JP6289991B2 - 二層構造超硬合金 - Google Patents

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Description

本発明は、工具に使用する超硬合金に関するものである。
超硬合金から形成される切削工具が供されており、母材となる超硬合金の表面にダイヤモンドをコーティングすることで、切削性や耐摩耗性の向上を図る技術が知られている。超硬合金にはCoが結合剤として含有される。Coは、超硬合金の抗折力の向上に寄与する一方で、母材表面に対するダイヤモンドの密着力を低下させる。
これに対し、特許文献1には、母材となる超硬合金の表層部(外層部)におけるCo含有量を、中間層部および内層部におけるCo含有量よりも小さな値に設定することで、コーティングされたダイヤモンドの密着力を確保する技術が開示される。
特開平11−172361号公報(例えば、段落0008)
しかしながら、上述した従来の技術では、表層部(外層部)、中間層部および内層部のそれぞれにおいてWCの粒径が異なるため、粒径による境界が形成される。そのため、境界面での強度低下に起因して、抗折力が低下するという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、コーティングされたダイヤモンドの密着力を確保しつつ、抗折力の向上を図ることができる超硬合金および切削工具を提供することを目的とする。
この目的を達成するために請求項1記載の超硬合金は、WCに少なくともCoを混合して焼結した超硬合金において、コア層部と、そのコア層部の外面側に配設される外層部と、を備え、前記Coの含有量は、前記コア層部において5wt%以上かつ15wt%以下に設定されると共に、前記外層部において0.2wt%以上かつ1.5wt%以下に設定され、前記WCの粒径は、前記コア層部および外層部において同一であって、0.1μm以上かつ0.μm以下に設定される。
請求項2記載の超硬合金は、請求項1記載の超硬合金において、前記コア層部と外層部との間に介設され、前記コア層部から外層部へ向かうに従って前記Coの含有濃度が減少される濃度勾配層部を備える。
請求項3記載の超硬合金は、請求項2記載の超硬合金において、前記濃度勾配層部の厚み寸法が1μm以上かつ10μm以下に設定される。
請求項4記載の超硬合金は、請求項1から3のいずれかに記載の超硬合金において、前記外層部の厚み寸法が200μm以上かつ600μm以下に設定される。
請求項5記載の超硬合金は、請求項1から4のいずれかに記載の超硬合金において、前記コア層部は、円柱状に形成され、前記外層部は、前記円柱状のコア層部の一方の軸方向端面および外周面を覆う有底筒状に形成される。
請求項6記載の切削工具は、請求項1から5のいずれかに記載の超硬合金から形成される切削工具であって、前記外層部に切れ刃が形成されると共に少なくとも前記切れ刃にダイヤモンドがコーティングされる。
請求項1記載の超硬合金によれば、外層部では、Coの含有量が1.5wt%以下に設定されるので、コーティングされたダイヤモンドの密着力を確保できる。この場合、Coの含有量が0.2wt%以上に設定されることで、靱性の低下が抑制される。一方、コア層部では、Coの含有量が5wt%以上に設定されるので、抗折力の向上を図ることができる。この場合、Coの含有量が15wt%以下に設定されることで、抗折力の向上に寄与できる上限を越えてCoが含有されることが抑制される。
特に、請求項1によれば、コア層部と外層部とにおけるWCの粒径が同一に設定されるので、粒径による境界が形成されて境界面での強度が低下することを抑制できる。よって、抗折力の向上を図ることができる。
この場合、WCの粒径は、0.1μm以上に設定されるので、粒径を小さくする特殊な加工を必要とせず、コストの低減を図ることができる一方、0.μm以下に設定されるので、コーティングされたダイヤモンドの密着力を良好にすることができる。
請求項2記載の超硬合金によれば、請求項1記載の超硬合金の奏する効果に加え、コア層部と外層部との間に介設され、コア層部から外層部へ向かうに従ってCoの含有濃度が減少される濃度勾配層部を備えるので、含有濃度による境界が形成されて境界面での強度が低下することを抑制できる。よって、その分、抗折力の向上を図ることができる。
請求項3記載の超硬合金によれば、請求項2記載の超硬合金の奏する効果に加え、濃度勾配層部の厚み寸法が1μm以上かつ10μm以下に設定されるので、抗折力の向上とコストの低減との両立を図ることができる。即ち、濃度勾配層部の厚み寸法が1μm以上に設定されることで、コア層部と外層部とをなじませる(含有濃度による境界が形成されることを抑制する)のに必要な厚み寸法を確保して、抗折力の向上を図ることができる。一方で、濃度勾配層部の厚み寸法が10μm以下に設定されることで、濃度勾配層部を形成するのに必要な時間が過大となることを抑制して、コストを低減できる。
請求項4記載の超硬合金によれば、請求項1から3のいずれかに記載の超硬合金の奏する効果に加え、外層部の厚み寸法が200μm以上かつ600μm以下に設定されるので、切削工具の素材として必要な特性を確保できる。即ち、外層部の厚み寸法が200μm以上に設定されることで、十分な大きさの切れ刃を外層部に形成することができると共に、コーティングされたダイヤモンドの密着力を向上できる。一方で、外層部の厚み寸法が600μm以下に設定されることで、外層部が不必要に厚肉となることを抑制して、コア層部の大きさを確保できる。その結果、抗折力の向上を図ることができる。
請求項5記載の超硬合金によれば、請求項1から4のいずれかに記載の超硬合金の奏する効果に加え、コア層部が円柱状に形成され、その円柱状のコア層部の一方の軸方向端面および外周面を覆う有底筒状に外層部が形成されるので、切削工具の素材に適した形状を得ることができる。
請求項6記載の切削工具によれば、請求項1から5のいずれかに記載の超硬合金から形成されるものであって、外層部に切れ刃が形成されると共に少なくとも切れ刃にダイヤモンドがコーティングされるので、コーティングされたダイヤモンドの密着力を確保しつつ、抗折力の向上を図ることができる。
超硬合金部材の断面図である。 (a)は、コア層部の正面図であり、(b)は、筒状部の正面図であり、(c)は、円板部の正面図である。 (a)は、コア層部の正面図であり、(b)から(d)は、乾粉およびコア層部が収容される金型の断面図である。 (a)は、耐久試験1の試験結果を示す表であり、(b)は、耐久試験2の試験結果を示す表であり、(c)は、耐久試験3の試験結果を示す表であり、(d)は、耐久試験4の試験結果を示す表である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態における超硬合金部材1の断面図である。
図1に示すように、超硬合金部材1は、タングステンカーバイド(以下「WC」と称す)及びコバルト(以下「Co」と称す)を含有する超硬合金から形成される部材であって、芯となるコア層部2と、そのコア層部2の周囲を覆う外層部3と、それらコア層部2及び外層部3の境界に層状に形成される濃度勾配層部4とを主に備えて形成される。なお、本実施形態では、コア層部2は円柱状の部材であって、外層部3はコア層部2の一方の軸方向端面および外周面を覆う有底筒状に形成され、濃度勾配層部4は若干幅広に図示される。なお、超硬合金部材1は直径6mmのスクエアエンドミルの素材として形成される。
コア層部2及び外層部3を構成する超硬合金の内、WCの平均粒径は同一に設定されるので、コア層部2及び外層部3の間に粒径による境界が形成されることで強度が低下することが抑制される。よって、超硬合金部材1の抗折力を向上させることができる。
ここで、WCの原料粉の平均粒径は、0.1μm以上かつ0.5μm以下で形成されることが好ましい。WCの粒径が0.1μm以上とされることで、WCの粒径を過度に小さくする特殊な加工を必要とせず、加工コストを低減させることができる。一方、WCの粒径が0.5μm以下とされるので、WCの粒どうしの間の隙間が大きくなることを抑制することができる。
また、外層部3では表面荒さを抑制するためにWCの粒径を小さくしたいという要求があり、その一方でコア層部2では靱性を向上させるためにWCの粒径を大きくしたいという要求がある。これらを両立させる範囲としてもWCの平均粒径は、0.1μm以上かつ0.5μm以下で形成されることが好ましい。なお、本実施形態では、WCの平均粒径は0.2μmに設定される。
コア層部2を構成するCoの含有量は5wt%以上に設定されることが好ましい。これにより、超硬合金部材1の抗折力を向上させることができる。また、Coの含有量が15wt%以下に設定されることが好ましい。これにより、超硬合金部材1の抗折力の向上に寄与できる上限を超えてCoが含有されることが抑制される。なお、本実施形態では、コア層部2のCoの含有量が5wt%に設定される。
外層部3を構成するCoの含有量は1.5wt%以下に設定されることが好ましい。これにより、超硬合金部材1にダイヤモンドコーティングをする場合に、そのコーティングの密着力を確保することができる。また、Coの含有量が0.2wt%以上に設定されることが好ましい。これにより、超硬合金部材1の靱性の低下を抑制することができる。なお、本実施形態では、外層部3のCoの含有量が0.2wt%に設定される。
外層部3の厚み寸法は、200μm以上かつ600μm以下に設定されることが好ましい。これにより、切削工具の素材として必要な特性を確保することができる。即ち、外層部3の厚み寸法が200μm以上に設定されることで、十分な大きさの切れ刃を外層部3に形成することができると共に、超硬合金部材1にダイヤモンドコーティングをする場合に、そのコーティングの密着力を向上できる。一方で、外層部3の厚み寸法が600μm以下に設定されることで、外層部3が不必要に厚肉となることを抑制して、コア層部2の大きさを確保できる。その結果、抗折力の向上を図ることができる。なお、本実施形態では、外層部3の厚み寸法は200μmに設定される。
ここで、上述した特徴を備える超硬合金部材1の製造方法として、2通りの製造方法を順に説明する。まず、図2を参照して、第1の製造方法について説明する。
図2は、超硬合金部材1の第1の製造方法を模式的に示した模式図であって、図2(a)は、コア層部2の正面図であり、図2(b)は、筒状部3aの正面図であり、図2(c)は、円板部3bの正面図である。なお、図2(b)は、筒状部3aが部分的に断面視される。
図2に示すように、第1の製造方法では、コア層部2及び外層部3は、予め目的の形状に形成されたものが使用される。また、外層部3は、筒形状の筒状部3a及び円板形状の円板部3bに分割して形成される。
第1の製造方法は、コア層部形成工程と、筒状部形成工程と、円板部形成工程と、合体工程と、焼結工程と、仕上げ工程と、を主に備える。
コア層部形成工程は、コア層部2を円柱状に押し固める工程である。本実施形態では、第1の製造方法で形成されるコア層部2は、直径が5.6mmの円柱状に形成される。
筒状部形成工程は、筒状部3aを押し固める工程である。本実施形態では、第1の製造方法で形成される筒状部3aは、外径が6.8mmかつ厚み寸法が500μmの筒形状に形成される。コア層部2及び筒状部3aが上述した寸法関係に形成されることで、後述する合体工程にかかる時間を短縮化することができる。ここで、コア層部2及び筒状部3aが簡易な形状なので、寸法を調整する加工が容易であり、加工コストの低減を図ることができる。
円板部形成工程は、円板部3bを押し固める工程である。本実施形態では、第1の製造方法で形成される円板部3bは、直径が6.8mmかつ厚み寸法が500μmの円板形状に形成される。
合体工程は、上述した各工程で形成されたコア層部2、筒状部3a及び円板部3bを重ね合わせる工程である。本実施形態では、コア層部2が筒状部3aの内部に挿入され、円板部3bがコア層部2及び筒状部3aの一方の端部に当接される。ここで、コア層部2と筒状部3aとの間のクリアランスは、片側50μmで確保されるので、コア層部2を筒状部3aに挿入しやすくすることができる。
焼結工程は、上述した合体工程で重ね合わされたコア層部2及び外層部3を焼結炉で焼結する工程である。焼結工程では、コア層部2及び外層部3が高温状態にされるため、内部のCoが液状になり、コア層部2及び外層部3の境界付近のCoが、コア層部2及び外層部3に含有されるCoの濃度の差を小さくする方向へ流動する。これにより、コア層部2及び外層部3の境界付近に、Coの濃度が径方向へ移動するにつれて変化する濃度勾配層部4(図1参照)が形成される。これにより、Coの含有濃度の境界が形成されることで強度が低下されることを防止でき、その分、焼結品の抗折力を大きくすることができる。
この濃度勾配層部4のCoの含有濃度は、本実施形態では、5wt%(コア層部2のCo含有量)より小さく、かつ0.2wt%(外層部3のCo含有量)より大きい範囲で、コア層部2から外層部3へ向かうに従いCoの含有濃度が減少される勾配が形成される。なお、濃度勾配層部4を除くコア層部2及び外層部3のCoの含有濃度は略一定に形成される。
濃度勾配層部4の厚み寸法は、1μm以上かつ10μm以下に設定されることが好ましい。これにより、超硬合金部材1の抗折力の増大と加工コストの低減との両立を図ることができる。
即ち、濃度勾配層部4の厚み寸法が1μm以上に設定されることで、コア層部2と外層部3とをなじませる(Coの含有濃度による境界が形成されることを抑制する)のに必要な厚み寸法を確保して、抗折力を増大させることができる。一方で、濃度勾配層部4の厚み寸法が10μm以下に設定されることで、濃度勾配層部4を形成するのに必要な時間が過大となることを抑制して、加工コストを低減することができる。なお、本実施形態では、濃度勾配層部4の厚み寸法が1μmで形成される。
仕上げ工程は、焼結品を研削加工する工程である。本実施形態では、超硬合金部材1の外径は6mmに仕上げられるので、外層部3の径方向の厚み寸法は200μmとされる。即ち、超硬合金部材1を用いて直径6mmのスクエアエンドミルを製造すると、逃げ面に形成される外層部3の厚み寸法が200μmで形成される。
次いで、図3を参照して、第2の製造方法について説明する。図3は、超硬合金部材1の第2の製造方法を模式的に示した模式図であって、図3(a)は、コア層部2の正面図であり、図3(b)から図3(d)は、乾粉およびコア層部2が収容される金型の断面図である。なお、図3(b)から図3(d)は、第2の製造方法を時系列で表しており、乾粉およびコア層部2が順に収容される様子が図示される。図3に示すように、第2の製造方法では、コア層部2のみが予め円柱状に焼結形成される。
第2の製造方法は、コア層部焼結工程と、円板部乾粉敷設工程と、コア層部配置工程と、筒状部乾粉流入工程と、放電プラズマ焼結工程と、仕上げ工程と、を主に備える。
コア層部焼結工程は、円柱状のコア層部2を焼結する工程である。本実施形態では、第2の製造方法のコア層部2は直径5.6mmの円柱状の部材に形成される。
円板部乾粉敷設工程は、内径6.8mmの有底円筒形状の金型の底部に乾粉を敷き詰める工程である。本実施形態では、WC及びCoから形成される乾粉が500μmの厚み寸法で敷き詰められる。
コア層部配置工程は、円板部乾粉敷設工程で敷き詰められた乾粉の上に、コア層部2を立てる工程である。本実施形態では、金型の軸とコア層部2の軸とを合わせた状態で、コア層部2が金型の内側に配置される。
筒状部乾粉流入工程は、金型とコア層部2との間の隙間に乾粉を流入させ、詰め込む工程である。本実施形態では、隙間はコア層部2の両側に600μmずつ形成され、その隙間にWC及びCoから形成される乾粉が詰め込まれる。
このように、第2の製造方法では、コア層部2を外層部3に挿入するためのクリアランスを設ける必要がなく、コア層部2の外径寸法に要求される寸法精度を低くすることができる。これにより、加工コストを低減することができる。
放電プラズマ焼結工程は、金型内に配置されたコア層部2及び乾粉(焼結により外層部3となる)を放電プラズマ焼結により焼結する工程である。放電プラズマ焼結とは、焼結対象を加圧すると共に電気エネルギー(直流パルス電圧および電流)を与え、それにより生じる焼結対象の自己発熱を焼結駆動力として利用するものである。これによれば、電気炉等で行う雰囲気加熱に比較して、短時間で焼結をおこなうことができる。なお、仕上げ工程は、第1の製造方法で上述した工程と同様であるので説明を省略する。
なお、第2の製造方法で製造された超硬合金部材1も、第1の製造方法で製造された超硬合金部材1と同様に、コア層部2及び外層部3の境界付近に濃度勾配層部4が形成される。
第1の製造方法または第2の製造方法により製造された超硬合金部材1には、仕上げ加工の後、外層部3の底側(円板部3b側)を先端側とする切れ刃が形成される。これにより、切れ刃(底刃および外周刃)の先端に外層部3が厚み寸法200μmで形成される。その後、その切れ刃にダイヤモンドをコーティングすることで、スクエアエンドミルが完成する。ここで、切れ刃の先端にはCoの含有量が低い外層部3が形成されるので、コーティングされたダイヤモンドの密着力を確保することができる。
次に、図4を参照して、ダイヤモンド被膜の耐久試験1〜4の試験結果について説明する。図4(a)は、耐久試験1の試験結果を示す表である。
まず、耐久試験1では、本実施形態における超硬合金部材1にダイヤモンドを被膜したもの(以下「本発明品1」と称す)と、その本発明品1と外層部3の厚さ寸法のみが異なるもの(以下「本発明品2」と称す)と、コア層部および外層部を形成するWCの粒径が0.2μmである直径6mmの円柱状部材であって外層部が厚さ寸法1mmで形成されると共に外層部にのみCoが含有されるもの(以下「従来品1」と称す)と、外層部を有しない直径6mmの円柱状部材であってWCの粒径が0.2μmでありかつCoの含有量が5wt%に形成されるもの(以下「従来品2」と称す)とを試験する。これら試験対象の、それぞれの抗折力と、ダイヤモンド被膜の膜厚が10μmである位置に#180のSiCを投射メディアとしてゲージ圧3barで照射し、ダイヤモンド被膜が剥がれるまでの耐久時間(以下「耐久時間」と称す)とを計測した。
なお、抗折力は、JIS−R1601の規定に準ずる試験方法で測定された値を記載し、3GPa以上を良好であるとする。また、耐久時間は、140秒以上(発明品2の耐久時間の70%以上)を良好であるとする。
図4(a)に示すように、従来品1では、外層部のCoの含有量が低いため耐久時間は良好な値を示すものの、コア層部にCoが含有されず、かつ濃度勾配層部4が形成されないために抗折力が不足する。
また、従来品2では、Coの含有量が全体的に多いため抗折力は良好であるが、その表面付近のCoの含有量の多さから耐久時間が不足する。これは、従来品2の表面付近のCoにより、ダイヤモンドがグラファイト化したことが原因と考えられる。
一方、本発明品1では、抗折力および耐久時間が共に良好な値を示し、本発明品2では、抗折力は良好な値を維持したまま、耐久時間が本発明品1に比較して飛躍的に向上した。このように、耐久試験1から、コア層部2のCoの含有量が多くされると共に、外層部3のCoの含有量が少なくされることで、超硬合金部材1の抗折力と耐久時間とを共に向上可能であることが確認された。また、外層部3の厚さ寸法を大きくすることで、耐久時間をより長くできることが確認された。
次に、耐久試験2として、外層部3の厚さ寸法が150μmのもの(以下「試験品1−1」と称す)及び外層部3の厚さ寸法が650μmのもの(以下「試験品1−2」と称す)を直径6mmの超硬合金部材で用意して、それにダイヤモンドを被膜したものに対し、耐久試験1の場合と同様の方法で、抗折力と耐久時間とを計測した。なお、試験品1−1及び試験品1−2のWCの原料粉の粒径、コア層部2のCoの含有量、外層部3のCoの含有量および濃度勾配層部4の厚さ寸法は本発明品1と同等である。
図4(b)は、耐久試験2の試験結果を示す表である。なお、耐久試験2は、本発明の外層部3の厚さ寸法における境界値の意義を確認するために行われたものである。そのため、本発明品1及び本発明品2の試験結果(図2(a))と比較することにより、耐久試験2の試験結果の理解を容易とすることができる。
まず、試験品1−1の試験結果と本発明品1の試験結果とを比較すると、抗折力は共に良好な値を示すが、耐久時間は大きく異なる。即ち、試験品1−1の耐久時間は、本発明品1の耐久時間の約25%であった。これにより、外層部3の厚さ寸法の下限を200μm以上とすることの意義が確認された。
次に、試験品1−2の試験結果と本発明品2の試験結果とを比較すると、外層部3の厚さ寸法の増加量に比較して、耐久時間の変化量の割合が減少していることが確認される。まず、本発明品1と本発明品2とでは、外層部3の厚さ寸法が400μm変化することにより耐久時間は400秒長くなった。一方、本発明品2と試験品1−2とでは、外層部3の厚さ寸法が50μm変化することにより耐久時間は5秒長くなった。即ち、外層部3の厚さ寸法の増加量に対する耐久時間の変化量が、外層部3の厚さ寸法が600μm以上になると10倍小さくなることになる。これにより、外層部3の厚さ寸法の上限を600μm以下とすることの意義が確認された。
また、試験品1−2は、抗折力が2.8GPaであり、3GPa以下の値であった。これは、Coの含有量が少ない外層部3の厚さ寸法を大きくし過ぎたことが原因と考えられる。このことからも、外層部3の厚さ寸法の上限を600μm以下とすることの意義が確認された。
次に、耐久試験3として、外層部3のCoの含有量が0.1wt%のもの(以下「試験品2−1」と称す)及び外層部3のCoの含有量が1.6wt%のもの(以下「試験品2−2」と称す)を直径6mmの超硬合金部材で用意して、それにダイヤモンドを被膜したものに対し、耐久試験1の場合と同様の方法で、抗折力と耐久時間とを計測した。なお、試験品2−1及び試験品2−2のWCの原料粉の粒径、コア層部2のCoの含有量および外層部3の厚さ寸法は本発明品1と同等である。
図4(c)は、耐久試験3の試験結果を示す表である。なお、耐久試験3は、本発明の外層部3のCoの含有量における境界値の意義を確認するために行われたものである。そのため、本発明品1の試験結果(図2(a))と比較することにより、耐久試験3の試験結果の理解を容易とすることができる。
まず、試験品2−1の試験結果と本発明品1の試験結果とを比較すると、抗折力は共に良好な値を示すが、試験品2−1の耐久時間は本発明品1の耐久時間の約10%にまで短縮された。これは、外層部3に含有されるCoが少なすぎたために、超硬合金部材の靱性が低下したことが原因であると考えられる。これにより、外層部3のCoの含有量の下限値を0.2wt%とすることの意義が確認された。
次に、試験品2−2の試験結果と本発明品1の試験結果とを比較すると、抗折力は共に良好な値を示すが、試験品2−2の耐久時間は本発明品1の耐久時間の約12.5%にまで短縮された。これは、外層部3に含有されるCoが多すぎたために、ダイヤモンドコーティングの密着力を確保できなかったことが原因であると考えられる。これにより、外層部3のCoの含有量の上限値を1.5wt%とすることの意義が確認された。
なお、試験品2−2において、濃度勾配層部4の厚さ寸法が0.7μmであるにも関わらず、抗折力に減少傾向が見られないのは、外層部3のCoの含有量が1.6wt%と多いためであると考えられる。そのため、試験品2−2の試験結果は、本発明における濃度勾配層部4の下限値(1μm)に何ら影響を及ぼすものでも無い。
次に、耐久試験4として、WCの原料粉の粒度が0.1μmのもの(以下「本発明品3」と称す)及びWCの原料粉の粒度が0.5μmのもの(以下「本発明品4」と称す)を直径6mmの超硬合金部材で用意して、それにダイヤモンドを被膜したものに対し、耐久試験1の場合と同様の方法で、抗折力と耐久時間とを計測した。なお、本発明品3及び本発明品4のコア層部2のCoの含有量、外層部3のCoの含有量、外層部3の厚さ寸法および濃度勾配層部4の厚み寸法は、上述した好ましい数値範囲内でそれぞれ設定される。
図4(d)は、耐久試験4の試験結果を示す表である。試験結果によれば、本発明品3及び本発明品4の抗折力および耐久時間が共に良好な値をとることが確認される。
ここで、本発明品1と本発明品3とを比較すると、外層部3の厚さ寸法の増加量は100μmであるのにも関わらず、耐久時間が200秒以上長くされた(本発明品1と本発明品2との比較では、外層部3の厚さ寸法の増加量が400μmの場合に耐久時間が約400秒長くされた)。これは、WCの原料粉の粒度が0.1μmと小さくされたことが原因であると考えられる。即ち、WCの原料粉の粒度が小さくされることにより、超硬合金部材1の硬度が上昇し、ダイヤモンド被膜の密着力が維持されるため、耐久時間が飛躍的に向上されたと考えられる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。特に、下限および上限を指定した数値範囲により特定される値は、その数値範囲内であれば、いずれの値を採用することも可能である。
上記実施形態では、超硬合金部材1を約直径6mmの円柱状部材として説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、超硬合金部材1が直径3mmの円柱状部材であっても良いし、直径20mmの円柱状部材であっても良い。
上記実施形態では、超硬合金部材1を用いた工具としてスクエアエンドミルを例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、超硬合金1がドリルやタップなど他の円柱状の工具に利用されても良いし、スローアウェイチップ等に利用されても良い。スローアウェイチップに超硬合金部材1が利用される場合には、超硬合金部材1は円柱状ではなく、略矩形板形状に形成される。
1 超硬合金部材(超硬合金)
2 コア層部
3 外層部
4 濃度勾配層部

Claims (6)

  1. WCに少なくともCoを混合して焼結した超硬合金において、
    コア層部と、そのコア層部の外面側に配設される外層部と、を備え、
    前記Coの含有量は、前記コア層部において5wt%以上かつ15wt%以下に設定されると共に、前記外層部において0.2wt%以上かつ1.5wt%以下に設定され、
    前記WCの粒径は、前記コア層部および外層部において同一であって、0.1μm以上かつ0.μm以下に設定されることを特徴とする超硬合金。
  2. 前記コア層部と外層部との間に介設され、前記コア層部から外層部へ向かうに従って前記Coの含有濃度が減少される濃度勾配層部を備えることを特徴とする請求項1記載の超硬合金。
  3. 前記濃度勾配層部の厚み寸法が1μm以上かつ10μm以下に設定されることを特徴とする請求項2記載の超硬合金。
  4. 前記外層部の厚み寸法が200μm以上かつ600μm以下に設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の超硬合金。
  5. 前記コア層部は、円柱状に形成され、
    前記外層部は、前記円柱状のコア層部の一方の軸方向端面および外周面を覆う有底筒状に形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の超硬合金。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の超硬合金から形成される切削工具であって、前記外層部に切れ刃が形成されると共に少なくとも前記切れ刃にダイヤモンドがコーティングされることを特徴とする切削工具。
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