以下、図面に基づき本発明の各種実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る浴槽水利用装置10の構成および設置状態を示している。浴槽水利用装置10は、浴槽2内の湯水(以後、浴槽水とも言う)を天井裏のタンクにポンプ11で汲み上げて貯めておき、このタンク内の水をトイレの便器3の洗浄水等に利用する機能を備えている。
浴槽水利用装置10は、トイレの天井裏等の高所に設置されるタンク12と、浴槽2から浴槽水をタンク12へ汲み上げるポンプ11と、浴槽2内の水位を検出する浴槽水位センサ13と、タンク12内の水位を検出するタンク水位センサ14と、タンク12内の湯水の温度を検出する温度センサ15と、タンク12内の湯水を便器3の洗浄水として排水するための排水部16と、タンク12内の湯水の熱でトイレを暖房するための放熱部17と、浴槽水利用装置10の動作を制御する制御基板18を備えて構成される。トイレの室内には浴槽水利用装置10のリモートコントローラ40(以後、リモコン40とする)が設けてある。リモコン40は、タンク12から便器3へ洗浄水を流す指示(中水排水指示とする)等を利用者から受け付ける機能を果たす。
タンク12の容量は、たとえば、60リットル程度にされる。便器3の洗浄水の水量を15リットルとした場合、4回の洗浄が可能な水量をタンク12に貯めることができる。節水型の便器3を使用すれば、より多くの回数の洗浄が可能になる。なお、節水型の便器3を使用する場合はタンク12の容量を小さくしてもよい。タンク12は保温構造にされている。タンク12内の湯を利用して便器3を洗浄するので、冷たい水で洗浄する場合に比べて、高い洗浄力を得ることができる。
タンク12と浴槽2の取水口2aは、浴槽水の汲み上げ経路となる配管(中水補給管21とする)で接続されている。浴槽水位センサ13およびポンプ11は中水補給管21に介挿されている。この例では、浴槽水位センサ13およびポンプ11は浴槽2の取水口2aの近傍に、すなわち、取水口2aと同程度の(もしくは取水口2aより低い)高さの低所に設けてある。これにより、浴槽2からポンプ11へ容易に呼び水を取り込むことができる。
中水補給管21のうちタンク12の近傍には当該中水補給管21を開通状態と閉鎖状態に切り替える電磁弁(中水電磁弁22とする)が設けてある。
タンク12の上部には、所定の給水源から上水が供給される上水給水管23の終端が開口されている。上水給水管23の途中には当該上水給水管23を開通状態と閉鎖状態に切り替える電磁弁(上水電磁弁24)が設けてある。浴槽水が不足した場合に上水給水管23から上水がタンク12に補給される。
上水給水管23の出口はタンク12の最高水位より一定以上(たとえば、10cm以上)高くされており、上水給水管23の出口とタンク12内の水とは、これらの間の高低差(空間)によって縁切りされる。中水補給管21はタンク12の最高水位より一定以上低い位置に開口している。たとえば、中水補給管21の端部は最高水位と最低水位の中間の水位に開口される。中水補給管21の出口をタンク12の最高水位より一定以上低い位置に開口させることで、後に説明する配管洗浄においてタンク12内の水が中水補給管21に逆流し易くなっている。
タンク12の底部には排水口が設けてある。該排水口には便器3の洗浄水の流入口に通じた排水配管26が接続されている。排水配管26の途中にタンク12内の湯水を便器3の洗浄水として排水するための排水部16が設けてある。排水部16は、排水配管26を流れる水の量を検出するフローセンサ27と、該フローセンサ27と直列にして排水配管26に介挿された排水電磁弁28と、排水電磁弁28に並列に設けられた手動フラッシュ弁29を備えている。
排水電磁弁28は排水配管26を開通状態と閉鎖状態に切り替える。浴槽水利用装置10は、リモコン40の中水排水釦44(図3参照)から中水排水指示を受けた場合に、排水電磁弁28を開いてタンク12内の水を洗浄水として便器3へ排水する。このとき、排水量をフローセンサ27で検出し、予め定めた水量に達したら排水電磁弁28を閉じるように制御する。1回の中水排水指示に対する排水量は、リモコン40等で予め設定可能になっている。
手動フラッシュ弁29は、利用者から手動の操作を受けて、排水配管26を開通状態と閉鎖状態に切り替える弁であって、一回の排水操作で所定量の水を流した後、自動的に閉じる機能を有する。
タンク12内の湯水の熱でトイレを暖房する放熱部17は、タンク12内の熱を放熱する熱交換器31とファン32を備えて構成される。熱交換器31は、熱交換用の水管とこの水管に外周面に多数設けられたフィンとから構成される。水管の両端はタンク12に開口している。
トイレの天井には、熱交換器31の設置箇所に対応する位置に通気口33が設けてある。ファン32で発生させた空気流は熱交換器31を経て通気口33からトイレの室内へ送り込まれる。熱交換器31としてヒートパイプを使用してもかまわない。タンク12内の湯水は自然対流によって熱交換器31の中を流れる。なお、近年の住宅は断熱性能が高く、また、トイレは狭いので、放熱部17の暖房能力は小さくてよい。
トイレの中(たとえば、天井)には、人がトイレの中に居ることを検出する人感センサ35が設けてある。また、トイレには、トイレ内の空気を屋外へ排出して換気するための換気ファン37が設けてある。放熱部17でトイレを暖房するとき、人がトイレに居ることが人感センサ35で検出されたら、放熱部17のファン32を止めてトイレの換気ファン37を動作させ、人が居なくなったら換気ファン37を止めて放熱部17のファン32を動作させる、といった制御が行われる。換気ファン37を停止させることでタンク12内の湯水の熱でトイレを効果的に暖房することができる。
このほか、タンク12には消臭装置56や殺菌装置57が取り付けてある。消臭装置56はタンク12に貯めた浴槽水が発する臭いを消臭する。消臭装置56は、臭いをマスキングするタイプでも臭いを分解するタイプでもよい。
殺菌装置57は、タンク12に貯めた浴槽水の殺菌、雑菌の抑制、抗菌等を行う装置である。タンク12を構成する樹脂部材(躯体)に抗菌剤を練り込むようなものでもかまわない。
また、臭い対策等として、タンク12内の空気を屋外へ排気するための換気ダクト51が設けてある。換気ダクト51の一端はタンク12の上蓋に開口しており、他端は屋外に開放されている。換気ダクト51の他端には換気ファン52が取り付けてある。
また、タンク12には、タンク12内の水を屋外で散水・洗車などに利用可能とするための屋外排水配管54が接続されている。屋外排水配管54の一端はタンク12内の下部に開口し、他端には屋外の出水栓55が取り付けられている。タンク12は高所に設けてあるので、高低差で出水圧を確保することができる。
浴槽水位センサ13やタンク水位センサ14には、圧力(水圧)センサ、水流スイッチ、フロートスイッチ、電極棒など各種のセンサの中から適宜のものを選択して使用すればよい。なお、浴槽水位センサ13は圧力センサが適する。
制御基板18は、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を主要部とする回路で構成され、ROMに格納されているプログラムをCPUが実行することで浴槽水利用装置10の制御を行う。制御基板18には、浴槽水位センサ13、タンク水位センサ14、温度センサ15、フローセンサ27、人感センサ35などが接続され、これらから出力された検出信号が入力される。また制御基板18にはポンプ11、中水電磁弁22、上水電磁弁24、排水電磁弁28、放熱部17のファン32、換気ファン37、換気ファン52の制御信号線が接続され、それぞれのオンオフを制御する。さらに制御基板18にはリモコン40が接続されている。
浴槽水利用装置10は、常時は商用電源から電力の供給を受けて動作する。なお、停電に備えて、ポンプ11は乾電池などのバッテリーで動作可能、あるいは手動で動作可能にされてもよい。
図2は、タンク12内でのタンク水位センサ14の配置を示している。タンク水位センサ14は、上水給水管23の出口からタンク12内に放水された水が当たる場所に設けられている。図2の例では、タンク水位センサ14はタンク12の最高水位に水が到達しているか否かを検出する第1の電極14aと、タンク12の最低水位に水があるか否かを検出する第2の電極14bを備えている。この第1の電極14aと第2の電極14b(特に先端)が共に、上水給水管23の出口からタンク12内に放出された水が当たる(好ましくは直接当たる)場所に設けられている。
なお、タンク水位センサ14として圧力センサ等を使用する場合においても上記と同様に、上水給水管23の出口からタンク12内に放出された水が当たる場所に圧力センサを配置する。
浴槽水は上水に比べて汚れた水なので、浴槽水をタンク12に汲み上げて貯めることでタンク水位センサ14に汚れが付着する。しかし、上水給水管23の出口からタンク12内に放出された水(上水)が当たる場所にタンク水位センサ14を配置することで、タンク12に上水を補給する際にタンク水位センサ14が洗浄される。これにより、汚れによるタンク水位センサ14の性能低下が防止される。
なお、図2の例では、タンク水位センサ14の第2の電極14bの先端には、中水補給管21からタンク12内へ放出される浴槽水が当たるので、浴槽水をタンク12に補給する際にも第2の電極14bは洗浄される。
図3は、リモコン40の一例を示している。リモコン40は表示部41と、各種の操作釦を備えている。操作釦には、運転釦42、設定釦43、中水排水釦44、上水排水釦45、配管洗浄釦46、設定値等を増減させるための上下キー47、トイレ暖房釦49などがある。また、中水排水釦44、上水排水釦45、配管洗浄釦46の各右斜め上の近傍には、対応する釦がオンにされてその機能に係る動作が実行中の間に点灯されるランプ48が設けてある。
運転釦42は浴槽水利用装置10の運転をオンオフするための操作釦である。設定釦43は各種の動作条件を設定する設定モードに入るための操作釦である。たとえば、1回の中水排水指示に対してタンク12から排水する洗浄水の水量、トイレの暖房設定温度、配管洗浄の時間間隔(設定運転時間)などが設定される。
中水排水釦44は、タンク12から便器3へ洗浄水を流す指示を使用者から受けるための操作釦である。上水排水釦45は、便器3の洗浄に上水を使用することを指示する操作釦である。上水排水釦45がオンにされると、浴槽水をタンク12へ汲み上げる動作は行われなくなり、タンク12内の水が減った場合に、上水給水管23から上水がタンク12へ補給されるようになる。
配管洗浄釦46は、利用者から中水補給管21の洗浄指示を受け付ける操作釦である。配管の自動洗浄が長期間行われない場合でも、配管洗浄釦46を操作することで配管を洗浄することができる。
トイレ暖房釦49はタンク12内の湯水の熱でトイレを暖房するか否かを切り替えるスイッチである。
リモコン40の表示部41には、タンク12に貯められた湯水(中水とする)を便器3へ排水した回数、タンク12内の残り水量、各種の警告や操作案内などが表示される。
次に、浴槽水利用装置10の動作について説明する。
浴槽水利用装置10は、浴槽2への湯張りおよび保温(追い焚き)を行う風呂給湯器から風呂の自動運転の終了を示す情報を受け取ることで、入浴が終了して、浴槽2内の湯水を浴槽水利用装置10側で利用可能となったことを認識する。まず、風呂給湯器が行う風呂の自動運転について簡単に説明する。
図4は、風呂給湯器が行う風呂の自動運転の処理の概要を示している。風呂給湯器は、自動運転がONにされたら、湯張り終了フラグをリセット(OFF)する(ステップS101)。湯張り終了フラグは、ONのとき風呂の自動運転が終了したこと、すなわち、浴槽2への入浴が完了し、浴槽2内の残り湯を浴槽水利用装置10が利用可能となったことを示す。湯張り終了フラグがOFFのときは、浴槽2内の浴槽水を浴槽水利用装置10が汲み上げて利用できないことを示している。
次に、風呂給湯器は、4時間保温タイマーをスタートさせる(ステップS102)。風呂給湯器は、風呂の自動運転を、運転開始から所定時間(ここでは4時間)が経過したときに自動的に終了させる機能を備えており、4時間保温タイマーはそのためのタイマーである。
次に、風呂給湯器は、浴槽2へ設定水位まで湯張りを行い、浴槽2内の湯が設定温度になるまで追い焚きする(ステップS103)。その後は、浴槽2内の湯の水位と温度が設定水位・設定温度に維持されるように注湯や追い焚きを適宜実行する(ステップS104;No、ステップS105;No)。
風呂給湯器は、風呂の自動運転中に浴槽2内の水位が急減少した(浴槽の栓が抜かれた)ことを検知したとき(ステップS104;Yes)、もしくは風呂の自動運転を開始してから所定時間が経過した(4時間保温タイマーがタイムアップした)とき(ステップS105;Yes)、湯張り終了フラグをONにして(ステップS106)、風呂の自動運転を終了する。なお、手動操作で自動運転がOFFにされたときも、湯張り終了フラグをONにして風呂の自動運転を終了させるようになっている。
図5は、浴槽水利用装置10が行う処理全体の概要を示している。浴槽水利用装置10は、浴槽2内の残り湯をタンク12に汲み上げる機能、浴槽2内の湯水を利用できない場合等に上水をタンク12へ補給する機能、タンク12内の湯水をトイレの便器3の洗浄水として排水する機能、中水補給管21を上水で洗浄する機能、タンク12内の湯水の熱でトイレを暖房する機能などを備えている。
浴槽水利用装置10は、図5に示す処理を、電源がONの間、継続的に繰り返し実行する。まず、リモコン40の運転釦42がONされているか否かを調べ(ステップS201)、運転釦42がOFFの間は(ステップS201;No)、タンク12の水位が最高水位となるように、上水をタンク12に補給する(ステップS202)。
具体的には、タンク水位センサ14の検出水位がタンク12の最高水位か否かを調べ、最高水位でなければ上水電磁弁24を開き、最高水位ならば上水電磁弁24を閉じるといった制御を、運転釦42がOFFの間、繰り返し行う。なお、運転釦42がOFFの状態であっても手動フラッシュ弁29を操作することでタンク12から排水して便器3を洗浄することができる。
リモコン40の運転釦42がONならば(ステップS201;Yes)、配管洗浄フラグがONか否かを調べる(ステップS203)。配管洗浄フラグがONならば(ステップS203;Yes)、配管洗浄処理を行って(ステップS204)、ステップS209へ移行する。
配管洗浄フラグがOFFならば(ステップS203;No)、タンク水位センサ14の検出するタンク12内の水位が最高水位か否かを調べる(ステップS205)。最高水位であれば(ステップS205;Yes)、その旨を、リモコン40の表示部41に表示する(ステップS206)。たとえば、「タンク満水」等の表示を行う。そして、中水排水カウンタを0にリセットして(ステップS207)、ステップS209へ移行する。中水排水カウンタは、タンク12に浴槽水または上水を補給してタンク12を最高水位にしてからリモコン40の中水排水釦44の操作に応じて便器3を洗浄した回数を示すカウンタである。
タンク水位センサ14の検出するタンク12内の水位が最高水位でなければ(ステップS205;No)、タンク12に浴槽水もしくは上水を補給するタンク補給処理を実行し(ステップS208)、ステップS209へ移行する。
ステップS209では、タンク12内の湯水の熱でトイレを暖房するトイレ暖房処理を行う。
次に、リモコン40の中水排水釦44の押下に応じてタンク12内の湯水を洗浄水として便器3に排水する排水処理を行う(ステップS210)。
次に、上水排水釦45がONか否かを調べる(ステップS211)。上水排水釦45がONならば(ステップS211;Yes)、上水排水フラグをONにセットして(ステップS212)ステップS214へ移行する。上水排水釦45がOFFならば(ステップS211;No)、上水排水フラグをOFFにセットして(ステップS213)ステップS214へ移行する。なお、上水排水フラグがONにされているときは、浴槽水が利用可能か否かに係らず、タンク補給処理において上水がタンク12へ補給される。
ステップS214では、中水利用連続運転時間が予め定めた設定運転時間未満か否かを調べる。中水利用連続運転時間は、前回、中水補給管21を洗浄してからの経過時間である。中水利用連続運転時間は制御基板18のCPU等が計時する。
中水利用連続運転時間が設定運転時間以上ならば(ステップS214;No)、配管洗浄フラグをONにし(ステップS215)、ステップS201に戻って処理を継続する。中水利用連続運転時間が設定運転時間未満ならば(ステップS214;Yes)、ステップS201に戻って処理を継続する。
図6は、配管洗浄処理(図5のステップS204)の詳細を示している。配管洗浄処理では、タンク12内の湯水を便器3へ流してタンク12を空にした後、上水給水管23から上水をタンク12に貯めて最高水位にする。その後、浴槽2の栓が抜かれるのを待ち、浴槽2の栓が抜かれているときに、タンク12内の水を中水補給管21から浴槽2へ流して中水補給管21を洗浄する、といった制御が行われる。
タンク12を空にする際には、単に、タンク12内の水を便器3に排水したのではもったいない。そこで、前回、タンク12が最高水位にされてから、中水排水釦44の押下に基づく便器3の洗浄が所定回数(ここでは4回)行われるまで待ち、タンク12内の水量が十分少なくなったら、該タンク12に残っているわずかの水を便器3へ強制的に排水してタンク12を完全に空にする。タンク12を空にすると、タンク水位センサ14の第1の電極14aと第2の電極14bが共に露出した状態になる。
その後、タンク12に上水を最高水位まで補給する。上水を補給する際に、タンク12内のタンク水位センサ14が洗浄される。上水を補給し終えたら、浴槽2の栓が抜かれるのを待つ。配管洗浄では、中水補給管21を洗浄した汚れた水を浴槽2内に排出するので、浴槽2の栓が抜けた状態で配管洗浄を行う必要がある。ここでは、栓が抜かれていることを、浴槽水位の急減少によって検出し、栓が抜かれているタイミングでタンク12内の上水を中水補給管21を通じて取水口2aから浴槽2へ排出して中水補給管21内を洗浄する。中水補給管21を洗浄した汚い水は浴槽2の排水口から外部へ排出される。
浴槽水位の急減少とは、通常の蒸発や栓をした排水口からの漏れなどによる少しずつの水位低下は含まない。具体的には、浴槽の排水口として想定される最も小さい径の排水口から浴槽水が排水された場合の浴槽水位の低下速度を基準とし、この低下速度より一定の余裕量だけ遅い低下速度を閾値として急減少を判定する。たとえば、ここでは、5cm/分以上の速度で一定時間連続して水位が低下した場合を浴槽水位の急減少として検出する。なお、水位センサ13が圧力センサの場合には、排水口に加わる水圧の推定値を圧力センサ13の検出値から求めて水位の低下速度を補正しても良い。また、初回排水時の水位の低下具合(排水開始後の圧力センサ13の検出圧力と時間との関係を示す曲線(グラフ))を記憶しておき、2回目以降の水位低下では、検出される水位の低下具合と初回排水時に記憶した水位の低下具合とを比較して、該水位低下が排水か否かを判断するようにしても良い。
なお、中水補給管21の洗浄中に、浴槽2の水位が上昇した場合は、浴槽2の排水口に栓がされたと認識し、リモコン40の表示部41に「浴槽の栓を開にしてください」といった警告を表示する。
中水補給管21の洗浄は、タンク12から上水を中水補給管21に流す期間と流さない期間とを交互に複数回生じさせて行う。中水補給管21を洗浄した汚れた水が完全に中水補給管21から抜けてから次の洗浄を行うことで、少ない水量で効率的に中水補給管21を洗浄する。
ところで、風呂の自動運転が終了した後も浴槽2に水を入れたままにしておき、災害時の水の備蓄として浴槽水を利用したいと考えるユーザもいる。このようなユーザは、翌日の湯張り直前に浴槽2の栓を抜くので、浴槽2の栓が抜かれたことを検知して配管洗浄を自動的に開始する動作はこのようなユーザにとって不便である。そこで、浴槽2に湯を張ってから(水位検知してから)15時間から24時間の間は、配管の自動洗浄を禁止するように制御してもよい。
図6に沿って配管洗浄処理の詳細を説明する。
まず、排水完了フラグがONか否かを調べる(ステップS301)。排水完了フラグは、タンク12を空にし終えたか否かを示すフラグであり、ONのとき、タンク12が空であることを示す。
排水完了フラグがONでなければ(ステップS301;No)、タンク12の水位が最低水位未満か否かを調べる(ステップS302)。たとえば、タンク水位センサ14として図2に示す構造のものを使用している場合、第2の電極14bが水を検知していなければ、最低水位未満と判断する。
最低水位未満ならば(ステップS302;Yes)、ステップS305に移行する。タンク12内に最低水位以上の水があれば、具体的には第2の電極14bが水を検知していれば(ステップS302;No)、中水排水カウンタが4以上か否かを調べる(ステップS303)。すなわち、タンク12が最高水位にされてから、中水排水釦44に基づく便器3の洗浄が4回以上行われたか否かを調べる。
中水排水カウンタが4未満ならば(ステップS303;No)、本処理を一旦終了する(リターン)。なお、図5の処理は繰り返し継続的に行われるので、配管洗浄処理を一旦終了しても、配管洗浄フラグがONの間は、図5の処理が一巡する毎に図6の配管洗浄処理が実行される。中水排水カウンタが4以上ならば(ステップS303;Yes)、ステップS305に移行する。
ステップS305では、排水電磁弁28を開いて(ステップS305)タンク12に残っていた水を便器3へ排水する。そして、タンク12の水位が最低水位より下になってから5秒経過するのを待つことで(ステップS306;No)、タンク12を完全に空にする。タンク12の水位が最低水位以下になってから5秒が経過してタンク12が完全に空になったら(ステップS306;Yes)、排水電磁弁28を閉じて(ステップS307)、排水完了フラグをONにする(ステップS308)。
次に、タンク12に上水を補給して最高水位にする(ステップS309)。具体的には、タンク水位センサ14の検出水位からタンク12の水位が最高水位に達しているか否かを調べ、最高水位に達していなければ、上水電磁弁24を開いてタンク12に上水を補給し、タンク12の水位が最高水位に達したら上水電磁弁24を閉じる。なお、タンク12に上水を補給したとき、リモコン40の表示部41に「中水なし、上水使用中」あるいは「上水使用中」といった表示を行う。
最高水位までタンク12に上水を補給し終えたら、中水排水カウンタを0にリセットする(ステップS310)。そして、浴槽2の水位が急減少中か否かを調べ(ステップS311)、急減少中でなければ(ステップS311;No)、本処理を一旦終了する(リターン)。なお、図5の処理は繰り返し継続的に行われるので、急減少中でなく本処理を一旦終了した後、再び配管洗浄処理が実行される。そして、次の配管洗浄処理では、すでに排水完了フラグがONにされているので、ステップS301でYesとなってステップS309へ移行して処理が継続される。つまり、浴槽2の水位が急減少するのを待つことになる。
浴槽2の水位が急減少中ならば(ステップS311;Yes)、浴槽2の水位が所定水位未満になるのを待つ(ステップS312;Yes)。所定水位は、たとえば、浴槽水位センサ13が検出可能な最低水位としてもよいし、15cm程度等、任意の低水位としてもよい。上記の所定水位未満を「浴槽水位なし」、所定水位以上を「浴槽水位あり」とする。
浴槽水位なしまで浴槽2の水位が低下したら(ステップS312;No)、中水補給管21を開閉する中水電磁弁22を開き、ポンプ11を逆回転させて、タンク12内の上水を浴槽2の取水口2aに向けて流して、中水補給管21内を洗浄する。
タンク12内の水位が最低水位以下になったら(ステップS314;Yes)、中水電磁弁22を閉じてポンプ11を停止させ、上水電磁弁24を開いて、タンク12に再び上水を補給する(ステップS315)。このとき、浴槽水位ありになっていれば(ステップS316;Yes)、タンク12内の水を中水補給管21から浴槽2へ排出したことによって浴槽2の水位が上昇したので、浴槽の栓が閉じられたと推定できる。そこで、「浴槽の栓を開いてください」といった警告をリモコン40の表示部41に表示して(ステップS317)、ステップS316に戻る。警告表示は、浴槽水位なしになるまで継続される。
浴槽水位なしならば(ステップS316;No)、ステップS318へ移行する。また、タンク12内の水位が最低水位以下でなければ(ステップS314;No)、ステップS318へ移行する。
ステップS318では、タンク12内の水位が最高水位か否かを調べ、最高水位でなければ(ステップS318;No)、ステップS320へ移行する。最高水位に達したら(ステップS318;Yes)、中水補給管21の中水電磁弁22を開き、ポンプ11を逆回転させ、上水電磁弁24を閉じる(ステップS319)。すなわち、上水の補給を終了させ、タンク12内の上水を中水補給管21に流して中水補給管21の洗浄を行う。
ステップS320では、洗浄時間が、予め設定された設定洗浄時間に達したか否かを調べる。設定洗浄時間の洗浄が完了していなければ(ステップS320;No)、ステップS314に戻って処理を継続する。ステップS314からS320の間の処理により、タンク12から上水を中水補給管21に流して洗浄する期間と流さない期間(洗浄休止期間)とを交互に生じる動作が、設定洗浄時間が完了するまで行われる。
設定洗浄時間が完了した場合は(ステップS320;Yes)、中水電磁弁22を閉じ、ポンプ11を停止させ、上水電磁弁24を閉じる(ステップS321)。次に、配管洗浄フラグをOFFにし、中水利用連続運転時間を0にリセットし、排水完了フラグをOFFにして(ステップS322)、本処理を終了する(リターン)。
なお、リモコン40の配管洗浄釦46が操作された場合(手動の配管洗浄指示を受けた場合)は、本処理をステップS304から開始する。すなわち、配管洗浄フラグをONにし(ステップS304)、ステップS305に移行する。
自動の配管洗浄はタンク12がほぼ空になるのを待って行うので、場合によっては、このような状況がなかなか発生せず、自動の配管洗浄が長期間行われない可能性がある。そのため、ユーザからの指示(配管洗浄釦46の操作)で配管洗浄を実施できるようにしてある。なお、配管洗浄フラグがONになってからの経過時間が上限値を超えた場合には、ステップS302、S303をスキップしてステップS305に移行して、配管洗浄を強制的に実行するように構成されてもよい。あるいは配管洗浄フラグがONになってからの経過時間が上限値を超えた場合に、リモコン40の表示部41に配管洗浄釦46の操作を促す警告表示を行うようにしてもよい。
図7は、タンク補給処理(図5のステップS208)を示している。タンク補給処理では、タンク12内の水量が一定以上減っている場合に、浴槽2から浴槽水をタンク12へ汲み上げて補給する、もしくは、上水給水管23を通じて上水をタンク12へ補給する。本処理では、浴槽2からタンク12へ浴槽水を汲み上げる動作は、風呂の自動運転が終了していることを条件として、以下のタイミングで行われる。
(1)風呂の自動運転が終了した直後
(2)浴槽水位が急減少したとき
(3)中水排水による便器3の洗浄が2回行われる毎
ここでは(1)の補給動作は、タンク12内の水量が一定以上減っている場合のみ行う。ただし、タンク12内の水量が一定以上減っていなくても、風呂の自動運転が終了した直後に浴槽水を汲み上げてタンク12を最高水位にするように構成されてもよい。
上水の補給は、浴槽水を利用できない(風呂の自動運転が終了していない、または浴槽水位がない)場合、上水排水モードに設定されている場合に行われる。
風呂の自動運転が終了した直後にタンク12に浴槽水を補給することで、まだ暖かい風呂の残り湯をタンク12に補給することができ、後述するタンク12内の湯の熱を利用したトイレ暖房を効率的に行うことができる。
図7のタンク補給処理の詳細を説明する。まず、浴槽2に一定以上の浴槽水がある(浴槽水位あり)か否かを調べる(ステップS401)。浴槽水位なしならば(ステップS401;No)、中水排水カウンタが3以上か否かを調べ、3以上でなければ(ステップS402;No)、タンク12に水がまだあるので、水を補給せずに本処理を終了する(リターン)。
浴槽水位なし(ステップS401;No)かつ中水排水カウンタが3以上ならば(ステップS402;Yes)、タンク12に上水を補給してタンク12の水位を最高水位にする(ステップS403)。そして、中水排水カウンタを0にリセットして(ステップS404)、本処理を終了する(リターン)。
浴槽2に一定以上の浴槽水がある(浴槽水位あり)ならば(ステップS401;Yes)、浴槽2の水位が急減少中か否かを調べる(ステップS405)。浴槽2の水位が急減少中でなければ(ステップS405;No)、中水排水カウンタが2以上か否かを調べる(ステップS406)。中水排水カウンタが2以上でなければ(ステップS406;No)、タンク12に水がまだあるので、水を補給せずに本処理を終了する(リターン)。
中水排水カウンタが2以上の場合(ステップS406;Yes)、もしくはステップS405で浴槽2の水位が急減少中の場合(ステップS405;Yes)は、上水排水フラグがONか否かを調べる(ステップS407)。上水排水フラグがONならば(ステップS407;Yes)、上水排水釦45が操作されて上水排水モードに設定されているので、ステップS403へ移行する。
上水排水フラグがONでなければ(ステップS407;No)、湯張り終了フラグがONか否かを調べる(ステップS408)。湯張り終了フラグがONでなければ(ステップS408;No)、風呂の自動運転が終了していないので(運転中)、ステップS402へ移行し、中水排水カウンタが3以上ならばタンク12へ上水を補給する処理を行う。
湯張り終了フラグがONならば(ステップS408;Yes)、浴槽2から浴槽水を汲み上げてタンク12に補給する。詳細には、浴槽2の排水栓が開かれてから取水口2aまで水位が低下するのに、早い場合で2〜3分位なので、全揚程2m位+α(+α=損失水頭+吐出管端速度水頭)の時、流量が20〜30リットル/分のポンプ11を運転し中水補給管21の中水電磁弁22を開く(ステップS409)。その後、タンク12内の水位が最高水位に達したら(ステップS410;Yes)、ポンプ11を停止させ、中水電磁弁22を閉じる(ステップS412)。さらに、中水排水カウンタを0にリセットして(ステップS413)、本処理を終了する(リターン)。
タンク12内の水位が最高水位に達する前に(ステップS410;No)、浴槽2内の浴槽水が無くなった(浴槽水位なしになった)場合は(ステップS411;No)、ポンプ11を停止させ、中水電磁弁22を閉じた後(ステップS414)、ステップS402へ移行して上水補給に切り替える。
次に、トイレ暖房について説明する。
浴槽水利用装置10はタンク12内の湯水の熱を利用してトイレを暖房する。具体的には、タンク12内の湯水の熱を放熱する熱交換器31にファン32で風を送り、その風をトイレの天井に設けた通気口33からトイレの室内に送り出して暖房する。また、トイレの換気ファン37と放熱部17のファン32の動作を制御してトイレ使用時の換気と効率的な暖房の両立を図っている。
具体的には、人感センサ35で人を検知し、トイレ使用中および使用後所定時間が経過するまでは、換気ファン37を動作させて換気し、放熱部17のファン32を停止(暖房を停止)させる。他の期間では換気ファン37を停止させる。また、他の期間では、タンク12内の湯水の温度が暖房可能な温度以上であれば、放熱部17のファン32を動作させてトイレを暖房するようになっている。
トイレ暖房を行う場合、タンク12は保温構造にすることが好ましい。
図8はトイレ暖房処理(図5のステップS209)の詳細を示している。この処理は図5の処理が一巡する毎に繰り返し実行される。トイレに設けた人感センサ35がON(人を検知)になっている場合は(ステップS501;Yes)、換気ファン37を動作させ(ステップS504)、放熱部17のファン32を停止させて(ステップS505)、本処理を終了する(リターン)。
人感センサ35がOFF(人を検知せず)になっている場合は(ステップS501;No)、リモコン40のトイレ暖房釦49によりトイレ暖房がONに設定されているか否かを調べる(ステップS502)。トイレ暖房がONに設定されている場合は(ステップS502;Yes)、タンク12内の水温(温度センサ15の検出温度)が、暖房設定温度に所定温度(たとえば、10℃)を加えた温度(暖房可能温度とする)より高いか否かを調べる(ステップS503)。
タンク12内の水温(温度センサ15の検出温度)が暖房可能温度以下の場合は(ステップS503;No)、放熱部17のファン32をOFFにして(ステップS505)、本処理を終了する(リターン)。
タンク12内の水温(温度センサ15の検出温度)が暖房可能温度より高い場合は(ステップS503;Yes)、人感センサ35がOFFになってから所定時間が経過しているか否かを調べる(ステップS506)。人感センサ35がOFFになってから所定時間が経過していない場合は(ステップS506;No)、換気中なので、暖房せずに本処理を終了する(リターン)。人感センサ35がOFFになってから所定時間が経過している場合は(ステップS506;Yes)、換気ファン37をOFFにし(ステップS507)、放熱部17のファン32をONにして(ステップS508)トイレの暖房を行って、本処理を終了する(リターン)。所定時間はリモコン40等にて任意に設定変更可能にされている。たとえば、3分から10分の間で設定可能にされる。
トイレ暖房がOFFに設定されている場合は(ステップS502;No)、放熱部17のファン32をOFFにする(ステップS509)。そして、人感センサ35がOFFになってから所定時間が経過していない場合は(ステップS510;No)、本処理を終了して(リターン)換気を継続し、人感センサ35がOFFになってから所定時間が経過している場合は(ステップS510;Yes)、トイレの換気ファン37をOFFにして(ステップS511)換気を停止させて、本処理を終了する(リターン)。
このように、使用時以外はトイレの換気ファン37を停止させるので、タンク12内の湯の熱を利用してトイレを効率的に暖房することができる。また、トイレ使用中および使用後の所定時間が換気ファン37を動作させて換気を確保すると共に、この間、放熱部17のファン32を停止させるので、タンク12内の熱が無駄に放出されなくなり、タンク12内の湯水の熱を有効に利用することができる。
次に、タンク12の湯水を排水して便器3を洗浄する排水処理について説明する。
排水処理では、リモコン40の中水排水釦44が押下されたらタンク12内の水を設定量だけ便器3へ排水する。排水中に、タンク12内の水が不足した場合は、タンク12に上水を補給しながら排水を継続し、設定量の排水が完了した後に、タンク12が最高水位になるまで上水をタンク12に補給する。このケースは、停電からの復旧後などに生じ得る。
浴槽水利用装置10は、タンク12に上水または浴槽水を最高水位まで補給した場合に中水排水カウンタを0にリセットし、中水排水釦44の操作によって便器3を洗浄する毎に中水排水カウンタを+1し、中水排水カウンタが2以上になったら再びタンク12に上水または浴槽水を補給する、というように動作している。すなわち、便器3を2回洗浄する毎にタンク12に水を補給している。タンク12の容量は便器3の洗浄を4回程行える量なので、上記のように2回の洗浄毎に補給していれば、タンク12から便器3への排水中にタンク12内の水が不足することはない。
しかし、停電すると、中水排水カウンタが0にリセットされるので、たとえば、中水排水カウンタを2にカウントアップしたとき停電が生じると、停電から復旧したとき、タンク12内の水量が便器3の洗浄2回分減っているにもかかわらず中水排水カウンタは0である。そのため、水の補給が行われないままタンク12から便器3へ排水が行われ、排水中にタンク12の水が不足する事態が生じる。
なお、中水排水カウンタを電源がOFFしてもリセットされない(カウント値を失わない)不揮発性のカウンタで構成したとしても、停電中に手動フラッシュ弁29が操作されてタンク12から便器3へ排水した場合には、停電から復旧したときのタンク12内の水位と中水排水カウンタの値が不一致になり、停電から復旧後にタンク12から便器3へ排水している最中にタンク12内の水が不足する現象が生じ得る。
図9は、排水処理(図5のステップS210)の詳細を示している。この処理は図5の処理が一巡する毎に繰り返し実行される。浴槽水利用装置10は、リモコン40の中水排水釦44が押下されてONにされたか否かを調べる(ステップS601)。中水排水釦44がONにされていない場合は(ステップS601;No)、本処理を終了する(リターン)。
中水排水釦44がONにされた場合は(ステップS601;Yes)、中水排水カウンタをカウントアップ(+1)する(ステップS602)。続いて排水部16の排水電磁弁28を開き(ステップS603)、タンク12から排水配管26を通じて便器3へ排水すると共に、排水量をフローセンサ27で計測する。
排水中は、排水量が設定水量に達したか否か(ステップS604)および排水中にタンク12の水が不足した(タンク水位センサ14の第2の電極14bが水位を検出しなくなった)か否かを監視する(ステップS605)。
排水中にタンク12の水が不足したときは(ステップS605;Yes)、手動上水使用フラグをONにセットし(ステップS606)、上水給水管23の上水電磁弁24を開いて(ステップS607)、ステップS604に戻り、排水を継続する。すなわち、タンク12から排水しながらタンク12に上水を補給する。
排水量が設定水量に達したら(ステップS604;Yes)、排水電磁弁28を閉じてタンク12からの排水を止めると共に(ステップS608)、上水電磁弁24を閉じてタンク12への上水の補給を停止させる(ステップS609)。その後、手動上水使用フラグがONか否かを調べ、ONでなければ(ステップS610;No)、本処理を終了する(リターン)。手動上水使用フラグがONならば(ステップS610;Yes)、タンク12が最高水位になるまで上水をタンク12に補給し(ステップS611)、手動上水使用フラグをOFFにリセットして(ステップS612)、本処理を終了する(リターン)。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態では、ポンプ11、浴槽水位センサ13を、浴槽2への湯張り及び追い焚きを行う風呂給湯器が備えている風呂の追い焚き回路の循環ポンプ、および水位センサで代用する。
図10は、第2の実施の形態に係る浴槽水利用装置10Bの構成および設置状態を示している。図1に示した第1の実施の形態に係る浴槽水利用装置10と同一箇所には同一の符号を付してあり、それらの説明は適宜省略する。
浴槽2への湯張りおよび追い焚きは風呂給湯器60が行う。風呂給湯器60は、風呂の追い焚きを行うための熱交換器61と、熱交換器61を加熱するバーナー62と、熱交換器61の入り側と浴槽2の取水口2aとを結ぶ風呂戻り管63と、熱交換器61の出側と取水口2aとを結ぶ風呂往き管64と、風呂戻り管63の途中に介挿された循環ポンプ65と、浴槽2内の水位を検出する水位センサ(圧力センサ)66とを備えている。浴槽2から風呂戻り管63、熱交換器61、風呂往き管64を通って浴槽2へ戻る循環経路(追い焚き回路)が形成されており、循環ポンプ65はこの追い焚き回路に浴槽水を循環させる機能を果たす。
風呂往き管64の途中には三方弁67が介挿されており、該三方弁67を介して風呂往き管64から中水補給管21が分岐している。中水補給管21は、第1の実施の形態と同様に、タンク12に通じている。三方弁67は、熱交換器61の出側と取水口2aとを連通させた状態(浴槽側とする)と、熱交換器61の出側と中水補給管21とを連通させた状態(タンク側とする)に切り替える。
第2の実施の形態に係る浴槽水利用装置10Bでは、浴槽2内の浴槽水をタンク12へ汲み上げて補給するとき、三方弁67をタンク側に切り替えて、風呂給湯器60に追い焚き動作を行わせる。すなわち、循環ポンプ65を動作させ、バーナー62を燃焼(追い焚き燃焼)させることで、浴槽水を加熱し昇温してタンク12に補給する。昇温した浴槽水を補給することで、タンク12内の湯水の熱量、すなわち、トイレ暖房に利用可能な熱量を増やすことができる。ここでは、浴槽水を高温に加熱してタンク12に補給することで、タンク12内を殺菌する。
このほか、風呂給湯器60は、給湯機能を備えており、配管を通じて外部の水栓や浴槽2、タンク12へ湯を供給する機能を備えている。
第2の実施の形態に係る浴槽水利用装置10Bが行う処理は、以下に示す相違点を除き、第1の実施の形態に係る浴槽水利用装置10と同一である。第2の実施の形態に係る浴槽水利用装置10Bが行う処理のうち、図5のステップS208で行われるタンク補給処理は第1の実施の形態と相違する。
図11は、浴槽水利用装置10Bが行うタンク補給処理を示している。図7に示すタンク補給処理との相違は、浴槽水をタンク12へ補給する際に風呂給湯器60で浴槽水を加熱する点であり、その他は同一である。図11では、図7と同一内容のステップには同一のステップ番号を付してある。
図11に示すタンク補給処理では、タンク12に浴槽水を最高水位まで補給し終えたときに、タンク12内の水温が殺菌可能温度(ここでは60℃とする)以上になるように、補給する湯の温度を制御する。すなわち、追い焚き動作を行う風呂給湯器60の燃焼量を制御する。また、追い焚き動作で浴槽水をタンク12へ補給している途中で浴槽2内の浴槽水が不足した場合は、風呂給湯器60の給湯動作によってタンク12に湯を補給する。この場合も最高水位まで補給したときにタンク12内の水温が60℃以上になるように補給する湯の温度を制御する。すなわち、給湯動作を行う風呂給湯器60の燃焼量を制御する。
図11の処理では、まず、浴槽2に一定以上の浴槽水がある(浴槽水位あり)か否かを調べる(ステップS401)。浴槽水位なしならば(ステップS401;No)、中水排水カウンタが3以上か否かを調べ、3以上でなければ(ステップS402;No)、タンク12に水がまだあるので、水を補給せずに本処理を終了する(リターン)。
浴槽水位なし(ステップS401;No)かつ中水排水カウンタが3以上ならば(ステップS402;Yes)、タンク12に上水を補給してタンク12の水位を最高水位にする(ステップS403)。そして、中水排水カウンタを0にリセットして(ステップS404)、本処理を終了する(リターン)。
浴槽2に一定以上の浴槽水がある(浴槽水位あり)ならば(ステップS401;Yes)、浴槽2の水位が急減少中か否かを調べる(ステップS405)。浴槽2の水位が急減少中でなければ(ステップS405;No)、中水排水カウンタが2以上か否かを調べる(ステップS406)。中水排水カウンタが2以上でなければ(ステップS406;No)、タンク12に水がまだあるので、タンク12に水を補給せずに本処理を終了する(リターン)。
中水排水カウンタが2未満の場合(ステップS406;Yes)、もしくはステップS405で浴槽2の水位が急減少中の場合(ステップS405;Yes)は、上水排水フラグがONか否かを調べる(ステップS407)。上水排水フラグがONならば(ステップS407;Yes)、上水排水釦45が操作されて上水排水モードに設定されているので、ステップS402へ移行する。
上水排水フラグがONでなければ(ステップS407;No)、湯張り終了フラグがONか否かを調べる(ステップS408)。湯張り終了フラグがONでなければ(ステップS408;No)、風呂の自動運転が終了していないので(運転中)、ステップS402へ移行し、中水排水カウンタが3以上ならばタンク12へ上水を補給する処理を行う。
湯張り終了フラグがONならば(ステップS408;Yes)、風呂給湯器60の追い焚き動作により、タンク12に加熱した浴槽水を補給する。
詳細には、風呂給湯器60の循環ポンプ65を動作させ、三方弁67をタンク側へ切り替え、風呂給湯器60からタンク12へ送り出される湯の温度が60℃以上になるように風呂給湯器60を設定して追い焚き燃焼を開始させ、中水電磁弁22を開く(ステップS431)。
その後、タンク12内の水位が最高水位に達したら(ステップS432;Yes)、循環ポンプ65を停止させ、三方弁67を浴槽側に切り替え、風呂給湯器60の追い焚き燃焼を停止させ、中水電磁弁22を閉じて(ステップS434)、中水排水カウンタを0にリセットして(ステップS435)、本処理を終了する(リターン)。
タンク12内の水位が最高水位に達する前に(ステップS432;No)、浴槽2内の湯水が無くなった(浴槽水位なしになった)場合は(ステップS433;No)、中水電磁弁22を閉じ、循環ポンプ65を停止させ、三方弁67を浴槽側に切り替え、風呂給湯器60の追い焚き燃焼を停止させる(ステップS436)。
次に、何度の湯をタンク12に注湯すればよいかを演算する(ステップS437)。詳細には、タンク12に設けた温度センサ15の検出温度と、タンク水位センサ14の検出水位とから、最高水位に達したときにタンク12内の水温を60℃以上にするための注湯温度を算出する。この場合、タンク水位センサ14は圧力センサのように任意の水位を検出する必要がある。
具体的には、タンク12内の現在の水温をT1、タンク水位センサ14の検出水位に基づいて求めたタンク12内の現在の水量をV1、タンク12の最高水位での水量をVmax、最高水位になったときのタンク12内の目標水温をTa、風呂給湯器60からの注湯温度をTbとすると、
V1×T1+(Vmax-V1)×Tb≧Vmax×Ta
の関係が成立するようにTbを決定する。たとえば、Taは60℃にされる。なお、タンク12が満水になる前の所定水位で殺菌可能温度に到達させたい場合は、注湯温度をさらに高くすればよい。上記の式では、Vmaxの代わりに所定水位での水量を代入してTaを求めればよい。
次に、算出した注湯温度の湯が出るように風呂給湯器60を給湯燃焼させ、給水を加熱して得た湯を風呂給湯器60から中水補給管21を通じてタンク12に補給する。このとき、リモコン40の表示部41には、「中水なし、給湯水使用中」といった表示を行う(ステップS438)。
タンク12の水位が最高水位に到達するまで上記の湯の補給動作を行い(ステップS439;No)、タンク12の水位が最高水位に達したら(ステップS439;Yes)、風呂給湯器60からタンク12への湯の補給動作を停止させる(ステップS440)。その後、中水排水カウンタを0にリセットして(ステップS441)、本処理を終了する(リターン)。
このように、タンク12に高温の湯を補給して、タンク12内の水温が殺菌可能温度以上になるようにしたのでタンク12内が殺菌され、細菌の繁殖により、タンク内が汚れたり、臭いが発生したりすることが抑制される。
また、タンク12に湯を補給するので、タンク12内の水温が暖房可能温度より低くなることが少なくなり、タンク12内の湯の熱を利用したトイレ暖房を継続して行うことができる。
なお、タンク12に湯を補給するとき、次のように湯の温度を制御してもよい。まず、湯の補給を開始してからタンク12内の水温(温度センサ15の検出温度)が殺菌可能温度に達するまでは、殺菌可能温度より高い温度Tcに昇温した湯をタンク12に補給し、タンク12内の水温が殺菌可能温度に達した後は、少なくとも殺菌可能温度に昇温した湯をタンク12に補給する。
たとえば、温度Tcを風呂給湯器60で昇温可能な最高温度にすると、タンク12内の水温が殺菌可能温度に到達する前にタンク12が最高水位に達する可能性を少なくすることができる。具体例では、補給開始当初は80℃の湯をタンク12に補給し、タンク12内の水温が60℃になったら、以後は60℃の湯をタンク12に補給すれば、最高水位に到達したときタンク12内の水温を60℃にすることができる。この方法では、タンク12の水位を圧力センサなどで検出する必要がなく、タンク水位センサ14として簡易なものを利用できる利点がある。
なお、浴槽水をタンク12へ移送する途中で加熱する装置は、風呂給湯器60に限定されず、別途の熱源機であってもかまわない。
また、給湯機能で加熱した湯を風呂給湯器60からタンク12へ送る経路は、たとえば、中水補給管21としてもよいし、別途の配管としてもよい。
また、タンク12の殺菌を行わない場合には、昇温する温度は暖房可能温度より高い温度であればよく、殺菌可能温度より低くてもよい。
また、風呂給湯器60による浴槽水の昇温は、浴槽2からタンク12への浴槽水の移送中に行ってもよいし、浴槽2内の湯水を通常の追い焚き動作によって昇温してからタンク2へ移送してもよい。ただし、後者の場合、人がやけどしない程度の温度(たとえば、45℃まで)の昇温に押えることが望ましい。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図12は、本発明の第3の実施の形態に係る浴槽水利用装置10Cの構成および設置状態を示している。図1に示した第1の実施の形態に係る浴槽水利用装置10と同一箇所には同一の符号を付してあり、それらの説明は適宜省略する。
第3の実施の形態では、タンク12内に熱交換器58を備えており、この熱交換器58でタンク12内の水を昇温して殺菌する機能を備えている。タンク12内の水を昇温することで、トイレ暖房のための熱を得ることができる。また、タンク12内の水を殺菌可能温度まで昇温することでタンク12の殺菌が可能になる。ここでは、殺菌可能温度まで昇温する例について説明する。なお、殺菌せず、トイレ暖房の目的のみに昇温する場合は、暖房可能温度以上に昇温すれば足りる。
風呂給湯器70は浴槽2への湯張りおよび追い焚きを行う機能のほか、熱交換器58を経由する循環回路74に風呂給湯器70で加熱した熱媒体を循環させる機能(暖房機能とする)を備えている。風呂給湯器70は、循環回路74を循環する熱媒体を加熱するための熱交換器71と、熱交換器71を加熱するバーナー72と、循環回路74に熱媒体を循環させるための循環ポンプ73を備えている。循環回路74に室内暖房用の放熱器を接続すれば、室内の暖房等を行うことも可能になっている。
浴槽水利用装置10Cは、タンク12を殺菌するとき、バーナー72を燃焼させ、循環ポンプ73を作動させる暖房運転を風呂給湯器70に行わせて、タンク12内の湯水を殺菌可能温度以上に昇温する。浴槽水利用装置10Cは暖房運転による殺菌処理を所定の設定時間が経過する毎に実行する。
また、浴槽水利用装置10Cは、図8のトイレ暖房処理に代えて、図13に示すトイレ暖房処理を行う。図13のトイレ暖房処理では、タンク12内の水温が暖房可能温度(暖房設定温度+所定温度)以下の場合に、風呂給湯器70を暖房運転し、熱交換器58からの放熱でタンク12内の湯水を昇温する。
図13では、図8のトイレ暖房処理と同一内容のステップには同一のステップ番号を付してある。まず、トイレに設けた人感センサ35がON(人を検知)になっている場合は(ステップS501;Yes)、換気ファン37を動作させて換気し(ステップS504)、放熱部17のファン32を停止させて(ステップS505)、本処理を終了する(リターン)。
人感センサ35がOFF(人を検知せず)になっている場合は(ステップS501;No)、リモコン40のトイレ暖房釦49によりトイレ暖房がONに設定されているか否かを調べる(ステップS502)。トイレ暖房がONに設定されている場合は(ステップS502;Yes)、タンク12内の水温(温度センサ15の検出温度)が、暖房可能温度より高いか否かを調べる(ステップS503)。
タンク12内の水温(温度センサ15の検出温度)が暖房可能温度以下の場合は(ステップS503;No)、風呂給湯器70による暖房運転を開始し(ステップS520)、タンク12内の水温が殺菌可能温度(ここでは60℃)以上になるまで(ステップS521;No)、暖房運転を継続し、タンク12内の水温が殺菌可能温度になったら(ステップS521;Yes)、暖房運転を停止して(ステップS522)、本処理を終了する(リターン)。
タンク12内の水温(温度センサ15の検出温度)が暖房可能温度より高い場合は(ステップS503;Yes)、人感センサ35がOFFになってから所定時間が経過しているか否かを調べる(ステップS506)。人感センサ35がOFFになってから所定時間が経過していない場合は(ステップS506;No)、換気を継続して、本処理を終了する(リターン)。人感センサ35がOFFになってから所定時間が経過している場合は(ステップS506;Yes)、換気ファン37をOFFにし(ステップS507)、放熱部17のファン32をONにして(ステップS508)、本処理を終了する(リターン)。
トイレ暖房がOFFに設定されている場合は(ステップS502;No)、放熱部17のファン32をOFFにする(ステップS509)。そして、人感センサ35がOFFになってから所定時間が経過していない場合は(ステップS510;No)、本処理を終了し(リターン)、人感センサ35がOFFになってから所定時間が経過している場合は(ステップS510;Yes)、トイレの換気ファン37をOFFにして(ステップS511)本処理を終了する(リターン)。
図14は、殺菌処理の詳細を示している。殺菌処理は、図5の処理が一巡する毎に実行される。たとえば、ステップS209とステップS210の間に挿入される。
まず、トイレ暖房がOFFか否かを調べ(ステップS701)、トイレ暖房がONの場合は(ステップS701;No)、本処理を終了する(リターン)。図13に示したように、リモコン40のトイレ暖房釦49がONにされている間はトイレ暖房のための暖房運転によりタンク12の殺菌が行われるので、当該殺菌処理での殺菌は、トイレ暖房釦49がOFFの場合のみ実行される。
トイレ暖房がOFFならば(ステップS701;Yes)、前回の殺菌から所定の設定時間が経過したか否かを調べる(ステップS702)。前回の殺菌から所定の設定時間が経過していなれば(ステップS702;No)、本処理を終了する(リターン)。
前回の殺菌から所定の設定時間が経過している場合は(ステップS702;Yes)、風呂給湯器70による暖房運転を開始する(ステップS703)。タンク12内の水温が殺菌可能温度(ここでは60℃)以上になるまで(ステップS704;No)暖房運転を継続し、タンク12内の水温が殺菌可能温度になったら(ステップS704;Yes)、暖房運転を停止して(ステップS705)、本処理を終了する(リターン)。
なお、図13のトイレ暖房処理において、前回の殺菌から所定の設定時間が経過したか否かを調べ、経過していない場合は暖房可能温度以上で殺菌可能温度より低い所定の温度に昇温し、経過している場合は殺菌可能温度に昇温するようにしてもよい。
図15は、第2の実施の形態で示した風呂給湯器60に、第3の実施の形態の風呂給湯器70が有する暖房機能を具備させた場合の構成例(浴槽水利用装置10D)を示している。この場合、タンク12内の殺菌は第2の実施の形態で示した方法と第3の実施の形態で示した方法のいずれで行ってもよい。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
第1から第3の実施の形態では、タンク12からきれいな水を中水補給管21に流して中水補給管21の洗浄を行ったが、第4の実施の形態では、上水給水管23を通じて供給される水(上水)を、逆流防止機能付き電磁弁を介して中水補給管21に送り込んで中水補給管21を洗浄する。
図16は、逆流防止機能付き電磁弁80の構成例を示している。逆流防止機能付き電磁弁80は、上水系と中水などの他の系とが直接接続される、所謂、クロスコネクションを防止する機能を備えた電磁弁である。
逆流防止機能付き電磁弁80は、上水の給水管が接続される入口81と、他の系の配管が接続される出口82と、他の系の配管から逆流してきた水を排水する排水口83を備えている。
内部には、電磁弁84と、第1弁85と、第2弁86と、第3弁87を備えている。入口81と出口82の間の通水路に、入口81側から順に、電磁弁84、第1弁85、第2弁86が直列に配列されている。電磁弁84、第1弁85、第2弁86はそれぞれ通水路を開閉する。
第1弁85、第2弁86は、通水路を閉じる方向にバネで付勢されており、給水管から入口81に上水が供給されて水圧がかかった状態で電磁弁84を開くと、上水の水圧によって第1弁85が開き、さらにその後段の第2弁86も開く。
排水口83は排水路を通じて第1弁85と第2弁86の間に通じており、第3弁87は該排水路に介挿されて該排水路を開閉する。第3弁87は開く方向にバネで付勢されている。給水管から入口81に上水が供給されて第3弁87の操作部に水圧がかかると第3弁87が閉じ、上水が断水して第3弁87の操作部に水圧がかからなくなると第3弁87が開くようになっている。
図16(a)は、断水時の状態を示している。断水すると第3弁87が開くので、仮に出口82側から中水が逆流してきても排水口83へ排出される。図16(b)は、上水が供給された通常状態で電磁弁84を開いた状態を示している。図16(c)は通常状態で電磁弁84を閉じた状態を示している。図中、の流れを破線で示してある。
図17は、第4の実施の形態に係る浴槽水利用装置10Eの構成例を示している。なお、図17では、トイレ暖房や臭い防止のための換気など中水補給管21の洗浄に関係ない部分については適宜省略してある。また、図1と同一部分には同一の符号を付してある。
浴槽水利用装置10Eは、順方向の入口81に上水給水管23が接続された逆流防止機能付き電磁弁80Aと、逆流防止機能付き電磁弁80Aの出口82に一端が接続され、他端が中水補給管21のタンク12側の端部近傍に合流された上水送出管91と、中水補給管21のうちの上水送出管91の合流箇所とタンク12側の端部との間に介挿されて中水補給管21を開閉する第2の逆流防止機能付き電磁弁80Bとを備えている。逆流防止機能付き電磁弁80A、第2の逆流防止機能付き電磁弁80Bは、図16の逆流防止機能付き電磁弁80と同一構造である。
さらに浴槽水利用装置10Eは、上水送出管91から分岐してタンク12内に通じた上水補給管92と、上水補給管92の分岐箇所と、中水補給管21との合流箇所との間で上水送出管91に介挿されて上水送出管91を開閉する上水送出管開閉電磁弁93を備えている。
また、逆流防止機能付き電磁弁80Aの排水口83には、便器3へ通じた第1の排水管94が接続され、第2の逆流防止機能付き電磁弁80Bの排水口83には、便器3へ通じた第2の排水管95が接続されている。
中水補給管21を洗浄する際には、逆流防止機能付き電磁弁80Aの電磁弁84を開くと共に上水送出管開閉電磁弁93を開く。これにより、上水給水管23からの上水が上水送出管91、中水補給管21を通じて浴槽2内へ流れ出て、中水補給管21が洗浄される。
浴槽水をポンプ11でタンク12へ汲み上げて補給するときは、上水送出管開閉電磁弁93を閉じ、第2の逆流防止機能付き電磁弁80Bの電磁弁84を開き、ポンプ11を動作させる。上水をタンク12に補給するときは、上水送出管開閉電磁弁93を閉じて、逆流防止機能付き電磁弁80Aの電磁弁84を開く。
上水送出管91側から逆流防止機能付き電磁弁80Aの出口82へ水が逆流した場合、その逆流した水は、逆流防止機能付き電磁弁80Aの排水口83から第1の排水管94を通じて便器3へ排水される。タンク12内の水が第2の逆流防止機能付き電磁弁80Bの出口82へ逆流した場合、その逆流した水は、第2の逆流防止機能付き電磁弁80Bの排水口83から第2の排水管95を通じて便器3へ排水される。これにより、タンク12内の水が浴槽2へ逆流することが防止される。なお、上水送出管開閉電磁弁93は、配管洗浄処理において開くときを除き、常時は閉じた状態に維持される。
ここでは、第2の逆流防止機能付き電磁弁80Bの出口82からタンク12へ至る中水補給管21の出口は、タンク12の低所に開口している。たとえば、タンク12の底に設けた取水口に中水補給管21の出口と排水配管26の入口が共通に接続される。このような構成では、中水補給管21の出口がタンク12内の水と縁切りがされていないので、第2の逆流防止機能付き電磁弁80Bを設けて、タンク12内の水が浴槽2へ逆流しないようにしている。
図18は、浴槽水利用装置10Eが行う配管洗浄処理(図5のステップS204)を示している。浴槽水利用装置10Eでは、上水給水管23からの上水を直接、中水補給管21に流すので、タンク12を空にした後、タンク12を上水で最高水位にする工程は不要になる。図18の配管洗浄処理では、浴槽2の栓が抜かれるのを待ち、浴槽2の栓が抜かれているときに、上水給水管23からの上水を中水補給管21を通じて浴槽2へ流して中水補給管21を洗浄する。
具体的には、浴槽2の水位が急減少中か否かを調べ(ステップS352)、急減少中でなければ(ステップS352;No)、本処理を一旦終了する(リターン)。浴槽2の水位が急減少中ならば(ステップS352;Yes)、浴槽2の水位が所定水位未満(浴槽水位なし)になるのを待つ(ステップS353;Yes)。
浴槽水位なしまで浴槽2の水位が低下したら(ステップS353;No)、逆流防止機能付き電磁弁80Aの電磁弁84を開き、上水送出管開閉電磁弁93を開く(ステップS354)。これより、上水が中水補給管21を通じて浴槽2へ流出して中水補給管21内が洗浄される。
このとき、浴槽水位ありになった場合は(ステップS355;Yes)、上水を中水補給管21から浴槽2へ排出したことによって浴槽2の水位が上昇したので、浴槽2の栓が閉じられたと推定できる。そこで、「浴槽の栓を開いてください」といった警告をリモコン40の表示部41に表示して(ステップS356)、逆流防止機能付き電磁弁80Aの電磁弁84を閉じ、上水送出管開閉電磁弁93を閉じて(ステップS357)、ステップS355に戻る。警告表示は、浴槽水位なしになるまで継続される。
浴槽水位なしならば(ステップS355;No)、洗浄時間が、予め設定された設定洗浄時間に達したか否かを調べる(ステップS358)。設定洗浄時間の洗浄が完了していなければ(ステップS358;No)ステップS354へ移行して、上水による中水補給管21の洗浄を継続する。
設定洗浄時間が完了した場合は(ステップS358;Yes)、逆流防止機能付き電磁弁80Aの電磁弁84を閉じ、上水送出管開閉電磁弁93を閉じる(ステップS359)。次に、配管洗浄フラグをOFFにし、中水利用連続運転時間を0にリセットして(ステップS360)、本処理を終了する(リターン)。
リモコン40の配管洗浄釦46が操作された場合(手動の配管洗浄指示を受けた場合)は、配管洗浄フラグをONにし(ステップS351)、ステップS352へ移行する。
なお、浴槽水利用装置10Eの場合、逆流防止機能付き電磁弁80Aの電磁弁84と上水送出管開閉電磁弁93を閉じて上水の供給を停止させても、中水補給管21内の水は排出されず中水補給管21の中を空にすることはできない。そのため、洗浄する期間と洗浄しない期間を交互に設けても洗浄効率を高めることはできない。そこで、設定洗浄時間が完了するまで連続的に上水を中水補給管21に流すようにしている。
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図19は、第5の実施の形態に係る浴槽水利用装置10Fを示している。なお、図19では、トイレ暖房や臭い防止のための換気など中水補給管21の洗浄に関係ない部分については適宜省略してある。また、図1、図17と同一部分には同一の符号を付してある。
浴槽水利用装置10Fは、第4の実施の形態と同様に上水給水管23を通じて供給される水(上水)を、逆流防止機能付き電磁弁を介して中水補給管21に送り込んで中水補給管21を洗浄する。浴槽水利用装置10Fでは、タンク12内の水と中水補給管21とは、タンク内の高低差(空間)で縁切りされている。
浴槽水利用装置10Fは、順方向の入口81に上水給水管23が接続された逆流防止機能付き電磁弁80Aと、逆流防止機能付き電磁弁80Aの出口82に一端が接続され、他端が中水補給管21のタンク12側の端部近傍に合流された上水送出管91と、中水補給管21のうちの上水送出管91の合流箇所とタンク12側の端部との間に介挿されて中水補給管21を開閉する中水電磁弁22とを備えている。中水補給管21はタンク12の最高水位より高い位置でタンク12内に開口している。
さらに浴槽水利用装置10Fは、上水給水管23から分岐し、終端がタンク12の最高水位より高い位置でタンク12内に開放された上水補給管97と、上水補給管97に介装されて上水補給管97を開閉する上水補給電磁弁98を備えている。逆流防止機能付き電磁弁80Aの排水口83には、便器3へ通じた第1の排水管94が接続されている。
浴槽水利用装置10Fでは、中水補給管21を洗浄する際には、逆流防止機能付き電磁弁80Aの電磁弁84を開き、上水補給電磁弁98を閉じ、中水電磁弁22を閉じる。これにより、上水給水管23からの上水が上水送出管91、中水補給管21を通じて浴槽2内へ流れ出て、中水補給管21が洗浄される。
浴槽水をポンプ11でタンク12へ汲み上げて補給するときは、逆流防止機能付き電磁弁80Aの電磁弁84を閉じ、上水補給電磁弁98を閉じ、中水電磁弁22を開き、ポンプ11を動作させる。上水をタンク12に補給するときは、逆流防止機能付き電磁弁80Aの電磁弁84を閉じ、上水補給電磁弁98を開く。
上水補給管97および中水補給管21は、タンク12の最高水位より高い位置でタンク12内に開口しているので、空間によりタンク12内の水と縁切りされている。これにより、たとえば、上水補給電磁弁98が故障しても、タンク12内の水が上水給水管23へ逆流することはない。また、中水電磁弁22が故障しても、タンク12内の水が浴槽2へ逆流することはない。
浴槽水利用装置10Fの配管洗浄処理の流れは基本的に図18と同一である。ただし、ステップS354では、逆流防止機能付き電磁弁80Aの電磁弁84を開き、ステップS356、S359では、逆流防止機能付き電磁弁80の電磁弁84を閉じる。また、中水電磁弁22、上水補給電磁弁98は配管洗浄中、閉じた状態を維持する。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
たとえば、取水口2aは、図20に示すように浴槽2の底部に設けられてもよい。これにより、より多くの残り湯をタンク12に移送して利用することができる。
また、図21に示すように、ポンプ11を天井裏などの上方に設置してもよい。なお、ポンプ11を上方に設置した場合、ポンプ11を順方向に動作させても、最初は、浴槽水を吸ってこない。そこで、試運転モードなどを設け、まず、タンク12内に水を貯め(たとえば、上水電磁弁24を開いて上水を貯め)、その後、ポンプ11を逆転させてタンク12からポンプ11へ水を逆流させてポンプ11に呼び水を与えるようにしてもよい。
なお、便器3はロータンク付き(手洗いなし)のものでもかまわない。ロータンク付きの場合、フローセンサ27を設けなくてもよい。また、たとえば、排水電磁弁28、手動フラッシュ弁29を設けない構成としてもよい。
実施の形態では、フローセンサ27で排水量を計測し、中水排水釦44の1回の操作に対して、設定水量を排水したときに排水電磁弁28を閉じるように制御したが、一定時間の排水で排水電磁弁28を閉じる構成でもよい。
また、実施の形態では、中水排水カウンタによりタンク12への水の補給時期を管理したが、たとえば、タンク12を最高水位にした後にフローセンサ27が検知した排水量からタンク12の残水量を認識して、水の補給時期等を制御してもよい。
実施の形態では、タンク12をトイレの天井裏に設置したが、便器3より上方であれば、すなわち、位置エネルギーを利用した自然落下によってタンク12から便器3へタンク12内の水を排水できればよく、天井裏に限定されるものではない。
タンク12に貯めた水の用途は便器3の洗浄に限定されない。庭木への自動散水等であってもよい。