JP6289216B2 - 腐食検知センサおよびコンクリート中の鋼材の腐食環境の評価方法 - Google Patents

腐食検知センサおよびコンクリート中の鋼材の腐食環境の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート中の鋼材が腐食する環境を評価するためのセンサと、該センサを用いたコンクリート中の鋼材の腐食環境の評価方法に関する。
以下、コンクリートとは、コンクリートのほか、モルタルを含む概念である。
コンクリート中の鉄筋やPC鋼材等の鋼材は、本来、アルカリ性雰囲気下では不動態被膜に覆われて腐食し難くなっている。しかし、コンクリート中に二酸化炭素が浸透してコンクリートが中性化したり、塩化物イオン(以下「塩分」という。)や硫酸イオン等の腐食因子が浸透して鋼材に接すると、鋼材表面の不動態被膜が破壊されて鋼材は腐食し易くなる。これらのイオンの中でも、塩分はコンクリートへの浸透が早く、鉄筋を腐食させる危険性が高い。
したがって、海洋環境や海岸線近くの鉄筋コンクリート構造物や、冬季に融雪材を散布する地域などの鉄筋コンクリート構造物は、コンクリートの表層部から塩分が浸透して、長期的にはコンクリート中の鋼材の腐食が懸念される。コンクリート中の鋼材が腐食した場合、鉄筋コンクリート構造物の耐久性等の性能が損なわれ、重大な欠陥を生じるおそれがあるため、鉄筋コンクリート構造物では、表面から鋼材までの位置(かぶり)や、コンクリートの品質(水/セメント比)を規定して鋼材を保護している。
一方で、鉄筋コンクリート構造物の立地は多様であり、塩分に加えて、温度や日射、風雨などの環境条件が、コンクリートへの塩分浸透に影響するため、予め想定していた以上に塩分浸透が進むことがあり、鉄筋コンクリート構造物ごとにコンクリート中の鋼材の腐食時期を予測することは一般に難しい。
そこで、特許文献1には、建造からt年経過時点の調査により得られたコンクリート構造物の深さ方向の塩分の見かけの拡散係数Dと、該拡散係数Dの経年変化を考慮して計算して得られた鉄筋のかぶり位置での塩分濃度Cと、温度Tとから、外部塩害を受ける鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の腐食速度を推定する方法が提案されている。また、特許文献2には、コンクリート構造物中の鋼材と同種材質からなる細線を該コンクリート構造物中に埋設し、腐食による前記細線が切断する時を測定する、コンクリート中の鋼材の腐食状況の予測方法が提案されている。しかし、前記方法は事前調査を要するため、その簡易さや推定(予測)精度は未だ十分とは云えない。
特開2008−082749号公報 特開平11−153568号公報
したがって、本発明は、コンクリート中の鋼材の腐食環境を簡易かつ精度よく評価するためのセンサと、その評価方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的にかなうセンサ等を検討したところ、下記のセンサと評価方法は、前記目的を達成できることを見い出し、下記[1]〜[]の発明を完成させた。
[1]コンクリート中の鋼材の腐食進行状況を検出する腐食検知センサであって、該センサは下記(C)遮断材と、
2組以上の下記(A)腐食検知部材および(B)被覆部材とから構成され、遮断材内に設置された腐食検知部材の一面は被覆部材により被覆され、該被覆部材の腐食検知部材を被覆していない他の一面は露出し、少なくとも1組の被覆部材の水/セメント比が他の組の被覆部材の水/セメント比と異なる、腐食検知センサ。
(A)鉄薄膜により形成された腐食検知部材
(B)セメント組成物硬化体からなる被覆部材
(C)腐食因子の侵入を遮断する遮断材
[2]前記腐食検知センサはコンクリート中に埋設して使用し、前記被覆部材の露出面から、コンクリート中の鋼材を腐食させる腐食因子が浸透し、該腐食因子によって前記腐食検知部材の電気的特性が変化して腐食進行状況を検出する、前記[1]に記載の腐食検知センサ。
[3]前記被覆部材が下記(a)〜(d)の配合および形状を有する、前記[1]または[2]に記載の腐食検知センサ。
(a)水/セメント比(質量比×100):20〜150%
(b)水/粉体比(質量比×100):15〜120%
(c)空気量:5〜35%
(d)被覆部材の厚み:1〜20mm
[4]前記腐食検知部材が、腐食に起因した腐食反応による電気抵抗の変化、電位の変化、または電流密度の変化により腐食を検知する部材により形成されている、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の腐食検知センサ。
[5](コンクリートの表面から、埋設された腐食検知センサの被覆部材の露出面までの距離)/(前記被覆部材の厚み)の比が5以上になるように、コンクリート中に設置して使用する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の腐食検知センサ(ただし、前記コンクリート中に腐食検知センサを設置する態様から、腐食検知センサの遮断材のみの面がコンクリート表面側に向くように設置ないし埋設される構成を除く。)。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の腐食検知センサをコンクリート中に埋設し、
該腐食検知センサにより腐食発生時間を測定し、
該腐食発生時間を変数として含む腐食関係式に基づき腐食評価パラメータを求め、
該腐食評価パラメータを用いてコンクリート中の鋼材の腐食環境を評価する、
コンクリート中の鋼材の腐食環境の評価方法(ただし、前記コンクリート中に腐食検知センサを埋設する態様から、腐食検知センサの遮断材のみの面がコンクリート表面側に向くように設置ないし埋設される構成を除く。)
本発明の腐食検知センサと、これを用いたコンクリート中の鋼材の腐食環境の評価方法によれば、コンクリート中の鋼材の腐食環境を、簡易かつ精度よく評価することができる。
腐食検知部材の一例を示す図である。 本発明の腐食検知部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。 無線通信モジュールを備えた腐食検知センサのブロック図の一例を示す図である。 (a)は2種類の水/セメント比のセメント組成物硬化体で成形された被覆部材を有する腐食検知センサ(一例)のB−B’断面図であり、(b)は該センサのA−A’断面図である。 コンクリート中の腐食検知センサの設置例および位置関係を示す図である。 ブロック状の腐食検知センサ(一例)の斜視図である。 円板状の腐食検知センサ(一例)の斜視図である。 3種類の水/セメント比のセメント組成物硬化体で成形された被覆部材を有する腐食検知センサ(一例)の斜視図である。 本発明の腐食検知センサを用いた評価方法によって求めた、コンクリート中の塩分量の計算結果を示す図である。
1.腐食検知センサ
本発明で用いる腐食検知センサは、前記[1]に記載の通り、(A)腐食検知部材、(B)被覆部材、および(C)遮断材を必須の構成部材として含むセンサである。また、該センサの強度の補強、小型化、および誤差因子の排除等のため、必要に応じて(D)外装材を任意の部材として含む。
以下、本発明について、前記(A)〜(D)の構成部材の順に、図を用いて詳細に説明する。
(A)腐食検知部材
腐食検知部材10は、図1に示すように、導体パターン部11を含み、該導体パターン部11は、腐食検知部材10の中に形成された鉄薄膜であり、該導体パターン部11の端部には測定用端子11aが設けられている。導体パターン部11は、塩分による金属の腐食反応に起因して、電気抵抗の変化、電位の変化、および電流密度の変化等の電気的特性が変化する。そして、該鉄薄膜は、電気的特性の変化に優れることから鉄を圧延して得られる箔材である。
また、該鉄薄膜の厚みは、好ましくは0.1〜100μmである。該厚みが0.1μm未満では均一な厚みに成形することが難しく、100μmを超えると電気的特性の変化に対する感度が低下する傾向にある。また、導体パターン部11の形状は、好ましくは塩分との接触確率が高くて腐食反応が進みやすい形状であり、例えば、図1に示すような、つづら折りの形状が挙げられる。また、導体パターン部の面積は、少なくとも面積を構成する一辺の長さが、腐食検知センサ100の埋設対象であるコンクリートに使用されている最大骨材寸法よりも大きいことが好ましい。該面積の最長の長辺の長さが最大骨材寸法よりも小さいと、腐食検知センサ100の直上に偶発的に配された骨材の影響を腐食検知センサ100が受けて、検知精度が低下する可能性がある。
次に、電気的特性の変化により、導体パターン部11が腐食を検知するメカニズムを説明する。
金属の陽極部と陰極部が明確に区別できるように電池が形成されてなるものをマクロセルといい、両極間を流れる電流を腐食電流(マクロセル電流)という。そして、腐食反応により鉄薄膜がイオン化する反応(アノード反応)と、鉄薄膜の表面で酸素が還元される反応(カソード反応)が同時に進行し、アノード部は卑な電位、カソード部は貴な電位となって電位差が生じて、アノード部からカソード部に腐食電流が流れ、鉄薄膜の腐食が進む。
この原理を利用して、導体パターン部11の端部に、金等の貴金属で形成された薄膜部13(カソード部)を設けることにより、導体パターン部11の腐食が進行して腐食をより早く把握できる。
さらに、前記電気的特性(電気抵抗、電位の変化、および電流密度)の変化について以下に説明する。
(i)電気抵抗の変化
導体パターン部11の腐食に伴い鉄の断面積は減少し、これにより電気抵抗が増加するから、該電気抵抗の変化により腐食を検知できる。
(ii)電位の変化
導体パターン部11が腐食すると、鉄がイオン化する際に腐食発生箇所(アノード)の電子が未腐食箇所(カソード)に移動して電位差が生じる。これを駆動力として継続的に腐食電流が生じ腐食が進行するから、例えば電極を用いて金属間の電位差を計測すれば、腐食現象の発生前と発生後の電位の変化から腐食の発生を知ることができる。
(iii)電流密度の変化
腐食は腐食回路の生成により生起する現象であるから、腐食電流に伴って生ずる腐食部位の電流密度の変化を計測することにより、腐食現象を捉えることができる。
腐食検知部材10は、図1に示すとおり、前記導体パターン部11、測定用端子11a、下地材12、薄膜部13を含む。このうち、下地材12は、導体パターン部11を腐食検知部材10中に保持する機能を有する。
該下地材12は、電気的な絶縁性が高く、セメント組成物硬化体に含まれるアルカリ成分と反応せず、かつ耐候性や耐水性が高い材料であれば特に制限されず、例えば、ガラスエポキシ等のガラスコンポジット材料、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、またはPETなどのポリカーボネート等が挙げられる。
また、薄膜部13は、金等の貴金属で形成されたカソード部であり、薄膜部13により、導体パターン部11の腐食が促進されるため、腐食をより早く把握できる。
前記腐食検知部材10の製造方法は、下記(i)〜(v)に記載のとおりである。また、該製造方法のフローチャートを図2に示す。
(i)下地材12と、後に導体パターン部11を構成する鉄薄膜とを一体化させて、鉄薄膜シートを作製する。該一体化する方法として、例えば、下地材12に接着剤を塗布し、ローラ等を用いて鉄薄膜と下地材12とを張り合わせる。
(ii)作製した鉄薄膜シートの鉄薄膜上に、導体パターン部11と回路の形状のレジスト膜を、スクリーン印刷やフォト印刷等によって形成する。また、レジスト膜を印刷した後に、腐食検知部材10を抜き型によって個々に切断して分離するためのガイドも共に印刷する。
(iii)レジスト膜が形成された鉄薄膜シートは、エッチング槽にてエッチングする。これにより、レジスト膜が施されていない露出した鉄薄膜は、エッチング液(例えば、塩化第二鉄溶液)に溶解する。エッチングの終了後は、鉄薄膜シートをエッチング槽から取り出して付着液を洗浄する。
(vi)レジスト膜を溶剤等によって除去して、導体パターン部11および回路の外形を形成する。
(v)鉄薄膜シートを分割してマスキングを剥離し、導体パターン部11を形成した後、抜き型を用いて保護処理を施したセンサを個々に切断して分離し、コード103を取り付ける。
そして、完成した腐食検知部材10は、腐食を検知する装置に直接接続して、導体パターン部の腐食反応に伴う電気的特性の変化を計測するか、または、図3に示すように、計測回路を有する無線装置に接続して無線で計測してもよい。
(B)被覆部材
該被覆部材101は、図4に示すように、前記腐食検知部材10を被覆するセメント組成物硬化体である。被覆部材101は、2種類以上の水/セメント比のセメント組成物硬化体からなり、各被覆部材101の間は遮断材102により遮断されている。該被覆部材101の一面は露出面であり、該露出面が埋設対象のコンクリートの面と平行になるように腐食検知センサ100が埋設され、この露出面からコンクリート中の腐食因子が浸透する。また、該露出面および腐食検知部材10を被覆する面以外、被覆部材101は遮断材102に覆われて、コンクリート中からの腐食因子の浸透を防いでいる。
外部から浸入した腐食因子がコンクリート中を浸透し、腐食検知センサ100に到達した後、前記被覆部材101に浸透して、導体パターン部に達し、該導体パターン部を形成する鉄が腐食して前記電気的特性が変化する。
前記被覆部材101はセメント組成物硬化体であり、該硬化体は、具体的には、モルタルまたはセメントセメントペースト硬化体である。また、前記セメント組成物とは、セメント単独、またはセメントのほかに高炉スラグ、フライアッシュ、石炭灰、石灰石粉末、シリカフューム、細骨材等からなる群より選ばれる1種以上を含む組成物をいう。
前記セメントは、評価の精度の観点から、好ましくは、センサを埋設する対象となるコンクリート中のセメントと同一である。該セメントは特に限定されず、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、石炭灰含有セメント、シリカセメント、白色セメント、およびエコセメント等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、前記セメント組成物の混練水は、腐食環境評価に悪影響を与えないものであれば用いることができ、例えば、上水道水や再生水等である。
前記被覆部材101の水/セメント比は、好ましくは20〜150%である。該比が20%未満ではセメント組成物の練り混ぜが困難になり被覆部材101を均質に成形することが難しくなる場合がある。また、該比が150%を超えると材料分離が生じるおそれがあるほか、塩分の浸透が不均一になって評価精度が低下するおそれがある。
また、前記水/粉体比は、好ましくは15%〜120%である。該比が15%未満ではセメント組成物の練り混ぜが困難になり、被覆部材101を成形することが難しくなる場合があり、120%を超えると被覆部材101の成形の際に材料分離が生じるおそれがある。
また、前記被覆部材101は、2種類以上の水/セメント比を有するセメント組成物硬化体である。そして、2種類以上の水/セメント比のうちの1種は、腐食検知センサ100の埋設対象であるコンクリートの水/セメント比と同一であることが好ましい。
コンクリートおよび被覆部材101の水/セメント比が同一であれば、前記コンクリート中の鋼材の腐食が始まる腐食因子の濃度が同一となるため、前記鋼材の腐食環境を評価する上で評価の誤差を小さくできる。そして、この水/セメント比と相違する他の種類の水/セメント比は、好ましくは前記水/セメント比よりも5〜30%程度高く設定する。水/セメント比が高くなれば、鋼材の腐食が発生する塩分量が少なくなるため、腐食し易くなり腐食を検知する時間を短縮できる。
したがって、例えば、2種類の水/セメント比の被覆部材101を有する腐食検知センサ100は、水/セメント比が高い被覆部材101で被覆された腐食検知部材10がもう一方の腐食検知部材10よりも早い段階で反応し、対象のコンクリートと同一の水/セメント比を用いた被覆部材101で構成した腐食検知部材10が遅れて反応した時点で、鋼材の腐食環境を遅滞なく評価することが可能となる。例えば、対象のコンクリートの水セメント/比が50%である場合、センサの被覆部材101を構成する2種類のセメント組成物硬化体の水/セメント比は、50%および60%にするとよい。
なお、前記水セメント/比は2種類以上であればよく、水準数は特に限定されない。例えば、図8に示すように、異なる3種類の水/セメント比を有する被覆部材101の下に腐食検知部材10を有する腐食検知センサ100を用いれば、データ数が増え、予測精度が向上する。
また、前記被覆部材101に含まれる空気量は、好ましくは5〜35%である。空気量が5%未満では前記被覆部材101を構成するセメント組成物硬化体が密実となり、腐食因子の浸透が緩やかになるおそれがあり、また腐食環境の評価における誤差が大きくなるおそれがある。空気量が35%を超えると、前記被覆部材101を構成するセメント組成物硬化体の空隙が過多になり組織が不均一となるため、腐食の発生にばらつきが生じやすくなる。前記空気量は空気量調整剤を用いて調整できる。
なお、前記空気量を有するセメント組成物の流動性を15打のフロー値(JIS R 5201−1997)で表わせば105〜250mmである。
前記被覆部材101の厚みは、好ましくは1〜20mmである。該値が1mm未満では成形が難しく、また、ひび割れ等の欠陥が生じ易く、20mmを超えると腐食因子の浸透が遅延して評価に要する期間が長くなる。
また、前記被覆部材101の厚みは、被覆部材101の厚み/埋設深さの比が0.2以下となるように選定する(図5参照)。前記厚みの比が0.2を超えると、埋設対象のコンクリートの塩分の浸透性に、被覆部材101の影響が誤差要因として加わるので好ましくない。これを換言すれば、本発明の腐食検知センサ100は、埋設深さ/被覆部材101の厚みの比が5以上になるように、コンクリート中に埋設して使用する。
前記被覆部材101の面積は、直下に配した前記腐食検知部材10を完全に覆うことができる面積であって、かつ、1辺の長さは、埋設対象のコンクリートに使用される砂や砂利などの骨材の最大直径よりも大きくする。例えば、前記骨材の最大直径(最大骨材寸法)が20mmの場合、1辺の長さが20mmを超える正方形、長方形、または直径が20mmを超える円形、または長径が20mmを超える楕円形等の形状を選択する。これは、前記腐食検知センサ100の被覆部材101の露出面が、センサの埋設対象のコンクリートに使用される骨材よりも小さい場合に、前記コンクリートに含まれる最大の骨材によって、偶然に前記露出面の全面が覆われて、コンクリート表面からの腐食因子の浸透経路を遮断する事態を回避するためである。
前記被覆部材101を形成するセメント組成物硬化体がモルタルの場合、用いる細骨材は、川砂、陸砂、珪砂、および軽量骨材等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。また、該細骨材は天然骨材のほか再生骨材も使用できる。
細骨材の粒度によりセンサの厚みの下限が制限されるためと、骨材の偏在を防止するため、前記細骨材の最大粒径は、好ましくは1mm以下である。
また、前記細骨材の配合量は、好ましくは細骨材/粉体比(質量比)で3以下である。該値が3を超えると、粉体ペーストの量が少ないため、成形性が低下して粗大な空隙が生じる場合がある。また、前記細骨材の単位容積率は、好ましくは60体積%以下である。
さらに、前記硬化体は硬化体の密実性等を調整するため、混和材を含んでもよい。該混和材は、好ましくは石灰石微粉末や珪石粉等の、潜在水硬性やポゾラン活性を有しない鉱物質微粉末である。該混和材の粉末度は、ブレーン比表面積で、好ましくは2500〜10000cm/g、より好ましくは3000〜8000cm/gである。該値が2500cm/g未満では、保水性や材料分離抵抗性が低下して腐食検知センサ100の品質変動が生じる場合があり、10000cm/gを超えると粘性が増して成形が困難になる場合がある。また、前記混和材の置換率は、好ましくは10〜85質量%である。なお、前記置換率とは、混和材とセメントの質量の合計を100とした場合の混和材の含有率(質量%)である。
また、前記被覆部材101を形成するセメント組成物硬化体は、乾燥収縮によるひび割れを防止するため、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、およびポリプロピレン繊維等の有機繊維や、鋼繊維およびガラス繊維等の無機繊維や、収縮低減剤および保湿剤等を含んでもよい。該繊維の添加量は、好ましくはセメント組成物中の粉体量に対し質量比で0.02以下である。
また、セメント組成物の流動性を高めるため、減水剤、AE減水剤、および高性能AE減水剤等の減水剤を添加してもよい。該減水剤の添加率は、好ましくはセメント組成物中の粉体量に対し質量比で0.05以下である。
前記被覆部材101は、型枠への流し込み成形、押出成形、プレス成型、振動加圧成形等により製造できる。例えば、腐食検知部材10を、アクリル製や高強度モルタル製の型枠(外装材102)の底面側に設置し、露出面側に前記セメント組成物を打設する。そして、成形後に成形体は、湿潤養生、水中養生、蒸気養生、およびオートクレーブ養生等を行ってもよい。
前記構成において、腐食検知部材10は、水/セメント比が異なる被覆部材101ごとに、前記被覆部材101の直下に個別に配してもよいし、腐食検知部材を電気的に連結して、前記被覆部材101の箇所ごとに電気的特性が変化するような回路構成としてもよい。例えば、腐食検知部材1個と固定抵抗1個を直列に組み、これをひとつのユニットとして、被覆部材101ごとにユニットを配して並列に連結し、前記固定抵抗をそれぞれ異なる抵抗を有する固定抵抗を選択して回路で構成すれば、それぞれの被覆部材101の直下に配された個別の腐食検知部材10の電気的特性の変化を、1つの計測回路で計測することができる。腐食検知部材10の計測回路は、腐食検知部材10の電気的特性の変化を検出できれば、前記回路構成に限定されることはない。
(C)遮断材
本発明の腐食検知センサ100は、コンクリートの表面から前記センサの被覆部材101の露出面までの距離と、コンクリート中に埋設した時点から導体パターン部の電気的特性の変化が生じるまでに要した時間とに基づき、腐食環境を評価するものである。したがって、腐食因子が侵入する被覆部材101の露出面および腐食因子が到達する腐食検知部材10の面を除く他の面からの腐食因子の浸透を防止する必要があり、このため被覆部材101の露出面および腐食検知部材10の面を除く他の面は、図4に示すように、遮断材102(外装材102も遮断効果を有する場合、遮断材102になり得る。)で遮断されている。また、隣接して配置された水/セメント比の異なる被覆部材101の境界も、腐食因子の移動を防止するため遮断材102で遮断する。したがって、該遮断材102は、腐食因子の侵入を防止できるものであれば、特に限定されず、例えば、モルタル等のセメント組成物硬化体、セラミックス、樹脂成形品、フィルム、シート、塗膜、および板等から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの遮断材102は、粘着剤や接着剤等を介して腐食検知部材10や被覆部材101に適用できる。よって、遮断材102は、被覆部材101に比べ、腐食因子が浸透しないか、著しく低いものである。
(D)外装材
該外装材102は、腐食検知センサ100の強度の補強、小型化、および誤差因子の回避等のため、必要に応じて用いられる任意の構成部材であり、被覆部材101と熱膨張係数等の物理的性質が類似する、セメント組成物硬化体、セラミックスの焼成品や成形品が好適である。なお、前記外装材102が遮断材102としての機能を有する場合、外装材102も遮断材102に含めるものとする。
2.コンクリート中の鋼材の腐食環境の評価方法
次に、本発明のコンクリート中の鋼材の腐食環境の評価方法(以下「腐食環境評価方法」という。)について説明する。
(1)腐食環境評価方法の概要
一般に、コンクリート中の鋼材の腐食環境は、セメントの種類や配合などの材料要因と、コンクリートの周辺の環境条件により影響を受ける。したがって、腐食環境はコンクリート毎に異なるから、本発明の腐食環境評価方法は、腐食検知センサ100をコンクリート中に埋設して、実際にコンクリート中の腐食環境を把握する方法を採用する。
すなわち、本発明の腐食環境評価方法は、前記腐食検知センサ100をコンクリート中に埋設して、該腐食検知センサ100により腐食発生時間を測定し、該腐食発生時間を変数として含む腐食関係式に基づき腐食を評価するためのパラメータ(以下「腐食評価パラメータ」という。)を求め、該パラメータを用いてコンクリート中の鋼材の腐食環境を評価する方法である。
(2)腐食関係式
前記腐食関係式は、具体的には、物質の拡散現象を表すFickの第2拡散方程式である下記(1)式と、コンクリート中の鋼材の腐食発生塩分量およびセメント組成物硬化体の水/セメント比との関係を表す下記(2)式である。
CL=C×{1−erf[0.1×Scd/(2×(D×t)0.5)]}+C ・・・(1)
CL=a×(W/C)+b ・・・(2)
ただし、(1)式中、CCLはコンクリート中の鋼材の腐食発生塩分量(kg/m)を表し、Cはコンクリートの表面塩分量(kg/m)を表し、Scdは埋設深さ(mm)を表し、Dは見掛けの拡散係数(cm/年)を表し、tは腐食発生に至るまでの時間(年)を表し、Cは初期塩分量を表す。なお、前記(1)式は誤差関数である。また、(2)式中、CCLはコンクリート中の鋼材の腐食発生塩分量(kg/m)を表し、W/Cは水/セメント比を表し、aおよびbはセメントの種類ごとに定まる材料係数を表す。
(3)腐食評価パラメータ
前記腐食評価パラメータは、下記(1)式中のコンクリートの見掛けの拡散係数およびコンクリートの表面塩分量である。該拡散係数は、コンクリートを構成するセメントの種類、コンクリート中の単位セメント量、コンクリートの水/セメント比等の材料特性の影響を受けるが、特に水/セメント比の影響が大きい。また、コンクリートの表面塩分量は、コンクリート構造物が建設された地域の環境の影響を強く受ける。従来、コンクリート構造物が建設される環境は千差万別なため、前記表面塩分量を予見することは困難で、現実にはボーリングにより構造物から採取したコンクリート試験体を化学分析すること以外に、前記表面塩分量を知る手段はなかった。ところが、本発明の腐食検知センサ100を用いた評価方法によれば、(1)式に基づき見掛けの拡散係数とコンクリートの表面塩分量を同時に求めることができる。
(4)腐食評価パラメータの算出方法
次に、腐食評価パラメータの算出方法について説明する。
被覆部材101の水/セメント比やセメントの種類が異なれば、その下にある導体パターン部を形成する鉄に腐食が発生する塩分量(腐食発生塩分量)は異なるが、被覆部材101中のセメントを同一にすれば、水/セメント比だけが腐食発生塩分量に関係する。(2)式はかかる考えに基づき導出された式であり、鉄の腐食発生塩分量と水/セメント比との間の線形関係を表している。(2)式における材料係数aおよびbは、実験によって予め求めてもよいし、土木学会コンクリート標準示方書(2012年制定コンクリート標準示方書設計編:標準、149頁p)に記載されている係数を使用してもよい。
2種類以上の異なる水/セメント比を有する、2箇所以上の被覆部材101の下にある腐食検知部材の腐食発生塩分量は前記のとおり異なることと、コンクリートの表面からの腐食因子の浸透は拡散によって深さ方向に一様に浸透するため、腐食検知センサ100を設置した深さ位置の塩分量が2つの異なる腐食発生塩分量に達するまでに、時間差が生じることとなる。
したがって、例えば、2種類の異なる水/セメント比を有する、2箇所の被覆部材101を含む腐食検知センサ100を用いれば、前記2つの腐食発生塩分量ごとに、(1)式において、2組の腐食発生にいたるまでの時間(t)と埋設深さ(Scd)が求まる。そして、該2組の時間と深さの値に基づき、(1)式を用いてコンクリートの表面塩分量とコンクリートの見掛けの拡散係数を算出できる。
なお、(1)の左辺の値はコンクリート中の鋼材の腐食発生塩分量であり、コンクリートの水/セメント比から(2)式により求まる。
逆に、前記表面塩分量とコンクリートの見掛けの拡散係数が求まれば、コンクリート構造物の鉄筋の深さ位置は設計図から知ることができるので、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食発生時間(t)のみが未知数となり、(1)式をtについて解けば、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食発生時間を予測できる。
ただし、本発明の腐食環境評価方法では、腐食因子が被覆部材101を浸透(通過)する時間は短いことが必要になるが、段落0020および段落0021に記載のとおり、空気量を大きく設定しているため腐食因子の浸透性が高く、また、被覆部材101の厚みが1〜20mmと薄く、また、腐食検知センサ100の被覆部材101の厚みと、腐食検知センサ100の埋設深さの比が0.2以下であるため、コンクリート構造物と比べ、短時間で腐食因子が被覆部材101を浸透する設計になっている。
また、コンクリート構造物内の腐食因子の浸透量は、(1)式からわかるように、深さ方向に対して塩分量が急激に減少する。したがって、異なる深さにセンサを複数個設置して、(1)式を用いて腐食発生時間を算出すると、数十年単位の時間差が生じて誤差が大きくなる可能性が高い。これに対し、本発明の複数の水/セメント比を有する腐食検知センサ100は、同一の深さ位置に設置して複数個所の腐食発生塩分量を求めることができるため、誤差が少なく、また、評価にかかる時間を短縮できる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.使用材料
(1)セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
(2)細骨材:呼び寸法が850μmのJIS標準ふるいを全通した珪砂(細目砂)
(3)混和材:石灰石微粉末、ブレーン比表面積6000cm/g
(4)水:上水道水
(5)AE減水剤:ポゾリスNo.70(登録商標、BASFジャパン社製)
(6)空気量調整剤:マイクロエア303A(登録商標、BASFジャパン社製)
(7)腐食検知部材:鉄製
2.試験方法
(1)腐食検知センサとコンクリート試験体の作製
水/セメント比が30%、細骨材容積率が40%のモルタルを用いて、縦90mm、横50mm、厚さ15mmの外寸法の腐食検知センサ100の外装材102を作製した。次に、該外装材102の縦90mm、横50mmの平面部に、深さ2mm、大きさが縦55mm、横25mmの凹部を作製し、この凹部の中央部分に幅5mm、長さ25mm、厚さ2mmの遮断材102を縦に設置して凹部を2箇所に分割した。
さらに、該2箇所の凹部に、縦25mm、横20mm、厚さ0.02mmの腐食検知部材10を設置し、ケーブルを接続した。
次に、表1に示す配合条件および配合に従い、異なる水/セメント比のモルタルを混練し、該モルタルをそれぞれ前記2箇所の凹部に打設して表面を成形した後、該モルタルを20℃で7日間密封養生した。なお、前記モルタルは、表1に示す空気量およびフロー値になるように、それぞれ前記AE減水剤と前記空気量調整剤を用いて調整した。
そして、図4に示すように、被覆部材101の露出面の1面を残し、他の5面をモルタルの外装材102(遮断材102)で覆って、水/セメント比が2種類のモルタルの被覆部材101と、それぞれ直下に腐食検知部材10を配してなる腐食検知センサ100を作製した。
Figure 0006289216
そして、角柱コンクリートの表面から20mmの位置になるように、前記センサを100mm×100mm×200mmの型枠内に設置した後、該型枠内に水/セメント比が50%、最大粗骨材寸法が20mmのコンクリートを充填した。
また、参考例として、コンクリート構造物を模して、前記型枠内の表面から深さ35mmの位置に、長さ120mmの鉄筋(SD295A、D10)を設置し、前記コンクリートと同一のコンクリートを充填した。なお、鉄筋の自然電位を計測して鉄筋の腐食の有無を判定できるように、鉄筋にはリード線を接続した。
各5体ずつ作製した前記コンクリートは、材齢26日まで密封養生した後、浸透面以外の5面を樹脂で被覆して試験体を作製した。
(2)腐食促進試験
材齢28日から、該試験体は、60℃、10質量%の塩化ナトリウム水溶液中に72時間浸漬し、さらに、60℃、湿度60%で72時間乾燥させた。この浸漬と乾燥を1サイクルとして繰り返して腐食促進養生を行った。
そして、前記の1サイクルが経過した毎に、腐食検知部材10の電気抵抗は高精度テスターを用いて、また、鉄筋の自然電位は照合電極(鉛電極)を用いて高精度テスターで計測した。
該試験の結果、水/セメント比60%で形成した被覆部材101の腐食検知部材10は、4サイクル経過後に4つの抵抗値が増大し、5サイクル経過後に残りの1つの抵抗値が増大して反応が認められ、5つの腐食検知センサ100の反応が認められたサイクル数の平均値は4.2サイクルであった。また、水/セメント比が50%の被覆部材101で覆われた腐食検知部材10では、4サイクル経過後に1つの抵抗値が増大し、5サイクル経過後に残りの4つの抵抗値が増大して反応が認められ、5つの腐食検知センサ100の反応が認められたサイクルの平均値は4.8サイクルであった。
また、表面から35mmの位置に鉄筋を埋設した参考例の試験体では、14サイクル経過後に1本の鉄筋の自然電位が−350mV以下に低下し、15サイクル経過後に2本の鉄筋の自然電位が−350mV以下に低下し、16サイクル経過後に残りの2本の鉄筋の自然電位が−350mV以下に低下した。鉄筋腐食の判断基準として、鉄筋の自然電位が−350mVよりも低下すると、90%以上の確率で腐食が生じていると判定できるから、参考例の試験体中の鉄筋は14サイクル経過後に1本、15サイクル経過後に2本、16サイクル経過後に2本が腐食したと予想される。
(3)腐食評価パラメータの算出
前記腐食検知センサ100内の被覆部材101は、普通ポルトランドセメントを用いて作製したので、2012年制定 コンクリート標準示方書[設計編:標準]の149頁に記載の材料係数と前記(2)式を用いて、下記(3)式を導出した。そして、下記(3)式に、水/セメント比が50%の60%の値として、それぞれ0.5と0.6とを変数のW/Cに代入し、水/セメント比毎に鋼材腐食発生塩分量(Clim、単位はkg/m)を求めると、それぞれ1.9と1.6が得られた。そして、該値は、前記(1)式中のClmax(すなわち、Clim=Clmax)として用いた。
lim=−3.0(W/C)+3.4 ・・・(3)
ここでは促進試験を用いたのでサイクル数を時間とみなして、(1)式における腐食発生時間tとすると、水/セメント比が60%のモルタル(被覆部材101)を内蔵したセンサを用いた場合、前記(1)式にClmax=1.6、Scd=20、t=4.2、およびC=0.3を代入して、被覆部材101の露出面の塩分量(C)と前記促進試験における見掛けの拡散係数(Ddt)を変数(未知数)とする下記(4)式を得た。また、水/セメント比が50%のモルタルを内蔵したセンサを用いた場合、前記(1)式にClmax=1.9、Scd=20、t=4.8、およびC=0.3を代入して、前記塩分量(C)と前記拡散係数(Ddt)を変数とする下記(5)式を得た。
1.6=C×{1−erf[0.1×20/(2×(Ddt×4.2)0.5)]}+0.3 ・・・(4)
1.9=C×{1−erf[0.1×20/(2×(Ddt×4.8)0.5)]}+0.3 ・・・(5)
そして、(4)式と(5)式の2元連立方程式から、コンクリートの表面塩分量としてC=11kg/m、前記促進試験における見掛けの拡散係数Ddt=0.195cm/サイクルが求まった。この2つの腐食評価パラメータに基づきコンクリート中の鋼材の腐食環境を評価することができた。例えば、前記コンクリートの表面塩分量と、拡散係数を用いて、コンクリート表面から35mmの深さの塩分量を算出した。図9に、前記深さ位置の計算結果(曲線)と水/セメント比が50%の鋼材腐食発生塩分量1.9kg/mを記したグラフを示す。
腐食発生塩分量は、前記計算によれば、促進試験のサイクル数が15サイクル経過した時点で1.9kg/mとなった。一方、参考例の試験体による試験結果では、コンクリート表面からの深さが35mmの位置に設置した鉄筋の腐食時期は、計算結果とおおむね一致した。したがって、前記実験結果と評価方法によれば、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食時期を予測したり、鋼材の腐食環境の深さ方向の進展について、計算によって求めることができる。
以上述べたように、2種類以上の異なる水/セメント比で構成された被覆部材101および腐食検知部材を有する腐食検知センサ100を用いと、見掛けの拡散係数および表面塩分量を求めることができる。また、本発明の腐食検知センサ100を用いた評価方法によれば、コンクリート構造物の立地環境だけでなく、腐食検知センサ100の設置位置ごとに、コンクリート構造物の鉄筋が腐食にいたるまでの時間を予測できる。このことから、構造物の補修時期の優先順位の決定や、塩分浸透抑制剤による処理など、計画的な予防保全策を図ることが可能となる。
10 腐食検知部材
11 導体パターン部
11a 測定用端子
12 下地材
13 薄膜部
100 腐食検知センサ
101 被覆部材
102 外装材、遮断材
103 コード

Claims (6)

  1. コンクリート中の鋼材の腐食進行状況を検出する腐食検知センサであって、該センサは下記(C)遮断材と、
    2組以上の下記(A)腐食検知部材および(B)被覆部材とから構成され、遮断材内に設置された腐食検知部材の一面は被覆部材により被覆され、該被覆部材の腐食検知部材を被覆していない他の一面は露出し、少なくとも1組の被覆部材の水/セメント比が他の組の被覆部材の水/セメント比と異なる、腐食検知センサ。
    (A)鉄薄膜により形成された腐食検知部材
    (B)セメント組成物硬化体からなる被覆部材
    (C)腐食因子の侵入を遮断する遮断材
  2. 前記腐食検知センサはコンクリート中に埋設して使用し、前記被覆部材の露出面から、コンクリート中の鋼材を腐食させる腐食因子が浸透し、該腐食因子によって前記腐食検知部材の電気的特性が変化して腐食進行状況を検出する、請求項1に記載の腐食検知センサ。
  3. 前記被覆部材が下記(a)〜(d)の配合および形状を有する、請求項1または2に記載の腐食検知センサ。
    (a)水/セメント比(質量比×100):20〜150%
    (b)水/粉体比(質量比×100):15〜120%
    (c)空気量:5〜35%
    (d)被覆部材の厚み:1〜20mm
  4. 前記腐食検知部材が、腐食に起因した腐食反応による電気抵抗の変化、電位の変化、または電流密度の変化により腐食を検知する部材により形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の腐食検知センサ。
  5. (コンクリートの表面から、埋設された腐食検知センサの被覆部材の露出面までの距離)/(前記被覆部材の厚み)の比が5以上になるように、コンクリート中に設置して使用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の腐食検知センサ(ただし、前記コンクリート中に腐食検知センサを設置する態様から、腐食検知センサの遮断材のみの面がコンクリート表面側に向くように設置ないし埋設される構成を除く。)。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の腐食検知センサをコンクリート中に埋設し、
    該腐食検知センサにより腐食発生時間を測定し、
    該腐食発生時間を変数として含む腐食関係式に基づき腐食評価パラメータを求め、
    該腐食評価パラメータを用いてコンクリート中の鋼材の腐食環境を評価する、
    コンクリート中の鋼材の腐食環境の評価方法(ただし、前記コンクリート中に腐食検知センサを埋設する態様から、腐食検知センサの遮断材のみの面がコンクリート表面側に向くように設置ないし埋設される構成を除く。)
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