、MeNB200M及びSeNB200Sのそれぞれは、LTEプロトコルのエンティティを有する。WLANノード500は、WLANプロトコルのエンティティを有する。ここでは、UE100とS−GW300との間に3つのベアラ#1乃至#3が確立されている場合を想定する。
ベアラ#1の下りデータは、MeNB200Mにおいて、PDCP層#1、RLC層#1、及びMAC層#1の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。
ベアラ#2は、MeNB200Mにおいて、PDCP層#2により2つに分割(スプリット)されている。ベアラ#2の一方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#2及びMAC層#1の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。ベアラ#2の他方の分割ベアラは、SeNB200Sを介して確立される。SeNB200Sにおいて、ベアラ#2の他方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#4及びMAC層#2により処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。
ベアラ#3は、SeNB200Sにおいて、PDCP層#3により2つに分割(スプリット)されている。ベアラ#3の一方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#3及びMAC層#2の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。ベアラ#3の他方の分割ベアラは、WLANノード500を介して確立される。WLANノード500において、ベアラ#3の他方の分割ベアラの下りデータは、WLAN MAC層により処理され、図示を省略するWLAN物理層を介してUE100に送信される。
[第1実施形態]
上述した移動通信システムを前提として、第1実施形態について説明する。
(無線端末)
以下において、第1実施形態に係るUE100(無線端末)について説明する。図10は、UE100のブロック図である。図10に示すように、UE100は、LTE通信部(WWAN通信部)110、WLAN通信部120、及び制御部130を備える。
LTE通信部110は、制御部130の制御下でLTE通信を行う。LTE通信部110は、LTEプロトコルの一部を実行してもよい。LTE通信部110は、アンテナ、送信機、及び受信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)をLTE無線信号に変換してアンテナから送信する。受信機は、アンテナが受信するLTE無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。なお、LTE通信は、ライセンスバンドにおいて行われることが一般的である。
WLAN通信部120は、制御部130の制御下でWLAN通信を行う。WLAN通信部120は、WLANプロトコルの一部を実行してもよい。WLAN通信部120は、アンテナ、送信機、及び受信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)をWLAN無線信号に変換してアンテナから送信する。受信機は、アンテナが受信するWLAN無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。なお、WLAN通信は、アンライセンスバンドにおいて行われることが一般的である。
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、LTEプロトコルの一部を実行してもよいし、WLANプロトコルの一部を実行してもよい。制御部130は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に使用される情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行うベースバンドプロセッサと、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含んでもよい。プロセッサは、後述する各種の処理及び上述した各種の通信プロトコルを実行してもよい。
このように構成されたUE100は、LTE通信及びWLAN通信を同時に使用したLTE・WLANアグリゲーション通信が可能である。例えば、UE100は、上述した各設置シナリオ(各Collocatedシナリオ及び各Non−collocatedシナリオ)において、LTE・WLANアグリゲーション通信を行う。
第1実施形態において、WLAN通信部120は、LTE・WLANアグリゲーション通信の実行中に、WLAN通信のチャネル状態を測定する。制御部130は、測定されたチャネル状態(測定結果)を示すWLAN測定情報(WLANチャネル情報)を生成する。制御部130は、WLAN周波数帯(アンライセンスドバンド)に含まれる周波数チャネルごとにWLAN測定情報を生成してもよい。或いは、制御部130は、WLAN周波数帯(アンライセンスドバンド)の全体的なチャネル情報を示すWLAN測定情報を生成してもよい。WLAN測定情報は、WLAN規格(IEEE802.11規格)で規定されたパラメータをLTE向けに変換して得られたパラメータであってもよい。LTE通信部110は、WLAN測定情報を特定のeNB200に送信する。第1実施形態において、制御部130及びLTE通信部110は、LTE・WLANアグリゲーション通信の実行中にWLAN測定情報を特定のeNB200に送信する送信部を構成する。
第1実施形態において、特定のeNB200は、UE100におけるLTE・WLANアグリゲーション通信の設定(configuration)の解放(release)、変更(modify)、及び使用停止(deactivate)のうち少なくとも1つを制御するeNB200である。LTE・WLANアグリゲーション通信の設定は、WLAN通信の設定を含む。例えば、上述した「Dual Connectivity」において、特定のeNB200は、UE100とのRRC接続を有するMeNB(マスタ基地局)200Mである。LTE通信部110は、MeNB200MのMCGのうちプライマリセル(PCell)にWLAN測定情報を送信することが好ましい。
LTE通信部110は、LTE通信の物理層仕様で規定された物理層シグナリングにより、WLAN測定情報をMeNB200Mに送信する。物理層シグナリングによりWLAN測定情報をMeNB200Mに送信(フィードバック)することにより、動的なフィードバックが可能である。WLAN測定情報は、例えば、物理層仕様で規定されたUCI(Uplink Control Information)に含まれる。WLAN測定情報は、LTE通信のチャネル状態情報(CSI)と共に送信されてもよいし、LTE通信のCSIとは別に送信されてもよい。LTE通信のCSIとは、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoder Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)のうち少なくとも1つである。WLAN測定情報は、PUCCH上で送信されることが好ましい。WLAN測定情報は、PUSCH上で送信されてもよい。また、WLAN測定情報は、定期的(periodic)に送信されてもよいし、設定されたイベントの発生をトリガ(event trigger)として送信されてもよい。MeNB200MからのRRCシグナリングによりWLAN測定情報のフィードバック設定を行ってもよい。このようなRRCシグナリング(RRCメッセージ)は、WLAN向けの測定対象(MeasObject)を示す「MeasObjectWLAN」もしくは「MeasObjectIeee」を含んでもよい。このようなMeasObjectは、CarrierFreq(対応周波数帯)を指定する情報、IEEEの仕様(b/a/g/n/ac…)を指定する情報、WLAN identifier(SSID/BSSID/…)のうち少なくとも1つを含んでもよい。また、RRCシグナリング(RRCメッセージ)は、トリガを指定する情報を含んでもよい。トリガは、既存のトリガ(イベントA3など)でもよいし、既存のWLANインターワーキングの「RAN rule」(RSRP/RSRQ閾値やWLAN負荷閾値)でもよい。
WLAN測定情報は、WLANチャネル品質パラメータ(WLAN Channel Quality Indicator)を含む。「WLAN Channel Quality Indicator」は、例えば、WLAN受信電力(RSSIなど)又はWLAN受信品質(SNRなど)を示すパラメータである。
WLAN測定情報は、WLAN混雑度パラメータ(WLAN Congestion Indicator)を含んでもよい。「WLAN Congestion Indicator」は、WLAN通信におけるキャリアセンス(LBT:Listen Before Talk)により検出された干渉電力を示すパラメータであってもよいし、LBTの成功率又は失敗率を示すパラメータであってもよい。
WLAN測定情報は、WLAN受信信号を正しく受信したか否かを示すACK/NACKを含んでもよい。具体的には、WLAN受信信号の復号に成功した場合にはACKを送信し、WLAN受信信号の復号に失敗した場合にはNACKを送信する。
LTE通信部110は、LTE通信の物理層仕様で規定された物理層シグナリングにより、WLANのリソース割り当て要求(SR:Scheduling Request)をMeNB200Mに送信してもよい。
(基地局)
以下において、第1実施形態に係るeNB200(基地局)について説明する。図11は、eNB200のブロック図である。図11に示すように、eNB200は、LTE通信部210、WLAN通信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。但し、Non−collocatedシナリオにおいて、eNB200は、WLAN通信部220を備えていなくてもよい。
LTE通信部210は、制御部230の制御下でLTE通信を行う。LTE通信部210は、LTEプロトコルの一部を実行してもよい。LTE通信部210は、アンテナ、送信機、及び受信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)をLTE無線信号に変換してアンテナから送信する。受信機は、アンテナが受信するLTE無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
WLAN通信部220は、制御部230の制御下でWLAN通信を行う。WLAN通信部220は、WLANプロトコルの一部を実行してもよい。WLAN通信部220は、アンテナ、送信機、及び受信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)をWLAN無線信号に変換してアンテナから送信する。受信機は、アンテナが受信するWLAN無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
制御部230は、eNB200における各種の制御を行う。制御部230は、LTEプロトコルの一部を実行してもよいし、WLANプロトコルの一部を実行してもよい。制御部230は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に使用される情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行うベースバンドプロセッサと、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含んでもよい。プロセッサは、後述する各種の処理及び上述した各種の通信プロトコルを実行してもよい。
バックホール通信部240は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。バックホール通信部240は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信等に使用される。Non−collocatedシナリオにおいて、バックホール通信部240は、XWインターフェイスを介してWLANノード500と接続される。
このように構成されたeNB200は、LTE通信及びWLAN通信を同時に使用したLTE・WLANアグリゲーション通信が可能である。例えば、eNB200は、上述した各設置シナリオ(各Collocatedシナリオ及び各Non−collocatedシナリオ)において、LTE・WLANアグリゲーション通信を行う。第1実施形態において、eNB200が「Dual Connectivity」におけるMeNB200Mである場合を想定する。
eNB200(MeNB200M)において、LTE通信部210は、UE100とのLTE・WLANアグリゲーション通信の実行中に、WLAN通信のチャネル状態を示すWLAN測定情報をUE100から受信する。第1実施形態において、LTE通信部210は、LTE・WLANアグリゲーション通信の実行中にWLAN測定情報を受信する受信部に相当する。
第1実施形態において、制御部230は、WLAN測定情報に基づいて、UE100におけるLTE・WLANアグリゲーション通信の設定(configuration)の解放(release)、変更(modify)、及び使用停止(deactivate)のうち少なくとも1つを制御する。
例えば、制御部230は、WLAN通信の状態が悪化したと判断した場合に、WLAN通信の設定を解放又は使用停止するよう制御してもよい。或いは、制御部230は、WLAN通信が適用されていたベアラをLTE通信に変更するよう制御してもよい。また、制御部230は、WLANノード500を通過するよう2つに分割(スプリット)していたベアラについてベアラ分割を中止するよう制御してもよい。
制御部230は、LTE通信部210を介して、WLAN通信の設定解放、変更、又は使用停止を指示する制御信号(例えば、「RRC Connection Reconfiguration」メッセージ)をUE100に送信する。
(動作シーケンスの一例)
以下において、第1実施形態に係る動作シーケンスの一例について説明する。図12は、第1実施形態に係る動作シーケンスの一例を示すシーケンス図である。ここでは、上述したNon−collocatedシナリオ2又は3を想定する。
図12に示すように、ステップS101において、MeNB200Mは、LTE通信により下りデータをUE100に送信する。また、ステップS102において、MeNB200Mは、UE100宛ての下りデータをバックホール通信によりSeNB200Sに転送する。
ステップS103A又はS103Bにおいて、MeNB200M又はSeNB200Sは、UE100宛ての下りデータをバックホール通信によりWLANノード500に転送する。ステップS104において、WLANノード500は、下りデータをWLAN通信によりUE100に送信する。
ステップS105において、SeNB200Sは、下りデータをLTE通信によりUE100に送信する。
このように、「Dual Connectivity」を伴うLTE・WLANアグリゲーション通信により、UE100には、MeNB200M、SeNB200S、及びWLANノード500のそれぞれから下りリンク無線リソースが割り当てられて、データを受信する。これにより、高速・大容量の通信が可能である。
ステップS106において、UE100は、WLAN測定を行う。そして、ステップS107において、UE100は、WLAN測定情報をMeNB200Mに送信する。
ステップS108において、MeNB200Mは、WLAN測定情報に基づいて、UE100におけるLTE・WLANアグリゲーション通信の設定(configuration)の解放(release)、変更(modify)、及び使用停止(deactivate)のうち少なくとも1つを行うか否かを判断する。これらのうち何れかを行うと判断した場合、ステップS109において、MeNB200Mは、UE100に制御信号を送信する。
このように、第1実施形態によれば、LTE・WLANアグリゲーション通信中において、UE100のWLAN通信の状態に応じてLTE・WLANアグリゲーションの設定を適切に制御することが可能となる。
[第1実施形態の変更例]
第1実施形態において、WLAN測定情報が物理層シグナリングにより送信される一例を説明した。しかしながら、WLAN測定情報は、RRCシグナリングにより送信されてもよい。例えば、UE100は、WLAN測定情報を「Measurement Report」に含めてMeNB200Mに送信する。
[第2実施形態]
第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
(無線端末)
第2実施形態に係るUE100は、WLAN測定情報の送信先(特定のeNB200)をMeNB200Mに固定するのではなく、ベアラ分割を行うeNB200に対してWLAN測定情報を送信する。
ベアラ分割を行うeNB200とは、UE100の1つのベアラをLTE通信用の第1のベアラ(第1の分割ベアラ)及びWLAN通信用の第2のベアラ(第2の分割ベアラ)に分割するとともに、第1の分割ベアラと第2の分割ベアラとの間のデータ割り振りを行うeNB200である。
例えば、Non−collocatedシナリオ3(図9参照)において、SeNB200SのPDCP層#3は、ベアラ#3の第1の分割ベアラ(LTE通信用)と第2の分割ベアラ(WLAN通信用)との間のデータ割り振りを行う。UE100は、MeNB200Mではなく、SeNB200Sに対してWLAN測定情報を送信する。UE100は、SeNB200SのSCGのうちプライマリ・セカンダリセル(PSCell)に対してWLAN測定情報を送信することが好ましい。
但し、上述したようなLTE・WLAN間のデータ割り振りをMeNB200MのPDCP層で行う場合には、UE100は、第1実施形態と同様に、MeNB200Mに対してWLAN測定情報を送信する。
なお、UE100は、MeNB200MからのRRCシグナリングにより、SCGのベアラであるか又はMCGのベアラであるかを設定されている。よって、UE100は、SCGのベアラとして設定されていた「PDCP PDU」をWLAN経由で受信した場合に、SeNB200SのPDCP層で分割されていたと判断することができる。或いは、UE100は、MeNB200MからのRRCシグナリングにより、WLAN測定情報の送信先(フィードバック先)のeNB又はセルを設定されてもよい。
(基地局)
第2実施形態に係るeNB200は、UE100の1つのベアラをLTE通信用の第1のベアラ(第1の分割ベアラ)及びWLAN通信用の第2のベアラ(第2の分割ベアラ)に分割するとともに、第1の分割ベアラと第2の分割ベアラとの間のデータ割り振りを行う。eNB200は、UE100からWLAN測定情報を受信する。
第2実施形態において、eNB200は、WLAN測定情報に基づいて、第1の分割ベアラと第2の分割ベアラとの間のデータ割り振りを行う。すなわち、eNB200は、WLAN測定情報に基づいて、LTE・WLAN間のデータ送信比率を変更する。或いは、eNB200は、LTE通信用のバッファとWLAN通信用のバッファとが別々である場合に、各バッファのサイズや各バッファの状況に応じて、LTE・WLAN間のデータ送信比率を変更してもよい。
例えば、eNB200は、UE100におけるWLAN通信の状態の悪化に応じて、WLAN送信比率を低下させ、LTE送信比率を上昇させるように、データ送信比率を変更する。これに対し、eNB200は、UE100におけるWLAN通信の状態の良化に応じて、WLAN送信比率を上昇させ、LTE送信比率を低下させるように、データ送信比率を変更する。
(動作シーケンスの一例)
以下において、第2実施形態に係る動作シーケンスの一例について説明する。図13は、第2実施形態に係る動作シーケンスの一例を示すシーケンス図である。ここでは、上述したNon−collocatedシナリオ3を想定する。
図13に示すように、ステップS201において、MeNB200Mは、LTE通信により下りデータをUE100に送信する。また、ステップS202において、MeNB200Mは、UE100宛ての下りデータをバックホール通信によりSeNB200Sに転送する。
ステップS203において、SeNB200Sは、自身のPDCP層においてLTE送信向けに割り振った下りデータをLTE通信によりUE100に送信する。ステップS204において、SeNB200Sは、自身のPDCP層においてWLAN送信向けに割り振った下りデータをバックホール通信によりWLANノード500に転送する。ステップS205において、WLANノード500は、SeNB200Sから転送された下りデータをWLAN通信によりUE100に送信する。
ステップS206において、UE100は、WLAN測定を行う。そして、ステップS207において、UE100は、WLAN測定情報をSeNB200Sに送信する。
ステップS208において、SeNB200Sは、WLAN測定情報に基づいて、LTE・WLAN間のデータ送信比率を変更するように、分割ベアラ間のデータ割り振りを行う。
このように、第2実施形態によれば、LTE・WLANアグリゲーション通信中において、UE100のWLAN通信の状態に応じてLTE・WLAN間のデータ送信比率を適切に制御することが可能となる。
[第3実施形態]
第3実施形態について、第1実施形態及び第2実施形態との相違点を主として説明する。第3実施形態は、Collocatedシナリオを想定した実施形態である。
上述した第1実施形態及び第2実施形態において、UE100がLTE通信によりWLAN測定情報をeNB200に送信していた。しかしながら、WLAN機能(WLAN通信部220)を有するeNB200は、自身のWLAN機能を利用してWLAN測定情報を取得し得る。
(基地局)
第3実施形態に係るeNB200において、WLAN通信部220は、LTE・WLANアグリゲーション通信の実行中に、WLAN通信のチャネル状態を示すWLAN測定情報を取得する。
WLAN通信にはTDD方式が適用されることが一般的であり、上り・下りのチャネル可逆性を有する。すなわち、上りのチャネル状態から下りのチャネル状態を推定可能である。よって、WLAN通信部220は、WLAN受信電力又は受信品質を測定することにより、WLAN測定情報を得る。
或いは、WLAN通信にCSIフィードバックの仕組みが導入されている場合、UE100は、WLAN規格で規定されたCSI値に代えて、又はWLAN規格で規定されたCSI値に加えて、LTE規格で規定されたWLAN測定情報をフィードバックしてもよい。WLAN通信部220は、UE100からWLAN測定情報を受信する。或いは、制御部230は、WLAN規格で規定されたCSI値を、LTE規格で規定されたWLAN測定情報に変換してもよい。
制御部230は、WLAN通信部220により取得されたWLAN測定情報に基づいて、LTE・WLANアグリゲーション通信を制御する。例えば、制御部230は、第1実施形態と同様に、WLAN測定情報に基づいて、UE100におけるLTE・WLANアグリゲーション通信の設定の解放、変更、及び使用停止のうち少なくとも1つを制御する。或いは、制御部230は、第2実施形態と同様に、WLAN測定情報に基づいて第1の分割ベアラと第2の分割ベアラとの間のデータ割り振りを行う。
(動作フローの一例)
図14は、第3実施形態に係るeNB200の動作フローの一例を示すフロー図である。
図14に示すように、ステップS301において、eNB200は、UE100とのLTE・WLANアグリゲーションを開始する。例えば、「UE100とのLTE・WLANアグリゲーションを開始」とは、UE100に対しWLANをサービングセルとして追加するようにRRCで設定することを指す。設定した段階ではWLAN使用停止(deactivate)状態であってもよい。
ステップS302において、eNB200は、WLAN通信のチャネル状態を示すWLAN測定情報をWLAN通信部220により取得する。
ステップS303において、eNB200は、WLAN通信部220により取得されたWLAN測定情報に基づいて、LTE・WLANアグリゲーション通信を制御する。
ステップS304において、eNB200は、LTE・WLANアグリゲーション通信を終了するか否かを判断する。LTE・WLANアグリゲーション通信を継続する場合(ステップS304:No)、処理がステップS302に戻る。LTE・WLANアグリゲーション通信を終了する場合(ステップS304:Yes)、本フローを終了する。
[第4実施形態]
第4実施形態について、第1実施形態乃至第3実施形態との相違点を主として説明する。第4実施形態の基本的な考え方は、第3実施形態と同様である。但し、第4実施形態は、Non−collocatedシナリオを想定した実施形態である。
(基地局)
第4実施形態に係るeNB200の制御部230は、LTE・WLANアグリゲーション通信の実行中に、WLAN通信のチャネル状態を示すWLAN測定情報をWLANノード500から取得する。WLANノード500におけるWLAN測定情報の取得方法は、第3実施形態と同様である。
制御部230は、XWインターフェイスを介してWLANノード500からWLAN測定情報を取得する。制御部230は、XWインターフェイスを介して、WLAN測定情報の送信要求をWLANノード500に送信してもよい。
なお、XWインターフェイスは、例えばWT(Wireless LAN Termination)で終端される。WTとは、XWインターフェイスのWLAN側の終端ポイントである。WTは、WLAN測定情報を取得し、eNB200に送信する。XWインターフェイスは、Non−collocatedシナリオにおけるWLANノード500との通信用に設定されてもよく、既存のeNB間通信インターフェース(X2インターフェース)を用いてもよい。
また、制御部230は、WLAN測定情報に基づいて、LTE・WLANアグリゲーション通信を制御する。
第4実施形態において、制御部は、WLAN測定情報に基づいて、UE100におけるLTE・WLANアグリゲーション通信の設定の解放、変更、及び使用停止のうち少なくとも1つを制御する。例えば、制御部230は、第1実施形態と同様に、WLAN測定情報に基づいて、UE100におけるLTE・WLANアグリゲーション通信の設定の解放、変更、及び使用停止のうち少なくとも1つを制御する。或いは、制御部230は、第2実施形態と同様に、WLAN測定情報に基づいて第1の分割ベアラと第2の分割ベアラとの間のデータ割り振りを行う。
(動作フローの一例)
図15は、第4実施形態に係るeNB200の動作フローの一例を示すフロー図である。
図15に示すように、ステップS401において、eNB200は、UE100とのLTE・WLANアグリゲーションを開始する。例えば、「UE100とのLTE・WLANアグリゲーションを開始」とは、UE100に対しWLANをサービングセルとして追加するようにRRCで設定することを指す。設定した段階ではWLAN使用停止(deactivate)状態であってもよい。
ステップS402において、eNB200は、WLAN通信のチャネル状態を示すWLAN測定情報をWLANノード500から取得する。
ステップS403において、eNB200は、WLANノード500から取得したWLAN測定情報に基づいて、LTE・WLANアグリゲーション通信を制御する。
ステップS404において、eNB200は、LTE・WLANアグリゲーション通信を終了するか否かを判断する。LTE・WLANアグリゲーション通信を継続する場合(ステップS404:No)、処理がステップS402に戻る。LTE・WLANアグリゲーション通信を終了する場合(ステップS404:Yes)、本フローを終了する。
[第5実施形態]
第5実施形態について、第1実施形態乃至第4実施形態との相違点を主として説明する。第1実施形態乃至第4実施形態は主として下りリンクに関する実施形態であった。これに対し、第5実施形態は、主として上りリンクに関する実施形態である。
第5実施形態においては、SeNB200SのSCG(LTE通信)とWLAN通信との2つの経路を介して、UE100からSeNB200SのPDCP層に上りデータを送信する場合を主として想定する。SeNB200SはRRCを有していないため、上りデータ経路(データパス)の設定をRRCシグナリングにより行うことが困難である。
(無線端末)
第5実施形態に係るUE100は、LTE通信及びWLAN通信を同時に使用したLTE・WLANアグリゲーション通信が可能なUE100である。UE100において、制御部130は、上りデータ送信にLTE通信を適用する第1のベアラ及び上りデータ送信にWLAN通信を適用する第2のベアラを選択する。LTE通信部110は第1のベアラの上りデータをLTE通信により送信し、WLAN通信部120は第2のベアラの上りデータをWLAN通信により送信する。第5実施形態において、LTE通信部110及びWLAN通信部120は送信部を構成する。
第5実施形態において、LTE通信部110は、UE100のベアラについてLTE通信を適用するか又はWLAN通信を適用するかを示す制御情報を、特定のeNB200から受信する。第5実施形態において、LTE通信部110は、制御情報を受信する受信部に相当する。制御部130は、受信した制御情報に従って、第1のベアラ及び第2のベアラを選択する。
第5実施形態において、制御情報を送信する特定のeNB200は、SeNB200Sである。具体的には、制御情報を送信する特定のeNB200は、PDCP層でのベアラ分割(上りリンクの場合、ベアラ結合)を行うSeNB200Sである。当該SeNB200Sは、WLAN機能を有していてもよいし(Collocated)、WLANノード500と接続されていてもよい(Non−collocated)。PDCP層でのベアラ分割・結合においては、上述した実施形態に係るLTE・WLAN間のデータ比率決定方法が使用される。但し、制御情報を送信する特定のeNB200は、MeNB200Mであってもよい。当該MeNB200Mは、PDCP層でのベアラ分割・結合を行ってもよい。
UE100のLTE通信部110は、PDCP層シグナリングにより、制御情報を特定のeNB200から受信する。図16は、第5実施形態に係る制御情報の一例を示す図である。当該制御情報は、UE100のベアラごとに送受信される。
図16(A)に示すように、PDCPパケット(PDCP PDU)は、当該PDUがデータPDCであるか制御PDUであるかを示す1ビットの「D/C」フィールドと、当該PDUのタイプを示す3ビットの「PDU Type」フィールドと、上りリンクのデータパスを示す「p」フィールドと、を有する。図16(B)に示すように、「PDU Type」フィールドは、3ビットの情報により、当該PDUのタイプを示す。
第5実施形態に係るPDCP PDUにおいて、「D/C」フィールドには、当該PDUが制御PDUであることを示す値が設定される。また、「PDU Type」フィールドには、「UL data path」を示す「010」が設定される。「p」フィールドには、LTE(MCG/SCG)を示す「0」又はWLANを示す「1」の何れか一方が設定される。
このようなPDCP PDUを使用することにより、例えば、UE100のベアラ#1については上りデータをSeNB200SのSCG(LTE通信)により送信させて、UE100のベアラ#2については上りデータをWLAN通信により送信させるといった制御が可能となる。
(動作フローの一例)
図17は、第5実施形態に係るUE100の動作フローの一例を示すフロー図である。
図17に示すように、ステップS501において、UE100は、LTE・WLANアグリゲーションを開始する。例えば、「UE100とのLTE・WLANアグリゲーションを開始」とは、UE100に対しWLANをサービングセルとして追加するようにRRCで設定することを指す。設定した段階ではWLAN使用停止(deactivate)状態であってもよい。
「UL data path」を示す制御PDU(PDCP制御情報)をUE100がSeNB200Sから受信した場合(ステップS502:Yes)、ステップS503において、UE100は、当該制御PDUに含まれる「p」フィールドに従って、対応するベアラに対してLTE通信又はWLAN通信を選択する。
ステップS504において、UE100は、LTE通信を選択したベアラ(第1のベアラ)の上りデータをLTE通信により送信し、WLAN通信を選択したベアラ(第2のベアラ)の上りデータをWLAN通信により送信する。
ステップS505において、UE100は、LTE・WLANアグリゲーション通信を終了するか否かを判断する。LTE・WLANアグリゲーション通信を継続する場合(ステップS505:No)、処理がステップS502に戻る。LTE・WLANアグリゲーション通信を終了する場合(ステップS505:Yes)、本フローを終了する。
[第5実施形態の変更例]
上述した第5実施形態において、UE100は、eNB200(SeNB200S)からの制御PDU(PDCP制御情報)に従ってベアラごとにLTE通信/WLAN通信を選択していた。しかしながら、UE100は、eNB200からの制御情報に基づくことなく、ベアラごとにLTE通信/WLAN通信を自律的に選択してもよい。例えば、第1実施形態で説明したように、UE100において得られたWLAN測定情報に基づいて、ベアラごとにLTE通信/WLAN通信を選択してもよい。
[第6実施形態]
第6実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。第6実施形態は、Collocatedシナリオ2(図6参照)に着目した実施形態である。
(基地局)
図6に示すように、第6実施形態に係るSeNB200Sは、UE100のベアラ#2がMeNB200M(他のeNB200)により2つのベアラに分割されており、当該2つのベアラのうち一方のベアラ(分割ベアラ)を介してMeNB200Mから下りデータが転送される。
SeNB200Sの制御部230は、一方の分割ベアラを介してMeNB200Mから転送された下りデータの中から、LTE通信によりUE100に送信する第1の下りデータ(LTE送信データ)及びWLAN通信によりUE100に送信する第2の下りデータ(WLAN送信データ)を選択する。SeNB200SのLTE通信部210は、第1の下りデータをLTE通信によりUE100に送信する。SeNB200SのWLAN通信部220は、第2の下りデータをWLAN通信によりUE100に送信する。
第6実施形態において、SeNB200Sの制御部230は、MeNB200Mからの制御情報に基づくことなく、例えばWLAN通信のチャネル状態に基づいて、第1の下りデータ(LTE送信データ)と第2の下りデータ(WLAN送信データ)とを自律的に選択する。WLAN通信のチャネル状態を把握する方法については、上述した実施形態と同様である。
このように、SeNB200Sは、MeNB200Mから転送された下りデータを自律的にLTE送信データとWLAN送信データとに割り振る。よって、MeNB200Mは、UE100宛ての下りデータをSeNB200Sに転送するだけでよく、LTE送信データとWLAN送信データとの割り振りをSeNB200Sに委ねることができる。SeNB200Sは、自身のWLAN通信及びLTE通信の状態等に応じて、LTE送信データとWLAN送信データとの割り振りを行うことができる。
但し、MeNB200MからSeNB200Sに転送する下りデータの量については、MeNB200Mにおいて調整が必要である。よって、SeNB200Sの制御部230は、LTE送信データのバッファ蓄積量とWLAN送信データのバッファ蓄積量との合計(すなわち、総バッファ蓄積量)をMeNB200Mに通知する。総バッファ蓄積量は、UE100についての総バッファ蓄積量であってもよいし、eNB200全体の総バッファ蓄積量であってもよい。また、総バッファ蓄積量は、特定のE−RABについての総バッファ蓄積量であってもよい。さらに、総バッファ蓄積量は、バッファ量そのものではなく、バッファ量に応じて算出される、希望バッファサイズ(Desired Buffer Size)でもよい。
(動作シーケンスの一例)
以下において、第6実施形態に係る動作シーケンスの一例について説明する。図18は、第6実施形態に係る動作シーケンスの一例を示すシーケンス図である。
図18に示すように、ステップS601において、SeNB200Sは、総バッファ蓄積量を示すバッファ通知をMeNB200Mに送信する。
ステップS602において、MeNB200Mは、下りデータをUE100に送信する。
ステップS603において、MeNB200Mは、SeNB200Sから受信したバッファ通知に基づいて、UE100宛ての下りデータをSeNB200Sに転送する。
ステップS604において、SeNB200Sは、自身のWLAN通信及びLTE通信の状態等に応じて、LTE送信データとWLAN送信データとの割り振りを行う。
ステップS605及びS606において、SeNB200Sは、LTE通信及びWLAN通信により、下りデータをUE100に送信する。
ステップS607において、SeNB200Sは、総バッファ蓄積量を示すバッファ通知をMeNB200Mに送信する。以降の動作は、ステップS602乃至ステップS606と同様である。
[第6実施形態の変更例1]
第6実施形態の変更例1において、LTE送信データとWLAN送信データとの割り振りを、SeNB200Sの代わりにMeNB200Mが行う。具体的には、SeNB200Sの制御部230は、MeNB200Mからの制御情報に基づいて、第1の下りデータ(LTE送信データ)と第2の下りデータ(WLAN送信データ)とを選択する。また、SeNB200Sの制御部230は、LTE送信データのバッファ蓄積量とWLAN送信データのバッファ蓄積量とを個別にMeNB200Mに通知する。
図19は、第6実施形態の変更例1に係る動作シーケンスの一例を示すシーケンス図である。
図19に示すように、ステップS651において、SeNB200Sは、LTE送信データのバッファ蓄積量とWLAN送信データのバッファ蓄積量とを個別に示すバッファ通知をMeNB200Mに送信する。
ステップS652において、MeNB200Mは、LTE送信データのバッファ蓄積量とWLAN送信データのバッファ蓄積量とに基づいて、SeNB200SにおけるLTE送信データとWLAN送信データとの割り振りを行う。
ステップS653において、MeNB200Mは、下りデータをUE100に送信する。
ステップS654において、MeNB200Mは、ステップS652で振り分けたLTE送信データ及びWLAN送信データをSeNB200Sに転送する。例えば、MeNB200Mは、各下りデータ(PDCP PDU)に、LTE送信データ又はWLAN送信データを示すLTE/WLAN識別子を付与する。或いは、MeNB200Mは、LTE送信データ及びWLAN送信データの比率を示す送信比率情報をSeNB200Sに通知してもよい。
ステップS655及びS656において、SeNB200Sは、MeNB200Mからの制御情報(LTE/WLAN識別子又は送信比率情報)に基づいて、LTE通信及びWLAN通信により下りデータをUE100に送信する。
ステップS657において、SeNB200Sは、LTE送信データのバッファ蓄積量とWLAN送信データのバッファ蓄積量とを個別に示すバッファ通知をMeNB200Mに送信する。以降の動作は、ステップS652乃至ステップS656と同様である。
[第6実施形態の変更例2]
第6実施形態の変更例2において、SeNB200Sの制御部230は、WLAN通信を停止又は再開した場合、MeNB200Mから自SeNB200Sに転送可能なデータ量に関する情報をMeNB200Mに通知する。
SeNB200Sの制御部230は、WLAN通信の停止(deactivate)又は再開(activate)を、MAC層シグナリングであるMAC制御要素(MAC CE)によりUE100に通知してもよい。或いは、SeNB200Sの制御部230は、WLAN通信の停止(deactivate)又は再開(activate)を、PDCPの制御PDUによりUE100に通知してもよい。
自SeNB200Sに転送可能なデータ量に関する情報とは、SeNB200Sの送信バッファに関する情報である。SeNB200Sの制御部230は、LTE送信データのバッファ蓄積量とWLAN送信データのバッファ蓄積量とを個別に示すバッファ通知をMeNB200Mに送信してもよい。或いは、総バッファ蓄積量を示すバッファ通知をMeNB200Mに送信してもよい。
MeNB200Mは、SeNB200Sからのバッファ通知に基づいて、SeNB200Sを解放する処理を行う。すなわち、「Dual Connectivity」を終了する。MeNB200Mは、SeNB200Sに解放要求を送信するとともに、SeNB200Sを解放する旨の制御信号(「RRC Connection Reconfiguration」メッセージ)をUE100に送信する。或いは、MeNB200Mは、SeNB200Sへのデータ転送を中止するように、ベアラの分割を終了してもよい。
[第7実施形態]
第7実施形態について、第1実施形態乃至第6実施形態との相違点を主として説明する。第7実施形態は、Non−collocatedシナリオ2(図8参照)に着目した実施形態である。
図8に示すように、第7実施形態に係るMeNB200Mは、SeNB200S(他のeNB200)との直接的なインターフェイスであるX2−Uインターフェイスを有するとともに、WLANノード500との直接的なインターフェイスであるXWインターフェイスを有する。
MeNB200Mは、UE100の第1のベアラ(ベアラ#1)及び第2のベアラ(ベアラ#2)のそれぞれを2つに分割し、ベアラ#1の一方の分割ベアラを介してSeNB200Sに下りデータを転送し、ベアラ#2の一方の分割ベアラを介してWLANノード500に下りデータを転送するデータ転送部(PDCP層#1及び#2)を備える。また、MeNB200Mは、ベアラ#1の他方の分割ベアラを介してUE100に下りデータを送信し、ベアラ#2の他方の分割ベアラを介してUE100に下りデータを送信するデータ送信部(RLC層#1及び#2、MAC層#1)を備える。
このような構成によれば、MeNB200Mは、自身からUE100に送信を行うだけではなく、SeNB200S及びWLANノード500の両方を活用して下りデータをUE100に送信することができるため、UE100に対して高速・大容量の通信を提供することができる。
[第8実施形態]
第8実施形態について、第1実施形態乃至第7実施形態との相違点を主として説明する。
図20は、第8実施形態の動作概要を説明するための図である。第8実施形態は、図20(A)に示す分割ベアラ構成から、図20(B)に示す分割ベアラ構成に変更する動作に関する実施形態である。
図20(A)に示すように、MeNB200Mにおいて、ベアラ#1がPDCP層により2つに分割(スプリット)されている。ベアラ#1の一方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#1及びMAC層#1の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。ベアラ#1の他方の分割ベアラは、SeNB200Sを介して確立される。SeNB200Sにおいて、ベアラ#1の他方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#2及びMAC層#2により処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。
このように、第8実施形態に係るMeNB200Mは、SeNB200Sとの直接的なインターフェイス(X2−Uインターフェイス)を有するとともに、WLANノード500との直接的なインターフェイス(XWインターフェイス)を有する。MeNB200Mは、UE100の1つのベアラ(ベアラ#1)を2つに分割し、ベアラ#1の一方の分割ベアラを介してSeNB200Sに下りデータを転送するデータ転送部(PDCP層)と、ベアラ#1の他方の分割ベアラを介してUE100に下りデータを送信するデータ送信部(RLC層#1及びMAC層#1)とを備える。
MeNB200Mの制御部230は、ベアラ#1の新たな分割ベアラをWLANノード500と構築し、SeNB200Sを経由する分割ベアラを解放する。データ転送部(PDCP層)は、SeNB200Sへのデータ転送を停止し、新たな分割ベアラを介してWLANノード500に下りデータを転送する。その結果、図20(B)に示すように、ベアラ#1の新たな分割ベアラは、WLANノード500を介して確立される。WLANノード500において、ベアラ#1の他方の分割ベアラの下りデータは、WLAN MAC層により処理され、図示を省略するWLAN物理層を介してUE100に送信される。
図21は、第8実施形態に係る動作シーケンスの一例を示す図である。
図21に示すように、ステップS701及びS702において、MeNB200Mは、ベアラ変更要求をWLANノード500及びSeNB200Sに送信する。具体的には、MeNB200Mは、新たな分割ベアラの構築をWLANノード500に要求し、分割ベアラの解放をSeNB200Sに要求する。或いは、MeNB200MがSeNB200Sにのみベアラ変更要求を送信し、これに応じてSeNB200SがWLANノード500にベアラ変更要求を送信してもよい。この場合、MeNB200MがSeNB200Sに送信するベアラ変更要求に、WLANノード500のアドレス情報を含める。SeNB200Sは、当該アドレス情報に基づいて、WLANノード500にベアラ変更要求を送信する。
ステップS703において、WLANノード500は、新たな分割ベアラをMeNB200Mと構築する。
ステップS704において、MeNB200Mは、SeNB200Sへのデータ転送を停止する。また、ステップS705において、MeNB200Mは、SeNB200Sへ転送する最後のデータに転送終了通知(End Marker)を送信する。
ステップS706において、SeNB200Sは、UE100へのデータ送信を完了する。また、ステップS707において、SeNB200Sは、MeNB200Mとの分割ベアラを解放する。そして、SeNB200Sは、ベアラ解放をMeNB200Mに通知する(ステップS708)。
ステップS709において、MeNB200Mは、WLANノード500へのデータ転送を開始する。なお、ステップS709のタイミングは、一例としてS708の後と示したが、S704の後であれば、どのタイミングであっても構わない。
このように、第8実施形態によれば、分割ベアラの形態をシームレスに変更することができる。
[第9実施形態]
第9実施形態について、第1実施形態乃至第8実施形態との相違点を主として説明する。
(プロトコルアーキテクチャ)
第9実施形態においては、LTE・WLANアグリゲーション(WWAN・WLANアグリゲーション)について、Option 3C及びOption 2Cの計2つのプロトコルアーキテクチャを想定する。Option 3Cは、上述したNon−collocatedシナリオ1(図7参照)と同様のプロトコルアーキテクチャである。これに対し、Option 2Cは、上述したプロトコルアーキテクチャとは異なるものである。
(1)Option 3C
図22は、第9実施形態に係るOption 3C(第1の機能)を説明するための図である。
図22に示すように、eNB200は、LTEプロトコルのエンティティを有する。WLANノード500は、WLANプロトコルのエンティティを有する。ここでは、UE100とS−GW300との間に2つのベアラ#1,#2が確立されている場合を想定する。
eNB200において、ベアラ#1の下りデータは、PDCP層#1、RLC層#1、及びMAC層の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。ベアラ#2は、PDCP層#2により2つに分割されている。換言すると、PDCP層#2は、各PDCP PDUをLTE経路及びWLAN経路に割り振る(ルーティング)。ベアラ#2の一方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#2及びMAC層の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。
これに対し、ベアラ#2の他方の分割ベアラは、WLANノード500を介して確立される。WLANノード500において、ベアラ#2の他方の分割ベアラの下りデータは、WLAN MAC層により処理され、図示を省略するWLAN物理層を介してUE100に送信される。
UE100において、ベアラ#1の下りデータは、図示を省略するLTE物理層を介して受信され、MAC層、RLC層#1、PDCP層#1の各エンティティにより処理される。ベアラ#2の一方の分割ベアラ(LTE経路)の下りデータは、図示を省略するLTE物理層を介して受信され、MAC層、RLC層#2、PDCP層#2の各エンティティにより処理された後、上位レイヤに渡される。ベアラ#2の他方の分割ベアラ(WLAN経路)の下りデータは、図示を省略するWLAN物理層を介して受信され、WLAN MAC層により処理された後、PDCP層#2に渡される。LTE経路の下りデータ(PDCP PDU)及びWLAN経路の下りデータ(PDCP PDU)は、PDCP層#2において並べ替え処理(PDCPリオーダリング)が施された後、上位レイヤに渡される。
ここでは、下りリンクにおける動作について説明したが、上りリンクについては、下りリンクにおける動作と逆の動作を行う。すなわち、UE100のPDCP層#2がベアラ#2を2つに分割(ルーティング)し、eNB200のPDCP層#2がPDCPリオーダリングを行う。
(2)Option 2C
図23は、第9実施形態に係るOption 2C(第2の機能)を説明するための図である。ここでは、Option 3Cとの相違点について説明する。
図23に示すように、ベアラ#1についての動作は、Option 3Cと同様である。
eNB200において、ベアラ#2は、PDCP層#2により2つに分割されていない。PDCP層#2は、下りデータ(PDCP PDU)をWLANノード500に転送する。WLANノード500において、PDCP層#2から転送された下りデータは、WLAN MAC層により処理され、図示を省略するWLAN物理層を介してUE100に送信される。
UE100において、ベアラ#2の下りデータは、図示を省略するWLAN物理層を介して受信され、WLAN MAC層により処理された後、WLAN経路の下りデータ(PDCP PDU)は、PDCP層#2において処理された後、上位レイヤに渡される。
ここでは、下りリンクにおける動作について説明したが、上りリンクについては、下りリンクにおける動作と逆の動作を行う。
(3)Option 3C及びOption 2Cの比較
Option 3CはUE100及びeNB200の両方においてPDCPリオーダリングを必要とするが、Option 2CはPDCPリオーダリングを必要としない。このため、Option 3Cは、PDCPリオーダリングのための大容量のバッファを必要とする。また、XWインターフェイスの遅延時間に起因して、PDCPリオーダリングに時間を要する。Option 2Cは、PDCPリオーダリングに係る問題が発生しない。
また、Option 2Cは、Option 3Cにおける特殊なケースであるとみなすこともできる。具体的には、Option 3Cにおいて、LTE経路とWLAN経路との間のデータ比率(LTE経路:WLAN経路)を0:100に設定することにより、Option 2Cと同様の結果になる。しかしながら、Option 2Cは大容量のリオーダリングバッファを必要としないため、UE100に要求される性能をOption 2CとOption 3Cとで分けることが好ましい。
(第9実施形態に係る動作)
第9実施形態においては、Option 3C及びOption 2Cを併存させつつ、Option 3C及びOption 2Cを個別に取り扱い可能とする。これにより、Option 3C及びOption 2Cのそれぞれのメリットを活かすことができる。また、UE100に要求される性能をOption 2CとOption 3Cとで分けることができる。
上述したように、Option 3C(第1の機能)は、LTE通信のPDCP層においてUE100のベアラを分割するとともに該ベアラの無線通信にLTE通信及びWLAN通信を使用するものである。Option 2C(第2の機能)は、PDCP層を経由するベアラを分割せずに該ベアラの無線通信にWLAN通信のみを使用するものである。
第9実施形態において、Option 2Cが設定されるベアラには、送達確認モード(AM:Acknowledged Mode)及び非達確認モード(UM:Unacknowledged Mode)が許容される。これに対し、Option 3Cが設定されるベアラには、AMモードのみが許容される。Option 3Cは、PDCPリオーダリングに時間を要するため、ストリーミング系のデータ(すなわち、UMモードに適したデータ)に適用するべきではないからである。Option 2Cは、PDCPリオーダリングを行わないため、AMモードだけではなくUMモードも許容されるべきである。但し、Option 2Cの場合においても、Non−Collocatedシナリオについては、XWインターフェイスを経由する際の遅延が生じるため、UMを設定すべきではないとも考えられる。このため、Option 2Cの場合においても、XWインターフェイスを介するかどうかに応じて、UMを設定可能であるかどうかをeNB200が判断してもよい。
(1)能力情報の取得動作
図24は、第9実施形態に係る能力情報の取得動作を説明するための図である。
図24に示すように、UE100の制御部130は、自身が有する機能(すなわち、自身がサポートする機能)を示す能力情報(UE−EUTRA−Capability)をeNB200に通知する。「UE−EUTRA−Capability」は、RRCメッセージの一種である。
UE100の制御部130は、Option 3C(第1の機能)の能力情報とは別の情報として、Option 2C(第2の機能)の能力情報を通知する。換言すると、「UE−EUTRA−Capability」は、「Option 3Cの機能を有すること」及び「Option 2Cの機能を有すること」を別々に示すことができるように構成されている。
eNB200の制御部230は、「UE−EUTRA−Capability」をUE100から取得する。なお、UE100がアタッチ状態である間は、「UE−EUTRA−Capability」はMME300において保持される。このため、eNB200の制御部230は、「UE−EUTRA−Capability」をUE100から取得することに代えて、「UE−EUTRA−Capability」をMME300から取得してもよい。
このように、第9実施形態に係る能力情報の取得動作によれば、eNB200は、UE100がOption 3Cの機能及び/又はOption 2Cの機能を有することを把握することができる。
(2)RRC設定動作
図25は、第9実施形態に係るRRC(再)設定動作を説明するための図である。
図25(A)に示すように、eNB200の制御部230は、Option 3C及びOption 2Cの両方をサポートするUE100に対して、Option 3Cが設定されたベアラ及びOption 2Cが設定されたベアラの両方を設定可能である。例えば、Option 3C及びOption 2Cのそれぞれの設定情報(configuration)を含む個別RRCメッセージをeNB200からUE100に送信する。UE100の制御部130は、当該個別RRCメッセージを受信する処理を行う。個別RRCメッセージは、例えば「RRC Connection Reconfiguration」メッセージである。
このように、1つのUE100に対して、Option 3C及びOption 2Cの同時設定が行われる。これにより、UE100は、Option 3Cが設定されたAMモードのベアラ及びOption 2Cが設定されたUMモードのベアラを同時に使用することができる。
また、第9実施形態において、Option 3CとOption 2Cとの間でベアラの設定を変更可能とする。図25(B)に示すように、eNB200の制御部230は、Option 3C及びOption 2Cの両方をサポートするUE100に対して、Option 3CとOption 2Cとの間でベアラの設定を変更するための変更情報(Bearer Type Change)を送信する処理を行う。例えば、Option 3CからOption 2Cへの変更を指示する情報、又はOption 2CからOption 3Cへの変更を指示する情報を含む個別RRCメッセージをeNB200からUE100に送信する。UE100の制御部130は、当該個別RRCメッセージを受信する処理を行う。個別RRCメッセージは、例えば「RRC Connection Reconfiguration」メッセージである。これにより、1つのベアラにOption 3C適用するか又はOption 2C適用するかを切り替えることができる。
但し、ベアラの設定をOption 2CからOption 3Cに変更する場合において、eNB200の制御部230は、Option 3Cのための設定情報を変更情報(Bearer Type Change)と共に送信する処理を行う。例えば、Option 3Cのための設定情報を個別RRCメッセージ(「RRC Connection Reconfiguration」メッセージ)に含める。ここで、Option 3Cのための設定情報とは、UE100のPDCP層(PDCP層#2)に設定するリオーダリングタイマ値である。或いは、Option 3Cのための設定情報とは、UE100の物理層/MAC層/RLC層(RLC層#2)に設定するパラメータ値である。
また、Option 3CとOption 2Cとの間でベアラの設定を変更する場合において、以下の1)乃至3)のような動作を行ってもよい。
1)PDCP SN(Sequence Number)値及びセキュリティキーは、そのまま保持される。これにより、特にOption 2CからOption 3Cへの変更を行う場合において、既にWLAN側に転送済みのデータ(PDCP PDU)を有効に活用する(つまり、PDCPリオーダリングを行う)ことができる。また、特にOption 3CからOption 2Cへの変更を行う場合において、LTE側で送信完了していないPDCP PDUをそのままWLAN側に転送し、PDCPリオーダリングを行うことができる。
2)上記の1)における、特にOption 3CからOption 2Cへの変更の為に、受信側のPDCPは、一時的にリオーダリング機能を適用する。例えば、データが一旦順序通りに並んで受信されたら終了する、又はあるタイマ値が設定されてこれが満了したら終了する。
3)これらに伴い、上位レイヤへの未送信データ(PDCP PDU又はSDU)は保持される。
[第10実施形態]
第10実施形態について、第1実施形態乃至第9実施形態との相違点を主として説明する。
(第10実施形態の概要)
上述したように、Collocatedシナリオにおいて、eNB200に設けられたWLAN通信エンティティは、当該eNB200に設けられたPDCP層から転送された下りデータ(PDCP PDU)を受け取り、当該下りデータをWLAN通信によりUE100に送信する。ここで、「WLAN通信エンティティ」は、WLAN MAC層からなるエンティティである。但し、「WLAN通信エンティティ」は、WLAN LLC(Logical Link Control)層のエンティティを含んでもよい。また、Non−collocatedシナリオにおいて、WLANノード500に設けられたWLAN通信エンティティは、eNB200に設けられたPDCP層から転送された下りデータ(PDCP PDU)を受け取り、当該下りデータをWLAN通信によりUE100に送信する。
上りリンクについては、UE100に設けられたWLAN通信エンティティは、当該UE100に設けられたPDCP層から転送された上りデータ(PDCP PDU)を受け取り、当該上りデータをWLAN通信によりeNB200又はWLANノード500に送信する。
一方で、LTEの仕様上、PDCP層が下位層(RLC層)に期待する機能として以下の1乃至4の機能を規定している。
1.確認型データ転送サービス。PDCP PDUの配送成功の通知(Successful delivery indication)を含む。
2.非確認型データ転送サービス。
3.順序配送(in−sequence delivery)。下位層の再確立時を除く。
4.二重データ破棄(duplicate discarding)。下位層の再確立時を除く。
しかしながら、LTE・WLANアグリゲーション通信においては、PDCP層の下位層が、LTEにおける下位層(RLC)ではなく、WLAN通信エンティティ(WLAN MAC/LLC)となり得る。この場合、PDCP層が下位層に期待する機能がWLAN通信エンティティにより提供されないことがあり得る。
そこで、第10実施形態においては、LTE通信のPDCP層からWLAN通信エンティティにデータ(PDCP PDU)が転送される場合に、LTE下位層に期待される機能がPDCP層に提供されるように、WLAN通信エンティティの機能を補完する制御を行う。以下において、このような制御を行うエンティティを「TE(Termination Entity)」と称する。第10実施形態において、TEは、WLAN通信の仕様及びPDCP層の仕様を変更することなく、上述した1乃至4の機能をPDCP層に提供する。
(TEの配置例)
図26は、第10実施形態に係るTEの配置例1を示す図である。図26に示すように、配置例1において、TEは、CollocatedシナリオにおけるeNB200に設けられる。eNB200は、WLAN通信エンティティ(WLAN MAC/LLC)と、当該WLAN通信エンティティに下りデータ(PDCP PDU)を転送するPDCP層(PDCP層#2)を有する。TEは、WLAN通信エンティティ(WLAN MAC/LLC)とPDCP層(PDCP層#2)との間に配置される。なお、TEの機能は、eNB200の制御部230により実行される。
図27は、第10実施形態に係るTEの配置例2を示す図である。図27に示すように、配置例2において、TEは、Non−collocatedシナリオにおけるWLANノード500に設けられる。WLANノード500は、WLAN通信エンティティ(WLAN MAC/LLC)を有する。eNB200は、当該WLAN通信エンティティに下りデータ(PDCP PDU)を転送するPDCP層(PDCP層#2)を有する。TEは、WLANノード500において、XWインターフェイスの終端に配置される。なお、TEの機能は、WLANノード500の制御部により実行される。
図28は、第10実施形態に係るTEの配置例3を示す図である。図28に示すように、配置例3において、TEは、UE100に設けられる。UE100は、WLAN通信エンティティ(WLAN MAC/LLC)と、当該WLAN通信エンティティに上りデータ(PDCP PDU)を転送するPDCP層(PDCP層#2)を有する。TEは、WLAN通信エンティティ(WLAN MAC/LLC)とPDCP層(PDCP層#2)との間に配置される。なお、TEの機能は、UE100の制御部130により実行される。
(TEの動作の具体例)
上述した1乃至4の機能をPDCP層に提供するためのTEの動作の具体例について説明する。
(1)確認型データ転送サービス。「Successful delivery indication」を含む。
WLAN通信エンティティは、PDCP層から転送されたデータをWLAN通信により送信する処理を行う。TEは、WLAN通信エンティティにおけるデータ送信状況を監視することにより、PDCP層が解釈可能な送信完了通知(Successful delivery indication)をPDCP層に提供する。
例えば、WLAN MAC層は、受信側から送信側へAckを送信する機能をサポートしている。TEは、PDCP PDUごとにAckの受信状況を監視し、PDCP PDUの送信が完了したと判断する度に「Successful delivery indication」を生成し、「Successful delivery indication」をPDCP層に通知する。
(2)非確認型データ転送サービス。
TEは、LTE通信における非達確認モード(UM)が設定されたベアラのデータがPDCP層からWLAN通信エンティティに転送される場合において、WLAN通信における非達確認モード(UM)でWLAN通信エンティティを動作させる。
例えば、WLAN MAC層は、Ackを必要としないモード(すなわち、UM)をサポートしており、所定のパラメータに応じてUMで動作する。TEは、UMベアラが設定された場合において、当該所定のパラメータを適切な値に設定することにより、WLAN MAC層をUMで動作させる。
また、TEは、RRC層からのQoS関連の設定に応じて、WLANのQoS制御に関するパラメータを適切な値に設定してもよい。
(3)順序配送(in−sequence delivery)。下位層の再確立時を除く。
第10実施形態において、TEは、LTE通信のRRC層からWLAN通信の再確立(Re−establishment)を指示された場合において、WLAN通信エンティティに保持されているデータの破棄、及びWLAN通信エンティティに設定されているパラメータの初期化のうち、少なくとも一方を行う。
LTEの仕様上、Re−establishmentについてRLC層に期待される動作としては、以下の動作がある。
・UM/AMベアラに対して、受信側では、可能であればデータをReassembleして上位レイヤに渡し、それ以外は破棄する。
・UM/AMベアラに対して、送信側では、すべて破棄する。
・全タイマをストップしてリセットする。
・全ての変数を初期値にする。
例えば、TEは、RRC層からRe−establishmentを指示された場合に、可能な限りRLC層と同様の動作を行えるように、WLAN MAC層の上位層(例えば、WLAN LLC層)を装って、WLAN MAC層に指示を送る。具体的には、WLANのすべてのデータを破棄、全パラメータ(タイマ、変数)を初期値に戻すことを指示する。
(4)二重データ破棄(duplicate discarding)。下位層の再確立時を除く。
TEは、WLAN通信における二重データ破棄動作を行うようにWLAN通信エンティティを動作させる。例えば、WLAN MAC層は二重データ破棄動作をサポートしている。このため、二重データ破棄動作に関するパラメータを適切な値に設定する、又はWLAN MAC層の上位層(例えば、WLAN LLC層)を装うことにより、WLAN MAC層に二重データ破棄動作を実行させる。
[第10実施形態の変更例]
上述した第10実施形態において、TEがPDCP層の外部に設けられる一例を説明したが、PDCP層がTEの機能をサポートしてもよい。具体的には、TEの機能をPDCP層の機能の一部として規定し、PDCP層がTEの機能を実行する。
[その他の実施形態]
上述した第1実施形態乃至第10実施形態は、別個独立して実施してもよいし、2以上の実施形態を組み合わせて実施してもよい。
上述したNon−collocatedシナリオ3(図9参照)のプロトコルスタックを、図29のようなプロトコルスタックに変更してもよい。図29に示すように、UE100とS−GW300との間に2つのベアラ#1及び#2が確立されている。ベアラ#1の下りデータは、MeNB200Mにおいて、PDCP層#1、RLC層#1、及びMAC層#1の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。ベアラ#2は、MeNB200Mにおいて、PDCP層#2により2つに分割(スプリット)されている。ベアラ#2の一方の分割ベアラの下りデータは、RLC層#2及びMAC層#1の各エンティティにより処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。ベアラ#2の他方の分割ベアラは、SeNB200S及びWLANノード500を介して確立される。ベアラ#2の他方の分割ベアラの下りデータの一部は、SeNB200Sにおいて、RLC層#3及びMAC層#2により処理され、図示を省略するLTE物理層を介してUE100に送信される。また、ベアラ#2の他方の分割ベアラの下りデータの残りは、WLANノード500において、WLAN MAC層により処理され、図示を省略するWLAN物理層を介してUE100に送信される。
上述した各実施形態において、移動通信システムとしてLTEシステムを例示し、WWAN通信としてLTE通信を例示した。しかしながら、本発明はLTEシステムに限定されない。LTEシステム以外の移動通信システムに本発明を適用してもよい。また、WLAN通信としてIEEE802.11を例示したが、IEEE802.11に限定されるものではない。
[付記1]
以下において、上述した実施形態の補足事項を説明する。
(はじめに)
シナリオ及び要件に関する議論はラポータにより最高の優先度が付けられた。しかしながら、データフローはeNB/WLANがどのように配備されているかに依存するので、ユーザプレーンアーキテクチャとは別に配備シナリオを議論することは困難である。この付記は、なし得る配備シナリオを考慮してRAN2がどのようにプロトコルを仕様化すべきかについて説明する。
(ベアラタイプ)
このWIDのためのRAN2の目的の1つは、ベアラリリース12 LTEの二重接続(Dual Connectivity)ベアラタイプ2C、3Cに基づいて、RAN、WLANプロトコルアーキテクチャを仕様化することである。ベアラタイプ2C/3Cは、小セル強化(small cell enhancement)の技術レポートで導入されている。RAN2は、SIの結果に基づいて、各ベアラタイプを定義すべきである。データフローの例として、下りリンクを例に挙げて以図30に示す。この表は、同じ場所の配置(collocated)であるか又は同じ場所に配置しない(non-collocated)かにかかわらず、PDCP PDUは、両ベアラタイプでWLANサイドに届けられることを示している。collocatedの場合には、WLANサイドは、LTEサイドに物理的に統合され、接続される。non-collocatedの場合には、これらのサイドは、外部の直接インターフェイスを介して接続される。
(2Cと3Cとの比較)
・2Cは3Cの特殊なケースであるか?
2Cベアラ及び3Cベアラの間の差は、ベアラが分割されるか、言い換えれば、リオーダリング機能が存在するかどうかである。リオーダリングの必要性により、3Cオプションは2Cオプションよりも大きなバッファサイズを必要とする。要求される機能は2Cと3Cとで異なっている。このような観点から、2Cは3Cの特殊なケース(すなわち、スプリット比100%/ 0%)ではない。いくつかのUEは2Cに対応し3Cに対応していないケースがある。RAN2は、異なる機能として、これらのソリューションを定義すべきである。
提案1:RAN2は2Cが3Cの特殊なケースではないと考えることに同意すべきである。
・確認応答データ転送/非確認応答データ転送のサポート。
3Cベアラオプションは、特にnon-collocatedの場合、(UMなどの)非確認応答データ転送(unacknowledged data transfer)をサポートすることが好ましくないかもしれない。このようなデータ転送がリオーダリングに起因する遅延を受け入れることができないからである。
一方、2Cベアラオプションは、リオーダリングの手順を必要としない。パケットは、WLANを介してUEから/へ順序通りに届けられる。2Cベアラオプションは、少なくともcollocatedの場合、確認応答及び非確認応答データ転送の両方をサポートすることが合理的である。
提案2:2Cベアラオプションは、少なくともcollocatedの場合、UMタイプのデータ転送をサポートすべきである。
・2C及び3Cを同時に設定することができるか?
提案1が合意された場合、2C及び3CをUEに同時に設定することができるかどうか明らかでない。Rel-12のDCでは、スプリットベアラ及びSCGベアラの同時設定は許可されていない。Rel-12 DCの場合とは異なり、2C及び3Cベアラオプションの間にはアーキテクチャの違いはない。2C及び3Cベアラタイプオプションを同時に設定することができる場合、UMタイプ及びAMタイプのベアラの両方をWLANにオフロードすることができる。WIDの正当化として記述されたQoE向上を達成するために、同時設定を可能にすることは合理的である。
提案3:RAN2はソリューション2C及び3Cの同時設定が許可されるかどうかを議論すべきである。
(LTE-WLANアグリゲーションのための全体的なアーキテクチャ)
RAN2は、collocated及びnon-collocatedの両方のシナリオについて、LTE-WLANアグリゲーションがEPCに透過的でなければならないという要件を有する。このことを考慮すると、WLAN AP/ACは、eNB内に併設するか、直接eNBに接続すべきである。3GPPノード(例えば、S-GW、MME)間の他の直接インターフェイスがあると考えるべきではない。この外部の直接インターフェイスはここでは「Xw」と名付けられる。
RAN2は、WLAN/3GPPアグリゲーションのための全体的なアーキテクチャの予備的な仮定を得ることができる(図4)。
いくつかの配備シナリオは、図4から議論することができる。
1. eNBと併設(Collocated)
2. 非併設(Non-collocated)/MeNBと接続
3. SeNBと併設(Collocated)
以下では、ソリューション(c)のみを明示的にプロトコルスタックの一例として示している。
(eNBと併設)
図5:eNBと併設するケース。
これは最も単純なケースである。WLANは、eNB内に併設されている。WLANのカバレッジのサイズが小さいことを考慮すると、WLANが小セルeNBに物理的に統合されることが自然である。この併設シナリオは、可能性が最も高い小セルスタンドアロン動作のために適用される。このシナリオでは、WLANは、キャリアアグリゲーション動作のSCellのように、セカンダリサービングセルとして使用されるべきである。LTEは、現在のキャリアアグリゲーションのようにPCellを設定しなければならない。
併設シナリオを仕様化することはWIの目的の一つであるため、このシナリオは暗黙的に合意されている。
提案4:RAN2は、eNBがWLANと同じ場所に配置されるシナリオに同意すべきである。
(非併設/MeNBと接続)
図7:非併設/MeNBと接続するケース。オペレータはすでに多くのWLAN APを配備している可能性があるので、これはメインの配備シナリオの一つである。ユーザプレーンデータ配信のために、3GPPは、WLAN AP/ACとeNBとの間の新たな直接インターフェイスを必要とする。
パケット転送に適用可能であるか又は単にCPのみのインターフェイスであるかはFFSであるが、RAN3は、eNBとWLANサイドとの間の直接インターフェイスを研究している。TRによると、WLANサイドのインターフェイスの終端の配置は、3GPPの範囲外である。よって、AP又はACのいずれかをXwをインターフェイスの終端とすることができる。ACに終端機能を実装する場合、オペレータは、すでに配備されているAPを効果的に使用することができる。
このアーキテクチャは、DCの3Cのアーキテクチャに似ている。しかし、UEは、WLAN APにPUCCHを送信することはできないので、WLANは(SeNBのPSCellのような)特殊セルを持つことができないことに留意すべきである。この観点から、このシナリオは、CAではなくDCのRRHのシナリオに似ている。
提案5:RAN2は、WLANがRRHを通じてMeNBに接続されるnon-collocatedシナリオを採用するかどうかを議論すべきである。
(SeNBと併設)
小セルeNBと併設されるWLANが近い将来に一般的になると想像するのは容易である。このシナリオでは、併設WLANがSCGセルとして使用される同時DC設定として表現することができる。容量及びQoEの改善はこのWIのための正当化の一部であるため、DCとLTE-WLANアグリゲーションを同時に設定することができれば、それは検討に値する。
提案6:RAN2は、DCとLTE-WLANアグリゲーションが同時に設定できるかどうかを議論すべきである。
同時設定が合意されていると仮定すると、いくつかのケースがあるので、ベアラをオフロードする方法は不明である。
Case.1:SCGベアラがWLANに分割される。
Case.2:MeNBでPDCPがWLANに分割される。
Case.3:MeNBでPDCPがSCG LTE SCell及びWLANに分割される。
・Case.1:SCGベアラがWLANに分割される。
図31:SeNBと併設/SCGベアラがWLANに分割されるケース。
この場合、SCGベアラがSCG-RLC及びIEEE MACに届けられる。WLANは、SCGサービングセルとして使用される。これは、「eNBと併設」シナリオに非常によく似ている。
提案7:同時設定が合意される場合は、WLANに分割されるSCGベアラのケースも合意されるべきである。
・Case.2:MeNBでPDCPがWLANに分割される。
図32:SeNBと併設/MeNBでPDCPがWLANに分割されるケース。このケースは、「非併設/MeNBに接続」シナリオに非常によく似ている。MeNBにおけるPDCPが分割され、PDUは、Rel-12 DCとしてSeNBに転送され、それはIEEE MACのみに送られる。Xwインターフェイスを必要とするため、Case 2及び「非併設/MeNBと接続」の両方が、Case 1又は3よりも望ましくないと思われる。
提案8:RAN2は、SeNBと併設/ MeNBでPDCPをWLANに分割されるケースを合意するか否かを議論すべきである。
・Case.3:MeNBでPDCPがSCG LTE SCell及びWLANに分割され、
図6:SeNBと併設/ MeNB内でPDCPがSCG LTE SCell及びWLANに分割されるケース。RAN2がWLANを1つのサービングセルとみなす場合、分割されたPDCP PDUをどのように割り当てるかはSeNBのスケジューラ次第である。MeNBから届けられたPDCP PDUの一部はRel-12 DCの分割ベアラとしてSCG-RLCにルーティングされ、その他のPDCP PDUはIEEE MACにルーティングされる。
このシナリオでは、MeNB又はSeNBのどちらが、届けられるPDCP PDUをSCG-RLC又はIEEE MACに決定するか明らかでない。MeNBがそれを決定する場合、UEは、半静的にRRCメッセージで設定されることができるが、ルーティングを変更するためにRRC再設定(RRC Reconfiguration)が必要である。
一方、SeNBがルーティングを決定する場合、いくつかの利点があるかもしれない。WLANの存在はMCGに透過的であり、SeNBは、自身のスケジューラにより、WLANを含む良好な無線のSCellに、届けられたPDUを動的にルーティングすることができる。
提案9:RAN2は、SeNBと併設/ MeNB内でPDCPがSCG LTE SCell及びWLANに分割されるケースを合意するかどうかを議論すべきである。
提案10:提案8が合意される場合、SeNBは、RLC又はWLANのどちらにPDCP PDUが届けられるか決めるべきである。
[付記2]
(1. WLANアグリゲーションのための配備シナリオ及びアーキテクチャ)
このWIの目的の一つは、リリース12のLTE二重接続ソリューション2C及び3C(図33参照)に基づいて、UE及びネットワークサイドでLTE-WLANアグリゲーションのRAN・WLANプロトコルアーキテクチャを仕様化することである。
(ソリューション2C特有の機能)
-LTE-RLC/LTE-MACがない。結果として、PBR、バケット、論理チャネルが存在しないので、QoSを制御することが困難であると思われる。
-リオーダリング機能が必要とされないので、非確認データ転送(UM型ベアラ)は、このソリューションのために設定することができる。
(ソリューション3C特有の機能)
-リオーダリング機能は、eNB及びUEサイドの両方に必要とされる。
-受信したPDCP PDUをリオーダリングするために大きなバッファサイズ必要とされる。
- Rel-12 DCと同じ理由で、確認データ転送(AM型ベアラ)がこのソリューションのために設定されるべきである。
(WLAN/3GPPアグリゲーションのためのE-UTRANユーザプレーン)
これは、WLAN/3GPPアグリゲーションのための全体的なアーキテクチャの予備的な仮定である。WIDに記載されるように、WLANアグリゲーションがEPCに透過的であるべきである。したがって、WLAN APは、eNB内に併設しなければならないか又は直接eNBに接続されている。3GPPノード(例えば、S-GW、MME)間の他の直接インターフェイスがあると考えるべきではない。
いくつかの配備シナリオを議論することができる。
1.1. eNBと併設
1.2. 非併設/MeNBと接続
1.3. SeNBと併設
1.4. 非併設/MeNBと接続ケース
1.5. 非併設/SeNBと接続ケース
・全てのシナリオのための一般的なアップデート
全ての配備シナリオ及びプロトコルスタックについて、PDCPエンティティは、IEEE MAC層にPDCP PDUを供給しなければならない。IEEE MACは、PDCP PDUの配信成功(successful delivery)を示すためのサービスを持っていないので、RAN2は、AM型ベアラのための配信成功インディケーションなしにPDCP仕様を更新すべきである。
CA及びDCとは異なり、IEEEのPHY層は、LTE-MACの下層に割り当てられていない。RAN2は、効率的にUEのバッテリ消費を低減するために活性化(activation)/不活性化(deactivation)メカニズムのいくつかの拡張を検討すべきである。
(2. WLAN/3GPPインターワーキングの強化のための配備シナリオ及びアーキテクチャ)
(1.1. S2インターフェイスを伴うインターワーキングの強化)
WLAN/3GPPインターワーキングの強化は、このWIの主な目標の一つである。我々は「インターワーキング強化のためのソリューションは、リリース12で検討されたLTE/WLANインターワーキングの上に構築すべきである」という要件を持っている。
Rel-12におけるSIの結果として、ソリューション3のトラフィックステアリングは、以下のように導入される。
ステップ3:トラフィックステアリング:ANDSFが使用されていない場合、RANがトラフィックルーティングを制御するために、RANは、どのAPN/ベアラがオフロードされるか(されないか)を知る必要があり得る。RANは、例えばUEがS2C上でCNとバインディング更新(binding update)を発行することができるように、それに応じてUEに通知する手段を必要とする。これは、ASとNASレベルとの間のUEの挙動だけではなくCNとeNBとの間のシグナリングに影響を与えるであろう。
データはS2インターフェイスを介して配信されると思われる。Rel-12 WLAN / 3GPP無線インターワーキングのように、現在のCNアーキテクチャを再利用することが簡単である。現在のアーキテクチャは、RP-150307で紹介されている(図34参照)。
(1.1.1.Rel-12のUEベースのWLANインターワーキングとの共存)
Rel-12で検討されているソリューション3は、ネットワークベースのソリューションである。一方、Rel-12インターワーキングは、UEベースのソリューションである。我々は、どのエンティティ/機能/ルール/ポリシーがトラフィックステアリングを決めるべきか優先順位を研究しなければならない。
ベースラインとして、ANDSFポリシーはRANルールよりも優先順位が高い。UE内のAS層は単に上位層にRANルールの結果を転送する。そして、上位層は、WLANへ/からトラフィックをステアリングする方法を決定する。
互換性の観点からは、この方法は維持されるべきである。Rel-13のインターワーキングは単にUE AS層が上位層に結果を転送する方法を更新すべきである。RAN2は、UE AS層がRAN関連情報を上位層に転送する方法を更新すべきである。
Rel-12のインターワーキングでは、個別の(dedicated)パラメータがブロードキャストパラメータよりも優先的にUEによって扱われる。同じ理由で、この優先順位はRel-13のインターワーキング強化で再利用されるべきである。ソリューション3はRRCコネクティッドモードのUEに適用可能であり、ステアリングコマンドはRRCメッセージを介して提供することができるため、Rel-13のインターワーキングでのステアリングコマンドは、RANルールの結果よりも高い優先順位として扱われるべきである。ステアリングコマンド及び個別のRAN補助の両パラメータが個別のRRCメッセージを介して同じeNBによって提供されるので、ステアリングコマンドは、個別のRAN補助パラメータによるRANルールの結果と矛盾することはない。
Rel-13のインターワーキング強化でのテアリングコマンドは、RANルールの結果よりも高い優先順位として扱われるべきである。
既存のスキームを図35に示す。
RRCの現在の仕様では、AS層は情報を上位層に転送する。この方式は維持されるべきである。この観点から、UEがeNBからステアリングコマンドを受信したときに、UEは、個別のパラメータを維持し、かつRel-12の同じ方式で上位レイヤにパラメータを転送すべきである。UEは、eNBからステアリングコマンドを受信した場合、専用のパラメータを維持すべきである。
RRCメッセージを介してeNBによってステアリングコマンドが提供されると考えると、RRCメカニズムが上位層にステアリングコマンドを通知するように更新されるべきである。
例えば:
wlan-SteeringCommand ::= SEQUENCE {
WLAN-Id-r13 WLAN-Id-List-r12,
steeringState ENUMERATED {toLTE,toWLAN,null}
}
RRC接続再設定(RRCConnectionReconfiguration)メッセージがWLAN-SteeringCommandを含み、UEがこのメッセージに含まれた設定に準拠することが可能である場合、UEは:
1>受信したsteeringStateを適用する。
1> WLAN-ID-Listを上位層に転送し、転送するWLAN-ID-ListについてT-SteeringWLANの時間区間においてトラフィックをステアリング(to/from E-UTRAN from/to WLAN)する条件が満たされたことを上位層に知らせる。
アイドルモードの手順は、steeringStateがtoLTE又はtoWLANである間の現在の動作を回避するために変更すべきである。
(1.2. Xwインターフェイスを伴うインターワーキング強化)
代替的に又は付加的に、インターワーキング強化のためにLTE-WLANアグリゲーションアーキテクチャを再利用することが可能である。スプリットベアラオプションは、インターワーキング強化のために想定されていない。したがって、3Cオプションが削除される。一方、2Cオプションは、分割/リオーダリング機能を必要としないので、このオプションを再利用することができる。
RAN2は、WLANインターワーキング強化のために2Cベアラオプションを考慮することができる(図36参照)。
2Cオプションに加えて、2Aは、より少ない影響を有すると考えることができる。2Aオプションでは、非併設シナリオで、PDCP SDU(IPパケット)は単に直接インターフェイスによりWLANノードへ/から転送される。併設シナリオでは、PDCP SDUは単にeNB内で届けられる。このオプションは、追加機能を必要としない。
2Aオプションが合意される場合、eNBベースでのWLANノードへ/からのトラフィックステアリングが可能である。 APNレベルよりも細かいレベルでトラフィックステアリングが容易に可能である。
RAN2は、WLANインターワーキング強化のための2Aベアラオプションを考慮することができる(図36参照)。
WLANインターワーキング強化で2A及び2Cの両シナリオについて、UEは、eNBにより送信されたRRCメッセージによってトラフィックステアリングをトリガすることができる。ベースラインとして、AM及びUMの両タイプを設定することができる。図2A及び2Cの同時設定については更なる検討が必要である。2Aと2Cとの間のベアラタイプの変更については更なる検討が必要である。
・WLAN追加/解放するためのパケット損失をどのようにして避けるか?
2Cオプションでのパケット損失の回避は、WLANアグリゲーションと同様とすることができる。PDCPエンティティが各パケットにPDCP SNを割り当てているので、損失のチェックが可能である。下位層が(RLCのような)再確立方式の機能をサポートする場合、既存のメカニズムも再利用される。2Aオプションでのパケット損失回避については更なる検討が必要である。
(3.IEEE MACでサポートされている機能(ピアPDCPエンティティ事項))
UE及びMeNBの両方がPDCPエンティティを有するので、PDCP状態報告(PDCP status report)はこれら2つのピアエンティティ間で配信することができる。
PDCP状態報告及びPDCPデータリカバリの両方が現在のPDCPの仕様に応じて上位層(RRC)によって開始される。PDCP状態報告に関しては、RRCがPDCP再確立を要求するときにこの手順が開始される。RRCは、RRC接続再確立及びハンドオーバの場合にPDCP再確立を要求する。
ここでの問題は、RLCのような下位層エンティティが存在しないと思われることである。PDCP仕様では、「下位層から期待されるサービス」というセクションがある。
-PDCP PDUの配信成功のインディケーションを含む、確認データ転送(acknowledged data transfer)サービス。
-非確認データ転送(unacknowledged data transfer)サービス。
-下位層の再確立を除いて、順次伝送(in-sequence delivery)。
-下位層の再確立を除いて、複製破棄(duplicate discarding)。
IEEE MACは、これらの機能をサポートしていない可能性がある。再確立をサポートしないことが課題の一つである。
RAN2は、この問題を解決するために2つのオプションを持ち得る。
Option 1:PDCP仕様において下位層から期待されるサービスを変更する。
Option 2:オプション2は、PDCPとIEEE MACとの間にいくつかの新しいプロトコル層(アダプタのようなもの)を作成し、新しい層は、PDCPによって期待されるサービスを(例えばIEEE MACの動作を監視することによって)サポートする。この新しいプロトコルは、QoSの取り扱いを監視及び実行することができる。このQoS処理は、直接インターフェイスを介してeNBによって送信される追加要求メッセージのために使用することができる。これは、SeNB追加要求が行うようなE-RABレベルQoSパラメータの処理のようなものである。
下位層が順次伝送(in-sequence delivery)をサポートすることができない場合、PDCPは、2CベアラオプションでもPDCP PDU/SDUをリオーダリングすることができる。
WLAN除去(WLAN removal)
この新しいプロトコル/機能は、データがWLANサイドに存在するか否かを監視することができる。特定の時間間隔の間にデータフローが存在しない場合、UEは、eNBに報告することができる。次に、eNBは、WLANを削除する(eNBは、対応する無線ベアラを削除するためにUEを再設定する)。WLANが削除(又は非アクティブ化)されても、設定に応じてUEはWLANを測定し続けることができる。
[相互参照]
日本国特許出願第2015−044890号(2015年3月6日出願)及び米国仮出願62/145808号(2015年4月10日出願)の全内容が参照により本願明細書に組み込まれている。