以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの全体構成図である。図1において、600はカラーレーザプリンタ、600Aはフルカラーレーザプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。プリンタ本体600Aには、シートに画像を形成する画像形成部600B、シートを給送する給紙部600C、給紙部600Cから給送されたシートを画像形成部600Bに搬送するシート搬送装置100等が設けられている。
画像形成部600Bは、プリンタ本体600Aに着脱可能に装着されると共に、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像を形成するプロセスカートリッジ8(8Y,8M,8C,8K)を備えている。ここで、プロセスカートリッジ8は、像担持体である感光体ドラム1(1Y,1M,1C,1K)、帯電ローラ2(2Y,2M,2C,2K)、現像ローラ3(3Y,3M,3C,3K)等を有している。また、画像形成部600Bは、プロセスカートリッジ8の鉛直下方に配置され、画像情報に基づいてレーザービームを照射し、感光体ドラム1上に静電潜像を形成するスキャナユニット4を備えている。
また、図1において、600Dは中間転写ベルトユニットであり、この中間転写ベルトユニット600Dは、中間転写ベルト601と、中間転写ベルト601の内側に配設された1次転写ローラ7(7Y,7M,7C,7K)を備えている。なお、中間転写ベルト601は、2次転写対向ローラ602T、駆動ローラ6、テンションローラ5に張架されている。ここで、駆動ローラ6は、中間転写ベルト601を中間転写ベルト601の表面の速度が各感光体ドラム1の表面の速度と略同じになるよう、矢印Bの方向(時計回り)に駆動するローラであり、不図示の駆動源により回動駆動される。
また、1次転写ローラ7は、各感光体ドラム1に対向して配設されて1次転写部T1(T1Y,T1M,T1C,T1K)を構成するものであり、不図示のバイアス印加手段により転写バイアスを印加する構成となっている。そして、この1次転写ローラ7によって中間転写ベルト601に1次転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト601に転写され、これにより中間転写ベルト上にはフルカラー画像が形成される。また、2次転写対向ローラ602Tは、2次転写ローラ602とにより、順次中間転写ベルト601に形成されたフルカラー画像をシートに転写する2次転写部T2を構成する。
給紙部600Cは、プリンタ本体600Aに着脱可能に装着された給紙カセット9、給紙カセット9に収納されたシートSを給送するピックアップローラ10等を有している。シート搬送装置100は、ピックアップローラ10により送り出されたシートを1枚ずつ分離するシート分離部13と、シート分離部13を通過したシートの先端を中間転写ベルト601上のトナー像と平行となるように補正する斜行補正部12を備えている。なお、斜行補正部12は、シートの斜行を補正した後、中間転写ベルト601上のトナー像が2次転写部T2に到達するのに合わせてシートSを2次転写部T2に導入する。
なお、図1において、604は、シート上に形成した画像に熱及び圧力を加えてトナー像を定着させる定着部であり、加熱ローラ604a及び加熱ローラ604aに圧接される加圧ローラ604bを有している。また、605はカラーレーザプリンタ600を制御する制御手段としての制御基板であり、この制御基板605は、プリントスタート信号に基づいて、各感光体ドラム1上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する。
次に、このように構成されたカラーレーザプリンタ600の画像形成動作について説明する。不図示のパソコン等から画像信号がスキャナユニット4に入力されると、スキャナユニット4から、画像信号に対応したレーザ光が感光体ドラム上に照射される。このとき感光体ドラム1は、帯電ローラ2により表面が予め所定の極性・電位に一様に帯電されており、スキャナユニット4からレーザ光が照射されることによって表面に静電潜像が形成される。この後、この静電潜像を現像ローラ3により現像し、可視化する。
ここで、本カラーレーザプリンタ600では、まず感光体ドラム1Yに、原稿のイエロー成分色の画像信号によるレーザ光をスキャナユニット4から照射し、感光体ドラム1Y上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像を、現像ローラ3Yからのイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。この後、感光体ドラム1Yの回転に伴ってトナー像が感光体ドラム1Yと中間転写ベルト601とが当接する1次転写部T1に到来すると、1次転写ローラ7Yに印加した1次転写バイアスにより、感光体ドラム上のイエロートナー像が中間転写ベルト上に転写される。
次に、中間転写ベルト601のイエロートナー像を担持した部位が移動すると、このときまでに上記と同様な方法で感光体ドラム1M上に形成されたマゼンタトナー像が、イエロートナー像上から中間転写ベルト601に転写される。同様に、中間転写ベルト601が移動するにつれて、それぞれ1次転写部においてシアントナー像、ブラックトナー像が、イエロートナー像、マゼンタトナー像上に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト上にフルカラートナー画像が形成される。
また、このトナー画像形成動作に並行して、給紙カセット9に収容されたシートSはピックアップローラ10により送り出された後、シート搬送手段であるシート分離部13によって一枚ずつ分離されて搬送される。この後、シートSは斜行補正部12に搬送され、斜行補正部12において斜行が補正される。そして、シートSは、2次転写部T2で中間転写ベルト上のフルカラートナー像とシートSの位置を合わせるように、斜行補正部12により2次転写部T2まで搬送される。そして、2次転写部T2において、2次転写ローラ602に正極性のバイアスを印加することにより、搬送されたシートSに、中間転写ベルト601上の4色のトナー像が2次転写される。なお、シートSへの2次転写の後、中間転写ベルト上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニング装置603によって除去され、除去されたトナーは、不図示の廃トナー回収容器へと回収される。
トナー像転写後のシートSは、定着部604に搬送され、加熱ローラ604a及び加圧ローラ604bによって加熱、加圧されてその表面にフルカラーのトナー像が永久画像として定着される。次に、このようにフルカラーのトナー像が永久画像として定着された後、シートSは、片面に画像を形成する場合には、シート排出部600Eによってシート積載部600Fに排出積載される。また、両面に画像を形成する場合には、両面搬送部600Gにより、再度、画像形成部600Bに搬送されて両面に画像が形成された後、シート積載部600Fに排出積載される。
図2はシート搬送装置100に設けられた斜行補正部12の構成を説明する図であり、図2の(a)は斜行補正部12の斜視図、図2の(b)は、図2の(a)と反対側から見た斜行補正部12の斜視図である。斜行補正部12は、感光体ドラム1の回転軸に対して、ローラ軸101fが平行に配置されたレジストレーションローラ101と、搬送コロ102(102a〜102e)とから成る回転体対であるレジストレーションローラ対101,102を備えている。レジストレーションローラ101は、ローラ軸101fと、ローラ軸101fに所定の間隔を設けて固定された複数のローラ本体101a〜101eを備えている。そして、レジストレーションローラ101の複数のローラ本体101a〜101eに、搬送コロ102a〜102eが圧接している。
なお、本実施の形態において、搬送コロ102(102a〜102e)は、シート搬送装置本体を構成する搬送フレーム201に対してレジストレーションローラ101の方向に沿って移動可能に支持された不図示の軸受け部により回転自在に軸支されている。そして、不図示の軸受け部を図3に示すコロ押圧手段501とコロ押圧バネ502によってレジストレーションローラ側に付勢することにより、搬送コロ102a〜102eは、ローラ本体101a〜101eに圧接する。
なお、図3において、302は搬送フレーム201に対して回転自在(移動自在)、かつ感光体ドラム1の回転軸方向に対して平行に軸支された移動部材であるシャッタ軸である。このシャッタ軸302には、図4に示すように複数のシャッタ部材301A〜301Dが回転自在に保持されている。なお、このシャッタ軸302の一端部にはシャッタ部材301の姿勢(位相)を決めるシャッタカム303が設けられている。
なお、図4において、304は搬送フレーム201に対し揺動可能に軸支された押圧部材であり、この押圧部材304の下端にはカムフォロア306が回転自在に軸支されている。そして、この押圧部材304に設けられたカムフォロア306は、搬送フレーム201に固定されたシャッタバネ305により、シャッタカム303に常時圧接している。なお、本実施の形態において、このシャッタカム303と、カムフォロア306と、付勢部材であるシャッタバネ305とにより、シャッタ軸302を付勢する付勢手段12Aが構成される。
なお、図3に示すように、シャッタ軸302は回転体対の一方の回転体である搬送コロ102の軸102gと同軸上に設けられると共に、搬送コロ102の軸102gはシャッタ軸302の外周面との間にクリアランスTを形成するように支持されている。これにより、搬送コロ102が移動しても、シャッタ軸302とは接触することはなく、この結果、搬送コロ102へのコロ押圧手段501、コロ押圧バネ502の付勢力がシャッタ軸302にかかることはない。したがって、搬送コロ102を付勢しても、シャッタ軸302と一体に取り付けられたシャッタ部材301A〜301D及びシャッタカム303の回転動作が阻害されることはない。
シャッタ軸302には、図5に示すようにシャッタ軸302に複数設けられたシャッタ部材301A〜301Dと当接してシャッタ部材301A〜301Dの回転を規制する当接部を構成する規制部材401が設けられている。そして、複数のシャッタ部材301A〜301Dは、この規制部材401を介してシャッタ軸302に同位相で配設されている。また、シャッタ部材301A〜301Dと規制部材401との間には隙間gが形成されている。これにより、シャッタ部材301A〜301Dは、規制部材401との間の隙間角度α分だけ、シャッタ軸302に対し、それぞれ独立して回転することができる。なお、本実施の形態において、隙間角度αを5°と設定している。またシャッタ部材301の周面には、シートS先端に当接してシートSを係止する3つ(複数)の係止面301a,301b,301cが同じ間隔で設けられている。
図5は、シャッタ部材301が、シートSが当接する前の位置である待機位置(以下、ホーム位置という)にあるときの状態を示している。このとき、シャッタ部材301は、3つの係止面301a〜301cのうちのいずれかが、レジストレーションローラ対101,102のニップ部N(図3参照)よりシート搬送方向上流に位置した姿勢となるようになっている。図6は、このときのシャッタカム303等の状態を示しており、シャッタカム303は、シャッタバネ305により付勢された押圧部材304のカムフォロア306が圧接することにより、シャッタ部材301をホーム位置に保持している。
一般にカラーレーザプリンタ600において、図7に示すように、給紙カセット9より給紙、搬送されたシートSが、レジストレーションローラ対101,102に対してΔS傾いた姿勢で進入する場合がある。この時、シャッタ軸302に固定された複数のシャッタ部材301が存在しないと、シートSは傾いた姿勢のまま搬送されて2次転写部T2に到達し、シートSに転写される画像はシートSに対して傾いて形成されることになる。しかし、シャッタ軸302に固定された複数のシャッタ部材301を、レジストレーションローラ対101,102のニップ部Nよりもシート搬送方向上流に位置させることによりシートSの傾きを補正することができる。
次に、このような構成の斜行補正部12の斜行補正動作について説明する。まず、傾いて搬送されたシートSの先行側の先端部は、図5に示すようにレジストレーションローラ対101,102のニップ部Nよりもシート搬送方向上流に位置しているシャッタ部材301Aの係止面301aに近づいていく。この時、シャッタカム303は、図6に示すように、シャッタバネ305の付勢力により、シャッタ部材301Aの係止面301aによってシート先端を揃える当接位置であるホーム位置で待機している。
次に、図8の(a)に示すように、シート先端が係止面301aと接触すると、シャッタ部材301はシートSに押され、矢印z1の方向に回転する。この時、シャッタ部材301と規制部材401との間には隙間が形成されているので、シャッタ部材301Aは、隙間角度α分だけ回転し、規制部材401に当接する。これにより、隙間gが解消され、シャッタ部材301Aは、規制部材401に対し回転前と逆方向に隙間角度αを形成し、係止面301が301a’に示す位置となる位置で回転が一時停止する。このときシャッタ部材301Aの回転により発生するシャッタ軸302との摺動抵抗は、シャッタカム303の姿勢を決めるシャッタバネ305の付勢力と比べ十分に小さいため、図8の(b)に示すように、規制部材401とシャッタ軸302の姿勢は変わらない。
また、シャッタ部材301Aが回転すると、係止面301は、301a’に示す位置に移動するが、このときの係止面301の位置は、レジストレーションローラ対101,102のニップ部Nよりシート搬送方向上流に位置している。ここで、シャッタ部材301Aが規制部材401によって回転を止められると、シートSは、シャッタバネ305により付勢されたシャッタカム303の保持力の反力を受ける。しかし、このようにシートSにより1つのシャッタ部材301Aが押圧された時点では、シャッタ部材301が回動することができないようにシャッタバネ305の付勢力が設定されている。
次に、図8の(c)に示す状態までシート分離部13が更にシートSを搬送すると、傾いて搬送されたシートSの先行側の先端部は、シャッタ部材301Aの係止面301a’に係止された状態のまま、搬送される。この後、傾いて搬送されたシートSの遅れ側の先端部が、シート先端部に対応する位置に配置された複数のシャッタ部材301B、301C、301Dの係止面301aに順次当接し係止されていく。この過程で、シートSは、矢印y方向に湾曲したループを形成して行く。
このシートSのループは、図7に示す先に係止されていたSr側の方が、Sl側より大きくなり、やがて所定の大きさとなる。ここで、ループが所定の大きさになると、シートSのコシ(剛性)によりシートSは、レジストレーションローラ対101,102の回転軸方向に対して先端がシャッタ部材301A〜301Dの係止面301a’に倣うことで平行になり、傾きΔSが0となる。なお、このようにシートSの傾きΔSが0となるように補正されるときも、図8の(d)に示すように、規制部材401とシャッタ軸302の姿勢は変わらない。つまり、シャッタ軸302は回転しない。
そして、シートSがシャッタ部材301A〜301Dに倣うようになると、シャッタ部材301A〜301D及びシャッタカム303を、シャッタ軸302を中心に図9の(a)に示す矢印z2方向に回転させる力がシートSのコシ(剛性)により発生する。これにより、シャッタ部材301A〜301Dとシャッタ軸302とは一体的に回転し、レジストレーションローラ対101,102とのニップ部Nにシートを進入させる通過位置に移動する。
そして、シャッタ部材301A〜301Dを回転させながらレジストレーションローラ対101,102とのニップ部Nに進入した後、シートSは、所定のタイミングで回転を開始するレジストレーションローラ対101,102により、挟持搬送される。なお、シャッタ部材301がシートSにより押されてシャッタ軸302が一体的に回転すると、図9の(b)に示すようにシャッタカム303も回転する。
ところで、シートのループを形成する際、搬送フレーム201及び搬送ガイド202により形成されたシート搬送路内で、より大きくループを形成する方が斜行補正能力は高くなる。このため、図9の(a)に示すように、搬送フレーム201及び搬送ガイド202により形成されたシート搬送路Rにおいてループ形成スペース902を広く設け、所定のループを形成することが望ましい。なお、所定のループとは、シートSがループ形成スペース902内でループを形成し、搬送ガイド801にループの一部が接触することで、シートSのコシ(剛性)が強くなり、シャッタ部材301を押上げることができるループのことである。
次に、図9の(c)に示すように、シャッタ部材301(301A〜301D)はレジストレーションローラ対101,102の搬送力にて搬送されたシートSの先端が進行することにより、矢印z3方向に回転する。そして、シャッタ部材301が回転すると、これに伴い、シャッタカム303は、図9の(d)に示すように、シャッタカム303の上死点を越える。ここで、シャッタカム303が上死点を越えると、シャッタ部材301には、シャッタカム303及びシャッタバネ305によって図10の(a)に示す矢印z4方向への回転力が発生する。
しかし、このときシャッタ部材301の当接面である周面311bが、搬送中のシートSと接している。ここで、シートSはループを形成することによりコシが強くなっており、このようにコシの強くなった状態のシートSと接触すると、シャッタ部材301は回転できずに止められる。なお、シャッタ部材301が回転しない状態の時でも、図10の(b)に示すようにシャッタバネ305によりシャッタカム303には回転力が働くので、シャッタカム303及びシャッタ軸302はシャッタバネ305により回転する。つまり、本実施の形態においては、搬送中のシートSにシャッタ部材301の周面311bを当接させてシャッタ部材301を停止させることにより、シャッタカム303及びシャッタ軸302のみを回転させるようにしている。
これにより、シャッタカム303及びシャッタ軸302のみ、図10の(c)に示す矢印z5方向に隙間角度α分、回転し、この後、規制部材401により隙間角度αを形成した状態で停止する。このようにシートSの搬送中、シャッタ部材301は、シートSを周面311bと搬送ガイド202で挟むような姿勢で保持される。また、隙間角度α分回転した後、シャッタカム303は、シャッタ部材301が停止しているので、図10の(d)に示すシャッタカム303の上死点を越えた位置で停止している。
次に、さらにシートSが搬送され、シートSの後端がシート分離部13を抜けると、シートSのコシは弱くなる。そして、シートSのコシが弱くなると、シャッタ部材301はシャッタカム303及びシャッタ軸302と共に、図11の(a)に示すように矢印z6方向に徐々に回転すると共に、シャッタカム303及びシャッタ軸302も、図11の(b)に示すように回転する。
そして、シートSの後端がシャッタ部材301から完全に離れると、図11の(c)に示すように、シャッタ部材301は、係止面301bが次のシートSの先端を揃えるためのホーム位置で待機した状態となる。また、シャッタカム303は、図11の(d)に示すように、シャッタバネ305の付勢力により、シャッタ部材301をホーム位置に保持する状態に戻る。以後、シートSがレジストレーションローラ対101,102を通過する度、係止面は301a→301b→301c→301aと順次に変わっていき、それぞれの係止面が、新たに給紙されたシートS先端の係止を行うことで、シートSの斜行を補正していく。
なお、図12は、このようなシャッタ部材301の位置と、シャッタカム303の半径及び角度の関係を示す図である。そして、図12に示すカム線図のように、本実施の形態においては、シャッタカム303が75°回転すると、シャッタカム303が上死点位置に移動するように設定している。また、この後、シャッタカム303が上死点位置から45°回転すると、シャッタ部材301はホーム位置に移動するように設定している。
以上説明したように、本実施の形態では、シート先端が係止面301aと接触すると、シャッタ部材301のみを隙間gを解消しながら隙間角度α分回転させるようにしている。このようにシャッタ部材301のみを回転させることにより、シャッタ部材301を介して斜行補正部12が受ける衝撃を吸収、あるいは低減させることができる。これにより、シートSがシャッタ部材301に接触した際に発生していた衝突音を減少させることができる。つまり、本実施の形態のように、シャッタ軸302をシャッタ部材301との間に隙間を設けて配置し、シャッタ部材301が当接位置から移動する間にシャッタ軸302に当接させることにより、シートとシャッタ部材との衝突音を低減することができる。
また、本実施の形態においては、シャッタ部材301が通過位置に移動した後、シャッタ部材301の周面311bがシートSと接触すると、シャッタ部材301は停止するが、シャッタカム303及びシャッタ軸302は隙間角度α分回転する。そして、このシャッタカム303及びシャッタ軸302の回転動作により、シャッタ部材301がホーム位置に戻ったとき、常に隙間角度αが確保された状態となる。これにより、この後、次のシートが搬送されてシャッタ部材301に当接しても斜行補正部12で発生するシートSとの衝突音を常に減少させる状態を維持することができる。
さらに、本実施の形態においては、既述したように、搬送フレーム201及び搬送ガイド202により形成されたシート搬送路内で、より大きくループを形成することにより、シートSのコシを強くするようにしている。これにより、坪量が60g/m2以下のような剛性の小さいシートを搬送する場合でも、シートがシャッタ部材301と衝突した際のシート先端の変形を抑えることができ、シート斜行補正能力も向上させることができる。
ところで、これまではシャッタ軸302に規制部材401を設け、シャッタ部材301が隙間角度α分回転可能となるようにシャッタ部材301と規制部材401との間に隙間gを形成する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、図13に示すように、シャッタ部材301にシャッタ軸302との間に隙間を形成する凹部403を設けるようにしても良い。そして、この凹部403により、シャッタ部材301が隙間角度α分だけ、シャッタ軸302に対し、それぞれ独立して回転することができるようにしても良い。
また図14に示すように、シャッタ部材301と規制部材401の間に、シャッタバネ305、シャッタカム303より発生する回転力に比べ弱いバネやバネ性を持つ弾性部材901を設けるようにしても良い。そして、この弾性部材901によってシャッタ部材301を矢印z7の方向に付勢することにより、シャッタ部材301が通過位置に移動した後、シャッタカム303及びシャッタ軸302を確実に隙間角度α分回転させることができる。つまり、シャッタ部材301と規制部材401の間に弾性部材901を設けることにより、シート斜行補正機能を損なうことなく、シート通紙後、シャッタ部材301と規制部材401との間の隙間角度αを確実に保持することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図15は、本実施の形態に係るシート搬送装置に設けられた斜行補正部の構成を説明する図である。なお、図15において、既述した図4と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
図15において、175はコロ軸であり、搬送コロ102(102a〜102e)は、コロ軸175を中心とし、搬送コロ102の内周面とコロ軸175の外周面と接触して回転する。また、搬送コロ102は、コロ軸175の両端に設けられたコロ軸押圧バネ176により、レジストレーションローラ101の複数のローラ本体101a〜101eに対して押圧されている。
また、171(171A〜171D)はシャッタ部材であり、シャッタ部材171は、シャッタ保持部材172に同位相で固定されている。そして、このシャッタ保持部材172は、移動部材である揺動規制部材173とローラ軸受174を介して、レジストレーションローラ101のローラ軸101fに揺動可能に支持されている。
ここで、シャッタ保持部材172は規制部172aを有し、図16に示すように、この規制部172aと揺動規制部材173とは隙間gを形成している。そして、この隙間gの角度である隙間角度α分、揺動規制部材173に対し、シャッタ保持部材172、すなわちシャッタ部材171は、独立して回転可能となっている。なお、本実施の形態において、隙間角度αを5°と設定している。
また、シャッタ保持部材172のシート搬送時以外の位置は、シャッタ部材171の係止面171aがレジストレーションローラ対101,102のニップ部Nよりシート搬送方向上流側に位置した姿勢となるよう揺動規制部材173によって保持される。なお、揺動規制部材173は、付勢手段である揺動バネ177により矢印z8方向に付勢されており、ストッパ181によってホーム位置での姿勢が規制される。
次に、このような構成の斜行補正部12の斜行補正動作について説明する。まず、ホーム位置にある複数のシャッタ部材171A〜171Dのうち、図16の(a)に示した例えばシャッタ部材171Aの係止面171aに、図16の(b)に示すように、搬送されたシートSの先端が接触する。
このようにシートSの先端が接触すると、シャッタ部材171はシートSに押され、シャッタ保持部材172と共に矢印z9方向に揺動する。そして、シャッタ保持部材172が隙間角度α分揺動すると、規制部172aが揺動規制部材173に当接し、揺動規制部材173に対し揺動前と逆方向に隙間角度αを形成し、係止面171aが171a’に示す位置となる位置で揺動が停止する。
この時、シャッタ保持部材172の揺動により発生するローラ軸受174との摺動抵抗は、揺動バネ177の付勢力に比べ十分に小さいため、揺動規制部材173の姿勢は変わらない。また係止面171a’は、レジストレーションローラ対101,102のニップ部よりシート搬送方向上流に位置している。
ここで、シャッタ保持部材172が、揺動規制部材173によって揺動を止められると、シートSは、揺動バネ177の反力を受ける。ここで、このようにシートSにより1つのシャッタ部材171Aが押圧された時点では、シャッタ部材171が回動することができないように揺動バネ177の付勢力が設定されている。
しかし、この後、シートSが搬送され、既述したようにシートSに所定のループが形成されると、シートS先端の傾きが補正されると共に、シート先端が、シャッタ部材171を押し上げる。これにより、シートSはレジストレーションローラ対101,102のニップ部に進入し、レジストレーションローラ対101,102により搬送される。
ここで、シャッタ部材171が押し上げられると、シャッタ部材171と一体にシャッタ保持部材172が押し上げられ、さらにシャッタ保持部材172の規制部172aを介して揺動規制部材173がシャッタ保持部材172と共に揺動する。これにより、シートSが搬送されている間、図17の(a)に示すように、揺動バネ177の付勢力により、シャッタ部材171の先端がシートSと当接した状態で搬送される。
この後、図17の(b)に示すようにシートSが斜行補正部12から抜けると、揺動バネ177の付勢力により、揺動規制部材173は、移動方向と逆方向に移動して図16の(a)に示すホーム位置に戻る。なお、本実施の形態において、シャッタ保持部材172とシャッタ部材171の重心位置は、レジストレーションローラ101のローラ軸101fの中心よりもニップ部側となるように設定されている。このため、揺動規制部材173がホーム位置に戻ると、シャッタ保持部材172とシャッタ部材171は、シャッタ保持部材172とシャッタ部材171の自重や、揺動バネ177で発生した回転力により、隙間角度αを形成しながらホーム位置に戻る。つまり、シートがシャッタ部材171を通過すると、揺動規制部材173は、揺動バネ177の付勢力により移動方向と逆方向にシャッタ部材171を離間させながら移動する。
このように、本実施の形態においては、シートS先端が係止面171aと接触した後、斜行補正動作を開始する前にシャッタ保持部材172、すなわちシャッタ部材171のみが隙間角度α分揺動する。そして、このシャッタ保持部材172の揺動動作により、シート分離部13より搬送されたシートS先端からシャッタ部材171を介して斜行補正部12が受ける衝撃を吸収することができる。これにより、シートSがシャッタ部材171に接触した際に発生していた衝突音を減少させることができる。
なお、これまでの説明においては、シャッタ保持部材172(シャッタ部材171)をレジストレーションローラ101のローラ軸101fを支点として揺動させる場合について、説明したが本発明は、これに限らない。シャッタ保持部材172(シャッタ部材171)を搬送コロ102のコロ軸175を支点として揺動させるようにしても良い。つまり、シャッタ保持部材172(シャッタ部材171)を、レジストレーションローラ対101,102いずれかの軸に対し揺動可能に設けるようにすれば良い。
また、図18の(a)に示すように、シャッタ保持部材172の規制部172aと揺動規制部材173の間に、矢印z10の方向に付勢する揺動バネ177より弱いバネ力のバネやバネ性を持つ弾性部材231を備えた構成でも良い。これにより、シート斜行補正機能を損なうことなく、シートS通紙後、シャッタ保持部材172と揺動規制部材173の間の隙間角度αを確実に保持することができる。
さらに、図18の(b)に示すように、シャッタ部材171をシャッタ保持部材172に対して隙間距離402cだけ移動可能に設け、揺動バネ177がシャッタ保持部材172を直接付勢する構成でもよい。これにより、シートS先端が係止面171aに当接した際、シャッタ部材171のみが隙間距離402c移動し、衝突音を減少させる効果を得ることができる。なお、このような構成の場合、シャッタ保持部材172が移動部材を構成する。