以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るマルチ画面表示装置1000の構成を示す図である。マルチ画面表示装置1000は、詳細は後述するが、画面(スクリーン)に、映像を構成する映像光を投射することが可能な複数の投射型映像表示装置から構成される。また、マルチ画面表示装置1000は、互いに通信する複数の投射型映像表示装置の画面から構成されるマルチ画面に映像を表示する装置である。以下、マルチ画面表示装置1000について具体的に説明する。
図1に示すように、マルチ画面表示装置1000は、投射型映像表示装置100a,100b,100c,100dを含む。投射型映像表示装置100a,100b,100c,100dの各々は、詳細は後述するが、同一の構成を有する。以下においては、投射型映像表示装置100a,100b,100c,100dの各々を、単に、投射型映像表示装置100とも表記する。すなわち、マルチ画面表示装置1000は、4台の投射型映像表示装置100から構成される。
なお、マルチ画面表示装置1000を構成する投射型映像表示装置100の数は、4に限定されず、2、3または5以上であってもよい。
各投射型映像表示装置100は、映像の輝度を変更するための複数種類の輝度モードを有する。各投射型映像表示装置100には、複数種類の輝度モードのいずれかが設定される。なお、輝度モードの詳細については後述する。
投射型映像表示装置100a,100b,100c,100dは、それぞれ、図2に示される画面10a,10b,10c,10dを含む。
マルチ画面表示装置1000は、マルチ画面10Aを含む。図2に示すように、マルチ画面10Aは、行列状に配列された画面10a,10b,10c,10dから構成される1つの画面である。以下においては、画面10a,10b,10c,10dの各々を、単に、画面10とも表記する。画面10は、映像を構成する映像光が照射されるスクリーンである。なお、マルチ画面10Aを構成する画面の数は、4に限定されず、2、3または5以上であってもよい。
投射型映像表示装置100a,100b,100c,100dは、通信ケーブル7を利用して、互いに通信可能なように構成されている。各投射型映像表示装置100には、重複しない固有のID番号(ID1〜ID4)が割り当てられる。具体的には、投射型映像表示装置100a,100b,100c,100dには、それぞれ、ID1,ID2、ID3,ID4が割り当てられる。
マルチ画面表示装置1000を構成する複数の投射型映像表示装置100のいずれかは、マスター装置として機能し、当該マスター装置以外の投射型映像表示装置100は、スレーブ装置として機能する。
本実施の形態では、一例として、ID番号「ID1」が割当てられた投射型映像表示装置100aが、マスター装置として機能する。また、ID番号「ID2」,「ID3」,「ID4」が、それぞれ割当てられた投射型映像表示装置100b,100c,100dがスレーブ装置として機能する。
マスター装置としての投射型映像表示装置100aは、スレーブ装置としての投射型映像表示装置100b,100c,100dを統括的に制御する。なお、投射型映像表示装置100aは、通信ケーブル7を利用して、投射型映像表示装置100b,100c,100dと通信可能である。
なお、以下においては、投射型映像表示装置100aを、マスター装置Maとも表記する。また、以下においては、投射型映像表示装置100b,100c,100dを、それぞれ、スレーブ装置Sb,Sc,Sdとも表記する。
マルチ画面表示装置1000は、各投射型映像表示装置100が画面10に映像を表示することにより、マルチ画面10Aに映像を表示する。
図3は、マスター装置またはスレーブ装置としての投射型映像表示装置100の構成を示すブロック図である。なお、図3には、投射型映像表示装置100に含まれない映像ソース装置5および外部制御装置6も示される。
映像ソース装置5は、映像信号を、マルチ画面表示装置1000を構成する各投射型映像表示装置100へ出力する装置である。すなわち、各投射型映像表示装置100には、映像信号が入力される。
外部制御装置6は、マルチ画面表示装置1000を構成する各投射型映像表示装置100と通信可能に構成される。すなわち、各投射型映像表示装置100は、外部制御装置6と通信する。
外部制御装置6は、例えば、PC(Personal Computer)である。外部制御装置6は、当該外部制御装置6を操作するためのユーザーインタフェースを備える。当該ユーザーインタフェースは、キーボード、マウス等である。外部制御装置6は、ユーザーによるユーザーインタフェースの操作に従って、マルチ画面表示装置1000を構成する各投射型映像表示装置100を制御する機能を有する。
図3に示すように、投射型映像表示装置100は、画面10と、投射ユニット3と、電源回路ユニット4とを含む。投射ユニット3は、映像信号に基づいて、映像光を画面10に投射する。電源回路ユニット4は、所定の信号処理を行った映像信号を投射ユニット3に与える。
次に、各構成について詳細に説明する。まず、電源回路ユニット4について詳細に説明する。電源回路ユニット4は、映像入力回路41と、映像処理回路42と、マイコン43と、メモリ44とを含む。
映像入力回路41は、マルチ画面表示装置1000の外部に配置された映像ソース装置5が出力する映像信号を受信する。次に、投射型映像表示装置100の映像入力回路41は、受信した映像信号を、デジタル信号に変換し、変換したデジタル映像信号を、映像処理回路42へ出力する。
映像処理回路42は、詳細は後述するが、受信したデジタル映像信号が示す画像に対し画質調整等の画像処理を行う。次に、映像処理回路42は、画像処理されたデジタル映像信号を、投射ユニット3(後述の映像表示デバイス31)が処理可能なフォーマットの映像信号に変換するデジタル信号フォーマット変換を行う。
以下においては、赤色、緑色および青色を、それぞれ、R、GおよびBとも表記する。映像処理回路42が処理するデジタル映像信号は、R信号、G信号、B信号を示す。
ここで、映像処理回路42が行う画質調整について説明する。映像処理回路42は、デジタル映像信号が示す、3原色であるR,G,B信号のレベルを、映像を構成する各画素および各原色毎に、独立して増減させる画質調整機能を有している。
本実施の形態では、映像処理回路42は、該デジタル映像信号が示すR,G,B信号のレベルに対し、以下の式1で示される、3×3のマトリックス演算を行う演算機能を搭載している。映像処理回路42は、式1の演算を行うことにより画質調整を行う。
式1において、Ri、Gi、Biは、それぞれ、映像処理回路42に入力されるデジタル映像信号が示すR,G,B信号のレベルを示す。また、式1において、RR、RG、RB、GR、GG、GB、BR、BG、BBは、補正係数である。また、式1において、Ro、Go、Boは、それぞれ、当該補正係数により補正された補正後のR,G,B信号のレベルを示す。
この式1の演算により、例えば、Roの信号レベルは、Riの信号レベルを増減したものに対し、Gi及びBiの信号レベルを少し加算したものとなる。映像処理回路42は、式1の演算を行うことにより、上述の画質調整機能として、R単色の輝度および色度の調整(主に色度調整)を実行する。
なお、後述の実施の形態2において、式1の補正係数は、後述のマイコン43により算出され、映像処理回路42は、当該算出された補正係数を、式1の補正係数として用いる。映像処理回路42は、画質調整後の映像信号に対し、上述のデジタル信号フォーマット変換を行う。以下においては、デジタル信号フォーマット変換により得られる信号を、変換済デジタル信号ともいう。そして、映像処理回路42は、マイコン43からの指示に従ったタイミングで、変換済デジタル信号を、投射ユニット3の映像表示デバイス31へ出力する。
メモリ44は、情報、データ等を記憶するための記憶部である。
マイコン43は、マルチ画面表示装置1000の外部に配置された外部制御装置6により、制御される。また、マイコン43は、詳細は後述するが、投射型映像表示装置100の各構成要素を統括的に制御する。
次に、投射ユニット3について詳細に説明する。
投射ユニット3は、映像表示デバイス31と、投射レンズ32と、光合成装置33と、光源34Lと、光源ドライバ35と、輝度センサー36とを含む。
映像表示デバイス31は、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)である。すなわち、各投射型映像表示装置100は、1つのDMDを用いる単板方式の装置である。なお、映像表示デバイス31は、DMDに限定されず、他の映像表示デバイスであってもよい。
光源34Lは、3原色の光(赤色光、緑色光および青色光)を順次出射する光源である。
光源34Lは、光源34R,34G,34Bを含む。光源34R,34G,34Bの各々は、半導体発光素子である。光源34R,34G,34Bの各々は、例えば、LEDである。光源34Rは、赤色光を出射する赤光源である。光源34Gは、緑色光を出射する緑光源である。光源34Bは、青色光を出射する青光源である。
以下においては、光源34R,34G,34Bの各々を、単に、光源34とも表記する。すなわち、マルチ画面表示装置1000を構成する複数の投射型映像表示装置100の各々は、半導体発光素子からなる光源34を備える。光源34は、当該光源34に流れる電流の大きさに応じた輝度の光を出射する。すなわち、光源34は、供給される電流に応じた輝度の光を出射する。光源34が出射する光の輝度は、投射型映像表示装置100に設定される輝度モード毎に異なる。
詳細は後述するが、投射型映像表示装置100は、光源34から出射される光を使用して映像を表示する。以下においては、投射型映像表示装置100が光源34から出射される光を使用して表示する映像の輝度を、映像輝度ともいう。映像輝度は、画面10に表示される映像の輝度である。
マルチ画面表示装置1000を構成する各投射型映像表示装置100には、映像輝度が異なる複数種類の輝度モードのいずれかが設定される。
なお、投射型映像表示装置100の輝度モードの設定は、外部制御装置6に対するユーザーの操作により行われる。以下においては、投射型映像表示装置100に設定されている輝度モードを、設定輝度モードともいう。
本実施の形態では、複数種類の輝度モードは、一例として、通常モードおよび省電力モードであるとする。通常モードは、映像輝度が、省電力モードより高いモードである。省電力モードは、映像輝度が通常モードより低いモードである。省電力モードにおいて光源34に供給される電流の量は、通常モードにおいて光源34に供給される電流の量より少ない。すなわち、省電力モードは、通常モードより、投射型映像表示装置100の消費電力が小さいモードである。
なお、省電力モードにおいて、光源34に供給される電流の量の下限は、ユーザーが画面10を見た場合の映像の明るさの観点ではなく、投射型映像表示装置100を構成する、各種の電子回路で決まる。また、各輝度モードにおける映像輝度は予め定められている。
また、メモリ44には、さらに、輝度モード情報が予め記憶される。輝度モード情報は、輝度モードの種類を特定するための情報である。以下においては、投射型映像表示装置100の輝度モードが通常モードであることを示す輝度モード情報を、輝度モード情報αともいう。輝度モード情報αは、モード識別子「α」を示す。モード識別子「α」は、輝度モードが通常モードであることを示す。
また、以下においては、投射型映像表示装置100の輝度モードが省電力モードであることを示す輝度モード情報を、輝度モード情報βともいう。輝度モード情報βは、モード識別子「β」を示す。モード識別子「β」は、輝度モードが省電力モードであることを示す。
メモリ44には、投射型映像表示装置100に設定されている輝度モードに対応する輝度モード情報が記憶されている。例えば、投射型映像表示装置100に設定されている輝度モードが通常モードである場合、メモリ44には、輝度モード情報αが記憶されている。
なお、輝度モードは、通常モードおよび省電力モードの2種類に限定されず、3種類以上であってもよい。
光源ドライバ35は、光源34Lの光源34R,34G,34Bを発光させる制御を行う。具体的には、光源ドライバ35は、マイコン43からの指示に従って、異なるタイミング(時分割)で、赤色光、緑色光および青色光が順次出射されるように、光源34R,34G,34Bを制御する。
より具体的には、光源ドライバ35は、各光源34を発光させるために、当該光源34に、制御電流(ドライブ電流)を供給する。制御電流は、各光源34が出射する光の輝度を制御するための電流である。光源ドライバ35は、当該制御電流を、各光源34に時分割で供給する。これにより、光源34Lが発光するタイミングが時分割で制御される。
光合成装置33は、光源34R,34G,34Bからそれぞれ出射される、赤色光、緑色光および青色光を、順次、出射する。
光源34R,34G,34Bの各々が出射する光は、光合成装置33を介して、映像表示デバイス31へ照射された後、投射レンズ32を介して画面10へ照射される。なお、赤色光、緑色光および青色光は、非常に短い時間間隔で画面10に、順次照射される。
そのため、画面10を視るユーザーは、赤色光の映像、緑色光の映像および青色光の映像が合成された映像が画面10に照射されているように見える。すなわち、ユーザーは、画面10において、赤、緑、青が混色された色が見える。これにより、画面10にフルカラーの映像が表示される。
映像表示デバイス31は、映像処理回路42から受信する、前述の変換済デジタル信号にしたがって、照射された光を強度変調し、変調後の光を、投射レンズ32へ導く。
マイコン43は、光源ドライバ35を介して、光源34R,34G,34Bの各々が出射する光の輝度を制御する。具体的には、マイコン43は、光源ドライバ35を介して、光源34R,34G,34Bの各々に供給される制御電流を制御する。また、マイコン43は、メモリ44にアクセス可能に構成される。マイコン43は、赤色光、緑色光および青色光の輝度特性、各種データを、予め、メモリ44に記憶させておく。すなわち、メモリ44は、当該メモリ44を含む投射型映像表示装置100の赤色光、緑色光および青色光の輝度特性を記憶する。また、マイコン43は、必要に応じて、メモリ44に記憶されている、輝度特性、各種データ等を読み出す。
輝度特性とは、光源34の制御電流と、当該制御電流に対応する映像輝度との関係を示す特性である。以下においては、光源34を動作させるための制御電流の電流値(値)を、制御電流値ともいう。また、以下においては、赤色光のみで得られた映像輝度、緑色光のみで得られた映像輝度および青色光のみで得られた映像輝度を、それぞれ、R輝度、G輝度およびB輝度ともいう。
図4は、輝度特性の一例を示す図である。図4(a)は、赤色光を出射する光源34Rに対応する輝度特性LR1の一例を示す図である。図4(a)において、YR0とは、光源34Rの制御電流値がIR0であり、かつ、光源34Rが出射する赤色光のみが画面10に照射されることにより画面10が映像を表示している状態における映像輝度である。
図4(b)は、緑色光を出射する光源34Gに対応する輝度特性LG1の一例を示す図である。図4(b)において、YG0とは、光源34Gの制御電流値がIG0であり、かつ、光源34Gが出射する緑色光のみが画面10に照射されることにより画面10が映像を表示している状態における映像輝度である。
図4(c)は、青色光を出射する光源34Bに対応する輝度特性LB1の一例を示す図である。図4(c)において、YB0とは、光源34Bの制御電流値がIB0であり、かつ、光源34Bが出射する青色光のみが画面10に照射されることにより画面10が映像を表示している状態における映像輝度である。
以下においては、輝度特性LR1,LG1,LB1の各々を、単に、輝度特性Lとも表記する。輝度特性Lは、電流(制御電流)と輝度(映像輝度)との関係を示す電流輝度特性である。
また、光源34へ供給する制御電流の量を制御することにより、光源34が出射する光の輝度を制御することが可能である。そこで、本実施の形態では、前述の異なる各輝度モードに対応する制御電流値を、予め、メモリ44に記憶させておく。すなわち、メモリ44は、各輝度モードに対応する制御電流値を記憶する。
本実施の形態では、各投射型映像表示装置100のメモリ44には、光源34R,34G,34Bの各々の初期設定値I0_α,I0_βが予め記憶されている。初期設定値I0_αは、輝度モードとしての通常モードに対応する、初期の制御電流値である。I0_αは、例えば、30(A)である。初期設定値I0_βは、輝度モードとしての省電力モードに対応する、初期の制御電流値である。I0_βは、例えば、15(A)である。
詳細は後述するが、ユーザーが、外部制御装置6に対し、投射型映像表示装置100の輝度モードを変更するための操作を行ったとする。この場合、マイコン43は、変更後の輝度モードに対応する制御電流値をメモリ44から読み出し、当該制御電流値の制御電流を、光源34に供給するための制御を行う。これにより、ユーザーは、投射型映像表示装置100が表示する映像の輝度を素早く切り替えることが可能である。
なお、マスター装置Maのマイコン43と、スレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々のマイコン43とは、通信ケーブル7、通信インタフェース(図示せず)等を介して、情報を互いに送受信可能なように構成される。例えば、マスター装置Maのマイコン43は、通信ケーブル7を介して、スレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々のマイコン43に制御命令を送信する。
マスター装置Maのマイコン43と、スレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々のマイコン43とは、通信ケーブル7を用いずに通信可能に構成されてもよい。例えば、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々は、互いに、無線通信を行う機能を有してもよい。
輝度センサー36は、マイコン43が画面10に投射される映像光の光量(輝度)を検出するための光量を検出する。輝度センサー36は、検出した映像光の光量を、マイコン43へ送信する。本実施の形態では、輝度センサー36は、投射ユニット3内において、画面10に投射されない不要光を映像表示デバイス31から受け取って、当該不要光の光量を検出し、該検出した光量をマイコン43へ送信する。
マイコン43は、受信した当該光量に基づいて、画面10に投射される映像光の輝度(映像輝度)を擬似的に検出(監視)する。なお、投射ユニット3として液晶映像表示装置が用いられる場合、バックライトからの光の光量に基づいて、マイコン43は、映像輝度を擬似的に検出してもよい。
各投射型映像表示装置100は、工場出荷時または製品の映像調整時に、特性算出工程を行う。特性算出工程では、投射型映像表示装置100が、図4(a)〜(c)の輝度特性LR1,LG1,LB1の各々を算出する。具体的には、投射型映像表示装置100が、R、G、Bごとに、各光源34の制御電流に対応する、画面10における輝度(映像輝度)を、当該制御電流を変化させながら、輝度センサー36を用いて測定する。
例えば、投射型映像表示装置100は、光源34Rのみに制御電流を供給し、画面10に赤色光のみが照射されている状態で、当該制御電流を変化させながら、輝度センサー36を用いて、映像輝度を測定する。これにより、輝度特性LR1が算出される。輝度特性LG1,LB1も、輝度特性LR1と同様に、算出される。
これにより、投射型映像表示装置100は、輝度特性LR1,LG1,LB1を算出する。そして、投射型映像表示装置100は、算出した輝度特性LR1,LG1,LB1を、当該投射型映像表示装置100のメモリ44に記憶させる。これにより、メモリ44には、輝度特性LR1,LG1,LB1が記憶される。すなわち、各投射型映像表示装置100のメモリ44は、当該投射型映像表示装置100に対応した輝度特性LR1,LG1,LB1を記憶する。
なお、映像輝度の測定は、輝度センサー36を用いない以下の工程Aにより行われてもよい。工程Aでは、例えば、作業者が、投射型映像表示装置100が画面10に赤色光のみを照射するように、外部制御装置6を操作する。作業者は照度計を用いて、画面10上の映像輝度を測定する。そして、作業者は外部制御装置6を操作することにより、光源34Rの制御電流を変化させる毎に、作業者が画面10上の映像輝度を測定する。
これにより、作業者は、輝度特性LR1を求める。そして、作業者は、求めた輝度特性LR1を、メモリ44に記憶させるように、外部制御装置6を操作する。輝度特性LG1,LB1も、輝度特性LR1と同様な方法により、メモリ44に記憶される。
なお、マルチ画面表示装置1000において、仮に、後述の輝度調整処理が行われない場合、以下の問題点がある。マルチ画面表示装置1000が初めて使用される際には、各投射型映像表示装置100の製造上のばらつきにより、各投射型映像表示装置100が表示する映像において、輝度のばらつきが生じることがある。
仮に、後述の輝度調整処理が行われてない場合、輝度のばらつきが存在する状態で、各投射型映像表示装置100が、全白の映像信号に従って、当該投射型映像表示装置100の画面10全体に白色を表示したとする。この場合、マルチ画面10Aにおける各画面10間に輝度差が生じる。その結果、マルチ画面10Aに表示される映像の一体感が損なわれる。
なお、輝度差が抑制されるように、作業者が、目視、計測器等により、各投射型映像表示装置100の輝度を調整する作業を行うことは可能である。しかしながら、その作業は困難であり、かつ、時間が掛かるものである。
そこで、本実施の形態では、上記問題を解決するために、以下の状況A,Bにおいても、各投射型映像表示装置100の輝度の調整を、適切かつ自動的に実施する。状況Aの一例は、マルチ画面表示装置1000の運用中に、ユーザーによる外部制御装置6の操作により、複数の投射型映像表示装置100のいずれかの輝度モードが変更されるという状況である。
また、状況Bの一例は、マルチ画面表示装置1000の設置時において、輝度モードが異なる投射型映像表示装置100が混在しているという状況である。以下、このような輝度の調整を実施可能にするための処理について説明する。
本実施の形態では、マルチ画面表示装置1000が、各投射型映像表示装置100の輝度モードを考慮して、輝度を自動的に調整するための処理(以下、輝度調整処理ともいう)を行う。輝度調整処理は、主に、マスター装置Ma及びスレーブ装置Sb,Sc,Sdのマイコン43によって行われる。以下においては、スレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々を、単に、スレーブ装置Sともいう。
図5は、輝度調整処理のフローチャートである。輝度調整処理は、例えば、前述の状況Aまたは状況Bにおいて、複数の投射型映像表示装置100間の輝度のばらつきを抑制する調整を自動的に行う処理である。
以下、図5を用いて、輝度調整処理について説明する。まず、条件Aにおける輝度調整処理について説明する。条件Aでは、図6(a)のように、マスター装置Ma(投射型映像表示装置100a)およびスレーブ装置Sb(投射型映像表示装置100b)には、輝度モードとして、通常モードが設定されているとする。また、スレーブ装置Sc(投射型映像表示装置100c),スレーブ装置Sd(投射型映像表示装置100d)には、輝度モードとして、省電力モードが設定されているとする。
また、条件Aでは、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sbの各々のメモリ44には、輝度モード情報αが記憶されているとする。また、スレーブ装置Sc,Sdの各々のメモリ44には、輝度モード情報βが記憶されているとする。
以下においては、通常モードにおける光源34Rの制御電流の電流値(制御電流値)を、IRn_αとも表記する。また、以下においては、通常モードにおける光源34Gの制御電流の電流値(制御電流値)を、IGn_αとも表記する。また、以下においては、通常モードにおける光源34Bの制御電流の電流値(制御電流値)を、IBn_αとも表記する。
なお、IRn_α、IGn_αおよびIBn_αの各々における「n」は、自然数である。当該nは、各投射型映像表示装置100に割り当てられたID番号(例えば、ID1)が示す数字に対応する。
ここで、n=1の場合、IRn_α、IGn_αおよびIBn_αは、それぞれ、投射型映像表示装置100a(マスター装置Ma)に含まれる光源34R,34G,34Bの制御電流値である。また、n=2の場合、IRn_α、IGn_αおよびIBn_αは、それぞれ、投射型映像表示装置100b(スレーブ装置Sb)に含まれる光源34R,34G,34Bの制御電流値である。
また、n=3の場合、IRn_α、IGn_αおよびIBn_αは、それぞれ、投射型映像表示装置100c(スレーブ装置Sc)に含まれる光源34R,34G,34Bの制御電流値である。また、n=4の場合、IRn_α、IGn_αおよびIBn_αは、それぞれ、投射型映像表示装置100d(スレーブ装置Sd)に含まれる光源34R,34G,34Bの制御電流値である。
また、以下においては、省電力モードにおける光源34Rの制御電流の電流値(制御電流値)を、IRn_βとも表記する。また、以下においては、省電力モードにおける光源34Gの制御電流の電流値(制御電流値)を、IGn_βとも表記する。また、以下においては、省電力モードにおける光源34Bの制御電流の電流値(制御電流値)を、IBn_βとも表記する。IRn_β、IGn_βおよびIBn_βにおける「n」は、IRn_α、IGn_αおよびIBn_αにおける「n」と同じである。なお、IRn_β、IGn_βおよびIBn_βは、前述のIRn_α、IGn_αおよびIBn_αと同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
なお、以下において定義する値に示されるnは、IRn_αにおける「n」と同様である。すなわち、n=1が付された値は、マスター装置Maが、特定した値、算出した値等である。また、n=2が付された値は、スレーブ装置Sbが、特定した値、算出した値等である。また、n=3が付された値は、スレーブ装置Scが、特定した値、算出した値等である。また、n=4が付された値は、スレーブ装置Sdが、特定した値、算出した値等である。
図5の輝度調整処理は、ステップS100M,S100N,S100Lを含む。ステップS100Mは、マスター装置Maが行うステップである。ステップS100Nは、通常モードのスレーブ装置Sが行うステップである。ステップS100Lは、省電力モードの各スレーブ装置Sが行うステップである。
以下に、前述の条件Aにおける、ステップS100M,S100N,S100Lの処理について説明する。
まず、ステップS10では、マスター装置Maのマイコン43は、自動調整を開始するための命令を、スレーブ装置Sb,Sc,Sdへ送信する。
次に、マスター装置Maのマイコン43は、初期の制御電流値として、通常モードに対応する、各光源34の初期設定値I0_αをメモリ44から読み出すことにより、当該初期設定値I0_αを取得する(S21)。また、通常モードのスレーブ装置Sのマイコン43は、通常モードに対応する、各光源34の初期設定値I0_αをメモリ44から読み出すことにより、当該初期設定値I0_αを取得する(S22N)。
また、省電力モードの各スレーブ装置Sのマイコン43は、省電力モードに対応する、各光源34の初期設定値I0_βをメモリ44から読み出すことにより、当該初期設定値I0_βを取得する(S22L)。
なお、初期設定値I0_α,I0_βは、メモリ44から取得するとしたがこれに限定されない。初期設定値I0_α,I0_βは、例えば、マスター装置MaからステップS10で送信される命令とともに、各スレーブ装置Sに与えられてもよい。
次に、各投射型映像表示装置100のマイコン43は、輝度特定処理(S31,S32N,S32L)を行う。すなわち、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々のマイコン43は、輝度特定処理を行う。
輝度特定処理は、各投射型映像表示装置100のマイコン43が、当該投射型映像表示装置100のメモリ44に記憶されている輝度特性Lを使用して、当該投射型映像表示装置100が出力可能な映像輝度を特定する処理である。すなわち、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々のマイコン43は、輝度特定処理により、映像輝度を特定する。ここで、一例として、輝度特定処理(S31)において、マスター装置Maのマイコン43が行う処理について説明する。
以下においては、I0_αに対応する、図4(a)の輝度特性LR1が示す輝度(R輝度)を、YR0n_αとも表記する。また、以下においては、I0_αに対応する、図4(b)の輝度特性LG1が示す輝度(G輝度)を、YG0n_αとも表記する。また、以下においては、I0_αに対応する、図4(c)の輝度特性LB1が示す輝度(B輝度)を、YB0n_αとも表記する。
また、以下においては、I0_βに対応する、図4(a)の輝度特性LR1が示す輝度(R輝度)を、YR0n_βとも表記する。また、以下においては、I0_βに対応する、図4(b)の輝度特性LG1が示す輝度(G輝度)を、YG0n_βとも表記する。また、以下においては、I0_βに対応する、図4(c)の輝度特性LB1が示す輝度(B輝度)を、YB0n_βとも表記する。
また、以下においては、各設定輝度モード毎に、輝度特性Lから特定される、制御電流に対応する輝度を、特性輝度ともいう。すなわち、特性輝度は、輝度特性Lから特定される輝度である。また、特性輝度は、投射型映像表示装置100に設定されている輝度モードに対応する、当該投射型映像表示装置100が出力可能な映像輝度である。
輝度特定処理(S31)では、マイコン43が、メモリ44に記憶されている輝度特性Lを使用して、各光源34の制御電流値に対応する、輝度特性Lが示す特性輝度を特定する。
なお、ステップS31の時点において、各光源34の制御電流値であるIRn_α、IGn_αおよびIBn_αは、I0_αである。そのため、輝度特定処理では、マイコン43が、初期の制御電流値に対応する、輝度特性Lが示す特性輝度を特定する。
より具体的には、輝度特定処理(S31)では、マスター装置Maのマイコン43が、メモリ44に記憶されている輝度特性LR1を使用して、初期設定値I0_αに対応する、輝度特性LR1が示す特性輝度YR0n_αを特定する。また、マイコン43は、特性輝度YR0n_αと同様に、輝度特性LG1,LB1を使用して、特性輝度YG0n_α,YB0n_αを特定する。
また、輝度特定処理(S32N)では、スレーブ装置Sのマイコン43は、ステップS31と同様に、当該スレーブ装置Sにおける特性輝度YR0n_α,YG0n_α,YB0n_αを特定する。
また、輝度特定処理(S32L)では、各スレーブ装置Sのマイコン43が、初期設定値I0_βに対応する、輝度特性LR1が示す特性輝度YR0n_βを特定する。また、マイコン43は、輝度YR0n_βと同様に、輝度特性LG1,LB1を使用して、特性輝度YG0n_β,YB0n_βを特定する。
次に、ステップS41において、マスター装置Maのマイコン43は、メモリ44から輝度モード情報αを読み出す。マイコン43は、当該輝度モード情報αにより、当該マイコン43を含む投射型映像表示装置100(マスター装置Ma)に設定されている輝度モードが、通常モードであることを特定する。なお、ステップS42Nでは、スレーブ装置Sのマイコン43が、ステップS41と同様な処理を行う。
また、ステップS42Lでは、各スレーブ装置Sのマイコン43が、メモリ44から輝度モード情報βを読み出す。当該輝度モード情報βにより、マイコン43は、当該マイコン43を含む投射型映像表示装置100(スレーブ装置S)に設定されている輝度モードが、省電力モードであることを特定する。
次に、マスター装置Maのマイコン43は、要求指示を、スレーブ装置Sb,Sc,Sdへ送信する(S51)。当該要求指示は、各スレーブ装置Sのマイコン43が得ている、輝度情報およびモード識別子を要求するための指示である。当該輝度情報は、YR0n_s、YG0n_s、YB0n_sを示す情報である。
当該YR0n_s、YG0n_sおよびYB0n_sにおける「n」は、2〜4のいずれかである。また、当該YR0n_s、YG0n_sおよびYB0n_sの「s」は、スレーブ装置Sのマイコン43が読み出した輝度モード情報が示すモード識別子である。例えば、スレーブ装置Sのマイコン43が、輝度モード情報αを読み出した場合、当該YR0n_s、YG0n_sおよびYB0n_sの「s」は、モード識別子「α」である。
そして、各スレーブ装置Sのマイコン43は、要求指示を受信する(S52N,S52L)。
次に、通常モードのスレーブ装置Sのマイコン43は、要求指示に従って、特定したYR0n_α、YG0n_αおよびYB0n_αとモード識別子「α」とを示す輝度情報を、マスター装置Maへ送信する(S62N)。例えば、通常モードのスレーブ装置Sbのマイコン43は、要求指示に従って、特定したYR02_α、YG02_αおよびYB02_αとモード識別子「α」とを示す輝度情報を、マスター装置Maへ送信する。
また、省電力モードの各スレーブ装置Sのマイコン43は、要求指示に従って、特定したYR0n_β、YG0n_βおよびYB0n_βとモード識別子「β」とを示す輝度情報を、マスター装置Maへ送信する(S62L)。例えば、省電力モードのスレーブ装置Scのマイコン43は、要求指示に従って、特定したYR03_β、YG03_βおよびYB03_βとモード識別子「β」とを示す輝度情報を、マスター装置Maへ送信する。
そして、マスター装置Maのマイコン43は、スレーブ装置Sb,Sc,Sdから、複数の輝度情報を受信する(S61)。
ステップS70では、目標輝度算出処理が行われる。目標輝度算出処理では、マスター装置Maのマイコン43が、当該マスター装置Maの特性輝度と、各スレーブ装置Sの特性輝度とに基づいて、目標輝度を各輝度モード毎に算出する。すなわち、マスター装置Maのマイコン43は、目標輝度を算出する算出部である。
上記のマスター装置Maの特性輝度とは、n=1である場合における特性輝度YR0n_α,YG0n_α,YB0n_αである。上記の当該スレーブ装置Sの特性輝度とは、特性輝度YR0n_s,YG0n_s,YB0n_sである。YR0n_s、YG0n_s、YB0n_sにおいて、nは2〜4のいずれかであり、sは、モード識別子であるαまたはβである。
少し具体的には、目標輝度算出処理では、マスター装置Maのマイコン43は、マスター装置Maの特性輝度とマスター装置Maの設定輝度モードと、各スレーブ装置Sの特性輝度と各スレーブ装置Sの設定輝度モードとに基づいて、目標輝度を各輝度モード(設定輝度モード)毎に算出する。
目標輝度とは、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100の目標となる輝度である。すなわち、目標輝度とは、同一の輝度モードの複数の投射型映像表示装置100の各々共通の輝度である。
以下、具体例をあげつつ、目標輝度算出処理について詳細に説明する。目標輝度算出処理では、まず、マスター装置Maのマイコン43が、各スレーブ装置Sから受信した輝度情報が示すモード識別子により、スレーブ装置Sb,Sc,Sdの設定輝度モードを把握する。
ここで、スレーブ装置Sbの設定輝度モードは、通常モードであり、スレーブ装置Sc,Sdの設定輝度モードは、省電力モードである。なお、マスター装置Maの設定輝度モードは、通常モードである。
以下においては、設定輝度モードが通常モードである投射型映像表示装置100が属するグループを、グループαとも表記する。また、以下においては、設定輝度モードが省電力モードである投射型映像表示装置100が属するグループを、グループβとも表記する。
また、以下においては、グループαに属する投射型映像表示装置100の特性輝度を、Y_αとも表記する。また、以下においては、グループβに属する投射型映像表示装置100の特性輝度を、Y_βとも表記する。
マスター装置Maのマイコン43は、グループαに属するマスター装置Maの特性輝度YR01_α,YG01_α,YB01_αと、スレーブ装置Sbから受信した特性輝度YR02_α、YG02_α,YB02_αとを、特性輝度Y_αと判定する。
また、マスター装置Maのマイコン43は、グループβに属するスレーブ装置Sc,Sdの各々から受信した特性輝度YR0n_β,YG0n_β,YB0n_βを、特性輝度Y_βと判定する。特性輝度YR0n_β,YG0n_β,YB0n_βにおけるnは、3または4である。
次に、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100の画面10間の輝度のばらつきを低減するために、マスター装置Maのマイコン43は、各設定輝度モード毎に、同一の目標輝度を算出する。マイコン43は、一例として、通常モードおよび省電力モードの各々に対し、異なる目標輝度を算出する。
以下においては、グループαに属する投射型映像表示装置100におけるR,G,Bの目標輝度を、それぞれ、目標輝度YRT_α,YGT_α,YBT_αとも表記する。目標輝度YRT_αは、Rの目標輝度である。目標輝度YGT_αは、Gの目標輝度である。目標輝度YBT_αは、Bの目標輝度である。
また、以下においては、グループβに属する投射型映像表示装置100におけるR,G,Bの目標輝度を、それぞれ、目標輝度YRT_β,YGT_β,YBT_βとも表記する。目標輝度YRT_βは、Rの目標輝度である。目標輝度YGT_βは、Gの目標輝度である。目標輝度YBT_βは、Bの目標輝度である。
また、以下においては、YRT_αおよびYRT_βの各々を、YRT_sとも表記する。また、以下においては、YGT_αおよびYGT_βの各々を、YGT_sとも表記する。また、以下においては、YBT_αおよびYBT_βの各々を、YBT_sとも表記する。YRT_s、YGT_sおよびYBT_sにおける「s」は、モード識別子αまたはβである。
まず、通常モードに対応するグループαについては、マスター装置Maのマイコン43は、R、G、Bの各々において、複数の特性輝度Y_αのうち、最も小さい値を示す特性輝度Y_αを、目標輝度として算出する。当該複数の特性輝度Y_αは、特性輝度YR01_α,YG01_α,YB01_α,YR02_α、YG02_α,YB02_αである。
例えば、Rに対応する目標輝度YRT_αは、YRT_α=Min(YR01_α,YR02_α)により算出される。YRT_α=Min(YR01_α,YR02_α)は、YR01_αおよびYR02_αのうち、最も小さい値を示す特性輝度を、目標輝度YRT_αとして算出する式である。
また、Gに対応する目標輝度YGT_αは、YGT_α=Min(YG01_α,YG02_α)により算出される。また、Bに対応する目標輝度YBT_αは、YBT_α=Min(YB01_α,YB02_α)により算出される。
複数の特性輝度Y_αのうち、最も小さい値を示す特性輝度Y_αを、目標輝度として算出する理由を以下に説明する。ここで、仮に、目標輝度を、最も小さい値以外を示す特性輝度Y_αとしたとする。この場合、最も映像輝度が下がっている投射型映像表示装置100の映像輝度は、仮の目標輝度を満たすことができない。そのため、輝度のばらつきが顕著に表れてしまう。よって、必然的にグループαに属する各投射型映像表示装置100の目標輝度は、最低値を示す特性輝度に合わせることとなる。
次に、省電力モードに対応するグループβについては、マスター装置Maのマイコン43は、R、G、Bの各々において、複数の特性輝度Y_βのうち、最も大きい値を示す特性輝度Y_βを、目標輝度として算出する。当該複数の特性輝度Y_βは、特性輝度YR03_β,YG03_β,YB03_β,YR04_β、YG04_β,YB04_βである。
Rに対応する目標輝度YRT_βは、YRT_β=Max(YR03_β,YR04_β)により算出される。YRT_β=Max(YR03_β,YR04_β)は、YR03_βおよびYR04_βのうち、最も大きい値を示す特性輝度を、目標輝度YRT_βとして算出する式である。また、Gに対応する目標輝度YGT_βは、YGT_β=Max(YG03_β,YG04_β)により算出される。また、Bに対応する目標輝度YBT_βは、YBT_β=Max(YB03_β,YB04_β)により算出される。
複数の特性輝度Y_βのうち、最も大きい値を示す特性輝度Y_βを、目標輝度として算出する理由を以下に説明する。当該理由は、省電力モード時の初期電流値が、投射型映像表示装置100を構成する電子回路の制約上、現在の値よりも下げることができない値に設定してあるためである。そのため、グループβに属する各投射型映像表示装置100の目標輝度は、最高値を示す特性輝度に合わせる必要がある。
以上により、目標輝度算出処理は終了する。
次に、ステップS81では、目標輝度送信処理が行われる。目標輝度送信処理では、マスター装置Maのマイコン43が、算出した目標輝度YRT_s,YGT_s,YBT_sを、モード識別子α,βに従って、グループα,βのいずれかに属するスレーブ装置Sへ送信する。
例えば、マイコン43は、目標輝度YRT_α,YGT_α,YBT_αを、グループαに属するスレーブ装置Sbへ送信する。また、マイコン43は、目標輝度YRT_β,YGT_β,YBT_βを、グループβに属するスレーブ装置Sc,Sdへ送信する。
各スレーブ装置Sのマイコン43は、目標輝度YRT_s,YGT_s,YBT_sを受信する(S82N,S82L)。例えば、スレーブ装置Scのマイコン43は、目標輝度YRT_β,YGT_β,YBT_βを受信する(S82L)。
以下においては、目標輝度YRT_αに対応する、図4(a)の輝度特性LR1が示す制御電流値を、IRTn_αとも表記する。また、以下においては、目標輝度YGT_αに対応する、図4(b)の輝度特性LG1が示す制御電流値を、IGTn_αとも表記する。また、以下においては、目標輝度YBT_αに対応する、図4(c)の輝度特性LB1が示す制御電流値を、IBTn_αとも表記する。
また、以下においては、目標輝度YRT_βに対応する、図4(a)の輝度特性LR1が示す制御電流値を、IRTn_βとも表記する。また、以下においては、目標輝度YGT_βに対応する、図4(b)の輝度特性LG1が示す制御電流値を、IGTn_βとも表記する。また、以下においては、目標輝度YBT_βに対応する、図4(c)の輝度特性LB1が示す制御電流値を、IBTn_βとも表記する。
また、以下においては、IRTn_αおよびIRTn_βの各々を、IRTn_sとも表記する。また、以下においては、IGTn_αおよびIGTn_βの各々を、IGTn_sとも表記する。また、以下においては、IBTn_αおよびIBTn_βの各々を、IBTn_sとも表記する。
IRTn_s、IGTn_sおよびIBTn_sおける「n」は、前述のIRn_αの「n」と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。IRTn_s、IGTn_sおよびIBTn_sおける「s」は、モード識別子αまたはβである。
次に、各投射型映像表示装置100のマイコン43は、制御電流特定処理(S91,S92N,S92L)を行う。すなわち、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々のマイコン43は、制御電流特定処理を行う。
制御電流特定処理は、各投射型映像表示装置100のマイコン43が、当該投射型映像表示装置100のメモリ44に記憶されている輝度特性Lを使用して、制御電流値を特定する処理である。少し具体的には、制御電流特定処理は、各投射型映像表示装置100が、輝度特性Lを使用して、当該投射型映像表示装置100に設定されている輝度モードに対応して算出された目標輝度に対応する制御電流の値である制御電流値を特定する処理である。具体的には、制御電流特定処理は、各投射型映像表示装置100が、輝度特性Lと受信した目標輝度とを用いて、当該目標輝度に対応する制御電流値を特定する処理である。
ここで、一例として、制御電流特定処理(S91)において、マスター装置Maのマイコン43が行う処理について説明する。制御電流特定処理(S91)では、マイコン43が、メモリ44に記憶されている輝度特性LR1を使用して、目標輝度YRT_αに対応する、輝度特性LR1が示す制御電流値IRT1_αを特定する。また、マイコン43は、制御電流値IRT1_αと同様に、輝度特性LG1,LB1を使用して、制御電流値IGT1_α,IBT1_αを特定する。
また、制御電流特定処理(S92N)では、通常モードのスレーブ装置Sbのマイコン43は、ステップS91と同様に、当該スレーブ装置SbにおけるIRT2_α、IGT2_αおよびIBT2_αを特定する。
また、制御電流特定処理(S92L)では、省電力モードの各スレーブ装置Sのマイコン43は、ステップS91と同様に、当該各スレーブ装置SにおけるIRTn_β、IGTn_βおよびIBTn_βを特定する。IGTn_βおよびIBTn_βにおける「n」は、3または4である。
次に、各投射型映像表示装置100のマイコン43は、電流制御処理(S93,S94N,S94L)を行う。すなわち、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々のマイコン43は、電流制御処理を行う。
電流制御処理は、各投射型映像表示装置100が、特定された、目標となる制御電流値を示す電流を、当該投射型映像表示装置100の光源34に供給する処理である。
ここで、一例として、電流制御処理(S93)において、マスター装置Maのマイコン43が行う処理について説明する。電流制御処理(S93)では、マイコン43が、目標となる、特定された制御電流値IRT1_αを示す電流が、光源34Rに供給されるように、光源ドライバ35を制御する。当該特定された制御電流値IRT1_αは、目標となる制御電流値、すなわち、目標制御電流値である。
また、マイコン43が、目標となる、特定された制御電流値IGT1_αを示す電流が、光源34Gに供給されるように、光源ドライバ35を制御する。また、マイコン43が、目標となる、特定された制御電流値IBT1_αを示す電流が、光源34Bに供給されるように、光源ドライバ35を制御する。
また、電流制御処理(S94N)では、スレーブ装置Sbのマイコン43は、ステップS93と同様に、光源ドライバ35を制御する。
また、電流制御処理(S94L)では、各スレーブ装置Sのマイコン43が、ステップS93と同様に、光源ドライバ35を制御する。以下、一例として、スレーブ装置Scの処理について説明する。
スレーブ装置Scのマイコン43は、目標となる、特定された制御電流値IRT1_βを示す電流が、光源34Rに供給されるように、光源ドライバ35を制御する。また、マイコン43は、目標となる、特定された制御電流値IGT1_βを示す電流が、光源34Gに供給されるように、光源ドライバ35を制御する。また、マイコン43は、目標となる、特定された制御電流値IBT1_βを示す電流が、光源34Bに供給されるように、光源ドライバ35を制御する。
以上の電流制御処理(S93,S94N,S94L)により、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々は、自装置の各光源34に供給すべき制御電流を、算出された目標輝度に基づいて変更する。そして、ステップS100M,S100N,S100Lは終了し、図5の輝度調整処理は終了する。
なお、上記の説明では、図6(a)のように、各投射型映像表示装置に設定される輝度モードにおいて、通常モードと省電力モードとが混在する場合の処理について説明した。なお、マルチ画面表示装置1000の実際の運用では、図6(b)または図6(c)のように、複数の投射型映像表示装置100にそれぞれ設定される複数の輝度モードを同じ輝度モードにし、当該複数の投射型映像表示装置100全ての輝度モードを切替えて運用する場合が多い。
ここで、図6(b)のように、複数の投射型映像表示装置100のすべての輝度モードが、省電力モードであるとする。この場合、スレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々は、図5のステップS62Lにおいて、省電力モード時の輝度値およびモード識別子「β」を、マスター装置Maへ送信する。そして、ステップS70以降のステップにて各投射型映像表示装置100の輝度調整が行われる。
また、図6(c)のように、複数の投射型映像表示装置100のすべての輝度モードが、通常モードであるとする。この場合、スレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々は、図5のステップS62Nにおいて、通常モード時の輝度値およびモード識別子「α」を、マスター装置Maへ送信する。そして、ステップS70以降のステップにて各投射型映像表示装置100の輝度調整が行われる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、マイコン43は、目標輝度を各輝度モード毎に算出する。各投射型映像表示装置100は、当該投射型映像表示装置100に設定されている輝度モードに対応して算出された目標輝度に対応する、目標となる制御電流値を特定する。各投射型映像表示装置100は、特定された該制御電流値を示す電流を、当該投射型映像表示装置100の光源34に供給する。
これにより、輝度モードに適した光源の制御を行うことができる。したがって、同一の輝度モードが設定されている各投射型映像表示装置における輝度のばらつきを抑制することができる。
また、本実施の形態では、マルチ画面表示装置1000において、輝度モードが異なる投射型映像表示装置100が混在する場合でも、マルチ画面表示装置1000における各輝度モード毎にグループ分けが行われる。そして、マスター装置Maが、各グループのスレーブ装置Sと、目標輝度を送受信することにより、最適な目標輝度を算出する。
そのため、マルチ画面表示装置1000において、輝度モードが異なる投射型映像表示装置100が混在する場合でも、各グループ毎に、投射型映像表示装置100間の輝度のばらつきを抑制することができる。すなわち、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100間の輝度のばらつきを抑制することができる。例えば、前述の状況A,Bにおいても、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100間の輝度のばらつきを抑制することができる。その結果、マルチ画面表示装置1000に表示される映像の一体感を向上させることができる。
さらに、例えば、図6の(a)、(b)、(c)のように、輝度モードの設定パターンを切替えても、マスター装置Maが、輝度モード毎に、当該輝度モードに対応するグループに属する投射型映像表示装置100の目標輝度の最適値を更新する。これにより、常に、マルチ画面表示装置1000の出力輝度を均一に保つことができる。
なお、一般的に、半導体光源を使った投射型映像表示装置においては、半導体光源に供給する電流により出力輝度と消費電力を調整することができる。したがって、マルチ画面表示装置において、例えば、高輝度で表示する投射型映像表示装置のグループと、省電力のために、低輝度で表示するグループとを混在させて運用する場合がある。
すなわち、グループに分けて、各投射型映像表示装置の運用を行う場合、グループ毎に最適な目標輝度を算出する必要がある。なお、関連技術Aでは、グループに対応して、目標輝度を算出し、グループに対応したマルチ画面表示装置の輝度調整を行うことはできない。
一方、本実施の形態に係るマルチ画面表示装置1000は、上記のような構成を有するため、グループに対応したマルチ画面表示装置の輝度調整を行うことができる。
また、本実施の形態では、各投射型映像表示装置100に設定される輝度モードは、通常モード、省電力モードの2種類としたが、これに限定されない。輝度モードは、3種類以上であってもよい。この場合、マイコン43は、各輝度モード毎の目的を達成するような目標輝度を算出するように構成される。そのため、通常モード、省電力モードとは異なる種類または数の輝度モードが存在する構成も、本発明の及ぶ範囲である。
なぜなら、本発明の主旨は、同一の投射型映像表示装置100間の輝度を合わせることだからである。これを実現するために、マイコン43は、複数の投射型映像表示装置100のそのとき出力可能な輝度値を、輝度モードごとにグループ分けし、輝度モードの目的に合わせてグループごとの目標輝度を算出する。そして、各投射型映像表示装置100は、自身の輝度モードに対応する目標輝度を使用して、光源34の制御電流を調整する。
なお、本実施の形態では、マスター装置Maのマイコン43が目標輝度を算出するとしたがこれに限定されない。各投射型映像表示装置100と通信する外部制御装置6が、マスター装置Maのマイコン43の代わりに、目標輝度を算出してもよい。すなわち、外部制御装置6は、目標輝度を算出する演算装置である。この場合、外部制御装置6は、図5のステップS100Mにおける各処理は、マスター装置Maのマイコン43の代わりに行う。
すなわち、外部制御装置6は、各スレーブ装置Sから得られる輝度情報を用いて、目標輝度を輝度モード毎に算出する。そして、外部制御装置6は、算出した各輝度モードに対応する目標輝度を、各輝度モードに対応するスレーブ装置Sへ送信する。
以上のように、外部制御装置6が、マイコン43の代わりに、目標輝度を算出することにより、以下の効果が得られる。具体的には、外部制御装置6が目標輝度を算出するため、マルチ画面表示装置1000を構成する各投射型映像表示装置100に、目標輝度を算出する機能をもたせる必要がない。
そのため、既に、設置済みのマルチ画面表示装置1000において、投射型映像表示装置100を改造して、当該投射型映像表示装置100に目標輝度を算出する機能を持たせる場合より、安価に本発明を実現することが可能となる。
<実施の形態2>
実施の形態1では、同じ輝度モードの複数の投射型映像表示装置100間の輝度のばらつきを抑制するための処理について説明した。ここで、制御電流値に対応するLEDの色度値(色度特性)は、製造ばらつき等によりLEDごとに異なる。しかも、実施の形態1では、色度を考慮して制御電流値を算出するのもではない。そのため、実施の形態1に係るマルチ画面表示装置1000では、色度が多少ばらついている可能性がある。
そこで、本実施の形態に係るマルチ画面表示装置においては、輝度のばらつきだけでなく色度のばらつきも抑制可能とする処理を行う。なお、本実施の形態に係るマルチ画面表示装置は、図1のマルチ画面表示装置1000である。以下、実施の形態1と異なる処理を中心に説明する。
本実施の形態では、マイコン43は、上述の輝度特性LR1,LG1,LB1に加え、色度特性と、映像処理回路42が使用する、R,G,Bの各々の輝度および色度を調整するための画質調整値とをさらに含む各種制御データを、メモリ44に予め記憶させる。色度特性とは、光源34R,34G,34Bの各々の制御電流値に対応する色度を示す特性である。当該画質調整値の一部は、例えば、前述の式1の補正係数である。マイコン43は、必要に応じて、メモリ44の各種制御データを読み出す。
以下においては、投射型映像表示装置100が光源34から出射される光を使用して表示する映像の色度を、映像色度ともいう。映像色度は、画面10に表示される映像の色度である。
また、以下においては、前述の制御電流値IRTn_s、IGTn_sおよびIBTn_sを、それぞれ、単に、制御電流値IRT、IGTおよびIBTとも表記する。
本実施の形態では、各投射型映像表示装置100は、工場から出荷される前に、前述の特性算出工程を行う。これにより、各投射型映像表示装置100のメモリ44は、当該投射型映像表示装置100に対応した輝度特性LR1,LG1,LB1が記憶される。
また、各投射型映像表示装置100は、工場から出荷される前に、さらに、特性算出工程Aを行う。特性算出工程Aでは、投射型映像表示装置100は、R、G、Bごとに、各光源34に供給される制御電流を徐々に変更し、その際における映像色度を測定する。これにより、投射型映像表示装置100は、光源34の制御電流と、当該制御電流に対応する映像色度との関係を示す色度特性を算出する。
図7は、色度特性の一例を示す図である。具体的には、図7は、CIE−XYZ表色系におけるxy色度図の色度座標を示す。
図7において、x,yは色度を示している。また、図7は、色度特性CR1,CG1,CB1を示す。色度特性CR1は、制御電流値IRTに対応する色度を示す特性である。色度特性CG1は、制御電流値IGTに対応する色度を示す特性である。色度特性CB1は、制御電流値IBTに対応する色度を示す特性である。すなわち、色度特性CR1,CG1,CB1の各々は、制御電流値に対応する色度を示す電流色度特性である。
具体的には、特性算出工程Aでは、投射型映像表示装置100は、色度特性CR1,CG1,CB1を算出する。そして、投射型映像表示装置100は、色度特性CR1,CG1,CB1を、当該投射型映像表示装置100のメモリ44に記憶させる。すなわち、各投射型映像表示装置100のメモリ44は、当該投射型映像表示装置100に対応した色度特性CR1,CG1,CB1を記憶する。以下においては、色度特性CR1,CG1,CB1の各々を、単に、色度特性Cとも表記する。
次に、マルチ画面表示装置1000が、各投射型映像表示装置100の輝度モードを考慮して、輝度および色度を自動的に調整するための処理(以下、輝度色度調整処理ともいう)を行う。輝度色度調整処理は、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100間の輝度及び色度のばらつきを抑制するための処理である。輝度色度調整処理は、例えば、マルチ画面表示装置1000が初めて使用される際に行われる。また、輝度色度調整処理は、例えば、マルチ画面表示装置1000の設置時に行われる。
図8は、輝度色度調整処理のフローチャートである。図8において、図5のステップ番号と同じステップ番号の処理は、実施の形態1で説明した処理と同様な処理が行われるので詳細な説明は繰り返さない。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
まず、前述の条件Aにおける輝度色度調整処理について説明する。条件Aでは、前述したように、図6(a)のように、マスター装置Ma(投射型映像表示装置100a)およびスレーブ装置Sb(投射型映像表示装置100b)には、輝度モードとして、通常モードが設定されているとする。また、スレーブ装置Sc(投射型映像表示装置100c),スレーブ装置Sd(投射型映像表示装置100d)には、輝度モードとして、省電力モードが設定されているとする。
図8の輝度調整処理は、ステップS102M,S102N,S102Lを含む。ステップS102Mは、マスター装置Maが行うステップである。ステップS102Nは、通常モードのスレーブ装置Sが行うステップである。ステップS102Lは、省電力モードの各スレーブ装置Sが行うステップである。
まず、図8のステップS10〜S93、ステップS22N〜S94N、ステップS22L〜S94Nでは、実施の形態1と同様な処理が行われる。
以下においては、前述の制御電流値IRTn_αに対応する、図7の色度特性CR1が示す色度値を、xR0n_α,yR0n_αとも表記する。また、以下においては、前述の制御電流値IGTn_αに対応する、色度特性CG1が示す色度値を、xG0n_α,yG0n_αとも表記する。また、以下においては、前述の制御電流値IBTn_αに対応する、色度特性CB1が示す色度値を、xB0n_α,yB0n_αとも表記する。
また、以下においては、前述の制御電流値IRTn_βに対応する、色度特性CR1が示す色度値を、xR0n_β,yR0n_βとも表記する。また、以下においては、前述の制御電流値IGTn_βに対応する、色度特性CG1が示す色度値を、xG0n_β,yG0n_βとも表記する。また、以下においては、前述の制御電流値IBTn_βに対応する、色度特性CB1が示す色度値を、xB0n_β,yB0n_βとも表記する。
また、以下においては、xR0n_αおよびxR0n_βの各々を、xR0n_sとも表記する。また、以下においては、xG0n_αおよびxG0n_βの各々を、xG0n_sとも表記する。また、以下においては、xB0n_αおよびxB0n_βの各々を、xB0n_sとも表記する。
また、以下においては、yR0n_αおよびyR0n_βの各々を、yR0n_sとも表記する。また、以下においては、yG0n_αおよびyG0n_βの各々を、yG0n_sとも表記する。また、以下においては、yB0n_αおよびyB0n_βの各々を、yB0n_sとも表記する。
xR0n_s、xG0n_s、xB0n_s、yR0n_s、yG0n_sおよびyB0n_sにおける「n」は、前述のIRn_αの「n」と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。xR0n_s、xG0n_s、xB0n_s、yR0n_s、yG0n_sおよびyB0n_sにおける「s」は、モード識別子αまたはβである。
次に、各投射型映像表示装置100のマイコン43は、色度特定処理(S120,S120N,S120L)を行う。すなわち、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々のマイコン43は、色度特定処理を行う。
色度特定処理は、各投射型映像表示装置100のマイコン43が、当該投射型映像表示装置100のメモリ44に記憶されている色度特性Cを使用して、色度を特定する処理である。
ここで、一例として、色度特定処理(S120)において、マスター装置Maのマイコン43が行う処理について説明する。色度特定処理(S120)では、マイコン43が、メモリ44に記憶されている色度特性CR1を使用して、制御電流値IRTn_αに対応する、色度特性CR1が示す色度値xR0n_α,yR0n_αを特定する。また、マイコン43は、色度値xR0n_α,yR0n_αと同様に、色度特性CG1,CB1輝度特性LG1,LB1を使用して、色度値xG0n_α,yG0n_α,xB0n_α,yB0n_αを特定する。
また、色度特定処理(S120N)では、通常モードのスレーブ装置Sbのマイコン43は、ステップS120と同様に、当該スレーブ装置Sbにおける色度値xG02_α,yG02_α,xB02_α,yB02_αを特定する。
また、色度特定処理(S120L)では、省電力モードの各スレーブ装置Sのマイコン43は、ステップS120と同様に、当該各スレーブ装置Sにおける色度値xR0n_β,yR0n_β,xG0n_β,yG0n_β,xB0n_β,yB0n_βを特定する。色度値xR0n_β,yR0n_β,xG0n_β,yG0n_β,xB0n_β,yB0n_βにおける「n」は、3または4である。
次に、マスター装置Maのマイコン43は、要求指示Aを、スレーブ装置Sb,Sc,Sdへ送信する(S121)。当該要求指示Aは、各スレーブ装置Sのマイコン43が得ている、色度情報およびモード識別子を要求するための指示である。当該要求指示Aは、各スレーブ装置Sのマイコン43が得ている、色度情報およびモード識別子を要求するための指示である。当該色度情報は、各スレーブ装置Sの設定輝度モードに対応する色度値xR0n_s,xG0n_s,xB0n_s,yR0n_s,yG0n_s,yB0n_sを示す情報である。
そして、各スレーブ装置Sのマイコン43は、要求指示Aを受信する(S121N,S121L)。
次に、通常モードのスレーブ装置Sのマイコン43は、要求指示Aに従って、特定した色度値xR0n_α、xG0n_α、xB0n_α、yR0n_α、yG0n_α,yB0n_αとモード識別子「α」とを示す色度情報を、マスター装置Maへ送信する(S122N)。
また、省電力モードの各スレーブ装置Sのマイコン43は、要求指示Aに従って、特定した色度値xR0n_β、xG0n_β、xB0n_β、yR0n_β、yG0n_β,yB0n_βとモード識別子「β」とを示す色度情報を、マスター装置Maへ送信する(S122L)。例えば、省電力モードのスレーブ装置Scのマイコン43は、要求指示Aに従って、特定した色度値xR03_β、xG03_β、xB03_β、yR03_β、yG03_β,yB03_βとモード識別子「β」とを示す色度情報を、マスター装置Maへ送信する。
そして、マスター装置Maのマイコン43は、スレーブ装置Sb,Sc,Sdから、複数の色度情報を受信する(S122)。
以下においては、前述の制御電流特定処理においてマイコン43が特定した制御電流値に対応する色度値(色度)を、特定色度ともいう。特定色度は、マスター装置Maまたはスレーブ装置Sのマイコン43が、前述の色度特定処理において特定した色度である。すなわち、特定色度は、制御電流特定処理において特定された制御電流値IRTn_s,IGTn_s,IBTn_sに対応する色度値(色度)である。当該特定色度は、xR0n_s、xG0n_s、xB0n_s、yR0n_s、yG0n_sおよびyB0n_sである。
ステップS123では、目標色度算出処理が行われる。目標色度算出処理では、詳細は後述するが、マスター装置Maのマイコン43が、当該マスター装置Maが特定した特定色度と、マスター装置Maに設定されている輝度モードと、各スレーブ装置Sが特定した特定色度と、各スレーブ装置Sに設定されている前記輝度モードとに基づいて、目標色度を各輝度モード毎に算出する。目標色度とは、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100の目標となる色度である。すなわち、目標色度とは、同一の輝度モードの複数の投射型映像表示装置100の各々が再現可能な共通の色度である。
以下においては、xy色度図の色度座標において、色度値xR01_α,yR01_αと、色度値xG01_α,yG01_αと、色度値xB01_α,yB01_αとを頂点とした三角形を、色度特性CL1とも表記する(図9(a)参照)。色度特性CL1は、マスター装置Maが特定した各色度値により構成される。
また、以下においては、xy色度図の色度座標において、色度値xR02_α,yR02_αと、色度値xG02_α,yG02_αと、色度値xB02_α,yB02_αとを頂点とした三角形を、色度特性CL2とも表記する(図9(a)参照)。色度特性CL2は、スレーブ装置Sbが特定した各色度値により構成される。
また、以下においては、xy色度図の色度座標において、色度値xR03_β,yR03_βと、色度値xG03_β,yG03_βと、色度値xB03_β,yB03_βとを頂点とした三角形を、色度特性CL3とも表記する(図9(b)参照)。色度特性CL3は、スレーブ装置Scが特定した各色度値により構成される。
また、以下においては、xy色度図の色度座標において、色度値xR04_β,yR04_βと、色度値xG04_β,yG04_βと、色度値xB04_β,yB04_βとを頂点とした三角形を、色度特性CL4とも表記する(図9(b)参照)。色度特性CL4は、スレーブ装置Sdが特定した各色度値により構成される。以下においては、色度特性CL1,CL2,CL3,CL4の各々を、単に、色度特性CLともいう。
以下においては、通常モード(グループα)に対応する目標色度を、目標色度xRT_α,yRT_α,xGT_α,yGT_α,xBT_α,yBT_αとも表記する。また、以下においては、省電力モード(グループβ)に対応する目標色度を、目標色度xRT_β,yRT_β,xGT_β,yGT_β,xBT_β,yBT_βとも表記する。
また、以下においては、目標色度xRT_α,xRT_βの各々を、xRT_sとも表記する。また、以下においては、目標色度xGT_α,xGT_βの各々を、xGT_sとも表記する。また、以下においては、目標色度xBT_α,xBT_βの各々を、xBT_sとも表記する。
また、以下においては、目標色度yRT_α,yRT_βの各々を、yRT_sとも表記する。また、以下においては、目標色度yGT_α,yGT_βの各々を、yGT_sとも表記する。また、以下においては、目標色度yBT_α,yBT_βの各々を、yBT_sとも表記する。
xRT_s、xGT_s、xBT_s、yRT_s、yGT_s、yBT_sにおける「s」は、モード識別子αまたはβである。
また、以下においては、通常モードに対応する目標色度を、通常目標色度ともいう。また、以下においては、省電力モードに対応する目標色度を、省電力目標色度ともいう。
次に、目標色度算出処理において、各輝度モード毎に目標色度を算出するための方法について説明する。図9は、目標色度を算出するための方法を説明するための図である。また、図9は、xy色度図の色度座標において各色度特性CLを示した図である。図9(a)は、色度特性CL1,CL2を示す。図9(b)は、色度特性CL3,CL4を示す。
目標色度算出処理では、マスター装置Maのマイコン43が、複数の三角形(色度特性CL)が重なる領域内であって、かつ、当該各三角形の頂点に近い3点の色度を、目標色度として算出する。言い換えれば、各色度特性CL(三角形)の3つの頂点付近の各々において各色度特性CLが交わる1以上の点のうち白の色度に最も近い点の色度を、目標色度として算出する。
まず、通常目標色度の算出について説明する。図9(a)を参照して、マイコン43は、色度特性CL1,CL2の各々の3つの頂点付近の各々において、色度特性CL1,CL2が交わる点の色度を、目標色度xRT_α,yRT_α、目標色度xGT_α,yGT_α、目標色度xBT_α,yBT_αとして算出する。
例えば、マイコン43は、色度特性CL1,CL2の各々のR(赤)に近い頂点付近において、色度特性CL1,CL2が交わる点の色度を、通常目標色度である目標色度(xRT_α,yRT_α)として算出する。
次に、省電力目標色度の算出について説明する。図9(b)を参照して、マイコン43は、色度特性CL3,CL4の各々の3つの頂点付近の各々において、色度特性CL3,CL4が交わる点の色度を、目標色度xRT_β,yRT_β、目標色度xGT_β,yGT_β、目標色度xBT_β,yBT_βとして算出する。
例えば、マイコン43は、色度特性CL3,CL4の各々のR(赤)に近い頂点付近において、色度特性CL3,CL4が交わる点の色度を、省電力目標色度である目標色度(xRT_β,yRT_β)として算出する。以上により、各輝度モード毎に目標色度が算出される。
次に、ステップS124では、目標色度送信処理が行われる。目標色度送信処理では、マスター装置Maのマイコン43が、算出した目標色度xRT_s、xGT_s、xBT_s、yRT_s、yGT_s、yBT_sを、モード識別子α,βに従って、グループα,βのいずれかに属するスレーブ装置Sへ送信する。
例えば、マイコン43は、目標色度xRT_α,xGT_α,xBT_α,yRT_α,yGT_α,yBT_αを、グループαに属するスレーブ装置Sbへ送信する。また、マイコン43は、目標色度xRT_β,xGT_β,xBT_β,yRT_β,yGT_β,yBT_βを、グループβに属するスレーブ装置Sc,Sdへ送信する。
各スレーブ装置Sのマイコン43は、目標色度xRT_s、xGT_s、xBT_s、yRT_s、yGT_s、yBT_sを受信する(S124N,S124L)。スレーブ装置Sbのマイコン43は、目標色度xRT_α,xGT_α,xBT_α,yRT_α,yGT_α,yBT_αを受信する(S124N)。また、グループβに属する各スレーブ装置Sのマイコン43は、目標色度xRT_β,xGT_β,xBT_β,yRT_β,yGT_β,yBT_βを受信する(S124L)。
次に、各投射型映像表示装置100のマイコン43は、演算処理K(S125,S125N,S125L)を行う。すなわち、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々のマイコン43は、演算処理Kを行う。
以下においては、グループαに対応し、かつ、Rに対応する刺激値を、XR0n_α,ZR0n_αとも表記する。また、以下においては、グループαに対応し、かつ、Gに対応する刺激値を、XG0n_α,ZG0n_αとも表記する。また、以下においては、グループαに対応し、かつ、Bに対応する刺激値を、XB0n_α,ZB0n_αとも表記する。
また、以下においては、グループβに対応し、かつ、Rに対応する刺激値を、XR0n_β,ZR0n_βとも表記する。また、以下においては、グループβに対応し、かつ、Gに対応する刺激値を、XG0n_β,ZG0n_βとも表記する。また、以下においては、グループβに対応し、かつ、Bに対応する刺激値を、XB0n_β,ZB0n_βとも表記する。
また、以下においては、XR0n_α、XR0n_βの各々を、XR0n_sとも表記する。また、以下においては、XG0n_α、XG0n_βの各々を、XG0n_sとも表記する。また、以下においては、XB0n_α、XB0n_βの各々を、XB0n_sとも表記する。
また、以下においては、ZR0n_α,ZR0n_βの各々を、ZR0n_sとも表記する。また、以下においては、ZG0n_α,ZG0n_βの各々を、ZG0n_sとも表記する。また、以下においては、ZB0n_α,ZB0n_βの各々を、ZB0n_sとも表記する。
XR0n_s、XG0n_s、XB0n_s、ZR0n_s、ZG0n_sおよびZB0n_sにおける「n」は、前述のIRn_αの「n」と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。また、XR0n_s、XG0n_s、XB0n_s、ZR0n_s、ZG0n_sおよびZB0n_sにおける「s」は、モード識別子αまたはβである。
演算処理Kでは、R,G,Bの各々の3刺激値である、XR0n_s、XG0n_s、XB0n_s、ZR0n_s、ZG0n_sおよびZB0n_sが、輝度モード毎に算出される。少し具体的には、演算処理Kでは、ステップS70で算出された目標輝度YRT_s,YGT_s,YBT_sと、色度特定処理で特定された色度値xR0n_s,xG0n_s,xB0n_s,yR0n_s,yG0n_s,yB0n_sとが、以下の式2に代入される。これにより、輝度モード毎に、XR0n_s、XG0n_s、XB0n_s、ZR0n_s、ZG0n_sおよびZB0n_sが算出される。
ここで、一例として、演算処理K(S125)において、マスター装置Maのマイコン43が行う処理について説明する。演算処理K(S125)では、マスター装置Maのマイコン43が、ステップS70で算出された目標輝度YRT_α,YGT_α,YBT_αと、色度値xR0n_α,xG0n_α,xB0n_α,yR0n_α,yG0n_α,yB0n_αとを、式2に代入する。これにより、マイコン43は、通常モード(グループα)に対応するXR0n_α、XG0n_α、XB0n_α、ZR0n_α、ZG0n_αおよびZB0n_αを算出する。
また、演算処理K(S125N)では、通常モードのスレーブ装置Sbのマイコン43は、ステップS125と同様に、XR0n_α、XG0n_α、XB0n_α、ZR0n_α、ZG0n_αおよびZB0n_αを算出する。
また、演算処理K(S125L)では、省電力モードの各スレーブ装置Sのマイコン43は、ステップS125と同様に、XR0n_β、XG0n_β、XB0n_β、ZR0n_β、ZG0n_βおよびZB0n_βを算出する。
以下においては、グループαに対応し、かつ、Rに対応する目標となる刺激値を、XRT_α,ZRT_αとも表記する。また、以下においては、グループαに対応し、かつ、Gに対応する目標となる刺激値を、XGT_α,ZGT_αとも表記する。また、以下においては、グループαに対応し、かつ、Bに対応する目標となる刺激値を、XBT_α,ZBT_αとも表記する。
また、以下においては、グループβに対応し、かつ、Rに対応する目標となる刺激値を、XRT_β,ZRT_βとも表記する。また、以下においては、グループβに対応し、かつ、Gに対応する目標となる刺激値を、XGT_β,ZGT_βとも表記する。また、以下においては、グループβに対応し、かつ、Bに対応する目標となる刺激値を、XBT_β,ZBT_βとも表記する。
また、以下においては、XRT_αおよびXRT_βの各々を、XRT_sとも表記する。また、以下においては、XGT_αおよびXGT_βの各々を、XGT_sとも表記する。また、以下においては、XBT_αおよびXBT_βの各々を、XBT_sとも表記する。
また、以下においては、ZRT_αおよびZRT_βの各々を、ZRT_sとも表記する。また、以下においては、ZGT_αおよびZGT_βの各々を、ZGT_sとも表記する。また、以下においては、ZBT_αおよびZBT_βの各々を、ZBT_sとも表記する。
XRT_s、ZRT_s、XGT_s、ZGT_s、XBT_sおよびZBT_sにおける「s」は、モード識別子αまたはβである。
また、演算処理Kでは、さらに、目標となる、R,G,Bの各々の3刺激値である、XRT_s、ZRT_s、XGT_s、ZGT_s、XBT_sおよびZBT_sが、輝度モード毎に算出される。
少し具体的には、演算処理Kでは、ステップS70で算出された目標輝度YRT_s,YGT_s,YBT_sと、ステップS123で算出された目標色度xRT_s,xGT_s,xBT_s,yRT_s,yGT_s,yBT_sとが、以下の式3に代入される。これにより、輝度モード毎に、XRT_s、ZRT_s、XGT_s、ZGT_s、XBT_sおよびZBT_sが算出される。
ここで、一例として、演算処理K(S125)において、マスター装置Maのマイコン43が行う処理について説明する。演算処理K(S125)では、マスター装置Maのマイコン43が、目標輝度YRT_α,YGT_α,YBT_αと、目標色度xRT_α,xGT_α,xBT_α,yRT_α,yGT_α,yBT_αとを、式3に代入する。これにより、マイコン43は、通常モード(グループα)に対応するXRT_α、ZRT_α、XGT_α、ZGT_α、XBT_αおよびZBT_αを算出する。
また、演算処理K(S125N)では、通常モードのスレーブ装置Sbのマイコン43は、ステップS125と同様に、XRT_α、ZRT_α、XGT_α、ZGT_α、XBT_αおよびZBT_αを算出する。
また、演算処理K(S125L)では、省電力モードの各スレーブ装置Sのマイコン43は、ステップS125と同様に、XRT_β、ZRT_β、XGT_β、ZGT_β、XBT_βおよびZBT_βを算出する。
以下においては、投射型映像表示装置100の映像処理回路42に入力される映像信号(デジタル映像信号)を、映像信号Ri、Gi、Biとも表記する。映像信号Ri、Gi、Biは、式1のRi、Gi、Biと同様である。
以下においては、グループαに対応し、かつ、映像信号Ri、Gi、Biに対する3刺激値を、Xn_α、Yn_α、Zn_αとも表記する。また、以下においては、グループβに対応し、かつ、映像信号Ri、Gi、Biに対する3刺激値を、Xn_β、Yn_β、Zn_βとも表記する。
また、以下においては、Xn_αおよびXn_βの各々を、Xn_sとも表記する。また、以下においては、Yn_αおよびYn_βの各々を、Yn_sとも表記する。また、以下においては、Zn_αおよびZn_βの各々を、Zn_sとも表記する。
Xn_s、Yn_sおよびZn_sにおける「n」は、前述のIRn_αの「n」と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。また、Xn_s、Yn_sおよびZn_sにおける「s」は、モード識別子αまたはβである。
ここで、映像信号Ri、Gi、Biに対する3刺激値であるXn_s、Yn_sおよびZn_sは、以下の式4により表される。
以下においては、グループαに対応し、かつ、ID番号が示す数字に対応する、式1の補正係数RR、RG、RB、GR、GG、GB、BR、BG、BBを、それぞれ、補正係数RRn_α、RGn_α、RBn_α、GRn_α、GGn_α、GBn_α、BRn_α、BGn_α、BBn_αとも表記する。
また、以下においては、グループβに対応し、かつ、ID番号が示す数字に対応する、補正係数RR、RG、RB、GR、GG、GB、BR、BG、BBを、それぞれ、補正係数RRn_β、RGn_β、RBn_β、GRn_β、GGn_β、GBn_β、BRn_β、BGn_β、BBn_βとも表記する。
また、以下においては、補正係数RRn_α、RGn_α、RBn_α、GRn_α、GGn_α、GBn_α、BRn_α、BGn_α、BBn_αと、補正係数RRn_β、RGn_β、RBn_β、GRn_β、GGn_β、GBn_β、BRn_β、BGn_β、BBn_βとを、補正係数RRn_s、RGn_s、RBn_s、GRn_s、GGn_s、GBn_s、BRn_s、BGn_s、BBn_sとも表記する。
補正係数RRn_s、RGn_s、RBn_s、GRn_s、GGn_s、GBn_s、BRn_s、BGn_s、BBn_sにおける「n」は、前述のIRn_αの「n」と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。また、補正係数RRn_s、RGn_s、RBn_s、GRn_s、GGn_s、GBn_s、BRn_s、BGn_s、BBn_sにおける「s」は、モード識別子αまたはβである。
補正係数RR、RG、RB、GR、GG、GB、BR、BG、BBを、それぞれ、RRn_s、RGn_s、RBn_s、GRn_s、GGn_s、GBn_s、BRn_s、BGn_s、BBn_sに置き換えた前述の式1と、式4とから、以下の式5が得られる。
次に、各投射型映像表示装置100のマイコン43は、補正係数算出処理(S126,S126N,S126L)を行う。すなわち、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々のマイコン43は、補正係数算出処理を行う。
補正係数算出処理では、各投射型映像表示装置100のマイコン43は、当該投射型映像表示装置100の設定輝度モードに対応する補正係数を算出する。当該補正係数は、投射型映像表示装置100に入力される映像信号のレベルを補正するための補正係数である。また、当該補正係数は、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100の映像色度を同じにするための係数である。当該補正係数は、前述の補正係数RRn_s、RGn_s、RBn_s、GRn_s、GGn_s、GBn_s、BRn_s、BGn_s、BBn_sである。
少し具体的には、補正係数算出処理では、各投射型映像表示装置100のマイコン43が、当該投射型映像表示装置100の設定輝度モードに対応する目標色度に基づいて、当該設定輝度モードに対応する補正係数を算出する。
具体的には、補正係数算出処理では、各投射型映像表示装置100のマイコン43が、ステップS70で算出された目標輝度YRT_s,YGT_s,YBT_sと、演算処理Kで算出されたXR0n_s、ZR0n_s、XG0n_s、ZG0n_s、XB0n_s、ZB0n_sと、演算処理Kで算出されたXRT_s、ZRT_s、XGT_s、ZGT_s、XBT_s、ZBT_sとを、式5に代入する。これにより、マイコン43は、補正係数RRn_s、RGn_s、RBn_s、GRn_s、GGn_s、GBn_s、BRn_s、BGn_s、BBn_sを算出する。
ここで、一例として、補正係数算出処理(S126)において、マスター装置Maのマイコン43が行う処理について説明する。補正係数算出処理(S126)では、マスター装置Maのマイコン43が、目標輝度YRT_α,YGT_α,YBT_αと、XR0n_α、ZR0n_α、XG0n_α、ZG0n_α、XB0n_α、ZB0n_αと、XRT_α、ZRT_α、XGT_α、ZGT_α、XBT_α、ZBT_αとを、式5に代入する。これにより、マイコン43は、通常モード(グループα)に対応する補正係数RRn_α、RGn_α、RBn_α、GRn_α、GGn_α、GBn_α、BRn_α、BGn_α、BBn_αを算出する。
また、補正係数算出処理(S126N)では、通常モードのスレーブ装置Sbのマイコン43は、ステップS126と同様に、補正係数RRn_α、RGn_α、RBn_α、GRn_α、GGn_α、GBn_α、BRn_α、BGn_α、BBn_αを算出する。
また、補正係数算出処理(S126L)では、省電力モードの各スレーブ装置Sのマイコン43は、ステップS126と同様に、補正係数RRn_β、RGn_β、RBn_β、GRn_β、GGn_β、GBn_β、BRn_β、BGn_β、BBn_βを算出する。
次に、各投射型映像表示装置100のマイコン43は、色度補正処理(S127,S127N,S127L)を行う。すなわち、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々のマイコン43は、色度補正処理を行う。
色度補正処理は、算出された補正係数を用いて、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100の映像色度を同じにするための処理である。
ここで、一例として、色度補正処理(S127)において、マスター装置Maのマイコン43が行う処理について説明する。色度補正処理(S127)では、映像処理回路42が、算出された補正係数RRn_α、RGn_α、RBn_α、GRn_α、GGn_α、GBn_α、BRn_α、BGn_α、BBn_αを使用して前述の画質調整を行うように、マイコン43が映像処理回路42を制御する。
また、色度補正処理(S127N)では、スレーブ装置Sbのマイコン43は、ステップS127と同様に、映像処理回路42を制御する。
また、色度補正処理(S127L)では、各スレーブ装置Sのマイコン43は、ステップS127と同様に、映像処理回路42を制御する。以下、一例として、スレーブ装置Scの処理について説明する。
スレーブ装置Scのマイコン43は、映像処理回路42が、算出された補正係数RRn_β、RGn_β、RBn_β、GRn_β、GGn_β、GBn_β、BRn_β、BGn_β、BBn_βを使用して前述の画質調整を行うように、映像処理回路42を制御する。
以上の色度補正処理(S127,S127N,S127L)により、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100の映像色度は、同じになる。すなわち、色度補正処理(S127,S127N,S127L)により、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100の映像色度のばらつきを抑制(防止)することができる。そして、ステップS102M,S102N,S102Lは終了し、図8の輝度色度調整処理は終了する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の処理を行う。そのため、同一の輝度モードの投射型映像表示装置100間の輝度のばらつきを抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、マスター装置Maが、輝度モードごとに、各グループのスレーブ装置Sと目標色度を送受信することにより目標色度を算出する。そして、各投射型映像表示装置100が、自身の輝度モードに対応する目標色度に基づいて、映像信号のレベルを補正するための補正係数を算出する。そして、色度補正処理により、算出された補正係数を用いて、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100の映像色度を同じにするための処理が行われる。
これにより、各グループ毎に投射型映像表示装置100間の輝度および色度のばらつきを抑制することができる。すなわち、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100間の輝度および色度のばらつきを抑制することができる。その結果、マルチ画面表示装置1000に表示される映像の一体感を向上させることができる。
なお、仮に、映像信号のレベルの補正だけを行って、輝度調整及び色度補正の両方を行うと、各投射型映像表示装置100において階調表現レベルが損なわれることがある。
それに対し、本実施の形態では、制御電流を調整して、輝度のばらつきを抑制する。また、映像信号のレベルを補正して、色度のばらつきを抑制する。これにより、画面に表示される映像信号のデジタル表現階調が損なわれるのを低減することができる。したがって、本実施の形態の処理は、中間階調を多く使用する自然画などの映像表示において特に有効である。
<実施の形態3>
実施の形態1,2では、マルチ画面表示装置1000における輝度、色度のばらつきを低減する方法について説明した。
本実施の形態では、マルチ画面表示装置1000を使用するユーザーが、マルチ画面表示装置1000を構成する各投射型映像表示装置100のいずれかの輝度モードを変更する際に生じる不具合を解決するための処理について説明する。当該不具合は、マルチ画面表示装置1000の大部分の輝度が変わるという不具合である。この不具合が生じた場合、ユーザーに不快感を抱かせてしまう。
まず、比較例として、ユーザーに不快感を抱かせる可能性のある処理(動作)について説明する。
前提として、図10のように、マルチ画面表示装置1000は、図1と同様に、4台の投射型映像表示装置100から構成されているとする。また、各投射型映像表示装置100は、前述の図5または図8のステップS31,S32N,S32Lのいずれかを行うことにより、マイコン43は、自身の出力可能な特性輝度YR0n_s、YG0n_s、YB0n_s(n=1〜4、s=α,β)を特定している。なお、図10では、説明の簡便化のため、Rに対応する特性輝度のみを示している。
図11は、比較例において、輝度モードが変更された場合における目標輝度の変遷を示す図である。なお、図11では、説明の簡便化のため、Rに対応する特性輝度および目標輝度のみを説明するための情報を示している。
図11では、以下の運用段階Nにおける目標輝度の変遷を示す。当該運用段階Nは、特性輝度YR0n_s(n=1〜4、s=α,β)を利用して、実施の形態1,2の処理により、輝度のばらつきが低減されている段階である。具体的には、図11は、運用段階Nおいて、ユーザーが外部制御装置6を操作することにより、マルチ画面表示装置1000を構成する各投射型映像表示装置100のいずれかの輝度モードを変更した場合における、目標輝度YRT_s(s=α,β)の変遷を表している。
ここで、マルチ画面表示装置1000は、以下の条件Bを満たすとする。条件Bは、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sbには、輝度モードとしての通常モードが設定されていることである。すなわち、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sbは、グループαに属する。また、条件Bは、スレーブ装置Sc,Sdには、輝度モードとしての省電力モードが設定されていることである。すなわち、スレーブ装置Sc,Sdは、グループβに属する。
図11(a)では、上記条件Bにおけるマスター装置Ma及びスレーブ装置Sb,Sc,Sdを示す。なお、通常モードに対応する目標輝度YRT_αは、790cd/m2である。また、省電力モードに対応する目標輝度YRT_βは、330cd/m2である。
目標輝度YRT_α,YRT_βが、上記の値である理由は、実施の形態1、2における、図5または図8のステップS70の処理に従って算出されたためである。具体的には、グループαについては、当該グループαに属するマスター装置Maおよびスレーブ装置Sbの特性輝度のうち、最も小さい値を示す特性輝度が、目標輝度として算出される。すなわち、YRT_α=Min(YR01_α,YR02_α)により、目標輝度YRT_αは、YR01_αである。
また、グループβについては、当該グループβに属するスレーブ装置Sc,Sdの特性輝度のうち、最も大きい値を示す特性輝度が、目標輝度として算出される。すなわち、YRT_β=Max(YR03_β,YR04_β)により、目標輝度YRT_βは、YR03_αである。
次に、図11(a)の状態において、ユーザーが、スレーブ装置Scの設定輝度モードを、省電力モードから通常モードに変更するための操作を、外部制御装置6に対して行ったとする。この場合、スレーブ装置Scのマイコン43は、スレーブ装置Scの設定輝度モードを、省電力モードから通常モードに変更する輝度モード変更処理(S210)を行う。
これにより、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Sc,Sdは、図11(b)の状態になる。すなわち、グループαに属する装置は、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Scとなる。なお、図10より、通常モードのスレーブ装置Scの特性輝度は、YR03_α=780cd/m2である。
この場合、グループαに属するマスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Scの特性輝度のうち、最も小さい値を示す特性輝度が、目標輝度YRT_αとして算出される。すなわち、目標輝度YRT_αは、YRT_α=Min(YR01_α,YR02_α,YR03_α)により、YR03_α(780cd/m2)となる。
同時に、グループβに属する装置は、スレーブ装置Sdのみになる。そのため、目標輝度YRT_βは、スレーブ装置Sdの特性輝度YR04_β(320cd/m2)となる。
すなわち、輝度モード変更処理(S210)により、グループαに属する投射型映像表示装置100も、グループβに属する投射型映像表示装置100も、目標輝度が変更される。そのため、全ての投射型映像表示装置100の映像輝度が変わる。すなわち、1台の投射型映像表示装置100の輝度モードを変更したのみであるにも関わらず、ユーザーは、マルチ画面表示装置1000全体の輝度が変わって見える。
次に、図11(b)の状態において、ユーザーが、スレーブ装置Scの設定輝度モードを、通常モードから省電力モードに変更するための操作を、外部制御装置6に対して行ったとする。この場合、スレーブ装置Scのマイコン43は、スレーブ装置Scの設定輝度モードを、通常モードから省電力モードに変更する輝度モード変更処理(S220)を行う。
これにより、図11(c)のように、マスター装置Ma及びスレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々が属するグループは、図11(a)の元のグループに戻る。この場合、ステップS70の処理が行われることにより、各輝度モードに対応する目標輝度YRT_α,YRT_βは、それぞれ、YR01_α(790cd/m2),YR03_α(330cd/m2)となる。
輝度モード変更処理(S220)により、グループαに属する投射型映像表示装置100も、グループβに属する投射型映像表示装置100も、目標輝度が変更される。そのため、全ての投射型映像表示装置100の映像輝度が変わる。すなわち、1台の投射型映像表示装置100の輝度モードを変更したのみであるにも関わらず、ユーザーは、マルチ画面表示装置1000全体の輝度が変わって見える。
すなわち、比較例では、輝度モード変更処理(S210)または輝度モード変更処理(S220)が行われた場合、1台の投射型映像表示装置100の輝度モードを変更したのみであるにも関わらず、ユーザーは、マルチ画面表示装置1000全体の輝度が変わって見える。そのため、ユーザーが不快感を抱いてしまう可能性がある。
また、比較例では、前述のように、グループαに属する各投射型映像表示装置100の特性輝度のうち、最も小さい値を示す最小特性輝度が、目標輝度として算出さされる。この場合、当該最小特性輝度に対応する投射型映像表示装置100の輝度モードが変更されると、変更前の輝度モードに属する各投射型映像表示装置100における最小特性輝度が変わる。
その際に、目標輝度まで変わってしまうと、輝度モードが変更された投射型映像表示装置100の輝度モードが、変更前の輝度モードになったとき、再び、目標輝度が変化する。そのため、1台の投射型映像表示装置100の輝度モードを変更しただけにも関わらず、マルチ画面表示装置1000全体の輝度が頻繁に変わる。そのため、マルチ画面10Aを見ているユーザーは、映像がちらついてように感じ、不快に思う可能性がある。
そこで、本実施の形態では、投射型映像表示装置100の輝度モードを変更する際に、以下の目標輝度算出処理A1に従って、変更後の輝度モードに対応する目標輝度を算出する。目標輝度算出処理A1は、マルチ画面表示装置1000を構成する複数の投射型映像表示装置の一部の前記輝度モードが変更される際に、実行される。目標輝度算出処理A1は、目標輝度算出処理ANおよび目標輝度算出処理ALを含む。
目標輝度算出処理ANは、グループα(通常モード)に対応する目標輝度を算出するための処理である。目標輝度算出処理ALは、グループβ(省電力モード)に対応する目標輝度を算出するための処理である。以下においては、目標輝度算出処理AN,ALの各々を、単に、目標輝度算出処理Aともいう。
ここで、本実施の形態に係るマルチ画面表示装置は、図1のマルチ画面表示装置1000である。
なお、実施の形態1における図5のステップS70では、グループαについては、当該グループαに属する各投射型映像表示装置100の特性輝度のうち、最も小さい値を示す特性輝度が、目標輝度として算出される。また、グループβについては、当該グループβに属する各投射型映像表示装置100の特性輝度のうち、最も大きい値を示す特性輝度が、目標輝度として算出される。
以下においては、グループαに属する各投射型映像表示装置100の特性輝度のうち、最も小さい値を示す特性輝度を、最小特性輝度ともいう。また、グループβに属する各投射型映像表示装置100の特性輝度のうち、最も大きい値を示す特性輝度を、最大特性輝度ともいう。
目標輝度算出処理Aでは、最小特性輝度または最大特性輝度を、輝度モード変更後の目標輝度として採用する前に、最小特性輝度または最大特性輝度を、目標輝度の候補とする。以下においては、投射型映像表示装置100の輝度モードが変更される場合において、変更後の輝度モードを、変更輝度モードともいう。また、以下においては、変更輝度モードに対応する目標輝度を、変更目標輝度ともいう。
以下、目標輝度算出処理ANおよび目標輝度算出処理ALについて、具体的に説明する。目標輝度算出処理A1において、目標輝度算出処理ANおよび目標輝度算出処理ALの各々は、独立して並列的に行われる。
目標輝度算出処理ANおよび目標輝度算出処理ALの各々では、要約すれば、マスター装置Maのマイコン43が、既に算出されている目標輝度と、変更目標輝度との差が最小となるように、当該変更目標輝度を算出する。
図12は、目標輝度算出処理A1のフローチャートである。目標輝度算出処理A1は、マスター装置Maが行う。前述したように、目標輝度算出処理A1は、目標輝度算出処理ANおよび目標輝度算出処理ALを含む。以下においては、図5または図8のステップS70において既に算出されている目標輝度を、算出目標輝度ともいう。算出目標輝度は、各投射型映像表示装置100における最新の目標輝度である。
また、以下においては、グループα(通常モード)に対応する算出目標輝度を、算出目標輝度αともいう。算出目標輝度αは、YRT_α,YGT_α,YBT_αである。また、以下においては、グループβ(省電力モード)に対応する算出目標輝度を、算出目標輝度βともいう。算出目標輝度βは、YRT_β,YGT_β,YBT_βである。
まず、目標輝度算出処理ANについて説明する。目標輝度算出処理ANでは、マイコン43が、最小特性輝度を比較用目標輝度とする(S310N)。比較用目標輝度とは、比較のために使用される輝度である。次に、マイコン43が、比較用目標輝度と算出目標輝度とを比較する(S320N)。次に、マイコン43が、比較用目標輝度および算出目標輝度のうち値が小さい目標輝度を、変更目標輝度として算出する(S330N)。
次に、目標輝度算出処理ALについて説明する。目標輝度算出処理ALでは、マイコン43が、最大特性輝度を比較用目標輝度とする(S310L)。次に、マイコン43が、比較用目標輝度と算出目標輝度とを比較する(S320L)。次に、マイコン43が、比較用目標輝度および算出目標輝度のうち値が大きい目標輝度を、変更目標輝度として算出する(S330L)。
次に、例をあげつつ、目標輝度算出処理ANおよび目標輝度算出処理ALの具体的な処理について説明する。以下、簡単のために、Rに対応する変更目標輝度を算出するための処理について説明する。
図13は、本発明の実施の形態3に係る目標輝度算出処理を説明するための図である。また、図13は、図11と同様に、輝度モードが変更された場合における目標輝度の変遷を示す。なお、図13では、説明の簡便化のため、Rに対応する特性輝度および目標輝度のみを説明するための情報を示している。
具体的には、図13は、前述の運用段階Nおいて、ユーザーが外部制御装置6を操作することにより、マルチ画面表示装置1000を構成する各投射型映像表示装置100のいずれかの輝度モードを変更した場合における、目標輝度YRT_s(s=α,β)の変遷を表している。なお、目標輝度は、目標輝度算出処理ANまたは目標輝度算出処理ALにより算出される。
図13(a)のマルチ画面表示装置1000は、図11(a)のマルチ画面表示装置1000と同じ構成を有する。すなわち、マルチ画面表示装置1000は、図11(a)のマルチ画面表示装置1000と同じ輝度モード、同じ特性輝度を有する。
次に、図13(a)の状態において、ユーザーが、スレーブ装置Scの設定輝度モードを、省電力モードから通常モードに変更するための操作を、外部制御装置6に対して行ったとする。この場合、スレーブ装置Scのマイコン43は、スレーブ装置Scの設定輝度モードを、省電力モードから通常モードに変更する輝度モード変更処理(S210)を行う。
これにより、マスター装置Ma及びスレーブ装置Sb,Sc,Sdは、図13(b)の状態になる。すなわち、グループαに属する装置は、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Scとなる。なお、図10より、通常モードのスレーブ装置Scの特性輝度は、YR03_α=780cd/m2である。
また、スレーブ装置Scの輝度モードの変更に応じて、目標輝度算出処理A1が行われる。すなわち、目標輝度算出処理ANおよび目標輝度算出処理ALが行われる。
目標輝度算出処理ANでは、まず、マイコン43が、グループαに属するマスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Scの特性輝度のうち、最小特性輝度としてのYR03_α(780cd/m2)を、比較用目標輝度とする(S310N)。
次に、マイコン43は、比較用目標輝度(780cd/m2)と現在の算出目標輝度(790cd/m2)とを比較する(S320N)。次に、マイコン43は、比較用目標輝度および算出目標輝度のうち値が小さい比較用目標輝度を、変更目標輝度として算出する(S330N)。
同時に、グループβに属する装置は、スレーブ装置Sdのみになる。そのため、目標輝度算出処理ALでは、まず、マイコン43が、グループβに属するスレーブ装置Sdの特性輝度のうち、最大特性輝度としてのYR04_β(320cd/m2)を、比較用目標輝度とする(S310L)。
次に、マイコン43は、比較用目標輝度(320cd/m2)と現在の算出目標輝度(330cd/m2)とを比較する(S320L)。次に、マイコン43は、比較用目標輝度および算出目標輝度のうち値が大きい算出目標輝度を、変更目標輝度として算出する(S330L)。すなわち、現在の算出目標輝度が、グループβの目標輝度として、そのまま維持される(図13(a)(b)参照)。
そして、目標輝度算出処理AN,ALにより算出された変更目標輝度を、新たな目標輝度として用いて、図5または図8のステップS81,S82N,S82L,S91,S92N,S92L,S93,S94n,S94Lが行われる。これにより、同一の輝度モードの各投射型映像表示装置100において、変更目標輝度に従った、映像輝度の制御が行われる。
この場合、図11の処理と異なり、目標輝度算出処理AN,ALを行う図13の処理では、グループαに属する投射型映像表示装置100のみの目標輝度が変更される。そのため、本実施の形態によれば、比較例のようにマルチ画面表示装置1000全体ではなく、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Scのみの映像輝度が変わる。
次に、図13(b)の状態において、ユーザーが、スレーブ装置Scの設定輝度モードを、通常モードから省電力モードに変更するための操作を、外部制御装置6に対して行ったとする。この場合、スレーブ装置Scのマイコン43は、スレーブ装置Scの設定輝度モードを、通常モードから省電力モードに変更する輝度モード変更処理(S220)を行う。
これにより、図13(c)のように、マスター装置Ma及びスレーブ装置Sb,Sc,Sdの各々が属するグループは、図13(a)の元のグループに戻る。
また、スレーブ装置Scの輝度モードの変更に応じて、目標輝度算出処理A1が行われる。すなわち、目標輝度算出処理ANおよび目標輝度算出処理ALが行われる。
目標輝度算出処理ANでは、まず、マイコン43が、グループαに属するマスター装置Maおよびスレーブ装置Sbの特性輝度のうち、最小特性輝度としてのYR01_α(790cd/m2)を、比較用目標輝度とする(S310N)。
次に、マイコン43は、比較用目標輝度(790cd/m2)と現在の算出目標輝度(780cd/m2)とを比較する(S320N)。次に、マイコン43は、比較用目標輝度および算出目標輝度のうち値が小さい算出目標輝度を、変更目標輝度として算出する(S330N)。すなわち、現在の算出目標輝度が、グループαの目標輝度として、そのまま維持される(図13(b)(c)参照)。
同時に、グループβに属する装置として、スレーブ装置Scが追加される。そのため、目標輝度算出処理ALでは、まず、マイコン43が、グループβに属するスレーブ装置Sc,Sdの特性輝度のうち、最大特性輝度としてのYR03_β(330cd/m2)を、比較用目標輝度とする(S310L)。
次に、マイコン43は、比較用目標輝度(330cd/m2)と現在の算出目標輝度(330cd/m2)とを比較する(S320L)。次に、マイコン43は、比較用目標輝度および算出目標輝度のうち値が大きい目標輝度(330cd/m2)を、変更目標輝度として算出する(S330L)。すなわち、現在の算出目標輝度が、グループβの目標輝度として、そのまま維持される(図13(b)(c)参照)。
よって、本実施の形態によれば、図13を用いて説明したように、ユーザーによる能動的な輝度モードの変更に応じた映像輝度の変化を除けば、輝度モード変更処理(S210)および輝度モード変更処理(S220)のうち、輝度モード変更処理(S210)が行われたときのみ、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Scの映像輝度が変わる。
なお、図13では、Rのみに関して説明したが、G,Bに関してもRと同様な処理が行われる。
図11の比較例では、輝度モード変更処理(S210)および輝度モード変更処理(S220)の各々が行われた際に、全ての投射型映像表示装置100の映像輝度が変更されていた。
一方、本実施の形態では、ユーザーによる能動的な輝度モードの変更に応じた映像輝度の変化を除けば、目標輝度算出処理ANおよび目標輝度算出処理ALが行われることにより、輝度モード変更処理(S210)が行われたときのみ、マスター装置Maおよびスレーブ装置Sb,Scの映像輝度が変わるのみである。
そのため、本実施の形態によれば、ユーザーが投射型映像表示装置100のいずれかの輝度モードを変更するための操作を行った際に、目標輝度の変更が必要な輝度モード(グループ)のみ、映像輝度が変更される。そのため、輝度モードの変更により、不必要に映像輝度が変わることを防ぐことができる。その結果、ユーザーが不快感を抱くことを防ぐことができる。
なお、本実施の形態では、1台の投射型映像表示装置100の輝度モードを変更する場合について説明した。しかしながら、本実施の形態における処理は、2台以上の投射型映像表示装置100の輝度モードを変更する場合においても、適用可能である。
(その他の変形例)
以上、本発明に係るマルチ画面表示装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これら実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、当業者が思いつく変形を本実施の形態に施したものも、本発明に含まれる。つまり、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
また、マルチ画面表示装置1000の投射型映像表示装置100は、図3に示される全ての構成要素を含まなくてもよい。すなわち、投射型映像表示装置100は、本発明の効果を実現できる最小限の構成要素のみを含めばよい。
また、本発明は、投射型映像表示装置100が備える特徴的な構成部の動作をステップとする輝度調整方法として実現してもよい。また、本発明は、当該輝度調整方法に含まれる各ステップをコンピュータが実行してもよい。また、本発明は、そのような輝度調整方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現してもよい。また、本発明は、そのようなプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現されてもよい。また、当該プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して配信されてもよい。
上記実施の形態で用いた全ての数値は、本発明を具体的に説明するための一例の数値である。すなわち、本発明は、上記実施の形態で用いた各数値に制限されない。
また、本発明に係る輝度調整方法は、例えば、図5の輝度調整処理または図8の輝度色度調整処理に相当する。輝度調整方法における各処理の実行される順序は、本発明を具体的に説明するための一例であり、上記以外の順序であってもよい。また、輝度調整方法における処理の一部と、他の処理とは、互いに独立して並列に実行されてもよい。なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。