JP6287675B2 - 振動検出装置及び振動検出方法 - Google Patents

振動検出装置及び振動検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、振動検出装置及び振動検出方法に関する。
製鉄プラント等の工場における設備の保守作業の一環として、設備の状態を各種のセンサによって検出し、その検出値に基づいて設備の異常を判断する作業(以下、設備の診断作業とも呼称する。)が行われている。例えば、設備の診断作業では、加速度センサ等の振動を検出可能な振動センサを備える振動検出装置を操業中の設備に取り付け、当該振動センサの出力値である設備の振動を表す振動信号に基づいて、設備の異常が判断される。
ここで、振動検出装置を設備に取り付ける際には、振動検出装置に電源を供給するためのケーブルや、振動検出装置によって検出された振動信号を外部機器に送信するためのケーブル等が用いられないことが好ましい。何故ならば、これらのケーブル類が設備の周囲に存在すると、設備の円滑な稼働の妨げになる可能性があるからである。また、振動信号が有線で送信される場合には、ケーブルが加振状況下で使用されることによりケーブルが断線する恐れがあるし、特に診断対象の設備と外部機器とが離れた場所に設置される場合には、ケーブルを敷設する距離が長くなり、コストの増加が懸念される。そこで、振動検出装置には、振動センサとともに、バッテリ等の電源装置や振動信号を外部機器に送信するための送信装置等が一体的に搭載され、ケーブル等による有線での外部機器との接続が極力行われないことが求められている。
しかしながら、振動検出装置の構成が複雑になるほどその消費電力も大きくなるため、バッテリの消耗が激しく、長期間の連続的な駆動が困難となる可能性がある。設備の診断作業では、診断項目によっては、長期間に渡り振動信号を取得することが求められる場合もあるため、頻繁にバッテリの交換が必要となる状況は好ましくない。
そこで、検出した信号を無線で外部機器に送信する振動検出装置に発電機構を組み込む技術が開発されている。例えば、特許文献1には、軸受に取り付けられた振動検出装置によって、当該軸受の温度及び振動を検出し、検出したデータを外部のデータ監視装置に無線送信するとともに、軸受の回転運動に基づいて発電された電力によって振動検出装置自身を駆動する技術が開示されている。また、例えば、特許文献2には、梁状の可動部を有し、当該可動部の振動によって振動を検出するとともに、当該可動部の振動に基づいて発電された電力によって駆動する振動検出装置が開示されている。特許文献1、2に記載の技術によれば、振動検出装置に発電機構が組み込まれ、当該発電機構によって発電された電力によって振動検出装置自身が駆動するため、長期間の連続的なデータ検出が可能となる。
特開2004−126852号公報 特開2011−160612号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、振動検出装置を取り付ける対象である軸受における回転運動に基づいて発電が行われるため、軸受以外の設部に取り付けられた場合には発電を行うことができない。また、特許文献2に記載の技術のように、振動を検出するセンサと可動部の振動に基づいて発電を行う発電機構とが一体的な装置として構成される場合には、発電機構における可動部の振動が、センサの検出値に対して影響を与える可能性がある。発電機構における可動部の振動の影響が大きいと、例えば設備の異常の判断材料となり得る微小な振動を表す信号が、可動部の振動を表す信号に紛れてしまい、設備の診断を高精度に行えない恐れがある。
特に、製鉄プラントでは、例えば数kHz程度の比較的高周波の振動が検出の対象となる設備が存在し得る(例えば後述する図2を参照。)。設備の診断が比較的短い間隔(例えば10分程度の間隔)で行われる場合には、このような高周波の振動信号を無線で外部機器に送信する際に、短時間で高密度の情報を伝送可能な高い周波数帯域を用いる必要がある。そのため、無線送信を行う送信部においては、高い周波数(キャリア周波数)を発生させるべく、その消費電力が大きくなってしまう可能性がある。
また、一般的に、製鉄プラントにおいては、各設備が広域に分散し得る。また、安全の観点から、近付くことができない設備も多い。従って、診断対象である設備に取り付けられる振動検出装置と、当該振動検出装置から無線送信される振動信号を受信する外部機器との通信距離も、一般的な工場と比較して長くなる傾向がある。従って、振動検出装置の送信部には、より高い無線出力が求められることとなり、やはりその消費電力が大きくなってしまう可能性がある。
このように、特に製鉄プラントにおいては、振動検出装置の消費電力がより大きくなる可能性があるため、当該振動検出装置には、より高出力の発電機構が搭載されることが望ましい。しかしながら、例えば特許文献2に記載されているような、可動部を振動させることにより発電を行う発電機構によって高い発電量を得ようとすると、当該可動部の振動がセンサの検出値に与える影響が大きくなり、高精度な設備の診断を行うことが更に困難になると考えられる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、振動を検出するセンサと、可動部を振動させることにより発電を行う発電機構と、が一体的に構成される振動検出装置において、より高精度に振動を検出することが可能な、新規かつ改良された振動検出装置及び振動検出方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、設備の振動を検出する振動センサと、前記設備の振動に応じて可動部を振動させることにより発電を行う発電部と、を備える振動検出装置を用いて設備の振動を検出する振動検出方法であって、前記発電部によって発電された電圧を表す波形に基づいて、前記可動部の振動に対応する周波数成分を抽出する周波数解析処理を行うステップと、前記振動センサによって検出された設備の振動を表す振動信号から、抽出された前記可動部の振動に対応する周波数成分を除去するフィルタ処理を行うステップと、を含む、ことを特徴とする、振動検出方法が提供される。
また、前記振動検出方法においては、前記振動検出装置は、前記発電部によって発電された電力を蓄える蓄電部と、前記周波数解析処理及び前記フィルタ処理を行うプロセッサと、前記フィルタ処理によって前記可動部の振動に対応する周波数成分が除去された振動信号を外部機器に無線送信する送信装置と、を更に備え、前記振動センサ、前記プロセッサ及び前記送信装置は、前記蓄電部から供給される電力に基づいて動作してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、設備の振動を検出する振動センサと、前記設備の振動に応じて可動部を振動させることにより発電を行う発電部と、前記発電部によって発電された電圧を表す波形に基づいて、前記可動部の振動に対応する周波数成分を抽出する周波数解析部と、前記振動センサによって検出された設備の振動を表す振動信号から、前記周波数解析部によって抽出された前記可動部の振動に対応する周波数成分を除去するフィルタ処理部と、を備えることを特徴とする、振動検出装置が提供される。
また、前記振動検出装置は、前記発電部によって発電された電力を蓄える蓄電部と、前記フィルタ処理部によって前記可動部の振動に対応する周波数成分が除去された振動信号を外部機器に無線送信する送信装置と、を更に備え、前記振動センサ、前記周波数解析部、前記フィルタ処理部及び前記送信装置は、前記蓄電部から供給される電力に基づいて動作してもよい。
以上説明したように本発明によれば、振動を検出するセンサと、可動部を振動させることにより発電を行う発電機構と、が一体的に構成される振動検出装置において、より高精度に振動を検出することが可能となる。
本実施形態に係る振動検出装置の一構成例を示す概略図である。 振動検出装置の加速度センサの検出値の一例を示すグラフ図である。 本実施形態に係る設備診断システムの全体構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る振動検出装置の一構成例を示すブロック図である。 本実施形態に係る設備診断PCの一構成例を示すブロック図である。 本実施形態に係る振動検出方法の処理手順の一例を示すフロー図である。 本実施形態に係る振動検出装置によって取得された、フィルタ処理前後の振動信号の波形を示す図である。 本実施形態に係る振動検出装置によって取得された、フィルタ処理前後の振動信号の波形を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(1.振動検出装置の構成)
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る振動検出装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る振動検出装置の一構成例を示す概略図である。
図1を参照すると、本実施形態に係る振動検出装置60は、筐体610の中に加速度センサ620及び発電部630が搭載されて構成される。図1では、説明のため、筐体610を透過して内部の構成部材を図示している。図1に示すように、振動検出装置60は、診断対象である設備700の表面(設置面)に載置され固定されており、加速度センサ620によって設備700の振動を検出することができる。図中で、設備700の設置面に示す矢印は、設備700の主振動方向を模式的に示すものである。
なお、以下の説明では、簡単のため、設備700の設置面が略均一な平面であるとみなし、当該平面内で直交する2方向をx軸方向及びy軸方向と定義する。また、設備700の設置面と垂直な方向をz軸方向と定義する。
加速度センサ620は、振動を検出する振動センサの一例である。加速度センサ620は、例えば1軸の加速度センサであり、その検出軸が設備700の設置面に対して垂直となるように配置される。加速度センサ620により、設備700の振動を表す振動信号が、検出軸方向における加速度(m/sec)として検出され得る。ただし、加速度センサ620はかかる例に限定されず、例えば2軸又は3軸の加速度センサであってもよい。また、加速度センサ620の種類は一意に限定されず、加速度センサ620としては、例えば静電容量型、ピエゾ抵抗型等、各種の方式の物が適用されてよい。更に、加速度センサ620の代わりに、他の物理量(例えば変位や速度)に基づいて振動を検出する振動センサが用いられてもよい。
加速度センサ620は、筐体610の隔壁を介して設備700の設置面上に配設される。加速度センサ620を設備700の設置面上に配設することにより、設備700における指向性の低い振動や、高周波の振動を好適に検出することが可能となる。なお、筐体610の設備700との接触面には、隔壁が設けられなくてもよく、加速度センサ620が設備700に直接接触するように配設されてもよい。加速度センサ620を設備700に直接接触させることにより、上述した設備700における指向性の低い振動や高周波の振動を、より高い精度で検出することができる。
発電部630は、コイル640と、錘650と、ばね655と、永久磁石670と、が、筐体680の中に搭載されて構成される。筐体680と筐体610とは、例えばボルト等の接続部材(図示せず。)によって互いに接続されており、筐体610に対して発電部630が固定的に接続されている。なお、図1に示す例では、筐体680は円筒形状を有しているが、筐体680の形状はかかる例に限定されず他の形状であってもよい。
ばね655は、一端が筐体680の一面(上面)に接続され、他端に錘650が接続される。錘650の周囲にはコイル640が所定の巻き数で巻かれている。このように、ばね655は、先端に錘650とコイル640とから構成される可動部660が設けられた状態で、その延伸方向に伸縮可能に構成されている。また、永久磁石670は、ばね655の伸縮方向において可動部660と対向するように配置される。
図1に示す例では、設備700の設置面に対してばね655の伸縮方向が略垂直となるように(すなわち、ばね655の伸縮方向がz軸方向と略平行となるように)、振動検出装置60が設置されている。設備700が振動すると、錘650とコイル640とから構成される可動部660がz軸方向に振動し、ばね655がz軸方向に伸縮する。ばね655の伸縮により、永久磁石670によってコイル640に印加される磁界が変化するため、コイル640に誘導電流が発生する。このように、発電部630では、コイル640及び錘650(すなわち、可動部660)が、設備700の振動に応じて振動することにより、電力を発生させることができる。
なお、本実施形態では、発電部630は、可動部660の振動に基づいて発電を行う機能を有すればよく、その具体的な構成は図1に示す例に限定されない。例えば、発電部630は、上記特許文献2に記載されているような、梁状の可動部を有し、当該梁の振動に基づいて発電が行われるものであってもよい。また、発電部630は、可動部が磁石によって構成されており、当該磁石がコイル内で振動することによって発電が行われるものであってもよい。
コイル640と加速度センサ620とは、例えば導線(図中に模式的に示す。)等によって電気的に接続されており、加速度センサ620は、発電部630において発電された電力によって駆動することができる。なお、簡単のため、図1では図示を省略しているが、振動検出装置60は、発電部630において生じた交流電流を直流電流に変換する整流器や、発電部630によって発電された電力を蓄える蓄電部(バッテリ等)を更に備えてもよい。発電部630によって発電された電力は、当該整流器等の処理回路を介して蓄電部に一旦蓄電された後に、加速度センサ620に対して供給されてもよい。これら整流器や蓄電部の機能については、下記(2.設備診断システムの構成)で詳しく説明する。
更に、本実施形態では、振動検出装置60は、加速度センサ620によって検出された振動信号を外部機器(例えば設備診断のための各種の信号処理を行う設備診断PC(Personal Computer))に送信するための送信装置や、加速度センサ620や当該送信装置の駆動を制御するマイコン等の、他の構成を更に備える(送信装置及びマイコンともに、図1では図示を省略している)。送信装置が備えられることにより、有線での通信により外部機器に振動データを送信する必要がなくなるため、データ送信用のケーブルにより設備700の円滑な操業が妨げられる事態が防止される。また、データ送信用のケーブルが設けられることにより生じ得る他の問題、すなわち、設備700の振動に起因するケーブルの断線や、ケーブル敷設に伴うコストの増加等の諸問題を解決することが可能となる。更に、マイコンに搭載されるプロセッサによって、加速度センサ620による加速度の検出頻度(すなわちサンプリングレート)や、送信装置の外部機器への振動データの送信頻度等が適宜制御される。これらの送信装置やマイコンの機能についても、下記(2.設備診断システムの構成)で詳しく説明する。
ここで、発電部630における発電量を大きくするためには、設備700の主振動方向と可動部660の振動方向とが略平行となることが好ましい。例えば、図1に示すように、設備700の主振動方向がz軸方向と略平行である場合には、振動検出装置60の発電部630の可動部660の振動方向もz軸と略平行であるため、可動部660はより大きな加速度で振動することとなり、発電量も増加する。従って、振動検出装置60を駆動するための電力をより効率的に発電することが可能となる。
しかしながら、可動部660の振動加速度が大きくなると、可動部660の振動が加速度センサ620の検出値に及ぼす影響が大きくなり、設備700における微小な振動が高精度に検出されないことが懸念される。設備700の診断項目の中には、このような微小な振動に基づいて設備700の異常が判断されるものもあるため、可動部660の振動成分は、加速度センサ620の検出値においてノイズとなる可能性がある。
一例として、振動検出装置60を製鉄プラントにおける搬送ロールの減速機出力軸の軸受に取り付けた際の加速度センサ620の検出値を、図2に示す。図2は、振動検出装置60の加速度センサ620の検出値の一例を示すグラフ図である。図2では、横軸に時間を取り、縦軸に加速度センサ620の出力値である振動加速度を取り、両者の関係性をプロットしている。
図2を参照すると、長波長(低周波)の正弦波が検出されているとともに、当該正弦波に対して短波長(高周波)の波形が重畳されて検出されていることが分かる。低周波の波形は、主に発電部630の可動部660による振動成分を表しており、例えば可動部660の振動を表している。一方、高周波の波形は、設備700において生じ得る高周波の振動を表している。設備700の診断では、このような高周波の振動に基づいて異常が判断されるものも存在するため、設備700の診断を行う際には、可動部660の振動成分はノイズとなり得る。従って、可動部660の振動加速度が大きくなると、加速度センサ620の検出値において、診断時にノイズとなり得る低周波の波形がより支配的となり、本来観察したい高周波の振動信号の検出精度が低下する可能性がある。
そこで、本実施形態では、発電部630によって発電された電圧を表す波形(例えば誘導電流の電流波形)から、可動部660の振動に対応する周波数成分を抽出し、加速度センサ620の検出値である設備700の振動を示す振動信号の波形から、抽出した可動部660の振動に対応する周波数成分を除去するフィルタリング処理(フィルタ処理)を行う。このようなフィルタ処理を行うことにより、設備700の診断に際してノイズとなり得る波形が除去され、設備700の振動をより高精度に検出することができるため、より的確な設備700の診断を行うことが可能となる。以下では、当該フィルタ処理に基づく高精度な設備700の診断を実現する、本実施形態に係る設備診断システムの構成について説明する。
(2.設備診断システムの構成)
(2−1.設備診断システムの全体構成)
図3を参照して、本実施形態に係る設備診断システムの概要について説明する。図3は、本実施形態に係る設備診断システムの全体構成を示すブロック図である。
図3を参照すると、本実施形態に係る設備診断システム1は、振動検出装置20と、設備診断PC30と、を含む。なお、図3では、設備診断システム1の概要について説明するために、振動検出装置20及び設備診断PC30の構成のうち、主要な構成についてのみ図示している。より具体的な振動検出装置20及び設備診断PC30の構成については、下記(2−2.振動検出装置の構成)及び下記(2−3.設備診断PCの構成)で詳しく説明する。
振動検出装置20は、図1に示す振動検出装置60に対応している。振動検出装置20は、診断対象である設備(図示せず。)に取り付けられており、設備の振動を表す振動信号を検出するとともに、検出された振動信号に対して、上述したようなフィルタ処理等の信号処理を行う。振動検出装置20と設備診断PC30とは、無線によって通信可能に構成されており、フィルタ処理を含む各種の信号処理が行われた振動信号(以下、フィルタ処理後の振動信号とも呼称する。)が、振動検出装置20から設備診断PC30に対して送信される。設備診断PC30は、受信したフィルタ処理後の振動信号に対して周波数解析等の各種の解析を行うことにより、設備の診断を行う。
振動検出装置20及び設備診断PC30の概略構成について説明する。振動検出装置20は、振動信号検出部201、増幅器203、フィルタ処理部205、発電部207、整流器209、蓄電部211、周波数解析部213及び無線送信部215を有する。
振動信号検出部201は、図1に示す加速度センサ620に対応するものであり、診断対象である設備の振動を表す振動信号を検出する。振動信号検出部201によって検出された振動信号は、増幅器203によって適宜増幅され、後段のフィルタ処理部205に提供される。フィルタ処理部205では、上述したような、図1に示す可動部660の振動に対応する周波数成分を、振動信号の波形から除去するようなフィルタ処理が行われる。
なお、図3では、振動信号検出部201によって検出された振動信号、増幅器203によって増幅された振動信号及びフィルタ処理部205によってフィルタ処理が行われた振動信号の波形の一例を概略的に図示している。これらの波形に示すように、振動信号検出部201によって検出された振動信号は、比較的低周波の正弦波様の波形に比較的高周波の波形が重畳されたような波形を有しているが、フィルタ処理部205によってフィルタ処理が行われることにより、低周波の波形が除去され、高周波の波形が抽出されることとなる。
発電部207は、図1に示す発電部630に対応するものであり、設備の振動に応じた可動部660の振動によって発電を行う。例えば、発電部207では、図1に示す可動部660の振動により、コイル640に誘導電流が発生する。当該誘導電流の波形(すなわち、発電部207によって発電された電圧を表す波形)は、図3に概略的に示すように、可動部660の振動に対応した周期を有する波形となり得る。
発電部207において発生した誘導電流は、整流器209によって交流電流から直流電流に変換され、例えばバッテリからなる蓄電部211に蓄電される。蓄電部211に蓄電された電力が、振動検出装置20の各部に供給されることにより、振動検出装置20が駆動する。
また、発電部207において発生した誘導電流は周波数解析部213にも提供される。誘導電流は、発電部207の可動部660の振動に基づいて発生したものであるため、誘導電流の波形には可動部660の振動を表す波形が含まれている。周波数解析部213では、誘導電流の波形に基づいて、発電部207の可動部660の振動に対応する周波数成分が抽出される。抽出された可動部660の振動に対応する周波数成分についての情報がフィルタ処理部205に提供され、フィルタ処理部205では、当該振動に対応する周波数成分についての情報を用いてフィルタ処理が行われる。
フィルタ処理部205によってフィルタ処理が行われた振動信号は、無線送信部215によって設備診断PC30に送信される。無線送信部215は、所定の通信方式によって各種の情報を送信可能な通信装置によって構成される。
設備診断PC30は、振動検出装置20によって検出され、フィルタ処理が施された振動信号に基づいて設備の診断を行う。設備診断PC30は、無線受信部301及び診断部303を有する。
無線受信部301は、所定の通信方式によって各種の情報を受信可能な通信装置によって構成される。無線受信部301は、振動検出装置20の無線送信部215と同一の通信方式を有し、無線送信部215から送信される各種の情報を受信可能な通信装置によって構成される。無線受信部301は、受信したフィルタ処理後の振動信号を、診断部303に提供する。
診断部303は、フィルタ処理後の振動信号に基づいて設備の診断を行う。例えば、診断部303は、診断項目に応じて、振動信号に対して、エンベロープ処理、周波数解析処理等の各種の処理を行うことにより、設備の診断を行うことができる。
以上、図3を参照して、本実施形態に係る設備診断システム1の概要について説明した。次に、設備診断システム1を構成する振動検出装置20及び設備診断PC30の構成についてより詳細に説明を行う。
(2−2.振動検出装置の構成)
図4を参照して、振動検出装置20の構成についてより詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る振動検出装置20の一構成例を示すブロック図である。図4では、図3に示す振動検出装置20の構成をより詳細に図示している。なお、図4では、電流の流れを破線の矢印で表し、信号や情報の流れを実線の矢印で表している。
図4を参照すると、振動検出装置20は、加速度センサ620、増幅器203、フィルタ処理部205、発電部207、整流器209、蓄電部211、周波数解析部213、無線送信部215、A/D変換器217、振動信号制御部219、振動信号蓄積部221、蓄電制御部223、絶縁アンプ225、処理後信号制御部227及び処理後信号蓄積部229を有する。図4に示す例では、これらの構成のうち、増幅器203、フィルタ処理部205、周波数解析部213、A/D変換器217、振動信号制御部219、振動信号蓄積部221、処理後信号制御部227及び処理後信号蓄積部229は、マイコン231に一体的に組み込まれていてよい。また、無線送信部215は、マイコン231とは別の装置である送信装置233の一機能として実装され得る。ただし、図1に示す装置構成は一例であり、本実施形態はかかる例に限定されない。振動検出装置20は、以下に説明する各処理が実行可能に構成されればよく、その具体的な構成は任意であってよい。
振動検出装置20は、加速度センサ620が設備700の表面上に載置されるように、設備700上に取り付けられる。加速度センサ620は、図3に示す振動信号検出部201に対応するものであり、診断対象である設備700の振動を表す振動信号を、加速度値として検出する。加速度センサ620によって検出された振動信号は、増幅器203に提供される。
増幅器203は、アンプ等の信号増幅回路によって構成され、加速度センサ620によって検出された振動信号を所定の倍率で増幅する。本実施形態では、増幅器203の具体的な構成は限定されず、増幅器203としては、一般的に電気回路において用いられている公知な各種の増幅器を適用することができる。増幅器203の増幅性能は、加速度センサ620の性能や、設備700の診断項目等に応じて適宜設計されてよい。増幅器203によって増幅された振動信号は、A/D変換器217に提供される。
A/D変換器217は、増幅器203によって増幅された振動信号をデジタル信号に変換する。本実施形態では、A/D変換器217の具体的な構成は限定されず、A/D変換器217としては、一般的に電気回路において用いられている公知な各種のA/D変換器を適用することができる。A/D変換器217によってデジタル信号に変換された振動信号は、振動信号制御部219に提供される。
振動信号制御部219は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、フィルタ処理が行われる前の振動信号に関する各種の処理を制御する。例えば、振動信号制御部219は、加速度センサ620の駆動を制御し、加速度センサ620による振動信号のサンプリングレートや検出時間(サンプリング時間)を制御する。また、振動信号制御部219は、振動信号蓄積部221及びフィルタ処理部205の駆動を制御し、A/D変換器217によってデジタル信号に変換された振動信号を振動信号蓄積部221に記憶させたり、フィルタ処理部205に処理させたりする。
振動信号蓄積部221は、各種の情報を記憶する記憶装置によって構成され、振動信号制御部219からの制御により、A/D変換器217によってデジタル信号に変換された振動信号を一時的に記憶する。振動信号蓄積部221におけるデータの記憶方式は任意であってよく、振動信号蓄積部221は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等、公知の各種の記憶デバイスによって構成され得る。振動信号蓄積部221に一時的に記憶された振動信号が、振動信号制御部219の制御によって適切なタイミングで後段のフィルタ処理部205に伝送され、フィルタ処理部205によって当該振動信号に対するフィルタ処理が実行される。
発電部207は、図1に示す発電部630に対応するものであり、振動検出装置20が取り付けられた設備700の振動に応じて可動部660を振動させることにより発電を行う。具体的には、発電部207では、図1に示す可動部660の振動により、コイル640に誘導電流が発生する。当該誘導電流は、可動部660の振動に対応した周期(周波数)を有する交流電流である。発電部207のコイル640で生じた誘導電流は、整流器209及び絶縁アンプ225に提供される。
整流器209は、発電部207において生じた誘導電流を、交流電流から直流電流に変換する。本実施形態では、整流器209の具体的な構成は限定されず、整流器209としては、一般的に電気回路において用いられている公知な各種の整流器を適用することができる。整流器209によって直流電流に変換された誘導電流は、蓄電制御部223に提供される。
蓄電制御部223は、例えばCPU等のプロセッサによって構成され、蓄電部211の状態(例えば蓄電量等)に応じて、蓄電部211に供給する電流量を調整する。例えば、蓄電制御部223は、蓄電部211における蓄電量をモニタし、蓄電部211の蓄電量が所定のしきい値よりも小さくなった場合に、蓄電部211に対して発電部207で発生した電流を供給する。蓄電制御部223によって蓄電部211に供給される電流量が制御されることにより、蓄電部211での過充電が防止される。
蓄電部211は、例えばバッテリによって構成され、発電部207で発生した電力を蓄える。また、蓄電部211は、加速度センサ620、マイコン231及び送信装置233等の振動検出装置20の各構成に対して電力を供給する。このように、振動検出装置20は、発電部207において発電された電力によって自身を駆動させることができる。なお、蓄電部211の具体的な構成は限定されず、蓄電部211としては、公知な各種の二次電池が用いられてよい。
絶縁アンプ225は、発電部207によって生じた誘導電流の電圧値を所定の値以下に制限する。絶縁アンプ225としては、抵抗等の電圧降下素子が用いられてもよいし、所定のしきい値以下の電圧値を有する電流のみを通過させるフィルタ回路が用いられてもよい。絶縁アンプ225を通過した誘導電流は、マイコン231の周波数解析部213に伝送される。一般的に、マイコン231の駆動電流は数(mA)程度であることが多いため、絶縁アンプ225を介して誘導電流がマイコン231に伝送されることにより、過度な電圧がマイコン231に印加されることが防止される。
周波数解析部213は、例えばCPU等のプロセッサによって構成され、発電部207で発生した誘導電流の波形に対して周波数解析を行い、発電部207の可動部660の振動に対応する周波数成分を抽出する。周波数解析部213には、整流器209によって直流電流に変換される前の誘導電流が提供される。当該誘導電流の波形には、発電部207の可動部660の振動を表す波形が含まれているため、周波数解析部213によって周波数解析が行われることにより、可動部660の振動に対応する周波数成分を抽出することができる。例えば、周波数解析部213は、誘導電流の波形から、可動部660の1次振動に対応する周波数成分を抽出する。なお、周波数解析部213による周波数解析には、公知な各種の手法が用いられてよい。周波数解析部213は、抽出した可動部660の振動に対応する周波数成分についての情報を、フィルタ処理部205に提供する。
フィルタ処理部205は、例えばCPU等のプロセッサによって構成され、振動信号制御部219からの制御により、加速度センサ620によって検出された振動信号から、発電部207の可動部660の振動に対応する周波数成分を除去するフィルタ処理を行う。具体的には、フィルタ処理部205には、振動信号制御部219から、振動信号蓄積部221に記憶されている振動信号が提供される。また、フィルタ処理部205には、周波数解析部213によって抽出された可動部660の振動(例えば1次振動)に対応する周波数成分についての情報が提供される。従って、フィルタ処理部205は、例えば可動部660の1次振動に対応する周波数帯域の波形のみを除去する逆バンドパスフィルタを、振動信号に作用させ、ノイズとなり得る可動部660の振動に対応する周波数成分を除去することができる。フィルタ処理部205の駆動は、振動信号制御部219によって制御されてよく、振動信号制御部219は、例えば、振動信号が取得されている間に発電部207において発生した誘導電流に対する周波数解析部213による周波数解析処理が終了したタイミングで、当該振動信号に対してフィルタ処理部205にフィルタ処理を行わせることができる。フィルタ処理部205は、フィルタ処理を施した振動信号を処理後信号制御部227に提供する。
処理後信号制御部227は、例えばCPU等のプロセッサによって構成され、フィルタ処理が行われた後の振動信号に関する各種の処理を制御する。例えば、処理後信号制御部227は、処理後信号蓄積部229及び無線送信部215の駆動を制御し、フィルタ処理後の振動信号を処理後信号蓄積部229に記憶させたり、無線送信部215によって外部機器である設備診断PC30に送信させたりする。
処理後信号蓄積部229は、各種の情報を記憶する記憶装置によって構成され、処理後信号制御部227からの制御により、フィルタ処理部205によってフィルタ処理が施された振動信号を一時的に記憶する。処理後信号蓄積部229におけるデータの記憶方式は任意であってよく、処理後信号蓄積部229は、例えば、HDD等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等、公知な各種の記憶デバイスによって構成され得る。処理後信号蓄積部229に一時的に記憶された振動信号が、処理後信号制御部227の制御によって、適切なタイミングで後段の無線送信部215に提供され得る。
無線送信部215は、所定の通信方式によって各種の情報を送信可能な通信装置によって構成され、処理後信号制御部227からの制御により、フィルタ処理後の振動信号を外部機器である設備診断PC30に送信する。例えば、無線送信部215は、所定の周波数帯域の電波を用いてフィルタ処理後の振動信号を送信してもよい。ただし、無線送信部215の通信方式はかかる例に限定されず、無線送信部215は、例えば、超音波や赤外線等、電波以外の周波数帯域の電磁波を用いて無線通信を行ってもよい。無線送信部215がフィルタ処理後の振動信号を送信するタイミングは、設備700の種類や、診断項目等に応じて適宜決定されてよい。例えば、数日間のように長期間に渡って取得された振動信号に基づいて診断を行いたい場合であれば、数日間分の振動データを処理後信号蓄積部229に一時的に蓄積しておき、診断を行うタイミングで、無線送信部215によって振動データが設備診断PC30に送信されてもよい。
以上、図4を参照して、振動検出装置20の構成について説明した。
(2−3.設備診断PCの構成)
図5を参照して、設備診断PC30の構成についてより詳しく説明する。図5は、本実施形態に係る設備診断PC30の一構成例を示すブロック図である。図5では、図3に示す設備診断PC30の構成をより詳細に図示している。
図5を参照すると、設備診断PC30は、無線受信部301及び診断部303を有する。無線受信部301は、所定の通信方式によって各種の情報を受信可能な通信装置によって構成され、振動検出装置20の無線送信部215から送信されるフィルタ処理後の振動信号を受信する。無線受信部301の通信方式としては、振動検出装置20の無線送信部215と通信可能なように、例えば無線送信部215と同一のものが適宜設定され得る。無線受信部301は、受信したフィルタ処理後の振動信号を、診断部303に提供する。
診断部303は、例えばCPU等のプロセッサによって構成され、フィルタ処理後の振動信号に基づいて設備700の診断を行う。診断部303は、フィルタ処理後の振動信号に対して、エンベロープ処理、周波数解析処理等、振動の解析に係る公知な各種の処理を行うことにより、設備700の診断を行うことができる。例えば、診断部303は、診断項目に応じて、周波数解析の結果から、ミドルレンジ及びハイレンジの周波数帯域における振動信号の特性を解析してもよい。また、設備診断PC30が備える記憶部(図示せず。)に、設備700ごとに取得された振動信号の履歴が記憶されてもよく、診断部303は、当該記憶部に記憶されている振動信号の履歴に基づいて、操業中に取得される振動信号の傾向を管理してもよい。
以上、図3−図5を参照して、設備診断システム1を構成する振動検出装置20及び設備診断PC30について詳細に説明した。以上説明したように、本実施形態に係る振動検出装置20は、設備の振動に応じた振動信号を検出する加速度センサ620と、設備の振動に応じた可動部660の振動により発電を行う発電部207と、を備えるとともに、検出された振動信号に対して、発電部207によって発電された電圧を表す波形から抽出される可動部660の振動に対応する周波数成分を除去するフィルタ処理が行われる。そして、フィルタ処理後の振動信号に基づいて、設備診断PC30において設備700の診断処理が行われる。振動信号を用いて設備の診断を行う際に、可動部660の振動成分はノイズとなり得るため、上記のようなフィルタ処理を行うことにより、ノイズとなり得る成分が除去された、より高精度な振動信号を得ることができ、より的確な設備700の診断が実現される。特に、例えば製鉄プラントのように、発電部207において高い発電量が求められ、発電部207の可動部660の振動加速度が大きくなる可能性がある場合には、本実施形態に係る振動検出装置20が好適に適用され得る。本実施形態によれば、発電部207における発電量が大きく、可動部660の振動加速度が大きい場合であっても、振動信号から、可動部660の振動成分の影響を効果的に除去することが可能となる。
また、本実施形態では、振動検出装置20は、振動検出装置20の駆動を制御するマイコン231や、振動信号を無線で設備診断PC30に送信する送信装置233が、一体的に組み込まれて構成される。従って、振動検出装置20では、振動信号の検出、検出された振動信号に対するフィルタ処理、フィルタ処理後の振動信号の設備診断PC30への送信等の各種の処理が、所定のプログラムに従って自動的に行われる。また、振動検出装置20は、発電部207によって発電された電力によって駆動されるため、蓄電部であるバッテリ等の頻繁な交換作業も不要となる。従って、作業者は、振動検出装置20を設備700に取り付けた後は、設備診断PC30に随時送信される振動信号に基づいて設備700の診断を行うことができるため、診断作業をより効率的に行うことが可能となる。
なお、上述した設備診断システム1の構成の中で、フィルタ処理部205、周波数解析部213、振動信号制御部219、蓄電制御部223、処理後信号制御部227及び診断部303は、CPU等のプロセッサによって実現される一機能であり得る。これらの機能は、当該プロセッサが所定のプログラムに従って動作することにより実現され得る。また、このような、本実施形態に係る設備診断システム1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、各種の情報処理装置に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
なお、図3に示す例では、設備診断システム1は、振動検出装置20及び設備診断PC30によって構成されているが、本実施形態はかかる例に限定されない。設備診断システム1は、上述した各機能を実現するように構成されればよく、その具体的な構成は任意であってよい。例えば、周波数解析部213による周波数解析処理及びフィルタ処理部205によるフィルタ処理は、振動検出装置20によって行われなくてもよく、設備診断PC30(又は他の各種の情報処理装置)によって行われてもよい。この場合、振動検出装置20は、加速度センサ620によって検出された振動信号及び発電部207によって発電された電圧の波形を表す信号を、設備診断PC30に送信し、後段の処理は設備診断PC30によって行われ得る。振動検出装置20で行われる処理を少なくすることにより、振動検出装置20の消費電力を低減することができる。また、例えば数値計算に特化したサーバ等の情報処理装置において周波数解析処理及びフィルタ処理を行うことにより、より短時間でこれらの信号処理を行うことが可能となり、作業の効率化を図ることができる。
(3.振動検出方法)
図6を参照して、本実施形態に係る振動検出方法の処理手順について説明する。図6は、本実施形態に係る振動検出方法の処理手順の一例を示すフロー図である。なお、図6に示す各処理は、図3−図5に示す設備診断システム1の各構成によって実行され得る。
図6を参照すると、本実施形態に係る振動検出方法では、まず、診断対象の設備700に取り付けられた振動検出装置20の加速度センサ620によって、設備700の振動を表す振動信号が検出される(ステップS101)。そして、検出された振動信号が、増幅器203によって増幅され、A/D変換器217によってデジタル信号に変換される(ステップS103)。
一方、振動検出装置20の発電部207において発生した誘導電流(交流電流)から、発電部207の可動部660の振動を表す、1次振動に対応する周波数成分が抽出される(ステップS105)。ステップS105に示す処理は、例えば、図3及び図4に示す周波数解析部213によって行われ得る。なお、図6では、便宜的に、ステップS101、S103に示す処理の後にステップS105に示す処理が行われるように記載されているが、ステップS101、S103に示す処理と、ステップS105に示す処理とは並行して行われてよい。
次に、検出された振動信号から、発電部207の可動部660の振動に対応する周波数成分を除去するフィルタ処理が行われる(ステップS107)。具体的には、ステップS107では、ステップS103に示す処理で取得された振動信号に対して、ステップS105に示す処理で取得された1次振動に対応する周波数帯域以外の周波数の信号を通過させる逆バンドパスフィルタ処理が行われる。ステップS107に示す処理は、例えば、図3及び図4に示すフィルタ処理部205によって行われ得る。なお、図6では、一例として、ステップS105において1次振動に対応する周波数成分が抽出され、ステップS107において1次振動に対応する周波数成分に基づくフィルタ処理が行われているが、ステップS105では、他の次数のモードの振動に対応する周波数成分が抽出されてもよく、ステップS107では、抽出された他の次数のモードの振動に対応する周波数成分を用いたフィルタ処理が行われてもよい。
次に、フィルタ処理後の振動信号が、振動検出装置20から設備診断PC30に送信される(ステップS109)。ステップS109に示す処理では、例えば図3−図5に示す無線送信部215及び無線受信部301によって、所定のタイミングで振動信号の送受信が行われ得る。
以降の処理は、設備診断PC30において行われる診断処理に対応している。設備診断PC30では、まず、受信したフィルタ処理後の振動信号に対して、診断項目に応じて、診断対象となる周波数帯域のみを抽出するフィルタ帯域の選定が行われる(ステップS111)。そして、抽出された周波数帯域の振動信号に対して、エンベロープ処理が行われ(ステップS113)、周波数解析処理が行われる(ステップS115)。ステップS111〜ステップS115に示す処理は、例えば図3及び図5に示す診断部303によって行われ得る。なお、ステップS111〜ステップS115に示す処理は、本実施形態において設備診断PC30によって行われ得る診断処理の一例である。本実施形態では、診断処理として、振動を解析する際に一般的に行われている他の公知な各種の処理が行われてよい。
以上、図6を参照して、本実施形態に係る振動検出方法の処理手順について説明した。なお、本実施形態に係る振動検出方法では、ステップS103において振動検出装置20を設備700に取り付けた後は、ステップS105、S107に示す処理は、例えば振動検出装置20に備えられるマイコンのプロセッサや、設備診断PCのプロセッサ等により、所定のプログラムに従って自動的に実行され得る。従って、作業者は、振動検出装置20を設備700に取り付けた後は、設備診断PC30による診断結果を参照することにより、設備700の診断を行うことができる。よって、設備700の診断作業をより効率的に行うことが可能となる。
本発明の効果を確認するために、本発明を製鉄プラントにおける実際の装置に対して適用した実施例について説明する。実施例として、本実施形態に係る振動検出装置60を、搬送ロールの減速機出力軸の軸受に取り付け、フィルタ処理前後の振動信号を取得した。
図7及び図8に、本実施形態に係る振動検出装置60によって取得された、フィルタ処理前後の振動信号の波形を示す。図7及び図8は、本実施形態に係る振動検出装置60によって取得された、フィルタ処理前後の振動信号の波形を示す図である。図7及び図8では、横軸に時間を取り、縦軸に振動加速度を取り、両者の関係性をプロットしている。
図7は、軸受が比較的良好な状態で動作している場合における振動信号の一例を示している。図7を参照すると、フィルタ処理前の振動信号は、低周波の波形(正弦波)に、高周波の波形が重畳した波形を有している(図中(a))。なお、図7(a)は、上述した図2に示す波形と同一の波形である。図7(a)に示す振動信号が取得されている間に発電部207において発電された電流波形に対して、図3及び図4に示す周波数解析部213によって周波数解析を行った結果、可動部660の1次振動数に対応する周波数は、11±α(Hz)(αは10(%))であることが分かった。そこで、図7(a)に示す振動信号に対して、図3及び図4に示すフィルタ処理部205によって、11±α(Hz)(すなわち、9.9(Hz)〜12.1(Hz))の周波数帯域の波形を除去する逆バンドパスフィルタ処理を施した。その結果、振動信号から低周波成分が除去され、高周波成分のみが抽出された振動信号の波形を得ることができた(図中(b))。図7(b)に示す振動信号の波形は、加速度センサ620によって検出された振動信号から、可動部660の振動に対応する周波数成分が除去されたものであり、軸受の診断に際してノイズとなり得る周波数成分が除去されたものであると言える。図7に示すように、本実施形態に係る振動検出装置60を適用することにより、ノイズとなり得る成分が除去され、設備の状態を示す振動信号がより高精度に取得されることが確認された。
一方、図8は、軸受の外輪転動面の一部に損傷が発生している場合における振動信号の一例を示している。図8を参照すると、フィルタ処理前の振動信号は、図7に示す波形に比べて高周波成分が支配的ではあるが、やはり、低周波の波形(正弦波)に、高周波の波形が重畳した波形を有している(図中(a))。図8(a)に示す振動信号に対しても、同様に、周波数解析部213によって、発電部630において発電された電流波形に対する周波数解析を行った結果、可動部660の1次振動数に対応する周波数は、9±α(Hz)(αは10(%))であることが分かった。そこで、図8(a)に示す振動信号に対して、図3及び図4に示すフィルタ処理部205によって、9±α(Hz)(すなわち、8.1(Hz)〜9.9(Hz))の周波数帯域の波形を除去する逆バンドパスフィルタ処理を施した。
図8(b)は、図8(a)に示す振動信号に対してフィルタ処理を施した後の振動信号の波形を図示している。図8(b)に示すように、本実施形態に係るフィルタ処理を行うことにより、図8(a)に示す振動信号から低周波成分が除去され、高周波成分のみが抽出されていることが分かる。図8(b)に示す、ノイズとなり得る成分が除去された振動信号を用いて軸受の診断を行うことにより、軸受の異常がより高精度に判断され得る。
以上、図7及び図8を参照して、本発明を実際の設備に適用した実施例について説明した。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 設備診断システム
20、60 振動検出装置
30 設備診断PC
201 振動信号検出部
203 増幅器
205 フィルタ処理部
207 発電部
209 整流器
211 蓄電部
213 周波数解析部
215 無線送信部
217 A/D変換器
219 振動信号制御部
221 振動信号蓄積部
223 蓄電制御部
225 絶縁アンプ
227 処理後信号制御部
229 処理後信号蓄積部
231 マイコン
233 送信装置
301 無線受信部
303 診断部
610、680 筐体
620 加速度センサ
630 発電部
640 コイル
650 錘
655 ばね
660 可動部
670 永久磁石
700 設備

Claims (4)

  1. 設備の振動を検出する振動センサと、前記設備の振動に応じて可動部を振動させることにより発電を行う発電部と、を備える振動検出装置を用いて設備の振動を検出する振動検出方法であって、
    前記発電部によって発電された電圧を表す波形に基づいて、前記可動部の振動に対応する周波数成分を抽出する周波数解析処理を行うステップと、
    前記振動センサによって検出された設備の振動を表す振動信号から、抽出された前記可動部の振動に対応する周波数成分を除去するフィルタ処理を行うステップと、
    を含む、ことを特徴とする、振動検出方法。
  2. 前記振動検出装置は、前記発電部によって発電された電力を蓄える蓄電部と、前記周波数解析処理及び前記フィルタ処理を行うプロセッサと、前記フィルタ処理によって前記可動部の振動に対応する周波数成分が除去された振動信号を外部機器に無線送信する送信装置と、を更に備え、
    前記振動センサ、前記プロセッサ及び前記送信装置は、前記蓄電部から供給される電力に基づいて動作する、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の振動検出方法。
  3. 設備の振動を検出する振動センサと、
    前記設備の振動に応じて可動部を振動させることにより発電を行う発電部と、
    前記発電部によって発電された電圧を表す波形に基づいて、前記可動部の振動に対応する周波数成分を抽出する周波数解析部と、
    前記振動センサによって検出された設備の振動を表す振動信号から、前記周波数解析部によって抽出された前記可動部の振動に対応する周波数成分を除去するフィルタ処理部と、
    を備えることを特徴とする、振動検出装置。
  4. 前記発電部によって発電された電力を蓄える蓄電部と、前記フィルタ処理部によって前記可動部の振動に対応する周波数成分が除去された振動信号を外部機器に無線送信する送信装置と、を更に備え、
    前記振動センサ、前記周波数解析部、前記フィルタ処理部及び前記送信装置は、前記蓄電部から供給される電力に基づいて動作する、
    ことを特徴とする、請求項3に記載の振動検出装置。


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